説明

光重合性組成物、それを用いた光硬化方法

【課題】高感度で高い初期重合速度を示す光重合性組成物および光硬化方法を提供する。
【解決手段】重合性化合物および下記一般式(1)で表される光重合開始剤を含有する光重合性組成物および光硬化方法。Zがピペリジン環又はホモピペリジン環であり、R4がアルコキシカルボニル基である光重合性組成物。さらに第2の光重合開始剤として、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、またはチタノセン化合物を含有する光重合性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光重合性組成物及びそれを用いた光硬化方法に関し、詳しくは紫外から可視の範囲の光に対して高い感度で反応しうる新規な光重合性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性組成物は、光重合開始剤と分子中にエチレン性不飽和結合を2個以上含有する付加重合性化合物(以下、「多官能性モノマー」と称する場合がある。)を基本成分として含有し、光を照射すると硬化し、粘着性が変化したり、溶媒に不溶化する。これらの性質を利用して、光重合性組成物は、写真、印刷、金属表面加工、インキ等に広く利用されている。光重合性組成物の機能や応用例は多くの成書に記載されている(例えば、非特許文献1及び2を参照。)。
【0003】
古くから、画像形成や印刷版作成、ホログラム記録等の用途に対し、紫外線やレーザー等の光に対する高感度化が広く検討されており、これらに対応する高感度の様々な光重合開始剤が開発されている。このような光重合開始剤を開発するための重要な点は、用いる光源すなわち紫外から可視光域、更には近赤外域の光に対して効率よく遊離基を発生できる化合物が必須となる。このような高感度化の要求に対しては、遊離基を発生しうる活性化合物と、ある種の光吸収剤とを組み合わせて用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、近年、光硬化物に対する品質要求が益々高まってきており、UV硬化塗料やコーティング、光硬化型接着剤、UVインキ、レジストなどの光硬化技術を活用した様々な製品製造において、少ない光量で高い硬化性を要求される様になってきた。特に、上記製品の生産性を向上させるべく硬化処理速度を上げて行った場合、光硬化製品に照射される光量が必然的に少なくなり、結果として光硬化が充分に進まずに表面タック性(粘着性が残ることによる”べたつき”)が悪化したり、内部まで十分硬化が進行せず硬化不十分となることがあった。
【0005】
このような課題に対し、特定のメチン系色素と有機ホウ素化合物とからなる光重合性組成物を用いて光重合性組成物を高感度化することが開示されている(例えば特許文献2及び3を参照。)。しかし、これら特許文献で提案されている有機ホウ素化合物、スルホニウム化合物、及びヨードニウム化合物はイオン性の化合物であり、電気・電子分野や光学用途では、光硬化物の特定のイオン性物質の含有や発生が、部材や部品、引いては最終製品の品質を損なう懸念があった。従って、これらイオン性物質ないしその発生原因となる物質を用いない光重合性組成物及びそれを用いる光硬化方法が望まれた。
【特許文献1】米国特許4,481,276号明細書
【特許文献2】特開平2001−324807号公報
【特許文献3】特開平2001−181315号公報
【非特許文献1】J.Kosar著「Light Sensitive Systems」,J.Wiley&Sons,New York,1965年,158頁〜193頁
【非特許文献2】K.I.Jacobson,R.E.Jacobson著「Imaging Systems」,J.Wiley&Sons,New York,1976年,181頁〜222頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、イオン性の化合物を使用せず、高い初期重合速度を示し、特に少ない光量においても高い初期重合速度を示す光重合性組成物および光硬化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
<1> 重合性化合物および下記一般式(1)で表される光重合開始剤を含有することを特徴とする光重合性組成物である。
【0008】
【化1】

【0009】
一般式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。R、R、Rは水素原子であっても良い。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。Rはアルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。RはZと縮合して環構造を形成しても良い。Xは、O、S、及びSeから選ばれる元素を表す。Zは、一つの窒素原子を含む6員以上の環を表す。但し、RとRが結合して環を形成すること、及びRがZを構成する元素と結合して環を形成することはない。nは、0、又は1〜3の整数を表す。
<2> 前記一般式(1)において、Zがピペリジン環又はホモピペリジン環であることを特徴とする<1>に記載の光重合性組成物である。
<3> 前記一般式(1)において、Rがアルコキシカルボニル基であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の光重合性組成物である。
<4> さらに第2の光重合開始剤を含有することを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の光重合性組成物である。
<5> 前記第2の光重合開始剤が、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、またはチタノセン化合物であることを特徴とする<4>に記載の光重合性組成物である。
<6> 前記第2の光重合開始剤がアシルホスフィンオキサイド化合物であることを特徴とする<5>に記載の光重合性組成物である。
【0010】
<7> <1>〜<6>のいずれかに記載の光重合性組成物に光照射して、該光重合性組成物を硬化させることを特徴とする光硬化方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光重合性組成物は、イオン性化合物を含まず、且つ高感度であって、少ない光量であっても高い初期重合速度を発揮することができる。特に、本発明光重合性組成物および光硬化方法によれば、光照射初期での重合速度が速く、樹脂の内部まで硬化が到達するので、樹脂全体が十分に硬化された樹脂硬化物を得ることができる。さらに、本発明光重合性組成物および光硬化方法によれば、近紫外光から可視光さらには近赤外域までの幅広い領域の光源から選択的に光照射することで効率よく硬化膜を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
(重合性化合物)
本発明の光重合性組成物に用いられる重合性化合物としては、特に制限はなく、構造中に重合可能な部位を有する低分子量(モノマー性)〜高分子量(オリゴマー性)のいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、オキセタン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、スピロオルソカーボネート化合物等が挙げられる。
【0013】
1)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物
本発明に於けるエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類等のアクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のメタクリル酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリールエーテル類、アリルエステル類、マレイミド類等が挙げられる。
【0014】
2)エポキシ化合物
エポキシ化合物として特に制限はないが、具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフェノールグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3級カルボン酸グリシジルエステル、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる
【0015】
3)環状エーテル化合物
環状エーテル化合物として特に制限はないが、具体的には、ジオキサン、4−フェニル−1,3−ジオキサン等のジオキサン類、トリオキサン、1,3−ジオキセパン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等の化合物を用いることができる。
【0016】
4)オキセタン化合物
オキセタン化合物としては特に制限はないが、具体的には、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオロオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン等が挙げられる。
【0017】
5)環状チオエーテル化合物
環状チオエーテル化合物としては特に制限はないが、具体的には、上記のエポキシ化合物や環状エーテル化合物、オキセタン化合物の酸素が硫黄となる化合物が挙げられる。
【0018】
6)スピロオルソエステル化合物
スピロオルソエステル化合物としては特に制限はないが、具体的には、特表2000−506908号公報等記載の化合物、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン、1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン等を挙げることができる。
【0019】
7)スピロオルソカーボネート化合物
スピロオルソカーボネート化合物としては特に制限はないが、具体的には、1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,5〕デカン等の化合物を挙げることができる。
【0020】
本発明に用いられる重合性化合物としては、これらの中でも、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が好ましい。
【0021】
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルメタクリレート等のアルキル若しくはヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートなどが挙げられる。また、シリコーンアクリレートも有利である。そのほか、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換された(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルのようなビニルエステル、イソブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル、スチレン、アルキル−及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデンなどが挙げられる。
【0022】
2個、又はそれ以上のエチレン性不飽和二重結合を含むモノマーの具体例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール又はビスフェノールAなどのジアクリレート、及び4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、又はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0023】
比較的高分子量(オリゴマー性)のエチレン性不飽和化合物の例としては、(メタ)アクリル基を有するエポキシ樹脂、(メタ)アクリル基を有するポリエステル、ビニルエーテル又はエポキシ基を含むポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテルが挙げられる。更に、不飽和オリゴマーの例として、不飽和ポリエステル樹脂であって、通常マレイン酸、フタル酸及び1種又はそれ以上のジオールから製造され、約500〜3000の分子量を有するものが挙げられる。加えて、ビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、及びポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシ主鎖を有するマレート終末されたオリゴマーを用いることも可能である。特に適したものは、ビニルエーテル基を有するオリゴマーとWO90/01512に記載のポリマーの組合せである。また、ビニルエーテル及びマレイン酸官能化されたモノマーのコポリマーもまた適している。この種の不飽和オリゴマーはプレポリマーとして属することもできる。
【0024】
特に好ましい重合性化合物は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドのエステル、主鎖又は側鎖においてエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン及びそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖において(メタ)アクリル基を含むポリマー及びコポリマー、又は、これらのポリマーの2種又はそれ以上の混合物である。
【0025】
エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドのエステル
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、及びリノール酸若しくはオレイン酸のような不飽和脂肪酸等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
ポリオールとしては、芳香族ポリオール、及び、特に脂肪族ポリオール及び環式脂肪族ポリオールが好適である。そのほか、好適なポリオールとして、ポリマー鎖又は側鎖においてヒドロキシル基を含むポリマー及びコポリマー(例えば、ポリビニルアルコール及びそれらのコポリマー又はポリヒドロキシアルキルメタアクリレート又はそれらのコポリマー)、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステル等が挙げられる。前記ポリエポキシドとしては、例えば、上記ポリオール、特に芳香族ポリオール、及びエピクロロヒドリンをベースとするものが挙げられる。
【0026】
前記芳香族ポリオールとしては、例えば、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ノボラック及びレゾルシンが挙げられる。
前記脂肪族ポリオール及び環式脂肪族ポリオールの例としては、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール(例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)が挙げられ、より好ましくは200〜1500の分子量を有する、ポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
【0027】
エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドから得られるエステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール−変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物。
【0028】
前記ポリオールは、1種又は複数の異なる不飽和カルボン酸で部分的に又は完全にエステル化することができる。また、部分エステルの場合は、遊離ヒドロキシル基を変性することができ、例えば他のカルボン酸でエーテル化又はエステル化することができる。
【0029】
主鎖又は側鎖においてエチレン性不飽和基を有するポリアミドとしては、好ましくは、同一の又は異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6個、特に2〜4個のアミノ基を有する芳香族、環式脂肪族及び脂肪族ポリアミンとのアミドである。そのようなポリアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−又はジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。その他、好ましくは側鎖においてさらなるアミノ基を有するポリマー及びコポリマー、及びアミノ末端基を有するオリゴアミドが好適である。そのような不飽和アミドの例はメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート及びN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドなどである。
【0030】
本発明に好ましく用いられる不飽和ポリエステルは、例えば、マレイン酸から及びジオール又はジアミンから誘導される。マレイン酸のいくつかは他のジカルボン酸に置き換えることができる。それらはエチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用されることができる。好ましくは、ジカルボン酸とエチレン性不飽和ジオール又はジアミンから得られる長鎖、例えば、6〜20個の炭素原子を有する不飽和ポリエステルである。
【0031】
ポリウレタンの例としては、飽和又は不飽和ジイソシアネート及び不飽和、又はそれぞれ飽和のジオールから構成されるものが挙げられる。
【0032】
ポリブタジエン及びポリイソプレン及びそれらのコポリマーは既知である。適したコモノマーの例は、オレフィン、例えばエチレン、プロペン、ブテン及びヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン又は塩化ビニルである。
【0033】
アルキド樹脂としては、アルキド樹脂系(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと無水フタル酸等の多塩基酸との共縮合物であって一部油変性したもの、およびこれに(メタ)アクリル酸を付加したものなどが利用できる。
【0034】
側鎖において(メタ)アクリル基を含むポリマー及びコポリマーとしては、同様に既知の材料を用いることができる。例えば、ノボラックをベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物として得ることができ、又はビニルアルコール若しくは(メタ)アクリル酸とエステル化されたそのヒドロキシアルキル誘導体とのホモ−若しくはコポリマーであることができ、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモ−若しくはコポリマーであり得る。
【0035】
本発明に於ける重合性化合物は光重合性組成物の用途に応じて、その構造中に他の機能を発現する部位を有する化合物であってもよく、例えば光重合性組成物を記録材料に利用する場合は、画像部を構成している発色成分の発色反応を促進する部位や、発色を抑制する部位を有していてもよい。
【0036】
本発明に於ける重合性化合物の含有量としては、光重合性組成物の全重量中、通常、10質量%〜99.9質量%であり、20質量%〜99質量%が好ましく、30質量%〜95質量%がより好ましい。
【0037】
(光重合開始剤)
本発明の光重合性組成物は、光重合開始剤として下記一般式(1)で表される化合物を含有してなる。
【0038】
【化2】

【0039】
一般式(1)中、Rは水素原子、1)アルキル基、2)アリール基、3)アリル基、シアノ基、4)アルコキシカルボニル基、5)アリールオキシカルボニル基、6)アシル基、7)アリールカルボニル基、8)アルキルチオ基、9)アリールチオ基、10)アルキルスルホニル基、11)アリールスルホニル基、又は12)フルオロアルキルスルホニル基を表す。R、R、Rは水素原子であっても良い。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。Rはアルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。RはZと縮合して環構造を形成しても良い。Xは、O、S、及びSeから選ばれる元素を表す。Zは、1つの窒素原子を含む6員以上の環を形成する原子団を表す。但し、RとRが結合して環を形成すること、及びRがZを構成する元素と結合して環を形成することはない。nは、0、又は1〜3の整数を表す。
【0040】
上記のアルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、フルオロアルキルスルホニル基、およびZが形成する環は、それぞれ独立に置換基を有しても良い。
【0041】
1)アルキル基
、R、R、Rが表すアルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、等が挙げられる。
【0042】
2)アリール基
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル等が挙げられる。
【0043】
3)アリル基
アリル基としては、炭素数3〜20のアリル基が好ましく、例えば、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセン等が挙げられる。
【0044】
4)アルコキシカルボニル基
前記一般式(1)におけるアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル等が挙げられる。
5)アリールオキシカルボニル基
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基が好ましく、例えばフェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル等が挙げられる。
【0045】
6)アシル基
アシル基としては、炭素数2〜30のアシル基が好ましく、例えばアセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル等が挙げられる。
7)アリールカルボニル基
アリールカルボニル基としては、炭素数7〜30のアリールカルボニル基が好ましく、例えばベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル等が挙げられる。
8)アルキルチオ基
アルキルチオ基としては、炭素数1〜30のアルキルチオ基が好ましく、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ等が挙げられる。
9)アリールチオ基
アリールチオ基としては、炭素数6〜30のアリールチオ基が好ましく、例えばフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ等が挙げられる。
【0046】
10)アルキルスルホニル基
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜30のアルキルスルホニル基が好ましく、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル等が挙げられる。
11)アリールスルホニル基
アリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えばフェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル等が挙げられる。
12)フルオロアルキルスルホニル基
フルオロアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜30のフルオロアルキルスルホニル基が好ましく、例えばトリフルオロメチルスルホニル、1,1,1−トリフルオロエチルスルホニル等が挙げられる。
【0047】
本発明に於けるR、R、R、Rで表されるアルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルオロアルキルスルホニル基が有することのできる置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基等が挙げられる。
【0048】
Xは、O、S、Seから選ばれる元素を表す。光硬化時の感度が優れることから、OまたはSが好ましく、Sが特に好ましい。
【0049】
Zは窒素原子を含む6員以上の環構造を表す。Zが形成する環は、窒素原子を1つだけ含有するのが好ましく、残りの環構成元素は炭素原子もしくは酸素原子が好ましく、特に好ましくは炭素原子である。
【0050】
Zが形成する環の好ましい例としては、例えば、ピペリジン環、ホモピペラジン環、モルホリン環、4−ピリドン環、1,2−ジヒドロキノリン−2−オン環、4−ピペリジノン環等が挙げられる。
Zが形成する環上に、R以外にも置換基を有していても良い。置換基としては上記Rと同様の置換基が挙げられ、その置換位置は任意である。
【0051】
本発明においては、RとRが結合して環を形成することはない。また、RがZを構成する元素と結合して環を形成することもない。これらの理由は明確ではないが、分子内での環Zの回転性が本発明の効果に需要な影響を及ぼしているものと推察される。
【0052】
nは、0、1、2または3を表す。硬化のための光照射波長が250nm〜500nmである場合、照射される光を効率良く吸収する観点から、nは1または2が好ましく、1が特に好ましい。
【0053】
以下に、前記一般式(1)で表される本発明の光重合開始剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
【化3】

【0055】
【化4】

【0056】
【化5】

【0057】
【化6】

【0058】
本発明における一般式(1)で表される光重合開始剤の添加量は、本発明に於ける重合性化合物に対して0.001質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.05質量%〜5質量%である。
一般式(1)で表される光重合開始剤の添加量がこの範囲より少ないと光量を高めても硬化が不十分となり好ましくなく、この範囲を超えると硬化膜の強度が大きく低下したり、硬化膜からのブリード物が発生し易くなる問題があり好ましくない。
【0059】
(第2の光重合開始剤)
本発明の光重合性組成物は、一般式(1)で表される光重合開始剤とともに第2の光重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることの出来る第2の光重合開始剤としては、本発明の重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、重合性化合物の種類によってはカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、本発明に用いられる第2の光重合開始剤は、約300nm〜800nm(より好ましくは330nm〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0060】
本発明に用いられる第2の光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの等)、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機過酸化物、チオ化合物、芳香族オニウム塩、メタロセン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、光重合性組成物の感度と初期重合速度、そして到達硬化度に優れることから、アシルホスフィンオキサイド、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、チタノセンなどのメタロセン化合物が好ましい。これらの中から1種用いても、これらを複数併用して用いても良い。
【0061】
<ヘキサアリールビイミダゾール化合物>
ヘキサアリールビイミダゾールとしては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−フロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(4−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(4−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−トリフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、WO00/52529号公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0062】
前記ビイミダゾール類は、例えば、Bull.Chem.Soc.Japan,33,565(1960)、及びJ.Org.Chem,36(16)2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
【0063】
<トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素誘導体>
トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0064】
前記若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物としては、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0065】
前記英国特許1388492号明細書記載の化合物としては、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0066】
前記特開昭53−133428号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0067】
前記独国特許3337024号明細書記載の化合物としては、例えば、2−(4−スチリルフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシスチリル)フェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチルビニレンフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−クロロスチリルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−3−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−フラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−ベンゾフラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0068】
前記F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物としては、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリ(ブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0069】
前記特開昭62−58241号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−フェニルエチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ナフチル−1−エチニルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−トリルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシフェニル)エチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−イソプロピルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−(4−エチルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0070】
前記特開平5−281728号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0071】
前記特開平5−34920号公報記載化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−1,3,5−トリアジン、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、更に2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0072】
<オキサジアゾール骨格を有するハロゲン化炭化水素誘導体>
オキサジアゾール骨格を有するハロゲン化炭化水素誘導体としては、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物が挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、及び2−トリプロメメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
【0073】
<オキシム誘導体>
本発明に用いられるオキシム誘導体としては、例えば、下記構造式(36)〜(69)で表される化合物が挙げられる。
【0074】
【化7】

【0075】
【化8】

【0076】
【化9】

【0077】
【化10】

【0078】
<ケトン化合物>
ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシー2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0079】
<メタロセン化合物>
メタロセン類としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
【0080】
<アシルホスフィンオキサイド化合物>
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、一般式(P1)または一般式(P2)で示される化合物が好ましい。
【0081】
【化11】

【0082】
一般式(P1)および一般式(P2)において、R、R、R、R、RおよびRのアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、およびアリールオキシ基にはさらに、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、(モノまたはジアルキル)アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基などによって置換されていてよい。
【0083】
、R、R、R、RおよびRにおけるアルキル基は飽和でも不飽和でもよく、また直鎖状、分岐状または環状でもよく、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェノキシエチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。またR、R、R、R、RおよびRにおけるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基、中でもフェニル基、ナフチル基等が好ましく、具体的にはフェニル基、2ーメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
またR、R、R、R、RおよびRにおける複素環基としては、N、OまたはS原子を含む複素環基が好ましく、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、及びピロリル基などが挙げられる。
【0084】
、RおよびRのアルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、具体的にはメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、フェノキシエトキシ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、R、RおよびRのアリールオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、具体的にはフェノキシ、メチルフェニルオキシ、クロロフェニルオキシ、メトキシフェニルオキシ、オクチルオキシフェニルオキシ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0085】
上記一般式(P1)で示されるアシルホスフィンオキサイド化合物の具体例としては、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0086】
本発明において用いられるアシルホスフィンオキサイド化合物としては、以下のものが挙げられるが、本発明のアシルホスフィンオキサイド化合物はこれらに限定されるものではない。
【0087】
【化12】

【0088】
【化13】

【0089】
【化14】

【0090】
上記の化合物以外に、アシルホスフィンオキサイド化合物として、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなども好ましい化合物例として挙げられる。
【0091】
<有機過酸化物>
本発明に用いられる特定ラジカル開始剤として好ましい有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、
【0092】
2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
【0093】
中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0094】
<チオ化合物>
本発明で用いられる特定ラジカル開始剤として好ましいチオ化合物としては、下記一般式(I)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
【0095】
【化15】

【0096】
ここで、Rはアルキル基、アリール基または置換アリール基を示し、Rは水素原子またはアルキル基を示す。また、RとRは、互いに結合して酸素、硫黄および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。
【0097】
上記一般式(I)におけるアルキル基としては炭素原子数1個〜4個のものが好ましい。またアリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6個〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。Rは、好ましくは炭素原子数1個〜4個のアルキル基である。一般式(I)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記表に示すような化合物が挙げられる。
【0098】
【表1】

【0099】
<芳香族オニウム塩>
芳香族オニウム塩としては、周期律表の第V、VIおよびVII族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩の例としては、特公昭52−14277号、特公昭52−14278号、特公昭52−14279号に示されている化合物を挙げることができる。
【0100】
具体的には、以下のものを挙げることができる。
【0101】
【化16】

【0102】
【化17】

【0103】
【化18】

【0104】
さらにまた、上記以外の第2の光重合開始剤として用いることの出来る光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタン等)、N−フェニルグリシン等、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、
【0105】
また、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号公報等に記載のクマリン化合物など)、アミン類(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸フェネチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−フタルイミドエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−メタクリロイルオキシエチル、ペンタメチレンビス(4−ジメチルアミノベンゾエート)、3−ジメチルアミノ安息香酸のフェネチル、ペンタメチレンエステル、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2−クロル−4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンジルアルコール、エチル(4−ジメチルアミノベンゾイル)アセテート、4−ピペリジノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾイン、N,N−ジメチル−4−トルイジン、N,N−ジエチル−3−フェネチジン、トリベンジルアミン、ジベンジルフェニルアミン、N−メチル−N−フェニルベンジルアミン、4−ブロム−N,N−ジメチルアニリン、トリドデシルアミン、アミノフルオラン類(ODB,ODBII等)、クリスタルバイオレットラクトン、ロイコクリスタルバイオレット等)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)などが挙げられる。
【0106】
本発明における第2の光重合開始剤は2種以上を混合して用いても良い。
本発明における第2の光重合開始剤の添加量は、本発明に於ける重合性化合物に対して0.001質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.05質量%〜5質量%である。
本発明に於ける第2の光重合開始剤の添加量がこの範囲より少ないと長時間光照射した到達硬化度が低くなり易いため好ましくなく、この範囲を超えると硬化膜の強度が大きく低下したり、硬化膜からのブリード物が発生し易くなるため好ましくない。
【0107】
本発明における第1の光重合開始剤と第2の光重合開始剤との合計添加量は、本発明に於ける重合性化合物(100質量%)に対して0.001質量%〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜5質量%である。
【0108】
第1の光重合開始剤と第2の光重合開始剤との比率は特に限定されず、第2の光重合開始剤の使用は必須ではないが、第2の光重合開始剤を用いる場合、[第1の光重合開始剤]:[第2の光重合開始剤](質量%の比率)=99:1〜10:90、好ましくは90:10〜20:80、さらに好ましくは80:20〜30:70である。第1の光重合開始剤が10質量%未満であった場合には、初期の重合速度が低下する傾向があり、第2の光重合開始剤が1質量%未満であった場合には、長時間の光照射時における到達硬化度が低くなる傾向がある。
【0109】
(増感色素)
本発明の光重合性組成物は、増感色素を含有しても良い。本発明に用いることの出来る増感色素は従来光重合性組成物に用いることが知られている色素でよい。前記増感色素としては、公知のカチオン色素、中性色素又はアニオン色素を使用することができる。前記増感色素の具体例としては、「リサーチ ディスクロージャー,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載されたものが挙げられる。
【0110】
具体的には、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号、同62−3842号、特開昭59−89303号、同60−60104号の各公報に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
【0111】
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素が挙げられ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられる。
【0112】
前記増感色素には、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンも含まれる。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等が含まれる。
【0113】
(他の成分)
本発明の光重合性組成物においては、効果を害しない範囲内で、目的に応じてその他の成分として適宜選択した公知の添加剤等を含有してもよい。前記その他の成分としては、例えば、第3の光重合開始剤、酸素除去剤、熱重合阻害剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、連鎖移動剤、酸化防止剤等、及びこれらのプレカーサー等が挙げられ、これらは、光重合性組成物の全質量基準で、0.01質量%〜20質量%添加されるのが好ましく、0.2質量%〜15質量%添加されるのがより好ましく、0.5質量%〜10質量%添加されるのが特に好ましい。
【0114】
前記連鎖移動剤や酸化防止剤等の添加剤の具体例としては、特開平10−45816号公報の段落[0135]〜[0141]、特開平9−188686号公報の段落[0087]〜[0096]、特開平10−182621号公報の段落[0079]〜[0118]、特開平9−95487号公報の段落[0080]〜[0089]等が挙げられ、更に特開平1−13140号、同1−13141号、同1−13143号、同1−13144号、同1−17048号、同1−229003号、同1−298348号、同10−138638号、同11−269210号、同2−187762号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。
【0115】
本発明の光重合性組成物には、粘度調節等を目的としたバインダーを含有することもできる。特に、光重合性組成物が液体又は粘稠物質である場合に都合がよい。前記バインダーの含有量としては、総固形分含有量に対して5質量%〜95質量%が好ましく、10質量%〜90質量%がより好ましく、15質量%〜85質量%が最も好ましい。前記バインダーの選択は、適用分野及びその分野のために必要とされる特性、例えば、水系若しくは有機溶媒系における現像能力、基材への接着及び酸素への感度に依存してなされる。
【0116】
前記バインダーとしては、重量平均分子量が約5000〜2000000、好ましくは10000〜1000000のポリマーが好ましい。このようなポリマーとして例えば、アクリレート及びメタクリレートのホモ若しくはコポリマー(例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)等)、セルロースエステル又はセルロールエーテル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ポリビニルブチラル、ポリビニルホルマル、環化ゴム、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリカプロラクタム、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)等)、ポリアミド、ポリウレアなどが挙げられる。
【0117】
また、ゼラチン類、(変性)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子も挙げられる。更に、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス等のラテックス類を用いてもよい。
不飽和化合物も非光重合性フィルム形成成分との混合物として使用でき、例えば、物理的に乾燥したポリマー、又は有機溶媒中のポリマー溶液であって、例えば、ニトロセルロース、又はセルロースアセトブチレートが挙げられる。しかし、それらは化学的に、及び/又は、熱的に硬化性(熱硬化性)樹脂、例えば、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、メラミン樹脂、並びに、ポリイミド前駆体であってもよい。同時に熱硬化性樹脂を使用することは、第一段階において光重合されそして第二段階において熱後処理によって架橋されるハイブリッド系として既知である系における使用のために重要である。また、重合性基を有するバインダーも使用可能である。
その他、添加剤の例としては、特開平11−269210号公報に記載のものを挙げることができる。
【0118】
(光硬化方法)
本発明の光重合性組成物は、波長300nm〜1000nmの光源からの光照射によって硬化させることができる。
本発明の光硬化方法に使用可能な光源としては上記波長の可視〜赤外領域に光源波長を有するものであれば特に限定されず、公知の光源の中から適宜選択することができる。その中でも、装置の簡易小型化、低コスト化の点で、青色、緑色、赤色等の(半導体)レーザー光源又はLEDが好ましい。なお、より高い感度を得るには、増感色素等の光吸収材料の吸収波長に適合した波長の光源を適宜選択することが好ましい。一方、前記光重合性組成物、及び後述する記録材料の消色の際に使用可能な光源としては、光重合性組成物の吸収波長に適合した波長を有する光源を適宜選択することがより好ましい。具体的には、水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電型水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、メタルハライドランプ、(半導体)レーザー光源、LED、蛍光灯等の幅広い光源が好適に挙げられる。
【0119】
光硬化性組成物を塗布される支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられるが、その材質や形状、表面状態等には特に限定されない。例えば該寸度的に安定な板状物としては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅などのような金属の板、シリコン基盤、さらに、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが例示できる。
【0120】
また、支持体上に設けた光重合性組成物の層の上には、空気中の酸素による重合禁止作用を防止する目的で、例えばポリビニルアルコール、酸性セルロース類などのような酸素遮断性に優れたポリマーよりなる保護層を設けることも任意である。
【0121】
(用途)
本発明の光重合性組成物およびそれを用いた光硬化方法は、光硬化型塗料、コーティング、光硬化型封止剤、光硬化型接着剤、光硬化型粘着剤、光硬化型インキ、カラーフィルタ、ホログラム記録媒体、平板印刷、樹脂凸版、フォトレジスト、ソルダーレジスト、各種金属や樹脂、ガラス、紙、木材等の表面加工等に利用することが可能である。
【実施例】
【0122】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
始めに、本発明の一般式(1)の光重合開始剤の合成例を説明する。
【0123】
[合成例1]例示化合物(1)の合成
攪拌装置および冷却管付き三口フラスコに、マロンアルデヒドジアニリド[1a]7.7g、N,N−ジエチル−2−チオバルビツル酸[1b]8.5g、無水酢酸30mLを加え、100℃で2時間反応させた。冷却後にアセトニトリル60mLを加えて氷冷し、析出した黄色結晶を濾過した。冷アセトニトリルで洗浄、濾過を行った後に、50℃で一晩真空乾燥を行い、黄色結晶[1c]12.5gを得た。
【0124】
次いで、攪拌装置および冷却管付き三口フラスコに、[1c]5.0g、2−ピペコリン[1d]1.5g、エタノール50mLを入れ、攪拌下で3時間還流させた。冷却後、析出した黄色結晶を濾過し、冷エタノールで洗浄、最後に乾燥して黄色結晶(1)3.3gを得た。
【0125】
【化19】

【0126】
[合成例2〜7]例示化合物(2)〜(7)の合成
合成例1において、用いる2−ピペコリンを各々変更し、表1の例示化合物(2)〜(7)を合成した。
【0127】
[比較の化合物の合成]
比較の化合物(a)〜(c)についても、同様に合成した。
比較の化合物(d)は、市販品(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア819)をそのまま用いた。
【0128】
得られた光重合開始剤を表2に示した。
【0129】
【表2】

【0130】
実施例1
1.光重合性組成物の調製
上記で得られた光重合開始剤を用いて下記組成の光重合性組成物を調製した。
【0131】
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100部
(DPHA,新中村化学工業社製)
・メチルエチルケトン 350部
・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
・光重合開始剤(表2に示す) 0.5部
【0132】
2.硬化膜の作製
表2の組成で調製した光重合性組成物をそれぞれ、アルミ基板上に厚さ3μmでコイルバーを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥させて塗布膜を形成した。
得られた塗布膜に、光照射装置(HOYA社製、商品名、EXECURE3000)を用い、窒素雰囲気下で各塗布膜に対しローカットフィルター(波長420nm以下カット、HOYA社製、L42型)を通した光を照射して硬化膜を作製した。このとき、光の照射強度は24mW/cm、および1.5mW/cmの2条件で行った。
【0133】
初期重合速度の測定は、シリコン基板上の各試料の重合率を、FT−IRにてモノマーの二重結合の消失、すなわち、1400cm−1〜1430cm−1における吸収の減少を追跡して照射時間に対するDPHAの重合率をプロットし、照射初期の直線領域の傾きにより判定した。なお、FT−IR装置はNICOLET6700(サーモエレクトロン社製、商品名)を使用した。これらの結果を表1に示した。
【0134】
上記表2の結果から、光重合開始剤として一般式(1)で表される化合物(例示化合物(1)〜(7))を用いた本発明No.1〜No.7の光硬化性組成物は、照射初期の重合速度が極めて速く、特に低光量であっても高い重合速度を発揮した。
一方、本発明の範囲には含まれない比較例1〜4は、感度が低いばかりでなく、例示化合物(a)は光硬化性が弱く、例示化合物(b)〜(d)は全く光硬化性を示さなかった。
【0135】
実施例2
1.光重合性組成物の調製
下記組成の光重合性組成物を調製した。本発明の一般式(1)の光重合開始剤もしくは比較の光重合開始剤及び第2光重合開始剤の組合せを表3,4に示した。
【0136】
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100部
(DPHA,新中村化学工業社製)
・メチルエチルケトン 350部
・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
・光重合開始剤(表3,4に示す) 0.5部
・第2の光重合開始剤 (表3,4に示す) 0.5部
【0137】
用いた第2の光重合開始剤は、下記である。
(A)チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア819
(アシルホスフィンオキサイド)
(B)BASF社製、Lucirin TPO(アシルホスフィンオキサイド)
(C)黒金化成社製、ビイミダゾール(ヘキサアリールビイミダゾール)
(D)チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア784(チタノセン)
(E)チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュアOXE01(オキシム)
(F)チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア907(ケトン)
【0138】
【表3】

【0139】
【表4】

【0140】
2.硬化膜の作製
表3、4の組成で調製した光重合性組成物をそれぞれ、アルミ基板上に厚さ3μmでコイルバーを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥させて塗布膜を形成した。
光照射装置(HOYA社製、商品名、EXECURE3000)を用い、窒素雰囲気下で各塗布膜に対し、ローカットフィルター(波長420nm以下カット、HOYA社製、L42型)を通した光を照射して硬化膜を作製した。このとき、光の照射強度は24mW/cmで行った。
【0141】
初期重合速度の測定は、シリコン基板上の各試料の重合率を、FT−IRにてモノマーの二重結合の消失、すなわち、1400cm−1〜1430cm−1における吸収の減少を追跡して照射時間に対するDPHAの重合率をプロットし、照射初期の直線領域の傾きにより判定した。
【0142】
また、到達硬化度は100秒照射後の重合率とした。なお、FT−IR装置はNICOLET6700(サーモエレクトロン社製、商品名)を使用した。
【0143】
得られた結果を表3、および表4に示した。
表3および表4の結果から、本発明の光硬化性組成物は比較の光硬化性組成物に比べて、照射初期の重合速度が極めて速く、また、100秒照射後の到達硬化度も高い優れた性能を示した。特に、光重合開始剤として一般式(1)で表される化合物と第2の光重合開始剤とを併用した光硬化性組成物は、100秒照射後の到達硬化度がさらに高く、好ましい結果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物および下記一般式(1)で表される光重合開始剤を含有することを特徴とする光重合性組成物:
【化1】


(一般式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。R、R、Rは水素原子であっても良い。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。Rはアルキル基、アリール基、アリル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロアルキルスルホニル基を表す。RはZと縮合して環構造を形成しても良い。Xは、O、S、及びSeから選ばれる元素を表す。Zは、一つの窒素原子を含む6員以上の環を表す。但し、RとRが結合して環を形成すること、及びRがZを構成する元素と結合して環を形成することはない。nは、0、又は1〜3の整数を表す。)。
【請求項2】
前記一般式(1)において、Zがピペリジン環又はホモピペリジン環であることを特徴とする請求項1に記載の光重合性組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)において、Rがアルコキシカルボニル基であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光重合性組成物。
【請求項4】
さらに第2の光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光重合性組成物。
【請求項5】
前記第2の光重合開始剤が、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、またはチタノセン化合物であることを特徴とする請求項4に記載の光重合性組成物。
【請求項6】
前記第2の光重合開始剤がアシルホスフィンオキサイド化合物であることを特徴とする請求項5に記載の光重合性組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光重合性組成物に光照射して、該光重合性組成物を硬化させることを特徴とする光硬化方法。

【公開番号】特開2009−67940(P2009−67940A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239598(P2007−239598)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】