説明

光走査型内視鏡プロセッサ

【課題】治療領域を特定して治療用レーザ光を照射し、位置ずれを補正しながら治療を行うことができる光走査型内視鏡プロセッサを提供する。
【解決手段】光走査型内視鏡のシングルモードファイバを走査制御する走査制御部と、該ファイバを介して観察用レーザ光およびマーカ形成用レーザ光を出射する光源ユニットと、該ファイバを介して治療用レーザ光を出射する光源ユニットと、対象物から反射した観察用レーザ光を、光走査型内視鏡に設けられた受光用ファイバを介して受光する受光ユニットと、受光した観察用レーザ光に基づいて撮像画像を生成する画像生成部と、撮像画像と電子内視鏡から送信される撮像画像とをマーカの位置と走査位置とに基づいて合成した合成画像を生成する画像合成部と、合成画像内において治療領域を設定する手段とを備え、治療領域が走査される間、治療用レーザ光を出射することを特徴とする光走査型内視鏡プロセッサを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査型内視鏡を用いた治療用レーザ内視鏡のビデオプロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
医師が患者の体腔内を観察するときに使用する装置として一般的に内視鏡が知られている。従来の一般的な内視鏡の撮像素子には、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が用いられているが、これらの代替となるものとして特許文献1に開示される次世代の撮像システムが提案されている。この撮像システムでは、シングルモードファイバとレーザを用いて観察対象物を走査し、観察対象物のドットごとの色情報を得て画像化する。
【0003】
特許文献1には、このような撮像システムを用いた従来の光走査型内視鏡における、内視鏡挿入部の先端部が示されている。円筒型の圧電素子にシングルモードファイバが挿し通されている。圧電素子には電極が設けられ、この電極によって圧電素子が駆動される。圧電素子は、固定材によって光走査型内視鏡挿入部のシース内に固定されているとともに、接着剤によってシングルモードファイバと接合されている。
【0004】
圧電素子はシングルモードファイバの先端を共振させ、これによって、シングルモードファイバの先端が螺旋状に走査され、かかる螺旋状の走査が一定の周期で繰り返される。この一定の周期でシングルモードファイバから出射された光は、光学レンズによって観察対象物に集光され、観察対象物上を上記の走査パターンで走査し、観察対象物からの反射光は、シングルモードファイバを中心として円環状に配置された複数の受光用ファイバを伝搬してビデオプロセッサ内の受光部に到達する。なお、シングルモードファイバの先端の螺旋状の走査が一定の周期で繰り返し実行され、これによりフルカラー画像がモニタに表示される技術的な解決原理は、特許文献1のみならず、特許文献2や非特許文献1等の技術文献に記載されており、公の技術となっている。
【0005】
観察対象物からの反射光は光走査型内視鏡の先端部から受光用ファイバを伝搬して受光部に到達する。受光部に到達した光は光電変換され、光電変換された信号に対して増幅、色調整、画素位置補正等のさまざまな処理が施された後に画像信号が生成される。これらの処理において、シングルモードファイバの螺旋走査に従って検出される画素信号に応じた画面上での画素位置が定められる。そして、画像信号と画素位置とを関連付けることにより光走査型内視鏡が撮像する全体の画像が生成され、生成された画像がモニタに出力される。医師は、このようにして得られた体腔内の映像をモニタ上で観察して検査や施術等を行うことができる。
【0006】
さて、内視鏡を用いたレーザ治療法として、PDD(光線力学的診断)、PDT(光線力学的療法)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)等が提案されている。これらPDDやPDT、ESDでは、腫瘍親和性光感受性物質等の光感受性物質を用いて、体内の特定の部位にレーザの照射やマーキングを行う。光走査型内視鏡では、照明光伝搬用のシングルモードファイバを用いて治療用およびマーキング用のレーザ光を伝搬することができる。これらPDD、PDT、ESDは、例えばヘマトポルフィリン誘導体のような物質が腫瘍に親和性を有するのに加えて、特定波長のPDD用レーザ光によって励起されると特定波長の蛍光を発するとともに、特定波長のPDT用レーザ光を照射されると殺細胞作用を生じることを利用した診断および治療法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,563,105号明細書
【特許文献2】米国特許第6,856,712号明細書
【非特許文献1】Seibel et al. “A full-color scanning fiber endoscope” Proceeding of SPIE, Vol. 6083, Optical Engineering, February, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記の内視鏡では、特定の部位にのみ適確にレーザを照射することができないため、走査領域内の特定の悪性部位のみに対してレーザ治療を実施しようとしても、悪性部位の周辺にある正常な部位へのレーザ光照射が伴う可能性がある。また、PDT等の光学的治療を行うためには、所望の治療範囲に特定の光量のレーザ光を特定の時間だけ照射する必要があり、走査経路によってレーザ光の照射密度に差があるため治療範囲内においてレーザ光照射のムラが生じる可能性がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、観察対象物の治療範囲を適切に設定し、設定された治療範囲に適確に治療用レーザ光を照射するとともに、画像内で治療範囲の位置がずれても正確に追従して治療を行うことができる光走査型内視鏡プロセッサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光走査型内視鏡プロセッサは、レーザ光を走査して対象物の観察および治療を行うべく、光走査型内視鏡内に配置されたシングルモードファイバを所定の繰り返し単位からなるパターンで走査制御する走査制御部と、走査制御部の制御によって、シングルモードファイバを介して観察用レーザ光を対象物に出射するとともに、パターンによる走査期間中に任意のタイミングで、該シングルモードファイバを介してマーカ形成用レーザ光を対象物に出射する第1の光源ユニットと、走査制御部の制御によって、シングルモードファイバを介して治療用レーザ光を治療領域に出射する第2の光源ユニットと、走査制御部の制御によってパターンにより走査され対象物から反射した観察用レーザ光を、光走査型内視鏡に設けられた受光用ファイバを介して受光する受光ユニットと、受光ユニットが受光した観察用レーザ光に基づいて第1の撮像画像を生成する画像生成部と、生成された第1の撮像画像を格納する画像メモリと、画像メモリに格納された第1の撮像画像と電子内視鏡から送信される対象物を励起光により撮像した第2の撮像画像とを、該第2の撮像画像内に表示されるマーカ形成用レーザ光により照射されたマーカの位置と該マーカ形成用レーザ光を照射した際のパターンにおける走査位置とに基づいて合成した合成画像を生成する画像合成部と、合成画像を表示する表示部と、表示部に表示された合成画像内において治療領域を設定する治療領域設定手段とを備え、シングルモードファイバの走査期間中、治療領域が走査される間、観察用レーザ光に代えて第2の光源ユニットから治療用レーザ光を出射することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、走査制御部は、マーカ形成用レーザ光を照射するシングルモードファイバのパターンによる走査期間が、電子内視鏡の撮像期間内に収まるように、シングルモードファイバの走査を制御する。また、走査制御部は、治療用レーザ光を照射するためのシングルモードファイバのパターンによる走査期間を分割して、該分割された期間が電子内視鏡の電荷破棄期間のそれぞれに収まるように、該シングルモードファイバの走査を制御する。
【0012】
さらに好ましくは、第2の光源ユニットから出射される治療用レーザ光は光量が一定であり、光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、シングルモードファイバのパターンによる走査において、該パターンの1つの繰り返し単位を1サイクルとし、サイクルごとに、治療領域に照射される治療用レーザ光の照射時間を積算する照射時間積算部と、サイクルごとに積算した照射時間が所定の閾値を超えるか否かを判定する照射時間判定部とを備え、サイクルごとに積算した照射時間が所定の閾値を超えたと判定されると、第2の光源ユニットの治療用レーザ光の出射がオフにされる。あるいは、第2の光源ユニットから出射される治療用レーザ光は光量が可変であり、光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、シングルモードファイバのパターンによる走査において、該パターンの1つの繰り返し単位を1サイクルとし、1サイクルの走査経路が長くなるにつれて治療用レーザ光の光量を増加させる光量制御部とを備える。
【0013】
そして、光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、走査型内視鏡の先端から対象物までの距離を測定する距離測定部と、距離に応じて対象物に対する治療用レーザ光の照射光量を調整する第1の光量調整部とを備える。また、光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、治療領域において対象物が発光する蛍光光量を測定する光量測定部と、蛍光光量の変化量に応じて対象物に対する治療用レーザ光の照射光量を調整する第2の光量調整部とを備える。
【0014】
さらに、本発明の光走査型内視鏡プロセッサにおいて、マーカ形成用レーザ光は観察用レーザ光のいずれかの成分の光である。また、マーカ形成用レーザ光を出射する代わりに第2の光源ユニットから治療用レーザ光を出射する。そして、表示部は光走査型内視鏡プロセッサに設けられた操作パネルの表示部であり、光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、合成画像を操作パネルの表示部に出力する画像出力部を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光走査型内視鏡プロセッサによれば、光走査型内視鏡においても所望の治療部位にのみ適確に治療用レーザ光を照射することができ、病変部周辺の正常部位を損傷することがない。また、治療時に観察画像内で治療領域の位置ずれ等が発生しても、迅速に補正して治療用レーザ光の照射領域を治療領域に追従させて治療を行うことができる。さらに、観察画像内のいずれの位置に治療領域を設定しても、治療領域に対して治療に必要な適切なレーザ光量を均等に照射することができる。特に、PDD,PDT等の自家蛍光観察を行う際は、治療対象部位の蛍光量の変化を見ながら治療を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、本発明の実施形態における光走査型内視鏡を電子内視鏡の鉗子口からその先端にまで挿入した状態を示す電子内視鏡の概略図である。(b)は、光走査型内視鏡の先端部が電子内視鏡の先端に設けられた鉗子口から突出固定された状態を示す電子内視鏡先端部の拡大図である。
【図2】本発明の実施形態における光走査型内視鏡の先端部の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態における光走査型内視鏡プロセッサの概略を示すブロック図である。
【図4】(a)〜(e)は、本発明の実施形態における電子内視鏡および光走査型内視鏡による撮像画像ならびにこれらの撮像画像の合成画像の概略を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における電子内視鏡の撮像タイミングと光走査型内視鏡の走査タイミングおよび治療用レーザ光の照射タイミングの概略を示すグラフである。
【図6】本発明の別の実施形態における電子内視鏡の撮像タイミングと光走査型内視鏡の走査タイミングおよび治療用レーザ光の照射タイミングの概略を示すグラフである。
【図7】(a)および(b)は、本発明の実施形態における治療範囲が示された光走査型内視鏡の走査経路の模式図であり、(c)は、走査経路における治療用レーザ光の照射量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における光走査型内視鏡プロセッサについて説明する。なお、複数の図にまたがって同じ部材を示す場合は同じ番号を付すこととする。
【0018】
図1(a)は、本発明の実施形態における光走査型内視鏡を電子内視鏡の鉗子口からその先端にまで挿入した状態を示す電子内視鏡の概略図である。(b)は、光走査型内視鏡の先端部が電子内視鏡の先端に設けられた鉗子口から突出固定された状態を示す電子内視鏡先端部の拡大図である。本実施形態では、自家蛍光観察に基づく施術を行う。電子内視鏡1には、いずれも図示しないものの、観察対象からの自家蛍光を検出するためのフィルタ、撮像素子、撮像素子の周辺回路、シールド部材、絶縁部材、対物レンズ、照明レンズ、レンズ保持枠、光ファイババンドル等の多数の部品が内蔵されている。電子内視鏡プロセッサ(図示せず)の光源部により出射される白色光または励起光は、光ファイババンドルにより電子内視鏡1の先端に設けられた照明部4に伝搬され、照明レンズを介して治療対象部位に照射される。治療対象部位からの反射光は、受光部5の対物レンズを介して撮像素子の結像面において結像される。撮像素子によって撮像された画像信号は、電子内視鏡1の基端部に接続された電子内視鏡プロセッサ(図示せず)に伝送され、増幅、サンプルホールド処理、A/D変換、ノイズ除去等の前処理が施された後、デジタルビデオ信号やRGBビデオ信号、コンポジットビデオ信号、Sビデオ信号等に変換されて出力される。
【0019】
光走査型内視鏡2は、電子内視鏡1の鉗子口3から電子内視鏡1の先端部まで挿入されて鉗子口3aにおいて固定される。ここで、図3は、光走査型内視鏡プロセッサ6の構成の概要を示すブロック図である。光源ユニット12は、赤(R),緑(G),青(B)の各波長に対応する光を観察用レーザ光として発振するレーザ光源(図示せず)が個別に設けられている。R,G,Bの各波長に対応する光は、ダイクロイックミラーなどで構成された光結合器11によって結合され、RGB光として光走査型内視鏡2のシングルモードファイバの光源側端面に入射する。なお、光源ユニット12としては、可視から赤外にわたる広帯域なスーパーコンティニューム光を発振する単一の光源とすることもできる。また、レーザ光源に限らず、例えば、LED(Light Emitting Diode)を用いるなど、種々の光源とすることができる。
【0020】
図2は、光走査型内視鏡2の先端部の構成を示す概略図である。図2に示すように、光走査型内視鏡2の長手方向に垂直な平面をXY直交座標系の平面(XY平面)とする。そして、紙面に垂直で奥に進む方向をX軸の正の方向、紙面上方向をY軸の正の方向とする。光走査型内視鏡2のシングルモードファイバは、光源側端面に入射したRGB光をシングルモードファイバ先端部25の出射端まで導光し、光走査型内視鏡2の対物レンズ24に向けて出射する。シングルモードファイバの先端側の中途部は、圧電素子および電極などから構成された円筒型あるいは箱型の圧電素子ユニット27に挿し通されており、接着剤26によって圧電素子ユニット27の先端と接着固定されている。圧電素子ユニット27は固定材28によって光走査型内視鏡2のシース29内に固定されている。圧電素子ユニット27の電極には電線61〜64が接続されており、各電線は、光走査型内視鏡2の基端に設けられたコネクタまで延びている。光走査型内視鏡側のコネクタと光走査型内視鏡プロセッサ側のコネクタを接続したときに、各電線は、X軸ドライバ(図示せず)およびY軸ドライバ(図示せず)を有するピエゾドライバ17に接続される。
【0021】
光走査型内視鏡2の圧電素子ユニット27はシングルモードファイバ先端部25を共振させるための2つのアクチュエータ(図示せず)を備える。X軸ドライバは、CPU14の走査制御部14aから送信される駆動制御信号に基づいて一方のアクチュエータに第1の交流電圧を印加する。同様に、Y軸ドライバは、CPU14の走査制御部14aから送信される駆動制御信号に基づいて他方のアクチュエータに第1の交流電圧と同一の周波数で位相が直交する第2の交流電圧を印加する。
【0022】
2つのアクチュエータは印加される第1および第2の交流電圧に応じて振動し、シングルモードファイバ先端部25のX軸方向およびY軸方向への共振運動を生じさせる。その結果、シングルモードファイバ先端部25の出射端は、アクチュエータが発生させるX軸方向およびY軸方向への運動エネルギーの合成により、XY平面に近似する面上において光走査型内視鏡2の中心軸を中心とする所定半径の円の軌跡を描く。
【0023】
そして、シングルモードファイバ先端部25の出射端が所定半径の円の軌跡を描いている状態で、アクチュエータへの交流電圧の印加が停止され、シングルモードファイバ先端部25の共振が減衰する。この減衰により、出射端はXY平面に近似する面上において渦巻パターンの軌跡を描きながら中心軸に向かい、最終的に中心軸上で停止する。なお、アクチュエータへの交流電圧の印加が停止されてから出射端が中心軸上で停止するまでの期間を渦巻パターン期間と呼ぶ。出射端が中心軸上で停止した後、再びそれぞれのアクチュエータに交流電圧が印加され、出射端は上記所定半径の円の軌跡を描く状態になる。こうしてシングルモードファイバ先端部25は上記動作を繰り返す。
【0024】
シングルモードファイバ先端部25の出射端から出射されたRGB光は、治療対象部位において反射し、再び光走査型内視鏡2の先端部2aに進行して受光用ファイバ65に入射する。受光用ファイバ65は複数本設けられ、光走査型内視鏡2のシース29外周に円環状に配置されており、外被チューブ66によってシース29と挟まれるように被覆されている。反射光は、受光用ファイバ65を伝搬して光走査型内視鏡プロセッサ6内の受光ユニット7に到達する。なお、渦巻パターンにおけるスポット位置と受光ユニット7で受光したRGB光を関連付けることで、スポットにおける画像を得ることができる。受光ユニット7は、検出したRGB各色の光を個々に分離し、分離した各光を光電変換によって入射光量に応じたアナログ信号に変換し、A/D変換部8に入力する。A/D変換部8は、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して画素信号として画像処理回路15に送る。画像生成部15aは、このデジタル信号に基づいて増幅処理、色調整、画素位置補正処理等のさまざまな処理を行って画像情報を生成する。また、CPU14からは、画像情報とスポット位置を関連付けるアドレス信号が画像処理回路15に送信される。画像処理回路15は、アドレス信号に基づいて、画像メモリ18内の対応するアドレスに画素信号を格納していく。したがって、走査始点から走査終点までの各スポット位置における画素信号によって、観察対象領域の像に対応する画像が生成される。生成された画像は画像出力回路16を介してNTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠する画像信号に変換されてモニタ20に出力される。これにより、治療対象部位の映像がモニタ20に表示される。
【0025】
受光ユニット7には、いずれも図示しないものの、RGB光のB成分の光を反射するB光反射用ダイクロイックミラーと、G成分の光を反射するG光反射用ダイクロイックミラーが設けられている。観察対象物によって反射されたRGB光は、光走査型内視鏡2の受光用ファイバ65を伝搬して受光部側の端面から出射される。出射されたRGB光は、そのB成分の光がB光反射用ダイクロイックミラーによって反射されてB成分検出用の光電子増倍管に導かれる。同様に、G成分の光はG光反射用ダイクロイックミラーによって反射されてG成分検出用の光電子増倍管に導かれる。なお、R成分の光はいずれのダイクロイックミラーによって反射されることなく、これらのダイクロイックミラーの後段に設けられたR成分検出用の光電子増倍管に進行する。
【0026】
各光電子増倍管で検出されたRGB各成分の光は光電変換された後、A/D変換部8を経由して画像処理回路15に送られ、画素位置補正等の処理が実行されて画像信号に変換される。画像信号は、画像出力回路16を介してNTSCやPAL等の所定の規格に準拠した画像信号に変換されてモニタ20に出力され、観察対象物の映像が表示される。
【0027】
ところで、RGB各成分の光を、対応する光電子増倍管に導くことができれば、ダイクロイックミラーで反射させる光の成分は任意に決めることができる。また、光電子増倍管の代わりにRGB光の各成分を検出する受光素子を用いてもよいし、各成分に専用の受光素子を用いずに、面順次の撮像方式を採用して単一の受光素子を用いてRGB成分を検出する構成にしてもよい。
【0028】
電子内視鏡1で撮像した画像は、外部機器19を介してデジタル信号として光走査型内視鏡プロセッサ6の同期回路9に入力される。外部機器19から出力される信号には、デジタルビデオ信号の垂直同期信号や水平同期信号が含まれており、これらの同期信号に基づく同期タイミングにより電子内視鏡1で撮像した画像信号を画像処理回路15に送る。画像合成部15bは、外部機器19から送られてくるフレームごとの画像信号と、光走査型内視鏡2によって取得した画像信号とを重ね合わせることにより、電子内視鏡1および光走査型内視鏡2によるそれぞれの撮像画像を重畳した合成画像を生成する。生成された画像は画像出力回路16に送られる。また、CPU14の制御に基づいて、画像は操作パネル10にも送られて表示部10aに表示される。
【0029】
図5(a)〜(e)に、電子内視鏡1または光走査型内視鏡2により気管支を撮像した画像の概略図を示す。図4(a)は、電子内視鏡1により撮像した画像を示す。画像内には、マーカ21a〜21cが表示されている。マーカ21a〜21cは、光走査型内視鏡プロセッサ6の第1の光源ユニット12や光結合器11を制御して、光走査型内視鏡2による走査の渦巻パターン期間内において任意のタイミングで、例えばR光のみを治療対象部位に照射することによって形成することができる。なお、R光に限らず、G光やB光の他、任意の色の光を用いてマーカを形成してもよく、マーカ形成用の光源ユニットを用いてもよいし、第2の光源ユニット13から出射される治療用レーザ光を用いて病変組織上ないし近傍に物理的にマーカを形成してもよい。
【0030】
図4(b)は、光走査型内視鏡2により撮像した画像を示す。図4(a)と同様の画像が撮像されるが、電子内視鏡1とは撮像位置、撮像範囲、撮像角度等が異なるため、図4(a)の画像と図4(b)の画像は厳密には一致しない。なお、光走査型内視鏡2は、事前に光走査型内視鏡2の走査を行うドライブ波形と実際の走査位置との関係をデータで取得しているため、マーカ21a〜21cを照射した座標を把握している。そこで、これら2つの画像を一致させるため、電子内視鏡1の撮像画像におけるマーカ21a〜21cの位置と光走査型内視鏡2の撮像画像におけるマーカ21a〜21cの照射位置の座標とから、これら2つの撮像画像を合成して視野角、視差、位置ずれ、画像の歪み等を補正した1つの画像を生成する。補正は、マーカ間の距離や相対的な位置関係等に基づいて行うため、マーカは3つ以上形成するのが好ましい。マーカ形成用の光を照射するタイミングについては後述する。
【0031】
図4(c)は、電子内視鏡1により撮像した画像と光走査型内視鏡2により撮像した画像とを合成した画像を示す。光走査型内視鏡2はRGB光により撮像を行っており、励起光を用いた自家蛍光観察は行っていない。そこで、励起光により撮像を行っている電子内視鏡1からの撮像画像との合成画像を用いることにより、光走査型内視鏡プロセッサ6側においても治療範囲を正確に把握し、所望の治療範囲に適確に治療用レーザ光を照射することが可能になる。つまり、自家蛍光観察を行うための構成、例えば受光ユニット7に蛍光反射用の可動ミラーを設けて必要なときに可動ミラーを光路上に挿入して自家蛍光観察を行う構成や、面順次の撮像方式においてRGB光用の回転フィルタに励起光カットフィルタを追加した構成や独立の励起光カットフィルタを設けてRGB光用の回転フィルタと入れ替える構成を光走査型内視鏡2に組み込む必要がない。
【0032】
図4(d)は、図4(c)に示す画像を用いて治療範囲を指定した場合の図を示す。画像処理回路15により合成された画像は、モニタ20だけでなく、操作パネル10の表示部10aにも表示される。電子内視鏡1により撮像した画像は、光感受性物質を集積した病変組織が蛍光しているので、施術者は、合成された画像を見ながら治療範囲を特定することができる。操作パネル10には、マウスやペンタブレット等のポインティングデバイスを備えた治療領域設定手段10bが設けられており、治療領域設定手段10bによる指定に基づいて、操作パネル10に表示された画像上に所望の治療範囲22を設定する。CPU14は、設定された治療範囲22に基づいて第1および第2の光源ユニット12,13、光結合器11、ピエゾドライバ17を制御して治療用レーザ光の照射を行う。
【0033】
図4(e)は、治療用レーザ光を照射した際の電子内視鏡1による撮像画像を示す。治療時は、治療用レーザ光によるハレーション23により、電子内視鏡1においても実際にどの部位が治療されているかを確認することができる。自家蛍光観察を行っているため、治療用レーザ光の照射と電子内視鏡1の撮像のタイミングを制御して、治療用レーザ光のハレーション23が撮像画像に表示されないようにすることもできる。この場合、光感受性物質を集積した病変組織に治療用レーザ光を照射すると、光化学反応によって病変組織内に活性酸素が発生し、病変組織が壊死するため、治療された部位の蛍光領域が減少していく。したがって、ハレーションの代わりに蛍光領域を確認することで、所望の治療範囲に適確に治療用レーザ光が照射されていることを把握することができる。なお、治療用レーザ光の照射と電子内視鏡1の撮像における具体的な処理および動作の詳細については後述する。
【0034】
次に、光走査型内視鏡2によるマーカ形成用の光の照射と治療用レーザ光の照射のタイミングについて説明する。図5は、電子内視鏡1による撮像画像に治療用レーザ光を照射した際に発生するハレーションを表示する場合の、電子内視鏡1の撮像(電荷蓄積ならびに転送)および電荷破棄期間と光走査型内視鏡2のシングルモードファイバの走査期間および治療用レーザ光の照射タイミングの概略を示すグラフである。図の上段に示すグラフは、電子内視鏡1の撮像および電荷破棄期間のタイミングを示す。なお、横軸は時間、縦軸は蓄積電荷量を表す。グラフに示すように、電子内視鏡の撮像期間(電荷蓄積ならびに転送期間)30と撮像素子に蓄積した電荷を破棄する電荷破棄期間31とが交互に設けられている。したがって、電荷破棄期間31においては電子内視鏡1の撮像素子による撮像は行われない。1つの撮像期間と1つの電荷破棄期間を1単位とすると、1秒間におけるこの単位の繰り返し数は、電子内視鏡1によるデジタルビデオ信号の転送レートによって定められる。例えば、転送レートがNTSC方式である場合は、1秒間に30枚の画像が転送されるので、撮像期間と電荷破棄期間は1秒間に30回繰り返される。
【0035】
図5の下段に示すグラフは、光走査型内視鏡2のシングルモードファイバの走査期間および治療用レーザ光の照射タイミングを示す。なお、横軸は時間、縦軸は振幅を表す。光走査型内視鏡2においては、マーカ形成用レーザ光を照射するためのシングルモードファイバの走査期間(以下、マーカ照射走査期間という。)32,34と治療用レーザ光を照射するためのシングルモードファイバの走査期間(以下、治療用レーザ光照射期間という。)33,35とが交互に設けられている。マーカ照射走査期間32,34には、電子内視鏡1の撮像期間30と同じ時間長さが設定されている。なお、マーカ照射走査期間32,34は、撮像期間30よりも短く設定してもよい。また、治療用レーザ光照射期間33,35には、電子内視鏡1の撮像期間30と電荷破棄期間31を合計した期間よりも短い時間長さが設定されている。マーカ照射走査期間32において、任意のタイミングでマーカ照射点36a,36b,36cが設けられ、各マーカ照射点において、CPU14により、第1および第2の光源ユニット12,13と光結合器11が制御されて、第1の光源ユニット12からマーカ形成用の光が所定のタイミングで治療対象部位に照射される。マーカ照射点は、電子内視鏡1の撮像期間30中に設けられているため、マーカ形成用の光は電子内視鏡1および光走査型内視鏡2により撮像される。なお、光走査型内視鏡2ではマーカ照射点のXY座標を把握しており、上述の通り、この座標も考慮して上述の画像合成を行う。
【0036】
光走査型内視鏡2は、電子内視鏡1における次の撮像期間37および電荷破棄期間38において治療用レーザ光の照射を行う。施術者が図4(d)において治療範囲22を設定した後、操作パネル等において治療用レーザ光の照射をオンにすると、治療範囲22に対応する走査期間において、CPU14により第1および第2の光源ユニット12,13と光結合器11が制御され、第2の光源ユニット13から治療用レーザ光が出射されて治療範囲22に照射される。図5においては、この治療範囲22に対応する走査期間は治療用レーザ光照射期間33,35の破線部に対応している。なお、治療範囲が設定されていない場合は、光走査型内視鏡2のシングルモードファイバは渦巻パターンによる走査動作を行うだけで治療用レーザ光の照射は行わない。
【0037】
1走査期間の時間内において、治療領域を修正しなければならないほど電子内視鏡1による撮像画像と光走査型内視鏡2による撮像画像とが大きくずれることはないため、図5では、次のマーカ照射走査期間34においては、マーカ照射点を設けていない。施術者は、任意のタイミングで必要に応じて操作パネル10等からマーカ形成を制御することができる。なお、常時または定期的にマーカ照射を自動的に行って電子内視鏡1による撮像画像と光走査型内視鏡2による撮像画像とのずれ等を補正するように構成してもよい。いずれの場合でも、再度マーカ形成を行うことにより、施術中に電子内視鏡1の撮像画像と光走査型内視鏡2の撮像画像とのずれが生じても、上記の画像合成処理によってずれを補正し、所望の治療範囲に追従して治療用レーザ光を照射することができる。
【0038】
図6は、電子内視鏡1による撮像画像において、治療用レーザ光を照射する際のハレーションを表示しないようにする場合の電子内視鏡1の撮像(電荷蓄積ならびに転送)および電荷破棄期間と光走査型内視鏡2のシングルモードファイバの走査期間および治療用レーザ光の照射タイミングの概略を示すグラフである。自家蛍光観察において、レーザ光の治療によって蛍光領域が変化する場合は、治療用レーザ光によるハレーションを確認しなくとも治療箇所を認識することができる。したがって、電子内視鏡1による撮像画像において治療用レーザ光によるハレーションを発生させずに観察を行うこともできる。そこで、1つの治療用レーザ光照射期間を、電子内視鏡1の電荷破棄期間に合わせて複数の期間43a,43b,43cに分割する。電子内視鏡1の撮像期間40と電荷破棄期間41、光走査型内視鏡2のマーカ照射走査期間42、マーカ照射点44a,44b,44cは、それぞれ図5の撮像期間30、電荷破棄期間31、マーカ照射走査期間32、マーカ照射点36a,36b,36cに対応するため、ここでの説明は省略する。
【0039】
治療用レーザ光照射期間43aが終了してから次の治療用レーザ光照射期間43bが開始するまでの期間は、光走査型内視鏡2の圧電素子への印加電圧が維持される。すなわち、治療用レーザ光照射期間43aの終了時における走査のXY座標が保持されたまま、治療用レーザ光照射期間43bに移行する。そして、治療用レーザ光照射期間43bが開始すると、保持されたXY座標から走査が続行される。治療用レーザ光照射期間ごとに同様の動作を繰り返すことにより、治療用レーザ光照射期間を分割しない場合と同じ経路による走査が実現する。したがって、治療用レーザ光照射期間43b中に、図5に示す場合と同様に、治療範囲22に対応する走査期間において、CPU14により第1および第2の光源ユニット12,13と光結合器11が制御され、第2の光源ユニット13から治療用レーザ光が出射されて治療範囲22に照射される。このようにマーカ照射走査期間と分割された治療用レーザ光照射期間を繰り返し設けることにより、電子内視鏡1の撮像画像に治療用レーザ光によるハレーションを映り込ませることなく、適確な治療を行うことができる。
【0040】
図7(a),(b)は、光走査型内視鏡2による走査経路と治療範囲を示す模式図である。また、図7(c)は、治療範囲内における治療用レーザ光の照射量を示すグラフである。実際の走査経路は渦巻パターンであるが、便宜上、1周分の走査経路を1サイクルとして1つの円により示している。まず、図7(a)を参照すると、治療範囲50を走査する場合、外側のサイクル51と内側のサイクル52のどちらのサイクルを用いて走査するかによって、治療範囲を走査する速度が異なる。すなわち、1サイクルに割り当てられている走査期間は一定であることから、内側のサイクル52よりも走査経路の長い外側のサイクル51の方が、走査速度が大きくなる。したがって、外側のサイクル51を用いた治療と内側のサイクル52を用いた治療とで治療用レーザ光の照射光量が同一になるように調整する必要がある。
【0041】
そこで、外側のサイクル51を用いたレーザ光照射の合計時間を内側のサイクル52を用いたレーザ光照射の合計時間よりも長くし、走査経路のサイクルごとに異なるレーザ光照射時間を設定することによりすべてのサイクルで照射光量を同一にする。このために、光走査型内視鏡プロセッサ6の照射時間積算部14bにおいて、サイクルごとに治療用レーザ光の照射時間の積算を行う。走査経路全体において治療用レーザ光の照射光量は一定に保たれている。各サイクルにおいて、設定された治療範囲を走査する時間は既知であるから、円1周分の走査における照射光量を算出することができる。したがって、治療に必要な照射光量に達するまでの合計照射時間も求めることができる。照射時間判定部14cは、合計照射時間を閾値として各サイクルに対して設定し、閾値に達したところで該当するサイクルにおける治療用レーザ光の照射をオフにする。これにより、サイクル間で照射光量を均一にした治療を行うことができる。このように、シングルモードファイバの走査パターンの1つの繰り返し単位を1サイクル、すなわちここでは円1周分を1サイクルとし、サイクルごとに治療用レーザ光の照射時間を積算して、閾値に達すると治療用レーザ光の照射をオフにすることで、治療範囲全域において治療用レーザ光の照射光量を均一にすることができる。
【0042】
また、走査経路全体で治療用レーザ光の出力を一定に設定せず可変とし、光量制御部14dにより、内側のサイクルではレーザ光の出力を低くし、外側のサイクルではレーザ光の出力を高くすることにより、単位面積当たりのレーザ光の照射密度が同一になるように照射光量を制御することもできる。ここで、図7(b)を参照する。治療範囲50をサイクル53a〜53dによって走査しているとする。各サイクルにおいて単位面積当たりの照射光量を同一にするには、走査経路の内側から外側にかけてサイクルの半径が大きくなるにつれて照射光量を漸増させればよい。図7(c)は、サイクルごとのレーザ光照射光量を示すグラフである。サイクル53aからサイクル53dに向かうに従って照射光量が増えていく。このように照射光量を設定することにより、各サイクルにおける単位面積当たりのレーザ照射光量を同一にして、治療領域全体において照射光量を均等化して治療用レーザ光を満遍なく照射することができる。したがって、走査経路全体において治療用レーザ光の照射光量を一定に保つ場合と同様に、シングルモードファイバの走査パターンの1つの繰り返し単位を1サイクル、すなわちここでは円1周分を1サイクルとし、1サイクルの走査経路が長くなるにつれて治療用レーザ光の光量を増加させることで、治療範囲全域において治療用レーザ光の照射光量を均一にすることができる。なお、本実施形態のようにサイクルの走査経路を円にした場合は、走査経路の長さの代わりに円の半径を用いて円の半径が大きくなるにつれて治療用レーザ光の光量を増加させてもよい。
【0043】
なお、治療範囲と光走査型内視鏡の先端との距離によっても治療用レーザ光の照射密度が異なるため、距離測定部14eによって、撮像素子と光走査型内視鏡の相対位置を既知として撮像素子および光走査型内視鏡によるそれぞれの取得画像上のマーカの位置ずれに基づき三角法を用いるなどして測定した光走査型内視鏡の先端から治療範囲までの距離を加味したり、また、PDTにおいては、光量測定部14gによって測定した治療範囲内における薬剤蛍光の光量の減少率ないし変化率を加味したりすることによって、光量調整部14fから各走査経路における治療用レーザ光の照射時間や照射光量を調整することもできる。これにより、さらに高精度な治療用レーザ光を用いた光学的治療を行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
1 電子内視鏡
2 光走査型内視鏡
6 光走査型内視鏡プロセッサ
7 受光ユニット
10 操作パネル
10a 表示部
10b 領域設定手段
12,13 光源ユニット
14 CPU
14a 走査制御部
14b 照射時間積算部
14c 照射時間判定部
14d 光量制御部
14e 距離測定部
14f 光量調整部
14g 光量測定部
15 画像処理回路
15a 画像生成部
15b 画像合成部
16 画像出力回路
18 画像メモリ
21a,21b,21c マーカ
30,37,40 撮像期間
31,38,41 電荷破棄期間
32,34,42 マーカ照射走査期間
33,35,43a,43b,43c 治療用レーザ光照射期間
50 治療領域
53a,53b,53c,53d サイクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を走査して対象物の観察および治療を行うべく、光走査型内視鏡内に配置されたシングルモードファイバを所定の繰り返し単位からなるパターンで走査制御する走査制御部と、
前記走査制御部の制御によって、前記シングルモードファイバを介して観察用レーザ光を対象物に出射するとともに、前記パターンによる走査期間中に任意のタイミングで、該シングルモードファイバを介してマーカ形成用レーザ光を対象物に出射する第1の光源ユニットと、
前記走査制御部の制御によって、前記シングルモードファイバを介して治療用レーザ光を治療領域に出射する第2の光源ユニットと、
前記走査制御部の制御によって前記パターンにより走査され前記対象物から反射した観察用レーザ光を、前記光走査型内視鏡に設けられた受光用ファイバを介して受光する受光ユニットと、
前記受光ユニットが受光した前記観察用レーザ光に基づいて第1の撮像画像を生成する画像生成部と、
生成された前記第1の撮像画像を格納する画像メモリと、
前記画像メモリに格納された前記第1の撮像画像と電子内視鏡から送信される前記対象物を励起光により撮像した第2の撮像画像とを、該第2の撮像画像内に表示される前記マーカ形成用レーザ光により照射されたマーカの位置と該マーカ形成用レーザ光を照射した際の前記パターンにおける走査位置とに基づいて合成した合成画像を生成する画像合成部と、
前記合成画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記合成画像内において治療領域を設定する治療領域設定手段と、を備え、
前記シングルモードファイバの前記走査期間中、前記治療領域が走査される間、前記観察用レーザ光に代えて前記第2の光源ユニットから前記治療用レーザ光を出射する、
ことを特徴とする光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項2】
前記走査制御部は、前記マーカ形成用レーザ光を照射する前記シングルモードファイバの前記パターンによる走査期間が、前記電子内視鏡の撮像期間内に収まるように、前記シングルモードファイバの走査を制御することを特徴とする請求項1に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項3】
前記走査制御部は、前記治療用レーザ光を照射するための前記シングルモードファイバの前記パターンによる走査期間を分割して、該分割された期間が前記電子内視鏡の電荷破棄期間のそれぞれに収まるように、該シングルモードファイバの走査を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項4】
前記第2の光源ユニットから出射される前記治療用レーザ光は光量が一定であり、
前記光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、
前記シングルモードファイバの前記パターンによる走査において、該パターンの1つの繰り返し単位を1サイクルとし、サイクルごとに、前記治療領域に照射される前記治療用レーザ光の照射時間を積算する照射時間積算部と、
前記サイクルごとに積算した照射時間が所定の閾値を超えるか否かを判定する照射時間判定部と、を備え、
前記サイクルごとに積算した照射時間が前記所定の閾値を超えたと判定されると、前記第2の光源ユニットの前記治療用レーザ光の出射がオフにされる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項5】
前記第2の光源ユニットから出射される前記治療用レーザ光は光量が可変であり、
前記光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、
前記シングルモードファイバの前記パターンによる走査において、該パターンの1つの繰り返し単位を1サイクルとし、1サイクルの走査経路が長くなるにつれて前記治療用レーザ光の光量を増加させる光量制御部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項6】
前記光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、
前記走査型内視鏡の先端から前記対象物までの距離を測定する距離測定部と、
前記距離に応じて前記対象物に対する前記治療用レーザ光の照射光量を調整する第1の光量調整部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項7】
前記光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、
前記治療領域において前記対象物が発光する蛍光光量を測定する光量測定部と、
前記蛍光光量の変化量に応じて前記対象物に対する前記治療用レーザ光の照射光量を調整する第2の光量調整部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項8】
前記マーカ形成用レーザ光は、前記観察用レーザ光のいずれかの成分の光であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項9】
前記マーカ形成用レーザ光を出射する代わりに前記第2の光源ユニットから前記治療用レーザ光を出射することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。
【請求項10】
前記表示部は、光走査型内視鏡プロセッサに設けられた操作パネルの表示部であり、前記光走査型内視鏡プロセッサは、さらに、前記合成画像を前記操作パネルの表示部に出力する画像出力部を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡プロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−45461(P2011−45461A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195046(P2009−195046)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】