説明

光量調整装置及びこれを備えた光学機器

【課題】作動不良、作動不能を起こすことが無く、絞り羽根の円滑な開閉動作が可能な光量調整装置の提供。
【解決手段】この光量調整装置では、露出開口を有する第1、第2から成る一対の基板と、前記一対の基板間に開閉可能に支持されその露出開口の通過光量を調節する複数の絞り羽根とを備え、その絞り羽根が、前記露出開口外に位置する基端部と、前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とを形成する羽根基板と、前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビデオカメラ、スチールカメラなどの撮像装置、或いはプロジェクタその他の投影装置等の光学機器に内蔵され、撮影光量、投映光量などの光量を調整する光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の光量調整装置は、撮影光路(或いは投影光路)に露出開口を有する基板を配置し、この基板の露出開口周囲に等間隔で複数枚の光量調節羽根を開閉自在に配置して、その露出開口を大口径又は小口径に光量調整する装置として知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、基板に形成した露出開口の周囲に複数枚の羽根を配置し、光路口径を小径から大径まで相似形で開閉する虹彩絞り装置が開示されている。このような絞り装置は、多数枚の羽根で円形状に近い口径で多段階に光量調整する特徴が知られている。
【0004】
同文献には、中央に露出開口を有する光軸方向前後一対のリング状基板の間に、しかも露出開口の周囲に複数の絞り羽根を鱗状に配置し、この複数の絞り羽根を基板の一方に設けた駆動ユニットで同時に開閉する開閉機構が開示されている。
【0005】
具体的に図16及び図16で示す様に、7枚の各絞り羽根104は、樹脂一体成形により羽根部104aと基端部104bが形成されている。その基端部104bの表裏には、一対のリング状基板100、110に軸支される第1の軸部104cと第2の軸部104dが樹脂成形により一体形成されている。その第1の軸部104cはリング状基板110に設けられた軸孔110aに対し軸支され、そのリング状基板110の回転によって露出開口の回りで変位可能で、また第2の軸部104dはリング状基板100に設けられたスリットガイド100aに沿ってスライド可能にガイド支持されている。そして、各絞り羽根104は同時に作動し露出開口を小径から大径まで相似形で開閉し光量調整している。
【0006】
また特許文献2には、特許文献1と同様な開閉機構に利用可能な絞り羽根の他の形成方法が開示されている。
【0007】
その絞りはねは、図17で示す様にレーザー溶着技術を用い製作する方法で、まず羽根基板となる薄いシート材をプレス加工により羽根部105aと基端部105bから成る羽根形状に型抜きする。その型抜きした羽根に上述の第1の軸部104cと第2の軸部104dに相当する軸部105c、105dを突き当て、その接合部105f、105gにレーザーを照射して溶着している。尚、レーザー溶着をするためには型抜きした羽根はレーザー照射熱で溶解する黒色で、軸部105c、105dはレーザーを透過可能な色、材料が選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−203576号公報
【特許文献2】特開2009−274217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、まず特許文献1の様に絞り羽根104の羽根部104a、基端部104b、第1・第2の軸部104c、104dを樹脂加工により一体成形する場合には、上述の図16で示すように、羽根部104aの肉厚t1は樹脂成形上の条件により制限を受け、その肉厚t1は0.1mm程度が限界で、特許文献2で示す型抜きする羽根シート材の肉厚t0が0.05mm程度には薄くすることが出来ない。
【0010】
その結果、絞り羽根104の羽根部104aの撓み量が小さ過ぎ、露出開口を小口径に絞った際に羽根同士が重なり、羽根部104aが強引に反らせられることで羽根同士が食付き、円滑に開閉することが出来ない作動不良を起こし易い課題を抱えている。
【0011】
一方、特許文献2の様に絞り羽根105の羽根基板として薄いシート材(肉厚0.05mm程度)をプレス加工により羽根部105aと基端部105bから成る羽根形状に型抜き成形し、軸部105c、105dをレーザー溶着する場合には、絞り羽根105の羽根部105aの肉厚t0を0.05mm程度に薄くすることが出来、十分な撓み量を得易く、小口径の状態で羽根同士が重なり反った状態でも羽根同士間に作用する摩擦ふかを特許文献1の場合と比較して小さく抑えることが出来、羽根同士が食付き難く作動不良はかなり改善される。
【0012】
しかしながら、このレーザー溶着により作られた絞り羽根105には以下の新たな課題が生じている。まず、小口径の状態で羽根部105a同士が重なり、羽根部105aが反り上がる際に、基端部105bと軸部105c、105dの接合部105f、105gに負荷が掛かり、そのレーザー溶着部が剥がれ易いこと。
【0013】
また、上述の様な作動不能とならなくとも図18(a)で示す様に、軸部105c、105dを基端部105bにレーザー溶着する際に、溶着斑で基端部105bの平面に対し軸部105c、105dが傾斜角X1、X2と傾き易く、軸部105c、105dの基準間隔L0に対し拡がり、又は狭く成り、結果、各絞り羽根の開閉角度が異なり絞り開口形状が歪ことで絞り性能を悪化させることが有る。
【0014】
更に、羽根基板として薄いシート材を用いることで、軸部105dを支持する基端部105b自体も薄く撓み易く、図18(b)で示す様に、軸部105dの重みによって基端部105bが撓み、結果、軸部105dの先端が基板100のスリット溝孔100aのスリット面と必要以上に接触することで、作動不良を起こし易い。
【0015】
本発明は、上述の課題に鑑みて成したものので、上述の様な作動不良、作動不能といった問題を起こすことが無く、絞り羽根の円滑な開閉動作が可能な光量調整装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を達成するため請求項1に記載する本発明の光量調整装置では、露出開口を有する第1、第2から成る一対の基板と、前記一対の基板間に開閉可能に支持され、その露出開口の通過光量を調節する複数の絞り羽根と、を備え、前記絞り羽根は、前記露出開口外に位置する基端部と、前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とを形成する羽根基板と、前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とから構成されている。
【0017】
また、請求項2に記載する本発明の光量調整装置では、露出開口を有する第1、第2から成る一対の基板と、前記一対の基板間に開閉可能に支持され、且つその露出開口の周囲に所定の間隔で順次重ねられ絞りを形成し、その露出開口の通過光量を調節する複数の絞り羽根と、を備え、前記絞り羽根は、前記露出開口外に位置する基端部と、前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成時に湾曲する羽根部とを形成する羽根基板と、前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とから成り、前記補助基板は、前記羽根基板の羽根部が絞り開口を形成時に湾曲する側の基端部に貼付している。
【0018】
また、請求項3に記載する本発明の光量調整装置では、前記請求項1及び2を構成する前記複数の絞り羽根は、互いに隣接する3枚の羽根の内、中央の羽根に対し隣接する一方の羽根が下側に、隣接する他方の羽根が上側に位置し、前記一対の基板の一方の基板上で露出開口の周囲に等間隔で順次積み重ね配設され、前記絞り羽根は、前記補助基板を前記一対の基板の他方の基板に対峙する側で前記羽根基板に配置している。
【0019】
また、請求項4に記載する本発明の光量調整装置では、前記請求項3を構成する前記一対の基板の一方の基板は、前記複数の絞り羽根を開閉する駆動リングで、前記駆動リングには前記補助基板の第1の軸部を支持する軸孔を形成し、前記一対の基板の他方の基板は、開放径となる露出開口を設定する地板で、前記地板には前記補助基板の第2の軸部をガイドするスリット溝を形成している。
【0020】
また、請求項5に記載する本発明の光量調整装置では、露出開口を有する第1、第2から成る一対の基板と、前記一対の基板間で、しかもその露出開口の通過光量を調節する複数の絞り羽根と、を備え、前記複数の絞り羽根は、互いに隣接する3枚の羽根の内、中央の羽根に対し隣接する一方の羽根が下側に、隣接する他方の羽根が上側に位置し、前記一対の基板の一方の基板上で露出開口の周囲に等間隔で順次積み重ね配設され、前記絞り羽根は、前記露出開口外に位置する基端部と、前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とを形成する羽根基板と、前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とから成り、前記補助基板を前記一対の基板の他方の基板に対峙する側で前記羽根基板に配置され、前記一対の基板の一方の基板は、前記複数の絞り羽根を開閉する駆動リングで、前記駆動リングには前記補助基板の第1の軸部を支持する軸孔を形成し、前記一対の基板の他方の基板は、開放径となる露出開口を設定する地板で、前記地板には前記補助基板の第2の軸部をガイドするスリット溝を形成して成る様に構成されている。
【0021】
更に、請求項6に記載する本発明の光学機器では、撮影レンズと、その撮影レンズを通過する光量を調整する光量調整装置と、この光量調整装置によって調整され撮影レンズを通過する光量を受光する受光手段とを備えた光学機器であって、前記光量調整装置は前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光量調整装置を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に記載の光量調整装置では、絞り羽根を前記露出開口外に位置する基端部と前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とを形成する羽根基板と、前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とで二つの部品で構成し、厚みが必要な基端部を補助基板で補強することによって、羽根基板を構成する基端部自体は薄くすることが出来、羽根基板を薄いシート材を型抜きにより形成することが可能で、その結果、薄いシート材から成る羽根基板の羽根部の厚さも樹脂成型の場合に比べの薄くすることが出来、露出開口を小口径に絞った際に羽根同士が重なった状態でも、羽根部が容易に反ることが出来ることで羽根同士の食付きが無く、円滑に開閉することが出来、作動不良や作動不能の発生を軽減することが出来る効果を有する。
【0023】
本発明の請求項2に記載の光量調整装置では、その補助基板を前記羽根基板の羽根部が絞り開口を形成時に湾曲する側の基端部に貼付することで、露出開口を小口径に絞った際に、羽根同士が重なりによって羽根の羽根部先端が弾性変形で反ることによって、羽根基板が補助基板を包み込む方向に湾曲することとなり、羽根基板と補助基板の貼付部に互いに剥ぎ取る方向の力が作用することが無く、剥がれ難く、作動不能の発生を軽減することが出来る効果を有する。
【0024】
本発明の請求項3に記載の光量調整装置では、上記請求項1及び2の効果を呈する絞り羽根からなる複数枚の絞り羽根を、互いに隣接する3枚の羽根の内、中央の羽根に対し隣接する一方の羽根が下側に、隣接する他方の羽根が上側に位置させる所謂鱗状に重ね絞りを形成する場合であっても、羽根部が容易に反ることが出来ることで羽根同士の食付きが無く、円滑に開閉することが出来、作動不良や作動不能の発生を軽減することが出来る効果を有する。
【0025】
本発明の請求項4に記載の光量調整装置では、前記絞り羽根を開閉自在に支持する一対の基板を一方を駆動リングで他方を地板で構成し、その駆動リングに形成した軸孔に係合する第1の軸部と、地板に形成したスリット溝に沿ってガイドされる第2の軸部とを前記補助基板で一体成形することによって、第1・第2の軸部の位置間隔精度が向上し、第1・第2の軸部と一対の基板との支持状態がより安定し円滑な作動と適正な絞り開口を形成することが可能となる効果を有する。
【0026】
本発明の請求項5に記載の光量調整装置では、前記複数の絞り羽根を開閉自在に支持する一対の基板の一方の基板を前記複数の絞り羽根を開閉する駆動リングとして、その駆動リングには前記補助基板の第1の軸部を支持する軸孔を形成し、一方、前記一対の基板の他方の基板を開放径となる露出開口を設定する地板として、その地板には前記補助基板の第2の軸部をガイドするスリット溝を形成することで、駆動リングの軸孔に絞り羽根の第1の軸部を差込みながら順次鱗状に積み重ねることで、複数の絞り羽根を駆動リングに形成した露出開口周囲に等間隔で容易且つ確実に配設可能で、その状態で上から地板を被せながら、絞り羽根の第2の軸部を地板のスリット溝に差込むことで絞りユニットの基本組立を完成することが出来、組立が容易で生産性の向上を図ることが出来る効果を有する。
【0027】
本発明の請求項6に記載の光学機器では、上述の請求項1乃至5の光量調整装置を搭載することで、光学機器における露出制御が適正に行うことが出来る効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係わる光量調整装置の組立分解図。
【図2】図1の装置における第1基板(地板)と羽根の組立て分解状態の斜視説明図。
【図3】図1の装置における第2基板(押さえ板)と羽根の組立て分解状態の斜視説明図。
【図4】図1の装置における各構成の平面状態を示し、(a)は第1基板(地板)を、(b)は第1ガイドプレート(第1摺動リング)を示す。
【図5】図1の装置における各構成の平面状態を示し、(a)は駆動リングを、(b)は第2ガイドプレート(第2摺動リング)を示す。
【図6】図1の装置における絞り羽根と駆動リングの開閉状態を示し、(a)は絞り羽根の組み合わせ状態を、(b)は羽根の開閉軌跡と駆動リングとの関係を示す説明図。
【図7】図1の装置における基板と羽根と駆動リングの組み立て状態の説明図であり、(a)は断面図、(b)は(a)図のA部拡大図、(c)は(a)図のB部材拡大図。
【図8】図1の装置における絞り羽根の作動状態説明図であり、(a)は大口径の状態を示し、(b)は小口径の状態を示す。
【図9】図1の装置における絞り羽根の開閉軌跡を示す説明図。
【図10】図1の装置に用いる絞り羽根の一実施形態を説明図であり、(a)はその要部拡大断面構造を示し、(b)はその絞り羽根の分解斜視図である。
【図11】図10で示す絞り羽根の状態変化を説明する拡大断面図である。
【図12】図1の装置における電磁駆動ユニットの説明図。
【図13】図1の装置を組み込んだ撮像装置の概念説明図。
【図14】図1の装置における絞り羽根の作動状態を説明する断面図図であり、(a)は大口径の状態を示し、(b)は小口径の状態を示す。
【図15】従来の絞りユニットの構成を説明するための要部断面図である。
【図16】図15に示す絞り羽根の問題を説明するための断面図である。
【図17】他の従来の絞りユニットの構成を説明するための要部断面図である。
【図18】図17に示す絞り羽根の問題点を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。図1は本発明に係わる光量調整装置Aの組立分解図である。図1に示すように光量調整装置Aは、第1基板組(地板組)1と、羽根組2と、第2基板組(駆動リング組)3と、押さえ板組4で構成されている。そして羽根組2は第1基板組1と駆動リング組3との間に開閉動可能に組み込まれている。このような構成によって羽根組2は第1基板組1と第2基板組3にサンドイッチ状に挟持され、第1第2基板組1、3を押さえ板組4と共に固定ビスで一体化(不図示)している。
【0030】
[第1基板組の構成]
まず図2の部分拡大図に従って第1基板組1の構成について説明する。第1基板組1は地板11と第1摺動リング15(第1ガイドプレート;以下同様)で構成されている。各構成について説明する。
(地板)
【0031】
地板11は露出開口12を有し、撮像装置の鏡筒形状に応じた形状に構成される。この地板11は金属、樹脂などで装置に強靭性を持たせる材質・寸法に形成されている。図示の地板11は、ガラス繊維などの強化繊維を混入した合成樹脂のモールド成形で形成している。これは地板11を薄型で小型軽量に構成するためである。
【0032】
地板11は中央部に露出開口12が設けられ、開口周縁は絞り羽根を支持する羽根支持面11x(平坦面若しくは凹凸面)を形成し、この支持面に絞り羽根を開閉方向に案内(運動規制)するガイド溝13が形成してある。このガイド溝13の構成については後述する。図示14は押さえ板41を固定する連結突起であり、突起内部にネジ穴が形成してある。
【0033】
(第1ガイドプレート)
第1ガイドプレート(第1摺動リング)15は、図2にその斜視構造を、図4(b)に平面構造を示すように地板11と略々同一形状のリング形状に形成されている。この第1ガイドプレート15は図7(a)に断面構造を示すように地板11の羽根支持面11xと絞り羽根21との間に介在し、羽根21が直接地板11と接触するのを避ける。図示の第1ガイドプレート15は地板11と略々同一の平面形状に形成している。
【0034】
この第1ガイドプレート15は、後述する羽根部材21との摩擦係数が小さい樹脂フィルムで形成されている。図示の第1ガイドプレート15は後述する羽根部材21と同一素材で、例えばポリエチレン樹脂フィルム(PETシート)の型抜き成形で形成されている。そして図4(b)にその形状を示すように地板11のガイド溝13と一致するガイド溝16が形成されている。
【0035】
従って、地板11を樹脂のモールド成形で、第1ガイドプレート15を樹脂フィルムの型抜き成形で形成する場合には、地板11の形状精度に比べ第1ガイドプレート15の形状精度を高精細に形成することが出来る。このことはモールド成形に比べ、ロール成形でシート状に形成した素材を型抜き成形することによって寸法精度が得られる為である。また第1ガイドプレート15の材質を絞り羽根21と同一材質にすることによって熱変化などの温度特性は羽根部材と実質的に同一となり、羽根21とガイドプレート15は同一素材で帯電列が同一であるから両者が摺動しても静電気を帯びることがない。
【0036】
図示の第1ガイドプレート15は地板11と略々同一形状に形成され、中央に位置する露出開口12の周縁に複数の絞り羽根21の基端部21xを支持し、羽根部21yは露出開口内部に臨ませるように支持する。(図9参照)
【0037】
尚、この第1ガイドプレート15のガイド溝16は図4(a)及び図7(c)で示す様に地板11のガイド溝13に比べて一回り小さく形成され、このガイド溝16が後述する羽根部材のガイドピン22のガイド基準を形成している。従って、地板11のガイド溝13はガイドピン22が多少傾いたとしても当接することが無い様に大きく形成され、その働きとしてはガイド溝16から外光が入射しない様に覆うためのものである。
【0038】
また、第1ガイドプレート15は上述した静電気対策が別の方法でなされれば、地板11のみの構造とすることが可能で、この場合には第1ガイドプレート15のガイド溝16に代えて地板11のガイド溝13を羽根部材のガイドピン22のガイド基準とすることも出来る。
【0039】
[羽根部材]
次に羽根組2の構成について図8乃至図10に従い説明する。この羽根組2は、図8に示すように複数の絞り羽根21a〜21iで構成されている。図示の絞り羽根21は、9枚の羽根で構成され、各羽根の形状は同一形状に形成されている。図9に絞り羽根21の作動状態を示すが、基端部21xは上述の第1摺動リング15を介して地板11に支持される。また羽根の羽根部21yは露出開口12を開閉する。このとき複数の羽根部材の羽根部21は互いに鱗状に重なり合って図8(a)の大口径から図8(b)の小口径の間で露出開口12を絞り込み光量調整を行なっている。
【0040】
この羽根部材21a〜21iについて、図10と図11及び図14で示す一実施例に従って詳述する。尚、図9は図1の装置における絞り羽根の開閉軌跡を示す説明図で、図10はその絞り羽根の一実施形態を説明図であり、(a)はその要部拡大断面構造を示し、(b)はその絞り羽根の分解斜視図であり、図14は図1の装置における絞り羽根の作動状態を説明する断面図図であり、(a)は大口径の状態を示し、(b)は小口径の状態を示す。
【0041】
まず、図10(b)で示す様に、羽根部材107(21)は羽根基板108と補助基板109から構成されている。羽根基板108は、黒色顔料を練り混んだ樹脂材(ポリエステル)を圧延加工でシート状に成形したシート材をプレス加工により羽根部108aと基端部108bから成る羽根形状に型抜きしたもので、その基端部108bには軸穴108bと位置決め用の孔108cと長孔108dを形成している。補助基板109は、樹脂材(ポリカーボネット)で基端部108bの外形とほぼ相似形に成形したもので、第1の軸部109c(ガイドピン22)と第2の軸部109b(作動ピン23)が表裏に植設されている。この第1の軸部109cは各羽根部材に第2の基板100(地板11)側に面する位置に配置され、第2の軸部109bはその反対面(後述する第2基板側)に配置されている。この第1の軸部109c(ガイドピン22)は後述するように根元部分が第1ガイドプレート15のガイド溝16に嵌合し、その先端部が地板11のガイド溝13内に収まる様に成っている。また、第2の軸部109b(作動ピン23)は羽根基板108の軸穴108bから突出し後述する第1の基板110(作動部材31)の軸孔121(33)に嵌合する。また、羽根基板108の位置決め用の孔108cと長孔108dと対峙する位置に位置決め用の孔109dと長孔109eを形成し、各羽根部材21a〜21iを作る際に冶工具を使って羽根基板108と補助基板109の両者を位置決めした状態で、図10(a)で示す様にレーザを照射して溶着部107a、107b、107cを適宜溶着し一体化している。尚、羽根基板108と補助基板109を接着剤、その他の固定手段を用いて一体化しもよい。
【0042】
また、羽根基板108を第1の基板110(作動部材31)側に、補助基板109を第2の基板100(地板11)側に配設している理由は、絞り口径が図8(b)で示す小口径になった状態では、例えば羽根部材21aの羽根部先端と羽根部材21fの羽根部先端間に羽根部材21b乃至羽根部材21eの羽根部先端が差し入れられた状態と成る。この結果、図11及び図14で示す様に羽根部材107(21)の羽根部108aが点線で示す様に捲り上がった状態と成る。この際に、図示の様に羽根基板108が補助基板109を包み込む方向に撓むことで、羽根部材107(21)の基端部108bに羽根基板108を補助基板109から剥し取る負荷が作用せず、剥がれ難く、作動不良や作動不能といった事態を招くのを防止している。
【0043】
[ガイド溝とカイドピンの関係]
上述の地板11に形成されたガイド溝13と第1ガイドプレート15に形成されたガイド溝16と各羽根部材21に形成されたガイドピン22(第1の軸部109c)の関係について説明する。
【0044】
地板11のガイド溝13は図7(a)(c)に示すように凹陥溝で構成され地板外部の光が透過されない盲穴形状に形成されている。また地板11をモールド成形で形成する関係から抜きテーパθが形成され、その平均内径はdcに設定されている。
【0045】
また第1ガイドプレート15のガイド溝16は、内径dbの貫通孔で形成されている。この貫通孔は樹脂フィルムの型抜き成形で均一径に形成されている。
【0046】
一方、各絞り羽根21a〜21iにはガイドピン22が植設され、その外径はdaに設定されている。そこで、このピン外径daとガイド溝内径dbとの関係は、da≦db<dcの関係に設定されている。つまり第1ガイドプレート15のガイド溝16は地板11のガイド溝13より狭小幅(db<dc)でガイドピン外径daと適合する寸法(da≦db)に設定されている。
【0047】
従って同図に示すように各羽根部材21a〜21iに植設されたガイドピン(第1の軸部109c(22))22は第1ガイドプレート15のガイド溝16と係合して運動規制され、地板11のガイド溝13とは接触しないこととなる。このためガイドピン(第1の軸部109c(22))22はテーパθを有する地板11のガイド溝13と不安定に係合することがない。これによって羽根部材21が傾くことも、浮き上がることもない。
【0048】
[第2基板組の構成]
図3に従って第2基板組(駆動リング組)3と押さえ板組4について説明する。押さえ板組4は押さえ板41と、補強板42と、押さえ板に固定した駆動ユニットMで構成されている。また第2基板組(駆動リング組)3は、作動部材(駆動リング)31と第2摺動リング(第2ガイドプレート)36で構成される。以下各構成について説明する。
【0049】
「押さえ板」
押さえ板41は図3に示すように中央部に開口43を有するリング形状に形成され、前述の地板11と略々同一形状に形成されている。図示の押さえ板41は樹脂のモールド成形で、外周の一部に駆動ユニットMの取付座46が設けてある。この取付座46に後述する駆動ユニットMがビスなどで固定される。図示45は押さえ板41を地板11の連結突起14にビス止めする連結孔である。
【0050】
「補強板」
補強板42は、図3に示すように金属などの比較的強靭な板材で構成され、樹脂製の押さえ板41を補強する。従って押さえ板41に十分な強度が得られるときには補強板42を省くことが可能である。この補強板42は押さえ板41と略々同一形状に形成され、中央に開口44が形成してある。
【0051】
上記押さえ板41の開口43と補強板42の開口44は、いずれも露出開口12の開口径Dより大きく設定してあり、開口43の開口径D1と開口44の開口径D2と露出開口12の開口径Dとは、D2≧D1>Dに設定されている。
【0052】
第2基板組(駆動リング組)3は駆動モータ(後述の駆動ユニット)Mの駆動を絞り羽根21に伝達する作動部材(駆動リング)31と、第2摺動リング(第2ガイドプレート)36で構成されている。
【0053】
「駆動リング」
作動部材(駆動リング)31は図3に示すように例えば樹脂のモールド成形で中央部に露出開口12を有するリング形状(以下「駆動リング」という)に形成されている。この駆動リング31は、補強板42を介して押さえ板41に回動自在に取り付けられている。このため駆動リング31には露出開口12の周縁にフランジ32と係合突起34が形成してある。フランジ32は押さえ板41の開口43と補強板42の開口44に嵌合し、露出開口12の中心と一致する回転中心で回動する。また係合突起34は補強板42と摺接する面に形成され両者を円滑に摺動するのを補助している。
【0054】
駆動リング31は上述のように押さえ板41に回動自在に組み込まれ、その周縁の一部には受動歯35が形成してある。この受動歯35は押さえ板41の取付座46に取付けられた後述する駆動ユニットMの駆動歯車53と噛合する位置に設けられている。
【0055】
上記駆動リング31には、各絞り羽根21a〜21iに植設された作動ピン(第2の軸部109b)23と嵌合する嵌合孔33が露出開口12の周縁に設けられている。この嵌合孔33は絞り羽根21の枚数に応じて露出開口12の周縁に複数(図示のものは9個所)配置されている。
【0056】
このような構成において駆動リング31は、押さえ基板41に回動自在に支持され、駆動ユニットMの駆動歯車53によって所定角度回転することとなる。そして駆動リング31の回転は各羽根部材21a〜21iに伝達されることとなる。
【0057】
「第2ガイドプレート」
第2ガイドプレート(第2摺動リング;以下同様)36は図3に示すように中央に露出開口12を有する樹脂フィルム(例えばポリエチレンなどの樹脂フィルム)で形成され、駆動リング31と羽根部材21の間に介在される。これは羽根部材21と駆動リング31が直接接触するのを避け、絞り羽根の円滑な開閉運動を得るためである。図示の第2ガイドプレート36は、絞り羽根21と同一素材で構成している。これは互いに摺動する羽根と摺動リングを同一材質にすることによって熱変化などの温度特性は羽根部材と実質的に同一となり、羽根と摺動リングは同一素材で帯電列が同一であるから両者が摺動しても静電気を帯びることがない。
【0058】
上記第2ガイドプレート36は駆動リング31と同様なリング形状に形成されている。この第2ガイドプレート36には駆動リング31の嵌合孔33と合致する位置に係合孔37が設けてある。この駆動リング31の嵌合孔33と摺動リングの係合孔37とは、図7(b)に示すように、各羽根に形成した第2の軸部109b(作動ピン)23の外径de、駆動リング31の嵌合孔33の直径dd、第2ガイドプレート36の係合孔37の直径dfとの関係を次式のように設定している。
de≦dd<df(式1)
つまり、羽根の作動ピン(第2の軸部109b)23の外径deと駆動リング31の嵌合孔33の直径ddが互いに適合するように嵌合し、第2ガイドプレート36の係合孔37の直径dfは、作動ピン(第2の軸部109b)23の外径deより十分大きく設定している。これによって羽根の作動ピン(第2の軸部109b)23は実質的に駆動リング31の嵌合孔33と嵌合し、第2ガイドプレート36の係合孔37とは係合しないこととなる。
【0059】
このように駆動リング31の嵌合孔33(直径dd)を第2ガイドプレート36の係合孔37(直径df)より小径に設定したのは次の理由による。第2ガイドプレート36は駆動リング31と羽根21との間に介在する。このため羽根21の開閉運動、或いは駆動リング31の回動運動で第2ガイドプレート36も回転運動する。このとき第2ガイドプレート36の係合孔37と駆動リング31の嵌合孔33が位置ズレしているか、加工精度で孔径が異なると図8(b)に示すように嵌合孔相互間に位相差Δt1が発生する。この位相差はガタつきとして羽根の開閉に影響する。
【0060】
このようなガタつき(位相差Δt1)が存在すると複数の絞り羽根は、或る羽根はΔt1だけ速く回転し、或る羽根はΔt1だけ遅く回転する。そして羽根先端の開閉位置ズレを招く。そこで本発明は第2ガイドプレート36の係合孔37を駆動リング31の嵌合孔33より大きく設定し、羽根の作動ピン(第2の軸部109b)23と係合しないように孔径を設定している。
【0061】
[駆動ユニットM]
図12に駆動ユニットMの一実施形態を示す。同図の駆動ユニットMはマグネットロータ50と、ステータコイル51と駆動回転軸52と、駆動歯車53と、ヨーク54で構成されている。マグネットロータ50は駆動回転軸52と永久磁石56を一体化して構成され、駆動回転軸52の両端部はコイル枠55に軸受け支持されている。永久磁石56は外周にNS2極が形成され、駆動回転軸52には駆動歯車53が取り付けられている。また、ステータコイル51はコイル枠55と、これに巻回されたコイル58で構成されている。このコイル枠55は内部にロータを内蔵するため、左右若しくは上下に2分割されている。このコイル枠55にはブラケット57が一体形成され、外周にヨーク54が嵌装されている。
【0062】
このような構成で、コイル58に通電するとマグネットロータ50は時計方向若しくは反時計方向に所定角度正逆転し、駆動歯車53を正逆転する。このように構成された駆動ユニットMは押さえ板41の取付座46にブラケット57をネジなどで固定する。そして駆動歯車53を駆動リング31の受動歯35に噛合する。これによって駆動リング31は、図3時計方向と反時計方向に所定角度往復動し、絞り羽根21を開閉動する。
【0063】
[組立て状態の説明]
図1に従って光量調整装置Aの組み立て状態を説明する。上述のようにまず駆動ユニットMを押さえ板41にマウントした状態で補強板42を重ね押え板組4を組み立て、その上から駆動ユニットMの駆動歯車53に駆動リング31の受動歯35が噛合する様に駆動リング31させる。更に第2ガイドプレート36を駆動リング31に重ね合わせ、第2ガイドプレート36の係合孔37と駆動リング31の嵌合孔33の孔位置を合わせ第2基板組3を組み立てる。
【0064】
そして、その第2基板組3に対し図2で示す様に第1〜第9絞り羽根21a〜21iの各作動ピン(第2の軸部109b)23を第2ガイドプレート36の係合孔37を介し駆動リング31の嵌合孔33に嵌合させながら第1〜第9絞り羽根21a〜21iを順次重ね合わせる。尚、図8で示す様に最後に重ねる第9絞り羽根21iの羽根部21yを第1絞り羽根21aの基端部21xの下になる様に挿し入れる。この組立を行うことで第1〜第9絞り羽根21a〜21iの何れの絞り羽根21も隣接する絞り羽根21に対し一方の絞り羽根に対しては上側に位置し、他方の絞り羽根に対しては下側に位置する状態と成る所謂鱗状に積み重ねることが出来る。この様に鱗状に積み重ねた絞り羽根を小口径に絞り込むことで図8(b)で示す様に第1〜第9絞り羽根21a〜21iの各羽根部が重ねられることで、図示小口径の状態で第1基板組1の支えが無くとも絞り開口平面に対しほぼ平行に保持可能になっている。
【0065】
次いで、第1ガイドプレート15を地板11に重ね合わせ、第1ガイドプレート15のガイド溝16と地板11のガイド溝13の溝位置を合わせ第1基板組1を組み立て、第1〜第9絞り羽根21a〜21iを順次第2基板組3上に重ねた状態で図2の上下逆にした状態で、その各羽根部材21a〜21iの上に第1基板組1を重ね合わせ、各羽根部材21のガイドピン(第1の軸部109c(22))22を第1ガイドプレート15のガイド溝16に嵌合させ、各羽根部材21のガイドピン(第1の軸部109c(22))22の先端部を地板11のガイド溝13内に収納する。
【0066】
そこで地板11と押さえ板41を固定ビスで固定する。これによって地板11、第1ガイドプレート15、羽根部材21、第2ガイドプレート36、駆動リング31、補強板42、押さえ板41が図1で示す様に順次上方に重ね合わせられ、一体化される。
【0067】
[羽根の開閉動作]
次に、図8及び図9に従って絞り羽根の開閉動作について説明する。図8(a)は露出開口12の周囲に複数の絞り羽根を配置し大口径の状態を示し、図8(b)は小口径の状態を示している。また図9はこの複数の羽根の1枚の開閉動作状態を示す。同図8(a)のように露出開口12の周囲には、光路中心Oを基準に所定角度隔てた位置(図示のものは9枚の羽根を角度40度ずつ隔てた位置)に複数の絞り羽根21a〜21iが鱗状に配置されている。各絞り羽根21a〜21iは地板11に形成したガイド溝13にガイドピン22が嵌合してある。これと共に各絞り羽根21a〜21iに形成された作動ピン23は、駆動リング31の軸孔33に嵌合されている。
【0068】
そして駆動リング31は光路中心Oを中心に前述の駆動ユニットMによって所定角度範囲で時計方向と反時計方向に回転する。このときの羽根の開閉動作を同図(b)に従って説明する。作動ピン23は駆動リング31の回転で図示光路中心Oから半径Lの円弧軌跡x−xで図示c点からd点に同図時計方向に回転移動する。またガイドピン22はガイド溝16に沿って図示y−7y軌跡でa点からb点に移動する。
【0069】
この作動ピン23とガイドピン22の移動で絞り羽根21は同図実線(大口径状態)から同図破線(小口径状態)に開閉動する。なお図示の装置は小口径状態のとき露出開口12は小絞り状態に設定され、大口径状態のときには全開状態に設定されている。従って駆動ユニットMに供給する電流に応じて絞り羽根21は、小絞り状態から全開状態に任意の開口径で開閉し、露出開口12を通過する光量を大小調整することとなる。
【0070】
[撮像装置]
次に上述の光量調整装置Aを用いた撮像装置について図13に基づいて説明する。スチールカメラ、ビデオカメラ等のレンズ鏡筒に前述の光量調整装置を組込む。図示Bは撮影光路に配置した前レンズ、Cは後レンズであり、これ等のレンズで被写体像を結像しその結像面に撮像手段Sを配置する。撮像手段SとしてはCCDなどの固体撮像素子或いは感光フィルムなどを用いる。そして制御はCPU制御回路、露出制御回路、及びシャッタ駆動回路で実行するように構成する。図示のSW1はメイン電源スイッチであり、SW2はシャッタレリーズスイッチを示す。カメラ装置としての制御には、この他オートフォーカス回路などが用いられるが良く知られた構成であるので説明を省く。
【0071】
そこでレンズ鏡筒に組込まれた前レンズBと後レンズCとの間に絞り装置Eとシャッタ装置(不図示)を組込む。この絞り装置Eには前述の絞り羽根21及び駆動ユニットMが組込まれている。そこで制御CPUは露出量、シャッタスピードなどの撮影条件を設定し、露出制御回路及びシャッタ駆動回路に指示信号を発する。まず露光量は露出制御回路が制御CPUからの指示信号で駆動装置Mのコイルに所定方向の電流を供給する。すると絞り羽根21は駆動装置Mの回転を駆動歯車53を介して作動ピン23から伝達され、最適露光量に露出開口12を絞る。
【0072】
次いで、レリーズ釦が操作されると、CCDなどの固体撮像素子の場合すでにチャージされている電荷を放出し、撮影を開始する。そこでシャッタ駆動回路は制御CPUから予め設定された露光時間の経過後、シャッタ動作開始の信号を受け駆動装置のコイルにシャッタ閉成方向の電流を供給する。このシャッタ動作の後、撮像手段SがCCD(固体撮像素子)の場合は画像処理回路に画像データが転送されメモリなどに蓄積される。
【0073】
以上説明する光量調整装置は、図示しないが例えば、撮影レンズと、その撮影レンズを通過する光量を調整する光量調整装置と、この光量調整装置によって調整され撮影レンズを通過する光量を受光する受光手段とを備えたカメラ、プロジェクタ、光学顕微鏡等の光学機器に搭載され利用されている。
【符号の説明】
【0074】
A 光量調整装置
1 第1基板組(地板組)
11 地板(一対の基板<第2の基板>)
12 露出開口
13 スリット溝
15 第1ガイドプレート
16 ガイド溝
2 羽根組
21(107) 羽根部材(絞り羽根)
108 羽根基板
21x(108b)基端部
21y(108a)羽根部
109 補助基板
109a 接合面
109b 第1の軸部
109c 第2の軸部
3 第2基板組(駆動リング組)
31 駆動リング(一対の基板<第1の基板>)
111 軸孔
36(120) 第2ガイドプレート
4 押え板組
41 押さえ板
42 補強板
M 駆動ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出開口を有する第1、第2から成る一対の基板と、
前記一対の基板間に開閉可能に支持され、その露出開口の通過光量を調節する複数の絞り羽根と、を備え、
前記絞り羽根は、
前記露出開口外に位置する基端部と、前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とを形成する羽根基板と、
前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とから成ることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
露出開口を有する第1、第2から成る一対の基板と、
前記一対の基板間に開閉可能に支持され、且つその露出開口の周囲に所定の間隔で順次重ねられ絞りを形成し、その露出開口の通過光量を調節する複数の絞り羽根と、を備え、
前記絞り羽根は、
前記露出開口外に位置する基端部と、前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成時に湾曲する羽根部とを形成する羽根基板と、
前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とから成り、
前記補助基板は、の基端部に貼付されて成ることを特徴とする光量調整装置。
【請求項3】
前記複数の絞り羽根は、互いに隣接する3枚の羽根の内、中央の羽根に対し隣接する一方の羽根が下側に、隣接する他方の羽根が上側に位置し、前記一対の基板の一方の基板上で露出開口の周囲に等間隔で順次積み重ね配設され、
前記絞り羽根は、前記補助基板を前記一対の基板の他方の基板に対峙する側で前記羽根基板に配置して成る請求項1及び2に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記一対の基板の一方の基板は、前記複数の絞り羽根を開閉する駆動リングで、
前記駆動リングには前記補助基板の第1の軸部を支持する軸孔を形成し、
前記一対の基板の他方の基板は、開放径となる露出開口を設定する地板で、
前記地板には前記補助基板の第2の軸部をガイドするスリット溝を形成して成る請求項3に記載の光量調整装置。
【請求項5】
露出開口を有する第1、第2から成る一対の基板と、
前記一対の基板間で、しかもその露出開口の通過光量を調節する複数の絞り羽根と、
を備え、
前記複数の絞り羽根は、互いに隣接する3枚の羽根の内、中央の羽根に対し隣接する一方の羽根が下側に、隣接する他方の羽根が上側に位置し、前記一対の基板の一方の基板上で露出開口の周囲に等間隔で順次積み重ね配設され、
前記絞り羽根は、
前記露出開口外に位置する基端部と、前記露出開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とを形成する羽根基板と、
前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の軸部と、接合面逆側に立設する第2の軸部を形成する補助基板とから成り、
前記補助基板を前記一対の基板の他方の基板に対峙する側で前記羽根基板に配置され、
前記一対の基板の一方の基板は、前記複数の絞り羽根を開閉する駆動リングで、
前記駆動リングには前記補助基板の第1の軸部を支持する軸孔を形成し、
前記一対の基板の他方の基板は、開放径となる露出開口を設定する地板で、
前記地板には前記補助基板の第2の軸部をガイドするスリット溝を形成して成ることを特徴とする光量調整装置。
【請求項6】
撮影レンズと、
その撮影レンズを通過する光量を調整する光量調整装置と、
この光量調整装置によって調整され撮影レンズを通過する光量を受光する受光手段とを備えた光学機器であって、
前記光量調整装置は前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光量調整装置を備えたことを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−159637(P2012−159637A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18513(P2011−18513)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】