説明

光重合開始剤及び該光重合開始剤を含む歯科用コンポジットレジン

【課題】 環境光程度の弱い光に対しては高い安定性を有し、しかもハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード等の照射器による強い光照射により、著しく短時間で重合を完結させ、良好な物性の硬化体を生成させることができ、さらには保存安定性にも優れた新規の光重合開始剤を提供すること。
【解決手段】 (A)α−ジケトン化合物、(B)ジアルキルアミノ安息香酸、好適にはp−ジメチルアミノ安息香酸、(C)脂肪族第3級アミン化合物、好適には窒素原子上に2個以上の電子吸引性基を結合した脂肪族第3級アミン、及び(D)光酸発生剤、好適にはトリハロメチル基により置換されたs−トリアジン化合物、またはジアリールヨードニウム塩系化合物、からなる光重合開始剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科材料、フォトレジスト材料、印刷製版材料、ホログラム材料等の用途、特に歯科用材料に有用な新規な光重合開始剤に関するものである。さらに詳しくは、従来の光重合開始剤に比べて環境光(強度の弱い光)に対しては安定であるが、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード等の照射器を用いた強い光照射により、著しく短時間で速やかに重合が完結し、より高い硬化体物性を得られ、且つ、長期間保存しても活性の低下しない光重合開始剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光照射によりラジカルまたはイオン種を発生し、重合性の不飽和化合物や環状化合物を重合させる光重合開始剤に関しては、種々の提案がなされている。一般的には、光を吸収することによりそれ自身が分解して重合活性種を生成する光分解性化合物や、さらに該光分解性化合物に適当な増感剤を組み合わせた系が広く検討され、使用されている。
【0003】
光分解性化合物としては、アシルフォスフィンオキサイド化合物やα−ジケトン化合物が知られており、特にα−ジケトン化合物は、人体に対して影響の少ない可視光の波長領域で重合開始能を示す(例えば、代表的なα−ジケトンであるカンファーキノンは、極大吸収波長が468nmにある黄色の化合物である)。また、光分解性化合物と増感剤との組み合わせとしては、α−ジケトン化合物と第3級アミン化合物との組み合わせがよく知られ、このような組み合わせは、α−ジケトン化合物が可視光の波長領域で重合開始能を示すことから、歯科用材料の分野で有用に用いられている。
【0004】
歯科用材料の分野において、上記のような光重合開始剤は、(メタ)アクリレート系単量体および無機フィラー(充填材)を主成分とするペースト状組成物(一般にコンポジットレジンと呼ばれる)に添加され、該コンポジットレジンに光重合性を付与するために用いられる。当該コンポジットレジンは、ペーストの状態で歯牙の形に成形された後に、専用の光照射器により光を照射して硬化させて使用される。以下、重合硬化させるために照射する光を「活性光」と呼ぶことがある。一般に、このような活性光は、360〜500nm程度の波長域(α−ジケトン化合物の主たる吸収域である)における光強度が100〜1500mW/cm程度の出力の光源を用い、0〜10mm程度の距離から照射される。例えば、歯科医院において、光重合開始剤が配合されたコンポジットレジンを、修復すべき歯牙の窩洞に充填して歯牙の形に成形した後に、専用の光照射器を用いて活性光を照射して重合硬化させて歯の修復が行われている。また、歯科技工所内において、上記コンポジットレジンを石膏模型上で修復すべき歯牙の形に築盛し、これを光照射により重合硬化させ、ついで歯科医院において、得られた硬化体を、歯科用接着剤を用いて歯質に接着させることによっても歯の修復が行われる(例えば、非特許文献1)。
【0005】
しかしながら、α−ジケトン化合物と第3級アミン化合物との組み合わせを光重合開始剤として用いた場合には、充填や築盛等の操作をしている間にコンポジットレジン(ペースト)の粘度が上昇してしまい、操作が困難になってしまうという問題があった。
【0006】
即ち、ペーストの充填や築盛等の操作は、作業者がペーストの形状やペーストの重合により得られる硬化体の色調を視認するため、口腔内を照らすデンタルライトあるいは蛍光灯のような室内灯などの白色光(このような光を環境光と呼ぶ)の下で行う必要がある。一般的な環境光は、視認性等を考慮して500〜10000ルクス程度に調整されている。光源にもよるが、α−ジケトン化合物の主たる吸収域である360〜500nmにおける環境光の光強度は1mW/cm以下であり、前記活性光の数%にも満たない。しかるに、α−ジケトン化合物と第3級アミン化合物の組み合わせからなる重合開始剤は、可視域の光に対して良好な重合活性を有するものであり、その重合活性の良さゆえ、上記のような環境光に対しても鋭敏に感応して硬化が開始する。従って、充填や築盛等の操作に不可欠な環境光の下で作業を行うと、この重合活性の高さが逆に不利に働き、徐々に硬化が進行してしまい、上記のような問題を生じるものである。
【0007】
充填や築盛等の操作をしている間のペーストの粘度の上昇という現象は、用いる光重合開始剤の添加量を減らしたり重合禁止剤を多めに添加したりすれば回避することが出来る。しかし、このような方法を適用した場合には、活性光を従来と同程度の時間照射しても十分な硬化が起こらずに、得られる硬化体の強度が低下する、硬化体の表面近傍に未重合モノマーが多量に残ってしまう等の問題がしばしば起こる。このため、重合硬化を十分進行させるためには活性光の照射時間を長くする必要がある。しかしながら、上記コンポジットレジンは患者の口腔内で使用されることが多く、照射時間を長く取ることは操作に時間がかかるだけではなく、患者にも多大な負担を強いるという問題があり、照射時間(硬化時間)の短縮が要望されているのが現状である。
【0008】
また、光重合開始剤の添加量を減らすことにより環境光に対する安定性を向上させたコンポジットレジン(ペースト)でも、照射する活性光の光強度を高くすることによって、硬化時間の短縮や硬化体強度の向上を計れるが、光強度を高くするためには、その分多量のエネルギーが必要となる。また、可視光といえどもあまりに強い光は、人体、特に目に対する障害を生じる可能性がある。さらに、一般的に光強度の高い光源は、発熱も強い傾向があるため、その熱による生体へのダメージも懸念される。(例えば、近年では、活性光源も低エネルギー化が進行しており、レーザーダイオード等を用いた20〜180mW/cm程度の強度の光を照射する光照射器が普及し始めている。)
即ち、光重合開始剤の添加量を減らすなどの方法では、レーザーダイオード等の光照射器を用いた場合に硬化時間の短縮や硬化体の強度の向上を図ることができず、患者に負担をかけずに、重合硬化を迅速に且つ十分に進行させることが困難である。
【0009】
このように、従来の光重合開始剤が配合されたコンポジットレジンでは、活性光に対する反応活性を損なわずに、環境光に対する安定性を高めることができなかった。即ち、環境光程度の弱い強度の光では硬化が起こらず、しかも歯科用の光照射器等によって強い光照射を行うと急速に硬化するような特性を有するコンポジットレジンは得られていない。
【0010】
このような問題を解決すべく、α−ジケトン化合物と第3級アミン化合物の組み合わせ以外の光重合開始剤が種々検討されており、例えば、(メタ)アクリレート系重合性単量体、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤及びアミン化合物を含んでなる光硬化性歯科用材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
この歯科用材料は、十分な環境光安定性と高い硬化体物性を有するものの、硬化に要する光照射時間が従来の光硬化性歯科用材料と同程度であり、硬化時間の短縮化という要求を満たすものではなかった。
【0012】
また、重合開始剤成分として、アリールヨードニウム塩、増感剤及び電子供与体を用いることも知られている(例えば、特許文献2参照)
このような重合開始剤成分を含有するコンポジットレジンは、重合硬化に要する活性光照射時間が従来に比べて短縮されているものの、その短縮の程度は十分ではなく、活性光照射時間(重合硬化時間)の更なる短縮が望まれている。また、当該光重合開始剤を用いた場合には、環境光安定性には大きな改善は見られていない。
【0013】
一方、トリハロメチル基を置換基として有しているs−トリアジン化合物は、光照射により酸を発生する化合物であり、従来、光カチオン重合の重合開始剤として用いられてきたが、近年では、他の成分と組み合わせてラジカル重合の開始剤として用いられ始めている。例えば、上記のs−トリアジン化合物等の光酸発生剤と、アリールボレート化合物と、可視光に吸収を有する色素とからなるラジカル重合開始剤が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0014】
これら光重合開始剤においては、光照射により光酸発生剤が分解して酸を生じ、この酸がアリールボレート化合物を分解して活性ラジカル種を生じ、重合を生起する。アリールボレート化合物の分解によって生じる活性ラジカル種は、極めて重合活性が高く、従来のラジカル重合開始剤に比して、酸素による重合阻害を受け難く、また、硬化時間も短く、さらに弱い光に対しても充分な活性を有するとの利点があり、歯科用の接着材用としては極めて有用である。
【0015】
しかしながら、弱い光に対しても充分な活性を有するということは、逆に、環境光に対する安定性が低いということであり、このような光重合開始剤を歯科用コンポジットレジン用の光重合開始剤として用いることはあまり望ましくはない。
【0016】
さらにまた、トリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物は、増感用化合物及び電子供与体化合物と組み合わせて、付加重合組成物における光重合開始剤として用いることが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0017】
上記の光重合開始剤は重合活性が高く、硬化速度が速いという利点を有する。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記光重合開始剤を配合した光重合性組成物では、非常に速い硬化速度を示すものの、50℃程度の比較的高温での保存時に、経時的に重合活性が低下するという欠点がある。歯科用材料においては、歯科医院等への輸送の際に、自家用車等で輸送される場合が多いが、夏季には、このような車内の温度が50℃を超えることも珍しくはない。また、50℃よりも低い温度でも、長期間の保存では、同様に重合活性の低下が起こることが予測される。
【0018】
更に、トリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物を含みながら、50℃程度の比較的高温での保存時においても、経時的に重合活性が低下しにくい光重合開始剤として、特定のアミン化合物を含有させることが提案されている(特許文献6参照)。
【0019】
上記の光重合開始剤は、α−ジケトン化合物及びトリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物に対して、芳香環上にアルコキシカルボニル基を有する芳香族第3級アミン(例えばp−ジメチルアミノ安息香酸エチル)及び電子吸引基が置換したアルキル基を有する脂肪族第3級アミン(例えばトリエタノールアミン)を組み合わせて用いることで、環境光程度の弱い光に対しては高い安定性を有し、しかもハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード等の照射器による強い光照射により、著しく短時間で重合を完結させ、良好な物性の硬化体を生成させることができ、さらには保存安定性にも優れたものとなる。しかしながら、発明者の検討によれば、上記光重合開始剤は極めて優れた硬化性と環境光安定性を有しているものの、50℃程度の比較的高温時の長期保存安定性は未だ十分なものではなく、徐々に重合活性が低下するものであった。
【0020】
【非特許文献1】細田裕康編、「光重合型コンポジットレジンの基礎と臨床」、日本歯科出版、昭和61年2月10日、p.9−20
【特許文献1】特開2000−16910号公報
【特許文献2】特開昭63−273602号公報
【特許文献3】特開平1−138204号公報
【特許文献4】特開平9−3109号公報
【特許文献5】特開平2−229802号公報
【特許文献6】特開2005−89729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って本発明の目的は、環境光程度の弱い光(360〜500nmにおける強度が1mW/cm未満の光)に対しては高い安定性を有し、しかもハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード等の照射器による強い光照射(前記波長域での強度が100mW/cm程度以上)により、著しく短時間で重合を完結させ、良好な物性の硬化体を生成させることができ、さらには保存安定性にも優れ、歯科用コンポジットレジンに有効に適用される有用な新規の光重合開始剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、光酸発生剤、α−ジケトン化合物、及びアミン化合物から成る光重合開始剤において、アミン化合物として脂肪族第3級アミン化合物と特定の芳香族第3級アミン化合物、具体的にはジアルキルアミノ安息香酸を併用することで、ハロゲンランプやキセノンランプ、あるいはレーザーダイオードを備えた照射器に対する感度(活性光に対する感度)と速い硬化速度、及び高い環境光安定性を保持したまま、50℃程度の比較的高温時の保存安定性が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0023】
即ち本発明によれば、(A)α−ジケトン化合物、(B)ジアルキルアミノ安息香酸、(C)脂肪族第3級アミン化合物、及び(D)光酸発生剤を含んでなる光重合開始剤が提供される。
【0024】
本発明によれば、また、上記光重合開始剤、及び(E)ラジカル重合性単量体を含んでなる光重合性組成物が提供される。
【0025】
本発明によれば、さらに、上記の光重合開始剤、(E)ラジカル重合性単量体、及び(F)無機充填材を含んでなる光重合型歯科用コンポジットレジンが提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の光重合開始剤は、アミン化合物として、ジアルキルアミノ安息香酸と脂肪族第3級アミン化合物とを併用することで、環境光(弱い光)に対する安定性が高く、逆に活性光(強い光)の照射により極めて速く重合硬化を完結させることができる上、長時間保存しても重合活性がほとんど低下しない。さらに、得られた硬化体は機械的強度が高く、歯科用充填材である光重合性コンポジットレジンとして特に好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の光重合開始剤は、(A)α−ジケトン化合物、(B)ジアルキルアミノ安息香酸、(C)脂肪族第3級アミン化合物、及び(D)光酸発生剤からなる。以下、これら各成分について説明する。
【0028】
(A)α−ジケトン化合物
本発明の光重合開始剤において、成分(A)のα−ジケトン化合物としては、公知の化合物が何ら制限なく使用できる。その具体例としては、カンファーキノン、カンファーキノンカルボン酸、カンファーキノンスルホン酸等のカンファーキノン類;ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等を挙げることができる。
【0029】
使用するα−ジケトン化合物は、重合に用いる光の波長や強度、光照射の時間、あるいは組み合わせる他の成分の種類や量によって適宜選択して使用すればよく、単独または2種以上を混合して使用することもできる。これらのなかでも、歯科用に用いることを考慮すると、可視光域に極大吸収波長を有していることが好ましく、一般的にはカンファーキノン類が好適に使用され、特にカンファーキノンが好ましい。
【0030】
このようなα−ジケトン化合物の使用量は、組み合わせる他の成分や、光重合すべき重合性単量体の種類によって異なるが、通常は、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部、特に0.03〜5質量部の範囲の量を確保できるような量で光重合開始剤中に存在させるのがよい。即ち、本発明の光重合開始剤は、α−ジケトン化合物の量が上記範囲となるような量で、重合性単量体を含有する重合性組成物中に配合されるのがよい。α−ジケトン化合物の量が多いほど活性光による硬化時間が短くなり、他方、少ないほど環境光安定性に優れる。
【0031】
(B)ジアルキルアミノ安息香酸
本発明の光重合開始剤において、成分(B)のジアルキルアミノ安息香酸は、窒素原子に結合している有機基のうちの一つが、一つのヒドロキシカルボニル基によって置換された芳香環基と、2つの脂肪族基が結合した芳香族第3級アミノ基を有するアミン化合物であればよく、公知のものが特に制限無く使用できる。具体的には、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0032】
【化1】

【0033】
(式中、R及びRは、各々独立に、アルキル基である。)
上記アルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。また、このアルキル基は、置換基を有している置換アルキル基であってもよく、このような置換アルキル基としては、フロロメチル基、2−フロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基;2−ヒドロキシエチル基等の水酸基置換アルキル基などを例示することができる。
【0034】
上記一般式(1)のジアルキルアミノ安息香酸において、基R及びRとしては、炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−ヒドロキシエチル基等)がより好適である。最も好ましくはメチル基である。
【0035】
このようなヒドロキシカルボニル基置換芳香環基を有するジアルキルアミノ安息香酸を後述の(C)成分の脂肪族第3級アミン化合物と組み合わせることで、その保存安定性が大きく向上し、特に、50℃程度の比較的高温下で長期間保存されても重合活性が高度に保持されたものになる。ジアルキルアミノ安息香酸(B)と脂肪族第3級アミン化合物(C)を組み合わせることで優れた保存安定性が得られる理由は定かではないが、ジアルキルアミノ安息香酸のヒドロキシカルボニル基と脂肪族第3級アミンの何らかの相互作用によるものと考えられる。前記従来技術で説明したようにp−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の芳香環上にアルコキシカルボニル基を有する芳香族第3級アミンを用いても、光重合開始剤の重合活性の保存安定性は良好なものになるが、芳香環上に結合するのがヒドロキシカルボニル基でない該化合物では、上記高温下での長期保存安定性が大きく劣るものになる。
【0036】
ヒドロキシカルボニル基が結合した芳香環基を有するジアルキルアミノ安息香酸を具体的に例示すると、o−ジメチルアミノ安息香酸、m−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、o−ジエチルアミノ安息香酸、m−ジエチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、o−ジプロピルアミノ安息香酸、m−ジプロピルアミノ安息香酸、p−ジプロピルアミノ安息香酸、p−ジエタノールアミノ安息香酸等である。
【0037】
中でもヒドロキシカルボニル基がパラ位に結合したものが好ましい。中でもp−ジメチルアミノ安息香酸が最も好適に用いられる。
【0038】
(C)脂肪族第3級アミン化合物
本発明の光重合開始剤において、成分(C)の脂肪族第3級アミン化合物は、3つの飽和脂肪族基が窒素原子に結合している第3級アミノ基を有するもので、従来公知のものが何ら制限無く利用できる。
【0039】
本発明において、脂肪族アミン化合物(C)として好適に使用される脂肪族第3級アミンは、窒素原子に結合している飽和脂肪族基の少なくとも一つが、電子吸引性基を置換基として有する飽和脂肪族基であるものである。このような脂肪族第3級アミン化合物は、窒素原子に結合している、該電子吸引性基を置換基として有する飽和脂肪族基の数によって分類される。
【0040】
ここで、飽和脂肪族基が置換基として有する電子吸引性基は、該基が結合している飽和脂肪族基の炭素原子から電子を引きつけるような誘起効果を持つ基であり、公知の如何なる電子吸引性基でも良いが、化学的な安定性を考慮すると、水酸基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;エテニル基(ビニル基)、1−プロペニル基、エチニル基等の不飽和脂肪族基;フッ素原子;アルコキシル基;カルボニル基;カルボニルオキシ基;シアノ基;が好ましい。これらのなかでも、特に化合物の安定性に優れ、また合成が容易であり、かつ重合性単量体への溶解性に優れる点で、アリール基、不飽和脂肪族基又は水酸基であることが好ましく、水酸基が特に好ましい。
【0041】
このような電子吸引性基が結合する飽和脂肪族基も特に制限されるものではなく、直鎖状、分枝状、環状のいずれでも良いが、合成や入手の容易さの点で、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6の飽和脂肪族基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。また、上記電子吸引性基が置換(結合)する位置や数も特に制限されるものではないが、アミノ基の窒素原子に近い炭素原子に結合しているほど、保存安定性をより向上させる傾向があり、例えば、窒素原子と結合している炭素原子(飽和脂肪族基の1位)又はその隣の炭素原子上(同2位)に電子吸引性基が結合していることが好ましい。
【0042】
このような電子吸引性基を置換基として有している飽和脂肪族基を具体的に例示すると、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基等の水酸基(電子吸引性基)を有するもの;アリル基(エテニルメチル基)、2−プロピニル基(エチニルメチル基)、2−ブテニル基等の不飽和脂肪族基(電子吸引性基)を有するもの;ベンジル基等のアリール基(電子吸引性基)を有するもの等が挙げられる。
【0043】
本発明において、成分(C)の脂肪族第3級アミン化合物は、上記の電子吸引性基を有する飽和脂肪族基の数によって、大きく分けて、次の(a)〜(c)の3つにタイプに分類される。
【0044】
(a)窒素原子に結合している3つの飽和脂肪族基が何れも上記電子吸引性基を置換基として有していないもの。
【0045】
このようなタイプ(a)の第3級アミノ基を有する第3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。
【0046】
(b)窒素原子に結合している3つの飽和脂肪族基のうち、1つが上記電子吸引性基を置換基として有しているもの(2つが上記電子吸引性基を置換基として有していないもの)。
【0047】
このようなタイプ(b)の第3級アミノ基を有する第3級アミンとしては、例えば、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0048】
(c)窒素原子に結合している3つの飽和脂肪族基のうち、2つ以上が上記電子吸引性基を置換基として有しているもの。
【0049】
このようなタイプ(c)の第3級アミノ基を有する第3級アミンとしては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−エチルジアリルアミン、N−エチルジベンジルアミン等の電子吸引性基置換飽和脂肪族基数が2つのもの、及びトリエタノールアミン、トリ(イソプロパノール)アミン、トリ(2−ヒドロキシブチル)アミン、トリアリルアミン、トリベンジルアミン等の電子吸引性基置換飽和脂肪族基数が3であるものが挙げられる。
【0050】
成分(C)の脂肪族第3級アミン化合物は、上記(a)〜(c)の3つにタイプ分けされる電子吸引性基置換飽和脂肪族基数によらず、前述した成分(B)のジアルキルアミノ安息香酸と組み合わせて良好に使用できる。好ましくは、電子吸引性基置換飽和脂肪族基数が2つ以上のタイプ(c)の第3級アミノ基を有する脂肪族第3級アミンを、成分(B)のジアルキルアミノ安息香酸と組み合わせることであり、それにより保存安定性をさらに大きく向上することができる。
【0051】
本発明において、上述したジアルキルアミノ安息香酸(B)と脂肪族アミン化合物(C)のアミン化合物の量(成分(B)と成分(C)との合計量)は、通常、成分(A)のα−ジケトン化合物100質量部当り、10乃至1000質量部、特に50乃至500質量部の範囲が好ましい。また、光重合開始剤が配合される重合性組成物中の重合性単量体100質量部当り、0.01〜10質量部、特に0.02〜5質量部となる量で、成分(B)と成分(C)のアミン化合物を使用するのがよい。
【0052】
また、ジアルキルアミノ安息香酸(B)と脂肪族アミン化合物(C)としては、それぞれ、先に例示した化合物を1種単独或いは2種以上の組み合わせで使用することができるが、両者の質量比(B):(C)が3:97〜97:3、好ましくは10:90乃至75:25、特に20:80〜60:40の範囲となるように、両者を併用することが好適である。
【0053】
(D)光酸発生剤
本発明の光重合開始剤に用いる光酸発生剤(D)とは、光照射によってブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成する化合物であり、公知の化合物が何ら制限なく用いられる。具体的には、トリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物(以下、単にトリアジン化合物とも称す)、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、及びスルホン酸エステル化合物等が挙げられる。
【0054】
本発明のトリアジン化合物としては、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロメチル基を少なくとも一つ有するs−トリアジン化合物であれば公知の化合物が何ら制限なく使用できる。特に好ましいトリアジン化合物を一般式で示すと下記一般式(2)で表される。
【0055】
【化2】

【0056】
(式中、R及びRは、各々独立に、アルキル基、アリール基、アルケニル基、及びアルコキシ基であり、Xはハロゲン原子である。)
前記一般式(2)中のハロメチル基に置換するハロゲン原子は塩素、臭素、ヨウ素の各ハロゲン原子が好適に使用されるが、塩素原子が3つ置換したトリクロロメチル基を有する化合物を用いるのが一般的である。
【0057】
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜10のものが挙げられ、これらはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基、α,α,β−トリクロロエチル基等の置換アルキル基であってもよい。アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基、ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等の炭素数6〜12のものが例示される。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等があげられ、これらは2−フェニルエテニル基等のように置換アルケニル基であってもよく、該アルケニル基の炭素数は2〜12であるのが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のもの等が例示される。
【0058】
以下、トリハロメチル基により置換されたトリアジン化合物を具体的に例示すると、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0059】
他方、代表的なジアリールヨードニウム塩系化合物を一般式で示すと、下記一般式(3)で表される。
【0060】
【化3】

【0061】
(但し、R5、R6、R7、及びR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はニトロ基であり、Mはアニオンである。)で示されるものが挙げられる。
【0062】
ここで、R、R、R、及びRのハロゲン原子としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などが挙げられる。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜20のものが好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14のものが好ましい。また、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、2−フェニルエテニル基、2−(置換フェニル)エテニル基等の炭素数2〜14のものが好ましい。また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のものが好ましい。さらに、アリールオキシ基としては、フェノキシ、p−メトキシフェニル、p−オクチルオキシフェニル等の炭素数6〜14のものが好ましい。
【0063】
上記ジアリールヨードニウム塩を具体的に例示すると、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンからなるジアリールヨードニウム塩を挙げることができる。
【0064】
これらジアリールヨードニウム塩の中でも、ラジカル重合性単量体に対する溶解性の点から、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が好ましく、さらに保存安定性の観点から、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が特に好適である。
【0065】
また、本発明で好適に使用される他の光酸発生剤を具体的に例示すればスルホニウム塩系化合物として、ジメチルフェナシルスルホニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,7−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,8−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、p−トリルジフェニルスルホニウム、p−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウム等のクロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が挙げられる。
【0066】
また、スルホン酸エステル化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、α−メチロールベンゾイントシレート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホナートなどが挙げることができる。
【0067】
本発明においては上記の光酸発生剤の中でも、トリアジン化合物、及びジアリールヨードニウム塩系の光酸発生剤が、重合活性が特に高い点で優れている。
【0068】
上記した光酸発生剤は、1種または2種以上を混合して用いても何ら差し支えない。また、その一般的な配合量は、成分(A)のα−ジケトン化合物100質量部当り、5乃至1000質量部、特に、30乃至500質量部の範囲が好ましい。さらには、光重合開始剤が配合されるラジカル重合性単量体100質量部に対して0.005〜5質量部であるのが好ましく、最も好ましくは0.03〜5質量部である。
【0069】
上述した本発明の光重合開始剤は、重合性単量体を重合させるために用いられるものであり、特に制限なく公知の如何なる光重合性組成物用の重合開始剤として用いることができ、例えば任意の重合性単量体と組み合わせて重合性組成物として使用することができるが、なかでも、光重合型の歯科用コンポジットレジン用の重合開始剤として使用することが好ましい。既に述べたように、このようなコンポジットレジンは、環境光安定性と硬化速度とを共に優れたものするという要求が特に強く、さらには一回当たりの使用量が少ないため、製造後、長期に保存されることが多く、保存安定性も要求され、本発明の光重合開始剤を用いることにより、このような要求を全て満足させることができるからである。
【0070】
光重合型の歯科用コンポジットレジンとは、ウ蝕等により欠損した歯牙を修復するために用いられる材料であり、一般には、(メタ)アクリレート系の重合性単量体と無機充填材を主成分とし、可視光の照射により重合硬化させるために光重合開始剤が配合されている。また、操作性を良好なものとするために、使用時に混合する必要のない1ペースト型の材料とされているものが多い。
【0071】
以下に、本発明の光重合開始剤を用いた光重合性組成物の代表例である光重合型歯科用コンポジットレジンをより詳しく説明する。
【0072】
このようなコンポジットレジンは、光重合性開始剤に加え、ラジカル重合性単量体(E)及び無機充填材(F)を含む。
【0073】
歯科用コンポジットレジンにおける本発明の光重合開始剤の好適な配合量は、該光重合開始剤中の成分(A)の量が、ラジカル重合性単量体(E)100質量部当り0.01〜10質量部、特に0.03〜5質量部となるような範囲とするのがよく、一般的には、重合性単量体100質量部に対して、光重合開始剤の量((A)〜(D)成分の合計量)を0.01〜20質量部、さらには0.05〜10質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部の範囲とする。
【0074】
当該ラジカル重合性単量体としては、酸性基(スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸残基等)を有さない(メタ)アクリレート系の重合性単量体が、耐水性、耐着色性等の観点から好適に用いられ、特に、複数の重合性官能基を有する、多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体が好ましい。当該多官能性の(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、公知のものが特に制限なく使用できる。一般に好適に使用されるものを例示すれば、下記(I)〜(III)に示されるものが挙げられる。
(I)二官能重合性単量体
(i)芳香族化合物系のもの
2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン;上記の各種メタクリレートに対応するアクリレート;及びOH基含有ビニルモノマーと、芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
【0075】
(上記OH基含有ビニルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、あるいはこれらメタクリレートに対応するアクリレートを例示できる。また、上記のジイソシアネートとしては、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートを例示できる。
【0076】
(ii)脂肪族化合物系のもの
1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;及びOH基含有ビニルモノマーと、脂肪族ジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
(上記のOH基含有ビニルモノマーとしては、先に例示したものと同様のものを挙げることができ、脂肪族ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等を挙げることができる。)
(II)三官能重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート;及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
【0077】
(III)四官能重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;及びジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等;
(上記のジイソシアネート化合物としては、ジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0078】
上述した多官能の(メタ)アクリレート系単量体は、必要に応じて複数の種類のものを併用しても良い。
【0079】
さらに、必要に応じて、単官能の(メタ)アクリレート系単量体や、上記の多官能の(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体を用いても良い。尚、単官能の(メタ)アクリレート系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0080】
本発明の歯科用コンポジットレジンに用いられる無機充填材としては、歯科用コンポジットレジンの充填材として公知の無機充填材が何ら制限なく用いられるが、代表的な無機充填材を例示すれば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の金属酸化物類が挙げられる。また必要に応じて、ケイ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等の歯科用の無機充填材として公知のカチオン溶出性の無機充填材を配合しても良い。これらは一種または二種以上を混合して用いても何ら差し支えない。
【0081】
また、これら無機充填材に重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合充填材を用いても良い。
【0082】
これら充填材の粒径は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている0.01μm〜100μm(特に好ましくは0.01〜5μm)の平均粒径の充填材が目的に応じて適宜使用できる。また、該充填材の屈折率も特に制限されず、一般的な歯科用の無機充填材が有する1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用でき、目的に合わせて適宜設定すればよい。粒径範囲や、屈折率の異なる複数の無機充填材を併用しても良い。
【0083】
さらに、上記充填材の中でもとりわけ球状の無機充填材を用いると、得られる硬化体の表面滑沢性が増し、優れた歯科用コンポジットレジンとなり得る。
【0084】
上記無機充填材は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することが、重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させる上で望ましい。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。
【0085】
これらの充填材の割合は、使用目的に応じて、重合性単量体と混合したときの粘度(操作性)や硬化体の機械的物性を考慮して適宜決定すればよいが、一般的には、前述した重合性単量体(E)100質量部に対して50〜1500質量部、好ましくは70〜1000質量部の範囲で用いられる。
【0086】
また、歯牙の色調に合わせるために、上述した各成分に加えて、顔料、蛍光顔料、染料、紫外線に対する変色防止のために紫外線吸収剤を添加してもよいし、その他、歯科用コンポジットレジンの成分として公知の添加剤を、本発明の効果に影響のない範囲で配合しても良い。
【0087】
このような光重合型のコンポジットレジンを製造する方法は特に限定されず、公知の光重合型コンポジットレジンの製造方法に従えばよい。一般的には、遮光下、配合する各成分を所定量秤とり、均一になるまで混練すればよい。
【0088】
本発明の光重合開始剤は、上記のような1ペースト型の光重合型歯科用コンポジットレジンにおいて特に好適に使用されるが、重合性単量体と混合した光重合性組成物として、その他の用途にも使用できる。その用途としては特に限定されないが、例えば歯科用の接着剤や義歯床材料、さらにはフォトレジスト材料、印刷製版材料、ホログラム材料等が挙げられる。これら一般的な用途においては、前記(メタ)アクリレート系重合性単量体に加えて、しばしば重合の容易さ、粘度の調節、あるいはその他の物性の調節のために、上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外の他の重合性単量体を混合して重合することも可能である。これら他の重合性単量体を例示すると、フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル類;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレンあるいはα−メチルスチレン誘導体;ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物等を挙げることができる。これらの重合性単量体は単独または二種以上を一緒に使用することができる。
【0089】
さらに本発明の光重合開始剤を配合した光重合性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の公知の重合開始剤を配合しても良い。
【0090】
また、本発明の光重合開始剤を配合した光重合性組成物には、目的に応じその性能を低下させない範囲で水、有機溶媒や増粘剤等を添加することも可能である。当該有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、酢酸エチル等があり、増粘剤としてはポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物や高分散性シリカが例示される。
【0091】
本発明の光重合開始剤を配合した光重合性組成物を硬化させる際には、α−ジケトン系の光重合開始剤を硬化させるために用いられるのと同じ公知の光源を用いればよいが、低強度の光照射に対しては比較的安定で、他方、ある一定以上の高強度の光照射により急速に硬化するという本発明の光重合開始剤の特徴を生かすため、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、LED、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー等の可視光線の光源が何ら制限なく使用される。照射時間は、光源の波長、強度、硬化体の形状や材質によって異なるため、予備的な実験によって予め決定しておけばよい。
【実施例】
【0092】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略称を以下に示す。
(1)略称・略号
(A)α―ジケトン
・CQ:カンファーキノン
(B)ジアルキルアミノ安息香酸
・PDMB:p−ジメチルアミノ安息香酸
・MDMB:m−ジメチルアミノ安息香酸
・ODMB:o−ジメチルアミノ安息香酸
・PDEB:p−ジエチルアミノ安息香酸
(C)脂肪族第3級アミン
(C−1)電子吸引性基により置換されている飽和脂肪族基を2〜3つ有する化合物
・TEOA:トリエタノールアミン
・MDEOA:N−メチルジエタノールアミン
(C−2)電子吸引性基により置換されている飽和脂肪族基を1つ有する化合物
・DMEM:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
(C−3)電子吸引性基により置換されている飽和脂肪族基を有さない化合物
・TEA:トリエチルアミン
(D)光酸発生剤
・IPDPI:p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート
・DPI:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート
・TCT:2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
(E)重合性単量体
・bis−GMA:2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
(F)無機充填材
・F−1:球状シリカ−ジルコニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均粒径;0.4μm)
・F−2:球状シリカ−ジルコニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均粒径;0.07μm)
(F)その他の成分
・BS110:2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
・HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
・BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
・DMPT:ジメチルアミノ−p−トルイジン
・DMBE:p−ジメチルアミノ安息香酸エチル
また、用いた光照射器を次に示す。
【0093】
TP:トクヤマデンタル社製「トクソーパワーライト」、光出力密度700mW/cm、照射面における光強度640〜650mW/cm、光源はハロゲンランプ、照射口径8mm。
【0094】
また、光重合性組成物の調整方法、光重合型歯科用コンポジットレジンの調製方法、硬化特性(環境光安定性、硬化性、硬度)、硬化体の機械的強度及び保存安定性の測定は以下の方法を用いた。
【0095】
(1)光重合性組成物の調整方法
重合性単量体に対し各々所定量の光重合開始剤とその他の配合成分を加え、赤色光下にて均一に撹拌、脱法して調整した。
【0096】
(2)光重合型歯科用コンポジットレジンの調製方法
重合性単量体に対し各々所定量の光重合開始剤と無機充填材、及びその他の配合成分を加え、赤色光下にて均一に攪拌、脱泡して調製した。
【0097】
(3)硬化体の硬度(ヴィッカース硬度)
前記した歯科用光照射器(TP)を用いて、次に示す方法で硬化体の硬度を測定した。即ち、7mmφの貫通孔を有する厚さ1.0mmポリテトラフルオロエチレン製のモールドに光重合性組成物あるいは光重合型歯科用コンポジットレジンを充填してポリプロピレンフィルムで圧接した。歯科用光照射器の照射口をポリプロピレンフィルムに密着して所定時間照射して硬化体を調製し、これを試験片とした。微小硬度計(松沢精機製「MHT−1型」)にてヴィッカース圧子を用いて、歯科用光重合性組成物による硬化体では、荷重10gf、荷重保持時間30秒、光重合型コンポジットレジンによる硬化体では、荷重100gf、荷重保持時間30秒で試験片にできたくぼみの対角線長さにより求めた。光照射の時間は3秒あるいは10秒とした。
【0098】
(4)保存安定性の評価
光重合性組成物あるいは光重合型歯科用コンポジットレジンを50℃に設定したインキュベーター内に遮光下保管し、所定期間後に硬化体のヴィッカース硬度を測定した。得られたヴィッカース硬度値の経時変化から保存安定性を評価した。
【0099】
(5)環境光安定性試験
ペースト状の硬化性組成物試料の表面が10000ルクスになるように光源と試料との距離を設定した。光源には15W蛍光灯(松下電器製、商品名「パルック」)を用い、照度計にて測定される照度が上記照度になるよう、試料と蛍光灯の距離を設定した。この照射面での光強度は0.4mW/cmであった。作製した光重合型歯科用コンポジットレジンのペーストをポリプロピレンフィルムに0.03g量り採り、上記蛍光灯の光を所定時間時間照射した後、試料を押しつぶし、試料内部が固まり始めた時間を計測した。なお、照射時間は5秒間隔とした。この時間が長いほど環境光安定性に優れ、よって良好な操作余裕時間を得ることができる。なお照度計は東京硝子器械社、「デジタルルックスメーターFLX−1330」を用いた。なお、この照度計は400〜700nmに感度を有する。
【0100】
(6)曲げ強度
ステンレス製型枠に光重合型歯科用コンポジットレジンを充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、照射器としてTPを用い、一方の面から10秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えて光照射器の照射口をポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。ついで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて10秒×3回光照射を行ない硬化体を得た。#800の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、この試料片を試験機(島津製作所製、「オートグラフAG5000D」)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。
【0101】
実施例1〜21、比較例1〜7
bis−GMA(60質量部)、3G(40質量部)からなる重合性単量体100質量部に、紫外線吸収剤としてBS110(0.4質量部)と重合禁止剤としてHQME(0.15質量部)、BHT(0.02質量部)を配合した液状の組成物に、さらにこれに表1に示す組成の光重合開始剤を配合した光重合性組成物を得た。この液状の硬化性組成物の照射器(TP)で3秒照射したときのヴィッカース硬度を測定し初期値とした。また、50℃に保存した後のヴィッカース硬度を測定し保存安定性を評価した。ただし、実施例13〜16、21、比較例4、7に関しては10秒照射したときのヴィッカース硬度を測定し同様に評価した。電子吸引性基置換飽和脂肪族基を2〜3つ有する脂肪族第3級アミンを配合した組成物の結果を表1に示し、上記脂肪族基を0〜1つ有する脂肪族アミンを配合した組成物の結果を表2に示した。
【0102】
【表1】

【0103】
【表2】

【0104】
表1に示した実施例1〜16及び表2に示した実施例17〜21の結果から理解されるように、本発明の光重合開始剤を用いた組成物は、保存安定性が良好であった。特に、実施例1〜16に示したように電子吸引性基により置換されている飽和脂肪族基を2〜3つ有する脂肪族第3級アミン化合物を含んだ組成物は、さらに良好な保存安定性を有していた。
【0105】
一方、表1に示した比較例1〜4及び表2に示した比較例5〜7の結果から理解されるように、本発明以外の光重合開始剤を用いた組成物は、保存安定性が悪かった。
【0106】
実施例22〜27、比較例8、9
bis−GMA(60質量部)、3G(40質量部)からなる重合性単量体100質量部に、無機充填材としてE−1(150質量部)及びE−2(65質量部)、紫外線吸収剤としてBS110(0.4質量部)と重合禁止剤としてHQME(0.15質量部)、BHT(0.02質量部)を配合したペースト状の組成物に、さらにこれに表3に示す組成の光重合開始剤を配合した光重合型コンポジットレジンを得た。このペースト状の硬化性組成物の環境光安定性、照射器(TP)で3秒照射したときの硬度及び曲げ強度を評価した。ただし、実施例27、比較例8〜9に関しては10秒照射して得られる硬化体を評価した。結果を表3に示した。
【0107】
【表3】

【0108】
表3に示した実施例22〜27の結果から理解されるように、本発明の光重合開始剤を用いたコンポジットレジンは、環境光安定性に優れるとともに、その硬化体は良好な機械的物性を有していた。また、保存安定性も良好であった。
【0109】
一方、比較例8〜9に示したように本発明以外の光重合開始剤を用いたコンポジットレジンは、保存安定性が悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)α−ジケトン化合物、(B)ジアルキルアミノ安息香酸、(C)脂肪族第3級アミン化合物、及び(D)光酸発生剤を含んでなる光重合開始剤。
【請求項2】
(B)ジアルキルアミノ安息香酸が、p−ジメチルアミノ安息香酸である請求項1に記載の光重合開始剤。
【請求項3】
(C)脂肪族第3級アミンが、窒素原子上に2個以上の電子吸引性基を結合した脂肪族第3級アミンである請求項1または請求項2に記載の光重合開始剤。
【請求項4】
(D)光酸発生剤が、トリハロメチル基により置換されたs−トリアジン化合物、及びジアリールヨードニウム塩系化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光重合開始剤
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光重合開始剤、及び(E)ラジカル重合性単量体を含んでなる光重合性組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光重合開始剤、(E)ラジカル重合性単量体、及び(F)無機充填材を含んでなる光重合型歯科用コンポジットレジン。

【公開番号】特開2010−64998(P2010−64998A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234720(P2008−234720)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(391003576)株式会社トクヤマデンタル (222)
【Fターム(参考)】