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光触媒電極および燃料電池
説明

光触媒電極および燃料電池

本発明は電極表面に吸着される吸着材からの入射光で表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面を有する電気伝導材を備えた電極を提供する。この吸着材は実質的に還元性で、実質的に酸化性ではない。この電極表面は微細表面に処理され、たとえば金属材料のの複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子を含む。複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子は電極が光源からの光で照射されたとき、光触媒電気還元に適する領域を形成する。本発明はまた電極を製造する方法およびその電極を用いて電気を発生する方法を含む。本発明はさらに別の態様に従って本発明の電極を有する燃料電池を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気エネルギを発生する方法および装置に関する。特に本発明は光源を用いて燃料電池の電極を照射することにより発電する電気化学燃料電池に向けられる。
【0002】
なお、本発明は2006年3月30日に出願された米国特許出願第11/393,630号に対する優先権の利益を請求する。この出願の明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。
【背景技術】
【0003】
この技術分野では、電力を発生する多くの燃料電池が知られている。このような装置の大部分は炭素アノードと微細に分散させたプラチナ触媒を有するカソードとを備える。
【0004】
たとえば、リン酸燃料電池(PAFC)は一定濃度のリン酸を含む炭化ケイ素マトリックスの多孔質電解層を利用する電力発生用燃料電池である。この電解層は膜電解質(“MAE”)と呼ばれる電解質電極を形成するため炭素基電極(アノードとカソード)間に介装される。組み立て時、膜電解質は電気伝導性二極プレート間に介装される。電解質電極と二極プレートとは電解質を間に水素のような燃料と酸素とを反応させて電気を発生する単電池を形成する。ここに説明した単電池は約0.8ボルトの電気出力を有する。所定の電圧の電気出力を発生するためには単電池を互いに必要な数だけ直列に積層し、燃料電池スタックを形成する。この二極プレートは導電性であるので、スタックで発生した電流をエンド・プレートを経由して外部に流すことができる。
【0005】
別の種類の燃料電池はポリマーからなるイオン交換膜(プロトン交換膜またはPEM)で分離した電極を有する膜電極層を利用する、ポリマー固体電解質燃料電池である。同様に膜電極層と二極プレートとが電力発生用燃料電池ユニットを構成する。もう一度、予め決められた数の単電池を積層して望ましい出力電圧を有する燃料電池スタックを形成する。
【0006】
燃料電池スタックでは、気化した水素のような燃料ガスがアノードに供給される。このアノードは水素分子を水素イオン(プロトン)と原子とに分解するため燃料ガスの化学反応を生じる触媒を備える。水素イオンは電解質を通ってカソードに移動し、電子がカソードに接続した外部回路に流れ、直流電流を発生する。
【0007】
この燃料電池は発電性能を最大に高める温度か、それに近い温度で運転する必要がある。一般に、この技術分野で知られた燃料電池は環境温度あるいは室温(たとえば、23.88°C(75°F))を大きく上回る温度で運転する。運転最高温度は燃料電池装置の種類で変化する。たとえば、リン酸燃料電池は120°Cから200°Cの温度範囲で運転し、固体電解質燃料電池は60°Cから90°Cの温度範囲で運転する。電力発生用燃料電池の温度を望ましい温度範囲に維持するため多くの冷却装置が適応されている。典型的には、電力発生用燃料電池は燃料電池スタックの二極プレートに形成した冷却剤通路に送る水のような冷却剤を供給して冷却される。
【0008】
一般に、燃料電池は化石燃料の燃焼よりもエネルギ生産が環境に負担を及ぼさない、クリーンな代替手段を提供する。この燃料電池の電気化学的効率は内燃式エンジンの効率(30%以下)を楽に超えている(現時点で約65%)。しかしながら、最近の原油、天然ガス、化石燃料の価格上昇にも拘らず、化石燃料は燃料電池と比べて経済的に多大な利益をもたらし続ける。この燃料電池によるエネルギ生産の高コストはアノードでの燃料(水素)の酸化、そしてカソードでの酸素の還元反応の促進に加える、高価な触媒(プラチナ)を使用することによるものである。時間の掛かる酸素の還元反応はプラチナ触媒が存在するときですら、燃料電池の効率に大きく制限を及ぼす。
【0009】
陽性金属電極部での還元の進行中、電子を要求する二酸素分子(O2)の求めは酸素が必要とする電子を放出する前に負側に偏る(大負過電圧と呼ばれる)ため金属の静電位を上昇させる。燃料電池の出力は電池電圧(V)と電流(I)との積、すなわちP=VIで決まるので、電位の降下は電気出力および燃料電池効率を直線的に引き下げる。典型的には、プラチナ触媒で作動する水素燃料電池は+1.23ボルトの熱力学的に平衡した電池電圧ではなく、+0.75ボルト付近の電池電圧で適度な電流レベルを保って運転する。この熱力学的電圧よりも−0.48ボルト低い過電圧値は60%程度の値に効率を制限することになる。酸素電気還元法で使用するプラチナ触媒の代替方法を実証する実験が研究範囲を明確に定めるべく続いている。それにも拘らず、プラチナは依然として酸素還元反応に用いるよく知られた電気触媒である。近年、燃料電池での有用性の向上はグラファイト電極の活性域のみにプラチナ触媒を分散するという、改善した方法を頼りにしている。このため、燃料電池の全体コストに加えて、運転電流を維持するのに必要な合計プラチナ量は減少している。しかしながら、過電圧問題から引き起こされる基本的な制限は依然として持続している。
【0010】
したがって、この技術分野では、知られた燃料電池よりも電気化学的効率に優れた燃料電池を求める、従わざるを得ない要求がある。さらに、室温のような低温で運転できる燃料電池装置を求める、未だに続く要求もある。本発明はこれらの問題に対する解決策を提供する。
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的および利点は本発明の実施を経て会得できると同時に、後に続く説明に記載され、より明らかになる。本発明のさらに別の利点は添付図面を含めて実施例の記述および請求の範囲に特に指摘される方法および装置によって実現し、得ることができる。
【0012】
ここに具体化され、広く説明されるように、本発明の目的に従って、これらの利点、さらには別の利点を達成するため本発明は電極表面に吸着される吸着材からの入射光で表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面を有する電気伝導材を備えた電極を提供する。この吸着材は実質的に還元性で、実質的に酸化性ではない。適度に還元性の吸着材はラジカル陰イオン中間体を生じる一次電子と共に、多くの電子の付加で減少する。粗面処理した吸着材で覆われた金属電極は、光を照射したとき、過電圧問題を克服し、燃料電池の効率を改善する、酸素の電気還元中に触媒作用を及ぼすカソードとして燃料電池での有用性を見出した。本発明はまた上記の電極を製造する方法およびその電極を用いて電気を発生する方法を含む。本発明のさらに別の態様に従って、本発明の電極を備える燃料電池が提供される。
【0013】
上述の一般的説明、そして後に続く詳細な説明は代表的なもので、請求された本発明のさらなる説明を与えることを意図する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の具体例が添付図面に示される、本発明の好ましい実施例を参照する。本発明の方法および対応する過程が本発明の装置の詳細な説明と共に記述される。
【0015】
上述したように、従来の燃料電池では、陽電位の金属電極部において、還元の進行中、電子を要求する二酸素分子(O2)の求めは酸素と結び付く電子を放出する前に負側に偏る(大負過電圧と呼ばれる)ため金属の静電位を上昇させる。
【0016】
図1はここに説明する本発明の利点がない銀電極とプラチナ電極との間の酸素還元作用の比較を示す。これらの結果はここに説明する光触媒の適用以前の銀と比較するプラチナの相対触媒挙動を示すために図示される。図1の場合、電極面積は0.15cm2である。
【0017】
ここに説明する本発明の利点がない銀は燃料電池のカソードで使用するプラチナと同様に吸着作用がない。図1に示されるように、特に標準水素電極(以下、NHEと呼ぶ)に対して1.23ボルトの電位を持つ酸素還元について熱力学的電圧と比べたとき、酸素還元作用はプラチナでは、+0.75ボルト付近、銀では、+0.35ボルト付近、金では、+0.25ボルト付近で始まる。金、銀およびプラチナでの酸素還元に適した等価電流密度はプラチナが銀よりもさらに陽性の+0.25付近、金よりもさらに陽性の+0.35ボルト付近で分極したときに観察され、熱力学的電圧よりも低い、少なくとも半分の過電圧にする必要があるとはいえ、プラチナの触媒作用を高めることができる。さらに、図1に示されるように、銀は+0.80ボルト付近で過塩素酸溶液の酸化が始まるが、一方、プラチナおよび金は+1.1ボルト付近で酸化が始まる。それゆえ、銀の酸素還元作用については過電圧を完全に取り除いても、銀は+0.80ボルト付近を超えない、すなわちプラチナの有用性との釣り合いが取れる、電圧で酸素還元を始めるように銀自身の酸化を制限する必要がある。
【0018】
燃料電池はここに開示される電極を使用することで、酸素還元での過電圧条件を大きく減少して構成することができる。これはカソードに使用する特定の金属の酸化電位のみで制限される+1.23ボルトという、熱力学的に等価である電池電圧付近またはその電池電圧で燃料電池のような装置を運転することが可能になる。図面に示され、説明されるように、ここに提供される本発明を使用するとき、カソードとしての銀および他の特定の金属の使用は極めて魅力的である。
【0019】
さらに、銀のコストはプラチナのコストと比べて1/100も減少し、燃料電池のエネルギ生産での銀の有用性は商業的にも同様に魅力がある。さらに、他の金属、特に酸化電位(E°=+1.498ボルト)が酸素還元に適する熱力学的電圧よりも高い金は極めて有利な銀の商業的利点を犠牲にするとはいえ、電極酸化電位から引き起こされる制限を打ち破るだけの期待を示す。
【0020】
したがって、本発明に従って、電極が提供される。この電極は粗面処理される表面を有する電気伝導材を備える。この表面は電極表面に吸着される分子から効率よく表面ラマン散乱を発生するように粗面処理される。適する吸着材は下記に詳しく説明される。入射光が吸着材で覆われた金属面と相互作用するとき、光子はエネルギが吸収されるか、または失われか、いずれかの過程を経て非弾性的に散乱する。散乱した光子は周波数が次第にシフトする。この非弾性的散乱はラマン散乱と呼ばれる。適切に粗面処理した金属表面の吸着材から出るラマン散乱光の強さは吸着材の表面濃度が小さい場合、想定した強さよりも高くなり、“表面増強ラマン散乱”またはSERSが生じる。SERSを発生するのに必要な表面の厳密な構造的特徴については学会内でも幾分議論があるが、実験によれば、たとえば、電気化学粗面処理は上記のような効果を生じることが可能である。ここに説明されるように、他の方法による粗面処理でも同様に吸着材分子から出る表面増強ラマン散乱を発生すると考えられている。したがって、吸着分子で表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面は当業者に知られたラマン散乱を発生する能力がある全ての表面を称することを意図する。
【0021】
本発明の一態様に従って、複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子が電極表面に形成される電気伝導材から製作する電極が提供される。
【0022】
図示を目的とし、これに限定されないが、本発明の一態様に従う電気伝導材に堆積させる、金属からなる複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子を有する粗面処理した表面を備える電極が提供される。吸着原子は、一般に電極表面のような原子スケール欠陥として特徴づけられる。電極を吸着材を溶かした溶液内に浸漬することで、還元可能な吸着材を粗面処理した電極表面に吸着することができる。光を照射したとき、吸着処理した電極は還元等価物(すなわち、電子)を光触媒によって酸素あるいは他の適する還元材に連続して提供する。この電極は電気化学燃料電池のような多様な用途で使用することができる。
【0023】
この電極は電気伝導材および吸着原子あるいはクラスタ材を構成する材料が同一、あるいは異なる伝導材から製作して提供される。好ましくは、この材料は次の群から選択される材料から製作する。すなわち、これは(酸化電位を増す順に)銀、カリウム、パラジウム、イリジウム、プラチナおよび金である。また、これらの材料の1つないしそれ以上を含有する、カソードとして適する合金および/または混成材も本発明の範囲内である。
【0024】
本発明の一実施例に従って、複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子を有する表面を形成する一方法が説明される。この方法は処理する材料を液状塩化物媒体内に浸漬する。本発明の好ましい実施例に従って、電極材として銀を使用する。この銀電極はJ. Electroanal. Chem.、84、p1−20(1977年)に記載のD.L.ジーンメイア、R.P.ヴァン・ダインが提唱する酸素−還元サイクル法を用いて改質される。この文献は活性クラスタ銀面を生成するため参照してここに取り入れる。塩化物媒体内に浸漬した後、塩化物媒体を通して銀全体に正電圧を印加し、銀を酸化させ、固体状AgClを形成する。この後、電流を反転し、溶液中にある銀電極の表面に堆積させる。
【0025】
この酸素−還元サイクル法で処理した銀電極表面の原子力間顕微鏡写真(“AMF”)が図2Aおよび図2Bに示されており、そのサイクルで生成した粗面を見せる。特に図2Aおよび図2Bはそれぞれの電気化学粗面処理前および処理後の銀電極表面の10μ×10μ断面を表わす。図2Aでは、銀電極は0.05μになるまで微細アルミニウム粉末で徐々に磨き、蒸留水を用いて洗浄し、顕微鏡走査の前に空気乾燥した。図2Bでは、銀電極を0.10M水性NaCl溶液内に置き、Ag/AgCl参照電極に対して+0.100ボルト付近になるように分極して約1cm2の電極表面積を酸化した。このとき、電流値は5ミリアンペアで、10秒間電極内を通過させた。電流を反転し、次いで、酸化部分を還元するため電極を−0.500ボルト(Ag/AgCl参照電極に対して)になるように分極した。この処理の酸化/還元作用は
【0026】
【化1】

電極はこの後蒸留水を用いて洗浄し、原子力間顕微鏡写真の撮影前に空気乾燥した。
【0027】
この操作が銀または銀メッキした銅電極のような、銀をメッキ処理する、別の電気伝導材から製作される電極を使用して実施できることは理解される。ここに説明した電極として使用するのに適する表面を持つ材料は市場取引で入手することができる。たとえばスターライテック(Sterlitech)(登録商標)社(ワシントン州、ケント)(e−メール・アドレス:www.sterlitech.com)から入手する、商品名“銀金属フィルタ膜”として販売される多孔性銀膜材を使用することができる。燃料電池へ適用する場合には、多孔性銀膜は反応ガスと濡れた状態のポリマー電解質膜(PEM)との間に必要な気液界面を与え、これと同時に、先に述べたような粗面処理と吸着材を用いたコート処理とを実施し、活性化した大きい面積を与えることができる。この多孔性銀膜はこれに加えて使用する光の波長よりも大きい直径を持つ光導体として働く、孔を経由してカソードまで光を届けるのを維持する有利な特性を提供する。このようなフィルタ材は材料が有する有利な特性を持たせるため金のような他の材料で電気メッキ、蒸着、アンダー・ポテンシャル・ディッピング、スパッタ・コーティングおよびそれに類似する方法のような加工方法を用いて被覆する。これ以外の他の材料を使用して燃料電池用途に適する多孔性膜として製作することも本発明の範囲内である。
【0028】
一般に、表面増強ラマン散乱(SERS)実験で使用するのに適する上記の電気化学粗面処理、ナノファブリケーション、化学蒸着、スパッタリングおよびプラズマ増速化学蒸着のような金属表面を生成または処理する方法は電極材として使用するのに適する特有の粗さを生じる。
【0029】
表面ラマン強度を高めるときの粗さの役割は研究者の間でも論争が続いている。表面ラマン強度の増強機構に不可欠な表面粗さに関わる傑出した理論は化学増強機構と呼ばれる。この機構は金属と、金属表面の原子スケール粗面(たとえば、吸着原子)に付く分子との間に起こる光子支援電子移動に基づく。入射光の波長と金属電子および吸着材電子間のエネルギ差との共振結合はラマン散乱光強度を増強する。光子駆動電荷移動では、結合する金属および吸着材の電子状態が伝導帯系中の隣接する金属原子の電子状態と混合して局在化せず、共振増強を僅かしか与えないことは理解される。これに対し、この吸着原子表面域のような原子スケール粗面機構においては、隣接する金属原子がないことで、電荷移動の局在化を促がし、共振ラマン散乱増強を促進することができる。
【0030】
このような領域での金属吸着原子表面域から吸着材への電子の光子駆動励起は金属層の伝導帯系によって崩壊機構を欠くので、この表面ラマン増強機構に類似して長期間持続する、ラジカル陰イオン吸着物を発生するように求められている。この吸着原子表面域に生じるラジカル陰イオン吸着物の寿命時間を延ばすことは、ここに説明されるように、これらの表面域での酸素還元用電子の有用性を保証する。これらの技術を用いて銀、カリウム、パラジウム、イリジウム、プラチナおよび金(またはこれらの金属の1種類ないしそれ以上を含む金属)のような材料を本発明に従って製作する電極として使用するのに適する上記材料の複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子を形成するために卑の伝導体に堆積する。
【0031】
ここに説明したような電極として使用するのに適する金とするため金を用いるSERSの観察に必要な微細粗面を生成し、たとえば上記の銀について議論した方法に類似した手順で塩化物媒体内で金を電気化学的に粗面化できることが実証されている。通常、塩化物内での金の酸化では、表面に凝結する不溶解の塩化銀(AgCl)を生成する銀と異なり、金が溶解性塩化金(AuCl4-)を生成する。酸化の進行する間、塩化金の溶解は表面の欠陥を満たす吸着原子が移動できる時間の制限のために散漫になることが避けられず、塩化金の還元および金の堆積中に獲得できる粗さを制限する。金材料の溶解を制限し、必要とされる微細表面を形成すためには高速の複合酸化−還元サイクルを実施する。この工程の詳細な説明はこの技術分野で知られており、たとえばGao Ping、Gosztola David, Leung Lam Wing H、Weaver Michael Jの共同執筆の論文“金電極における表面増強ラマン散乱”ならびに“銀の電気化学前処理条件の依存性およびその比較”(Journal of Electroanalytical Chemistry and Interfacial Electrochemistry (1987年)233(1−2)、211−22)に記載される。これは参照してここにその全体を取り入れる。
【0032】
さらに、本発明に従って、電極の表面に適用する吸着材が提供される。
【0033】
図示を目的とし、これに限定されないが、多様な材料を本発明に従って吸着材として使用することができる。一般に、吸着材は還元性で、その還元作用はラジカル陰イオン中間体を生成する、吸着材に運ばれる最初の原子に加えて1個よりも多数の電子を含む。
【0034】
典型的には2個の電子および2個の陽子の受容体を介してより高次数の炭素−炭素結合を還元する不飽和有機吸着材は酸素還元用光触媒のための吸着材として役立つ。J.J. MacMahon、T.J. Gergel、D.M. Otterson、C.A. McMahon、R.M.Kabbani、の論文[「Surface Sience」440(3),357−374(1999年)]に記載されるように、出願人は以前銀電極に吸着されるトランス-4-スチルバゾールの放射の最中に表面の原子酸素が酸素分子に光化学的に混合されることを発見した。
【0035】
【化2】

この原子酸素のソースは不溶解O2の還元であった。しかしながら、短期間の経過後、電極は電極表面に光化学作用で4´-水酸基-トランス-4-スチルバゾールを形成したため酸素を光触媒的に還元することを中止した。
【0036】
【化3】

したがって、この機構は酸素の還元により連続して電流を供給する能力がある装置にはならない。
【0037】
それにも拘らず照射した電極から酸素のような還元性材料に等価物(すなわち、電子)を還元作用のもとで連続して運ぶ吸着材が存在するか、否かを確かめるため調査が企画された。この結果は驚くべきものであった。ここに説明されるように、光照射した吸着材被覆電極から酸素または他の還元性材料に電子を連続して運ぶ吸着材が発見された。
【0038】
本発明の一実施例に従って、有機分子を吸着材のために使用することができる。酸素(または還元性材料)の光触媒還元作用を維持する有機吸着材の特性とはカソードを照射する工程の間、光化学的に変化することなく、分子毎に1個ないしそれ以上の電子を用いて還元するという、特性である。これに加えて、活性吸着材は物理的吸着あるいは化学的吸着のどちらかによって燃料電池の運転温度で電極の表面に付着したままになることを求められる。
【0039】
図示を目的とし、これに限定されないが、2-ピリジルアセチレン(BPA)を吸着材として使用することができる。
【0040】
【化4】

吸着材としてのBPAの使用は下記の実例Iに詳細に説明される。
【0041】
一般に、吸着材を含ませた溶液中に電極を浸漬して電極表面に吸着材を付着する。この後、電極表面に吸着材を用いて吸着原子またはクラスタ粗面機構を付与して表面活性域を形成するように電極表面に吸着材を吸着する。
【0042】
観察した光還元電流密度は使用される吸着材に応じて変化する。さらに、かなり大きい光電流密度の改善が活性有機吸着材の還元性特性を分担する無機吸着材と有機吸着材との交換により可能であることが発見された。適用可能な無機吸着材の範囲は、好ましくは標準還元電位が同一pH溶液、すなわちpH1.0でE°=1.23ボルト以下の場合に酸素の標準還元電位よりも小さい(より還元が困難である)材料を含む。図示を目的とし、これに限定されないが、幾つかの実例は臭素、(E°=1.087ボルト)、ヨウ素(E°=0.53ボルト)、カリウム(E°=0.30ボルト)である。ヨウ素は、たとえば有機BPAを吸着材として使用したとき、観察したものより大きい100倍の酸素光還元電流を示した。本発明の好ましい実施例に従って、下記に説明するように、実例IIではヨウ素を吸着材として使用する。
【0043】
実 例 I
2-ピリジルアセチレン(BPA)吸着材を有する銀電極
図3は吸着材としての2-ピリジルアセチレン(BPA)の作用を示す。明らかに、図3は印加電位の関数としての銀電極に吸着されるBPAの表面増強ラマン散乱を表わす。スペクトルを発生するため5145Åおよび50mWでアルゴン・イオン(Ar+)レーザを照射した。図3の電圧は0.1MNaCl溶液内のAg/AgCl参照電極に対する値を記録した。−0.10ボルトで記録したスペクトルはBPAの標準ラマン・スペクトルと比較し、一方、−0.50から−0.90ボルトの範囲で観察するスペクトルはBPAのラジカル陰イオン、すなわちBPA-に指定した。ラジカル陰イオンのためにBPAの電気還元生成物を指定するのは(1)サイクリック・ボランメトリー表示を観察した表面増強ラマン・スペクトルの電位の変化と比較すること、(2)そのスペクトル変化の周波数解析(3)−0.10ボルトで記録したスペクトルが−0.90ボルトまでの電圧変化をたどり元の電圧に還るまでの再現性を補償する確認を実施した後に行った。
【0044】
図3の差し込み図は0.1MNaCl溶液内のBPAの飽和窒素水溶液内に浸漬した銀に吸着させたBPAのサイクリック・ボランメトリー図を示す。図から理解できるように、印加電圧がより負側に変化すると、観察した表面増強ラマン・スペクトルと同時に変化するBPAの電気還元作用を観察することができる。電圧が負側に動いたとき、−0.5ボルト(Ag/AgCl参照電極に対して)で始まる、2230cm-1(3重結合のアセチレン橋かけの対称性の伸縮に合わせて指定)付近でのラマン強度の減少はBPAの電気還元の最中に生じる3重結合の喪失を現わしている。この還元作用はより陽電位(より負側)に戻るときに再び現われる、3重結合の2230cm-1線に関して可逆性である。実証された可逆性は指定のエチレンまたはエタン還元生成物を含み、その両者がこの電圧範囲では再度BPAには酸化しない。
【0045】
これらの効果によりラジカル陰イオンBPA(−)を指定の還元生成物に方向づけることができる。BPA還元での安定したラジカル陰イオン中間体は光子駆動金属−吸着材電子移動によって満たされる、中性BPAの空乏エネルギ・レベルの有用性を現わしている。
【0046】
さらに、本発明に従って、吸着表面処理した電極表面について光触媒作用で酸素を還元するため光を照射した。BPAで被覆した電極を不溶解酸素が存在する状態で照射したとき、酸素還元速度はBPAおよび酸素還元電位の双方の印加電圧を正に保持しても増加した。このカソードの照射で起こる酸素還元電流の増加はコンピュータ制御のシャッタを通過する光を入射しながら、時間の関数としての電池電流を測定して観察した。図4に示されるように、カソードの照射を可能にするシャッタを開放した時間だけ酸素還元電流が増加している。
【0047】
0.1MNaClの飽和酸素(上側曲線)および飽和窒素(下側曲線)溶液の場合、酸素還元域でのサイクリック・ボランメトリー図が図4Aおよび図4Cに示される。図4Aおよび図4Cの矢印で指示するような電位を保持した状態で光電流の測定をシャッタを開いた状態でレーザ光(5145Å、50mW)をBPAを被覆した表面に4秒から8秒間照射して行った。図4Bに示されるように、酸素還元が触媒のない状態で進行(基準電流の増加に注目)する−0.25ボルトでは、レーザ光により暖まる兆候を示すも、光が当たっている間、光電流は安定して増加した。図4Dに示されるように、光触媒のない状態で酸素還元が進まない−0.15ボルトでは、レーザ光で表面が暖まっているにも拘らず、光が当たっている間、光電流は安定しているか、減少したままである。光支援電子移動に対する低い(または存在しない)エネルギ障壁はこれらの結果によって示され、本発明方法の触媒による有利さを強調する。図4Aおよび図4Cの電圧は0.1MNaCl溶液中に置かれたAg/AgCl参照電極に対する値を記録した。
【0048】
図示を目的とし、これに限定されないが、本実施例のように、この電極を電気化学燃料電池のカソードとして使用するときには、電極に酸素に供給しながら、電極を通して電気を発生するため光を吸着材で被覆した電極に照射する。
【0049】
ここに報告するBPA表面増強ラマン散乱の成果、そして以前報告したスチルバゾールの観察結果から金属(たとえば、銀)基材から吸着材への金属−吸着材電子移動を起こすことで、光の吸収が始まると考えられる。この効果は燃料電池での酸素還元中の反応程度決定過程を考慮する、酸素と結び付く過剰電子を容易に提供するラジカル陰イオン(−)吸着材によるものである。この光触媒電子移動は酸素と結合する電子のソースとして働く負電荷を持つ表面の活性域を生成することで、通常、塩基性金属電極と関わりのある過電圧制限を打ち破る。
【0050】
粗面を照射する過程が電極表面を暖めることを見出した。これは触媒を使わない酸素還元(通常過電圧)から生じる電流が光の照射時間中増加しないことで観察された(図4参照)。よく理解できるように、活性化エネルギの障壁で妨げられる反応速度は反応温度が上昇したとき、増加する。これとは反対に、光触媒酸素還元と関わる電流は粗い表面で起こるため、長い照射時間の間、暖まるにも拘らず、安定したままである。これらの結果をもたらすのは活性化エネルギが殆どない、あるいは全くない状態で反応が進むという、特性のためである。明らかに、陰イオン吸着材からの光誘導電子の放出を経て酸素と結合する電子の移動は多少なりとも活性化エネルギの障壁もなく、すなわちほぼ完全な触媒の存在のもとで進む。
【0051】
光駆動電子移動が金属と吸着材とを電子状態で結び付けるので、上述したように、適切な光触媒励起波長の範囲は金属基材および使用される吸着材の双方に依存する。銀に吸着させるBPAの場合、図5に示されるような酸素還元の光触媒については、たとえば6000Åよりも短い励起波長が効果的であることが示された。
【0052】
空乏吸着材電子状態(吸着材電子の親和力;E.A.で規定される)と、充満金属電子状態(金属のイオン化エネルギ;I.E.で規定される)とを分離したとき、光触媒(ここで、hc/λthreshold =I.E−E.A.)の限界波長よりも小さい利得を生じる、スペクトルの赤色領域または赤外線領域までさらに発展させるようにした別の金属−吸着材システムも予定されている。一実施例に従って、可視光を銀BPA装置のために使用する。好ましくは、約6000Åよりも短い波長を有する光を電極に対して照射するために使用する。本発明の一実施例に従って、アルゴン・イオン・レーザを用いて5145Åの波長を有する光を照射する。太陽光線を含む、他の光源も使用することができる。
【0053】
溶解酸素の光触媒還元は、図6に示されるように、酸素供給が補給される限り、維持される。図示を目的とし、これに限定されないが、BPA被覆銀電極は最初の濃度分極後、酸素還元電流をある安定状態レベルに保ち、10分間燃料電池を通して連続して酸素を供給しながら、5145Åの光で照射した。この光電流は全時間を通じて泡立ち酸素が電極に到達する割合に釣り合う、ある安定した状態に到達した。
【0054】
光触媒は溶液中の他の還元性材料には影響しない範囲で酸素還元だけに限るべきでないことが発見された。図示を目的とし、これに限定されないが、図7では、酸素[O2,―)]、フェリシアン化カリウム[K3Fe(CN)6,(…)]、ヨウ素[I2,(―)]および2-1,2-(4-ピリジル)アセチレン[BPA,(---)]が比較される。Ag/AgCl参照電極が図7に示される比較結果を得ることに関連して使用された。
【0055】
BPA被覆銀電極での酸素、ヨウ素およびフェリシアン化カリウムの還元に関係して同時に起こる触媒作用が図8に示される。特に図8は酸素(0.1MNaCl溶液は泡立ち酸素で最初に飽和したが、その後測定中、泡立ち操作は停止した。)、ヨウ素(0.1MNaCl溶液中に5×10-4M)およびフェリシアン化カリウム(0.1MNaCl溶液中に5×10-3M)の還元と関係する光電流の測定値を示す。溶解酸素は測定する前に30分間電解液を窒素ガスで泡立ちし、ヨウ素およびフェリシアン化カリウム溶液から取り除き、その後泡立ち操作を停止した。この銀電極(面積0.15cm2)は+0.15ボルト(Ag/AgClに対して)で1cm2当たり50mCの割合で0.1MNaCl溶液内で隔離して電解し、その後粗面処理のため−0.15ボルトまで電位を戻した。この銀電極は次いでBPAを表面に吸着するため10分間だけ5×10-4MBPA溶液内に浸漬した。この後、余分な溶液と吸着ざれないBPAとを電気化学燃料電池に取り付ける前に蒸留水で洗浄して取り除いた。
【0056】
観察した光電流がそのとき使用した溶液の還元から直接生じた結果であることを濃度分極および拡散限界電流に対応する照射時間中の電流低下割合と、酸素、ヨウ素およびフェリシアン化カリウムの相対拡散率との相関関係によって確かめた。図8に示されるように、照射中、光電流の素早い減少と小さい拡散率との間には相互に関係がある。
【0057】
実 例 II
銀電極に適用されるヨウ素吸着材
図9に示されるように、ヨウ素吸着材被覆電極への照射は泡立ちした酸素を連続して実験用電池に供給したときに持続する還元電流を発生した。
【0058】
図9では、銀電極(面積0.15cm2)は+0.15ボルト(Ag/AgClに対して)で
1cm2当たり50mCの割合で0.1MNaCL溶液内で隔離して電解し、その後粗面処理のため−0.15ボルトまで電位を戻した。この銀電極は次いでヨウ素を銀表面に吸着するため10分間だけ5×10-4MI2溶液内に浸漬した。この後、余分な溶液と吸着されないI2とを電気化学燃料電池に取り付ける前に蒸留水で洗浄して取り除いた。(5145ÅAr+、100mW、酸素は0.1MNaCL電解液をO2ガスで泡立ちし、飽和状態を維持した。V=−0.075V)
図9の差し込み図は光を周期的にオフ/オン/オフを繰り返す間に得た光電流の測定値を示す。サイクリック・ボランメトリー(□;光オフ、●;光オン)は光オンの状態で少なくとも0.2ボルト以上正に保つ酸素の還元作用を示す。ヨウ素吸着材の光電流レベルは類似した表面粗面条件のもとでBPA被覆銀電極の場合に観察された電流レベルよりも約100倍高い。
【0059】
未開の電極での酸素還元と比べたとき、照射電極で0.2ボルト以上を超える高い電位で酸素を還元する場合、その触媒の働きは燃料電池のような技術に適用したとき、65%から81%を超える効率の上昇に等しくなる(図9)。再び光の吸収とは銀基材から吸着材への金属−吸着材電子移動を生じることで光触媒作用を始めると考える。この効果はヨウ素の場合、酸素と結び付く過剰電子を容易に提供し、酸素還元における速度過程を考慮して反応を促進するラジカル陰イオン(−)吸着材、I2-によるものである。
【0060】
この実例II、そして実例Iの結果は陽電位金属電極の過電圧制限を明らかに克服しながら、たとえば図9に示されるように、これらの実験で使用した大部分の銀電極表面の活性域の相当数を制限したため電気還元電流が比較的控えめに増加する。これらの結果はグラファイトに分散するプラチナが関わるときの制限と相違しない。光触媒の電気還元電流のレベルはさらに大きく相当数の表面活性域(たとえば、複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子)を維持する電極において増加すると期待される。スチルバゾールの報告で議論したように、これらの活性域はAg+表面域であると考える。本発明の目的はより大量の電流の発生を維持するため数量を増した表面域を提供することにある。上述したように、スターライテック(登録商標)社(米国ワシントン州、ケント)(e−メール・アドレス:www.sterlitech.com)から入手できる、“銀金属フィルタ膜”がそのような表面を提供する。厚さ0.508mm、直径47.0mmの銀膜は直径0.2μmの平均孔サイズを有し、17.3cm2の見かけ上の表面積[πr2=π×(4.70/2)2cm2]と比較すれば、有効表面積54,300cm2を維持する。この報告では、発明者は0.15cm2という、大部分の銀電極表面積で光電流値6uAmpあるいは光電流密度40uAmp/cm2が得られることを実証した。47mmの直径(0.2μm平均孔サイズ)を有する銀膜の有効表面積について寸法を大きくすると、有効表面積当たり2Ampという、一層大きい電流、すなわち見かけ上の表面積の1cm2当たり(2Amp/17.3cm2=)125mAmpの光電流密度を予測することができる。米国エネルギ省(DOE)は“水素経済のための燃料電池技術の研究および開発”と題する、最近の告示(告示DE−PS36−06GO96017.)で燃料電池電気触媒の特定活動に対する2010技術目標(DOE告示の表2)を制定した。この目標値は0.720mAmp/cm2である。当業者により理解されるように、上記の予測値(125mAmp/cm2)は吸着材の適切な利用方法と利用可能な表面積に当てる光とを頼りにする。
【0061】
燃料電池構造
銀のような材料から製作する吸着材被覆電極を用いる光触媒は期待にたがわず燃料電池のカソードで高価なプラチナ触媒の必要条件を満たす有効な代替手段を提供する。
【0062】
さらに、本発明に従って、ここに説明されるように、吸着材処理した電極は電力を発生する新規な燃料電池を構成するために使用することができる。
【0063】
図示を目的とし、これに限定されないが、燃料電池構造の実施例がここに説明される。燃料電池は、ここに説明されるように、この技術分野で知られたものと多くの類似点を有する。しかし、独自である、一定の相違点がある。
【0064】
現代の燃料電池はグラファイトのガス分配層の下に配置したカソードと、反応で生じた水の除去を制御し、同時にカソード端子として働く層とを隠して構成する。ここに説明される燃料電池は、運転するためには根本的にカソードの照射を必要とする。カソードは光で照射しなければならないので、この技術分野知られた燃料電池に共通のガス分配層は光学平面ガラスまたは他の透明材ないし導光材を通してカソードまでの光通路を備えるように設計変更し、あるいは除去する必要がある。
【0065】
さらに、現代の燃料電池は分散したプラチナ触媒を支持する、多孔性グラファイト紙(または布)を使用する。この多孔性グラファイトはプロトン交換膜(PEM)固体電解層のような電解質と酸素ガスとの間に気液境界を維持する、絞り効果のための必要物として役立つ。グラファイトの孔を経てPEM層へ、さらにカソードを横切る陽子の分散は回路を完成させる。ここに説明した燃料電池のカソードは上記のように適用される吸着材を含む、電気伝導材から製作するもので、既存のものと異なる。本発明の一実施例に従って、ガス分配層およびカソード端子と重ねて銀のような多孔性光触媒材料を使用する。
【0066】
従来のPEM(プロトン交換膜)燃料電池は反応動力学を加速するため80°C付近で運転するが、ここでの教示に従って製作した光触媒燃料電池は環境温度(たとえば、23.88°C(75°F))で最高の状態で運転することができる。
【0067】
銀は多孔性膜フィルタを形成するため、実際上共有結合的に合成して製作する。これらのフィルタは(照射したとき)触媒として、さらに酸素−PEM界面を持つ多孔性維持手段として役立つ。カソードを照射するために使用する光の波長よりも大きい直径を有する孔は多孔性銀膜まで光を届け、活性表面域を増加する導光体として役立つ。この多孔性銀層はカソード端子として容易に役立つ金属であるので、ガス分配層を必要としない。
【0068】
ここでの教示に従って、燃料電池は膜(たとえば、銀)と、吸着材被覆銀カソードの照射を維持するために必要な光源との間の空間に酸素ガスを導入して運転する。この多孔性膜はまた多数の表面活性域を維持するため例外的に大きい表面積を与える。
【0069】
ここでの教示に従って製作した燃料電池の代表的実施例は図10A−図10Cに示される。図示のように、燃料電池100はカソードおよび試験用レーザ光照射を容易にするためジョビン・イボンU100分光計の試料室に合うように適応され、構成される。図示のように、燃料電池100はアノード110と、多孔性銀カソード120と、プロトン交換膜130と、アノード110に近接しているグラファイト・ガス分配層140と、水素ガス口152および酸素ガス口162を有する第1および第2の金属エンド・プレート150、160とを備える。光触媒作用を開始させるためレーザ光で照射したときに光をカソード120の方向に向ける光学平面ガラス170が設けられる。密封のために複数のO−リング180が設けられる。燃料電池100が装着されるアルミニウム・マウント190が備えられる。加湿反応ガスは背圧調節器(図示せず)で調節する流量および圧力を保って燃料電池100に導入される。燃料電池100のアノード110およびカソード120に負荷(図示せず)と結び電気を導く電気リード(図示せず)が接続される。
【0070】
プロトン交換膜130は銀カソード120とプラチナ(Pt)/炭素アノード110との間に陽子輸送を可能にする、たとえばDuPont Fuel Cells社(米国ノースカロライナ州、ファイエッチヴァイル)から入手できる、デュポン・ナフィオン(Dupont Nafion)(登録商標)15PEMである。このPEMはカソード120とアノード110との間に介装され、反応を維持する電解質溶液の必要性を取り除く。
【0071】
表面の調製を行った後、ヨウ素のような先に示した光触媒挙動を有する多数の吸着材分子を含む溶液内に銀カソードを浸漬して処理する。
【0072】
アノード110の10%Pt/炭素触媒は燃料電池の水素酸化側に向くで伝統的な触媒として役立つ。一実施例に従って、10%Pt/炭素触媒をPEM130の片側に塗布し、炭素紙ガス(水素)分散層をPEM130塗布側の表面に配置する。この後、PEM130の反対側をデュポン・ナフィオン(Dupont Nafion)(登録商標)PFSA(ペルフルオロスルフォン酸)(デュポン・フューエル・セルズ社(米国ノースカロライナ州、ファイエッチヴァイル)から入手できる。)からなる薄膜を塗布する。ポリマー分散銀膜カソード120をプレスして分散層を形成する。図示のように、全体層構造を銀膜カソードのレーザ照射を可能にする燃料電池100として内部に取り付ける。
【0073】
たとえば、銀膜カソードの光触媒反応を試験するためスペクトラ・フィジックス・モデル2020−5アルゴン・イオン・レーザを波長選択可能な指光性光源として使用することができる。この改良された銀膜の触媒挙動はプリンストン・アプライド・リサーチ・モデル2634ポテンシオスタット/ガルバノスタットのポテンシオスタティック・モードで確認することができる。組み立てられた燃料電池100は、この後電流/電位挙動がレーザ波長、出力表面改質および反応ガス圧力の関数として記録されるガルバノスタット・モードで試験することができる。
【0074】
燃料電池の別の実施例がここでの教示に従って構成できることは理解される。図11に示される一実施例に従って、燃料電池装置400は水平方向に配置することが可能で、隣接している複数のサブ電池410が単一の光源420によって同時に照射される。各サブ電池410はアノードと、カソードと、電解質(たとえば、PEM)と、反応維持ガス分配装置とを備える。このような燃料電池の副産物は多分液状の水になる。したがって、加圧ドレン・タンク430を設けることができ、および/または副産物の水を蒸発させて蒸気を生成し、排気装置を通過するのを促進するためヒータ440を設けることができる。
【0075】
光源420は太陽光、アークおよび白熱光源を含む、多様な形態で得ることができ、必ずしもレーザ光である必要はない。一実施例に従って、光源420はカソードを照射するように構成され、適応される複数のファイバ光ケーブルを備えることができる。このファイバを通す光の適用は、先に議論したように、水平に向けるのではなく、サブ電池の積層した配置を保持するように使用される。また、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイも利用することができる。使用する吸着材に応じて別の種類の照射装置を使用できると理解される。たとえば、電極を構成する金属電子状態と吸着材の電子状態とのエネルギ差が明らかに小さい場合、赤外線領域で運転するように、小エネルギの光源を使用する。そのためには金属吸着材の組み合わせでは、適切に構成した発光加熱要素が光触媒を駆動するのに十分なエネルギを与える必要がある。
【0076】
さらに、別の実施例として、図12に示されるように、電池スタック500を形成する複数の燃料電池100が積層される。各燃料電池100はカソードと、アノードと、電解質とを備える。これに代えて、より高出力電圧を得るため複数の水平ユニット400をスタックとして配置することができる。
【0077】
光触媒的に活性化する、複数の表面活性域は銀吸着原子またはクラスタ吸着原子と呼ばれる、多くのAg+表面域を生じるように連続して出現する。これらの多くの活性域は表面の調製の仕方次第であり、おおよそ金属表面の5−10%付近に限定される。この制限については、グラファイト上にプラチナを分散する場合の制限と比べたとき、銀の使用によりカソード全体を(スターリテック社から入手可能な)多孔性銀膜とすることが可能になるため圧倒的な経済上の利益をもたらすので、取り組むべきである。銀膜は電気化学表面処理とその後の吸着材の付加とを経た後には、5−10%が光触媒になる例外的に大きい表面積を与える。銀膜カソードの有用性は経済的な利点を超えてそれ以上の勢力の伸びをもたらし、カソードに光を照射する必要があるにも拘らず、燃料電池を簡素化することができる。
【0078】
ここに説明される光触媒燃料電池には従来の燃料電池を上回って与えられる多くの利点がある。上述したように、プラチナ触媒水素燃料電池は熱力学的平衡電池の電圧が+1.23ボルトであるのに対して、+0・75ボルトに近い電池電圧で、適当な電流レベルで運転する。これは結局熱力学的電圧から−0.48ボルトだけ低い過電圧に陥り、60%に近い値まで効率を制限することになる。しかしながら、従来のカソードの場所にここに説明した電極を使用するとき、金属電位が事実上負側に偏るという、傾向はなく、カソードとして使用する金属の酸化電位のみの制限となり、燃料電池の電気化学効率を増加することができる。プラチナは(正常な水素参照電極:NHEに対して)+1.18ボルトで酸化する。仮に、金を電極材料として使用したならば、金がNHEに対して1.498ボルトで酸化するので、1.23ボルトという、十分な電圧で燃料電池を運転することが可能になる。銀は従来のPt触媒燃料電池の同じ運転電圧に近いNHEよりもほんの少し負側の+0.80ボルトで酸化するが、プラチナを上回る十分に大きい経済的利点を保持している。パラジウムはNHEに対して+0.951ボルトで酸化し、吸着分子から表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面を備えるように構成したときには、触媒として使用することができる。
【0079】
PEM燃料電池が先に説明したように図示されているが、本発明に従って製作した電極は、たとえばリン酸燃料電池、固体酸化物燃料電池、ダイレクト・メタノール燃料電池および同様な燃流電池を含む、別の種類の燃料電池ならびに水素燃料と共に利用することができる。しかしながら、より高温で運転する用途では、有機吸着材が分解する可能性がると考える。しかし、ヨウ素のような無機吸着材はその有用性が脱着の発生する温度で運転するのを制限されるとしても、一定の高温で運転するのにより適する。
【0080】
上述したように、そして図面に示されるように、本発明の方法、装置およびシステムは上記の優れた特性を有する電極および燃料電池を提供する。当業者は本発明の本質と範囲とから離れることなく、多様な変更および変形をなし得ることが明らかである。したがって、本発明においては添付の請求の範囲およびその均等物の範囲内である、変更および変形を含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本明細書の一部として取り入れる共に、その一部を構成する添付図面は本発明の方法および装置のさらなる理解をもたらすために図示する。この図面は詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図1】図1は本発明により提供される触媒を持たない場合の酸素の電気還元に関して測定した金、銀およびプラチナの相対作用を示す。
【図2A】図2Aは電気化学粗面処理前および粗面処理後の銀表面を示す。
【図2B】図2Bは電気化学粗面処理前および粗面処理後の銀表面を示す。
【図3】図3は光を照射したとき、本発明に従って製作した電極の代表的実施例で発生する表面増強ラマン散乱を示す。
【図4A】図4Aは本発明に従って製作した電極の光電流と印加電圧依存性と示す。
【図4B】図4Bは本発明に従って製作した電極の光電流と印加電圧依存性と示す。
【図4C】図4Cは本発明に従って製作した電極の光電流と印加電圧依存性と示す。
【図4D】図4Dは本発明に従って製作した電極の光電流と印加電圧依存性と示す。
【図5】図5は本発明に従って製作した電極の励起波長の関数としての作用を示す。
【図6】図6は本発明に従って発生する光電流の維持性を示す。
【図7】図7は本発明の教示に従って光触媒機能を付与した幾つかの材料の電気還元挙動を示す。
【図8】図8は図7に示される材料に関して、本発明に従って製作した電極の作用を示す。
【図9】図9は本発明に従って製作した電極の別の実施例の作用を示す。
【図10A】図10Aは本発明に従って製作した燃料電池の代表的実施例の平面図、上面図および分解側面図を示す。
【図10B】図10Bは本発明に従って製作した燃料電池の代表的実施例の平面図、上面図および分解側面図を示す。
【図10C】図10Cは本発明に従って製作した燃料電池の代表的実施例の平面図、上面図および分解側面図を示す。
【図11】図11は本発明に従って製作した燃料電池の別の実施例を示す。
【図12】図12は本発明に従って製作した燃料電池のさらに別の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極表面に吸着された吸着材からの入射光で表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面を有する電気伝導材を備え、前記吸着材が実質的に還元性で、実質的に酸化性ではない電極。
【請求項2】
前記表面が、金属材料からなる複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子を生成するように粗面処理される請求項1記載の電極。
【請求項3】
前記金属材料が、銀、カリウム、パラジウム、イリジウム、プラチナ、金およびそれらの金属の合金および混成材からなる群から選択される請求項2記載の電極。
【請求項4】
前記吸着材が、十分に還元するため1個よりも多数の電子を要求する還元性有機または無機分子である請求項1記載の電極。
【請求項5】
前記吸着材が、2-1,2-(4-ピリジル)アセチレン(BPA)である請求項4記載の電極。
【請求項6】
前記吸着材が、ハロゲンである請求項4記載の電極。
【請求項7】
前記吸着材が、ヨウ素である請求項4記載の電極。
【請求項8】
a)電気伝導材から製作した電極を準備し、ここで、前記電極は吸着材を前記電極に適用したとき、入射光で表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面を備えており、
b)前記電極の前記表面に対して実質的に還元性で、実質的に酸化性ではない、前記吸着材を適用する、
電極を製造する方法。
【請求項9】
さらに、金属材料からなる複数の吸着原子またはクラスタ吸着原子を生成するため前記電極の前記表面を粗面処理する請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記金属材料が、銀、カリウム、パラジウム、イリジウム、プラチナ、金およびそれらの金属の合金および混成材からなる群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記吸着材が、十分に還元するため1個よりも多数の電子を要求する還元性有機または無機分子である請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記吸着材が、2-1,2-(4-ピリジル)アセチレン(BPA)である請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記吸着材が、ハロゲンである請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記吸着材が、ヨウ素である請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記表面が、ハロゲン化合物溶液内に前記電極を浸漬することにより粗面処理される請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記ハロゲン溶液が、液状塩化物溶液である請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記粗面処理した表面が、ナノファブリケーション、化学蒸着、スパッタリングおよびプラズマ増速化学蒸着からなる群から選択される方法によって製造される請求項9記載の方法。
【請求項18】
a)電気伝導材から製作したカソードを準備し、ここで、前記カソードは前記カソード表面に適用する、実質的に還元性で、実質的に酸化性ではない、吸着材からの入射光で表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面を備えており、
b)電気化学燃料電池の電解質の第1の部分に前記カソードを動作可能に結合し、
c)前記電解質の第2の部分にアノードを動作可能に結合し、
d)前記カソードを酸素ソースにさらし、
e)前記アノードを燃料ソースにさらし、
f)運転の安定状態で電流が前記カソードを横断して流れるように前記カソードを照射する、
ことを含む電気を発生する方法。
【請求項19】
a)i)電解質と、
ii)前記電解質に動作可能に結合されたアノードと、
iii)前記電解質に動作可能に結合されたカソードと、ここで、前記カソードは電気伝導材から製作され、電極表面に適用する、実質的に還元性で、実質的に酸化性ではない、吸着材からの入射光で表面増強ラマン散乱を発生する能力がある表面を備えており、
を有する膜電極アセンブリと、
b)燃料と酸素とを前記膜電極アセンブリに供給したとき、前記カソードに電流の安定した流れを発生するため前記カソードを照射するように構成され、適応される光源と、
を備える燃料電池。

【図1】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2010−528403(P2010−528403A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503097(P2009−503097)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/012752
【国際公開番号】WO2007/145827
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(500176355)フォーダム ユニバーシティー (1)
【Fターム(参考)】