説明

光配線盤

【課題】 スライド式のスプライスユニットを装備した光配線盤において、一次および二次側光コードの余長部を万全に保護できる機構を提供する。
【解決手段】 ラック内のマウントアングル2にスライド式スプライスユニット5を支持する。スプライスユニット5の固定部6と可動部7との間に一次側配線ダクト8を架設し、一次側光コードC1の余長部を案内する。二次側光コードC2の余長部を案内する二次側配線ダクト9を可動部7とマウントアングル2との間に架設する。マウントアングル2にダクトケース11を取り付け、二次側配線ダクト9の屈曲部9aを出入り自在に収納する。ダクトケース11をスプライスユニット5のスライド方向に広がるように形成し、一次側配線ダクト8から露出した光ケーブルを保持するケーブルクランプ16と、光ケーブルの融着接続部を保持する融着接続ホルダ19とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラック内のマウントアングルにスライド式のスプライスユニットを支持した光配線盤に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光配線盤において、従来、多数本の光コードの余長部を配線ダクトに収容して案内する技術が知られている。例えば、特許文献1には、スプライスユニットの固定部と可動部との間にフレキシブルな配線ダクトを架設し、ラックの後側から導入した一次側光コードの余長部を配線ダクトに収容し、可動部のスライドに伴って配線ダクトを屈伸させ、一次側光コードを摩損や混線から保護できるように構成した光配線盤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−148327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の光配線盤では、スプライスユニットから光機器側に導き出される二次側光コードが充分に保護されていなかった。通常、二次側光コードの余長部は、多数本が露出状態で束ねられ、ラックの側壁とマウントアングルとの間のスペースに収納されていた。このため、スプライスユニットのスライドに伴い、二次側光コードの余長束が屈伸、揺動し、巻き込み、接触、混線等による不具合を招きやすい。また、ラック内で分岐接続作業を行う場合は、二次側から出る光コードをスプライスユニット内の融着接続部にもどすか、あるいは、分岐接続用のスプライスユニットを追加する必要があり、コストが掛かるうえ、ラック内にスペースを占めるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、スライド式のスプライスユニットを装備した光配線盤において、一次および二次側光コードの余長部を充分に保護できるとともに、ラック内で分岐接続作業を容易に行うことができる機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光配線盤は、ラックの内側に立設したマウントアングルにスライド式のスプライスユニットを支持し、スプライスユニットの固定部と可動部との間に一次側光コードの余長部を案内する一次側配線ダクトを架設し、二次側光コードの余長部を案内する二次側配線ダクトをスプライスユニットの可動部とマウントアングルとの間に架設し、マウントアングルに二次側配線ダクトの屈曲部を出入り自在に収納するダクトケースを取り付けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の光配線盤は、ダクトケースのスペースを有効利用し、ラック内部で光ケーブルの分岐接続等の作業を容易にできるように、ダクトケースをスプライスユニットのスライド方向に広がるように形成し、このダクトケースに、一次側配線ダクトから露出した光ケーブルを保持するケーブルクランプと、光ケーブルの融着接続部を保持する融着接続ホルダとを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、スライド式のスプライスユニットを装備した光配線盤において、一次側光コードの余長部を一次側配線ダクトで案内し、二次側光コードの余長部を二次側配線ダクトで案内し、さらに、二次側配線ダクトの屈曲部をダクトケースに収納することで、一次および二次側光コードの余長部を万全に保護できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による光配線盤のスプライスユニット周辺機構を示す斜視図である。
【図2】スプライスユニットの可動部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】ダクトケースを拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1、図2に示すように、この実施形態の光配線盤1では、ラック(図示略)の内側に左右一対のマウントアングル2が立設されている。マウントアングル2の前面には多数の取付穴3が上下方向に列設され、取付穴3に螺合するネジ4によってスプライスユニット5が取り付けられている。
【0011】
スプライスユニット5は、マウントアングル2に固定される固定部6と、マウントアングル2に対して前後にスライド可能な可動部7とからなっている。固定部6と可動部7との間には、フレキシブルな一次側配線ダクト8が架設されている。そして、一次側配線ダクト8が一次側光コードC1の余長部を収容し、可動部7のスライドに伴ってその余長部を固定部6と非接触の状態で案内するようになっている。
【0012】
一方、スプライスユニット5から光機器側に導き出される二次側光コードC2は二次側配線ダクト9に収容されている。二次側配線ダクト9は、一次側配線ダクト8と同様にフレキシブルに形成され、可動部7の前端コーナ部材10と左右どちらか一方のマウントアングル2との間に架設されている。そして、可動部7のスライドに伴い、二次側配線ダクト9がマウントアングル2の外側で前後に屈伸して、二次側光コードC2をマウントアングル2およびラックの側壁と非接触の状態で案内するようになっている。
【0013】
マウントアングル2には、二次側配線ダクト9の屈曲部9a(図1参照)を出入り自在に収納するダクトケース11が取り付けられている。ダクトケース11は、スプライスユニット5のスライド方向(前後方向)に広がる扁平形状に形成されている。ダクトケース11には、庇12とカバー13との間にダクト収納スペース14が画定され、この収納スペース14の後側に光ケーブル(図示略)の分岐接続作業を行うための作業スペース15が設けられ、作業スペース15の近傍に一次側配線ダクト8の固定端が配置されている。
【0014】
図3に示すように、作業スペース15には、一次側配線ダクト8から露出した光ケーブルを保持するケーブルクランプ16とテンションメンバクランプ17とが配設されている。作業スペース15と二次側配線ダクト9の固定端との間にはトレイ18が設けられ、トレイ18上に光ケーブルの融着接続部を保持する融着接続ホルダ19が設けられている。また、トレイ18とカバー13との間に光ケーブルの余長収納室20が形成され、カバー13で光ケーブルの融着接続部を屈曲部9aから保護できるようになっている。
【0015】
従って、この実施形態の光配線盤によれば、一次側光コードC1の余長部を一次側配線ダクト8で案内し、二次側光コードC2の余長部を二次側配線ダクト9で案内し、その二次側配線ダクト9の屈曲部9aをダクトケース11に収納することができる。このため、スライド式のスプライスユニット5を装備した光配線盤1において、一次および二次側光コードC1,C2の余長保護を万全とし、光ケーブルの巻き込み、接触、混線を確実に防止し、光特性値を安定させ、かつスプライスユニット5周辺の外観を向上できる。
【0016】
また、ダクトケース11に収納スペース14に加えて作業スペース15を設けたので、ここで曲げの不要な光ケーブルの直入や分岐接続作業を容易に行うことができるうえ、作業スペース15近傍の融着接続ホルダ19に光ケーブルの融着接続部を保持することもできる。このため、分岐接続用に別途のスプライスユニットを追加することなく、二次側配線ダクト9の収納スペースを有効に利用して、スライド式スプライスユニット5の機能性を高めることができる。
【0017】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、スライド式スプライスユニット5の周辺機構を適宜に変更して構成することも可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 光配線盤
2 マウントアングル
5 スプライスユニット
6 固定部
7 可動部
8 一次側配線ダクト
9 二次側配線ダクト
9a 屈曲部
11 ダクトケース
16 ケーブルクランプ
19 融着接続ホルダ
C1 一次側光コード
C2 二次側光コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックの内側に立設したマウントアングルにスライド式のスプライスユニットを支持し、スプライスユニットの固定部と可動部との間に一次側光コードの余長部を案内する一次側配線ダクトを架設した光配線盤において、
二次側光コードの余長部を案内する二次側配線ダクトをスプライスユニットの可動部とマウントアングルとの間に架設し、マウントアングルに二次側配線ダクトの屈曲部を出入り自在に収納するダクトケースを取り付けたことを特徴とする光配線盤。
【請求項2】
前記ダクトケースをスプライスユニットのスライド方向に広がるように形成し、該ダクトケースに、一次側配線ダクトから露出した光ケーブルを保持するケーブルクランプと、該光ケーブルの融着接続部を保持する融着接続ホルダとを設けた請求項1記載の光配線盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−78743(P2012−78743A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226497(P2010−226497)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】