説明

光透過材の光学特性の測定装置及び測定方法

【課題】調査される材料に所定の光路に沿って所定の放射線を照射する第1の照明機器と、調査される材料を透過した放射線を記録する放射線記録空間とを備えた光透過材の光学特性の測定装置の提供。
【解決手段】放射線記録空間4は、上記第1の照明機器2によって放射された上記放射線が、まず初めに上記材料10に当たった後に、少なくともしばらくの間、上記放射線記録空間4の内壁4aに当たるように設けられ、実質的に上記放射線記録空間4の内壁4aからのみ反射した及び/又は散乱した放射線を記録するように設けられた放射線検出機器12と、上記放射線記録空間4の内壁4aに光を照射する第2の照明機器14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に半透明な試料のパラメータを測定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガラスや透明シートなどの半透明製品が、多くの分野で用いられている。その際、光学特性は、適用分野によって重要な役割を果たす。この点に関し、例えば、温室に用いられるガラスパネルやガラスシートには、高い透過率が要求される。これに対し、包装用のシートは、内容物が可能な限り曇りのない状態で可能な限り明瞭に認識されるようにすべきである。
【0003】
今日、開発と特に生産とにおいてしばしば行われる材料の光学的品質の単なる主観的な観察は、結果の比較が極めて限られた程度でしか行えないため、その観察が全く定量化できない、又は大まかにしか定量化できないという大きな欠点を有している。
【0004】
そのため、例えば、光透過材の透過率を測定するために、装置が研究開発に用いられている。しかしながら、これらの装置には、装置が複雑であり、製品の光学的品質を評価するために必要となる異なる光学パラメータを検出することができないという欠点がある。
【0005】
独国実用新案第29511344号明細書には、この種の光透過材の光学パラメータを測定するための装置が開示されている。この場合、試料の後方に設けられた試料記録空間及び当該空間において反射した光を検出する多数の検出機器に加えて、調査される材料に放射線を照射する照明機器が設けられている。このようにして、上記装置では、パラメータが特定の規格、即ち、所謂ASTM規格に従って測定されるようにしている。この規格は、透明プラスチック材料の透過率を検出する標準試験方法である(ASTM=米国材料試験協会)。独国実用新案第29511344号明細書の主題は、明細書全体の参照により、本出願の主題ともなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ISO(国際標準化機構)によれば、この標準方法に加えて、他の標準方法があるとされている。この標準方法の場合、用いられるウルブリヒト球(積分球)における試料に起因する効率の変化の結果として生じる誤差を考慮することも目的とされる。この場合、例えば、調査される試料がウルブリヒト球の異なる2つの出口に取り付けられた状態で、シングルビーム方式が用いられる。さらに、2つの光束、即ち、試料を通過する測定束と、試料を通過せずにウルブリヒト球の内壁を照射する他の束とが用いられるダブルビーム方式が知られている。しかしながら、後者の方式には、上述の2つの光束が互いに正確に同調しない上、後方の照明(例えば、上記空間の照明)からの影響を考慮しなければならないという欠点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の2つの規格に要求されるような使用が可能な装置と方法を提供することにある。これは、請求項1に係る装置による発明と請求項16に係る方法による発明とによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
光透過材の光学特性を測定するための発明に係る装置は、所定の光路に沿って調査される素材に所定の放射線を照射する第1の照明機器を備えている。また、上記装置は、調査される素材を透過した放射線を記録する放射線記録空間を備えている。上記放射線記録空間は、第1の照明機器によって放出された放射線が最初に上記素材に当たり、それから少なくともしばらくの間及び/又は少なくともある程度、上記放射線記録空間の内壁に当たるように配置されている。さらに、上記装置は、実質的に上記放射線記録空間の内壁からのみ反射する及び/又は散乱する放射線を記録するように配置された放射線検出機器と、上記放射線記録空間の内壁に光を照射する第2の照明機器とを備えている。
【0009】
本発明によれば、第2の照明機器は、変調放射線の放射に適している。第1及び第2の照明機器が少なくともある程度異なる照射角度で放射線を放射する(特に放射線記録空間の内部に)ことが好ましい。
【0010】
上記試料又は上記光透過材を透過した光はすべて、上記球又は上記放射線記録空間の内部へ入り、上記球の空間内において積分された形でセンサによって好適に検出される。この検出値は、上記試料の透過率に相当する。
【0011】
さらに、ヘイズ(曇値)は、他の方法によって算出することができる。ヘイズは、上記試料によって散乱し、上記試料を一直線に透過しない光量に相当する。この測定の間、球の表面の測定開口の反対側に位置する部分は、カバー要素によって開放され、ライトトラップとして好適に作動する。その結果、散乱することなく一直線に上記試料を透過した光を、ライトトラップに吸収させることができる。上記球には、散乱光のみが集められ、当該散乱光は、透過率センサに相当するセンサに提供される。その検出値は、上記試料のヘイズ値に関する情報をもたらす。
【0012】
放射線は、放射線記録空間の内部において試料から反射されて混合されることが好ましい。放射線検出機器は、上記放射線記録空間内にもしくはその壁に好適に設置され、又は上記放射線記録空間に対する光学的な接続手段を少なくとも1つ有し、上記放射線記録空間内の光エネルギを測定することがより好ましい。この測定は、透過測定に相当する。
【0013】
上記ライトトラップに代わって、例えば、中心の円形状のセンサ及び周囲の環状のセンサといった形態で設計された多数の部分を備えたエリアセンサが用いられる場合、これを利用して透明度を検出することができる。この透明度は、小角度の散乱(小角散乱)、即ち、試験が上記試料を一直線に透過する光線の局所的な強度分布の出現下において行われることを表わす。
【0014】
規格化された数値となるように、透過率(ヘイズ(曇度)と透明度)の測定のために校正方法を備えていることが好ましい。
【0015】
従って、上記装置は、上記光路に沿って放出された放射線を記録するように、上記光路に沿って調査される上記材料の後方に好適に設けられた第2の放射線検出機器を有していることが好ましい。
【0016】
その場合、上記第2の放射線検出機器は、その中心が、光路に位置する又は実質的に位置する空間分解測定に適した例えば円形のセンサを有していてもよい。さらに、上記放射線検出機器は、具体的には環状で、上述したセンサ(特に円形のセンサ)の周りに同心円状に好適に設けられたセンサ要素をさらに有していてもよい。
【0017】
上述した測定は、市販の機器、ビック・ガードナー・ゲーエムベーハー社(the firm BYK Gardner GmbH)の“ヘイズ−ガード(haze−gard)”を用いて行ってもよい。
【0018】
第1の照明機器は、変調放射線の放射に適していることが好ましい。この場合、「変調放射線」は、時間と共に強度が変化する放射線を意味する。より好ましい方法では、上記光線は、オンオフが切り換えられる。これは、例えば、電子的に、又は機械的な遮断方法によって行うことができる。
【0019】
上記光の変調は、この場合、上記球内に向かって上記試料を透過して上記測定値を改変する外乱光の影響を検出するため、及び上記測定値を補正するために有利である。特に、上記透過率の数値は、外乱光によって生じる外部光の影響を極めて受けやすい。
【0020】
外乱光が遮蔽された試料室によって遮られる場合、上記外乱光のための補償及び変調方法は必要とされない。しかしながら、上記試料室に収まる大きさの試料の測定しかできないため、結果として、上記試料の取り扱いが非常に難しくなる。さらに、上記測定室は、上記測定の間は常に、光を遮断する態様で閉じられていなければならない。
【0021】
上記測定が、ISOに記載の方法に従って行われる場合、上記試料の補償を行うことが必要となる。上記球のポートの反対側に設置される上記測定試料は、上記ウルブリヒト球の性能を実際に変え、その結果、上記測定結果に影響を与える。
【0022】
上記測定結果の誤差は、ISOに従い、上記球に形成された他の第2の補償ポートにおいて校正方法によって光学的に検出される上記球の効率に対する測定試料の影響によって、補償してもよく、算出によって補償してもよい。これらの補償ステップは、試料材料ごとに実行されなければならず、非常に困難である。上述の補償校正は、測定中に上記球の効率を自動的に共に測定すること、及びこの数値又はそれから導出された種々の測定値で上記測定値を補正することによって回避することが可能である。
【0023】
上述のように、特に、上記球の性能の自動測定のために、上記球の内部に光を照射し、試料が用いられる際に上記球の性能を検出する第2の光源が用いられる。上記光は、透過率センサとなり得るセンサを用いて測定される。上記補正値は、試料なしに測定された上記球の性能を示す数値と、例えば、試料が上記機器に固定によって保たれた状態で測定された上記球の性能を示す数値との比較によって決定される。
【0024】
上記発明によれば、上記第2の光源は、変調された放射線又はパルス状の放射線を放出する。その結果、上記球に向かって上記試料を透過して上記球の性能の測定値を改変する外乱光を測定し、演算によって除外することが可能になる。この手法の場合、上記試料が設置される空間を、上記測定の間、光を遮断する方法で隔絶する必要がない。そして、このことは、測定手順を大幅に加速する。
【0025】
上記装置が、上記第2の放射線検出機器を覆うために、上記放射線記録空間に対して移動可能なカバー要素を有していることが好ましい。このカバー要素が、上記放射線記録空間又は上記放射線記録空間の内壁に対してそれぞれ置換可能又は移動可能であることが好ましい。このように、上記第2の放射線検出機器は、上記第1の照明機器から生じる放射線が当らないように、選択的に覆われることができる。
【0026】
上記カバー要素が、上記第2の放射線検出機器を覆う場合、上記放射線記録空間の内部に面する上記カバー要素の表面が、上記放射線記録空間の内面又は内壁の構成部分であることが好ましい。
【0027】
有利な実施形態の場合、上記試料によって偏向されない上記放射線を吸収するライトトラップ(上記光路に沿って、特に、上記カバー要素の後方に設けられる)を有利な方法で除去するために、上記カバー要素を上記光路から移動させてもよい。これにより、上記試料によって散乱して放射線検出機器によって測定される光のみが、上記放射線記録空間に記録される。このようにして、ヘイズ測定を実行することができる。
【0028】
さらに、上記光をセンサに当てて空間分解方法で好適に測定するために、上記カバー要素を上記光路から移動させてもよい。
【0029】
上記放射線記録空間は、調査される材料を保持するための試料ホルダが設けられる第1の開口を有することが好ましい。上記放射線記録空間は、放射線又は光のそれぞれを外部から上記放射線記録空間内に入れることができる他の開口を有さないことが好ましい。
【0030】
上記第2の放射線検出機器は、上記第1の照明機器によって放出された光の照射軸又は光路に沿って好適に配置されている。
【0031】
上記開口に調査される上記試料が設けられた上記放射線記録空間は、特に、ウルブリヒト球と称される。このウルブリヒト球の内部は、測定に使用される反射面及び又は明るい表面を有している。上記置換可能なカバー要素は、上記球の塗装と共に特に好ましい方法で好適に設けられ、球面曲率を有していてもよい。上記第2の(透明度)検出機器(第2の放射線検出機器)は、上述の光路が通過するように延びると共に、上記放射線又は上記光が上記試料を通過した後に入りこむ開口を備えていることが好ましい。この開口の寸法は、上記規格における上記ガイドラインによって定められている。上記センサの表面は、複数の領域に分割され、これによって上記光線の強度分布を測定することができる。
【0032】
上記放射線記録空間の内壁が、球状に形成されることが好ましい。
【0033】
さらに、有利な実施形態では、上記装置において異なる規格に従って測定を行うことができるように、上記第2の照明機器は、オンとオフとが切り替え可能に構成されている。
【0034】
さらに、有利な実施形態では、上記2つの光源のうちの上記第1及び/又は第2の光源は、発光ダイオード又は複数の発光ダイオードの組み合わせである。LEDは、電力消費量が低く、耐用年数が長いため、特に適している。
【0035】
さらに、有利な実施形態では、上記2つの照明機器又はその光源は、それぞれ共通の又は等しい照明特性、具体的には、類似した又は実質的に等しいスペクトルパターンを有している。このように、上記2つの照明機器として異なる光源が用いられる場合、同種の光源が用いられることが好ましい。
【0036】
さらに、有利な実施形態では、第1の照明機器による照明と上記第2の照明機器による照明とが互いに連結される。この点において、上記第2の照明機器が、放射線伝導機器によって光を伝導する方法で光源に接続されていてもよい。これは、上記第1の照明機器に光又は放射線を提供する光源であることが好ましい。
【0037】
このように、上記試料と上記放射線記録空間の内部との両方の照明として実質的に等しい光を用いてもよく、また、上記照明が同等の照明特性で実行されてもよい。
【0038】
しかしながら、上記第2の照明機器は、上記第1の照明機器と連結されていなくてもよい。このように、上記第2の照明機器は、独立した光源及び/又は独立した変調器を有していてもよい。このような場合、上記第2の照明機器は、上記第1の照明機器又は光源のそれぞれから独立して作動され、変調され得る。しかしながら、一般に、変調機器は、上記第2の照明機器を変調するために設けられることが好ましい。さらに、(第1及び/又は第2の照明機器に連結された)光源から放出された上記放射線をパルス状の放射線に変更する(第1の)変調機器を設けることとしてもよい。
【0039】
さらに、有利な実施形態では、上記光源の少なくとも1つが、経時的に一定な光束を放出する。この場合、この経時的に一定な光束を放射する調整機器を設けることとしてもよい。
【0040】
上記装置と、特に、少なくとも1つの上記照明機器は、少なくとも1つの光源、より好ましくは両方の光源の照明特性における変化を測定する機器を有していることが好ましい。
【0041】
さらに、上記装置によって与えられる測定値が、上記光源の照明特性の変化の測定値で補正される(特に、演算処理機器を用いて)ようにしてもよい。
【0042】
光の強度を一定にするために、又は、光の強度の変化を検出して演算によってそれを補正するために、装置が設けられることが好ましい。この場合、例えば、上記光線の一部の遮断及びその後の検出により、光の強度の変化を測定することができ、このようにして、結果を後に補正することができる。別の方法として、例えば順電圧のような、それによって後に補正を実行することが可能となるようなLEDの電気的パラメータを測定することとしてもよい。これらの補正方法は、半導体光放射体とだけでなく、熱放射体と共に用いることができる。
【0043】
上記装置は、少なくとも1つの照明機器、好ましくは第2の照明機器による照明のためにパルス放射線を発生させることが可能となるように、第2の変調機器を有していることが好ましい。上記第1及び第2の変調機器は、上記放射線記録空間の照明が、上記第1の照明機器と第2の照明機器とで、少なくとも一時的に交互に行われる、好ましくは、完全に交互に行われるように設けられていることが好ましい。上記放射線記録空間は、いつでも、上記第1の照明機器と第2の照明機器との両方によって光が照射されることがないことが好ましい。
【0044】
有利な実施形態では、第1の照明機器は、変調放射線の放出に適している。このように、例えば上記第1照明機器の光線を変調するために、変調機器を備えることとしてもよい。この変調機器は、所謂“チョッパースクリーン”であることが好ましい。このようにして、上記照明機器について、その一定の動作を変更するオンオフの切り換えの必要をなくすことができ、放射光を、しばらくの間、上述のチョッパースクリーンで遮断することができる。さらに、上記放射線記録空間に直接的に入る上記第2の照明機器の光を変調する又は切断するために、チョッパー機器を備えることとしてもよい。
【0045】
上述のように、上記装置は、上記光源から放出された、特に連続的に放出された放射線を、パルス放射線へ変換する変調機器を好適に有している。
【0046】
しかしながら、第1の照明機器による照明と第2の照明機器による照明とを選択的に得るために、例えば、折りたたみ鏡のような放射線転換機器を用いることとしてもよい。また、折りたたみ鏡の代わりに、電圧又は電流をかけることによって反射特性を変更することができる、所謂、調光ミラーを用いることとしてもよい。
【0047】
さらに、有利な実施形態では、上記第2の照明機器は、当該第2の照明機器のいかなる光線もが、少なくとも最初の反射の前にセンサ又は上記球の開口にあたらないように、上記放射線記録空間の内壁に設けられている。
【0048】
さらに、光透過材の光学特性の測定方法に関する上記発明は、放射線が第1の照明機器によって所定の光路に沿って調査される材料の方に向けられて放出され、放出された放射線に対して上記光透過材を通過した放射線は、少なくともある程度及び/又はしばらくの間、上記放射線記録空間の内壁に達し、実質的に上記放射線記録空間の内壁からのみ反射する及び/又は散乱する放射線が、放射線検出機器によって記録される。さらに、上記放射線記録空間の内壁は、特に、スイッチを入れることができる第2の照明機器によって光が照射される。
【0049】
上記発明では、上記第2の照明機器が変調放射線を放出する。この場合、調査される材料を上記第1の照明機器の光路に設けることが好ましい。上記変調放射線は、特に、上述のものは、パルス放射線である。
【0050】
さらに、有利な方法では、上記2つの照明機器は、少なくとも1つの共通の光源によって供給される。
【0051】
少なくともしばらくの間、上記放射線記録空間の内部に設けられたカバー要素を移動させることが好ましい。この場合、このカバー要素は、しばらくの間、上記光路上に設けられた(測定用)出口を覆うことができる。
【0052】
さらに、有利な方法では、所定の光路に沿って上記材料を透過する放射線が、少なくともしばらくの間、第2の放射線検出機器によって検出される。
【0053】
さらに、有利な実施形態では、上記第1の照明機器と上記第2の照明機器とが、少なくとも一時的に互いに対して交互に、より好ましくは完全に互いに対して交互に放射線を放出する。このようにして、多数の規格、特に、上述のASTM規格とISO規格に従う測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
さらに、有利な実施形態が、添付の図面に示されている。図面において、
【図1】図1は、従来技術に係る装置を示すものである。
【図2】図2は、発明に係る装置を示すものである。
【図3】図3は、放射線記録空間の拡大図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、光透過材10の光学特性を測定するための従来技術に係る装置100を示している。全体を通して符号2が付された照明機器は、光路Pに沿って上記材料10に放射線を照射するために設けられている。より正確に表現すると、対応して光を束ねるレンズ26と凹面鏡28とを有するレンズシステムに加えて、光源24がここに設けられている。参照符号30は、第1の照明機器2から光が変調されて放出されるという効果を奏するチョッパースクリーン(第1の変調機器)である。このチョッパースクリーンの代わりに、例えば、折りたたみ式の鏡のようなものを用いてもよい。
【0056】
参照符号32は、放射線の一部35を検出機器38へ向かわせる半透鏡を示している。照射された光の強度の測定値は、この検出機器38を用いて記録される。このように、参照符号2は、全体を通して、第1の照明機器、特に、後述する試料としての材料の照明として機能するような光学設計を示す。
【0057】
参照符号4は、本実施形態では、ウルブリヒト球の形状に設計され、光路Pの方向において材料10の後方に配置された放射線記録空間に関するものである。上記透過率とヘイズは、シャッター又はカバー要素86を用いて測定することができる。参照符号6は、光路Pに沿って配置されて材料10を通過する光の小角度の散乱(小角散乱)を記録する第2の放射線検出機器に関するものである。参照符号52は、配置のためのキャリヤを示し、参照符号54は、メインキャリヤを示している。
【0058】
図2は、本発明に係る装置1の全体図である。従来技術に係る装置との決定的な違いは、変調可能であり、本実施形態では、放射線記録空間4の内部空間に設けられ、放射線記録空間の内壁4aの部分に光を照射する第2の照明機器14が設けられることである。
【0059】
発光ダイオード24は、ここでは光源24として設けられている。このLEDは、白色光を放射することが好ましいが、上記LEDが所定の着色光を放射する、又は例えば発光スペクトルの異なるLEDを組み合わせて備えていてもよい。さらに、様々な色の光で上記試料10を照射することを許容するフィルターエレメントが、光路に配置されていてもよい。さらに、適した方法で上記光線を形成する又は均一化するために、拡散ディスクやレンズやスクリーンのような光学素子を用いることとしてもよい。
【0060】
第2の照明機器による照明は、適した方法で、第1の照明機器から分離されていてもよい(図4を参照)。
【0061】
図2に示す形態の場合、第2の照明機器14は、上記光源24と独立して制御され得る独立した光源を有している。この場合、変調は、別々に行わなければならない。第2の照明機器から出て放射線記録空間に入る光を切断するチョッパー機器(図示せず)を備えていてもよい。このように、第2の照明機器が、経時的に一定な特性を有する光を照射するようにしてもよい。
【0062】
この場合、内壁4aは、放射線、例えば、白色又は明るい放射線を反射するように形成されている。このようにして、上記光は、内壁4aで多数回反射される。そのため、上記放射線検出機器12によって検出され得る一様な照明を、放射線記録空間の内部において得ることができる。
【0063】
遮断要素44は、放射線が放射線検出機器12に直接的に到達するのを妨げる。この遮断要素44は、この場合、放射線記録空間4の内部に突出する壁要素の形態に設計されている。この場合、この壁要素は、放射線を反射させることができ、任意に第2の照明機器14に面する側に放射線を吸収させることもできる。
【0064】
上記放射線検出機器12は、上記放射線記録空間の内壁4aで反射した及び/又は散乱した光を記録するのに用いられる。
【0065】
図3は、上記放射線記録空間4の拡大図である。参照符号86は、開口82を解放することができるカバー要素に関するものである。上記球において散乱した光量の測定は、放射線検出機器12によって検出され得る。カバー要素の状況に応じて、透過率又はヘイズ値は、散乱した光量の検出値から算出することができる。
【0066】
第2の放射線検出機器6は、任意の様式で説明されている。参照符号92は、光路Pに沿って照射される放射線を直接検出する第1の検出要素に関するものである。この場合、内壁4a又はこの内壁に形成された開口82に直接隣接するチャネル94が設けられている。チャネル94の内壁は、照射光用の放射線吸収剤で形成されている。このようにして、基本的に光路Pに沿ってのみ照射された光を、第1の検出要素92に到達させることができる。
【0067】
参照符号84は、チャネル94を取り囲む環状の他のチャネルを示している。放射線は、他の検出要素96に向かってこのチャネルを通過することができる。このようにして小角散乱が検出される。2つの検出要素92,96は、第2の放射線検出機器6の構成要素であり、光路に沿って照射されて光路に対して小角度で散乱する光の検出を可能にする。第2の放射線検出機器6は、光が反射によって放射線記録空間4に戻らないように設計されている。カバー要素86が開くと、上記センサが同時にライトトラップとしても機能する。
【0068】
図3に示された形態の場合、第2の照明機器14は、放射線記録空間4の上記壁4aに直に設置されている。この場合、上記放射線検出機器は、上述の放射線記録空間の上方に配置されている。
【0069】
しかしながら、第2の照明機器14を放射線記録空間4の内部にさらに突出させることも可能である。また、第2の照明機器を放射線記録空間の内壁4aに対して外側にオフセットさせることも可能である。上記放射線記録空間の内壁に光を照射する多数の第2の照明機器を設けることとしてもよい。さらに、上記第2の照明機器は、上記放射線記録空間の内壁4aが外側からある程度光が照射されるように設計されていてもよい。
【0070】
さらに、第2の照明機器14の前方に押し出し可能な他のカバー要素を設けることができる。その場合には、この種の他のカバー要素は、放射線記録空間の内部側に光を反射させることが好ましい。上記カバー要素86と、特に好ましい方法では、他のカバー要素とが、上記放射線記録空間の外側に形成された要素によって置換可能もしくは移動可能であることが好ましい。また、カバー要素を移動させるための駆動モータを設けることとしてもよい。
【0071】
参照符号16は、調査される材料又は試料をそれぞれ上記放射線記録空間4に取り付けることができる試料ホルダを示している。この場合、この試料ホルダは、上記試料10を通る以外に外側からいかなる光をも上記放射線記録空間4に入らないように設計されることが好ましい。
【0072】
図4は、本発明に係る装置1の他の形態を示す。ここに示される形態の場合、図面にのみ示され、光が変調された状態で放射線伝導機器56を通過するという効果を奏する第2の変調機器62が、第1の変調機器30に加えて設けられている。この第2の変調機器は、チョッパースクリーンであってもよく、また、例えば上記放射線伝導機器56内への光の分離を許容する又は防止する他の要素であってもよい。参照符号60は、放射線分離機器に関するものである。
【0073】
2つの変調機器は、上記光源24から照射される光が2つの変調機器30,62の一方のみを通過するように設けられることが好ましい。光が、光路Pに沿ってのみ、もしくは第2の照明機器14のみを手段として、あるいは必要に応じて同時に均等に照射されるように、制御機器40が2つの変調機器を互いに依存する方式で制御することがより好ましい。さらに、光路Pに沿って第1の照明機器2からのみ、又は第2の照明機器14からのみ放射線記録空間4の中へ光を照射するという効果を有する1つの変調機器のみが、例えば、折りたたみ式の鏡の形式で、設けられていてもよい。
【0074】
また、レンズ36と材料10との間の領域又は空間は覆われておらず、その都度、放射する光を変調することによって対応する基準が達成されることがわかるであろう。2つの変調機器30,62は、この場合、第1の照明機器2の光が、交互に、光路Pに沿って放射線記録空間4に入り、第2の照明機器14を介して放射線記録空間4に入るように制御される。上記装置1の使用者は、このようにASTM規格に従って測定を実行したいのか、又はISO規格に従って測定を実行したいのかを選択することができる。もし、ASTM規格に従う測定を望む場合、該測定は、第2の光源を用いて評価又は実行されない。
【0075】
制御機器40は、事前に定められた測定規格に対応するように、上記測定シーケンスを制御することが好ましい。一方、上記測定が、2つの規格に従った測定の枠内で実行され、2つの測定規格によるそれぞれの測定結果が使用者に提供されることとしてもよい。この目的のために、上記装置は、それぞれの測定結果を出力する表示機器(図示なし)を追加的に備えていてもよい。
【0076】
また、上記放射線伝導機器56は、光源2から放射線記録空間4もしくはその内部空間へ光を導く鏡システム又は光波伝導体の形で用いられてもよい。また、上記放射線伝導機器56は、上記キャリヤの内側に設けられていてもよい。上記放射線伝導機器56は、第1の照明機器と上記放射線記録空間4との距離が、上記放射線伝導機器56を新たに調整することなく、光路Pの方向において変化するように設計されていてもよい。
【0077】
出願人は、それらが従来技術に照らしてそれぞれに又は組み合わせに対して新規なものである限りにおいて、本出願書類に開示された本発明に不可欠なすべての特徴を請求する権利を有している。
【符号の説明】
【0078】
1 装置
2 第1の照明機器
4 放射線記録空間
4a 放射線記録空間の内壁
6 第2の放射線検出機器
10 材料、試料
12 放射線検出機器
14 第2の照明機器
16 試料ホルダ
24 光源
26 レンズ
28 凹面鏡
30 第1の変調機器
32 半透鏡
35 一部
36 レンズ
38 検出機器
40 制御機器
44 遮断要素
52 運搬台
54 主運搬台
56 放射線伝導機器
60 放射線分離機器
62 第2の変調機器
82 開口
84 他のチャネル
86 カバー要素
92 第2の放射線検出機器6の第1の検出要素(原文のまま)
94 チャネル
96 第2の放射線検出機器6の第2の検出要素(原文のまま)
100 装置(従来技術)
P 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査される材料(10)に所定の光路(P)に沿って所定の放射線を照射する第1の照明機器(2)と、
調査される上記材料(10)を通過した放射線を記録する放射線記録空間(4)とを備えた光透過材の光学特性の測定装置において、
上記放射線記録空間(4)は、上記第1の照明機器(2)によって放射された上記放射線が、まず初めに上記材料(10)に当たった後に、少なくともしばらくの間、上記放射線記録空間(4)の内壁(4a)に当たるように設けられ、
実質的に上記放射線記録空間(4)の内壁(4a)からのみ反射した及び/又は散乱した放射線を記録するように設けられた放射線検出機器(12)と、
上記放射線記録空間(4)の内壁(4a)に光を照射する第2の照明機器(14)とを備え、
上記第2の照明機器(14)が変調放射線の放射に適している
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)において、
上記第1の照明機器(2)が変調放射線の放射に適している
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の装置(1)において、
上記装置が、上記光路(P)に沿って照射された放射線を記録するように、上記光路(P)に沿って調査される上記材料(10)の後方に設けられた第2の放射線検出機器(6)を有している
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(1)において、
上記装置が、上記第2の放射線検出機器(6)を覆うために上記放射線記録空間に対して移動可能なカバー要素を有している
ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の少なくとも1つに記載の装置(1)において、
上記2つの照明機器(2,14)が、類似の又は実質的に同一のスペクトルパターンを有している
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の少なくとも1つに記載の装置(1)において、
上記第1の照明機器(2)による照明と、上記第2の照明機器(14)による照明とが互いに連結される
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の少なくとも1つに記載の装置(1)において、
上記第1の照明機器(2)と上記第2の照明機器(14)とが、共通の光源(24)を有している
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の少なくとも1つに記載の装置(1)において、
上記第2の照明機器(14)が、放射線伝導機器(56)によって光が伝導するように光源(24)に接続されている
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の少なくとも1つに記載の装置(1)において、
上記装置が、上記光源(24)から発せられる上記放射線をパルス放射線へ変換する第1の変調機器(30)を有している
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の装置(1)において、
上記第2の照明機器(14)が、第2の変調機器(62)を用いて変調される
ことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載の装置(1)において、
上記第2の照明機器(14)は、上記第1の照明機器(2)に連結されていない
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の少なくとも1つに記載の装置(1)において、
上記第2の照明機器(14)が、独立した光源及び/又は独立した変調器を有している
ことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載の装置(1)において、
上記光源のいずれか1項が、経時的に略一定な光束を放射する
ことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか1つに記載の装置(1)において、
上記装置(1)と、特に、上記照明機器のいずれか1項が、上記光源の照明特性の変化を測定する機器を有している
ことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14の少なくとも1つに記載の装置(1)において、
少なくとも1つの上記光源が、発光ダイオード(24)又は発光ダイオードの組み合わせである
ことを特徴とする装置。
【請求項16】
光透過材(10)の光学特性の測定方法において、
放射線が第1の照明機器によって所定の光路(P)に沿って調査される材料に照射され、
照射された放射線に対して上記光透過材(10)を透過した上記放射線は、少なくともある程度及び/又はしばらくの間、放射線記録空間(4)の内壁に達し、
実質的に上記放射線記録空間(4)の内壁(4a)からのみ反射する及び/又は散乱する放射線が、放射線検出機器(12)によって記録され、
上記放射線記録空間(4)の内壁(4a)は、オンオフの切り替えが可能な第2の照明機器(14)によって光が照射され、
上記第2の照明機器(14)が、変調放射線を放射する
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
上記第1の照明機器(2)と上記第2の照明機器(14)とは、少なくともある程度の間、互いに対して交互に放射線を照射する
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−54032(P2013−54032A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−189396(P2012−189396)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(507231987)ベーユプスィロンカー−ガードネル ゲーエムベーハー (15)
【Fターム(参考)】