説明

光通信システム及び光送信器

【課題】本発明は、変調信号の中心周波数が復調可能な周波数から高周波にシフトしているときであっても、部品のコストの増大及び信号の品質の劣化を防止する。
【解決手段】本発明は、光送信器1が、第1の周波数を発振周波数とする第1の局部発振信号を出力する第1の局部発振器10と、データ信号を利用して第1の局部発振信号を変調する変調器11と、変調信号の周波数帯域の近傍に位置する第2の周波数を発振周波数とする第2の局部発振信号を出力する第2の局部発振器14と、変調信号及び第2の局部発振信号を合波する合波器15と、変調対象となる光の連続信号を出力する光源12と、合波信号を利用して変調対象となる光の連続信号をSSB変調するSSB変調器と、を備え、光受信器2が、SSB変調信号を電気信号に変換する受光器20と、電気信号を復調しデータ信号を出力する復調器24と、を備える光通信システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信器と光受信器が光ファイバ伝送路を介して通信する光通信システムにおいて、部品のコストの増大及び信号の品質の劣化を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多チャンネルの映像配信手法の一つとして、光ファイバを用いた光通信が用いられている。光通信において映像信号を変調する方式の一つに、所謂Frequency Modulation(FM)一括変調方式がある。FM一括変調方式では、周波数多重された多数のチャネルの映像信号を一括でFM変調する。
【0003】
FM一括変調を行う方式として、電気領域での位相変調器(Phase Modulator、PM)或いは電圧制御発振器(Voltage Control Oscillator、VCO)を用いて行う方式と、光領域でのヘテロダイン検波を用いて行う方式(非特許文献1)が挙げられる。光領域でのヘテロダイン検波による方式では、電気信号を光信号に変換し、さらに光信号を電気信号に変換してFM変調を行うため、変換のために必要な部品の点数が多く、また変換効率が悪いことが課題と考えられる。
【0004】
他方、電気領域でのPM或いはVCOを用いてFM一括変調を行う方式では、高速に動作し、かつ広帯域においてフラットな利得と直線性の高い位相特性を有した、PM或いはVCOが必要であり、PM或いはVCOにかかるコストが高いという課題がある。一般的にFM一括変調された多チャネルの映像信号は、中心周波数3GHz、帯域幅6GHz程度であり非常に広帯域であり、利得及び位相特性に対する要求条件は非常に厳しい。
【0005】
この要求条件を緩和させる方法として、FM一括変調の中心周波数を3GHzよりさらに高い周波数にする方法が挙げられる。たとえば、中心周波数を20GHz程度の高周波に設定すれば、中心周波数に対する変調帯域幅、所謂比帯域を小さくすることができ、広帯域性から生じる利得及び位相特性に対する要求条件を緩和することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】菊島浩二他、“超広帯域FM一括変換型多チャンネルAM/QAM映像伝送装置”、電子情報通信学会技術研究報告、OCS、光通信システム 97(129)、pp.37−42、1997年6月23日.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このFM一括変調信号を光伝送する場合、中心周波数がFM復調可能な周波数から高周波にシフトしているために、光送信器で光変調する前、または光受信器でFM復調する前には、中心周波数(20GHz)をもとの低周波側(3GHz)にシフトする、周波数ダウンコンバートの機能が必要となる。
【0008】
周波数ダウンコンバータは一般的に、局部発振器、周波数ミキサ及び低域通過フィルタ(Low Pass Filter、LPF)から構成される。FM変調の際PM或いはVCOにおいて利得及び位相特性に対する要求条件が厳しかったのと同様に、周波数ダウンコンバートにおいても扱う信号が広帯域となるために、周波数ミキサ及びLPFにおいて周波数に対する利得の平坦性及び位相特性の直線性が求められる。
【0009】
従来技術の光通信システムの構成を図1に示す。従来技術の光通信システムでは、光送信器1と光受信器2が光ファイバ伝送路3を介して通信する。光送信器1は、局部発振器10、変調器11、光源12及び強度変調器13から構成される。光受信器2は、受光器20、局部発振器21、周波数ミキサ22、LPF23及び復調器24から構成される。以下の説明では、FM一括変調に限定されない一般の変調について説明する。
【0010】
局部発振器10は、周波数fを発振周波数とする局部発振信号を出力する。変調器11は、データ信号を利用して、周波数fを発振周波数とする局部発振信号を変調し、変調信号を出力する。光源12は、変調対象となる光の連続信号(周波数f)を出力する。強度変調器13は、周波数fを発振周波数とする局部発振信号からの変調信号を利用して、変調対象となる光の連続信号を強度変調し、変調対象となる光の連続信号からの変調信号を光受信器2に送信する。
【0011】
受光器20は、変調対象となる光の連続信号からの変調信号を光送信器1から受信し、電気信号に変換する。局部発振器21は、周波数fを発振周波数とする局部発振信号を出力する。周波数ミキサ22は、局部発振器21の出力した周波数fを発振周波数とする局部発振信号を利用して、受光器20の出力した電気信号をダウンコンバートする。LPF23は、周波数ミキサ22の出力した信号のうち、高周波側のイメージ周波数の成分を遮断し、低周波側のダウンコンバート周波数の成分を透過する。復調器24は、LPF23の出力した信号を復調し、光送信器1に入力されたデータ信号を復元する。
【0012】
従来技術の信号スペクトルを図2に示す。図2の上段左側は、図1のA点における、データ信号のスペクトルを示す。図2の上段右側は、図1のB点における、周波数fを発振周波数とする局部発振信号からの変調信号のスペクトルを示す。図2の中段は、図1のC点における、変調対象となる光の連続信号からの変調信号のスペクトルを示す。図2の下段左端は、図1のD点における、受光器20の出力した電気信号のスペクトルを示す。図2の下段中央は、図1のE点における、LPF23の出力した信号のスペクトルを示す。図2の下段右端は、図1のF点における、データ信号のスペクトルを示す。
【0013】
図1のA点におけるデータ信号は、0からfまでの周波数成分を有する。図1のB点における周波数fを発振周波数とする局部発振信号からの変調信号は、周波数fを中心として、f−fからf+fまでの周波数成分を有する。ここで、周波数fは、周波数fを発振周波数とする局部発振信号からの変調信号の周波数帯域の半幅であり、FM一括変調においてはFM変調度に従って変化する周波数である。
【0014】
図1のC点における変調対象となる光の連続信号からの変調信号は、変調対象となる光の連続信号由来として、fの周波数成分を有し、上側側波帯として、f+f−fからf+f+fまでの周波数成分を有し、下側側波帯として、f−f−fからf−f+fまでの周波数成分を有する。
【0015】
図1のD点における受光器20の出力した電気信号は、周波数fを中心として、f−fからf+fまでの周波数成分を有する。図1のE点におけるLPF23の出力した信号は、0から2fまでの周波数成分を有する。図1のF点におけるデータ信号は、0からfまでの周波数成分を有しており、データ信号が復元されている。
【0016】
図1及び図2を用いて説明した従来技術では、局部発振器21、周波数ミキサ22及びLPF23から構成される周波数ダウンコンバータが、光受信器2又は光送信器1で必要になる。しかし、周波数ミキサ22及びLPF23において、周波数に対する利得の平坦性及び位相特性の直線性が求められる。ここで、周波数ミキサ22及びLPF23を高性能化するならば、部品のコストが増大し、特に光受信器2の回路構成が複雑になる。しかし、周波数ミキサ22及びLPF23を高性能化しなければ、信号の品質が劣化する。
【0017】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、変調信号の中心周波数が復調可能な周波数から高周波にシフトしているときであっても、部品のコストの増大及び信号の品質の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、光送信器では、変調器からの変調信号及び局部発振器からの局部発振信号を合波して合波信号を生成し、合波信号を利用して変調対象となる光の連続信号をSSB(Single Side Band)変調する。ここで、SSB変調信号は、変調対象となる光の連続信号に由来する周波数成分を抑圧され、合波信号に由来する周波数成分を残存される。つまり、局部発振器からの局部発振信号に由来する周波数成分が、光信号の搬送波として機能する。光受信器では、受光器での光電変換の処理速度は光信号の周波数と比較して遅いため、局部発振器からの局部発振信号の周波数を適切に選択すれば、受光器からの電気信号の周波数は復調可能な周波数に位置する。よって、送受信側で周波数ダウンコンバータが必要なくなる。
【0019】
具体的には、本発明は、光送信器と光受信器が光ファイバ伝送路を介して通信する光通信システムであって、前記光送信器は、第1の周波数を発振周波数とする第1の局部発振信号を出力する第1の局部発振器と、データ信号を利用して前記第1の局部発振信号を変調し変調信号を出力する変調器と、第2の周波数を発振周波数とする第2の局部発振信号を出力する第2の局部発振器と、前記変調信号及び前記第2の局部発振信号を合波し合波信号を出力する合波器と、変調対象となる光の連続信号を出力する光源と、前記合波信号を利用して前記変調対象となる光の連続信号をSSB(Single Side Band)変調し、SSB変調信号を前記光受信器に送信するSSB変調器と、を備え、前記光受信器は、前記SSB変調信号を前記光送信器から受信し電気信号に変換する受光器と、前記電気信号を復調し前記データ信号を出力する復調器と、を備えることを特徴とする光通信システムである。
【0020】
また、本発明は、光受信器と光ファイバ伝送路を介して通信する光送信器であって、第1の周波数を発振周波数とする第1の局部発振信号を出力する第1の局部発振器と、データ信号を利用して前記第1の局部発振信号を変調し変調信号を出力する変調器と、第2の周波数を発振周波数とする第2の局部発振信号を出力する第2の局部発振器と、前記変調信号及び前記第2の局部発振信号を合波し合波信号を出力する合波器と、変調対象となる光の連続信号を出力する光源と、前記合波信号を利用して前記変調対象となる光の連続信号をSSB(Single Side Band)変調し、SSB変調信号を前記光受信器に送信するSSB変調器と、を備えることを特徴とする光送信器である。
【0021】
この構成によれば、変調信号の中心周波数が復調可能な周波数から高周波にシフトしているときであっても、第2の局部発振器からの第2の局部発振信号の周波数を適切に選択すれば、送受信側で周波数ダウンコンバータが必要なくなり、部品のコストの増大及び信号の品質の劣化を防止することができる。
【0022】
また、本発明は、前記第2の周波数は、直流成分の周波数から前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数までの間、又は前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数から無限大の周波数までの間に位置することを特徴とする光通信システムである。
【0023】
また、本発明は、前記第2の周波数は、直流成分の周波数から前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数までの間、又は前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数から無限大の周波数までの間に位置することを特徴とする光送信器である。
【0024】
この構成によれば、受光器からの電気信号の周波数を、確実に元々のデータ信号を復調するのに十分な帯域とすることができる。
【0025】
また、本発明は、前記第2の周波数は、前記第1の周波数に前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数、又は前記第1の周波数から前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数であることを特徴とする光通信システムである。
【0026】
また、本発明は、前記第2の周波数は、前記第1の周波数に前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数、又は前記第1の周波数から前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数であることを特徴とする光送信器である。
【0027】
この構成によれば、受光器からの電気信号の周波数は、直流成分の周波数から変調信号の周波数帯域の全幅までに分布するため、確実に復調可能な周波数に位置するとともに、確実に元々のデータ信号を復調するのに十分な帯域となる。
【0028】
また、本発明は、前記受光器は、直流成分の周波数から前記変調信号の周波数帯域の全幅以上の透過帯域を有することを特徴とする光通信システムである。
【0029】
この構成によれば、受光器からの電気信号の周波数は、より確実に直流成分の周波数から変調信号の周波数帯域の全幅までに分布する。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、変調信号の中心周波数が復調可能な周波数から高周波にシフトしているときであっても、部品のコストの増大及び信号の品質の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来技術の光通信システムの構成を示す図である。
【図2】従来技術の信号スペクトルを示す図である。
【図3】本願発明の光通信システムの構成を示す図である。
【図4】本願発明の信号スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0033】
本願発明の光通信システムの構成を図3に示す。本願発明の光通信システムでは、光送信器1と光受信器2が光ファイバ伝送路3を介して通信する。光送信器1は、局部発振器10、変調器11、光源12、局部発振器14、合波器15、90度移相器16及びネスト型マッハツェンダー型変調器17から構成される。光受信器2は、受光器20及び復調器24から構成され、局部発振器21、周波数ミキサ22及びLPF23を含まない。以下の説明では、FM一括変調に限定されない一般の変調について説明する。
【0034】
局部発振器10は、周波数fを発振周波数とする局部発振信号を出力する。変調器11は、データ信号を利用して、周波数fを発振周波数とする局部発振信号を変調し、変調信号を出力する。局部発振器14は、周波数fを発振周波数とする局部発振信号を出力する。合波器15は、変調器11の出力した変調信号及び局部発振器14の出力した局部発振信号を合波し、合波信号を出力する。光源12は、変調対象となる光の連続信号(周波数f)を出力する。
【0035】
90度移相器16及びネスト型マッハツェンダー型変調器17は、合わせてSSB変調器として機能し、合波器15の出力した合波信号を利用して、変調対象となる光の連続信号をSSB変調し、変調対象となる光の連続信号からのSSB変調信号を光受信器2に送信する。ここで、SSB変調器として、90度移相器16及びネスト型マッハツェンダー型変調器17以外の装置を利用することもできる。
【0036】
受光器20は、変調対象となる光の連続信号からのSSB変調信号を光送信器1から受信し、電気信号に変換する。復調器24は、受光器21の出力した電気信号を復調し、光送信器1に入力されたデータ信号を復元する。上述したように、光受信器2は、局部発振器21、周波数ミキサ22及びLPF23を含まない。
【0037】
本願発明の信号スペクトルを図4に示す。図4の上段左端は、図3のG点における、データ信号のスペクトルを示す。図4の上段中央は、図3のH点における、周波数fを発振周波数とする局部発振信号からの変調信号のスペクトルを示す。図4の上段右端は、図3のI点における、合波器15の出力した合波信号のスペクトルを示す。図4の中段は、図3のJ点における、変調対象となる光の連続信号からのSSB変調信号のスペクトルを示す。図4の下段左側は、図3のK点における、受光器20の出力した電気信号のスペクトルを示す。図4の下段右側は、図3のL点における、データ信号のスペクトルを示す。
【0038】
図3のG点におけるデータ信号は、0からfまでの周波数成分を有する。図3のH点における周波数fを発振周波数とする局部発振信号からの変調信号は、周波数fを中心として、f−fからf+fまでの周波数成分を有する。ここで、周波数fは、周波数fを発振周波数とする局部発振信号からの変調信号の周波数帯域の半幅であり、FM一括変調においてはFM変調度に従って変化する周波数である。
【0039】
図3のI点における合波器15の出力した合波信号は、周波数fを中心として、f−fからf+fまでの周波数成分を有する。そして、f=f−fの周波数成分をさらに有する。ただし、f=f−fの周波数成分をさらに有することに代えて、f=f+fの周波数成分をさらに有してもよい。
【0040】
図3のJ点における変調対象となる光の連続信号からのSSB変調信号は、変調対象となる光の連続信号由来として、fの周波数成分を有さない。そして、上側側波帯として、f+f−fからf+f+fまでの周波数成分を有し、周波数fを発振周波数とする局部発振信号由来として、f+f−fの周波数成分を有する。ただし、上側側波帯として、f+f−fからf+f+fまでの周波数成分を有し、周波数fを発振周波数とする局部発振信号由来として、f+f−fの周波数成分を有することに代えて、下側側波帯として、f−f−fからf−f+fまでの周波数成分を有し、周波数fを発振周波数とする局部発振信号由来として、f−f+fの周波数成分を有してもよい。このように、変調対象となる光の連続信号に由来する周波数成分fが光信号の搬送波として機能するのではなく、周波数fを発振周波数とする局部発振信号に由来する周波数成分f+f−f又はf−f+fが光信号の搬送波として機能する。
【0041】
図3のK点における受光器20の出力した電気信号は、0から2fまでの周波数成分を有する。図3のL点におけるデータ信号は、0からfまでの周波数成分を有しており、データ信号が復元されている。このように、光受信器2では、受光器20での光電変換の処理速度は、光信号の周波数と比較して遅いため、受光器20からの電気信号の周波数は、0から2fまでの復調可能な周波数に位置する。
【0042】
このように、局部発振器14からの局部発振信号の周波数を、変調器11からの変調信号の周波数帯域の一端に位置させたうえで、SSB変調器がSSB変調し、受光器20が光電変換することにより、図1の周波数ミキサ22が周波数ダウンコンバートすることと同様の効果を得られる。そして、SSB変調器がSSB変調することにより、図1のLPF23が高周波側のイメージ周波数の成分を遮断し、低周波側のダウンコンバート周波数の成分を透過することと同様の効果を得られる。よって、変調信号の中心周波数が復調可能な周波数から高周波にシフトしているときであっても、送受信側で周波数ダウンコンバータが必要なくなり、部品のコストの増大及び信号の品質の劣化を防止することができる。
【0043】
以上の実施形態では、局部発振器14からの局部発振信号の周波数を、変調器11からの変調信号の周波数帯域の一端に位置させていた。しかし、局部発振器14からの局部発振信号の周波数を、任意の周波数に設定してもよい。つまり、0〜f−f〜fの範囲にfを位置させてもよく、f〜f+f〜∞の範囲にfを位置させてもよい。ここで、無限大の周波数とは、f+f以上である任意の周波数を意味する。または、局部発振器14からの局部発振信号の周波数を、変調器11からの変調信号の周波数帯域の近傍に位置させてもよい。例えば、f−2f〜f−f〜fの範囲にfを位置させてもよく、f〜f+f〜f+2fの範囲にfを位置させてもよい。
【0044】
ただし、0〜f−fの範囲又はf+f〜∞の範囲にfを位置させるときには、受光器20からの電気信号の周波数は、復調可能な周波数に必ずしも位置せず、周波数ダウンコンバータが必要となる可能性がある。そして、f−f〜fの範囲又はf〜f+fの範囲にfを位置させるときには、受光器20からの電気信号の周波数は、元々のデータ信号を復調するのに十分な帯域とならない可能性がある。
【0045】
そこで、f−f又はf+fにfを一致させることにより、受光器20からの電気信号の周波数は、0から2fまでに分布するため、確実に復調可能な周波数に位置するとともに、確実に元々のデータ信号を復調するのに十分な帯域となる。さらに、受光器20の透過帯域を0から2f以上とすることにより、受光器20からの電気信号の周波数は、より確実に0から2fまでに分布する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る光通信システム及び光送信器は、FM一括変調に限定されない一般の変調を利用した光通信技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:光送信器
2:光受信器
3:光ファイバ伝送路
10:局部発振器
11:変調器
12:光源
13:強度変調器
14:局部発振器
15:合波器
16:90度移相器
17:ネスト型マッハツェンダー型変調器
20:受光器
21:局部発振器
22:周波数ミキサ
23:LPF
24:復調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送信器と光受信器が光ファイバ伝送路を介して通信する光通信システムであって、
前記光送信器は、
第1の周波数を発振周波数とする第1の局部発振信号を出力する第1の局部発振器と、
データ信号を利用して前記第1の局部発振信号を変調し変調信号を出力する変調器と、
第2の周波数を発振周波数とする第2の局部発振信号を出力する第2の局部発振器と、
前記変調信号及び前記第2の局部発振信号を合波し合波信号を出力する合波器と、
変調対象となる光の連続信号を出力する光源と、
前記合波信号を利用して前記変調対象となる光の連続信号をSSB(Single Side Band)変調し、SSB変調信号を前記光受信器に送信するSSB変調器と、
を備え、
前記光受信器は、
前記SSB変調信号を前記光送信器から受信し電気信号に変換する受光器と、
前記電気信号を復調し前記データ信号を出力する復調器と、
を備えることを特徴とする光通信システム。
【請求項2】
前記第2の周波数は、直流成分の周波数から前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数までの間、又は前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数から無限大の周波数までの間に位置することを特徴とする、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記第2の周波数は、前記第1の周波数に前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数、又は前記第1の周波数から前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記受光器は、直流成分の周波数から前記変調信号の周波数帯域の全幅以上の透過帯域を有することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の光通信システム。
【請求項5】
光受信器と光ファイバ伝送路を介して通信する光送信器であって、
第1の周波数を発振周波数とする第1の局部発振信号を出力する第1の局部発振器と、
データ信号を利用して前記第1の局部発振信号を変調し変調信号を出力する変調器と、
第2の周波数を発振周波数とする第2の局部発振信号を出力する第2の局部発振器と、
前記変調信号及び前記第2の局部発振信号を合波し合波信号を出力する合波器と、
変調対象となる光の連続信号を出力する光源と、
前記合波信号を利用して前記変調対象となる光の連続信号をSSB(Single Side Band)変調し、SSB変調信号を前記光受信器に送信するSSB変調器と、
を備えることを特徴とする光送信器。
【請求項6】
前記第2の周波数は、直流成分の周波数から前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数までの間、又は前記第1の周波数に対して前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数から無限大の周波数までの間に位置することを特徴とする、請求項5に記載の光送信器。
【請求項7】
前記第2の周波数は、前記第1の周波数に前記変調信号の周波数帯域の半幅を加算した周波数、又は前記第1の周波数から前記変調信号の周波数帯域の半幅を減算した周波数であることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の光送信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−249122(P2012−249122A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119922(P2011−119922)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】