説明

光重合性組成物、およびその用途

【課題】
本発明は、優れた耐熱性、耐湿性、熱的寸法安定性、耐候性等を有する新規な光重合性組成物であって、各種光学フィルムの貼り合わせにおいて、概光重合性組成物を使用した光硬化性接着剤を使用する事によって、各種光学フィルムの種類を問わず、簡便かつ強固に接着でき、低露光量での硬化性に優れ、有機溶剤を実質的に含まず、低粘度の光硬化性接着剤、及びそれを用いて、従来の偏光板に比して打抜き加工性及び湿熱耐久性に優れた偏光板を提供することを目的とする。
【解決手段】
三員環状のオキシラン化合物(A)を主成分とし、さらに、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)、を含有する、実質的に有機溶剤を含有せず、23℃における粘度が1〜1500mPa・sである光重合性組成物に、光重合開始剤を含有した光硬化性接着剤組成物、及びそれを用いた積層体、及び偏光板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な光重合性オキシラン系組成物と、それを用いてなる光硬化性接着剤、及び光学フィルム積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクスの飛躍的な進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションディスプレイ(RPJ)、ELディスプレイ、発光ダイオ−ドディスプレイなどの様々なフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されるようになってきた。例えば、これらFPDは、パーソナルコンピューターのディスプレイや液晶テレビをはじめ屋内で使用されるばかりでなく、カーナビゲーション用ディスプレイ等のように車両に搭載して使用される。
【0003】
このような表示装置には、通常、外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム(プロテクトフィルム)など、用途に応じて様々なフィルムが使用されており、例えば、LCDを構成する液晶セル用部材においては、偏光板や位相差フィルムが積層されている。
また、FPDは、表示装置として利用するだけではなく、その表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置として利用されることもある。タッチパネルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
また、表示装置には、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニットは、基本的には光源としての線状のランプと、ランプに端部が沿うように配置される方形板状の導光板と、導光板の表面側に配設される光拡散シートと、光拡散シートの表面側に配設されるプリズムシートを備えている。最近では、光源に令陰極管(COFL)から色再現性や省電力に優れた発光ダイオード(LED)が使用されるようになってきたため、より耐熱性や寸法安定性の要求が高まってきている。
このようなフィルムは、接着剤を介して被着体に貼着して表示装置に使用されている。表示装置に用いられる接着剤は、まず透明性や耐熱性に優れることが要求されるので、アクリル系樹脂を主剤とする溶剤含有の2液硬化型接着剤が一般に使用されている。
【0004】
ところで、前記した種々のフィルムのうち、偏光フィルムは、ポリビニルアルコール(PVA)系偏光子の両面をトリアセチルセルロース(TAC)系やシクロオレフィン(COP)系の保護フィルムで挟んで水系接着剤で貼り合わせただ3層構造が一般的である。
このため、偏光フィルムでは、各層を構成する材料の寸法変化特性が異なるため、温度や湿度の変化に伴う寸法変化によるソリが生じやすい。
【0005】
TAC系フィルムは、透湿度が高いことから、水系接着剤を使用し、水分を揮発させることなくそのままPVA系偏光子に重ねた状態で、水を乾燥させつつ、接着できる。
【0006】
保護フィルムとしてはTAC系フィルムの代わりに、低コストであったり、透明性などの光学特性に優れたりするポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系フィルム、非結晶性ポリオレフィン系フィルムやシクロオレフィン系フィルムなどが提案されている(特許文献1,2,3)。これらの保護フィルムは、TAC系フィルムよりも疎水性であることや、透湿度が低いため、PVA系偏光子に重ねる前に水を十分乾燥する必要があるが、水が残り易く、水が残ると、接着強度不足や外観不良などの問題があった。
【0007】
そこで、ポリビニルアルコール系偏光子と疎水性保護フィルムとを貼り合わせるために、水系接着剤の代わりに紫外線硬化型接着剤を使用することが提案されている。
【0008】
ところで、液晶表示装置用の偏光板は粘着剤層を介して液晶セルに貼られる。このとき異物混入等の貼り合せミスが合った場合、偏光板を剥離し液晶セルを再利用する。PVA系偏光子と保護フィルムの接着力が十分でないと、偏光板の剥離時にPVA系偏光子と保護フィルムの間で剥離し、液晶セルに保護フィルムが残ってしまい液晶セルの再利用ができなくなる。そのため、PVA系偏光子と保護フィルムの間の接着力は、偏光板と液晶セルを貼り合わせるための粘着剤の粘着力より高いことが求められ、さらにはPVA系偏光子と保護フィルムが剥離不可になることがより好ましい。
【0009】
また、液晶表示装置は高温下や高湿度下などの様々な環境で使用されるため、偏光板にも非常に厳しい湿熱耐性が求められる。PVA系偏光子と保護フィルムの接着力が十分でない場合、高温高湿度下に長時間曝される(湿熱暴露)とPVA系偏光子の寸法変化により、PVA系偏光子と保護フィルムの間で剥離が発生する。
【0010】
特開2004−245925(特許文献4)には、芳香環を含まないオキシラン系樹脂として水素化(水添ともいう)ビスフェノール型オキシラン樹脂を主成分とする接着剤が開示されており、加熱または活性エネルギー線の照射によるカチオン重合による接着法が提案されている。
しかし、特許文献4記載の接着剤は極めて高粘度であり、塗工性に難がある。
さらに、特許文献4記載の接着剤のように水素化ビスフェノール型オキシラン化合物を主成分とすると、ポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系フィルム等の保護フィルムを用いた場合、これらの保護フィルムには全く接着しないという問題があった。
【0011】
ところで、PVA系偏光子と保護フィルムを貼り合わせる接着剤層の厚みは、光の透過率を上げるためや、コストを下げるためにできるだけ薄いことが求められる。具体的には接着剤層は、0.1〜6μmの厚みで平滑であることが求められる。
このような薄膜の接着剤層を工業的に設けるには、光学接着剤を塗工する際マイクログラビアコーターを用いることが好ましい。小径グラビアコーターは、より細かい凹版を用いることによって薄膜を形成できる。しかし、接着剤の粘度が高いと、可能な限り細かい凹版(例えば500線/インチ)を用いても、0.1〜6μmの厚みの接着剤層を形成できない。
従って、0.1〜6μmの厚みの接着剤層を形成するためには接着剤の粘度を1〜1500mPa・sにする必要がある。
【0012】
特開2008−63397号公報(特許文献5)には、脂肪族オキシラン化合物を主成分とする比較的低粘度の接着剤が開示されており、加熱または活性エネルギー線の照射によるカチオン重合による接着法が提案されている。
特許文献5記載の接着剤を用いると、湿熱暴露しない状態ではPVA系偏光子とTAC系フィルム、PVA系偏光子とシクロオレフィン系フィルムとを十分な強度で接着できる。
しかし、特許文献5記載の接着剤を用いた場合、湿熱暴露するとPVA系偏光子といずれか一方の保護フィルムとの間、もしくはPVA系偏光子と両保護フィルムとの間で剥離が発生する。
さらに、特許文献5記載の接着剤のように脂肪族オキシラン化合物を主成分とすると、ポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系フィルム等の保護フィルムを用いた場合、これらの保護フィルムには全く接着しないという問題があった。
【0013】
特開2008−257199号公報(特許文献6)には、分子内に1個以上の脂環式エポキシ基を有する多官能のオキシラン樹脂と、分子内に脂環式環に結合した三員環状エーテル基を有さない多官能のオキシラン樹脂を含む接着剤が開示されている。
一般的に脂環式エポキシ樹脂は、光硬化性が良いが粘度が200mPa・s以上と高い。一方、脂環式環に結合した三員環状エーテル基を有しない多官能オキシラン樹脂は、光硬化性は低いが100mPa・s以下という低粘度のものがある。そのため薄膜塗工をするために接着剤粘度を下げようとすると、脂環式環に結合した三員環状エーテル基を有しない多官能オキシラン樹脂含有量を増やさざるを得ない。しかし、その結果、硬化性が低下し、密着性不良や湿熱暴露するとPVA系偏光子と保護フィルムの間で剥離が発生する。
一方、硬化性を維持しようとすると、脂環式環に結合した三員環状エーテル基を有する樹脂を増やさざるを得ず、接着剤粘度が上がり、その結果薄膜塗工ができなくなる。
【0014】
さらには、脂環式エポキシ樹脂を増やすと、ポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系フィルム等の保護フィルムを用いた場合、これらの保護フィルムには全く接着しないという問題があった。
【0015】
なお、接着剤の粘度を低下させるために、有機溶剤を用いて希釈するという方法がある。しかし、有機溶剤を用いると、塗工設備を防爆仕様にしたり、特別な溶剤回収装置を設置したりしなければならなくなる。
そこで、偏光板形成用の光硬化性接着剤には、実質的に有機溶剤を含有しない状態で低粘度であることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2001−324616号公報
【特許文献2】特開2009−300768号公報
【特許文献3】特開2007−140092号公報
【特許文献4】特開2004−245925号公報
【特許文献5】特開2008−63397号公報
【特許文献6】特開2008−257199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、優れた耐熱性、耐湿性、熱的寸法安定性、耐候性等を有する新規な光重合性組成物であって、各種光学フィルムの貼り合わせにおいて、概光重合性組成物を使用した光硬化性接着剤を使用する事によって、各種光学フィルムの種類を問わず、簡便かつ強固に接着でき、有機溶剤を実質的に含まず、低粘度で薄膜塗工性に優れる光硬化性接着剤、及びそれを用いて、従来の偏光板に比して打抜き加工性及び湿熱耐久性に優れた偏光板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す光重合性組成物により前記目標達成できることを見出し、更に光硬化性接着性組成物により本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、三員環状のオキシラン化合物(A)を主成分とし、さらに、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)、を含有する、実質的に有機溶剤を含有せず、23℃における測定粘度が1〜1500mPa・sであることを特徴とする光重合性組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、前記主成分である三員環状のオキシラン化合物(A)100重量部に対して、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)を0.5〜60重量部含有することを特徴とする上記光重合性組成物に関する。
【0020】
また、本発明は、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)が、ラクトン環、カーボネート環、ジオキソラン環、ジオキサン環の少なくともいずれか1種の環状構造を有することを特徴とする上記光重合性組成物に関する。
【0021】
また、本発明は、三員環状のオキシラン化合物(A)が、芳香環を有する化合物(a−1)を含有することを特徴とする上記光重合性組成物に関する。
【0022】
また、本発明は、三員環状のオキシラン化合物(A)が、三員環状のオキシラン環を二個以上有する化合物(a−2)を含有することを特徴とする上記光重合性組成物に関する。
【0023】
また、本発明は、上記光重合性組成物に光重合開始剤を含有することを特徴とする光重合性組成物に関する。
【0024】
また、本発明は、光重合開始剤が、光照射によって酸性活性種を発生するA+B−で表される塩であって、この陽イオンA+が、芳香族ヨードニウムイオンおよび芳香族スルホニウムイオンからなる群より選ばれる上記光重合性組成物に関する。
【0025】
また、本発明は、上記光重合性組成物を用いて、光学フィルムを接着してなることを特徴とする積層体に関する。
【0026】
また、本発明は、上記光重合性組成物を用いてポリビニルアルコール系偏光子の片面または両面に保護フィルムを接着してなることを特徴とする偏光板に関する。
【0027】
また、本発明は、前記偏光板の保護フィルムの少なくとも1つがアセチルセルロース系フィルムまたはノルボルネン系フィルム,アクリル系フィルム,ポリカーボネート系フィルムであることを特徴とする上記偏光板に関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、低照度で重合可能な光重合性組成物、及びそれを用いた光硬化性接着剤組成物を用いて、光学フィルムを簡便かつ強固に接着でき、打ち抜き加工性、耐熱性、及び耐湿熱性の良好な積層体を得ることが可能となり、特に優れた偏光板を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の光重合性組成物は、三員環状のオキシラン化合物(A)と二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)を必須成分とすることが特徴である。
本発明の光重合性組成物において、三員環状のオキシラン化合物(A)とは、反応性官能基として分子内に三員環状の環状エーテル基を1つ以上有する化合物であり、特に制限が無く使用できる。
分子内に三員環状の環状エーテル基としては、例えば、オキシラン、メチルオキシラン、フェニルオキシラン、1,2−ジフェニルオキシラン、メチリデンオキシラン、オキシラニルメチル、オキシラニルメタノール、オキシランカルボン酸、(クロロメチル)オキシラン、(ブロモメチル)オキシラン、オキシラニルアセトニトリル等の脂肪族系環状エーテル基;
例えば、3,4−オキシランシクロヘキシルメチル 3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチル) アジペート、ビス(3,4−オキシラン−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−オキシランシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジオキシラン−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−オキシランシクロヘキサンスピロ−2’,6’−ジオキサンスピロ−3’’,5’’−ジオキサンスピロ−3’’’,4’’’− オキシランシクロヘキサンとも命名できる化合物)、4−(3,4−オキシランシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−オキシランスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−オキシランシクロペンチルエーテル、およびジシクロペンタジエンジオキサイド等の脂環式環に結合した三員環状の環状エーテル基が挙げられ、これら三員環状の環状エーテル基含有化合物中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、三員環状のオキシラン化合物(A)となりうる。
【0030】
ここに例示したオキシラン化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のオキシラン化合物を混合して使用してもよい。
【0031】
このような三員環状のオキシラン化合物(A)のオキシラン当量は、通常、30〜3000g/eqであり、50〜1500g/eqが好ましい。オキシラン当量が30g/eqを下回ると、硬化後の光学フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合があるため好ましくない。一方、3000g/eqを超えると、他の成分との相溶性が低下する場合があるため好ましくない。
【0032】
本発明の三員環状のオキシラン化合物(A)には、耐熱性や耐湿熱性向上のため、三員環状の環状エーテル基に加え、更に芳香環を有するオキシラン化合物(a−1)を含有することが好ましい。好ましい芳香環置換基としては、より具体的には、例えば、フェニル、フェニレン、トリル、トリレノ、ベンジル、ベンジリデン、ベンジリジン、キシリル、キシリレン、フタリリデン、イソフタリリデン、テレフタリリデン、フェネチリデン、フェネチリジン、スチリル、スチリリデン、as-プソイドクミル、v-プソイドクミル、s-プソイドクミル、メシチル、クメニル、α-クミル、ヒドロシンナミル、シンナミル、シンナミリデン、シンナミリジン、ジュリル、ジュリレン、チミル、カルバクリル 、クミニル、クミニリデン、ネオフィル、キセニル、ベンズヒドリル、ベンズヒドリリデン、トリチル等に代表される置換基が挙げられ、これらは、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ヘミメリテン、プソイドクメン、メシチレン、クメン、プレーニング、イソジュレン、ジュレン、シメン、メリテン等のベンゼン誘導体中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合し得る芳香環が挙げられる。
【0033】
その他、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタシ゛エン等のシクロアルケン類;
【0034】
例えば、ベンゼン以外の炭素数を有する、環を構成する炭素数が3以上の[4n+2]アヌレンが挙げられる。
【0035】
例えば、ビフェニル、トリフェニルメタン等の芳香族多環化合物;
【0036】
例えば、ペンタレン、インデン、インダン、ニンヒドリン、ナフタレン、テトラリン、デカリン、サポタレン、カダレン、オイダレン、ナフトール、メナジオール、ゴシポール、ナフトキノン、ラウソン、ユグロン、メナジオン、プルンバギン、フチオコール、エキノクロムA、アルカンニン、シコニン、アセトナフトン、ナフトエ酸、ナフトイル、ナフタル酸、ナフタラート、アセトメナフトン、ナフチオン酸、ナフチオナート、ナフチオニル、ダンシル、クロセイン酸、フラビアン酸、クロモトロプ酸、ネオクペロン、アズレン、カマズレン、グアイアズレン、ヘプタレン、オクタレン、プルプロガリン等の炭素縮合二環系:
【0037】
例えば、as−インダセン、s−インダセン、as−ヒドロインダセン、s−ヒドロインダセン、ビフェニレン、アセナフチレン、アセナフテン、アセナフトキノン、フルオレン、フェナレン、ペリナフテン、フェナントレン、フェナントリル、フェナントリリウム、フェナントリリデン、フェナントリレン、フェナントロール、モルホール 、フェナントロン、フェナントラキノン、ピマントレン、レテン、アントラセン、アントリル、アントリリウム、アントリリデン、アントリレン、アントロール、アントラノール 、アントラロビン、アントラリン、ジトラノール、アントロイル、アントロン、ビアントロン、アントラキノン、アントラキノニル、アントラキノニレン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、クリサジン、アントラガロール、プルプリン、フラボプルプリン、アントラプルプリン、キナリザリン、テクトキノン、クリソファノール、クリソファン酸、エモジン、レイン、ケルメス酸、カルミン酸、ジアントリミド、アントリミド、クリサンミン酸、コルヒチン等の炭素縮合三環系;
【0038】
例えば、トリンデン、トリンダン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセフェナントレン、アセアントリレン、アセアントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラフェン、テトラセン、ナフタセン、ルブレン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、プレイアデン、ベンゾアントロン等の炭素縮合四環系;
【0039】
例えば、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、コラントリレン、コラントレン等の炭素縮合五環系;
【0040】
例えば、コランヌレン、フルミネン、アンタントレン、ゼトレン、ヘキサヘリセン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラントレン、オクタフェン、オクタセン、テリレン、ナフタセノナフタセン、ノナフェン、ノナセン、ビオラントレン、ビオラントロン、イソビオラントレン、イソビオラントロン、オバレン、デカフェン、デカセン、デカシクレン、ペンタセノペンタセン、クアテリレン、ヘキサセノヘキサセン等の環数6以上の炭素縮合環系;
等の環状化合物中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合し得る芳香環が挙げられる。
【0041】
また、本発明の三員環状のオキシラン化合物(A)が、三員環状のオキシラン環を二個以上有する化合物(a−2)を含有することが好ましい。三員環状のオキシラン環が複数含有することで、後述する接着剤組成物の架橋性が向上し、効果的な接着力と耐熱性や耐湿熱性を維持することが可能となる。
【0042】
ここで、前記した(a−1)と(a−2)が同一化合物、つまり、芳香環を有し、かつ、三員環状のオキシラン環を二個以上有する化合物(a−12)であっても問題は無く使用できる。三員環状のオキシラン化合物(A)中におけるこれらの含有量は、(A)100重量%中、(a−1)、(a−2)及び(a−12)のいずれかが、50重量%以上含有することが、重合性や耐湿熱性の点で好ましく、60重量%以上含有することが特に好ましい。
また、(a−1)、(a−2)及び(a−12)のいずれにも属さない(a−3)も問題は無く使用できる。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0043】
また、本発明の光重合性組成物において、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)を有することが好ましく、(B)がラクトン環、カーボネート環、ジオキソラン環、ジオキサン環の少なくともいずれか1種を有することが光重合性の点で好ましい。
【0044】
本発明におけるラクトン環含有の環状化合物(b−1)としては、ヒドロキシカルボン酸の水酸基とカルボン酸とが分子内又は分子間で脱水縮合して環構造を形成したオキシ酸縮合物であることが好ましく、その二量体又は三量体以上の多量体であってもよい。そして前記ヒドロキシカルボン酸は脂肪族、脂環式、芳香族及び複素環式の化合物を用いることができる。
【0045】
脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシエタン酸、2−ヒドロキシプロパン酸、ヒドロキシプロペン酸、α−オキシブタン酸、α−ヒドロキシイソブタン酸、ヒドロキシペンタン酸、α−ヒドロキシヘキサン酸、δ−ヒドロキシヘキサン酸、2,3−ジヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、ヒドロキシブタン二酸、2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシ(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン酸、α−ヒドロキシドトリアコンタン酸、α−ヒドロキシテトラトリアコンタン酸、α−ヒドロキシヘキサトリアコンタン酸、α−ヒドロキシオクタトリアコンタン酸、α−ヒドロキシテトラアコンタン酸、ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパン酸、ヒドロキシプロパン酸、6−ヒドロキシペンタン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、10−ヒドロキシオクタデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシテトラデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラエイコサン酸、α−ヒドロキシヘキサエイコサン酸、α−ヒドロキシオクタエイコサン酸、α−ヒドロキシトリアコンタン酸、β−ヒドロキシミテトラデカン酸、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸等が挙げられる。
【0046】
脂環式、芳香族及び複素環式ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−フェニル安息香酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸、4’−ヒドロキシ−4−カルボキシビフェニル、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、5−ヒドロキシ−1−ナフタレンカルボン酸等が挙げられる。
【0047】
これらのヒドロキシカルボン酸は、1分子内にカルボン酸と水酸基とを有する有機化合物であればよく、上記の例示に限定されるものではない。
【0048】
上記のオキシ酸縮合物の中でも、反応性の観点から、ラクトン類が好ましい。具体的には、例えばβ-プロピオラクトン、β−ブチロラクトンγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−オクタノラクトン、δ−ノナラクトン、ε−カプロラクトングリコリド、ピバロラクトン、7−ヘプタノリド、8−オクトノリド、11−ウンデカノリド、12−ドデカノリド、15−ペンタデカノリド、10−オキサヘキサデカノリド、2−ノネン−4−オリド、16−ヘキサドデカノリド、7−デセン−4−オリド、9−デセン−5−オリド、2−デセン−5−オリド、7−デセン−5−オリド、6−デセン−4−オリド、8−デセン−5−オリド、8−ウンデセン−5−オリド、4−メチル−cis−7−デセン−4−オリド、2−ブテン−4−オリド、2−メチル−4−ブタノリド、3−メチル−4−オクタノリド、3−メチル−4−ノナノリド、4−メチル−4−デカノリド、シクロペンタデカリド、2,4−デカジエン−5−オリド、4−メチル−5−ヘキセン−4−オリド、ペンタノ−4−ラクトン、4−エテニル−γ−バレロラクトン、グルクロノラクトン、ジャスモラクトン、アッソイラクトン、メントンラクトン、ミントラクトン、マソイアラクトン、ワインラクトン、パントラクトン、ホモセリンラクトン、メバロノラクトン、グルコノデルタラクトン、ベルガプテン、アンブレトリド、スクラレオリド、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン、7−デセン−1,4−ラクトン、9−デセン−5−オリド、2,3−ジメチル−2,4−ノナジエン−4−オリド、ジヒドロキシアクチニジオリド、5−ヒドロキシ−8−ウンデネセノイックアシッド−δ−ラクトン、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブタノリド、1,4−ジオキサシクロヘプタデカン−5,17−ジオン、α−アセチル−γ−ブチロラクトンα−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−α−プロピオラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、D−グルコノ−1,5−ラクトン、4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン−2−オン、フェナントレン−1,10:9,8−ジカルボラクトン、3α−ヒドロキシ−5α−コラノ−24,17−ラクトン等が挙げられる。
【0049】
また本発明で、ラクトン環含有の環状化合物(b−1)として使用可能なヒドロキシカルボン酸の環状二量体としては、乳酸による3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、グリコール酸による1,4−ジオキサン−2,5−ジオン等が挙げられる。
【0050】
上記ラクトン類のなかでも、開環により形成される側鎖長さや、三員環状のオキシラン化合物(A)との開環共重合性の面から、エステル環を構成する炭素数が4〜18の範囲であるものが好ましく、具体的には、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンが特に好ましい。
【0051】
本発明におけるカーボネート環含有の環状化合物(b−2)としては、グリコールとジアルキルカーボネートとの反応によって得られるポリマーを解重合する方法(特開平2−56356号公報参照)、または対応するアルキレンオキシドと二酸化炭素の反応によって合成することができる。環状カーボネートは、5員環,6員環または7員環構造を有し、その具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、グリセリンカーボネート、アリルコハク酸無水物などの5員環カーボネート類;
例えば、1,3−プロピレンカーボネートおよびネオペンチルグリコールカーボネート(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オンと命名し得る。)等の6員環カーボネート類;
例えば、1,4−ブタンジオールカーボネート等の7員環カーボネート類が挙げられるが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート等の5員環カーボネートが反応性の点で好ましく用いられる。
【0052】
本発明におけるジオキソラン環含有の環状化合物(b−3)としては、エチレングリコールのカルボニルをアセタール化することによって得られ、より具体的には、例えば、1,2−ジオキソラン、1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、(R)−(−)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、(+)−4,5−ビス[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、(4S)−α,α,α’,α−テトラフェニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ジメタノール、4α,5β−ビス(ヒドロキシジフェニルメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、 (4S,5S)−2,2−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ジイルビス(ジフェニルメタノール)、 (4S)−2,2−ジメチル−4α,5β−ビス(α−ヒドロキシベンズヒドリル)−1,3−ジオキソラン、α,α,α’,α’−テトラフェニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ジメタノール、2,2−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ジメタノール、(4S,5S)−2,2−ジメチル1,3−ジオキソラン−4,5−ビス(ジフェニルメタノール) α,α’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル)ビス(α−フェニルベンジルアルコール)、(4S,5S)−2,2−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,3−ジオキソラン−4,5−ビス(メタノール)、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ビス(ジフェニルメタノール)、(4S)−2,2−ジメチル−4α,5β−ビス(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)−1,3−ジオキソラン、 (4S,5S)−α,α,α’,α’−テトラフェニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ジメタノール、 [(4S,5S)−2,2−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1,3−ジオキソール]−4,5−ジイルビス(ジフェニルメタノール) 、α,α’−[(4S,5S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル]ビス(α−フェニルベンジルアルコール)、α,α,α’,α’−テトラフェニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタノール、α,α,α’,α’−テトラフェニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ビスメタノール、α,α’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル)ビス(ジフェニルメタノール) 、(4S,5S)−α,α,α’,α’−テトラフェニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタノール、(+)−trans−α’,α’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル)ビス(ジフェニルメタノール)、1,1,4,4−テトラフェニル−2−O,3−O−イソプロピリデン−D−トレイトール、 [(4S,5S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル]ビス(ジフェニルメタノール)、(4S)−2,2−ジメチル−4α,5β−ビス(ヒドロキシジフェニルメチル)−1,3−ジオキソラン、 2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ビス(α’,α’−ジフェニルメタノール)、(4S)−2,2−ジメチル−α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ジメタノール、(4S,5S)−2,2−ジメチル−4α,5β−ビス(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ビス(α,α’−ジフェニルメタノール) 、α,α’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4α,5β−ジイル)ビス(ジフェニルメタノール) ジオキサン、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート、[シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル)]メチルアクリレート、[シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル)]メチルメタクリレート、(2−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、(2−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0053】
上記ジオキソラン環含有の環状化合物(b−3)のなかでも、三員環状のオキシラン化合物(A)との開環共重合性の面から、1,3−ジオキソラン、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレートが特に好ましい。
【0054】
本発明におけるジオキサン環含有の環状化合物(b−4)としては、(ポリ)エチレングリコールを硫酸等の鉱酸や芳香族スルホン酸触媒の存在下に反応する方法や、硫酸、三フッ化ホウ素等の酸触媒を用いてエチレンオキサイドを環化二量化する方法によって合成することができる。より具体的には、例えば、1,2−ジオキサン、4−アセチル−6−ヘキシル−3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、4−アセチル−3,4−ジメチル−6,6−ジフェニル−1,2−ジオキサン−3−オール、4−アセチル−6−フェニル−3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、6,6−ジフェニル−4−(フェニルアミノカルボニル)−3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、6,6−ジフェニル−4−ベンゾイル−3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、(3S)−3β,6αジメチル−4α,5β−ビス(4−アセトキシ−3−メトキシフェニル) −1,2−ジオキサン、6,6−ジフェニル−4−アセチル−3−メチル−4−エチル−1,2−ジオキサン−3−オール、(3S)−4α−アセチル−6,6−ジフェニル−3−メチル−1,2−ジオキサン−3α−オール、(3S)−-3β,6α−ジメチル−4α,5β−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル) −1,2−ジオキサン、4−アセチル−6,6−ビス(4−メチルフェニル) −3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、4−アセチル−6,6−ビス(4−クロロフェニル)−3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、4−アセチル−6,6−ビス(4−メトキシフェニル) −3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、4−アセチル−6,6−ビス(4−フルオロフェニル) −3−メチル−1,2−ジオキサン−3−オール、α,6−ジメチル−6−[4−メチル−6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル) −3−ヘキセニル] −1,2−ジオキサン−3−酢酸、4−エチル−6−(2−エチル−3−ヘキセニル) −6−メチル−1,2−ジオキサン−3−酢酸メチル、(3R,αR,6R)−6−[2−[[(4aR,8aS)−1,4,4αβ,7,8,8αβ−ヘキサヒドロ−1,1,3,6−テトラメチルナフタレン]−2−イル]エチル]−α,6−ジメチル−1,2−ジオキサン−3−酢酸、(R)−2−[(3R,6R)−6β−メチル−6−[[(2S)−2,3,3α,4,5,9β−ヘキサヒドロ−3aα,4α,7,9bα−テトラメチルナフト[1,2−b]フラン]−2α−イル] −1,2−ジオキサン−3β−イル]プロピオン酸メチル、(2S)−2−[(3S,6S)−6−[2−[(1S,2R,4aα,8αβ)−デカヒドロ−1,2α,4a−トリメチル−5−メチレンナフタレン−1β−イル]エチル] −6−メチル−1,2−ジオキサン−3−イル]プロパン酸、(R)−2−[(3R,6S)−6β−メチル−6−[2−[[(2R,4aβ,8aβ)−デカヒドロ−1,1−ジメチル−3,6−ジメチレンナフタレン]−2α−イル]エチル] −1,2−ジオキサン−3β−イル]プロピオン酸等の1,2−ジオキサン誘導体類;
【0055】
例えば、1,3−ジオキサン、2,4−ジフェニル−1,3−ジオキサン、5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン、2−シクロヘキシル−1、3−ジオキサン、1,3−ジオキサン−2−オン、2α,4α−ジメチル−1,3−ジオキサン、5,6−ジメチル−1,3−ジオキサン、5,5−ジエチル−1,3−ジオキサン、4,6−ジブチル−1,3−ジオキサン、2−エチル−1,3−ジオキサン、2−メチレン−1,3−ジオキサン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン、2,2−ジフェノキシ−1,3−ジオキサン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジオキサン、5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキサン、2α−tert−ブチル−4α−メチル−1,3−ジオキサン、2−フェニル−4−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−4−フェニル−1,3−ジオキサン、4,6−ジメチル−2−メチレン−1,3−ジオキサン、4,5,5−トリメチル−1,3−ジオキサン、4,6−ジネオペンチル−1,3−ジオキサン、2−エチル−5−メチル−1,3−ジオキサン、2,5−ジメチル−5−フェニル−1,3−ジオキサン、2−ペンタデシル−1,3−ジオキサン、2−ヘキシル−1,3−ジオキサン、2−ブチル2,5,5−トリメチル−1,3−ジオキサン、5−(1−メチルエチル) −1,3−ジオキサン、2−フェニル−2−ベンゾイル−1,3−ジオキサン、4−フェニル−1,3−ジオキサン−2−オン、2,4,4,6−テトラメチル−1,3−ジオキサン、2α,4α,5α−トリメチル−1,3−ジオキサン、2α−ヘキシル−1,3−ジオキサン−5β−オール、5,5−ジメチル−2−ビニル−1,3−ジオキサン、4−(1−メチルエテニル) −1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン−2−(1−プロパノール)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−メタノール、4,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−メタノール、4,4,5−トリメチル−1,3−ジオキサン−5−オール、5−エチル−2−(2−フリル)−4−プロピル−1,3−ジオキサン、5,5’−スピロビ[1,3−ジオキサン] 、4−メチル−1,3−ジオキサン、2,2−ジメチル−5−フェニル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5,5]ウンデカン−9−オン、 2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、2,2−ジメチル−5−メチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、4−フェニル−1,3−ジオキサン、5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−ブロモ−2,2,5−トリメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、5−プロピル−2−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル]−1,3−ジオキサン、5−プロピル−2−[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシル]−1,3−ジオキサン、5−プロピル−2−[4−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−1,3−ジオキサン、5−プロピル−2−[4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)シクロヘキシル]−1,3−ジオキサン、5−プロピル−2−[4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ブチル]−1,3−ジオキサン、5−プロピル−2−[4−(3,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]−1,3−ジオキサン、5−プロピル−2−[4−{4−(3−フルオロ−4−クロロフェニル)−3,5−ジフルオロフェニル}シクロヘキシル]−1,3−ジオキサン、4−(5−ペンチル−1,3−ジオキサン−2−イルシクロヘキサン)カルボン酸、4−[5−ペンチル−(1,3−ジオキサン)−2−イル]−シクロヘキサンカルボン酸3,4,5−トリフルオロフェニルエステル、1−[2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチル]シクロヘキシル−3,4,5−トリフルオロベンゼン、1−[2−(5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−イル)エチル]シクロヘキシル−3,4,5−トリフルオロベンゼン、(Z)−6−(−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、(Z)−6−(−2−[4−メトキシフェノキシ−o−フェニル]−4−o−ヒドロキシフェニル−1,3−ジオキサン−シス−5−イル)ヘキサ−4−エン酸]、(Z)−6−(2−3−[6−クロロ−4H−クロメン−4−オン6−クロロ−4−オキソ−4H−クロメン−3−イル]−4−(2−ヒドロキシフェニル−1,3−ジオキサン−シス−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、(Z)−6−((2R,4R,5S)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−アセトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、メチル−(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エノエート、(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エノエートメチル、(Z)−6−((2S,4S,5R)−4−(2−アセトキシフェニル)−2−(2−クロロフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸等の1,3−ジオキサン誘導体類;
【0056】
例えば、1,4−ジオキサン、1,4−ジオキサン−2,3−ジチオン、2,5-ジメチル−1,4−ジオキサン、5α,6α−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、2,5−ジビニル−1,4−ジオキサン、2,2’−ビ(1,4−ジオキサン)、2,2,3,3,5,6,6−ヘプタクロロ−1,4−ジオキサン、メチレン−1,4−ジオキサン、(2R,3S)−2,3−ジクロロ−1,4−ジオキサン、2−メチル−3−メチレン−1,4−ジオキサン、2,5−ジメチル−3−メチレン−1,4−ジオキサン、2−エチル−5−メチル−1,4−ジオキサン、3,6-ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、2,6−ジメチル−1,4−ジオキサン、2−メチル−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、2−(2−フラニル) −1,4−ジオキサン、3,6−ジイソブチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、2,2,3,3,5,6−ヘキサフルオロ−5,6−ジクロロ−1,4−ジオキサン、2,3−ビス(オキシラニルメチル) −1,4−ジオキサン、1,4−ジオキサン−2−イルヒドロペルオキシド、3,6−ジプロピル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、2,5,6−トリメチル−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、2,3,3−トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル) −1,4−ジオキサン、5,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン) −2−イルメチル]- −1,4−ジオキサン、酢酸(1,4−ジオキサン−2−イル)メチル、2,2,3,3−テトラフルオロ−5,5,6,6−テトラクロロ−1,4−ジオキサン、1,4−ジオキサン−2,6−ジメタノール、2−(1,4−ジオキサン−2−イル) −1,4−ナフトキノン、1,4−ジオキサン−2,5−ビスメタノール、N,N'-ビス(ベンジルオキシ) −1,4−ジオキサン−2,5−ジイミン、3,6−ビス[(トリメチルシリル)オキシ] −1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、−2,3,3−トリフルオロ5,5,6,6−テトラクロロ-2-(トリフルオロメチル) −1,4−ジオキサン、2,3−エポキシ−2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−(トリフルオロメチル) −1,4−ジオキサン、2,2’−(3,6−ジメトキシ−1,4−ジオキサン−2,5−ジイリデン)二酢酸ジメチル、ビス[モルホリン−4−(ジチオ蟻酸)] 、1,4−ジオキサン−2α,3β−ジイル、2,5−ビス(クロロメチル) −1,4−ジオキサン、3,3−ジクロロ-5-(1-メチルプロポキシ) −1,4−ジオキサン−2−オン、2,5−ジメチル−1,4−ジオキサン、2−(2−フルオロ−2−フェニルスルホニルエチル) −1,4−ジオキサン、2,3,3,5,6−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−5,6−ジクロロ−1,4−ジオキサン、(2H8) −1,4−ジオキサン、trans−2,3−ジクロロ−1,4−ジオキサン、2−[3−(3,3−ジメチル−2−イソプロピルオキシラニル)−1−メチレン−2−プロピニル] −1,4−ジオキサン、2,5−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル−3,6−ジホスホノ−2,5−ジホスファ(V) −1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、N,N'-[(1,4−ジオキサン−2,5−ジイル)ビス(メチレン)]ビス[N-(カルボキシメチル)グリシン]、(3S,5R)−3α−イソプロピル−5α−[(2S)−1−[ブトキシカルボニル]ピロリジン−2−イル]−6−[(E)-ブロモメチレン] −1,4−ジオキサン-2-オン、3,5,5,6−テトラフルオロ−3,6−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−ジオキサン−2−オン、2,2,3,5,6−ペンタフルオロ−5−(ペンタフルオロエトキシ)−3,6−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−ジオキサン、(3S,5S)−3α−イソプロピル−5β−[(2S)−1−[ブトキシカルボニル]ピロリジン−2−イル]−6−[(E)-ブロモメチレン] −1,4−ジオキサン−2−オン、(3S,5S) −3α−イソプロピル−5β−[(2S)−1−[ブトキシカルボニル]ピロリジン−2−イル]−6−メチレン−1,4−ジオキサン−2−オン、3,3,6,6,−テトラメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、[(2S,3R) −1,4−ジオキサン−2,3−ジイル]ビス(チオ)ビス(チオホスホン酸O,O−ジエチル)、α−[(3,3−ジメチル−2−イソプロピルオキシラニル)エチニル]―α−メチル−1,4−ジオキサン-2-メタノール、2,3−ジクロロ−p−ジオキサン、3,6−ビス(酢酸メチル水銀) −1,4−ジオキサン、1,4−ジオキサン−2−オン、(3S,5S)−3α−イソプロピル-−5α−[(2S)−1−[N−(4−メトキシ−1,4−ジオキソブチル) −L−Ala−L−Ala−]ピロリジン−2−イル]−6−メチレン−1,4−ジオキサン−2−オン、5−メトキシ−1,4−ジオキサシクロヘキサン、2,2,3,5,6−ペンタフルオロ−5−[(トリフルオロエテニル)オキシ]−3,6−ビス(トリフルオロメチル) −1,4−ジオキサン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオール、(3S,5S)−3α−イソプロピル−5β−[(2S)−1−[N-(4−メトキシ−1,4−ジオキソブチル)−L−Ala−L−Ala−]ピロリジン−2−イル]−6−メチレン−1,4−ジオキサン−2−オン、1,1,1,2,4,5,5,5−オクタフルオロ−2,4−ビス[[2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−3,6−ビス(トリフルオロメチル) −1,4−ジオキサン−2−イル]オキシ]−3−ペンタノン、1,3−ジヒドロキシアセトン (ダイマー)、1,4−ジオキサン−2α,5β−ジオール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、[(1,4−ジオキサン−2,3−ジイル)ビスチオ]ビス(チオホスホン酸O,O−ジエチル)等の1,4−ジオキサン誘導体類等が挙げられる。
【0057】
上記ジオキサン環含有の環状化合物(b−4)のなかでも、三員環状のオキシラン化合物(A)との開環共重合性の面から、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン−2−オンが特に好ましい。
これらの二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)は、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0058】
本発明の光重合性組成物において、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)は、主成分である三員環状のオキシラン化合物(A)100重量部に対して、(B)を0.5〜60重量部の範囲で含有することが好ましく、5〜30重量部の範囲で含有することが更に好ましい。二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)が0.5重量部より少ないと、光重合を行った際に、三員環状のオキシラン化合物(A)の重合速度が向上せず、凝集力が上がらないため、効果的な架橋塗膜が得にくいため、好ましくない。一方、60重量部を超えると、重合性組成物を光硬化性接着剤として用いた場合には、架橋塗膜の極性が大きくなりすぎて、非極性系光学フィルム(ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系フィルム等)の接着力の低下を招くため、好ましくない。
【0059】
本発明の光重合性組成物において、三員環状のオキシラン化合物(A)の粘度は、200mPa・s以上(23℃測定粘度)のものが多く、芳香環を有する化合物(a−1)の粘度は5000mPa・s以上のものが多く、固形のものが多い。
【0060】
本発明における光重合性組成物は、前記三員環状のオキシラン化合物(A)及び二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)以外の光重合性成分を光重合性組成物100重量%中、50重量%以下の範囲で含むことも可能である。
(A)及び(B)以外の光重合性成分としては、エチレン性不飽和化合物(C)を含むことが好ましい。エチレン性不飽和化合物(C)とは分子構造中に不飽和二重結合有する化合物である。エチレン性不飽和化合物(C)としては、粘度が0.5〜2000mPa・s(23℃測定粘度)のものが好ましく、1〜1000mPa・sのものが好ましい。このようなエチレン性不飽和化合物(C)を用いることによって、芳香環(a−1)や2個以上のオキシラン環を有す化合物(a−2)、及び双方を含む(a−12)に起因する光重合性組成物の高粘度化を抑制し、薄膜塗工性を改良しつつ、光重合性を維持するとともに、後述の接着剤の接着力や加工性を維持することができる。
【0061】
エチレン性不飽和化合物(C)としては、光学フィルムとの密着性を考慮すると、水酸基含有のエチレン性不飽和化合物(c−1)、及び、または、シクロアルカン骨格および/またはシクロアルケン骨格を有するエチレン性不飽和化合物(c−2)であることが好ましい。
【0062】
水酸基含有のエチレン性不飽和化合物(c−1)としては、その構造中に水酸基を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル〔アクリル酸2−ヒドロキシエチルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとを併せて「(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル」と表記する。以下同様。〕、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸エチル−α−(ヒドロキシメチル)、単官能(メタ)アクリル酸グリセロール、あるいは(メタ)アクリル酸グリシジルラウリン酸エステル、(メタ)アクリル酸グリシジルオレイン酸エステル、(メタ)アクリル酸グリシジルステアリン酸エステル等の脂肪酸エステル系(メタ)アクリル酸エステル、あるいはラクトン環の開環付加により末端に水酸基を有するポリラクトン系(メタ)アクリル酸エステル、あるいはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルホスフェート等の水酸基含有の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル類;
【0063】
例えば、(メタ)アクリル酸1,2−シクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸1,3−シクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸フェニルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシデシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシオクタデシル、(メタ)アクリル酸モノヒドロキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼン等の水酸基含有の脂環あるいは芳香族(メタ)アクリル酸エステル類;
【0064】
例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール〔2−(2'−ヒドロキシ−5'−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールとを併せて「2−(2'−ヒドロキシ−5'−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール」と表記する。以下同様。〕、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2'−ヒドロキシ−5'−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2 H−ベンゾトリアゾール等の水酸基含有ベンゾトリアゾール系(メタ)アクリル酸エステル類;
【0065】
例えば、2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}ブトキシベンゾフェノン、2, 2'−ジヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エトキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン等の水酸基含有ベンゾフェノン系(メタ)アクリル酸エステル類;
【0066】
例えば、2, 4−ジフェニル−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ} ]−S−トリアジン、2, 4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジメチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジエトキシルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ}] −S−トリアジン、2, 4−ビス(2, 4−ジエチルフェニル)−6−[ 2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ})] −S−トリアジン等の水酸基含有トリアジン系(メタ)アクリル酸エステル類;
【0067】
例えば、(メタ)アクリル酸グリコシルメチル、(メタ)アクリル酸グリコシルエチル、(メタ)アクリル酸グリコシルプロピル、(メタ)アクリル酸グリコシルブチル等のグルコース環系(メタ)アクリル酸エステル類;
【0068】
例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ヒドロキシデシルビニルエーテル、ヒドロキシドデシルビニルエーテル、ヒドロキシオクタデシルビニルエーテル、グリセリルビニルエーテル、あるいはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系ビニルエーテル等の水酸基含有の脂肪族ビニルエーテル類;
【0069】
例えば、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシメチルモノビニルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチルモノビニルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルモノビニルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシブチルモノビニルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシデシルモノビニルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシオクタデシルモノビニルエーテル、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルモノビニルエーテル等の水酸基含有の脂環や芳香環を有するビニルエーテル類;
【0070】
例えば、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、4−メチル−3−ヒドロキシスチレン、5−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレン、2,4,6−トリヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−6−ビニルナフタレン等の水酸基含有の芳香族ビニル化合物類;
【0071】
例えば、(メタ)アリルアルコール〔アリルアルコールとメタリルアルコールとを併せて「(メタ)アリルアルコール」と表記する。以下同様。〕、イソプロペニルアルコール、ジメチル(メタ)アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシオクチル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシデシル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシドデシル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシオクタデシル(メタ)アリルエーテル、グリセリル(メタ)アリルエーテル、あるいはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド付加系(メタ)アリルエーテル等の水酸基含有の脂肪族(メタ)アリルアルコール類ないしは(メタ)アリルエーテル類;
【0072】
例えば、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アリルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アリルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アリルエーテル、o−(メタ)アリルフェノール、m−(メタ)アリルフェノール、p−(メタ)アリルフェノール、2−ヒドロキシ−3−フェノキシメチルモノ(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチルモノ(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルモノ(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシブチルモノ(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシデシルモノ(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシオクタデシルモノ(メタ)アリルエーテル、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルモノ(メタ)アリルエーテル等の水酸基含有の脂環や芳香環を有する(メタ)アリルエーテル類;
【0073】
例えば、プロペンジオール、ブテンジオール、ヘプテンジオール、オクテンジオール、ジ(メタ)アクリル酸グルセロール、o−ジ(メタ)アリルビスフェノールA等の複数の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体類;
【0074】
例えば、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド〔N−ヒドロキシエチルアクリルアミドとN−ヒドロキシエチルメタクリルアミドとを併せて「N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド」と表記する。以下同様。〕、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有の(メタ)アクリルアミド類;
【0075】
例えば、ヒドロキシスチレン、ビニルアルコール等の水酸基とアルケニル基を有する単量体類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0076】
シクロアルカン骨格および/またはシクロアルケン骨格を有するエチレン性不飽和化合物(c−2)は、シクロアルカン骨格および/またはシクロアルケン骨格と、1個以上のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性官能基を有する化合物であり、2個以上の環構造を有するシクロアルケン骨格および/またはシクロアルケン骨格は環構造と環構造がアルキル基やエーテル基、エステル基などにより離れていてもよいし、ノルボルナンやノルボルネン,アダマンタン構造のようにシクロ環の橋かけ構造でもよいが、耐熱性に優れることよりノルボルナンやノルボルネン、アダマンタン骨格が好ましい。
【0077】
シクロアルカン骨格および/またはシクロアルケン骨格を有するエチレン性不飽和化合物(c−2)としては、より具体的に、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸iso−ボニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−オキソ−1,2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸2−オキソ−1,2−ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸1−ナフチル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸1−ナフチルメチル、(メタ)アクリル酸1−アントリル、(メタ)アクリル酸2−アントリル、(メタ)アクリル酸9−アントリル、(メタ)アクリル酸9−アントリルメチル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルエチル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]デカ−2−イル、(メタ)アクリル酸ジヒドロ−α−ターピニル、(メタ)アクリル酸−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル、(メタ)アクリル酸−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イル等の(メタ)アクリル酸環状エステル類;
【0078】
例えば、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2,5−ビス(アリルオキシ)ノルボルナン、5−ビニル−2,3−オキシランノルボルナン、2−(2−プロペニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−エテニリデンアダマンタン、3−アリルアダマンタン−1−オール、1−アリルアダマンタン等のアルケニル基含有の環状化合物類が挙げられる。
【0079】
また、例えば、芳香環構造が水添された水添ビスフェノールA等もエチレン性不飽和二重結合を有すれば、(C−2)に含まれる。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0080】
本発明の光重合性組成物において、上記したように、エチレン性不飽和化合物(C)を含有する場合には、光重合性組成物100重量%中、50重量%以下で含有することができる。(C)が50重量%を超えると、未反応のエチレン性不飽和化合物(C)が残留する場合があるため、重合率が向上せず、凝集力が向上せず、また臭気発生の可能性があるため、好ましくない。
【0081】
本発明において、前記の光重合性組成物に光重合開始剤(D)を含有することによって、光硬化性接着剤組成物とすることができる。
上記の光重合開始剤(D)が、光照射によって酸性活性種を発生するA+B−で表される塩であって、特に限定されないが、一般的にはオニウム塩が良く知られている。オニウム塩としてはルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩などが挙げられる。この陽イオンA+が、芳香族ヨードニウムイオンおよび/または芳香族スルホニウムイオンであることが本発明では好ましい。
【0082】
光重合開始剤(D)としては、例えば、UVACURE1590(ダイセル・サイテック社製)、CPI−110P(サンアプロ社製)、などのスルホニウム塩やIRGACURE250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、WPI−113(和光純薬社製)、Rp−2074(ローディア・ジャパン社製)等のヨードニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
また、光重合開始剤(D)としては、光ラジカル重合開始剤を有する事も可能である。このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、イルガキュアー184,907,651,1700,1800,819,369,261、DAROCUR-TPO(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、ダロキュア-1173(メルク社製)、エザキュアーKIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)、カヤキュアBMS、カヤキュアDMBI、(日本化薬社製)等が挙げられる。
光重合開始剤(D)の配合割合は、光重合性組成物100重量部に対して、0.5〜20重量部であり、0.5〜10重量部であることが好ましい。
【0084】
更に、上記、光重合開始剤(D)の性能を向上させるために、光増感剤(E)を併用しても良い。光増感剤としては、アントラセン系やベンゾフェノン系、チオキサントン系やペリレン、フェノチアジン、ローズベンガル等が挙げられる。
【0085】
本発明における光硬化性接着剤組成物は、更に酸化防止剤(F)を含んでも良い。酸化防止剤(F)を含むことによって、光硬化後の接着剤層の経時での着色を抑制することができる。
酸化防止剤(F)としては、例えば、アデカスタブAO‐50、アデカスタブAO‐80(旭電化工業製)、などのフェノール系酸化防止剤や、IRGANOX‐PS‐800FD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、などのイオウ系酸化防止剤、TINUBIN622LD、TINUBIN144、TINUBIN765等のヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸化防止剤(F)の配合割合は、重合性成分100重量部に対して、0〜5重量部であり、0.01〜3重量部であることが好ましい。
【0086】
本発明の光硬化性接着剤組成物は、実質的に有機溶剤を含まない。有機溶剤を全く含まないほうが好ましいが、光重合開始剤(D)は重合性成分に難溶性のことが多い。そのため光重合開始剤(D)を溶解するため少量の有機溶剤は含んでもよい。光硬化性接着剤組成物中の有機溶剤の含有量は5重量%以内である。
【0087】
本発明の光硬化性接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で有れば、重合性モノマーやオリゴマー、シランカップリング剤、重合禁止剤、軟化剤、染料、顔料、消泡剤、タッキファイヤ、可塑剤、充填剤および老化防止剤等の各種の公知の添加剤を、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内で含むことができる。
【0088】
本発明における光硬化性接着剤組成物は、実質的に有機溶剤を含まないことが好ましく、23℃における測定粘度は1〜1500mPa・sであることが重要であり、好ましくは10〜1300mPa・sであり、20〜1000mPa・sであることがより好ましい。粘度が1500mPa・sより高いと保護フィルムに塗工した場合、0.1〜6μmの薄膜塗工ができず、透過率等の光学的特性が悪化してしまう。一方、粘度が1mPa・sより低いと接着剤層の膜厚制御が困難になる。
光硬化性接着剤組成物の粘度は、光重合性組成物の粘度で殆ど決定されるため、光重合性組成物の粘度を1〜1500mPa・sの範囲で管理することにより、光硬化性接着剤組成物の粘度も管理が可能である。
【0089】
常法にしたがって適当な方法で光学フィルムに光硬化性接着剤組成物を塗工して、光学フィルムの上に光硬化性接着層を形成することができる。
光硬化性接着層の厚さは、0.1〜6μmの薄膜塗工であることが好ましく、0.1μm〜3μmであることがより好ましい。0.1μm未満では十分な接着力が得られないことがあり、6μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
【0090】
本発明の光硬化接着剤組成物を光学フィルム等に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられるが、薄膜塗工が可能であれば、特に制限はない。
【0091】
本発明の光硬化性接着剤組成物は、さらに光学用光硬化性接着剤組成物として好適である。即ち、フィルム状基材である光学フィルムと該光学フィルムの少なくとも一方の面に位置する接着層とを具備する積層体の形成に使用されることが好ましい。
本発明の光学フィルムの積層体は、以下のようにして得ることができる。
フィルム状基材である光学フィルムの片面に光学用光硬化性接着剤組成物を塗工し、フ別の光学フィルムを光硬化性接着層の表面に積層したり、更にこの積層体の片面や両面に光学用光硬化性接着剤組成物を塗工し、更に別の光学フィルム、ガラス、あるいは光学成形体に積層したりすることによって、光学用積層体を得ることができる。
光学用光硬化性接着剤組成物の光硬化反応は、光学用光硬化性接着剤組成物の塗工時、あるいは積層する際、さらには積層した後に活性エネルギー線を照射して進行するが、積層した後に活性エネルギー線を照射して光硬化反応を進めることが好ましい。
【0092】
ここで、光学用光硬化性接着剤組成物及び光学用積層体について一般的な説明をする。
光硬化性接着剤組成物は、光学用積層体を形成するために用いられる。
光学用積層体の基本的積層構成は、フィルム状基材/光硬化性接着層/フィルム状基材、あるいはフィルム状基材/光硬化性接着層/フィルム状基材/光硬化性接着層/フィルム状基材のようなシート状の両面感光硬化性接着積層体である。さらには、フィルム状基材/光硬化性接着層/フィルム状基材/光硬化性接着層/フィルム状基材/光硬化性接着層/フィルム状基材、ガラス、あるいは光学成形体のような多層の光学フィルムを光学部材に固定化した光学用積層体として使用される。
【0093】
フィルム状基材としては、セロハン、各種プラスチックフィルム、紙等のフィルム状基材が挙げられる。また、フィルム状基材としては、単層のものであってもよいし、複数の基材を積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。
【0094】
フィルム状基材として使用される各種プラスチックフィルムとしては、各種プラスチックシートともいわれ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリノルボルネン系フィルム、ポリアリレート系フィルム、アクリル系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ビニル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、オキシラン系フィルムなどが挙げられる。
【0095】
本発明における光学用積層体としては、上記の各種プラスチックフィルムのうち、主に光学用途にて用いられる光学フィルムが好適に使用される。光学フィルムとしては、上記プラスチックフィルムに特殊な処理を施されたものであり、光学的機能(光透過、光拡散
、集光、屈折、散乱、HAZE等の諸機能)を有するものが光学フィルムと称されている。これらの光学フィルムは単独で、または数種の光学フィルムを接着剤で多層に積層されて光学用積層体として使用される。例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム(プリズムシートともいう)、導光フィルム(導光板ともいう)等が挙げられる。
偏光フィルムは、偏光板とも呼ばれ、ポリビニルアルコール系偏光子の両面を2枚のアセチルセルロース系フィルムであるトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)や、ポリビニルアルコール系偏光子の片面や両面をノルボルネン系フィルムであるシクロオレフィ系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等で挟んだ多層構造のシート状の光学用積層体である。
【0096】
本発明の光硬化性接着剤組成物を使用した光学フィルムの積層体は、液晶表示装置、PDPモジュール、タッチパネルモジュール、有機ELモジュール等のガラス板や上記の各種プラスチックフィルムに貼着して光学用積層体として使用されることが好ましい。
【0097】
本発明の偏光板は、より具体的には、以下のようにして得ることができる。
(I)第1の保護フィルムの一方の面に、光硬化性接着剤組成物を塗工し、第1の硬化性接着剤層(2’)を形成し、
第2の保護フィルムの一方の面に、光硬化性接着剤組成物を塗工し、第2の光硬化性接着剤層を形成し、
次いで、ポリビニルアルコール系偏光子の各面に、第1の光硬化性接着剤層及び第2の硬化性接着剤層を、同時に/または順番に重ね合わせた後、活性エネルギー線を照射し、第1の硬化性接着剤層及び第2の光硬化性接着剤層を硬化することによって製造する方法。
【0098】
(II)ポリビニルアルコール系偏光子の一方の面に、光硬化性接着剤組成物を塗工し、第1の光硬化性接着剤層を形成し、形成された第1の光硬化性接着剤層の表面を第1の保護フィルムで覆い、次いでポリビニルアルコール系偏光子の他方の面に、光硬化性接着剤組成物を塗工し、第2の光硬化性接着剤層を形成し、形成された第2の光硬化性接着剤層の表面を第2の保護フィルムで覆い、活性エネルギー線を照射し、第1の光硬化性接着剤層及び第2の光硬化性接着剤層を硬化することによって製造する方法。
【0099】
(III)第1の保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光子を重ねた端部および、ポリビニルアルコール系偏光子の第1の保護フィルムがない面に重ねた第2の保護フィルムの端部に光硬化性接着剤組成物をたらした後、ロールの間を通過させ各層間に接着剤を広げる。次に活性エネルギー線を照射し、光硬化性接着剤組成物を硬化させることによって製造する方法等があるが、特に限定するものではない。
【0100】
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0101】
[配合例1〜27]
酸素濃度が10%以下に置換された遮光された300ccのマヨネーズ瓶に、三員環状のオキシラン化合物(A)、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)、及び光重合開始剤(D)を表1に示す比率で仕込み、エアモーターにて十分に攪拌を行い、十分に脱泡を行った後、配合例に示す光硬化性接着剤組成物を得た。
【0102】
表1に示した配合例の光硬化性接着剤組成物について、溶液外観、粘度を以下の方法に従って求め、結果を表2に示した。
【0103】
《外観》
各配合例で得られた光硬化性接着剤組成物の液体外観を目視にて評価した。
【0104】
《粘度》
各配合例で得られた光硬化性接着剤組成物を23℃の雰囲気下でE型粘度計(東機産業社製 TV−22)にて、約1.2mlを測定用試料とし、回転速度100〜0.5rpm、1分間回転の条件で測定し、溶液粘度(mPa・s)とした。
【0105】
本発明において、三員環状のオキシラン化合物(A)、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)、エチレン性不飽和化合物(C)、光重合開始剤(D)、増感剤(E)、及び酸化防止剤(F)の代表例として、例示化合物は以下の表1に具体的に示すが、これらに限られるものではない。尚、例示化合物の表記として、EX141(a−1):フェノキシメチルオキソラン(ナガセケムテック社製)、EX212(a−2):(1,6−ヘキシレングリコキシメチル))ジオキシラン(ナガセケムテック社製)、2021P(a−2):3,4−オキシランシクロヘキシルメチル−3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製)、JER828(a−12):ビスフェノールA型オキシラン樹脂(三菱化学社製)、EX201(a−12):(レゾルシノイロキシメチル)ジオキシラン(ナガセケムテック社製)、EX121(a−3):2−エチルヘキシノイルメチルオキシラン、PL(b−1):β−プロピオラクトン、BL(b−1):γ−ブチロラクトン、EC(b−2):エチレンカーボネート、PC(b−2):プロピレンカーボネート、13DOL(b−3):1,3−ジオキソラン、MEDOL(b−3):(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、14DOX(b−4):1,4−ジオキサン、13DOXO(b−4):1,3−ジオキサン−2−オン、4HBA(c−1):アクリル酸4−ヒドロキシブチル、IBOA(c−2):アクリル酸イソボニル、CP110P(D):p-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムPF塩、IRG250:IRGACURE250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、DET−X(E):2,4−ジエチルチオキサントン、AO−50(F):ステアリル-β-(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを示す。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
[実施例1]
配合例1で得られた光硬化性接着剤組成物を使用して、以下の積層体を作成した。
保護フィルム(1)として、富士フィルム社製の紫外線吸収剤含有トリアセチルセルロース系フィルム:商品名「フジタック:80μm」を用い、保護フィルム(2)として、富士フィルムビジネスサプライ社製の紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロース系フィルム:商品名「TAC50μ」(厚み50μm)を使用し、それぞれその表面に300W・min/mの放電量でコロナ処理を行い、表面処理後1時間以内に、配合例1に示す光硬化性接着剤組成物をワイヤーバーコーターを用いて膜厚4μmとなるように塗工し、光硬化性接着剤層を形成し、前記光硬化性接着剤層との間に上記のポリビニルアルコール系偏光子を挟み、保護フィルム(1)/硬化性接着剤層/PVA系偏光子/硬化性接着剤層/保護フィルム(2)からなる積層体を得た。
保護フィルム(1)がブリキ板に接するように、この積層体の四方をセロハンテープで固定し、ブリキ板に固定した。
UV照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cmの紫外線を保護フィルム(2)側から照射して、偏光板を作製した。
【0109】
[比較例1]
実施例1で光硬化性接着剤組成物(配合例1)の代わりに、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)を使用しない配合例20に示す光硬化性接着剤組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
【0110】
[比較例2]
実施例1で光硬化性接着剤組成物(配合例1)の代わりに、三員環状のオキシラン化合物(A)を使用しない配合例27に示す光硬化性接着剤組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
【0111】
[実施例2〜25]
実施例1で光硬化性接着剤組成物(配合例1)の代わりに、表1に示すように配合例2〜19、21〜27に変更した以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
【0112】
[実施例26〜28]
実施例3で使用した保護フィルム(2)を、日本ゼオン社製のノルボルネン系フィルム(商品名「ゼオノア ZF−14:100μm」に(実施例26)、三菱レイヨン社製のアクリル系フィルム(商品名「HDB−002:50μm」)に(実施例27)、カネカ社製のポリカーボネート系フィルム(商品名「R−140:43μm」に(実施例28)、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして偏光板を得、同様に評価した。
【0113】
[実施例29〜31]
実施例3で使用した保護フィルム(1)を、東セロ社製のポリプロピレン系フィルム(商品名「OPU−1:50μm」に(実施例29)、東セロ社製のポリエチレン系フィルム(商品名「TUX−HZ:50μm」)に(実施例30)、ユニチカ社製のポリエステル系フィルム(商品名「エンブレットS:50μm」に(実施例31)、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして偏光板を得、同様に評価した。
【0114】
実施例、比較例で得られた積層体(偏光板)について、剥離強度、ゲル分率、打ち抜き加工性、及び耐湿熱性を以下の方法に従って求め、結果を表3に示した。
【0115】
《剥離強度》
接着力は、JIS K6 854−4 接着剤−剥離接着強さ試験方法−第4部:浮動ローラー法に準拠して測定した。
即ち、得られた偏光板を、25mm×150mmのサイズにカッターを用いて裁断して測定用サンプルとした。サンプルを両面粘着テープ(東洋インキ製造株式会社製DF8712S)を使用して、ラミネータを用いて金属板上に貼り付けて、偏光板と金属板との測定用の積層体を得た。測定用の積層体の偏光板には、保護フィルムと偏光子の間に予め剥離のキッカケを設けておき、この測定用の積層体を23℃、相対湿度50%の条件下で、300mm/分の速度で引き剥がし、剥離力とした。この際、ポリビニルアルコール系偏光子と保護フィルム(1)、及びポリビニルアルコール系偏光子と保護フィルム(2)との双方の剥離力を測定した。この剥離力を接着力として4段階で評価した。
◎:剥離不可、あるいは偏光板破壊
○:剥離力が2.0(N/25mm)以上〜5.0(N/25mm)未満。
△:剥離力が1.0(N/25mm)以上〜2.0(N/25mm)未満。
×:剥離力が1.0(N/25mm)未満。
【0116】
《ゲル分率》
コロナ処理を施していない日本ゼオン社製のノルボルネン系フィルム(商品名「ゼオノア ZF−14:100μm」に、配合例1に示す光硬化性接着剤組成物を、ワイヤーバーコーターを用いて膜厚20〜25μmとなるように塗工し、光硬化性接着剤層を形成した。さらに光硬化性接着剤層の上にコロナ処理を施していないゼオノア ZF−14を重ね、3層からなる積層体を得た後、UV照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し光硬化性接着剤層を硬化させた。3層からなる積層体のゼオノア ZF−14を剥離し接着剤層を得た。
接着剤層の重量を測定した後(重量1)を金属メッシュと金属メッシュの間に挟み接着剤層同士が重ならないようにし、メチルエチルケトン(MEK)中で3時間還流した。さらに80℃−30分乾燥し、接着剤層の重量を測定した(重量2)。下記式よりゲル分率を求め、3段階評価した。
ゲル分率(%)={1−(重量1−重量2)/重量1)}×100
○:ゲル分率が90%以上
△:ゲル分率が80%以上〜90%未満
×:ゲル分率が80%未満
【0117】
《打ち抜き加工性》
ダンベル社製の100mm×100mmの刃を用い、作製した偏光板を保護フィルム(1)側から打ち抜いた。
打ち抜いた偏光板の、周辺の剥離距離を定規で測定し、以下の4段階で評価した。
◎:0mm
○:1mm以下
△:1〜3mm
×:3mm以上
【0118】
《耐湿熱性》
各実施例、比較例で得られた偏光板を、50mm×40mmの大きさに裁断し、60℃−90%RHの条件下で1000時間暴露した。暴露後偏光板の端部の剥がれの有無を目視にて、以下の3段階で評価をした。
○:剥がれが全く無し
△:1mm未満の剥がれあり
×:1mm以上の剥がれあり
【0119】
【表3】

【0120】
本発明の光硬化性接着剤組成物は、表3に示すように、実施例1〜10、13〜19、26〜31では、若干粘度が高いが、特に問題無い。三員環状のオキシラン化合物(A)のうち、全く芳香環を含有しない実施例20〜22は光硬化性接着剤組成物の硬化塗膜が若干柔らかいため、耐湿熱性に難があるが、特に問題は無い。また、芳香環を含まず、かつ、三員環状のオキシラン環が一つしか有しない実施例24は、ゲル分率、打ち抜き加工性、及び耐湿熱性に難があるが、特に問題は無い。このように、いずれの実施例でも、粘度が1500mPa・s以下であり、接着力、打ち抜き加工性、湿熱耐性に優れた偏光板を形成することがわかる。
これに対して、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)を含有しない比較例1では、粘度が1600mPa・sと高く、さらにゲル分率が低く硬化性が悪いため打ち抜き加工性、湿熱耐性に劣ることがわかる。また、比較例2では、三員環状のオキシラン化合物(A)を有しないため、光硬化性が不十分となり、接着力、ゲル分率、打ち抜き加工性及び耐湿熱性のいずれも劣ることがわかる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
三員環状のオキシラン化合物(A)を主成分とし、さらに、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)を含有する、実質的に有機溶剤を含有せず、23℃における測定粘度が1〜1500mPa・sであることを特徴とする光重合性組成物。
【請求項2】
前記三員環状のオキシラン化合物(A)100重量部に対して、二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)を0.5〜60重量部含有することを特徴とする請求項1記載の光重合性組成物。
【請求項3】
二個以上の酸素原子を有する四員環以上の環状化合物(B)が、ラクトン環、カーボネート環、ジオキソラン環、ジオキサン環の少なくともいずれか1種の環状構造を有することを特徴とする請求項1または2記載の光重合性組成物。
【請求項4】
三員環状のオキシラン化合物(A)が、芳香環を有する化合物(a−1)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光重合性組成物。
【請求項5】
三員環状のオキシラン化合物(A)が、三員環状のオキシラン環を二個以上有する化合物(a−2)を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の光重合性組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の光重合性組成物に光重合開始剤を含有することを特徴とする光重合性組成物。
【請求項7】
光重合開始剤が、光照射によって酸性活性種を発生するAで表される塩であって、この陽イオンAが、芳香族ヨードニウムイオンおよび芳香族スルホニウムイオンからなる群より選ばれる請求項6記載の光重合性組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性組成物を用いて、光学フィルムを接着してなることを特徴とする積層体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性組成物を用いてポリビニルアルコール系偏光子の片面または両面に保護フィルムを接着してなることを特徴とする偏光板。
【請求項10】
前記偏光板の保護フィルムの少なくとも1つがアセチルセルロース系フィルムまたはノルボルネン系フィルム,アクリル系フィルム,ポリカーボネート系フィルムであることを特徴とする請求項9記載の偏光板。

【公開番号】特開2013−43952(P2013−43952A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184037(P2011−184037)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】