説明

光走査装置及び画像形成装置

【課題】走査レンズが不要であり、汎用性が高く、安定した光走査を維持しつつ、小型化を図ることができる光走査装置を提供する。
【解決手段】 偏向器前光学系Aは、2つの光源に対応し、第1液晶素子2206A、第2液晶素子2207A、第1KTN素子2208A及び第2KTN素子2209Aなどを有している。第1液晶素子2206Aと第2液晶素子2207Aは、光束の結像位置とNA(開口数)が、有効走査領域内で一定に保たれるように印加電圧が制御される。第1KTN素子2208Aは、感光体ドラム表面での光スポットの副走査方向に関する位置が所望の位置となるように印加電圧が制御される。第2KTN素子2209Aは、ポリゴンミラーと連動して、感光体ドラム表面の有効走査領域内を光スポットが等速で移動するように印加電圧が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、被走査面を光により走査する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ、レーザプロッタ、デジタル複写機、レーザファクシミリ、あるいはこれらを含む複合機等で用いられる電子写真方式の画像形成装置は、近年、カラー化、高速化が進み、像担持体である感光体ドラムを複数(通常は4つ)有するタンデム方式の画像形成装置が普及している。
【0003】
一例として特許文献1には、感光体ドラム毎に光走査装置を備える画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、一例として特許文献2には、2段構造のポリゴンミラーを備える光走査装置が開示されている。
【0005】
また、一例として特許文献3には、1段構造のポリゴンミラーに複数の光束が斜入射される光走査装置が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的な光走査装置では、隣接する2つの感光体ドラムの間隔(感光体ピッチ)や感光体ドラムと光走査装置との間に配置される現像ユニット等のレイアウト条件によって、光偏向器から感光体ドラムまでの光路長が決定される。従って、同じ仕様の画像形成装置であっても、レイアウト条件が異なる画像形成装置では、同じ光走査装置を使用することができなかった。
【0007】
また、一般的に走査レンズは、製造コスト及び光学面の形状精度の点から、該走査レンズと類似した形状のキャビティを有する金型に樹脂を射出して成形されたものが用いられている。このような樹脂製の走査レンズは、ポリゴンミラーの発熱等により環境温度が上昇すると、熱膨張による結像性能の変化を生じさせる。そのため、「回折光学素子」や「光束を発散させるパワーをもつ光学素子と光束を収束させるパワーをもつ光学素子を組み合わせた光学系」を用いて、集光位置の変動を相殺させるような工夫が必要であった。このことは、光走査装置のコストアップを招くとともに、光学素子の配置が制約され小型化を困難にしていた。
【0008】
さらに、樹脂製の走査レンズは、一般的に複屈折を有しており、該走査レンズに入射した光は、偏光状態が変化して射出される。そこで、偏光を利用して光束分離を行う場合、光束分離素子において、透過するべき光束の一部が反射され、反射されるべき光束の一部が透過してゴースト光になるおそれがあった。
【0009】
発明者等は、上記各不都合を解消するために、走査レンズを用いない光走査装置について種々の実験及び検討を行った。
【0010】
本発明は、上述した発明者等の実験及び検討に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
【0011】
本発明は、第1の観点からすると、被走査面を光束により主走査方向に走査する光走査装置であって、光源と、前記光源から射出された光束の光路上に配置され、入射光束の光路を前記主走査方向に平行な面内で偏向し、該偏向の偏向角を正弦波的に変動させる第1光偏向手段と、前記主走査方向に平行な面に直交する軸まわりに一定の角速度で回転する回転多面鏡を有し、前記第1光偏向手段を介した光束を偏向する第2光偏向手段と、を備える光走査装置である。
【0012】
これによれば、走査レンズが不要であり、汎用性が高く、安定した光走査を維持しつつ、小型化を図ることができる。
【0013】
本発明は、第2の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と、前記少なくとも1つの像担持体を、対応する画像情報に応じて変調された光束により走査する本発明の光走査装置と、を備える画像形成装置である。
【0014】
これによれば、画像品質の低下を招くことなく、小型化を図ることができる。
【0015】
本発明は、第3の観点からすると、複数の像担持体と、前記複数の像担持体を、それぞれ対応する画像情報に応じて変調された光束により走査する本発明の光走査装置と、を備える画像形成装置である。
【0016】
これによれば、画像品質の低下を招くことなく、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を示す図である。
【図2】光走査装置を説明するための図である。
【図3】偏向器前光学系を説明するための図である。
【図4】ポリゴンミラーで偏向された光束の光路を説明するための図である。
【図5】走査制御装置を説明するためのブロック図である。
【図6】フラッシュメモリのデータ領域に格納されているデータの一部を説明するための図である。
【図7】偏光ビームスプリッタ2205Aを説明するための図である。
【図8】第1KTN素子を説明するための図である。
【図9】第1KTN素子による光の偏向を説明するための図である。
【図10】第2KTN素子を説明するための図である。
【図11】第2KTN素子から射出される光束の振れ角を説明するための図である。
【図12】第2KTN素子から射出される光束の振れ角の時間変化を説明するための図である。
【図13】第2KTN素子から射出される光束の振れ角と偏向反射面で偏向された光束の進行方向との関係を説明するための図(その1)である。
【図14】第2KTN素子から射出される光束の振れ角と偏向反射面で偏向された光束の進行方向との関係を説明するための図(その2)である。
【図15】第2KTN素子から射出される光束の振れ角と偏向反射面で偏向された光束の進行方向との関係を説明するための図(その3)である。
【図16】感光体ドラム表面を主走査方向に走査する光束の、本実施形態におけるリニアリティを説明するための図である。
【図17】偏光ビームスプリッタ2205Bを説明するための図である。
【図18】従来の光走査装置における面倒れ補正系を説明するための図である。
【図19】偏向器前光学系の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図18に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0019】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0020】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0021】
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
【0022】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0023】
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0024】
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0025】
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0026】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
【0027】
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0028】
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0029】
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて各色毎に変調された光束によって、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
【0030】
各感光体ドラム上における光束の走査方向は「主走査方向」と呼ばれ、感光体ドラムの回転方向は「副走査方向」と呼ばれている。
【0031】
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。そして、主走査方向に関して、有効走査領域の中心を原点0とする位置座標は「像高」と呼ばれている。
【0032】
光走査装置2010によって形成された各潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。
【0033】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(以下では、「トナー画像」という)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0034】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0035】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
【0036】
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
【0037】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0038】
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
【0039】
この光走査装置2010は、一例として図2に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、偏向器前光学系A、偏向器前光学系B、ポリゴンミラー2104、2つの偏光ビームスプリッタ(2105A、2105B)、2つの折り返しミラー(2106A、2106B)、及び走査制御装置3022(図2では図示省略、図5参照)などを有している。なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0040】
各光源は、半導体レーザを含んでいる。光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れて配置されており、いずれも−Y方向に光束を射出する。光源2200aと光源2200dは、X軸方向に関して対向して配置されており、光源2200aは+X方向に光束を射出し、光源2200dは−X方向に光束を射出する。
【0041】
なお、以下では、便宜上、光源2200aから射出された光束を「光束LBa」といい、光源2200bから射出された光束を「光束LBb」といい、光源2200cから射出された光束を「光束LBc」といい、光源2200dから射出された光束を「光束LBd」という。
【0042】
光束LBaと光束LBbは、偏光方向が互いに直交する直線偏光である。また、光束LBcと光束LBdは、偏光方向が互いに直交する直線偏光である。
【0043】
偏向器前光学系Aは、一例として図3に示されるように、2つの開口板(2202a、2202b)、偏光ビームスプリッタ2205A、第1液晶素子2206A、第2液晶素子2207A、第1KTN素子2208A、及び第2KTN素子2209Aを有している。
【0044】
この偏向器前光学系Aは、光源2200aから射出された光束LBa、光源2200bから射出された光束LBbをポリゴンミラー2104に導く。偏向器前光学系Aの詳細については後述する。
【0045】
偏向器前光学系Bは、一例として図3に示されるように、2つの開口板(2202c、2202d)、偏光ビームスプリッタ2205B、第1液晶素子2206B、第2液晶素子2207B、第1KTN素子2208B、及び第2KTN素子2209Bを有している。
【0046】
この偏向器前光学系Bは、光源2200cから射出された光束LBc、光源2200dから射出された光束LBdをポリゴンミラー2104に導く。偏向器前光学系Bの詳細については後述する。
【0047】
ポリゴンミラー2104は、一例として内接円の半径が7mmの4面鏡を有している。該4面鏡における各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。すなわち、ポリゴンミラー2104は、4つの偏向反射面(偏向反射面1〜偏向反射面4)を有している。
【0048】
このポリゴンミラー2104は、Z軸方向に平行な軸まわりに等速回転し、偏向器前光学系Aからの光束LBa及び光束LBb、偏向器前光学系Bからの光束LBc及び光束LBdを、それぞれZ軸に直交する平面内で等角速度的に偏向する。
【0049】
偏光ビームスプリッタ2105Aは、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBa及び光束LBbの光路上に配置され、光束LBaを透過させ、光束LBbを−Z方向に反射する(図4参照)。
【0050】
偏光ビームスプリッタ2105Aを透過した光束LBaは、折り返しミラー2106Aを介して、感光体ドラム2030aに照射される。
【0051】
偏光ビームスプリッタ2105Aで反射された光束LBbは、感光体ドラム2030bに照射される。
【0052】
すなわち、光束LBa及び光束LBbは、いずれもポリゴンミラー2104と感光体ドラムとの間において1回のみ反射される。
【0053】
偏光ビームスプリッタ2105Bは、ポリゴンミラー2104で偏向された光束LBc及び光束LBdの光路上に配置され、光束LBdを透過させ、光束LBcを−Z方向に反射する(図4参照)。
【0054】
偏光ビームスプリッタ2105Bで反射された光束LBcは、感光体ドラム2030cに照射される。
【0055】
偏光ビームスプリッタ2105Bを透過した光束LBdは、折り返しミラー2106Bを介して、感光体ドラム2030dに照射される。
【0056】
すなわち、光束LBc及び光束LBdは、いずれもポリゴンミラー2104と感光体ドラムとの間において1回のみ反射される。
【0057】
なお、図4における符号Sは隣接する2つの感光体ドラムの間隔(感光体ピッチ)であり、符号Aは偏向反射面での反射位置と被走査面とのZ軸方向に関する距離であり、符号Bは偏向反射面での反射位置と偏光ビームスプリッタにおける光分離位置とのX軸方向に関する距離である。
【0058】
走査制御装置3022は、一例として図5に示されるように、CPU3210、フラッシュメモリ3211、RAM3212、液晶素子電圧印加回路3213、IF(インターフェース)3214、画素クロック生成回路3215、画像処理回路3216、書込制御回路3219、光源駆動回路3221、KTN素子電圧印加回路3222などを有している。なお、図5における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0059】
IF(インターフェース)3214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像情報は、IF(インターフェース)3214を介して供給される。
【0060】
フラッシュメモリ3211は、プログラム領域及びデータ領域を有し、プログラム領域には、CPU3210にて解読可能なコードで記述された各種プログラムが格納され、データ領域には、プログラムの実行に必要な各種データ(図6参照)が格納されている。
【0061】
RAM3212は、作業用のメモリである。
【0062】
CPU3210は、フラッシュメモリ3211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
【0063】
画素クロック生成回路3215は、画素クロック信号を生成する。なお、画素クロック信号は、1/8クロックの分解能で位相変調が可能である。
【0064】
画像処理回路3216は、CPU3210によって色毎にラスター展開された画像データに所定の中間調処理などを行った後、光源毎のドットデータを作成する。
【0065】
書込制御回路3219は、ステーション毎に、不図示の先端同期検知センサの出力信号に基づいて書き込み開始のタイミングを求める。そして、書き込み開始のタイミングに合わせて、各光源のドットデータを画素クロック生成回路3215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、光源毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。
【0066】
光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの各変調データに応じて、各光源の駆動信号を出力する。
【0067】
液晶素子電圧印加回路3213は、CPU3210の指示に基づいて、各液晶素子に個別に電圧を印加する。
【0068】
KTN素子電圧印加回路3222は、CPU3210の指示に基づいて、各KTN素子に個別に電圧を印加する。
【0069】
ここで、偏向器前光学系Aの詳細について説明する。
【0070】
開口板2202aは、光源2200aから射出された光束LBaの光路上に配置された開口部を有し、該光束のビーム径を所望の大きさに制限する。開口板2202bは、光源2200bから射出された光束LBbの光路上に配置された開口部を有し、該光束のビーム径を所望の大きさに制限する。
【0071】
偏光ビームスプリッタ2205Aは、開口板2202aの+X側であって、かつ開口板2202bの−Y側に配置されている。この偏光ビームスプリッタ2205Aは、p偏光を透過させ、s偏光を−Y方向に反射する偏光分離面を有している。
【0072】
ここでは、偏光ビームスプリッタ2205Aの偏光分離面に対して、光源2200aから射出される光束LBaはs偏光であり、光源2200bから射出される光束LBbはp偏光である。
【0073】
そこで、開口板2202aの開口部を通過した光束LBaは、偏光ビームスプリッタ2205Aで−Y方向に反射され、開口板2202bの開口部を通過した光束LBbは、偏光ビームスプリッタ2205Aを透過する。これにより、偏光ビームスプリッタ2205Aから射出される光束LBaと光束LBbの光路はほぼ同一である(図7参照)。
【0074】
第1液晶素子2206Aは、偏光ビームスプリッタ2205Aから射出された光束(光束LBa及び光束LBb)の光路上に配置されている。
【0075】
第2液晶素子2207Aは、第1液晶素子2206Aを介した光束(光束LBa及び光束LBb)の光路上に配置されている。
【0076】
第1液晶素子2206Aと第2液晶素子2207Aは、強誘電性液晶を含む液晶素子であり、印加電圧に応じて偏向器前光学系Aの焦点距離を変更する。
【0077】
ここでは、光束LBa及び光束LBbの結像位置とNA(開口数)が、有効走査領域内で一定に保たれるように、第1液晶素子2206A及び第2液晶素子2207Aに印加される電圧と像高との関係がそれぞれ予め設定され、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている(図6参照)。
【0078】
そして、CPU3210は、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている第1液晶素子2206A及び第2液晶素子2207Aに印加される電圧と像高との関係を参照し、液晶素子電圧印加回路3213を介して、第1液晶素子2206A及び第2液晶素子2207Aへの印加電圧を制御する。
【0079】
第1KTN素子2208Aは、KTN結晶(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa1−xNb)を含む素子であり、第2液晶素子2207Aを介した光束(光束LBa及び光束LBb)の光路上に配置されている。
【0080】
第1KTN素子2208Aは、一例として図8に示されるように、Z軸方向に関して対向する2つの電極にKTN結晶が挟まれている。
【0081】
この第1KTN素子2208Aは、2つの電極間に印加される電圧(電圧Vzという)に応じて、入射光束の光路を副走査対応方向(ここでは、Z軸方向と同じ)に関して偏向する(図9参照)。
【0082】
ここでは、ポリゴンミラー2104の各偏向反射面の面倒れ情報に基づいて、感光体ドラム2030a及び感光体ドラム2030bの表面での光スポットの副走査方向に関する位置が所望の位置となるように、偏向反射面毎に第1KTN素子2208Aへの印加電圧Vzが予め設定され、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている(図6参照)。
【0083】
そして、CPU3210は、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている偏向反射面毎の第1KTN素子2208Aへの印加電圧Vzを参照し、KTN素子電圧印加回路3222を介して、第1KTN素子2208Aへの印加電圧を制御する。
【0084】
第2KTN素子2209Aは、上記KTN結晶を含む素子であり、第1KTN素子2208Aを介した光束(光束LBa及び光束LBb)の光路上に配置されている。
【0085】
第2KTN素子2209Aは、一例として図10に示されるように、X軸方向に関して対向する2つの電極にKTN結晶が挟まれている。
【0086】
この第2KTN素子2209Aは、2つの電極間に印加される電圧(電圧Vxyという)に応じて、入射光束の光路をXY面内で偏向する(図11参照)。
【0087】
ここで、ポリゴンミラー2104の等速回転における角速度をωpとする。また、第2KTN素子2209Aから射出される光束の射出方向のY軸方向に対する傾斜角を振れ角φとする。
【0088】
この振れ角φは、一例として図12に示されるように、正弦波的に変動される。このときの振れ角φの最大値をφmaxとし、振れ角φの時間的な変化を偏向角の角速度ωという。
【0089】
ここでは、一例として図13に示されるように、振れ角φが0のときに、偏向反射面で偏向された光束は、像高0の位置に向かうように設定されている。そして、一例として図14及び図15に示されるように、振れ角φの絶対値がφmaxのときに、偏向反射面で偏向された光束は、有効走査領域の端部に向かうように設定されている。
【0090】
このとき、感光体ドラム表面を走査する光束のリニアリティLinは、次の(1)式で求めることができる。ここで、tは時間であり、光束が像高0の位置に向かうタイミングを0としている。
【0091】
【数1】

【0092】
上記(1)式から算出されるリニアリティLinの値が、ある時間tの範囲内で0であれば、その範囲内での光走査はリニアリティが高いといえる。
【0093】
本実施形態では、有効走査領域に対応するtの範囲内でリニアリティLinが0となるように、ωp、ω、及びφmaxを設定した。具体的には、一例として、ωp=6283.185rps、ω=29326.42rps、φmax=1.945°とした。rpsとは、「ラジアン/秒」のことである。
【0094】
このときの上記(1)式の計算結果が図16に示されている。なお、図16では、横軸を時間tから像高に変換している。また、縦軸のリニアリティは単位を%としている。このように、本実施形態では、有効走査領域内でのリニアリティが高いといえる。図16には、比較のために、第2KTN素子がない場合が破線で示されている。
【0095】
ポリゴンミラー2104の角速度ωp、第2KTN素子2209Aにおける偏向角の角速度ω、振れ角φの最大値φmaxは、予め設定され、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている(図6参照)。
【0096】
そして、CPU3210は、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている第2KTN素子2209Aにおける偏向角の角速度ω、振れ角φの最大値φmaxを参照し、KTN素子電圧印加回路3222を介して、第2KTN素子2209Aへの印加電圧を制御する。
【0097】
この場合、感光体ドラム2030a表面の光スポットは、第2KTN素子2209Aでの振り角の変化とポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に等速で移動する。
【0098】
同様に、感光体ドラム2030b表面の光スポットは、第2KTN素子2209Aでの振り角の変化とポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に等速で移動する。
【0099】
次に、図3に戻り、偏向器前光学系Bの詳細について説明する。
【0100】
開口板2202cは、光源2200cから射出された光束LBcの光路上に配置された開口部を有し、該光束のビーム径を所望の大きさに制限する。開口板2202dは、光源2200dから射出された光束LBdの光路上に配置された開口部を有し、該光束のビーム径を所望の大きさに制限する。
【0101】
偏光ビームスプリッタ2205Bは、開口板2202cの−Y側であって、かつ開口板2202dの−X側に配置されている。この偏光ビームスプリッタ2205Bは、p偏光を透過させ、s偏光を−Y方向に反射する偏光分離面を有している。
【0102】
ここでは、偏光ビームスプリッタ2205Bの偏光分離面に対して、光源2200cから射出される光束LBcはp偏光であり、光源2200dから射出される光束LBdはs偏光である。
【0103】
そこで、開口板2202cの開口部を通過した光束LBcは、偏光ビームスプリッタ2205Bを透過し、開口板2202dの開口部を通過した光束LBdは、偏光ビームスプリッタ2205Bで−Y方向に反射される。これにより、偏光ビームスプリッタ2205Bから射出される光束LBcと光束LBdの光路はほぼ同一である(図17参照)。
【0104】
第1液晶素子2206Bは、偏光ビームスプリッタ2205Bから射出された光束(光束LBc及び光束LBd)の光路上に配置されている。
【0105】
第2液晶素子2207Bは、第1液晶素子2206Bを介した光束(光束LBc及び光束LBd)の光路上に配置されている。
【0106】
第1液晶素子2206Bと第2液晶素子2207Bは、強誘電性液晶を含む液晶素子であり、印加電圧に応じて偏向器前光学系Bの焦点距離を変更する。
【0107】
ここでは、光束LBc及び光束LBdの結像位置とNA(開口数)が、有効走査領域内で一定に保たれるように、第1液晶素子2206B及び第2液晶素子2207Bに印加される電圧と像高との関係がそれぞれ予め設定され、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている(図6参照)。
【0108】
そして、CPU3210は、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている第1液晶素子2206B及び第2液晶素子2207Bに印加される電圧と像高との関係を参照し、液晶素子電圧印加回路3213を介して、第1液晶素子2206B及び第2液晶素子2207Bへの印加電圧を制御する。
【0109】
第1KTN素子2208Bは、上記KTN結晶を含む素子であり、第2液晶素子2207Bを介した光束(光束LBc及び光束LBd)の光路上に配置されている。
【0110】
第1KTN素子2208Bは、上記第1KTN素子2208Aと同様に、Z軸方向に関して対向する2つの電極にKTN結晶が挟まれており、該2つの電極間に印加される電圧に応じて、入射光束の光路を副走査対応方向(ここでは、Z軸方向と同じ)に関して偏向する。
【0111】
ここでは、ポリゴンミラー2104の各偏向反射面の面倒れ情報に基づいて、感光体ドラム2030c及び感光体ドラム2030dの表面での光スポットの副走査方向に関する位置が所望の位置となるように、偏向反射面毎に第1KTN素子2208Bへの印加電圧が予め設定され、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている(図6参照)。
【0112】
そして、CPU3210は、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている偏向反射面毎の第1KTN素子2208Bへの印加電圧を参照し、KTN素子電圧印加回路3222を介して、第1KTN素子2208Bへの印加電圧を制御する。
【0113】
第2KTN素子2209Bは、上記KTN結晶を含む素子であり、第1KTN素子2208Bを介した光束(光束LBc及び光束LBd)の光路上に配置されている。
【0114】
第2KTN素子2209Bは、上記第2KTN素子2208Aと同様に、X軸方向に関して対向する2つの電極にKTN結晶が挟まれており、該2つの電極間に印加される電圧に応じて、入射光束の光路をXY面内で偏向する。
【0115】
ここでは、上記第2KTN素子2208Aと同様に、ポリゴンミラー2104と連動して、感光体ドラム表面を光スポットが等速で走査するように、第2KTN素子2209Bにおける偏向角の角速度ω、振れ角φの最大値φmaxは、予め設定され、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている(図6参照)。
【0116】
そして、CPU3210は、フラッシュメモリ3211のデータ領域に格納されている第2KTN素子2209Bにおける偏向角の角速度ω、振れ角φの最大値φmaxを参照し、KTN素子電圧印加回路3222を介して、第2KTN素子2209Bへの印加電圧を制御する。
【0117】
この場合、感光体ドラム2030c表面の光スポットは、第2KTN素子2209Bでの振り角の変化とポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に等速で移動する。
【0118】
同様に、感光体ドラム2030d表面の光スポットは、第2KTN素子2209Bでの振り角の変化とポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に等速で移動する。
【0119】
ところで、本実施形態では、一例として、図4における符号Sは100mm、符号Aは70mm、符号Bは43(=50−7)mmとしている。
【0120】
このような位置関係で、従来の光走査装置のように、ポリゴンミラーと偏光ビームスプリッタとの間に走査光学系を配置させようとすると、該走査光学系の焦点距離は120mmよりも小さくしなければならない。例えば、走査光学系の焦点距離を100mmとすると、A3サイズ(書き込み範囲:約300mm)に対応し、いわゆるfθ特性が満足できる走査光学系を考えると、画角は300÷100=3rad=172°となり、このような走査光学系は、現実的に設計不可能であった。
【0121】
このように、図4における符号Sの値及び符号Aの値を小さくしようとすると、画角が大きくなる。しかしながら、ポリゴンミラーと感光体ドラムとの間に配置される走査光学系が確保できる画角には限度があり、結果的に符号Sの値及び符号Aの値を小さくするのには限界があった。
【0122】
また、従来の光走査装置では、一例として図18に示されるように、光源から射出され平行光束とされた光束は、シリンドリカルレンズに入射し、ポリゴンミラーの偏向反射面位置に副走査対応方向に関してのみ結像される。この光束は、ポリゴンミラーで偏向され、発散しながら走査レンズに入射し、被走査面上に集光される。この場合は、偏向反射面が回転軸に非平行でいわゆる面倒れ(「βチルト」ともいう)があっても、その影響を受けることなく、被走査面上の所望の位置に光束を集光させることができる。すなわち、シリンドリカルレンズと走査レンズによって面倒れ補正系が構成されている。
【0123】
しかしながら、本実施形態では、上記面倒れ補正系がないため、例えば、偏向反射面と被走査面との光路長が120mmのときに、面倒れが1分あれば、被走査面上での集光位置は、副走査方向に関して所望の位置から約35μmずれる。書き込み密度が1200dpiのときの走査線の間隔は21μmであるため、この位置ずれは許容できるものではない。
【0124】
そこで、本実施形態では、第1KTN素子2208A及び第1KTN素子2208Bによって上記位置ずれを補正している。
【0125】
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、偏向器前光学系A、偏向器前光学系B、ポリゴンミラー2104、2つの偏光ビームスプリッタ(2105A、2105B)、2つの折り返しミラー(2106A、2106B)、及び走査制御装置3022などを有している。
【0126】
各偏向器前光学系は、それぞれ2つの光源に対応し、2つの開口板、偏光ビームスプリッタ、第1液晶素子、第2液晶素子、第1KTN素子、及び第2KTN素子を有している。
【0127】
偏光ビームスプリッタは、2つの開口板の開口部をそれぞれ通過した光束を合成する。第1液晶素子と第2液晶素子は、光束の結像位置とNA(開口数)が、有効走査領域内で一定に保たれるように印加電圧が制御される。第1KTN素子は、感光体ドラム表面での光スポットの副走査方向に関する位置が所望の位置となるように印加電圧が制御される。第2KTN素子は、ポリゴンミラー2104と連動して、感光体ドラム表面の有効走査領域内を光スポットが等速で移動するように印加電圧が制御される。
【0128】
この場合は、ポリゴンミラー2104と感光体ドラムとの間に走査レンズを設けることなく、感光体ドラム表面に精度良く潜像を形成することができる。その結果、汎用性が高く、安定した光走査を維持しつつ、小型化を図ることができる。
【0129】
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、その結果、画像品質の低下を招くことなく、小型化を図ることができる。
【0130】
なお、上記実施形態では、ωp=6283.185rps、ω=29326.42rps、φmax=1.945°の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、第2KTN素子とポリゴンミラー2104とが連動して、感光体ドラム表面の有効走査領域内を光スポットが等速で移動するように設定されていれば良い。
【0131】
なお、上記実施形態において、光束LBaと光束LBbの波長を異ならせ、前記偏光ビームスプリッタ2105Aに代えて、光束LBaを透過させ光束LBbを反射するダイクロイックミラーを用いても良い。同様に、光束LBcと光束LBdの波長を異ならせ、前記偏光ビームスプリッタ2105Bに代えて、光束LBdを透過させ光束LBcを反射するダイクロイックミラーを用いても良い。なお、この場合は、異なる波長の2つの光束で第1液晶素子及び第2液晶素子を共用することができないため、一例として図19に示されるように、各偏向器前光学系では、第1液晶素子及び第2液晶素子は、光束毎に設けられ、光源と合成用の偏光ビームスプリッタとの間に配置されることとなる。
【0132】
また、上記実施形態において、各第2KTN素子に代えて、揺動可能な複数のマイクロミラーを有する揺動ミラー素子を用いても良い。
【0133】
また、上記実施形態では、画像形成装置として、トナー像が感光体ドラムから転写ベルトを介して記録紙に転写されるカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、記録紙に直接転写されるカラープリンタであっても良い。
【0134】
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光プロッタやデジタル複写装置であっても良い。
【0135】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で転写対象物としての印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0136】
また、像担持体としてビームスポットの熱エネルギにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)を用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により可視画像を直接、像担持体に形成することができる。
【0137】
要するに、上記光走査装置2010を備えた画像形成装置であれば、結果として、画像品質の低下を招くことなく、小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
以上説明したように、本発明の光走査装置によれば、走査レンズが不要であり、汎用性が高く、安定した光走査を維持しつつ、小型化を図るのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、画像品質の低下を招くことなく、小型化を図るのに適している。
【符号の説明】
【0139】
2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a〜2030d…感光体ドラム(像担持体)、2104…ポリゴンミラー(第2光偏向手段)、2105A,2105B…偏光ビームスプリッタ(光分離部材)、2106A,2106B…折り返しミラー(反射部材)、2200a〜2200d…光源、2205A,2205B…偏光ビームスプリッタ(光合成部材)、2206A,2206B…第1液晶素子(光学素子)、2207A,2207B…第2液晶素子(光学素子)、2208A,2208B…第1KTN素子(第3光偏向手段の一部)、2209A,2209B…第2KTN素子(第1光偏向手段の一部)、3022…走査制御装置(第1光偏向手段の一部、第3光偏向手段の一部)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】
【特許文献1】特開2007−245705号公報
【特許文献2】特許第4476047号公報
【特許文献3】特許第3869701号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被走査面を光束により主走査方向に走査する光走査装置であって、
光源と、
前記光源から射出された光束の光路上に配置され、入射光束の光路を前記主走査方向に平行な面内で偏向し、該偏向の偏向角を正弦波的に変動させる第1光偏向手段と、
前記主走査方向に平行な面に直交する軸まわりに一定の角速度で回転する回転多面鏡を有し、前記第1光偏向手段を介した光束を偏向する第2光偏向手段と、を備える光走査装置。
【請求項2】
前記第1光偏向手段での偏向角の角速度は、前記第2光偏向手段における前記回転多面鏡の角速度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記光源と前記第2光偏向手段との間の光路上に配置され、前記回転多面鏡の各鏡面の前記回転多面鏡の回転軸に対する傾斜情報に基づいて、入射光束の光路を前記回転多面鏡の回転軸に平行な方向に関して偏向する第3光偏向手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記光源と前記第2光偏向手段との間の光路上に配置され、光学系の焦点距離を変更することができる少なくとも2つの光学素子を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記被走査面を走査する光束のリニアリティは、絶対値が3%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光源は第1光源として第1光束を射出し、
該第1光束とは異なる第2光束を射出する第2光源と、
前記第1光束の光路と前記第2光束の光路とを同一とする光合成部材と、
前記第2光偏向手段で偏向された前記第1光束及び前記第2光束を分離する光分離部材とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記第1光束及び前記第2光束は、対応する被走査面と前記第2光偏向手段との間において、1回のみ反射されることを特徴とする請求項6に記載の光走査装置。
【請求項8】
少なくとも1つの像担持体と、
前記少なくとも1つの像担持体を、対応する画像情報に応じて変調された光束により走査する請求項1〜5のいずれか一項に記載の光走査装置と、を備える画像形成装置。
【請求項9】
複数の像担持体と、
前記複数の像担持体を、それぞれ対応する画像情報に応じて変調された光束により走査する請求項6又は7に記載の光走査装置と、を備える画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−225960(P2012−225960A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90552(P2011−90552)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】