説明

光調節装置

【課題】組み上げ工程が容易な小型撮像機器に適用する光調節装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一方に開口101、301を有する二つの基板100、300と、二つの基板100、300の間隔を規定する間隔部400と、回転中心となる軸部材202を有し、基板間で光軸方向に対して鉛直な平面内を回動する少なくとも一つの入射光調節手段200と、入射光調節手段200を駆動する少なくとも一つの駆動手段とを有し、駆動手段により入射光調節手段200を開口101、301と、開口101、301から退避した退避位置とに相互に回動させ、開口101、301を通過する入射光を調整する光調節装置において、基板に形成された軸部材の受けとなる切り欠き102、302と、入射光調節手段の脱落を防止する留め部500とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から光調節装置として多種多様な方式が実施されている。その一手法として、電磁もしくはその他の駆動源により、単数もしくは複数の光学素子を光路内外に相互に変位させ、光路を通過する入射光の光学特性を変化させる差込式光調節装置がある。近年撮像機能を有した携帯機器やマイクロビデオスコープ等の小型撮像機器の高画質化に伴い、レンズや絞り、光学フィルター等の光学素子も、従来の固定焦点レンズ、固定絞り、固定特性フィルターから、フォーカスレンズ、可変絞り、可変特性フィルターを適用する要求が高まっている。この様な小型撮像機器に適用する光調節装置として、先述の差込式光調節装置は構成が簡単なことから、小型に適した光調節装置として注目されている。
【0003】
この様な小型化に適した差込式光調節装置の例として、特許文献1に示される光調節装置がある。この光調節装置では、二極に分極されたローターを備える。絞り板は、シャフトを通じてローターに固定される。このローターは、リング状にコイル形成されたコイル体を、回転孔を通して貫き、上カバー及び下カバーに形成された円筒状の凸部からなるシャフト受けにより回転自由に固定される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−20360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に示される従来の光調節装置では、絞り板の回転軸となるシャフトを、上カバー及び下カバーに形成された円筒状の凸部からなるシャフト受けに挿入することで、回転自由に固定している。そのためには、光調節装置を組み上げる工程として、シャフト受けにシャフトを位置合わせした状態で、上カバー及び下カバーを接合しなければならない。小型化が要求されている装置においては、この位置合わせにより、組み上げの難易度が高くなるという問題が生じている。
【0006】
なお、特許文献1では、シャフト受けとして上カバー及び下カバーに円筒状の凸部を形成しているが、この形態以外では、上カバー及び下カバーにシャフト受け用の穴を形成する構成が一般的である。シャフト受けが穴の場合であっても、上述したのと同様の不都合が生じている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、絞り板の回転軸の取り付け方を変更し、組み上げが容易な小型撮像機器に適用する光調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、少なくとも一方に開口を有する二つの基板と、二つの基板の間隔を規定する間隔部と、回転中心となる軸部材を有し、基板間で光軸方向に対して鉛直な平面内を回動する少なくとも一つの入射光調節手段と、入射光調節手段を駆動する少なくとも一つの駆動手段とを有し、駆動手段により入射光調節手段を開口と、開口から退避した退避位置とに相互に回動させ、開口を通過する入射光を調整する光調節装置において、基板に形成された軸部材の受けとなる切り欠きと、入射光調節手段の脱落を防止する留め部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記二つの基板及び前記間隔部が、単一の積層工程及び、もしくは成形工程からなる単一部材からなることが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記切り欠きと前記軸部材とは、少なくとも2点で接していることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記軸部材の受けとなる前記切り欠きの一部及び前記留め部の一部が円弧形状をなすことが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記留め部は、軸部材または入射光調節手段の少なくとも1点で接することが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記留め部が、前記二つの基板及び前記間隔部とは異なる別部材からなることが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記二つの基板及び前記留め部に凸部及び凹部が設けられており、前記凸部及び前記凹部を嵌合することで、前記二つの基板と前記留め部とを接合することが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記間隔部に前記留め部を接着することで、前記間隔部と前記留め部とを接合することが望ましい。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記間隔部には略前記留め部の厚さ分の段が成形されていることが望ましい。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記留め部は、前記基板または前記間隔部と同一部材であることが望ましい。
【0018】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記留め部は、前記回転軸の受けとなる前記切り欠きの側面に形成された凸状部からなることが望ましい。
【0019】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入射光調節手段は複数設けられていることが望ましい。
【0020】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記全入射光調節手段を単一の前記留め部で保持することが望ましい。
【0021】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記上部基板は前記下部基板よりも、略前記留め部の幅分だけ小さい径を有するように形成されていることが望ましい。
【0022】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入射光調節手段に、前記基板に形成された前記開口とは径の異なる開口が形成されていることが望ましい。
【0023】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入射光調節手段に、光学レンズが形成されていることが望ましい。
【0024】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入射光調節手段に、光学フィルターが形成されていることが望ましい。
【0025】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記駆動手段が、前記入射光調節手段に接合された磁石と、芯材に巻き線されたコイルとで構成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる光調節装置は、軸部材を受ける切り欠きを基板に設けて、組み上げるので、組み上げが容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施例の可変絞りの分解斜視図である。
【図2】第1の実施例の上面図である。
【図3】第1の実施例の変形例の構成を示す図である。
【図4】第2の実施例の軸受け部材の構成を示す図である。
【図5】第3の実施例の軸受け部材の構成を示す図である。
【図6】第3の実施例の変形例の軸受け部材の構成を示す図である。
【図7】第4の実施例の光調節装置の軸受け用切り欠きと軸部材を示す図である。
【図8】第4の実施例の光調節装置の軸受け部材と軸部材もしくは絞り板を示している。
【図9】第5の実施例の可変絞りの光調節装置の分解斜視図である。
【図10】第5の実施例の可変絞りの光調節装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明にかかる光調節装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
本実施例の光調節装置は、開口が形成された絞り板を光路位置及び光路外に相互に変位させることで、開口を通過する光量を規定する可変絞りである。また、絞り板は電磁アクチュエータを用いて駆動する構成とする。
図1は、本実施例の光調節装置における可変絞りの分解斜視図を示す。図2は、図1に示した可変絞りにおいて、コイルを除いた上面図を示している。
図1及び図2に示す様に、本実施例の可変絞りは、下部基板100と、軸部材202が接合された絞り板200と、上部基板300と、間隔部材400と、軸受け部材500と、コイル600とで構成される。以下、すべての実施例において、絞り板200は、入射光調節手段に、間隔部材400は、間隔部に、軸部材202及びコイル600は、駆動手段に、軸受け部材500は、留め部に対応する。
【0030】
下部基板100には、第1の開口101と、位置決め部105と、軸受け用切り欠き102とが形成される。絞り板200には、第2の開口201が形成され、円柱形状の磁石からなる軸部材202が接合される。上部基板300には、第3の開口301と、軸受け用切り欠き302とが形成される。軸受け部材500には、軸受け部501、502と窓504とが形成される。コイル600は、コア材602にコイル線601が巻き線された構成である。
【0031】
以下各々の構成部材の詳細について説明する。
下部基板100及び上部基板300には、第1の開口101及び第3の開口301、軸受け用切り欠き102及び302が形成されている。第1の開口101及び第3の開口301はその開口中心を光軸とし、入射光が通過する光路となる。第1の開口101及び第3の開口301の開口径は同一もしくは異なる径に成形される。この開口径が可変絞りにおける開放開口径となる。第1の開口101及び第2の開口301の開口径が異なる場合には、開口径が小さい方が開放開口径となる。
軸受け用切り欠き102及び302は、それぞれ下部基板100及び上部基板300の外縁部から開口101、301中心に向けて切り欠かれている。その最深部は、軸部材202の径とほぼ同一径の円弧形状に形成されている。また、下部基板100には、位置決め部105が形成されている。
【0032】
間隔部材400は、下部基板100及び上部基板300の間隔及び相対位置を規定する部材である。更に間隔部材400は、下部基板100及び上部基板300に形成された軸受け用切り欠き102及び302近傍で離間されている。間隔部材400の端部には、中心方向への段差部401が設けられている。
【0033】
軸受け部材500の略中央部には、軸部材202の径とほぼ同一径の円弧形状をなす軸受け部501、502が形成されている。図2に示す様に、軸受け部材500の両端部は、間隔部材400の段差部401と接着等により接合される。この接合状態において、軸受け用切り欠き102及び302の円弧形状部と、軸受け部502及び501の円弧形状部とからなるエリアは、軸部材202の径とほぼ同一径の略円形状となる。
【0034】
このように、軸受け部材500の両端部と、間隔部材400の段差部401とを接合することで、可変絞りの外形は突出することなく形成される。また、軸受け部材500の略中央部には、窓504が形成されている。窓504は、絞り板200との干渉を防止する為に形成されており、本構成とすることで、可変絞りの外形寸法をより小さく形成することが出来る。
【0035】
絞り板200には、下部基板100及び上部基板300に形成された第1の開口101及び第3の開口301よりも小さな第2の開口201が形成されている。また、円柱状の磁石からなる軸部材202が圧入等の方法で接合されている。軸部材202は、下部基板100及び上部基板300に形成された軸受け用切り欠き102及び302と、軸受け部材500に形成された軸受け部502及び501とで形成される略円形状エリアと嵌合される。絞り板200は軸部材202を回転軸として回動可能に設置される。絞り板200の動作可能エリアは、光軸方向については、下部基板100及び上部基板300により規制されており、回転方向については、位置決め部105及び間隔部材400により規制される。
【0036】
なお、絞り板200が、位置決め部105に当接する位置において、第2の開口201の開口中心は光軸と一致する様に形成されている。
コイル600は、パーマロイやケイ素鋼等の磁性材からなるコア材602にコイル線601が巻き線されており、コア材602の両端部は、絞り板200に接合されている軸部材202に対向する様に形成されている。
【0037】
各部材の成形方法としては、下部基板100、上部基板300、間隔部材400を、リン青銅、ベリリウム銅、樹脂材等の非磁性体からなる薄板をプレス等の加工法により成形し、各々を接着等により接合しても良いし、メッキ及びエッチングによる一連の積層工程からなる金属MEMS技術や射出成型技術等により一体部材として成形しても良い。
【0038】
次に、本実施例の可変絞りの動作について説明する。
絞り板200に接合された軸部材202は円柱状の磁石からなり、絞り板200に形成された第2の開口201の中心から軸部材202に向かう軸方向にS極及びN極となる様に着磁されている。一方、コイル600は、パーマロイやケイ素鋼等の磁性材からなるコア材602にコイル線601が巻き線されており、コイル線601に流す電流により、コア材602の両端部が相互にS極及びN極に磁化される。コイル600により発生する磁場と、軸部材202の磁場との間に生じる磁気的吸引力及び反発力により、軸部材202に回転力が生じ、絞り板200は軸部材202を回転中心として回動する。回転の方向は、コイル線601に流す電流の方向で制御することが出来る。
【0039】
ここで、絞り板200に図中反時計回りの回転力を作用した場合を考える。絞り板200は、位置決め部105に当接した位置で停止する。絞り板200は、第1の開口101及び第3の開口301を塞ぐ。絞り板200に形成された第2の開口201の開口中心が光軸と一致することで、入射光が通過する光路の径は、第2の開口201となる。
【0040】
また絞り板200に図中時計回りの回転力を作用させた場合を考える。絞り板200は、間隔部材400に当接した位置で停止する。絞り板200は、第1の開口101及び第3の開口301から退避し、開口径は第1の開口101及び第3の開口301となる。
この様にして、入射光が通過する光路の径を2段階に制御することが可能となる。
【0041】
次に本実施例の可変絞りの効果を説明する。本実施例の可変絞りの組み上げ工程として、まず、下部基板100、上部基板300、間隔部材400からなる機構部材を成形する。その後、間隔部材400の離間部から、絞り板200を下部基板100及び上部基板300の間へ挿入し、軸部材202を軸受け用切り欠き102及び302へ嵌合する。最後に、軸受け部材500を接合する。
このように、最後に軸受け用切り欠き102及び302に嵌合して組み上げるので、軸部材202と軸受け穴の位置合わせをした状態で上下基板100、300を接合する必要が無くなり、組み上げを容易に行うことが可能となる。
【0042】
また、従来のような、軸部材202を軸受け穴等に挿入する構成では、下部基板100、上部基板300、間隔部材400を金属MEMS技術や射出成形技術等を用いて一体成型する成形法をとることは出来ないが、本提案の構成とすることで、この様な成形方法を導入することが可能となる。
【0043】
さらに、下部基板100、上部基板300、間隔部材400を金属MEMS技術や射出成形技術等を用いて一体成型する場合には、下部基板100及び上部基板300に形成される軸受け用切り欠き102及び302の相対位置精度を高くとることが可能となる。
【0044】
従来の方式であれば、上カバー及び下カバーのシャフト受けの相対位置が、組み付け誤差によりズレを生じると、シャフトの回転が阻害されるという問題も生じていた。そのため、高精度で上下基板の位置合わせをする必要があった。これに対して、本実施例によれば、このような組み付け誤差のズレによる、軸部材202の回転不良を低減することも可能となる。
また、本実施例では、軸部材202の脱落防止用の軸受け部材500を別部材とし、絞り板200を後から挿入する構成としたことで、軸受け部材500、絞り板200の成形を本体とは別の方法とすることも選択できるので、成形に関しての自由度も増えることになる。
【0045】
図3は、第1の実施例の変形例の構成を示す図である。第2の実施例では3つの絞り板を備える構成を説明する。図3に示す様に、下部基板100及び上部基板300に3つの軸受け用切り欠き102a、102b、102c及び302a、302b、302c(102bは不図示)を形成し、それぞれに絞り板(不図示)に接合された軸部材202a、202b、202cを挿入することで、3枚の絞り板を有する構成とする。
このように、絞り板を複数枚用いて、複数の異なる開口径を実現する多段絞りにも適用することが可能である。
【0046】
また、本実施例の絞り板を光学レンズに置き換えることによって、光学レンズ脱着装置として用いることも可能である。
さらに、本実施例の絞り板を光学フィルターに置き換えることによって、透過光量もしくは透過波長域を変える光学フィルター脱着装置として用いることも可能である。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の第2の実施例に係る光調節装置について、説明する。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0048】
図4は、第2の実施例における可変絞りの上下基板の一部及び軸受け部材500の実施例の斜視図を示している。
図4に示す様に、本実施例の可変絞りでは、第1の実施例と異なり、軸受け部材500には、接合用突起503a、503b、503d、503e(503d、503eについては不図示)が形成される。また、下部基板100及び上部基板300には、接合用突起受け穴103a、103b、303a、303bが形成されている。
【0049】
上記接合用突起503a、503b、503d、503e(503d、503eは不図示)及び接合用突起受け穴303a、303b、103a、103bは、軸受け部材500を接合する際に、各々が嵌合する位置に形成される。これらの接合用突起503a、503b、503d、503e及び接合用突起受け穴303a、303b、103a、103bを嵌合することで、軸受け部材500と下部基板100及び上部基板300とが接合される。
【0050】
本実施例によれば、軸受け部材500は、軸受け部材に接合用突起を形成し、上下基板に接合用突起受け穴を形成することで、嵌合するだけで組み上げるので、接合する際に接着をする必要が無くなり、組み上げをさらに容易に行うことが可能となる。
なお、これらの接合用突起503a、503b、503d、503eと接合用突起受け穴303a、303b、103a、103bとの凸凹の関係は、上下基板100、300及び軸受け部材500のどちらに形成されていても良いことは言うまでも無い。
【実施例3】
【0051】
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施例について、説明する。上記各実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図5は、第3の実施例の可変絞りの上下基板の一部を示した斜視図を示している。図5に示す様に、本実施の形態における可変絞りは、軸受け部500に換えて、下部基板100及び上部基板300に突出部104a、104b、304a、304bが形成されている点で第1及び第2の実施例とは異なる。
【0052】
上記突出部104a、104b、304a、304bが形成されている部分よりも外側である基板の外縁部側は、軸部材202が挿入可能な様に、曲線状に成形されている。また、軸部材202を回動可能な様に、突出部104a、104b、304a、304bが形成されている部分よりも中心側は、略円形状に成形されている。また、軸部材202の挿入を容易に行う為、図6に示すよう、上下基板100、300の軸受け用切り欠き102、302の両脇にスリット700を設けても良い。この様に、上下基板100、300の軸受け用切り欠き102、302位置に突出部104a、104b、304a、304bをつけることで、軸受け部材500を別途設けることなく軸部材202の脱落を防ぎ、回転可能に保持することが出来る。したがって、さらに組み上げを容易に行うことが可能となる。
【0053】
(実施例4)
図7(a)、(b)、(c)及び図8(a)、(b)、(c)、(d)を用いて本実例について説明する。
図7(a)、(b)、(c)は本実施例の光調節装置の軸受け用切り欠きと軸部材を示している。
【0054】
軸受け用切り欠き102は、機能的に軸部材202の回転を規定するガイドとなる。その為、軸受け用切り欠き102は軸部材202に対して少なくとも2点の接点を持つ必要が有る。尚、ここでの接点とは、任意の瞬間において軸受け用切り欠き102と軸部材202が接する点を意味するものでは無く、機能上軸受け用切り欠き102と軸部材202が接する点を意味する。
例えば、図7(a)に示す様に、軸受け用切り欠き102を円弧上の形成する事で、軸受け用切り欠き102と軸部材202は無限点の接点を有する。同様に、図7(b)に示す様に、軸受け用切り欠き102を形成する事で、軸受け用切り欠き102と軸部材202は3点の接点を有する。また、図7(c)に示す様に、軸受け用切り欠き102を形成する事で、軸受け用切り欠き102と軸部材202は2点の接点を有する。
【0055】
図8(a)、(b)、(c)、(d)は本実施例の光調節装置の軸受け部材と軸部材もしくは絞り板を示している。
軸受け部材500は、機能的に絞り板200の脱落を防止し、且つ、軸受け用切り欠き102と共に軸部材202及び絞り板200の回転を規定する。その為、軸受け部材500は軸部材202もしくは絞り板200に対して少なくとも1点の接点を持つ必要が有る。
【0056】
尚、ここでの接点とは、任意の瞬間において軸受け部材500と軸部材202もしくは絞り板200が接する点を意味するものでは無く、機能上軸受け部材500と軸部材202もしくは絞り板200が接する点を意味する。
【0057】
例えば、図8(a)に示す様に、軸受け用切り欠き102の側面に軸受け部材500となる突出部304a、304bを形成する事で、軸受け部材500と軸部材202は2点の接点を有する。同様に、図8(b)に示す様に、軸受け部材500を形成する事で、軸受け部材500と軸部材202は無限点の接点を有する。図8(c)に示す様に、軸受け部材500を形成する事で、軸受け部材500と軸部材202は1点の接点を有する。また、図8(d)に示す様に、絞り板200が軸受け部500と接する箇所を、軸部材202の中心と同一の中心を持つ円弧状に形成すると共に、軸受け部500を形成する事で、軸受け部材500は絞り板200と1点の接点を有する。
【0058】
上記の様に、軸受け用切り欠き102が軸部材202に対して少なくとも2点の接点を持ち、軸受け部材500が軸部材202もしくは絞り板200に対して少なくとも1点の接点を持つ様に形成する事で、軸受け用切り欠き102と軸受け部材500が軸部材202もしくは絞り板200に対して少なくとも3点の接点を持ち、軸部材202もしくは絞り板200の回転が規定される。
【0059】
(追加実施例5)
図9及び図10を用いて本実施例について説明する。
図9は、本実施例の光調節装置の分解斜視図を示し、図10は、上面図を示している。
【0060】
図9及び図10に示す様に、本実施例の光調節装置は、下部基板100上に下部基板100の外径よりも小径に形成された間隔部材400及び上部基板300が形成されている。また、絞り板200a、200b、200cの軸部材202a、202b、202cが接合された周囲は、軸部材202a、202b、202cと同一の中心を持つ円弧状に形成されている。
【0061】
また、軸受け部材500は、軸受け部501a、501b、501cが結合され、リング状をなしており、その内径は、略間隔部材400及び上部基板300の外径と等しく、また、その外形は、略下部基板100の外径と等しく、また、その厚さは略間隔部材400及び上部基板300の総厚に等しく形成されている。
【0062】
ここで、下部基板100、間隔部材400、上部基板300を接合若しくは一体形成した後、絞り羽根200a及び200b及び200cを、上部基板300及び下部基板100の間に挿入する。そして、各々の軸部材202a及び202b及び202cを、上部基板300及び下部基板100に形成された軸受け用切り欠き202a、302a及び202b、302b及び202c、302cに嵌合する。
【0063】
その後、リング状に形成した軸受け部材500を接合する。この際、絞り板200a、200b、200cの軸部材202a、202b、202cが接合された周囲の円弧状部が、軸受け部501a、501b、501cに当接する。
【0064】
上述の各実施例では、絞り羽根と軸受け部材(留め部)とが1対1に対応するように構成されている。これに対して、本実施例では、複数の絞り羽根の場合でも、一つの留め部で構成できる。
このように、本実施例の様に光調節装置を形成することで、複数の絞り羽根を有する場合も、単一の軸受け部材で絞り羽根の脱落を防止できる。これにより、組み立げを容易に行う事が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる光調節装置は、入射光調節手段を回動させて、開口を通過する入射光を調整する光調節装置に有用であり、特に、小型化が要求される光調節装置に適している。
【符号の説明】
【0066】
100、300 基板
101、201、301 開口
102、302 軸受け用切り欠き
103、303 接合用突起受け穴
104、304 突出部
105 位置決め部
200 絞り板
202 軸部材
400 間隔部材
401 段差部
500 軸受け部材
501、502 軸受け部
503 接合用突起
504 窓
600 コイル
601 巻き線
602 コア材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に開口を有する二つの基板と、
前記二つの基板の間隔を規定する間隔部と、
回転中心となる軸部材を有し、前記基板間で光軸方向に対して鉛直な平面内を回動する少なくとも一つの入射光調節手段と、
前記入射光調節手段を駆動する少なくとも一つの駆動手段とを有し、
前記駆動手段により前記入射光調節手段を前記開口と、前記開口から退避した退避位置とに相互に回動させ、前記開口を通過する入射光を調整する光調節装置において、
前記基板に形成された前記軸部材の受けとなる切り欠きと、
前記入射光調節手段の脱落を防止する留め部と、を備えることを特徴とする光調節装置。
【請求項2】
前記二つの基板及び前記間隔部が、単一の積層工程及び、もしくは成形工程からなる単一部材からなることを特徴とする請求項1に記載の光調節装置。
【請求項3】
前記切り欠きと前記軸部材とは、少なくとも2点で接していることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項4】
前記軸部材の受けとなる前記切り欠きの一部及び前記留め部の一部が円弧形状をなすことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項5】
前記留め部は、軸部材または入射光調節手段の少なくとも1点で接することを特徴とする請求項1乃至2のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項6】
前記留め部が、前記二つの基板及び前記間隔部とは異なる別部材からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項7】
前記二つの基板及び前記留め部に凸部及び凹部が設けられており、前記凸部及び前記凹部を嵌合することで、前記二つの基板と前記留め部とを接合することを特徴とする請求項6に記載の光調節装置。
【請求項8】
前記間隔部に前記留め部を接着することで、前記間隔部と前記留め部とを接合することを特徴とする請求項6に記載の光調節装置。
【請求項9】
前記間隔部には略前記留め部の厚さ分の段が成形されていることを特徴とする請求項7または8に記載の光調節装置。
【請求項10】
前記留め部は、前記基板または前記間隔部と同一部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項11】
前記留め部は、前記回転軸の受けとなる前記切り欠きの側面に形成された凸状部からなることを特徴とする請求項10に記載の光調節装置。
【請求項12】
前記入射光調節手段は複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項13】
前記全入射光調節手段を単一の前記留め部で保持することを特徴とする請求項12に記載の光調節装置。
【請求項14】
前記上部基板は前記下部基板よりも、略前記留め部の幅分だけ小さい径を有するように形成されていることを特徴とする請求項13に記載の光調節装置。
【請求項15】
前記入射光調節手段に、前記基板に形成された前記開口とは径の異なる開口が形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項16】
前記入射光調節手段に、光学レンズが形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項17】
前記入射光調節手段に、光学フィルターが形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項18】
前記駆動手段が、前記入射光調節手段に接合された磁石と、芯材に巻き線されたコイルとで構成されることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の光調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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