説明

光量制御装置、ソーラーシミュレータ

【課題】ソーラーシミュレータの照射光の安定性を高めること。
【解決手段】光量制御回路は、ランプ(10)と当該ランプに駆動電力を供給する主電源(32)とを有するソーラーシミュレータにおける前記ランプの光強度を制御するために用いられる光量制御回路(2)であって、電源とランプとを接続する電力供給路に対して並列に接続されたドライバ部(38)と、ランプの光強度を検出して当該光強度に対応した光量信号を生成する光検出手段(34,35)と、光量信号に基づいて、ドライバ部に対して制御信号を供給するドライバ制御回路(40)と、を含む。電力供給路からドライバ部に引き込まれる電流が制御信号に応じて増減されることによってランプの光強度を安定化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーシミュレータの光量を制御するための光量制御装置およびこの光量制御装置を備えて構成されるソーラーシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の特性を評価すること等に必要な疑似太陽光を発生するためにソーラーシミュレータが用いられる(特許文献1参照)。太陽電池等の特性計測等においてその計測精度を高めるために、ソーラーシミュレータには、照射光の短期的および長期的な安定性が求められる。ここでいう照射光の短期的な安定性とは、照射光の強度の時間的な揺らぎである。照射光の短期的な安定性が低い場合、電流−電圧特性等の特性の計測精度が低下するという不都合を生じる。一方、照射光の長期的な安定性が低い場合には、特性計測の絶対値そのものの信頼性が低下する。特に、ソーラーシミュレータがランプ用電源として安定性に劣るもの(例えば、スイッチング方式の電源等の安価な電源)を備えている場合にはこの不都合がより顕著となる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−048704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、ソーラーシミュレータの照射光の安定性を高めるのに好適な光量制御回路を提供することを一つの目的とする。
また、本発明は、照射光の安定性に優れたソーラーシミュレータを提供することを他の一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る一態様の光量制御回路は、ランプと当該ランプに駆動電力を供給する主電源とを有するソーラーシミュレータにおける前記ランプの光強度を制御するために用いられる光量制御回路であって、(a)前記電源と前記ランプとを接続する電力供給路に対して並列に接続されたドライバ部と、(b)前記ランプの光強度を検出して当該光強度に対応した光量信号を生成する光検出手段と、(c)前記光量信号に基づいて、前記ドライバ部に対して制御信号を供給するドライバ制御回路と、を含む。そして、前記電力供給路から前記ドライバ部に引き込まれる電流が前記制御信号に応じて増減されることによって前記ランプの光強度を安定化する。
【0006】
本発明に係る他の態様の光量制御回路は、ランプと当該ランプに駆動電力を供給する主電源とを有するソーラーシミュレータにおける前記ランプの光強度を制御するために用いられる光量制御回路であって、(a)前記電源と前記ランプとを接続する電力供給路に対して並列に接続されたドライバ部と、(b)前記主電源とは別途に設けられ、前記ドライバ部と直列接続された第2電源と、(c)前記ランプの光強度を検出して当該光強度に対応した光量信号を生成する光検出手段と、(d)前記光量信号に基づいて、前記ドライバ部に対して制御信号を供給するドライバ制御回路と、を含む。そして、前記電力供給路に流れる電流に対して前記ドライバ部によって重畳される付加電流が前記制御信号に応じて増減されることによって前記ランプの光強度を安定化する。
【0007】
本発明に係る他の態様の光量制御回路は、ランプと当該ランプに駆動電力を供給する主電源とを有するソーラーシミュレータにおける前記ランプの光強度を制御するために用いられる光量制御回路であって、(a)前記電源と前記ランプとを接続する電力供給路に対して並列に接続されたドライバ部と、(b)前記主電源とは別途に設けられ、前記ドライバ部と直列接続された第2電源と、(c)前記ランプの光強度を検出して当該光強度に対応した光量信号を生成する光検出手段と、(d)前記光量信号に基づいて、前記ドライバ部に対して制御信号を供給するドライバ制御回路と、を含む。そして、前記電力供給路から前記ドライバ部に引き込まれる電流が前記制御信号に応じて増減され、又は、前記電力供給路に流れる電流に対して前記ドライバ部によって重畳される付加電流が前記制御信号に応じて増減されることによって前記ランプの光強度を安定化する。
【0008】
前記ドライバ制御回路は、前記光量信号の高周波成分を通過させるハイパスフィルタを含み、当該光量信号の高周波成分に基づいて前記制御信号を生成することも好ましい。
【0009】
前記光検出手段は、例えば、前記ランプの光強度に応じた電気信号を発生する受光素子と、前記受光素子から出力される前記電気信号を増幅することによって前記光量信号を生成する増幅回路と、有して構成される。
【0010】
本発明に係るソーラーシミュレータは、(a)ランプと、(b)前記ランプに駆動電力を供給する主電源と、(c)前記主電源から前記ランプに対して供給される電流を制御することによって前記ランプの光量を制御する光量制御回路と、を含む。そして、光量制御回路として、上述した本発明に係る光量制御回路が用いられる。
【0011】
上述したソーラーシミュレータは、(d)前記ランプからの光を入射可能に配置されたインテグレータレンズと、(e)前記インテグレータレンズを通過した光を反射可能に配置された反射ミラーと、(f)前記インテグレータレンズと前記反射ミラーとの間に配置された光分岐手段と、(g)前記光分岐手段によって分岐された光を入射可能に配置された受光部と、更に備えることも好ましい。また、このソーラーシミュレータが前記光分岐手段と前記受光部との間に配置された拡散板を更に備えることや、前記光分岐手段と前記反射ミラーとの間に配置された光シャッターを更に備えることも好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ランプの光強度が増減するとそれに追随してランプへ供給される電流が可変に制御されるので、ソーラーシミュレータの照射光の安定性を高めることが可能となる。ランプへ電流を供給する主電源として安価だが安定性に劣るものを使用した場合であっても、高性能だが高価な主電源を用いた場合と同等にランプによる照射光を安定化することが可能となり、ソーラーシミュレータの低コスト化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る一実施形態のソーラーシミュレータの全体構成を示す模式図である。図1に示すソーラーシミュレータ1は、キセノンランプ(光源)10、楕円集光ミラー12、反射ミラー14、インテグレータレンズ16、光分岐手段18、拡散板20、受光部22、シャッター24、反射ミラー26、レンズ28、主電源32を含んで構成される。また、図1においては図示されていないが、ソーラーシミュレータ1は、キセノンランプ10の光量を安定化させるための光量制御回路も備えている(光量制御回路の詳細については後述する)。
【0015】
上述のソーラーシミュレータ1においては、キセノンランプ10から放射された光が楕円集光ミラー12によって集光される。この集光された光は反射ミラー14によって光路を変更され、インテグレータレンズ16に入射する。インテグレータレンズ16を通過することにより、光はその強度分布が均一化される。
【0016】
インテグレータレンズ16を通過した光は光分岐手段18に入射する。そして、光の一部成分は分岐し、拡散板20を通過して受光部22に入射する。ここで「光分岐手段」とは、光を複数に分岐可能な手段をいい、例えばハーフミラーやビームスプリッタなどが該当する。光分岐手段18により、光の一部成分が受光部22に導かれる。ここで「受光部」とは、例えば光強度に応じた電気信号を発生する受光素子(光電変換素子)である。
【0017】
上述した拡散板20を受光部22の前段に配置することにより、光の中心部をまんべんなく測光することが可能となり、また拡散板20の大きさを変えることで測光する面積の調整が可能となる。なお、拡散板20を使用しないときは中心部だけをスポットで測光することができる。
【0018】
ここで、拡散板とこの拡散板へ入射する光との関係について図2を用いて詳細に説明する。図2に示すように、拡散板20は、光分岐手段18によって分岐された光Lの進む方向に対応して配置される。このとき、光Lのうち、主光線方向mを含む中央付近の成分(中心部成分;図中において色付けして表示)が拡散板20に入射し、外縁の成分は拡散板20に入射しないように拡散板20を配置することが望ましい。光Lの主光線方向mを含む中心部成分を拡散板20へ入射させ、受光部22へ導くことにより、拡散板20を使わない場合(スポット測光の場合)や、逆に光Lのすべての成分を入射させる場合に比べて、光量制御(詳細を後述する)の安定性を高めることが可能となる。
【0019】
一方、光分岐手段18を通過した光は、反射ミラー26によって光路を変更され、レンズ28に入射する。レンズ28に入射した光は、レンズ28によって略平行光に変換され、所定の照射面30に照射される。これにより、照射面30においては平行かつ均一な照射光が得られる。この照射面30上に太陽電池等の被計測物を配置することにより、照射光を用いた種々の特性計測を行うことができる。
【0020】
主電源32は、キセノンランプ10に駆動電力を供給するほか、図示しないソーラーシミュレータ1の他の構成に電力を供給する。主電源32として使用し得る電源には、例えばスイッチング方式のものとドロッパー方式のものがある。
【0021】
ここで、簡易的な用途に限定して使用されることの多いスイッチング方式の電源は、その構造上リップル電流が発生し、応答性も悪く、短期の安定性が悪いが、その一方で、大型の電源トランスが不要なため小型軽量であり、コストを抑えることができるという利点もある。これに対し、後者のドロッパー方式の電源は、安定性が高く、安定した照射光を得ることができるが、その一方で、効率が悪いため大型の放熱器が必要となり運転コストも上昇しやすい。本実施形態においては、主電源32としてスイッチング方式が採用されている場合、あるいはドロッパー方式であっても比較的性能の劣るものが採用されている場合のいずれにおいても、高性能のドロッパー方式電源を採用した場合と同等の照射光の安定性を実現すべく、以下において詳細に説明する光量制御回路を備えている。
【0022】
次に、本実施形態に係る光量制御回路について詳細に説明する。本実施形態に係る光量制御回路は、採用する原理の相違から3タイプに分けられる。以下、それぞれの実施形態について説明する。
【0023】
(光量制御回路の第1実施形態)
図3は、第1実施形態に係る光量制御回路の構成を示す図である。図3に示す光量制御回路2は、電源32からキセノンランプ10に供給される電流の一部をパイパスし、その量を制御することによってキセノンランプ10の光量を制御するものであり、回路の消費電力が非常に少なく、既存の装置に後付けすることも容易であるという特徴を有する。この光量制御回路2は、受光素子34、光電変換回路35、開閉スイッチ36、スイッチ切替回路37、ドライバ部38、ドライバ制御回路40を含んで構成されている。
【0024】
受光素子(センサー)34は、キセノンランプ10から放射された光の一部成分を受光し、その光強度に応じた電気信号を発生する。本実施形態においてはこの受光素子34が上述した受光部22に対応する。
【0025】
光電変換回路(増幅回路)35は、受光素子34の出力端と接続されており、受光素子34の出力信号を増幅することによって光量信号を生成する。図4に、光電変換回路35の構成例を示す。図4に示す光電変換回路35は、オペアンプ42と、このオペアンプ42の一方の入力端(マイナス側)と出力端との間に接続された抵抗素子44と、を含んで構成されている。
【0026】
開閉スイッチ36は、リレーなどの開閉素子であり、キセノンランプ10とドライバ部38とを接続する回路の途中に設けられている。
【0027】
スイッチ切替回路37は、開閉スイッチ36の開閉状態を切り替える制御を行う。本実施形態におけるスイッチ切替回路37は、光電変換回路から出力される光量信号が入力されており、この光量信号に基づいて開閉スイッチ36を開状態または閉状態に切り替える。例えば、スイッチ切替回路37は、光量信号が一定値を超えると(ランプ点灯に対応)、それから一定時間経過後に開閉スイッチ36を閉状態に切り替える。それにより、ソーラーシミュレータ1の点灯開始時には開閉スイッチ36が開状態となっているので、点灯開始時に瞬間的にキセノンランプ10に高電圧が印加された場合にも、ドライバ部38を回路から切り離しておき、ドライバ部38の損傷を防ぐことができる。また、キセノンランプ10の点灯時にドライバ部38を回路から切り離しておくことにより、ランプ点灯制御にドライバ部38が影響を及ぼすことを防ぐ効果も期待される。このようなスイッチ切替回路37は、例えば、光量信号を所定の基準信号と比較するコンパレータと、信号を一定時間だけ遅延させる遅延回路と、を組み合わせることによって構成可能である。
【0028】
ドライバ部38は、キセノンランプ10と並列に接続されており、電源32からキセノンランプ10に供給される電流の一部を引き込むことが可能に構成されている。このドライバ部38を流れる電流の量(大きさ)がドライバ制御回路40から供給される制御信号に基づいて制御される。
【0029】
ドライバ制御回路40は、光電変換回路35から出力される光量信号が入力され、この光量信号に基づいてドライバ部38に対して上述の制御信号を供給する。このドライバ制御回路40の詳細な構成例について以下に説明する。
【0030】
図5は、ドライバ制御回路の構成例(揺らぎ補正制御)を示す図である。図5に示す構成例のドライバ制御回路40は、光量信号の交流成分を抽出し、これに基づいてドライバ部38に流れる電流を制御することにより、短時間の光量のゆらぎを補うことを目的としている。具体的には、光量信号は、抵抗素子(R)と容量素子(C)からなるハイパスフィルタ42に入力される。ハイパスフィルタ42は、光量信号の高周波成分(ゆらぎ成分)を通過させる。ハイパスフィルタ42を通過した光量信号の高周波成分はゲイン調整回路44によって振幅が調整され、バッファ回路46に入力される。バッファ回路46は、出力インピーダンスを低下させる機能を担う。一方、アイドリング電流調整回路48は、基準電圧発生器50から基準電圧の供給を受けてアイドリング電流を生成する。このアイドリング電流は、光量のゆらぎが生じていない場合にもドライバ部38に一定の電流が流れる(すなわち、引き込まれる)ようにするためである。バッファ回路52は、アイドリング電流の出力インピーダンスを低下させる機能を担う。バッファ回路52の出力は後段の抵抗素子53を介してバッファ回路46の出力とコンデンサで結合されており、アイドリング電流(直流)にゆらぎ成分(交流)が重畳され、指示電圧となる。この指示電圧がオペアンプ54の一方の入力端(プラス側)に入力される。オペアンプ54の出力信号は、抵抗素子56を介してトランジスタ58のベースに入力される。トランジスタ58はエミッタフォロアとして動作し、ドライバ部38を駆動する。ドライバ部38は、例えば図示のよう2段のトランジスタと抵抗素子を組み合わせて構成されており、ドライバ制御回路40からの指示信号に応じた電流を流す。
【0031】
図6は、ドライバ制御回路の他の構成例(定光量制御)を示す図である。図6に示す構成例のドライバ制御回路40aは、短期間の光量の揺らぎに加えて長時間の光量変化に対しても補正を行うことを目的としている。図6に示す構成例のドライバ制御回路40aは、基本的に上述したドライバ制御回路40と同様の構成を有している。両者に共通する構成については共通の符号を用いており、それらについては詳細な説明を省略する。本例のドライバ制御回路40aは、上述のドライバ制御回路40とは異なり、光量信号の高周波成分を抽出するためのハイパスフィルタを備えていない。このため、光量信号は直接的にゲイン調整回路44に入力される。また本例においてアイドリング電流調整回路48に含まれる可変抵抗は光量設定回路として機能する。ゲイン調整回路44からの出力信号とアイドリング電流調整回路48の可変抵抗(光量設定回路)からの出力信号は誤差増幅器60に入力される。誤差増幅器60は、光量信号が光量設定値に合致するよう指示電圧を制御する。誤差増幅器60の後段のオペアンプ54、抵抗素子56及びトランジスタ58の各動作については上述した通りである。
【0032】
(光量制御回路の第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る光量制御回路の構成を示す図である。図7に示す光量制御回路2aは、電源32からキセノンランプ10に供給される電流に対して別の電源142から電流を重畳させ、その量を制御することによってキセノンランプ10の光量を制御するものである。この光量制御回路2aは、受光素子134、光電変換回路135、開閉スイッチ136、スイッチ切替回路137、ドライバ部138、ドライバ制御回路140、電源142を含んで構成されている。光電変換素子134、光電変換回路135、開閉スイッチ136、スイッチ切替回路137については上述した第1実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。この光量制御回路2aは、低い電流でキセノンランプ10を常時点灯しておき、測定の期間だけ光量を上げる制御にも使用できる。
【0033】
ドライバ部138は、キセノンランプ10と並列に接続され、かつ電源142と直列に接続されており、電源142からの電流をキセノンランプ10に供給可能に構成されている。このドライバ部138を流れる電流の量(大きさ)がドライバ制御回路140から供給される制御信号に基づいて制御される。
【0034】
ドライバ制御回路140は、光電変換回路135から出力される光量信号が入力され、この光量信号に基づいてドライバ部138に対して上述の制御信号を供給する。このドライバ制御回路140の詳細な構成例について以下に説明する。
【0035】
図8は、ドライバ制御回路の構成例(揺らぎ補正制御)を示す図である。図8に示す構成例のドライバ制御回路140は、光量信号の交流成分を抽出し、これに基づいてドライバ部138に流れる電流を制御することにより、短時間の光量のゆらぎを補うことを目的としている。図8に示すドライバ制御回路140の基本的な構成は上述した第1実施形態に係るドライバ制御回路40と同様である。両者に共通する構成については共通の符号を用いており、それらについては詳細な説明を省略する。本例のドライバ制御回路140と上述のドライバ制御回路40との相違点は、ハイパスフィルタ及びゲイン調整回路の構成である。具体的には、本例のドライバ制御回路140におけるハイパスフィルタ142は、容量素子(前段側)と抵抗素子(後段側)を直列接続して構成されている。また、本例のドライバ制御回路140におけるゲイン調整回路144は、オペアンプのプラス側入力端に接地電位が入力され、マイナス側入力端にハイパスフィルタ142を通過した信号(光量信号の高周波成分)が入力されている(すなわち、反転増幅)。
【0036】
図9は、ドライバ制御回路の他の構成例(定光量制御)を示す図である。図9に示す構成例のドライバ制御回路140aは、短期間の光量の揺らぎに加えて長時間の光量変化に対しても補正を行うことを目的としている。図9に示すドライバ制御回路140aの基本的な構成は上述した第1実施形態に係るドライバ制御回路40aと同様である。両者に共通する構成については共通の符号を用いており、それらについては詳細な説明を省略する。本例のドライバ制御回路140aと上述のドライバ制御回路40aとの相違点は、ゲイン調整回路の構成である。具体的には、本例のドライバ制御回路140におけるゲイン調整回路144は、図8に示したドライバ制御回路140の場合と同様に、オペアンプのプラス側入力端に接地電位が入力され、マイナス側入力端には光量信号の高周波成分が入力されている(すなわち、反転増幅)。
【0037】
(光量制御回路の第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る光量制御回路の構成を示す図である。図10に示す光量制御回路2bは、上述した第1実施形態(バイパス方式)と第2実施形態(重畳方式)を組み合わせたもの(プッシュプル方式)である。具体的には、光量制御回路2bは、電源32からキセノンランプ10に供給される電流の一部をパイパスし、その量を制御することによってキセノンランプ10の光量を制御するとともに、電源32からキセノンランプ10に供給される電流に対して別の電源242から電流を重畳させ、その量を制御することによってキセノンランプ10の光量を制御するものである。この光量制御回路2bは、受光素子234、光電変換回路235、開閉スイッチ236、スイッチ切替回路237、ドライバ部238、ドライバ制御回路240、電源242を含んで構成されている。光電変換素子234、光電変換回路235、開閉スイッチ236、スイッチ切替回路237については上述した第1実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0038】
ドライバ部238は、キセノンランプ10と並列に接続され、かつ電源242と直列に接続されており、電源242からの電流をキセノンランプ10に供給可能に構成され、かつ電源32からキセノンランプ10に供給される電流の一部を引き込むことが可能に構成されている。このドライバ部238を流れる電流の量(大きさ)がドライバ制御回路240から供給される制御信号に基づいて制御される。
【0039】
ドライバ制御回路240は、光電変換回路235から出力される光量信号が入力され、この光量信号に基づいてドライバ部238に対して上述の制御信号を供給する。このドライバ制御回路240の詳細な構成例について以下に説明する。
【0040】
図11は、ドライバ制御回路の構成例(揺らぎ補正制御)を示す図である。図11に示す構成例のドライバ制御回路240は、光量信号の交流成分を抽出し、これに基づいてドライバ部238に流れる電流を制御することにより、短時間の光量のゆらぎを補うことを目的としている。図11に示すドライバ制御回路240の基本的な構成は上述した第2実施形態に係るドライバ制御回路140と同様である。両者に共通する構成については共通の符号を用いており、それらについては詳細な説明を省略する。本例のドライバ制御回路240が上述のドライバ制御回路140と相違している点は、アイドリング電流調整回路48、基準電圧発生器50及びバッファ回路52を含まず、最後段のトランジスタ58がプッシュプル構成のエミッタフォロア258に置き換えられていることである。最後段のエミッタフォロア258は、抵抗素子56を介して与えられる信号に応じて、ドライバ部238から電流を引き込み、又はドライバ部238に電流を与える(重畳する)。
【0041】
図12は、ドライバ制御回路の他の構成例(定光量制御)を示す図である。図12に示す構成例のドライバ制御回路240aは、短期間の光量の揺らぎに加えて長時間の光量変化に対しても補正を行うことを目的としている。図12に示すドライバ制御回路240aの基本的な構成は上述した第2実施形態に係るドライバ制御回路140aと同様である。両者に共通する構成については共通の符号を用いており、それらについては詳細な説明を省略する。本例のドライバ制御回路240aが上述のドライバ制御回路140aと相違している点は、最後段のトランジスタ58がプッシュプル構成のエミッタフォロア258に置き換えられていることである。最後段のエミッタフォロア258は、抵抗素子56を介して与えられる信号に応じて、ドライバ部238から電流を引き込み、又はドライバ部238に電流を与える(重畳する)。
【0042】
以上のような本実施形態によれば、ランプの光強度が増減するとそれに追随してランプへ供給される電流が可変に制御されるので、ソーラーシミュレータの照射光の安定性を高めることが可能となる。ランプへ電流を供給する主電源として安価だが安定性に劣るもの(例えば、スイッチング方式の電源)を使用した場合であっても、高性能だが高価な主電源を用いた場合と同等にランプによる照射光を安定化することが可能となり、ソーラーシミュレータの低コスト化を達成することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る光量制御回路は、ソーラーシミュレータ本体の主電源からは独立した回路構成となっているので、性能に劣る主電源(スイッチング方式やドロッパー方式等)を備える既存のソーラーシミュレータに追加して実装することによって、照射光の安定性を改善することも可能である。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上述した実施形態においては、ソーラーシミュレータの受光部として受光素子が直接的に用いられていたが、この受光部は、光ファイバー等の光導波路の一端側などの手段であってもよい。この場合には、光導波路の他端側に受光素子を設けておき、光導波路の一端側で受光した光を光導波路の他端側の受光素子へ導くことにより、光強度に応じた電気信号を得ることができる。この構成によれば、ノイズを避ける効果が期待できる。また、受光素子とランプハウス(筐体)との距離を大きく取る場合などに有効である。また、受光素子の出力信号あるいはこれを増幅して得られた光量信号を利用して、ランプの点灯/消灯の状態を表示したり、光量の変動やランプの劣化などを検出し、オペレータに警報を出したりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態のソーラーシミュレータの全体構成を示す模式図である。
【図2】拡散板とこの拡散板へ入射する光との関係について説明する模式図である。
【図3】第1実施形態に係る光量制御回路の構成を示す図である。
【図4】光電変換回路の構成例を示す図である。
【図5】第1実施形態におけるドライバ制御回路の構成例(揺らぎ補正制御)を示す図である。
【図6】第1実施形態におけるドライバ制御回路の他の構成例(定光量制御)を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る光量制御回路の構成を示す図である。
【図8】第2実施形態におけるドライバ制御回路の構成例(揺らぎ補正制御)を示す図である。
【図9】第2実施形態におけるドライバ制御回路の他の構成例(定光量制御)を示す図である。
【図10】第3実施形態に係る光量制御回路の構成を示す図である。
【図11】第3実施形態におけるドライバ制御回路の構成例(揺らぎ補正制御)を示す図である。
【図12】第3実施形態におけるドライバ制御回路の他の構成例(定光量制御)を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1…ソーラーシミュレータ
2…光量制御回路
10…キセノンランプ(光源)
12…楕円集光ミラー
14…反射ミラー
16…インテグレータレンズ
18…光分岐手段
20…拡散板
22…受光部
24…シャッター
26…反射ミラー
28…レンズ
30…照射面
32…主電源
34…受光素子
35…光電変換回路
38…ドライバ部
40…ドライバ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプと当該ランプに駆動電力を供給する主電源とを有するソーラーシミュレータにおける前記ランプの光強度を制御するために用いられる光量制御回路であって、
前記電源と前記ランプとを接続する電力供給路に対して並列に接続されたドライバ部と、
前記ランプの光強度を検出して当該光強度に対応した光量信号を生成する光検出手段と、
前記光量信号に基づいて、前記ドライバ部に対して制御信号を供給するドライバ制御回路と、
を含み、前記電力供給路から前記ドライバ部に引き込まれる電流が前記制御信号に応じて増減されることによって前記ランプの光強度を安定化する、
光量制御回路。
【請求項2】
ランプと当該ランプに駆動電力を供給する主電源とを有するソーラーシミュレータにおける前記ランプの光強度を制御するために用いられる光量制御回路であって、
前記電源と前記ランプとを接続する電力供給路に対して並列に接続されたドライバ部と、
前記主電源とは別途に設けられ、前記ドライバ部と直列接続された第2電源と、
前記ランプの光強度を検出して当該光強度に対応した光量信号を生成する光検出手段と、
前記光量信号に基づいて、前記ドライバ部に対して制御信号を供給するドライバ制御回路と、
を含み、前記電力供給路に流れる電流に対して前記ドライバ部によって重畳される付加電流が前記制御信号に応じて増減されることによって前記ランプの光強度を安定化する、
光量制御回路。
【請求項3】
ランプと当該ランプに駆動電力を供給する主電源とを有するソーラーシミュレータにおける前記ランプの光強度を制御するために用いられる光量制御回路であって、
前記電源と前記ランプとを接続する電力供給路に対して並列に接続されたドライバ部と、
前記主電源とは別途に設けられ、前記ドライバ部と直列接続された第2電源と、
前記ランプの光強度を検出して当該光強度に対応した光量信号を生成する光検出手段と、
前記光量信号に基づいて、前記ドライバ部に対して制御信号を供給するドライバ制御回路と、
を含み、
前記電力供給路から前記ドライバ部に引き込まれる電流が前記制御信号に応じて増減され、又は、前記電力供給路に流れる電流に対して前記ドライバ部によって重畳される付加電流が前記制御信号に応じて増減されることによって前記ランプの光強度を安定化する、
光量制御回路。
【請求項4】
前記ドライバ制御回路は、前記光量信号の高周波成分を通過させるハイパスフィルタを含み、当該光量信号の高周波成分に基づいて前記制御信号を生成する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の光量制御回路。
【請求項5】
前記光検出手段は、
前記ランプの光強度に応じた電気信号を発生する受光素子と、
前記受光素子から出力される前記電気信号を増幅することによって前記光量信号を生成する増幅回路と、
を有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の光量制御回路。
【請求項6】
ランプと、
前記ランプに駆動電力を供給する主電源と、
前記主電源から前記ランプに対して供給される電流を制御することによって前記ランプの光量を制御する光量制御回路と、
を含み、前記光量制御回路が請求項1乃至5の何れか1項に記載の光量制御回路である、
ソーラーシミュレータ。
【請求項7】
前記ランプからの光を入射可能に配置されたインテグレータレンズと、
前記インテグレータレンズを通過した光を反射可能に配置された反射ミラーと、
前記インテグレータレンズと前記反射ミラーとの間に配置された光分岐手段と、
前記光分岐手段によって分岐された光を入射可能に配置された受光部と、
を更に備える請求項6に記載のソーラーシミュレータ。
【請求項8】
前記光分岐手段と前記受光部との間に配置された拡散板、を更に備える請求項7に記載のソーラーシミュレータ。
【請求項9】
前記光分岐手段と前記反射ミラーとの間に配置された光シャッター、を更に備える請求項6又は7に記載のソーラーシミュレータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−218009(P2009−218009A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58509(P2008−58509)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(390030395)英弘精機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】