説明

光走査装置の固定機構及び画像形成装置

【課題】ハウジングの熱変形に起因する光ビームの位置ずれを抑止すると共に、組立作業性を向上する。
【解決手段】光ビームを射出して走査すると共に外部のフレームF1,F2に対して固定される光走査装置の固定機構300であって、フレームF1,F2に形成される貫通孔103〜105と、ハウジング200の両端に設置されると共にフレームF1,F2に形成された貫通孔103〜105に対して挿通可能な突出ピン100〜102と、ハウジング200を一方向に付勢する付勢手段106とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査装置の固定機構及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機や複合機等の画像形成装置に組み込まれている画像形成ユニットの主要な構成要素である光走査装置は、内部で光ビームが導光されるハウジングを備えており、このハウジングが画像形成装置の筐体内部に設置されたフレームに固定されることによって支持されている。
例えば、特許文献1では、ハウジングは、フレームにネジ部を備えた基準ピンを用いてネジ止めで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−220072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハウジングには、内部には光ビームを走査するためのポリゴンモータ等の発熱部品が収容されている。このため、発熱部品の発熱によってハウジングが変形を受けることを避けることができないが、ハウジングがフレームにネジ止め等で固定されていて熱変形を逃すことができないと、局所的に大きな熱変形が生じてしまう。ハウジングにこのような熱変形が生じると、走査線の位置ずれが発生し、印刷品質の低下を来たす虞がある。
また、従来のハウジングは、上述のように、光走査装置のハウジングがフレームにネジ止めで固定されているため、組立作業の効率が悪く、さらに、専門知識を有する作業員でないと光走査装置の交換ができないという欠点があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ハウジングの熱変形に起因する光ビームの位置ずれを抑止すると共に、組立作業が容易で、ユーザ自身でも光走査装置の交換を可能することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
第1の発明は、光ビームを射出して走査すると共に外部のフレームに対して固定される光走査装置の固定機構であって、上記フレームに形成される貫通孔と、上記ハウジングの両端に設置されると共に少なくともいずれかが上記フレームに形成された貫通孔に対して挿通可能な突出ピンと、上記ハウジングを一方向に付勢する付勢手段とを備えるという構成を採用する。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記突出ピンの径が、上記貫通孔に対して上記突出ピンが斜め方向から挿入可能に設定されているという構成を採用する。
【0009】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記付勢手段が、上記フレームと上記ハウジングとの間に介在されるバネ部材であるという構成を採用する。
【0010】
第4の発明は、上記第1または第2の発明において、上記付勢手段が、上記突出ピンの先端に嵌合する位置決めピンと、上記位置決めピンが設置される板部材と、上記板部材を引っ張るバネ部材とを備えるという構成を採用する。
【0011】
第5の発明は、上記第1または第2の発明において、前記付勢手段が、フレームに対して固定される板部材と、前記板部材を抜けて前記ハウジングと固定されるヘッダーピンと、前記ヘッダーピンのヘッドと前記板部材との間に介在されて前記ヘッダーピンを前記板部材から離間する方向に付勢する弾性部材とを備えるという構成を採用する。
【0012】
第6の発明は、上記第5の発明において、前記板部材が、前記突出ピンが嵌合可能な嵌合孔を備えるという構成を採用する。
【0013】
第7の発明は、光ビームを射出すると共に走査する光走査装置と、上記光ビームが照射されることにより静電潜像が形成される感光体と、上記静電潜像を現像することでトナー像を形成する現像装置とを備える画像形成装置であって、上記光走査装置が、上記第1〜第6いずれかの発明である光走査装置の固定機構によって固定されているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、突出ピンを貫通孔に対して挿通し、この状態で付勢手段によってハウジングを一方向に付勢することによって、ハウジングの位置決め及び支持を行う。つまり、本発明においては、ハウジングをフレームに対して強固に固定しておらず、ハウジングに付勢手段から受ける付勢力を上回る力が作用した場合には、ハウジングの変形あるいは変位が許容される。
したがって、本発明によれば、ハウジングに局所的な熱変形が生じないので、走査線の位置ずれの発生がなくなり、印刷品質の低下を防止することができる。
【0015】
加えて、本発明によれば、付勢手段によってハウジングが一方向に付勢されることで、ハウジングの位置決め及び支持が行われるため、組立て時にハウジングを大よその位置に配置すれば、その後は付勢手段の付勢力によってハウジングを正確な位置に位置決めすることができる。また、ハウジングがフレームに対して強固に固定されていないため、その脱着も容易である。
したがって、本発明によれば、光走査装置の組立作業性を向上し、専門知識を有する作業員でなくとも、ユーザ自身で光走査装置の交換を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態における複写機の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における複写機が備えるレーザスキャニングユニットの下面図である。
【図3】図2のX−X線拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における複写機が備えるレーザスキャニングユニットの下面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における複写機が備えるレーザスキャニングユニットの側面を含む斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態における複写機が備えるレーザスキャニングユニットとフレームとを含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る光走査装置の固定機構及び画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明においては、本発明の画像形成装置の一例として複写機を挙げて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の複写機Pの概略構成を示す断面図である。この図に示すように、本実施形態の複写機Pは、原稿の画像を読み取る画像読取部1と、読み取った画像データに基づいて記録紙(記録媒体)に印刷を行う印刷部2とを備えている。
【0019】
画像読取部1は、原稿の画像に光を照射し、その反射光を受光することによって原稿の画像を画像データとして読み取るものであり、原稿に光を照射する光源装置や原稿からの戻り光を受光して画像データに変換する受光センサ等を備えている。
【0020】
印刷部2は、ベルトユニット6と、画像形成ユニット7と、給紙カセット8と、給紙トレイ9と、二次転写部10と、定着部11と、排紙トレイ12と、搬送路13とを備えている。
【0021】
ベルトユニット6は、画像形成ユニット7において形成されるトナー画像が転写され、この転写されたトナー画像を搬送するものであり、画像形成ユニット7からトナー画像が転写される中間転写ベルト61と、中間転写ベルト61を架設すると共に無端回送させる駆動ローラ62と、従動ローラ63と及びテンションローラ64を備えている。
中間転写ベルト61は、駆動ローラ62、従動ローラ63及びテンションローラ64に張架される構成となっている。
駆動ローラ62は、モータ等の駆動源を有する駆動部に接続され、中間転写ベルト61に対しグリップ力を付与しつつ回走させるものである。
従動ローラ63は、駆動ローラ62の回転駆動に従動して回転駆動するものである。
テンションローラ64は、駆動ローラ62の回転駆動に従動して回転駆動する従動ローラの一種であり、バネ機構を有して中間転写ベルト61にテンションを与えるものである。
また、ベルトユニット6には、不図示のクリーニング部が併設されており、中間転写ベルト61に残留したトナー等を除去する構成となっている。
【0022】
画像形成ユニット7は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応して設けられており、各色のトナー画像を形成するものである。そして、これらの画像形成ユニット7は、中間転写ベルト61に沿って配列されている。
【0023】
各画像形成ユニット7は、感光体71と、帯電器72と、レーザスキャニングユニット(光走査装置)73と、現像装置74と、一次転写ローラ75と、クリーニング装置76及び不図示の除電装置等とを有する。
感光体71は、円柱に形状設定され、その周面に静電潜像及び当該静電潜像に基づくトナー像が形成されるものである。帯電器72は、感光体71に対して対向配置され、感光体71の周面を帯電状態とするものである。レーザスキャニングユニット73は、印刷形式の画像データに基づいて射出されるレーザ光を帯電状態の感光体71の周面において走査するものである。現像装置74は、感光体71の周面に対してトナーを供給することによって感光体71の周面上に静電潜像に基づくトナー像を現像するものである。一次転写ローラ75は、中間転写ベルト61を挟んで感光体71と対向配置され、感光体71に現像されたトナー像を中間転写ベルト61に一次転写するものである。クリーニング装置76は、一次転写の後に感光体71上に残留したトナーを除去するものである。
【0024】
給紙カセット8は、装置本体に対して引き出し自在であり、記憶紙を収容するものである。給紙トレイ9は、装置本体に対して開閉自在であり、記憶紙を収容するものである。
二次転写部10は、中間転写ベルト61上に形成された画像を記憶媒体に二次転写するものであって、中間転写ベルト61を駆動させる駆動ローラ62と、中間転写ベルト61を挟んで該駆動ローラ62と対向配置される二次転写ローラ10aとから構成されている。
定着部11は、記憶媒体上に二次転写されたトナー像を記録紙に定着させるものであり、加圧及び加熱することによりトナー像を記録紙に定着させる加熱ローラを備える。
搬送路13は、給紙カセット8から記憶紙を搬出するピックアップローラ13a、記憶媒体を搬送する給紙ローラ13b、排紙トレイ12に記憶媒体を排紙する排紙ローラ13c等を備える。
【0025】
このような構成を有する本実施形態の複写機Pは、上述のように、画像読取部1において画像データを取得し、さらに印刷部2が当該画像データに基づいて記録紙に印刷を行う。
【0026】
次に、本実施形態の複写機Pにおけるレーザスキャニングユニット(LSU)73について、図2を用いて説明する。この図2は、レーザスキャニングユニットの概略構成を示す斜視図であって、上カバーを外した状態にある。
なお、各レーザスキャニングユニット73は、同一構成であるため、以下の説明においては、1つのレーザスキャニングユニット73のみについて説明する。
【0027】
レーザスキャニングユニット73は、ハウジング200を備えている。このハウジング200は合成樹脂製で、内部に所定容積の空間を備えた中空体に成形されている。また、ハウジングの内部には、光ビーム発生器、ポリゴンミラーと、ポリゴンモータと、光学素子等が設置されている。そして、レーザスキャニングユニット73は、光ビーム発生器から射出された光ビームをハウジング内部で導光して射出しつつ当該光ビームを感光体71上で走査する。
なお、レーザスキャニングユニット73から射出された光ビームが感光体71に照射されることによって、感光体71に静電潜像が形成される。
【0028】
以下、図2を用いて、レーザスキャニングユニット73の固定機構300について説明する。図2は、図1のレーザスキャニングユニット73を感光体71側から見たときの下面図に当り、図1における紙面の前後にそれぞれ位置して設けられている一対のフレームF1,F2(図1では不図示)間に取り付けられた状態を示している。これら一対のフレームF1,F2は、複写機Pの筐体の内部に所定の間隔を保って平行に設けられている
【0029】
レーザスキャニングユニット73のハウジング200のフレームF1,F2への取り付けは、3本の突出ピン100〜102と、3個の貫通孔103〜105と、バネ部材106とを用いて行なわれる。
つまり、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構300は、突出ピン100〜102と、貫通孔103〜105と、バネ部材106とを有して構成されている。
【0030】
3本の突出ピン100〜102のうち、2本の突出ピン100,101は、ハウジング200の両側面の一方の側面(図2においては右側面)に所定の間隔を保って設けられ、残りの1本の突出ピン102は、ハウジング200の他方の側面で、2本の突出ピン100,101のうちの一本の突出ピン(図示の例では突出ピン100)と同軸となるように設けられている。
これら3本の突出ピン100〜102の長さは、全ての突出ピン100〜102を貫通孔103〜105に挿入可能な長さに設定されている。さらに、突出ピン102の長さは、突出ピン100,101が貫通孔103,104に対して最も奥まで挿入された場合に貫通孔105から抜け出る長さに設定されている。また、突出ピン100,101の径は、貫通孔103,104に対して突出ピン100,101を斜め方向から挿入可能なように、貫通孔103,104よりも小さく設定されている。
【0031】
なお、貫通孔103,104を上下方向に長い楕円形状とし、これによって突出ピン100,101を斜め方向から挿入可能なように構成しても良い。
また、ここでは、突出ピン102は、突出ピン100と同軸となるように設けられているが、突出ピン102は、突出ピン101と同軸となるように設けてもよい。また、2本の突出ピン100,101の突出ピンに対応して2本の突出ピンを設けるようにしてもよい。
【0032】
3個の貫通孔103〜105のうち、2個の貫通孔103,104は、突出ピン100,101に対応した位置でフレームF1に設けられ、残りの貫通孔105は、突出ピン102に対応した位置でフレームF2に設けられている。貫通孔103,104と突出ピン100,101及び貫通孔105と突出ピン102の関係は、各突出ピンが各貫通孔に容易に挿入でき、その挿入された突出ピンががたつかないように決められている。
【0033】
バネ部材106は、本発明の付勢手段に相当し、図3に示されるように、U字状の板バネからなり、ハウジング200の一方の側面(図2においては右側面)とフレームF1との間で、かつ両突出ピン100,101間に設けられている。このバネ部材106のハウジング200側はそのハウジング200に固定され、その反対側の上端部は、逆U字状に形成され、その逆U字状部がフレームF1の上端部に挿入できるように構成されている。
このバネ部材106は、図2に示すようにハウジング200とフレームF1との間に介在される場合には、ハウジング200をフレームF2の方向(一方向)に向けて付勢するように圧縮されている。
そして、このバネ部材106の付勢力によってハウジング200がフレームF2に対して押し当てられ、これによってレーザスキャニングユニット73の位置決めがなされる。
【0034】
レーザスキャニングユニット73を取り付ける際には、まず突出ピン100,101を斜め上方からフレームF1に形成された貫通孔103,104に挿入する。この際、ハウジング200を強く押し込むことによって、バネ部材106を大きく圧縮し、根元まで突出ピン100,101を貫通孔103,104に挿入する。続いて、レーザスキャニングユニット73を寝かせて突出ピン102をフレームF2の貫通孔105に対向させる。その後、ハウジング200を押している力を解放して、バネ部材106の復元力によって突出ピン102を貫通孔105に挿入する。これによって、レーザスキャニングユニット73が、図2に示すように、位置決めされると共に支持されることとなる。
このように、本実施形態のレーザスキャニングユニット73は、斜め上方から一旦貫通孔103,104の奥まで突出ピン100,101を挿入し、その後ハウジング200を寝かせて貫通孔103,104から突出ピン100,101が抜ける方向に移動させるスイッチバックの動作によってフレームF1,F2に対して固定される。
【0035】
一方、レーザスキャニングユニット73を取り外す際には、バネ部材106をさらに圧縮させるようにして突出ピン102を貫通孔105から抜き出す。その後、ハウジング200を手前に傾けた後、突出ピン100,101を貫通孔103,104から抜き出すことによってレーザスキャニングユニット73が取り外される。
【0036】
以上のような本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構300によれば、突出ピン100〜102を貫通孔103〜105に対して挿通し、この状態でバネ部材106によってハウジング200を一方向に付勢することによって、ハウジング200の位置決め及び支持を行う。つまり、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構300においては、ハウジング200をフレームF1,F2に対して強固に固定しておらず、ハウジング200にバネ部材106から受ける付勢力を上回る力が作用した場合には、ハウジング200の変形あるいは変位が許容される。
したがって、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構300によれば、ハウジング200に局所的な熱変形が生じないので、走査線の位置ずれの発生がなくなり、印刷品質の低下を防止することができる。
【0037】
加えて、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構300によれば、バネ部材106によってハウジング200が一方向に付勢されることで、ハウジング200の位置決め及び支持が行われるため、組立て時にハウジング200を大よその位置に配置すれば、その後はバネ部材106の付勢力によってハウジング200を正確な位置に位置決めすることができる。また、ハウジング200がフレームF1,F2に対して強固に固定されていないため、その脱着も容易である。
したがって、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構300によれば、レーザスキャニングユニット73の組立作業性を向上し、専門知識を有する作業員でなくとも、ユーザ自身でレーザスキャニングユニット73の交換を行うことが可能となる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、図4を用いて本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一符合が付されている。これら同一符号の構成要素についての説明は重複するので省略する。
【0039】
この第2実施形態のレーザスキャニングユニット73の固定機構400は、上記第1実施形態における突出ピン100,101,102aに相当する突出ピン100a,101a,102aと、貫通孔103,104、105に相当する貫通孔103a,104a,105aと、付勢機構500(付勢手段)とを備えている。
【0040】
突出ピン100a,101aには、軸心方向に挿入穴100b,101bがそれぞれ設けられている。そして、本実施形態において突出ピン100a,101aの長さは、突出ピン102aが最も深くまで貫通孔105aに挿入された状態で、先端が貫通孔103a,104aに到達しない長さに設定されている。
また、突出ピン102aの径は、斜め上方から突出ピン102aが貫通孔105aに挿入可能となるように、貫通孔105aの径よりも小さく設定されている。なお、貫通孔105aを上下方向に長い楕円形状とし、これによって突出ピン102aを斜め方向から挿入可能なように構成しても良い。
【0041】
付勢機構500は、ハウジング200をフレームF2に向かう方向(一方向)に付勢するものであり、バネ部材106aと、板部材107と、位置決めピン108,109とを備えている。
【0042】
バネ部材106aは、引張バネであり、一端側がフレームF1に固定され、他端側が板部材107の一方の面に固定されている。
【0043】
板部材107は、長手方向の長さが両突出ピン100a,101a間の距離より少し長くなるように決められている。そして、この板部材107は、バネ部材106aにより、常時、フレームF1に引き込まれるように付勢されている。
【0044】
位置決めピン108,109は、それぞれ板部材107に設けられており、突出ピン100a,101aにそれぞれ対向した位置で突出ピン100a,101a向きに突出して配置されている。
これら位置決めピン108,109の先端には、突出ピン100a,101aに設けられている挿入穴100b,101bに挿入できる突起部108a,109aがそれぞれ設けられている。
また、これら位置決めピン108,109は、上記第1実施形態における貫通孔103,104と同じ位置に開けられた貫通孔103a,104aに挿入できるように構成されている(図4参照)。
【0045】
レーザスキャニングユニット73を取り付ける際には、まず突出ピン102aを斜め上方からフレームF2に形成された貫通孔105aに挿入する。続いて、板部材107を引っ張った状態でレーザスキャニングユニット73を寝かせて突出ピン100a,101aに設けられている挿入穴100b,101bを、位置決めピン108,109の突起部108a,109aに対向させる。次に、板部材107を戻して突起部108a,109aを挿入穴100b,101bに挿入すると共に、位置決めピン108,109を貫通孔103a,104aに挿入する。
これによって、レーザスキャニングユニット73が、図4に示すように、位置決めされると共に支持され、フレームF1,F2に対して固定される。
【0046】
一方、レーザスキャニングユニット73を取り外す際には、板部材107を引っ張ることによって突起部108a,109aを挿入穴100b,101bから抜き出し、レーザスキャニングユニット73を手前に傾けた後、突出ピン102aを貫通孔105aから抜き出すことによってレーザスキャニングユニット73が取り外される。
【0047】
以上のような本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構400によれば、突出ピン100a〜102aを貫通孔103a〜105aに対して挿通し、この状態で付勢機構500によってハウジング200を一方向に付勢することによって、ハウジング200の位置決め及び支持を行う。つまり、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構400においては、ハウジング200をフレームF1,F2に対して強固に固定しておらず、ハウジング200に付勢機構500から受ける付勢力を上回る力が作用した場合には、ハウジング200の変形あるいは変位が許容される。
したがって、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構400によれば、ハウジング200に局所的な熱変形が生じないので、走査線の位置ずれの発生がなくなり、印刷品質の低下を防止することができる。
【0048】
加えて、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構400によれば、付勢機構500によってハウジング200が一方向に付勢されることで、ハウジング200の位置決め及び支持が行われるため、組立て時にハウジング200を大よその位置に配置すれば、その後は付勢機構500の付勢力によってハウジング200を正確な位置に位置決めすることができる。また、ハウジング200がフレームF1,F2に対して強固に固定されていないため、その脱着も容易である。
したがって、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構400によれば、レーザスキャニングユニット73の組立作業性を向上し、専門知識を有する作業員でなくとも、ユーザ自身でレーザスキャニングユニット73の交換を行うことが可能となる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、図5及び図6を用いて本発明の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態において、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一符号がふされている。これら同一符号の構成要素についての説明は重複するので省略する。
【0050】
第3実施形態のレーザスキャニングユニット73の固定機構600において、フレームF2側の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
そして、本実施形態のレーザスキャニングユニット73の固定機構600は、フレームF2側の構成(突出ピン102及び貫通孔105)に加えて、図5に示すように、付勢機構700(付勢手段)を備えている。なお、図5は、フレームF1を省略して図示している。
【0051】
付勢機構700は、レーザスキャニングユニット73のハウジング200をフレームF1側に引き込んで付勢するものであり、板部材701と、ヘッダーピン702と、バネ部材703と、ビス704とを備えている。
【0052】
板部材701は、図6に示すように、フレームF1に設けられた開口から露出するようにして、フレームF1の外側(レーザスキャニングユニット73が配置される側と反対側)に固定されるものである。
この板部材701は、図5に示すように、レーザスキャニングユニット73の突出ピン100が嵌合する嵌合孔701aと、突出ピン101が嵌合する嵌合孔701bとを有している。これらの嵌合孔701a,701bの内壁面には、複数(本実施形態においては3つ)の突設部701cが設けられており、これらの突設部701cに対して突出ピン100,101の周面が当たることによって、突出ピン100,101の位置決めがなされる。
さらに、板部材701には、ヘッダーピン702をフレームFの外側から内側に抜くための挿通孔200aが略中央に設けられている。なお、挿通孔200aの径は、ヘッダーピン702のヘッドよりは小さく設定されている。
【0053】
また、本実施形態においては、レーザスキャニングユニット73のハウジング200に対してもヘッダーピン702を外側から内側に抜くための挿通孔200aが設けられている。そして、ヘッダーピン702は、図5に示すように、外側から挿通孔702及び挿通孔200aを抜けて配置される。このヘッダーピン702の先端(ヘッドと反対側)は、ハウジング200の内部に位置しており、挿通孔200aよりも大径のナット(不図示)と螺合されている。このヘッダーピン702は、ナットがハウジング200に係止されることによって、ハウジング200に対して固定されている。
【0054】
バネ部材703は、ヘッダーピン702のヘッドと板部材701との間に介在され、ヘッダーピン702を外側(板部材701から離間する側)に向けて付勢するものである。
このようにヘッダーピン702が外側に向けて付勢されることによって、ヘッダー702と固定されたハウジング200がフレームF1側に引き込まれて付勢される。
【0055】
ビス704は、板部材701をフレームF1に対して位置決めして固定するものであり、本実施形態においては2つ設けられている。
【0056】
以上のようなレーザスキャニングユニット73の固定機構600によっても、付勢機構700によってハウジング200を一方向に付勢することによって、ハウジング200の位置決め及び支持を行う。つまり、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構600においては、ハウジング200をフレームF1,F2に対して強固に固定しておらず、ハウジング200にバネ部材703から受ける付勢力を上回る力が作用した場合には、ハウジング200の変形あるいは変位が許容される。
したがって、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構600によれば、ハウジング200に局所的な熱変形が生じないので、走査線の位置ずれの発生がなくなり、印刷品質の低下を防止することができる。
【0057】
加えて、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構600によれば、バネ部材703によってハウジング200が一方向に付勢されることで、ハウジング200の位置決め及び支持が行われるため、組立て時にハウジング200を大よその位置に配置すれば、その後はバネ部材703の付勢力によってハウジング200を正確な位置に位置決めすることができる。また、ハウジング200がフレームF1,F2に対して強固に固定されていないため、その脱着も容易である。
したがって、本実施形態におけるレーザスキャニングユニット73の固定機構600によれば、レーザスキャニングユニット73の組立作業性を向上し、専門知識を有する作業員でなくとも、ユーザ自身でレーザスキャニングユニット73の交換を行うことが可能となる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態においては、本発明の光走査装置の一例であるレーザスキャニングユニット73が画像形成装置の1つのである複写機に搭載された構成について説明した。
しかしながら、本発明の光走査装置は、これに限定されるものではなく、複写機等の画像形成装置以外に、計測器、検査装置等の機器に搭載しても良い。
【符号の説明】
【0060】
P……複写機(画像形成装置)、73……レーザスキャニングユニット(光走査装置)、F1,F2……フレーム、100〜102、100a,101a……突出ピン、100b,101b……挿入穴、103〜105、103a,104a……貫通孔、106,106a……バネ部材(付勢手段)107……板部材、108,109……位置決めピン、108a,109a……突起部、200……ハウジング、300,400,600……固定機構、500,700……付勢機構(付勢手段)、701……板部材、701a,701b……嵌合孔、702……ヘッダーピン、703……バネ部材(弾性部材)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを射出して走査すると共に、外部の対向する一対のフレームに対して固定されるハウジングを有する光走査装置の固定機構であって、
対向する一対の前記フレームのそれぞれに形成される貫通孔と、
前記光走査装置のハウジングの、前記一対のフレームが対向する方向における両端に設置されると共に少なくともいずれかが前記フレームに形成された貫通孔に対して挿通可能な突出ピンと、
前記光走査装置のハウジングを、前記一対のフレームが対向する方向と一致する一方向に付勢する付勢手段と
を備え、
前記付勢手段は、
フレームに対して固定される板部材と、
前記板部材を抜けて前記ハウジングと固定されるヘッダーピンと、
前記ヘッダーピンのヘッドと前記板部材との間に介在されて前記ヘッダーピンを前記板部材から離間する方向に付勢する弾性部材と
を備える
ことを特徴とする光走査装置の固定機構。
【請求項2】
前記板部材は、前記突出ピンが嵌合可能な嵌合孔を備えることを特徴とする請求項1記載の光走査装置の固定機構。
【請求項3】
前記突出ピンの径は、前記貫通孔に対して前記突出ピンが斜め方向から挿入可能に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の光走査装置の固定機構。
【請求項4】
光ビームを射出すると共に走査する光走査装置と、前記光ビームが照射されることにより静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像を現像することでトナー像を形成する現像装置とを備える画像形成装置であって、
前記光走査装置が、請求項1〜3いずれかに記載の光走査装置の固定機構によって固定されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−230425(P2012−230425A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173167(P2012−173167)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2010−78006(P2010−78006)の分割
【原出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】