説明

光量検出センサ

【課題】オートライトセンサの指向性に影響を及ぼすことなく、日射センサの指向性を自由に調整することができる光量検出センサを提供する。
【解決手段】オートライトセンサ用受光素子6は、レンズの凹部21の中心Oを車両前後方向と平行に通る仮想線A上において凹部21よりも車両前方側に配置されている。日射センサ用受光素子5は、その一部がレンズの凹部21の下側に位置して配置されている。日射センサ用受光素子5には、レンズの凹部21を通過した外光が照射され、これに基づいて空調用の制御信号が出力される。オートライトセンサ用受光素子6には、レンズの凹部21以外の部分を通過した外光が照射され、これに基づいてヘッドライトの点消灯用の制御信号が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、日射センサとオートライトセンサとを備えている光量検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に用いられる光量検出センサとして、例えば、特許文献1に記載されている光量検出センサ1が提案されている(図20参照)。この光量検出センサ1は、日射センサとオートライトセンサとを備えている。双方のセンサは、一枚のレンズ4を共用して構成されている。このレンズ4の内面の中央部分には凹部21が形成されている。凹部21の下側には、センサ用受光素子40〜46が設けられている。各センサ用受光素子40〜46は、オートライトセンサ用受光素子40の周囲に、日射センサ用の受光素子41〜46が配置されている。
【0003】
これにより、光量検出センサ1は、オートライトセンサ用受光素子40にレンズ4の凹部21を通過した外光が照射されることによりヘッドライト点消灯用の制御信号を出力するように構成されている。また、光量検出センサ1は、日射センサ用受光素子41〜46にレンズ4の凹部21を通過した外光が照射されることにより空調用の制御信号を出力するように構成されている。
【0004】
このように、従来の光量検出センサ1は、日射センサとオートライトセンサとを備えている。このため、インストルメントパネル上面にこの光量検出センサ3を配置しても、日射センサとオートライトセンサとを別々に配置する場合と比べて、車室内の見栄えを損なうことがない。また、レンズ4に凹部21が設けられていることにより、低仰角の外光が凹部21へ導かれるので、日射センサの指向性を生かすことが可能となっている。ここで、日射センサの指向性とは、低仰角で感度が高くなる特性である。また、従来の光量検出センサ1は、車種に応じて日射センサの指向性を調整する場合に、凹部21の形状を変えている。
【特許文献1】特許第3812206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の光量検出センサ1は、日射センサの指向性を調整するためにレンズ4の凹部21の形状を変えると、オートライトセンサの指向性が大きく変わってしまう。ここで、オートライトセンサの指向性とは、高仰角で感度が高くなる特性である。したがって、従来の光量検出センサ1では、オートライトセンサの指向性に影響を及ぼすことなく、日射センサの指向性を自由に調整することが難しかった。
【0006】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、オートライトセンサの指向性に影響を及ぼすことなく、日射センサの指向性を自由に調整することができる光量検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の光量検出センサにおいては、一枚のレンズを共用して構成される日射センサとオートライトセンサとを備えている光量検出センサであって、前記レンズの内面の中央部分には凹部が形成され、当該レンズの内側には、前記日射センサ用受光素子と前記オートライトセンサ用受光素子とが設けられ、前記日射センサ用受光素子は、少なくともその一部が、前記レンズの凹部の下側に位置するように配置され、前記オートライトセンサ用受光素子は、前記レンズの凹部の外周側に配置され、前記日射センサは、前記レンズの少なくとも凹部を通過した外光が前記日射センサ用受光素子に照射されることにより、空調用の制御信号を出力するように構成され、前記オートライトセンサは、前記レンズの凹部以外の部分を通過した外光が前記オートライトセンサ用受光素子に照射されることにより、ヘッドライト点消灯用の制御信号を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0008】
かかる構成において、請求項1に記載の光量検出センサは、オートライトセンサ用受光素子に、レンズの凹部を通過した外光が照射されることがない。したがって、請求項1に記載の光量検出センサにおいて、日射センサの指向性を調整するためにレンズの凹部の形状を変えても、オートライトセンサに影響を及ぼすことはない。
【0009】
また、本件発明の請求項2に記載の光量検出センサは、請求項1に記載の光量検出センサにおいて、前記オートライトセンサ用受光素子は、前記レンズの凹部よりも車両前方側に配置され、前記日射センサ用受光素子は、前記レンズの凹部の中心よりも車両後方側に配置されたことを特徴としている。
【0010】
かかる構成において、請求項2に記載の光量検出センサは、双方のセンサ用受光素子が隣接して配置されている場合と比べて、日射センサ用受光素子が、オートライトセンサ用受光素子に妨げられないため、日射センサ用受光素子は、低仰角の外光を容易に受けることが可能になる。
【0011】
また、本件発明の請求項3に記載の光量検出センサは、請求項2に記載の光量検出センサにおいて、前記日射センサ用受光素子が1個の場合には、この日射センサ用受光素子は、前記レンズの凹部の中心の真後方に配置されたことを特徴としている。
【0012】
かかる構成において、請求項3に記載の光量検出センサは、日射センサ用受光素子が1個であっても、レンズの凹部を通過した全ての外光を受けることが可能になる。
【0013】
また、本件発明の請求項4に記載の光量検出センサは、請求項2に記載の光量検出センサにおいて、前記日射センサ用受光素子が2個の場合には、この2個の日射センサ用受光素子は、前記レンズの凹部の中心を車両前後方向に通る仮想線を基準にして左右対称に配置されたことを特徴としている。
【0014】
かかる構成において、請求項4に記載の光量検出センサは、日射センサ用受光素子が2個であっても、レンズの凹部を通過した全ての外光を受けることが可能になる。
【0015】
また、本件発明の請求項5に記載の光量検出センサは、請求項2に記載の光量検出センサにおいて、前記日射センサ用受光素子が3個の場合には、前記レンズの凹部の中心の真後方に1個の日射センサ用受光素子が配置され、この日射センサ用受光素子を基準にして2個の日射センサ用受光素子が左右対称に配置されたことを特徴としている。
【0016】
かかる構成において、請求項5に記載の光量検出センサは、日射センサ用受光素子が3個であっても、レンズの凹部を通過した全ての外光を受けることが可能になる。
【0017】
また、本件発明の請求項6に記載の光量検出センサは、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光量検出センサにおいて、前記オートライトセンサ用受光素子の車両前方側に、前記レンズの車両前方側から当該レンズを通過した外光を遮るための遮光手段を配置したことを特徴としている。
【0018】
かかる構成において、請求項6に記載の光量検出センサのオートライト用受光素子は、ヘッドライトの点消灯の制御に不要な車両前方側からの外光を検出してしまうのを防ぐことが可能になる。
【0019】
また、本件発明の請求項7に記載の光量検出センサは、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光量検出センサが、車両のインストルメントパネルの上面の中央またはリアパーセルの上面の中央に設けられたことを特徴としている。
【0020】
かかる構成において、請求項7に記載の光量検出センサは、光量検出センサがインストルメントパネルの上面の中央以外の部分またはリアパーセルの上面の中央以外の部分に設けられた場合と比べて、外光を適切に受けることが可能になる。
【0021】
また、本件発明の請求項8に記載の光量検出センサは、請求項7に記載の光量検出センサが、前記インストルメントパネル上面または前記リアパーセル上面において、前記日射センサ用受光素子の受光面および前記オートライト用受光素子の受光面が水平になるように設けられたことを特徴としている。
【0022】
かかる構成において、請求項8に記載の光量検出センサは、双方のセンサ用受光素子の受光面が水平に設定されていない場合に比べて、外光をさらに適切に受けることが可能になる。
【0023】
また、本件発明の請求項9に記載の光量検出センサは、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の光量検出センサが、前記レンズの内側に配置されて前記日射センサ用受光素子および前記オートライトセンサ用受光素子が実装される基板と、この基板と前記レンズの周縁部とを支持するハウジングと、このハウジングの内部に設けられて前記基板から出力される前記空調用の制御信号および前記ヘッドライト点消灯用の制御信号を当該ハウジングの外部へ出力するコネクタとを備えている光量検出センサであって、前記ハウジングは、前記コネクタが内部に設けられた状態で前記基板と一体的に構成されていることを特徴としている。
【0024】
かかる構成において、請求項9に記載の光量検出センサは、ハウジングと基板とが別体に構成されている光量検出センサと比べて、ハウジングと基板との間に双方を結合するハンダ等を確保するための空間を必要としない。
【0025】
また、本件発明の請求項10に記載の光量検出センサは、請求項9に記載の光量検出センサにおいて、前記基板は、前記日射センサ用受光素子から当該基板に入力された信号を処理して得られる前記空調用の制御信号およびグランド信号と、前記オートライトセンサ用受光素子から当該基板に入力された信号を処理して得られる前記ヘッドライト点消灯用の制御信号およびグランド信号とが当該基板から別々に出力されるように構成され、前記コネクタは、当該基板から別々に出力された各信号を別々に外部へ出力するように複数の出力端子を備えていることを特徴としている。
【0026】
かかる構成において、請求項10に記載の光量検出センサは、日射センサとオートライトセンサとが電気的に完全に分離されているので、双方のセンサが電気的に接続された場合と比べて、電波等によって双方のセンサが影響を受けてしまうことがない。
【発明の効果】
【0027】
本件発明の請求項1に記載の光量検出センサにおいては、オートライトセンサ用受光素子をレンズの凹部よりも外周側に配置した。これにより、オートライトセンサ用受光素子には、レンズの凹部を通過した外光が照射されることがない。したがって、請求項1に記載の光量検出センサは、日射センサの指向性を調整するためにレンズの凹部の形状を変えても、オートライトセンサに影響を及ぼすことはない。よって、請求項1に記載の光量検出センサは、オートライトセンサの指向性に影響を及ぼすことなく、日射センサの指向性を自由に調整することができる。
【0028】
また、本件発明の請求項2に記載の光量検出センサにおいては、オートライトセンサ用受光素子をレンズの凹部よりも車両前方側に配置し、日射センサ用受光素子をレンズの凹部の中心よりも車両後方側に配置した。これにより、請求項2に記載の光量検出センサは、双方のセンサ用受光素子が隣接して配置されている場合と比べて、日射センサ用受光素子が、オートライトセンサ用受光素子に妨げられないため、日射センサ用受光素子は、低仰角の外光を容易に受けることが可能になる。よって、請求項2に記載の光量検出センサは、日射センサの指向性を高めることができる。
【0029】
また、本件発明の請求項3に記載の光量検出センサにおいては、日射センサ用受光素子が1個の場合に、この日射センサ用受光素子を、レンズの凹部の中心の真後方に配置した。これにより、日射センサ用受光素子は、レンズの凹部を通過した全ての外光を受けることが可能になる。よって、請求項3に記載の光量検出センサは、使用する日射センサ用受光素子が1個の場合でも、日射センサの指向性を高めることができる。
【0030】
また、本件発明の請求項4に記載の光量検出センサにおいては、日射センサ用受光素子が2個の場合に、この2個の日射センサ用受光素子を、レンズの凹部の中心を車両前後方向に通る仮想線を基準にして左右対称に配置した。これにより、2個の日射センサ用受光素子は、レンズの凹部を通過した全ての外光を受けることが可能になる。よって、請求項4に記載の光量検出センサは、使用する日射センサ用受光素子が2個の場合でも、日射センサの指向性を高めることができる。
【0031】
また、本件発明の請求項5に記載の光量検出センサにおいては、日射センサ用受光素子が3個の場合に、レンズの凹部の中心の真後方に1個の日射センサ用受光素子を配置し、この日射センサ用受光素子を基準にして2個の日射センサ用受光素子を左右対称に配置した。これにより、請求項5に記載の光量検出センサは、日射センサ用受光素子が3個であっても、レンズの凹部を通過した全ての外光を受けることが可能になる。よって、請求項5に記載の光量検出センサは、使用する日射センサ用受光素子が3個の場合でも、日射センサの指向性を高めることができる。
【0032】
また、本件発明の請求項6に記載の光量検出センサにおいては、オートライトセンサ用受光素子の車両前方側に遮光手段を配置した。これにより、オートライトセンサ用受光素子は、ヘッドライトの点消灯の制御に不要な車両前方側からの外光を検出してしまうのを防ぐことが可能になる。よって、請求項6に記載の光量検出センサは、オートライトセンサの指向性を高めることができる。
【0033】
また、本件発明の請求項7に記載の光量検出センサにおいては、光量検出センサを車両のインストルメントパネルの上面の中央またはリアパーセルの上面の中央に設けた。これにより、請求項7に記載の光量検出センサは、光量検出センサがインストルメントパネルの上面の中央以外の部分またはリアパーセルの上面の中央以外の部分に設けられた場合に比べて、外光を適切に受けることが可能になる。よって、請求項7に記載の光量検出センサは、日射センサの指向性およびオートライトセンサの指向性を高めることができる。
【0034】
さらに、本件発明の請求項8に記載の光量検出センサは、この光量検出センサを、インストルメントパネルの上面またはリアパーセルの上面において、日射センサ用受光素子の受光面およびオートライト用受光素子の受光面が水平になるように設けた。これにより、請求項8に記載の光量検出センサは、双方のセンサ用受光素子の受光面が水平でない光量検出センサと比べて、外光をより適切に受けることが可能になる。よって、請求項8に記載の光量検出センサは、日射センサの指向性およびオートライトセンサの指向性をさらに高めることができる。
【0035】
また、本件発明の請求項9に記載の光量検出センサは、ハウジングと基板とを一体的に構成した。これにより、請求項9に記載の光量検出センサは、ハウジングと基板とが別体で構成されている光量検出センサと比べて、ハウジングと基板との間に双方を結合するハンダ等を確保するための空間を必要としない。よって、請求項9に記載の光量検出センサは小型化を図ることができる。
【0036】
また、本件発明の請求項10に記載の光量検出センサは、日射センサによって処理された空調用の制御信号およびグランド信号と、オートライトセンサによって処理されたヘッドライトの点消灯用の制御信号およびグランド信号とを別々に外部に出力するようにした。したがって、請求項10に記載の光量検出センサは、日射センサとオートライトセンサとが電気的に完全に分離されているので、双方のセンサが電気的に接続された場合と比べて、電波等によって双方のセンサが影響を受けてしまうことがない。よって、請求項10に記載の光量検出センサは、空調用の制御信号とヘッドライト用の制御信号とを安定して出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0038】
第1の実施の形態:
図1は、本件発明の第1の実施の形態を示す車両10の模式平面図である。この車両10のインストルメントパネル11の上面11aの中央部分には、本件発明の光量検出センサ1が設けられている。以下に、光量検出センサ1の構成について説明する。
【0039】
図2は、光量検出センサ1の縦断面図である。この光量検出センサ1は、日射センサとオートライトセンサとを備えているセンサである。この光量検出センサ1は、レンズ2と、ハウジング3と、基板4と、日射センサ用受光素子5と、オートライトセンサ用受光素子6とを備えている。ここで、日射センサは、レンズ2と、ハウジング3と、基板4と、日射センサ用受光素子5とから構成されている。また、オートライトセンサは、レンズ2と、ハウジング3と、基板4と、オートライトセンサ用受光素子6とから構成されている。
【0040】
レンズ2は、その周縁部がハウジング3に支持されている。このレンズ2は、お碗型に形成されている。レンズ2の内面2aの中央部分には凹部21が形成されている。また、レンズ2の内面2aにおいて、凹部21よりも車両前方側にはスリット22が形成されている。このスリット22は、本件発明の遮光手段を構成している。
【0041】
ハウジング3は、ケース31と、コネクタ32とを備えている。ケース31は円筒状に形成されている。ケース31の外周面には、複数のセンサ取付け爪311が設けられている。これらのセンサ取付け爪311は、インストルメントパネル11の上面11aに設けられている取付け孔11bに係止されている。ケース31の上端面31aの内周側の部分には、基板用取付け面31bが形成されている。ケース31の上端面31aの外周側の部分には、突起312が設けられている。この突起312は、本件発明の遮光手段を構成している。
【0042】
コネクタ32は、ケース31内の上部に一体的に設けられている。コネクタ32内には、図3に示すように、複数の出力端子321〜326が埋設されている。各出力端子321〜326はコネクタ32の上下面を貫通している。以下に、各出力端子321〜326を具体的に説明する。
【0043】
図3において、左側の三本の出力端子321〜323は、オートライトセンサ用の出力端子である。一番上側の出力端子321と真ん中の出力端子322は、ヘッドライトの点消灯用の制御信号を出力するために用いられる。双方の出力端子321、322は、ヘッドライト点消灯用の制御装置に接続される。一番下側の出力端子323は、グランド信号を出力するために用いられる。
【0044】
図3において、右側の三本の出力端子324〜326は、日射センサ用の出力端子である。一番上側の出力端子324と真ん中の出力端子325は、空調制御用の制御信号を出力するために用いられる。双方の出力端子321、322は、空調装置の制御装置に接続される。一番下側の出力端子326は、グランド信号を出力するために用いられる。
【0045】
図2に示すように、基板4は、ケース31の基板用取付け面31bに設けられている。この基板4には、日射センサ用の信号処理回路と、オートライトセンサ用の信号処理回路とが形成されている。
【0046】
日射センサ用の信号処理回路は、一つの入力端と、三つの出力端とを備えている。入力端には、日射センサ用受光素子5の出力端が接続されている。三つの出力端の各々には、各出力端子324〜326(図3参照)が接続されている。
【0047】
オートライトセンサ用の信号処理回路は、一つの入力端と、三つの出力端とを備えている。入力端には、オートライトセンサ用受光素子6の出力端が接続されている。三つの出力端の各々には、各出力端子321〜323(図3参照)が接続されている。
【0048】
図2に示すように、日射センサ用受光素子5は、基板4に実装されている。この日射センサ用受光素子5は、波長が900nm前後の赤外線を検出するものである。日射センサ用受光素子5の受光面5aは水平に設定されている。
【0049】
また、オートライトセンサ用受光素子6は、基板4に実装されている。このオートライトセンサ用受光素子6は、波長が450nm前後の可視光を検出するものである。オートライトセンサ用受光素子6の受光面6aは水平に設定されている。
【0050】
図4は、光量検出センサ1の主要部分の配置図である。図4において、オートライトセンサ用受光素子6は、仮想線A上において、レンズ2の凹部21よりも車両前方側に配置されている。なお、仮想線Aは、凹部21の中心Oを車両前後方向と平行に通る直線のことである。
【0051】
また、図4において、日射センサ用受光素子5は、その一部がレンズ2の凹部21の下側に位置して配置されている。さらに、日射センサ用受光素子5は、仮想線A上において、レンズ2の凹部21の中心Oよりも車両後方側、つまり、中心Oの真後方に配置されている。
【0052】
また、レンズのスリット22は、仮想線A上において、オートライトセンサ用受光素子6よりも車両前方側に配置されている。さらに、ケース31の突起312は、仮想線A上において、スリット22よりも車両前方側に配置されている。
【0053】
次に、日射センサ用受光素子5による光量検出センサ1の動作、すなわち、日射センサの動作について説明する。図5に示すように、レンズ2の表面2bに斜め前方から外光Laが照射されると、この外光Laはレンズ2の凹部21を通過して、日射センサ用受光素子5の受光面5aに照射される。
【0054】
日射センサ用受光素子5は、受光面5aに照射された外光Laの量(日射量)に応じた信号を出力する。日射センサ用受光素子5から出力された信号は、基板4の日射センサ用信号処理回路に入力される。日射センサ用信号処理回路に入力された信号は、所定の処理が行われた後、三つの信号が別々に出力される、この三つの信号は、二つの空調用の制御信号と、一つのグランド信号である。日射センサ用信号処理回路から出力された三つの信号は、各出力端子324〜326を通って、外部の空調の制御装置に出力される。
【0055】
次に、オートライトセンサ用受光素子6による光量検出センサ1の動作、すなわち、オートライトセンサの動作について説明する。レンズ2の表面2bに斜め前方から外光Lbが照射されると、この外光Lbはレンズ2の凹部21よりも前側の部分を通過して、オートライトセンサ用受光素子6の受光面6aに照射される。
【0056】
オートライトセンサ用受光素子6は、受光面6aに照射された外光Lbの量に応じた信号を出力する。オートライトセンサ用受光素子6から出力された信号は、基板4のオートライトセンサ用信号処理回路に入力される。オートライトセンサ用信号処理回路に入力された信号は、所定の処理が行われた後、三つの信号が別々に出力される、この三つの信号は、二つのヘッドライトの点消灯用の制御信号と、一つのグランド信号である。オートライトセンサ用信号処理回路から出力された三つの信号は、各出力端子321〜323を通って、外部のヘッドライト点消灯用の制御装置に出力される。
【0057】
このように、本実施の形態の光量検出センサ1は、図4に示したように、オートライトセンサ用受光素子6をレンズ2の凹部21よりも外周側に配置したことにより、オートライトセンサ用受光素子6には、凹部21を通過した外光Laは照射されることがない。したがって、本実施の形態の光量検出センサ1においては、日射センサの指向性を調整するためにレンズ2の凹部21の形状を変えても、オートライトセンサに影響を及ぼすことはない。よって、本実施の形態の光量検出センサ1は、オートライトセンサの指向性に影響を及ぼすことなく、日射センサの指向性を自由に調整することができる。
【0058】
さらに、本実施の形態の光量検出センサ1は、図4に示したように、オートライトセンサ用受光素子6をレンズの凹部21よりも車両前方側に配置し、日射センサ用受光素子5を凹部21の中心Oよりも車両後方側に配置している。これにより、日射センサ用受光素子5は、双方のセンサ用受光素子が隣接して配置された光量検出センサと比べて、オートライトセンサ用受光素子6に妨げられてしまうことがない。このため、日射センサ用受光素子5は、低仰角の外光Le(図5参照)を容易に受けることが可能になる。よって、本実施の形態の光量検出センサ1は、日射センサの指向性を高めることができる。
【0059】
さらに、本実施の形態の光量検出センサ1は、図4に示したように、日射センサ用受光素子5を、レンズ2の凹部21の中心Oの真後方に配置している。これにより、日射センサ用受光素子5は、凹部21を通過した全ての外光を受けることが可能になる。よって、本実施の形態の光量検出センサ1は、使用する日射センサ用受光素子が1個の場合でも、日射センサの指向性を高めることができる。
【0060】
さらに、本実施の形態の光量検出センサ1は、図4に示したように、オートライトセンサ用受光素子6の車両前方側に、遮光手段(スリット22、突起312)を配置している。これにより、図5に示すように、車両前方側からレンズ2を通過した外光Lc、Ldは遮光手段に遮られる。このため、これらの外光Lc、Ldはオートライトセンサ用受光素子6に照射されない。この外光Lc、Ldは、ヘッドライトの点消灯の制御に不要な外光である。したがって、オートライトセンサ用受光素子6は、遮光手段によって、これらの外光Lc、Ldを検出してしまうのを防ぐことができる。よって、本実施の形態の光量検出センサ1は、オートライトセンサの指向性を高めることができる。
【0061】
また、本実施の形態の光量検出センサ1は、図1や図2に示したように、インストルメントパネル11の上面11aの中央に設けられている。これにより、本実施の形態の光量検出センサ1は、光量検出センサがインストルメントパネルの上面の中央以外の部分に設けられた場合と比べて、外光を適切に受けることが可能になる。よって、本実施の形態の光量検出センサ1は、日射センサの指向性およびオートライトセンサの指向性を高めることができる。
【0062】
さらに、本実施の形態の光量検出センサ1は、インストルメントパネル11の上面11aにおいて、双方のセンサ用受光素子5、6の受光面5a、6aが水平になるように設けられている。これにより、本実施の形態の光量検出センサ1は、双方のセンサ用受光素子の受光面が水平でない光量検出センサと比べて、外光をより適切に受けることが可能になる。よって、本実施の形態の光量検出センサ1は、日射センサの指向性およびオートライトセンサの指向性をさらに高めることができる。
【0063】
なお、この光量検出センサ1は、図1に示すように、車両10のリアパーセル12の上面12aの中央に設けられても良い。この場合の光量検出センサ1でも、本実施の形態と同様に、日射センサの指向性およびオートライトセンサの指向性を高めることができる。さらに、この光量検出センサ1が、双方のセンサ用受光素子5、6の受光面5a、6aが水平になるように、リアパーセル12の上面12aの中央に設けられれば、本実施の形態と同様に、双方のセンサの指向性をさらに高めることができる。
【0064】
また、本実施の形態の光量検出センサ1は、日射センサによって処理された空調用の制御信号およびグランド信号と、オートライトセンサによって処理されたヘッドライトの点消灯用の制御信号およびグランド信号とを別々に外部に出力するようにしている。したがって、本実施の形態の光量検出センサ1は、日射センサとオートライトセンサとが電気的に完全に分離されているので、双方のセンサが電気的に接続された場合と比べて、電波等によって双方のセンサが影響を受けてしまうことがない。よって、本実施の形態の光量検出センサ1は、空調用の制御信号とヘッドライト用の制御信号とを安定して出力することができる。
【0065】
なお、本実施の形態の光量検出センサ1では、日射センサ用受光素子5の一部をレンズ2の凹部21の下側に位置させた。しかし、オートライトセンサ用受光素子6が凹部21の外周側に配置されていれば、凹部21の形状が変えられてもオートライトセンサの指向性には影響を与えないので、日射センサ用受光素子5の全てが凹部21の下側に位置するように配置されても良い。
【0066】
第2の実施の形態:
図6は、本件発明の第2の実施の形態を示す光量検出センサ100の主要部分の配置図である。なお、本実施の形態において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。この光量検出センサ100は、2個の日射センサ用受光素子5が使用されている、2個の日射センサ用受光素子5は、その一部がレンズの凹部21の下側に位置して配置されている。さらに、2個の日射センサ用受光素子5は、仮想線Aを基準にして左右対称に配置されている。
【0067】
このため、2個の日射センサ用受光素子5は、レンズの凹部21を通過した全ての外光を受けることが可能になる。よって、本実施の形態の光量検出センサ100は、使用する日射センサ用受光素子5が2個の場合でも、日射センサの指向性を高めることができる。
【0068】
第3の実施の形態:
図7は、本件発明の第3の実施の形態を示す光量検出センサ200の主要部分の配置図である。なお、本実施の形態において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。この光量検出センサ200は、3個の日射センサ用受光素子5が使用されている、3個の日射センサ用受光素子5は、その一部がレンズの凹部21の下側に位置して配置されている。さらに、3個の日射センサ用受光素子5は、凹部21の中心Oの真後方に1個の日射センサ用受光素子5が配置されており、この日射センサ用受光素子5、つまり仮想線Aを基準にして、2個の日射センサ用受光素子5が左右対称に配置されている。
【0069】
これにより、3個の日射センサ用受光素子5は、レンズの凹部21を通過した全ての外光を受けることが可能になる。よって、本実施の形態の光量検出センサ200は、使用する日射センサ用受光素子5が3個の場合でも、日射センサの指向性を高めることができる。
【0070】
第4の実施の形態:
図8は、本件発明の第4の実施の形態を示す光量検出センサ400の縦断面図である。なお、本実施の形態において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。この光量検出センサ400において、ハウジング300は、基板4と一体的に構成されている。具体的には、コネクタ302の上面302aがケース31の上面31aの基板取付け面31bと面一に形成されており、双方の上面31b、302aに基板4が設けられている。
【0071】
これにより、本実施の形態の光量検出センサ400は、ハウジング3と基板4とが別体で構成されている第1の実施の形態の光量検出センサ1と比べて、ハウジング300と基板4との間に双方を結合するハンダ等を確保するための空間S(図2参照)を必要としない。よって、本実施の形態の光量検出センサ400は小型化を図ることができる。
【0072】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように本件発明の光量検出センサは、オートライトセンサの指向性に影響を及ぼすことなく、日射センサの指向性を自由に調整することができる。したがって、本件発明を、日射センサおよびオートライトセンサを備えている光量検出センサの技術分野で十分に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本件発明の第1の実施の形態を示す車両の模式平面図である。
【図2】同実施の形態を示す光量検出センサの縦断面図である。
【図3】同実施の形態を示す光量検出センサの底面図である。
【図4】同実施の形態を示す光量検出センサの主要部分の配置図である。
【図5】同実施の形態を示す光量検出センサの光路図である。
【図6】本件発明の第2の実施の形態を示す光量検出センサの主要部分の配置図である。
【図7】本件発明の第3の実施の形態を示す光量検出センサの主要部分の配置図である。
【図8】本件発明の第4の実施の形態を示す光量検出センサの縦断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 光量検出センサ
2 レンズ
3 ハウジング
4 基板
5 日射センサ用受光素子
5a 受光面
6 オートライトセンサ用受光素子
6a 受光面
10 車両
11 インストルメントパネル
11a 上面
12 リアパーセル
12a 上面
21 凹部
22 スリット
31 ケース
32 コネクタ
100 光量検出センサ
200 光量検出センサ
300 ハウジング
302 コネクタ
312 突起
321 出力端子
322 出力端子
323 出力端子
324 出力端子
325 出力端子
326 出力端子
400 光量検出センサ
A 仮想線
O 中心
La 外光
Lb 外光
Lc 外光
Ld 外光
Le 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のレンズを共用して構成される日射センサとオートライトセンサとを備えている光量検出センサであって、
前記レンズの内面の中央部分には凹部が形成され、当該レンズの内側には、前記日射センサ用受光素子と前記オートライトセンサ用受光素子とが設けられ、
前記日射センサ用受光素子は、少なくともその一部が、前記レンズの凹部の下側に位置するように配置され、
前記オートライトセンサ用受光素子は、前記レンズの凹部の外周側に配置され、
前記日射センサは、前記レンズの少なくとも凹部を通過した外光が前記日射センサ用受光素子に照射されることにより、空調用の制御信号を出力するように構成され、
前記オートライトセンサは、前記レンズの凹部以外の部分を通過した外光が前記オートライトセンサ用受光素子に照射されることにより、ヘッドライト点消灯用の制御信号を出力するように構成されていることを特徴とする光量検出センサ。
【請求項2】
前記オートライトセンサ用受光素子は、前記レンズの凹部よりも車両前方側に配置され、前記日射センサ用受光素子は、前記レンズの凹部の中心よりも車両後方側に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の光量検出センサ。
【請求項3】
前記日射センサ用受光素子が1個の場合には、この日射センサ用受光素子は、前記レンズの凹部の中心の真後方に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の光量検出センサ。
【請求項4】
前記日射センサ用受光素子が2個の場合には、この2個の日射センサ用受光素子は、前記レンズの凹部の中心を車両前後方向に通る仮想線を基準にして左右対称に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の光量検出センサ。
【請求項5】
前記日射センサ用受光素子が3個の場合には、前記レンズの凹部の中心の真後方に1個の日射センサ用受光素子が配置され、この日射センサ用受光素子を基準にして2個の日射センサ用受光素子が左右対称に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の光量検出センサ。
【請求項6】
前記オートライトセンサ用受光素子の車両前方側に、前記レンズの車両前方側から当該レンズを通過した外光を遮るための遮光手段を配置したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光量検出センサ。
【請求項7】
前記光量検出センサは、車両のインストルメントパネルの上面の中央またはリアパーセルの上面の中央に設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光量検出センサ。
【請求項8】
前記光量検出センサは、前記インストルメントパネルの上面または前記リアパーセルの上面において、前記日射センサ用受光素子の受光面および前記オートライト用受光素子の受光面が水平になるように設けられたことを特徴とする請求項7に記載の光量検出センサ。
【請求項9】
前記光量検出センサは、前記レンズの内側に配置されて前記日射センサ用受光素子および前記オートライトセンサ用受光素子が実装される基板と、この基板と前記レンズの周縁部とを支持するハウジングと、このハウジングの内部に設けられて前記基板から出力される前記空調用の制御信号および前記ヘッドライト点消灯用の制御信号を当該ハウジングの外部へ出力するコネクタとを備えている光量検出センサであって、
前記ハウジングは、前記コネクタが内部に設けられた状態で前記基板と一体的に構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の光量検出センサ。
【請求項10】
前記基板は、前記日射センサ用受光素子から当該基板に入力された信号を処理して得られる前記空調用の制御信号およびグランド信号と、前記オートライトセンサ用受光素子から当該基板に入力された信号を処理して得られる前記ヘッドライト点消灯用の制御信号およびグランド信号とが当該基板から別々に出力されるように構成され、前記コネクタは、当該基板から別々に出力された各信号を別々に外部へ出力するように複数の出力端子を備えていることを特徴とする請求項9に記載の光量検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−68901(P2009−68901A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235493(P2007−235493)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】