説明

光過酸化法を使用する重合体組成物および重合開始剤

主としてコア−シェル形態を有するゴム改質重合体組成物が開示される。ゴム改質重合体組成物はスチレン、ポリブタジエンおよび、一重項酸素をアリルの水素またはジエンを含むオレフィンと接触させてヒドロペルオキシドまたはペルオキシドを形成する工程により形成される高グラフト開始剤、を含んでなるポリスチレンであることができる。一重項酸素は、基底状態の酸素を、光に曝露された光触媒、例えば感光性染料と接触させる工程により形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する関係】
【0001】
適用できない。
【技術分野】
【0002】
本発明は概括的にポリスチレン−ポリブタジエン共重合体の生産に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリスチレン(PS)は単量体スチレンの重合から生成されるプラスチックであり、典型的にはその結晶状態において硬く、脆弱である。それは、その重合中に、ある量のゴム、例えばポリブタジエンを含むことにより、特定の弾力性をもつようにさせることができる。ある量のゴムを使用して重合されたポリスチレンは高衝撃ポリスチレンまたはHIPSと呼ばれる。ポリブタジエンは1,3−ブタジエンの重合から生成され、その鎖中に、ポリスチレン鎖のためのグラフト部位として役立つことができる、不飽和の炭素−炭素二重結合を有する。従って、スチレンとポリブタジエンは一緒に重合されると、グラフト共重合体を形成することができる。
【0004】
ポリブタジエンの添加は重合体の靭性および衝撃吸収を増加することができる。HIPSは、光沢および衝撃吸収の双方の高いプラスチックを必要とする様々な適用物、例えば電気器具のケース、玩具および食品容器に使用することができる。
【0005】
しかし、HIPSの組成物には光沢と靭性間に固有の矛盾がある可能性がある。光沢は一般に、重合体の強度または重合体の硬度と関連し、より硬いPSが一般に高い光沢を有するであろう。靭性は重合体の、エネルギーを吸収する能力に関連し、より靭性の高いPSがエネルギーを吸収することができ、一般により低い光沢を有するであろう。強度の高い重合体は、より柔らかいまたはよりゴム状の重合体より硬く、そして高エネルギーの衝撃に耐えられない。
【0006】
HIPSの強度および靭性は、ゴムの粒度および形態を含む幾つかの因子により影響を受けることができる。例えば、大型のゴム粒子はHIPSの靭性を増加する傾向をもつが、小型のゴム粒子は硬度および光沢を増加することができる。ポリスチレンマトリックスとポリブタジエン鎖間のグラフトの程度は形態に影響を与える。より低レベルのグラフトはセル状のまたはサラミ状の形態をもたらすことができ、それは、各ゴムのセルが、ゴムのセル内に一部または完全に捕捉されたポリスチレンの多数の吸蔵物を有する、ポリスチレンマトリックス中に分散されたゴムのセルにより特徴を示される。このタイプの形態は一般に低い光沢を伴う。
【0007】
高レベルのグラフトは、1個のポリスチレンのコアがポリブタジエンのシェル内に吸蔵され、ポリブタジエンのシェルがポリスチレンのマトリックス内に分散されるコア−シェル形態をもたらすことができる。コア−シェル形態は一般に高い光沢を伴い、そして高い透明度を達成するものとしても知られている。それは光沢と衝撃強度間の良好なバランスを達成するために適した形態である可能性がある。コア−シェル形態はまた、より少量のポリブタジエンの使用により、より大型の有効なゴムの粒度を達成することができる、経済的利点をも提供することができる。ポリブタジエン・ゴムは、HIPSの生成に使用される比較的高価な成分である。ゴムのシェル中にポリスチレン吸蔵物を捕捉することにより、空気でそれを充満させることにより膨張される風船のように、シェルのサイズを膨張させることができる。
【0008】
必要とされる高レベルのグラフトのために、コア−シェル形態をもつHIPSを得ることは困難である可能性がある。様々な方法、例えば、界面活性剤を含む水溶液中で単量体が重合されるエマルション重合法の使用、を使用することができる。しかし、重合後に界面活性剤を除去することが困難な可能性があるので、必要とされる大量の界面活性剤が主要な欠点である。HIPSを生成する他の方法は、ポリブタジエンの代わりにスチレン−ブタジエン(SBR)ブロック共重合体の使用を伴うことができる。SBRはブタジエンより高レベルのグラフトを生成することができるが、より高価である。ポリブタジエンはより安価であるが、そのグラフト共重合体粒子内にセル状形態を形成する傾向がある。従って、高レベルのグラフトおよびコア−シェル形態をもつHIPSを生成する経済的方法が望まれる。更に、環境に優しいそして/または生物学的に再生可能な化学薬品の、場合による使用により、このような製法の経済学および生態学的影響の双方を最適化することが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【0009】
要約
本発明の態様は概括的に、ゴム改質重合体組成物、例えば、主としてコア−シェル形態をもつ高衝撃ポリスチレンを含む。ゴム改質重合体組成物は芳香族単量体、例えばスチレン、およびグラフトゴム共重合体、例えばポリブタジエン、のマトリックス相を含んでなることができる。ゴムのコモノマーに対する芳香族単量体のグラフトのためには、高グラフト重合開始剤を使用することができる。開始剤は、ジエンまたはアリルの水素のいずれかまたは双方を含むオレフィンとの一重項酸素の反応により形成することができる。ディールス・アルダー反応または「エン」反応は、オレフィンと一重項酸素間に起って、ペルオキシドまたはヒドロペルオキシドを生成することができる。ペルオキシドおよびヒドロペルオキシドはビニル重合、例えば、スチレンがそれによりポリブタジエン鎖にグラフトする機序、の有用な開始剤として当該技術分野で知られている。
【0010】
高グラフト開始剤の前駆体として使用されるオレフィンは石油化学的方法により誘導されるか、または生物学的に再生可能な原料から誘導することができる。石油化学的に誘導されるオレフィンは、1,3シクロヘキサジエン、1−メチル−1−シクロヘキサジエン、インデンおよびジメチル−2,4,6−オクタシクロトリエンを含む。生物学的に再生可能なオレフィンはアルファ−テルピネン、シトロネロール、ミルセン、リモネン、3−カレン、アルファ−ピネン、大豆油およびファルネセンを含む。
【0011】
一重項酸素は基底状態の酸素を活性化供与体、例えば光触媒、と接触させることにより形成することができる。感光性染料は300nm〜1400nmの波長をもつ光線に曝露されると光触媒を形成することができる。有用な染料はキサンテン染料、チアジン染料、アクリジン染料またはそれらの組み合わせ物を含む。染料は固形キャリアー、例えばシリカまたはアルミナビーズ上に噴霧され、そして、基底状態の酸素が通過することができる乾式塔内に収納されることができる。該塔は、光源が染料を活性化し、それが順次基底状態の酸素に、一重項酸素を形成させることができるように透明であることができる。乾式塔は、塔内に形成される一重項酸素が反応器中に通過することができるように反応器に接続されることができる。反応器はスチレン、ポリブタジエンおよび高グラフト前駆体のオレフィンを含むことができる。一重項酸素は反応器に入ると、オレフィンおよびポリブタジエンと反応して、ヒドロペルオキシドおよびペルオキシドを形成することができる。次に、これらのインサイチューで形成される開始剤を使用して、従来の温度プロファイルをもつ高衝撃ポリスチレンを重合することができる。
【0012】
高衝撃ポリスチレンはまた、更なるオレフィンを使用せずに形成することができる。ポリブタジエン、例えば1,4−シス−ポリブタジエンを高グラフト開始剤として使用することができる。一重項酸素はポリブタジエンと反応して、ポリブタジエン鎖に沿ってヒド
ロペルオキシド基を形成することができる。ヒドロペルオキシド基はスチレンに対するグラフト部位として働いて、コア−シェル形態をもつ高衝撃ポリスチレンを生成することができる。
【0013】
本発明は更に、モノビニル芳香族単量体、ゴム共重合体および高グラフト開始剤を含んでなる重合可能な混合物を調製し、そして反応条件下で混合物を重合させる工程、を含んでなる、ゴム改質重合体組成物を生成する方法を含む。高グラフト開始剤は、基底状態の酸素を活性化供与体と接触させて一重項酸素を生成し、そして、オレフィンが高グラフトペルオキシド開始剤を形成するように、前記一重項酸素を、アリルの水素またはジエンのいずれかを含むオレフィンと接触させる工程、により形成される。高グラフト開始剤はゴム共重合体鎖に沿ったモノビニル芳香族重合体のグラフトを容易にする。
【0014】
ゴム改質重合体組成物は主としてコア−シェル形態を示すことができる。モノビニル芳香族単量体はスチレンまたは置換スチレン化合物であることができる。グラフトゴム重合体はポリブタジエンまたは共役1,3−ジエンの重合体であることができる。ゴム改質重合体組成物は高衝撃ポリスチレンであることができる。活性化供与体分子は、300nm〜1400nmの波長をもつ光線に感光性染料を曝露することにより得ることができる。感光性染料は以下:キサンテン染料、チアジン染料、アクリジン染料またはそれらの組み合わせ物から選択することができる。活性化供与体は、酸素がそれを通過して一重項酸素を形成することができる透明な乾式塔内に収納することができる。
【0015】
本発明の態様は、本明細書に記載されるゴム改質重合体組成物から製造されるか、または本明細書に記載される方法から製造される製品を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a−b】図1a〜bは、一重項酸素と、1個または複数の炭素−炭素二重結合をもつ炭化水素間に起ることができる2つの反応例を示す。
【図2】図2は実験室反応器の「乾式塔」のスキームを示す。
【図3】図3は4種の重合物について、反応時間(分)に対してプロットされた転化率(固形分のパーセント)を示す。1種は対照例であり、他の3種は詳細な説明中に提供される実施例3において実施された反応から得られた。
【図4】図4は光過酸化された生物学的に再生可能な前駆体を伴う5種の重合物について、反応時間(分)に対してプロットされた転化率(固形分のパーセント)を示す。
【図5】図5は開始剤として過酸化シクロヘキサジエンを使用して得られたHIPSのTEM画像である。
【0017】
詳細な説明
本発明の態様は、主としてコア−シェル形態をもつゴム改質重合体組成物を含む。ゴム改質重合体組成物は、芳香族単量体、例えばスチレン、およびグラフトゴム共重合体、例えばポリブタジエン、のマトリックス相を含んでなることができる。芳香族単量体のゴム・コモノマーに対するグラフトのためには、高グラフト重合開始剤を使用することができる。
【0018】
本明細書で使用される用語「高グラフト」は、ゴム連鎖の少なくとも30%が、少なくとも1種のグラフトされた重合体鎖を有する、ゴム改質重合体組成物の重合物を表す。高
グラフト開始剤は、ゴム連鎖の少なくとも30%が少なくとも1種のグラフトされた重合体鎖を有する、重合反応を開始するのに有効な物質である。
【0019】
本発明は更に、モノビニル芳香族単量体、ゴム共重合体および高グラフト開始剤を含んでなる重合可能な混合物を調製し、そしてその混合物を反応条件下で重合させる工程、を含んでなる、ゴム改質重合体組成物を生成する方法を含むことができる。高グラフト開始剤は、基底状態の酸素を活性化供与体と接触させて一重項酸素を生成し、そして、オレフィンが高グラフトペルオキシド重合開始剤を形成するように、前記の一重項酸素を、アリルの水素またはジエンのいずれかを含むオレフィンと接触させる工程、により形成されることができる。高グラフト開始剤はゴム共重合体連鎖に沿ってモノビニル芳香族重合体のグラフトを容易にする。
【0020】
本発明は、高グラフト重合開始剤の使用により生成される、コア−シェル形態をもつ高衝撃ポリスチレン(HIPS)を含む。開始剤は一重項酸素による過酸化により形成することができる。
【0021】
一重項酸素は種々の分子を官能化させるために使用することができる反応性分子である。一重項酸素は基底状態の酸素より一般的ではない酸素の形態である。基底状態の酸素は三重項状態(における上つき「3」により示される)にある。基底状態の酸素の2個の不対電子は、物理化学の規則に従うと、それらを大部分の分子と反応させない特徴物である平行スピンを有する。従って、基底状態または三重項酸素は非常に反応性ではない。しかし、三重項酸素はエネルギーの付加により活性化されて、その不対電子に相反するスピンをもたせることができる。このようにして、三重項酸素は反応性酸素物質、例えば一重項酸素(における上つき「1」により示される)に転化させることができる。
【0022】
【化1】

【0023】
この反応はまた、この形式: + エネルギー → で表すこともできる。
【0024】
一重項酸素は、低いエネルギーの三重項状態に復帰するために、そのエネルギーを他の分子に移動させることができ、従って様々な分子を官能化するために有用である。例えば、1個または複数の二重結合をもつ炭化水素は一重項酸素と反応してペルオキシドおよびヒドロペルオキシドを形成することができる。ペルオキシドおよびヒドロペルオキシドは、スチレンのポリスチレンへの重合およびスチレンとポリブタジエン間に起るグラフトの原因となる反応のタイプの、ビニル重合の開始剤として有用であることは当該技術分野で周知である。従って、一重項酸素は、HIPSの生成のための高グラフトビニル重合開始剤を生成するために使用することができる。
【0025】
図1a〜bは一重項酸素と、1個または複数の炭素−炭素二重結合をもつ炭化水素間に起る可能性がある2例の反応を示す。図1aは、一重項酸素と、少なくとも1個のアリルの水素原子を含む二重結合系間の「エン」反応の1例を示す。一重項酸素がアリルの陽子を引き付け、最初の二重結合がアリルの位置に移動して、熱分解時にペルオキシドタイプの開始剤として働くことができるアリルヒドロペルオキシドを生成する。これは、ポリブタジエンが一重項酸素と反応される時に起る反応のタイプである。図1bは一重項酸素と共役ジエン間のディールス・アルダー反応の例を示す。ディールス・アルダー反応は一般
に、親ジエノ物質とシス1,3−ジエン系の間で起って、2個の新規の単結合および2個の弱い二重結合をもつ生成物を生成する。この反応の駆動力はπ結合よりエネルギー的に安定な新規のσ結合の形成である。この場合は、親ジエノ物質は一重項酸素であり、それがシス1,3ジエン系に付加されてエンドペルオキシドを形成する。この反応は1,4シクロ付加であり、これは実質的にゼロの活性化エネルギーを有し、「エン」ヒドロペルオキシド化より高い速度(rate)を有する。
【0026】
図1a〜bに示される反応は双方とも、ビニル重合開始剤として働くことができる生成物を生成する。一重項酸素が仲介するオレフィンに対する付加は著しく選択的である。これらの反応においては、何の他の酸素含有誘導体も形成されない。更に、一重項酸素とオレフィン間の反応は定量的性状をもつので、生成される開始剤の量を制御することができ、順次、グラフトのレベルをも制御することができる。
【0027】
高グラフトビニル重合開始剤は、一重項酸素との反応を受けてヒドロペルオキシドまたはエンドペルオキシドを形成することができる、様々な単量体またはポリ−不飽和炭化水素から形成することができる。幾つかの有用な炭化水素は、ディールス・アルダー反応の可能なジエンおよび少なくとも1個のアリルの水素原子を有するオレフィンを含む。幾つかの限定されない例は1,3シクロヘキサジエン、1−メチル−1−シクロヘキサジエン、インデンおよびジメチル−2,4,6−オクタシクロトリエンを含む。アルファ−テルピネン、シトロネロール、ミルセン、リモネン、3−カレン、アルファ−ピネン、大豆油およびファルネセンを含む、再生可能な原料から得られるオレフィンも使用することができる。過酸化炭化水素は、高グラフト重合開始剤として重合反応器に添加しても、またはスチレン中に溶解されたポリブタジエンの過酸化と同時にインサイチューで形成することもできる。炭化水素の前駆体は重合供給物の0.001重量%〜10重量%以上の量であることができる。幾つかの態様においては、炭化水素前駆体は重量供給物の0.005重量%〜5重量%の量であることができる。ポリブタジエンはまた、どんな余分の開始剤または開始剤前駆体をも伴わずに、高グラフト開始剤として働くことができる。一般にポリブタジエン鎖はビニル、トランス、シスまたはそれらの幾つかの組み合わせ物である。ポリブタジエンの混合物は高グラフト開始剤として使用することができる。幾つかの態様において、ポリブタジエン混合物は主として1,4−シス−ポリブタジエンであることができる。使用されるポリブタジエンの量はゴム−スチレン溶液の0.1重量%〜50重量%以上、または1%〜30重量%の範囲にあることができる。ポリブタジエンが物理的特性の変更のために添加される場合は、ポリブタジエンの量はゴム−スチレン溶液の50重量%を超えることができる。
【0028】
生物学的に再生可能なオレフィンおよびジエンは植物油および種子油の水蒸気蒸留により生成することができる。例えば、リモネンはオレンジの皮から生成することができ、オレンジの皮油は典型的には約90%リモネンである。ピネンおよびミルセンはマスティック樹のガムから生成することができ、マスティック樹はピスタチオ属の常緑の潅木または小木である。ミルセンはトリエンのオレフィンであり、それは、異なる温度で分解しそして開始剤の混合物として働くペルオキシドおよびヒドロペルオキシド部分の双方をもつ、二官能性開始剤として働くことができることを意味する。シトロネロールはシトロネラ草(レモングラス)から生成することができる。シクロヘキサジエンの構造同族体のテルピネンはクミンの種子および他の植物源から生成することができる。生物学的に再生可能なオレフィンは製造コストを低下させる集合的な利点をもつことができる。有用であると列挙された他の不飽和炭化水素は大部分、石油化学原料から由来し、そして生成するために複雑な合成を必要とする。それに対し、生物学的に再生可能な開始剤の前駆体は複雑な合成を必要とせず、多数が無毒の市販の液体から入手できる、安価な原料から入手できる。従って、生物学的に再生可能なオレフィンは経済的および環境的双方の利点を提供することができる。
【0029】
光過酸化は一般に、環境に優しい方法であると考えられ、石油化学的に誘導されたものおよび生物学的に再生可能な原料双方からの、前記の炭化水素の前駆体から、ビニル重合開始剤の生成をもたらす方法である。光過酸化の方法は、空気および低い負荷量の有機染料を使用して、光線に照射された染料の表面上で、空中の酸素を一重項酸素に転化させる。一重項酸素は、電磁線による照射により活性化供与体の分子になる感光性染料からのエネルギー移動により生成される。その場合感光性染料は光触媒と呼ぶことができる。電磁線は300nm〜1400nmの波長をもつ可視光線を含んでなることができる。光度は20〜90ftキャンドルの範囲にあることができる。光度の下限は一般に経済効率により決定され、他方、上限は、不活性化をもたらすことができる感光性染料の光脱色を回避するように決定される。光源は外界光、タングステンランプ、ハロゲンランプまたは他の同様な光源であることができる。使用することができる幾つかの感光性染料は、キサンテン染料、チアジン染料、アクリジンまたはそれらの組み合わせ物を含む。例は、それらに限定はされないが、ローズベンガル、チオニン、アクリジンオレンジ、メチレンブルーおよびエリスロシンを含む。
【0030】
感光性染料は、工程中の空気流によるように重合反応器中に懸濁させることができる。重合反応器中の染料の懸濁に対する欠点は、染料が生成物中に侵出する可能性がある点である。他の方法は、感光性染料を固形キャリアー、例えばシリカまたはアルミナビーズ上に担持させることができる。固形キャリアーは、光触媒がそれらの活性化のために光に曝露されることができるように、ガラスまたは他の透明な物質でできた塔内に含まれることができる。塔は湿式でも乾式でもよいが、生成物中への染料の侵出を回避するためには乾式塔が望ましいかも知れない。乾式塔は透明な塔内に収納された固形キャリアー上に噴霧された光触媒を含んでなることができる。制御された量の一重項酸素を生成することができるように、前以て決定された時間、前以て決定された速度で酸素を塔内に散布することができる。これが、高グラフト開始剤の生成および、従ってグラフトのレベルの制御を許す。次に乾式塔内で生成された一重項酸素は、スチレン単量体、ゴムおよび場合により過酸化される炭化水素を含む反応容器中に通過することができる。
【0031】
図2は実験室の反応器の「乾式塔」のスキームを示す。三重項または基底状態の酸素を含む空気を、流入口1を通って乾式塔2中にポンプで押し込むことができる。塔はシリカまたはアルミナビーズまたは他の形態の固形キャリアーを含む。固形キャリアーは一定量の感光性染料を付加されている。異なる染料は単位光線当り、染料の1モル当り特定量の一重項酸素を生成するために、染料の量は、使用される染料のタイプに左右される。一般に、キャリアー1グラム当り0.1〜1mgの染料の、少量の染料を使用することができる。乾式塔2は、光触媒を活性化するために可視光または紫外線光に曝露することができる。三重項酸素を含む空気が塔2を通過する時に、光触媒がエネルギーを酸素分子に移すであろう。従って塔の出口3を通って塔2を排出する時に、酸素は一重項酸素であろう。次に一重項酸素は反応器の入り口4を通って重合反応器5中に通過する。反応器5の内容物は酸素の発泡により混合される。反応器5はスチレン単量体に溶解されたポリブタジエンを含んでなることができる。反応器5に到達すると、一重項酸素がポリブタジエンとの「エン」反応を受けて、ポリブタジエン鎖に沿ってヒドロペルオキシド基を形成することができる。これらの基が高グラフトビニル重合のためのサイトとして働くことができる。場合により、反応器5は更なるポリオレフィン開始剤前駆体を含むことができる。反応器5に到達時に、一重項酸素はポリオレフィンと反応して、高グラフトビニル重合開始剤を形成することができる。反応器5はまた、HIPSの生成に有用であると当該技術分野で知られた他の添加物を含むことができる。あるいはまた、反応器5はポリオレフィン開始剤の前駆体を含むことができるが、スチレン単量体またはポリブタジエンを含まないかも知れない。開始剤の前駆体は溶媒に溶解され、反応器5内で過酸化されることができる。反応の終結時に、過酸化された開始剤は反応器5から排出され、HIPS重合のために別
な反応器中で使用されることができる。
【0032】
一重項酸素の生成のための「乾式塔」法は、幾つかの可能な利点、例えば、比較的安価な触媒およびキャリアーの使用、長い触媒寿命、触媒添加および除去の利便性、並びに触媒表面上にゴムの堆積がない事実、を提供する。
【実施例】
【0033】
以下の実施例は本発明の具体的な態様として与えられ、発明の範囲を限定することは意図されない。
【実施例1】
【0034】
実施例1において、1,3シクロヘキサジエンのヒドロペルオキシド化を乾式塔プラス反応容器内で実施した。100mlの1,3シクロヘキサジエン(Aldrich,97%、b.p.80℃)の5%溶液(エチルベンゼン中)を、アルミナF200(Alcoa)上76gのRose Bengal触媒(0.26mg/キャリアー1gの添加)を充填された乾式塔を伴う実験室光過酸化反応器に添加し、1L/分で2時間、空気とともに散布した。触媒含有塔をタングステンランプ(71ftキャンドル)で照射した。2時間後、反応器を空け、反応生成物の溶液を回収した。ペルオキシド含量をASTM−D−2340−82法により決定した。活性酸素は溶液1ml当り19.92μgであることを認めた。
【実施例2】
【0035】
実施例2において、ヒドロペルオキシド化反応を、1−メチル−1−シクロヘキサジエン、インデン、アルファ−テルピネンおよび2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエンにつき実施した。100mlの、各基剤(1−メチル−シクロヘキサジエン、Aldrich 97%,b.p.80℃;インデン、Aldrich工業銘柄、b.p.181℃;アルファ−テルピネン、Aldrich85%、b.p.173〜175℃;2,6−ジメチル−2,4,6−オクタシクロトリエン、Aldrich工業銘柄80%、異性体の混合物、b.p.73〜75℃/14mm)の10%溶液(トルエン中)をシリカ上76gのRose Bengal触媒(0.26mg/キャリアー1gを添加)を充填された乾式塔をもつ実験室光過酸化反応器に添加し、1L/分で2時間、空気とともに散布した。外部光線を使用した。インデンの光酸化中、インデンの光開始重合を防止するためにインデン含有容器を覆った。
【実施例3】
【0036】
実施例3においては、3種のヒドロペルオキシド化ゴム供給物を;1つは2,3−ジメチル−2−ブテンの存在下で、1つは1,3−シクロヘキサジエンの存在下で、そして1つはどんな更なる炭化水素をも伴わずに、調製した。170mlの、Diene−55ゴムの4%溶液(スチレン単量体中)をシリカ上に担持されたRose Bengalで充填された乾式触媒塔を伴う光過酸化反応器に添加した。5重量%の2,3−ジメチル−2−ブテンを添加し、生成された混合物を1L/分の流速で2時間、空気とともに散布した。乾式塔をタングステンランプ(71ftキャンドル)で照射した。2時間後、反応器を空け、供給物を回収した。供給物に5重量%の1,3シクロヘキサジエンの添加を伴う別の反応を実施した。1,3シクロヘキサジエンの添加時に、供給物溶液は明白に濃厚化した。開始剤前駆体として、ゴム以外のあらゆる不飽和炭化水素の添加を伴わずに別の反応も実施した。
【0037】
実施例3で実施された実験から得た供給物は110℃で2時間、130℃で1時間、そして150℃で1時間の温度プロファイルを使用してバッチ重合された。合成された開始
剤を伴う、および伴わない、スチレン単量体中での光過酸化ゴムの重合速度は表1に示す。これらの結果は、合成された開始剤が光過酸化供給物中に存在する時に、重合速度の有意な増加を示す。これらの開始剤の熱分解を補助するために、トリエチルアミンのようなレドックス添加物を必要としなかった。
【0038】
【表1】

【0039】
図3はグラフ形式の表1からのデータを示す。反応時間が進む時の固形分のパーセントの転化率が4種の重合物について示される。線1は開始剤の前駆体として1,3シクロヘキサジエンを使用して調製された過酸化供給物に対応する。線2は開始剤前駆体として更なる炭化水素を使用しない過酸化供給物に対応する。線3は開始剤前駆体として2,3−ジメチル−2−ブテンを使用して調製された過酸化供給物に対応する。線4は170ppmの市販の開始剤、Lupersol(R)L233を含む標準供給物に対応する。炭化水素開始剤前駆体を伴う、および伴わない光過酸化ゴム供給物は、従来の開始剤を使用して調製された供給物に匹敵する、そして初期反応時間においてはより高い重合速度を示す。
【実施例4】
【0040】
実施例4においては、ビニル重合開始剤の前駆体としてミルセン、リモネン、アルファ−テルピネンおよびシトロネロールを使用して、幾つかのヒドロペルオキシド化ゴム供給物を調製した。Aldrichから購入されたオレフィンをスチレン単量体と混合して、20重量%の溶液を得た。100gの各溶液を、一重項酸素形成のためにRose Bengal触媒を使用して1.2L/分の空気流速の、一重項酸素を強化させた空気により2時間、光過酸化させた。30〜180ft−キャンドル間の光度をもつ蛍光灯に加えてハロゲン光線を使用した。2時間後、過酸化溶液を回収し、5gの各溶液を、200gの、5%D55ゴム溶液(スチレン中)のHIPSバッチ重合物中に開始剤として添加した。110℃で2時間、130℃で1時間、そして150℃で1時間の標準温度プロファイルを使用した。
【0041】
図4は、表2のデータに対して反応時間(分)が進行する時の転化率(固形分パーセント)を示すグラフである。データは光過酸化された生物学的に再生可能な前駆体を使用した5種の重合物について示される。線1は開始剤として約1gのミルセンを含む供給物に対応する。線2は開始剤として1gのリモネンを含む供給物に対応する。線3は開始剤として0.5gのメチル−シクロヘキセンを含む供給物に対応する。線4は開始剤として1
gのアルファ−テルピネンを含む供給物に対応する。線5は開始剤として1gのシトロネロールを含む供給物に対応する。図4は、試験された生物学的に再生可能な化合物が優れた重合活性を示したことを示す。この群の化合物の重合速度は市販の開始剤、例えばL−233、L−531およびTMCHの速度に匹敵する。アルファ−テルピネンはもっとも有効な開始剤であるように見え、それは、一重項酸素による過酸化反応の最高のその報告速度と一致する。
【0042】
【表2】

【0043】
図5は開始剤として過酸化シクロヘキサジエンを使用して得たHIPSのTEM画像を示す。画像は、ポリスチレンのコアがポリブタジエンのシェルの内部に吸蔵され、シェルがポリスチレンのマトリックス内に分散された、主としてコア−シェル形態を示す。この画像は、ゴムおよび/または他の炭化水素の開始剤前駆体の光過酸化反応を使用して、コア−シェル形態をもつHIPSを生成することができることを示す。
【0044】
重合体のマトリックス相は芳香族単量体から生成することができる。このような単量体は、アルキル化スチレンが核または側鎖においてアルキル化されるモノビニル芳香族化合物、例えばスチレン並びにアルキル化スチレンを含むことができる。アルファメチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、メタクリル酸およびビニルトルエンが、本発明の重合体を形成するのに有用であることができる単量体である。これらの単量体はその全体を引用することにより取り込まれていることとされる、Reimers等に対する米国特許第7,179,873号明細書に開示されている。
【0045】
重合体のマトリックス相は、スチレン重合体が単独重合体であるか、あるいは場合により1種または複数のコモノマーを含んでなることができるスチレン重合体(例えば、ポリスチレン)であることができる。スチレンは化学式Cにより表される芳香族の有機化合物である。スチレンは広く市販されており、本明細書で使用される用語スチレンは、様々な置換スチレン(例えば、アルファ−メチルスチレン)、環置換スチレン(例えばp−メチルスチレン)、分配スチレン(例えば、p−t−ブチルスチレン)並びに未置換スチレンを含む。
【0046】
一つの態様において、スチレン重合体は1.0g/10分〜30.0g/10分、あるいはまた1.5g/10分〜20.0g/10分、あるいはまた2.0g/10分〜15.0g/10分のASTM D1238に従って決定される溶融流量;1.04g/cc〜1.15g/cc、あるいはまた1.05g/cc〜1.10g/cc、あるいはまた
1.05g/cc〜1.07g/ccのASTM D1505に従って決定される密度;227°F〜180°F(108.3℃〜82.2℃)、あるいはまた224°F〜200°F(106.7℃〜93.3℃)、あるいはまた220°F〜200°F(101.7℃〜93.3℃)のASTM D1525に従って決定されるビカー軟化点;並びに5800psi〜7800psiのASTM 638に従って決定される引張り強さを有する。本開示中への使用に適するスチレン重合体の例は、限定されずに、CX5229およびPS535を含み、それらはTotal Petrochemicals USA,Inc.から市販されているポリスチレンである。本発明の一つの態様の、限定されない例において、スチレン重合体(例えば、CX5229)は概括的に表3に示す特性を有する。
【0047】
【表3】

【0048】
重合法はバッチ法または連続法の条件下で操作することができる。一つの態様において、重合反応は単一反応器または複数の反応器を含んでなる重合装置内で連続的生産法を使用して実施することができる。本発明の一つの態様において、重合体組成物は逆流反応器のために調製することができる。重合体組成物の生成のための反応器および条件は、その全体を引用することにより取り込まれているとされるSosa等に対する米国特許第4,777,210号明細書に開示されている。
【0049】
温度範囲を含む操作条件は、重合法に使用される装置の運転特性と一致するように選択することができる。一つの態様において、重合温度は90℃〜240℃の範囲にある。他の態様において、重合温度は100℃〜180℃の範囲にある。更に他の態様において、重合反応は、各反応器が最適な温度範囲下で操作される複数の反応器中で実施することができる。例えば、重合反応は、連続的に撹拌されるタンク反応器(CSTR)またはプラグ−フロー反応器のいずれかである第1および第2の重合反応器を使用する反応器システム中で実施することができる。一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのスチレン共重合体の生成用の重合反応器は複数の反応器を含んでなり、初期重合反応器としても知られる第1の反応器(例えばCSTR)は90℃〜135℃の温度範囲で操作され、他方、第2の反応器(例えば、CSTRまたはプラグフロー)は100℃〜165℃の範囲内で操作されることができる。
【0050】
本明細書で使用される用語「1種または複数の過酸化物」は、本明細書に記載された一重項酸素との反応により形成される1種または複数のペルオキシドおよび1種または複数のヒドロペルオキシドのいずれかまたは双方を含むこととする。
【0051】
含んでなる(comprises)、含む(includes)、有する(having)、等のような広義の用語は、よりなる(consisting of)、本質的によりなる(consisting essentially of)、実質的にそれからなる(comprised substantially of)、等のような狭義の用語とは区別して使用されるものと理解しなければならない。
【0052】
本明細書におけるすべての「発明」の言及は、文脈に応じて、場合により、ある特定の態様のみを表すことができる。他の場合には、それは1つまたは複数の、しかし必ずしもすべてではない請求項中に引用された主題事項を表すことができる。以上は、本特許中の情報が利用可能な情報および技術と組み合わされると、当業者に、本発明を製造し、使用させることができるように含まれている、本発明の態様、バージョンおよび実施例に関するが、本発明はこれらの特定の態様、バージョンおよび実施例にのみ限定はされない。本発明の他の、および更なる態様、バージョンおよび実施例は、それらの基礎的範囲から逸脱せずに考案されることができ、その範囲は以下の請求項によって決定される。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族単量体重合体のマトリックス相および
グラフトゴム共重合体:
を含んでなるゴム改質重合体組成物であって、
グラフトゴム共重合体が、高グラフト開始剤によりゴム共重合体鎖に沿ったペルオキシドのグラフトから形成され、
開始剤が、基底状態の酸素を活性化供与体と接触させて一重項酸素を生成し、そしてオレフィンが高グラフトペルオキシド重合開始剤を形成するように、前記一重項酸素を、アリルの水素またはジエンのいずれかを含むオレフィンと接触させる工程により形成される、
ゴム改質重合体組成物。
【請求項2】
組成物が主としてコア−シェル形態を示す、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項3】
モノビニル芳香族単量体がスチレンまたは置換スチレン化合物である、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項4】
グラフトゴム重合体がポリブタジエンまたは共役1,3−ジエンの重合体である、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項5】
グラフトゴム重合体が主として1,4−シス−ポリブタジエンである、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項6】
活性化供与体が300nm〜1400nmの波長をもつ光線に感光性染料を曝露する工程により得られる、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項7】
感光性染料が以下:キサンテン染料、チアジン染料、アクリジン染料またはそれらの組み合わせ物から選択されることができる、請求項6のゴム改質重合体組成物。
【請求項8】
オレフィンが、以下:1,3−シクロヘキサジエン、1−メチル−1−シクロヘキサジエン、インデンおよびジメチル−2,4,6−オクタシクロトリエン、から選択される石油化学的に誘導される炭化水素である、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項9】
オレフィンが生物学的に再生可能な原料から誘導され、そして以下:アルファ−テルピネン、シトロネロール、ミルセン、リモネン、3−カレン、アルファ−ピネン、大豆油およびファルネセンから選択される、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項10】
活性化供与体が、酸素がそれを通過して一重項酸素を形成することができる透明な乾式塔内に収納される、請求項1のゴム改質重合体組成物。
【請求項11】
乾式塔内で形成される一重項酸素が反応器中に通過するように、乾式塔がスチレン、ポリブタジエンおよび、アリルの水素またはジエンのいずれかを含むオレフィン、を含む反応器に接続される、請求項10のゴム改質重合体組成物。
【請求項12】
請求項1のゴム改質重合体組成物から製造される製品。
【請求項13】
モノビニル芳香族単量体、ゴム共重合体および高グラフト開始剤を含んでなる重合可能な混合物を調製し、そして
反応条件下で混合物を重合する工程:
を含んでなる、ゴム改質重合体組成物を製造する方法であって、
高グラフト開始剤が、基底状態の酸素を活性化供与体と接触させて一重項酸素を生成し、そしてオレフィンが高グラフトペルオキシド開始剤を形成するように、前記一重項酸素を、アリルの水素またはジエンのいずれかを含むオレフィンと接触させる工程により形成され、
高グラフト開始剤がゴム共重合体鎖に沿ったモノビニル芳香族重合体のグラフトを容易にする、ゴム改質重合体組成物を製造する方法。
【請求項14】
ゴム改質重合体組成物が主としてコア−シェル形態を示す、請求項13の方法。
【請求項15】
モノビニル芳香族単量体がスチレンまたは置換スチレン化合物である、請求項13の方法。
【請求項16】
グラフトゴム重合体がポリブタジエンまたは共役1,3−ジエンの重合体である、請求項13の方法。
【請求項17】
ゴム改質重合体組成物が高衝撃ポリスチレンである、請求項13の方法。
【請求項18】
ポリブタジエンが主として1,4−シス−ポリブタジエンである、請求項13の方法。
【請求項19】
活性化供与体の分子が、感光性染料を300nm〜1400nmの波長をもつ光線に曝露する工程により得られる、請求項13の方法。
【請求項20】
感光性染料が以下:キサンテン染料、チアジン染料、アクリジン染料またはそれらの組み合わせ物から選択されることができる、請求項19の方法。
【請求項21】
活性化供与体が、酸素がそれを通過して一重項酸素を形成することができる透明な乾式塔内に収納される、請求項13の方法。
【請求項22】
乾式塔内で形成される一重項酸素が反応器中に通過するように、乾式塔が、スチレンおよびポリブタジエンを含む反応器に接続される、請求項21の方法。
【請求項23】
請求項13の方法から製造される製品。
【請求項24】
主としてコア−シェル形態を有する、スチレンおよびポリブタジエンを含んでなる高衝撃ポリスチレンであって、
ポリブタジエンが、基底状態の酸素を活性化供与体と接触させて一重項酸素を生成し、そして
前記一重項酸素をポリブタジエンと接触させて、ポリブタジエン鎖に沿ってヒドロペルオキシドを形成する工程、により高グラフトされる、
高衝撃ポリスチレン。
【請求項25】
活性化供与体の分子が、感光性染料を300nm〜1400nmの波長をもつ光線に曝露することにより得られる、請求項24の高衝撃ポリスチレン。
【請求項26】
感光性染料が以下:キサンテン染料、チアジン染料、アクリジン染料またはそれらの組み合わせ物から選択されることができる、請求項25の高衝撃ポリスチレン。
【請求項27】
活性化供与体が、酸素がそれを通過して一重項酸素を形成することができる透明な乾式塔内に収納される、請求項25の高衝撃ポリスチレン。
【請求項28】
乾式塔内で形成される一重項酸素が反応器中に通過するように、乾式塔が、スチレンおよびポリブタジエンを含む反応器に接続される、請求項27の高衝撃ポリスチレン。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−514079(P2012−514079A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543608(P2011−543608)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/068904
【国際公開番号】WO2010/078099
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】