説明

光起電力要素

本発明は、防水シート(8)を有する光起電力要素(1)に関し、該光起電力要素は、該防水シートの一方の面に取り付けられた少なくとも一つの光起電力モジュール(2.1〜2.4)を有しており、該光起電力モジュールはコンタクトポイント(4.1、4.2)、及び電気的接続用手段(6.1、6.2)を有している。本発明の特徴は、前記光起電力モジュール(2.1〜2.4)の前記コンタクトポイント(4.1、4.2)が、前記防水シート(8)の方を向いた面に配置されていること、及び、前記電気的接続用手段(6.1、6.2)が前記防水シート(8)を貫通していることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きに記載の光起電力要素に関する。
【背景技術】
【0002】
類似の光起電力要素は一般的に知られており、多くは平屋根の上に載せるために使われている。その際、多くは、防水シートを備える複数の光起電力要素を隣り合わせて溶接するため、溶接された光起電力要素の全体は、電流生成機能に加えて、屋根の防水の機能も同時に満たす。
【0003】
基本的に、光起電力システムには1層式と2層式とがある。2層式システムでは上の層が光起電力機能を有しており、下の層が防水機能を有している。これらの層は別々に載せられていて、電気的接続のために下の層が貫通されることはない。配線は多くが防水作業終了後に行われるため、屋根を歩く際にコンタクトポイントを損傷する危険がないか、又は、機械的なカバーを用いてコンタクトポイントに高価な保護を設けなくてすむ。防水状態は非常に確実であるが、2枚のプラスチック防水シートを使用して取り付ける必要があるため、このバリエーションは比較的高コストとなる。
【0004】
1層式システムには、配線の態様により以下のような区別がある。
1層式システムの一つの態様においては、光起電力モジュールの配線への接続が下から行われ、その際、防水シートは貫通される。その際、配線自体は、屋根の断熱層に挿入される。この時、屋根層パッケージ全体、つまり、断熱層+防湿層+負荷支持構造は、光起電力モジュール4個あたりに一回貫通され、また、防水部は2〜3mあたりに一回貫通される。その長所は、屋根を歩く際のコンタクトポイントの損傷危険が小さいこと、及び、機械的なカバーを用いてコンタクトポイントを保護する必要がないことである。さらに、必要な防水シート層は一つのみである。短所は、平屋根領域において防水部が頻繁に貫通されることである。貫通による解決法では、技術的な解決法及び作業員の職人技に特別な要件が要求されるため、適用の際には漏れに関して特にリスクが高く、また高価になる。配線作業及び防水作業は一緒に実施する必要がある。それにかかる時間はより長くなり、また、屋根に上る人員の数も多くなるため、作業における不安定さも高まる。それにより漏れのリスクも追加的に高まる。
【0005】
1層式システムのもう一つの態様では、光起電力要素の配線への接続が光起電力モジュールの上で、つまり上面で行われ、平屋根上での配線もやはり上面で行われる。その長所としては、防水部の貫通が回避されること、防水作業終了後の配線が可能であること、必要な防水シート層が1層のみであることが挙げられる。短所としては、屋根を歩く際にコンタクトポイントを損傷するリスクが高いこと、又は、コンタクトポイントを機械的なカバーで保護することが高価なことが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、1層式システム及び2層式システムの長所を最大限に満たしつつ、短所はできるだけ回避するような新たな光起電力要素を見つけることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、独立請求項1に記載の特徴により解決される。本発明の好適な発展形は従属請求項から理解できる。
【0008】
したがって、本発明の核となることは、光起電力モジュールのコンタクトポイントが、防水シートの方を向いた面に配置されていること、及び、電気的接続用手段が防水シートを貫通していることである。
【0009】
前記光起電力要素の好適な構成においては、コンタクトポイントの電気的接続のための手段が、防水シートを2回貫通している。光起電力モジュールが複数ある場合の光起電力要素の好適な構成においては、コンタクトポイントの電気的配線用手段が、2つのコンタクトポイントの間で防水シートを2回貫通し、好適には電気的接続用手段も、光起電力モジュールのコンタクトポイント後で防水シートを2回貫通する。
【0010】
防水シートの貫通ポイントの領域において、防水シートの下面に、該貫通ポイント沿いに追加的なカバーシートを取り付けること、特に溶接及び/又は接着することにより非常に確実な防水が可能である。その際、このカバーシートは好適にはプラスチック、特に防水シート自身と同一の材料でできているべきである。このとき前記追加的カバーシートは、その長軸方向において貫通ポイント沿いに延在しているべきである。
【0011】
しかし、防水確実性に関して特に確実なバリエーションが達成されるのは、前記カバーシートの領域に、カバーシートと防水シートとにより形成された空洞への、空気を通す接続部として機能するアダプタが配置された場合である。それにより、真空試験によりシステムの密閉性を証明することができる。
【0012】
その際、有利であるのは、前記アダプタが防水シートに、又は、さらに望ましくは該防水シートの下面に接続されていること、特に溶接及び/又は接着されていることである。そのようなアダプタが用いられている場合、該アダプタは追加的に、少なくとも一つの電気的接続又はすべての電気的接続を、該アダプタを通じて外に導くために特に好適に使用できる。それにより、漏れ位置が追加される可能性が回避される。
【0013】
さらなる好適な構成においては、配線が簡単に行えるように、電気的接続用の手段がプラグ式コネクタを有している。
【0014】
本発明のさらなる好適な実施形態は従属請求項から理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンタクトポイントの領域における光起電力要素の断面図である。
【図2】カバーシートを備える光起電力要素の、コンタクトポイントの領域における断面図である。
【図3】一部が巻き出された光起電力要素の斜視図である。
【図4】4つの光起電力モジュールを備える光起電力要素を巻き広げた図である。
【図5】コンタクトポイントの領域における光起電力要素の断面図である。
【図6】カバーシートを備える光起電力要素の、コンタクトポイントの領域における断面図である。
【図7】防水シートとカバーシートとの間の内部領域のための接続ノズルを有する光起電力要素の断面図である。
【図8】図7に類似の接続ノズルを有する光起電力要素の断面図であるが、密閉性検査のために電気的接続用手段が接続ノズルを通ってガイドされている図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について図を参照しながら詳細に説明する。記述されているのは本発明の理解に必要な特徴のみである。
【0017】
図1には、防水シートの一方の面に取り付けられた光起電力モジュール2.1を有する、本発明による光起電力要素1が図示されている。光起電力モジュール2.1のコンタクトポイント4.1及び4.2は、防水シート8の方を向いた面に配置されており、電気的接続用手段6.1又は6.2は、防水シート8を貫通している。コンタクトポイント4.1、4.2はそれぞれ、それぞれの光起電力モジュールの陽極性又は陰極性を引き出す。それぞれのコンタクトポイント4.1、4.2に取り付けられた、電気的接続用手段6.1又は6.2は、光起電力要素1をさらなる光起電力要素に直列又は並列に接続するために使用することができる。もちろん、コンタクトポイント4.1、4.2に取り付けられた、電気的接続用手段6.1又は6.2は、防水シートを同じ場所で一緒に貫通することができる。光起電力要素1が、防水シートの一方の面に取り付けられた複数の光起電力モジュールを有する場合、これら光起電力モジュールは互いに直列及び又は並列に接続することができる。その際、直列接続の場合は特に、より高い電圧という長所が、また、並列接続の場合には、より高い電流という長所が得られる。
【0018】
図2には、図1の光起電力要素1が図示されており、ここでは、カバーシート5が防水シート8の下面に取り付けられ、特に接着及び/又は溶接されており、それにより確実に、光起電力要素1による屋根の継続的な防水が保証される。
【0019】
図3には、本発明による光起電力要素1が一部巻き出された状態で図示されている。該光起電力要素1は一つの防水シート8から構成されていて、該防水シート8には4つの光起電力モジュール2.1〜2.4が取り付けられており、前記光起電力要素1は外部の電源接続のための共通のプラグ式コネクタ3を有している。
【0020】
図4には、図3のような光起電力要素を巻き広げた状態が図示されており、本発明を説明するために個々の光起電力モジュール2.1〜2.4の左の領域においてコンタクトポイント4.1、4.2が見てとれる。これらコンタクトポイント4.1、4.2はそれぞれ、それぞれの光起電力モジュールの陽極性又は陰極性を引き出し、また、これらコンタクトポイント4.1、4.2には、これらコンタクトポイントへの電気的接続用手段6.1又は6.2が取り付けられている。これらコンタクトポイント4.1、4.2は光起電力モジュール2.1〜2.4の下面に取り付けられているため、これらは、その下に位置する防水シート8の方向を向いている。これらコンタクトポイント4.2及び4.2には一方では、個々の光起電力モジュール2.1〜2.4の間の電気的結線のための手段7.1〜7.3が接触しており、これらの手段は、それぞれのコンタクトポイントの直後で貫通ポイントにおいて防水シート8を貫通して防水シート8の下面を進み、上に位置する光起電力モジュールの、逆の極性を持つコンタクトポイントへの貫通ポイントを介して再び防水シート8を貫通する。光起電力モジュール2.1〜2.4がこのように直列に接続された列の最後では、電気的接続へのそれぞれ一つの手段6.1、6.2がコンタクトポイントに接続されており、これらの手段は、そのコンタクトポイントの直後で防水シート8を貫通し、光起電力要素1のすべての電気的接続が配置されている面を進み、その面において下から、再度防水シート8を貫通する。もちろん、光起電力モジュール2.1〜2.4は互いに並列に接続することも可能である。
電気的接続用手段6.1、6.2及び電気的結線用手段7.1〜7.3が取り回されている貫通ポイントの領域においては、防水シートの下面にさらにカバーシート5が設けられており、該カバーシート5はこの領域全体を覆って水密にカバーしている。カバーシート5は防水シート8に接続、特に接着及び/又は溶接されているため、確実な防水状態が提供される。
【0021】
図5には、貫通ポイント又はコンタクトポイント4.1及び4.2の領域の断面図が再度図示されている。
【0022】
図6には、図5の光起電力要素1が図示されており、カバーシート5が防水シート8の下面に取り付けられ、特に接着及び/又は溶接されており、それにより確実に、光起電力要素1を用いて屋根の継続的な防水が保証されることが分かる。
【0023】
本発明は、図7に示されたように、防水シート8と、その下に取り付けられた、特に接着及び/又は溶接されたカバーシート5とにより形成された空洞の領域において、接続ノズル9を追加的に防水シート8に取付けることによりさらに改善できる。この接続ノズルは、たとえばフレキシブルにも剛性にも構成することができ、また、アダプタとして防水シート8に溶接することができる。この接続ノズルを通じて空気10を吸引することにより、防水シート8とカバーシート5との間の中間空間11に真空を作り出すことができる。それにより、場合によっては測定可能な圧力低下に応じて密閉性が検査されるため、光起電力要素1のシステム全体の密閉性が、高い確実性で保証される。さらに、この接続ノズルは、図8に図示したように電気的接続用手段6.1又は6.2を外部にガイドするためにも使用できる。この手法により、さらなる開口部による漏れの可能性が回避される。密閉性試験を行うには、一時的にプラグ式コネクタ3も一緒に収容できるエアコネクタを使用する必要があるか、又は、電気的接続用手段6.1及び6.2のみをエアコネクタ内に収容するために、プラグ式コネクタへの接続を後から行う必要がある。
【0024】
本発明の前述の特徴は、本発明の範囲から外れることなく、それぞれ記述した組み合わせだけでなくその他の組み合わせでも、又は単独でも使用可能であることは自明である。
【符号の説明】
【0025】
1 光起電力要素
2.1〜2.4 光起電力モジュール
3 プラグ式コネクタ
4.1、4.2 コンタクトポイント
5 カバーシート
6.1、6.2 電気的接続用手段
7.1〜7.3 電気的結線用手段
8 防水シート
9 アダプタ/接続ノズル
10 空気
11 中間空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水シート(8)を有する光起電力要素(1)であって、該防水シートの一方の面に取り付けられた光起電力モジュール(2.1〜2.4)を有しており、該光起電力モジュール(2.1〜2.4)はコンタクトポイント(4.1、4.2)及び電気的接続用手段(6.1、6.2)を有している光起電力要素において、
前記光起電力モジュール(2.1〜2.4)のコンタクトポイント(4.1、4.2)が、前記防水シート(8)の方を向いた面に配置されていること、及び、前記電気的接続用手段(6.1、6.2)が前記防水シート(8)を貫通していることを特徴とする光起電力要素。
【請求項2】
前記電気的接続用手段(6.1、6.2)が、前記防水シート(8)を2回貫通していることを特徴とする請求項1に記載の光起電力要素(1)。
【請求項3】
前記防水シートの一方の面に取り付けられた少なくとも2つの光起電力モジュール(2.1〜2.4)、及び、電気的結線への手段(7.1〜7.3)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の光起電力要素(1)。
【請求項4】
前記電気的結線用手段(7.1〜7.3)が、前記コンタクトポイント(4.1、4.2)を互いに電気的に直列に接続していることを特徴とする請求項3に記載の光起電力要素(1)。
【請求項5】
前記防水シート(8)が、フレキシブルな、好適には防流体性の、プラスチック製防水シート(8)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。
【請求項6】
前記防水シート(8)の貫通ポイントの領域において前記防水シート(8)の下面に、前記貫通ポイントに沿って追加的なカバーシート(5)が取り付けられている、特に溶接及び/又は接着されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。
【請求項7】
前記カバーシート(5)がプラスチック製であることを特徴とする請求項6に記載の光起電力要素(1)。
【請求項8】
前記カバーシート(5)が前記防水シート(8)と同一の材料でできていることを特徴とする請求項6に記載の光起電力要素(1)。
【請求項9】
前記カバーシート(5)の長軸方向が前記貫通ポイントに沿って延びていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。
【請求項10】
前記カバーシート(5)の領域において、カバーシート(5)と防水シート(8)とにより形成された空洞(11)に、空気を通すコネクタとして機能するアダプタ(9)が配置されていることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。
【請求項11】
前記アダプタ(9)が前記防水シート(8)に接続されている、特に接着及び/又は溶接されていることを特徴とする請求項10に記載の光起電力要素(1)。
【請求項12】
前記アダプタ(9)が前記防水シート(8)の下面に接続されている、特に接着及び/又は溶接されていることを特徴とする請求項10に記載の光起電力要素(1)。
【請求項13】
少なくとも一つの電気的接続用手段(6.1、6.2)が、前記アダプタ(9)を通って外部に案内されることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。
【請求項14】
前記電気的接続用手段(6.1、6.2)が、プラグ式コネクタ(3)を有することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。
【請求項15】
前記光起電力モジュール(2.1〜2.4)が、運転中に異なる極性を持つ少なくとも2つのコンタクトポイント(4.1、4.2)を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。
【請求項16】
前記光起電力モジュール(2.1〜2.4)がフレキシブルな光起電力モジュールであることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の光起電力要素(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−528184(P2011−528184A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517946(P2011−517946)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059207
【国際公開番号】WO2010/007154
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【出願人】(511013393)ソーラー・インテグレイテッド・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】