説明

光路切替装置および複数光信号の光路切替方法

【課題】同一の光路切替装置により、複数の信号光を複数の光路に切り替える。
【解決手段】光路切替装置は、2種類の異なる信号光を出射する信号光用光ファイバー10a,10bを挟みように、信号光用光ファイバー10a,10bがほぼ直線上に配置され、これらの光ファイバーから出射される信号光および制御光は、コリメートレンズ20および集光レンズ22を介して熱レンズ形成素子30に集光させ、熱レンズ形成素子30を通過した信号光を集光させる受光レンズ40とくさび型プリズム50と結合レンズ60を経て、光路切替された信号光は受光素子70にて結像する。熱レンズ形成素子30は、信号光は透過し制御光を選択的に吸収する光吸収層を有する。従って、制御光用光ファイバー12a,12bからの制御光の出射の有無に応じ、信号光用光ファイバー10a,10bから出射される各信号光の光路が切り替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信や光情報処理等の光エレクトロニクスやフォトニクスの各分野において活用され、熱レンズ方式光制御式光路切替スイッチを利用して光路の切替を行う光路切替装置、および複数光信号の光路切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、先に、新しい原理に基づく光路切替装置および方法を発明した(特許文献1参照)。この光路切替装置等では、熱レンズ形成光素子内の制御光吸収領域に対して、制御光吸収領域が吸収する波長帯域の制御光と、制御光吸収領域が吸収しない波長帯域の信号光とを、各光軸が一致するように収束させて照射し得る構成を有している。この構成によれば、熱レンズ形成光素子内の制御光吸収領域への信号光の照射に対して、制御光の照射は選択的に行われる。制御光の照射が信号光の照射と同時に行われないときには信号光が穴付きミラーの穴を通して直進し、他方、制御光の照射が信号光の照射と同時に行われるときには信号光の進行方向に対して傾けて設けた穴付きミラーで反射して光路を変更させる。特許文献1には、1種類の波長の制御光によって制御光の進行方向を2方向に切り替えることができる光制御型光路切替装置が開示されている。この光制御型光路切替装置は以下では「1対2型光制御型光路切替装置」と記す。
【0003】
更に、本発明者等は、熱レンズ形成光素子および穴付きミラーを複数組み合わせて用いて構成した光制御式の光路切替装置および光信号光路切替方法を発明した(特許文献2参照)。この光路切替装置等では、制御光吸収領域が吸収する波長帯域と制御光の波長とを1対1に対応させており、更に、例えば吸収波長帯域の異なる色素を用いた3種類の制御光吸収領域の熱レンズ形成光素子を合計7個組み合わせて使用し、併せて、3種類の波長の制御光の各々の明滅を制御することにより、例えばサーバのデータを8箇所に光制御方式で切り替えて配信するシステムが開示されている。
【0004】
なお、上記の特許文献1,2に開示された光路切替の方式では、制御光を照射した場合、熱レンズ効果によって信号光のビーム断面形状はリング状に変化する。そこで、これらの光路切替方式を以下では「リングビーム方式」と記すこととする。
【0005】
更に、本発明者等は、その後、特許文献3〜6に開示される通り、光路変更方法および光路切替装置を提案した。これらの光路変更方法および光路切替装置によれば、熱レンズ形成光素子中の制御光吸収領域に、制御光吸収領域が吸収する波長帯域の制御光、および制御光吸収領域が吸収しない波長帯域の信号光を入射させ、制御光および信号光は、制御光吸収領域にて収束するように照射されかつ各々の光の収束点の位置が異なるように照射される。制御光および信号光は、光の進行方向で制御光吸収領域の入射面またはその近辺で収束し、その後、拡散する。これにより、制御光吸収領域内で制御光を吸収した領域およびその周辺領域に温度上昇が起き、当該温度上昇に起因して可逆的に熱レンズの構造が変化し、屈折率が変化して、信号光の進行方向を変化させることができる。特許文献3〜6に記載される光路変更の方式では、制御光を照射しても信号光のビーム断面形状はほぼ円形に保たれる。そこで、当該光路変更の方式を以下では「丸ビーム方式」と記すこととする。
【0006】
特許文献4,5には、1種類の波長の制御光によって制御光の進行方向を2方向に切り替える1対2型光制御型光路切替装置が開示されている。また特許文献5,6には、例えば、7芯光ファイバーの中心の光ファイバーから出射する信号光の光路を、中心の光ファイバーの周辺に設けられた光ファイバーから出射する制御光によって7方向に切り替える光制御型光路切替装置が開示されている。この光制御型光路切替装置を以下では「1対7型光制御型光路切替装置」と記す。また、従来の丸ビーム方式の光制御型光路切替装置、特に1対7型光制御型光路切替装置において、制御光および信号光は制御光吸収領域にて収束するように照射されかつ各々の光の収束点の位置が異なるように照射されるが、複数の制御光ビームおよび1つの信号光ビームの光軸の位置合わせの煩雑さを避け、また、偏波依存性に悪影響を与えるダイクロマティックミラーの使用を避けるため、特許文献7に記載の端面近接多芯バンドル光ファイバーが好適に用いられる。更に、特許文献8には熱レンズ効果を有効に利用するために適した熱レンズ形成光素子の形態、および、熱レンズ形成光素子に用いられる色素溶液の溶剤の粘度および粘度の温度特性について詳しく開示されている。また特許文献6には、例えば、7方向に切り替えられた信号光を7芯光ファイバーで検出する光制御型光路切替装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3809908号公報
【特許文献2】特許第3906926号公報
【特許文献3】特開2007−225825号公報
【特許文献4】特開2007−225826号公報
【特許文献5】特開2007−225827号公報
【特許文献6】特開2008−083095号公報
【特許文献7】特開2008−076685号公報
【特許文献8】特開2009−175164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1〜8では、いずれも1つの信号光源からの信号光を制御光照射の有無により、複数の光路に切り替える方法および装置について述べている。しかし、同一の光路切替装置により、複数の信号光を複数の光路に切り替えを行いたいという要望がある。
【0009】
また、例えば、上述の1対7型光制御型光路切替装置を複数個用いて、それぞれの光路切替装置の信号光を7方向に光路を切り替えて、複数の信号光を複数の光路に切り替えて1つの受光素子に受光させるためには、受光素子の上流側に、光学ミキサーを配置する必要があり、装置構成が煩雑になる。具体的に、例えば、2対2型光制御型光路切替装置を構成する方法として、2台の1対2型光制御型光路切替装置を並列に並べて、これらの2台の1対2型光制御型光路切替装置の出力端を、2台の2対1の光ミキサー(合波器)を用いて束ねることにより、2対2型光制御型光路切替装置を構成可能であるが、順方向については正常動作が可能であるが、逆方向については、光ミキサー(合波器)部分が分波器として働くために、2対2型光制御型光路切替装置が構成できない。これを回避する方法として、4台の1対2型光制御型光路切替装置を用いる構成法がある。すなわち、2台の1対2型光制御型光路切替装置を並列に並べて、上述の光ミキサーの代わりに2台の1対2型光制御型光路切替装置を逆向きに並列に並べて接続することにより、2対2型光制御型光路切替装置が構成できる。この方法により、6対6型光制御型光路切替装置を構成するためには、12台の1対7型光制御型光路切替装置が必要となり、装置構成が煩雑になる。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、同一の光路切替装置により、複数の信号光を、複数の光路に切り替え可能とする、光路切替装置および複数光信号の光路切替方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の特徴を有する。
【0012】
本願請求項1に係る発明の光路切替装置は、
1種類以上の波長の信号光を照射する一対の近接した信号光光源と、
前記一対の近接した信号光光源を間に挟んだ前記信号光とは異なる特定波長の制御光を照射する2つ以上の制御光光源と、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成光素子と、
前記光吸収層に前記制御光と前記信号光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束させて入射させる集光手段と、を有し、
前記熱レンズ形成光素子は、前記制御光と前記信号光が、光の進行方向で前記光吸収層内において収束したのち拡散することによって、前記光吸収層内における前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因し過渡的に熱レンズが形成され、該熱レンズにより、前記光吸収層内に屈折率分布が生じ、前記信号光の進行方向を変え、光路切替を行い、
更に、前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光と、前記制御光が照射され光路切替された信号光とを、それぞれ収束または集光した光路切替装置であって、前記制御光が照射され光路切替された信号光は、一対の他方の前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光の収束または集光した位置と同一の位置に、それぞれ収束または集光するようにしたことを特徴とする。
【0013】
本願請求項2に係る発明の光路切替装置は、請求項1に記載の光路切替装置において、
更に、熱レンズ素子通過後の信号光を収束または集光させる光学装置は、第1の受光手段と第2の受光手段を設け、前記第1の受光手段と第2の受光手段の間に、両面が平行な部分を持つくさび型プリズムを設け、前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光はくさび型プリズムの両面が平行部分を通過し、前記制御光が照射され光路切替された信号光はくさび型プリズムのプリズム部分を通過させ、前記制御光が照射され光路切替された信号光は一対の他方の前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光の収束または集光した位置と同一の位置に、それぞれ収束または集光するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本願請求項3に係る発明の光路切替装置は、請求項1または請求項2記載の光路切替装置において、
複数の信号光光源が一対となる信号光光源となるように、3つ以上の信号光光源を近接して配置したことを特徴とする。
【0015】
本願請求項4に係る発明の複数光信号の光路切替方法は、
一対をなす2つ以上の信号光光源からの、1種類以上の波長の信号光を各々の光軸を揃えて出射させ、
前記一対の近接した信号光源を間に挟んだ2つ以上の制御光光源からの、前記信号光とは異なる特定波長の制御光を各々出射させ、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成光素子に、前記信号光と前記制御光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束するよう集光して照射し、
前記信号光は前記熱レンズ形成光素子を透過させ、
前記制御光は前記熱レンズ形成光素子内の前記光吸収層にて光吸収させて前記光吸収層内における前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に伴う熱レンズを過渡的に形成させて前記熱レンズ形成光素子内の前記光吸収層内に屈折率分布を生じさせ、前記信号光の進行方向を変えて光路切替させ、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光と、前記制御光が照射され光路切替された信号光をそれぞれ、同一光学手段からなる第1の受光手段および第2受光手段により収束または集光させ、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光と、前記制御光が照射され光路切替された信号光とを、前記第1の受光手段と第2受光手段との間に設けたくさび型プリズムにより分光したまま屈折させて通過させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る光路切替装置および複数光信号の光路切替方法は、次の効果を奏する。すなわち、複数の信号光を同一の光学装置により複数の位置に光路切り替えが可能となり、1つの信号光を複数の位置に切り替える方法に比較して、省スペース、低消費電力、利便性向上等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における入射光源の配置と光路切替装置の概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の光路切替装置に用いられるくさび型プリズムの概念図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における入射光源の配置を示す概念図である。
【図4A】本発明の第2の実施の形態の光路切替装置に用いられる六角錐台プリズムの平面図である。
【図4B】本発明の第2の実施の形態の光路切替装置に用いられる六角錐台プリズムの側面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における入射光源の配置を示す概念図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の光路切替装置に用いられる八角錐台プリズムの平面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の入射光源の配置を示す概念図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における光路切替装置に用いられる十二角錐台プリズムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。以下の図の説明では、図を複雑にせず説明を分かりやすくするために、各光源から出射した光の中心線のみで各光源から出射した光の進行を表し、説明をしている。
【0019】
[第1の実施形態]
図1および図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る光路切替装置の構成の一例を以下に説明し、併せて光信号の光路切替方法を説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る光路切替装置では、入射光源を4つ設け、そのうち、中央部分の2つの入射光源を信号光光源とし、一方、入射光源の外側の2つの入射光源を制御光光源とした。また、本実施の形態では、2つの信号光光源は、2種類の異なる信号光を伝搬する信号光用光ファイバー10a,10bであり、信号光用光ファイバー10a,10bは、ほぼ直線上に配置されている。一方、2つの制御光光源は、信号光用光ファイバー10a,10bを挟むように配置された2つの制御光用光ファイバー12a,12bであって、制御光用光ファイバー12a,12bもほぼ直線上に配置されている。
【0021】
また、本実施の形態では、信号光用光ファイバー10a,10bならびに制御光用光ファイバー12a,12bの中心間距離は、例えば40μmである。例えば、信号光用光ファイバー10a,10bならびに制御光用光ファイバー12a,12bとして、シングルモード光ファイバーを用いた場合、クラット部分をエッチングすることにより、40μmの太さにしたものを近接して並べて作成することができる。
【0022】
また、図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る光路切替装置では、信号光用光ファイバー10a,10bならびに制御光用光ファイバー12a,12bのそれぞれの端面から出射される、2種類の信号光(図1における二点破線ならびに一点破線で図示)および2つの制御光(図1における太線で図示)が、凸レンズからなるコリメートレンズ20および集光レンズ22を介して熱レンズ形成素子30に集光させる。なお、2つのレンズ20および22を用いる代わりに、1つのレンズで集光しても良い。また、熱レンズ形成素子30の下流側には、熱レンズ形成素子30を通過した信号光を集光させるための第1の受光手段である受光レンズ40と、くさび型プリズム50と、第2の受光手段である結合レンズ60とが設けられ、結合レンズ60から出射した光路切替された信号光は、受光素子70に入射する。ここで、受光素子70の中心間距離は、例えば40μmであり、受光素子70を多芯バンドル光ファイバーとする場合、それぞれのシングルモード光ファイバーのクラット部分をエッチングすることにより40μmの太さにしたものを2つ近接して並べて作成した。
【0023】
本実施に形態における熱レンズ形成素子30は、上述した2種類の異なる信号光は透過し、一方、上述した2つの制御光を選択的に吸収する光吸収層を有する。
【0024】
また、図2に示すように、くさび型プリズム50は、中心部分は対向する2つの面が平行に形成された頂上平面54を有し、この頂上平面54を挟んで傾斜面52,56が形成された、くさび型プリズムである。更に、結合レンズ60の焦点距離を2mm、受光素子70の間隔を40μmとし、くさび型プリズム50の屈折率を、2つの異なる波長の信号光(1310nmおよび1490nmを用いた)に対して1.5とし、くさび型プリズム50のウェッジ角度θを約1.15度とすることによって、結合レンズ60を通過した制御光が照射されて光路切替がなされた信号光は、受光素子70にほぼ垂直に入射するようになり、受光素子70にシングルモード光ファイバーを用いた場合は、結合効率が良くなる。
【0025】
次に、本実施の形態における光路切替装置の光路切替方法について、図1,2を用いて説明する。まず、例えば、制御光用光ファイバー12a,12bのいずれからも制御光が出射されず、信号光用光ファイバー10aから信号光がコリメート20に出射された場合、信号光は、コリメートレンズ20、集光レンズ22によって、熱レンズ形成素子30に0.7倍〜等倍に結像され、光路300(図1の二点破線)に沿って、受光レンズ40、くさび型プリズム50の頂上平面54を通過して、結合レンズ60によって結像倍率が、0.7〜1.4倍になり、受光素子70に結像する。
【0026】
一方、制御光用光ファイバー12aから制御光がコリメートレンズ20に出射され、信号光用光ファイバー10aから信号光がコリメート20に出射された場合、信号光は、コリメートレンズ20、集光レンズ22によって、光路300に沿って熱レンズ形成素子30に0.7倍〜等倍に結像され、更に、制御光が照射され制御光の光吸収で形成される熱レンズ領域によって光路偏向され、光路302(図1の破線)に沿って、受光レンズ40、くさび型プリズム50の傾斜面52を通過して、結合レンズ60を介して受光素子70に結像する。
【0027】
また、制御光用光ファイバー12a,12bのいずれからも制御光が出射されず、信号光用光ファイバー10bから信号光がコリメート20に出射された場合、信号光は、コリメートレンズ20、集光レンズ22によって、熱レンズ形成素子30に0.7倍〜等倍に結像され、光路200(図1の一点破線)に沿って、受光レンズ40、くさび型プリズム50の頂上平面54を通過して、結合レンズ60によって結像倍率が、0.7〜1.4倍になり、受光素子70に結像する。
【0028】
一方、制御光用光ファイバー12bから制御光がコリメートレンズ20に出射され、信号光用光ファイバー10bから信号光がコリメート20に出射された場合、信号光は、コリメートレンズ20、集光レンズ22によって、光路200に沿って熱レンズ形成素子30に0.7倍〜等倍に結像され、更に、制御光が照射され制御光の光吸収で形成される熱レンズ領域によって光路偏向され、光路202(図1の破線)に沿って、受光レンズ40、くさび型プリズム50の傾斜面56を通過して、結合レンズ60を介して受光素子70に結像する。
【0029】
第1の実施形態の光路切替装置によれば、同一の光路切替装置によって、2種類の信号光を、少なくとも4つの光路に切り替えることができる。また、従来のような、信号光のミキサーも不要になり、その結果、装置構成を小型化することができる。更に、必要な情報は、2本の信号光用光ファイバーを用いた信号光の時間差によって伝搬することで、複数の信号光を同一の光路切替装置を用いて送信することができる。
【0030】
[第2の実施形態]
第2の実施の形態の光路切替装置は、上述した第1の実施の形態の光路切替装置の構成に対し、信号光光源と制御光光源の構成が異なり、また、それに伴い、くさび型プリズムの構造も異なるが、その他の構成はほぼ同じ構成であることから、その他の構成についての説明は省略する。
【0031】
本実施の形態における信号光用光源と制御光光源の配置について、以下に説明する。図3に示すように、3つの信号光光源となる信号光用光ファイバー10a,10b,10cが、それぞれ正三角形を構成するように近接して配置されている。更に、3つの信号光用光ファイバー10a,10b,10cを囲むように、制御光光源となる制御光用光ファイバー12a,12b,12c,12d,12e,12fが配置され、一対の信号光光源を挟んで制御光光源を設けた配置としている。すなわち、信号光用光ファイバー10a,10bを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12b,12eが配置されている。この配置は、上述した第1の実施の形態と同じ配置である。同様に、信号光用光ファイバー10b,10cを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12a,12dが配置され、信号光用光ファイバー10a,10cを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12f,12cが配置されている。本実施の形態では、信号光用光ファイバーならびに制御光用光ファイバーをフェルール内に収納する場合の位置決めを確実にするために、ダミー用光ファイバー14a,14b,14cが、それぞれ制御光用光ファイバー12a,12fの間、制御光用光ファイバー12b,12cの間、ならびに、制御光用光ファイバー12d,12eの間に配置されている。ここで、ダミー用光ファイバー14a,14b,14cからは、光は出射することなく、例えば40μmのファイバーからなる。
【0032】
本実施の形態における受光素子は、図1に示す受光素子70を多芯バンドル光ファイバーとする場合、それぞれのシングルモード光ファイバーのクラット部分をエッチングすることにより40μmの太さにしたものを3つ近接させ、正三角形を形成するように並べて作成した。
【0033】
更に、本実施の形態におけるくさび型プリズム80は、図4A、図4Bに示すように、六角錐台プリズムである。中心部分は、対向する2つの面が平行に形成された頂上平面88を有し、頂上平面88の周囲に、6面の傾斜面81〜86が形成されている。従って、上述した第1の実施の形態の光路切替装置のように、制御光用光ファイバー12a,12b,12c,12d,12e,12fのいずれからも制御光を照射しない場合は、信号光用光ファイバー10a,10b,10cから出射されるそれぞれの信号光は、くさび型プリズム80の頂上平面88を通過して、それぞれ受光素子に結像される。一方、制御光用光ファイバー12a,12b,12c,12d,12e,12fのいずれかから制御光が照射された場合、号光用光ファイバー10a,10b,10cから出射されるそれぞれの信号光は、その光路が偏向されて、くさび型プリズム80の傾斜面81〜86のいずれかを通過して、受光素子に結合される。
【0034】
すなわち、制御光用光ファイバー12bから制御光が出射された場合、信号光用光ファイバー10bから出射された信号光は、熱レンズ形成素子30(図1)における制御光の光吸収で形成された熱レンズ領域によって光路偏向され、くさび型プリズム80の傾斜面84を通過して、受光素子に結像される。同様に、制御光用光ファイバー12eから制御光が出射された場合、信号光用光ファイバー10aから出射された信号光は、熱レンズ形成素子30(図1)における制御光の光吸収で形成された熱レンズ領域によって光路偏向され、くさび型プリズム80の傾斜面81を通過して、受光素子に結像される。また、制御光用光ファイバー12aから制御光が出射された場合、信号光用光ファイバー10bから出射された信号光は、熱レンズ形成素子30(図1)における制御光の光吸収で形成された熱レンズ領域によって光路偏向され、くさび型プリズム80の傾斜面85を通過して、受光素子に結像され、同様に、制御光用光ファイバー12dから制御光が出射された場合、信号光用光ファイバー10cから出射された信号光は、熱レンズ形成素子30(図1)における制御光の光吸収で形成された熱レンズ領域によって光路偏向され、くさび型プリズム80の傾斜面82を通過して、受光素子に結像される。更に、制御光用光ファイバー12fから制御光が出射された場合、信号光用光ファイバー10aから出射された信号光は、熱レンズ形成素子30(図1)における制御光の光吸収で形成された熱レンズ領域によって光路偏向されて、くさび型プリズム80の傾斜面86を通過して、受光素子に結像され、同様に、制御光用光ファイバー12cから制御光が出射された場合、信号光用光ファイバー10cから出射された信号光は、熱レンズ形成素子30(図1)における制御光の光吸収で形成された熱レンズ領域によって光路偏向されて、くさび型プリズム80の傾斜面83を通過して、受光素子に結像される。
【0035】
第2の実施形態の光路切替装置によれば、同一の光路切替装置によって、3種類の信号光を、少なくとも9個の光路に切り替えることができる。また、従来のような、信号光のミキサーも不要になり、その結果、装置構成を小型化することができる。更に、必要な情報は、3本の信号光用光ファイバーを用いた信号光の時間差によって伝搬することで、複数の信号光を同一の光路切替装置を用いて送信することができる。
【0036】
[第3の実施形態]
第3の実施の形態の光路切替装置は、上述した第1の実施の形態の光路切替装置の構成に対し、信号光光源と制御光光源の構成が異なり、また、それに伴いくさび型プリズムの構造も異なるが、その他の構成はほぼ同じ構成であることから、その他の構成についての説明は省略する。
【0037】
本実施の形態における信号光用光源と制御光光源の配置について、以下に説明する。図5に示すように、4つの信号光光源となる信号光用光ファイバー10a,10b,10c,10dが、それぞれ正四角形を構成するように近接して配置されている。更に、4つの信号光用光ファイバー10a,10b,10c,10dを囲むように、制御光光源となる制御光用光ファイバー12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hが配置され、一対の信号光光源を挟んで制御光光源を設けた配置としている。すなわち、信号光用光ファイバー10a,10bを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12h,12cが配置されている。この配置は、上述した第1の実施の形態と同じ配置である。同様に、信号光用光ファイバー10b,10cを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12b,12eが配置され、信号光用光ファイバー10c,10dを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12d,12gが配置され、更に、信号光用光ファイバー10a,10dを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12a,12fが配置されている。
【0038】
更に、本実施の形態では、信号光用光ファイバー10a,10cを挟んで、その外側に4つの制御光用光ファイバー12a,12h,12d,12eが配置され、信号光用光ファイバー10b,10dを挟んで、その外側に4つの制御光用光ファイバー12b,12c,12f,12gが配置されている。すなわち、本実施の形態では、一対の信号光光源である信号光用光ファイバー10a,10cを挟んで、その外側の制御光用光ファイバー12a,12hと制御光用光ファイバー12d,12eとがそれぞれペアになって信号光源と直線上に配置されている。同様に、一対の信号光光源である信号光用光ファイバー10b,10dを挟んで、その外側の制御光用光ファイバー12b,12cと制御光用光ファイバー12f,12gとがそれぞれペアになって信号光源と直線上に配置されている。
【0039】
従って、信号光用光ファイバー10a,10cを一対の近接した信号光光源としたときであって、信号光用光ファイバー10aから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12a,12hから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させ、一方、信号光用光ファイバー10cから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12d,12eから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させる。同様に、信号光用光ファイバー10b,10dを一対の近接した信号光光源としたときであって、信号光用光ファイバー10bから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12b,12cから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させ、一方、信号光用光ファイバー10dから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12f,12gから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させる。
【0040】
なお、本実施の形態においても、第1,第2の実施の形態の光路切替装置と同様に、光源の中心間距離は例えば40μmであり、シングルモード光ファイバーのクラット部分をエッチング等の手段で40μmの太さにしたものを近接して並べて作成した。また、受光素子の中心間距離は例えば40μmであり、シングルモード光ファイバーのクラット部分をエッチング等の手段で40μmの太さにしたものを4つ近接させ、正四角形を形成するように並べて作成した。
【0041】
更に、本実施の形態におけるくさび型プリズム90は、図6に示すように、八角錐台プリズムである。中心部分は、対向する2つの面が平行に形成された頂上平面99を有し、頂上平面99の周囲に、8面の傾斜面91〜98が形成されている。従って、上述した第1の実施の形態の光路切替装置のように、制御光用光ファイバー12a〜12hのいずれからも制御光を照射しない場合は、信号光用光ファイバー10a,10b,10c,10dから出射されるそれぞれの信号光は、くさび型プリズム90の頂上平面99を通過して、それぞれ受光素子に結像される。一方、制御光用光ファイバー12a〜12hのいずれかから制御光が照射された場合、信号光用光ファイバー10a,10b,10c,10dから出射されるそれぞれの信号光は、その光路が偏向されて、くさび型プリズム90の傾斜面91〜98のいずれかを通過して、受光素子に結合される。なお、信号光用光ファイバー10a,10b,10c,10dから出射されるそれぞれの信号光の光路偏向については、第2の実施の形態の光路切替装置で説明した方式と同様になされるため、ここでの説明は省略する。
【0042】
第3の実施形態の光路切替装置によれば、同一の光路切替装置によって、4種類の信号光を、少なくとも16個の光路に切り替えることができる。また、従来のような、信号光のミキサーも不要になり、その結果、装置構成を小型化することができる。更に、必要な情報は、4本の信号光用光ファイバーを用いた信号光の時間差によって伝搬することで、複数の信号光を同一の光路切替装置を用いて送信することができる。
【0043】
[第4の実施形態]
第4の実施の形態の光路切替装置は、上述した第1の実施の形態の光路切替装置の構成に対し、信号光光源と制御光光源の構成が異なり、また、それに伴いくさび型プリズムの構造も異なるが、その他の構成はほぼ同じ構成であることから、その他の構成についての説明は省略する。
【0044】
本実施の形態における信号光用光源と制御光光源の配置について、以下に説明する。図7に示すように、6つの信号光光源となる信号光用光ファイバー10a,10b,10c,10d,10e,10fが、それぞれ正六角形を構成するように近接して配置されている。更に、6つの信号光用光ファイバー10a,10b,10c,10d,10e,10fを囲むように、制御光光源となる制御光用光ファイバー12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i,12j,12k,12mが配置され、一対の信号光光源を挟んで制御光光源を設けた配置としている。すなわち、信号光用光ファイバー10a,10bを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12m,12dが配置されている。この配置は、上述した第1の実施の形態と同じ配置である。同様に、信号光用光ファイバー10b,10cを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12b,12fが配置され、信号光用光ファイバー10c,10dを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12d,12hが配置され、更に、信号光用光ファイバー10d,10eを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12f,12jが配置され、更に、信号光用光ファイバー10e,10fを挟んで、その外側に2つの制御光用光ファイバー12h,12mが配置されている。
【0045】
更に、本実施の形態では、信号光用光ファイバーならびに制御光用光ファイバーをフェルール内に収納する場合の位置決めを確実にするために、ダミー用光ファイバー14が、信号光用光ファイバー10a〜10fに囲まれるように中心に配置されている。ここで、ダミー用光ファイバー14からは、光は出射することなく、例えば40μmのファイバーからなる。
【0046】
更に、本実施の形態では、信号光用光ファイバー10a,10cを挟んで、その外側に4つの制御光用光ファイバー12a,12m,12e,12fが配置され、信号光用光ファイバー10b,10dを挟んで、その外側に4つの制御光用光ファイバー12b,12c,12g,12hが配置され、更に、信号光用光ファイバー10c,10eを挟んで、その外側に4つの制御光用光ファイバー12c,12e,12i,12jが配置され、信号光用光ファイバー10d,10fを挟んで、その外側に4つの制御光用光ファイバー12f,12g,12k,12mが配置されている。
【0047】
すなわち、本実施の形態では、一対の信号光光源である信号光用光ファイバー10a,10cを挟んで、その外側の制御光用光ファイバー12a,12mと制御光用光ファイバー12e,12fとがそれぞれペアになって信号光源と直線上に配置されている。同様に、一対の信号光光源である信号光用光ファイバー10b,10dを挟んで、その外側の制御光用光ファイバー12b,12cと制御光用光ファイバー12g,12hとがそれぞれペアになって信号光源と直線上に配置されている。更に、一対の信号光光源である信号光用光ファイバー10c,10eを挟んで、その外側の制御光用光ファイバー12c,12eと制御光用光ファイバー12i,12jとがそれぞれペアになって信号光源と直線上に配置されている。同様に、一対の信号光光源である信号光用光ファイバー10d,10fを挟んで、その外側の制御光用光ファイバー12f,12gと制御光用光ファイバー12k,12mとがそれぞれペアになって信号光源と直線上に配置されている。
【0048】
従って、信号光用光ファイバー10a,10cを一対の近接した信号光光源としたときであって、信号光用光ファイバー10aから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12a,12mから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させ、一方、信号光用光ファイバー10cから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12e,12fから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させる。同様に、信号光用光ファイバー10b,10dを一対の近接した信号光光源としたときであって、信号光用光ファイバー10bから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12b,12cから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させ、一方、信号光用光ファイバー10dから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12g,12hから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させる。
【0049】
また、信号光用光ファイバー10c,10eを一対の近接した信号光光源としたときであって、信号光用光ファイバー10cから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12e,12fから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させ、一方、信号光用光ファイバー10eから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12i,12jから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させる。同様に、信号光用光ファイバー10d,10fを一対の近接した信号光光源としたときであって、信号光用光ファイバー10dから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12f,12gから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させ、一方、信号光用光ファイバー10fから出射させた信号光を光路偏向させる場合、制御光用光ファイバー12k,12mから同時にほぼ同一波長の制御光を出射させる。
【0050】
なお、本実施の形態においても、第1、第2の実施の形態の光路切替装置と同様に、光源の中心間距離は例えば40μmであり、シングルモード光ファイバーのクラット部分をエッチング等の手段で40μmの太さにしたものを近接して並べて作成した。また、受光素子の中心間距離は例えば40μmであり、シングルモード光ファイバーのクラット部分をエッチング等の手段で40μmの太さにしたものを6つ近接させ、更に中心にダミーファイバーを配置して、正六角形を形成するように並べて作成した。
【0051】
更に、本実施の形態におけるくさび型プリズム100は、図8に示すように、十二角錐台プリズムである。中心部分は、対向する2つの面が平行に形成された頂上平面113を有し、頂上平面113の周囲に、12面の傾斜面101〜112が形成されている。従って、上述した第1の実施の形態の光路切替装置のように、制御光用光ファイバー12a〜12mのいずれからも制御光を照射しない場合は、信号光用光ファイバー10a〜10fから出射されるそれぞれの信号光は、くさび型プリズム100の頂上平面113を通過して、それぞれ受光素子に結像される。一方、制御光用光ファイバー12a〜12mのいずれかから制御光が照射された場合、信号光用光ファイバー10a〜10fから出射されるそれぞれの信号光は、その光路が偏向されて、くさび型プリズム100の傾斜面101〜112のいずれかを通過して、受光素子に結合される。なお、信号光用光ファイバー10a〜10fから出射されるそれぞれの信号光の光路偏向については、第2の実施の形態の光路切替装置で説明した方式と同様になされるため、ここでの説明は省略する。
【0052】
第4の実施形態の光路切替装置によれば、同一の光路切替装置によって、6種類の信号光を、少なくとも36個の光路に切り替えることができる。また、従来のような、信号光のミキサーも不要になり、その結果、装置構成を小型化することができる。更に、必要な情報は、4本の信号光用光ファイバーを用いた信号光の時間差によって伝搬することで、複数の信号光を同一の光路切替装置を用いて送信することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、光通信分野および光情報処理分野において有効に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
10a,10b,10c,10d,10e,10f 信号光用光ファイバー、12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i,12j,12k,12m 制御光用光ファイバー、14,14a,14b,14c ダミー用光ファイバー、20 コリメートレンズ、22 集光レンズ、30 熱レンズ形成素子、40 受光レンズ、50,80,90,100 くさび型プリズム、60 結合レンズ、70 受光素子、200,202,300,302 光路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の波長の信号光を照射する一対の近接した信号光光源と、
前記一対の近接した信号光光源を間に挟んだ前記信号光とは異なる特定波長の制御光を照射する2つ以上の制御光光源と、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成光素子と、
前記光吸収層に前記制御光と前記信号光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束させて入射させる集光手段と、を有し、
前記熱レンズ形成光素子は、前記制御光と前記信号光が、光の進行方向で前記光吸収層内において収束したのち拡散することによって、前記光吸収層内における前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因し過渡的に熱レンズが形成され、該熱レンズにより、前記光吸収層内に屈折率分布が生じ、前記信号光の進行方向を変え、光路切替を行い、
更に、前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光と、前記制御光が照射され光路切替された信号光とを、それぞれ収束または集光した光路切替装置であって、前記制御光が照射され光路切替された信号光は、一対の他方の前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光の収束または集光した位置と同一の位置に、それぞれ収束または集光するようにしたことを特徴とする光路切替装置。
【請求項2】
更に、熱レンズ素子通過後の信号光を収束または集光させる光学装置は、第1の受光手段と第2の受光手段を設け、前記第1の受光手段と第2の受光手段の間に、両面が平行な部分を持つくさび型プリズムを設け、前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光はくさび型プリズムの両面が平行部分を通過し、前記制御光が照射され光路切替された信号光はくさび型プリズムのプリズム部分を通過させ、前記制御光が照射され光路切替された信号光は一対の他方の前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光の収束または集光した位置と同一の位置に、それぞれ収束または集光するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置。
【請求項3】
複数の信号光光源が一対となる信号光光源となるように、3つ以上の信号光光源を近接して配置したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光路切替装置。
【請求項4】
一対をなす2つ以上の信号光光源からの、1種類以上の波長の信号光を各々の光軸を揃えて出射させ、
前記一対の近接した信号光光源を間に挟んだ2つ以上の制御光光源からの、前記信号光とは異なる特定波長の制御光を各々出射させ、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成光素子に、前記信号光と前記制御光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束するよう集光して照射し、
前記信号光は前記熱レンズ形成光素子を透過させ、
前記制御光は前記熱レンズ形成光素子内の前記光吸収層にて光吸収させて前記光吸収層内における前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に伴う熱レンズを過渡的に形成させて前記熱レンズ形成光素子内の前記光吸収層内に屈折率分布を生じさせ、前記信号光の進行方向を変えて光路切替させ、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光と、前記制御光が照射され光路切替された信号光をそれぞれ、同一光学手段からなる第1の受光手段および第2受光手段により収束または集光させ、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光と、前記制御光が照射され光路切替された信号光とを、前記第1の受光手段と第2受光手段との間に設けたくさび型プリズムにより分光したまま屈折させて通過させること、を特徴とする複数光信号の光路切替方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−19963(P2013−19963A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151102(P2011−151102)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503184234)株式会社インターエナジー (20)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】