説明

光輝性塗装物

【課題】 光輝性塗膜のキラキラと輝く光輝性(輝度感)を発現させるために、ガラスフレークの表面に金属を被覆したメタリック顔料を用いることが提案されている。
しかし、ガラスフレークの表面に金属を被覆した光輝性顔料を用いることで強い粒子感つまり、キラキラと輝く光輝性の効果は得られるものの、光学的効果(フリップ・フロップ効果)は発現しないため、真珠光沢を有する表面の質感が得られない。
【解決手段】 光輝性塗膜を形成した塗装物において、少なくとも金属を表面に被覆したフレーク顔料を含む塗膜の上層部に、少なくとも透明性を有する微粒子酸化チタンを含む塗膜を形成したことを特徴とする光輝性塗装物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子感(輝度感)と光学的効果(フリップ・フロップ効果)とが、いずれも強すぎることなく、真珠光沢を有する表面の質感を呈する光輝性塗装物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光輝性塗装物は、外観の意匠性を向上させる為に様々な発明がなされている。特に金属被覆ガラスフレークを粉砕した光輝性顔料を用いた光輝性塗膜は、輝度感が高いことより新規光輝性塗装物として様々な分野に使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開平3−239769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光輝性塗膜のキラキラと輝く光輝性(輝度感)を発現させるために、ガラスフレークの表面に金属を被覆したメタリック顔料を用いることが提案されている。
しかし、ガラスフレークの表面に金属を被覆した光輝性顔料を用いることで強い粒子感つまり、キラキラと輝く光輝性の効果は得られるものの、光学的効果(フリップ・フロップ効果)は発現しないため、真珠光沢を有する表面の質感が得られない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、光輝性塗膜を形成した塗装物において、少なくとも金属を表面に被覆したフレーク顔料を含む塗膜の上に、少なくとも透明性を有する微粒子酸化チタンを含む塗膜を形成したことを要旨とし、粒子感(キラキラと輝く光輝性の効果)と光学的効果(フリップ・フロップ効果)を兼ね備えた所謂小粒の夜行貝などを蒔き散らした螺鈿調の光輝性塗装物を得ることを目的とする。
【0006】
被塗物の材質は、塗装できる材料であればよく特に限定されない。具体的には、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金、鉄またはその合金、亜鉛またはその合金、マグネシウムまたはその合金、チタンまたはその合金、金またはその合金、銀またはその合金、白金またはその合金、スズまたはその合金、ニッケルまたはその合金などの金属材料、塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂材料、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー、シリコーン、スチレンブタジエン、ウレタン、ブタジエン、イソプレン、フッ素などの合成ゴムや天然ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂などの熱硬化樹脂材料、アルミナ、ジルコニア、陶磁器、ガラスなどのセラミック材料、木材、紙、石などの天然材料などを用いることができる。
また、これらの材料は1種または2種以上の混合物であってもよい。さらに、これらの材質には、予め湿式めっき法や乾式めっき法、塗装、印刷、化成処理やクロメート処理などの公知の方法により、ニッケルやクロムや黒クロムなどの金属めっき層、あるいは金や銀やパラジウムなどの貴金属めっき層、塗膜層、印刷層、接着層、酸化物層などの下地処理層を形成してもよい。
【0007】
フレーク顔料を含む塗膜を形成する塗料は、少なくとも表面に金属層を形成したフレーク顔料と液媒体を含んでいればよく、液媒体として有機溶剤を使用した有機溶剤系塗料や、水または水と有機溶剤を混合した溶液を使用した水系塗料であれば特に限定しない。また、表面に金属層を形成したフレーク顔料としては、ガラスフレークの表面をニッケルや銀などの金属で被覆したものが使用できる。特に銀を被覆したものは色調が淡い金色(シャンパンゴールド色)を呈することから好適に使用できる。
また、フレーク顔料の形状は特に限定しないが、鱗片状のものが入射光の乱反射によるフレーク顔料の表面に形成した金属層の光輝性の低下を抑制する上で特に好ましい。
【0008】
微粒子酸化チタンを含む塗膜を形成する塗料は、少なくとも透明性を有する微粒子酸化チタンと液媒体を含んでいればよく、液媒体として有機溶剤を使用した有機溶剤系塗料や、水または水と有機溶剤を混合した溶液を使用した水系塗料であれば特に限定しない。また、微粒子酸化チタンとしては、平均一次粒子径が、0.05μm以下で、一次粒子径の分布幅が±3σ(σ:標準偏差)であることが好ましい。
なお平均一次粒子径は、X線解析法やレーザー回折法などの機器分析、走査型や透過型などの電子顕微鏡による測定などで得られるが、本発明は、レーザー回折法(JIS Z 8825−1)で得られた一次粒子径分布(ヒストグラム)より算出した平均一次粒子径(JIS Z 8819−2)によって求めたものである。
また、微粒子酸化チタンの形状は、球状、棒状、針状、鱗片状、星形など特に限定されないが、球状でない場合の平均一次粒径は長軸の長さが上記の範囲内(平均一次粒子径が、0.05μm以下)にあることが好ましい。
また、微粒子酸化チタンを含む塗膜の厚さは、フレーク顔料の表面に形成した金属層の光輝性を阻害しなければ特に限定されないが、1μmを超えると徐々に光輝性が低下するため1μm以下が好ましい。特に、微粒子酸化チタンの平均一次粒子径が0.05μm以下の場合には、0.5μm以下が好ましい。
【0009】
前記フレーク顔料を含む塗膜を形成する塗料と微粒子酸化チタンを含む塗膜を形成する塗料にバインダー樹脂を添加することで、塗膜物性や被塗物などとの密着性を向上させることができる。使用できるバインダー樹脂は、一般に塗膜形成用として用いられる樹脂であえばよく特に限定されない。例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂であればよい。また添加剤として、ポリイソシアネートなどの硬化剤、ポリエチレンやポリプロピレンなどのワックス類、可塑剤、ポリエステルやポリカーボネートやポリウレタンなどの塗膜改質剤、分散剤などを適宜添加してもよい。
【0010】
また、微粒子酸化チタンを含む塗膜の上に、クリヤー塗膜やカラークリヤー塗膜などの透光性を有する塗膜や、金属層を極力薄くした透光性を有する箔や金属膜などを形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、表面に金属層を形成したフレーク顔料を含む塗膜の上層部に透明性を有する微粒子酸化チタンを含む塗膜を形成することにより、粒子感と光学的効果を兼ね備えた所謂小粒の夜行貝などを蒔き散らした螺鈿調の光輝性塗装物を得ることできる。
さらに、ガラスフレークの表面を銀で被覆してなる鱗片状の顔料と、平均一次粒子径0.05μm以下の微粒子酸化チタンを用いることにより、入射光が微粒子酸化チタンに当たった場合の光の散乱(青みの光)と、ガラスフレーク表面の銀に当たった正反射光(青みの抜けた緑及び赤みの光)となり、すなわち入射光が光輝性塗膜内部で乱反射光となり、見る角度によって色相が変化する光学的効果(フリップ・フロップ効果)をより有効的に発現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、表面に金属層を形成したフレーク顔料を含む塗膜の上層部に、透明性を有する微粒子酸化チタンを含む塗膜を形成したことを最も主要な特徴し、フレーク顔料の粒子感と微粒子酸化チタンの光学的効果を兼ね備えた真珠光沢を有する表面テクスチャーを得る目的を実現した。
【0013】
(実施例1)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属を表面に被覆したフレーク顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(下記組成物A)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:5μm)。次に平均一次粒子径0.02μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で50wt%になるように調整した塗料(下記組成物B)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:1μm)、光輝性塗装物を得た。
<光輝性アクリル樹脂塗料の配合(組成物A)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製)47.06wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 47.06wt%
RCFSX−5480PS(銀被覆ガラスフレーク顔料(鱗片状):日本板硝子(株)製)
5.88wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、光輝性アクリル樹脂塗料を得た。
<微粒子酸化チタン含有塗料の配合(組成物B)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 40wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 40wt%
TTO−51(A) (微粒子酸化チタン:石原産業(株)製) 20wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、微粒子酸化チタン含有塗料を得た。
【0014】
(実施例2)
実施例1における組成物Aを下記の組成物Cに代えた以外同様の光輝性塗装物を得た。
<光輝性アクリル樹脂塗料の配合(組成物C)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 47.06wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 47.06wt%
RCFSX−5480NS(ニッケル被覆ガラスフレーク顔料(鱗片状):日本板硝子(株)製) 5.88wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、光輝性アクリル樹脂塗料を得た。
【0015】
(実施例3)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属を表面に被覆したフレーク顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(実施例1記載の組成物A)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:5μm)。次に平均一次粒子径0.05μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で50wt%になるように調整した塗料(下記組成物D)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:1μm)、光輝性塗装物を得た。
<微粒子酸化チタン含有塗料の配合(組成物D)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 40wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 40wt%
TTO−55(A) (微粒子酸化チタン:石原産業(株)製) 20wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、微粒子酸化チタン含有塗料を得た。
【0016】
(実施例4)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属を表面に被覆したフレーク顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(実施例1記載の組成物A)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:5μm)。次に平均一次粒子径0.18μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で50wt%になるように調整した塗料(下記組成物E)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:1μm)、光輝性塗装物を得た。
<微粒子酸化チタン含有塗料の配合(組成物E)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 40wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 40wt%
JA−1 (微粒子酸化チタン:テイカ(株)製) 20wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、微粒子酸化チタン含有塗料を得た。
【0017】
(実施例5)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属を表面に被覆したフレーク顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(実施例1記載の組成物A)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:5μm)。次に平均一次粒子径0.18μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で50wt%になるように調整した塗料(下記組成物F)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:0.5μm)、光輝性塗装物を得た。
<微粒子酸化チタン含有塗料の配合(組成物F)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 8.70wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 86.95wt%
JA−1 (微粒子酸化チタン:テイカ(株)製) 4.35wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、微粒子酸化チタン含有塗料を得た。
【0018】
(実施例6)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属を表面に被覆したフレーク顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(実施例1記載の組成物A)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:5μm)。次に平均一次粒子径0.02μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で50wt%になるように調整した塗料(下記組成物G)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:0.5μm)、光輝性塗装物を得た。
<微粒子酸化チタン含有塗料の配合(組成物G)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 8.70wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 86.95wt%
TTO−51(A) (微粒子酸化チタン:石原産業(株)製) 4.35wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、微粒子酸化チタン含有塗料を得た。
【0019】
(実施例7)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し、公知の方法により黒クロムめっき層を形成した。次に熱硬化性アクリル塗料(マジクロン1000(ディープブラック)、関西ペイント(株)製を専用シンナーで2倍希釈)をスプレー塗装した後、160℃、10分の条件で乾燥し被塗物とした。次に金属を表面に被覆したフレーク顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(実施例1記載の組成物A)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:5μm)。次に平均一次粒子径0.02μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で100wt%になるように調整した塗料(下記組成物H)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:0.04μm)。次に熱硬化性アクリル塗料(マジクロン1000(クリヤー)、関西ペイント(株)製を専用シンナーで2倍希釈)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し、光輝性塗装物を得た。
<微粒子酸化チタン含有塗料の配合(組成物H)>
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 99wt%
TTO−51(A) (微粒子酸化チタン:石原産業(株)製) 1wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、微粒子酸化チタン含有塗料を得た。
【0020】
(実施例8)
実施例1における組成物Aを下記の組成物Iに代えた以外同様の光輝性塗装物を得た。
<光輝性アクリル樹脂塗料の配合(組成物I)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 47.06wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 47.06wt%
ES−6000(銀被覆ガラスフレーク顔料(球状):ポッターズ・バロティーニ(株)製)
5.88wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、光輝性アクリル樹脂塗料を得た。
【0021】
(実施例9)
実施例1における組成物Bを下記の組成物Jに代えた以外同様の光輝性塗装物を得た。
<光輝性アクリル樹脂塗料の配合(組成物J)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製) 40wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 40wt%
JR−600A (微粒子酸化チタン:テイカ(株)製) 20wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、光輝性アクリル樹脂塗料を得た。
【0022】
(比較例1)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属を表面に被覆したフレーク顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(実施例1記載の組成物A)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:5μm)、光輝性塗装物を得た。
【0023】
(比較例2)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し、公知の方法により黒クロムめっき層を形成した。次に熱硬化性アクリル塗料(マジクロン1000(ディープブラック)、関西ペイント(株)製を専用シンナーで2倍希釈)をスプレー塗装した後、160℃、10分の条件で乾燥し被塗物とした。次に平均一次粒子径0.02μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で50wt%になるように調整した塗料(実施例1記載の組成物B)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:1μm)、光輝性塗装物を得た。
【0024】
(比較例3)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属酸化物を表面に被覆したパール顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(下記組成物K)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:5μm)、光輝性塗装物を得た。
<光輝性アクリル樹脂塗料の配合(組成物K)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製)
47.06wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 47.06wt%
ME−100R(二酸化チタン被覆パール顔料:日本光研工業(株)製) 5.88wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、光輝性アクリル樹脂塗料を得た。
【0025】
(比較例4)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次に金属酸化物を表面に被覆したパール顔料を乾燥塗膜中で20wt%になるように調整した光輝性アクリル樹脂塗料(比較例3記載の組成物I)をスプレー塗装した後、160℃、5分の条件で乾燥した(乾燥塗膜の膜厚:5μm)。次に平均一次粒子径0.02μmの微粒子酸化チタンを乾燥塗膜中で50wt%になるように調整した塗料(実施例1記載の組成物B)をスプレー塗装した後、180℃、30分の条件で乾燥し(乾燥塗膜の膜厚:1μm)、光輝性塗装物を得た。
【0026】
<意匠性の評価> 粒子感と光学的効果
JIS K 5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて光輝性塗膜の意匠性を評価した。なお評価は、粒子感、光学的効果及び意匠性を下記段階とした。
◇粒子感(キラキラと輝く光輝性の効果)
5:粒子感がある
4:やや粒子感がある
3:普通の感覚
2:ぼけた感じがする
1:全く粒子感がない
◇光学的効果(見る角度による色相の変化)
5:光学的効果がある
4:やや光学的効果がある
3:普通の感覚
2:ぼけた感じがする
1:全く光学的効果がない(
◇意匠性
3:粒子感と光学的効果が調和している
2:粒子感が強く、光学的効果が弱い又はない
(キラキラと輝く光輝性の効果が強調されている)
1:粒子感が弱く又はなく、光学的効果が強い
【0027】
評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性塗膜を形成した塗装物において、少なくとも金属を表面に被覆したフレーク顔料を含む塗膜の上に、少なくとも透明性を有する微粒子酸化チタンを含む塗膜を形成したことを特徴とする光輝性塗装物。
【請求項2】
前記フレーク顔料が、ガラスフレークの表面を銀で被覆してなる鱗片状の顔料であることを特徴とする請求項1記載の光輝性塗装物。
【請求項3】
前記超微粒子酸化チタンの平均一次粒子径が、0.05μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光輝性塗装物。
【請求項4】
前記透明性を有する微粒子顔料を含む塗膜の厚さが、0.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光輝性塗装物。

【公開番号】特開2009−202128(P2009−202128A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49023(P2008−49023)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】