説明

光送信器、光通信システムおよび光送信方法

【課題】 光変調器のバイアス制御において、最適なバイアス電圧の収束点まで引き込む時間を早めることを目的としている。
【解決手段】 光送信器において、入力したデータ系列信号に基づいて駆動された変調信号を出力する変調信号駆動部と、印加されたバイアス電圧および前記変調信号駆動部から入力した前記変調信号に基づいて光を変調し、この変調した光信号を出力する光変調部と、前記変調信号駆動部から前記変調信号が前記光変調部に入力していない初期状態として前記バイアス電圧の制御を行った後に、前記変調信号駆動部から前記変調信号が前記光変調部に入力している通常状態として前記バイアス電圧の制御を行う制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信技術に関し、特に、光を変調する光変調器のバイアス制御を行う光送信器、光通信システムおよび光送信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、MZ(Mach-Zehnder)型光変調器の最適なバイアス電圧は、温度や経年変動によってドリフトしていくことが知られており、送信光信号の品質を保つために、最適なバイアス値に追従させる制御方式が検討されている。例えば、I/Q変調器の自動バイアス制御(ABC:Automatic Bias Control)を行う光送信器において、任意電気波形が入力された状態で、I−ch、Q−ch、Phaseの3つのバイアス電圧を順番に制御し、このとき、I−ch、Q−chのバイアス電圧に低速交番信号(Dither)を重畳し、モニタPD(Photo-Diode)電流から検出されるDitherの誤差信号が0となる収束点にフィードバック制御を行うものが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】吉田他、「任意光波形生成のための変調器自動バイアス制御に関する一検討」、電子情報通信学会総合大会B−10−56、2010年3月2日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示されている従来の光送信器においては、I/Q変調器に任意電気波形が入力された状態でABCを行うことから、検出される誤差信号が小さいため、最適なバイアス電圧に引き込んで安定するまでに長い時間がかかってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、光変調器のバイアス制御において、初期状態では変調信号を入力しないようにすることにより、最適なバイアス電圧の収束点まで引き込む時間を早めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る光送信器は、入力したデータ系列信号に基づいて駆動された変調信号を出力する変調信号駆動部と、印加されたバイアス電圧および前記変調信号駆動部から入力した前記変調信号に基づいて光を変調し、この変調した光信号を出力する光変調部と、前記変調信号駆動部から前記変調信号が前記光変調部に入力していない初期状態として前記バイアス電圧の制御を行った後に、この初期状態の制御結果に基づいて、前記変調信号駆動部から前記変調信号が前記光変調部に入力している通常状態として前記バイアス電圧の制御を行う制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、光送信器において、初期状態では変調信号を光変調部に入力しないようにすることにより、バイアス電圧の制御の収束点に引き込む時間を早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による光送信器を示す構成図
【図2】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図3】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図4】この発明の実施の形態2による光送信器を示す構成図
【図5】この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図
【図6】この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図
【図7】この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図
【図8】この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図
【図9】この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による光送信器を示す構成図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図1において、1は光源、2a、2bは変調信号駆動部、3a、3bはバイアス駆動部、4は電流電圧変換部、5a、5bは増幅部としての微小信号増幅部、6は制御部、7は同期検波部、8は変調信号駆動制御部、9a、9b、9cはバイアス印加部、10a、10bはモニタ部、11a、11bは低周波信号生成部としての微小変調信号生成部、12は平均変調度検出部、13a、13bは加算部、14は光変調部、15aは第一のMZ(Mach-Zehnder)型光変調部、15bは第二のMZ型光変調部、16は光位相調整部、17は光強度検出部、18a〜18gは光導波路である。
【0010】
図1において、光変調部14は、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15b、光位相調整部16、光強度検出部17、および光導波路18a〜18gで構成され、例えばLiNbO基板に形成され、それぞれ光学的に接続されている。すなわち、光変調部14において、光導波路18aは光導波路18bと光導波路18cに接続される。光導波路18bと光導波路18dの間には第一のMZ型光変調部15aが接続され、光導波路18cと光導波路18eの間には第二のMZ型光変調部15bが接続され、光導波路18eと光導波路18fの間には光位相調整部16が接続されている。光導波路18dと光導波路18fは光導波路18gに接続され、光強度検出部17も接続されている。
【0011】
図1において、光源1と光変調部14は、例えば光ファイバにより光学的に接続されている。
【0012】
図1において、制御部6は、同期検波部7、変調信号駆動制御部8、バイアス印加部9a、9b、9c、モニタ部10a、10b、微小変調信号生成部11a、11b、および平均変調度検出部12で構成され、それぞれ電気的に接続されている。また、図1において、制御部6、変調信号駆動部2a、2b、バイアス駆動部3a、3b、電流電圧変換部4、微小信号増幅部5a、5b、加算部13a、13b、および光強度検出部17は、それぞれ電気的に接続されている。
【0013】
また、光源1は、例えばInP系化合物半導体混晶を構成材料とする半導体レーザであり、1.5μm波長帯の連続波としてのレーザ光を発光して出力する。なお、光源1の構成は、これに限られるものではなく、例えば1.3μm波長帯や、パルス波や、固体レーザ等を用いるようにしても良く、要するに所望の光通信を実現するための光を発光するものを、この発明の実施の形態として適用可能である。
【0014】
また、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bは、例えばLiNbO結晶を構成材料とし、電界印加による屈折率変化、いわゆる電気光学効果を利用したMZ型光変調器である。MZ型光変調器は、2つのY分岐光導波路の間に、電極を形成した2本の光導波路を並列に接続して、いわゆるMZ干渉計として構成されている。MZ型光変調器は、MZ干渉計を通過する光に対して、変調電極に入力された変調信号およびバイアス電極に印加されたバイアス電圧による屈折率変化に起因する2本の光導波路の間の位相差に応じた光強度変化を与えて出力する。MZ型光変調器は、低チャープといった高い信号品質と高速性の両立が可能な光変調器である。
【0015】
また、光変調部14は、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bとしての2個のMZ型光変調器をMZ干渉計として並列に接続し、実数部であるIch(In-phase channel)光信号と虚数部であるQch(Quadrature-phase channel)光信号とを、π/2の搬送波位相差を与えて合波することで、複素光電界を生成する2並列MZ型光変調器(DP−MZM:Dual-Parallel Mach-Zehnder Modulator、I/Q変調器とも呼ばれる)である。光変調部14は、各MZ型光変調器に変調電極とバイアス電極を備えているとともに、各MZ型光変調器を並列に接続する光導波路の片方に光位相調整部16としての位相制御電極を備えている。
【0016】
なお、光変調部14、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bの構成は、これに限られるものではなく、例えばInP系化合物半導体混晶等を構成材料に用いるようにしても良く、また、要するに最適なバイアス電圧が温度や経年変動によってドリフトしていくような光変調器を、この発明の実施の形態として適用可能である。
【0017】
次に動作について説明する。図1において、データ系列信号としての入力データ系列信号Ich、Qchは、変調信号駆動部2a、2bに入力され、変調信号駆動制御部8からの制御信号に従い、第一のMZ型光変調部15a、15bにそれぞれ入力される。なお、入力データ系列信号Ich、Qchは、例えば、それぞれ伝送速度20 Gbit/sで1か0の2値符号をとる2ビット情報を4つの位相差に載せる差動4相位相偏移変調(DQPSK:Differential Quadrature Phase Shift Keying)を光変調部14で行うためのアナログ信号である。
【0018】
光強度検出部17からの光強度に応じた電流信号は電流電圧変換部4にて電圧信号に変換され、この出力された電圧信号は微小信号増幅部5a、5bに入力される。その増幅された電圧信号は制御部6内のモニタ部10a、10bを介して同期検波部7にそれぞれ入力される。同期検波部7は、入力された電圧信号から誤差信号を抽出し、この誤差信号が0となるようなバイアス電圧を演算により求める。バイアス印加部9a、9bは、モニタ部10aを介して同期検波部7で抽出された誤差信号に基づくバイアス電圧を出力する。バイアス印加部9cは、モニタ部10bを介して同期検波部7で抽出された誤差信号に基づくバイアス電圧を出力する。
【0019】
バイアス印加部9a、9bからの出力がバイアス駆動部3a、3bで駆動されたバイアス電圧と、微小変調信号生成部11a、11bからの低周波信号としての微小変調信号とが加算部13a、13bで加算され、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bにそれぞれ入力される。バイアス印加部9cからの出力がバイアス駆動部3cで駆動されたバイアス電圧は、光位相調整部16に入力される。
【0020】
また、光源1から波長1.55μmの光が出力され、この光出力が光変調部14に入力される。光変調部14に入力された光は光導波路18aを通り、光導波路18bと光導波路18cに同じ光レベルで分波される。それぞれ任意のアナログ信号である入力データ系列信号Ich、Qchが変調信号駆動部2a、2bで駆動され、MZ型光変調器を駆動できる十分な強度をもつ変調信号としてのIch、Qchアナログ変調信号が出力される。
【0021】
第一のMZ型光変調部15aは、加算部13aからの微小変調信号を含むバイアス電圧と変調信号駆動部2aからのIchアナログ変調信号とにより光導波路18bからの光をIch光信号として変調する。第二のMZ型光変調部15bは、加算部13bからの微小変調信号を含むバイアス電圧と変調信号駆動部2bからのQchアナログ変調信号とにより光導波路18cからの光をQch光信号として変調する。第二のMZ変調部15bで変調されたQch光信号は、光位相調整部16にてπ/2位相シフトされ、第一のMZ変調部からのIch光信号に対し直交関係になる。Ich、Qch光信号を直交関係に調整することで、DQPSK光送信器をはじめ、任意の駆動波形から直交関係にある複素光電界を生成する分散予等化光送信器としても適用できる。
【0022】
なお、分散予等化は、光伝送路の波長分散および/または偏波分散による波形歪みを送信側でデジタル信号処理により予め電気的に等化して伝送するものである。この予等化技術は、光学的な分散補償に比べてシステム構成を簡易にできる点や、従来の光学式分散補償デバイスを用いた受信側の分散補償に比べて等化量を増やせる点に優位性があり、40 Gbpsや100 Gbps以上というように、光伝送路における波形歪みの影響が大きくなる高速な光伝送技術の中でも、効果的な補償手段となる。
【0023】
光導波路18dからのIch光信号と光導波路18fからのQch光信号は光導波路18gで合波され、この光導波路18gからの光信号が光送信器の光出力となる。このときの光強度が、光強度検出部17内のモニタPD(Photo-Diode)で検出される。微小信号増幅部5aは、検出された光強度に含まれる微小変調信号生成部11a、11bからの低周波の微小変調信号による交流成分を増幅する。微小信号増幅部5bは、検出された光強度に含まれる微小変調信号生成部11a、11bからの低周波の微小変調信号による交流成分を増幅する。このとき、微小信号増幅部5aと微小信号増幅部5bの増幅度は異なる。
【0024】
図2は、この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図2(a)に、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bのバイアス制御において、バイアス電圧が最適点から0.01Vπ(Vπ:変調器の半波長電圧)ずれたときの平均駆動振幅比m、すなわち、変調度に対する検出誤差の関係の一例を示す。ここで、変調度は、アナログ信号の平均駆動振幅に対するMZ型光変調器の半波長電圧の比と定義する。
【0025】
図2(a)において、変調度0.5を境に検出誤差の符号が反転し、変調度が0もしくは1に近づくにつれて検出誤差が大きくなっている。このため、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bにおいては、変調度0.5を境としてバイアス制御の制御極性を反転してバイアス制御を行う。
【0026】
図2(b)に、光位相調整部16のバイアス制御において、バイアス電圧が最適点から0.01Vπずれたときの平均駆動振幅比m、すなわち、変調度に対する検出誤差の関係の一例を示す。このときに得られる誤差信号は第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bのバイアス制御のときに得られる誤差信号と異なり、極性が反転することはないが、変調度が1に近づくにつれて誤差信号は小さくなる。
【0027】
ここで、図2(a)、(b)に示すように、第一のMZ型光変調部15aおよび第二のMZ型光変調部15bのバイアス制御と光位相調整部16のバイアス制御とでは最適点からのバイアスずれが同じであっても、得られる誤差信号の誤差量が大きく異なり、この例では光位相調整部16のバイアス制御では第一のMZ型光変調部15aおよび第二のMZ型光変調部15bのバイアス制御の1/30程度となっている。
【0028】
このように、同じバイアスずれ量でもバイアス制御時に得られる誤差信号は、第一のMZ型光変調部15aおよび第二のMZ型光変調部15bでは大きいが、光位相調整部16では小さい。そのため、第一のMZ型光変調部15aおよび第二のMZ型光変調部15bのバイアス制御には微小信号増幅部5aを用い、光位相調整部16のバイアス制御には、微小信号増幅部5aに比べて増幅度が高い微小信号増幅部5bを用いる。
【0029】
また、図2(a)、(b)に示すように、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15b、および光位相調整部16において、同じバイアスずれ量でもバイアス制御時に得られる誤差信号は、平均駆動振幅比m、すなわち、変調度が0.5以下で小さいほど大きくなり、変調度が0、つまり、無変調のときに最大値をとる。従って、アナログ変調信号Ich、Qchを第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15bに入力しないで無変調の状態にすることにより、光変調器14の光出力から検出される誤差信号を大きくすることができ、これにより、第一のMZ型光変調部15a、第二のMZ型光変調部15b、および光位相調整部16のバイアス制御において、収束点まで引き込む時間を早めることができるという効果を奏する。特に、誤差信号が小さい光位相調整部16のバイアス制御において、その効果が高い。
【0030】
また、図1において、制御部6内での処理はデジタル信号処理のため、モニタ部10a、10bは、ADC(Analog-to-Digital Converter)を用いて、入力された電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してモニタする。同様に、バイアス印加部9a、9b、9cは、DAC(Digital-to-Analog Converter)を用いてデジタル信号からアナログ信号に変換したバイアス電圧を出力する。同期検波部7は、第一のMZ光変調部15a、第二のMZ型光変調部15b、光位相調整部16に対する各バイアスの制御毎に時系列で制御を行う。その手順については後で説明する。
【0031】
第一のMZ型光変調部15aのバイアス制御において、微小変調信号生成部11aは極性が反転する低周波の微小変調信号を出力する。このときの誤差信号をe=I(H,0)−I(L,0)と定義する。I(D,D)は光強度検出部17でのモニタPD電流を示し、Dは第一のMZ型光変調部15aの低周波の微小変調信号を示し、Dは第二のMZ型光変調部15bの低周波の微小変調信号を示す。Hは低周波の微小変調信号が正極性を示し、Lは負極性を示し、0は低周波の微小変調信号がないことを示す。
【0032】
この第一のMZ型光変調部15aのバイアス制御ではeが0となるようにフィードバック制御を行う。この0となる収束点には、MZ型光変調器からの光が最小レベルとなる点であるNull点と、MZ型光変調器からの光が最大レベルとなる点であるPeak点とがある。このため、平均変調度検出部12で入力データ系列信号Ichの変調度が0.5以上と検出されたときには、Null点に制御がかかるように制御の極性が同期検波部7に通知され、0.5以下と検出されたときには、0.5以上のときとは制御の極性を反転させるよう同期検波部7に通知され、Null点に制御を収束させる。
【0033】
同様に、第二のMZ型変調部15bのバイアス制御でも、誤差信号をe=I(0,H)−I(0,L)と定義する。このときもeが0となるようにフィードバック制御を行う。微小変調信号生成部11bの低周波の周波数は微小変調信号生成部11aの低周波の周波数の整数倍、例えば2倍とする。これは、これらの低周波の微小変調信号を光位相調整部16のバイアス制御にも用いるためである。なお、これらの低周波信号としての微小変調信号の周波数は、変調信号としてのIch、Qchアナログ変調信号の周波数よりも低い。平均変調度検出部12で変調度が0.5以上か0.5以下を検出し、制御の極性を反転させる動作は同様である。
【0034】
光位相調整部16のバイアス制御では、微小変調信号生成部11aおよび微小変調信号生成部11bは低周波の微小変調信号を同時に出力する。低周波の周波数は上述のバイアス制御の周波数と同じである。このときの誤差信号をe=I(H,H)−I(H,L)−[I(L,H)−I(L,L)]と定義する。この制御バイアスではeが0となるようにフィードバック制御を行う。この0とする収束点はIch光信号とQch光信号との光位相差がπ/2となる点か−π/2となる点のどちらかである。このどちらに収束させても良く、制御の極性を反転させることで切り替えることができる。
【0035】
次に、この光送信器のバイアス制御手順を詳細に説明する。図3は、この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図であり、バイアス制御手順を示すフローチャートである。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図3において、光源1が立ち上がり正常な光レベルが光変調部14に入力されるようになった後、制御部6は、バイアス制御を開始する。なお、バイアス制御の立ち上げ前には、収束点が全く分からない。
【0036】
まず、初期引き込み状態として、変調信号駆動制御部8からの制御信号により駆動利得を0とすることで変調信号駆動部2a、2bをOFFさせ、Ich、Qchアナログ変調信号が光変調部14に入力しないようにし、これにより、光変調部14は無変調の状態となる(ステップS1)。
【0037】
次に、微小変調信号生成部11aをONさせ、第一のMZ型変調部15aに印加されるバイアス電圧に低周波の微小変調信号を重畳し、上述のように、第一のMZ型変調部15aのバイアス制御を行う(ステップS2)。これをIchバイアス制御と呼ぶ。一定時間経過した後、次の第二のMZ型変調部15bのバイアス制御に移行する。
【0038】
すなわち、微小変調信号生成部11aをOFFさせ、微小変調信号生成部11bをONさせ、第二のMZ型変調部15bに印加されるバイアス電圧に低周波の微小変調信号を重畳し、上述のように、第二のMZ型変調部15bのバイアス制御を行う(ステップS3)。これをQchバイアス制御と呼ぶ。同様に、一定時間経過した後、次の光位相変調部16のバイアス制御に移行する。
【0039】
すなわち、微小変調信号生成部11aをONさせることで、微小変調信号生成部11bと同時に低周波の微小変調信号を各バイアス電圧に重畳し、上述のように、光位相変調部16のバイアス制御を行う(ステップS4)。これをPchバイアス制御と呼ぶ。
【0040】
一定時間経過後に、Ich、Qch、Pchの全てのバイアスがターゲットに収束したか否かの収束判定を行う(ステップS5)。このときの収束判定の条件は、例えば、Ichバイアス制御について、バイアス印加部9aの出力値が一定の変動幅に収まった場合、もしくは、誤差信号eが0に近づき一定の範囲内に収まった場合などとする。収束していなければ(ステップS5のNo)、再びIchバイアス制御に戻る(ステップS2)。収束していれば(ステップS5のYes)、次の通常状態に移行する。
【0041】
通常状態では、変調信号駆動制御部8からの制御信号により駆動利得を設定することで変調信号駆動部2a、2bをONさせ、Ich、Qchアナログ変調信号が第一のMZ型変調部15a、第二のMZ型変調部15bにそれぞれ入力するようにし、これにより、光変調部14は変調の状態となる(ステップS6)。このとき、変調信号駆動制御部8により、平均変調度検出部12で検出された変調度に基づいて、予め設定した変調度になるように調整する。上述のように、制御の極性が反転してしまう場合があることから、扱う任意の信号に応じて光変調部14における変調度が0.5をまたがないように設定する。
【0042】
このように、任意の変調信号を変調電極に入力した変調時に、無変調時と同様に、Ichバイアス制御(ステップS7)、Qchバイアス制御(ステップS8)、Pchバイアス制御(ステップS9)を順番に繰り返す。これにより、光変調部14の各バイアス電圧を常に最適に制御することができる。
【0043】
以上の光送信器の構成と手順によって、誤差信号が最も大きく得られる無変調の条件で初期の引き込み制御が行えることになるので、光送信器を起動してからバイアス制御の収束までの時間が従来方式より短く済む。
【0044】
特に、この光送信器を分散予等化光送信器として用いる場合に、装置の設置の際には分散予等化量を探索して最適予等化量を調整するため、分散予等化量を設定する都度に行うバイアス調整時間が短縮されることとなり、大幅な時間短縮効果が期待される。
【0045】
以上のように、この発明の実施の形態1による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としての光変調部14のIch、Qch、Pchバイアス制御において、初期引き込み状態として、Ich、Qchアナログ変調信号が光変調部14に入力しない無変調時に、バイアス電圧を順番に制御するようにしている。これにより、光変調部14の光出力から検出される誤差信号を大きくすることで、最適なバイアス電圧の収束点まで引き込む時間を早めることができるという作用効果を奏する。
【0046】
なお、上述のように、この発明の実施の形態1による光送信器においては、制御部6はデジタル信号処理回路として説明したが、制御機能については、光送信器に設けたマイクロコンピュータ等に制御方法を実行させるコンピュータプログラムを用いてソフトウエア処理により実現するようにしても良い。
【0047】
また、この発明の実施の形態1による光送信器から送信された光信号を光ファイバを伝送させ、光受信器で受信させる光通信システムに適用するようにしても良い。また、この発明の実施の形態1による光送信器を2台以上設け、2台以上の光送信器から送信された光信号を波長多重して光ファイバを伝送させ、受信側で波長分離させて波長ごとに2台以上の光受信器で受信させるWDM(Wavelength Division Multiplexing)光通信システムに適用するようにしても良い。
【0048】
実施の形態2.
上述のように、この発明の実施の形態1による光送信器は、変調信号が光変調部に入力していない初期状態として、光変調部の出力モニタの低周波信号により、初期引き込み状態としてバイアス電圧の制御を行うようにしたものであるが、この発明の実施の形態2による光送信器は、変調信号が光変調部に入力していない初期状態として、光変調部の出力モニタの平均電圧により、初期値探索状態としてバイアス電圧の初期値を探索して求めるようにしたものである。なお、初期値探索状態によるバイアス電圧の初期値から始めて、変調信号が光変調部に入力している通常状態としてバイアス電圧の制御を行うようにしても良いし、また、実施の形態1の変形例として、初期値探索状態によるバイアス電圧の初期値から始めて、初期引き込み状態としてバイアス電圧の制御を行うようにしても良い。
【0049】
図4は、この発明の実施の形態2による光送信器を示す構成図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図4において、第二のモニタ部19と初期値探索部20を制御部6内に追加するようにした構成を除き、図1に示した実施の形態1による光送信器と同様の構成であり、その同様の構成と、それによる同様の動作については説明を省略する。なお、第二のモニタ部19と初期値探索部20は、制御部6外に追加するように構成しても良い。また、実施の形態1および図1に示したモニタ部10a、10bは、第二のモニタ部19と明確に区別するため、実施の形態2および図4では、第一のモニタ部10a、10bと呼ぶことにするが、構成と動作は同様のものである。
【0050】
次に動作について説明する。第二のモニタ部19は、電流電圧変換部4から出力される電圧信号の平均値を、ADCを用いてアナログ信号からデジタル信号に変換してモニタする。なお、第一のモニタ部10a、10bは、電流電圧変換部4から出力され微小信号増幅部5a、5bで増幅された電圧信号に含まれる低周波信号としての低周波の微小変調信号をモニタするのに対し、第二のモニタ部19は電圧信号の平均値をモニタする点で異なる。初期値探索部20は、後述するように、第二のモニタ部19からの電圧信号の平均値により、Ich、Qchバイアス電圧の初期値を探索して求め、バイアス印加部9a、9bにそれぞれ出力する。
【0051】
次に、この光送信器のバイアス制御手順を詳細に説明する。図5は、この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図であり、バイアス制御手順を示すフローチャートである。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図5において、光源1が立ち上がり正常な光レベルが光変調部14に入力されるようになった後、制御部6は、バイアス制御を開始する。
【0052】
まず、初期状態としての初期値探索状態として、変調信号駆動制御部8からの制御信号により駆動利得を0とすることで変調信号駆動部2a、2bをOFFさせ、Ich、Qchアナログ変調信号が光変調部14に入力しないようにし、さらに、微小変調信号生成部11a、11bをOFFさせ、低周波の微小変調信号が光変調部14に入力しないようにし、これにより、光変調部14は完全に無変調の状態となる(ステップS11)。
【0053】
次に、光変調部14のCW(Continuous Wave)光出力レベルをモニタするため、第二のモニタ部19は、電流電圧変換部4から出力される電圧信号の平均値をモニタする。初期値探索部20は、初期値探索を開始し、第二のモニタ部19で光変調部14のCW光出力をモニタしながら、Ich、Qch、Pchバイアスを各々±Vπの範囲で変動させるようにバイアス電圧の制御を行う(ステップS12)。そして、初期値探索部20は、Pchバイアスによらず、光変調部14のCW光出力が最も消光するIch、Qchバイアスの組合せを探索する(ステップS13)。これにより、Ich、Qchバイアスの探索結果は、制御目標である光変調器の消光カーブのNull点になる。
【0054】
次に、BOL(Begging of Life)条件を満足しているか否かを判定する(ステップS14)。BOL条件とは、バイアス端子の最大駆動電圧から、経年劣化によるバイアス変動分を差し引いた駆動電圧範囲を意味している。2並列MZ変調器である光変調部14には、LiNbOを用いており、経年劣化によるバイアス変動分を考慮したうえで、初期に与えるバイアス値を定めることが望ましい。Ich、Qchバイアスの探索結果がBOL条件を満足していると判定したとき(ステップS14のYes)、初期値探索を終了し、Ich、Qchバイアスの探索結果を通常状態としてのバイアス電圧の制御におけるバイアス電圧の初期値に設定する(ステップS15)。
【0055】
このような初期値探索と初期値のBOL条件判定を行うことで、温度や経年劣化を考慮に入れた場合でも、Ich、Qchバイアスを再現性良く求めることができ、運用中のリセット動作やCOLD START、HOT STARTといった動作環境条件下においても、安定した起動動作を実現できる。
【0056】
Ich、Qchバイアスの探索結果がBOL条件を満足していないと判定したとき、再度、ステップS12の初期値探索に戻る(ステップS14のNo)。
【0057】
初期値探索を終了した後、通常状態としてのバイアス電圧の制御動作は、実施の形態1で説明したステップS6〜S9と同様であり、説明を省略する。
【0058】
以上の光送信器の構成と手順によって、通常状態の制御動作を始める前に、予め初期値を探索してから制御を始めることで、最適なバイアス電圧の収束点に引き込むまでの制御時間を短縮できるとともに、通常状態のバイアス電圧の制御範囲を狭めることができる。制御範囲を狭められれば、制御目標に対するバイアス設定精度を高めることができ、制御誤差を最小限に抑えることができる。
【0059】
特に、この光送信器を分散予等化光送信器として用いる場合に、装置の設置の際には分散予等化量を探索して最適予等化量を調整するため、分散予等化量を設定する都度に行うバイアス調整時間が短縮されることとなり、大幅な時間短縮効果が期待される。さらに、分散予等化光送信器としての光性能の劣化を最小限に抑えるためには、高いバイアス制御精度が求められ、バイアス精度を高める上でも、本実施の形態2の制御方法は有効な手法になる。
【0060】
次に、第二のモニタ部19と初期値探索部20を含む制御部6の動作を詳細に説明する。図6は、この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図であり、光変調部14の光出力がCW状態であるとき、Pchバイアスをπ/2±πの範囲で変動させた場合の電流電圧変換部4の平均最大出力電圧(図6では、Phase π/2±π変動時の電流電圧変換部の平均最大出力電圧といい、その単位はV)と、Ichバイアスの制御目標からのずれ量(以下、Ichバイアスずれといい、その単位はVπ)との関係を示すものである。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図6において、Ich、Qch、Pchの3つのバイアスに関して、各バイアスが±Vπの範囲で任意のバイアスの組合せまで考えた場合、電流電圧変換部4の平均最大出力電圧の範囲は、太い矢印で示すように、0〜30Vの範囲になる。
【0061】
一方、図6において、予めIch、Qchバイアスが制御目標になるバイアス電圧値を初期値に設定して制御を始めた場合、制御範囲は、通常状態の通常運用時に必要な最小限の範囲となり、丸印で示す制御目標からIchバイアスずれにして±0.3Vπの範囲内であり、細い矢印で示すように、電流電圧変換部4の平均最大出力電圧にして5V以下に抑えられる。このように、制御範囲を狭めることで、制御目標に対するバイアス設定精度を高めることができるため、予等化光送信器などの高いバイアス制御精度が求められる場合に有効な手法になる。また、制御範囲を狭めることで、電流電圧変換部4、第一のモニタ部10a、10b、第二のモニタ部19を構成する回路の低電圧動作も可能になり、低電力動作に有利である。
【0062】
図7は、この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図であり、通常状態の制御で用いる第一のモニタ部10aで検出した微小変調信号(以下、第一のモニタ部で検出した微小変調信号といい、その単位は任意単位)と、3通りのQchバイアスに対するIchバイアスずれとの関係を示すものである。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。また、Pchバイアスは同位相条件(図7では、Phaseバイアスは同位相条件という)である。図7において、丸印で示す制御目標は、第一のモニタ部で検出した微小変調信号とIchバイアスずれがともにゼロになる点である。しかし、丸印を通らない2本の曲線で示すように、Qchバイアスが制御目標であるNull点からずれると、Ichバイアスにおいて第一のモニタ部で検出した微小変調信号がゼロになる点が制御目標からずれることが分かる。
【0063】
これは、2並列MZ型光変調器において、同一の光強度検出部17を用いて、Ich、Qch、Pchの異なる3つのバイアスを制御する場合、各バイアス制御に用いるバイアスと微小変調信号との関係が、他のバイアスの影響を受けやすいことを意味している。従来の制御回路では、任意のバイアスの組合せで制御動作が開始した場合においても、制御目標に収束動作できるように、各バイアスの制御範囲を±Vπ以上に広く設定していた。そのため、制御目標に対する設定誤差が大きくなり、制御精度を高めるには限界があった。これに対し、本実施の形態2の制御部6においては、Ich、Qchバイアスについて予め制御目標を探索し、その探索結果を初期値として制御を始めるため、他のバイアスの影響を受けにくく、制御範囲を狭められ、高い制御精度で制御動作を実現することができる。
【0064】
また、図8は、この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図であり、バイアス制御手順を示すフローチャートである。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。さらに確実な制御動作を実現するうえで、図3と図5を組み合わせた図8にバイアス制御手順を示すフローチャートによる制御方法も有効な手法である。初期値探索状態では、光信号の光強度の平均値を用いてIch、Qchバイアスの制御目標が得られるが、Pchバイアスに関しては、微小変調信号を用いて制御目標であるπ/2バイアスに追い込む必要がある。図2(b)に示すとおり、最大の検出誤差が得られる平均駆動振幅比はゼロであり、変調信号が光変調部に入力していない初期状態が望ましい。従って、初期値探索状態の後に、通常状態の制御動作を行う前に、初期状態としての初期引き込み状態の制御動作を挿入することで、短時間で確実にPchバイアスを追い込むことができる。
【0065】
すなわち、図8において、ステップS11〜S15において、初期値探索状態でIch、Qchバイアスの制御目標を求め、ステップS1〜S5において、初期引き込み状態でPchバイアスの制御目標への引き込みを行い、Ich、Qch、Pchバイアスの全てのバイアス電圧値を制御目標に設定したうえで、ステップS6〜S9において、通常状態の制御動作を実行する。これにより、通常状態の制御動作としては、初期探索状態と初期引込み状態がない場合に比べて、短時間で確実に高い精度でバイアス電圧を制御可能である。
【0066】
また、図9は、この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図であり、変調損失劣化分と変調度(平均駆動振幅比)との関係を示すものである。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図9において、第二のモニタ部19でモニタした平均出力電圧は、図9の縦軸に示す変調損失劣化分と等価な値であるため、この平均出力電圧を利用すると、図9の横軸に示す平均駆動振幅比となる変調度を算出可能である。従って、第二のモニタ部19は、平均変調度検出部12の代わりに、変調度検出に使うようにしても良い。
【0067】
以上のように、この発明の実施の形態2による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としての光変調部14のIch、Qch、Pchバイアス制御において、初期値探索状態として、Ich、Qchアナログ変調信号および低周波の微小変調信号が光変調部14に入力しない完全な無変調時に、光変調部14が出力した光強度の平均値に基づいてIch、Qchバイアス制御の初期値を探索して求めるようにしている。これにより、最適なバイアス電圧の収束点まで引き込む時間を早めることができるとともに、通常状態のバイアス電圧の制御範囲を狭めることができ、バイアス電圧の設定精度を高めることができるという作用効果を奏する。また、初期値探索状態の後に、通常状態の制御動作を行う前に、初期引き込み状態の制御動作を挿入するようにしても良い。これにより、短時間で確実にPchバイアスを追い込むことができるという作用効果を奏する。
【0068】
なお、上述のように、この発明の実施の形態2による光送信器においては、制御部6内の第二のモニタ部19と初期値探索部20はデジタル信号処理回路として説明したが、制御機能については、光送信器に設けたマイクロコンピュータ等に制御方法を実行させるコンピュータプログラムを用いてソフトウエア処理により実現するようにしても良い。
【0069】
また、この発明の実施の形態2による光送信器から送信された光信号を光ファイバを伝送させ、光受信器で受信させる光通信システムに適用するようにしても良い。また、この発明の実施の形態2による光送信器を2台以上設け、2台以上の光送信器から送信された光信号を波長多重して光ファイバを伝送させ、受信側で波長分離させて波長ごとに2台以上の光受信器で受信させるWDM(Wavelength Division Multiplexing)光通信システムに適用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
1 光源
2a、2b 変調信号駆動部
4 電流電圧変換部
5a、5b 微小信号増幅部
6 制御部
7 同期検波部
8 変調信号駆動制御部
9a、9b、9c バイアス印加部
10a、10b 第一のモニタ部
11a、11b 微小変調信号生成部
12 平均変調度検出部
13a、13b 加算部
14 光変調部
15a 第一のMZ型光変調部
15b 第二のMZ型光変調部
16 光位相調整部
17 光強度検出部
18a〜18g 光導波路
19 第二のモニタ部
20 初期値探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力したデータ系列信号に基づいて駆動された変調信号を出力する変調信号駆動部と、
印加されたバイアス電圧および前記変調信号駆動部から入力した前記変調信号に基づいて光を変調し、この変調した光信号を出力する光変調部と、
前記変調信号駆動部から前記変調信号が前記光変調部に入力していない初期状態として前記バイアス電圧の制御を行った後に、この初期状態の制御結果に基づいて、前記変調信号駆動部から前記変調信号が前記光変調部に入力している通常状態として前記バイアス電圧の制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記制御部は、前記初期状態としての初期引き込み状態として、前記変調信号よりも低周波の低周波信号に基づいて前記バイアス電圧の目標値への引き込みを行った後に、前記通常状態として前記低周波信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記制御部は、前記初期状態としての初期値探索状態として、前記光信号の光強度の平均値に基づいて前記バイアス電圧の初期値を探索して求めた後に、この求めた前記バイアス電圧の初期値から始めて、前記通常状態として前記変調信号よりも低周波の低周波信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項4】
前記制御部は、前記初期状態としての初期値探索状態として、前記光信号の光強度の平均値に基づいて前記バイアス電圧の初期値を探索して求め、この求めた前記バイアス電圧の初期値から始めて、前記初期状態としての初期引き込み状態として、前記変調信号よりも低周波の低周波信号に基づいて前記バイアス電圧の目標値への引き込みを行った後に、前記通常状態として前記低周波信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項5】
発光した光を前記光変調部に入力させる光源と、
前記光変調部で出力された前記光信号の光強度を検出する光強度検出部と、
前記光強度検出部で検出された光強度を示す電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部と、
前記電流電圧変換部で変換された前記電圧信号を増幅する増幅部と、
前記低周波信号を前記バイアス電圧に加算する加算部と、を備え、
前記制御部は、
前記増幅部からの前記電圧信号に含まれる前記低周波信号をモニタする第一のモニタ部と、
前記バイアス電圧を前記光変調部に印加するバイアス印加部と、
前記低周波信号を生成する低周波信号生成部と、
前記データ系列信号の平均変調度を検出する平均変調度検出部と、
前記第一のモニタ部でモニタされた前記低周波信号および前記平均変調度に基づいて前記バイアス電圧の値を演算する同期検波部と、
前記初期状態では前記変調信号駆動部から前記変調信号が出力されず、前記通常状態では前記変調信号駆動部から前記平均変調度に基づく前記変調信号が出力されるように、前記変調信号駆動部の駆動利得を制御する変調信号駆動制御部と、
を有することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の光送信器。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電流電圧変換部で変換された前記電圧信号の平均値をモニタする第二のモニタ部と、
前記第二のモニタ部でモニタされた電圧信号の平均値に基づいて前記バイアス電圧の初期値を探索して求める初期値探索部と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の光送信器。
【請求項7】
前記光変調部は、MZ(Mach-Zehnder)型光変調器を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光送信器。
【請求項8】
前記光変調部は、2並列MZ型光変調器であり、
前記制御部は、IchバイアスとQchバイアスとPchバイアスの3つの前記バイアス電圧の制御を行い、
前記増幅部は、IchバイアスとQchバイアスに比べてPchバイアスの前記バイアス電圧の制御における増幅度が高いことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の光送信器。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の光送信器から送信された光信号を、光ファイバを伝送させ、光受信器で受信させることを特徴とする光通信システム。
【請求項10】
入力したデータ系列信号に基づいて駆動された変調信号を出力する変調信号駆動ステップと、
印加されたバイアス電圧および前記変調信号駆動ステップによる前記変調信号に基づいて光変調部により光を変調し、この変調した光信号を出力する光変調ステップと、
前記変調信号駆動ステップによる前記変調信号が前記光変調部に入力していない初期状態として前記バイアス電圧の制御を行った後に、この初期状態の制御結果に基づいて、前記変調信号駆動ステップによる前記変調信号が前記光変調部に入力している通常状態として前記バイアス電圧の制御を行う制御ステップと、
を備えたことを特徴とする光送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−217127(P2012−217127A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212403(P2011−212403)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】