説明

光送信装置、光送受信装置、制御方法および制御プログラム

【課題】良好な光出力特性の光送信装置、光送受信装置、制御方法および制御プログラムを提供。
【解決手段】LD22で発したレーザ光をEA変調器22が変調する光送信器16に対し制御回路14は、ケース温度(TC)が予め設定した低温側基準温度(T_cool)および高温側基準温度(T_heat)の範囲内にある場合、EA変調器22への加熱・冷却を停止し、EA変調器22へのバイアス電圧をメモリ回路44に記録したテーブル情報に基づいて変調器温度に対応するバイアス電圧に設定し、ケース温度が低温側基準温度以下の場合、EA変調器22を加熱するとともに低温側基準温度に対応するバイアス電圧を設定し、ケース温度が高温側基準温度以上の場合、EA変調器22を冷却するとともに高温側基準温度に対応するバイアス電圧を設定する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信装置、光送受信装置、制御方法および制御プログラムに係り、とくに、送信データを光信号に変換して出力する光送信装置、光送受信装置、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量の情報を高速に伝送する光通信網に接続し、光通信網に接続された他の通信機器と相互に光通信を行う光送受信装置が普及している。光送受信装置には、ホスト側装置から出力される主信号データを光信号に変換し、光ファイバを介して光通信網側の通信機器へ送信する送信側回路が備えられている。
【0003】
上記の送信側回路は、レーザ光を発生する光源として、たとえば、レーザダイオードと、発生したレーザ光を変調する電界吸収型(EA:Electric Absorption)光変調器とを備えて、これらの集積化および消費電力の削減などが求められている。
【0004】
このような状況で、たとえば、可変波長光源とEA(電界吸収型)変調器と熱電クーラとを備えた光送信装置が特許文献1に提案されている。その光送信装置は、制御部からEA変調器にEAバイアスを入力し、EAバイアスに応じた変調特性によって波長可変光源から出力された光を変調する構成であった。また、この制御部は、EA変調器の温度を示すEA温度情報が目的の温度となるように、熱電クーラ(Thermo Electric Cooler)の温度を制御するものであった。
【0005】
また、レーザダイオードの温度をサーミスタで検出し、外気温が低い場合には最適な温度になるように発熱体の発熱量を大きくし、最適温度の場合にその発熱量を小さくする電界吸収型変調器付レーザダイオードが特許文献2に開示されている。この電界吸収型変調器付レーザダイオードでは、電子冷却素子を使用せずに、レーザダイオードの温度を制御するものであった。
【0006】
また、TEC(Thermo Electric Cooler)、PD(フォトダイオード)、温度検出素子(サーミスタ)およびLDチップなどをパッケージに収容した半導体レーザモジュール(LDモジュール)の温度制御装置が特許文献3に開示されている。この温度制御装置では、外気温度Taが半導体レーザの保証温度範囲内であれば、LDチップの温度制御を行わず、TECにペルチェ電流を流さない構成であった。
【0007】
また、EA変調器集積DFB(Distributed Feedback:分布帰還)レーザ(EA−DFBレーザ)を作製する材料として、インジウム・ガリウム・アルミニウムヒ素系半導体材料(Al系材料)を用いることで、アンクールド動作(無温調)でも広い温度範囲の特性改善をしたことが非特許文献1に記載されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−81512号公報
【特許文献2】特開2004−296988号公報
【特許文献3】特開平11−126939号公報
【非特許文献1】NTTフォトニクス研究所、小林亘 他、「低消費電力1.55μmEADFBレーザ」、NTT技術ジャーナル、2010年11月号(Vol.22 No.11)、第69頁〜第73頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1における光送信装置は、FIT(Failure In Time)数と消費電力とEA温度とに基づいてしきい値(EA温度の値)を決定し、EA変調器の温度と波長とを入力情報として温度制御電流の制御を行うものであり、Ta<Tn<Tb(上限温度Ta、目標温度Tn、下限温度Tb)の範囲で温度制御電流を制御するようになっているので電力を消費するものであった。
【0010】
また、上記特許文献2では、レーザダイオードの温度を予め定められた規定温度範囲内になるようにする発熱体を搭載した技術が開示されているが、発熱体の発熱量を制御するものであった。
【0011】
さらに、上記特許文献3では、半導体レーザモジュール(LDチップ)の温度によって抵抗値が変化するサーミスタを備え、そのLDチップ温度に応じてLDチップに対する温度制御を行い、LDチップの温度を一定の範囲(保証範囲)にする旨の開示があるものの、その保証範囲の温度変化ではLDチップの出力特性が変化するものであった。
〔発明の目的〕
本発明は、このような関連技術の有する課題を解決するためになされたもので、出力する光信号の良好な光出力特性を得る光送信装置、光送受信装置、制御方法および制御プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る光送信装置は、レーザ光を発する光源と、レーザ光を変調する変調器と、変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、光送信部、主制御部およびメモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備え、主制御部は、筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合に機能し、変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止する機能と、筐体温度が低温側基準温度以下にある場合に機能し、温度制御素子を加熱制御するとともに、低温側基準温度に対応するバイアス電圧をテーブル情報に基づいて変調器に設定する機能と、筐体温度が高温側基準温度以上にある場合に機能し、温度制御素子を冷却制御するとともに、高温側基準温度に対応するバイアス電圧をテーブル情報に基づいて変調器に設定する機能とを備えていることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る光通信装置用動作制御方法は、レーザ光を発する光源と、レーザ光を変調する変調器と、変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、光送信部、主制御部およびメモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備えて成る光送信装置にあって、筐体温度検出素子により検出される筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合に(温度判定工程)、変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止し(加熱冷却停止工程)、筐体温度が低温側基準温度以下にある場合に(低温側基準温度以下判定工程)、変調器温度が低温側基準温度になるように温度制御素子を加熱制御する(加熱制御工程)と共に低温側基準温度に対応するバイアス電圧をテーブル情報に基づいて変調器に設定し(低温側バイアス設定工程)、筐体温度が高温側基準温度以上にある場合に(高温側基準温度以上判定工程)、変調器温度が高温側基準温度になるように温度制御素子を冷却制御する(冷却制御工程)と共に高温側基準温度に対応するバイアス電圧をテーブル情報に基づいて変調器に設定し(高温側バイアス設定工程)、これらの各設定制御動作を主制御部が順次実行することを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る光送信装置用動作制御プログラムは、レーザ光を発する光源と、レーザ光を変調する変調器と、変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、光送信部、主制御部およびメモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備えて成る光送信装置にあって、筐体温度検出素子により検出される筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の温度範囲内にあることを判定する温度範囲内判定機能、筐体温度が温度範囲内の場合に機能し変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止する加熱冷却停止制御機能、筐体温度が低温側基準温度以下にあることを判定する低温側基準温度以下判定機能、筐体温度が低温側基準温度以下である場合に機能し温度制御素子を加熱制御する低温側基準温度以下加熱機能、筐体温度が低温側基準温度以下である場合に機能し低温側基準温度に対応するバイアス電圧をテーブル情報に基づいて変調器に設定する低温側バイアス設定機能、筐体温度が高温側基準温度以上にあることを判定する高温側基準温度以上判定機能と、筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に機能し温度制御素子を冷却制御する高温側基準温度以上冷却機能、および筐体温度が高温側基準温度以上にある場合に機能し高温側基準温度に対応するバイアス電圧をテーブル情報に基づいて変調器に設定する高温側バイアス設定機能を設け、これらの機能を主制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成したので、予め設定する温度範囲を広くとり、その設定した温度範囲内での電力消費を低減し、予め設定した消光比の光出力を広い温度範囲にて得ることができる。
【0016】
したがって、出力する光信号の良好な光出力特性を得ることができるという優れた光送信装置、光送受信装置、制御方法および制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用された実施形態における送受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における制御回路の構成例を示す機能構成図である。
【図3】実施形態におけるケース温度(TC)とEA変調器の温度(TEA)との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態におけるEA変調器の温度(TEA)と消光比(ER)との関係を示すグラフである。
【図5】実施形態におけるEA変調器のEAバイアス電圧と消光比(ER)との関係を示すグラフである。
【図6】図1に示すメモリ回路に記録したテーブル情報を示す図である。
【図7】図1に示す制御回路に一時格納したテーブル情報と使用する設定値(バイアス電圧)とを示す図である。
【図8】実施形態におけるテーブル情報の作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態における温度制御処理および光出力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る光送信装置を含む光送受信装置の一実施形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
【0019】
(光送受信装置の構成)
図1において、光送受信装置10は、他の光通信装置から伝送される光信号を光ファイバAを介して光受信器(光受信装置)12にて受信して電気信号に変換し、変換した受信信号データを制御回路14の出力Bから出力し、別の接続機器から制御回路14に与えられる入力データCを光送信器(光送信装置)16にて光信号とし、光信号を光送信器16から光ファイバDに送出する送受信機能を有する光トランシーバである。
【0020】
実施形態における光送信器16は、とくに制御回路14が行う温度制御と出力制御とによって良好な出力特性にて動作可能に構成されている。
【0021】
詳しくは光送信器16は、レーザダイオード(LD: Laser Diode)20にて発生したレーザ光をEA(Electro Absorption:電界吸収型)変調器22を通して光変調して、光ファイバDに送出する。光送信器16には、さらに、EA変調器22の近傍に備えられ、EA変調器22の温度を調節するための熱電クーラ(TEC: Thermo Electric Cooler)24と、EA変調器22の近傍に備えられ、その温度を検出するための変調器温度検出素子26と、レーザダイオード(LD)20のレーザ光を受光し、その光強度を検出するための光強度検出素子28とが共通の基台に備えられている。
【0022】
レーザダイオード(LD)20は、LD駆動回路30から与えられる順方向の駆動電流に応じてレーザ光を発生する光源である。LD駆動回路30は、接続線Eを介して制御回路14に接続され、制御回路14の制御に基づいて駆動電流を生成する。
【0023】
EA変調器22は、EAバイアス発生回路32から逆バイアスで印加されるEAバイアス電圧に応じて動作点が設定され、レーザダイオード20から発したレーザ光の吸収率を主信号データに基づいて変化させてレーザ光を強度変調する。主信号データは制御回路14から接続線Fを介してEA変調器22に入力され、このEA変調器22は、EAバイアス電圧とEA変調器22の温度(EA変調器温度)とに応じた消光比の変調光を出力する。また、EAバイアス発生回路32は、接続線Gを介して制御回路14に接続され、制御回路14の制御に基づいてEAバイアス電圧をEA変調器22に印加する。
【0024】
熱電クーラ(TEC)24は、TEC駆動回路34から供給される駆動電流の極性に応じて放熱および吸熱を行って、EA変調器22を加熱および冷却する温度制御素子であり、たとえば、放熱および吸熱の切り替えが可能なペルチェ素子が適用される。熱電クーラ24は、EA変調器22の近傍に温度伝達可能に備えられ、EA変調器22のEA変調器温度(TEA)を調節するように構成されている。TEC駆動回路34は、接続線Hを介して制御回路14に接続され、制御回路14の制御に基づいて駆動電流を生成する。
【0025】
変調器温度検出素子26は、上記EA変調器温度(TEA)を検出するようにEA変調器22の近傍に温度検出可能に備えられ、たとえば、温度に応じた抵抗値変化を示すサーミスタ素子が適用される。変調器温度検出素子26は、接続線を介して変調器温度モニタ回路36に接続されている。変調器温度モニタ回路36は、変調器温度検出素子26の抵抗変化に基づいてEA変調器温度を監視し、その監視結果を表すデータを接続線Iを介して制御回路14に出力する。
【0026】
光強度検出素子28は、レーザダイオード20から発したレーザ光の一部をEA変調器22を介して受光し、その受光量に応じたレベルの信号を生成する検出素子であり、たとえばフォトダイオードが適用される。光強度検出素子28の出力は、光出力強度モニタ回路38に接続されて、光出力強度モニタ回路38は、光強度検出素子28の出力からレーザ光の光強度を監視する。光出力強度検出回路38は、その監視の結果得られる光強度データを接続線Jを介して制御回路14に出力する。
【0027】
光送受信装置10には、本装置の筐体内温度、すなわちケース温度(TC)を検出するケース温度検出素子40が備えられ、ケース温度検出素子40は、たとえば、温度に応じて抵抗値変化を示すサーミスタ素子が適用される。ケース温度検出素子40は、接続線を介してケース温度モニタ回路42に接続され、ケース温度モニタ回路42は、温度を測定し、その測定結果を表すデータを接続線Kを介して制御回路14に出力する。
【0028】
制御回路14は、光送信器16および光受信器12における光信号の送信/受信をそれぞれ制御する送受信制御機能と、光送信器16内の温度を予め設定した範囲に制御する温度制御機能と、光送信器16から出力する光信号を安定させる出力制御機能とを含み、本送受信装置10全体の動作を制御する主制御部である。制御回路14は、接続線Lを介して接続されたメモリ回路44に記録されるテーブル情報に基づいて、温度制御と出力制御とを実行する。制御回路14には、これら制御処理を行うための中央処理プロセッサ、制御プログラムやデータを格納するROM、RAMなどの記憶回路が備えられている。
【0029】
制御回路14は、テーブル情報を高速に読み書きするために、温度制御および出力制御に必要なテーブル情報を予めメモリ回路44から読み出して一時的に格納する内部メモリ46を有している。また、制御回路14は、メモリ回路44に記録しておくテーブル情報を作成するテーブル情報作成処理機能を有している。メモリ回路44は、たとえば電気的に書き換え可能なEEPROMやフラッシュメモリなどの記憶回路が有利に適用される。
【0030】
ここで制御回路14の機能構成を図2に示した機能構成図を参照して詳細に説明する。図示するように制御回路14は、主として温度制御に関係する構成として、接続線Kを介してケース温度モニタ回路42に接続されたケース温度測定処理部50と、接続線Iを介して変調器温度モニタ回路36に接続された変調器温度測定処理部52とを有している。
【0031】
また、温度制御に関係する構成として制御回路14は、高温側基準温度を設定する高温側基準温度設定処理部54および低温側基準温度を設定する低温側基準温度設定処理部56にそれぞれ接続され、高温側基準温度および低温側基準温度のそれぞれをケース温度と比較するケース温度比較処理部58と、ケース温度比較処理部58に接続され、ケース温度の比較結果に基づいて、高温側基準温度、低温側基準温度およびケース温度の大小関係を判定する温度判定処理部60とを有している。
【0032】
さらに、温度制御に関係する構成として制御回路14は、温度判定処理部60に接続された温度制御判断処理部62と、この温度制御判断処理部62に接続されたTEC駆動制御部64と、高温側基準温度設定処理部54、低温側基準温度設定処理部56および変調器温度測定処理部52にそれぞれ接続された停止判定処理部66とを有している。
【0033】
詳しくは、ケース温度測定処理部50は、ケース温度モニタ回路42にて測定した測定結果を示すデータを入力し、これをケース温度(TC)として保持する処理部である。このケース温度の温度測定は、予め設定されたタイミング毎に継続して繰り返し、ケース温度モニタ回路42の監視結果が変化すると、その変化した値に保持値を更新する。
【0034】
変調器温度測定処理部52は、変調器温度モニタ回路36の監視結果を示すデータを入力し、これをEA変調器温度(TEA)として保持する処理部である。このEA変調器温度の温度測定は、予め設定されたタイミング毎に継続して繰り返し、変調器温度モニタ回路36の監視結果が変化すると、その変化した値に保持値を更新する。
【0035】
高温側基準温度設定処理部54は、ケース温度(TC)の高温側基準温度(T_heat)を示す値を保持し、必要に応じて各機能部に設定する処理部であり、また、低温側基準温度設定処理部56は、ケース温度(TC)の低温側基準温度(T_cool)を示す値を保持し、必要に応じて各機能部に設定する処理部である。これらの高温側基準温度(T_heat)および高温側基準温度(T_heat)は、メモリ回路44(図1)に保存されてもよく、その場合は、高温側基準温度設定処理部54および低温側基準温度設定処理部56のそれぞれは、メモリ回路44から各基準温度の値を読み出して、これを保持するようにしてもよい。
【0036】
ケース温度比較処理部58は、ケース温度(TC)と、高温側基準温度(T_heat)および低温側基準温度(T_cool)とをそれぞれ比較する処理部であり、その比較の結果を温度判定処理部60に送る。
【0037】
温度判定処理部60は、ケース温度比較処理部58の比較結果に基づいて、ケース温度が高温側基準温度以上(TC≧T_heat)であるか否かを判定し、また、ケース温度が低温側基準温度以下(TC≦T_cool)であるか否かを判定し、さらに、ケース温度が、高温側基準温度未満(TC<T_heat)かつ低温側基準温度を超えている(TC>T_cool)か否かを判定する。温度判定処理部60は、その判定の結果を温度制御判断処理部62に送る。
【0038】
温度制御判断処理部62は、温度判定処理部60の判定の結果に基づいて、熱電クーラ24(図1)を冷却する、加熱する、および冷却・加熱をともに行わないのいずれかに制御するかを決定する処理部である。
【0039】
具体的には温度制御判断処理部62は、温度判定処理部60が、ケース温度が高温側基準温度以上(TC≧T_heat)であるとの判定結果を示した場合に、熱電クーラ24を冷却する制御を行うことを決定をする。また、温度制御判断処理部62は、温度判定処理部60が、ケース温度が低温側基準温度以下(TC≦T_cool)であるとの判定結果を示した場合に、熱電クーラ(TEC)24(図1)を加熱する制御を行うことを決定をする。さらに、温度制御判断処理部62は、温度判定処理部60が、ケース温度が、高温側基準温度未満(TC<T_heat)かつ低温側基準温度を超えている(TC>T_cool)との判定結果を示した場合に、熱電クーラ24(図1)に対して冷却および加熱を行わないことを決定する。
【0040】
温度制御判断処理部62のこれらの決定の情報は、TEC駆動制御部64に送られて、TEC駆動制御部64は、温度制御判断処理部62の決定に応じた制御信号を出力する。TEC駆動制御部64の出力は、制御回路14の出力を構成し接続線Hを介して図1に示したTEC駆動回路34に接続されている。TEC駆動回路34は、冷却の場合と加熱の場合とでは逆極性の駆動電流を熱電クーラ24に供給することで、熱電クーラ24の冷却(吸熱)および加熱(放熱)を切り替える。TEC駆動回路34は、冷却および加熱の両方とも行わない場合には電流供給を停止する。
【0041】
ここで、図3を参照すると、制御回路14の制御を受けた光送信器16におけるケース温度TCと、EA変調器温度との関係が示されている。同図では横軸にケース温度(TC)、縦軸にEA変調器温度(TEA)を表している。図示するように、ケース温度が低温側基準温度以下(TC≦T_cool)の範囲300では、温度制御判断処理部62の決定に応じた制御を受けて、TEC駆動回路34は熱電クーラ24を放熱させて、EA変調器温度(TEA)の低下を防止するので、その温度が維持される。
【0042】
また、ケース温度が高温側基準温度以上(TC≧T_heat)の範囲302では、温度制御判断処理部62の制御を受けて、TEC駆動回路34は熱電クーラ24を吸熱させて、EA変調器温度(TEA)の上昇を防止するので、その温度が維持される。このような温度制御を実行することで、EA変調器温度(TEA)をEA変調器22(図1)の動作範囲内に納めることができるとともに、より広範囲のケース温度の環境にて使用することが可能となっている。
【0043】
さらに高温側基準温度未満(TC<T_heat)かつ低温側基準温度を超えている(TC>T_cool)の範囲304では、温度制御判断処理部62は、熱電クーラ(TEC)24(図1)に対して冷却および加熱を行わないことを決定するので、放熱および吸熱が行われていればそれが停止される。したがってこの範囲304では、熱電クーラ24を駆動することによる電力消費をなくすることができる。この場合、EA変調器温度(TEA)は、ケース温度の変化に伴って変化する。その際に後述するEAバイアス電圧設定処理機能によって出力制御が適切に行われることで、EA変調器22の出力特性が良好に得られる。
【0044】
図2に戻って、停止判定処理部66は、熱電クーラ24に対して冷却制御および加熱制御が行われている場合に、変調器温度測定処理部52にて得られるEA変調器温度に応じてそれらを停止(オフ)させるための処理部である。変調器温度測定処理部52は、変調器温度モニタ回路36の出力が接続線Iを介して接続されて、変調器温度検出素子26(図1)の温度を監視した結果を表すデータを入力し、これをEA変調器温度(TEA)として保持する処理部である。このEA変調器温度の温度測定は、予め設定されたタイミング毎に継続して繰り返し、変調器温度モニタ回路36の監視結果が変化すると、その変更した値に保持値を更新する。停止判定処理部66は、変調器温度測定処理部52にて測定されたEA変調器温度に基づいて、熱電クーラ24に対する冷却制御および加熱制御を停止するか否かを判定する。停止判定処理部66の出力は上述した温度制御判断処理部62に接続されている。
【0045】
また、制御回路14は、主にEA変調器22に対するバイアス制御に関係する構成として、消光比設定処理部70と、この消光比設定処理部70に接続された設定値入力処理部72と、この設定値入力処理部72に接続された組合せ保存処理部74と、この組合せ保存処理部74に接続された設定値読出処理部76と、この設定値読出処理部76に接続された設定値選択処理部78と、この設定値選択処理部78に接続されたバイアス電圧設定処理部80とを有している。
【0046】
詳しくは、消光比設定処理部70は、光送信器16から出力されるレーザ光の消光比を予め設定する処理部である。この消光比とは、2値信号に対応する光出力強度の比である。後述するメモリ回路44のテーブル情報には、設定される消光比に対応するテーブル情報が記録される。設定される消光比は1種類であってもよく、また、複数種類設定されるものでもよい。複数種類の消光比を設定する場合には、設定される消光比のそれぞれ対応するテーブル情報がメモリ回路44に記録される。
【0047】
設定値入力処理部72は、消光比設定処理部70が設定する消光比に応じたテーブル情報をメモリ回路44から読み出して入力する処理部である。
【0048】
組合せ保存処理部74は、設定値入力処理部72が読み出したテーブル情報を予め設定された記憶領域に保存する処理部である。この記憶領域を図1に示す構成例では制御回路14内の内部メモリ46として表している。組合せ保存処理部74は、図7に示すように、EA変調器温度(TEA)とEAバイアス電圧との組合せを内部メモリ46に一時格納する。
【0049】
図2に戻って、設定値読出処理部76は、組合せ保存処理部74が内部メモリ46に保存したEA変調器温度とEAバイアス電圧とのうち、設定値選択処理部78にて選択される条件に対応する組合せをその記憶領域から読み出す処理部である。
【0050】
具体的には、まず、設定値選択処理部78は、温度判定処理部60にて、ケース温度が高温側基準温度以上(TC≧T_heat)であると判定した場合に、現在のEA変調器温度(TEA)の値に対応するEAバイアス電圧設定値を選択せず、高温側基準温度(T_heat)の値に対応するEAバイアス電圧設定値を選択する。また、設定値選択処理部78は、温度判定処理部60にて、ケース温度が低温側基準温度以下(TC≦T_cool)であると判定した場合に、現在のEA変調器温度(TEA)の値に対応するEAバイアス電圧設定値を選択せず、低温側基準温度(T_cool)の値に対応するEAバイアス電圧設定値を選択する。さらに、設定値選択処理部78は、温度判定処理部60にて、ケース温度が、低温側基準温度を超え、かつ高温側基準温度未満(T_cool<TC<T_heat)と判定した場合に、現在のEA変調器温度(TEA)の値に対応するEAバイアス電圧設定値を選択する。
【0051】
設定値読出処理部76は、設定値選択処理部78が選択したEAバイアス電圧設定値を、内部メモリ46から読み出し、読み出した値をバイアス電圧設定処理部80に指示する処理部である。また、設定値読出処理部76は、図7に示すように、読み出した値を現在使用するEAバイアス電圧として組合せ保存処理部74に送って、組合せ保存処理部74はこの現在使用するEAバイアス電圧値を内部メモリ46に保存して更新する。
【0052】
バイアス電圧設定処理部80は、設定値読出処理部76にて読み出されたEAバイアス電圧設定値を接続線Gを介して接続されたEAバイアス発生回路32(図1)に出力する。図1に示すEAバイアス発生回路32は、EAバイアス電圧設定値に応じたEAバイアス電圧を発生する回路であり、発生したEAバイアス電圧を光送信器16内のEA変調器22に供給する。
【0053】
図2に戻って、制御回路14は、テーブル情報の作成に関係する構成として、接続線Jを介して光出力モニタ回路38(図1)に接続された光強度検出処理部82と、この光強度検出処理部82に接続されたテーブル作成処理部84とを有している。
【0054】
光強度検出処理部82は、光出力モニタ回路38(図1)にて監視した光強度を検出し、検出した光強度をテーブル作成処理部84と、LD出力制御部86とにそれぞれ出力する処理部である。
【0055】
テーブル作成処理部84は、光送信器16に対する温度制御と出力制御とを行うためのテーブル情報を作成する処理部である。
【0056】
詳細には、テーブル作成処理部84は、EA変調器温度(TEA)対消光比(ER)の特性曲線Aを表す数値データ群を取得し、また、これら取得した数値データ群からEAバイアス電圧対消光比(ER)の特性曲線Bを作成する特性抽出処理機能を有する。この特性抽出処理が機能して作成したグラフをそれぞれ図4および図5に示す。
【0057】
図4にはEA変調器温度(TEA)対消光比(ER)の関係を表す特性曲線Aが描かれた特性グラフ400が示されている。この特性グラフ400は、横軸にEA変調器温度(TEA)を表し、縦軸に消光比(ER)を表している。
【0058】
ここで、曲線V1は、EAバイアス電圧を-1.5 [V]に設定したときの特性であり、曲線V2は、EAバイアス電圧を-2.0 [V]に設定したときの特性であり、曲線V3は、EAバイアス電圧を-2.5 [V]に設定したときの特性である。また、図中の範囲402は、消光比ERが-5 [dB]のときのEA変調器温度(TEA)が、摂氏7度〜64度の範囲であることを例として示している。特性グラフ400では、図の煩雑化を避けるためにEAバイアス電圧V1〜V3のみの一部の特性曲線A(V1〜V3)を示しているが、実際にはさらに他のEAバイアス電圧を設定して得られる他の特性曲線が詳細に得られている。また、近似補間処理を実行することにより、さらに他のEAバイアス電圧に対応する特性曲線が詳細に得られる。
【0059】
また、図5には、EAバイアス電圧対消光比(ER)の関係を表す特性グラフ500が示されている。この特性グラフ500は、横軸にEAバイアス電圧を表し、縦軸に消光比(ER)を表している。また、特性グラフ500では、図の煩雑化を避けるためにEA変調器温度T1〜T4のみの一部の特性曲線B(T1〜T4)を示しているが、上記と同様に他のEA変調器温度で得られる他の特性曲線も詳細に得られていて、また、近似補間処理を実行することにより、さらに他のEA変調器温度に対応する特性曲線が詳細に得られる。この特性曲線におけるEA変調器温度T1〜T4は、大きい順にT1>T2>T3>T4の大小関係となっている。また、レーザダイオード(LD)20(図1)を駆動する駆動電流が一定の場合の特性である。また、ここでは、消光比(ER)が-5 [db]であるときにそれぞれ交わる特性曲線のEA変調器温度T1〜T4の範囲内に、範囲502が含まれていることを例として示している。この場合、範囲502に対応するEAバイアス電圧が、-1.5 [V]〜-2.5 [V]であることが導き出せる。
【0060】
テーブル作成処理部84は、これら特性グラフ400および500の各数値データ群を使用して、図6に示すようなテーブル情報600を複数の消光比毎に作成する処理機能を有し、作成したテーブル情報600をメモリ回路44に記録する。図6では、消光比ER1〜ER3についてそれぞれ、EA変調器温度TEA(T1〜Tn)と、これに対応するEAバイアス電圧設定値(V1〜Vn)とを含むテーブル情報が示されている。
【0061】
図4に示した特性グラフ400を表す数値データ群を取得するための機能構成として、テーブル作成処理部84は、EA変調器温度を変化させながら消光比を測定し、そのときの値を複数のEAバイアス電圧についてそれぞれサンプリングし取得する処理機能を有している。
【0062】
また、テーブル作成処理部84は、図5に示した特性グラフ500を表す数値データ群を取得するための機能構成として、図4に示した特性グラフ400の数値データ群を使用して図5に示す特性グラフ500を作成する処理機能を有している。この特性グラフ500を作成するための処理機能として、EAバイアス電圧を変化させながら消光比を測定し、そのときの値を複数のEA変調器温度についてそれぞれサンプリングし取得する機能を有してもよい。また、テーブル作成処理部84は、上記特性グラフ400を作成する際に、サンプル点以外の値を近似補間処理で生成し、より詳細な特性曲線を得る処理機能を有している。
【0063】
テーブル作成処理部84は、作成した特性グラフ400および500に基づいてテーブル情報を作成する際に、消光比を選択し、選択した消光比(ER)を条件として、EAバイアス温度(TEA)に対応するEAバイアス電圧を、特性グラフ400の数値データに基づいて取得する処理機能を有している。
【0064】
また、テーブル作成処理部84は、設定した消光比(ER)で、EA変調器温度(TEA)の範囲内に収まるEAバイアス電圧とEA変調器温度(TEA)との組合せを特性グラフ500の数値データに基づいて確認し、その対応をテーブル情報600に組み入れる処理機能を有している。さらに、テーブル作成処理部84は、EAバイアス電圧とEA変調器温度(TEA)との対応をテーブル化して、メモリ回路44に記録する処理機能を有している。
【0065】
図2に戻って、制御回路14は、レーザ光の出力強度を調節するための構成として、LD出力制御部86を有する。LD出力制御部86は、光出力強度検出処理部82で検出した光強度に基づいて、レーザダイオード(LD)20(図1)から出力されるレーザ光の強度を、予め設定された強度に調節するようにLD駆動回路30を制御する機能を有し、LD駆動回路30は、この制御に応じてレーザダイオード20を発光させる駆動電流を調節する。
【0066】
(テーブル情報作成処理動作)
ここで、テーブル情報600の作成処理の動作を図8を参照して説明する。まず、制御回路14が、熱電クーラ24をたとえば冷却から加熱の方向に制御してEA変調器22の温度を可変させる。この場合、十分な加熱および冷却を行うために、必要に応じてEA変調器22の設置環境温度を変化させたり、EA変調器22の外部から強制的に冷却および加熱したりすることができる。
【0067】
このようにEA変調器温度(TEA)を変化させた状態にて、テーブル作成処理部84は、複数のEAバイアス電圧をEA変調器22に供給し、それぞれのEA変調器温度時における消光比(ER)を測定する。こうしてEA変調器温度(TEA)対消光比(ER)の特性曲線Aを示す値が複数のEAバイアス電圧についてそれぞれ取得される(図8:ステップS800)。
【0068】
特性曲線Aを示す値が取得されると、サンプル点の値を使用して近似補間処理し、サンプル点以外の値をさらに算出する(図8:ステップS801)。こうして複数のEAバイアス電圧毎の特性曲線A(図4)が得られる。
【0069】
次に、テーブル作成処理部84は、特性曲線Aを表す値からEAバイアス電圧対消光比(ER)の特性曲線Bを作成する。こうして複数のEA変調器温度についての特性曲線Bが作成される(図8:ステップS802)。
【0070】
次いで、テーブル作成処理部84は、特定の消光比を選択して設定し(図8:ステップS803)、設定した消光比(ER)を条件として、EA変調器温度(TEA)に対応するEAバイアス電圧を、特性曲線Aを示す数値データから取得する(図8:ステップS804)。たとえば消光比(ER)を-5 [dB]に選択した場合に、図4に示す特性曲線Aでは、その消光比に対応する曲線V3および曲線V1のバイアス電圧V3およびV1が、それぞれ対応しているEA変調器温度(TEA)の摂氏7度および64度の各値とともに取得される。
【0071】
さらに、テーブル作成処理部84は、設定した消光比(ER)を条件として、その消光比が得られるEA変調器温度(TEA)の範囲内に収まっているEAバイアス電圧とEA変調器温度(TEA)とを特性曲線B(図5)に基づいて対応付ける。(図8:S805)ここでは、図5に示す範囲502のように、消光比(ER)が-5 [dB]である範囲T1〜T4内に範囲502が含まれているので、EAバイアス電圧V1〜V3と、これら電圧が得られる際のEA変調器温度(TEA)の値とが対応付けられる。
【0072】
次に、テーブル作成処理部84は、対応付けられたEAバイアス電圧とEA変調器温度(TEA)とをテーブル化し、テーブル情報600としてメモリ回路44に記録する(図8:ステップS806)。
【0073】
他の消光比について、さらに作成するか否かを判定し、(図8:ステップS807)作成する場合には、所望する他の消光比の値を設定し(図8:ステップS803)、以降の処理を実行する。
【0074】
以上のようにして、複数の消光比に対応するテーブル情報600がメモリ回路44に作成される。
【0075】
このテーブル情報600の作成処理は、たとえば、本光送信器16の製造時に行われるとよく、また、製品出荷後の稼働時等、必要に応じて行われるようにしてもよい。
【0076】
(光送受信装置の温度制御および出力制御の動作)
次に、本実施形態における光送受信装置の動作を図9を参照して以下に説明する。
【0077】
最初に、所望する消光比として、たとえば消光比ER1が消光比設定処理部70にて設定され、高温側基準温度(T_heat)が高温側基準温度設定処理部54にて設定され、さらに低温側基準温度(T_cool)が低温側基準温度設定処理部にて設定される(図9:ステップS900)。
【0078】
次に、設定された消光比ER1に対応するテーブル情報600に含まれるEA変調器温度(TEA)とEAバイアス電圧設定値との組合せ内容がメモリ回路22から設定値入力処理部72に読み出され、読み出された内容は組合せ保存処理部74が制御回路14内の内部メモリ46に一時格納する(ステップS901)。
【0079】
次に、ケース温度(TC)とEA変調器温度(TEA)とがそれぞれ測定されて(図9:ステップS902)、ケース温度(TC)と、高温側および低温側基準温度(T_cool, T_heat)とがそれぞれ比較される(ステップS903)。
【0080】
この比較の結果、ケース温度が低温側基準温度(T_cool)以下(TC≦T_cool)であると判定されると(図9:ステップS904/低温側基準温度以下判定工程)、EA変調器温度が低温側基準温度よりも小さい(TEA<T_cool)か否かが比較される(図9:ステップS905)。
【0081】
EA変調器温度が低温側基準温度よりも小さい場合(TEA<T_cool)に、EA変調器温度(TEA)が低温側基準温度(T_cool)となるように、温度制御判断処理部62は、熱電クーラ24を放熱させる加熱制御を行う(図9:ステップS906/加熱制御工程)。
【0082】
次に、EA変調器温度(TEA)が低温側基準温度(T_cool)と同じ値であるEAバイアス電圧の設定値が設定値読出処理部76の機能によって内部メモリ46から読み出される(図9:ステップS907)。読み出した設定値は、現在使用するEAバイアス電圧値として内部メモリ46に格納し、内部メモリ46内の情報が最新の情報に更新されるとともに、バイアス電圧設定処理部80は、更新したEAバイアス電圧値を生成する制御を行う(図9:S908、S909/低温側バイアス設定工程)。
【0083】
次に、終了判定処理が行われて、継続する場合には、ケース温度(TC)とEA変調器温度(TEA)とを温度測定する処理(図9:ステップS902)に戻って、以降の処理が行われる。
【0084】
次に、ケース温度と、予め設定された低温側および高温側基準温度(T_cool, T_heat)とをそれぞれ比較した結果(図9:ステップS903/比較工程)、ケース温度が高温側基準温度以上である(TC≧T_heat)と判定された場合(図9:ステップS911/高温側基準温度以上判定工程)では、EA変調器温度(TEA)が高温側基準温度(T_heat)よりも大きいか否かが比較される(図9:ステップS912)。
【0085】
EA変調器温度(TEA)が高温側基準温度(T_heat)よりも大きかった場合に、EA変調器温度(TEA)が高温側基準温度(T_heat)となるように、温度制御判断処理部62は、熱電クーラ24を吸熱させる冷却制御を行う(図9:ステップS913/冷却制御工程)。
【0086】
次に、EA変調器温度(TEA)が高温側基準温度(T_heat)と同じ値であるEAバイアス電圧の設定値が設定値読出処理部76の機能によって内部メモリ46から読み出される(ステップS914)。次に、内部メモリ46から設定値読出処理部76が読み出した設定値を、現在使用するEAバイアス電圧値として内部メモリ46に格納し、内部メモリ46を更新するとともに、バイアス電圧設定処理部80は、更新したEAバイアス電圧値を生成する制御を行う(図9:ステップS908、S909/高温側バイアス設定工程)。
【0087】
次に、終了判定処理が行われて、継続する場合には、ケース温度とEA変調器温度とを温度測定する処理(図9:ステップS902)に戻って、以降の処理が行われる。
【0088】
次に、ケース温度と、低温側および高温側基準温度とをそれぞれ比較した(図9:ステップS903)結果、低温側基準温度よりもケース温度が大きく、さらにケース温度よりも高温側基準温度が大きい(T_cool<TC<T_heat)と判定された場合では(図9:ステップS915/温度判定工程)、加熱制御をしていた場合にはその加熱を停止し、逆に冷却制御をしていた場合にはその冷却を停止するように温度制御判断処理部62の制御が行われる(図9:ステップS916)。
【0089】
これらの制御は、上述したステップS905およびステップS912にて、それぞれ否定判定(No)だった場合、すなわち、それぞれ、EA変調器温度(TEA)が低温側基準温度(T_cool)以上であった場合およびEA変調器温度(TEA)が高温側基準温度(T_heat)以下であった場合にもこの停止制御がそれぞれ行われる(図9:ステップS916)。
【0090】
次いで、EA変調器温度(TEA)に対応するEAバイアス電圧の設定値が内部メモリ46から設定値読出処理部76に読み出される(図9:ステップS917)。
【0091】
その後、上述したように、読み出した設定値を現在使用するEAバイアス電圧値として内部メモリ46の保持値を更新し(図9:ステップS908)、バイアス電圧設定処理部80は、更新したEAバイアス電圧値を生成する制御を行う(図9:ステップS909)。
【0092】
さらに終了判定処理が行われて、継続する場合には、ケース温度(TC)とEA変調器温度(TEA)とを温度測定する処理(図9:ステップS902)に戻って、以降の処理が行われる。
【0093】
上記実施例の温度制御および光出力制御は、それぞれ温度変化を検出してから制御を行うフィードバック制御以外に、温度変化を予測して制御を行うフィードフォワード制御も適用することができる。
【0094】
ここで、上述した実施形態における動作にあって、上記各工程で実行される各実行内容をプログラム化し、そのプログラムをコンピュータに機能させるようにしてもよい。この場合、本プログラムは、非一時的な記録媒体、たとえば、DVD(商標)、CD(商標)、フラッシュメモリなどに読み出し可能に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0095】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態の光送受信装置10によれば、制御回路14は、EA変調器温度とEAバイアス電圧とを用いて所望する消光比が得られるようにする設定値を予めメモリ回路44にテーブル情報600(図6)として作成し、この作成したテーブル情報600に基づいてEA変調器22に対する温度制御と出力制御とを実行するので、低温側基準温度から高温側基準温度までの範囲304(図3)内では電力消費を削減することができる。また、その範囲304内ではEA変調器22の温度に応じたEAバイアス電圧を設定することで、EA変調器22の出力を安定化することができる。
【0096】
また、ケース温度が低温側基準温度以下および高温側基準温度以上の範囲300、302(図3)では、それぞれEA変調器22に対し加熱および冷却のいずれかを行ってその温度を一定化するともに、それぞれ予め設定したバイアス電圧をEA変調器22に与えて、EA変調器22の出力を安定化させることができる。
【0097】
これらの結果、広範囲の温度条件で良好な光出力特性が得られるとともに、電力消費を大幅に低減させることができる。
【0098】
上述した各実施形態については、その新規な技術内容をまとめると、以下のようになる。
【0099】
ここで、上記各実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
(付記1)
レーザ光を発する光源と、前記レーザ光を変調する変調器と、前記変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、前記変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、
前記光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、前記変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、前記光送信部、前記主制御部および前記メモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備え、
前記主制御部は、
前記筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合に機能し、前記変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止する機能と、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にある場合に機能し、前記温度制御素子を加熱制御するとともに、前記低温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する機能と、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に機能し、前記温度制御素子を冷却制御するとともに、前記高温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する機能とを備えていることを特徴とする光送信装置。
(付記2)
付記1に記載の装置において、
前記主制御部は、前記筐体温度が前記低温側基準温度および前記高温側基準温度の範囲内にある場合に機能し、前記変調器用のバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器温度に対応するバイアス電圧に設定する機能を備えていることを特徴とする光送信装置。
(付記3)
付記1に記載の装置において、
前記テーブル情報は、予め前記変調器の使用目的に応じて特定される消光比を設定し、前記消光比が得られる変調器温度とバイアス電圧との対応に基づいて作成された情報であることを特徴とする光送信装置。
(付記4)
付記3に記載の装置において、
前記主制御部は、前記テーブル情報を作成して前記メモリ部に記録するテーブル作成処理部を予め備えていることを特徴とする光送信装置。
(付記5)
付記1に記載の装置において、前記主制御部は、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にあって前記温度制御素子を加熱制御している場合に機能し、前記変調器温度が前記低温側基準温度以上である場合には前記加熱制御を停止制御すると共に、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にあって前記温度制御素子を冷却制御している場合に機能し、前記変調器温度が前記高温側基準温度以下である場合には前記冷却制御を停止制御する停止判定制御機能を有することを特徴とする光送信装置。
(付記6)
付記1ないし5のいずれか一項に記載の光送信装置と、伝送される光信号を光ファイバを介して受信する光受信装置とを備えたことを特徴とする光送受信装置。
(付記7)
レーザ光を発する光源と、前記レーザ光を変調する変調器と、前記変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、前記変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、前記光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、前記変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、前記光送信部、前記主制御部および前記メモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備えて成る光送信装置にあって、
前記筐体温度検出素子により検出される前記筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合に(温度判定工程)、前記変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止し(加熱冷却停止工程)、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にある場合に(低温側基準温度以下判定工程)、前記変調器温度が前記低温側基準温度になるように前記温度制御素子を加熱制御する(加熱制御工程)と共に前記低温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定し(低温側バイアス設定工程)、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に(高温側基準温度以上判定工程)、前記変調器温度が前記高温側基準温度になるように前記温度制御素子を冷却制御する(冷却制御工程)と共に前記高温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定し(高温側バイアス設定工程)、
これらの各設定制御動作を前記主制御部が順次実行することを特徴とする光送信装置用動作制御方法。
(付記8)
付記7に記載の方法において、
前記筐体温度が予め設定した低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合(温度判定工程)に、前記変調器用のバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器温度に対応するバイアス電圧に前記主制御部が設定(温度範囲内バイアス電圧設定工程)することを特徴とする光送信装置用動作制御方法。
(付記9)
付記7に記載の方法において、
予め前記変調器の使用目的に応じて特定される消光比を設定し、前記消光比が得られる変調器温度とバイアス電圧との対応に基づいて前記テーブル情報を作成する(テーブル作成処理工程)ことを特徴とする光送信装置用動作制御方法。
(付記10)
レーザ光を発する光源と、前記レーザ光を変調する変調器と、前記変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、前記変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、前記光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、前記変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、前記光送信部、前記主制御部および前記メモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備えて成る光送信装置にあって、
前記筐体温度検出素子により検出される前記筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の温度範囲内にあることを判定する温度範囲内判定機能、
前記筐体温度が前記温度範囲内の場合に機能し前記変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止する加熱冷却停止制御機能、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にあることを判定する低温側基準温度以下判定機能、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下である場合に機能し前記温度制御素子を加熱制御する低温側基準温度以下加熱機能、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下である場合に機能し前記低温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する低温側バイアス設定機能、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にあることを判定する高温側基準温度以上判定機能と、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に機能し前記温度制御素子を冷却制御する高温側基準温度以上冷却機能、
および前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に機能し前記高温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する高温側バイアス設定機能を設け、
これらの機能を前記主制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする光送信装置用動作制御プログラム。
(付記11)
付記10に記載のプログラムにおいて、前記筐体温度が前記温度範囲内の場合に機能し前記変調器用のバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器温度に対応するバイアス電圧に設定する温度範囲内バイアス電圧設定機能を備える構成としたことを特徴とする光送信装置用動作制御プログラム。
(付記12)
付記10に記載のプログラムにおいて、予め前記変調器の使用目的に応じて特定される消光比を設定し、前記消光比が得られる変調器温度とバイアス電圧との対応に基づいて前記テーブル情報を作成するテーブル作成処理機能を備える構成としたことを特徴とする光送信装置用制御プログラム。
【符号の説明】
【0100】
10 光送受信装置
12 光受信器(光受信部)
14 制御回路(主制御部)
16 光送信器(光送信部)
20 レーザダイオード(LD、光源)
22 EA変調器(変調器)
24 温熱クーラ(TEC、温度制御素子)
26 変調器温度検出素子
36 変調器温度モニタ回路
40 ケース温度検出素子(筐体温度検出素子)
42 ケース温度モニタ回路
44 メモリ回路(メモリ部)
58 ケース温度比較処理部
60 温度判定処理部
62 温度制御判断処理部
64 TEC駆動制御部
70 消光比設定処理部
72 設定値入力処理部
74 組合せ保存処理部
78 設定値選択処理部
76 設定値読出処理部
80 バイアス電圧設定処理部
84 テーブル作成処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発する光源と、前記レーザ光を変調する変調器と、前記変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、前記変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、
前記光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、前記変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、前記光送信部、前記主制御部および前記メモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備え、
前記主制御部は、
前記筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合に機能し、前記変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止する機能と、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にある場合に機能し、前記温度制御素子を加熱制御するとともに、前記低温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する機能と、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に機能し、前記温度制御素子を冷却制御するとともに、前記高温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する機能とを備えていることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記主制御部は、前記筐体温度が前記低温側基準温度および前記高温側基準温度の範囲内にある場合に機能し、前記変調器用のバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器温度に対応するバイアス電圧に設定する機能を備えていることを特徴とする光送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記テーブル情報は、予め前記変調器の使用目的に応じて特定される消光比を設定し、前記消光比が得られる変調器温度とバイアス電圧との対応に基づいて作成された情報であることを特徴とする光送信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記主制御部は、前記テーブル情報を作成して前記メモリ部に記録するテーブル作成処理部を予め備えていることを特徴とする光送信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記主制御部は、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にあって前記温度制御素子を加熱制御している場合に機能し、前記変調器温度が前記低温側基準温度以上である場合には前記加熱制御を停止制御すると共に、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にあって前記温度制御素子を冷却制御している場合に機能し、前記変調器温度が前記高温側基準温度以下である場合には前記冷却制御を停止制御する停止判定制御機能を有することを特徴とする光送信装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光送信装置と、伝送される光信号を光ファイバを介して受信する光受信装置とを備えたことを特徴とする光送受信装置。
【請求項7】
レーザ光を発する光源と、前記レーザ光を変調する変調器と、前記変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、前記変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、前記光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、前記変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、前記光送信部、前記主制御部および前記メモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備えて成る光送信装置にあって、
前記筐体温度検出素子により検出される前記筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合に、前記変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止し、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にある場合に、前記変調器温度が前記低温側基準温度になるように前記温度制御素子を加熱制御すると共に前記低温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定し、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に、前記変調器温度が前記高温側基準温度になるように前記温度制御素子を冷却制御すると共に前記高温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定し、
これらの各設定制御動作を前記主制御部が順次実行することを特徴とする光送信装置用動作制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記筐体温度が予め設定した低温側基準温度および高温側基準温度の範囲内にある場合に、前記変調器用のバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器温度に対応するバイアス電圧に前記主制御部が設定することを特徴とする光送信装置用動作制御方法。
【請求項9】
レーザ光を発する光源と、前記レーザ光を変調する変調器と、前記変調器の変調器温度を検出する変調器温度検出素子と、前記変調器を加熱する機能および冷却する機能を有して温度制御する温度制御素子とを含む光送信部を有し、前記光送信部の各部の動作を制御する主制御部と、前記変調器用のバイアス電圧を設定するために予め作成したテーブル情報を記録するメモリ部と、前記光送信部、前記主制御部および前記メモリ部を収容する筐体を設けると共に当該筐体の筐体温度を検出する筐体温度検出素子とを備えて成る光送信装置にあって、
前記筐体温度検出素子により検出される前記筐体温度が予め設定された低温側基準温度および高温側基準温度の温度範囲内にあることを判定する温度範囲内判定機能、
前記筐体温度が前記温度範囲内の場合に機能し前記変調器に対する温度制御素子の加熱および冷却に係る各制御動作を停止する加熱冷却停止制御機能、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下にあることを判定する低温側基準温度以下判定機能、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下である場合に機能し前記温度制御素子を加熱制御する低温側基準温度以下加熱機能、
前記筐体温度が前記低温側基準温度以下である場合に機能し前記低温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する低温側バイアス設定機能、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にあることを判定する高温側基準温度以上判定機能と、
前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に機能し前記温度制御素子を冷却制御する高温側基準温度以上冷却機能、
および前記筐体温度が前記高温側基準温度以上にある場合に機能し前記高温側基準温度に対応するバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器に設定する高温側バイアス設定機能を設け、
これらの機能を前記主制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする光送信装置用動作制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
前記筐体温度が前記温度範囲内の場合に機能し前記変調器用のバイアス電圧を前記テーブル情報に基づいて前記変調器温度に対応するバイアス電圧に設定する温度範囲内バイアス電圧設定機能を備える構成としたことを特徴とする光送信装置用動作制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−168410(P2012−168410A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30229(P2011−30229)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】