説明

光路長調整器および分散補償器

【課題】簡易な構成で高速かつ比較的広い範囲で光路長を変更する。
【解決手段】光源13から発せられた光を反射し、揺動角度を変化させてその反射方向を変更可能な揺動ミラー15と、揺動ミラー15により反射された光を順に反射して揺動ミラー15に戻す固定ミラー17A,17Bと、揺動ミラー15の揺動角度にかかわらず、揺動ミラー15により2回反射された光を同一の光路を通して射出させる折返しミラー19およびビームスプリッタ21とを備える光路長調整器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光路長調整器およびこれを用いた分散補償器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光路長の変更を簡単に行うことができる光路長調整器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の光路長調整器は、互いに平行に配置された2つの平面鏡からなる二重鏡を共通軸を中心として回転可能に配置し、光源から発せられた光を各平面鏡で順に反射して反射鏡へと導くものである。この光路長調整器は、二重鏡を回転させて平面鏡に入射させる光源からの光の入射角度を変えることで、回転の前後における光路長を変化させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−316333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光路長調整器によれば、光路長が2つの平面鏡間の直線距離に応じて決定され、回転の前後における光路長の変更量が二重鏡の回転角度に依存する。そのため、平面鏡間の距離を大きくすれば二重鏡を微小回転させるだけで光路長を大きく変更することができるが、二重鏡全体が大型化しこれを回転するために大きな駆動力が必要になるという問題がある。また、回転速度を大きくすれば光路長を大きく変更することができるが、二重鏡全体の回転速度には限界がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で高速かつ比較的広い範囲で光路長を変更することができる光路長調整器およびこれを用いた分散補償器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、光源から発せられた光を反射し、揺動角度を変化させてその反射方向を変更可能な揺動ミラーと、該揺動ミラーにより反射された前記光を順に反射して該揺動ミラーに戻す2つ以上の固定ミラーと、前記揺動ミラーの揺動角度にかかわらず、該揺動ミラーにより2回目以降に反射された光を同一の光路を通して射出させる光路調整光学系とを備える光路長調整器を提供する。
【0007】
本発明によれば、揺動ミラーを揺動させて、光源から発せられた光の反射方向を変更すると、該揺動ミラーおよび2以上の固定ミラーを介して揺動ミラーにより2回目以降に反射されるまでの光路が変動し、その光路長が変化する。そして、揺動ミラーの揺動角度にかかわらず、揺動ミラーにおいて2回目以降に反射された光は光路調整光学系によって同一の光路から取り出される。すなわち、揺動ミラーを揺動させるだけで、光路長の異なる光を同一の光路から取り出すことができる。
【0008】
この場合に、2つ以上の固定ミラー間で光を順に反射して揺動ミラーに戻すことで光路が折り返されるので、実質的には、大きく離れた2枚の揺動ミラー間で反射させるのと同じだけの光路長の変動を狭い範囲で実現することができる。すなわち、揺動ミラーおよび各固定ミラー間の距離を大きくすることなく光路長を大きく変動させることができる。また、揺動ミラーを僅かに揺動させるだけで光路長を大きく変更することができる。したがって、コンパクトな構成で、光路長を高速にかつ広範囲にわたって変更することができる。
【0009】
上記発明においては、前記光路調整光学系が、前記揺動ミラーにより2回目以降に反射された前記光の光路に直交する反射面を備える折返しミラーと、前記光源と前記揺動ミラーとの間に配置され、前記折返しミラーにより反射された前記光を分岐させる光路分岐部材とを備えることとしてもよい。
【0010】
このように構成することで、光源から出射され揺動ミラーおよび2つ以上の固定ミラーを介して揺動ミラーにおいて2回目以降に反射された光が、折返しミラーによって折り返されて同一光路を戻り、光路分岐部材によって分岐される。これにより、光路長が異なる光を同一の光路から容易に取り出すことができる。
【0011】
本発明は、上記本発明の光路長調整器と、前記揺動ミラーにより2回目以降に反射された前記光を通過させて分散を補償する分散補償部材とを備え、該分散補償部材が、前記揺動ミラーにおいて反射された前記光の光路に交差する方向に異なる分散補償量を有する分散補償器を提供する。
【0012】
本発明によれば、光路長調整器において、同一の揺動ミラーにおいて2回反射された光は、相互に平行に配置した2枚の揺動ミラー間で光を反射させる場合と同様に、揺動ミラーの角度に応じて並進移動させられ、一定の角度で出射される。したがって、揺動ミラーを揺動することで、光が分散補償部材を通過する位置を光路に交差する方向に沿って変更することができる。これにより、分散補償部材において波長ごとに光路長を調整して分散を補償することができる。
【0013】
上記発明においては、前記分散補償部材が三角プリズムより構成され、前記光路に交差する方向に沿って厚さが変化するように配置されていることとしてもよい。
このように構成することで、光が三角プリズムを通過する位置の波長ごとの屈折率の差に応じて分散を補償するができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記分散補償部材が厚さが異なる複数の平行平板によって構成され、前記光路に交差する方向に沿って厚さが段階的に変化するように配置されていることとしてもよい。
このように構成することで、光が通過する平行平板の厚さに応じて異なる量だけ分散を補償することができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記分散補償部材が異なる分散特性を有する材料からなる複数の平行平板を前記光路に交差する方向に配置して構成されていることとしてもよい。
このように構成することで、光が通過する平行平板ごとの分散特性に応じて異なる量だけ分散を補償することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成で高速かつ比較的広い範囲で光路長を変更することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る光路長調整器およびこれを用いた分散補償器の概略構成図である。
【図2】図1の基本姿勢の揺動ミラーによる光路を示した図である。
【図3】図1の揺動後の揺動ミラーによる光路を示した図である。
【図4】図1の基本姿勢の揺動ミラーによる光路および揺動後の揺動ミラーによる光路を示した別の図である。
【図5】本発明の一実施形態の第1の変形例に係る分散補償部材を示す概略構成図である。
【図6】本発明の一実施形態の第2の変形例に係る分散補償部材を示す概略構成図である。
【図7】本発明の一実施形態の第3の変形例に係る分散補償部材を示す概略構成図である。
【図8】本発明の一実施形態の第4の変形例に係る光路分岐部材を示す概略構成図である。
【図9】本発明の一実施形態の第5の変形例に係る光路調整光学系を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る光路長調整器1およびこれを用いた分散補償器10について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る分散補償器10は、図1に示すように、光源13から発せられた光の光路長を調整する光路長調整器1と、該光路長調整器1において光路長を調整された光を通過させて分散を補償する三角プリズム(分散補償部材)3とを備えている。
【0019】
光路長調整器1は、光源13から発せられた光を反射する揺動可能な揺動ミラー15と、揺動ミラー15により反射された光を順に反射して揺動ミラー15に戻す第1の固定ミラー17Aおよび第2の固定ミラー17Bと、揺動ミラー15において2回目に反射された光を同一光路に沿って折り返す折返しミラー19と、折返しミラー19によって折り返された光を分岐させるビームスプリッタ(光路分岐部材)21とを備えている。
【0020】
これら光源13、第1の固定ミラー17A、第2の固定ミラー17B、折返しミラー19およびビームスプリッタ21は、揺動ミラー15の同一反射面側に設けられ、光源13側から順にビームスプリッタ21、第2の固定ミラー17B、第1の固定ミラー17A、折返しミラー19の順に配置されている。なお、前記三角プリズム3は、第1の固定ミラー17Aと折返しミラー19との間に配置されている。
【0021】
揺動ミラー15は、例えば、ガルバノミラーであって、回転軸Cを中心に揺動可能に配置されている。この揺動ミラー15は、光源13から発せられた光を反射して第1の固定ミラー17へと導くようになっている。また、揺動ミラー15は、揺動角度を変えることで、光源13から発せられた光の反射方向、すなわち、固定ミラー17Aへの光の入射位置を変更するようになっている。図1において、揺動ミラー15が回転軸Cを中心としてX軸に平行でかつY軸に直交する状態を揺動ミラー15の基本姿勢とし、揺動後の揺動ミラー15を揺動ミラー15´として示す。
【0022】
第1の固定ミラー17Aおよび第2の固定ミラー17Bは、揺動ミラー15に対向して所定の角度に固定された状態で配置されている。第1の固定ミラー17Aは、揺動ミラー15によって反射された光を第2の固定ミラー17Bに向けて反射する位置に配置されている。また、第2の固定ミラー17Bは、第1の固定ミラー17Aから入射されてきた光を揺動ミラー15に向けて反射する位置に配置されている。以下、第1の固定ミラー17Aおよび第2の固定ミラー17Bを合わせて固定ミラー17A,17Bという。
【0023】
折返しミラー19およびビームスプリッタ21は、揺動ミラー15の揺動角度にかかわらず、揺動ミラー15において2回反射された光を同一の光路から射出させる光路調整光学系を構成するものである。折返しミラー19は、固定ミラー17A,17Bを介して揺動ミラー15において2回反射された光の光路上に配置されている。この折返しミラー19は、光路に直交する折返し反射面(反射面)19aを備え、入射した光を同一光路に沿って折り返すようになっている。
【0024】
ビームスプリッタ21は、光源13と揺動ミラー15との間の光路上に配置されている。このビームスプリッタ21は、光源13から発せられた光を透過し、折返しミラー19により同一光路に沿って戻された光を反射して光路を約90°偏向するようになっている。
【0025】
三角プリズム3は、光が通過する位置の波長ごとの屈折率の差に応じて分散を補償するものである。この三角プリズム3は、揺動ミラー15と折返しミラー19との間の光路上に設けられ、揺動ミラー15において2回反射された光が通過するようになっている。また、三角プリズム3は、光路に交差する方向に沿って厚さが変化するように配置されている。すなわち、三角プリズム3は、揺動ミラー15において反射された光の光路に交差する方向に沿って異なる分散補償量を有している。
【0026】
このように構成された本実施形態に係る光路長調整器1および分散補償器10の作用について説明する。以下、基本姿勢の揺動ミラー15による光路を符号Nで示し、揺動後の揺動ミラー15´による光路を符号Uで示す。
本実施形態に係る分散補償器10においては、光源13から発せられた光は、ビームスプリッタ21を通過して、揺動ミラー15により第1の固定ミラー17Aに向かって反射される。そして、第1の固定ミラー17Aおよび第2の固定ミラー17Bを順に反射されて揺動ミラー15に戻り、揺動ミラー15において再度反射されて三角プリズム3へと導かれる。
【0027】
揺動ミラー15から三角プリズム3へと導かれた光は、三角プリズム3を通過して折返しミラー19の折返し反射面19aに対して垂直に入射される。そして、折返しミラー19により垂直に反射されて同一光路Nを逆方向に戻り、三角プリズム3、揺動ミラー15、第2の固定ミラー17Bおよび第1の固定ミラー17Aを介して、揺動ミラー15からビームスプリッタ21へと導かれる。ビームスプリッタ21に戻された光は、光路Nが90°偏向させられて光源13に向かう光路Nとは別の光路を通って射出される。
【0028】
この分散補償器10において、揺動ミラー15が基本姿勢の状態では、例えば、図2に示すように、揺動ミラー15においてX軸に対して45°の反射角で反射された光は、第1の固定ミラー17Aにおいて反射面に直交する方向に対して22.5°の角度で入射され、第2の固定ミラー17Bにおいて反射面に直交する方向に対して22.5°の角度で反射される。そして、第2の固定ミラー17Bにより反射された光が揺動ミラー15に戻ると、揺動ミラー15において再度X軸に対して45°の反射角で出射される。
【0029】
これに対し、図3に示すように、揺動ミラー15をX軸に対して2.5°傾けると、光源13から発せられた光は、基本姿勢の揺動ミラー15による反射方向に対して5°傾斜して、すなわち、揺動後の揺動ミラー15´によりX軸に対して40°の反射角で反射される。
【0030】
この結果、第1の固定ミラー17Aおよび第2の固定ミラー17Bへの入射角が変わる。具体的には、第1の固定ミラー17Aにおいて反射面に直交する方向に対して17.5°の角度で入射され、第2の固定ミラー17Bにおいて反射面に直交する方向に対して27.5°の角度で反射される。したがって、固定ミラー17A,17Bを介して揺動ミラー15´により2回反射されるまでの光路が光路Nから光路Uに変動し、光路が変動することで光路長が変化する。
【0031】
この場合に、固定ミラー17A,17B間で光を順に反射して揺動ミラー15に戻すことで光路N,Uが折り返されるので、実質的には、大きく離れた2枚の平行な揺動ミラー間で反射させるのと同じだけの光路長の変動を狭い範囲で実現することができる。すなわち、揺動ミラー15および固定ミラー17A,17B間の距離を大きくすることなく光路長を大きく変動させることができる。また、揺動ミラー15を僅かに揺動させるだけで光路長を大きく変更することができる。
【0032】
また、固定ミラー17A,17Bを介して揺動後の揺動ミラー15´に戻った光は、揺動ミラー15´において、基本姿勢の揺動ミラー15における2回目の反射とは異なる位置で、かつ、同じ反射角度(X軸に対して45°)で反射される。
【0033】
すなわち、図4に示すように、揺動ミラー15において2回反射された光は、相互に平行に配置した2枚の揺動ミラー間で光を反射させる場合と同様に、揺動ミラー15の角度に応じて並進移動させられ、かつ、揺動ミラー15の揺動角度に関係なく一定の角度(本実施形態においては、X軸に対して45°。)で出射される。
【0034】
したがって、揺動ミラー15を揺動することで、光が三角プリズム3を通過する位置を光路N,Uに交差する方向に沿って変更することができる。三角プリズム3は光路N,Uに交差する方向に沿って光路長が異なるので、揺動ミラー15により光が三角プリズム3を通過する位置を変えることで、波長ごとに光路長を調整して分散を補償することができる。
【0035】
揺動後の揺動ミラー15´により、光路Nに平行する光路Uを通って三角プリズム3を通過した光は、折返しミラー19において光路Nの光の反射位置とは異なる位置で垂直に反射され、光路Uを逆方向に戻る。そして、三角プリズム3、揺動ミラー15´、第2の固定ミラー17Bおよび第1の固定ミラー17Aを介して、揺動ミラー15´に戻された光は、揺動ミラー15´から光路Nと同一光路を通ってビームスプリッタ21へと導かれる。これにより、ビームスプリッタ21において、揺動後の揺動ミラー15´による光が揺動前の揺動ミラー15による光と同一方向に分岐され同一光路を通って射出される。
【0036】
したがって、揺動ミラー15を揺動させるだけで、光路長の異なる光を同一の光路から取り出すことができる。また、三角プリズム3において、波長ごとに光路長を調整して分散を補償することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る光路長調整器1およびこれを用いた分散補償器10によれば、揺動ミラー15を揺動させるだけで、光路長を高速にかつ広範囲にわたって変更することができる。また、三角プリズム3において所望の量だけ分散を補償することができる。
【0038】
なお、本実施形態は以下のように変形することができる。
例えば、本実施形態においては、分散補償部材として三角プリズム3を例示して説明したが、第1の変形例としては、分散補償部材として、厚さが異なる、言い換えれば、光を通過させる距離が異なる複数の平行平板を採用することとしてもよい。この場合、光路N,Uに交差する方向に沿って平行平板の厚さ(光が通過する距離)が段階的に変化するように配置することとすればよい。例えば、図5に示すように、光路N,Uに交差する方向に沿って厚さが薄い順に並行平板103A,103B,103C,103Dを配置することとで、光が通過する並行平板103A,103B,103C,103Dの厚さに応じて異なる量だけ分散を補償することができる。
【0039】
また、第2の変形例としては、分散補償部材として、異なる分散特性を有する材料からなる複数の平行平板を採用することとしてもよい。この場合、光路N,Uに交差する方向に沿って分散特性が変化するように配置することとすればよい。例えば、図6に示すように、光路N,Uに交差する方向に沿って異なる分散特性を有する材料からなる平行平板203E,203F,203G,203Hを配置することで、光が通過する平行平板203E,203F,203G,203Hごとの分散特性に応じて分散を補償することができる。
【0040】
また、第3の変形例としては、分散補償部材を偶数個の三角プリズムによって構成することとしてもよい。例えば、図7に示すように、2つの三角プリズム303A,303Bを光路に交差する方向に沿って厚さが変化するように、かつ、互いに点対称となるように組み合わせて配置することとすればよい。このようにすることで、光が通過する屈折率に応じて波長ごとに三角プリズム3Aから異なる方向に出射されたとしても、三角プリズム3Aに対して点対称に配置された三角プリズム3Bから波長ごとに平行に出射することができる。したがって、波長ごとに折返しミラー19の角度を調整しなくても全ての波長を同一光路に沿って戻すことができる。
【0041】
また、本実施形態においては、光路分岐部材としてビームスプリッタ21を例示して説明したが、第4の変形例としては、光路分岐部材を偏光光分割素子および波長板によって構成することとしてもよい。例えば、図8に示すように、ビームスプリッタ21に代えて、偏光ビームスプリッタ421およびλ/4波長板423を配置し、光源13から発せられ偏光ビームスプリッタ421を透過してλ/4波長板423を往復して戻る光を偏光ビームスプリッタ421によって分岐することとすればよい。このようにすることで、ビームスプリッタ21によって光の一部を分岐させる場合と比較して光の損失を防ぐことができる。
【0042】
また、本実施形態においては、光路調整光学系が折返しミラー19およびビームスプリッタ21により構成されていることとしたが、第5の変形例としては、例えば、図9に示すように、光路調整光学系をアルファベットのV字状に組み合わせた2つの折返しミラー519A,519Bによって構成することとしてもよい。折返しミラー519A,519Bにより、揺動ミラー15において2回目に反射された光を順に直角に反射して、行きの光路に対して直交する方向にずらして平行に折り返すことで、ビームスプリッタを用いることなく光路長の異なる光を最終的に同一光路に導くことができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、本実施形態においては、2つの固定ミラー17A,17Bを例示して説明したが、2つ以上の固定ミラーを用いることとしてもよい。また、本実施形態においては、揺動ミラー15において2回反射させることとしたが、2回以上反射させることとしてもよい。また、固定ミラー17A,17Bは、それぞれ異なる角度で固定されていてもよく、揺動ミラー15において反射された光を順に反射して揺動ミラー15に戻し、揺動ミラー15において複数回反射させることができればよい。また、折返しミラー19は、揺動ミラー15の揺動角度にかかわらず揺動ミラー15において複数回反射された光を同一光路通して射出することができればよく、固定する必要はない。
【符号の説明】
【0044】
1 光路長調整器
3 三角プリズム(分散補償部材)
10 分散補償器
13 光源
15 揺動ミラー
17A,17B 固定ミラー
19 折返しミラー
21 ビームスプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発せられた光を反射し、揺動角度を変化させてその反射方向を変更可能な揺動ミラーと、
該揺動ミラーにより反射された前記光を順に反射して該揺動ミラーに戻す2つ以上の固定ミラーと、
前記揺動ミラーの揺動角度にかかわらず、該揺動ミラーにより2回目以降に反射された光を同一の光路を通して射出させる光路調整光学系と
を備える光路長調整器。
【請求項2】
前記光路調整光学系が、前記揺動ミラーにより2回目以降に反射された前記光の光路に直交する反射面を備える折返しミラーと、前記光源と前記揺動ミラーとの間に配置され、前記折返しミラーにより反射された前記光を分岐させる光路分岐部材とを備える請求項1に記載の光路長調整器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光路長調整器と、
前記揺動ミラーにより2回目以降に反射された前記光を通過させて分散を補償する分散補償部材とを備え、
該分散補償部材が、前記揺動ミラーにおいて反射された前記光の光路に交差する方向に異なる分散補償量を有する分散補償器。
【請求項4】
前記分散補償部材が三角プリズムより構成され、前記光路に交差する方向に沿って厚さが変化するように配置されている請求項3に記載の分散補償器。
【請求項5】
前記分散補償部材が厚さが異なる複数の平行平板によって構成され、前記光路に交差する方向に沿って厚さが段階的に変化するように配置されている請求項3に記載の分散補償器。
【請求項6】
前記分散補償部材が異なる分散特性を有する材料からなる複数の平行平板を前記光路に交差する方向に配置して構成されている請求項3に記載の分散補償器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−191371(P2010−191371A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38176(P2009−38176)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)