説明

光路長が変更された異なる角度の光の合成により光学的に干渉する断層撮影におけるスペックルの減少

【課題】光学的に干渉する断層撮影(OCT)の画像の質を下げる要因となるスペックルを減らす為、光路長の変更によって異なる角度の光の合成の実現を可能にし、光路長によって変更された各画像、異なる入射角で得られたこれらの画像の平均によって高速画像の獲得を維持し光学OCT検出への最小の変更を実現する、組織ファントムや人間の皮膚から得られたACPE画像の従来のOCTよりも質的な改善と高いSN比を示すプローブカテーテル装置及び方法を提供する。
【解決手段】プローブカテーテル装置及び方法は、サンプルを照射する為に提供され、特に、撮影装置5は電磁放射を発射し、さらに、サンプル部は電磁放射を受け取り、サンプルを照射するために電磁放射から少なくとも2つの放射30,40の生成を促進する装置20を具備し、少なくとも2つの放射のうちの第二放射に対して少なくとも2つの放射のうちの第一放射を遅らせるような装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断と撮影に有用な光学撮影方法と装置に関するものである。特に、本発明は高速で角の混合を実現する方法に関する。例えば、光学的に干渉する断層撮影における画像のスペックルを減らすための光路長の変更による異なる角度の光の合成(“ACPE”)を実現する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学的に干渉する断層撮影(“OCT”)は生物的組織の断面の高解像度画像を得る技術である。消火器と循環器系内の臨床OCT調査によると、OCTは、うろこ状の上皮および血管の層状構造を有する様々な上皮組織の構造(>20μm)のマイクロ解剖学における画像を提供することができる。但し、バレット型食道の異形成の早期発見や動脈硬化症血小板内の炎症の識別のような医学適用の場合は、20μm未満の大きさである構造の視覚化が好ましい。8〜12μmまで及ぶ典型的な軸解像度を得るOCTシステムは、細胞核と、個々の腺と、マクロファージを含む多数の構造を撮影できる可能性を持つ。しかし、これらの物と同じ大きさの規模に発生するスペックルは、細胞核、個々の腺、およびマクロファージの包含を妨げる恐れがある。しかし、これらの物と同じ大きさの規模に発生するスペックルは、このような技術の広く普及された臨床利用に必要な細胞及び細胞小器官の組織成分の明白な識別を妨げる恐れがある。
【0003】
患者の内臓でOCTを行うために、カテーテルまたは内視鏡検査器具と高速画像撮影が使用される。直径を最小にするために、ほとんどのカテーテルOCT検出器は、サンプルを照射することによって組織からの信号を検出する単一の光ファイバーを使用する。OCT画像撮影を行う時、患者の動きによって引き起こされる不具合を最小にしながら、高フレーム率(通常毎秒4−10フレーム)とすることが好ましい。単一の光ファイバー検出器具の設計を複雑にせず、高フレーム率を維持できてOCT画像のスペックルを減らす方法があれば、それは患者の微小な組織の構造を正確に検出し、量るために有効かもしれない。
【0004】
OCT画像のスペックルの減少は前に述べた。異なった角度で得られる複数の画像の平均によってスペックルを減少させる処理を述べる(特許文献1参照)。これは角度の合成として知られている。特許文献1では、多数(N)の検出器は異なった角度から得られた画像を受け取る。それらの画像は干渉せずに平均され、信号/ノイズ率又はSN率(“S

という利点がある。
【0005】
また、スペックルを減らすための角度の合成に関する他の技術を述べる(特許文献2参照)。この方法では、組織に入射する光線の入射角を変えるために光線を元へ反射する反射鏡を対物レンズの前に移す。連続する画像をN枚得て干渉せずに加えるとスペックルは

【特許文献1】J.M.シュミット(Schmitt)著、「光学的干渉性の顕微鏡検査のスペックルの減少のための配列の検出」、Phys.Med.Biol.42、1427−1429、1997年
【特許文献2】M.バシュカンスキー(Bashkansky)とJ.レインズ(Reintjes)著、「光学的干渉性の断層レントゲン写真撮影のスペックルの統計量および減少」、Opt.Lett.25、545−547、2000年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】

に行われるという利点があるが、この装置は単一光ファイバーのカテーテルと互換性がな

善し、複数の検出器を使用する方法ほど複雑ではないが、画像を得るために必要な時間がN増える。さらに、短い直径のカテーテル又は内視鏡内でのこの方法の実現は困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決することのできるスペックル減少させる為の光路長が変更された異なる角度の光の合成による、光学的に干渉する断層撮影方法と装置を提供することを目的とする。この目的は特許請求範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態において、光路長の変更によって異なる角度の光の合成(“ACPE”)を使用し、この角度の光の合成を行うことによってOCT画像内のスペックルを減少させる方法を提供する。ACPEは高速獲得を維持することができ、標準的な光学OCTカテーテルへの変更を最低限におさえる。本発明の他の実施形態では、ACPEを使用する画像撮影のための装置を提供する。
【0009】
本発明の実施形態において、サンプルを照射するカテーテルプローブ器具と方法を提供する。特に、干渉計は電磁放射の促進を進める。さらに、サンプル部は電磁放射を受け、サンプルを照射するために電磁放射から少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を具備することができる。少なくとも2つの放射のうちの第二放射に対して少なくとも2つの放射のうちの第一の放射を遅らせるように、そのような装置を構成することができる。
【0010】
本発明の他の実施形態において、基準部はさらに電磁放射を発生する。特に、干渉計は第一放射と第二放射とさらに放射を受け、これらの放射に基づいた結果の信号を発生する。第一及び第二画像が互いに異なるように、第一放射に基づく第一画像と第二放射に基づく第二画像を形成する処理装置を具備できる。さらなる画像は第一と第二画像に基づいて形成することができる。また、第一画像のノイズと第二画像のノイズと比べると、さらなる画像のノイズは小さいことがある。また、さらなる画像は次の方程式によるSN率の改善が見られることがある:
【数1】

ここで、SNRACPEはSN率であり、SOCTは高率にろ過されたOCT信号の振幅であり、mは装置の厚さであり、uは空間的な位置で復調されたOCT信号の振幅である。そして、N=2m−1。更に、少なくとも2つの放射と関連するm=2とN=3画像を得ることができる。それ以外の画像は第一と第二画像の数学的な組合せに基づいて形成することもできる。
【0011】
本発明の更に他の実施形態において、第一角度の第一照射と第二角度の第二放射によってサンプルを照射することができ、第一及び第二角度が互いに異なる。例えば、遅延や、第一と第二の各放射の位相と入射角の少なくとも一つに基いて、第一及び第二角度が互いに異なる。第一電磁エネルギーを検出し、検出されたエネルギーを処理装置に発射する検出器を使用することもできる。
【0012】
本発明の更に他の実施形態において、装置は2つのセクションから成り、各々が第一及び第二放射を遅らせるように構成する。特に、第一放射の遅れは第二放射の遅れより大きい方が好ましい。さらに、第二放射の光路の遅れに比べて第一放射の光路の遅れは空気中少なくとも500μmである。更に、第二放射の光路の遅れに比べて第一放射の光路の遅れは空中少なくとも1mmである。装置の屈折率は少なくとも1.5または、少なくとも3.0である。装置の表面の少なくとも一面は、シリコン且/又は反射防止塗布を含むことができる。装置は反射防止塗布されたBK7ガラスでよい。ガラスの厚さは略1.6mm〜略7.7mmで、屈折率は略1.51〜略3.5である。
【0013】
本発明の更に他の実施形態において、撮影する装置を提供する。装置には電磁放射を受け取るサンプル部を有する。サンプル部にはサンプルを照射するために電磁放射から少なくとも2つの放射の生成を促進する装置がある。装置は、少なくとも2つの放射の第二放射に関して少なくとも2つの放射の第一放射を遅らせるように構成されている。また、装置にはサンプル部から第一と第二放射、そして基準部から少なくとも1つの第三放射を受け取るデバイスを有し、第一と第二放射が第三放射と干渉するようになっている。更に、装置には、第一と第二と第三放射の少なくとも1つのスペクトルを周波数成分に分ける少なくとも1つのスペクトル分光装置を有し、多数の検出器から成る少なくとも1つの検出装置が具備されている。各検出器は少なくとも1つの周波数成分の少なくとも一部を検出することができる。
【0014】
本発明の更に他の実施形態において、装置を提供する。装置はサンプル部に少なくとも1つの第一電磁放射を伝送する少なくとも1つの第一装置と、反射防止された基準部に少なくとも1つの第二電磁放射を有する。第一装置による放射の周波数は時間とともに変わる。サンプル部は第一電磁放射を受けて、サンプルを照射するために電磁放射から少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を含む。装置は、少なくとも2つの放射の第二放射に関して少なくとも2つの放射の第一放射を遅らせるように構成されている。装置はさらに、サンプル部で発生する第一、第二電磁放射と基準部で発生する第二電磁放射間の干渉を検出する少なくとも1つの第二装置を含む。
【0015】
本発明の更に他の実施形態において、装置を提供する。装置はサンプル部に少なくとも1つの第一電磁放射と基準部に少なくとも1つの第二電磁放射を伝送する少なくとも1つの第一装置を含む。第一、且/又は第二電磁放射のスペクトルが時間とともに変わる。スペクトルは特定時間に多数の周波数を有する。サンプル部は第一電磁放射を受けて、サンプルを照射するために電磁放射から少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を含む。装置は、少なくとも2つの放射の第二放射に関して少なくとも2つの放射の第一放射を遅らせるように構成されている。装置はさらに、サンプル部で発生する第一、第二電磁放射と基準部で発生する第二電磁放射間の干渉を検出する少なくとも1つの第二装置を含む。
【0016】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態に係る方法及び装置によれば、OCTフレーム率を下げないことと、OCT検出器に単一の受動素子を1つだけの追加は実現されるべきであるという特徴を有する。ACPEの特徴は、患者の内部器官システムのOCT画像撮影と本発明のシステム及び方法に互換性があるようにする点である。ACPEの実現がスペックルの減少とシステム感度間の調整を促進する一方、スペックルのノイズによって起こる問題は、現代のOCTシステムより臨床診断に関して、特に1300nmの場合におそらく深刻である。OCT画像のスペックルのノイズは20μm、またそれ未満の大きさ程度の特徴の解釈の難しさを生じるため、ACPEは、アテローム動脈硬化の異形成および炎症に限らず、重要な病気の診断のためのOCTの機能をおそらく大幅に改善する。また、ACPEは高速獲得を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
<1.材料と方法>
図1Aは、本発明の実施形態に係るACPEを使用する装置を示す。光学ガラス20は従来のOCT撮影装置5の撮影路10に位置し、入射フィールドを、光路30と40にそれぞれある2つのビームレット1と2に分割する。ここでの記載において、ビームレットとは光線の一部分と定義する。光学部品により(例えば、光学ガラス20)、入射光線の一部分(ビームレット2)はビームレット1より大きい光路長の遅れとなる。さらに、ビームレット2はビームレット1とは違う角度でサンプルを照射する。レンズを使用し、サンプル(例えば、生物組織)にビームレット1とビームレット2を集束させることができる。その結果、それぞれ異なる角度で得られたサンプル内又は上の標本の多数のOCT画像はOCT表示画面に同時に現れることがある(図1Bを参照)。特に、図1Bによると上部の画像(すなわち、1+1と表示されたもの)が光路1(すなわち、入射と反射)から形成された画像に対応し、真中の画像(すなわち、1+2、2+1と表示されたもの)が光路1入射と光路2反射、そして光路2入射と光路1反射から形成された画像に対応する。更に、図1Bの下部の画像(すなわち、2+2)は光路2(入射と反射)から形成された画像に対応する。
【0020】
従って、光学距離によって変更されたビームレット1と2は異なる角度でサンプルを照射する。その結果、異なる角度で得られた多数のOCT画像は単一のOCTフレーム内にあることが好ましい(図1Bに図示)。例えば、光学部品がmの明瞭な厚さのガラスを有し、また、それらの各光学厚さが他の光学厚さの倍数であれば、1つのOCTフレームで2m−1OCT画像を得ることができる。Dが厚さでnが光学材料の屈折率である場合、各画像をD(n−1)/2というグループ遅延によって分けられる。それから明瞭なOCT画像は平均されて、随分減少したスペックルのある合成OCT画像を形成する。画像の全てが1つのOCTフレームで得られるため、単一フレーム獲得時間は維持することができる。さらに、OCT検出器の変更は遠位光学の光路に少なくとも1つの小型光学部品の挿入を必要とするのである。ACPEのこれらの効果は、短い直径のカテーテルまたは内視鏡内でスペックルの平均化を可能にする他、速度の獲得を可能にする点である。
【0021】
以前に試しに使用した画像合成によるOCTスペックル減少では、同強度のN画像の追

の文献ではOCTのスペックル配分が確率密度関数で表されることを記述する:
【数2】

ここでは、k=2AσとしてAは基準電界の振幅であり、SOCTは高率にろ過されたOCT信号の振幅、そして、σはその標準偏差である。この確率密度関数に関しては、シュミットとバシュカンスキーの文献で実験的に記載されている結果のとおり、同振幅

Tのサブ画像は一般的に同じ振幅を持たない可能性がある。但し、等方性後方散乱という想定で、これらのサブ画像は元のOCT画像(S0OCT)はβ/mほど関連している、但し、βは明瞭なサブ画像に携わる光路長の組合せの数である。この結果、ACPEのSNRは次のように定義する:
【数3】

ここでは、μは空間的な位置における復調されたOCT信号の振幅であり、そして、N=2m−1。m=2の場合、N=3画像は得られ、ACPE OCTのサブ画像の振幅間の関係はS1OCT=S3OCT=1/4S0OCT、及び、S2OCT=2S1OCT=1/2S0OCTである。すると、混合されたm=2ACPE画像のSNRの改善の可能性は、SNRがS0OCTのSN率であると、SNRACPE/SNR=1.63である。
【0022】
<2.例1>
本発明において、多偏光OCTシステムはACPEを実現する装置を利用できる(例えば、図1Aに図示)。本発明に係るこのようなシステムを使用すると、OCT画像は毎秒2フレーム(例えば、500軸画素×500横画素)で得ることができ、反対にしたグレー・スケール・テーブルで表示し、デジタル保管できる。このようにOCTシステムに使用できる光源を中心波長が1310nmで帯域幅が70nmとし、これによって、組織内の軸解像度を略8μmで提供できる。
【0023】
変更された手持ち式の検流計検出器は(例えば、図1Aの装置)、OCT撮影装置5のサンプル部に挿入できる。対物レンズ50は25mmの焦点距離および0.11の開口数値(NA)を有し、23μmに及ぶ1/e焦点直径を有する。正方形型の反射防止塗布したD=3.1mmのBK7ガラスを(n=1.51)(例えば、光学ガラス20)、照明光線の半分と重なるように光ファイバーのコリメーターと対物レンズ50の間に挿入できる(図1A参照)。この構成で略800μmのOCT画像を分けることができる。ガラス板が挿入されると、ガラス端と垂直な焦点の直径は2倍(46μm)増加する可能性がある。しかし、OCT画像の平面では横断解像度は維持される。
【0024】
<3.例2>
1%の内部脂肪溶液と寒天から成っている固体ファントムを使用して、ACPEによりスペックル減少を測定することができる。例えば、4本の毛をゼリー状の内部脂肪・寒天内に異なった横断位置、且深さに埋め込むことができる。図2Aは、内部脂肪の略図である。図2Bと2Cは、BK7ガラス板がある場合とない場合の対応するOCT画像である。1〜5と表示したROIは、ACPEでSNR改善を測定する位置を表す。BK7ガラス板20(3.1mmのBK7ガラス部品がある)をサンプル部に挿入すると、元のOCT画像(図2C参照)のコピーが3枚形成され、これらの各画像は異なった照明角度で得られ、グループ遅延の増加、例えば800μm、によって分かれている。図2Cの上部及び下部の画像にある信号の振幅は、中央の画像のおよそ半分である(S1OCT/S2OCT=S3OCT/S2OCT=1:2)。図2(D)で示す合成されたACPEの画像は、図2Cに示す3つの画像を干渉がなく平均することによって得ることができる。図2(D)では、多くのスペックルが減少した合成画像を見ることができる。元のOCT画像と比較すると、図2Bに図示す5つの領域ACPE SNR改善の平均は、好ましくは1.54±0.12(平均±標準偏差)である。
【0025】
<4.例3>
SNRの改善を生体内で論証するためには、ACPE OCT撮影を患者の前腕の腹部で行うことができる。図3Aと3Bは、代表的な一組の画像を示す。図3Aは、BK7 ACPE部品の挿入前に生体内で得た前腕の腹部のOCT画像を示す。これらの映像の視覚的な判定によると、合成されたACPEの画像(図3B)の質的な改善が明らかである。表皮(E)と皮膚(D)の間にある境界は、図3Bで示すように、ACPEを利用した方が明確に表れる。さらに、真皮脈管構造と一致する横の構造は図3BのACPE画像で容易に識別される。図3Bにある元のOCT画像とACPEのSNRを測定することができ、1.56というSNRの改善ができる。
【0026】
本発明の実施形態に係る装置と方法はOCTフレーム率を下げず、OCT検出器への最小限な変更を必要としながら、OCT画像のスペックルの減少を提供する。ACPEの実現はスペックルの減少と3つの他のOCTシステム・パラメータの間の調整をする、すなわちa)サンプル部の横断解像度と、b)基準部光路の総距離と、c)OCT画像の感度。特に、どの対物レンズに関しても、ACPEは各ビームレットのレンズ口径をアンダフィルすることによって、1次元の横断解像度を低下することがある。ほとんどの場合、この解像度の損失は対物レンズの開口数値(NA)を増加することによって償うことができる。
【0027】
スペックルを平均したACPE−OCT画像は、ほぼ同じ周波数で基準部光路の距離の増加した遅れをスキャンすることによって従来のOCT画像と同じ率で得ることができる。各OCTサブ画像を得るためには、LをOCTシステムの元のスキャンの長さとした場合、ACPE−OCTシステムの新しいスキャンの長さは、好ましくはL=(2m−1)である。位相制御RSOD線を使用することによって、スキャンが10mm範囲まで可能であり、従って、m=3と、L=2mmと、最大、予測SNR改善がおよそ〜2.1を可能とする。
【0028】
スキャン率を維持している間基準部の光路長スキャン範囲を広げることは、電子帯域幅を増加し、OCTシステムの感度を減らす可能性がある。また、ACPEがサンプル部力を2m−1のサブ画像に分割するので、各サブ画像は元のサンプル部力の一部分を含む。人間の組織を撮影する場合、これらの損失はOCT画像の浸透深さに影響を及ぼす可能性がある。バレット型食道やアテローム動脈硬化プラークの大食細胞を持つ患者の細胞核を例として、臨床関連性の多くの特徴は、mが適度な場合、組織の表面にあるためACPEが提供する画像の質の改善はおそらく感度の損失を上回る。さらに、より有能な干渉計の設計と高い発電の技術的な開発が進歩するため、臨床的に実用可能なOCTの源はACPEの感度の損失が無いに等しいとする可能性がある。
【0029】
上述した例(3.1mmBK7)でここに記載した光路長変更の光学部品の厚さは、個々のサブ画像間に800μmの分かれを引き起こすため、ある組織のOCT画像撮影が十分でないことがある。BK7ガラスの厚さを7.7mmに厚くすることによって、光路長の分離を2mmにする可能性がある。この厚さは自由空間で手持ち式型のOCT検出器に相応しいかもしれないが、固定の長さを最小にすることが重要である短い直径の柔軟なカテーテルの場合に問題となる。光路長の変更の光学部品の厚さを厚くするためには、シリコン(n=3.5)のようなより高い屈折率材料を使用することがある。シリコンで2mmの遅れを生じるためには、材料の略1.6mmを使用することが好ましい。高い屈折率ガラスを使用した場合、基準部とサンプル部の間の散乱の不均衡は考慮されるべきである。高解像度のOCT画像撮影(Δλ/λ>10%)のために、光路長の変更に使用する光学材料の適切な選択は源の中心の波長と帯域幅に左右される。
【0030】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが出来る。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】Aは、本発明の実施形態のACPE−OCT装置の略図である。Bは、OCT表示画面である。
【図2】Aは、本発明の実施形態の内部脂肪−寒天 ファントムの略図である。Bは、BK7 ACPE部品の挿入のない図2AのファントムのOCT画像を示す図である。Cは、3.1mmBK7ガラス部品を使用して、サンプル光線を2つに分割することによって得られたACPE OCT画像を示す図である。(D)は、3つの画像を干渉がなく平均することにより得られたOCT画像を示す図である。
【図3】Aは、BK7 ACPE部品の挿入前に、生体内で得た前腕腹部のOCT画像を示す図である。Bは、図3Aと同じ位置で得られた皮膚の合成したACPE OCT画像を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ビームレット
2 ビームレット
5 OCT撮影装置
10 撮影路
20 光学ガラス
30 光路
40 光路
50 対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを照射する装置は、
a)電磁放射を送る干渉計と、
b)前記サンプルを放射するために、前記電磁放射から少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を含み、前記装置は少なくとも2つの放射のうちの第二放射に対して少なくとも2つの放射のうちの第一放射を遅らせるように構成され、該電磁放射を受け取る前記サンプル部と、を有することを特徴とするサンプルを照射する装置。
【請求項2】
サンプルを照射する装置はさらに、
c)前記干渉計が、前記第一と前記第二とさらなる放射を受け取り、該第一と該第二とさらなる放射に基づく信号を形成し、さらなる電磁放射を提供する基準部と、
d)第一と第二画像が互いに異なり、該第一放射に基づく前記第一画像と該第二放射に基づく前記第二画像を形成する処理装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項3】
前記処理装置が前記第一及び前記第二画像に基づいてさらなる画像を形成することを特徴とする請求項2に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項4】
前記さらなる画像に、前記第一画像のノイズ及び前記第二画像のノイズより小さいノイズがあることを特徴とする請求項3に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項5】
【数1】

SNRACPEはSN率、SOCTは高率にろ過されたOCT信号の振幅、mは装置の厚さ、uはある空間の位置にある復調されたOCT信号の振幅であり、N=2m−1、であり、
前記さらなる画像は、上記のこの方程式に従って改善されるSN率の信号を有することを特徴とする請求項4に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項6】
少なくとも2つの放射と関連してm=2でN=3の画像が得られることを特徴とする請求項5に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項7】
前記さらなる画像は前記第一及び前記第二画像の数字的な組合せに基づいて形成されたことを特徴とする請求項3に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項8】
互いに異なる第一及び第二角度であって、前記サンプルは前記第一角度では前記第一放射によって照射され、該サンプルは前記第二角度では前記第二放射に照射されることを特徴とする請求項2に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項9】
前記第一及び前記第二角度は、前記第一及び前記第二放射のそれぞれの位相と入射角の少なくとも1つと遅れとに基いて、互いに異なることを特徴とする請求項8に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項10】
さらに第一の電磁エネルギーを検出する検出器から成り、前記検出されたエネルギーを前記処理装置に伝送することを特徴とする請求項2に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項11】
前記第一放射の遅れが前記第二放射の遅れより大きいもので、装置は、該第一及び該第二放射のそれぞれの1つを遅らせるように各セクションが構成される2つのセクションを具備することを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項12】
前記第二放射の光路と比較した前記第一放射の光路の遅れは空中で少なくとも500μmであることを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項13】
前記第二放射の光路と比較される前記第一放射の光路の遅れが空中で少なくとも1mmであることを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項14】
前記装置には少なくとも1.5の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項15】
前記装置には少なくとも3.0の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項16】
前記装置がシリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項17】
前記装置は、少なくとも1つの表面に反射防止塗布をしたことを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項18】
前記装置は、反射防止塗布してあるBK7ガラスから成ることを特徴とする請求項1に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項19】
前記ガラスは、略1.6mm〜略7.7mmの厚さであることを特徴とする請求項16に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項20】
前記ガラスは、略1.51〜略3.5の屈折率であることを特徴とする請求項16に記載のサンプルを照射する装置。
【請求項21】
カテーテルは、
a)電磁放射を伝送する干渉計と、
b)サンプル部は、サンプルを照射するために前記該電磁放射からの少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を具備し、前記装置は少なくとも2つの放射のうちの第二放射に関して少なくとも2つの放射のうちの第一放射を遅らせるように構成され、前記電磁放射を受け取る前記サンプル部と、を備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項22】
光学的に干渉する断層撮影画像の検出装置は、
a)電磁放射を伝送する干渉計と、
b)サンプル部はサンプルを照射するために前記電磁放射からの少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を具備し、前記装置は少なくとも2つの放射のうちの第二放射に関して少なくとも2つの放射のうちの第一放射を遅らせるように構成され、該電磁放射を受け取りる前記サンプル部と、を備えることを特徴とする光学的に干渉する断層撮影画像の検出装置。
【請求項23】
サンプルを照射する方法は、
a)干渉計から電磁放射を提供する工程と、
b)少なくとも2つの放射のうちの第二放射に対して少なくとも2つの放射のうちの第一放射は遅れ、サンプル部に関しては、サンプルを照射するために前記電磁放射から少なくとも2つの放射の生成を促進する工程と、から成ることを特徴とするサンプルを照射する方法。
【請求項24】
画像撮影する装置は、
a)サンプル部はサンプルを照射するために電磁放射からの少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を具備し、前記装置は少なくとも2つの放射のうちの第二放射に関して少なくとも2つの放射のうちの第一放射を遅らせるように構成されている、前記電磁放射を受け取るサンプル部と、
b)前記第一及び前記第二放射は第三放射を干渉し、前記サンプル部からの該第一、該第二放射と基準部からの少なくとも1つの第三放射を受け取るデバイスと、
c)前記第一と前記第二と前記第三放射の少なくとも1つのスペクトルを周波数成分に分ける少なくとも1つの分光分離器と、
d)各検出器が少なくとも1つの周波数の一部を検出することができる複数の検出器を含む少なくとも1つの検出装置と、から構成することを特徴とする画像撮影する装置。
【請求項25】
画像撮影する装置は、
a)第一装置によって提供されている放射の周波数が時間とともに変わり、また、サンプル部は第一電磁放射を受け取り、前記サンプル部はサンプルを照射するように前記電磁放射からの少なくとも2つの放射の生成を促進する装置を具備し、前記装置は少なくとも2つの放射のうちの第二放射に対して少なくとも2つの放射のうちの第一放射を遅らせるように構成されている、該サンプル部に少なくとも1つの前記第一電磁放射と反射防止された基準部に少なくとも1つの前記第二電磁放射を提供する少なくとも1つの前記第一の装置と、
b)該サンプル部で発生する該第一、該第二放射と前記基準部で発生する該第二電磁放射との間の干渉を検出する少なくとも1つの第二検出装置と、を有することを特徴とする画像撮影する装置。
【請求項26】
画像撮影する装置は、
a)第一と第二電磁放射の少なくとも1つが時間とともに変わるスペクトルを有し、前記スペクトルはある一定の時間に多数の周波数を有し、サンプル部は前記第一電磁波を受け取り、前記サンプル部は、サンプルを照射するために該電磁放射から少なくとも2つの放射の発生を促進する装置を具備し、前記装置は、少なくとも2つの放射のうちの第一放射が少なくとも2つの放射のうちの第二放射に対して遅れるように配置されていて、該サンプル部に少なくとも1つの該第一電磁放射と基準部に少なくとも1つの該第二電磁放射を提供する少なくとも1つの第一装置と、
b)該サンプル部で発生する該第一、該第二放射と基準部で発生する該第二電磁放射の間の干渉を検出する少なくとも1つの第二装置と、から構成することを特徴とする画像撮影する装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−209293(P2011−209293A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−136398(P2011−136398)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【分割の表示】特願2006−509619(P2006−509619)の分割
【原出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】