説明

光送信器及び光伝送装置、並びに光送信器の制御方法

【課題】光変調信号の品質の劣化を抑制するように光変調器を駆動する。
【解決手段】光送信器は、光源が発する光をデータに応じて変調することで光変調信号を出力する光変調器と、データを光変調器に対して出力する駆動部と、光変調信号及びデータの少なくとも一方の信号強度を検出する検出部と、検出部における検出結果に基づいて、データの信号パラメータを調整する調整部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光を変調することで光変調信号を出力する光送信器及び光送信器を備える光伝送装置、並びに光送信器を制御する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野では、送信するべきデータに応じて光を変調することで光変調信号を出力する光送信器が用いられている。光変調信号を出力するために、光送信器は、光を発する光源や、光を変調する光変調器や、光変調信号を得るために光変調器を駆動するためのデータを供給する駆動ドライバ等を備えている。尚、このような光送信器は、例えば、複数の波長チャネルによるWDM(Wavelength Division Multiplex:波長分割多重)のための光伝送装置等に用いられる。例えば、WDMのための光伝送装置は、互いに異なる波長を有する光変調信号を出力する複数の光送信器と、これら光送信器から出力された光変調信号を波長分割多重してWDM信号光を出力する光マルチプレクサとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−141742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光変調器を駆動するためのデータの波形は、温度変化や経時変化によって変動してしまう。従って、データのデューティー比は、温度変化や経時変化によって変動してしまう。ここで、例えばDPSK(Differential Phase Shift Keying)変調等の位相変調方式を光送信器が採用している場合には、デューティー比の変動に伴って光変調信号のジッタが劣化してしまいかねない。その結果、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)が劣化してしまいかねない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば光変調信号の品質の劣化を抑制するように光変調器を駆動することが可能な光送信器及び光伝送装置、並びに光送信器の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、光変調器と、駆動部と、検出部と、調整部とを備える光送信器によって解決される。光変調器は、駆動部から出力されるデータに応じて、光源が発する光を変調する。その結果、光変調器は、光変調信号を出力する。駆動部は、光変調器を駆動させるためのデータを光変調器に対して出力する。検出部は、光変調器から出力される光変調信号及び駆動部から出力されるデータの少なくとも一方の信号強度を検出する。調整部は、検出部における検出結果(例えば、検出された信号強度)に基づいて、データの信号パラメータを調整する。
【0007】
上記課題は、光送信器から出力される光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送する光伝送装置によって解決される。
【0008】
上記課題は、上述した光変調器及び上述した駆動部を備える光送信器の制御方法であって、検出工程と、調整工程とを備える制御方法によって解決される。検出工程では、上述した検出部が行う動作と同様の動作が行われる。調整工程では、上述した調整部が行う動作と同様の動作が行われる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明した光送信器及び光伝送装置、並びに光送信器の制御方法によれば、光変調信号の品質の劣化を抑制するように光変調器を駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の光送信器の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号、当該光変調信号の電気スペクトル、並びに当該光変調信号を復調した場合の復調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【図5】ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号、当該光変調信号の電気スペクトル、並びに当該光変調信号を復調した場合の復調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【図6】ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号、当該光変調信号の電気スペクトル、並びに当該光変調信号を復調した場合の復調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【図7】第1実施形態の光送信器の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態の光送信器の第2変形例の構成を示すブロック図である。
【図9】第1実施形態の光送信器の第3変形例の構成を示すブロック図である。
【図10】第2実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。
【図11】第2実施形態の光送信器の動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合の、ドライバ出力信号、光変調信号、並びに当該光変調信号の光スペクトル及び電気スペクトルの夫々の波形を示すグラフである。
【図13】ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の、ドライバ出力信号、光変調信号、並びに当該光変調信号の光スペクトル及び電気スペクトルの夫々の波形を示すグラフである。
【図14】ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の、ドライバ出力信号、光変調信号、並びに当該光変調信号の光スペクトル及び電気スペクトルの夫々の波形を示すグラフである。
【図15】第3実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態の光送信器の動作の流れを示すフローチャートである。
【図17】第3実施形態の光送信器の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図18】第3実施形態の光送信器の第2変形例の構成を示すブロック図である。
【図19】第3実施形態の光送信器の第3変形例の構成を示すブロック図である。
【図20】第3実施形態の光送信器の第4変形例の構成を示すブロック図である。
【図21】第3実施形態の光送信器の第5変形例の構成を示すブロック図である。
【図22】第4実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。
【図23】第4実施形態の光送信器の動作の流れを示すフローチャートである。
【図24】ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【図25】ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【図26】ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【図27】第4実施形態の光送信器の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0012】
(1)光伝送システム
図1を参照して、本実施形態の光伝送システム1について説明する。図1は、本実施形態の光伝送システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、光伝送システム1は、WDM光信号を出力する光伝送装置10と、光伝送装置10から出力されたWDM光信号を伝送するための光ファイバ伝送路20と、光ファイバ伝送路20により伝送されたWDM光信号を受信する光伝送装置40とを備えている。
【0014】
光伝送装置10は、複数の光送信器11と、光マルチプレクサ(MUX)15とを備える。光送信器11はそれぞれ光マルチプレクサ15の複数の入力ポートに接続される。光マルチプレクサ15の出力ポートは光ファイバ伝送路20に接続される。光マルチプレクサ15は、光送信器11から供給された複数の光変調信号を波長分割多重してWDM光信号を出力する。
【0015】
光ファイバ伝送路20の途中には、光ファイバ伝送路20におけるWDM光信号の減衰を補償するために、光中継器30が設けられている。光中継器30はWDM光信号を増幅するための光増幅器を有している。尚、光増幅器は、例えば、WDM光信号を受信する光増幅媒体(例えば、希土類元素がドープされたドープファイバや、半導体チップ等)と、光増幅媒体がWDM光信号の帯域を含む利得帯域を提供するように光増幅媒体をポンピングするポンピング部とを備えている。
【0016】
光伝送装置40は、受信したWDM光信号を各チャネルの光変調信号に分離する光デマルチプレクサ(DMUX)41と、分離された光変調信号を受信するための複数の光受信器42とを備える。
【0017】
尚、WDM光信号を出力する光伝送装置10に代えて、光送信器11から出力される光変調信号を波長分割多重することなく出力する光伝送装置10を用いてもよい。この場合、光伝送装置10は、光マルチプレクサ15を備えていなくともよいし、光送信器11を複数備えていなくともよい。同様に、WDM光信号を受信する光伝送装置40に代えて、波長分割多重化されていない光変調信号を受信する光伝送装置40を用いてもよい。この場合、光伝送装置40は、光デマルチプレクサ41を備えていなくともよいし、複数の光受信器42を備えていなくともよい。
【0018】
(2)第1実施形態の光送信器
図2から図6を参照して、第1実施形態の光送信器11について順に説明する。
【0019】
(2−1)第1実施形態の光送信器の構成
図2を参照して、第1実施形態の光送信器11の構成について説明する。図2は、第1実施形態の光送信器11の構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、光送信器11は、光源110と、光変調器111と、変調器ドライバ112と、MUX(Multiplexer)/プリコーダ113と、光分岐回路114と、OE(Optical / Electronic)変換器115と、信号成分検出器116と、強度検出器117と、制御部118とを備えている。
【0021】
光源110は、所望の波長の光を出力する。光源110から出力される光は、光変調器111に入射する。尚、光源110の一例として、例えばチューナブルレーザダイオード素子があげられる。
【0022】
光変調器111は、変調器ドライバ112から出力されるドライバ出力信号に基づいて、光源110から出力される光を変調する。第1実施形態では、光変調器111は、光の変調方式として、DPSK(Differential Phase Shift Keying)変調方式或いはその他の位相変調方式を採用することが好ましい。但し、光変調器111は、光の変調方式として、そのほかの任意の変調方式を採用してもよい。その結果、光変調器111は、変調した光を、光変調信号として出力する。
【0023】
光変調器111の一例としては、例えば、一対のマッハツェンダ(Mach Zehnder:MZ)型光導波路及び当該一対のマッハツェンダ型光導波路に対応する電極がニオブ酸リチウム(リチウムナイオベート:LN)等の電気光学効果を有する基板上に形成されたマッハツェンダ型光変調器があげられる。この場合、上述したドライバ出力信号が電極に印加されることで、マッハツェンダ型光導波路の一端から入射する光が変調される。尚、電極には、ドライバ出力信号に加えて、光変調器111の動作点を調整するためのバイアス電圧が印加されてもよい。その結果、マッハツェンダ型光導波路の他端から、変調された光(つまり、光変調信号)が出力される。
【0024】
変調器ドライバ112は、MUX/プリコーダ113から出力される変調信号に応じて、光変調器111を駆動させるための(つまり、光変調器111に光の変調を行わせるための)ドライバ出力信号を生成する。変調器ドライバ112は、生成したドライバ出力信号を、光変調器111に対して出力する。尚、変調器ドライバ112は、「駆動部」の一例である。
【0025】
変調器ドライバ112は、制御部118と共に「調整部」の一例であるデューティー可変部1121を備えている。デューティー可変部1121は、制御部118の制御の下で、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0026】
MUX/プリコーダ113は、光送信器11の外部から供給される複数の低ビットレート(例えば、数百Mbps)のデータ信号を多重化することで、高ビットレート(例えば、数十Gbps)のデータ信号を生成する。加えて、MUX/プリコーダ113は、高ビットレートのデータ信号に応じた変調信号を生成する。例えば、MUX/プリコーダ113は、高ビットレートのデータ信号を用いて、1ビット前の符号と現在の符号との差情報が反映された符号化処理を行うことで、データ信号に対応した変調信号を生成する。MUX/プリコーダ113は、生成した変調信号を、変調器112ドライバに対して出力する。
【0027】
光分岐回路114は、光変調器111から出力される光(つまり、光変調信号)を分岐する。その結果、光分岐回路114は、光変調器111から出力される光(つまり、光変調信号)を、光送信器11の外部及びOE変換部115の夫々に対して出力する。
【0028】
OE変換部115は、光分岐回路114から出力される光(つまり、光変調信号)を電気信号に変換する。OE変換部115は、電気信号を、信号成分検出部116に対して出力する。尚、後述する信号成分検出部116において、光変調信号のビットレート(つまり、MUX/プリコーダ113において多重化されたデータ信号のビットレート)に対応する周波数成分(f0成分)が検出されることを考慮すれば、光変調信号から変換される電気信号にはf0成分が含まれていることが好ましい。従って、OE変換部115は、f0成分を検出可能な帯域を有することが好ましい。具体的には、例えば、OE変換部115は、f0成分を検出可能な帯域を有するフォトディテクタであることが好ましい。
【0029】
信号成分検出部116は、光変調信号から変換された電気信号のうち、光変調信号のビットレート(つまり、MUX/プリコーダ113において多重化されたデータ信号のビットレート)に対応する周波数成分(f0成分)を検出する。このため、信号成分検出部116は、f0成分に対応する狭帯域の周波数成分を透過する特性を有すると共に高いQ値を有するバンドバスフィルタを含んでいてもよい。信号成分検出部116は、検出したf0成分を、強度検出部117に対して出力する。
【0030】
尚、「ビットレートに対応する周波数成分(f0成分)」とは、例えば、ビットレートと同一又は所定のマージンを考慮した上で実質的に同一視することができる周波数成分を示す。例えば、ビットレートが「X[bps]」である場合には、「ビットレートに対応する周波数成分」と、「X[Hz]」又は「X±α[Hz]」であってもよい。
【0031】
強度検出部117は、ビットレートに対応するf0成分の信号強度(例えば、平均信号強度)を検出する。このため、強度検出部117は、f0成分よりも十分に低い周波数成分を透過するローパスフィルターを含んでいてもよい。強度検出部117は、検出したf0成分の信号強度を、制御部118に対して出力する。
【0032】
制御部118は、強度検出部117において検出されたf0成分の信号強度に基づいて、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。より具体的には、制御部118は、例えば、f0成分の信号強度が最大となるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。尚、制御部118は、デューティー可変部1121の動作を制御することで、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0033】
(2−2)第1実施形態の光送信器の動作
図3を参照して、第1実施形態の光送信器11の動作について説明する。図3は、第1実施形態の光送信器11の動作の流れを示すフローチャートである。尚、以下では、第1実施形態の光送信器11の動作のうちドライバ出力信号のデューティー比の調整動作に着目して説明を進める。
【0034】
図3に示すように、光分岐回路114は、光変調器111から出力される光変調信号を分岐する(ステップS111)。光分岐回路114は、分岐された光変調信号を、OE変換部115に対して出力する。続いて、OE変換部115は、光変調信号を電気信号に変換する(ステップS112)。OE変換部115は、電気信号を、信号成分検出部116に対して出力する。
【0035】
その後、信号成分検出部116は、電気信号のうち、光変調信号のビットレートに対応する周波数成分(f0成分)を検出する(ステップS113)。信号成分検出部116は、検出したf0成分を、強度検出部117に対して出力する。続いて、強度検出部117は、ビットレートに対応するf0成分の信号強度を検出する(ステップS114)。強度検出部117は、検出したf0成分の信号強度を、制御部118に対して出力する。
【0036】
その後、制御部118は、強度検出部117において検出されたf0成分の信号強度が最大となるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する(ステップS115)。具体的には、例えば、制御部118は、デューティー比の調整前のf0成分の信号強度(つまり、強度検出部117において検出されたf0成分の信号強度)と比較してデューティー比の調整後のf0成分の信号強度が大きくなるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0037】
ここで、ビットレートに対応するf0成分の信号強度が最大となるようにドライバ出力信号のデューティー比を調整する技術的意義について、図4から図6を参照して説明する。図4から図6は、ドライバ出力信号のデューティー比を変えた場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号、当該光変調信号の電気スペクトル、並びに当該光変調信号を復調した場合の復調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【0038】
図4には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合の、ドライバ出力信号の波形(LNDRV波形45Gbps)、光変調信号の波形(DPSK光波形)、光変調信号の電気スペクトルの波形、復調信号の波形(正相光波形及び逆相光波形)を示す。尚、図4から図6は、光変調信号のビットレートが45Gbpsとなる場合の例を示すものとする。従って、ビットレートに対応するf0成分は、45GHzの周波数成分となる。
【0039】
一方で、図5には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の、ドライバ出力信号の波形(LNDRV波形45Gbps)、光変調信号の波形(DPSK光波形)、光変調信号の電気スペクトルの波形、復調信号の波形(正相光波形及び逆相光波形)を示す。尚、図5は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の一例として、ドライバ出力信号のデューティー比が70%となる場合及びドライバ出力信号のデューティー比が85%となる場合を示す。図5に示すように、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、光変調信号の波形が二重になってしまうと共に、f0成分の信号強度が落ちてくる(低くなってくる)のが分かる。このような現象は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)の悪化につながりかねない。
【0040】
他方で、図6には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の、ドライバ出力信号の波形(LNDRV波形45Gbps)、光変調信号の波形(DPSK光波形)、光変調信号の電気スペクトルの波形、復調信号の波形(正相光波形及び逆相光波形)を示す。尚、図5は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の一例として、ドライバ出力信号のデューティー比が115%となる場合及びドライバ出力信号のデューティー比が130%となる場合を示す。図5に示すように、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、光変調信号の波形が二重になってしまうと共に、f0成分の信号強度が落ちてくる(低くなってくる)のが分かる。このような現象は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、OSNRの悪化につながりかねない。
【0041】
このようなドライバ出力信号のデューティー比の変動とf0成分の信号強度と光変調信号の波形の二重化(つまり、OSNRの悪化)との関係を考慮して、第1実施形態の光送信器11は、f0成分の信号強度が最大となるようにドライバ出力信号のデューティー比を制御する。従って、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%から大きく乖離することが殆ど又は全くなくなる。言い換えれば、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比を概ね100%に維持することができる。従って、第1実施形態の光送信器11によれば、光変調信号の品質の劣化(つまり、OSNRの悪化)を抑制するようにドライバ出力信号を生成することができる。つまり、第1実施形態の光送信器11によれば、光変調信号の品質の劣化(つまり、OSNRの悪化)を抑制するように光変調器111を駆動することができる。
【0042】
加えて、第1実施形態の光送信器11によれば、光変調信号のf0成分を直接的に検出することに代えて、光変調信号を電気信号に変換した後に当該電気信号のf0成分を検出することができる。仮に光変調信号のf0成分を直接的に検出しようとすれば、f0成分に対応する中心周波数が予め設定された光フィルタが用いられる。しかしながら、光源110から出力される光のキャリア周波数が変わり得ることを考慮すれば、光フィルタの中心周波数を予め設定することは困難である。しかるに、第1実施形態によれば、電気信号のf0成分を検出することができるため、上述した技術的な不都合は生じない。
【0043】
尚、ドライバ出力信号のデューティー比を直接的に検出することは、技術的困難を伴う。しかるに、第1実施形態によれば、ドライバ出力信号のデューティー比を直接的に検出することに代えて、f0成分の信号強度を検出することでドライバ出力信号のデューティー比を調整することができる。つまり、ドライバ出力信号のデューティー比と比較して検出しやすいf0成分の信号強度を検出することで、ドライバ出力信号のデューティー比を調整することができる。
【0044】
尚、光変調器111は、変調器ドライバ112が出力するドライバ出力信号に代えて、所定のバイアス信号が重畳されたドライバ出力信号に基づいて、光源110から出力される光を変調してもよい。所定のバイアス信号は、不図示のバイアス電圧源からドライバ出力信号に対して重畳される、低周波の(つまり、ドライバ出力信号の周波数に対して低周波の)又は直流のバイアス信号であってもよい。但し、ドライバ出力信号に対してバイアス信号が重畳される場合であっても、デューティー可変部1121は、f0成分の信号強度が最大となるようにドライバ出力信号そのもの(つまり、バイアス信号が重畳される前のドライバ出力信号)のデューティー比を制御することが好ましい。後述する各種変形例及び第2実施形態から第4実施形態(但し、それらの各種変形例を含む)においても同様である。
【0045】
また、ドライバ出力信号のデューティー比に加えて又は代えて、MUX/プリコーダ113が出力する高ビットレートのデータ信号又は変調信号のデューティー比が、同様の態様で制御されてもよい。この場合、デューティー可変部1121は、MUX/プリコーダ113内に備えられていてもよい。後述する各種変形例及び第2実施形態から第4実施形態(但し、それらの各種変形例を含む)においても同様である。
【0046】
(3)第1実施形態の光送信器の変形例
以下、図7から図9を参照して、第1実施形態の光送信器11の各種変形例について説明する。
【0047】
(3−1)第1実施形態の光送信器の第1変形例
図7を参照して、第1実施形態の光送信器11の第1変形例について説明する。図7は、第1変形例の光送信器11aの構成を示すブロック図である。尚、上述した第1実施形態の光送信器11と同様の構成については、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。
【0048】
図7に示すように、第1変形例の光送信器11aは、第1実施形態の光送信器11と同様に、光源110と、光変調器111と、光分岐回路114と、OE変換器115と、信号成分検出器116と、強度検出器117と、制御部118とを備えている。第1変形例の光送信器11aは、第1実施形態の光送信器11と比較して、変調器ドライバ112a及びMUX/プリコーダ113aが差動型であるという点で異なっている。
【0049】
変調器ドライバ112aは、MUX/プリコーダ113aから出力される変調信号(P)及び反転信号(N)に応じて、光変調器111を駆動させるための(つまり、光変調器111に対して光の変調を行わせるための)ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)を生成する。
【0050】
MUX/プリコーダ113aは、高ビットレートのデータ信号に応じた変調信号(P)及び反転信号(N)を生成する。例えば、MUX/プリコーダ113は、高ビットレートのデータ信号を用いて、1ビット前の符号と現在の符号との差情報が反映された符号化処理を行うことで、データ信号に対応した変調信号(P)及び当該変調信号(P)を反転させた反転信号(N)を生成する。MUX/プリコーダ113は、生成した変調信号(P)及び反転信号(N)を、変調器112ドライバに対して出力する。
【0051】
このような構成を有する第1変形例の光送信器11aであっても、上述した第1実施形態の光送信器11が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0052】
(3−2)第1実施形態の光送信器の第2変形例
図8を参照して、第1実施形態の光送信器11の第2変形例について説明する。図8は、第2変形例の光送信器11bの構成を示すブロック図である。尚、上述した第1実施形態の光送信器11又は第1変形例の光送信器11aと同様の構成については、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、第2変形例の光送信器11bは、第1変形例の光送信器11aと同様に、光源110と、光変調器111と、差動型の変調器ドライバ112aと、差動型のMUX/プリコーダ113aと、光分岐回路114と、OE(Optical / Electronic)変換器115と、信号成分検出器116と、強度検出器117と、制御部118とを備えている。第2変形例の光送信器11bは、第1変形例の光送信器11aと比較して、変調器ドライバ112aの2つの出力端子のうちの一方が終端部1122bによって終端されているという点で異なっている。つまり、第2変形例の光送信器11bでは、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)を出力するための変調器ドライバ112aの2つの出力端子のうちの一方が、終端部1122bによって終端されている。
【0054】
例えば、図8は、ドライバ出力信号(逆相:N)を出力するための変調器ドライバ112aの出力端子が、終端部1122bによって終端されている例を示している。このため、図8に示す例では、光変調器111は、ドライバ出力信号(正相:P)に基づいて、光源110から出力される光を変調する。
【0055】
但し、ドライバ出力信号(正相:P)を出力するための変調器ドライバ112aの出力端子が、終端部1122bによって終端されていてもよい。この場合には、光変調器111は、ドライバ出力信号(逆相:N)に基づいて、光源110から出力される光を変調してもよい。
【0056】
このような構成を有する第2変形例の光送信器11bであっても、上述した第1実施形態の光送信器11が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0057】
(3−3)第1実施形態の光送信器の第3変形例
図9を参照して、第1実施形態の光送信器11の第3変形例について説明する。図9は、第3変形例の光送信器11cの構成を示すブロック図である。尚、上述した第1実施形態の光送信器11並びに第1変形例の光送信器11a及び第2変形例の光送信器11bと同様の構成については、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。
【0058】
図9に示すように、第3変形例の光送信器11cは、第1実施形態の光送信器11と同様に、光源110と、光変調器111と、変調器ドライバ112と、MUX/プリコーダ113と、光分岐回路114と、OE変換器115と、信号成分検出器116と、強度検出器117と、制御部118とを備えている。第3変形例の光送信器11cは、第1実施形態の光送信器11と比較して、RZ(Return to Zero)変調器119cを更に備えているという点で異なっている。尚、RZ変調器119cは、光変調器111の一部として光変調器111内部に組み込まれていてもよい。
【0059】
RZ変調器119cは、光変調器111から出力される光(つまり、DPSK変調された光変調信号)に対して、RZパルス化処理を施す。その結果、RZ変調器119cは、RZパルス化処理が施された光(つまり、RZ−DPSK変調された光変調信号)を、光分岐回路114に対して出力する。
【0060】
このような構成を有する第3変形例の光送信器11cであっても、上述した第1実施形態の光送信器11が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0061】
(4)第2実施形態の光送信器
図10から図14を参照して、第2実施形態の光送信器12について順に説明する。尚、上述した第1実施形態の光送信器11(但し、その各種変形例を含む)と同様の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。また、図1は、第1実施形態の光送信器11を備える伝送システム1を示しているが、当該伝送システム1は、第1実施形態の光送信器11に加えて又は代えて、第2実施形態の光送信器12を備えていてもよい。
【0062】
(4−1)第2実施形態の光送信器の構成
図10を参照して、第2実施形態の光送信器12の構成について説明する。図10は、第2実施形態の光送信器12の構成を示すブロック図である。
【0063】
図10に示すように、第2実施形態の光送信器12は、第1実施形態の光送信器11と同様に、光源110と、光変調器111と、変調器ドライバ112と、光分岐回路114と、OE変換器115と、信号成分検出器116と、強度検出器117と、制御部118とを備えている。第2実施形態の光送信器12は、第1実施形態の光送信器11と比較して、光変調器111が、光の変調方式として、NRZ(Non Return to Zero)変調方式(言い換えれば、OOK(On Off Keying)変調方式)を採用しているという点で異なっている。加えて、第2実施形態の光送信器12は、第1実施形態の光送信器11と比較して、MUX/プリコーダ113に代えて、MUX123を備えているという点で異なっている。つまり、第2実施形態の光送信器12は、第1実施形態の光送信器11と比較して、プリコーダを備えていなくともよいという点で異なっている。
【0064】
MUX123は、光送信器11の外部から供給される複数の低ビットレート(例えば、数百Mbps)のデータ信号を多重化することで、高ビットレート(例えば、数十Gbps)のデータ信号を生成する。MUX/プリコーダ113は、生成したデータ信号を、変調信号として変調器112ドライバに対して出力する。
【0065】
(4−2)第2実施形態の光送信器の動作
図11を参照して、第2実施形態の光送信器12の動作について説明する。図11は、第2実施形態の光送信器12の動作の流れを示すフローチャートである。尚、以下では、第2実施形態の光送信器12の動作のうちドライバ出力信号のデューティー比の調整動作に着目して説明を進める。
【0066】
図11に示すように、第2実施形態の光送信器12では、第1実施形態の光送信器11と同様に、光分岐回路114による光変調信号の分岐(ステップS111)、OE変換部115による光変調信号の電気信号への変換(ステップS112)、信号成分検出部116によるf0成分の検出(ステップS113)及び強度検出部117によるf0成分の信号強度の検出(ステップS114)が行われる。
【0067】
第2実施形態では、ステップS114の動作に続いて、制御部118は、強度検出部117において検出されたf0成分の信号強度が最小となるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する(ステップS125)。具体的には、例えば、制御部118は、デューティー比の調整前のf0成分の信号強度(つまり、強度検出部117において検出されたf0成分の信号強度)と比較してデューティー比の調整後のf0成分の信号強度が小さくなるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0068】
ここで、光変調器111がNRZ変調方式を採用する場合にビットレートに対応するf0成分の信号強度が最小となるようにドライバ出力信号のデューティー比を調整する技術的意義について、図12から図14を参照して説明する。図12から図14は、ドライバ出力信号のデューティー比を変えた場合の、ドライバ出力信号、光変調信号、並びに当該光変調信号の光スペクトル及び電気スペクトルの夫々の波形を示すグラフである。
【0069】
図12には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合の、ドライバ出力信号の波形(変調器ドライバ波形)、光変調信号の波形(光波形)、並びに光変調信号の光スペクトルの波形及び電気スペクトルの波形を示す。
【0070】
一方で、図13には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の、ドライバ出力信号の波形(変調器ドライバ波形)、光変調信号の波形(光波形)、並びに光変調信号の光スペクトルの波形及び電気スペクトルの波形を示す。尚、図13は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の一例として、ドライバ出力信号のデューティー比が80%となる場合及びドライバ出力信号のデューティー比が90%となる場合を示す。図13に示すように、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、光変調信号の波形が歪むと共に、f0成分の信号強度が大きくなる(高くなってくる)のが分かる。このような現象は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、OSNRの悪化につながりかねない。
【0071】
他方で、図14には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の、ドライバ出力信号の波形(変調器ドライバ波形)、光変調信号の波形(光波形)、並びに光変調信号の光スペクトルの波形及び電気スペクトルの波形を示す。尚、図14は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の一例として、ドライバ出力信号のデューティー比が110%となる場合及びドライバ出力信号のデューティー比が120%となる場合を示す。図14に示すように、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、光変調信号の波形が歪むと共に、f0成分の信号強度が大きくなる(高くなってくる)のが分かる。このような現象は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、OSNRの悪化につながりかねない。
【0072】
このようなドライバ出力信号のデューティー比の変動とf0成分の信号強度と光変調信号の波形の歪み(つまり、OSNRの悪化)との関係を考慮して、第2実施形態の光送信器12は、f0成分の信号強度が最小となるようにドライバ出力信号のデューティー比を調整する。これにより、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%から大きく乖離することが殆ど又は全くなくなる。言い換えれば、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比を概ね100%に維持することができる。従って、第2実施形態の光送信器12によれば、光変調信号の品質の劣化(つまり、OSNRの悪化)を抑制するように光変調器111を駆動することができる。つまり、第2実施形態の光送信器12によれば、第1実施形態の光送信器11が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0073】
尚、図13及び図14に示すように、ドライバ出力信号のデューティー比が100%以下となる又は100%を超える場合には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、f0成分の信号強度のみならず、f0成分の逓倍の周波数成分の信号強度が大きくなる(高くなってくる)のが分かる。従って、第2実施形態では、f0成分の信号強度が最小となるようにデューティー比を調整することに加えて又は代えて、f0成分の逓倍の周波数成分の信号強度が最小となるようにデューティー比を調整してもよい。
【0074】
(5)光送信器の第3実施形態
図15及び図16を参照して、第3実施形態の光送信器13について順に説明する。尚、上述した第1実施形態の光送信器11(但し、その各種変形例を含む)又は第2実施形態の光送信器12(但し、その各種変形例を含む)と同様の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。また、図1は、第1実施形態の光送信器11を備える伝送システム1を示しているが、当該伝送システム1は、第1実施形態の光送信器11に加えて又は代えて、第3実施形態の光送信器13を備えていてもよい。
【0075】
(5−1)第3実施形態の光送信器の構成
図15を参照して、第3実施形態の光送信器13の構成について説明する。図15は、第3実施形態の光送信器13の構成を示すブロック図である。
【0076】
図15に示すように、第3実施形態の光送信器13は、第1実施形態の光送信器11と同様に、光源110と、光変調器111と、変調器ドライバ112と、MUX/プリコーダ113と、強度検出器117と、制御部118とを備えている。第3実施形態の光送信器13は、第1実施形態の光送信器11と比較して、光分岐回路114と、OE変換器115と、信号成分検出器116とを備えていなくともよいという点で異なっている。従って、第3実施形態の光送信器13では、光変調器111から出力される光(つまり、光変調信号)は、分岐されることなく、光送信器11の外部に対して出力されてもよい。
【0077】
加えて、第3実施形態の光送信器13は、第1実施形態の光送信器11と比較して、分岐回路131を新たに備えているという点で異なっている。分岐回路131は、変調器ドライバ112から出力されるドライバ出力信号を分岐する。つまり、分岐回路131は、変調器ドライバ112から出力されるドライバ出力信号を、光変調器111及び強度検出部117の夫々に対して出力する。
【0078】
尚、ドライバ出力信号に対してバイアス信号が重畳される場合には、分岐回路131は、ドライバ出力信号そのもの(つまり、バイアス信号が重畳される前のドライバ出力信号)を分岐することが好ましい。
【0079】
強度検出部117は、ドライバ出力信号の信号強度(例えば、平均信号強度)を検出する。強度検出部117は、検出したドライバ出力信号の信号強度を、制御部118に対して出力する。制御部118は、強度検出部117において検出されたドライバ出力信号の信号強度に基づいて、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。より具体的には、制御部118は、例えば、ドライバ出力信号の信号強度が所望値と同一になるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0080】
(5−2)第3実施形態の光送信器の動作
図16を参照して、第3実施形態の光送信器13の動作について説明する。図16は、第3実施形態の光送信器13の動作の流れを示すフローチャートである。尚、以下では、第3実施形態の光送信器13の動作のうちドライバ出力信号のデューティー比の調整動作に着目して説明を進める。
【0081】
図16に示すように、分岐回路131は、変調器ドライバ112から出力されるドライバ出力信号を分岐する(ステップS131)。分岐回路131は、分岐されたドライバ出力信号を、強度検出部117に対して出力する。
【0082】
その後、強度検出部117は、ドライバ出力信号の信号強度を検出する(ステップS132)。強度検出部117は、検出したドライバ出力信号の信号強度を、制御部118に対して出力する。
【0083】
その後、制御部118は、強度検出部117において検出されたドライバ出力の信号強度が所望値と同一になるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する(ステップS133)。ここで、「所望値」には、例えば、デューティー比が100%となるときのドライバ出力信号の信号強度(例えば、平均信号強度)の値が予め設定されることが好ましい。従って、制御部118は、制御部118の内部又は外部に備える不図示のメモリ等に、デューティー比が100%となるときのドライバ出力信号の信号強度の値を予め格納しておくことが好ましい。
【0084】
その結果、第3実施形態の光送信器13は、強度検出部117において検出されたドライバ出力の信号強度が、例えばデューティー比が100%となるときのドライバ出力信号の信号強度と同一になるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。従って、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%から大きく乖離することが殆ど又は全くなくなる。言い換えれば、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比を概ね100%に維持することができる。従って、第3実施形態の光送信器13によれば、光変調信号の品質の劣化(つまり、OSNRの悪化)を抑制するように光変調器111を駆動することができる。つまり、第3実施形態の光送信器13によれば、第1実施形態の光送信器11が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0085】
尚、強度検出部117は、ドライバ出力信号の信号強度を検出することに加えて又は代えて、MUX/プリコーダ113が出力する高ビットレートのデータ信号又は変調信号の信号強度を検出してもよい。この場合、デューティー可変部1121は、高ビットレートのデータ信号又は変調信号の信号強度が、例えばデューティー比が100%となるときのデータ信号又は変調信号の信号強度と同一になるように、データ信号、変調信号又はドライバ出力信号のデューティー比を調整してもよい。後述する第3実施形態の変形例においても同様である。
【0086】
(6)第3実施形態の光送信器の変形例
図17から図21を参照して、第3実施形態の光送信器13の各種変形例について説明する。
【0087】
(6−1)第3実施形態の光送信器の第1変形例
図17を参照して、第3実施形態の光送信器13の第1変形例について説明する。図17は、第1変形例の光送信器13aの構成を示すブロック図である。
【0088】
図17に示すように、第1変形例の光送信器13aは、第3実施形態の光送信器13と同様に、光源110と、光変調器111と、強度検出器117と、制御部118と、分岐回路131とを備えている。第1変形例の光送信器13aは、第3実施形態の光送信器13と比較して、変調器ドライバ112a及びMUX/プリコーダ113aが差動型であるという点で異なっている。
【0089】
分岐回路131は、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の一方を分岐すると共に、強度検出部117に対して出力する。例えば、図17は、分岐回路131が、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(逆相:N)を分岐すると共に、強度検出部117に対して出力する例を示している。
【0090】
このような構成を有する第1変形例の光送信器13aであっても、上述した第3実施形態の光送信器13が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0091】
(6−2)第3実施形態の光送信器の第2変形例
図18を参照して、第3実施形態の光送信器13の第2変形例について説明する。図18は、第2変形例の光送信器13bの構成を示すブロック図である。
【0092】
図18に示すように、第2変形例の光送信器13bは、第1変形例の光送信器13aと同様に、光源110と、光変調器111と、差動型の変調器ドライバ112aと、差動型のMUX/プリコーダ113aと、制御部118とを備えている。第2変形例の光送信器13bは、第1変形例の光送信器13aと比較して、分岐回路131及び強度検出部117を2つずつ備えているという点で異なっている。
【0093】
具体的には、第2変形例の光送信器13bは、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(正相:P)を分岐する分岐回路131b(P)と、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(逆相:N)を分岐する分岐回路131b(N)とを備えている。加えて、第2変形例の光送信器13bは、分岐回路131b(P)において分岐されたドライバ出力信号(正相:P)の信号強度を検出する強度検出部117b(P)と、分岐回路131b(N)において分岐されたドライバ出力信号(逆相:N)の信号強度を検出する強度検出部117b(N)とを備えている。
【0094】
制御部118は、強度検出部117b(P)において検出されたドライバ出力信号(正相:P)の信号強度及び強度検出部117b(N)において検出されたドライバ出力信号(逆相:N)の信号強度のいずれか一方又は双方に基づいて、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0095】
このような構成を有する第2変形例の光送信器13bであっても、上述した第3実施形態の光送信器13が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0096】
加えて、第2変形例の光送信器13bによれば、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の一方の信号品質が悪化した場合であっても、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の他方を用いてドライバ出力信号のデューティー比を調整することができる。つまり、ドライバ出力信号のデューティー比の調整するために参照されるドライバ出力信号の冗長性を確保することができる。このため、ドライバ出力信号のデューティー比の調整動作の信頼性を相対的に高めることができる。
【0097】
(6−3)第3実施形態の光送信器の第3変形例
図19を参照して、第3実施形態の光送信器13の第3変形例について説明する。図19は、第3変形例の光送信器13cの構成を示すブロック図である。
【0098】
図19に示すように、第3変形例の光送信器13cは、第1変形例の光送信器13aと同様に、光源110と、光変調器111と、差動型の変調器ドライバ112aと、差動型のMUX/プリコーダ113aと、強度検出部117と、制御部118とを備えている。第3変形例の光送信器13cは、第1変形例の光送信器13aと比較して、分岐回路131を備えていなくともよいという点で異なっている。
【0099】
具体的には、第3変形例の光送信器13cでは、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の一方は、光変調器111に対して出力される。一方で、第3変形例の光送信器13cでは、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の他方は、強度検出器117に対して出力される。言い換えれば、第3変形例の光送信器13cでは、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の他方は、光変調器111に対して出力されなくともよい。つまり、第3変形例の光送信器13cでは、変調器ドライバ112aが出力するドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の他方は、強度検出部117における信号強度の検出ための専用の信号として用いられる。
【0100】
このような構成を有する第3変形例の光送信器13cであっても、上述した第3実施形態の光送信器13が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0101】
加えて、第3変形例の光送信器13cによれば、相対的に高周波な(例えば、数十GHzの)ドライバ出力信号を、分岐回路131において分岐しなくともよくなる。従って、相対的に高周波な(例えば、数十GHzの)ドライバ出力信号の分岐に伴う信号損の発生をなくすことができる。従って、光変調器111は、信号損が発生しているドライバ出力信号に基づいて光を変調しなくともよくなる。このため、光変調器111は、より好適に光を変調することができる。
【0102】
(6−4)第3実施形態の光送信器の第4変形例
図20を参照して、第3実施形態の光送信器13の第4変形例について説明する。図20は、第4変形例の光送信器13dの構成を示すブロック図である。
【0103】
図20に示すように、第4変形例の光送信器13dは、第1変形例の光送信器13aと同様に、光源110と、光変調器111と、差動型の変調器ドライバ112aと、差動型のMUX/プリコーダ113aと、強度検出部117と、制御部118と、分岐回路131とを備えている。第4変形例の光送信器13dは、第1変形例の光送信器13aと比較して、変調器ドライバ112aの2つの出力端子のうちの一方が終端部1122bによって終端されているという点で異なっている。つまり、第2変形例の光送信器11bでは、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)を出力するための変調器ドライバ112aの2つの出力端子のうちの一方が、終端部1122bによって終端されている。
【0104】
例えば、図20は、ドライバ出力信号(逆相:N)を出力するための変調器ドライバ112aの出力端子が、終端部1122bによって終端されている例を示している。このため、図20に示す例では、分岐回路131はドライバ出力信号(正相:P)を分岐すると共に、光変調器111はドライバ出力信号(正相:P)に基づいて光を変調する。
【0105】
但し、ドライバ出力信号(正相:P)を出力するための変調器ドライバ112aの出力端子が、終端部1122bによって終端されていてもよい。この場合には、分岐回路131はドライバ出力信号(逆相:N)を分岐すると共に、光変調器111はドライバ出力信号(逆相:N)に基づいて光を変調してもよい。
【0106】
このような構成を有する第4変形例の光送信器13dであっても、上述した第3実施形態の光送信器13が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0107】
(6−5)第3実施形態の光送信器の第5変形例
図21を参照して、第3実施形態の光送信器13の第5変形例について説明する。図21は、第5変形例の光送信器13eの構成を示すブロック図である。
【0108】
図21に示すように、第5変形例の光送信器13eは、第1変形例の光送信器13aと同様に、光源110と、光変調器111と、差動型の変調器ドライバ112aと、差動型のMUX/プリコーダ113aと、強度検出部117と、制御部118と、分岐回路131とを備えている。第5変形例の光送信器13eは、第1変形例の光送信器13aと比較して、強度検出部117を2つ備えているという点で異なっている。加えて、第5変形例の光送信器13eは、第1変形例の光送信器13aと比較して、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の一方が光変調器111に出力され、且つ、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の他方が光変調器111に出力されなくともよいという点で異なっている。
【0109】
具体的には、第2変形例の光送信器13bは、分岐回路131において分岐されたドライバ出力信号(正相:P)の信号強度を検出する強度検出部117e(P)と、変調器ドライバ112aから出力されるドライバ出力信号(逆相:N)の信号強度を検出する強度検出部117e(N)とを備えている。尚、変調器ドライバ112aから強度検出部117e(N)に対して出力されるドライバ出力信号(逆相:N)は、光変調器111に対して出力されなくともよい。
【0110】
制御部118は、強度検出部117e(P)において検出されたドライバ出力信号(正相:P)の信号強度及び強度検出部117e(N)において検出されたドライバ出力信号(逆相:N)の信号強度のいずれか一方又は双方に基づいて、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0111】
このような構成を有する第5変形例の光送信器13eであっても、上述した第3実施形態の光送信器13が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0112】
加えて、第5変形例の光送信器13eによれば、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の一方の信号品質が悪化した場合であっても、ドライバ出力信号(正相:P)及びドライバ出力信号(逆相:N)の他方を用いてドライバ出力信号のデューティー比を調整することができる。つまり、ドライバ出力信号のデューティー比の調整するために参照されるドライバ出力信号の冗長性を確保することができる。このため、ドライバ出力信号のデューティー比の調整動作の信頼性を相対的に高めることができる。
【0113】
(7)光送信器の第4実施形態
図22から図26を参照して、第4実施形態の光送信器14について順に説明する。尚、上述した第1実施形態の光送信器11(但し、その各種変形例を含む)、第2実施形態の光送信器12(但し、その各種変形例を含む)又は第3実施形態の光送信器13(但し、その各種変形例を含む)と同様の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。また、図1は、第1実施形態の光送信器11を備える伝送システム1を示しているが、当該伝送システム1は、第1実施形態の光送信器11に加えて又は代えて、第4実施形態の光送信器14を備えていてもよい。
【0114】
(7−1)第4実施形態の光送信器の構成
図22を参照して、第4実施形態の光送信器14の構成について説明する。図22は、第4実施形態の光送信器14の構成を示すブロック図である。
【0115】
図22に示すように、第4実施形態の光送信器14は、第1実施形態の光送信器11と同様に、光源110と、光変調器111と、変調器ドライバ112と、MUX/プリコーダ113と、光分岐回路114と、OE変換部115と、制御部118とを備えている。第4実施形態の光送信器14は、第1実施形態の光送信器11と比較して、信号成分検出器116と、強度検出器117とを備えていなくともよいという点で異なっている。
【0116】
第4実施形態の光送信器14では、OE変換部115は、光変調信号の信号強度(例えば、平均光パワー)を検出する。OE変換部115は、検出した光変調信号の信号強度を、制御部118に対して出力する。
【0117】
第4実施形態の光送信器14では、制御部118は、OE変換部115において検出された光変調信号の信号強度に基づいて、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。より具体的には、制御部118は、例えば、光変調信号の信号強度が最大となるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0118】
(7−2)第4実施形態の光送信器の動作
図23を参照して、第4実施形態の光送信器14の動作について説明する。図23は、第4実施形態の光送信器14の動作の流れを示すフローチャートである。尚、以下では、第4実施形態の光送信器14の動作のうちドライバ出力信号のデューティー比の調整動作に着目して説明を進める。
【0119】
図23に示すように、光分岐回路114は、光変調器111から出力される光変調信号を分岐する(ステップS111)。光分岐回路114は、分岐された光変調信号を、OE変換部115に対して出力する。
【0120】
その後、OE変換部115は、光変調信号の信号強度(例えば、平均光パワー)を検出する(ステップS141)。OE変換部115は、検出した光変調信号の信号強度を、制御部118に対して出力する。
【0121】
その後、制御部118は、OE変換部115において検出された光変調信号の信号強度が最大となるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する(ステップS142)。具体的には、例えば、制御部118は、デューティー比の調整前の光変調信号の信号強度(つまり、OE変換部115において検出された光変調信号の信号強度)と比較してデューティー比の調整後の光変調信号の信号強度が大きくなるように、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する。
【0122】
ここで、光変調信号の信号強度が最大となるようにドライバ出力信号のデューティー比を調整する技術的意義について、図24から図26を参照して説明する。図24から図26は、ドライバ出力信号のデューティー比を変えた場合の、ドライバ出力信号及び光変調信号の夫々の波形を示すグラフである。
【0123】
図24には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合の、ドライバ出力信号の波形(LNDRV波形45Gbps)及び光変調信号の波形(DPSK光波形)を示す。
【0124】
一方で、図25には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の、ドライバ出力信号の波形(LNDRV波形45Gbps)及び光変調信号の波形(DPSK光波形)を示す。尚、図25は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合の一例として、ドライバ出力信号のデューティー比が70%となる場合及びドライバ出力信号のデューティー比が85%となる場合の例を示す。図25に示すように、ドライバ出力信号のデューティー比が100%未満となる場合には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、ドライバ出力信号及び光変調信号の夫々のハイレベル側(図25中上側)への信号レベルの張り付きの度合いが弱くなる。ハイレベル側(図25中上側)への信号レベルの張り付きの度合いが弱くなることは、光変調信号の信号強度(例えば、平均光パワー)の低下につながる。このような現象は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、OSNRの悪化につながりかねない。
【0125】
他方で、図26には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の、ドライバ出力信号の波形(LNDRV波形45Gbps)及び光変調信号の波形(DPSK光波形)を示す。尚、図26は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合の一例として、ドライバ出力信号のデューティー比が115%となる場合及びドライバ出力信号のデューティー比が130%となる場合の例を示す。図26に示すように、ドライバ出力信号のデューティー比が100%を超える場合には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、ドライバ出力信号及び光変調信号の夫々のハイレベル側(図26中上側)への信号レベルの張り付きの度合いが弱くなる。ハイレベル側(図26中上側)への信号レベルの張り付きの度合いが弱くなることは、光変調信号の信号強度(例えば、平均光パワー)の低下につながる。このような現象は、ドライバ出力信号のデューティー比が100%となる場合と比較して、OSNRの悪化につながりかねない。
【0126】
このようなドライバ出力信号のデューティー比の変動と光変調信号及びドライバ出力信号の信号強度の変動(つまり、OSNRの悪化)との関係を考慮して、第4実施形態の光送信器14は、光変調信号の信号強度が最大となるようにドライバ出力信号のデューティー比を調整する。これにより、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比が100%から大きく乖離することが殆ど又は全くなくなる。言い換えれば、実質的には、ドライバ出力信号のデューティー比を概ね100%に維持することができる。従って、第4実施形態の光送信器14によれば、光変調信号の品質の劣化(つまり、OSNRの悪化)を抑制するように光変調器111を駆動することができる。つまり、第4実施形態の光送信器14によれば、第1実施形態の光送信器11が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0127】
(8)第4実施形態の光送信器の変形例
図27を参照して、第4実施形態の光送信器14の変形例について説明する。図27は、変形例の光送信器14aの構成を示すブロック図である。
【0128】
図27に示すように、変形例の光送信器14aは、第4実施形態の光送信器14と同様に、光源110と、光変調器111aと、変調器ドライバ112と、MUX/プリコーダ113と、光分岐回路114と、OE変換部115と、制御部118とを備えている。変形例の光送信器14aは、第4実施形態の光送信器14と比較して、光分岐回路114及びOE変換部115が、光変調器111aの内部に配置されるという点で異なっている。
【0129】
このような構成を有する変形例の光送信器14aであっても、上述した第4実施形態の光送信器14が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0130】
尚、上述の説明では、光変調信号のf0成分(つまり、光変調信号から変換された電気信号のf0成分)の信号強度、ドライバ出力信号の信号強度又は光変調信号の信号強度に基づいて、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する例について説明している。しかしながら、光変調信号やドライバ出力信号のその他の任意のパラメータ(例えば、位相や周波数等に関連する各種パラメータ)に基づいて、ドライバ出力信号のデューティー比を調整してもよい。
【0131】
また、上述の説明では、ドライバ出力信号のデューティー比を調整する例について説明している。しかしながら、ドライバ出力信号の信号波形を規定する任意のパラメータ(例えば、ピークパルスやボトムパルス等や、パルス幅や、位相や、周波数等)を調整してもよい。
【0132】
また、上述した第1実施形態の光送信器11(但し、その各種変形例を含む)、上述した第2実施形態の光送信器12(但し、その各種変形例を含む)、上述した第3実施形態の光送信器13(但し、その各種変形例を含む)及び上述した第4実施形態の光送信器14(但し、その各種変形例を含む)が採用している各種構成を適宜組み合わせてもよい。
【0133】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0134】
(付記1)
光源が発する光をデータに応じて変調することで光変調信号を出力する光変調器と、
前記データを前記光変調器に対して出力する駆動部と、
前記光変調器から出力される前記光変調信号及び前記駆動部から出力される前記データの少なくとも一方の信号強度を検出する検出部と、
前記検出部における検出結果に基づいて、前記データの信号パラメータを調整する調整部と
を備えることを特徴とする光送信器。
【0135】
(付記2)
前記検出部は、前記光変調信号のうち当該光送信器が実現するビットレートに対応する周波数成分の信号強度を検出することを特徴とする付記1に記載の光送信器。
【0136】
(付記3)
前記検出部は、前記光変調信号を電気信号に変換した後に、当該電気信号のうち当該光送信器が実現するビットレートに対応する周波数成分の信号強度を検出することを特徴とする付記2に記載の光送信器。
【0137】
(付記4)
前記調整部は、前記信号強度が最大となるように、前記データの前記信号パラメータを調整することを特徴とする付記2又は3に記載の光送信器。
【0138】
(付記5)
前記光変調器は、DPSK(Differential Phase Shift Keying)変調方式を用いて、前記光を変調することを特徴とする付記4に記載の光送信器。
【0139】
(付記6)
前記調整部は、前記信号強度が最小となるように、前記データの前記信号パラメータを調整することを特徴とする付記2又は3に記載の光送信器。
【0140】
(付記7)
前記光変調器は、NRZ(Non Return to Zero)変調方式を用いて、前記光を変調することを特徴とする付記6に記載の光送信器。
【0141】
(付記8)
前記検出部は、前記データの信号強度を検出し、
前記調整部は、前記信号強度が所定値となるように前記データの前記信号パラメータを調整し、
前記所定値は、信号強度が所定閾値以上となる前記データの信号成分と信号強度が前記所定閾値未満となる前記データの信号成分との比率であるデューティー比が100%となる場合の前記データの平均強度であることを特徴とする付記1に記載の光送信器。
【0142】
(付記9)
前記検出部は、前記データの信号強度を検出し、
前記調整部は、前記信号強度が所定値となるように前記データの前記信号パラメータを調整し、
前記駆動部は、差動信号に基づいて差動型の前記データを生成する差動型の駆動器を含んでおり、
前記駆動部は、前記差動型のデータのうちの一方を前記光変調器に対して出力し、且つ、前記差動型のデータのうちの他方を前記検出部に対して出力することを特徴とする付記1に記載の光送信器。
【0143】
(付記10)
前記検出部は、前記光変調信号の信号強度を検出し、
前記調整器は、前記信号強度が最大となるように、前記データの前記信号パラメータを調整することを特徴とする付記1に記載の光送信器。
【0144】
(付記11)
前記信号パラメータは、信号強度が所定閾値以上となる前記データの信号成分と信号強度が前記所定閾値未満となる前記データの信号成分との比率であるデューティー比を含むことを特徴とする付記1から10のいずれか一項に記載の光送信器。
【0145】
(付記12)
付記1から11のいずれか一項に記載の光送信器から出力される前記光信号を、光伝送路を介して対向装置に向けて伝送することを特徴とする光伝送装置。
【0146】
(付記13)
光源が発する光をデータに応じて変調することで光変調信号を出力する光変調器と、
前記データを前記光変調器に対して出力する駆動部と
を備える光送信器の制御方法であって、
前記光変調器から出力される前記光変調信号及び前記駆動部から出力される前記データの少なくとも一方を検出する検出工程と、
前記検出工程における検出結果に基づいて、前記データの信号パラメータを調整する調整工程と
を備えることを特徴とする制御方法。
【0147】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう光送信器及び光伝送装置、並びに光送信器の制御方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0148】
1 光伝送システム
10 光伝送装置
11、12、13、14 光送信器
110 光源
111 光変調器
112 変調器ドライバ
1121 デューティー可変部
1122 終端部
113 MUX/プリコーダ
114 光分岐回路
115 OE変換部
116 信号成分検出部
117 強度検出部117
118 制御部
119 RZ変調器
131 分岐回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が発する光をデータに応じて変調することで光変調信号を出力する光変調器と、
前記データを前記光変調器に対して出力する駆動部と、
前記光変調器から出力される前記光変調信号及び前記駆動部から出力される前記データの少なくとも一方の信号強度を検出する検出部と、
前記検出部における検出結果に基づいて、前記データの信号パラメータを調整する調整部と
を備えることを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記検出部は、前記光変調信号のうち当該光送信器が実現するビットレートに対応する周波数成分の信号強度を検出することを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記調整部は、前記信号強度が最大となるように、前記データの前記信号パラメータを調整することを特徴とする請求項2に記載の光送信器。
【請求項4】
前記光変調器は、DPSK(Differential Phase Shift Keying)変調方式を用いて、前記光を変調することを特徴とする請求項3に記載の光送信器。
【請求項5】
前記調整部は、前記信号強度が最小となるように、前記データの前記信号パラメータを調整することを特徴とする請求項2に記載の光送信器。
【請求項6】
前記光変調器は、NRZ(Non Return to Zero)変調方式を用いて、前記光を変調することを特徴とする請求項5に記載の光送信器。
【請求項7】
前記検出部は、前記データの信号強度を検出し、
前記調整部は、前記信号強度が所定値となるように前記データの前記信号パラメータを調整し、
前記所定値は、信号強度が所定閾値以上となる前記データの信号成分と信号強度が前記所定閾値未満となる前記データの信号成分との比率であるデューティー比が100%となる場合の前記データの平均強度であることを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項8】
前記検出部は、前記データの信号強度を検出し、
前記調整部は、前記信号強度が所定値となるように前記データの前記信号パラメータを調整し、
前記駆動部は、差動信号に基づいて差動型の前記データを生成する差動型の駆動器を含んでおり、
前記駆動部は、前記差動型のデータのうちの一方を前記光変調器に対して出力し、且つ、前記差動型のデータのうちの他方を前記検出部に対して出力することを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項9】
前記検出部は、前記光変調信号の信号強度を検出し、
前記調整器は、前記平均信号強度が最大となるように、前記データの前記信号パラメータを調整することを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項10】
前記信号パラメータは、所定閾値以上となる前記データの信号成分と前記所定閾値未満となる前記データの信号成分との比率であるデューティー比を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光送信器。
【請求項11】
光源が発する光をデータに応じて変調することで光変調信号を出力する光変調器と、
前記データを前記光変調器に対して出力する駆動部と
を備える光送信器の制御方法であって、
前記光変調器から出力される前記光変調信号及び前記駆動部から出力される前記データの少なくとも一方を検出する検出工程と、
前記検出工程における検出結果に基づいて、前記データの信号パラメータを調整する調整工程と
を備えることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−80322(P2012−80322A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223558(P2010−223558)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】