説明

光酸発生剤およびこれを含むフォトレジスト

【課題】新規の光酸発生剤化合物(PAG)およびこのPAG化合物を含むフォトレジスト組成物の提供。
【解決手段】ラクタム、アミドまたはイミドのような構造−C(=O)N<の窒素ベースの官能性成分を含む新規のイオン性光酸発生剤化合物。特に好ましい光酸発生剤はアニオン成分がラクタム、アミドまたはイミドのような構造−C(=O)N<の部分を含む塩である。また、1種以上の本発明のPAGを含むフォトレジスト組成物も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の光酸発生剤化合物(PAG)およびこのPAG化合物を含むフォトレジスト組成物に関する。特に、本発明はラクタム、アミドまたはイミドのような構造−C(=O)N<の部分を含むイオン性PAGに関する。好ましい光酸発生剤はアニオン成分がラクタム、アミドまたはイミドのような構造−C(=O)N<の部分を含む塩である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは像を基体に転写するための感光膜である。これはネガ型またはポジ型の像を形成する。フォトレジストを基体上にコーティングした後で、この塗膜はパターン化されたフォトマスクを通して活性化エネルギー源、例えば、紫外光に露光されてフォトレジスト塗膜中に潜像を形成する。このフォトマスクは下にある基体に転写されるのが望まれる像を画定する活性化放射線に対して不透明の領域および透明の領域を有する。
【0003】
既知のフォトレジストは、既存の多くの商業的用途に充分な解像度およびサイズを有するフィーチャを提供することができる。
【0004】
機能的特性の性能を向上させるために、フォトレジスト組成物の構成を変える様々な試みがなされてきた。とりわけ、様々な光活性化合物がフォトレジスト組成物における使用のために報告されてきた。米国特許第6,664,022号および第6,849,374号を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,664,022号明細書
【特許文献2】米国特許第6,849,374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、多くの他の用途のためには、サブミクロン寸法の高解像の像を提供できる新規のフォトレジストについての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一形態においては、本発明は、構造−C(=O)N<の窒素ベースの官能性成分を含む新規の光酸発生剤化合物(PAG)を提供する。好ましくは、この部分は水素結合受容体として機能すしうる。本明細書において構造−C(=O)N<に関して言及される場合、窒素の結合の手(valence)(すなわち、<)は、水素または非水素置換基に結合されうる独立した別個の結合を表す。
好ましい形態においては、本発明の光酸発生剤化合物は非環式アミド部分を含む。
別の好ましい形態においては、本発明の光酸発生剤化合物はラクタム部分を含む。
別の好ましい形態においては、本発明の光酸発生剤化合物はイミド部分を含む。
特に好ましい形態においては、光酸発生剤化合物はラクタム、アミドまたはイミドのような構造−C(=O)N<を含むアニオン性成分を含む。例えば、好ましいアニオン成分はスルホン酸(SO)基を含み、このスルホン酸基は場合によっては、例えば、ラクタム、または非環式アミドまたはイミドのような構造−C(=O)N<で置換されているフルオロアルキル基のような置換されているアルキル置換を有していてもよい。
本発明の光酸発生剤化合物の好ましいラクタム部分には、例えば、ピペリジノニルおよびピロリジノニル基が挙げられる。
別の形態においては、本明細書において開示される1種以上の光酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物が提供される。好ましくは、フォトレジスト組成物は−C(=O)N< PAG構造と水素結合しうるかまたはそうでなければこれと複合体を形成することができる1種以上の成分を含む。例えば、(光酸誘起デプリケーション(deprecation)反応から生じうる)アクリル酸単位を含む樹脂成分を含むフォトレジスト組成物が好ましい。この酸性基は−C(=O)N< PAG構造と水素結合しうる。
【発明の効果】
【0008】
いかなる理論にも拘束されないが、本発明のPAGは未露光のフォトレジスト領域への望まれない光酸拡散を最小限にしうる。すなわち、塩基性−C(=O)N<構造を有する光酸発生酸は、レジスト光酸不安定樹脂成分の脱保護カルボン酸基のような酸性基と複合体を形成しうる。PAGのこの複合化は活性化したPAGを露光レジスト領域に効果的に局在化させかつ限定することができ、そして未露光レジスト領域への光酸の望まれない拡散をかなり抑制することができる。
【0009】
さらに、再びいかなる理論にも拘束されないが、未露光領域に存在する場合の塩基性−C(=O)N<構造を有する本発明の活性化されていない光酸発生剤化合物は効果的なクエンチャー分子として機能し、そして未露光レジスト領域への光発生酸の拡散移動を抑制する。露光されたフォトレジスト領域においては、塩基性−C(=O)N<部分にもかかわらず、光活性化されたPAGはレジストの活性化(例えば、光酸不安定基を有する樹脂成分のデブロッキング反応を触媒する)に有効な酸性であろう。
【0010】
よって、本発明のPAGは、いくつかの独立した現象の結果として、露光されたフォトレジスト組成物層領域と未露光フォトレジスト組成物領域との間の向上したコントラストおよび解像度を付与しうる。
【0011】
本発明のPAGは好適には、ポジ型もしくはネガ型化学増幅型フォトレジストにおいて使用されることができ、すなわち、ネガ型レジスト組成物は光酸促進架橋反応を受けて、レジストの塗膜層の露光領域を未露光領域よりも低い現像剤可溶性にし、ポジ型レジスト組成物は1種以上の組成物成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受けて、レジストの塗膜層の露光領域を未露光領域よりも水性現像剤中でより可溶性にする。エステルのカルボキシル酸素に共有結合した第三級非環式アルキル炭素または第三級脂環式炭素を含むエステル基は、概して、本発明のフォトレジストに使用される樹脂の好ましい光酸不安定基である。アセタール基も好適な光酸不安定基である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のフォトレジストの好ましい像形成波長には、サブ(sub)300nmの波長、例えば、248nm、およびサブ200nmの波長、例えば、193nm、並びにEUVが挙げられる。
【0013】
本発明の特に好ましいフォトレジストは、像形成に有効な量の本明細書に開示される1種以上のPAG、および下記の群から選択される樹脂を含む:
1)248nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、酸不安定(acid labile)基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよびアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、ここにおいて、重合されたアクリル酸アルキル単位は光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうる。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的なアクリル酸アルキルには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラート、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが挙げられ、これら文献は参照によって本明細書に組み込まれる:ii)ビニルフェノール、場合によって置換されている(ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まない)ビニルフェニル(例えばスチレン)、および上記ポリマーi)で記載されたデブロッキング基を有するもののようなアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー;例えば、米国特許第6,042,997号に記載されたポリマー、この文献は参照によって本明細書に組み込まれる:およびiii)光酸と反応しうるアセタールもしくはケタール部分を含む繰り返し単位、および場合によってフェニルもしくはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー。
【0014】
2)サブ−200nmの波長、例えば、193nmで像形成するのに特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、フェニルもしくは他の芳香族基を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)芳香族でない環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー;例えば、米国特許第5,843,624号に記載されているポリマー、この文献は参照により本明細書に組み込まれる:ii)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートを含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第6,057,083号に記載されている。
【0015】
本発明のレジストは異なるPAGの混合物、典型的には2または3種の異なるPAGの混合物、より典型的には全部で2種類の異なるPAGからなる混合物を含むこともできる。
【0016】
本発明は、本発明のフォトレジストのレリーフ像を形成する方法、例えば、サブクォーターミクロン寸法以下、例えば、サブ0.2もしくはサブ0.1ミクロン寸法の高解像でパターン形成されたフォトレジスト像(例えば、本質的に垂直の側壁を有するパターン形成された線)を形成する方法も提供する。
【0017】
本発明はさらに、基体上にコーティングされた本発明のフォトレジストおよびレリーフ像を有する、マイクロエレクトロニクスウェハまたはフラットパネルディプレイ基体のような基体を含む製造物品を提供する。本発明の他の形態は以下に開示される。
【0018】
上述のように、本発明者はここで構造−C(=O)N<の窒素ベースの官能性成分を含む光酸発生剤化合物(PAG)を提供する。
【0019】
上述のように、構造−C(=O)N<に関して本明細書において言及される場合には、窒素の結合の手(すなわち、<)は、水素または非水素置換基と結合されうる別個の独立した結合を表し、カルボニルの結合の手、すなわち−C(=O)N<はPAG化合物の残部との結合である。よって、構造−C(=O)N<は、−C(=O)N(R)(R)としても表される(式中、RおよびRは同じかまたは異なっており、かつ水素または非水素置換基、例えば、場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1−30アルキル、場合によって置換されたC3−30シクロアルキル、場合によって置換されたアルコキシ、例えば、場合によって置換されたC1−30アルコキシ、場合によって置換された炭素環式基、例えば、C6−30炭素環式基、場合によって置換されたヘテロ脂環式基、例えば、1、2もしくは3個のN、Oおよび/またはS環原子を含むC3−30ヘテロ脂環式基などである)。
【0020】
本発明の特に好ましいPAGは1)SO部分;2)構造−C(=O)N<;および3)1個以上のフッ素化炭素(例えば、1個以上の−CF−、−CHF−)を含む。特に好ましい形態においては、1個以上のフッ素化炭素は直接的にまたは非直接的にエステルケト基(例えば、−C(=O)OR、式中、Rは水素または好ましくは好ましくない置換基)および/または構造−C(=O)N<で置換されている。フッ素化されていない炭素および/またはヘテロ原子がフッ素化炭素とエステルケト基との間に挿入される場合には、フッ素化炭素は非直接的にエステルケト基、例えば、−C(=O)ORおよび/または−C(=O)N<で置換されており、フッ素化されていない炭素および/またはヘテロ原子がフッ素化炭素とエステルケト基との間に挿入されていない場合には、フッ素化炭素はエステルケト基(例えば、−C(=O)OR)および/または−C(=O)N<によって直接置換されている。多くの形態においては、フッ素化炭素がエステルケト基および/または−C(=O)N<で直接置換されていることが好ましい。
【0021】
特に好ましい形態においては、(1)エステルケト基(−C(=O)OR、式中、Rは上で定義された通りである)および(2)−C(=O)N<の双方を含むPAGが好ましい。
【0022】
関連するが別の形態においては、1個以上のフッ素化炭素(例えば、ジフルオロカーボン)(例えば、−CHF−、CF−)を含むPAG、特に−CF−部分がSO部分に直接結合されている、すなわち−CF−SOであるPAGが好ましい。
【0023】
本発明の特に好ましい光酸発生剤化合物は下記式(I)の構造を含むことができる:
RO(C=O)(CXY)(CFSO (I)
式中、Rは、構造−C(=O)N(R)(R)の基を含む非水素置換基であり、RおよびRはそれぞれ同じかまたは異なっており、かつ水素または非水素置換基、例えば、場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1−30アルキル、場合によって置換されたC3−30シクロアルキル、場合によって置換されたアルコキシ、例えば、場合によって置換されたC1−30アルコキシ、場合によって置換された炭素環式基、例えば、C6−30炭素環式基、場合によって置換されたヘテロ脂環式基、例えば、1、2もしくは3個のN、Oおよび/またはS環原子を含むC3−30ヘテロ脂環式基などであることができ、好ましくはRおよびRの一方または双方は水素以外であり;
または、RおよびRは一緒になって窒素を有する環、例えば、ラクタム構造、例えば、場合によって置換されたピペリジノニル部分、もしくは場合によって置換されたピロリドン部分、またはイミドもしくはアミド構造を形成することができ;
XおよびYはそれぞれ独立して水素もしくは非水素置換基、例えば、ハロ(特に、フルオロ)、シアノ、ニトロ、またはRについて上に説明されたような非水素置換基であり;
pは0もしくは正の整数であり、好ましくはpは1、2、もしくは3であり;
nは正の整数であり、好ましくは1、2もしくは3であり、より好ましくは1もしくは2であり;
は対イオンであり、好ましくは有機オニウム塩成分、例えば、スルホニウムもしくはヨードニウムカチオン成分、特に、三置換スルホニウムカチオンもしくは二置換ヨードニウムカチオンである。
【0024】
上記式(I)においては、好適には、基−C(=O)N(R)(R)とO(C=O)(CXY)(CFSOとの間に、1以上(例えば、1〜10)の炭素もしくはヘテロ原子が挿入され、すなわち、式(I)における基Rは−(CXY)1−10C(=O)N(R)(R)であることができ、式中、XおよびYの各出現は独立して水素もしくは非水素置換基、例えば、ハロ(特にフルオロ)、シアノ、ニトロ、もしくは式(I)のRについて上述した非水素置換基である。
【0025】
ある形態においては、本発明の好ましいイオン性PAGのアニオン成分は下記式(I)〜(XV)の構造を含むことができる:
【化1】

式(I)〜(XV)のそれぞれにおいては、m、n、o、p、qは独立して0〜10の整数であり;
は下記基(A)、(B)、(C)、(D)、(E)または(F)のいずれかであり:
【化2】

式中、RおよびRは独立して分岐、非分岐または環式脂肪族基、例えば、場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1−30アルキル、場合によって置換されたC3−30シクロアルキル、場合によって置換されたアルコキシ、例えば、場合によって置換されたC1−30アルコキシ、場合によって置換された炭素環式基、例えば、C6−30炭素環式基、場合によって置換されたヘテロ脂環式基、例えば、1、2もしくは3個のN、Oおよび/またはS環原子を含むC3−30ヘテロ脂環式基などであることができ;
qおよびrは独立して0〜10の整数であり;
sは1〜10の正の整数である。
【0026】
このような式(I)〜(XV)のアニオン成分は好適に上述のMのようなカチオン対イオン、すなわち、有機オニウム塩成分、例えば、スルホニウムもしくはヨードニウムカチオン成分、特に三置換スルホニウムカチオンまたは二置換ヨードニウムカチオンと複合体を形成する。
【0027】
本明細書において上述されたように、本発明のPAGの様々な置換基は場合によって置換されうる。置換される部分は、例えば、F、Cl、Brおよび/もしくはIのようなハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホノ、アルキル、例えば、C1−16アルキル(C1−8アルキルが好ましい)、ハロアルキル、例えば、フルオロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、およびペルハロアルキル、例えば、ペルフルオロC1−4アルキル、アルコキシ、例えば、1以上の酸素結合を有するC1−16アルコキシ(C1−8アルコキシが好ましい)、アルケニル、例えば、C2−12アルケニル(C2−8アルケニルが好ましい)、アルケニル、例えば、C2−12アルケニル(C2−8アルキニルが好ましい)、アリール、例えば、フェニルもしくはナフチル、および置換アリール、例えば、ハロ、アルコキシ、アルケニル、アルキニルおよび/もしくはアルキル置換アリール(好ましくは、対応する基について上で言及された炭素原子の数を有する)によって1以上の可能な位置で好適に置換される。好ましい置換アリール基には、置換フェニル、アントラセニルおよびナフチルが挙げられる。
【0028】
本明細書において使用される場合、本発明のPAG化合物のアルコキシ基は1つ以上の酸素結合、典型的には1〜約5または6つの酸素結合を有する。本明細書において使用される場合、炭素環式アリールとは、1〜3個の別個のもしくは縮合した環を有し、かつ6〜約18個の炭素環メンバーを有する非ヘテロ芳香族基をいい、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アセナフチル、フェナントラシルなどが挙げられうる。フェニルおよびナフチルが多くの場合好ましい。好適なヘテロ芳香族もしくはヘテロアリール基は1〜3個の環を有することができ、各環において3〜8個の環メンバーおよび1〜約3個のヘテロ原子(N、OもしくはS)を有しうる。特に好適なヘテロ芳香族またはヘテロアリール基には、例えば、クマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチアゾールが挙げられる。
【0029】
本発明の光酸発生剤化合物は容易に製造されうる。典型的な合成は以下の実施例で説明される。例えば、スルホン酸部分のような酸部分を含む化合物が塩基で処理され、次いでラクタム、アミドまたはイミドのような構造−C(=O)N<を含む化合物と結合される。酸および構造−C(=O)N<の双方を含むこの結合した化合物は酸性である場合があり、その結果、スルホニウムもしくはヨードニウムカチオンのような対イオンと一緒にされうる。本発明の特に好ましいPAGの合成は後述の実施例1に示される。
【0030】
上述のように、本発明のPAGは、ポジ型およびネガ型化学増幅型レジスト組成物の双方をはじめとするフォトレジスト組成物における感放射線成分として有用である。
【0031】
本発明のフォトレジストは、典型的には、樹脂バインダーおよび上述のような本発明の光活性成分を含む。好ましくは、樹脂バインダーはレジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、ヒドロキシルまたはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーが好ましい。好ましくは、樹脂バインダーはレジスト組成物において、レジストをアルカリ水溶液に現像可能にするのに充分な量で使用される。
【0032】
好ましくは、本発明の光酸発生剤化合物は化学増幅ポジ型レジストにおいて使用される。このような多くのレジスト組成物が、例えば、米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;および第4,491,628号;並びにカナダ国特許出願公開第2,001,384号に記載されており、化学増幅ポジ型レジストを製造および使用するこれらの教示については、これら文献の全ては参照により本明細書に組み込まれる。本発明に従って、感放射線成分として、本発明の光活性成分に置き換えることによって、これら先行技術のレジスト組成物は改変される。
【0033】
また、本発明のPAGは、好ましくは、1種以上の光酸不安定基を含み、かつ実質的に、本質的にまたは完全にフェニルもしくは他の芳香族基を含まないポリマーと共に使用される。このようなフォトレジスト組成物は特に、サブ200nm放射線、例えば、193nm放射線で像形成するのに有用である。
【0034】
例えば、好ましいポリマーは芳香族基を約10または5モルまたは重量パーセント未満しか、より好ましくは芳香族基を約1または2モルまたは重量パーセント未満しか、より好ましくは芳香族基を約0.1、0.02、0.04および0.08モルまたは重量パーセント未満しか、さらにより好ましくは芳香族基を約0.01モルまたは重量パーセント未満しか含まない。特に好ましいポリマーは芳香族基を完全に含まない。特に好ましいポリマーは完全に芳香族基を含まない。芳香族基は、サブ200nm放射線を非常に吸収することができ、よってこのような短波長の放射線で像形成されるフォトレジストにおいて使用されるポリマーには望ましくない。ある好ましい形態においては、フォトレジストポリマーはナフチル基以外(特にヒドロキシナフチル基以外)の芳香族基を約10または5モルパーセント未満しか、より好ましくはナフチル基以外(特にヒドロキシナフチル以外)の芳香族基を約1または2モルパーセント未満しか含まない場合がある。ある好ましい系においては、フォトレジストポリマーは有意な量のナフチル基(特にヒドロキシナフチル基)を含むことができ、例えば、ポリマーの少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、または45モルもしくは重量パーセントがナフチル基(特にヒドロキシナフチル基)で構成されうる。
【0035】
芳香族基を実質的にまたは完全に含まず、かつ本発明のPAGと配合されてサブ200nm像形成のためのフォトレジストを提供できる好適なポリマーは、シプレイ(Shipley)カンパニーの欧州特許出願公開第930542A1号に開示されている。
【0036】
実質的にまたは完全に芳香族基を含まない好適なポリマーは、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、アクリル酸エチルフェンキル、メタクリル酸エチルフェンキルなどの重合により提供されうる様な光酸不安定アクリラート単位をはじめとするアクリラート単位;ノルボルネン化合物もしくは環内炭素−炭素二重結合を有する他の脂環式化合物の重合により提供されうるような縮合非芳香族脂環式基;無水マレイン酸の重合により提供されうるような酸無水物などを好適に含む。
【0037】
本発明の好ましいネガ型組成物は酸への曝露の際に硬化、架橋または固化しうる物質と、本発明の光活性成分との混合物を含む。
【0038】
特に好ましいネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許出願公開第0164248号および第0232972号、並びに米国特許第5,128,232号(Thackerayら)に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに好ましいフェノール系樹脂には、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば、上述したものが挙げられる。好ましい架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質、および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般的に最も好ましい。このような架橋剤は市販されており、例えば、メラミン樹脂はサイメル(Cymel)300、301および303の商品名でアメリカンシアナミドによって販売されている。グリコールウリル樹脂はサイメル1170、1171、1172の商品名でアメリカンシアナミドによって販売されており;尿素ベースの樹脂はビートル(Beetle)60、65および80の商品名で販売されており;ベンゾグアナミン樹脂はサイメル1123および1125の商品名で販売されている。
【0039】
本発明のフォトレジストは他の物質を含むこともできる。例えば、他の任意の添加剤には、化学線染料(actinic dyes)およびコントラスト染料、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤、増感剤などが挙げられる。比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量の5〜30重量パーセントの量で存在することができる充填剤および染料を除いて、このような任意の添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在するであろう。
【0040】
本発明のレジストの好ましい任意成分の添加剤は追加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)であり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。追加塩基は好適には比較的少量で、例えば、PAGに対して約1〜10重量パーセント、より典型的には1〜約5重量パーセントで使用される。他の好適な塩基性添加剤には、スルホン酸アンモニウム塩、例えば、p−トルエンスルホン酸ピペリジニウム、およびp−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルアンモニウム;アルキルアミン、例えば、トリプロピルアミンおよびドデシルアミン;アリールアミン、例えば、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。
【0041】
本発明のレジストの樹脂バインダー成分は、典型的には、レジストの露光された塗膜層を、アルカリ水溶液などを用いて現像可能にするのに充分な量で使用される。より詳細には、樹脂バインダーは好適に、レジストの全固形分の50〜約90重量%を構成しうる。光活性成分は、レジストの塗膜層中の潜像の形成を可能にするのに充分な量で存在すべきである。より詳細には、光活性成分は、好適には、レジストの全固形分の約1〜40重量%の量で存在しうる。典型的には、より少ない量の光活性成分が化学増幅型レジストに好適であり得る。
【0042】
本発明のフォトレジストは、このようなフォトレジストの配合において使用される先行技術の光活性化合物を本発明のPAGと置き換えることを除いて、既知の手順に従って一般的に製造される。例えば、本発明のレジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解することによりコーティング組成物として製造されることができ、この好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;乳酸エステル、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル、乳酸エチルが好ましい;プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチルおよびプロピオン酸エチル;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。フォトレジストの固形分量は、典型的には、フォトレジスト組成物の全重量の5〜35重量パーセントで変化する。
【0043】
本発明のフォトレジストは既知の手順に従って使用されうる。本発明のフォトレジストはドライフィルムとして適用されうるが、本発明のフォトレジストは好ましくは液体コーティング組成物として基体上に適用され、加熱により乾燥させられ、好ましくは塗膜層が粘着性でなくなるまで溶媒を除去し、フォトマスクを通して活性化放射線に露光され、場合によっては露光後ベークされて、レジスト塗膜層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出すかまたは大きくし、次いで、好ましくは水性アルカリ現像剤で現像されてレリーフ像を形成する。本発明のレジストが適用され好適に処理される基体は、マイクロエレクトロニクスウェハのような、フォトレジストを伴うプロセスに使用されるあらゆる基体であり得る。例えば、基体は、ケイ素、二酸化ケイ素、アルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウェハでありうる。ガリウムヒ素、セラミック、石英または銅基体も使用されうる。液晶ディスプレイおよび他のフラットパネルディスプレイ用途に使用される基体、例えば、ガラス基体、インジウムスズ酸化物コーティング基体なども好適に使用される。液体コーティングレジスト組成物はスピニング、ディッピング、またはローラーコーティングのようなあらゆる標準的な手段で適用されうる。露光エネルギーは、感放射線システムの光活性成分を効果的に活性化して、レジスト塗膜層にパターン形成された像を生じさせるのに充分であるべきである。好適な露光エネルギーは典型的には約1〜300mJ/cmの範囲である。上述のように、好ましい露光波長には、サブ200nm、例えば、193nmが挙げられる。好適な露光後ベーク温度は約50℃以上、より具体的には約50〜140℃である。酸硬化性ネガ型レジストについては、望まれる場合には、現像により形成されたレリーフ像をさらに硬化させるために約100〜150℃の温度で数分以上で現像後ベークが使用されうる。現像および何らかの現像後硬化の後で、現像によって露出させられた基体表面は、次いで、選択的に処理、例えば、フォトレジストが除かれた基体領域を、当該技術分野で知られている手順に従って化学エッチングまたはめっきすることができる。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液およびプラズマガスエッチング、例えば、酸素プラズマエッチングが挙げられる。
以下の非限定的な実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0044】
実施例1:PAG合成 トリフェニルスルホニウム(1−ピロリドンメトキシカルボニル)−ジフルオロメタンスルホナートの合成。
【化3】

【0045】
標記化合物であるトリフェニルスルホニウム(1−ピロリドンメトキシカルボニル)−ジフルオロメタンスルホナートは上記スキーム1および以下に示されるように製造された:水酸化ナトリウム(6.400g、160mmol)が、凝縮器を備えた100mLの丸底フラスコに入れられ、水(30mL)が添加された。懸濁物が30分間磁気攪拌されて、次いで氷浴で0℃に冷却された。メチル−2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)アセタート(9.605g、50mmol)が15分間かけて滴下添加された。この添加が完了した後で、この混合物は18時間還流下で攪拌を続けられた。この時間の後で、この混合物は室温まで冷却され、ブフナー漏斗上でろ過されて塩を除き、水性HClを用いて濾液がpH=2まで酸性にされた。次いで、水は減圧下55℃で除去されて、カルボキシジフルオロメタンスルホン酸ナトリウムの無色のオイルを得た。次の工程は100%転化率と仮定して行われた。13C NMR(125MHz、DO)δ 113.69(t)、166.53;19F NMR(282MHz、DO)δ−108.83.
【0046】
前の工程から得られたカルボキシジフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン(9.687g、75mmol)、パラ−トルエンスルホン酸一水和物(19.020g、100mmol)および塩化ナトリウム(8.766g、150mmol)が、凝縮器および機械式攪拌装置を取り付けた250mLの三ツ口丸底フラスコに入れられた。トルエン(200mL)および水(12.5mL)が添加され、強還流下で2時間懸濁物が素早く攪拌された。次いで、フラスコと凝縮器との間にディーンスタークトラップが取り付けられ、懸濁物は強還流下で一晩攪拌し続けられた。この時間の後で、懸濁物は室温に戻され、固体がブフナー漏斗上にろ別され、トルエンで洗浄され、空気乾燥させられた。この固体はアセトニトリル(100mL)に懸濁され、室温で30分間攪拌され、不溶性物質がブフナー漏斗上にろ別され、アセトニトリルで洗浄された。溶媒は濾液から減圧下で除去されて、白橙色固体を得た。得られたこの粗中間生成物の19F NMRはこの段階での79.9%の変換を示す。この固体は次いで250mL丸底フラスコに入れられ、臭化トリフェニルスルホニウム(13.710g、39.95mmol)、ジクロロメタン(120mL)および水(120mL)が添加された。この懸濁物は室温で一晩磁気攪拌された。この懸濁物は、次いで、分離漏斗に入れられ、有機層が水(100mLで5回)で洗浄された。この有機層に活性炭(5g)が添加され、10分間攪拌され、この固体がろ別された。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒は減圧下で除去されて、無色のオイルを得た。このオイルはアセトン(20mL)で希釈され、酢酸エチル(250mL)がゆっくりと添加された。冷蔵庫で3日間の後、白色結晶固体がブフナー漏斗上に集められ、冷酢酸エチルで洗浄され、空気乾燥させられ、最終的に真空下、40℃で24時間乾燥させられた。収率=4.32g(16%全体)、H NMR(500MHz、アセトン−d):δ7.95(d、6H)、7.90(t、3H)、7.83(t、6H)、4.30(t、2H)、3.50(m、4H)、2.16(t、2H)、1.91(m、2H);13C NMR(125MHz、アセトン−d):δ172.5、161.8、161.5、135.5、132.4、132.3、126.0、65.3、48.6、41.8、31.0、18.9 19F NMR(282MHz、アセトン−d)δ−110.3。
【0047】
実施例2:ポリマー合成:ポリ(MAMA/α−GBLMA/ODOTMA/HAMA)の合成
【化4】

【0048】
標記ポリマーは以下のように製造され、そして本発明のポジ型化学増幅型フォトレジストの有用な樹脂成分である。
16.25gのMAMA、11.80gのα−GBLMA、11.07gのODOTMA、および10.92gのHAMAが48gのTHFに溶解された。この混合物は窒素で20分間バブリングすることにより脱ガスされた。凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mlのフラスコに18gのTHFおよびこの溶液が入れられ、67℃の温度にされた。4.87gのV601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート、モノマーに対して9.15mol%)が5gのTHFに溶解され、このフラスコに入れられた。モノマー溶液は28.57mL/hの速度でこの反応器に供給された。モノマー供給は3時間30分間行われた。モノマー供給が完了した後で、重合混合物はさらに30分間67℃で攪拌された。全部で4時間の重合時間(3時間30分間の供給および30分間の攪拌)の後で、5gのTHFがこの反応器に添加され、重合混合物が室温まで冷却された。1.5Lのイソプロピルアルコール中での沈殿が行われた。ろ過後、ポリマーを乾燥させて、96gのTHFに再溶解させ、1.9Lのイソプロピルアルコール中に再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中、45℃で48時間乾燥させて42.5g(Mw=9,255およびMw/Mn=1.67)を得た。
【0049】
例3.本発明のPAGを含まないフォトレジスト組成物(比較)
実施例2で上述された様に形成されたポリマー2.780gが24.225gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、24.225gのシクロヘキサノン、および48.450gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解された。この混合物に、0.281gのトリフェニルスルホニウム1−((3−ヒドロキシアダマンチル)メトキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホナート(上記実施例1において好適に製造されうる)、0.035gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンおよび0.005gのPOLYFOX(登録商標)PF−656界面活性剤(オムノバソリューションズインコーポレーティド;Omnova Solutions Inc.)を添加した。得られた混合物はローラー上で6時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過され、それによりポジ型フォトレジスト組成物を形成した。
【0050】
実施例4.本発明のPAGを含むフォトレジスト
実施例3で上述された様に形成されたポリマー2.724gが24.225gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、24.225gのシクロヘキサノン、および48.450gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解された。この混合物に、0.281gのトリフェニルスルホニウム1−((3−ヒドロキシアダマンチル)メトキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホナート(上記実施例1において好適に製造されうる)、上記実施例2において製造されたトリフェニルスルホニウム(1−ピロリドンエトキシカルボニル)−ジフルオロメタンスルホナート0.056g(全固形分重量の1.806%)、0.035gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンおよび0.005gのPOLYFOX(登録商標)PF−656界面活性剤(オムノバソリューションズインコーポレーティド)を添加した。得られた混合物はローラー上で6時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過され、それによりポジ型フォトレジスト組成物を形成した。
【0051】
実施例5.リソグラフィおよび計測
TEL CLEAN TRACK商標LITHIUS商標i+コーター/デベロッパーにおいて、300mmのシリコンウェハが有機反射防止コーティングでスピンコートされて第1の下部反射防止塗膜(BARC)を形成した。このウェハは215℃で60秒間ベークされ、75nmの厚さの第1のBARC膜を生じさせた。次いで、第1のBARC層上に第2のBARC層がコーティングされ、このコーティングされたウェハは205℃で60秒間ベークされ、23nmの上部BARC層を生じさせた。
【0052】
この二重BARCの上に上記実施例3および4のフォトレジスト組成物が別々にスピンコートされ、120℃で60秒間ソフトベークされ、900Åの厚さのレジスト膜を生じさせた。このレジスト層は有機トップコート層でコーティングされ、1.35の開口数を有するASML TWINSCAN商標XT:1900i液浸スキャナおよびX−偏光を有するダイポール−35Y照明(0.96アウターシグマ/0.76インナーシグマ)を用いて、19〜59mJ/cmの様々な線量で、80nmピッチの40nmラインアンドスペース(L/S)および84nmピッチの42nmラインアンドスペース(L/S)の臨界寸法を有するレチクルを通して露光された。次いで、ウェハは125℃で60秒間露光後ベークされ、市販の0.26N水性アルカリ現像剤を用いて12秒間現像された。臨界寸法(CD)は日立CG4000SEMを用いて測定された。
【0053】
実施例6:さらなるフォトレジスト製造およびリソグラフィ処理
本発明のフォトレジストは、レジスト組成物の全重量を基準にした重量パーセントとして表された量で下記成分を混合することにより製造される:
【0054】
【表1】

【0055】
樹脂バインダーは(メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル/ベータ−ヒドロキシ−ガンマ−ブチロラクトンメタクリラート/メタクリル酸シアノ−ノルボルニル)のターポリマーである。光酸発生剤は上記実施例1で製造される化合物、TPS DHC−TFBSである。これら樹脂およびPAG成分は乳酸エチル溶媒中で混合される。
配合されたレジスト組成物はHMDS蒸気前処理された4インチシリコンウェハ上にスピンコートされ、90℃で60秒間、真空ホットプレートでソフトベークされる。レジスト塗膜層はフォトマスクを通した193nmで露光され、次いで露光された塗膜層は110℃で露光後ベークされる。次いで、コーティングされたウェハは0.26Nのテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理され、像形成されたレジスト層を現像する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造−C(=O)N<を含む光酸発生剤化合物。
【請求項2】
光酸発生剤化合物がラクタム部分を含む、請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項3】
光酸発生剤化合物がアミド部分を含む、請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項4】
光酸発生剤化合物がイミド部分を含む、請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項5】
光酸発生剤がイオン性化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項6】
光酸発生剤化合物がスルホン酸部分を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項7】
1)SO部分;
2)1個以上のフッ素化炭素;
3)ラクタム、アミドもしくはイミド基:
を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項8】
光酸発生剤化合物が下記式(I)の構造を含む、請求項1に記載の光酸発生剤化合物:
RO(C=O)(CXY)(CFSO (I)
(式中、Rは、構造−C(=O)N(R)(R)の基を含む非水素置換基であり、RおよびRはそれぞれ同じかもしくは異なっており、かつ水素もしくは非水素置換基であることができるか、または、RおよびRは一緒になって窒素を有する環を形成することができ;
XおよびYはそれぞれ独立して水素もしくは非水素置換基であり;
pは0もしくは正の整数であり;
nは正の整数であり;並びに
は対イオンである)。
【請求項9】
光酸発生剤化合物が下記式(I)〜(XV)のいずれかのアニオン成分を含む、請求項1に記載の光酸発生剤化合物:
【化1】

(式(I)〜(XV)のそれぞれにおいては、
m、n、o、p、qは独立して0〜10の整数であり;
は下記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)または(F)のいずれかから選択され:
【化2】

式中、RおよびRは同じかまたは異なる、場合によって置換された分岐、非分岐または環式脂肪族基、例えば、場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1−30アルキル、場合によって置換されたC3−30シクロアルキル、場合によって置換されたアルコキシ、例えば、場合によって置換されたC1−30アルコキシ、場合によって置換された炭素環式基、例えば、C6−30炭素環式基、場合によって置換されたヘテロ脂環式基、例えば、1、2もしくは3個のN、Oおよび/またはS環原子を含むC3−30ヘテロ脂環式基であり;
qおよびrは独立して0〜10の整数であり;並びに
sは1〜10の正の整数である)。
【請求項10】
カチオン成分がスルホニウムもしくはヨードニウムカチオン成分と複合体を形成している請求項9に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項11】
樹脂成分、および請求項1〜10のいずれか1項に記載の光酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物。
【請求項12】
光酸誘起脱保護の際にカルボン酸基を生じさせる光酸不安定エステル基を有する樹脂をフォトレジストが含む、請求項11に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
a)請求項11または12に記載のフォトレジスト組成物の塗膜層を基体上に適用し;
b)フォトレジスト塗膜層をパターン化された活性化放射線に露光し、および露光されたフォトレジスト層を現像してレリーフ像を提供する;
ことを含む、フォトレジストレリーフ像を形成する方法。

【公開番号】特開2012−31134(P2012−31134A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−98236(P2011−98236)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】