説明

光酸発生剤および感光性樹脂組成物

【課題】新規な光酸発生剤を提供すること。
【解決手段】下記式(I)および(II)のいずれかで示される光酸発生剤:p、q、rは2つの橋頭位炭素間を結ぶ炭素鎖の長さをそれぞれ独立に示し、pは1〜3、qは0〜3、rは1〜2の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射によってスルホン酸を発生する新規な光酸発生剤および当該光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の集積度はますます高まる趨勢にある。高集積度を達成するためには、半導体基板の微細加工が必要である。
このような微細加工はフォトリソグラフィ−によって行われている。加工時の解像度は露光光の波長に比例するので、加工の微細化を進めるためには必然的に露光光として用いる光の短波長化が必要となり、高圧水銀灯のg線(438nm)、i線(365nm)からKrFエキシマレ−ザ−(248nm)、さらにArFエキシマレ−ザ−(193nm)へと短波長化が進められてきた。
【0003】
フォトリソグラフィ−のパタ−ン形成には、光照射によりプロトン酸を発生する光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物が用いられている。このような感光性樹脂組成物は化学増幅型レジストと呼ばれているものであり、光照射によって光酸発生剤から発生したプロトン酸と、構成樹脂とが、その後の加熱処理によって連鎖的に反応して現像液に対して可溶性となるものである。
【0004】
このような用途に用いられる光酸発生剤としては、スルホニウム塩誘導体が汎用されており、たとえば、KrFエキシマレ−ザ−に対応したもの(非特許文献1)およびArFエキシマレ−ザ−に対応したもの(特許文献1、2)がある。しかしながら、これらの光酸発生剤の性能も十分ではなく、新たな光酸発生剤の開発が求められている。
【非特許文献1】J. Org. Chem., p.3055, Vo1. 43, 1978
【特許文献1】特開2002−265436号公報
【特許文献2】特開平7−28237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、光酸発生剤の分子構造と反応メカニズムについて鋭意研究した結果、光酸発生剤に要求される諸性能を合わせ有する特定の化合物を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明の目的は、新規な光酸発生剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の光酸発生剤および感光性樹脂組成物が提供される。
[1] 下記式 (I)または(II)のいずれかで示される光酸発生剤 :
式中、R1は、アルキル基および置換アルキル基、フッ素置換アルキル基、芳香環およ
び置換芳香環、フッ素置換芳香環 、複素環および置換複素環、フルオロアルキル基で置
換されたアリ−ル基、フッ素原子、二トロ基またはシアノ基である;
2は、水素原子、アルキル基および置換アルキル基、フッ素置換アルキル基、芳香環
および置換芳香環、複素環および置換複素環、アルケニル基および置換アルケニル基、アルキニル基および置換アルキニル基、アシルアミド基、スルホニルアミド基、ハロゲン原子である;
Xは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、分子内もしくは分子間のX同士で連結したポリメチレン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基であり、それぞれ同一または異なっていてもよいが、カルボニル基のγ位の炭素原子に結合しているXのうち
少なくとも1つは水素原子である;
Yは、水素原子、アルキル基、芳香環および置換芳香環、複素環および置換複素環、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基である;
p、q、rは2つの橋頭位炭素間を結ぶ炭素鎖の長さをそれぞれ独立に示し、pは1〜3、 qは0〜3、rは1〜2の整数である。
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
[2] 上記[1]に記載の光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機媒体との相溶性が高く、熱および求核剤に対して安定な新規光酸発生剤および当該光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。本発明に係る光酸発生剤は、下記式(I)および(II)のいずれかで示されるものである。
【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
式(I)および(II)において、R1は、アルキル基および置換アルキル基、フッ素
置換アルキル基、芳香環および置換芳香環、フッ素置換芳香環 、複素環および置換複素
環、フルオロアルキル基で置換されたアリ−ル基、フッ素原子、二トロ基またはシアノ基である。本発明に係る光酸発生剤は、後述するように光照射によってスルホン酸(HOSO21)を発生する。R1は発生するスルホン酸の特性(酸性度など)を決める要因とな
るものであり、光酸発生剤の用途に応じて適宜選択することができる。
【0015】
1がアルキル基および置換アルキル基である場合のR1としては、具体的には炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基などが挙げられる。さらに具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、ベンジル基などの直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブ
チル基、t−ブチル基などの分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シ
クロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、3−メトキシシクロペンチル基、3−カルボキシシクロペンチル基、3−メチルカルボニルシクロペンチル基、3−メトキシカルボニルシクロペンチル基、3−ジメチルアミノシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−カルボキシシクロヘキシル基、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの環状アルキル基などが挙げられる。
【0016】
1がフッ素置換アルキル基である場合のR1としては、具体的には炭素数1〜12のフッ素置換アルキル基などが挙げられる。さらに具体的には、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、3−フルオロシクロペン
チル基、3−トリフルオロメチルシクロペンチル基、4−フルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0017】
1が芳香環および置換芳香環である場合のR1としては、具体的には炭素数6〜14のアリ−ル基などが挙げられる。さらに具体的には、フェニル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−メチルカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、ジメチルアミノカルボニルフェニル基、1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−カルボキシル−1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、9−アントラセニル基などが挙げられる。
【0018】
1がフッ素置換芳香環基である場合のR1としては、具体的には炭素数6〜10のフッ素置換アリ−ル基などが挙げられる。さらに具体的には、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、へプタフルオロナフチル基などが挙げられる。
【0019】
1が複素環および置換複素環である場合のR1としては、具体的には炭素数2〜9のN、OおよびSのうち少なくとも1つ以上のヘテロ原子を含む複素環基および置換複素環基が挙げられる。さらに具体的にはフリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリジミニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロフリル基、ピロリル基、チアゾリル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基などが挙げられる。
【0020】
1がフルオロアルキル基で置換されたアリ−ル基である場合のR1としては、具体的には炭素数7〜11のフルオロアルキル基で置換されたアリ−ル基などが挙げられる。さらに具体的には、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基などが挙げられる。
【0021】
上記した中でもR1としては、フッ素置換アルキル基が好ましく、特にトリフルオロメ
チル基が好ましい。
2は、水素原子、アルキル基および置換アルキル基、フッ素置換アルキル基、芳香環
および置換芳香環、複素環および置換複素環、アルケニル基および置換アルケニル基、アルキニル基および置換アルキニル基、アシルアミド基、スルホニルアミド基、ハロゲン原子である。
【0022】
2がアルキル基および置換アルキル基である場合のR2としては、具体的には炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基などが挙げられる。さらに具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、ベンジル基などの直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブ
チル基、t−ブチル基などの分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シ
クロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、3−メトキシシクロペンチル基、3−カルボキシシクロペンチル基、3−メチルカルボニルシクロペンチル基、3−メトキシカルボニルシクロペンチル基 、3−ジメチルアミノシクロペンチル基、シクロヘキシル基、
4−メチルシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−カルボキシシクロヘキシル基、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基
などの環状アルキル基などが挙げられる。
【0023】
2がフッ素置換アルキル基である場合のR2としては、具体的には炭素数1〜12のフッ素置換アルキル基などが挙げられる。さらに具体的には、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、3−フルオロシクロペンチル基、3−トリフルオロメチルシクロペンチル基、4−フルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0024】
2が芳香環および置換芳香環である場合のR2としては、具体的には炭素数6〜14のアリ−ル基などが挙げられる。さらに具体的には、フェニル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−メチルカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、ジメチルアミノカルボニルフェニル基、1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−カルボキシル−1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、9−アントラセニル基などが挙げられる。
【0025】
2が複素環および置換複素環である場合のR2としては、具体的には炭素数2〜9のN、OおよびSのうち少なくとも1つ以上のヘテロ原子を含む複素環基および置換複素環基が挙げられる。さらに具体的にはフリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリジミニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロフリル基、ピロリル基、チアゾリル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基などが挙げられる。
【0026】
2がアルケニル基および置換アルケニル基である場合のR2としては、具体的には1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基などが挙げられる。さらに具体的には、エテニル基、n-プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、n−ヘキセニル基、n−ヘプテニル基、n−オクテニル基、n−ノネニル基、n−デセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−トリデセニル基、n−テトラデセニル基、n−ペンタデセニル基、n−ヘキサデセニル基、n−ヘプタデセニル基、n−オクタデセニル基、n−ノナデセニル基、n−エイコセニル基、などの直鎖状アルケニル基;i−プロペニル基、
i−ブテニル基、s−ブテニル基、などの分岐状アルケニル基;シクロプロペニル基、シ
クロブテニル基、シクロペンテニル基、3−メチルシクロペンテニル基、3−メトキシシクロペンテニル基、3−カルボキシシクロペンテニル基、3−メチルカルボニルシクロペンテニル基、3−メトキシカルボニルシクロペンテニル基、3−ジメチルアミノシクロペテニル基、シクロヘキセニル基、4−メチルシクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキセニル基、4−カルボキシシクロヘキセニル基、4−ジメチルアミノシクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基などの環状アルケニル基などが挙げられる。
【0027】
2がアルキニル基および置換アルキニル基である場合のR2としては、具体的には1〜20の直鎖状または環状のアルキニル基などが挙げられる。さらに具体的には、エチニル基、n-プロピニル基、n−ブチニル基、n−ペンチニル基、n−ヘキシニル基、n−ヘプチニル基、n−オクチニル基、n−ノニニル基、n−デシニル基、n−ウンデシニル基、n−ドデシニル基、n−トリデシニル基、n−テトラデシニル基、n−ペンタデシニル基、n−ヘキサデシニル基、n−ヘプタデシニル基、n−オクタデシニル基、n−ノナデシニル基、n−エイコシニル基、などの直鎖状アルキニル基;シクロプロピニル基、シクロ
ブチニル基、シクロペンチニル基、2−メチル−3−シクロペンテニル基、2−メトキシ−3−シクロペンテニル基、2−カルボキシ−3−シクロペンテニル基、2−メチルカル
ボニル−3−シクロペンテニル基、シクロヘキシニル基、2−メチル−3−シクロヘキシニル基、2−メトキシ−3−シクロヘキシニル基、2−カルボキシ−3−シクロヘキシニル基、2−ジメチルアミノ−3−シクロヘキシニル基、シクロヘプチニル基、シクロオクチニル基などの環状アルキニル基などが挙げられる。
【0028】
2がアシルアミド基である場合のR2としては、具体的には炭素数2〜10のアシルアミド基などが挙げられる。さらに具体的には、アセチルアミド基、プロピオニルアミド基、ブチリルアミド基、イソブチリルアミド基、ピバロイルアミド基、ベンゾイルアミド基などが挙げられる。
【0029】
2がスルホニルアミド基である場合のR2としては、炭素数2〜10のスルホニルアミド基などが挙げられる。さらに具体的にはメシルアミド基、n−プロパンスルホニルアミド基、n−ブタンスルホニルアミド基、i−ブタンスルホニルアミド基、t−ブタンスルホニルアミド基、ベンゼンスルホニルアミド基などが挙げられる。
【0030】
2がハロゲン原子である場合のR2としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記した中でもR2としては、アルキル基もしくは芳香環が好ましく、特にメチル基お
よびフェニル基が好ましい。
【0031】
Xは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、分子内もしくは分子間のX同士で連結したポリメチレン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基であり、それぞれ同一または異なっていてもよいが、カルボニル基のγ位の炭素原子に結合しているXのうち少なくとも1つは水素原子である。
【0032】
Xがアルキル基である場合のXとしては、具体的には炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基などが挙げられる。さらに具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、ベンジル基などの直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基な
どの分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3−メ
チルシクロペンチル基、3−メトキシシクロペンチル基、3−カルボキシシクロペンチル基、 3−メチルカルボニルシクロペンチル基、3−メトキシカルボニルシクロペンチル
基、3−ジメチルアミノシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−カルボキシシクロヘキシル基、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの環状アルキル基などが挙げられる。
【0033】
Xがアルコキシ基である場合のXとしては、具体的には炭素数1〜20のアルコキシ基などが挙げられる。さらに具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブチロキシ基、n−ぺンチロキシ基、n−ヘキシロキシ基、n−へプチロキシ基、n−オクチロキシ基、i−プロポキシ基、i−ブチロキシ基、s−ブチロキシ基、t−ブチロキシ基などが挙げられる。
【0034】
Xがアルコキシカルボニル基である場合のXとしては、具体的には炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。さらに具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキ
シカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、ネオペントキシカルボニル基、アミロキシカルボニル基、ヘキトキシカルボニル基、ヘプトキシカルボニル基、オクトキシカルボニル基、2−エチルヘキトキシカルボニル基、ヘプトキシカルボニル基、オクトキシカルボニル基などが挙げられる。
【0035】
Xがアシル基である場合のXとしては、具体的には炭素数2〜10のアシル基などが挙げられる。さらに具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0036】
Xがアルキルチオ基である場合のXとしては、具体的には炭素数1〜20のアルキルチオ基などが挙げられる。さらに具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−へキシルチオ基、n−へプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−へプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基、n−ノナデシルチオ基、n−エイコシルチオ基、ベンジルチオ基などの直鎖状アルキルチオ基;i−プロピルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチ
オ基などの分岐状アルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクペ
ンチルチオ基、3−メチルシクロペンチルチオ基、3−メトキシシクロペンチルチオ基、3−カルボキシシクロペンチルチオ基、3−メチルカルボニルシクロペンチルチオ基、3−メトキシカルボニルシクロペンチルチオ基、 3−ジメチルアミノシクロペンチルチオ
基、シクロヘキシルチオ基、4−メチルシクロヘキシルチオ基、4−メトキシシクロヘキシルチオ基、4−カルボキシシクロヘキシルチオ基、4−ジメチルアミノシクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロオクチルチオ基などの環状アルキルチオ基などが挙げられる。
【0037】
Xがアリ−ルチオ基である場合のXとしては、具体的には炭素数6〜14のアリ−ルチオ基などが挙げられる。さらに具体的には、フェニルチオ基、2,4−キシリルチオ基、
2,5−キシリルチオ基、3,4−キシリルチオ基、3,5−キシリルチオ基、o−トリル
チオ基、m−トリルチオ基、p−トリルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、3−メトキシフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、4−カルボキシフェニルチオ基、4−メチルカルボニルフェニルチオ基、4−メトキシカルボニルフェニルチオ基、ジメチルアミノカルボニルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、4−メチル−1−ナフチルチオ基、4−メトキシ−1一ナフチルチオ基、4−カルボキシル−1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントラセニルチオ基、9−アントラセニルチオ基などが挙げられる。
【0038】
Xが、分子内もしくは分子間のX同士で連結したポリメチレン基である場合のXとしては、具体的には炭素数1〜3のポリメチレン基などが挙げられる。
Xがハロゲン原子である場合のXとしては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0039】
上記した中でもXとしては、水素原子またはアルキル基が好ましく、特に水素原子またはメチル基が好ましい。
Yは、水素原子、アルキル基、芳香環および置換芳香環、複素環および置換複素環、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基である。
【0040】
Yがアルキル基である場合のYとしては、具体的には炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基などが挙げられる。さらに具体的には、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、ベンジル基などの直鎖状アルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基な
どの分岐状アルキル基 ; シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3−
メチルシクロペンチル基、3−メトキシシクロペンチル基、3−カルボキシシクロペンチル基、3−メチルカルボニルシクロペンチル基、3−メトキシカルボニルシクロペンチル基、3−ジメチルアミノシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−カルボキシシクロヘキシル基、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの環状アルキル基などが挙げられる。
【0041】
Yが芳香環および置換芳香環である場合のYとしては、具体的には炭素数6〜14のアリ−ル基などが挙げられる。さらに具体的には、フェニル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−メチルカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、ジメチルアミノカルボニルフェニル基、1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−カルボキシル−1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、9−アントラセニル基などが挙げられる。
【0042】
Yが複素環および置換複素環である場合のYとしては、具体的には炭素数2〜9のN、OおよびSのうち少なくとも1つ以上のヘテロ原子を含む複素環基および置換複素環基が挙げられる。さらに具体的にはフリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリジミニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロフリル基、ピロリル基、チアゾリル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基などが挙げられる。
【0043】
Yがアルコキシ基である場合のYとしては、具体的には炭素数1〜20のアルコキシ基などが挙げられる。さらに具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブチロキシ基、n−ぺンチロキシ基、n−ヘキシロキシ基、n−へプチロキシ基、n−オクチロキシ基、i−プロポキシ基、i−ブチロキシ基、s−ブチロキシ基、t−ブチロキシ基などが挙げられる。
【0044】
Yがアルコキシカルボニル基である場合のYとしては、具体的には炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。さらに具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、ネオペントキシカルボニル基、アミロキシカルボニル基、ヘキトキシカルボニル基、ヘプトキシカルボニル基、オクトキシカルボニル基、2−エチルヘキトキシカルボニル基、ヘプトキシカルボニル基、オクトキシカルボニル基などが挙げられる。
【0045】
Yがアシル基である場合のYとしては、具体的には炭素数2〜10のアシル基などが挙げられる。さらに具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0046】
Yがアルキルチオ基である場合のYとしては、具体的には炭素数1〜20のアルキルチオ基などが挙げられる。さらに具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピル
チオ基、n−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−へキシルチオ基、n−へプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−へプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基、n−ノナデシルチオ基、n−エイコシルチオ基、ベンジルチオ基などの直鎖状アルキルチオ基;i−プロピルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチ
オ基などの分岐状アルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクペ
ンチルチオ基、3−メチルシクロペンチルチオ基、3−メトキシシクロペンチルチオ基、3−カルボキシシクロペンチルチオ基、3−メチルカルボニルシクロペンチルチオ基、3−メトキシカルボニルシクロペンチルチオ基、 3−ジメチルアミノシクロペンチルチオ
基、シクロヘキシルチオ基、4−メチルシクロヘキシルチオ基、4−メトキシシクロヘキシルチオ基、4−カルボキシシクロヘキシルチオ基、4−ジメチルアミノシクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロオクチルチオ基などの環状アルキルチオ基などが挙げられる。
【0047】
Yがアリ−ルチオ基である場合のYとしては、具体的には炭素数6〜14のアリ−ルチオ基などが挙げられる。さらに具体的には、フェニルチオ基、2,4−キシリルチオ基、
2,5−キシリルチオ基、3,4−キシリルチオ基、3,5−キシリルチオ基、o−トリル
チオ基、m−トリルチオ基、p−トリルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、3−メトキシフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、 4−カルボキシフェニルチオ基、
4−メチルカルボニルフェニルチオ基、4−メトキシカルボニルフェニルチオ基、ジメチルアミノカルボニルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、4−メチル−1−ナフチルチオ基、4−メトキシ−1−ナフチルチオ基、4−カルボキシル−1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントラセニルチオ基、9−アントラセニルチオ基などが挙げられる。
【0048】
Yがハロゲン原子である場合のYとしては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記した中でもYとしては、水素原子またはアルキル基が好ましく、特に水素原子またはメチル基が好ましい。
【0049】
式(I)および(II)において、p、q、rは2つの橋頭位炭素間を結ぶ炭素鎖の長さをそれぞれ独立に示し、pは1〜3、qは0〜3、rは1〜2の整数である。p、q、rの組み合わせは、それぞれが上記範囲内であれば特に限定されないが、好ましくは(p,q,r)=(2,1,1)または(2,0,1)、特に好ましくは(p,q,r)=(2,1,1)である。
【0050】
本発明の光酸発生剤は、下記式AもしくはBで示される方法で製造することができる。式A、Bにおいては、構造式 (I)および(II)のスルホン酸エステルのアルコ−ル残基
部分をAlcで示している。
【0051】
式Aで示される方法は、目的とするスルホン酸エステルのアルコ−ル残基部分に対応するアルコ−ル (Alc)と1当量のスルホン酸無水物とを、塩基(base)の存在下で
反応させる製造方法である。式Bで示される方法は、目的とするスルホン酸エステルのアルコ−ル残基部分に対応するアルコ−ル (Alc−OH)と1当量のスルホン酸塩化物と
を反応させる製造方法である。
【0052】
【化5】

【0053】
上記した本発明の光酸発生剤には、次に示す (i)〜(iv)の特徴がある。
(i)本発明の光酸発生剤は、イオン性ではなく中性の有機分子から構成されているので
、有機媒体との相溶性が高い。したがって、たとえば感光性樹脂組成物の成分として用いる場合、樹脂などの有機媒体に対して任意の割合で、極めて均一に分散させることができる。そのような感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィ−に用いれば、形成パタ−ンのエッジが荒くなることもなく、極めて高精度の微細加工が可能である。
【0054】
(ii)式(I)および式(II)の構造においては、−OSO2Rのα位の炭素は、カゴ型化合物の橋頭位であるため、2分子的求核置換反応(SN2)は全く起こらない。また、
カゴ型化合物の橋頭位では、分子歪みのため、カルボカチオンが不安定であり、1分子的求核置換反応(SN1)は全く起こらないか、もしくは、極めて起こりにくい。上記のよ
うな理由から、本発明の光酸発生剤をたとえば感光性樹脂組成物の成分として用いる場合、非共有電子対を持つ官能基を有する樹脂などの有機成分および水などの求核性物質と共存しても、保存時または使用時に求核置換反応が起きて分解してしまうことがない。
【0055】
(iii)下記式(III)で一般的なスルホン酸エステルの脱離反応を示すが、スルホ
ン酸が脱離した後の化合物は、CおよびZが全て同一平面上に存在する平面構造となる。一方、本発明の光酸発生剤は、特定のビシクロ骨格を有しており、ブレッド則が成立するため、このような反応によって形成される平面構造をとることができない。したがって、このような脱離反応は抑制されているため、本発明の光酸発生剤は熱に対して安定である。
【0056】
【化6】

【0057】
(iv) 上述したように、本発明の光酸発生剤は、非光照射時においては、熱および求
核剤に対して安定であるが、光を照射することによってスルホン酸(HOSO21)を発生させることができる。その反応機構としては下記式(IV)が推定される。なお、下記式(IV)の光酸発生剤Aは上記式(II)において、XおよびYが全て水素原子で、(p,q,r)=(2,1,1)のものである。光酸発生剤Aに対して光を照射すると、まずビラジカルBが生成する。この光開裂反応はノリッシュII(Norrish II)タイプと呼ばれているものであり、カルボニル基のγ位に結合する水素がラジカル的に引き抜かれることにより、α−β間の炭素鎖が開裂する光反応である。ビラジカルBは分子内的にα−β開裂を引き起こして化合物Cを与えるが、Cにおいては上述したブレット則はもはや成立していないため−OSO21基とプロトンが脱離し、スルホン酸(HOSO21)が生成する。
【0058】
【化7】

【0059】
本発明の光酸発生剤にスルホン酸を発生させるために照射する光としては、R2の構造
で決定されるが、例えばR2=フェニル基の場合であれば380nmより短波長のものを
使用できる。さらにはR2の構造の選択によって、より短波長側での使用が可能となり、
例えば等圧水銀灯の313nm、254nmの共鳴線、KrFエキシマレ−ザ−光(248nm)およびArFエキシマレ−ザ− 光(193nm)を用いることができる。中で
もArFエキシマレ−ザ−光を好適に用いることができる。
【0060】
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の光酸発生剤を含むことを特徴としている。光酸発生剤は単独でも用いられるが、2種以上を混合して用いても良い。本発明の感光性樹脂組成物における本発明の光酸発生剤の含有率は、感光性樹脂組成物の全固形分100重量部に対して通常0.1〜40重量部、好ましくは1〜25重量部である。この含有率が0.1重量部未満では感度が著しく低下し、パタ−ンの形成が困難である。また40重量部を越えると、均−な塗布膜の形成が困難になり、さらに現像後には残さ(スカム)が発生し易くなるなどの問題が生ずる。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物を構成する樹脂としては、使用する光に対して高透明性であり、かつ酸に対して不安定な基を有する樹脂を適宜選択して使用することができる。たとえば下記式(V)により表される樹脂を用いることが出来る。
【0062】
【化8】

【0063】
[上式において、nは5〜1000(より好ましくは10〜200)の正の整数、R3は表1に示したような、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基あるいはアダマンチル基、R4はt−
ブチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、テトラヒドロピラニル基あるいは3−オキソシクロヘキシル基、xは0.1〜1(より好ましくは0.2〜0.7)を表す。]
【0064】
【表1】

【0065】
また本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて界面活性剤、色素、安定剤、塗布性改良剤、染料、架橋剤などの他の成分を添加しても構わない。
本発明の感光性樹脂組成物を塗布する際に用いる溶剤として好ましいものは、本発明の感光性樹脂組成物を充分に溶解し、かつその溶液がスピンコ−ト法で均一な塗布膜が形成可能な有機溶媒である。それらは単独でも2種類以上を混合して用いても良い。具体的には、n−プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコ−ル、tert−ブチルアルコ−ル、メチルセロソルブアセテ−ト、エチルセロソルブアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸2−メトキシブチル、酢酸2−エトキシエチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリジノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノ−ル、メチルエチルケトン、1 、4−ジオキサン、エチレングリコ−ルモノメチル−テル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノイソプロピルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、などが挙げられるが、もちろんこれらだけに限定されるものではない。
【0066】
また、本発明の感光性樹脂組成物を用いて微細パタ−ンの形成をおこなう場合の現像液
としては、本発明で使用する感光性樹脂組成物の溶解性に応じて適当な有機溶媒、またはその混合溶媒、あるいは適度な濃度のアルカリ溶液あるいはアルカリ水溶液を選択すれば良い。使用される有機溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。また、使用されるアルカリ溶液としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類や、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミシ、トリエチルアミン、などの有機アミン類、そしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルヒドロキシメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アンモニウム塩などを含む溶液あるいは水溶液が挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0067】
本発明の感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィ−について説明する。まず本発明の感光性樹脂組成物を塗布してレジスト膜を形成し、ArFエキシマレ−ザ−等の照射光によって露光すると、レジスト膜の露光部に含まれる光酸発生剤がスルホン酸を発生する。
【0068】
たとえば式(V)(R4はtert−ブチル基)で示した樹脂を用いたとき、光照射に
より発生したスルホン酸は下記式(VI)の反応式に従って樹脂のtert−ブトキシ基に作用し、カルボキシル基および2−ブテンを生成し、その結果レジスト膜の溶解性の変化を誘起する。
【0069】
【化9】

【0070】
ただし、kは正の整数を表す。
露光に引き続く加熱処理(ポストエクスポ−ジャベイク)を所定温度でおこなうと、この脱保護反応が触媒反応的に進行し、感度の増幅が起こる。この反応により官能基が水酸基に変化した樹脂はアルカリ可溶性となるため、アルカリ性の現像液を使用することにより樹脂が溶け出し、結果として露光部が溶けてポジ型のパタ−ンを形成する。
【0071】
<実施例>
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0072】
<3−ベンゾイル−2,2−ジメチル[2.2.1]ビシクロヘプタン−1−トリフラ−ト(2)の合成>
ナス型フラスコに2,2−ジメチル−3−フェニルヒドロキシメチル[2.2.1]ビシクロヘプタン−1−トリフラ−ト 0.272 g(7.19×10-4 mol)のアセトン溶液を入れ、氷冷しながら、Jone’s試薬(無水クロム酸CrO3、硫酸溶液)
を徐々に滴下した。酸化反応が進行していれば溶液は、還元されたクロム(III)の色
である緑色に呈色し、酸化が終了すれば還元されずにクロム(VI)が残存するので、Jone’s試薬そのものの色であるオレンジ色に変色することから、オレンジ色を呈色した時をこの反応の終点とし、その後溶液が緑色に変色するまでイソプロピルアルコ−ルを加えて、過剰にあるクロム(VI)を還元した。次に、沈殿しているクロム(III)をろ過により溶液から除いた後、ロ−タリ−エバポレ−タ−によりアセトンを留去した。これにより得られた液体を飽和食塩水に移し、この水層からジエチルエ−テルにより抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。乾燥後、ロ−タリ−エバポレ−タ−でジエチルエ−テルを留去し、得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒;ベンゼン)で単離・精製することにより3−ベンゾイル−2,2−ジメチル[2.2.1]ビシクロヘプタン−1−トリフラ−ト(2)を得た。ここでは、ベンゾイル基の立体化学において、エキソとエンド体を分離した。
【0073】
<exo型>
1H−NMR (300MHz、CDCl3
δ(ppm);1.0(s,CH3,3H),1.27(s,CH3,3H),1.71−1.8(m,CH2,1H ),2.05−2.15(m,CH2,1H),2.23−
2.27(m,CH2,2H),2.33(s,CH2,2H),2.54(br,s,1H,bridge head),3.6(s,CH,1H ),7.81−7.84(w,CH,2H),7.55−7.6(t,CH,1H),7.45−7.5(t,CH,2H)。
19F−NMR (300 MHz、CDCl3
δ(ppm);0.24(s,CF3,3F)。
【0074】
<endo型>
1H−NMR(300MHz、CDCl3
δ(ppm);0.8(s,CH3,3H),1.4(s,CH3,3H),1.45−1.55(m,CH2,1H),1.95−2.1(m,CH2,1H),2.22−2.4(m,CH2,2H,overlapping with the bridge head),2.46−2.48(d,CH2,1H),2.65−2.69(dd,CH2,1H),3.28(s,CH,1H)。
【0075】
【化10】

【0076】
<3−ベンゾイル−2,2−ジメチル[2.2.1]ビシクロヘプタン−1−トリフラ−ト(2)の熱安定性>
エキソ型ならびにエンド型の3−ベンゾイル−2,2−ジメチル[2.2.1]ビシクロヘプタン−1−トリフラ−ト(2)をそれぞれガラス管に封入し、80度で5時間加熱し、変化を19F−NMRで追跡測定したが、変化は観測されなかった。
【0077】
<3−ベンゾイル−2,2−ジメチル[2.2.1]ビシクロヘプタン−1−トリフラ−ト(2)の光酸発生機能>
エキソ型ならびにエンド型の3−ベンゾイル−2,2−ジメチル[2.2.1]ビシク
ロヘプタン−1−トリフラ−ト(2)をそれぞれ、アセトニトリル約0.9mLに溶解させ、中和剤としてトリエチルアミンをキャピラリ−により少量加え、NMRサンプルチュ−ブに入れ、高圧水銀灯のパイレックス(登録商標)透過光で光照射を行った。この反応の経時変化を、1H−NMRおよび19F−NMRを追跡測定した。19F−NMRスペクト
ルで、エキソ型(−1 ppm)およびエンド型(−0.95 ppm)のパ−フルオロメチル基のシグナルが減少するに従って、トリエチルアミンのトリフラ−ト塩に基づくシグナル(−3.5 ppm)の増加が観測された。このことから、光照射により(2)がノ
リッシュII型反応を起こし、有効に酸を発生したことが示唆される。量子收率はいずれの場合にも、0.3以上であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)および(II)のいずれかで示される新規な光酸発生剤:
式中、R1は、アルキル基および置換アルキル基、フッ素置換アルキル基、芳香環および置換芳香環、フッ素置換芳香環、複素環および置換複素環、フルオロアルキル基で置換されたアリ−ル基、フッ素原子、二トロ基またはシアノ基である;
2は、水素原子、アルキル基および置換アルキル基、フッ素置換アルキル基、芳香環
および置換芳香環、複素環および置換複素環、アルケニル基および置換アルケニル基、アルキニル基および置換アルキニル基、アシルアミド基、スルホニルアミド基、ハロゲン原子である;
Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アル
キルチオ基、アリ−ルチオ基、分子内もしくは分子間のX同士で連結したポリメチレン基
、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基であり、それぞれ同一または異なっていてもよいが、カルボニル基のγ位の炭素原子に結合しているXのうち少
なくとも1つは水素原子である;
Yは、水素原子、アルキル基、芳香環および置換芳香環、複素環および置換複素環、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基である;
p、q、rは2つの橋頭位炭素間を結ぶ炭素鎖の長さをそれぞれ独立に示し、pは1〜3、qは0〜3、rは1〜2の整数である。
【化1】

【化2】

【請求項2】
請求項1に記載の光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−217327(P2007−217327A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38827(P2006−38827)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(390033927)アイバイツ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】