説明

光重合性インクジェットインク

【課題】皮膚感さ性について問題がなく、低粘度化と硬化性向上を両立させた光重合性インクジェットインクの提供。
【解決手段】次の皮膚感さ性が陰性である化合物群(A)のうち少なくとも1種と、皮膚感さ性が陰性である化合物群(B)のうち少なくとも1種とを含む光重合性インクジェットインク。
(A)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕、ヒドロキシエチルアクリルアミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
(B)エチレンオキサイド変性フェノールアクリレート、イソステアリルアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光重合性インクジェットインクに関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル酸エステルを使用した光重合性インクジェットインク、さらに、これらとビニルエーテルを併用した光重合性インクジェットインクは広く知られている(特許文献1など)。
しかし、従来の光重合性インクジェットインクにおいて使用されているモノマーの多くは毒性を持つ。特に安価で容易に調達可能な(メタ)アクリル酸エステルは、皮膚に触れるとアレルギーを引き起こす皮膚感さ性について、ほとんどのものが高い毒性を有しているが、従来技術では、この問題の解決手段は示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、これまでの検討において、皮膚感さ性に問題のない幾つかの(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリルアミドを見出した。しかし、これらを用いて実用レベルの硬化性を付与したインクを作製すると、一般に使用されるインクジェットインクと比べて高粘度になってしまう。そのため、インクを低粘度化すべく十分に高温まで加温できる吐出ヘッドを用いないとインクジェット吐出できないとか、吐出させるためにヘッド内の圧力を相当に高くする必要があるとか、安定した吐出特性を得にくいなどの課題を有している。
そこで、本発明は、皮膚感さ性について問題がなく、低粘度化と硬化性向上を両立させた光重合性インクジェットインクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 次の皮膚感さ性が陰性である化合物群(A)のうち少なくとも1種と、皮膚感さ性が陰性である化合物群(B)のうち少なくとも1種とを含む光重合性インクジェットインク。
(A)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕、ヒドロキシエチルアクリルアミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
(B)エチレンオキサイド変性フェノールアクリレート、イソステアリルアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート
【0005】
また、本出願の発明には、以下の2)〜5)の態様も含まれる。
2) さらに、皮膚感さ性が陰性であるトリエチレングリコールジビニルエーテル、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートのうち少なくとも1種を含む1)記載の光重合性インクジェットインク。
3) さらに光ラジカル重合開始剤を含む1)又は2)記載の光重合性インクジェットインク。
4) 1)〜3)のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを収容したインクカートリッジ。
5) 4)記載のインクカートリッジを装着したインクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、皮膚感さ性について問題がなく、低粘度化と硬化性向上を両立させた光重合性インクジェットインクを提供できる。
なお、本発明のインクを用いて得られる印刷物は、仮に未硬化のモノマー成分が残存したとしても、皮膚感さ性について問題がなく安全であり、手指等で触れたとしても皮膚感さを引き起こすことはないため、安全な印刷物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】インクカートリッジのインク袋の一例を示す概略図。
【図2】インク袋を収容したインクカートリッジの一例を示す概略図。
【図3】インクジェット記録装置(印刷装置)の一例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
光重合性インクジェットインク(以下、インクということもある)の材料として使用でき、かつ皮膚感さ性が陰性である光重合性モノマーであって、単独で使用した場合に十分な低粘度化と十分な硬化性を両立できるものは見出されていない。そこで、皮膚感さ性が陰性であることを前提として、高粘度であるが硬化性が良好なモノマーと、硬化性は不十分であるが低粘度なモノマーをバランスよく配合して使用する方法について検討した。
その結果、低粘度で皮膚感さ性が陰性である光重合性モノマーとして、前記化合物群(B)を見出した。そして、先に見出していた皮膚感さ性が陰性であり、高粘度であるが硬化性が良好な前記化合物群(A)を併用することにより、低粘度化と硬化性向上を両立させることに成功した。
化合物群(A)の配合量は、インクに使用するモノマー全体に対して5〜95重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。また、化合物群(B)の配合量は、インクに使用するモノマー全体に対して5〜95重量%が好ましく、10〜85重量%がより好ましい。
化合物群(A)と化合物群(B)の配合割合(重量比)は、(A):(B)=5:95〜95:5が好ましく、15:85〜85:15がより好ましい。
【0009】
上記皮膚感さ性が陰性である光重合性モノマーとは、次の(1)〜(3)の少なくとも一つに該当する化合物を言う。
(1)LLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験において、感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満である化合物
(2)MSDS(化学物質安全性データシート)において、「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物
(3)文献〔例えば、Contact Dermatitis 8 223−235(1982)〕において「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物

(1)については、例えば「機能材料」2005年9月号、Vol.25、No.9、P55にも示されるように、SI値が3未満の場合に皮膚感さ性が陰性であると判断される。SI値が低いほど皮膚感さ性が低いことになるから、本発明では、SI値がなるべく低いモノマー又はオリゴマーを用いることが好ましく、3未満、好ましくは2以下、更に好ましくは1.6以下のものを用いる。
【0010】
また、単体では皮膚感さ性について多少問題があったり未確認であったりしても、インクとして問題が生じない範囲であれば、以下のような(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテルを併用することもできる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒4)〕、同(n≒9)、同(n≒14)、同(n≒23)〕、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクレート〔CH=C(CH)−CO−(OC)n−OCOC(CH)=CH(n≒7)〕、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテルなど。
【0011】
皮膚感さ性が陰性であるビニルエーテルとしては、上記の他にトリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどが挙げられるが、十分に低粘度であることや、沸点が低すぎず常温常圧での取り扱いが容易なことから、トリエチレングリコールジビニルエーテルが好ましい。しかし他のものも必要に応じて使用できる。また、同じく皮膚感さ性が陰性であり、十分に低粘度であるt−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートも使用できる。これらのビニルエーテルやメタクリレートは必要に応じて使用すればよいが、その使用量は、全モノマーに対して10〜90重量%とすることが好ましく、さらに好ましくは40〜60重量%である。
【0012】
本発明のインクには光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。該光ラジカル重合開始剤としては皮膚感さ性が陰性であるものを用いることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及びビニルエーテルは、カチオン重合性も有することが知られているが、光カチオン重合開始剤は一般に高価であるだけでなく、光を照射しない状態においても僅かに強酸を発生させるため、インクジェット記録装置内のインク供給経路において耐酸性を持たせるなどの特別な配慮が必要となる。そのため、インクジェット記録装置を構成する部材の選定に制約が生じる。
これに対し本発明のインクでは、安価で強酸を発生しない光ラジカル重合開始剤を使用することができるので安価に製造することができ、インクジェット記録装置の部材選定も容易となる。もちろん電子線やα、β、γ線、X線など非常に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用せずとも重合反応を進めることができるが、これは従前より一般的に公知のことであり、本発明では特に詳細説明しない。
【0013】
光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型光重合開始剤や水素引抜き型光重合開始剤がある。
分子開裂型光重合開始剤の例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン−〔4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、〔4−(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノンなどが挙げられる。
【0014】
水素引抜き型光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエイト、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物や、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物が挙げられる。
【0015】
また重合促進剤としてアミンを併用することもできる。
その例としては、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸−2−ジメチルアミノエチル、p−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルなどが挙げられる。
【0016】
インクには、必要に応じて着色剤を含むことができる。着色剤としては公知の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
ブラック顔料としては、ファーネス法又はチャネル法で製造されたカーボンブラック等が使用できる。
イエロー顔料としては、Pig.Yellow系の顔料、例えばピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180等が使用できる。
【0017】
マゼンタ顔料としては、Pig.Red系の顔料、例えばピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19等が使用できる。
シアン顔料としては、Pig.Blue系の顔料、例えばピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60等が使用できる。
白色顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が使用できる。
また、物理特性などを考慮して必要に応じて種々の無機顔料や有機顔料が使用できる。
【0018】
さらに、インクには、必要に応じて、4−メトキシ−1−ナフトール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,2′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、p−ベンゾキノン、ジ−t−ブチルジフェニルアミン、フェノチアジン、9,10−ジ−n−ブトキシシアントラセン、4,4′−〔1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイルビス(オキシ)〕ビス〔2,2,6,6−テトラメチル〕−1−ピペリジニルオキシなどの重合禁止剤や、高級脂肪酸系、シリコーン系、フッ素系などの界面活性剤や、極性基含有高分子顔料分散剤などを用いることができる。
【0019】
本発明のインクは容器に収容してインクカートリッジとして用いることができる。これにより、インク交換などの作業において、インクに直接触れる必要がなく、手指や着衣の汚れなどの心配がなく、またインクへのごみ等の異物混入を防止できる。
容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを有するものなどが好適に挙げられる。
上記インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明のインクカートリッジのインク袋241の一例を示す概略図であり、図2は図1のインク袋241をカートリッジケース244内に収容したインクカートリッジ200を示す概略図である。
【0020】
図1に示すように、インク注入口242からインクをインク袋241内に充填し、該インク袋中に残った空気を排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、インクカートリッジ200として各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いる。
本発明のインクカートリッジは、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることが特に好ましい。これにより、インクの補充や交換を簡素化でき作業性を向上させることができる。
【0021】
図3に、インクジェット記録装置(印刷装置)の一例の概略図を示す。
図3は、印刷ユニット3(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの印刷ユニット3a、3b、3c、3dからなる)のそれぞれにより、被印刷基材供給ロール1から供給された被印刷基材2(図の左から右へ搬送)に吐出された各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の印刷毎に、紫外線光源(硬化用光源)4a、4b、4c、4dから光照射(UV光)して硬化し、カラー画像を形成する例を示している。印刷ユニット3a、3b、3c、3dは、インク吐出部分においてはインクが高粘度の場合には低粘度化するように加温する機構を設けたものであり、基材保持部分(図中基材の上側又は下側の部分)においては、必要に応じて接触又は非接触で基材を室温程度に冷却する機構を設けたものである。インクを加温して吐出する場合、先に印刷する色の印刷面積が小さく搬送速度も遅い場合には、後から印刷する色に対しても自然放冷により基材は室温程度に保たれるが、先に印刷する色の印刷面積が大きかったり搬送速度が速い場合には、基材温度が上昇してしまい、基材あるいは先に印字されたインク上に着弾したインク滴の濡れ広がり等の挙動が色ごとにばらついてしまうなどして、画像形成に悪影響を及ぼすことも想定されるため、必要に応じて、基材を室温程度に保持するための冷却機構を設けてもよい。
【0022】
被印刷基材2としては、紙、フィルム、金属、あるいはこれらの複合材料等が用いられる。また、図3ではロール状の被印刷基材2を示しているが、シート状であってもよい。さらに、片面印刷だけでなく両面印刷してもよい。
印刷の高速化に際し、各色を印刷する毎に紫外線を照射するとより高い硬化性が得られるが、例えば紫外線光源4a、4b、4cを微弱なものとしたり省略したりして、複数色を印刷した後にまとめて4dにより十分量の紫外線を照射して硬化したり、あるいは、高圧水銀ランプやメタルハライドランプといった従来から使用されている光源の代わりに、近年、光重合性インク印刷用に実用化されたLED光源を導入することにより、省エネ、低コスト化を図ることも可能である。なお、図中の5は加工ユニット、6は印刷物巻き取りロールである。
【実施例】
【0023】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0024】
実施例1〜19
次の(A)〜(D)の材料を、表3の実施例及び比較例の各欄に示す配合割合(数値は重量部)で混合してインクを得た。
(A)皮膚感さ性が陰性である(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリルアミド(高粘度であるが硬化性良好)
(B)皮膚感さ性が陰性である(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリルアミド(低粘度)
(C)皮膚感さ性が陰性であるトリエチレングリコールジビニルエーテル、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート(十分に低粘度)
(D)皮膚感さ性が陰性である光ラジカル重合開始剤
【0025】
表3中のA1〜A8、B1〜B5、C1〜C4、D1〜D4の詳細は次の通りである。末尾の( )内の数値は前記(1)のLLNA試験における「SI値」であり、「陰性」又は「なし」は前記(2)のMSDS(化学物質安全性データシート)、又は前記(3)の文献において「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価されたものである。
SI値の評価方法の詳細は後述する。
【0026】
A1:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
日本化薬社製「DPCA−60」(陰性)MSDSでの評価
(試験方法:OECDテストガイドライン406)
A2:ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート
新中村化学社製「ATM−35E」(1.7)
A3:エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート
第一工業製薬社製「BPE−10」(1.2)
A4:カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリ
レート 日本化薬社製「HX−620」(0.9)
A5:ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−
(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕
東亞合成化学社製「M−270」(1.5)
A6:ヒドロキシエチルアクリルアミド 興人社製「HEAA」(なし)
MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン429)
A7:トリメチロールプロパントリメタクリレート
サートマー社製「SR350」(1.9)
A8:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
新中村化学社製「DCP」(1.3)
【0027】
B1:エチレンオキサイド変性フェノールアクリレート
東亜合成化学社製「M−102」(0.7)
B2:イソステアリルアクリレート 新中村化学社製「S−1800A」(1.4)
B3:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート
新中村化学社製「TMPT−3EO」(1.0)
B4:ステアリルメタクリレート 新中村化学社製「S」(1.2)
B5:グリセリンジメタクリレート 新中村化学社製「701」(1.2)
【0028】
C1:トリエチレングリコールジビニルエーテル BASF社製(陰性)
MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン406)
C2:t−ブチルメタクリレート 共栄社化学製「ライトエステルTB」(陰性)
文献での評価(試験方法:maximization法)
C3:n−ペンチルメタクリレート 東洋サイエンス社製(陰性)文献での評価
(試験方法:maximization法)
C4:n−ヘキシルメタクリレート 東京化成工業社製(陰性)文献での評価
(試験方法:maximization法)
【0029】
D1:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−
4−イル−フェニル)ブタン−1−オン(なし)MSDSでの評価
(試験方法:OECDテストガイドライン406)
D2:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−
1−オン(なし)MSDSでの評価
(試験方法:OECDテストガイドライン406)
D3:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン
−1(なし)MSDSでの評価
(試験方法:OECDテストガイドライン406)
D4:2,4−ジエチルチオキサントン(1.4)とp−ジメチルアミノ安息香酸−2
−エチルヘキシル(なし)MSDSでの評価
(試験方法:OECDテストガイドライン406)、の等モル混合物
【0030】
<SI値の評価方法>
上記SI値は、LLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験に従い、以下のようにして測定した。

[試験材料]
《陽性対照物質》
陽性対照物質としては、α−ヘキシルシンナムアルデヒド(HCA;和光純薬工業社製)を使用した。

《媒体》
媒体としては、下記のアセトンとオリーブ油を、体積比4:1で混合した混合液を使用した。
・アセトン(和光純薬工業社製)
・オリーブ油(フヂミ製薬所製)

《使用動物》
被検物質、陽性対照、媒体対照のそれぞれについて、マウスの雌に対し6日間の検疫を含む8日間の馴化を行った。検疫、馴化期間中、全ての動物に異常は認められなかった。感さ開始2日前に測定した体重を用いて、体重層別無作為抽出法で、個体の体重が全体の平均体重±20%以内となるように2群(4匹/群)に群分けした。感さ開始時の動物の週齢は8〜9週齢であった。群分けにより外れた動物は試験から除外した。
使用した動物は、試験期間を通して尾部への油性インク塗布により識別し、併せてケージはラベルをつけて識別した。

《飼育環境》
使用動物は、検疫、馴化期間中を含む全飼育期間を通して、温度21〜25℃、相対湿度40〜70%、換気回数10〜15回/時間、明暗サイクル12時間感覚(7時点灯〜19時消灯)に設定したバリアーシステムの飼育室で飼育した。
飼育ケージはポリカーボネイト製ケージを使用した。使用動物は4匹/ケージで飼育した。
飼料は、実験動物用固形飼料MF(オリエンタル酵母工業社製)を使用し、使用動物に自由摂取させた。飲料水は、塩素濃度が略5ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス、オーヤラックス社製)を添加した水道水を、給水びんにより、使用動物に自由摂取させた。床敷はサンフレーク(モミ材、電気かんな削りくず、日本チャールス・リバー社製)を使用した。飼料及び飼育用器材は、オートクレープ滅菌(121℃、30分間)したものをそれぞれ使用した。
ケージ及び床敷は、群分け時及び耳介リンパ節摂取日(飼育室からの搬出時)に交換し、給水びん及びラックは、群分け時に交換した。

【0031】
[試験方法]
《群構成》
SI値の測定試験で使用した群構成を、表1に示す。
【表1】

【0032】
[調製]
《被験物質》
表2に被験物質の秤量条件を示す。被験物質をメスフラスコに秤量し、媒体を加えながら1mLに定容した。調製液は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
【表2】

《陽性対照物質》
略0.25gのHCAを正確に秤量し、媒体を加えながら1mLとして25.0w/v%液を調製した。調製物は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。

《BrdU》
5−ブロモ−2′−デオキシウリジン(BrdU、ナカライテスク社製)200mgをメスフラスコに正確に秤量し、生理食塩液(大塚製薬工業社製)を加えて超音波照射し、溶解させた。その後、20mLに定容して10mg/mL液(BrdU調製液)を調製した。調製液は、滅菌濾過フィルターを用いて濾過滅菌し、滅菌容器に入れた。

《調製時期及び保管期間》
陽性対照物質調製液は感さ開始前日に調製し、使用時以外は冷所で保管した。媒体及び被験物質調製液は各感さ日に調製した。BrdU液は、投与の2日前に調製し、投与日まで冷所に保管した。
【0033】
[感さ及びBrdU投与]
《感さ》
各被験物質及び陽性対照物質の調製液及び媒体を動物の両耳介にそれぞれ25μLずつ塗布した。塗布には、マイクロピペッターを用いた。この操作を1日1回、3日連続して行った。

《BrdUの投与》
最終感さの略48時間後に1回、BrdU調製液を動物1匹あたり0.5mL、腹腔内投与した。
【0034】
[観察及び検査]
《一般状態》
試験に使用した全動物について、感さ開始日から耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)まで、1日1回以上観察した。なお、観察日の起算法は、感さ開始日をDay1とした。

《体重測定》
感さ開始日及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)に体重を測定した。また、群ごとの体重の平均値及び標準誤差を算出した。

《耳介リンパ節の採取及び重量測定》
BrdU投与の略24時間後に動物を安楽死させ、耳介リンパ節を採取した。周囲組織を取り除き、両側耳介リンパ節を一括して重量測定した。また、群ごとの耳介リンパ節重量の平均値及び標準誤差を算出した。重量測定後、個体毎に−20℃に設定されたバイオメディカルフリーザーで凍結保存した。

《BrdU取り込み量の測定》
耳介リンパ節を室温に戻した後、生理食塩液を加えながらすり潰し、懸濁させた。この懸濁液を濾過した後、個体ごとに3wellずつ、96wellマイクロプレートに分注し、ELISA法によりBrdU取り込み量の測定を行った。試薬は、市販のキット(Cell Proliferation ELISA、BrdU colorimetric、Cat.No.1647229、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を使用し、マルチプレートリーダー(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH社製)より得られた各個体の吸光度(OD370nm‐OD492nm、BrdU取り込み量)について、3wellの平均値を各個体のBrdU測定値とした。
【0035】
[結果の評価]
《Stimulation Index(SI)の算出》
下記式で示すように、各個体のBrdU測定値を、媒体対照群のBrdU測定値の平均値で徐して、各個体のSI値を算出した。各試験群のSI値は、各個体のSIの平均値とした。また、各試験群のSIの標準誤差も算出した。なお、SI値は、小数点以下第2位を四捨五入して小数点第一位まで表示した。
【数1】

【0036】
各インクについて、25℃及び60℃粘度(mPa・s)と硬化に必要な光量(mJ/cm)を測定した。その結果を表3に示す。
25℃及び60℃粘度は、東機産業社製コーンプレート型回転粘度計により、恒温循環水の温度を25℃及び60℃に設定して測定した。25℃という温度は一般的な室温環境を想定したものであり、60℃という温度は、例えばリコープリンティングシステムズ社製GEN4など、加温可能な市販のインクジェット吐出ヘッドの仕様を想定したものである。
【0037】
硬化性評価は、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により、市販のPETフィルム上にインクをインクジェット吐出して光照射して実施した。
まず、インクの取り扱いとしては、図1に示す形状のアルミ製パウチ袋に気泡が入らないようにインクを密封し、図2に示すようなプラスチック製カートリッジにインクを密封した前記のパウチ袋を収納し、このカートリッジが収納できるようにした筐体においてカートリッジからリコープリンティングシステムズ社製GEN4ヘッドに達するまでインク流路を設置し、これによりインクジェット吐出してベタ状の印刷塗膜を作製した。
作製したベタ状の印刷塗膜に対して、順次、UVA領域に相当する波長域において1000、500、200、100、50、20、10(mJ/cm)と段階的に照射する積算光量を変え、指触によりべたつきのない状態となったことで硬化したと判断し、硬化に最低限必要だった積算光量を記載した。少ない積算光量で硬化するほど硬化性が良好といえる。
【0038】
なお、インクの物性としては、使用するインクジェット吐出ヘッドの要求仕様に合致していることが望ましい。吐出ヘッドには多くのメーカーから様々なものが市販されているが、その中には、幅広い温調機能を持ち合わせたものも存在する。そのような状況を踏まえると、インクの粘度としては25℃で2〜150mPa・sであることが望ましく、25℃で吐出することを考えると、さらに好ましくは5〜18mPa・sである。しかし、前記のように吐出ヘッドが有する温調機能を使用することも可能であり、25℃で粘度が高すぎる場合には、必要に応じてヘッドを加温してインクを低粘度化すればよく、これを想定した場合、仮に加温条件を60℃とするなら、60℃の粘度は2〜20mPa・sであることが望ましく、さらに好ましくは5〜18mPa・sである。
【0039】
また、硬化に必要な光量は、省エネルギー化の観点では少なければ少ないほどよいが、あまりにも微弱な光照射で硬化してしまうと、吐出ヘッドの噴射ノズルの気液界面で、硬化用光源から漏れ出てきた光や室内照明に反応して硬化してしまい、ノズル詰まりを発生させることも懸念される。これについてはプリンタの設計により回避できることも多いが、いずれにせよ過度に硬化性が良好であることは好ましくない。前記のことを考慮すると、硬化に必要な光量としては、5〜10000mJ/cmが望ましく、より好ましくは10〜1000mJ/cmであり、さらに好ましくは10〜200mJ/cmである。
【0040】
【表3】

※1:吐出できず、評価不能
※2:三菱化学社製カーボンブラック#10に対して、日本ルーブリゾール社製高分子
分散剤S32000を3:1の重量比で含む状態での配合量を示した。
【0041】
比較例1と実施例1を比較すると、A群のみで構成する場合には粘度が高すぎて吐出できないが、比較的低粘度なB群の化合物を含む場合には、ヘッドを適切な温度に設定することにより、問題なくインクジェット吐出でき、得られたベタ画像を光照射により硬化できることが確認できた。
実施例1〜6を比較するとA群に異なるアクリレートやアクリルアミドを含む場合、あるいはB群に異なるアクリレートやメタクリレートを含む場合においても、適宜その配合組成を調整することにより、粘度や硬化性を制御できることが確認できた。インクとして求められる特性は粘度や硬化性だけでなく、画像品質や画像塗膜の諸特性、コスト、インクジェット記録装置の印刷プロセスへの適合性など多岐にわたるため、状況に応じて求められる様々な要求事項を満足できるように自由に選定すればよい。
実施例7〜9のように、A群とB群についてメタクリレートを主な成分として構成する場合、さらにアクリルアミドやアクリレートを併用する場合においても、実施例1〜6と比べると硬化性が劣るものの、ヘッドを適切な温度に設定すれば問題なくインクジェット吐出でき、得られたベタ画像を光照射により硬化できることが確認できた。前述と同様に必要とされる様々な要求事項に応じて自由に選定すればよい。
【0042】
実施例1、10〜12のように、重合開始剤の種類が異なる場合でも粘度や硬化性を制御できることが確認できた。前述と同様に様々な要求事項に応じて自由に選定すればよい。
実施例13〜17のように、C群の化合物を1種類又は複数併用することでも、ヘッドを適切な温度に設定すれば、問題なくインクジェット吐出でき、得られたベタ画像を光照射により硬化できることが確認できた。特にビニルエーテルよりもt−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートを使用する場合において、より低粘度化と高硬化性を達成できるが、前記メタクリレートは独特の臭気をもつという特徴もあるため、これをも含めて前述と同様に必要とされる様々な要求事項に応じて自由に選定すればよい。
実施例18、19のように、着色剤を含む場合でも、比較的低粘度なB群の化合物を含む場合、及びさらにC群の化合物を含む場合には、ヘッドを適切な温度に設定することにより、インクジェット吐出でき、得られたベタ画像を光照射により硬化できることが確認できた。
【符号の説明】
【0043】
1 被印刷基材供給ロール
2 被印刷基材
3 印刷ユニット
3a 各色の印刷ユニット
3b 各色の印刷ユニット
3c 各色の印刷ユニット
3d 各色の印刷ユニット
4a 紫外線光源
4b 紫外線光源
4c 紫外線光源
4d 紫外線光源
5 加工ユニット
6 印刷物巻き取りロール
200 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特表2004−526820号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の皮膚感さ性が陰性である化合物群(A)のうち少なくとも1種と、皮膚感さ性が陰性である化合物群(B)のうち少なくとも1種とを含む光重合性インクジェットインク。
(A)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕、ヒドロキシエチルアクリルアミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
(B)エチレンオキサイド変性フェノールアクリレート、イソステアリルアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート
【請求項2】
さらに、皮膚感さ性が陰性であるトリエチレングリコールジビニルエーテル、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートのうち少なくとも1種を含む請求項1記載の光重合性インクジェットインク。
【請求項3】
さらに光ラジカル重合開始剤を含む請求項1又は2記載の光重合性インクジェットインク。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを収容したインクカートリッジ。
【請求項5】
請求項4記載のインクカートリッジを装着したインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−95910(P2013−95910A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243072(P2011−243072)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】