説明

光計測装置及び較正装置

【課題】複数の受光ユニットの感度較正が容易な光計測装置及び較正装置。
【解決手段】光計測装置では、複数の受光ユニット42が同一の円周上で、それぞれの光軸が軸心へ向けられて取り付けられている。この機枠の軸心部には、異方性散乱媒質により円柱状に形成された較正用基準部材82が配置され、また、較正用基準部材の基準面に対向されて基準光源ユニット84が配置される。基準光源ユニットは、受光ユニットが検出する蛍光に応じた波長の光を較正用基準部材へ照射する。較正用基準部材に照射された光は、等方散乱を繰り返しながら伝搬して、較正用基準部材の周面から放出される。これにより受光ユニットには、同等の光量の光が入射され、この光に応じて出力される計測値に基づいた較正が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トモグラフィー(Tomography)を適用して、生体を計測対象とした断層画像の再構成に用いられる光計測装置及び較正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織は、近赤外線などの所定波長の光に対して透過性を有する。ここから、生体内を伝搬して放出される光を、受光素子及び受光素子へ所定波長の光を導入する光学系などを備えた受光ユニットで受光することにより、光を用いた生体内の観察を行うことができる(光トモグラフィー)。例えば、特許文献1では、光の透過、散乱を用いて試料の濃度測定を行う光散乱計測装置が提案されている。この光散乱計測装置では、液体試料中の粒子に対してコヒーレント光を照射する。また、この光散乱計測装置では、液体試料を保持した試料セルを中心とした円周上に受光ユニットとする複数の光検出器を配置し、試料セルを透過したインコヒーレント光及び、液体試料中を散乱して試料セルの周囲に発せられるコヒーレント光を検出するようにしている。
【0003】
一方、光を用いた生体観察には、生体の体内の特定部位に特異的に付着する抗体に蛍光物質などを付与した蛍光標識剤を計測対象に投与し、蛍光標識剤から発せられて蛍光を計測することにより、生体内での蛍光標識剤(蛍光の濃度)の分布状態などを得る蛍光トモグラフィーが提案されている。
【0004】
蛍光トモグラフィーでは、生体の表面の一点へ向けて励起光を照射し、この励起光によって体内の蛍光標識剤から発せられて、体内を散乱しながら伝搬して体外に射出される蛍光を同一平面(計測面)上の複数箇所に設けた受光ユニットのそれぞれで計測する。これにより、計測面を切断面とした蛍光の濃度分布を示す断層画像の再構成を行うことができる。また、計測対象とする生体の周囲に多数の受光ユニットを配置することにより、生体から発せられる蛍光を計測するときの計測作業の短縮を図ることができる。
【0005】
ところで、複数の受光ユニットを用いて光の強度等を検出する場合、感度が同等と見なせるように受光ユニットが出力する計測データを較正することが必要となる。
【0006】
一般に、受光ユニットが適正な感度となるように感度の較正を行う場合、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に提案されるように、基準とする光源を用いるか、基準とする試料が用いられる。また、引用文献5等で提案されるように、励起光を照射することにより発せられる蛍光を検出するときに、予め定めた種類の溶液を用いて、該溶液から発せられる蛍光強度が指標として用いられる。
【0007】
一方、受光素子の間では、感度にばらつきが生じることがあり、それぞれに受光素子が設けられた複数の受光ユニットを用いる場合、受光ユニットの間で感度を揃える必要がある。ここで、特許文献6では、光吸収係数が均等な物質で構成し、表面の中央に送光スポットを設けると共に、同一面で送光スポットを軸心とする同一円周上に複数の受光スポットを設けたホルダを用いる提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−032548号公報
【特許文献2】特開昭60−154142号公報
【特許文献3】特開昭63−25533号公報
【特許文献4】特開平02−141646号公報
【特許文献5】特開2008−196890号公報
【特許文献6】特開2009−101051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、受光ユニットにより検出される光量は、計測対象との間の距離によっても変化する。このために、複数の受光ユニットのそれぞれを光計測装置から取り外して感度の較正を行なう場合、取り外した受光ユニットのそれぞれを高精度で取り付けなければならないという作業が生じる。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、複数の受光ユニットの感度の較正が容易な光計測装置及び、光計測装置に設けられる複数の受光ユニットの感度較正が容易な較正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の光計測装置は、それぞれが受光素子により所定波長の光を受光する複数の受光ユニットと、前記受光ユニットのそれぞれが所定位置を軸心とする同一円周上に、光軸が軸心へ向けられて取り付けられ、該円周に対する軸心部に計測対象が配置される機枠と、前記円周に対する軸心部に配置された前記計測対象から放出される光を前記複数の受光ユニットのそれぞれの前記受光素子で受光して、受光量に応じた計測値を出力する計測手段と、光学特性として光の等方散乱が生じる材質で所定の断面形状の柱状に形成され、前記複数の受光ユニットの感度の較正を行う場合に、前記計測対象に換えて前記円周の前記軸心部に、長手方向が前記円周の軸線に沿うように配置される基準試料と、前記円周に対する前記軸心部に配置された前記基準試料の前記長手方向の一方の面に対向されて前記円周に対する軸線上に配置されて、該基準試料へ向けて前記所定波長の光を照射する基準光源と、前記基準光源から前記基準試料に照射された光に応じて該基準試料の外周面から放出される光を前記受光ユニットのそれぞれで受光することにより前記計測手段が出力する較正用の計測値に基づいて、前記計測対象を計測するときの前記複数の受光ユニットの感度を較正する較正手段と、を含む。
【0012】
また、本発明の較正装置は、所定位置を軸心とする同一円周上に光軸が該円周に対する軸心へ向けられて機枠に取り付けられ、それぞれが受光素子により所定波長の光を受光して受光量に応じた計測値を出力する複数の受光ユニットを較正する較正装置であって、光学特性として光の等方散乱が生じる材質で所定の断面形状の柱状に形成され、前記円周の前記軸心部に、長手方向が前記円周の軸線に沿うように配置された基準試料と、前記基準試料の前記長手方向の一方の面に対向されて前記円周に対する軸線上に配置され、該基準試料へ向けて前記所定波長の光を照射する基準光源と、前記基準光源から前記基準試料に照射された光に応じて該基準試料の外周面から放出される光を前記受光ユニットのそれぞれで受光し、受光量に応じた較正用の計測値を出力する計測手段と、前記計測手段から出力される前記較正用の計測値に基づいて、前記複数の受光ユニットの感度を較正する較正手段と、を含む。
【0013】
この発明によれば、複数の受光ユニットが同一円周上となるように機枠に取り付けられ、この円周に対する軸心部に配置した計測対象などから放出される所定波長の光を、複数の受光ユニットにより並行して計測する。この受光ユニットの較正を行うときに、異方性散乱媒質により柱状に形成した基準試料を、軸心部に配置して、基準試料の一方の端面に対向して設けた基準光源の光を照射する。
【0014】
これにより、基準試料の外周面から受光ユニットのそれぞれへ向けて放出される光の光量が等しくなるので、このときの計測値を較正用の計測値として用いることにより、複数の受光ユニットの感度較正を行うことができる。
【0015】
このときに、本発明では、受光ユニットのそれぞれを機枠から取り外す必要がないので、感度較正のための作業が極めて容易となる。
【0016】
本発明の光計測装置は、前記計測対象と前記受光ユニットが設けられた前記機枠とを前記軸線に沿って相対移動する移動手段を含み、前記計測手段が、前記移動手段により前記基準試料と前記受光ユニットとを前記軸線方向に沿って相対移動し、複数の移動位置で前記較正用の計測値を出力する。
【0017】
また、本発明の較正装置は、前記基準試料と前記受光ユニットが設けられた前記機枠とを前記円周の軸線に沿って相対移動する移動手段を含み、前記計測手段が、前記移動手段により前記基準試料と前記受光ユニットとを前記軸線に沿って相対移動し、複数の移動位置で前記較正用の計測値を出力する。
【0018】
この発明によれば、基準試料と受光ユニットとを相対移動する。これにより、受光ユニットで受光される光が基準試料内で伝搬する距離を変えることができるので、光源の光量を変えることなく、受光ユニットで受光される光量を変えることができるので、較正されるダイナミックレンジを広くできる。
【0019】
さらに、本発明の光計測装置は、前記計測対象に対して前記受光ユニットが設けられた前記機枠を前記円周方向に相対回転する回転手段を含み、前記計測手段が、前記回転手段により前記基準試料に対して前記受光ユニットを周方向に相対回転し、複数の回転位置で前記較正用の計測値を出力する。
【0020】
また、本発明の較正装置は、前記受光ユニットが設けられた前記機枠に対して前記計測対象を前記円周の周方向に相対回転する回転手段を含み、前記計測手段が、前記回転手段により前記基準試料に対して前記受光ユニットを相対回転し、複数の回転位置で前記較正用の計測値を出力する。
【0021】
この発明によれば、受光ユニットと基準試料とを相対回転して、基準試料から放出される光をそれぞれの受光ユニットで計測し、この計測により得られる計測値を用いて較正を行う。これにより、基準試料の外形形状に起因する誤差が生じるのを抑えることができる。
【0022】
本発明の光計測装置は、前記較正手段が、前記計測手段が出力した前記較正用の計測値から、前記受光ユニットごとの前記較正用の計測値が一致するように前記受光ユニットのそれぞれに対する較正係数を設定する較正設定手段を含む。
【0023】
また、本発明の較正装置は、前記較正手段が、前記計測手段が出力した前記較正用の計測値から、前記受光ユニットごとの前記較正用の計測値が一致するように前記受光ユニットのそれぞれに対する較正係数を設定する較正設定手段を含む。
【0024】
この発明によれば、基準光源及び基準試料を用いて得られる計測値に基づいて、受光ユニットのそれぞれの計測値を較正するための較正係数が設定される。これにより、計測対象に対する計測を行ったときに、高精度の計測値が得られる。
【0025】
このような本発明が適用される光計測装置は、前記較正設定手段により設定された前記較正係数に基づいて、前記計測手段から出力される前記受光ユニットごとの前記計測値の較正を行う較正処理手段を含むことができる。
【0026】
また、光計測装置は、前記機枠に設けられて、前記軸心部へ向けて前記計測対象に含まれる蛍光標識剤に対する励起光を照射する光源を含み、前記計測手段が、前記光源から照射される前記励起光に応じて前記計測対象の前記蛍光標識剤から発せられる蛍光を前記複数の受光ユニットのそれぞれで計測する構成に適用することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、複数の受光ユニットを機枠から取り外すことなく、感度較正を行うことができるので、感度較正作業が容易となると共に、受光ユニットの再取り付けが不要であるので、較正した感度に狂いが生じることがないという効果を有する。
【0028】
また、本発明では、基準光源の光量を変えることなく、受光ユニットで受光される光量を変えることができるので、較正されるダイナミックレンジを広くできるという効果を有する。
【0029】
さらに、本発明では、基準試料の外形形状に起因する誤差が生じてしまうのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る較正用基準部材、基準光源ユニット及び複数の受光ユニットの相対位置を示す概略斜視図である。
【図2】光計測装置に較正用基準部材を装填した状態を示す要部の概略構成図である。
【図3】本実施の形態に係る光断層計測システムの要部の概略構成図である。
【図4】光計測装置の要部の概略構成を示す斜視図である。
【図5】光計測装置の要部を機枠の軸方向と交差する一方から見た概略構成図である。
【図6】計測対象とするマウス及び検体ホルダの一例を示す概略斜視図である。
【図7】光計測装置にマウスを収容した検体ホルダを装填した状態を示す要部の概略構成図である。
【図8】光断層計測システムの制御部を示すブロック図である。
【図9】データ処理装置の要部の機能ブロック図である。
【図10】計測面の移動位置に対する規格化した計測データの一例を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図3及び図8には、本実施の形態に係る光断層計測システム10の概略構成が示されている。光断層計測システム10は、本発明に係る光計測装置14及び、光計測装置14で得られる計測データに対して所定のデータ処理を行うデータ処理装置16を備えている。なお、光断層計測システム10は、光計測装置14の機能とデータ処理装置16の機能を一体化した構成であっても良い。
【0032】
この光断層計測システム10では、例えば、ヌードマウスなどの小動物等の生体を計測対象として、この計測対象に蛍光標識剤を投与し、投与した蛍光標識剤(蛍光物質)の体内における濃度分布を示す断層画像を生成する(光断層画像の再構成)。再構成された光断層画像は、例えば、モニタ18等に表示される。なお、以下では、計測対象をマウス12(図6、図7参照)として説明するが、光計測装置14は、これに限らず、任意の生体を計測対象とすることができる。
【0033】
計測対象とされるマウス12には、予め腫瘍細胞などの病変細胞などを注入するなどして、腫瘍などの病変部位を生じさせる(発現させる)。マウス12に投与する蛍光標識剤は、例えば、病変部位などの特定部位に特異的に付着する抗体に蛍光物質を含ませたものが適用され、発現させたマウス12に蛍光標識剤を投与すると、この蛍光標識剤が血液循環によりマウス12の体内に分散された後、蛍光標識剤が抗原抗体反応によって病変部位に付着する。
【0034】
光断層計測システム10では、例えば、マウス12に投与した蛍光標識剤がマウス12の病変部位に付着するタイミングで、該マウス12を光計測装置14へ装填する。光計測装置14は、蛍光標識剤に対する励起光をマウス12へ照射し、マウス12の体内の蛍光標識剤から発せられる蛍光強度を計測する。データ処理装置16では、光計測装置14から出力される蛍光強度に応じた計測データに基づいてマウス12内の蛍光(蛍光標識剤)の濃度分布を演算する。
【0035】
図6及び図7に示されように、本実施の形態に適用した光計測装置14では、マウス12が検体ホルダ30に収容されて装填される。図6に示されるように、検体ホルダ30は、上型ブロック32と下型ブロック34とによって構成されている。検体ホルダ30は、この上型ブロック32と下型ブロック34とが重ね合わせられることにより、所定の外径の略円柱形状となる。
【0036】
上型ブロック32には、マウス12の背側の体型(外形形状や大きさ)に合わせた凹部32Aが形成され、下型ブロック34には、マウス12の腹側の体型に合わせた凹部34Aが形成されている。マウス12は、腹部側が下型ブロック34の凹部34A内に収容された状態で上型ブロック32が被せされることにより、体長方向が検体ホルダ30の軸方向に沿うように配置され、表皮が内面に密接されて検体ブロック30内に収容される。なお、検体ホルダ30では、例えば、下型ブロック34に一対の係合突部36Aが、上型ブロック32の係合凹部36Bに嵌め込まれることにより、上型ブロック32と下型ブロック34との間の位置決めがなされる。
【0037】
ここで、本実施の形態では、主としてマウス12の胴部(胸部から腰部)を計測部位としており、検体ホルダ30は、内面に少なくともマウス12の胴部の表皮が緊密に接した状態で保定する。また、検体ホルダ30では、例えば、マウス12の頭部側の端面が基準面38とされており、マウス12は、検体ホルダ30に収容されたときに、体型(大きさ)に応じて各臓器の基準面38に対する位置が定まるようにされている。
【0038】
図4及び図5に示されるように、光計測装置14には、図示しないケーシングにより遮光された内部に基台20が配置され、この基台20にベース板24が立設されている。ベース板24には、一方の面に計測ヘッド部22が設けられている。図3から図5に示されるように、計測ヘッド部22は、リング状に形成された機枠26を備え、この機枠26がベース板24に形成されている図示しない円孔と同軸となるように配置されている。
【0039】
図5に示されるように、ベース板24には、一方の面にロータリーアクチュエータ28が取り付けられ、このロータリーアクチュエータ28に機枠26が取り付けられている。ロータリーアクチュエータ28には、ベース板24の円孔に対応した図示しない空洞部が形成され、この空洞部が円孔に同軸となるようにベース板24に取り付けられ、機枠26は、この空洞部と同軸となるようにロータリーアクチュエータ28に取り付けられている。
【0040】
ロータリーアクチュエータ28は、例えば、ステッピングモータ、パルスモータなどの図示しないモータの駆動力によって回転駆動される。これにより、光計測装置14では、機枠26がその軸心を軸に回動される。なお、ロータリーアクチュエータ28は、モータに限らずエアにより駆動されるなど任意の構成の駆動源を適用することができる。
【0041】
図4及び図5に示されるように、光計測装置14には、ベース板24を挟んでアーム44、46が対で設けられている。アーム46は、支柱48の先端部にブラケット50が取り付けられ、このブラケット50の先端が機枠26の開口を通してアーム46側へ向けられている。また、アーム46は、支柱52の先端部にブラケット54が取り付けられ、このブラケット54の先端が機枠26の開口を通してアーム44側へ向けられている。
【0042】
基台20上には、長尺のスライダ56及びスライドベース58が配置されている。スライダ56は、長手方向が機枠26の軸線方向(図4及び図5の紙面左右方向)に沿って配置され、ベース板24の下端部に形成された開口部24A(図4参照)に挿通されて基台20上に取り付けられている。スライドベース58は、長手方向がスライダ56の長手方向に沿うように配置され、スライダ56のブロック56Aに取り付けられている。また、スライドベース58には、長手方向の一端側にアーム44の支柱48が立設され、他端側にアーム46の支柱52が立設されている。
【0043】
スライダ56は、その内部に、ステッピングモータなどを駆動源とする送りねじ機構(図示省略)が設けられ、ステッピングモータが駆動されることによりブロック56Aが長手方向(図5の紙面左右方向)に沿って移動する。これにより、光計測装置14では、一対のアーム44、46が一体で、機枠26の軸線方向に移動される。なお、ここでは、アーム44、46を移動するが、これに限らず、機枠26(計測ヘッド部22)が移動する構成であっても良い。
【0044】
光計測装置14では、アーム44のブラケット50とアーム46のブラケット54との間に、検体ホルダ30が掛け渡されて装着される。このとき、検体ホルダ30は、軸線が機枠26の軸心に沿いかつ軸心と重なるように配置される。また、検体ホルダ30は、基準面38が、ブラケット50に設定している基準面50Aに突き当てられることにより位置決めされる。
【0045】
光計測装置14では、一対のアーム44のブラケット50が、ベース板24を挟んで機枠26と反対側となる位置へ移動した状態で、ブラケット44、46の間に検体ホルダ30が装着される。光計測装置14では、スライダ56の駆動により、検体ホルダ30が機枠26の軸心部を通過するように矢印A方向へ移動する。また、光計測装置14では、検体ホルダ30が矢印A方向と反対方向へ移動されて、装着された位置にもどされることにより、アーム44、46からの検体ホルダ30の取り出しが行われる。
【0046】
一方、図3及び図4に示されるように、計測ヘッド部22には、発光素子としてLEDや半導体レーザなどが設けられ、励起光とする所定波長の光を発する発光素子を備えた光源ユニット40及び、それぞれがマウス12から発せられる蛍光を受光する受光素子を備えた複数の受光ユニット42が設けられている。
【0047】
図3に示されるように、光源ユニット40及び受光ユニット42は、それぞれの光軸が機枠26の軸心へ向けられ、機枠26の軸線方向と交差する平面(図7参照。以下、計測面22Aとする)上となるように配置されている。また、光源ユニット40及び受光ユニット42は、互いの光軸の間の角度が所定の角度θとなるように機枠26の軸心から放射状となるように配置されている。
【0048】
光計測装置14では、光源ユニット40及び複数の受光ユニット42が、所定位置を軸心とする同一円周上となるように機枠26に取り付けられている。このような機枠26としては、リング状に限らず、少なくとも複数の受光ユニット42が、同一円周上となり、かつ、それぞれの受光ユニット42の光軸が該円周の軸心へ向けられて取り付けられるものであれば、任意の形状とすることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、一例として1基の光源ユニット40と、11基の受光ユニット42A、42B、42C、42D、42E、42F、42G、42H、42I、42J、42Kとを設け、角度θが30°となるように1基の光源ユニット40及び11基の受光ユニット42A〜42Kを機枠26に取り付けているが、受光ユニット42の数及び配置間隔(取り付け角度)は、これに限るものではない。
【0050】
光計測装置14は、アーム44、46に装着された検体ホルダ30を、機枠26の軸心部に配置した状態で、光源ユニット40から発する励起光を検体ホルダ30の周面に照射する。また、光計測装置14では、励起光が照射されることによりマウス12の体内の蛍光標識剤から発せられて検体ホルダ30の外周面から放出される光(蛍光)を、受光ユニット42のそれぞれで検出する。
【0051】
このとき、光計測装置14では、ロータリーアクチュエータ28の駆動により計測ヘッド部22(光源ユニット40及び受光ユニット42)を、検体ホルダ30の周方向に回転し、励起光の照射位置及び蛍光の受光位置を変え、それぞれの位置で蛍光の計測を行う。また、光計測装置14では、スライダ56によって検体ホルダ30を機枠26の軸線方向に沿って移動し、検体ホルダ30の軸線方向に沿った所定の位置または所定の間隔で蛍光の計測を行う。
【0052】
これにより、光計測装置14では、マウス12の体長方向に沿った任意の位置で、マウス12の体内の蛍光標識剤から発せられる蛍光を計測し、計測された蛍光の強度に応じた計測データが得られる。
【0053】
一方、図8に示されるように、光計測装置14には、制御部60が設けられている。制御部60には、図示しないマイクロコンピュータを備えたコントローラ62が設けられている。
【0054】
制御部60には、ロータリーアクチュエータ28の図示しないモータを駆動する駆動回路64及び、スライダ56の図示しないモータを駆動する駆動回路66が設けられ、これらがコントローラ62に接続されている。これにより、光計測装置14では、検体ホルダ30の移動及び、計測ヘッド部22の回動が制御される。
【0055】
また、光源ユニット40は発光素子68を備え、受光ユニット42は受光素子72及び図示しない光学フィルタを備えている。受光ユニット42では、光学フィルタにより蛍光の波長の光が受光素子72に案内される。制御部60には、発光素子68を駆動する発光駆動回路70、受光素子72から出力される電気信号を増幅する増幅器(amp)74、増幅器74から出力される電気信号(アナログ信号)に対してA/D変換を行うA/D変換器76を備えている。
【0056】
制御部60は、光源ユニット40の発光素子68の発光を制御しながら、各受光ユニット42の受光素子72によって検出された計測データをデジタル信号として出力する。なお、光計測装置14は、コントローラ62によって装置の作動状態等が表示される表示パネルを備えても良い。
【0057】
データ処理装置16は、CPU78A、ROM78B、RAM78C、記憶手段とされるHDD78D、キーボード78E(図3参照)やマウスなどの入力デバイス78G、モニタ18等がバス78Fに接続された一般的構成のコンピュータが形成されている。
【0058】
また、データ処理装置16には、入出力インターフェイス(I/O IF)80Aが設けられており、この入出力インターフェイス80Aが、光計測装置14の制御部60に設けている入出力インターフェイス80Bに接続されている。これにより、データ処理装置16には、光計測装置14で計測された計測データが入力される。なお、光計測装置14とデータ処理装置16との接続は、USBインターフェイスなどの公知の任意の規格を適用することができる。
【0059】
データ処理装置16は、CPU78Aが、RAM78Cをワークメモリとして用い、ROM78B又はHDD78Dに記憶されたプログラムを実行することにより、光計測装置14の作動を制御し、マウス12から発せられる蛍光の強度を計測する。また、データ処理装置16では、光計測装置14において計測により得られた計測データを読み込み、この計測データに基づいて蛍光の強度分布を示す断層画像の再構築が行われる。なお、光断層計測システム10では、データ処理装置16が、光計測装置14の作動を制御する構成に限らず、光計測装置14が単独で動作して、計測データを出力する構成であっても良い。
【0060】
マウス12等の生体では、光に対して異方性散乱媒質となっている。異方性散乱媒質は、入射された光が光浸達長(等価散乱長)に達するまでは、前方散乱が支配的な領域となっているが、光浸達長を超えた領域では、光の偏向がランダムな多重散乱(等方散乱)が生じ、光の散乱が等方的となる(等方散乱領域)。この前方散乱が支配的な領域は数mm程度と狭いため、異方性散乱媒質同士が接している場合、一方の異方性散乱媒質と他方の異方性散乱媒質とを一体の異方性散乱媒質と見なすことができる。
【0061】
本実施の形態では、マウス12を収容した検体ホルダ30(上型ブロック32と下型ブロック34)内が実質的に等方散乱領域と見なされるように、検体ホルダ30を異方性散乱媒質となる材質を用いて形成している。このような検体ホルダ30の材質としては、ポリエチレン(PE)や、光の等価散乱係数μs’が1.05mm−1のポリアセタール樹脂(POM)などを用いることができる。なお、検体ホルダ30を形成する材質は、これに限らず、異方性散乱媒質であれば任意の材質を適用することができる。
【0062】
マウス12が収容された検体ホルダ30内を実質的に等方散乱領域とみなすことができれば、マウス12の体内での光の散乱を等方散乱に近似することができる。
【0063】
高密度媒質内で光が散乱を受けながら伝播するときに、光強度の分布は、光子のエネルギーの流れを記述する基本的な方程式である光(光子)の輸送方程式で表されるが、光の散乱が等方散乱に近似されることにより、拡散方程式を用いて光強度の分布を表すことができる。データ処理装置16では、光計測装置14の計測結果(計測データ)を用いて拡散方程式の解を演算することにより光(蛍光)の濃度分布を取得する。また、データ処理装置16は、演算された濃度分布に基づいたマウス12の光断層画像(再構成された光断層画像)をモニタ18等に表示する。
【0064】
一方、図3及び図7に示されるように、光計測装置14では、検体ホルダ30の基準面38が、アーム44のブラケット50に設定されている基準面50Aに当接されることにより、検体ホルダ30内に収容されているマウス12の位置決めがなされる。これにより、例えば、図7に示されるように、光計測装置14では、この基準面50Aに基づいて設定している原点xsからマウス12の体長方向(検体ホルダ30の軸方向)に沿って検体ホルダ30を移動する。このとき、光計測装置14では、原点xsに対して予め設定されている位置(マウス12の予め設定されている部位に対応する計測位置x)へ検体ホルダ30を相対移動し、この位置から所定間隔Δx(例えば、Δx=3mm)毎に蛍光の計測を行なう。
【0065】
また、光計測装置14では、光源ユニット40を予め設定された原位置から所定の角度θずつ回転し(例えば、原位置θから回転位置θ、θ、・・・、θ12)、それぞれの回転位置θで、受光ユニット42A〜42Kの出力信号である計測データD(m)を読み込む。なお、mは、m=1〜11として、受光ユニット42A〜42Kを特定する変数としている。
【0066】
これにより、光計測装置14では、計測データD(x、θ、m)が得られる。このときに、計測位置xが同じであれば、その計測データD(x、θ、m)は、検体ホルダ30の移動方向に対して交差する同一平面(計測面22A)上のデータとなる。なお、計測位置xは、計測面22Aの移動位置でもあることから、移動位置xとも表記する。
【0067】
ところで、複数の受光ユニット42(42A〜42K)を用い、検体ホルダ30内のマウス12から発せられる蛍光を並行して計測する場合、各受光ユニット42の感度を揃える必要がある。すなわち、同じ強度の蛍光を計測した場合、受光ユニット42A〜42Kが出力する計測データが揃うように感度較正が行われている必要がある。
【0068】
光計測装置14では、受光ユニット42A〜42Kの感度較正を行うときに、検体ホルダ30に換えて、基準試料とする較正用基準部材82が用いられる。図1及び図2に示されるように、この較正用基準部材82は、所定径の円柱状とされている。この較正用基準部材82の径(半径)は、検体ホルダ30と同じでも良いが、検体ホルダ30より小さくとも良く、また、機枠26の軸心部に配置したときに、光源ユニット40及び受光ユニット42に接触しない範囲であれば、検体ホルダ30より大きくとも良い。
【0069】
この較正用基準部材82は、POMやPE(ポリエチレン)などの異方性散乱媒質が用いられ、この異方性散乱媒質により中実となるように形成されている。光計測装置14では、較正用基準部材82が、ブラケット50、54の間に掛け渡されて装着される。このときに、較正用基準部材82は、一方の端面が基準面82Aとされ、この基準面82Aがブラケット50の基準面50Aに当接されて位置決めされる。
【0070】
図2及び図4に示されるように、光計測装置14には、アーム44のブラケット50に基準光源ユニット84が設けられている。この基準光源ユニット84は、ブラケット50、54に較正用基準部材82が装着されたときに、較正用基準部材82の基準面82Aの軸心部に対向されるように取り付けられている。
【0071】
図8に示されるように、基準光源ユニット84は、所定波長の光を発する発光素子86を備えている。制御部60には、発光駆動回路88が設けられている。コントローラ62は、発光駆動回路88の動作を制御することにより、基準光源ユニット84の発光を制御する。
【0072】
ここで、光計測装置14では、発光素子86が発する光の波長を、マウス12に投与される蛍光標識剤の発する蛍光の波長に合わせている。例えば、マウス12に投与する蛍光標識剤が、約730nmの波長の励起光が照射されることにより約770nmの蛍光を発するものであるとき、光計測装置14では、この波長(約770nm)の光が受光されるように受光ユニット42の光学特性(例えば、光学フィルタの帯域)が設定されている。ここから、光計測装置14に設ける基準光源ユニット84には、受光ユニット42の光学特性に合わせた約770nmの波長の光を発する発光素子86が用いられている。
【0073】
図2に示されるように、較正用基準部材82は、基準光源ユニット84から光が照射されることにより、照射された光が内部を伝搬し、伝搬した光が周面及び他方の端面から放出される。光計測装置14では、較正用基準部材82の周面から放出される光を、受光ユニット42A〜42Kのそれぞれで受光し、受光した光の強度(光量)に応じたデータを較正用の計測データとして出力する。
【0074】
このときに、較正用基準部材82が異方性散乱媒質で形成されていることにより、較正用基準部材82に入射された光は、等方散乱を繰り返しながら伝搬する。これにより、基準面82Aからの距離が同じ位置(計測面22A上)では、周面から放出される光の強度が同じとなる。ここから、光断層計測システム10では、光計測装置14の受光ユニット42A〜42Kのそれぞれから得られる計測データが同等の値となるように、受光ユニット42A〜42Kのそれぞれに対して較正係数K(m)を設定する。
【0075】
データ処理装置16では、較正係数K(m)を用いることにより、受光ユニット42A〜42Kの感度を同等とする計測データD(x、θ、m)が得られる。なお、較正係数K(m)は、11基の受光ユニット42のそれぞれに対応するようにm=1〜11について設定される。
【0076】
光計測装置14では、ロータリーアクチュエータ28を作動することにより、較正用基準部材82の周方向に沿った受光ユニット42の回転位置θを変えることができる。これにより、光計測装置14では、基準光源ユニット84から照射された光を受光ユニット42で検出するときに、同一の計測面22Aに対して、機枠26を所定の角度(例えば、30°)ずつ回転させて、それぞれの回転位置θで検出を行うことができる。
【0077】
光計測装置14では、スライダ56を作動させることにより、較正用基準部材82に対する計測ヘッド部22の計測面22Aを、較正用基準部材82の軸方向に相対移動して、複数の移動位置xでの計測を行うことができる。
【0078】
これにより、光計測装置14では、例えば、ブラケット50の基準面50A(または較正用基準部材82の基準面82A)に設定されている原点xsからの距離(移動位置x)、回転位置θのそれぞれで、受光ユニット42ごとの較正用の計測データDs(x、θ、m)が得られる。光断層計測システム10では、光計測装置14で得られた計測データDs(x、θ、m)がデータ処理装置16へ出力される。
【0079】
図9に示されるように、データ処理装置16には、読込部100及び計測データ格納部102が形成されている。データ処理装置16では、光計測装置14から出力される計測データ(計測データD(x、θ、m)及び較正用の計測データDs(x、θ、m))を読込部100で読み込むと、計測データ格納部102で例えば、HDD78D等に格納する。
【0080】
また、データ処理装置16には、評価部104、更新処理部106、演算処理部108、断層情報生成部110及び断層画像再構成部124が形成されている。演算処理部108では、マウス12の体内に投与した蛍光識別剤の光に対する吸収係数を含む予め設定されている光学的特性値に基づいて光拡散方程式を用いた順問題計算によって蛍光の強度を演算する。
【0081】
評価部104では、演算された蛍光の強度と計測データD(x、θ、m)から得られる蛍光の強度の差分を評価する。なお、光断層画像の再構成は、一つの計測面22A又は任意に選択された計測面22Aに対して行う(例えば、複数の移動位置xから得られる計測データD(x、θ、m)、または、何れかの移動位置xに対する計測データD(θ、m)を用いて行う)。
【0082】
更新処理部106では、光拡散方程式の逆問題計算を行うことにより、評価部104の評価結果から得られる差分を減少させるように蛍光の強度から蛍光体の濃度分布に基づく吸収係数を設定する。さらに、演算処理部108では、更新処理部106で蛍光標識剤の濃度分布に基づく吸収係数の更新が行われると、更新された蛍光標識剤の濃度分布に基づく吸収係数を用いて蛍光の強度の演算が行われる。
【0083】
このようにして蛍光の強度の更新と評価が繰り返され、例えば、演算された蛍光の強度と計測データとが一致したと評価されると、断層情報生成部110では、そのときの蛍光標識剤の濃度分布に基づく吸収係数から光断層情報である蛍光の濃度分布(強度分布)を生成し、断層画像再構成部112では、この光断層情報に基づいて光断層画像の再構成を行う。なお、光断層画像の再構成は、蛍光標識剤の蛍光強度を計測し、これにより得られる計測データD(x、θ、m)又は計測データD(θ、m)に基づいて光輸送方程式ないし光拡散方程式に基づいた演算結果を用いる構成であれば任意の構成を適用することができ、ここでは詳細な説明を省略する。
【0084】
一方、データ処理装置16には、較正係数設定部114及び較正処理部116が形成されている。較正係数設定部114では、較正用基準部材82を用いて得られた較正用の計測データDs(x、θ、m)が計測データ格納部102に格納されると、この計測データDs(x、θ、m)を用いて、各受光ユニット42が同等の感度とみなせるようにする較正係数K(m)を設定する。
【0085】
ここで、較正係数設定部114での較正係数K(m)の設定は、例えば、計測データDs(x、θ、m)から受光ユニット42ごとに、位置xに対応するθ〜θ12を平均化して、受光ユニット42ごとに設定しても良く、また、較正用基準部材82を軸方向に移動して複数の移動位置xで得られる計測データDs(x、θ、m)に基づき、統計的手法を用いて設定しても良い。
【0086】
較正処理部116では、計測データD(x、θ、m)を用いた断層画像の再構成に先立って、較正係数K(m)を用いて計測データD(x、θ、m)の較正を行う。例えば、受光ユニット42を特定する変数mをパラメータとした較正係数K(m)から、較正計測データDc(x、θ、m)を、
Dc(x、θ、m)=D(x、θ、m)・K(m)
として取得する。この較正計測データDc(x、θ、m)を計測データ(較正された計測データ)D(x、θ、m)として出力する。データ処理装置16では、この較正された計測データD(x、θ、m)(=Dc(x、θ、m))に基づいて断層画像の再構成を行う。
【0087】
以下に、本実施の形態の作用として、光断層計測システム10における光計測装置14の受光ユニット42の較正を説明する。
【0088】
光計測装置14では、受光ユニット42の較正を行うときに、マウス12を収容した検体ホルダ30に換えて、較正用基準部材82が装填される。光計測装置14では、この較正用基準部材82の所定の位置が計測ヘッド部22の計測面22Aとなるように移動し、基準光源ユニット84から較正用基準部材82へ照射することにより、較正用基準部材82の周面から放出される光を、受光ユニット42A〜42Kのそれぞれで計測する。
【0089】
計測データDs(x、θ、m)を用いて較正係数K(m)を設定する方法としては、予め設定されている移動位置x及び角度(回転位置θ)における計測データDs(x、θ、m)を用いる方法、予め設定されている移動位置xで角度(回転位置θ)をθ〜θ12などに変化させて得られる計測データDs(x、θ、m)を用いる方法、並びに移動位置x及び回転位置θを変化させて得られる計測データDs(x、θ、m)を用いる方法があり、これらを第1、第2及び第3の実施例として説明する。
【0090】
〔第1の実施例〕
光断層計測システム10では、例えば、光計測装置14及びデータ処理装置16の動作モードとして較正設定モードが設けられている。光計測装置14では、この較正設定モードによる動作が指示されることにより、較正用基準部材82を用いて計測データDs(x、θ、m)を取得する。
【0091】
第1の実施例において光計測装置14は、スライダ56を作動することより、較正用基準部材82の所定位置(例えば、図2の移動位置x)が、計測面22Aとなるように配置する。また、光計測装置14は、計測ヘッド部22の機枠26を予め設定された回転位置(例えば、回転位置θ)に配置する。すなわち、光計測装置14は、較正用基準部材82に対して受光ユニット42A〜42Kのそれぞれを予め設定された移動位置x及び回転位置θに配置する。
【0092】
この後、光計測装置14は、基準光源ユニット84を作動させて較正用基準部材82の軸方向に沿った一端(基準面82A)から軸心へ向けて光を照射し、計測面22Aに沿って放出される光を受光ユニット42A〜42Kのそれぞれで受光する。これにより、光計測装置14では、計測データDs(x、θ、m)が得られる。
【0093】
ここで、較正用基準部材82は、異方性散乱媒質を用いて、等価散乱係数が均一となるように形成されており、較正用基準部材82の軸心部に照射された光は、等方散乱を繰り返しながら伝搬する。等方散乱しながら伝搬する光は、伝搬距離に応じて減衰するが、伝搬する距離が同じであれば、光量も同じと見なすことができる。なお、較正用基準部材82に入射された光は、光浸達長に達するまで前方散乱により伝播するが、この前方散乱領域が数mm程度であることから、実質的に等方散乱しながら伝搬していると見なすことができる。
【0094】
ここで、図1に示されるように、較正用基準部材82は、円柱状に形成されている。したがって、較正用基準部材82の外周面で計測面22Aと交差する位置から放出される光の強度は同等となる。
【0095】
また、受光ユニット42のそれぞれが、較正用基準部材82の軸心を中心とした円周上に配置されていることにより、各受光ユニット42から出力される計測データDs(m)は同等となる。光計測装置14では、この計測データDs(m)をデータ処理装置16へ出力し、較正設定モードでの動作を終了する。
【0096】
データ処理装置16は、較正設定モードにおいて、光計測装置14から計測データDs(x、θ、m)(ここでは、計測データDs(m))が出力されると、この計測データDs(m)を読み込む。この後に、データ処理装置16では、較正係数設定部114において、この計測データDs(m)に基づき、受光ユニット42ごとの較正係数K(m)を設定する。
【0097】
較正係数設定部114では、基準とする計測データDs(m)の最小値(計測データDminとする)を選択し、較正係数K(m)=Dmin/Ds(m)として、各受光ユニット42の較正係数K(m)を設定する。このような較正係数K(m)はK(m)≦1となる。
【0098】
ここで、例えば、表1に示されるごとき計測データDs(m)から、m=2の受光ユニット42で得られた計測データDs(2)が最小値Dminであれば、この計測データを基準として、各受光ユニット42の較正係数K(m)が設定される。
【0099】
【表1】

【0100】
これにより、m=2の受光ユニット42では較正係数K(m)が、K(2)=1となり、m=1の受光ユニット42では較正係数K(1)=0.935、m=11の受光ユニット42では較正係数K(11)=0.900となる。データ処理装置16では、このように設定された較正係数K(m)が記憶されて較正設定モードでの処理を終了する。
【0101】
このように設定された較正係数K(m)を用いることにより、受光ユニット42A〜42Kの感度の相違が除かれた計測データD(x、θ、m)が得られ、この計測データD(x、θ、m)に基づいて、光断層画像の再構成を行うことにより、精度の高い画像が得られる。
【0102】
また、光計測装置14では、基準光源ユニット84が発する光としてマウスに投与する蛍光標識剤が発する蛍光と同等の波長の光を用いるので、基準とする光を、受光ユニット42のそれぞれで的確に受光することができる。すなわち、基準光源ユニット84の発する波長が、受光ユニット42で設定されている光学特性から外れると、受光ユニット42で減衰されてしまうために、効率が低下する。また、蛍光の波長から外れた帯域で受光ユニット42A〜42Kの間で光学特性に差があると、同等の光量を受光しても出力されるデータが異なり、適正な較正ができなくなるが、このような問題が生じるのを防止することができる。
【0103】
なお、ここでは、最小値の計測データDminを基準として較正係数K(m)を設定したがこれに限らず、計測データDs(m)の平均値又は平均化した値を基準値するなど、任意の構成を適用することができる。
【0104】
〔第2の実施例〕
第2の実施例において光計測装置14は、較正設定モードでの動作が指示されると、スライダ56を作動することより、較正用基準部材82の所定位置(例えば、図2の移動位置x)が、計測面22Aとなるように配置する。
【0105】
この後、光計測装置14では、ロータリーアクチュエータ28を作動させることにより、受光ユニット42の回転位置θを変えながら、それぞれの回転位置θにおける各受光ユニット42の計測データを取得する。ここで、例えば、受光ユニット42を30°ずつ回転し、θ〜θ12のそれぞれで、較正用基準部材82の周面から発せられる光を受光することにより計測データDs(θ、m)が得られる。
【0106】
すなわち、光計測装置14では、較正用基準部材82を予め設定している移動位置xとなるように移動すると、ロータリーアクチュエータ28により受光ユニット42の回転位置θを、位置θ〜θ12まで順に変更し、それぞれの回転位置θにおいて、較正用基準部材82から放出される光を受光ユニット42により計測する。これにより、光計測装置14では、計測データDs(x、θ、m)=Ds(θ、m)が得られる。
【0107】
データ処理装置16では、この計測データDs(θ、m)を読み込むと、較正係数設定部114において、較正係数K(m)を設定する。
【0108】
このとき、較正係数設定部114では、計測データDs(θ、m)から、受光ユニット42ごとの計測データDs(θ)(ただしθ=θ〜θ12)を用いて、例えば、受光ユニット42ごとに計測データの平均値Da(m)を算出する。なお、受光ユニット42ごとの計測データDs(m)は、計測データD(m)を平均化したものに限らず、任意の統計的手法により正規化した値を用いるようにしても良い。
【0109】
この後、較正係数設定部114では、平均値Da(m)の最小値(計測データDaminとする)を設定し、この最小値を基準にして、較正係数K(m)=Damin/Da(m)から各受光ユニット42の較正係数K(m)を設定する。このときに設定される較正係数K(m)はK(m)≦1となる。
【0110】
このようにして較正係数K(m)を設定することにより、計測面22Aでの較正用基準部材82の断面形状や、軸心のズレ等に起因する較正係数K(m)の誤差を抑制することができる。すなわち、較正用基準部材82の断面形状や機枠26の回転中心に対する軸心のズレにより周面から放出される光の強度に相違が生じる。また、機枠26の回転中心と較正用基準部材82の軸心がずれるなどしていると、受光ユニット42ごとに較正用基準部材82の周面との間隔に相違が生じ、この相違により受光ユニット42で受光される光の強度にも相違する。
【0111】
これに対して、光計測装置14では、複数の受光ユニット42のそれぞれが、較正用基準部材82の同一位置から放出される光を計測することにより、同等の強度の光を受光したときの計測データDs(x、θ、m)が得られる。
【0112】
このような計測データDs(x、θ、m)を用いて較正係数K(m)を設定することにより、較正用基準部材82の形状や受光ユニット42ごとの取り付け位置に起因する誤差が抑制された較正係数K(m)が得られる。したがって、較正用基準部材82の形状としては、円柱状に限らず、角柱状など断面形状が一定であれば、任意の形状とすることができる。
【0113】
また、この較正係数K(m)を用いることにより、受光ユニット42A〜42Kの感度の相違が除かれた計測データD(x、θ、m)が得られ、この計測データD(x、θ、m)に基づいて、光断層画像の再構成を行うことにより、精度の高い画像が得られる。
【0114】
〔第3の実施例〕
第3の実施例では、受光ユニット42の回転位置θに加え、基準光源ユニット84の光の照射位置に対する計測面22Aの距離(移動位置x)を変化させた計測データ(計測データDs(x、θ、m))を取得する。
【0115】
光計測装置14では、較正設定モードでの動作が指示されると、スライダ56を作動させて、較正用基準部材82を予め設定された移動位置(以下、移動位置xとする)へ移動する。この後に、光計測装置14では、計測ヘッド部22(受光ユニット42)の回転、較正用基準部材82の移動を繰返しながら、基準光源ユニット84から発せられた光の計測を行う。
【0116】
ここで、基準光源ユニット84から照射された光は、較正用基準部材82内を伝搬する距離に応じて強度(光量)が変化する。ここから、光計測装置14では、受光ユニット42で受光される光の光量が、所定値に減少する範囲まで較正用基準部材82を移動することにより、基準光源ユニット84と計測面22A又は受光ユニット42との距離を変化させる。
【0117】
ここで、光計測装置14では、移動位置xから光量(受光ユニット42の出力)が、1/10−4まで減少する範囲で較正用基準部材82を移動する。このときの移動量が10mmであれば、この移動範囲で移動量Δx=1mmとして、較正用基準部材82及び基準光源ユニット84を移動(例えば、位置x、x、・・・、x)して10回の計測を行う。また、それぞれの移動位置xで受光ユニット42を回転位置θ〜θ12まで順次回転することにより12回の計測を行う。これにより、計測データDs(x、θ、m)(ただし、m=1〜11、x=x〜x、θ=θ〜θ12)が得られる。データ処理装置16では、この計測データD(x、θ、m)に基づいて較正係数K(m)の設定を行う。
【0118】
計測データDs(x、θ、m)は、受光ユニット42ごとの計測データDs(m)(Ds(m)=Ds(x、θ))を含む。これにより、例えば、m=1で特定される受光ユニット42に対しては、表2に示されるごとき計測データDs(1)=Ds(x、θ)が得られる。
【0119】
【表2】

【0120】
ここで、較正係数設定部114では、受光ユニット42ごとに各移動位置x(x、x、・・、x)における計測データの平均値Da(m)を算出する。これにより、受光ユニット42のそれぞれに対して、移動位置xごとの計測データの平均値Da(m)が得られる(第2の実施例参照)。この平均値Da(m)に対して、最大値が1となるように正規化することにより、表3に示されるようなデータが得られる。
【0121】
【表3】

【0122】
例えば、m=1で特定される受光ユニット42において、移動位置xの平均値Da(x、m)=Da(x、1)が最大値であれば、規格化したデータDs(m)は、Ds(m)=Da(x、m)/Da(x、1)となる。このときには、例えば、m=1で特定される受光ユニット42では、Ds(1)=1.000となり、m=2で特定される受光ユニット42では、Ds(2)=0.900となる。
【0123】
図10には、このようにして得られるデータをプロットしてグラフ化している。このグラフでは、縦軸(Y軸)を対数軸として、横軸に距離となる較正用基準部材82に対する軸線方向に沿った移動位置xとした片対数グラフとしている。なお、このグラフは、m=1、m=2で特定される受光ユニット42を例としている。
【0124】
図10に示されるように、規格化したデータは、一定の傾きで距離に応じて計測データDa(m)が減少する回帰直線(傾き−1の直線)となることが好ましい。
【0125】
ここで、表3で規格化したデータには、ばらつきが含まれていることがある。例えば、表3において、Ds(1)=1.000、Ds(2)=0.900は、図10のグラフ上でY切片となる。表3では、このY切片の対数値z(m)がz(1)=log(Da(x、m)=0.0、z(2)=log(Da(x、m)=−0.0458となる。
【0126】
これに対して、表3に示されるデータからm=1〜11のそれぞれについて、x軸となる位置xを説明変数、y軸となる受光ユニット42ごとの計測値を目的変数として回帰直線を求める。このときに、それぞれの回帰直線上でのY切片の対数値L(m)(L(m)=Ds(x、m))が表4に示されるデータであるとする。
【0127】
【表4】

【0128】
ここで、対数値L(m)の10のべき乗値とする規格値C(m)(C(m)=10L(m))を求める。このとき、例えば、m=1に対する規格値C(1)=0.9942、m=2に対する規格値C(2)=0.8942となる。この規格値C(m)は、表3に示される正規化したデータDs(m)からばらつきを排除したものとなっており、この規格値C(m)から選ばれた最小値Cminを基準として較正係数K(m)を求める(K(m)=Cmin/C(m))。
【0129】
このような統計的手法の一つである回帰直線法に基づいて得られる較正係数K(m)を用いることにより、ダイナミックレンジを広げた較正係数K(m)が得られ、受光ユニット42で受光される光量に差が生じても、適正に較正された計測データD(x、θ、m)を得ることができる。
【0130】
なお、以上説明した本実施の形態は本発明の構成を限定するものではない。例えば、本実施の形態では、データ処理装置16で計測データを較正するようにしたが、これに限らず、光計測装置14で、計測データの較正を行い、較正した計測データをデータ処理装置16へ出力するようにしても良い。
【0131】
また、光計測装置14では、較正用基準部材82及び基準光源ユニット84を用いることにより、複数の受光ユニット42の感度較正を適切に行うことができる。このときに、較正用基準部材82から得られる計測データDs(x、θ、m)に基づいて較正係数K(m)を設定し、設定した較正係数K(m)を用いて、受光ユニット42のそれぞれの計測データに対する較正を行う。これにより、光断層計測システム10では、受光ユニット42の感度のばらつきが起因する画質低下を確実に防止し、高精度の光断層画像の再構成が可能となる。
【0132】
また、光計測装置14では、複数の受光ユニット42を機枠26に取り付けた状態で、受光ユニット42の感度較正を簡単に行うことができる。
【0133】
なお、本実施の形態では、光計測装置14を例に説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、本発明は、同一の円周上で光軸が軸心に向けられて取り付けられた複数の受光ユニットの感度の較正に適用することができる。この場合、軸心部に較正用基準部材82を配置して、較正用基準部材82の軸方向の一端側から基準光源ユニット84の光を照射する。これにより、複数の受光ユニットのそれぞれが検出する光の光量を一定にできるので、この計測結果を用いることにより、感度較正を行うことができる。
【0134】
また、本実施の形態では、基準試料として中実の円柱状に形成した較正用基準部材82を用いたが、基準試料はこれに限らず、断面形状が正十二角形などの断面が一定の形状を有する柱状であれば、任意の外形形状とすることができる。
【0135】
さらに、本実施の形態では、計測試料としてマウス12を例に説明したが、本発明は、計測対象から放出される光を複数の受光ユニットで計測する任意の構成の光計測装置及び該光計測装置に対する較正装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
10 光断層計測システム
12 マウス(計測対象)
14 光計測装置
16 データ処理装置
22 計測ヘッド部
26 機枠
28 ロータリーアクチュエータ(回転手段)
30 検体ホルダ
40 光源ユニット(光源)
42 受光ユニット
60 制御部
72 受光素子
82 較正用基準部材(基準試料)
84 基準光源ユニット(基準光源)
86 発光素子(基準光源)
114 較正係数設定部(較正手段、較正設定手段)
116 較正処理部(較正処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが受光素子により所定波長の光を受光する複数の受光ユニットと、
前記受光ユニットのそれぞれが所定位置を軸心とする同一円周上に、光軸が軸心へ向けられて取り付けられ、該円周に対する軸心部に計測対象が配置される機枠と、
前記円周に対する軸心部に配置された前記計測対象から放出される光を前記複数の受光ユニットのそれぞれの前記受光素子で受光して、受光量に応じた計測値を出力する計測手段と、
光学特性として光の等方散乱が生じる材質で所定の断面形状の柱状に形成され、前記複数の受光ユニットの感度の較正を行う場合に、前記計測対象に換えて前記円周の前記軸心部に、長手方向が前記円周の軸線に沿うように配置される基準試料と、
前記円周に対する前記軸心部に配置された前記基準試料の前記長手方向の一方の面に対向されて前記円周に対する軸線上に配置されて、該基準試料へ向けて前記所定波長の光を照射する基準光源と、
前記基準光源から前記基準試料に照射された光に応じて該基準試料の外周面から放出される光を前記受光ユニットのそれぞれで受光することにより前記計測手段が出力する較正用の計測値に基づいて、前記計測対象を計測するときの前記複数の受光ユニットの感度を較正する較正手段と、
を含む光計測装置。
【請求項2】
前記計測対象と前記受光ユニットが設けられた前記機枠とを前記軸線に沿って相対移動する移動手段を含み、
前記計測手段が、前記移動手段により前記基準試料と前記受光ユニットとを前記軸線方向に沿って相対移動し、複数の移動位置で前記較正用の計測値を出力する、
請求項1に記載の光計測装置。
【請求項3】
前記計測対象に対して前記受光ユニットが設けられた前記機枠を前記円周方向に相対回転する回転手段を含み、
前記計測手段が、前記回転手段により前記基準試料に対して前記受光ユニットを周方向に相対回転し、複数の回転位置で前記較正用の計測値を出力する、
請求項1又は請求項2に記載の光計測装置。
【請求項4】
前記較正手段が、前記計測手段が出力した前記較正用の計測値から、前記受光ユニットごとの前記較正用の計測値が一致するように前記受光ユニットのそれぞれに対する較正係数を設定する較正設定手段を含む、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光計測装置。
【請求項5】
前記較正設定手段により設定された前記較正係数に基づいて、前記計測手段から出力される前記受光ユニットごとの前記計測値の較正を行う較正処理手段を含む、
請求項4に記載の光計測装置。
【請求項6】
前記機枠に設けられて、前記軸心部へ向けて前記計測対象に含まれる蛍光標識剤に対する励起光を照射する光源を含み、
前記計測手段が、前記光源から照射される前記励起光に応じて前記計測対象の前記蛍光標識剤から発せられる蛍光を前記複数の受光ユニットのそれぞれで計測する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の光計測装置。
【請求項7】
所定位置を軸心とする同一円周上に光軸が該円周に対する軸心へ向けられて機枠に取り付けられ、それぞれが受光素子により所定波長の光を受光して受光量に応じた計測値を出力する複数の受光ユニットを較正する較正装置であって、
光学特性として光の等方散乱が生じる材質で所定の断面形状の柱状に形成され、前記円周の前記軸心部に、長手方向が前記円周の軸線に沿うように配置された基準試料と、
前記基準試料の前記長手方向の一方の面に対向されて前記円周に対する軸線上に配置され、該基準試料へ向けて前記所定波長の光を照射する基準光源と、
前記基準光源から前記基準試料に照射された光に応じて該基準試料の外周面から放出される光を前記受光ユニットのそれぞれで受光し、受光量に応じた較正用の計測値を出力する計測手段と、
前記計測手段から出力される前記較正用の計測値に基づいて、前記複数の受光ユニットの感度を較正する較正手段と、
を含む較正装置。
【請求項8】
前記基準試料と前記受光ユニットが設けられた前記機枠とを前記円周の軸線に沿って相対移動する移動手段を含み、
前記計測手段が、前記移動手段により前記基準試料と前記受光ユニットとを前記軸線に沿って相対移動し、複数の移動位置で前記較正用の計測値を出力する、
請求項7に記載の較正装置。
【請求項9】
前記受光ユニットが設けられた前記機枠に対して前記計測対象を前記円周の周方向に相対回転する回転手段を含み、
前記計測手段が、前記回転手段により前記基準試料に対して前記受光ユニットを相対回転し、複数の回転位置で前記較正用の計測値を出力する、
請求項7又は請求項8に記載の較正装置。
【請求項10】
前記較正手段が、前記計測手段が出力した前記較正用の計測値から、前記受光ユニットごとの前記較正用の計測値が一致するように前記受光ユニットのそれぞれに対する較正係数を設定する較正設定手段を含む、請求項7から請求項9の何れか1項に記載の較正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−179864(P2011−179864A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42215(P2010−42215)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】