説明

光輝性塗膜形成方法および光輝性塗装物

【課題】耐候性があり、高光沢を有し、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感または着色性金属感を呈する光輝性塗膜を提供すること。
【解決手段】被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、上記光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで所定の工程によりクリヤー塗膜を形成する光輝性塗膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性塗膜形成方法およびこの方法により塗装された塗装物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体、アルミニウムホイール等の自動車部品のような高い意匠性を必要とする分野においては、アルミニウムフレーク等を用いた光輝性塗料を塗装することにより、メタリック調を発現する方法が行われている。ところが、年々、このメタリック調の光輝感においても、めっき調等の高級感が求められるようになってきている。
【0003】
このような高級感のあるメタリック調塗膜を形成するメタリック塗料として、適度な金属面光沢を有する塗膜を形成することができるメタリック塗料が開示されている(特許文献1参照)。この塗料は、蒸着金属膜を粉砕して金属片とした光輝性顔料、好ましくはアルミニウム粉を光輝性顔料として含むメタリック塗料であり、ベース塗膜の上にこのメタリック塗料を塗装した後、クリヤー上塗り塗装を行う旨が記載されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、光輝性顔料として蒸着金属膜を粉砕した金属片、好ましくはアルミニウムフレークを用いており、この塗膜はめっき面から得られる金属調に近づいてはいる(以下、本明細書において「めっき調塗膜」という。)ものの、金属粒子感を感じさせない金属感を十分に得られるものではなかった。
【0005】
また、貴金属または銅のコロイド粒子を含有する塗膜の形成方法として、貴金属または銅の化合物を、高分子分散剤の存在下に還元して得られる貴金属または銅のコロイド粒子を含有する塗料から塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱して塗膜中のコロイド粒子を融着させて金属薄膜を形成する工程とを備える旨が記載されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献2は、特に反射型液晶表示装置用反射板に用いるものであり、自動車等の高い耐候性を必要とする被塗基材に適用するには改善が必要である。
【0007】
さらには、塗装条件の変化に対して安定した艶消し性を保ち、かつ、金属表面の外観を調整した塗装物の例として、アルミニウム基材上に、光輝性顔料を含有する塗料からなる光輝性塗膜と、平均粒径(d)50が10〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成性樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有するクリヤー塗料からなる乾燥塗膜厚10〜50μmの塗装膜とが順次形成されている梨地調アルミニウム材料が記載されている(特許文献3参照)。
【0008】
しかしながら、上記特許文献3に記載の光輝性塗膜に使用される光輝材としての光輝性顔料は、リーフィング型またはノンリーフィング型のアルミニウムフレーク、金属チタンフレーク、ステンレススティールフレーク、板状酸化鉄、フタロシアニンフレーク、グラファイト、二酸化チタン被覆マイカ、着色マイカ、金属めっきマイカ、金属めっきガラスフレーク、二酸化チタン被覆アルミニウムフレーク、二酸化チタン被覆酸化珪素フレーク、硫化コバルト、硫化マンガン、硫化チタン等であるが、金属粒子感を感じさせない金属感を充分に得られてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−343431号公報
【特許文献2】特開2000−239853号公報
【特許文献3】特開2003−291255公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、耐候性があり、高光沢を有し、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感または着色性金属感を呈する光輝性塗膜を提供することにある。また、耐候性があり、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感と、深みのある艶消し感を呈する光輝性塗膜を提供することにある。また、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせず、複合化された金属コロイド、金属コロイドに他の金属(化合物)との併用による複合化された金属または併用金属の色相を兼ね備えた金属感を呈する光輝性塗膜、および、そこに着色感を付与した光輝性塗膜を提供することにある。さらには、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせず、これまでにはないバリエーションに富んだ意匠性を発現する光輝性塗膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は上述の課題に鑑み鋭意研究した結果、本発明に至った。
【0012】
(1) 被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、上記光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで以下の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成する光輝性塗膜形成方法。
(A)クリヤー塗料を塗装してトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(B)上記貴金属または銅のコロイド粒子と異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(C)上記貴金属または銅のコロイド粒子と異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、クリヤー塗料によるトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(D)艶消しクリヤー塗料を塗装して艶消しトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(E)カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(F)上記貴金属または銅のコロイド粒子と異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程。
【0013】
(2) 上記貴金属または銅のコロイド粒子溶液の固形分に対する貴金属または銅の濃度を、83質量%以上99質量%未満とする(1)記載の光輝性塗膜形成方法。
【0014】
(3) 上記貴金属または銅のコロイド粒子溶液を、貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属のコロイド粒子を含むものとする(1)または(2)記載の光輝性塗膜形成方法。
【0015】
(4) 上記光輝性ベース塗料が、貴金属、銅、ニッケル、ビスマス、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、スズ、および、チタンよりなる群から選ばれる少なくとも二種の金属により複合化されている金属コロイド粒子からなるコロイド粒子溶液を含有するものとする(1)から(3)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0016】
(5) 上記光輝性ベース塗料に、ニッケル、ビスマス、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、スズ、チタン、および、アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属またはその金属化合物をさらに含有させる(1)から(3)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0017】
(6) 上記被塗基材を、溶剤膨潤率が0%より多く5%以下である下地塗膜が形成されたものとする(1)から(5)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0018】
(7) 上記下地塗膜の形成に用いられる下地塗料の塗膜架橋密度を、1.1×10−3mol/cc以上10×10−3mol/cc以下とすることにより、上記下地塗膜の溶剤膨潤率を0%より多く5%以下とする(6)記載の光輝性塗膜形成方法。
【0019】
(8) 上記光輝性ベース塗料に、ビヒクルを含有させる(1)から(7)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0020】
(9) 上記ビヒクルを、塗膜形成性樹脂としてアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、および、ポリエーテル樹脂のうち少なくとも一種を含有し、且つ、必要により、アミノ樹脂、および、ブロックイソシアネート化合物のうち少なくとも一種の架橋剤を含むものとする(8)記載の光輝性塗膜形成方法。
【0021】
(10) 上記塗膜形成性樹脂を、リン酸基含有モノマーを反応させて得られたものとする(9)記載の光輝性塗膜形成方法。
【0022】
(11) 上記金属コロイド粒子溶液の固形分含有量に対する上記ビヒクルの固形分含有量の比率を、1/100以上30/100以下とする(8)から(10)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0023】
(12) 上記光輝性ベース塗料に、アルミニウムおよび/またはアルミニウムチタン合金により得られる蒸着金属顔料を含有させる(1)から(11)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0024】
(13) 上記光輝性ベース塗料に、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含有させる(1)から(12)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0025】
(14) 上記被塗基材を、下記の(a)または(b)とする(1)から(13)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
(a)溶液型塗料を噴霧塗装もしくは電着塗装して、または、粉体塗料を噴霧塗装して形成された下塗塗膜を有する基材;
(b)溶液型塗料を噴霧塗装もしくは電着塗装して、または、粉体塗料を噴霧塗装して形成された下塗塗膜上に、溶液型塗料もしくは粉体塗料を噴霧塗装して形成された中塗塗膜を有する基材。
【0026】
(15) 上記被塗基材を、アルミニウムホイール、自動車車体、または、自動車用プラスチック部材とする(1)から(14)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【0027】
(16) (1)から(15)いずれか記載の光輝性塗膜形成方法により形成された光輝性塗装物。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第一の光輝性塗膜形成方法では、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、上記光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いでトップクリヤー塗料によるトップクリヤー塗膜を形成する。これにより、耐候性、高光沢を有し、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。また、被塗基材に、上記光輝性ベース塗膜を形成して加熱またはセッティングし、次いで上記貴金属または銅のコロイド粒子とは異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料による光輝性クリヤー塗膜を複合形成することにより、耐候性、高光沢を有し、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感を呈し、かつ、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。
【0029】
本発明の第二の光輝性塗膜形成方法では、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液による光輝性ベース塗膜を形成した後、上記光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで艶消しクリヤー塗料による艶消しクリヤー塗膜を形成する。これにより、耐候性があり、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感と、深みのある艶消し感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。
【0030】
本発明の第三の光輝性塗膜形成方法では、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含有する貴金属または銅のコロイド粒子溶液を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いでカラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成することにより、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない着色性金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。また、被塗基材に、上記光輝性ベース塗膜を形成して加熱またはセッティングし、次いで上記貴金属または銅のコロイド粒子とは異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、次いでカラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成することにより、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない着色性金属感を呈し、かつ、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた光輝性塗膜を得ることができる。
【0031】
本発明の第四の光輝性塗膜形成方法では、被塗基材に、貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属コロイド粒子、例えば、金コロイド粒子および銀コロイド粒子を含有する金銀混合コロイド粒子溶液を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いでカラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成することにより、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせず、金と銀との併用による金と銀の色相を兼ね備えた金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。また、被塗基材に、上記光輝性ベース塗膜を形成して加熱またはセッティングし、次いで上記金コロイド粒子および銀コロイド粒子とは異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、次いでカラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成することにより、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない金と銀の色相を兼ね備えた金属感を呈し、かつ、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射されて、この反射された光線により光輝感の増幅がなされ、金と銀との併用による金と銀の色相を兼ね備えた金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。
【0032】
本発明の第五の光輝性塗膜形成方法は、溶剤膨潤率が0〜5%である下地塗膜が形成された被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含有する貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで以下の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成することにより、耐候性があり、高光沢で、光輝性ベース塗膜の下地塗膜への含浸が少ないため、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。
(A)クリヤー塗料を塗装してトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(B)光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(C)光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、クリヤー塗料によるトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(D)艶消しクリヤー塗料を塗装して艶消しトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(E)カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(F)光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程。
【0033】
本発明の第六の光輝性塗膜形成方法は、複合金属コロイド粒子または混合コロイド粒子を含有する光輝性ベース塗料を用いて光輝性塗膜を形成し、次いで、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで上述の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成することにより、耐候性があり、高光沢で、光輝性ベース塗膜の下地塗膜への含浸が少ないため、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。本発明の複合金属コロイド粒子には、いわゆるコア/シェル構造を有する複合金属コロイド粒子が含まれる。このような構造を有する複合金属コロイド粒子が形成する光輝性ベース塗膜は、これまでになかったバリエーションに富んだ意匠性を発現することができる。これは反射光に対してはシェル部を構成する金属コロイドの特徴が現れ、一方、透過光に対してはコア部を構成する金属コロイドの特徴が現れることによるものと思われる。このような効果は特に、コア部が金、シェル部が銀または銅からなるコロイド粒子で、シェル部がコア部を十分に覆っている場合に顕著である。このような反射光と透過光とで意匠性が異なる材料はこれまでになく、スケルトンタイプの基材にこの材料を塗布することで、従来にない意匠表現が可能となる。
【0034】
本発明の第七の光輝性塗膜形成方法では、リン酸基含有の塗膜形成性樹脂を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成後、上述の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成することにより、金属コロイド粒子を安定化させて凝集を防止する他、金属コロイドの表面をコーティングして金属の腐食を防止し、下地塗膜との付着性を強化することができる。
【0035】
また、本発明の第八の光輝性塗膜形成方法では、蒸着金属顔料をさらに含有する光輝性塗料により光輝性ベース塗膜を形成し、次いで上述の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成することにより、光輝性ベース塗膜の膜厚のバラツキに起因して発生する色相ムラを緩和することにより、色相均一性に優れた光輝性塗膜の形成が可能となる。
【0036】
なお、以下、本発明の実施形態で説明した各種のコロイド粒子を総称して「金属コロイド粒子」ということもある。
【0037】
以上より、本発明により得られる光輝性塗膜は上記のような意匠を呈するため、自動車、二輪車等の乗物外板、各種部品、容器外面、コイルコーティング、および家電等の光輝性が要求される分野において好ましく使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、第一実施形態以外の各実施形態の説明において、第一実施形態と共通するものについては、その説明を省略する。
<第一実施形態>
[トップクリヤー塗膜を有する光輝性塗膜]
本実施形態の光輝性塗膜形成方法における第1の態様は、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いでクリヤー塗料によるトップクリヤー塗膜を形成するものである。
【0039】
また第2の態様は、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで貴金属または銅のコロイド粒子とは異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料により、光輝性クリヤー塗膜を形成するものである。
【0040】
また第3の態様は、上記第2の態様で形成した光輝性クリヤー塗膜上に、クリヤー塗料によるトップクリヤー塗膜を形成するものである。
【0041】
[被塗基材]
被塗基材は特に限定されるものでなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅またはこれらの合金等の金属類;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等のプラスチック材料;木材、紙や布等の繊維材料等の天然または合成材料等の基材が挙げられる。
【0042】
本実施形態の光輝性塗膜形成方法においては、下塗塗膜、または、下塗塗膜と中塗り塗膜を、上記の基材に直接形成したものを被塗基材と称する。(a)溶液型(有機溶剤または水性)塗料を噴霧塗装もしくは電着塗装することにより、または、粉体塗料を噴霧塗装することにより、下塗塗膜が形成された基材の他、(b)溶液型(有機溶剤または水性)塗料を噴霧塗装もしくは電着塗装することにより、または、粉体塗料を噴霧塗装により形成される下塗塗膜上に、溶液型(有機溶剤または水性)塗料または上記粉体塗料を噴霧塗装することにより形成される中塗塗膜を有する基材を用いることができる。被塗基材が自動車車体および部品である場合は、予め上記基材に脱脂処理や化成処理、電着塗膜からなる下塗塗膜を形成しておくことが好ましい。また、自動車部品としてのアルミニウムホイールの場合には、クリヤー粉体塗料等による下塗塗膜を形成しておくのが好ましい。
【0043】
本発明の光輝性塗膜形成方法においては、必要に応じて下塗塗膜または電着塗膜が形成された基材に、ウェットオンウェット(W/W)、またはウェットオンドライ(W/D)により中塗り塗膜を形成することができる。なお、W/Wとは下地塗装をした後、風乾等により乾燥し、未硬化状態または半硬化状態の塗膜に塗装する方法であり、これに対して、W/Dとは焼き付けて硬化させた塗膜に塗装する方法である。
【0044】
必要に応じて中塗り塗膜を形成する中塗り塗料としては、アルミニウムホイールの場合には、クリヤー塗料が好ましく、自動車車体および部品の場合は、着色顔料を使用することが好ましい。この着色顔料として、有機系としてはアゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、また、無機系としては黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。さらには、タルク、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ等の各種体質顔料等を併用してもよい。
【0045】
中塗り塗膜を形成するのに用いられる中塗り塗料に含まれるビヒクルは、塗膜形成性樹脂と、必要に応じて架橋剤からなる。塗膜形成性樹脂としては、以下で詳説する(a)アクリル樹脂、(b)ポリエステル樹脂、(c)アルキッド樹脂、好ましくはアクリル樹脂、または、ポリエステル樹脂等がある。
【0046】
上記ビヒクルがアミノ樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、アミン系、ポリアミド系、イミダゾール類、イミダゾリン類、多価カルボン酸等の架橋剤を含む場合、塗膜形成性樹脂と架橋剤との割合は、固形分換算で塗膜形成性樹脂が90〜50質量%、架橋剤が10〜50質量%であり、好ましくは塗膜形成性樹脂が85〜60質量%であり、架橋剤が15〜40質量%である。架橋剤が10質量%未満では(塗膜形成性樹脂が90質量%を超えると)、塗膜中の架橋が不充分となる。一方、架橋剤が50質量%を超えると(塗膜形成性樹脂が50質量%未満では)、塗料の貯蔵安定性が低下するとともに硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪化する。
【0047】
上記中塗り塗料は、溶剤型、水性、粉体型等の種々の形態をとることができる。溶剤型塗料または水性塗料としては、一液型塗料を用いてもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液型樹脂を用いてもよい。
【0048】
上記中塗り塗膜の乾燥膜厚は、10〜100μmが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。塗膜の乾燥膜厚が10μm未満では、下地を隠蔽し難く、100μmを超えると塗膜外観不良を生じるおそれがある。
【0049】
[光輝性ベース塗膜の形成]
本実施形態の光輝性塗膜形成方法における光輝性ベース塗膜は、上記下塗塗膜または中塗り塗膜を形成後、好ましくはW/Dにより上記下塗塗膜上または中塗り塗膜上に形成する。本発明における光輝性ベース塗膜は、貴金属または銅のコロイド粒子を含む、貴金属または銅のコロイド粒子溶液(以下、「コロイド粒子溶液」という)を含有する光輝性ベース塗料により形成されるものである。
【0050】
上記コロイド粒子溶液は、液相法や気相法などの公知の方法により得ることができる。例えば高分子顔料分散剤の存在下で、貴金属または銅の化合物を還元して貴金属または銅のコロイド粒子溶液を得る製造工程、および、上記製造工程で得られた貴金属または銅のコロイド粒子溶液を限外濾過処理する濃縮工程を通じて得られるものである。コロイド粒子溶液の、固形分に対する貴金属または銅の濃度は、83質量%以上99質量%未満であることが好ましい。
【0051】
上記コロイド粒子溶液で用いられる貴金属または銅の化合物は、溶媒に溶解することにより貴金属イオンまたは銅イオンを生じ、上記貴金属イオンまたは銅イオンが還元されて貴金属または銅のコロイド粒子を供給する。上記貴金属または銅のコロイド粒子となる貴金属としては、特に限定はされないが例えば、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。なかでも、金、銀、白金、パラジウムが好ましく、高光沢で、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感を発現させることができる点から、銀または金が特に好ましい。
【0052】
上記貴金属または銅の化合物としては上述の貴金属または銅を含むものであれば特に限定されず、例えば、テトラクロロ金(III)酸四水和物(塩化金酸)、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(塩化白金酸)、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)、塩化パラジウム(II)二水和物、三塩化ロジウム(III)三水和物等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
上記貴金属または銅の化合物は、溶媒中の貴金属または銅のモル濃度が0.01mol/l以上となるように用いられることが好ましい。0.01mol/l未満であると、得られる貴金属または銅のコロイド粒子溶液の貴金属または銅のモル濃度が低すぎて、効率的でない。0.05mol/l以上であることが好ましく、0.1mol/l以上であることがより好ましい。
【0054】
上記溶媒としては、上記貴金属または銅化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒等としては特に限定されず、例えば、エタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルコール、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記溶媒が水と有機溶媒との混合溶媒である場合には水溶性のものが好ましく、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール等が挙げられる。本発明においては、後の濃縮工程で行う限外濾過処理に適する点から、水、アルコールならびに水およびアルコールの混合溶液が好ましい。
【0055】
上記高分子顔料分散剤は、高分子量の重合体に顔料表面に対する親和性の高い官能基が導入されているとともに、溶媒和部分をも含む構造を有する、両親媒性の共重合体であり、通常は顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。
【0056】
上記高分子顔料分散剤は、上記貴金属または銅のコロイド粒子と共存しており、上記貴金属または銅のコロイド粒子が溶媒中で分散するのを安定化する働きをしていると考えられる。上記高分子顔料分散剤の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではないことがあり、100万を超えると粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。数平均分子量は、2000〜50万であることが好ましく、4000〜50万であることがさらに好ましい。
【0057】
上記高分子顔料分散剤としては、上述の性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報で開示されたものを挙げることができる。上記高分子顔料分散剤としては、種々のものを利用できるが、市販されているものを使用することもできる。上記市販品としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32550、ソルスパース35100、ソルスパース37500、ソルスパース41090(以上、ルーブリゾール社製)、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック181、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック2000、ディスパービック2001(以上、ビックケミー社製)、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550(以上、エフカアディティブズ社製)、フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745W(以上、共栄社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911(以上、味の素社製)、ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62(以上、ジョンソンポリマー社製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
上記高分子顔料分散剤の使用量は、上記貴金属または銅の化合物中の貴金属または銅と高分子顔料分散剤との合計量に対して30質量%以下であることが好ましい。30質量%を超えると、後の濃縮工程で限外濾過処理を行っても、溶液における固形分中の貴金属または銅の濃度を所望の濃度に高めることができないおそれがある。20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0059】
上述の高分子顔料分散剤存在下で、還元性化合物を用いることにより、上記貴金属または銅の化合物を貴金属または銅へ還元することができる。上記還元性化合物としてはアミンが好ましく、例えば、上記貴金属または銅の化合物と、高分子顔料分散剤との溶液にアミンを添加して撹拌、混合することにより、貴金属イオンまたは銅イオンが常温付近で貴金属または銅に還元される。上記アミンを使用することにより、危険性や有害性の高い還元剤を使用する必要も、加熱や特別な光照射装置を使用することもなしに、5〜100℃程度、好ましくは20〜80℃程度の反応温度で、貴金属または銅の化合物を還元することができる。
【0060】
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示されているものを使用することができ、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、上記アミンとして、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、ジメチルアミノエタノールがより好ましい。
【0061】
上記アミンの他に、還元剤として使用されている、水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン化合物;ヒドロキシルアミン;クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸;ギ酸;ホルムアルデヒド;亜ニチオン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を使用することができる。入手容易なことから、クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸が好ましい。これらは、単独または上記アミンと組み合わせて使用することが可能であるが、アミンとクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸を組み合わせる場合には、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やスルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用することによって、その還元性の向上を図ることができる。
【0062】
上記還元性化合物の添加量は、上記貴金属または銅の化合物中の貴金属または銅を還元するのに必要な量以上であることが好ましい。この量未満であると、還元が不充分となるおそれがある。また、上限は特に規定されないが、上記貴金属または銅の化合物中の貴金属または銅を還元するのに必要な量の30倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。また、これらの還元性化合物の添加により化学的に還元する方法以外に、高圧水銀灯を用いて光照射する方法も使用することも可能である。
【0063】
上記還元性化合物を添加する方法は特に限定されず、例えば、上記高分子顔料分散剤の添加後に行うことができ、この場合においては、例えば、まず溶媒に上記高分子顔料分散剤を溶解させ、さらに、上記還元性化合物または貴金属または銅の化合物の何れかを溶解させて得られる溶液に、還元性化合物または貴金属または銅の化合物の残った方を加えることで、還元を進行させることができる。また、上記還元性化合物を添加する方法としては、予め高分子顔料分散剤と上記還元性化合物とを混合しておき、この混合物を貴金属または銅の化合物の溶液に加える形態をとってもよい。
【0064】
上記還元により、平均粒子径が約1nm〜100nmである貴金属または銅のコロイド粒子を含む溶液が得られる。上記還元後の溶液は、上記貴金属または銅のコロイド粒子および上記の高分子顔料分散剤を含むものであり、貴金属または銅のコロイド粒子溶液となる。上記貴金属または銅のコロイド粒子溶液とは、貴金属または銅の微粒子が溶媒中に分散しており、溶液として視認できるような状態にあるものを意味する。なお、上記製造工程で得られる貴金属または銅のコロイド粒子溶液の、貴金属または銅の濃度は、TG−DTA等で測定して決定することができるが、測定を行わない場合には、仕込みに用いた配合量から計算される値を用いても構わない。
【0065】
次に、上記還元後の溶液に対して限外濾過処理を行う濃縮工程が行われる。上記還元後の貴金属または銅のコロイド粒子溶液は、上記貴金属または銅のコロイド粒子および上記高分子顔料分散剤のほかに、原料に由来する塩化物イオン等の雑イオン、還元で生じた塩や、場合によりアミンを含むものであり、これらの雑イオン、塩やアミンは、上記濃縮工程で得られる貴金属または銅のコロイド粒子溶液の安定性に悪影響を及ぼすおそれがあるので、除去しておくことが望ましい。これらの成分の除去には、電気透析、遠心分離、限外濾過、デカンテーションの方法が用いられるが、これらの成分の除去と同時に貴金属または銅の濃度を高められることから、限外濾過の方法が好ましい。
【0066】
本発明の高濃度金属コロイド粒子溶液は、還元により得られる上記貴金属または銅のコロイド粒子溶液を、限外濾過処理することにより得られるものである。本発明においては、上記貴金属または銅のコロイド粒子溶液を限外濾過することにより、貴金属または銅のコロイド粒子溶液中の雑イオン、塩やアミンが除去されるだけでなく、さらに高分子顔料分散剤の一部も除去される。
【0067】
上記高分子顔料分散剤の一部が除去される対象となる、貴金属または銅のコロイド粒子溶液は、その貴金属または銅のコロイド粒子および高分子顔料分散剤から成る固形分が、質量基準で0.05〜50%であることが好ましい。0.05%未満であると、貴金属または銅のモル濃度が低すぎて非効率的であり、50%を超えると高分子顔料分散剤の一部を除去することが困難な場合がある。
【0068】
上記限外濾過(Ultrafiltration:UF)は、精密濾過(Microfiltration:MF)に用いられる濾過膜よりも、さらにふるいの目が小さいものである。限外濾過は、通常、高分子量物質やコロイド物質の分離を目的として用いられるものであるが、本発明においては、貴金属コロイドまたは銅コロイド粒子溶液の固形分中の貴金属または銅の濃度を高めるために用いられる。
【0069】
上記限外濾過は、通常、分離対象となる物質の径が1nm〜5μmである。上記径を対象とすることにより、上記不要な雑イオン、塩やアミンとともに、上記高分子顔料分散剤を除去し、濃縮工程で得られる金属コロイド粒子溶液の固形分中の貴金属または銅の濃度を高めることができる。1nm未満であると、不要な成分が濾過膜を通過せず排除できないことがあり、5μmを超えると、上記金属コロイド粒子の多くが濾過膜を通過し、高濃度の貴金属または銅のコロイド粒子溶液が得られない場合がある。
【0070】
上記限外濾過の濾過膜としては、特に限定されないが、通常、例えば、ポリアクリロニトリル、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂製のものが用いられる。これらのうち、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォンが好ましく、ポリアクリロニトリルがより好ましい。また、上記限外濾過の濾過膜は、上記限外濾過終了後に通常行われる濾過膜の洗浄を効率よく行う点から、逆洗浄が可能な濾過膜を用いることが好ましい。
【0071】
上記限外濾過の濾過膜としては、その分画分子量が3000〜80000であるものが好ましい。3000未満だと不要な高分子顔料分散剤等が充分に除去されにくく、80000を超えると上記貴金属または銅のコロイド粒子が濾過膜を通過しやすくなるために、目的とする貴金属または銅のコロイド粒子溶液が得られない場合がある。10000〜60000であることがより好ましい。上記分画分子量は、一般的に、高分子溶液を限外濾過膜に通す場合に限外濾過膜の孔内を通過して外に排除される高分子の分子量を指し、濾過膜の孔径を評価するために用いられる。上記分画分子量が大きい値を示す程、濾過膜の孔径は大きい。
【0072】
上記限外濾過の濾過モジュールの形態は特に限定されず、例えば、濾過膜の形態別に、中空糸型モジュール(キャピラリーモジュールとも呼ばれる)、スパイラルモジュール、チューブラーモジュール、プレート型モジュール等が挙げられ、何れも本発明に好適に用いられる。膜面積が大きいほど濾過に要する時間を短縮することができるので、これらのうち、濾過面積の割にコンパクトな形態を有する中空糸型モジュールが、効率の点から好ましい。また、処理を行う貴金属または銅のコロイド粒子溶液の量が多い場合には、使用する限界濾過膜本数が多いものを使うことが好ましい。
【0073】
上記限外濾過の方法は特に限定されず、例えば、従来公知の方法等が用いられ、通常、製造工程で得られた貴金属または銅のコロイド粒子溶液を限外濾過膜に通すことにより行われ、これにより、上述の雑イオン、塩、アミンや高分子顔料分散剤を含む濾液が排除される。上記限外濾過は、通常、濾液の上記雑イオンが所望の濃度以下になるまで繰り返し行う。その際、処理する貴金属または銅のコロイド粒子溶液の濃度を一定にするために、排除された濾液の量と同じ量の溶剤を加えることが好ましい。このとき加える溶剤として、還元時に用いていたものと異なる種類のものを用いることで、貴金属または銅のコロイド粒子溶液の溶剤を置換することが可能である。例えば、処理する貴金属コロイドまたは銅コロイド粒子溶液の溶剤が水の場合には、エタノール等のアルコールに置換することにより、乾燥性、基材への濡れ性等に優れるものとすることができ、一方、溶剤がエタノール等のアルコールの場合には、水に置換することにより、環境性に優れるものとすることができる。
【0074】
上記限外濾過は、通常の操作、例えば、いわゆるバッチ方式で行うことができる。このバッチ方式は、限外濾過が進んだ分、処理対象である貴金属または銅のコロイド粒子溶液を加えていく方法である。なお、固形分濃度を高めるために、上記雑イオンが所望の濃度以下に除去された後、さらに上記限外濾過を行うことが可能である。
【0075】
上記限外濾過処理をする濃縮工程により得られる、貴金属または銅のコロイド粒子溶液は、上記製造工程で得られた貴金属コロイドまたは銅コロイド粒子溶液の貴金属または銅の濃度の値により具体的な値は異なるが、濃縮工程前に比べて、貴金属または銅の濃度は増加している。例えば、処理前後での貴金属または銅の濃度の差は、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
【0076】
上記濃縮工程で得られる貴金属または銅のコロイド粒子溶液中の、貴金属または銅の濃度は、83質量%以上99質量%未満であることが好ましく、90質量%以上98質量%未満であることがより好ましく、93質量%以上98質量%未満であることがさらに好ましい。83質量%未満だと、加熱条件を穏やかにした場合に実質的に高光沢を有し、かつ、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない金属感を呈する塗膜を得ることができないおそれがある。99質量%以上であると、粒子の分散安定性が損なわれるおそれがある。
【0077】
上記貴金属コロイドまたは銅コロイド粒子溶液は、限外濾過処理を行うことにより、貴金属コロイドまたは銅コロイド粒子溶液中の高分子顔料分散剤の一部を除去し、その結果、貴金属コロイドまたは銅コロイド粒子溶液の貴金属または銅の濃度が、限外濾過処理を行う前に比べて高められる。従って、従来の貴金属または銅のコロイド粒子溶液よりも貴金属または銅の濃度が高いために、得られる貴金属または銅のコロイド粒子溶液を基材に塗布し、これまでに比べて加熱条件を穏やかにした場合にも、高光沢を有し、かつ、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない金属感を呈する塗膜を得ることができる。このため、特にプラスチックや紙等の基材のような、耐熱温度が比較的低いものに対して塗布する場合にも、これらの基材上に高光沢を有し、かつ、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない金属感を呈する塗膜を形成することが可能となる。
【0078】
本発明の光輝性塗膜形成方法において光輝性ベース塗膜を形成するのに用いられる光輝性ベース塗料は、上記金属コロイド粒子溶液を含有するが、好ましくは、さらに含まれるビヒクルは、塗膜形成性樹脂と必要に応じて架橋剤からなる。上記塗膜形成性樹脂としては、(a)アクリル樹脂、(b)ポリエステル樹脂、(c)アルキッド樹脂、(d)フッ素樹脂、(e)エポキシ樹脂、(f)ポリウレタン樹脂、(g)ポリエーテル樹脂等が挙げられ、これらは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができ、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびフッ素樹脂の少なくとも一種であることが好ましい。
【0079】
上記(a)アクリル樹脂としては、アクリル系モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。上記共重合体に使用し得るアクリル系モノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル等のエステル化物類、アクリル酸またはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−メチロールアクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらと共重合可能な上記他のエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0080】
上記(b)ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂が挙げられ、例えば、多塩基酸と多価アルコールを加熱縮合して得られた縮合物が挙げられる。多塩基酸としては、無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等の飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和多塩基酸が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコールが挙げられる。
【0081】
上記(c)アルキド樹脂としては、上記多塩基酸と多価アルコールに、さらに油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキド樹脂を用いることができる。
【0082】
上記(d)フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン樹脂、四フッ化エチレン樹脂のいずれか一方またはこれらの混合体、フルオロオレフィンとヒドロキシ基を含有する重合性化合物、およびその他の共重合可能なビニル系化合物からなるモノマー混合物を、共重合させて得られる各種フッ素系共重合体からなる樹脂が挙げられる。
【0083】
上記(e)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂等が挙げられる。ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、Fが挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009(いずれも商品名、シェルケミカル社製)が挙げられ、また適当な鎖延長剤を用いてこれらを鎖延長したものを用いることもできる。
【0084】
上記(f)ポリウレタン樹脂としては、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等の各種ポリオール成分とポリイソシアネート化合物との反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、およびその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)、およびその混合物(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジシクロへキシルメタン・ジイソシアネート(水素化HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)等が挙げられる。
【0085】
上記(g)ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体または共重合体であり、ポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、もしくはポリオキシブチレン系ポリエーテル、またはビスフェノールAもしくはビスフェノールFなどの芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等の、1分子当たりに少なくとも2個の水酸基を有するポリエーテル樹脂が挙げられる。また上記ポリエーテル樹脂と、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸類、またはこれらの酸無水物等の反応性誘導体と、を反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエーテル樹脂が挙げられる。
【0086】
また、上記塗膜形成性樹脂には、硬化性を有するタイプと、ラッカータイプがあるが、通常、硬化性を有するタイプのものが使用される。硬化性を有するタイプの場合には、アミノ樹脂、(ブロック)ポリイソシアナート化合物、アミン系、ポリアミド系、イミダゾール類、イミダゾリン類、多価カルボン酸等の架橋剤と混合して使用され、加熱または常温で硬化反応を進行させることができる。また、硬化性を有しないラッカータイプの塗膜形成性樹脂と、硬化性を有するタイプとを併用することも可能である。架橋剤は、アミノ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物の少なくとも一種であることが好ましい。
【0087】
上記ビヒクルが架橋剤を含む場合、塗膜形成性樹脂と架橋剤との割合としては、固形分換算で、塗膜形成性樹脂が90〜50質量%、架橋剤が10〜50質量%であり、好ましくは塗膜形成性樹脂が85〜60質量%であり、架橋剤が15〜40質量%である。架橋剤が10質量%未満では(塗膜形成性樹脂が90質量%を超えると)、塗膜中の架橋が充分ではない。一方、架橋剤が50質量%を超えると(塗膜形成性樹脂が50質量%未満では)、塗料の貯蔵安定性が低下するとともに硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くなる。
【0088】
上記ビヒクルと、上記金属コロイド粒子溶液との固形分質量比率は、ビヒクル/金属コロイド粒子溶液=1/100〜30/100であることが好ましい。ビヒクル/金属コロイド粒子溶液が、1/100未満であると耐候性が充分に得られず、光輝性ベース塗膜との塗り重ね塗膜である光輝性クリヤー塗膜またはトップクリヤー塗膜との付着性が低下するおそれがあり、30/100を越えると金属粒子感を感じさせない金属感を充分得られないおそれがある。ビヒクル/金属コロイド粒子溶液=10/100〜25/100であることがより好ましい。
【0089】
上記光輝性ベース塗料は、上記成分の他に、脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリアミドワックスや酸化ポリエチレンを主体としたコロイド状分散体である。ポリエチレンワックス、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコーンや有機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等を、適宜添加して含有することができる。これらの添加剤は、通常、上記ビヒクル100質量部(固形分基準)に対して、例えば、それぞれ15質量部以下の割合で配合することにより、塗料や塗膜の性能を改善することができる。
【0090】
上記光輝性ベース塗料は、耐候性の観点から、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含有することが好ましい。
【0091】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシルベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤。
【0092】
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾリトアゾール系紫外線吸収剤等。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記紫外線吸収剤の含有量は、上記ビヒクル100固形分質量部に対して、固形分として2〜20質量部であることが好ましい。2質量部未満であると、耐候性試験時にクラックが発生するおそれがあり、20質量部を超えると、硬化性が低下するおそれがある。10〜15質量部であることがより好ましい。
【0093】
上記光安定剤としては、例えば、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン系光安定剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、ブチル2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート系光安定剤等を挙げることができる。なかでも、少量でより大きな効果を有するヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。上記光安定剤の含有量は、上記ビヒクル100固形分質量部に対して、固形分として0.5〜10質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、耐候性試験時にクラックが発生するおそれがあり、10質量部を超えると、硬化性が低下するおそれがある。1〜5質量部であることがより好ましい。
【0094】
上記光輝性ベース塗料は、溶剤型、水性、粉体型等の種々の形態をとることができる。溶剤型塗料または水性塗料としては、一液型塗料を用いてもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液型樹脂を用いてもよい。
【0095】
上記光輝性ベース塗料は、(1)上記被塗基材に塗布し、光輝性ベース塗膜を加熱硬化またはセッティングさせ、次いでトップクリヤー塗膜を加熱することによって、耐候性があり、高光沢を有し、かつ、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができ、(2)上記被塗基材に塗布し、光輝性ベース塗膜を加熱硬化させまたはセッティング、光輝性クリヤー塗膜、および必要に応じて形成するトップクリヤー塗膜とともに加熱することによって、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。
【0096】
上記光輝性ベース塗料の塗布方法は特に限定されず、例えば、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、シルクスクリーン、インクジェット等の塗装機具を用いたり、浸漬させたりすることができるほか、電気泳動によっても行うことが可能である。塗布量は、貴金属または銅のコロイド粒子溶液の濃度、塗布方法等により、変化させることができ、用途に合わせて任意に設定することができる。
【0097】
また、上記加熱の方法は特に限定されず、例えば、ガス炉、電気炉、IR炉など当業者によく知られたものを、加熱炉として使用することができる。加熱時間が比較的短時間である場合には、上記加熱炉がライン上に形成されている方法を用いることが好適であり、これにより、光輝性ベース塗膜をより効率的に形成することが可能となる。また、加熱前に、必要に応じて、常温乾燥あるいは強制乾燥を行ってもよい。
【0098】
上記光輝性ベース塗料により得られる光輝性ベース塗膜の乾燥膜厚は特に限定されないが、特に、微小な粒径の貴金属または銅のコロイド粒子を含有するものであることから、0.05〜3μm程度の薄膜を形成することに適している。
【0099】
[トップクリヤー塗膜の形成および光輝性クリヤー塗膜の形成]
本発明の光輝性塗膜形成方法においては、(1)上記光輝性ベース塗膜に対してトップクリヤー塗膜を少なくとも1層形成し、または(2)上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、必要に応じて形成するトップクリヤー塗膜を少なくとも1層形成する。
【0100】
上記トップクリヤー塗膜は、下地層を隠蔽しない無色透明なクリヤー塗膜である。光輝性ベース塗膜の上にトップクリヤー塗膜を形成することにより、光輝性向上および貴金属または銅のコロイド粒子の保護をすることができる。上記トップクリヤー塗膜はトップクリヤー塗料により形成されるが、このトップクリヤー塗料としては、上塗り用として一般に使用されているものを用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの変性樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、前述の架橋剤とを混合したものを用いることができる。また特公平8−19315号公報に記載された、カルボシキル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを含有するトップクリヤー塗料が、酸性雨対策という観点から好ましく用いられる。また、トップクリヤー塗膜は、溶剤型、水性、または粉体型等の種々の形態をとることができる。溶剤型塗料または水性塗料としては、一液型塗料を用いてもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液型樹脂を用いてもよい。
【0101】
上記トップクリヤー塗料は、必要に応じて、その透明性を損なわない範囲で改質剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を配合することが可能である。
【0102】
上記トップクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、10〜80μmであることが好ましく、この範囲を外れると塗膜外観が不充分となるおそれがある。20〜50μmであることがより好ましい。
【0103】
本発明の光輝性塗膜形成方法において、上記光輝性ベース塗膜に対して光輝性クリヤー塗膜を塗り重ね、必要に応じてトップクリヤー塗膜を少なくとも1層形成することにより、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた高金属感を呈する光輝性塗膜を得るために、必要に応じて形成する上記貴金属または銅のコロイド粒子を除く光輝材を含有する光輝性クリヤー塗膜は、上記光輝性ベース塗膜を加熱硬化またはセッティング後、光輝性ベース塗膜上に形成する。上記光輝性クリヤー塗膜は、光輝性顔料を、透明性を損なわない範囲の量で含有した光輝性クリヤー塗料によって形成される。透明性を損なわない範囲の量は、光輝性顔料の種類によって異なるが、所定の乾燥膜厚において、隠蔽率試験紙で白黒の境界を識別可能な範囲の量をいう。
【0104】
上記貴金属または銅のコロイド粒子を除く光輝材を、透明性を損なわない範囲の量で含有する光輝性クリヤー塗料は、ビヒクルとして、上塗り用として一般に使用されているものを用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの変性樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、前述の架橋剤とを混合したものを用いることができる。また特公平8−19315号公報に記載された、カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを組み合わせたものが、耐酸性雨対策という観点から好ましく用いられる。溶剤型、水性、または粉体型等の種々の形態をとることができる。溶剤型塗料または水性塗料としては、一液型塗料を用いてもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液型樹脂を用いてもよい。
【0105】
上記貴金属または銅のコロイド粒子を除く光輝材としては、好ましくはアルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、グラファイト顔料、干渉マイカ顔料、着色マイカ顔料、金属チタンフレーク顔料、ステンレスフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、フタロシアニンフレーク顔料、金属めっきガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、ホログラム顔料等が挙げられる。
【0106】
上記光輝性クリヤー塗膜の乾燥膜厚は、5〜50μmであることが好ましい。5μm未満では彩度を伴う光輝感が充分に発現できず、50μmを超えると塗膜外観が不充分となるおそれがある。5〜30μmであることがより好ましい。
【0107】
上記トップクリヤー塗料の塗装は、(1)上記光輝性ベース塗膜に対して、好ましくはW/D法でトップクリヤー塗膜を少なくとも1層形成し、または(2)上記光輝性ベース塗膜に対して、好ましくはW/D法で光輝性クリヤー塗膜が塗り重ね、必要に応じて好ましくはW/W法でトップクリヤー塗膜を少なくとも1層形成し、各塗膜を同時に焼き付け硬化させることが好ましい。また、トップクリヤー塗料を複数回塗装する場合には、最終のトップクリヤー塗料を塗装した後、同時に焼き付ければよく、初期にトップクリヤー塗料を塗装した段階では完全に硬化させなくてもよい。このようにトップクリヤー塗料を用いてW/W法により形成したトップクリヤー塗膜は、光輝性ベース塗膜、および、必要に応じて光輝性クリヤー塗膜とともに、80〜180℃で所定時間焼き付けることにより、塗膜を得ることができる。
【0108】
<第二実施形態>
[艶消しクリヤー塗膜を有する光輝性塗膜]
本実施形態に係る光輝性塗膜は、第一実施形態におけるトップクリヤー塗膜の代わりに、艶消しクリヤー塗膜を有するものである。具体的には、本実施形態の光輝性塗膜形成方法における態様は、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液による光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで艶消しクリヤー塗料による艶消しクリヤー塗膜を形成するものである。
【0109】
本実施形態では、上記光輝性ベース塗料を上記被塗基材に塗布し、光輝性ベース塗膜を形成した後、加熱硬化させまたはセッティングし、次いで艶消しクリヤー塗膜を形成して加熱することによって、耐候性を有し、かつ、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感と、深みのある艶消し感とを呈する光輝性塗膜を得ることができる。
【0110】
[艶消しクリヤー塗膜の形成]
本実施形態の光輝性塗膜形成方法においては、上記光輝性ベース塗膜に対して艶消しクリヤー塗膜を少なくとも1層形成する。
【0111】
上記艶消しクリヤー塗膜は、下地層を隠蔽しない、艶消し剤を含むクリヤー塗膜である。光輝性ベース塗膜の上に艶消しクリヤー塗膜を形成することにより、めっき調塗膜よりも金属粒子感を感じさせない金属感と深みのある艶消し感を得ることができる。上記艶消しクリヤー塗膜は、艶消しクリヤー塗料により形成されるが、この艶消しクリヤー塗料は、ビヒクルおよび艶消し剤を含むものである。ビヒクルは、上塗り用として一般に使用されているものを用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの変性樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、前述の架橋剤とを混合したものを用いることができる。また特公平8−19315号公報に記載された、カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを組み合わせたものが、耐酸性雨対策という観点から好ましく用いられる。
【0112】
上記艶消しクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、10〜50μmであること好ましい。10μm未満では、深みのある艶消し感を発現し難く、50μmを超えると塗膜外観不良を生じるおそれがある。20〜40μmであることがより好ましい。
【0113】
上記艶消しクリヤー塗料に用いる艶消し剤としては、各種の艶消し剤を用いることができるが、樹脂微粒子および無機微粒子の少なくとも一種であることが好ましい。上記樹脂微粒子としては、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。樹脂微粒子の平均粒径は、10〜25μmであることが好ましい。10μm未満であると、深みのある艶消し感の発現が不充分になり、触感が滑らかになり過ぎる。また25μmを超えると、艶消しクリヤー塗膜の表面凹凸が荒くなり、ざらつきの大きな触感を与える。
【0114】
上記無機微粒子としては、シリカ微粉末、クレー、タルク、雲母等が挙げられる。無機微粒子の平均粒径は1〜5μmであることが好ましい。1μm未満であると、深みのある艶消し感の発現が不充分になり、触感が滑らかになり過ぎる。また5μmを超えると、艶消しクリヤー塗膜の表面凹凸が荒くなり、触感もざらつきが大きくなる。上記樹脂微粒子、無機微粒子は併用してもよい。そのときの質量配合比は、樹脂微粒子1に対して無機粒子0.001〜100であることが好ましく、0.1〜10であることがより好ましい。
【0115】
上記艶消しクリヤー塗料には、数種類の樹脂微粒子や無機微粒子を併用することも、意匠の上で効果的である。上記艶消し剤の含有量は、塗料固形分に対して10〜60固形分質量%であることが好ましい。10固形分質量%未満であると、深みのある艶消し感の発現が得られないおそれがあり、また60固形分質量%を超えると、塗膜の強度が不充分となるおそれがある。25〜50固形分質量%であることがより好ましい。
【0116】
また、上記艶消しクリヤー塗料に対して、必要に応じ、上記の着色顔料、体質顔料、改質剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を配合することが可能である。
【0117】
また、上記艶消しクリヤー塗料は、有機溶剤型、水性または粉体型いずれの形態であってもよい。有機溶剤型および水性塗料としては、一液型であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液型であってもよい。このように艶消しクリヤー塗料を用いて形成した艶消しクリヤー塗膜を、120〜160℃で所定時間焼き付けることにより、塗膜を得ることができる。
【0118】
<第三実施形態>
[トップカラークリヤー塗膜を有する光輝性塗膜]
本実施形態に係る光輝性塗膜は、第一実施形態におけるトップクリヤー塗膜の代わりに、トップカラークリヤー塗膜を有するものである。具体的には、本実施形態の光輝性塗膜形成方法における第1の態様は、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含有する貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いでカラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成するものである。
【0119】
また、第2の態様は、被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含有する貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで上記貴金属または銅のコロイド粒子とは異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、次いで光輝性クリヤー塗膜上に、カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成するものである。
【0120】
本実施形態では、上記被塗基材に上記光輝性ベース塗料を塗布して光輝性ベース塗膜を形成後、加熱硬化させまたはセッティングし、次いでトップカラークリヤー塗膜を形成後、加熱することによって、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない着色性金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。また、上記被塗基材に塗布し、上記光輝性ベース塗膜を形成後、加熱硬化させまたはセッティングし、光輝性クリヤー塗膜、次いでトップカラークリヤー塗膜を形成し加熱することによって、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた着色性高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。
【0121】
[トップカラークリヤー塗膜および光輝性クリヤー塗膜の形成]
本実施形態の光輝性塗膜形成方法においては、上記光輝性ベース塗膜に対してトップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成するものである。あるいは、上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、トップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成するものである。
【0122】
上記トップカラークリヤー塗膜は、下地層を隠蔽しないもので、着色性のある透明なクリヤー塗膜である。透明性を損なわない範囲の量は、着色顔料の種類によって異なるが、PWCで0.01〜20%であることが好ましく、所定の乾燥膜厚において、隠蔽率試験紙で白黒の境界を識別可能な量をいう。PWCが0.01%未満では、着色性金属感が得られないおそれがある。PWCが20%を超えると金属感が得られないおそれがある。光輝性ベース塗膜の上にトップカラークリヤー塗膜を形成することにより、着色性のある光輝感が得られ、貴金属または銅コロイド粒子を保護することができる。上記トップカラークリヤー塗膜はトップカラークリヤー塗料により形成されるが、このトップカラークリヤー塗料は、ビヒクルおよび着色顔料を含むものである。ビヒクルは、上塗り用として一般に使用されているものを用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの変性樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂と前述の架橋剤とを混合したものを用いることができる。また特公平8−19315号公報に記載されたカルボシキル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを含有するトップカラークリヤー塗料が、酸性雨対策という観点から好ましく用いられる。また、トップカラークリヤー塗膜は、溶剤型、水性、または粉体型等の種々の形態をとることができる。溶液型塗料または水性塗料としては、一液型塗料を用いてもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液型樹脂を用いてもよい。
【0123】
上記トップカラークリヤー塗料で用いる着色顔料のうち、有機系としてはアゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系としては黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。また、タルク、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ等の各種体質顔料等を併用してもよい。
【0124】
これらのトップカラークリヤー塗料は、必要に応じて、その透明性を損なわない範囲で改質剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を配合することが可能である。
【0125】
上記トップカラークリヤー塗膜の乾燥膜厚は、10〜80μmが好ましく、この範囲を外れると塗膜外観が不充分となる恐れがある。より好ましくは20〜50μmである。本発明の光輝性塗膜形成方法において、上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、上記トップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成することにより、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた着色性高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。上記光輝性クリヤー塗膜は、貴金属または銅のコロイド粒子を除く光輝材を含有し、上記光輝性ベース塗膜を加熱硬化後またはセッティングし、光輝性ベース塗膜上に形成される。
【0126】
<第四実施形態>
[貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液を用いた光輝性塗膜]
本実施形態は、第一実施形態における貴金属または銅のコロイド粒子溶液による光輝性ベース塗料の代わりに、貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成するものである。具体的には、本実施形態に係る光輝性塗膜形成方法における第1の態様は、被塗基材に、貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド、例えば、金コロイド粒子および銀コロイド粒子を含有する金銀混合コロイド粒子溶液(以下、「金銀混合コロイド粒子溶液」ともいう。)を含有する光輝性ベース塗料を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いでカラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成するものである。
【0127】
また第2の態様は、被塗基材に、貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属コロイド粒子とは異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、次いで光輝性クリヤー塗膜上に、カラークリヤー塗料またはクリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜またはトップクリヤー塗膜を形成するものである。
【0128】
[貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド光輝性ベース塗膜]
本実施形態の光輝性塗膜形成方法における貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド光輝性ベース塗膜は、上記下塗り塗膜または中塗り塗膜を形成後、W/Dにより上記下塗り塗膜上または中塗り塗膜上に形成する。本発明における光輝性ベース塗膜は、上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を塗装して形成されるものである。
【0129】
上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液が、例えば、金銀混合コロイド粒子溶液とすると、金コロイド粒子溶液と銀のコロイド粒子溶液との混合溶液であるが、上記金銀混合コロイド粒子溶液における金コロイド粒子に対する銀コロイド粒子の固形分質量比は、1/99〜99/1であることが好ましい。この範囲を外れると、金と銀との併用による金と銀の色相を兼ね備えた金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができないおそれがある。
【0130】
上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液は、上述した第一実施形態に係る貴金属または銅のコロイド粒子溶液と同様の製造方法により得ることができる。
【0131】
上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液に対する上記ビヒクルを含有する場合には、ビヒクルとの固形分質量比が、1/100〜30/100であることが好ましい。1/100未満であると、耐候性が十分に得られず、光輝性ベース塗膜との塗り重ね塗膜である光輝性クリヤー塗膜またはトップクリヤー塗膜との付着性が低下するおそれがあり、30/100を越えると金属粒子感を感じさせない金属感が十分に得られないおそれがある。より好ましくは、10/100〜25/100である。
【0132】
以上のような貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属混合コロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料は、上記被塗基材に塗布し、光輝性ベース塗膜を形成後、加熱硬化させまたはセッティングし、次いでトップカラークリヤー塗膜を形成後、加熱することによって、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない着色性金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。また、上記被塗基材に塗布し、光輝性ベース塗膜を形成後、加熱硬化させまたはセッティングし、次いで光輝性クリヤー塗膜、次いでトップカラークリヤー塗膜またはトップクリヤー塗膜を形成し加熱することによって、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた着色性高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。なお、上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属コロイド粒子溶液含有光輝性ベース塗料の塗布方法としては特に限定されず、第一実施形態における光輝性ベース塗膜と同様の塗布方法を採用することができる。
【0133】
[トップクリヤー塗膜、トップカラークリヤー塗膜および光輝性クリヤー塗膜の形成]
本実施形態に係る光輝性塗膜形成方法においては、上記光輝性ベース塗膜に対してトップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成し、または、上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、トップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成し、または上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、トップクリヤー塗膜を少なくとも1層形成する。
【0134】
上記トップカラークリヤー塗膜は、上述した第三実施形態のトップカラークリヤー塗料と同様のものを用いることにより得られる。
【0135】
本実施形態の光輝性塗膜形成方法において、上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、上記トップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成することにより、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた着色性高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。上記光輝性クリヤー塗膜は、貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属コロイド粒子を除く光輝材を含有し、上記光輝性ベース塗膜を加熱硬化後またはセッティングし、光輝性ベース塗膜上に形成される。
【0136】
上記トップクリヤー塗膜は、上記トップカラークリヤー塗膜に含有する着色顔料を除いたクリヤー塗料を塗装して形成されるものである。
【0137】
上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属コロイド粒子とは異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料は、溶剤型、水性、または粉体型等の種々の形態をとることができる。溶液型塗料または水性塗料としては、一液型塗料を用いてもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液型樹脂を用いてもよい。
【0138】
上記貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属コロイド粒子とは異なる光輝材としては、第一実施形態で説明した光輝性顔料を用いることができる。
【0139】
<第五実施形態>
[溶剤膨潤率0%から5%の下地塗膜を用いる光輝性塗膜]
本実施形態の光輝性塗膜形成方法における態様は、溶剤膨潤率が0〜5%である下地塗膜が形成された被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含有する貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を塗装して光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで以下の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成し、光輝性塗膜を得ることができる。
(A)クリヤー塗料を塗装してトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(B)光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(C)光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、クリヤー塗料によるトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(D)艶消しクリヤー塗料を塗装して艶消しトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(E)カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(F)光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程。
【0140】
本実施形態の光輝性塗膜形成方法においては、溶剤膨潤率が0〜5%である下地塗膜を形成する。即ち、上記基材に、下塗り塗膜、光輝性ベース塗膜の順に塗膜を形成した場合にあっては、下塗り塗膜の溶剤膨潤率を0〜5%とする。また、上記基材に、下塗り塗膜、中塗り塗膜、光輝性ベース塗膜の順に塗膜を形成した場合にあっては、中塗り塗膜の溶剤膨潤率を0〜5%とする。
【0141】
本実施形態における溶剤膨潤率とは、溶剤としてトルエンを用い、中塗り塗膜W1グラムを溶剤に含浸し、膨張させてW2グラムになった場合において、下記の数式1により求められる値をいう。溶剤膨潤率が5%を超えると、光輝性ベース塗膜の下地塗膜への含浸が多くなり、高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができない。上記下地塗膜の溶剤膨潤率を、0〜5%にするには、下地塗膜の塗膜架橋密度を、1.1×10−3〜10×10−3mol/ccにすることにより得られる。
【0142】
【数1】

【0143】
本実施形態における塗膜架橋密度(n)とは、下地塗膜を試料として、試料に微小振動を与えながら粘弾性を測定する動的粘弾性測定により、下記の数式2から求められる。ここで、数式2において、E’は動的ヤング率、Rは気体定数、Tは絶対温度を表している。塗膜架橋密度の調整は、架橋剤の配合量(配合量が多いと高架橋密度になり、また配合量が少ないと低架橋密度になる)、ポリオールの分子量(分子量が低いと高架橋密度になり、また分子量が高いと低架橋密度になる)、ポリオールや架橋剤の1分子中の官能基数(官能基数多いと高架橋密度になり、また官能基数少ないと低架橋密度になる)、焼付け温度(焼付け温度が高いと高架橋密度となり、焼付け温度が低いと低架橋密度となる)等を適宜調整して行う。塗膜架橋密度を高くして上記範囲内に調整する事により、溶剤膨潤率は低くなり、光輝性ベース塗膜の下地塗膜への含浸が少なく、高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。
【0144】
【数2】

【0145】
上記中塗り塗膜を形成するために用いられる中塗り塗料に含有するビヒクルは、上記塗膜架橋密度と溶剤膨潤率を主に決定するものであり、塗膜形成性樹脂と架橋剤からなる。好ましく用いられる塗膜形成性樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂である。
【0146】
本実施形態の好ましい態様として、上記光輝性ベース塗料は、上記被塗基材に塗布し、上記光輝性ベース塗膜を形成後、加熱硬化させまたはセッティングし、次いでトップカラークリヤー塗膜を形成後、加熱することによって、耐候性があり、高光沢で、めっき調塗膜より金属粒子感を感じさせない着色性金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。また、別の好ましい態様として、上記被塗基材に塗布し、光輝性ベース塗膜を形成後、加熱硬化させまたはセッティングし、次いで光輝性クリヤー塗膜、次いでトップカラークリヤー塗膜を形成し加熱することによって、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた着色性高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。さらには、別の好ましい態様として、上記被塗基材に塗布し、光輝性ベース塗膜を形成後、加熱硬化させまたはセッティングし、次いで光輝性クリヤー塗膜、次いでトップクリヤー塗膜を形成し加熱することによって、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。なお、上記光輝性ベース塗料の塗布方法としては特に限定されず、第一実施形態の光輝性ベース塗膜と同様の塗布方法を採用することができる。
【0147】
[トップクリヤー塗膜、トップカラークリヤー塗膜および光輝性クリヤー塗膜]
本実施形態の光輝性塗膜形成方法においては、上記光輝性ベース塗膜に対してトップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成し、または上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、トップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成し、または上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、トップクリヤー塗膜を少なくとも1層形成する。
【0148】
上記トップカラークリヤー塗膜は、上述した第三実施形態のトップカラークリヤー塗料と同様のものを用いることにより得られる。
【0149】
本実施形態の光輝性塗膜形成方法において、上記光輝性ベース塗膜に光輝性クリヤー塗膜が塗り重ねられた塗膜に対して、上記トップカラークリヤー塗膜を少なくとも1層形成することにより、光輝性クリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた着色性高金属感を呈する光輝性塗膜を得ることができる。上記光輝性クリヤー塗膜は、貴金属または銅のコロイド粒子を除く光輝材を含有し、上記光輝性ベース塗膜を加熱硬化後またはセッティングし、光輝性ベース塗膜上に形成される。
【0150】
上記トップクリヤー塗膜は、上述した第一実施形態のトップクリヤー塗料と同様のものを用いることにより得られる。また、上記光輝性クリヤー塗膜は、上述した第一実施形態の光輝性クリヤー塗料と同様のものを用いることにより得られる。
【0151】
<第六実施形態>
[複合金属コロイドまたは混合金属コロイドを用いた光輝性ベース塗膜]
本実施形態では、貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料による光輝性ベース塗膜の形成の代わりに複合金属コロイドまたは混合金属コロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を用いて光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで上述の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成し、光輝性塗膜を得ることができる。なお、本実施形態で用いる光輝性ベース塗料は、貴金属または銅のコロイド粒子溶液の代わりに、複合金属コロイド粒子溶液または混合金属コロイド粒子溶液を用いる以外は、第一実施形態に係る光輝性ベース塗料と同様のものである。また、好ましい下地塗膜としては、第五実施形態のものを用いる。
【0152】
混合金属コロイドとは、貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料が、ニッケル、ビスマス、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、スズ、チタン、および、アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属またはその金属化合物をさらに含有するものである。この混合金属コロイドは、上述した貴金属または銅のコロイド粒子と、上記の金属または金属化合物とを混合することにより得ることができる。
【0153】
上記金属化合物としては、例えば、金属塩、有機酸化合物、金属石鹸、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属錯体を挙げることができる。また、上記有機金属錯体としては、例えば、アルキル錯体、カルボニル錯体、オレフィン錯体、アリル錯体、アセチルアセトナート錯体、ポルフィリン錯体、クラウンエーテルを挙げることができる。
【0154】
これに対して、複合金属コロイドとは、上記貴金属または銅のコロイド粒子が、貴金属、銅、ニッケル、ビスマス、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、スズ、および、チタンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属と複合化されたものである。
【0155】
本実施形態の複合金属コロイド粒子の平均粒子径は、5〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。5nm未満のものを得ることは製造上困難であるうえ意匠性の発現が充分でないおそれがあり、100nmを超えると粒子の安定性に問題が生じるおそれがある。
【0156】
本実施形態の複合化とは、コロイド粒子を二種以上の金属で構成することである。複合金属コロイドのコロイド粒子としては、例えば、金属が二種の場合には、一方の金属がもう一方の金属を覆う構造を有している、いわゆるコア−シェル構造のコロイド粒子、二種の金属が一つのコロイド粒子の中で合金化している構造のコロイド粒子、およびそれらの混合物を挙げることができる。金属が三種以上の場合も同様に、多層構造コロイド粒子や三種以上の金属が一つのコロイド粒子の中で合金化している構造のコロイド粒子、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0157】
上記金属が二種の場合に、一方の金属がもう一方の金属を覆う構造を有しているコア−シェル構造のコロイド粒子の例としては、例えば、高分子顔料分散剤を含む第1の金属コロイド溶液中で、第2の金属化合物の還元を行うことによって得られる複合金属コロイド溶液であり、上記第1の金属コロイド溶液は、上記高分子顔料分散剤存在下で第1の金属化合物を還元することにより得ることが出来、上記第1の金属および第2の金属が金、銀および銅からなる群から選ばれるものであり、第1の金属が金である場合には、第2の金属が銀または銅であり、第1の金属が銀である場合には、第2の金属が金であることが意匠性の点から好ましいとして記載されている特開2004−256915号公報に開示されている金、銀および銅からなる複合金属コロイドを挙げることができる。
【0158】
本発明の複合金属コロイド粒子において、上記金属が二種の場合に二種の金属が一つのコロイド粒子の中で合金化している構造の粒子(以降、合金ナノ粒子と記載)を含有する合金ナノ粒子含有溶液は、高分子顔料分散剤存在下で金属M1イオン及び金属M2イオンを含有する2種金属溶液から金属水酸化物類を析出させた後に、還元反応させる製造方法により製造することができる。
【0159】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法において、上記金属水酸化物類は、2種の金属M1及び金属M2のうち一種のみを含むものであることが好ましい。
【0160】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法において、上記金属水酸化物類は、2種の金属M1及びM2を含む複合水酸化物又は複合酸化物であることが好ましい。
【0161】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法において、合金とは、2種類の金属が原子レベルから、層状、グラニュラー状、アモルファス状等のミクロなレベルで混合した状態になっていることを意味する。なお、上記混合は全体が同じ状態ではなく、ある部分は層状が支配的になっており、また、ある部分は、アモルファス状が支配的になっているといったように、部分部分でその構成が異なっているものと推察される。
【0162】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法は、高分子顔料分散剤存在下で金属M1イオン及び金属M2イオンを含有する2種金属溶液から金属水酸化物類を析出させた後に、還元反応させる工程を含んでなるものである。
【0163】
上記高分子顔料分散剤は、高分子量の重合体に顔料表面に対する親和性の高い官能基が導入されているとともに、溶媒和部分を含む構造を有する両親媒性の共重合体であり、通常は顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。
【0164】
上記高分子顔料分散剤は、合金ナノ粒子の生成及び生成後の溶媒中での分散をそれぞれ安定化する働きをしていると考えられる。上記高分子顔料分散剤の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではないことがあり、100万を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好ましくは、2000〜50万であり、更に好ましくは、4000〜50万である。
【0165】
上記高分子顔料分散剤としては上述の性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示したものを挙げることができる。上記高分子顔料分散剤としては、種々のものが利用できるが、市販されているものを使用することもできる。上記高分子顔料分散剤は、製造しようとする合金ナノ粒子含有溶液の種類に適したものを選択することができる。溶媒が水系のものである場合には極性高分子顔料分散剤が、溶剤が非極性のものである場合には非極性高分子顔料分散剤がそれぞれ選択される。
【0166】
上記極性高分子顔料分散剤の市販されているものとしては、ディスパービックR、ディスパービック154、ディスパービック180、ディスパービック187、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192(以上ビックケミー社製)、ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース12000、ソルスパース40000、ソルスパース41090、ソルスパースHPA34(以上ルーブリゾール社製)、EFKA−450、EFKA−451、EFKA−452、EFKA−453、EFKA−4540、EFKA−4550、EFKA−1501、EFKA−1502(以上エフカアディティブズ社製)、フローレンTG−720W、フローレンTG−730W、フローレンTG−740W、フローレンTG−745W、フローレンTG−750W、フローレンG−700DMEA、フローレンG−WK−10、フローレンG−WK−13E(以上共栄社製)、ディスパーエイドW−30、ディスパーエイドW−39(エレメンティス社製)、K−SPERSE XM2311(キング社製)、ネオレッツBT−24、ネオレッツBT−175(以上ゼネカ社製)、SMA1440H(アトケム社製)、オロタン731DP、オロタン963(ローム・アンド・ハース社製)、ヨネリン(米山化学製)、サンスパールPS−2(三洋化成製)、トライトンCF−10(ユニオンカーバイド社製)、ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル683、ジョンクリル611、ジョンクリル680、ジョンクリル682、ジョンクリル52、ジョンクリル57、ジョンクリル60、ジョンクリル63、ジョンクリル70、ジョンクリルHPD−71、ジョンクリル62(ジョンソンポリマー社製)サーフィノールCT−111(エアプロダクツ社製)等を挙げることができる。
【0167】
一方、上記非極性高分子顔料分散剤の市販されているものとして、ディスパービック110、ディスパービックLP−6347、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック161、ディスパービック166、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパービック2150、ディスパービック2070(以上ビックケミー社製)、ソルスパース24000、ソルスパース28000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース26000、ソルスパース36600、ソルスパース37500、ソルスパース35100、ソルスパース38500(以上ルーブリゾール社製)、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−4050、EFKA−4055、EFKA−4009、EFKA−4010、EFKA−400、EFKA−401、EFKA−402、EFKA−403(以上エフカアディティブズ社製)、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17、フローレンDOPA−22(以上共栄社製)、ディスパロン2150、ディスパロン1210(楠本化成製)等を挙げることができる。
【0168】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法において、上記合金ナノ粒子になる2種の金属のうちM1は上記貴金属または銅である。M2としては特に限定されず、例えば、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、銅、ニッケル、ビスマス、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、スズ、および、チタン等を挙げることができる。
【0169】
上記2種金属溶液は、上記金属M1又はM2を含む金属化合物を、後述する溶媒に溶解させて得られる。上記金属M1又はM2を含む金属化合物としては、上記溶媒に溶解して金属M1イオン又は金属M2イオンを生成するものであればよい。上記金属化合物の例として、上記金属が金である場合にはテトラクロロ金(III)酸四水和物(塩化金酸)、銀である場合には硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)、白金である場合にはヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(塩化白金酸)、塩化白金酸カリウム、パラジウムである場合には塩化パラジウム(II)二水和物、ロジウムである場合には三塩化ロジウム(III)三水和物、銅である場合には塩化銅(II)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)等それぞれ挙げることができる。
【0170】
また、上記金属がニッケルである場合、上記金属化合物の例として、塩化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)六水和物、臭化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)四水和物、ヨウ化ニッケル(II)n水和物等のハロゲン化物;硝酸ニッケル(II)六水和物、過塩素酸ニッケル(II)六水和物、硫酸ニッケル(II)六水和物、リン酸ニッケル(II)n水和物、塩基性炭酸ニッケル(II)等の鉱酸化合物;水酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(III)等のニッケル無機化合物;酢酸ニッケル(II)四水和物、乳酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)二水和物、酒石酸ニッケル(II)三水和物、クエン酸ニッケル(II)n水和物等のニッケル有機酸化合物等を挙げることができる。上記ニッケル有機酸化合物は、例えば、塩基性炭酸ニッケルと有機酸から調製することができる。なかでも、溶解性の高い酢酸ニッケル(II)四水和物、塩化ニッケル(II)六水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物が好ましい。
【0171】
また、上記金属がビスマスである場合、上記金属化合物の例として、塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、臭化ビスマス、ケイ酸ビスマス、水酸化ビスマス、三酸化ビスマス、硝酸ビスマス、次硝酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス等の無機系ビスマス含有化合物;乳酸ビスマス、トリフェニルビスマス、没食子酸ビスマス、安息香酸ビスマス、クエン酸ビスマス、メトキシ酢酸ビスマス、酢酸ビスマス、ギ酸ビスマス、2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸ビスマス等の他、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス等の(塩基性)ビスマス化合物と有機酸とを水性媒体中で混合・分散することによって製造できるような有機酸変性ビスマス(国際公開WO99/31187号公報参照)等の有機系ビスマス含有化合物等を挙げることができる。なかでも、溶媒として水を含む場合には、水への溶解性の観点から、塩化ビスマスや硝酸ビスマスが好ましい。
【0172】
更に、上記金属がそれぞれ下記の金属である場合についての金属化合物の例を挙げると、インジウムの場合、塩化インジウム(III)、硝酸インジウム(III)三水和物、ヨウ化インジウム(I);コバルトの場合、塩化コバルト(II)六水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、過塩素酸コバルト(II)六水和物、硝酸コバルト(II)六水和物;亜鉛の場合、塩化亜鉛(II)、酢酸亜鉛(II)二水和物、硝酸亜鉛(II)六水和物;タングステンの場合、タングステン酸(VI)ナトリウム二水和物、無水タングステン酸、タングステン酸;クロムの場合、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)六水和物、硝酸クロム(III)九水和物;鉄の場合、塩化鉄(II)四水和物、塩化鉄(III)六水和物、硝酸鉄(III)九水和物、過塩素酸鉄(II)六水和物;モリブデンの場合、モリブデン(VI)酸ナトリウム二水和物、モリブデン酸、塩化モリブデン(V);タンタルの場合、タンタル酸(V)ナトリウム、塩化タンタル(V);マンガンの場合、塩化マンガン(II)四水和物、酢酸マンガン(II)四水和物、酢酸マンガン(III)二水和物、硝酸マンガン(II)六水和物;スズの場合、酢酸スズ(II)、塩化スズ(II)二水和物となる。
【0173】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法は、任意に選択した2種類の金属を使用して合金ナノ粒子含有溶液を調製することができるわけではなく、適した組み合わせの金属を使用することによって合金ナノ粒子含有溶液を調製することができる。以下に、金属M1及び金属M2として選択することができる組み合わせについて述べる。
【0174】
上述した金属のうち、例えば、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、銅、ニッケル、ビスマス、スズのイオンは、高分子顔料分散剤存在下で還元剤を使用することによって、金属水酸化物類を析出させた後、金属に還元される金属イオンである(以下、これらを単独還元性金属イオンという。)。このような金属イオンを金属M1イオンとする場合、金属M2イオンは、金属M1とは異なる単独還元性金属イオンである)。
【0175】
上記単独還元性金属イオンのなかでも、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、ニッケル、コバルトのイオンは、還元された金属が、別の還元反応の触媒として機能する(以下、これらを単独還元性及び触媒作用性金属イオンという。)。単独還元性及び触媒作用性金属イオンのなかの銀、パラジウム、ニッケルのイオンは、還元反応の触媒能において特に優れている。
【0176】
上記金属M1イオンが上記単独還元性及び触媒作用性金属イオンである場合、金属M2イオンとしては、上記単独還元性金属イオンに加えて、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、チタンのイオン(以下、これらをその他の金属イオンという。)であってよい。
【0177】
上記2種金属溶液に含まれる金属M1イオン及び金属M2イオンの供給源となる金属化合物(上述した化合物)は、上記2種金属溶液中の金属モル濃度(金属M1及びM2の合計量)が0.01mol/l以上となるように用いられることが好ましい。0.01mol/l未満であると、得られる合金ナノ粒子含有溶液の金属モル濃度が低すぎて、効率的でない。好ましくは0.05mol/l以上、より好ましくは0.1mol/l以上である。
【0178】
上記2種金属溶液中の溶媒としては、上記金属化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒等としては特に限定されず、例えば、エタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルコール;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記溶媒が水と有機溶媒との混合物である場合には、上記有機溶媒としては、水可溶性のものが好ましく、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール等が挙げられる。
【0179】
上記高分子顔料分散剤の使用量は、上記金属化合物中の金属(M1及びM2の合計量)と高分子顔料分散剤との合計量に対して90質量%以下であることが好ましい。90質量%を超えると、増分に見合うだけの効果が期待できない。より好ましくは、60質量%以下であり、更に好ましくは、40質量%以下である。
【0180】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法では、このようにして調製された上記2種金属溶液に沈殿剤を加えて、金属水酸化物類を析出させる。この金属水酸化物類とは、金属水酸化物、金属オキシ水酸化物、金属酸化物及びこれらの混合物を意味するものであり、用いる金属M1及びM2の種類によって、その構成は異なってくる。
【0181】
即ち、上記金庫M1イオン及び金属M2イオンがともに単独還元性金属イオンである場合、沈殿剤の添加により、金属M1及び金属M2を含む金属水酸化物類が析出する。一方、上記金属M1イオンが単独還元性及び触媒作用性金属イオンであり、上記金属M2イオンがその他のイオンである場合には、金属M1のみを含む金属水酸化物類が析出する。
【0182】
ここで用いられる沈殿剤として、塩基性化合物が用いられる。系を塩基性にすることで、溶媒に溶けにくい金属水酸化物類が生成すると考えられる。具体的な沈殿剤としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の塩基性アルカリ金属塩やアミンやグアニジン、イミダゾール等の水溶性の有機塩基化合物等が挙げられる。これらは、用いている金属M1及び金属M2により適宜選択され得る。特に還元作用をも有する、水溶性脂肪族アミンが好適に用いられる。なお、加えられる沈殿剤の量は、沈殿させる対象の金属塩の規定度に対して、0.1〜10倍量とすることができる。
【0183】
上記合金ナノ粒子含有溶液の製造方法では、この金属水酸化物類が析出した状態で還元を行なう。還元は還元剤を系に添加することにより行なわれる。先に述べたように、析出物が金属M1及び金属M2を含む金属水酸化物類である場合、これを還元することにより、合金ナノ粒子が得られる。一方、上記金属M1イオンが単独還元性及び触媒作用性金属イオンであって、金属M1のみを含む金属水酸化物類が析出した場合、金属M1のナノ粒子が生成するとともに、この粒子表面における還元触媒作用によって、溶液中の金属M2イオンが還元され、その結果、合金ナノ粒子が得られる。これは、合金ナノ粒子が得られたのと同じ条件では、その他のイオンである金属M2イオン単独でナノ粒子を得ることができないことから容易に類推される。このような例として、金属M1が銀、金属M2がパラジウムという組み合わせを挙げることができる。
【0184】
また、上記金属M1イオンが単独還元性及び触媒作用性金属イオンであり、上記金属M2イオンが単独還元性イオンである場合にも、上記還元触媒作用が働いていることが予想される。このような例として、金属M1が銀、金属M2がニッケル又はビスマスという組み合わせ、金属M1がニッケル、金属M2がコバルトという組み合わせをそれぞれ挙げることができる。
【0185】
上記還元剤としては、例えば、アミンを挙げることができる。上記アミンを使用することにより、危険性や有害性の高い還元剤を使用する必要がなく、加熱や特別な光照射装置を使用することなしに、5〜100℃程度、好ましくは20〜80℃程度の反応温度で、金属化合物を還元することができる。
【0186】
上記アミンとしては、上述した第一実施形態の貴金属または銅のコロイド粒子溶液の製造に用いるものを使用できる。
【0187】
上記アミンの他に、従来より還元剤として使用されている水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物;ヒドロキシルアミン;クエン酸;酒石酸;リンゴ酸;アスコルビン酸;ギ酸;ホルムアルデヒド;亜二チオン酸、亜二チオン酸の誘導体であるホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(ロンガリットと称される)、ホルムアルデヒドスルホキシル酸亜鉛等の亜ニチオン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を使用することができる。また、二酸化チオ尿素、水素化アルミニウムナトリウム、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸、ハイドロサルファイトを挙げることもできる。これらは、単独又は上記アミンと組み合わせて使用することが可能であるが、アミンとクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸を組み合わせる場合、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やスルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用することによって、還元性の向上を図ることができる。上述したアミンの他の還元剤のなかでも、必要に応じてアミンよりも強い還元力有するものであることが好ましい。アミンよりも強い還元力を有するもののなかでも、安全性と反応効率の観点から、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(ロンガリット)、炭酸ヒドラジンが好ましい。これらの還元剤は適切なものを組み合せて使用することができる。
【0188】
上記還元剤の添加量は、上記2種金属溶液に含まれる金属M1イオン及び金属M2イオンを還元するのに必要な量以上であることが好ましい。この量未満であると、還元が不充分となるおそれがある。また、上限は特に規定されないが、上記金属化合物中の金属M1及びM2を還元するのに必要な量の30倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。また、これらの還元剤の添加により化学的に還元する方法以外に、高圧水銀灯を用いて光照射する方法も使用することも可能である。
【0189】
上記還元剤を添加する方法としては、2種の金属M1及びM2を含む金属水酸化物類が析出した後に、還元反応する場合には、例えば、金属M1を含む化合物及び金属M2を含む化合物と高分子顔料分散剤とを溶解させて得られる溶液に、還元剤を加えることで行うことや、高分子顔料分散剤及び還元剤を溶解させて得られる溶液に、金属M1を含む化合物及び金属M2を含む化合物を溶解した溶液を加えることで行うことができる。また、先に高分子顔料分散剤と還元剤とを混合しておき、この混合物を、金属M1を含む化合物及び金属M2を含む化合物を溶解した溶液に加える形態をとってもよい。なお、合金ナノ粒子含有溶液の製造に際し、金属M1を含む化合物及び金属M2を含む化合物と高分子顔料分散剤との混合液が濁っていてもよい。
【0190】
上記還元剤を添加する方法としては、析出する金属水酸化物類が2種の金属M1及びM2のうちM1のみを含むものである場合には、例えば、金属M2を含む化合物と高分子顔料分散剤と還元剤とを溶解させて得られる溶液に、金属M1を含む化合物を溶解した溶液を加えることで行うことができる。
【0191】
上記工程を行うことによって金属水酸化物類の析出、還元反応を進行させることにより、平均粒子径が約5nm〜100nmである合金ナノ粒子を含む溶液が得られる。上記工程を行った後の溶液は、上記合金ナノ粒子及び上述の高分子顔料分散剤を含むものであり、合金ナノ粒子含有溶液となる。上記合金ナノ粒子含有溶液とは、金属M1及びM2を含有する微粒子が溶媒中に分散しており、溶液として視認できるような状態にあるものを意味している。なお、上記合金ナノ粒子含有溶液の金属濃度は、TG−DTA等で測定して決定することができるが、測定を行わない場合には、仕込みに用いた配合量から計算される値を用いても構わない。
【0192】
このようにして得られた合金ナノ粒子含有溶液は、上記合金ナノ粒子及び上記高分子顔料分散剤のほかに、原料に由来する塩化物イオン等の雑イオン、還元で生じた塩や、場合により還元剤を含むものであり、これらの雑イオン、塩や還元剤は、合金ナノ粒子含有溶液の安定性に悪影響を及ぼすおそれがあるので、限外濾過により除去しておくことが望ましい。上記合金ナノ粒子含有溶液を、限外濾過することによって、合金ナノ粒子含有溶液中の雑イオン、塩やアミンを除去するだけでなく、更に高分子顔料分散剤の一部を除去する。
【0193】
上記限外濾過は、通常、分離対象となる物質の径が1nm〜5μmである。上記径を対象とすることにより、上記不要な雑イオン、塩や還元剤とともに、上記高分子顔料分散剤を除去するこができる。1nm未満であると、不要な成分が濾過膜を通過せず排除できないことがあり、5μmを超えると、合金ナノ粒子の多くが濾過膜を通過し、所望の合金ナノ粒子含有溶液が得られない場合がある。
【0194】
上記限外濾過方法は特に限定されないが、上述した第一実施形態の貴金属または銅のコロイド粒子溶液の製造に用いるものを使用できる。
【0195】
上記限外濾過処理により、合金ナノ粒子含有溶液から上記雑イオンや還元剤が除去される。更に、高分子顔料分散剤の一部が同時に除去されるため、合金ナノ粒子含有溶液における固形分中の合金ナノ粒子濃度を処理前に比べて高めることができる。また、上記限外濾過以外に、遠心分離によっても、上記雑イオンや還元剤の除去が可能である。この場合においても、合金ナノ粒子濃度を処理前に比べて高めることができる。
【0196】
上記限外濾過処理及び遠心分離以外に、デカンテーションにより無色透明の上澄み液を除き、更に水を加えて洗浄を行うことにより、上記雑イオンや還元剤の除去を行うこともできる。このようにして得られた油状物は、水等の反応に用いた溶媒を含んでいるので、水への溶解性が高く、揮発性の高いメタノール及びエタノールや、水と共沸しうるトルエンを加えた後、乾燥することにより、一旦、ゾル状の合金ナノ粒子及び高分子顔料分散剤をまず得る。次いで、これに有機溶媒を加えて溶解させることにより、合金ナノ粒子含有溶液を得ることができる。
【0197】
このようにして得られる本実施形態の複合金属コロイドまたは混合金属コロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料を用いて光輝性ベース塗膜は、乾燥膜厚を、0.05〜0.5μmで形成する。本実施形態の光輝性ベース塗料を用いて形成した光輝性ベース塗膜は、単一種の貴金属コロイド溶液から得られたものと比較すると、従来のプラズモン吸収に基づく発色に加え、部分的な光沢や透過色として、見る角度により色の変化が認められるなど、これまでになく、また、他の材料では得られない意匠性を有している。
【0198】
<第七実施形態>
[リン酸基含有モノマーを利用した塗膜形成性樹脂による光輝性ベース塗膜]
本実施形態は、上記の第一から第四実施形態および第六実施形態における光輝性ベース塗膜の形成において、光輝性ベース塗料に塗膜形成性樹脂としてリン酸基含有モノマーを利用した樹脂を用いた光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで上述の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成し、光輝性塗膜を得ることができる。また、好ましい下地塗膜としては、第五実施形態のものを用いる。具体的には、リン酸基含有モノマーとして、下記一般式(I)に示すようなものが挙げられる。
【化1】

上記式中、Xは水素原子若しくはメチル基、Yは炭素数2〜4のアルキレン基、nは3〜30の整数を示す。好ましくは、上記リン酸基含有モノマー(1)とその他のエチレン性不飽和モノマー(2)とを共重合して得られるリン酸基含有アクリル樹脂が用いられる。
【0199】
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、その数平均分子量が1000〜50000であるのが好ましく、より好ましくは2000〜20000である。分子量が1000未満では硬化性が低下し、また、50000を越えると粘度が高くなり、取り扱いが困難となる。また、酸価は15〜200mgKOH/gであるのが好ましく、より好ましくは30〜180mgKOH/gである。特に、酸価15〜200mgKOH/gのうち、リン酸基からのものが10〜150mgKOH/gであるのが好ましく、より好ましくは15〜100mgKOH/gであり、残りはカルボン酸基からのものが好ましい。酸価15mgKOH/g未満では分散性が悪く、また200mgKOH/gを越えると耐水性が低下することがある。また、リン酸基の酸価が150mgKOH/gを越えると耐水性が悪く、10未満では二次付着性の向上が認められない。
【0200】
一方、水酸基価は20〜200であるのが好ましく、より好ましくは30〜150である。水酸基価20未満では、硬化が不十分となることがあり、また200を越えると親水基が過多となり、耐水性の点で問題を生じ好ましくない。
【0201】
上記リン酸基含有アクリル樹脂に含有されるモノマーは、既知の用法で容易に合成することができる。例えば、(メタ)アクリル酸にアルキレンオキサイドを付加させポリアルキレングリコールモノエステルとし、次いでオキシ塩化リンと反応させリン酸をモノエステル化し、その後、生成物を加水分解することにより合成することができる。なお、オキシ塩化リンの替わりに、正リン酸、メタリン酸、無水リン酸、3塩化リン、5塩化リン等を用いた場合でも、常法により合成することができる。
【0202】
上記付加反応において、アルキレンオキサイドの使用量は、本質的には一般式(I)中のnに応じて化学量論量のnモルでよいが、例えば(メタ)アクリル酸1モルに対し、3〜60モルである。アルキレンオキサイドは、炭素数2〜4のものである。具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、および、ブチレンオキサイド等が挙げられる。触媒は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0203】
また、溶媒としてはn−メチルピロリドン等が挙げられる。反応温度は40〜200℃、反応時間は0.5〜5時間で行うことができる。上記付加反応の後、オキシ塩化リンのモノエステル化を行う。エステル化は常法でよく、例えば0〜100℃、0.5〜5時間で行うことができる。オキシ塩化リンの使用量は化学量論量でよいが、例えば上記の付加生成物1モルに対し1〜3モルである。その後、常法により加水分化してモノマー(1)を得る。
【0204】
上記モノマー(1)の具体例としては、例えばアシッドホスホオキシヘキサ(若しくはドデカ)(オキシプロピレン)モノメタクリレート等が挙げられる。また、その他のエチレン性不飽和モノマー(2)は、上記モノマー(1)以外のモノマーで、モノマー(1)と共重合し得るエチレン性モノマーであり、また得られた共重合体、即ちリン酸基含有アクリル性樹脂が上述の硬化剤により硬化し得るものである。そのようなモノマー(2)としては、酸基および水酸基が同一分子中に存在するモノマーから構成されものや、別々のモノマー種にそれぞれの基を含むモノマー混合物から構成されたものが挙げられる。
【0205】
例えば、酸基を有するエチレン性モノマーの酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。カルボキシル基を有するエチレン性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。スルホン酸基を有するエチレン性モノマーの例としてはt−ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。酸基を有するエチレン性モノマーの酸基の一部はカルボキシル基であるのが好ましい。
【0206】
次に、水酸基を有するエチレン性モノマーの例としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール等が挙げられる。
【0207】
更に、上記以外のエチレン性モノマーの例として、アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリルなど)、メタクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸トリデシルなど)、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、イタコン酸エステル(イタコン酸ジメチルなど)、マレイン酸エステル(マレイン酸ジメチルなど)、フマール酸エステル(フマール酸ジメチルなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0208】
上記モノマー(1)と(2)を通常の方法で共重合することによりリン酸基含有アクリル樹脂が得られる。例えば、各モノマー混合物を公知の重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル等)と混合し、重合可能な温度に加熱した溶剤を含むコルベン中へ滴下、熟成することにより共重合体を得ることができる。
【0209】
上記重合反応組成において、モノマー(2)の添加量は、65〜98重量%であるのが好ましい。65重量%未満だと耐水性が悪く、また98重量%を越えるとリン酸基の効果が現れない。また、重合条件は適宜選択されるが、例えば重合温度は80〜150℃、重合時間は1〜8時間である。
【0210】
本実施形態におけるリン酸基含有アクリル樹脂の添加量(固形分)は、塗膜形成性樹脂固形分100質量部に対して30〜100質量部であるのが好ましく、より好ましくは50〜100質量部の量で添加される。リン酸基含有アクリル樹脂の添加量が30質量部未満では、光輝性ベース塗膜の耐食性や耐水性、下層塗膜への密着性が低下するおそれがあり、100質量部を超えると、発色性に影響を及ぼすおそれがある。
【0211】
<第八実施形態>
[蒸着金属顔料を含有する光輝性ベース塗膜]
本実施形態は、上記の第一から第四実施形態、第六および第七実施形態における光輝性ベース塗膜を形成する光輝性ベース塗料中に、蒸着金属顔料をさらに含有するものである。上記蒸着金属顔料をさらに官有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、この光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで上述の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成し、光輝性塗膜を得ることができる。また、好ましい下地塗膜としては、第五実施形態のものを用いる。
【0212】
本実施形態で用いられる蒸着金属顔料は、ベースフィルム上に金属薄膜を蒸着させ、ベースフィルムを剥離した後、蒸着金属薄膜をフレーク状とすることにより得られる。上記蒸着金属顔料は、フレーク状のまま、または公知の方法により溶剤中に分散させて使用することができる。本実施形態における蒸着は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相法(CVD法)等による乾式めっき法を意味する。
【0213】
蒸着金属顔料に用いられる金属としては、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の貴金属;アルミニウム、インジウム、銅、チタン、ニッケル、スズ等の金属;アルミニウムチタン合金、ニッケル合金、クロム合金等の合金;インジウムスズ酸化物、酸化チタン等の金属酸化物等を例示できる。好ましくは、アルミニウムおよび/またはアルミニウムチタン合金が使用される。
【0214】
上記蒸着金属顔料は、例えば、配向ポリプロピレン、結晶性ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムをベースフィルムとして用い、その上に必要により剥離剤を塗布し、剥離剤の上に金属蒸着を行う。金属蒸着後、蒸着金属薄膜の酸化を防止するため、例えば蒸着面の上にトップコート剤を塗布することもできる。剥離剤およびトップコート剤としては、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、石油系樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0215】
上記蒸着金属薄膜を上記ベースフィルムから剥離し、粉砕処理することによりフレーク状の蒸着金属顔料を得ることができる。また、必要に応じてさらに分級することにより、粒度分布を特定範囲とすることができるが、平均厚みが0.01〜0.10μm、平均粒径が5〜30μmのものが好ましい。また、上記蒸着金属顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される粒径分布の50%値である。また上記平均粒子厚み(μm)は、〔4000/水面被覆面積(cm/g)〕式により求められた値であり、その測定方法は例えば「アルミニウムハンドブック」(昭和47年4月15日発行第9版、社団法人 軽金属協会;朝倉書店)第1243頁に記載されている。
【0216】
本実施形態の光輝性ベース塗料は、金属コロイド粒子溶液、および、蒸着金属顔料を含有する。この光輝性ベース塗料は、好ましくは、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液に、蒸着金属顔料を加えることにより得られる。
【0217】
本実施形態の光輝性ベース塗料において、上記金属コロイド粒子溶液中の金属固形分に対する、上記蒸着金属顔料中の金属固形分の質量比率は、0.5/100〜50/100である。上記蒸着金属顔料中の金属/上記金属コロイド粒子の金属が、金属固形分質量比で0.5/100未満の場合には、金属コロイド粒子溶液からなる塗膜の膜厚のバラツキに起因して発生する色相ムラを緩和できず、このため色相の不均一性が起こり易く、上記蒸着金属顔料中の金属/上記金属コロイド粒子の金属が、金属固形分質量比で50/100を超える場合には、金属粒子感を感じさせない金属感を得ることが難しい。上記金属コロイド粒子溶液中の金属固形分に対する、上記蒸着金属顔料中の金属固形分の質量比率は、好ましくは1/100〜40/100である。
【実施例】
【0218】
次に、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのないかぎり質量部を表す。
【0219】
<実施例1〜256、比較例1〜6>
[被塗基材の調製]
燐酸亜鉛処理剤(商品名:「サーフダインSD2000」、日本ペイント社製)を使用して、ダル鋼板(長さ300mm、幅100mmおよび厚さ0.8mm)を化成処理した後、下塗塗膜としてカチオン電着塗料(商品名:「パワートップU−50」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が25μmとなるように電着塗装した。次いで、160℃で30分間焼き付け、被塗基材1Aとした。
【0220】
クロメート処理剤(「アルサーフ1000」、日本ペイント社製)を使用して、脱脂したアルミニウム合金板(AC4C材、長さ300mm、幅100mmおよび厚さ1mm)を化成処理し、下塗塗膜としてアクリル樹脂系粉体型クリヤー塗料(商品名:「パウダックスA400クリヤー」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が70μmとなるように形成し、160℃で30分間焼き付け、これを被塗基材1Bとした。
【0221】
クロメート処理剤(「アルサーフ1000」、日本ペイント社製)を使用して、脱脂したアルミニウム合金板(AC4C材、長さ300mm、幅100mmおよび厚さ1mm)を化成処理し、下塗塗膜としてエポキシ樹脂系粉体型グレー塗料(商品名:「ビリューシアHB−2000グレー」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が50μmとなるように形成し、160℃で30分間焼き付け、これを被塗基材1Cとした。
【0222】
クロメート処理剤(「アルサーフ1000」、日本ペイント社製)を使用して、脱脂したアルミニウム合金板(AC4C材、長さ300mm、幅100mmおよび厚さ1mm)を化成処理し、下塗塗膜としてアクリル樹脂系粉体型ブラック塗料(商品名:「パウダックスA400ブラック」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が70μmとなるように形成し、160℃で30分間焼き付け、これを被塗基材1Dとした。
【0223】
脱脂したポリプロピレン板(自動車バンパー用部材、長さ300mm、幅100mmおよび厚さ5mm)を脱脂処理し、下塗塗膜としてアクリルアルキッドウレタン樹脂溶剤型グレー塗料(商品名:「RB−116プライマー」、日本ビー・ケミカル社製)を平均乾燥膜厚が15μmとなるように形成し、80℃で30分間焼き付け、被塗基材1Eとした。
【0224】
[中塗り塗料]
表2に示す組合せにて、以下の中塗り塗料(乾燥膜厚50μm)を塗装し、中塗り塗料2Aおよび2Bは140℃で20分間焼き付け、中塗り塗料2Cは80℃で20分間焼き付けた。
【0225】
2A:ポリエステル樹脂系溶剤型ブラック塗料(商品名:「オルガG−65ブラック」、日本ペイント社製、溶剤膨潤率2%、塗膜架橋密度2.5×10−3mol/cc)。
2B:アクリル樹脂系溶剤型ブラック塗料(商品名:「スーパーラックM90ブラック」、日本ペイント社製、溶剤膨潤率1.5%、塗膜架橋密度1.9×10−3mol/cc)。
2C・・・プラスチック用中塗り塗料(商品名:「R−301ブラック」、日本ビー・ケミカル社製、溶剤膨潤率1.7%、塗膜架橋密度2.3×10−3mol/cc)。
【0226】
[溶剤膨潤率の測定]
上記中塗り塗料をブリキ板上に静電塗装で塗布した後、140℃で30分間加熱して、膜厚35μmの中塗り塗膜を形成した。溶剤膨潤率は、中塗り塗膜をトルエン等の溶剤に含浸して膨張させた後、その重量変化を基に、上記数式1により算出した。
【0227】
[塗膜架橋密度の測定]
上記中塗り塗料をブリキ板上に静電塗装で塗布した後、140℃で30分間加熱して、膜厚35μmの中塗り塗膜を形成した。この中塗り塗膜について、微小振動を与えながら粘弾性を測定する動的粘弾性測定機(「バイブロンDDVII」、東洋ボールドウィン社製)を用いて、上記数式2により塗膜架橋密度(n)を求めた。
【0228】
[コロイド粒子溶液の製造]
〔コロイド粒子溶液A(銀)の製造〕
2リットルのコルベンに、高分子顔料分散剤として「ディスパービック190」(商品名:ビックケミー社製)を12g、および、イオン交換水420.5gを入れた。このコルベンをウォーターバスに入れ、「ディスパービック190」が溶解するまで、50℃で撹拌した。ここに、イオン交換水420.5gに溶解させた硝酸銀100gを撹拌しながら加えて、70℃で10分間撹拌した。次に、ジメチルアミノエタノール262gを加えたところ、液が一瞬で黒変し、液温が76℃まで上昇した。そのまま放置して液温が70℃まで下がったところで、この温度を保ちながら2時間撹拌を続け、黒っぽい黄色を呈する銀コロイドの水溶液が得られた。得られた反応液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、限外濾過モジュール「AHP1010」(商品名:分画分子量50000、使用膜本数400本、旭化成社製)、マグネットポンプ、下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないで、限外濾過装置とした。先の60℃の恒温室で18時間静置した反応液をステンレスカップに入れて、さらに2リットルのイオン交換水を加えてから、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。約40分後にモジュールからの濾液が2リットルになった時点で、ステンレスカップに2リットルのエタノールを加えた。その後、濾液の伝導度が300μS/cm以下になったことを確認し、母液の量が500mlになるまで濃縮を行った。続いて、母液を入れた500mlステンレスカップ、限外濾過モジュール「AHP0013」(商品名:分画分子量50000、使用膜本数100本、旭化成社製)、チューブポンプ、および、アスピレーターからなる限外濾過装置を組んだ。このステンレスカップに先に得られた母液を入れ、固形分濃度を高めるための濃縮を行った。母液が約100mlになった時点でポンプを停止して、濃縮を終了すると、固形分30%の銀コロイドのエタノール溶液が得られた。この溶液中の銀コロイド粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、「TG−DTA」(商品名:セイコーインストゥルメント製)を用いて、固形分中の銀の含有率を計測したところ、仕込みの93質量%に対して、96質量%であった。
【0229】
〔コロイド粒子溶液B(銀)の製造〕
40質量%の硝酸銀水溶液250.0gをコルベンにとり、アセトン176.6gで希釈した後、「ソルスパース24000」(商品名:ルーブリゾール社製)を11.2g溶解させた。「ソルスパース24000」が完全に溶解してから、ジメチルアミノエタノールを262.0g加えて、鮮やかで濃厚な銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を減圧下で加熱し、アセトンを除去した。「ソルスパース24000」は、水に不溶性なので、アセトン量の減少に伴い、ソルスパース24000に保護された銀コロイドが析出・沈殿した。上澄みの水層をデカンテーションで除去し、さらにイオン交換水で沈殿物を洗浄した後、完全に乾燥させて銀の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。得られた銀の固体ゾルを、エタノール230gに加えて撹拌し、固体ゾルを完全に溶解させると、濃厚な銀コロイドの固形分23%の、銀コロイドのエタノール溶液が得られた。この溶液中の銀コロイド粒子の平均粒子径は、19nmであった。また、「TG−DTA」測定の結果、固形分中の銀の含有率は、仕込みの85質量%に対して、88質量%であった。
【0230】
〔コロイド粒子溶液C(銅)の製造〕
コルベンに、硫酸鉄(II)7水和物98.44gと脱イオン水150.0gを加え、湯浴中で70℃に加熱して溶解させた。これに、「ソルスパース32550」(商品名:有効成分50%の酢酸ブチル溶液・ルーブリゾール社製)を1.00gとエタノール33.75gを加えて撹拌し、淡く青みを帯びた白色の混濁液を得た。別の容器に塩化銅(II)2水和物12.07質量部と2mol/l塩酸水溶液81.44質量部をコルベンに採り、撹拌し、塩化銅2水和物を溶解した。この銅(II)イオンを含んだ緑色水溶液を、コルベンに撹拌しながら添加し、湯浴を用いて70℃となるように加熱した。さらに別の容器に、ロンガリット(ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム2水和物)16.37gと脱イオン水16.5gを採り、50℃の湯浴中で撹拌しながら、溶解した。得られたロンガリット水溶液をコルベンに、撹拌しながら瞬時に加えた。液はすみやかに淡緑色となった。その後、黒赤色を帯び始めた。その結果、非極性高分子保護樹脂と銅コロイド粒子とからなる黒褐色油状物の析出が認められた。「TG−DTA」測定の結果、固形分中の銅の含有率は83.3質量%であった。
【0231】
〔コロイド粒子溶液D(金)の製造〕
「ディスパービック191」(商品名:ビックケミー社製)を13.8g、上記銀コロイド粒子溶液Aの硝酸銀100gを5質量%の塩化金酸エタノール溶液1350gとした以外は、上記銀コロイド粒子溶液Aの製造と同様にして、固形分20%の金コロイドのエタノール溶液を得た。この溶液中の金コロイド粒子の平均粒子径は18nmであった。「TG−DTA」測定の結果、固形分中の金の含有率は、仕込みの70質量%に対して、90質量%であった。
【0232】
〔複合金属コロイド粒子溶液E(エタノール系銀/パラジウム(97/3))の製造〕
コルベンに「ディスパービック190」を24.8g、脱イオン水400.0gを採り、撹拌して溶解させた。これに塩化パラジウム酸(HPdCl)水溶液(パラジウム含有量が15.22重量%・田中貴金属工業社製)7.83gを加えた。更に2−ジメチルアミノエタノール164.1gを加えてよく撹拌した。得られた混合水溶液を湯浴中で70℃となるように加熱した。
【0233】
上記コルベンとは異なる容器に硝酸銀(I)60.64gと脱イオン水150.0gを採った。これを50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銀を溶解した。上記コルベンに硝酸銀水溶液を撹拌しながら瞬時に加えた。液は一瞬にして灰色となった。その後黒味を帯びだした。液温が70℃に低下したところで、この温度を保持して4時間撹拌を続け、褐黒色の水系銀/パラジウム複合金属コロイド粒子溶液を得た。
【0234】
得られた反応液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、コロイド粒子溶液Aの製造と同様の限外濾過および濃縮を行い、濃縮を終了することにより、固形分30%の銀/パラジウム複合金属コロイド粒子のエタノール溶液が得られた。この溶液中の銀/パラジウム複合金属コロイド粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、「TG−DTA」測定の結果、得られたエタノール系銀/パラジウム複合金属コロイド粒子ペーストは、金属含有量が11.2重量%、「ディスパービック190」が1.6重量%、エタノールが87.2重量%であった。
【0235】
〔複合金属コロイド粒子溶液F(エタノール系銀/インジウム(95/5))の製造〕
コルベンに「ディスパービック190」を24.8g、脱イオン水200.0gを採り、撹拌して溶解させた。上記コルベンとは異なる容器に硝酸銀(I)59.39gと脱イオン水150.0gを採った。これを50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銀を溶解した。更に別個の容器に硝酸インジウム(III)3水和物6.14gと200.0gの脱イオン水を採り、50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸インジウム(III)3水和物を溶解した。得られた硝酸銀水溶液と硝酸インジウム水溶液をいずれも上記コルベンに撹拌しながら添加し、ディスパービック190、硝酸銀、硝酸インジウムの混合水溶液を得た。
【0236】
得られた混合水溶液を湯浴中で70℃となるように加熱した。70℃で10分間加熱した後、上記コルベンに2−ジメチルアミノエタノール163.6gを撹拌しながら瞬時に加えた。液は一瞬にして灰色となり液温は76℃に上昇した。その後黒味を帯びだした。液温が70℃に低下したところで、この温度を保持して4時間撹拌を続け、黒色の水系銀/インジウム複合金属コロイド粒子溶液を得た。
【0237】
得られた反応液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、コロイド粒子溶液Aの製造と同様の限外濾過および濃縮を行い、濃縮を終了することにより、銀/インジウム複合金属コロイド粒子のエタノール溶液が得られた。この溶液中の銀/インジウム複合金属コロイド粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、「TG−DTA」測定の結果、得られたエタノール系銀/インジウム複合ナノ粒子ペーストは、金属含有量が17.0重量%、「ディスパービック190」が2.5重量%、エタノールが80.5重量%であった。
【0238】
〔複合金属コロイド粒子溶液G(エタノール系銀/インジウム(97/3))の製造〕
コルベンに「ディスパービック190」を17.5g、脱イオン水200.0gを採り、撹拌して溶解させた。上記コルベンとは異なる容器に硝酸銀(I)60.64gと脱イオン水150.0gを採った。これを50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銀を溶解した。更に別個の容器に硝酸インジウム(III)3水和物3.68gと200.0gの脱イオン水を採り、50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸インジウム(III)3水和物を溶解した。得られた硝酸銀水溶液と硝酸インジウム水溶液をいずれも上記コルベンに撹拌しながら添加し、ディスパービック190、硝酸銀、硝酸インジウムの混合水溶液を得た。
【0239】
得られた混合水溶液を湯浴中で70℃となるように加熱した。70℃で10分間加熱した後、上記コルベンに2−ジメチルアミノエタノール163.6gを撹拌しながら瞬時に加えた。液は一瞬にして灰色となり液温は76℃に上昇した。その後黒味を帯びだした。液温が70℃に低下したところで、この温度を保持して4時間撹拌を続け、少し緑を帯びた黒灰色の水系銀/インジウム複合金属コロイド粒子溶液を得た。
【0240】
得られた反応液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、コロイド粒子溶液Aの製造と同様の限外濾過および濃縮を行い、濃縮を終了することにより、銀/インジウム複合金属コロイド粒子のエタノール溶液が得られた。この溶液中の銀/インジウム複合金属コロイド粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、「TG−DTA」測定の結果、得られたエタノール系銀/インジウム複合ナノ粒子ペーストは、金属含有量が11.0重量%、「ディスパービック」190が1.0重量%、エタノールが88.0重量%であった。
【0241】
〔複合金属コロイド粒子溶液H(メトキシプロパノール系銀/インジウム(99.5/0.5))の製造〕
コルベンに「ディスパービック190」を17.5g、脱イオン水200.0gを採り、撹拌して溶解させた。上記コルベンとは異なる容器に硝酸銀(I)62.2gと脱イオン水150.0gを採った。これを50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸銀を溶解した。更に別個の容器に硝酸インジウム(III)3水和物0.62gと200.0gの脱イオン水を採り、50℃の湯浴中で撹拌し、硝酸インジウム(III)3水和物を溶解した。得られた硝酸銀水溶液と硝酸インジウム水溶液をいずれも上記コルベンに撹拌しながら添加し、ディスパービック190、硝酸銀、硝酸インジウムの混合水溶液を得た。
【0242】
得られた混合水溶液を湯浴中で70℃となるように加熱した。70℃で10分間加熱した後、上記コルベンに2−ジメチルアミノエタノール163.6gを撹拌しながら瞬時に加えた。液は一瞬にして灰色となり液温は76℃に上昇した。その後黒味を帯びだした。液温が70℃に低下したところで、この温度を保持して4時間撹拌を続け、少し緑を帯びた黒灰色の水系銀/インジウム複合ナノ粒子ペースト液を得た。
【0243】
得られた反応液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、コロイド粒子溶液Aの製造と同様の限外濾過および濃縮を行い、濃縮を終了することにより、銀/インジウム複合ナノ粒子のメトキシプロパノール溶液が得られた。この溶液中の銀/インジウム複合ナノ粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、「TG−DTA」測定の結果、得られたメトキシプロパノール系銀/インジウム複合ナノ粒子ペーストは、金属含有量が11.0重量%、「ディスパービック190」が1.0重量%、エタノールが88.0重量%であった。
【0244】
〔複合金属コロイド粒子溶液I(コア:金/シェル:銀(1/8))の製造〕
(金コロイド溶液(i)の調製)
塩化金酸(HAuCl・4HO)27gを、エタノール230gを入れたコルベンにとり、撹拌して溶解した。さらに高分子顔料分散剤として、「ディスパービック191」(商品名:ビックケミー社製)を19gを加え、撹拌した。高分子顔料分散剤が溶解した後、液温が50℃になるまでウォーターバスを用いて加熱した。次に、撹拌を継続しながら、ジメチルアミノエタノール29gを瞬時に添加した。添加後、液温を50℃に保ちながら2時間撹拌を行い、鮮やかで濃厚な赤色を呈する金コロイドのエタノール溶液を得た。得られた金コロイドのエタノール溶液を限外濾過モジュール「AHP0013」を用いて、残留イオンを濾過で除き、得られた濾液にエタノールを添加してさらに濾過を行うといった工程を繰り返し行い、残留イオン成分の除去された、金コロイド粒子と高分子顔料分散剤とからなる固形分20質量%の金コロイドのエタノール溶液83gを得た。電子顕微鏡観察から得られた、この溶液中の金コロイド粒子の平均粒子径は、15nmであった。また、「TG−DTA」測定の結果、固形分中の金属含有率は70質量%であった。
【0245】
(複合金属コロイド粒子溶液I(金/銀)の製造の調製)
硝酸銀60gを水120gに溶かしてから、さらにエタノールを1666g加え、硝酸銀水−エタノール混合溶液を作った。この溶液を、上記で得た金コロイド溶液(i)44gに添加して撹拌した。ここにジメチルアミノエタノール158gを瞬時に添加し、そのまま室温で2時間撹拌を行い、オレンジ色の金/銀複合コロイド溶液を得た。
【0246】
〔複合金属コロイド粒子溶液J(コア:銀/シェル:金(1/8))の製造〕
(銀コロイド溶液(j)の調製)
硝酸銀50gを、水883gを入れたコルベンにとり、撹拌して溶解した。ここに、高分子顔料分散剤として、「ディスパービック190」119gを1N硝酸294gと水294gの混合溶媒に溶解したものを加え、撹拌した。「ディスパービック190」が溶解した後、液温が70℃になるまでウォーターバスを用いて加熱した。次に、撹拌を継続しながら、ジメチルアミノエタノール131gを瞬時に添加した。添加後、2時間撹拌を行い、濃厚な黄色を呈する銀コロイド水溶液を得た。これを上記金コロイド溶液(i)と同様にして限外濾過により後処理を行い、固形分30質量%の銀コロイド水溶液192gを得た。この溶液中の銀コロイド粒子の平均粒子径は、11nmであった。また、「TG−DTA」測定の結果、固形分中の金属含有率は55質量%であった。
【0247】
(複合金属コロイド粒子溶液J(銀/金)の製造の調製)
上記で得られた銀コロイド溶液(j)40gに対し、エタノールを1997g加えた。ここに、塩化金酸201gをエタノール999gに溶解させたもの、およびジメチルアミノエタノール217gをエタノール999gに溶解させたものを室温において、それぞれ0.2ml/分の速度で滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌を続け、さらに「ディスパービック191」97gを添加して、そのまま室温で1時間撹拌を続け、紫がかった赤色の銀/金複合コロイド溶液を得た。
【0248】
〔添加物質〕
添加物質として、下記の材料1〜6を適宜用いた。
1:パラジウム(試薬、粒状、キシダ化学社製)。
2:酸化銀(試薬、AgO、和光純薬社製)。
3:銅アセチルアセトナート錯体(試薬、Copper(II) acetylacetonate、同仁化学研究所製)。
4:インジウムアセチルアセトナート錯体(試薬、Indium(III) acetylacetonate、Aldrich社製)。
5:パラジウムアセチルアセトナート錯体(試薬、Palladium(II) acetylacetonate、Aldrich社製)。
6:平均厚みが20nm、平均粒径が9μmの蒸着アルミニウム顔料の酢酸エチル分散液。
【0249】
〔ビヒクル1の製造〕
アクリル樹脂A(スチレン/メチルメタクリレート/エチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、数平均分子量約20,000、水酸基価45、酸価15、固形分50質量%)と、メラミン樹脂(商品名:「ユーバン20SE」、三井化学(株)製、固形分60質量%)とを80:20の固形分質量比で配合してビヒクル1を得た。
【0250】
〔ビヒクル2の製造〕
(リン酸基含有アクリル樹脂の合成)
撹拌機、温度調整器、冷却管を備えたコルベンにエトキシプロパノール40重量部を仕込み、これにスチレン4重量部、n−ブチルアクリレート35.96重量部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92重量部、メタクリル酸7.67重量部、エトキシプロパノール20重量部にアシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート(ユニケミカル社製ホスマーPP)20重量部を溶解して溶液40重量部、およびアゾビスイソブチロニトリル1.7重量部からなるモノマー溶液121.7重量部を120℃で3時間で滴下した後、1時間更に撹拌を継続した。得られたものは酸価105mgKOH/g、リン酸基からの酸価50mgKOH/mg、水酸基価60、数平均分子量6000のリン酸基含有アクリル樹脂Bで、不揮発分が63%であった。
【0251】
(ビヒクル2の製造)
上記アクリル樹脂A(スチレン/メチルメタクリレート/エチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、数平均分子量約20,000、水酸基価45、酸価15、固形分50質量%)と上記リン酸基含有アクリル樹脂Bとを固形分比率で3:7の比率で混合してリン酸基含有アクリル樹脂Cを得た。、このリン酸基含有アクリル樹脂Cとメラミン樹脂(商品名:「ユーバン20SE」、三井化学社製、固形分60質量%)とを80:20の固形分質量比で配合してビヒクル2を得た。
【0252】
[光輝性ベース塗料の製造]
光輝性ベース塗料(乾燥膜厚が0.1μm)は、以下の塗料を使用した。
【0253】
[ビヒクル1を用いた(複合)コロイド粒子溶液含有の光輝性ベース塗料の製造]
上記で得た(複合)コロイド粒子溶液A〜J、必要により、上記で得たビヒクル1、添加物質、紫外線吸収剤、および、光安定剤を表1に示す条件で配合した。次いで、有機溶剤(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチルの質量比=70/15/10/5)とともに撹拌機により塗装適正粘度になるように撹拌混合し、光輝性ベース塗料1−1〜10−1、12−1〜22−1、24−1〜45−1および47−1を製造した。ただし、光輝性ベース塗料47−1は、比較例に用いた。なお、光輝性ベース塗料11、23および46は、ビヒクルを含んでいない。
【0254】
[ビヒクル2を用いた(複合)コロイド粒子溶液含有の光輝性ベース塗料の製造]
上記で得た(複合)コロイド粒子溶液A〜J、必要により、上記で得たビヒクル2、添加物質、紫外線吸収剤、および、光安定剤を表1に示す条件で配合した。次いで、有機溶剤(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチルの質量比=70/15/10/5)とともに撹拌機により塗装適正粘度になるように撹拌混合し、光輝性ベース塗料1−2〜10−2、12−2〜22−2、24−2〜45−2および47−2を製造した。ただし、光輝性ベース塗料47−2は、比較例に用いた。
【0255】
[クリヤー塗料]
クリヤー塗料は、以下の塗料を使用した。
4A・・・アクリル樹脂系溶剤型クリヤー塗料(商品名:「スーパーラックO−130クリヤー」、日本ペイント社製)/乾燥膜厚30μm。
4B・・・カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーのブレンドからなる溶剤型クリヤー塗料(商品名:「マックフローO−520クリヤー」、日本ペイント社製)/乾燥膜厚30μm。
4C・・・アクリル樹脂系粉体型クリヤー塗料(商品名:「パウダックスA−400」、日本ペイント社製)/乾燥膜厚100μm。
4D・・・2液型ウレタン系溶剤型クリヤー塗料(商品名:「naxスペリオクリヤー」、日本ペイント社製)/乾燥膜厚30μm。
4E・・・2液型ウレタン系溶剤型クリヤー塗料(商品名:「R−288クリヤー」、日本ビー・ケミカル社製)/乾燥膜厚30μm。
【0256】
[光輝性クリヤー塗料]
光輝性クリヤー塗料(乾燥膜厚30μm)は、以下の塗料を使用した。
5A・・・アクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/エチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、数平均分子量約20,000、水酸基価45、酸価15、固形分50質量%)と、メラミン樹脂(「ユーバン20SE」)とを80:20の固形分質量比で配合して得たビヒクルに、光輝材として銀めっきガラスフレーク顔料(商品名:「メタシャイン」、日本板硝子社製)をPWCで、3固形分質量%含有する光輝性クリヤー塗料。
5B・・・アクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/エチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、数平均分子量約20,000、水酸基価45、酸価15、固形分50質量%)と、メラミン樹脂(「ユーバン20SE」)とを80:20の固形分質量比で配合して得たビヒクルに、光輝材としてアルミニウムフレーク顔料(商品名:「アルミニウムペーストGX−50A」、旭化成工業社製)をPWCで、0.5固形分質量%含有する光輝性クリヤー塗料。
5C・・・上記クリヤー塗料4Dに、光輝材として銀めっきガラスフレーク顔料(「メタシャイン」)をPWCで、3固形分質量%含有する光輝性クリヤー塗料。
5D・・・上記クリヤー塗料4Eに、光輝材として銀めっきガラスフレーク顔料(「メタシャイン」)をPWCで、3固形分質量%含有する光輝性クリヤー塗料。
【0257】
[艶消しクリヤー塗料]
艶消しクリヤー塗料(乾燥膜厚30μm)は、以下の塗料を使用した。
6A・・・上記クリヤー塗料4Aに、樹脂粒子艶消し剤(商品名:「ラブコロール230F―20」、大日精化社製)をPWCで、30固形分質量%含有する艶消しクリヤー塗料。
6B・・・上記クリヤー塗料4Bに、樹脂粒子艶消し剤(「ラブコロール230F―20」)をPWCで、30固形分質量%含有する艶消しクリヤー塗料。
6C・・・上記クリヤー塗料4Aに、無機微粒子艶消し剤として(商品名:「サイリシア350」、富士サイリシア社製)をPWCで、10固形分質量%含有する艶消しクリヤー塗料。
6D・・・上記クリヤー塗料4Dに、樹脂粒子艶消し剤(「ラブコロール230F―20」)をPWCで、30固形分質量%含有する艶消しクリヤー塗料。
6E・・・上記クリヤー塗料4Eに、樹脂粒子艶消し剤(「ラブコロール230F―20」)をPWCで、30固形分質量%含有する艶消しクリヤー塗料。
【0258】
[カラークリヤー塗料]
カラークリヤー塗料(乾燥膜厚30μm)は、以下の塗料を使用した。
7A・・・上記クリヤー塗料4Aに、着色顔料としてフタロシアニンブルー(商品名:「シアニンブルーG314」、山陽色素社製)をPWCで、2.0質量%含有するカラークリヤー塗料。
7B・・・上記クリヤー塗料4Bに、着色顔料としてフタロシアニンブルー(「シアニンブルーG314」)をPWCで、2.0質量%含有するカラークリヤー塗料。
7C・・・上記型クリヤー塗料4Aに、着色顔料としてペリレンレッド(商品名:「パリオーゲンレッドL3920」、BASF社製)をPWCで、2.0質量%含有するカラークリヤー塗料。
7D・・・上記クリヤー塗料4Dに、着色顔料としてフタロシアニンブルー(「シアニンブルーG314」)をPWCで、2.0質量%含有するカラークリヤー塗料。
7E・・・上記クリヤー塗料4Eに、着色顔料としてフタロシアニンブルー(「シアニンブルーG314」)をPWCで、2.0質量%含有するカラークリヤー塗料。
【0259】
[複層塗膜の形成]
被塗基材の被塗面に、表2に示す各塗膜(中塗り塗膜、光輝性ベース塗膜[塗料番号(1)または塗料番号(2)]、クリヤー塗膜)を順次形成した。焼き付け、乾燥条件は、表2に示した通りに行った。また、得られた塗膜の金属感、光沢感、および、耐候性を、下記評価方法に従って評価した結果を表2に示した。
【0260】
〔評価方法〕
金属感(1):形成された複合塗膜の外観を目視で評価した。
3・・・金属粒子感を感じさせない金属感(めっき感)が得られ、さらに光輝性クリヤー塗膜またはカラークリヤー塗膜を透過した光線が光輝性ベース塗膜で反射され、この反射された光線により光輝感の増幅がなされた高金属感が得られた。
2・・・金属粒子感を感じさせない金属感が得られた。
1・・・金属粒子感を感じさせ、さらに、上記の光輝感の増幅がなされた高金属感が得られなかった。
【0261】
金属感(2)艶消し金属感:形成された複合塗膜の外観を目視で評価した。(艶消しクリヤー塗膜の効果確認)
3・・・金属粒子感を感じさせない艶消し金属感が顕著に得られた。
2・・・金属粒子感を感じさせない艶消し金属感が得られた。
1・・・金属粒子感を感じさせない艶消し金属感が得られなかった。
【0262】
金属感(3)複合金属感:形成された複合塗膜の外観を目視で評価した。
3・・・金属粒子感を感じさない複合金属または併用金属による異種色相を兼ね備えた高金属感が得られた。
2・・・金属粒子感を感じさせない金属感が得られた。
1・・・金属粒子感を感じさせ、さらに上記の光輝感の増幅がなされた高金属感が得られなかった。
【0263】
色相均一感:形成された複合塗膜からなる光輝性塗装物の外観を目視で評価した。
3・・・色相ムラが観察されなかった。
2・・・わずかに色相ムラが観察された。
1・・・色相ムラが観察された。
【0264】
光沢感(艶消しクリヤー塗膜を用いた塗膜を除く):形成された複合塗膜の鏡面反射光沢感を目視で評価した。
3・・・鏡のような鏡面反射光沢感を強く感じた。
2・・・鏡のような反射光沢感を感じた。
1・・・反射光沢感を感じなかった。
【0265】
塗膜性能:形成された塗膜を40℃の純水に240時間浸漬して、(1)2mm×1mmのゴバン目100個を作り、その表面にセロファン粘着テープを粘着し、急激に剥離した後の塗面に残ったゴバン目の数を記録し、(2)形成された塗膜中におけるコロイド金属の酸化程度を目視で評価した。
3・・・「(1)がAおよび(2)がA」。
2・・・「(1)がAおよび(2)がB」または「(1)がBおよび(2)がA」または(「(1)がBおよび(2)がB」。
1・・・「(1)がAおよび(2)がC」または「(1)がBおよび(2)がC」または(「(1)がCおよび(2)がA」または「(1)がCおよび(2)がB」または「(1)がCおよび(2)がC」)。
A・・・(1)塗面に残ったゴバン目の数100個/(2)コロイド金属の酸化が全く認められなかった。
B・・・(1)塗面に残ったゴバン目の数90〜99個/(2)コロイド金属の殆ど認められなかった。
C・・・(1)塗面に残ったゴバン目の数0〜89個/(2)コロイド金属の酸化が認められた。
【0266】
耐候性:形成された複合塗膜を、サンシャイン・ウェザオ・メーター(スガ試験機社製)により600時間経過後、変色度(ΔE)(基準:サンシャイン・ウェザオ・メーター試験前の複合塗膜)を色彩色差計(形式:CR−331、ミノルタ社製)を用いて測定した。
3・・・変色度:1未満。
2・・・変色度:1以上5未満。
1・・・変色度:5以上。
【0267】
【表1】

【0268】
【表2A】

【0269】
【表2B】

【0270】
【表2C】

【0271】
【表2D】

【0272】
【表2E】

【0273】
【表2F】

【0274】
【表2G】

【0275】
表2A〜表2Gの結果から明らかであるように、本実施例1〜256は、本発明の光輝性ベース塗料を用いた塗膜形成方法により塗膜を形成したものであり、良好な塗膜性能と耐候性が得られ、目的の意匠を呈する光輝性塗膜を得ることができた。一方、比較例1〜6は、目的の意匠を発現しない結果であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗基材に、貴金属または銅のコロイド粒子を含む貴金属または銅のコロイド粒子溶液を含有する光輝性ベース塗料により光輝性ベース塗膜を形成した後、前記光輝性ベース塗膜を加熱またはセッティングし、次いで以下の(A)から(F)いずれかの工程によりクリヤー塗膜を形成する光輝性塗膜形成方法。
(A)クリヤー塗料を塗装してトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(B)前記貴金属または銅のコロイド粒子と異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(C)前記貴金属または銅のコロイド粒子と異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、クリヤー塗料によるトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(D)艶消しクリヤー塗料を塗装して艶消しトップクリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(E)カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程;
(F)前記貴金属または銅のコロイド粒子と異なる光輝材を含有する光輝性クリヤー塗料を塗装して光輝性クリヤー塗膜を形成した後、カラークリヤー塗料を塗装してトップカラークリヤー塗膜を形成し、加熱する工程。
【請求項2】
前記貴金属または銅のコロイド粒子溶液の固形分に対する貴金属または銅の濃度を、83質量%以上99質量%未満とする請求項1記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項3】
前記貴金属または銅のコロイド粒子溶液を、貴金属または銅から選ばれる二種以上の金属のコロイド粒子を含むものとする請求項1または2記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項4】
前記光輝性ベース塗料が、貴金属、銅、ニッケル、ビスマス、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、スズ、および、チタンよりなる群から選ばれる少なくとも二種の金属により複合化されている金属コロイド粒子からなるコロイド粒子溶液を含有するものとする請求項1から3いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項5】
前記光輝性ベース塗料に、ニッケル、ビスマス、インジウム、コバルト、亜鉛、タングステン、クロム、鉄、モリブデン、タンタル、マンガン、スズ、チタン、および、アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属またはその金属化合物をさらに含有させる請求項1から3いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項6】
前記被塗基材を、溶剤膨潤率が0%より多く5%以下である下地塗膜が形成されたものとする請求項1から5いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項7】
前記下地塗膜の形成に用いられる下地塗料の塗膜架橋密度を、1.1×10−3mol/cc以上10×10−3mol/cc以下とすることにより、前記下地塗膜の溶剤膨潤率を0%より多く5%以下とする請求項6記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項8】
前記光輝性ベース塗料に、ビヒクルを含有させる請求項1から7いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項9】
前記ビヒクルを、塗膜形成性樹脂としてアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、および、ポリエーテル樹脂のうち少なくとも一種を含有し、且つ、必要によりアミノ樹脂、および、ブロックイソシアネート化合物のうち少なくとも一種の架橋剤を含有するものとする請求項8記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項10】
前記塗膜形成性樹脂を、リン酸基含有モノマーを反応させて得られたものとする請求項9記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項11】
前記金属コロイド粒子溶液の固形分含有量に対する前記ビヒクルの固形分含有量の比率を、1/100以上30/100以下とする請求項8から10いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項12】
前記光輝性ベース塗料に、アルミニウムおよび/またはアルミニウムチタン合金により得られる蒸着金属顔料を含有させる請求項1から11いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項13】
前記光輝性ベース塗料に、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含有させる請求項1から12いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項14】
前記被塗基材を、下記の(a)または(b)とする請求項1から13いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
(a)溶液型塗料を噴霧塗装もしくは電着塗装して、または、粉体塗料を噴霧塗装して形成された下塗塗膜を有する基材;
(b)溶液型塗料を噴霧塗装もしくは電着塗装して、または、粉体塗料を噴霧塗装して形成された下塗塗膜上に、溶液型塗料もしくは粉体塗料を噴霧塗装して形成された中塗塗膜を有する基材。
【請求項15】
前記被塗基材を、アルミニウムホイール、自動車車体、または、自動車用プラスチック部材とする請求項1から14いずれか記載の光輝性塗膜形成方法。
【請求項16】
請求項1から15いずれか記載の光輝性塗膜形成方法により形成された光輝性塗装物。

【公開番号】特開2009−241067(P2009−241067A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136609(P2009−136609)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【分割の表示】特願2009−98335(P2009−98335)の分割
【原出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】