説明

光走査装置における光量偏差補正方法

【課題】 有機EL発光素子アレイとレンズアレイが組み合わされてなる露光ヘッドにおいて、露光光のアレイ長軸方向に亘る光量偏差を精度よく補正する。
【解決手段】
各有機EL素子20から出射された光の、所定の面上における光量を均一化するために各有機EL素子毎に定められる初期補正係数に応じたエージング条件で、各有機EL素子毎にそれぞれエージングを実施し、エージング実施の後に、各有機EL素子毎の所定の面上における光量の偏差を補正する新たな補正係数を求め、その新たな補正係数に基づいて各有機EL素子毎の光量調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子が1次元もしくは2次元に配列されてなる有機EL素子アレイを備えた光走査装置における光量偏差補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の発光素子が1列に並設されてなるライン状発光素子アレイからなる露光ヘッドを用いて、感光材料を露光する装置が公知となっている。この種の露光ヘッドにおいては、通常、ライン状発光素子アレイにレンズアレイが組み合わされ、該レンズアレイで集光した光を露光対象の感光材料に照射するようにしている。このレンズアレイは、ライン状発光素子アレイの発光素子から発せられた光を各々集光する複数の等倍結像レンズが、発光素子並び方向と略平行に並ぶ状態に集合されてなるものである。
【0003】
そしてこのような露光ヘッドを用いる露光装置(光走査装置)は、露光ヘッドから発せられた光が照射される位置に感光材料を保持し、この感光材料と露光ヘッドとを、ライン状発光素子アレイの発光素子並び方向(主走査方向)と略直交する副走査方向に相対移動させる副走査手段をさらに設けて構成されている。
【0004】
このような、発光素子アレイから発光された光の、感光材料上における光量が発光素子毎に異なると、露光装置において、主走査方向に互いに濃度やあるいは色相が等しい部分が存在する画像を露光する際、その部分に濃度段差や色相の段差が生じてしまう。そしてそのような段差は、副走査に伴って該副走査の方向に長く伸びて、いわゆる筋ムラとなって現れてしまう。
【0005】
光量偏差は各有機EL素子の発光効率偏差、駆動ICの出力ch偏差、結像光学系の特性等により発生するが、特にセルフォックレンズアレイなどの屈折率分布型レンズを使用する露光ヘッドではレンズ直径周期の光量偏差が大きく周期性ムラとして視認性が高いことから、結像光学系が主要因となる。一般的には全素子を同一の駆動条件で発光させ、各素子単位で発光量を測定し全素子の発光量が均一化するように各素子の補正係数を求める実際の稼動状態では、各素子は補正係数に応じた駆動条件(駆動電圧、駆動電流、発光時間)により駆動され、露光量の均一化が図られる(例えば、特許文献1参照)。例えば、光量偏差補正の結果として、発光量が低い素子は駆動電流または点灯時間が増加され、発光量が高い素子は駆動電流または点灯時間が減少され使用される。
【0006】
また最近では、上記発光素子として有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子を用いてなる露光ヘッドも種々提案されている。そのような発光素子アレイからなる露光ヘッドと感光材料とを相対的に移動させて副走査を行い、この感光材料に2次元画像を露光する露光装置も知られている。特許文献2には、その種の露光装置の一例が記載されている。
【特許文献1】特開平10-185684号公報
【特許文献2】特開2001-356422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、有機EL素子を発光素子とする露光ヘッドを備えた光走査装置において、前述の一般的な光量偏差補正手法を採用する場合、有機EL素子はLEDなどと比較して短寿命であり、累積発光時間に伴う輝度低下が顕著であるために、発光量が低い素子ほど劣化が早まり、発光量が高い素子ほど劣化が遅くなるという問題が生じる虞がある。
【0008】
すなわち、光量偏差補正直後はパネル全体で均一な発光特性であっても、稼動時間と共に光量偏差補正係数に依存した劣化偏差が発生し、光量ムラが増大し初期性能とは程遠い均一性となってしまう虞がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて、有機EL素子を備えた発光素子アレイと結合光学系が組み合わされてなる光走査装置において、走査面上における光量偏差を解消し、精度よく光量補正を行う光量偏差補正方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光走査装置における光量偏差補正方法は、
有機EL素子を1次元または2次元に配置した有機EL素子アレイと、該アレイから出射された光を所定の面上に結像する結像光学系とを備えた光走査装置における光量偏差穂補正方法であって、
前記各有機EL素子から出射された光の、前記所定の面上における光量を均一化するために各有機EL素子毎に定められる初期補正係数に応じたエージング条件で、前記各有機EL素子毎にそれぞれエージングを実施し、
該エージング実施の後の、前記各有機EL素子毎の前記所定の面上における光量の偏差を補正する新たな補正係数を求め、
該新たな補正係数に基づいて各有機EL素子毎の光量調整を行うことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、エージングとは、有機EL発光素子の実使用時における輝度の経時劣化をより小さくするために、実使用に先立って予め該素子を所定時間駆動させ経時劣化させておく工程のことである。
【0012】
前記新たな補正係数は、エージング実施の後に、前記各有機EL素子毎の前記所定の面上における光量を測定して求めてもよいし、前記有機EL素子の劣化特性に基づいて求めてもよい。
【0013】
有機EL発光素子は、輝度が駆動時間とともに低下することが知られている。上記「有機EL素子の劣化特性」とは、このような輝度の経時劣化(単に「経時劣化」と言うこともある)の特性である。
【0014】
前記各有機EL素子毎の前記エージング条件は、前記各有機EL素子から出射された光の、前記所定の面上における初期光量の偏差と、前記有機EL素子の平均的な劣化特性から求めてもよい。
【0015】
前記エージング条件を、各有機EL素子の駆動電流および/またはエージング時間からなるものとすることができる。
【0016】
または、前記エージング条件を、駆動電流からなるものとし、該駆動電流をIn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、平均駆動電流をIoとすると
In=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Io
としてもよい。
【0017】
または、前記エージング条件を、エージング時間からなるものとし、該エージング時間をTn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、最大稼動時間をTmax、とすると
Tn=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Tmax
としてもよい。
【0018】
さらには、前記エージング条件を、駆動電流とエージング時間の積からなるものとし、該エージング時間をTn、該駆動電流をIn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、最大稼動時間をTmax、平均駆動電流をIoとすると
Tn×In=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Tmax×Io
としてもよい。
【0019】
上記各式において、A、Bは、任意の定数である。また、0≦A≦0.4、0≦B≦0.1であることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光走査装置における光量偏差補正方法によれば、光量偏差補正係数に対応したエージングを実施した後、再度光量偏差補正を実施することで各素子の光量と劣化偏差を共に揃えることが可能となるため、装置の稼動時間依存せず初期状態の光量均一性を維持することが可能となり、より高精度な偏差補正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ここでは、光走査装置としてプリントシステム(露光装置)を例に挙げて説明する。
【0022】
図1は本発明の光量補正方法が適応されるプリントシステム5の一部破断正面図、図2はの一部破断側面図、図3はプリントシステム5の露光ヘッド1に用いられたレンズアレイ7の平面形状を示す図、図4はプリントシステム5および後述の測光検査装置50の概略構成を示すブロック図、図5は駆動回路30の詳細を示すブロック図である。
【0023】
プリントシステム5は、露光ヘッド1と、露光ヘッド1から出射した露光光2の照射を受ける位置に保持したカラー感光材料3を、図2の矢印Y方向に定速で搬送する、例えばニップローラ等からなる副走査手段4と備え、さらに、露光ヘッド1を駆動する駆動回路30と、駆動回路30に発光タイミングなどの信号を出力する発光制御部40と、装置全体を制御するシステム制御部45とを備えている。
【0024】
上記露光ヘッド1は、有機ELパネル6と、該有機ELパネル6から出射した露光光2を受ける位置に配されて、この露光光2による像をカラー感光材料3の上に等倍で結像させる屈折率分布型レンズアレイ7と、このレンズアレイ7および有機ELパネル6を保持する保持手段8(図2では省略)とを備えている。
【0025】
等倍結像レンズアレイである屈折率分布型レンズアレイ7は、その平面図である図3にも詳しく示される通り、露光光2を集光する微小な屈折率分布型レンズ7aを副走査方向Yと直交する主走査方向(矢印X方向)に多数並設してなるレンズ列が、合計2列配設されてなるものである。この屈折率分布型レンズアレイ7においては、屈折率分布型レンズ7aが千鳥配列されている。つまり、一方のレンズ列を構成する複数の屈折率分布型レンズ7aは、他方のレンズ列を構成する複数の屈折率分布型レンズ7aの間に位置するように配されている。
【0026】
本実施形態の露光装置5は、一例としてフルカラーポジ型銀塩写真感光材料であるカラー感光材料3にカラー画像を露光するもので、露光ヘッド1を構成する有機ELパネル6は、副走査方向Yに並べて配設された赤色ライン状発光素子アレイ6R、緑色ライン状発光素子アレイ6Gおよび青色ライン状発光素子アレイ6Bを備えている。これらのライン状発光素子アレイ6R、6Gおよび6Bはそれぞれ、主走査方向Xに多数の赤色有機EL発光素子、緑色有機EL発光素子および青色有機EL発光素子が並設されてなるものである。
【0027】
なお図1および図2では、上記発光素子の1つを代表的に有機EL発光素子20として示してある。各有機EL発光素子20は、ガラス等からなる透明基板10の上に、透明陽極21、発光層を含む有機化合物層22、および金属陰極23が順次蒸着により積層されてなるものである。そして、上記発光層として各々赤色光、緑色光および青色光を発するものが適用されることにより、それぞれ赤色有機EL発光素子、緑色有機EL発光素子および青色有機EL発光素子が形成されている。
【0028】
各有機EL発光素子20を構成する要素は、例えばステンレス製の缶等からなる封止部材25内に配置されている。つまり、この封止部材25の縁部と透明基板10とが接着され、乾燥窒素ガスが充填された封止部材25内に有機EL発光素子20が封止されている。
【0029】
上記構成の有機EL発光素子20において、金属陰極23と、それを横切るように延びる透明陽極21との間に電圧が印加されると、電圧が印加された両電極の交差部分毎に有機化合物層22に電流が流れ、そこに含まれる発光層が発光する。この発光光は透明陽極21および透明基板10を透過して、露光光2として素子外に出射する。
【0030】
発光制御部40は、発光タイミング制御回路41と、階調変換用LUT42と、光量補正回路43と、光量補正係数メモリ44を備え、システム制御部45から送られる画像データを、階調変換用LUT42に基づいて感光材料の特性に合せた目標露光量に変換し、光量補正回路43において、光量偏差補正演算を行い、各発光素子毎の発光時間を求めて駆動回路30に出力する。光量偏差補正演算は、光量補正係数メモリ44に記憶されている各発光素子毎の光量補正係数と目標露光量を乗算して各発光素子毎の発光時間を求める演算である。駆動回路30では入力された発光時間に対応した駆動を行う。
【0031】
ライン状発光素子アレイ6R、6Gおよび6Bは、駆動回路30によって駆動される。駆動回路30は、走査電極となる金属陰極23を所定の周期で順次ON状態に設定する陰極ドライバー31と、信号電極となる透明陽極21をフルカラー画像を示す画像データDに基づいてON状態に設定する陽極ドライバー32とを備えてなるものであり、ライン状発光素子アレイ6R、6Gおよび6Bをいわゆるパッシブマトリクス(passive matrix)線順次選択駆動方式により駆動する。この駆動回路30の動作は、上記画像データDを補正してデータD′として出力する上述の発光制御部40によって制御される。
【0032】
図5は、有機ELアレイを駆動する駆動回路30のブロック図であり、一例として、陽極480ch、陰極3chのパッシブマトリクス用の定電流駆動、PWM変調方式有機ELドライバーの例を示している。なお、図5において、陰極ドライバー31および陽極ドライバー32は、それぞれ3ch、480ch備えているが、それぞれ1つの駆動制御部のみを示している。
【0033】
陽極480chは主走査方向発光素子に対応し、陰極3chはRGB3色の発光素子列に対応し、駆動回路30においては、1つの陰極を選択した状態で陽極を定電流で駆動しPWMにより各素子の発光時間を制御する。
【0034】
シフトレジスタ33にはシリアルロードクロックSR CLK並びに8ビットデータ信号Dataが入力されるとともに、シリアルロード信号SR Loadが入力される。このとき、1つの陰極(例えば、R2)を駆動中に、次の陰極(例えば、R3)用の480素子分の発光時間データをSR CLK信号に同期した8ビットデータ信号Dataとしてシフトレジスタ33に蓄積する。
【0035】
シフトレジスタ33に蓄積された発光時間データはSR Load信号が入力される毎に、480素子に関する発光時間データがPWM回路34へ転送される。
【0036】
8bitPWM回路34ではPWM CLK信号により上記480素子分の発光時間データを256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換し陽極ドライバー32に入力する。この信号を受けて陽極ドライバー32により各発光素子が定電流パルス駆動される。
【0037】
陽極ドライバー32は、480本の透明電極21の各々に個別に接続する駆動制御部を有している。駆動制御部は、定電流源、該定電流源と透明陽極とを接続するスイッチング部から構成されている。
【0038】
駆動回路30のタイミング発生回路36には、PWM CLKが入力され、この信号に基づいて電流電圧設定部35およびラインカウンタ・デコーダ部37の動作を制御する。
【0039】
陰極ドライバー31は図5に示すように、3本の金属陰極23の各々に個別に接続するラインに介設されたスイッチング部R1、R2およびR3を有している。またこの陰極ドライバー31には、図5に示すように、タイミング発生回路36からの信号を受けるラインカウンタ・デコーダ37が接続されている。この陰極ドライバー31は、ラインカウンタ・デコーダ部37からの信号に基づいて金属陰極23を順次駆動するように制御する。
【0040】
なお陰極ドライバー31および陽極ドライバー32による駆動電流並びに駆動電圧の設定は、基本的に電流電圧設定部35からの出力に基づいて制御される。
【0041】
以下、上記構成を有するプリントシステム5の作動について説明する。なおここでは、ライン状発光素子アレイ6R、6Gおよび6Bの主走査方向画素数、つまり透明陽極21の並設数は460である。カラー感光材料3に画像露光する際、このカラー感光材料3は副走査手段4によって矢印Y方向に定速で搬送される。またこのカラー感光材料3の搬送と同期させて、前述した駆動回路30の陰極ドライバー31により、3本の金属陰極23の中の1つが順次ON状態に選択される。
【0042】
このようにして第1番目の金属陰極23、つまり赤色ライン状発光素子アレイ6Rを構成する金属陰極23が選択されている期間内に、駆動回路30の陽極ドライバー32は第1,2,3・・・460の各透明陽極21を、第1主走査ラインの第1,2,3・・・460番目の画素の赤色濃度を示す画像データDに対応した時間(該時間には補正がかけられるが、それについては後述する)、定電流源に接続する。それにより該透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に、画像データに対応したパルス幅の電流が流れ、該有機化合物層22から赤色光が発せられる。
【0043】
こうして赤色ライン状発光素子アレイ6Rから発せられた赤色光である露光光2は、レンズアレイ7によってカラー感光材料3上に集光され、それにより、カラー感光材料3上において第1主走査ラインを構成する第1,2,3・・・460番目の画素が赤色光で露光され、赤色に発色する。
【0044】
次に第2番目の金属陰極23、つまり緑色ライン状発光素子アレイ6Gを構成する金属陰極23が選択されている期間内に、駆動回路30の陽極ドライバー32は第1,2,3・・・460の各透明陽極21を、第1主走査ラインの第1,2,3・・・460番目の画素の緑色濃度を示す画像データに対応した時間、定電流源に接続する。それにより該透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に、画像データに対応したパルス幅の電流が流れ、該有機化合物層22から緑色光が発せられる。
【0045】
こうして緑色ライン状発光素子アレイ6Gから発せられた緑色光である露光光2は、レンズアレイ7によってカラー感光材料3上に集光され、それにより、カラー感光材料3上において第1主走査ラインを構成する第1,2,3・・・460番目の画素が緑色光で露光され、緑色に発色する。なお、カラー感光材料3が前述のように定速搬送されているので、上記緑色光は、該カラー感光材料3の既に赤色光で露光されている部分の上に照射される。
【0046】
次に第3番目の金属陰極23、つまり青色ライン状発光素子アレイ6Bを構成する金属陰極23が選択されている期間内に、駆動回路30の陽極ドライバー32は第1,2,3・・・460の各透明陽極21を、第1主走査ラインの第1,2,3・・・460番目の画素の青色濃度を示す画像データに対応した時間、定電流源に接続する。それにより該透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に、画像データに対応したパルス幅の電流が流れ、該有機化合物層22から青色光が発せられる。
【0047】
こうして青色ライン状発光素子アレイ6Bから発せられた青色光である露光光2は、レンズアレイ7によってカラー感光材料3上に集光され、それにより、カラー感光材料3上において第1主走査ラインを構成する第1,2,3・・・460番目の画素が青色光で露光され、青色に発色する。なお、カラー感光材料3が前述のように定速搬送されているので、上記青色光は、該カラー感光材料3の既に赤色光および緑色光で露光されている部分の上に照射される。以上の工程により、カラー感光材料3の上には、第1番目のフルカラーの主走査ラインが露光、記録される。
【0048】
以下は同様の操作が繰り返されて第2番目のフルカラーの主走査ラインが露光され、さらにそのようなカラー主走査ラインが副走査方向Yに次々と並べて露光され、カラー感光材料3上に多数の主走査ラインからなる2次元カラー画像が露光される。なお本実施形態では、上述した通り各色露光光がパルス幅変調されて、それらの発光量が画像データに対応して制御され、それによりカラーの階調画像が露光される。
【0049】
次に、有機EL発光素子20の発光特性バラツキや、レンズアレイ7による光量偏差によって、露光画像に前述のような筋ムラが発生することを防止する本発明の光量偏差補正方法について説明する。
【0050】
まず、光量偏差補正を行うにあたって、各素子の露光量を測定するための測光検査装置50および測光方法について説明する。測光検査装置50の概略構成は、図4に、プリントシステムのブロック図と併せて示している。図6および7はそれぞれ、測光検査装置50の測光手段55正面形状および平面形状を示すものである。図4に示すように、測光検査装置50は、測光手段55と、該測光手段55による測光タイミングを制御する測光タイミング制御回路56と、測光手段55からの信号を増幅する増幅器57と、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ58と、光量補正データを求める演算を行うCPU59を備えている。また、図6および図7に示すように、測光手段55は、画像露光時にカラー感光材料3が配される位置と同じ位置に配される受光器51と、この受光器51を保持してガイド52に装荷された移動手段53と、受光器51の受光面の一部のみが覗く状態に該受光面を覆う遮光部材54とを備えてなるものである。
【0051】
上記移動手段53は、ガイド52に沿ってレンズアレイ7のレンズ7aの並び方向に間欠移動可能に形成されている。また本例において、各ライン状発光素子アレイ6R、6Gおよび6Bの有機EL発光素子20の主走査方向並びピッチ(以下、素子ピッチという)は100μmであり、それに対して移動手段53の間欠移動のピッチ(測光ピッチ)はその5μmである。また遮光部材54は、移動手段53の移動方向と直角な方向に延びる細長いスリット54aを有し、このスリット54の部分のみにおいて受光器51の受光面を露出させる。またこのスリット54aの幅すなわち測光開口長は、上記測光ピッチと同じ5μmとされている。
【0052】
測光処理に際しては、先ず移動手段53がガイド52の一端側に配置されるプリントシステム5のシステム制御部45から光量補正動作を実施するパルス幅に対応する画像データを送る。このとき、光量補正係数は全て1に設定し、主走査方向に並ぶ1ライン上の全素子を同一発光パルス幅で発光させる。例えば、赤色ライン状発光素子アレイ6Rの全部の有機EL発光素子20が、共通の発光指令信号に基づいて一定の電流が供給されることにより、一律点灯される。次いで移動手段53が上述のように間欠移動し、停止する毎に受光器51により、レンズアレイ7から出射した光の光量が測定される。なお、測光は各ライン毎に行われ、緑色ライン状発光素子アレイ6G、青色ライン状発光素子アレイ6Bについても同様の手順で各素子の光量が測定される。
【0053】
図4に示した測光検査装置50のCPU59においては、測光手段55の受光器51から入力された光量測定信号を、各有機EL発光素子20毎に、その並びピッチ10と等しい区間(100μm)幅について積分する。具体的に本実施形態では、1つの有機EL発光素子20について、その素子中心から主走査方向一方側に10点、他方側に10点の合計20個の測光点に関する測定光量を合計し、それに1/20を乗じた平均値(移動平均値)を求める。
【0054】
なおこの場合、有機EL発光素子20の中心位置を正確に求める必要はなく、あくまでも上記20個の測定点が当該有機EL発光素子20の中心から左右に10点ずつ分布したものであることが確認できればよい。そのためには例えば、光量の極大値が測定された測定点Aと、その測定点の2つの隣接測定点のうち測定光量がより大である方の測定点Bとの間に発光素子中心が存在するとみなし、測定点Aから発光素子中心と反対側に10点(測定点Aを含む)および、測定点Bから発光素子中心と反対側に10点(測定点Bを含む)の合計20点に関する測定光量を移動平均値の算出に供すればよい。
【0055】
なお、1回の発光パルスの積分値よりも、複数回の発光パルスを積分した方が測光精度を高くすることができる。
【0056】
この積分光量は露光量に相当する値であり、CPU59において、積分光量の偏差を補正するための光量補正データを求めプリントシステム5へ転送する。
【0057】
なお、上述のように受光器51を間欠移動させて測光する代わりに、図8に示すように、細長い受光素子61が有機EL発光素子20の並び方向に並設されてなる受光素子アレイ60を用いることもできる。その場合は受光素子61の幅が測光開口長となり、受光素子61の配置ピッチが測光ピッチとなる。
【0058】
上記測光検査装置を用いた測光を利用し、本プリントシステムにおいては、以下の手順で光量偏差補正がなされる。
【0059】
まず、上述の測光検査装置50により、各素子毎の露光面上における光量を測定する。
【0060】
システム制御部45においては、測光検査装置50から転送された光量補正データに基づいて、各素子20ごとの初期補正係数を求め、さらに該初期補正係数に応じた各素子毎のエージング条件を求める。そして、各素子毎に求められたエージング条件でエージングを実施する。
【0061】
その後、再度、測光検査装置により、各素子の露光面上における光量を測定し、測光検査装置で求められたエージング実施後の新たな光量補正データがシステム制御部45に転送される。
【0062】
システム制御部では、この新たな光量補正データに基づいて、各素子毎に新たな補正係数を求め、この新たな補正係数を各有機EL発光素子20と対応させて発光制御部40の光量補正係数メモリ44に記憶させる。
【0063】
既述したとおり、発光制御部40は、画像データDに基づいて画像露光を行うとき、有機EL発光素子20を発光させるための画像データDに、その有機EL発光素子20に関する上記新たな補正係数を乗じて、補正データD′とする。そこで駆動回路30にはこの補正データD′が入力され、各有機EL発光素子20はこの補正データD′に基づいて発光量が制御される。
【0064】
このようにして、各発光素子毎に新たな補正係数に基づく光量補正処理がなされる。そこで、画像露光時のライン状発光素子アレイ6R、6Gおよび6Bの各有機EL発光素子20の発光量は光量偏差特性を解消するように補償され、光量偏差特性によって露光画像に筋ムラが発生することが防止される。
【0065】
次に、具体的な光量補正方法について説明する。まず、有機EL素子20として、図9に示すような劣化特性を持つ有機EL素子(1)を備えた発光素子アレイの光量偏差補正について説明する。
【0066】
製造技術の改善により近年では、同一パネル内の各有機EL素子の劣化特性は安定しているため、ここでは、発光素子アレイの各有機EL素子アレイは概ね図9に示す劣化特性を持つとみなすことができる。しかし、有機EL素子の発光効率偏差、結像光学系の影響で露光面上での各素子光量は不均一となるこのため光量偏差補正により各素子の駆動条件を変化させパネル内全素子の発光量を均一化させる必要がある。
【0067】
ここでは、各有機EL素子の光量偏差補正は発光時間の調整で実施するものとする。発光時間で光量偏差を補正する場合、低光量素子の発光時間を延長する方法では装置のプリント能力を低下させるため実用的ではないため、本例においては、高光量素子の発光時間を短縮し低光量素子の露光量に合わせるものとする。すなわち、低光量素子の発光時間を1とし、高光量素子の発光時間を1より小さくすることにより低光量素子の露光量に合わせるように発光時間調整を実施することで、初期状態での光量偏差は補正することができる。
【0068】
例えば、初期露光量測定時の露光面光量が平均より20%小さい素子を素子1、露光面光量が平均的素子を素子2、露光面光量が平均より20%大きい素子を素子3とし、標準発光時間をToとすると、光量偏差補正後における各素子の発光時間Tn(n=1,2.3)は、それぞれ
T1=To、T2=0.8×To、T3=0.67×To
となるように発光時間調整がなされる。
【0069】
しかしながら、このように、発光時間の長短により光量偏差補正を実施する場合、各素子毎で累積発光時間が異なることとなり、全体として素子毎の累積発光時間の不均一性が発生する。すなわち、プリンタの稼動期間中、常に同じ補正係数で発光制御されるため、光量偏差補正を行うために生じる累積発光時間が、発光量が低い素子ほど長く、発光量が高い素子ほど短くなり、発光量が低い素子ほど劣化が早く、発光量が高い素子ほど劣化が遅くなる。したがって、光量偏差補正直後はパネル全体で均一な発光特性であっても、稼動時間と共に光量偏差補正係数に依存した劣化偏差が発生するのである。
【0070】
すなわち、装置稼動後の各素子の劣化特性に光量補正に依存した偏差が生じてしまう。素子1の累積発光時間が100時間の時、素子2の累積発光時間は80時間、素子3の累積発光時間は67時間となり、累積発光時間が異なるため劣化による輝度低下率も異なってくる。
【0071】
図10は、素子1〜素子3の累積稼動時間差による輝度低下の差(光量偏差)を示すものである。これを装置駆動時間でプロットし直すと、図11のようになる。図11は、上述の光量補正後に生じる劣化偏差を示すものである。
【0072】
図11から、稼動時間が長くなるに従い3素子間の露光量の差が拡大していくことが分かる。すなわち光量偏差補正係数に依存した劣化偏差が発生し、稼動時間が経つにつれ光量偏差補正の効果が減少し、抑制されていたレンズ直径周期ムラが発生してしまうのである。
【0073】
そこで、上記問題を解消するため、本発明の光量偏差補正方法においては、まずエージングによる劣化特性補正を行う。
【0074】
有機EL素子の劣化特性は初期低下が最も変化が大きく、発光時間が長くなるにつれ変化は緩やかとなる。エージングは、発光素子の実使用時における輝度の経時劣化をより小さくする(寿命特性改善)のために、実使用に先立って予め該素子を所定時間駆動させ、経時劣化させる工程である。
【0075】
このとき、光量偏差補正係数に応じて各素子毎にエージング条件を設定し、劣化特性を予め変化させることにより、累積稼動時間によらず初期状態での光量偏差補正効果を維持させる。
【0076】
光量偏差補正は最も光量の小さい素子の発光量に他素子の発光量を揃える操作であり各素子1〜3の光量偏差補正係数Pn(n=1,2,3)は
P1=1.00、 P2=0.80、 P3=0.67
となる。
【0077】
エージング条件は駆動時間からなるものとし、エージング時間をTn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、最大稼動時間をTmax、とすると、最も光量偏差補正係数が小さい素子(最も光量が大きい素子)に対する対象素子nの光量偏差補正係数の比(Pn/Pmin)によって下記式により決定する。最大駆動時間は、プリントシステムにおける露光ヘッドの最大駆動時間であり、装置寿命のプリント枚数に相当する累積発光時間である。
【0078】
Tn=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Tmax ・・・(a)
エージング係数A=0.4、B=0とし、
素子nのエージング時間Tn=0.4×(Pn/Pmin−1)×最大稼動時間
とする。
【0079】
この条件により求まる各素子のエージング時間は、
素子1エージング時間T1=0.20×最大稼動時間
素子2エージング時間T2=0.08×最大稼動時間
素子3エージング時間T3=0
である。
【0080】
上記の条件でエージングを実施した後の劣化特性では、図12に示すように、各素子間の輝度低下率をほぼ一致させることができる。なお、ここでは説明の簡易のため素子1〜3の3個の素子の場合について説明したが、実際には、1ライン分の各素子毎に上記のようなエージング条件を設定し、エージングを行う。
【0081】
図12に示すように、エージングにより、劣化特性の曲線は各素子毎に一致するが、一方、エージング時間が長い素子では初期輝度が低下してしまうため、最初に求めた光量偏差補正のための補正係数で光量補正を行うと走査面上における露光量は不均一となる。そこで、再度光量偏差補正を実施する。
【0082】
再び、各素子毎の露光面上における露光量を測光手段55を用いて求め、該測光検査装置50から転送されたエージング後の光量補正データに基づいてシステム制御部45においては、該露光量が均一となるような新たな補正係数を求める。
【0083】
図13は、エージング後に新たな補正係数を用いて光量補正を実施した場合の輝度変化を示すグラフである。
【0084】
以上の説明のように、光量偏差補正係数に対応したエージングを実施した後、再度光量偏差補正を実施することで各素子の光量と劣化偏差を共に揃えることが可能となる。
【0085】
厳密に考えると2回目の光量偏差補正により各素子の補正係数が変化するため、上記エージングと光量偏差補正を何サイクルか繰返すことが必要となるが、実質的には1サイクルの補正作業でも効果は十分得ることができる。
【0086】
なお、露光階調表現がPWM(パルス幅変調)の場合、プリント画像により各素子の発光時間が異なるが、色々な画像をプリントすることにより画像依存の発光時間差は平均化され、素子間では累積発光時間偏差は小さく問題とはならない。
【0087】
有機ELの劣化特性は、その材料と製法で決まるため、種類ごとにエージング係数は異なる。図9に示した劣化特性(1)とは異なる劣化特性を有する素子(2)の場合について図14〜図17を参照して説明する。
【0088】
図14は、素子(2)の劣化特性を示すものである。図15は、光量偏差補正後の劣化偏差を示すものである。
【0089】
この素子(2)でのエージング条件は、上記(a)式において、A=0.1、B=0.01として、素子nのエージング時間Tnは、
Tn=(0.1×(P1/Pmin−1)+0.01)×Tmax
で求められる。
【0090】
図16は、上記条件でエージングを行った後の劣化偏差を示すものである。
【0091】
その後、各素子毎の光量偏差を再度求め、各素子毎の新たな光量偏差補正係数を求めて光量偏差補正を行う。図17は、新たな光量偏差補正係数により補正を行った場合の劣化偏差を示すものである。
【0092】
この場合も、同様に、光量偏差補正係数に対応したエージングを実施した後、再度光量偏差補正を実施することで各素子の光量と劣化偏差を共に揃えることが可能となる。
【0093】
なお、エージング係数A,Bは有機EL素子の種類毎に予め平均的な劣化特性を求めることが必要であるが、本発明者がいくつかの種類の有機EL素子で実験した結果では、素子nのエージング時間Tnは、
Tn=(A×(P1/Pmin−1)+B)×Tmax
とした場合、0≦A≦0.4、0≦B≦0.1の範囲でそれぞれ最適条件が得られた。
【0094】
また上記画像データDは、前述した通り有機EL発光素子20の発光時間を制御するデータであるが、画像データDに基づいて有機EL発光素子20の駆動電圧や駆動電流を制御することによって有機EL発光素子20の発光量を制御することも可能であり、本発明はそのような場合に適用することもできる。
【0095】
また、同様にエージング条件も駆動時間による条件のみならず、駆動電流により定めてもよい。その場合、対象素子nの駆動電流をIn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、平均駆動電流をIoとすると
In=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Io
により求められた駆動電流でエージングを行う。この場合、エージング駆動時間は一定とする。
【0096】
また、有機ELの劣化特性は駆動電流と発光時間の積で決まるため、両者の積によるエージング条件を求めてもよい。すなわち、各素子毎のエージング条件設定は対象素子nのエージング時間をTn、エージング電流をIn、最大稼動時間をTmax、稼動時平均電流をIoとすると
In×Tn=(A×(P1/Pmin−1)+B)×Io×Tmax
0≦A≦0.4、0≦B≦0.1
として求めてもよい。
【0097】
なお、素子寿命が短く光量偏差補正での測定期間中の輝度低下が懸念されるような場合は、全素子共通条件で初期エージングを行った後に、さらに本発明の補正方法による光量補正連動のエージングを行ってもよい。
【0098】
なお、新たな補正係数は、各素子毎の光量を測定することなく、有機EL素子の劣化特性に基づいて求めるものとしてもよい。
【0099】
なお、上述のような各有機EL発光素子20毎の初期補正係数に基づいたエージング後にさらに新たな補正係数を求める本発明の光量偏差補正処理は、例えばプリントシステムを工場から出荷する前に行い、それを各有機EL発光素子20と対応を取って発光制御部40内の光量補正係数メモリ44に前記新たな補正係数を記憶させておき、プリントシステムを実使用する際にその補正係数に基づいて画像データDの補正を行うようにようにすればよい。また、測光検査装置50をプリントシステムの一部として組み込んでおき、プリントシステムが実使用に供されるようになってからも、適宜の時間間隔で補正係数を求める処理を行い、記憶されている補正係数を逐次新しいものに変更して行くようにしてもよい。
【0100】
なお、上記実施の形態においては、プリントシステムにおける露光ヘッドの光量偏差補正方法として説明したが、本発明の効果は露光ヘッドに限定されるものではなく表示装置においても本光量偏差補正方法を採用することにより表示均一性を長期間維持するという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態を適用するプリントシステムの一部破断正面図
【図2】上記プリントシステムの一部破断側面図
【図3】上記プリントシステムおけるライン状発光素子アレイの配置状態を示す部分平面図
【図4】プリントシステムおよび測光検査装置の概略構成を示すブロック図
【図5】駆動回路のブロック図
【図6】露光ヘッドからの光を測定する測光手段の正面図
【図7】上記測光手段の平面図
【図8】測光手段の別の例を示す平面図
【図9】素子の劣化特性(1)を示すグラフ
【図10】累積発光時間差による光量低下率を示すグラフ
【図11】光量補正後の劣化偏差(1)を示すグラフ
【図12】エージング後の劣化偏差(1)を示すグラフ
【図13】エージング後に再度光量補正を実施した場合の劣化特性(1)を示すグラフ
【図14】素子の劣化特性(2)を示すグラフ
【図15】光量補正後の劣化偏差(2)を示すグラフ
【図16】エージング後の劣化偏差(2)を示すグラフ
【図17】エージング後に再度光量補正を実施した場合の劣化特性(2)を示すグラフ
【符号の説明】
【0102】
1 露光ヘッド
2 露光光
3 カラー感光材料
4 副走査手段
5 プリントシステム
6 有機ELパネル
6R 赤色ライン状発光素子アレイ
6G 緑色ライン状発光素子アレイ
6B 青色ライン状発光素子アレイ
7 屈折率分布型レンズアレイ
7a 屈折率分布型レンズ
20 有機EL発光素子
21 透明陽極
22 有機化合物層
23 金属陰極
30 駆動回路
40 発光制御部
45 システム制御部
50 測光検査装置
51 受光器
52 ガイド
53 移動手段
54 遮光部材
55 測光手段
60 受光素子アレイ
61 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL素子を1次元または2次元に配置した有機EL素子アレイと、該アレイから出射された光を所定の面上に結像する結像光学系とを備えた光走査装置における光量偏差補正方法であって、
前記各有機EL素子から出射された光の、前記所定の面上における光量を均一化するために各有機EL素子毎に定められる初期補正係数に応じたエージング条件で、前記各有機EL素子毎にそれぞれエージングを実施し、
該エージング実施の後の、前記各有機EL素子毎の前記所定の面上における光量の偏差を補正する新たな補正係数を求め、
該新たな補正係数に基づいて各有機EL素子毎の光量調整を行うことを特徴とする光量偏差補正方法。
【請求項2】
前記新たな補正係数を、前記エージング実施の後に、前記各有機EL素子毎の前記所定の面上における光量を測定して求めることを特徴とする請求項1記載の光量偏差補正方法。
【請求項3】
前記新たな補正係数を、前記有機EL素子の劣化特性に基づいて求めることを特徴とする請求項1記載の光量偏差補正方法。
【請求項4】
前記各有機EL素子毎の前記エージング条件を、前記各有機EL素子から出射された光の、前記所定の面上における初期光量の偏差と、前記有機EL素子の平均的な劣化特性から求めることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の光量偏差補正方法。
【請求項5】
前記エージング条件が、各有機EL素子の駆動電流および/またはエージング時間からなることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の光量偏差補正方法。
【請求項6】
前記エージング条件が、駆動電流からなり、駆動電流をIn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、平均駆動電流をIoとすると
In=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Io
により求めることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の光量偏差補正方法。
【請求項7】
前記エージング条件が、エージング時間からなり、エージング時間をTn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、最大稼動時間をTmax、とすると
Tn=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Tmax
により求めることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の光量偏差補正方法。
【請求項8】
前記エージング条件が、駆動電流とエージング時間の積からなり、エージング時間をTn、駆動電流をIn、光量偏差補正係数をPn、最も光量の大きい素子の光量偏差補正係数をPmin、最大稼動時間をTmax、平均駆動電流をIoとすると
Tn×In=(A×(Pn/Pmin−1)+B)×Tmax×Io
により求めることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の光量偏差補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−289721(P2006−289721A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111968(P2005−111968)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】