説明

光酸発生剤およびこれを含むフォトレジスト

【課題】より優れた拡散制御およびレジストプロファイルのような付随する特性を有するテイラーメード光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物の提供。
【解決手段】式(I):[A−(CHR−(L)−(CH−(C(R−SO(I)(式中、Aは置換されているかもしくは非置換の単環式、多環式もしくは縮合多環式の環式脂肪族基であり、RはH、単結合または置換されているかもしくは非置換のC1−30アルキル基であり、RはH、F、もしくはC1−4フルオロアルキルであり、Lはスルホナート基、スルホンアミド基またはC1−30スルホナートもしくはスルホンアミド含有基を含む連結基であり、Zは有機もしくは無機カチオンであり、pは0〜10の整数であり、kは1もしくは2であり、mは0以上の整数であり、並びにnは1以上の整数である)を有する光酸発生剤化合物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2011年9月30日に出願された米国仮出願第61/541,764号に対する優先権を主張し、その仮出願の内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
これまで以上に小さな論理およびメモリトランジスタを形成する目的で、マイクロリソグラフィプロセスにおいて高い品質およびより小さなフィーチャサイズを達成するために、193nm液浸リソグラフィのような進歩したリソグラフィ技術が開発されてきた。高い露光寛容度(EL)および広い焦点深度(DOF)のような良好なプロセス制御許容度を依然として維持しつつ、最も低いラインエッジラフネス(LER)およびライン幅ラフネス(LWR)の双方を提供するフォトレジストのために、並びにマイクロリソグラフィプロセスに使用される像形成されるフォトレジストにおいて、この両方で、より小さな限界寸法(critical dimension;CD)を達成することが重要である。
【0003】
高解像リソグラフィによって引き起こされるレジスト材料についての課題を満足させるには、制御された酸拡散およびポリマーとの向上した混和性を有するテイラーメード光酸発生剤(PAG)が非常に重要である。このPAGアニオンの構造が、この光酸発生剤と他のフォトレジスト成分との相互作用に影響することによって、フォトレジストの全体的な性能に重要な役割を果たすことが見いだされた。この相互作用は光発生酸の拡散特性に影響を及ぼす。よって、PAGの構造およびサイズはフォトレジスト膜中でのPAGの均一な分布に影響を及ぼしうる。このPAGがフォトレジスト膜内で均一に分布させられていない場合には、像形成されたフォトレジストがT−トッピング(T−topping)、フット(foot)形成およびノッチング/アンダーカットのような欠陥を示す場合がある。
【0004】
米国特許第7,304,175号に開示されるもののような、フォトレジストを配合するために使用される様々な光酸発生剤(PAG)が先行技術において見いだされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,304,175号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、より優れた拡散制御およびレジストプロファイルのような付随する特性を有するPAGを含むフォトレジスト組成物についての必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
先行技術の上述のおよび他の欠点の1以上が、本発明に従った、式(I):
[A−(CHR−(L)−(CH−(C(R−SO (I)
(式中、Aは置換されているかもしくは非置換の単環式、多環式もしくは縮合多環式のC以上の環式脂肪族基であり、RはH、単結合または置換されているかもしくは非置換のC1−30アルキル基であって、Rが単結合の場合にはRはAの炭素原子に共有結合されている、各Rは独立してH、F、もしくはC1−4フルオロアルキルであって、少なくとも1つのRは水素ではなく、Lはスルホナート基、スルホンアミド基またはC1−30スルホナートもしくはスルホンアミド含有基を含む連結基であり、Zは有機もしくは無機カチオンであり、pは0〜10の整数であり、kは1もしくは2であり、mは0以上の整数であり、並びにnは1以上の整数である)を有する光酸発生剤によって克服されうる。
【0008】
式:
+−O−SO−(C(R−(CH−X
(式中、各Rは独立してH、F、C1−4フルオロアルキルであって、少なくとも1つのRは水素ではなく、Xはハロゲン、スルホナートもしくはカルボキシラートを含む官能基であり、Mは有機もしくは無機カチオンであり、mは0以上の整数であり、並びにnは1以上の整数である)
を有する化合物も開示される。
【0009】
フォトレジスト組成物は、酸感受性ポリマー、および上記式(I)の光酸発生剤化合物を含む。
【0010】
コーティングされた基体は、(a)基体の表面上にパターン形成される1以上の層を有する基体;並びに(b)前記パターン形成される1以上の層上の、前記光酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物の層;をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示されるのは、立体的に嵩高な基とスルホナート塩とを連結するスルホナートもしくはスルホンアミド連結基を有する新規種類の光酸発生剤化合物である。この光酸発生剤は、ケージアルキル基のような環式脂肪族構造をはじめとする立体的に嵩高な基を含む。典型的なこのような基には、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、縮合多環式ラクトンおよび他のこのような構造が挙げられる。環式脂肪族基は、スルホナートもしくはスルホンアミド基を含む連結基によって、フッ素化スルホナート基に連結される。
【0012】
光酸発生剤は、酸拡散の制御の向上、およびフォトレジスト組成物におけるフォトレジストポリマーとの混和性の向上を提供する。スルホナートおよびスルホンアミド連結PAGを使用することによって、マスクエラーファクター(MEF)および露光寛容度(EL)のような特性の向上が得られる。
【0013】
本明細書において開示される光酸発生剤には式(I):
[A−(CHR−(L)−(CH−(C(R−SO (I)
を有するものが挙げられ、式中、Aは置換されているかもしくは非置換の単環式、多環式もしくは縮合多環式のC以上の環式脂肪族基である。本明細書において使用される場合、「置換されている」とは置換基、例えば、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ、アミノ、チオール、カルボキシル、カルボキシラート、アミド、ニトリル、チオール、スルフィド、ジスルフィド、ニトロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、C6−10アリールオキシ、C7−10アルキルアリール、C7−10アルキルアリールオキシ、または前記のものの少なくとも1種を含む組み合わせを含むことを意味する。本明細書において、前記式に関して開示される何らかの基もしくは構造は、他に特定されない限りは、または生じる構造の望まれる特性にこのような置換が有意に悪影響を及ぼさないであろう限りは、そのように置換されていてもよいことが理解されるであろう。本明細書において使用される場合、接頭辞「ハロ−」は、その基がハロゲンもしくはその組み合わせ(F、Cl、Br、I)を含むことを意味する。好ましいハロゲンはフッ素である。場合によっては、Aはヘテロ原子、例えば、O、S、N、F、または前述のものの少なくとも1種を含む組み合わせをさらに含む。例えば、Aが酸素を含む場合には、Aの構造はエーテルもしくはラクトン部分を含むことができ、またはAが硫黄を含む場合にはAの構造はスルトンもしくはスルホナートもしくはスルファム(sulfam)部分を含むことができる。
【0014】
好ましくは、Aは縮合環C5−50多環式脂肪族基であり、環構造における全てが炭素であるか、または内部ラクトンもしくはスルホナート(スルトン)部分を有する。好ましくは、Aは縮合環C8−35多環式脂肪族基である。この基の例には、アダマンタン構造、例えば、1−もしくは2−置換アダマンチル、および1−もしくは2−置換ヒドロキシアダマンチル、ノルボルネンエンドラクトンもしくはスルトン、並びに他のC6−10多環式ラクトンもしくはスルトン含有基が挙げられる。
【0015】
また、式(I)においては、RはH、単結合または置換されているかもしくは非置換のC1−30アルキル基であって、Rが単結合の場合にはRはAの炭素原子に共有結合されている。各Rは独立してH、F、もしくはC1−4フルオロアルキルであって、少なくとも1つのRは水素ではない。
【0016】
さらに、式(I)においては、Lは式−O−S(O)−のスルホナート基、スルホンアミド基またはC1−30スルホナートもしくはスルホンアミド含有基を含む連結基である。スルホンアミド基は、好ましくは、式 −N(R)−S(O)−(式中、RはH、アルキル、アリールもしくはアラルキルである)のものである。よって、Lは、例えば、スルホナートもしくはスルホンアミド基単独、またはC1−30スルホナートもしくはスルホンアミド含有連結基であり得る。Lは、さらに、場合によっては、O、S、N、Fを含むヘテロ原子、もしくは前記ヘテロ原子の少なくとも1種を含む組み合わせを含むことができる。
【0017】
Zは有機もしくは無機カチオンである。本明細書において使用される場合、「有機カチオン」には、カチオン中心において炭素で置換されているカチオン、例えば、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、カルボニウム塩、オキソニウム塩、有機遷移金属塩(例えば、炭素置換鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、チタン、銅、モリブデン、亜鉛などの塩)、または有機主族(main−group)金属塩(例えば、炭素置換アルミニウム、スズ、ガリウム、アンチモンなどの塩)が挙げられる。好ましい有機カチオンにはオニウムカチオンが挙げられる。好ましいオニウムカチオンには、ヨードニウムもしくはスルホニウムカチオンが挙げられる。また、本明細書において使用される場合、「無機カチオン」は、炭素をベースにしていないカチオン、例えば、アルカリ金属カチオン(Li、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属カチオン(Ca、Ba、Sr)、遷移金属カチオン、および錯体、並びに窒素、リンおよび硫黄の非有機カチオンを意味する。
【0018】
さらに、式(I)においては、pは0〜10の整数であり、kは1もしくは2であり、mは0以上の整数であり、並びにnはそれぞれ独立して1以上の整数である。好ましくは、mおよびnは独立して1〜10の整数である。
【0019】
好ましくは、光酸発生剤には、式(IIa)または(IIb)を有する化合物が挙げられる:
A−(CHR−O−SO−(CH−(C(R−SO (IIa)
A−(CHR−SO−O−(CH−(C(R−SO (IIb)
式中、A、R、R、p、m、nおよびZは式(I)について定義された通りである。
【0020】
好ましくは、式(IIa)および(IIb)においては、RはHまたは置換されているかもしくは非置換のC1−20アルキル基である。各Rは独立してHもしくはFであって、スルホナートに最も近い少なくとも2つのR基はフッ素であり、pは0もしくは1であり、mおよびnは独立して1〜4の整数であり、並びにZはヨードニウムもしくはスルホニウムカチオンである。
【0021】
また、好ましくは、光酸発生剤化合物には式(IIIa)もしくは(IIIb)を有する化合物が挙げられる:
A−(CHR−N(R)−SO−(CH−(C(R−SO (IIIa)
A−(CHR−SO−N(R)−(CH−(C(R−SO (IIIb)
式中、A、R、R、p、m、nおよびZは式(I)について定義された通りであり、並びにRはH、C1−20アルキル基、もしくはA−(CHR−である。RがA−(CHR−である場合、この基は別の基A−(CHR−と同じであっても良いしまたは異なっていてもよいことが認識されるであろう。
【0022】
好ましくは、式(IIIa)および(IIIb)においては、RはH、置換されているかもしくは非置換のC1−5アルキル基、またはA−(CHR−基である。各Rは独立してHもしくはFであって、スルホナートに最も近い少なくとも2つのR基はフッ素であり、RはHもしくはC1−4アルキルであり、pは0もしくは1であり、mおよびnは独立して1〜4の整数であり、並びにZはヨードニウムもしくははスルホニウムカチオンである。
【0023】
式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、および(IIIb)の典型的な化合物には、式(IV)〜(XII)を有するものが挙げられる:
【化1】

【化2】

式中、Zは式(I)において定義される通りである。
【0024】
好ましくは、Zは有機スルホニウム構造をベースにした有機カチオンである。好ましいこの有機カチオンには、Zが式(XIII)のカチオンであるものが挙げられる:
【化3】

式中、RおよびRは独立して置換されているかもしくは非置換のC1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C2−20アルケニル、C2−20フルオロアルケニル、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C5−20ヘテロアリール、C7−20アラルキル、C7−20フルオロアラルキル、C6−20ヘテロアラルキルであり、RおよびRは一緒になっていないか、または単結合によって結合されており、並びにArはC5−30芳香族含有基である。
【0025】
より好ましい有機カチオンには、スルホニウム中心に結合した少なくとも1つの置換芳香環を有するものが挙げられる。このカチオンには、式(XIV)、(XV)もしくは(XVI)のものが挙げられる:
【化4】

式中、RおよびRは独立して置換されているかもしくは非置換のC1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C2−20アルケニル、C2−20フルオロアルケニル、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C5−20ヘテロアリール、C7−20アラルキル、C7−20フルオロアラルキル、またはC6−20ヘテロアラルキルであり、RおよびRは一緒になっていないか、または単結合によって結合されており;R、R、RおよびRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C1−20アルコキシ、C1−20フルオロアルコキシ、C1−20チオアルコキシ、C1−20フルオロチオアルコキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20フルオロアルコキシカルボニル、C1−20チオアルコキシカルボニル、C1−20フルオロチオアルコキシカルボニル、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C3−20シクロアルコキシ、C3−20フルオロシクロアルコキシ、C2−20アルケニル、C2−20フルオロアルケニル、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C6−20アリールオキシ、C6−20フルオロアリールオキシ、C5−20ヘテロアリール、C5−20ヘテロアリールオキシ、C5−20ヘテロアリールオキシ、C7−20アラルキル、C7−20フルオロアラルキル、C7−20アラルキルオキシ、C7−20フルオロアラルキルオキシ、C6−20ヘテロアラルキル、またはC6−20ヘテロアラルキルオキシであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して置換されていないか、または酸不安定(acid−labile)基、塩基不安定基、もしくは塩基可溶性基を含むようにさらに置換されており、並びにqは1〜5の整数であり、rは0〜3の整数であり、sは0〜4の整数であり、tは0〜4の整数であり、およびaは0〜4の整数である。
【0026】
最も好ましいカチオンZには、式(XVII)、(XVIII)、(XIX)もしくは(XX)のものが挙げられる:
【化5】

式中、R10、R11、R12およびR14は独立して、H、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C1−10アルコキシ、C1−10フルオロアルコキシ、C3−10シクロアルキル、C3−10フルオロシクロアルキル、C3−10シクロアルコキシ、またはC3−10フルオロシクロアルコキシであり、R13はH、C1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C3−10シクロアルキル、またはC3−10フルオロシクロアルキルであり、並びにaおよびbはそれぞれ独立して1もしくは2である。
【0027】
上記フォトレジスト化合物は、式(XXI)を有する化合物から生じる:
+−O−SO−(C(R−(CH−X (XXI)
式中、各Rは独立してH、F、C1−4フルオロアルキルであり、少なくとも1つのRは水素ではなく、Xはハロゲン、スルホナート、スルホンアミドまたはカルボキシラートを含む官能基であり、Mは有機もしくは無機カチオンであり、mは0以上の整数であり、並びにnは1以上の整数である。よって、(XXI)の式は、式(I)における連結基Lの基礎構造、並びに超酸塩のハロゲン化部分の構造を含むことが認識されるであろう。
【0028】
このフォトレジスト化合物は式(XXI)の化合物の誘導体化によって、例えば、前記塩を塩化チオニルもしくは塩化スルホニルのようなハロゲン化化合物で処理することによってスルホン酸ハロゲン化物を形成し、置換されているかもしくは非置換のアダマンチルメチル化合物、ノルボルナン化合物などのケージ多環式脂肪族化合物のアミンもしくはアルコールとの反応;亜ジチオン酸ナトリウム(Na)および過酸化水素のような過酸化物での酸化によって、前記官能基(例えば、式(XXI)においてXがCl、BrもしくはIである)からスルホン酸を形成し;次いでオニウム塩でカチオン交換して光酸発生剤を形成することによって製造されうる。
【0029】
分子性ガラス(molecular glass)化合物、溶媒および光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物も開示される。場合によっては、フォトレジストは第2の酸感受性ポリマーおよびアミンもしくはアミド添加剤を含む。
【0030】
第2の酸感受性ポリマーは193nmでの使用のためのフォトレジストを配合するのに適したポリマーであり得る。この酸感受性ポリマーには、酸感受性基およびラクトン含有基を含む酸感受性ポリマーが挙げられ、この酸感受性基は酸への曝露によって塩基可溶性基を脱保護する。
【0031】
フォトレジスト組成物は、本明細書においてクエンチャー(quencher)と称される、アミンもしくはアミド化合物をさらに含むことができる。クエンチャーには、例えば、水酸化物、カルボキシラート、アミン、イミンおよびアミドをベースにしたものが広範囲に挙げられうる。ある実施形態においては、有用なクエンチャーはアミン、アミド、または前述のものの少なくとも1種を含む組み合わせである。好ましくは、このクエンチャーには、C1−30有機アミン、イミンもしくはアミド、が挙げられ、または強塩基(例えば、ヒドロキシドもしくはアルコキシド)、または弱塩基(例えば、カルボキシラート)のC1−30第四級アンモニウム塩が挙げられうる。クエンチャーの例には、アミン、例えば、トレーガー(Troger’s)塩基、ヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)もしくはジアザビシクロノネン(DBM)、N−保護されたアミン、例えば、N−t−ブチルカルボニル−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルアミン(TBOC−TRIS)、またはイオン性クエンチャー、例えば、第四級アルキルアンモニウム塩、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、もしくはテトラブチルアンモニウムラクタートが挙げられる。
【0032】
フォトレジストの他の成分には溶媒および界面活性剤が挙げられうる。
【0033】
成分を溶解し、分配しおよびコーティングするのに概して適する溶媒には、アニソール、アルコール、例えば、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールおよび1−エトキシ−2プロパノール、エステル、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、メトキシエトキシプロピオナート、エトキシエトキシプロピオナート、ケトン、例えば、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン、並びに上記溶媒の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0034】
界面活性剤には、フッ素化および非フッ素化界面活性剤が挙げられ、好ましくは非イオン性である。典型的なフッ素化非イオン性界面活性剤には、ペルフルオロC界面活性剤、例えば、FC−4430およびFC−4432界面活性剤(3Mコーポレーションから入手可能);並びに、フルオロジオール、例えば、ポリフォックス(POLYFOX)PF−636、PF−6320、PF−656およびPF−6520フルオロ界面活性剤(Omnovaから)が挙げられる。
【0035】
本明細書に開示されるフォトレジスト組成物は、フォトレジスト組成物中に光酸発生剤を、固形分の全重量を基準にして0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%の量で含む。ポリマーは、固形分の全重量を基準にして50〜99重量%、好ましくは55〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%、およびより好ましくは65〜90重量%の量で含まれうる。フォトレジスト中の成分のこの文脈において使用される「ポリマー」は、酸感受性ポリマーもしくはコポリマー、またはポリマーもしくはコポリマーとフォトレジストに有用な別のポリマーとの組み合わせを意味することができると理解されるであろう。界面活性剤は、固形分の全重量を基準にして0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%、より好ましくは0.2〜3重量%の量で含まれうる。クエンチャーは、固形分の全重量を基準にして、例えば、0.03〜5重量%の比較的少量で含まれうる。他の添加剤は、固形分の全重量を基準にして30重量%以下、好ましくは20重量%以下、またはより好ましくは10重量%以下の量で含まれうる。フォトレジスト組成物の全固形分量は、固形分および溶媒の全重量を基準にして、0.5〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは2〜40重量%、およびより好ましくは5〜35重量%でありうる。固形分は溶媒を除く、ポリマー、光酸発生剤、クエンチャー、界面活性剤および任意成分の添加剤を含むことが理解されるであろう。
【0036】
本明細書に開示されるフォトレジスト組成物は、基体上の膜が、コーティングされた基体を構成する、フォトレジストを含む膜を形成するために使用されうる。このようなコーティングされた基体は(a)基体の表面上にパターン形成される1以上の層を有する基体;および(b)前記パターン形成される1以上の層上のフォトレジスト組成物の層;を含む。好ましくは、パターン形成は248nm未満の波長の、特に193nmの紫外線を用いて行われる。好ましくは、パターン形成可能な膜は光酸発生剤を含む。
【0037】
基体は任意の寸法および形状であることができ、好ましくはフォトリソグラフィに有用なもの、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素、シリコンオンインシュレータ(silicon−on−insulator;SOI)、ストレインドシリコン(strained silicon)、ガリウムヒ素、コーティングされた基体、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタルでコーティングされた基体、超薄型ゲート(ultrathin gate)酸化物、例えば、酸化ハフニウム、金属もしくは金属コーティングされた基体、例えば、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、これらの合金およびこれらの組み合わせでコーティングされた基体である。好ましくは、本明細書においては、基体の表面はパターン形成される限界寸法(critical dimension)層、例えば、1以上のゲートレベル層もしくは半導体製造のための基体上の他の限界寸法層を含む。このような基体には、例えば、直径が200mm、300mmもしくはより大きい寸法、またはウェハ製造に有用な他の寸法を有する円形ウェハとして形成されるケイ素、SOI、ストレインドシリコンおよび他のこのような基体材料が好ましくは挙げられうる。
【0038】
さらに、電子デバイスを形成する方法は(a)基体の表面上に光酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物の層を適用し;(b)このフォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様(patternwise)に露光し;並びに(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供することを含む。
【0039】
適用はスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディングなどをはじめとするあらゆる好適な方法によって達成されうる。フォトレジストの層の適用は好ましくは、回転するウェハ上にフォトレジストが分配されるコーティングトラックを使用して、溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることにより達成される。分配中に、ウェハは4,000rpm以下、好ましくは約500〜3,000rpm、およびより好ましくは1,000〜2,500rpmの速度で回転させられうる。コーティングされたウェハは回転させられて溶媒を除去し、そしてホットプレート上でベークされて、膜から残留する溶媒および自由体積を除いて、膜を均一に密にする。
【0040】
次いで、ステッパのような露光ツールを用いてパターン様露光が行われ、露光ツールにおいてはパターンマスクを通して膜が照射され、それによりパターン様に露光される。この方法は好ましくは高解像が可能な波長、例えば、193nm液浸リソグラフィグラフィで活性化放射線を発生させる改良型の露光ツールを使用し、そこでは、活性化放射線を使用する露光は露光領域でPAGを分解して、酸および分解副生成物を発生させる。次いで、その酸はポリマーの化学変化をもたらす(酸感受性基をデブロッキング(deblocking)して塩基可溶性基を生じさせるか、あるいは露光領域において架橋反応を触媒する)。
【0041】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。ここで使用される全ての化合物および試薬は、手順が以下に提示されているものを除いて、市販されている。
【実施例】
【0042】
トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(((−3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)メトキシ)スルホニル)ブタン−1−スルホナート(TPS AdOH−STFBS)が以下に記載される5つの工程で合成された。
【0043】
第1の工程においては、PAG中間体化合物1(ナトリウム4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブタン−1−スルホナート)の合成が以下のように行われた。250mLの丸底フラスコに1,4−ジブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン(50.00g、174mmol)、87mLの脱イオン水、87mLのn−ブタノール、および24.12g(191mmol)の亜硫酸ナトリウムが入れられ、この混合物は6日間にわたって窒素下で還流で加熱され、攪拌されて、6日が経った時点で熱源が取り除かれ、反応物は還流温度未満に冷却され、同時に静置して相を分離させた。水相が有機(n−ブタノール含有)相から分離され、追加のn−ブタノール(2×50mL)で抽出され、有機相が一緒にされて、減圧下のロータリーエバポレーションによって50mLの合計体積まで量を少なくした。得られた白色スラリーは素早く攪拌され、400mLのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)が添加された。次いで、このスラリーはさらに15分間攪拌されて、真空ろ過によって固体を集めた。得られた白色固体はMTBEで洗浄され、周囲温度で一晩真空で乾燥させられて、62.73gの上記中間体を白色固体として得て、これはさらに精製することなく次の工程において使用された。
【0044】
第2の工程においては、PAG中間体化合物2(4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブタン−1−スルホニルクロライド)の合成が以下のように行われた。500mLの丸底フラスコに28.61gの粗ナトリウム4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブタン−1−スルホナート(PAG中間体化合物1)および92mLの塩化チオニルを入れた。濃厚懸濁物が周囲温度で窒素下でガスの発生が止まるまで攪拌され、次いで、450μLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が添加された。ガス発生が止まるまで攪拌が周囲温度で続けられ、次いで反応物は窒素下で攪拌しつつ16時間にわたって還流加熱された。ロータリーエバポレーションによって未反応の塩化チオニルが除去され、残留物が400mLのジクロロメタン中に溶解させられ、得られたジクロロメタン溶液が脱イオン水(400mL)で洗浄され、そしてMgSOで乾燥させられた。30℃でのロータリーエバポレーションによってジクロロメタン溶媒が除去され、残留オイルが真空で周囲温度で3時間にわたって乾燥させられて、21.35gのPAG中間体化合物2を透明黄色オイルとして得た。
【0045】
第3の工程においては、PAG中間体化合物3(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメチル4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブタン−1−スルホナート;AdOH STFBBr)の合成が以下のように行われた。1Lの丸底フラスコに、280mLのアセトニトリル中の12.02g(65.9mmol)の3−(ヒドロキシメチル)アダマンタン−1−オール、および5.61mL(69.4mmol)のピリジンが、攪拌しかつ暖めつつ添加された。この反応物は冷却され、そして、この素早く攪拌され暖められた溶液に、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブタン−1−スルホニルクロライド(PAG中間体化合物2;21.35g、69.4mmol)が滴下添加され、次いでこのフラスコをアセトニトリル(2×10mL)ですすぐことにより残留物を定量的に移送させた。この反応物は周囲温度で窒素下で16時間にわたって攪拌され、この16時間が終わった時点で、減圧下で溶媒が除去され、500mLのイソプロピルアセタートと共に残留オイルが攪拌された。得られた白色沈殿が真空ろ過によって取り出され、そしてこのフィルターケーキが最小限の色プロピルアセタートで洗浄された。イソプロピルアセタートろ液は一緒にされて、1NのHClおよび飽和NaHCO水(それぞれ200mL)で洗浄されて、MgSOで乾燥させられ、そしてこの溶媒を減圧下で除去して、29.55gのPAG中間体化合物3を白色固体として得て、これはさらなる精製無しに使用された。
【0046】
第4の工程において、PAG中間体化合物4(1,1,2,2−テトラフルオロ−4−((3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)メトキシ)スルホニル)ブタン−1−スルホナート)の合成が以下のように行われた。1Lの丸底フラスコにおいて、140mLのアセトニトリルに中間体化合物1−3(29.55g、65.2mmol)が溶かされた。亜ジチオン酸ナトリウム(17.03g、97.8mmol)および重炭酸ナトリウム(8.22g、97.8mmol)が一緒にされ、150mLの脱イオン水中に溶かされた。次いで、この水溶液が攪拌されたアセトニトリル溶液に添加され、この反応物は周囲温度で窒素下で16時間にわたって攪拌された。亜ジチオン酸ナトリウム(17.03g、97.8mmol)および重炭酸ナトリウム(8.22g、97.8mmol)のそれぞれの追加の添加物が一緒にされ、別の150mLの脱イオン水に溶かされ、そしてこの反応物に添加され、この反応物はさらに20時間にわたって攪拌された。19F NMRによって監視された反応は75%の完了(モルベース)を示した。この反応物は窒素下で70℃で16時間にわたって攪拌された。反応の完了は19F NMRで確認された。次いで、アセトニトリル(160mL)がこの反応物に添加され、水相がNaClで飽和させられて、この反応物は素早く30分間にわたって攪拌されてそれを均質にした。相が分離し、水相をアセトニトリル(2×300mL)で抽出した。アセトニトリル相は一緒にされて、そして溶媒が除去されて、32.39gの粗スルフィナート中間体を得て、これは100mLの脱イオン水および200mLのアセトニトリルに溶かされた。この攪拌された溶液にNaWO2HO(21mg、65μmol)、次いでH(30w/w%、水性、14.82g、130.4mmol)が添加された。この反応物は64時間にわたって周囲温度で攪拌された。
【0047】
次いで、この反応物は氷浴を用いて冷却され、そして亜硫酸水素ナトリウム(10.18g、97.8mmol)が攪拌しつつ添加された。10分後、この氷浴が取り外され、反応物はNaClで飽和させられて、素早く1時間にわたって攪拌されてそれを均質にした。次いで、相を分離させ、水相を250mLのアセトニトリルで抽出した。一緒にされた有機相の溶媒がロータリーエバポレーションによって除去されて、得られた残留物を250mLのアセトニトリルに再溶解させて、そして真空ろ過によってろ過し、100mLのアセトニトリルで洗浄した。ろ液はロータリーエバポレーターで40℃で蒸発させられて、透明なガムを得て、これは50mLのアセトニトリルに溶かされ、3Lの素早く攪拌されたメチルt−ブチルエーテル(MTBE)にゆっくりと注ぎ込まれた。上澄がデカントで除かれ、固体が減圧下で乾燥させられて、17.0gのPAG中間体化合物4を白色固体として得た。
【0048】
第5の工程において、PAG化合物であるトリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(((−3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)メトキシ)スルホニル)ブタン−1−スルホナート(TPS AdOH−STFBS)の合成が以下のように行われた。200mLのジクロロメタンおよび200mLの脱イオン水の攪拌された混合物にNaAdOH STFBS(中間体化合物1−4;17.0g、35.7mmol)および臭化トリフェニルスルホニウム(11.64g、33.9mmol)が添加された。二相混合物が窒素下で周囲温度で10時間にわたって攪拌され、その時間後にこれら相が分離させられた。有機相は18mΩの脱イオン水(2×200ml)で洗浄された。追加のジクロロメタン(200mL)がこの有機相に添加されて分離を促進させ、次いで有機相は追加の脱イオン水(4×200mL)で洗浄された。次いで、有機相はヘビープレートろ紙を通してろ過され、溶媒は30℃でのロータリーエバポレーションによって除去された。得られた残留物は50mLのジクロロメタンに溶かされ、そして素早く攪拌された2Lのメチルt−ブチルエーテルにゆっくりと注ぎ込まれた。次いで、この懸濁物は1時間攪拌され、その時間中にそれは凝結し、30分間静置した。次いで、固体が真空ろ過され、MTBEで洗浄され、真空で乾燥させられて18.05g(68%)のTPS AdOH−STFBSを白色固体として得た。
【0049】
次いで、上記実施例のTPS AdOH−STFBS光酸発生剤化合物がリソグラフィ評価された。
【0050】
フォトレジストは以下の表に示される成分および割合を使用して配合された。
【0051】
リソグラフィ評価(以下)に使用するためのフォトレジストポリマー(A1)は以下のモノマーM1〜M5を使用して以下の手順に従って製造される。
【化6】

【0052】
30gのテトラヒドロフラン(THF)に溶かされたメタクリル酸1−エチルシクロペンチル(ECPMA、M1;20mmol)、メタクリル酸1−イソプロピル−アダマンタニル(IAM、M2;20mmol)、メタクリル酸2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル(α−GBLMA、M3;30mmol)、メタクリル酸3−オキソ−4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8(または9)−イル(ODOTMA、M4;20mmol)、およびメタクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタニル(HAMA、M5;10mmol)の溶液が窒素でのバブリングによって脱ガスされ、凝縮器、窒素入口および機械式攪拌装置を備えた500mlフラスコに、追加の10gの脱ガスされたTHFと共に入れられる。この溶液は還流され、そして6gのジメチル−2,2−アゾジイソブチラートが5gのTHFに溶かされて、このフラスコに添加される。次いで、この重合混合物は約4時間にわたって還流で攪拌され、その時間の後で、この反応物は5gのTHFで希釈され、重合混合物が室温に冷却される。1.0Lのイソプロパノールへの添加によってポリマーは沈殿させられ、ろ過により集められ、50gのTHF中に溶解しそして別の1.0Lのイソプロパノールに添加することによって再沈殿させられ、集められ、真空下45℃で48時間にわたって乾燥させられ、フォトレジストポリマーであるポリ(IAM/ECPMA/α−GBLMA/ODOTMA/HAMA)を生じさせる。Mw=8,000。
【0053】
フォトレジストは表1に示される成分および割合を用いて配合されて、フォトレジストおよび比較フォトレジストを提供した。それぞれについて、PAG(表を参照)、塩基(t−ブチルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピリジン、TBOC−4HP)および表面レベリング剤(SLA;界面活性剤とも称される;PF656、オムノバから入手可能)がフォトレジストの全固形分量を基準にした重量パーセンテージとして示され、固形分の残部はポリマーである。このフォトレジストは、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(S1)およびメチル2−ヒドロキシイソブチラート(S2)を1:1の重量比で使用してさらに配合される。フォトレジストおよび比較フォトレジストはそれぞれ4重量%の最終固形分に希釈された。比較例1(比較フォトレジスト)および実施例1(TPS AdOH−STFBSを使用して調製されたフォトレジスト)についてのフォトレジスト配合組成は以下の表1に示される:
【0054】
【表1】

【0055】
実施例1および比較例1のフォトレジストが以下のようにリソグラフィ処理された。
フォトレジストは、有機反射防止膜(AR(商標)77、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLC)を有する200mmシリコンウェハ上にスピンコートされ、110℃で60秒間ベークされて、100nm厚さのレジスト膜を形成した。フォトレジストは、ASML/1100露光ツール(ASMLにより製造)を用いて、0.75の開口数(NA)で、0.89/0.64のアウター/インナーシグマおよび焦点オフセット/ステップ0.10/0.05での環状照明下で、ArFエキシマレーザー放射線(193nm)で露光された。フィーチャを像形成するために、90nmのライン幅および180nmのピッチをターゲットにするライン−スペースパターンマスクが使用された。
【0056】
パターン形成されたレジストは100℃で60秒間、露光後ベーク(PEB)され、次いで0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像され、その後水で洗浄された。それぞれの例について、90nmのライン幅および180nmのピッチを有するL/Sパターンが形成された。日立9380CD−SEMを用いて、800ボルト(V)の加速電圧、8.0ピコアンペア(pA)のプローブ電流で操作して、200K倍率を使用したトップダウン走査型電子顕微鏡観察(SEM)によって撮影された像を用いて、マスクエラーファクター(Mask Error Factor:MEF)および露光寛容度(EL)が決定された。露光寛容度(EL)はサイジング(sizing)エネルギーによって正規化された目標直径の±10%をプリントするための露光エネルギーの差として定義された。マスクエラーファクター(MEF)はマスクパターン上の相対的な寸法変化に対する解像されたフォトレジストパターンについての限界寸法(CD)変化の比率として定義された。
【0057】
比較例1および実施例1からの配合物のリソグラフィ評価からの結果が表2に示される。
【0058】
【表2】

【0059】
表2に認められるように、典型的な上記スルホナートPAG TPS SAdOH−TFBSを用いて製造されたフォトレジスト配合物(実施例1)は、ほぼ同じであるが市販のPAGであるトリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホナートを使用して製造された比較フォトレジスト配合物(比較例1;EL 10.29、MEF 3.51)と比較した場合に、より高い露光寛容度(13.66)およびより低いMEF(3.02)を示す。よって、PAG TPS SAdOH−TFBSを含む実施例1は、露光寛容度(EL)およびマスクエラーファクター(MEF)に基づいて向上したリソグラフィ性能を示す。
【0060】
本明細書に開示された全ての範囲は端点を含み、その端点は互いに独立して組み合わせ可能である。「場合によって」または「任意の」とはその後に記載された事象もしくは状況が起こってもよく、または起こらなくてもよく、そしてその記載はその事象が起こる例およびその事象が起こらない例を含む。本明細書において使用される場合、「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金もしくは反応生成物を包含する。全ての参考文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
さらに、用語「第1」、「第2」などは、本明細書においては、順序、品質もしくは重要性を示すものではなく、1つの要素を他のものから区別するために使用されることもさらに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
[A−(CHR−(L)−(CH−(C(R−SO (I)
(式中、Aは置換されているかもしくは非置換の単環式、多環式もしくは縮合多環式のC以上の環式脂肪族基であって、場合によってはO、S、N、Fもしくは前述のものの少なくとも1種を含む組み合わせを含んでおり、
はH、単結合または置換されているかもしくは非置換のC1−30アルキル基であって、Rが単結合の場合にはRはAの炭素原子に共有結合されており、
各Rは独立してH、F、もしくはC1−4フルオロアルキルであって、少なくとも1つのRは水素ではなく、
Lはスルホナート基、スルホンアミド基またはC1−30スルホナートもしくはスルホンアミド含有基を含む連結基であり、
Zは有機もしくは無機カチオンであり、
pは0〜10の整数であり、kは1もしくは2であり、mは0以上の整数であり、並びにnは1以上の整数である)
を有する化合物。
【請求項2】
式(IIa)または(IIb):
A−(CHR−O−SO−(CH−(C(R−SO (IIa)
A−(CHR−SO−O−(CH−(C(R−SO (IIb)
(式中、A、R、R、p、m、nおよびZは式(I)について定義された通りである)
を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(IIIa)もしくは(IIIb):
A−(CHR−N(R)−SO−(CH−(C(R−SO (IIIa)
A−(CHR−SO−N(R)−(CH−(C(R−SO (IIIb)
(式中、A、R、R、p、m、nおよびZは式(I)について定義された通りであり、並びにRはH、C1−20アルキル基、もしくはA−(CHR−である)を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(IV)〜(XII)
【化1】

【化2】

(式中、Zは式(I)において定義された通りである)
を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Zが式(XIII):
【化3】

(式中、RおよびRは独立して置換されているかもしくは非置換のC1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C2−20アルケニル、C2−20フルオロアルケニル、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C5−20ヘテロアリール、C7−20アラルキル、C7−20フルオロアラルキル、C6−20ヘテロアラルキルであり、RおよびRは一緒になっていないか、または単結合によって結合されており、並びにArはC5−30芳香族含有基である)
のカチオンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記カチオンが式(XIV)、(XV)もしくは(XVI):
【化4】

(式中、RおよびRは独立して置換されているかもしくは非置換のC1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C2−20アルケニル、C2−20フルオロアルケニル、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C5−20ヘテロアリール、C7−20アラルキル、C7−20フルオロアラルキル、またはC6−20ヘテロアラルキルであり、RおよびRは一緒になっていないか、または単結合によって結合されており;
、R、RおよびRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C1−20アルコキシ、C1−20フルオロアルコキシ、C1−20チオアルコキシ、C1−20フルオロチオアルコキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20フルオロアルコキシカルボニル、C1−20チオアルコキシカルボニル、C1−20フルオロチオアルコキシカルボニル、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C3−20シクロアルコキシ、C3−20フルオロシクロアルコキシ、C2−20アルケニル、C2−20フルオロアルケニル、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C6−20アリールオキシ、C6−20フルオロアリールオキシ、C5−20ヘテロアリール、C5−20ヘテロアリールオキシ、C5−20ヘテロアリールオキシ、C7−20アラルキル、C7−20フルオロアラルキル、C7−20アラルキルオキシ、C7−20フルオロアラルキルオキシ、C6−20ヘテロアラルキル、またはC6−20ヘテロアラルキルオキシであり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して置換されていないか、または酸不安定基、塩基不安定基、もしくは塩基可溶性基を含むようにさらに置換されており、並びに
qは1〜5の整数であり、rは0〜3の整数であり、sは0〜4の整数であり、tは0〜4の整数であり、およびaは0〜4の整数である)
のものである請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Zが式(XVII)、(XVIII)、(XIX)もしくは(XX):
【化5】

(式中、R10、R11、R12およびR14は独立して、H、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C1−10アルコキシ、C1−10フルオロアルコキシ、C3−10シクロアルキル、C3−10フルオロシクロアルキル、C3−10シクロアルコキシ、またはC3−10フルオロシクロアルコキシであり、
13はH、C1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C3−10シクロアルキル、またはC3−10フルオロシクロアルキルであり、並びに
aおよびbはそれぞれ独立して1もしくは2である)
のものである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式:
+−O−SO−(C(R−(CH−X
(式中、各Rは独立してH、F、C1−4フルオロアルキルであり、少なくとも1つのRは水素ではなく、
Xはハロゲン、スルホナートまたはカルボキシラートを含む官能基であり、
は有機もしくは無機カチオンであり、
mは0以上の整数であり、並びにnは1以上の整数である)
を有する化合物。
【請求項9】
酸感受性ポリマー、および
請求項1〜7のいずれか1項の化合物、
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項10】
(a)基体の表面上にパターン形成される1以上の層を有する基体;並びに(b)前記パターン形成される1以上の層上の、請求項9のフォトレジスト組成物の層;を含むコーティングされた基体。

【公開番号】特開2013−79232(P2013−79232A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−210465(P2012−210465)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】