説明

光路開閉装置及び撮像装置

【課題】 支点移動タイプの光路開閉装置であって、小型であってカメラ等への搭載時の配置自由度が高く、羽根部材の起動性に優れた光路開閉装置などを提供する。
【解決手段】 光路開閉装置1は、回動に伴って光路開口31を開閉する6枚の羽根部材11からなる組み合わせ羽根10と、各羽根部材11のカム溝17と係合するカムピン35の植設された地板A30と、各羽根部材11の回動中心となる支点ピン21が植設されているとともに、外周部にラック27の切られた風車20と、ラック27と噛み合うピニオン63と、ピニオン63を回転駆動させるモータ60と、を備える。支点ピン21は、カムピン35よりも外側に位置するとともに、各支点ピン21をラック27が形成された風車20に植設している。このため、支点ピン21とラック27は干渉せず、ラック回動範囲を除く部分の地板A30を小径化でき、光路開閉装置全体1も小径化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器の絞りやシャッター等の光路開口を開閉する光路開閉装置及びその光路開閉装置を備えた撮像装置に関する。特には、カメラ等に搭載する際の配置の自由度の高い光路開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置には、フォーカス制御やズーミングのための各種のレンズを光軸方向へ移動させるレンズ移動機構と、光量調節用の光路開閉機構(装置)が備えられている。
図8は、従来の光路開閉装置の構成の一例を示す分解斜視図である。
図9は、図8の光路開閉装置の全部の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図9(A)は光路開口開時、図9(B)は光路開口閉時を示す。
図10は、図8の光路開閉装置の1枚の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図10(A)は光路開口開時、図10(B)は光路開口閉時を示す。
この例の光路開閉装置101は、図8に示すように、光路開口を開閉する組み合わせ羽根110と、光軸OAを中心に回転する風車120と、光路開口131が形成された地板A(ベースともいう)130と、組み合わせ羽根110及び風車120を地板A130に対して支持する地板B(中間地板ともいう)150と、から主に構成されている。
【0003】
組み合わせ羽根110は6枚の羽根部材111からなり、各羽根部材111には、絞り開口を形成する絞り形成縁が形成されている。各羽根部材111は、地板A130に植設された支点ピン135に回動可能に支持されており、各羽根部材111の回動により絞り形成縁で形成される開口が開閉する。各羽根部材111の中央付近にはカム溝117が形成されている。このカム溝117には、風車120に植設されたカムピン121が係合する。風車120の外周の一部には外方向に延出する延出部125が形成されており、この延出部125の外縁にラック127が切られている。このラック127はピニオン163に噛み合っており、同ピニオン163は、減速機を介してモータ160により回転駆動される。
【0004】
図10を主に参照して羽根部材の動きを説明する。
図10(A)に示すように、モータによってピニオン163が時計方向に回転すると、同ピニオン163に噛み合うラック127が形成された風車120が光軸OAの周りを反時計方向に回転する。すると、風車120の各カムピン121が各羽根部材111のカム溝117の縁を押しながらカム溝117を移動し、羽根部材111が支点ピン135を中心として時計方向に回動する。これにより、図10(B)に示すように、各羽根部材111は絞り形成縁から地板A130の光路開口131内に侵入し、その結果図9(B)に示すように、光路開口131が閉じられる。
【0005】
この例のような、羽根部材の回動支点が固定された光路開閉装置(支点固定タイプ)においては、光路開口の全開時(図9(A)、図10(A)参照)から全閉時(図9(B)、図10(B)参照)までに風車120(カムピン121)は約45°回転する。ラック127は中心角度がほぼ70°の範囲に渡って設けられているので、風車120が回転したときに、ラック127の移動範囲(ラックの両端が通る軌跡)はほぼ1/4周以上となる。ところで、各支点ピン135は、光軸OAを中心として等しい中心角度(60°)に配置されている。このため、各支点ピン135は、ラック127の回動を妨げないように、ラック127の回動範囲より外側に配置する必要がある。その結果、支点ピン135と光軸OAとの間の距離は、風車のラック127と光軸OAとの間の距離よりも大きくなる。このため、地板A130には、最低でも各支点ピン135を通る円の直径の寸法が必要になり、光路開閉装置101の径方向寸法の小型化には制約がある。
【0006】
この支点固定タイプにおいて地板A130を小型化するには、風車120の最大外径(光軸OAとラック127との距離)を小さくすることが考えられる。しかし、その場合、ラック127とピニオン163のギア減速比が下がり、絞りの制御分解能が低下してしまうため好ましくない。
なお、制御分解能はカム溝の形状によっても調整可能であるが、ラック−ピニオンのギア減速比は与えられた空間内で可能な最大比をとることが好ましい。
【0007】
以上説明した形態の光路開閉装置とは異なり、羽根部材に回動支点が形成されており、この回動支点が移動するタイプ(支点移動タイプ)の光路開閉装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図11は、支点移動タイプの光路開閉装置の一例の主要部を示す正面図である。
このタイプの光路開閉装置201は、回動に伴って光路開口を開閉する6枚の羽根部材211(図には1枚のみ図示)からなる組み合わせ羽根と、光軸を中心として回転する駆動リング220と、光路開口が形成されたベースに固定されたカムリング230と、から主に構成されている。各羽根部材211は、駆動リング220に植設された支点ピン221に回動自在に支持されている。駆動リング220の外周の一部には、ラック227が切られている。このラック227はピニオン263に噛み合っており、同ピニオンは減速機を介してモータで回転駆動される。
【0008】
各羽根部材211には、カムピン217が植設されている。同カムピン217は、カムリング230に形成されたカム溝235に係合する。なお、カムリング230は、駆動リング220の図面上における手前側に配置されている。
【0009】
この光路開閉装置201の羽根部材の動きを説明する。
ピニオン263が時計方向に回転すると、同ピニオン263に噛み合うラック227が形成された駆動リング220が光軸の周りを反時計方向に回転する。すると、支点ピン221が反時計方向に回動し、羽根部材211に植設されたカムピン217がカムリング230のカム溝235の縁に押されて、羽根部材211が支点ピン221を中心として反時計方向に回動する。これにより、各羽根部材211が絞り形成縁から光路開口を塞ぐように侵入する。
【0010】
この支点移動タイプの光路開閉装置201においては、支点ピン221が形成された駆動リング220にラック227を形成し、駆動リング220を直接回動させているため、上述の支点固定タイプのような支点と駆動部材のラックとの位置関係に制約はない。
【0011】
【特許文献1】実公平7−10335
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記特許文献1の光路開閉装置201は、羽根部材211にカムピン217を植設しているため、羽根部材211はそれなりの強度を有する必要があり、この例では樹脂成形品で作製されている。その樹脂成形品はそれなりの厚さが必要とされ、羽根部材211の重さが重くなり、同羽根部材を駆動する駆動源(モータ)は高出力が必要になる。
【0013】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、支点移動タイプの光路開閉装置であって、小型であってカメラ等への搭載時の配置自由度が高く、羽根部材の起動性に優れた光路開閉装置、及び、そのような光路開閉装置を備えた撮像装置を提供することを目的とする。また、設計の自由度が高い、あるいは製造コストを比較的安くすることもできる光路開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施の形態に係る光路開閉装置は、 光路開口を開閉する装置であって、 支点及びカム溝を有し、その回動に伴って前記光路開口を開閉する組み合わせ羽根と、 前記カム溝と係合するカムピンの植設されたベースと、 前記支点の中心となる支点ピンが植設されているとともに、外周部にラックの切られた風車と、 前記ラックと噛み合うピニオンと、 前記ピニオンの回転駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、組み合わせ羽根にカム溝を形成しているので、羽根にカムピンを植設しているタイプのものに比べて、羽根を薄い部材で作成することができる。また、カム溝の分だけ軽量化できる。このため、羽根部材を少ない駆動力で駆動でき、駆動手段(モータ)を省電力化できる。
【0016】
なお、本発明の光路開閉装置における光路開口の開閉とは、光路開口を任意の径に絞るもの、及び、光路開口を全開及び全閉するもの、の両方の意味を有する。具体的には、光路開口を全閉及び全開する単なる開閉シャッター、光路開口を任意の径に絞る単なる絞り、及び、これら両方の機能を備えるシャッターアイリスの全てを含む。
【0017】
本発明においては、 前記支点を、前記カムピンよりも前記光路開口の中心に対して外側に位置させている。そして、各支点を、ピニオンと噛み合うラックが形成された風車に植設し、各支点を各カムピンに対して回動させている。このため、支点とラックは干渉せず、ラック回動範囲を除く部分のベースを小径化でき、光路開閉装置全体も小径化できる。
【0018】
また、光路開閉装置全体を小径化した場合でも、ラック−光軸間の距離を、与えられたスペース内で最大とすることができるため、ラック−ピニオンのギア減速比を最大にでき、絞りの制御分解能の低下を最小限に押えることができる
【0019】
本発明においては、 前記ベース(地板A)に重なる地板Bをさらに備えることとすれば、組み合わせ羽根の重なり方向の距離を制限するとともに組み合わせ羽根及び風車のベースからの脱落を防止することができる。
【0020】
本発明の撮像装置は、 光路開口を開閉する光路開閉機構を備えた撮像装置であって、 前記光路開閉機構は、 支点及びカム溝を有し、その回動に伴って前記光路開口を開閉する組み合わせ羽根と、 前記カム溝と係合するカムピンの植設されたベースと、 前記支点の中心となる支点ピンが植設されているとともに、外周部にラックの切られた風車と、 前記ラックと噛み合うピニオンと、 前記ピニオンの回転駆動手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、光路開閉機構を小型化して、部品の配置自由度を高くすることができるので、設計自由度が高くなる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、小型でカメラ等への搭載時の配置自由度の高い光路開閉装置、及び、そのような光路開閉装置(機構)を備えた撮像装置を提供できる。また、羽根部材を軽量化できるため、羽根部材駆動用モータを省電力化できる。さらに、設計の自由度が高い、あるいは製造コストを比較的安くすることもできるという利点も備える。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る光路開閉装置を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光路開閉装置を示す分解斜視図である。
図2は、図1の光路開閉装置の全部の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図2(A)は全開時、図2(B)は全閉時を示す。
図3は、図1の光路開閉装置の1枚の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図3(A)は全開時、図3(B)は全閉時を示す。
図4は、各々の羽根部材の形状を示す平面図である。
図5は、風車の形状を示す図であり、図5(A)は正面図、図5(B)は側面断面図である。
図6は、地板Aの形状を示す図であり、図6(A)は正面図、図6(B)は側面断面図である。
図7は、地板Bの形状を示す図であり、図7(A)は正面図、図7(B)は側面断面図である。
【0023】
図1に示すように、光路開閉装置1は、光路を開閉する組み合わせ羽根10と、光軸OAを中心に回動する風車20と、光路開口31が形成された地板A(ベースともいう)30と、組み合わせ羽根10及び風車20をベース30に対して支持する地板B(中間地板ともいう)50と、から主に構成されている。
【0024】
組み合わせ羽根10は、この例では、6枚の同一形状の羽根部材11からなる。各羽根部材11は、図4に示すように、略半円状の薄い部材である。羽根部材11は、この例では、遮光能力のあるコーティングを施した樹脂フィルム(一例でポリエステルフィルム)で作製されている。羽根部材11の内周部には、円弧状の絞り形成縁が形成されている。各羽根部材11の絞り形成縁13によって、光軸OAを中心とする光路開口が形成される。また、各羽根部材11の端部には、支点孔15が開けられており、中央付近にはカム溝17が形成されている。
【0025】
風車20は、図5(A)に示すようにリング状の部材で、外周の一部から外方向に張り出す延出部25が設けられている。風車20の上面には、この例では6本の支点ピン21が、等しい中心角度(この例では60°)で外周に沿って植設されている。各支点ピン21には、各羽根部材11の支点孔15がはめ込まれており、各羽根部材11は、各支点ピン21の周囲を回動可能である。
各支点ピン21の周囲には略C字状のリブ23が形成されている。このようなリブ23により、羽根部材11の回動時の風車20と羽根部材11との摩擦抵抗を低下させて、羽根部材11を滑らかに回動させることができる。
【0026】
延出部25の外縁にはラック27が切られている。このラック27はピニオン63に噛み合っており、同ピニオン63は減速機を介してモータ60で回転駆動される(図1、図2、図3参照)。また、延出部25の下面には、遮光板29が突出して形成されている。この遮光板29は、フォトインタラプタ等の位置検出器を用いた位置検出用のものである。
【0027】
ベース30には、図6に示すように、光路開口31が形成されている。図6(A)に示すように、光路開口31の周囲には、各羽根部材11が載置されて摺動する平らな摺動面33が形成されている。摺動面33の外周域には、各羽根部材11のカム溝17と係合するカムピン35が、外周に沿って等しい中心角度(この例では60°)で植設されている。なお、各カムピン35の周囲は、摺動面33よりやや低い段部となっている。
【0028】
摺動面33の外側には、風車20が載置される凹部37が形成されている。凹部37内には、風車20を同部底面からやや浮かして保持する環状のリブ39が付設されている。また、凹部37の、風車延出部25の回動範囲に相当する部分には、上述の遮光板29が通る溝41が形成されている。さらに、凹部37内の風車延出部回動範囲の両端には、全開時と全閉時に風車20の延出部25が当接するストッパ43、45が形成されている。
【0029】
地板B50は、図7に示すように、ベース30とほぼ同じ形状であり、光路開口51が形成されている。地板B50は、地板Aに風車20及び組み合わせ羽根10が組み込まれた後、地板A30に被せられて、各羽根部材11の重なり方向の距離を制限するとともに、羽根部材11及び風車20の地板Aからの脱落を防止する。
【0030】
次に、組み合わせ羽根の開閉動作について説明する。
図2(A)、図3(A)に示す絞り全開時においては、全ての羽根部材11の絞り形成縁13は地板A30の光路開口31のやや外側に位置して、光路開口31が全開となっている。そして、風車20の延出部25は図の左側のストッパ43に当接し、ラック27の右端にピニオン63が噛み合っている。図2(A)、図3(A)に矢印で示すように、モータが回転してピニオン63が反時計方向に回転すると、ラック27は図の右方向に移動し、風車20は光軸を中心として時計方向に回転し始める。
【0031】
図3(A)、(B)を参照して1枚の羽根部材11の動きについて説明する。図3(A)に示すように、風車20の回転とともに、各支点ピン21に回動可能に支持されている羽根部材11も、地板A30の摺動面33上で摺動しながら時計方向に旋回する。このとき、羽根部材移動方向(時計方向)において下流に位置するカム溝17の縁が、地板A30に植設されているカムピン35に押され、カム溝17がカムピン35に沿って進み出す。すると、羽根部材11は支点ピン21を中心として図の時計方向に回動し始める。そして、羽根部材11がさらに回動すると、カムピン35はカム溝17内を相対的に図の左方向に移動するとともに、羽根部材11のカム溝17の縁がカムピン35に押され続けながら、羽根部材11が図の時計方向に回動し続ける。これにより、図3(B)に示すように、各羽根部材11が絞り形成縁13から地板A30の光路開口31内を塞ぐように侵入する。
【0032】
この例では、風車20が約25°回転し、図3(B)に示すように、延出部25が右側のストッパ45に当接してラック27の左端がピニオン63に達すると、羽根部材11は光路開口開位置から閉位置へ移動する。その結果、図2(B)に示すように、各羽根部材11は相互に重なり、各羽根部材11の絞り形成縁13で形成される開口は極めて小さくなる。
【0033】
なお、光路を開く際は、モータ60を逆回転させて、風車20を図の反時計方向に回動させる。
【0034】
以上説明したように、この光路開閉装置1においては、羽根部材11の支点ピン21は、各カムピン35よりも光軸OAに対して外側に位置する。そして、各支点ピン21は、ピニオン63と噛み合うラック27が形成された風車20に植設されている。このため、支点ピン21とラック27は干渉せず、風車延出部回動範囲を除く地板A30を小径化でき、光路開閉装置全体1も小径化できる。このため、光路開閉装置1をカメラ等に組み込む場合、配置の自由度が高くなる。例えば、風車延出部回動範囲を除く地板A30の周囲に様々な部品(電子部品、機構部品など)を配置することができる。
【0035】
ところで、前述の支点移動タイプ(図11参照)の光路開閉装置201は、羽根部材211にカムピン217が植設されているとともに、カムリング230にカム溝235が形成されている。したがって、羽根部材211にはカムピン217を保持できる強度が必要となり、樹脂成形品で作製されている。一方、本実施例の光路開閉装置1においては、羽根部材11にカム溝17を形成し、地板A30にカムピン35を植設している。そして、開閉時に羽根部材にかかる負荷は、風車の回転による支点ピンとカムピンとの相対関係に依存しているため、従来のタイプと変わらない。このため、羽根部材11にさほど強度を持たせる必要がなく、樹脂フィルムのような軽量で低コストな部材で作製することができる。さらに、カム溝17の分だけ軽量化できる。
【0036】
したがって、羽根部材11を間接的に駆動するモータ60の負荷を低くすることができ、省電力化につながる。
【0037】
なお、地板A30を小型化した場合でも、風車20のラック外径(ラック−光軸間の距離)を、与えられたスペース内で最大とすることにより、ラック−ピニオンのギア減速比を最大にできるため、絞り制御分解能の低下を最小限に押えることができる。
【0038】
次に、本発明の実施の形態に係る撮像装置を説明する。
図12は、撮像装置の基本構成を説明するための図である。
図13は、本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す断面図である。
この例ではビデオカメラについて説明するが、本発明は、ビデオカメラに限られることはなく、スチルカメラの他、動画撮影又は静止画撮影の機能を有する各種撮像装置に適用することができる。
【0039】
まず、図12を参照して撮像装置の基本構成を説明する。
撮像装置300は、外筐として設けられたレンズ鏡筒301を有する。このレンズ鏡筒301には、レンズ又はレンズ群(簡略化のため図には単レンズとして示す)、固体撮像素子等の撮像手段320、及び、アイリスもしくはシャッター、またはその両方の機能を兼用する光路開閉装置1が設けられている。
被写体Oからレンズ又はレンズ群310を通った光は、光路開閉装置1の羽根部材10で形成される開口APを通して、撮像手段320に入射される。
【0040】
図13を参照して、具体的な構成例について説明する。
レンズ鏡筒301は、ガラス入りポリカーボネート等の樹脂で作成される。レンズ鏡筒301内には、被写体側(図の左側)から順に、対物レンズ311、変倍レンズ312、レンズ313、光路開閉装置1、フォーカスレンズ314、固体撮像素子320が配置されている。光路開閉装置1は、図1などで説明したものを使用できる。
【0041】
変倍レンズ312はホルダ316に保持されており、ホルダ316は光軸方向に平行な2本のガイドバー303に摺動自在に支持されている。ホルダ303は駆動部304で駆動されて、同ホルダ316に保持されている変倍レンズ312が光軸方向に移動する。
【0042】
フォーカスレンズ314はホルダ317に保持されており、ホルダ317は光軸方向に平行な2本のガイドバー307に摺動自在に支持されている。ホルダ317は駆動部308で駆動されて、同ホルダ317に保持されているフォーカスレンズ314が光軸方向に移動する。
【0043】
固体撮像装置320によって得られる画像出力は画像処理部321に送られて所定の処理が行われる。画像処理部321は、制御等に必要な情報を演算処理部323に送ったり、撮影画像をビューファインダーやモニター等に送って表示させたり、あるいは使用者の操作指示に従って画像情報等を記録媒体に記録させる。なお、マイクロコンピュータ等を用いた演算処理部323は、制御部325に制御指令を送り、制御部325から光路開閉装置1のモータ60(図1参照)、変倍レンズ及びフォーカスレンズ駆動部304、308等に制御信号を送って各部が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る光路開閉装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1の光路開閉装置の全部の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図2(A)は全開時、図2(B)は全閉時を示す。
【図3】図1の光路開閉装置の1枚の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図3(A)は全開時、図3(B)は全閉時を示す。
【図4】各々の羽根部材の形状を示す平面図である。
【図5】風車の形状を示す図であり、図5(A)は正面図、図5(B)は側面断面図である。
【図6】地板Aの形状を示す図であり、図6(A)は正面図、図6(B)は側面断面図である。
【図7】地板Bの形状を示す図であり、図7(A)は正面図、図7(B)は側面断面図である。
【図8】従来の光路開閉装置の構成の一例を示す分解斜視図である。
【図9】図8の光路開閉装置の全部の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図9(A)は光路開口開時、図9(B)は光路開口閉時を示す。
【図10】図8の光路開閉装置の1枚の羽根部材の動きを説明するための正面図であり、図10(A)は光路開口開時、図10(B)は光路開口閉時を示す。
【図11】支点移動タイプの光路開閉装置の一例の主要部を示す正面図である。
【図12】撮像装置の基本構成を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 光路開閉装置
10 組み合わせ羽根 11 羽根部材
13 絞り形成縁 15 支点孔
17 カム溝 20 風車
21 支点ピン 23 リブ
25 延出部 27 ラック
29 遮光板 30 地板A(ベース)
31 光路開口 33 摺動面
35 カムピン 37 凹部
39 リブ 41 ガイド溝
43、45 ストッパ 50 地板B(中間地板)
51 光路開口
300 撮像装置 301 レンズ鏡筒
303、317 ガイドバー 304、308 駆動部
310 レンズ群 311 対物レンズ
312 変倍レンズ 313 レンズ
314 フォーカスレンズ 316、317 ホルダ
320 固体撮像素子 321 画像処理部
323 演算処理部 325 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路開口を開閉する装置であって、
支点及びカム溝を有し、その回動に伴って前記光路開口を開閉する組み合わせ羽根と、
前記カム溝と係合するカムピンの植設されたベースと、
前記支点の中心となる支点ピンが植設されているとともに、外周部にラックの切られた風車と、
前記ラックと噛み合うピニオンと、
前記ピニオンの回転駆動手段と、
を備えることを特徴とする光路開閉装置。
【請求項2】
前記支点が、前記カムピンよりも前記光路開口の中心に対して外側に位置することを特徴とする請求項1記載の光路開閉装置。
【請求項3】
前記ベースに重なる地板をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の光路開閉装置。
【請求項4】
光路開口を開閉する光路開閉機構を備えた撮像装置であって、
前記光路開閉機構は、
支点及びカム溝を有し、その回動に伴って前記光路開口を開閉する組み合わせ羽根と、
前記カム溝と係合するカムピンの植設されたベースと、
前記支点の中心となる支点ピンが植設されているとともに、外周部にラックの切られた風車と、
前記ラックと噛み合うピニオンと、
前記ピニオンの回転駆動手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−163827(P2007−163827A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359868(P2005−359868)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(593137554)株式会社東京マイクロ (23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】