説明

光量調整装置

【課題】光路開口を複数の羽根部材で開閉自在に覆って光量調節する際に、羽根の開閉運動が円滑で正確に光量調整することが可能であると共に外部光が光路内に進入する恐れの少ない光量調整装置を提供する。
【解決手段】樹脂フィルムで形成した摺動部材を介して複数の絞り羽根を基板に開閉自在に支持し、各絞り羽根に形成した突起をこの摺動部材と基板それぞれに形成したガイド溝に嵌合する。このとき基板のガイド溝は凹陥溝で、摺動部材のガイド溝は貫通孔で形成すると共に、摺動部材の貫通孔は基板の凹陥溝より狭小幅で絞り羽根の突起と係合して開閉方向に絞り羽根を案内するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビデオカメラ、スチールカメラなどの撮像装置、或いはプロジェクタその他の投影装置に内蔵され、撮影光量、投映光量などの光量を調整する光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の光量調整装置は、撮影光路(或いは投影光路)に光軸開口を有する基板を配置し、この基板に複数枚の光量調節羽根を開閉自在に配置して光軸開口を大口径又は小口径に光量調整する装置として知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、基板に形成した光軸開口の周囲に複数枚の羽根を配置し、光路口径を小径から大径まで相似形で開閉する虹彩絞り装置が開示されている。このような絞り装置は、多数枚の羽根で円形状に近い口径で多段階に光量調整する特徴が知られている。
【0004】
同文献には、中央に光路開口を有する上下一対のリング状基板の間に複数の絞り羽根を配置し、この複数の絞り羽根を基板の一方に設けた駆動ユニットで開閉する開閉機構が開示されている。
【0005】
また特許文献2には、文献1と同様にリング形状に形成した基板間に複数の絞り羽根を配置し、基板の一方に設けた駆動ユニットで羽根を開閉動する装置が開示されている。このように光路開口の周囲に複数の羽根を鱗状に配置し、基板の一方に設けた駆動ユニットで開閉動する装置は広く知られている。
【0006】
そして複数の羽根を開閉動する機構は、基板に羽根の運動軌跡に沿ってガイド溝を設け、このガイド溝に羽根に植設したピンを嵌合し、他方の基板に設けた伝動リングで羽根を所定方向に回動させることによって複数の羽根の運動を規制している。このため羽根を支持する基板には羽根の枚数に応じたガイド溝が光路開口の周縁に配置されている。このガイド溝の構造は特許文献1の図4に開示されている。
【0007】
また特許文献2には、基板の光軸開口を2枚の羽根で光量調整する装置が開示されている。そして基板には複数の羽根を開閉動する電磁駆動ユニットが設けられ、この駆動ユニットの回転を特許文献1の装置は駆動リングで複数の羽根を同時に回動移動し、特許文献2の装置は駆動アームで2枚の羽根を同時に摺動移動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−20438号公報(図1、図4)
【特許文献2】特開2006−322979号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように光路開口の周縁に複数の羽根を配置し、この羽根を開閉動して光路口径を大小調製する絞り装置は、特許文献1、2などで既に知られている。この場合、複数の絞り羽根は、合成樹脂、金属などで形成した上下一対の基板間に支持され、羽根先端部を光路開口に臨ませて基端部を光路開口周縁の基板に支持している。
【0010】
そこで従来は、基板の一方に例えばリング形状の作動部材を設け、この作動部材を駆動ユニットで回動させ、その運動を各羽根部材に伝動している。そして基板の他方には羽根先端部を正確に開閉動させるため、その運動方向にガイド孔を設け、羽根に設けたピンを嵌合させている。
【0011】
このような構造の羽根開閉機構では、光路開口の周縁に複数のガイド溝を基板に設けることとなり、従来はこのガイド孔を基板の表裏面を貫通するスリット形状に構成して基板と一体成型している。
【0012】
一方、羽根部材は合成樹脂のフィルム材(例えばポリエチレンフィルム)を所定形状に型抜き成型し、その後、このフィルム材にピンを溶着するなど植設している。
【0013】
図8に従来の羽根開閉機構におけるガイド孔と植設ピンとの嵌合状態を説明する。同図(a)に示すように基板100には、型成型でガイド孔101が形成され、このガイド孔に羽根104の植設ピン102が嵌合している。このときガイド孔101は型成形時の抜きテーパθと孔内径との間に摺動のためのギャップが必要となる。このテーパとキャップによって植設ピン102が同図(b)のように傾くことがある。その原因は植設ピンの先端がガイド孔内壁と点接触することによるが、この植設ピンの傾きによって羽根が傾いて正確な開閉動作が得られない。
【0014】
この問題と同時に同図(c)に示すようにガイド孔101は羽根の開閉方向の軌跡に沿った長孔に形成されているため同図矢印方向に外部の光が光路開口103に向けて入り込む。このガイド孔が光路開口の周縁に複数形成されるため外部光が光路内に散入する問題がある。
【0015】
そこで本発明者は羽根と基板の間に樹脂フィルムのシートを介在させ、羽根の円滑な開閉動作を得ると同時に上述問題を解決するとの着想に至った。このため基板には外部の光が散入しない凹陥溝を形成し、羽根を開閉方向に規制するガイド溝を樹脂フィルムに形成することを案出するに至った。
【0016】
本発明は、光路開口を複数の羽根部材で開閉自在に覆って光量調節する際に、羽根の開閉運動が円滑で正確に光量調整することが可能であると共に外部光が光路内に進入する恐れの少ない光量調整装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するため本発明は、樹脂フィルムで形成した摺動部材を介して複数の絞り羽根を基板に開閉自在に支持し、各絞り羽根に形成した突起をこの摺動部材と基板それぞれに形成したガイド溝に嵌合する。このとき基板のガイド溝は凹陥溝で、摺動部材のガイド溝は貫通孔で形成すると共に、摺動部材の貫通孔は基板の凹陥溝より狭小幅で絞り羽根の突起と係合して開閉方向に絞り羽根を案内するように構成することを特徴としている。
【0018】
更にその構成を詳述すると、光路開口を有する基板(11)と、光路開口の通過光量を調整する複数の絞り羽根(21)と、複数の絞り羽根を開閉動する作動部材(31)と、この作動部材を駆動する駆動手段(M)とを備える。そして複数の絞り羽根は、樹脂フィルムで形成された摺動部材(15)を介して基板に支持し、基板と摺動部材には、複数の絞り羽根に形成された突起と嵌合して羽根を開閉方向に案内するガイド溝(13,16)を設ける。この基板のガイド溝(13)は凹陥溝で、摺動部材のガイド溝(16)は貫通孔で形成すると共に、摺動部材の貫通孔は基板の凹陥溝より狭小幅で絞り羽根の突起(22)と係合して開閉方向に絞り羽根を案内するように構成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、光路開口を有する基板に複数の絞り羽根を樹脂フィルムで形成した摺動部材を介して開閉自在に支持し、各絞り羽根に形成した突起を摺動部材の貫通孔と基板の凹陥溝に嵌合し、この貫通孔を凹陥溝より狭小幅で羽根の突起と係合させたものであるから以下の効果を奏する。
【0020】
複数の絞り羽根は、樹脂フィルムで形成した摺動部材を介して基板に開閉自在に支持されているから、基板を摩擦係数の大きい材質で構成しても羽根の円滑な開閉運動を得ることが出来る。従って基板を例えば強化繊維を混入した樹脂成型で作製し、基板表面に繊維が飛び出しても羽根が直接接することがないから、羽根の円滑な運動を妨げることがない。
【0021】
また、各絞り羽根に形成した突起を基板と摺動部材に形成したガイド溝で開閉方向に運動規制する際に、摺動部材のガイド溝を基板のガイド溝より狭小幅に形成して羽根の突起と係合させてあるから羽根部材は摺動部材のガイド溝に沿って開閉することとなる。このため基板のガイド溝は羽根の運動に影響を及ぼすことがないからその製作が容易である。特に、基板を型成形する場合に抜きテーパなど溝形状を自由に設定することが出来る。
【0022】
これと共に基板のガイド溝は凹陥溝で形成してあるから羽根の運動軌跡に沿って形成するガイド溝から外部光が光路内に進入することがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わる光量調整装置の組立分解図。
【図2】本発明に係わる光量調整装置の一実施形態を示し、基板と羽根の組み立て状態の説明図。
【図3】図2の装置における押さえ基板と羽根の組み立て状態の説明図
【図4】図2の装置における部品の説明図を示し、(a)は第2摺動リングであり、(b)は第1摺動リングであり、(c)は地板を示す。
【図5】(a)は絞り羽根の形状説明図であり、(b)は羽根の開閉動作状態の説明図。
【図6】(a)は羽根の形状図であり、(b)はガイドピンとガイド溝との嵌合状態を示し、(c)は(b)の拡大説明図。
【図7】図5の装置における電磁駆動ユニットの説明図。
【図8】従来の羽根開閉機構の説明図であり、(a)は嵌合状態を示し、(b)は羽根が傾いた状態を示し、(c)は(a)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。図1は本発明に係わる光量調整装置Aの組立分解図である。図1に示すように光量調整装置Aは、第1基板組(地板組)1と、羽根組2と、駆動リング組3と、第2基板組4(押さえ板組)で構成されている。そして第1基板組1に羽根組2が組み込まれ、この羽根組2の上に駆動リング組3と第2基板組4が組み込まれている。このような構成によって羽根組2は第1基板組1と第2基板組4にサンドイッチ状に挟持され、第1第2基板組1,4を固定ビスで一体化(不図示)している。
【0025】
[第1基板組の構成]
図2に従って第1基板組1と羽根組2の構成について説明する。第1基板組1は地板11と摺動リング15(摺動部材;以下同様)で構成され、羽根組2は複数の絞り羽根21a〜21iで構成されている。各構成について説明する。
【0026】
地板11は光路開口12を有し、撮像装置の鏡筒形状に応じた形状に構成される。この地板11は金属、樹脂などで装置に強靭性を持たせる材質・寸法に形成されている。図示の地板11は、ガラス繊維などの強化繊維を混入した合成樹脂のモールド成形で形成している。これは地板11を薄型で小型軽量に構成するためである。
【0027】
地板11は中央部に光路開口12が設けられ、開口周縁は絞り羽根を支持する羽根支持面11x(平坦面若しくは凹凸面)を形成し、この支持面に絞り羽根を開閉方向に案内(運動規制)するガイド溝13が形成してある。このガイド溝13の構成については後述する。図示14は押さえ板41を固定する連結突起であり、突起内部にネジ穴が形成してある。
【0028】
「第1摺動リング」
第1摺動リング15(基板側摺動部材;以下同様)は、地板の羽根支持面11xと絞り羽根21との間に介在し、羽根部材が直接地板11と接触するのを避ける。このため摺動部材15はリング形状に形成され、以下これを摺動リングという。この第1摺動リング15は中央部に光路開口12を有するリング形状に形成されている。図示の第1摺動リング15は地板11と略々同一の平面形状に形成している。
【0029】
この第1摺動リング15は、後述する羽根部材21との摩擦係数が小さい樹脂フィルムで形成されている。図示の第1摺動リング15は後述する羽根部材21と同一素材で、例えばポリエチレン樹脂フィルムの型抜き成形で形成されている。そして図4(b)にその形状を示すように地板11のガイド溝13と一致するガイド溝16が形成されている。このガイド溝16については後述する。
【0030】
従って、地板11を樹脂のモールド成形で、第1摺動リング15を樹脂フィルムの型抜き成形で形成する場合には、地板11の形状精度に比べ摺動リング15の形状精度を高精細に形成することが出来、また第1摺動リング15の材質を絞り羽根21と同一材質にすることによって熱変化などの温度特性は羽根部材と実質的に同一となる。
【0031】
図示の第1摺動リング15は地板11と略々同一形状に形成され、中央に位置する光路開口12の周縁に複数の絞り羽根21(21a〜21i)の基端部21xを支持し、先端部21yは光路開口内部に臨ませるように支持する(図6(a)参照)。
【0032】
「羽根部材」
羽根組2は、複数の絞り羽根21a〜21iで構成されている。図示の絞り羽根21は、9枚の羽根で構成され、各羽根の形状は同一形状に形成されている。図5に羽根形状の一例を示すが、基端部21xは上述の第1摺動リング15を介して地板11に支持される。また羽根の先端部21yは光路開口12を開閉する。このとき複数の羽根部材の先端部21xは互いに鱗状に重なり合って円形状の光路口径12を形成する形状になっている。
【0033】
各羽根部材21a〜21iには、図6(a)に示すように第1の突起(ガイドピン)22と第2の突起(作動ピン)23が表裏に植設されている。このガイドピン22は各羽根部材に地板11側に面する位置に配置され、作動ピン23はその反対面(後述する第2基板側)に配置されている。このガイドピン22は後述するように地板11のガイド溝13と、第1摺動リング15のガイド溝16に嵌合し、作動ピン23は後述する作動部材31の嵌合孔33に嵌合する。なお、図示24は羽根部材21に第1第2の突起22、23を植設(例えば溶融接着)する際の位置決め孔であり、羽根外形状と第1第2の突起22,23の植設位置を設定する。
【0034】
[ガイド溝とカイドピンの関係]
上述の地板11に形成されたガイド溝13と第1摺動リング15に形成されたガイド溝16と各羽根部材21に形成されたガイドピン22の関係について説明する。
【0035】
地板11のガイド溝13は図6(b)(c)に示すように凹陥溝で構成され地板外部(同図矢印方向)の光が透過されない盲穴形状に形成されている。また地板11をモールド成形で形成する関係から抜きテーパθが形成され、その平均内径はdcに設定されている。
【0036】
また第1摺動リング15のガイド溝16は、内径dbの貫通孔で形成されている。この貫通孔は樹脂フィルムの型抜き成形で均一径に形成されている。
【0037】
一方、各絞り羽根21a〜21iにはガイドピン22が植設され、その外径はdaに設定されている。そこで、このピン外径daとガイド溝内径dbとの関係は、da≦db<dcの関係に設定されている。つまり第1摺動リング15のガイド溝16は地板11のガイド溝13より狭小幅(db<dc)でガイドピン外径daと適合する寸法(da≦db)に設定されている。
【0038】
従って同図に示すように各羽根部材21に植設されたガイドピン22は第1摺動リング15のガイド溝16と係合して運動規制され、地板11のガイド溝13とは接触しないこととなる。このためガイドピン22はテーパθを有する地板11のガイド溝13と不安定に係合することがない。これによって羽根部材21が傾くことも、浮き上がることもない。
【0039】
[第2基板組の構成]
図3に従って第2基板組4と駆動リング組3について説明する。第2基板組4は押さえ板41と、補強板42と、押さえ板に固定した駆動ユニットMで構成されている。また駆動リング組3は、作動部材31と第2摺動リング36で構成される。以下各構成について説明する。
【0040】
「押さえ板」
押さえ板41は図3に示すように中央部に開口43を有するリング形状に形成され、前述の地板11と略々同一形状に形成されている。図示の押さえ板41は樹脂のモールド成形で、外周の一部に駆動ユニットMの取付座46が設けてある。この取付座46に後述する駆動ユニットMがビスなどで固定される。図示45は押さえ板41を地板11の連結突起14にビス止めする連結孔である。
【0041】
「補強板」
補強板42は、図3に示すように金属などの比較的強靭な板材で構成され、樹脂製の押さえ板41を補強する。従って押さえ板41に十分な強度が得られるときには補強板42を省くことが可能である。この補強板42は押さえ板41と略々同一形状に形成され、中央に開口44が形成してある。
【0042】
上記押さえ板41の開口43と補強板42の開口44は、いずれも光路開口12の開口径Dより大きく設定してあり、開口43の開口径D1と開口44の開口径D2と光路開口12の開口径Dとは、D2≧D1>Dに設定されている。
【0043】
駆動リング組3は駆動モータ(後述の駆動ユニット)Mの駆動を絞り羽根21に伝達する作動部材31と、第2摺動リング36で構成されている。
【0044】
「作動部材」
作動部材31は図3に示すように例えば樹脂のモールド成形で中央部に光路開口12を有するリング形状(以下「駆動リング」という)に形成されている。この駆動リング31は、補強板42を介して押さえ板41に回動自在に取り付けられている。このため駆動リング31には光路開口12の周縁にフランジ32と係合突起34が形成してある。フランジ32は押さえ板41の開口43と補強板42の開口44に嵌合し、光路開口12の中心と一致する回転中心で回動する。また係合突起34は補強板42と摺接する面に形成され両者を円滑に摺動するのを補助している。
【0045】
駆動リング31は上述のように押さえ板41に回動自在に組み込まれ、その周縁の一部には受動歯35が形成してある。この受動歯35は押さえ板41の取付座46に取付けられた後述する駆動ユニットMの駆動歯車53と噛合する位置に設けられている。
【0046】
上記駆動リング31には、各絞り羽根21に植設された作動ピン23と嵌合する嵌合孔33が光路開口12の周縁に設けられている。この嵌合孔33は絞り羽根21の枚数に応じて光路開口12の周縁に複数(図示のものは9個所)配置されている。
【0047】
このような構成において駆動リング31は、押さえ基板41に回動自在に支持され、駆動ユニットMの駆動歯車53によって所定角度回転することとなる。そして駆動リング31の回転は各羽根部材21a〜21iに伝達されることとなる。
【0048】
「第2摺動リング」
第2摺動リング(押さえ板側摺動リング;以下同様)36は図3に示すように中央に光路開口12を有する樹脂フィルム(例えばポリエチレンなどの樹脂フィルム)で形成され、駆動リング31と羽根部材21の間に介在される。これは羽根部材21と駆動リング31が直接接触するのを避け、絞り羽根の円滑な開閉運動を得るためである。このため第2摺動リング36は駆動リング31と同様なリング形状に形成されている。この第2摺動リング36には駆動リング31の嵌合孔33と合致する位置に嵌合孔37が設けてある。
【0049】
[駆動ユニットM]
図7に駆動ユニットMの一実施形態を示す。同図の駆動ユニットMはマグネットロータ50と、ステータコイル51と駆動回転軸52と、駆動歯車53と、ヨーク54で構成されている。マグネットロータ50は駆動回転軸52と永久磁石56を一体化して構成され、駆動回転軸52の両端部はコイル枠55に軸受け支持されている。永久磁石56は外周にNS2極が形成され、駆動回転軸52には駆動歯車53が取り付けられている。また、ステータコイル51はコイル枠55と、これに巻回されたコイル58で構成されている。このコイル枠55は内部にロータを内蔵するため、左右若しくは上下に2分割されている。このコイル枠55にはブラケット57が一体形成され、外周にヨーク54が嵌装されている。
【0050】
このような構成で、コイル58に通電するとマグネットロータ50は時計方向若しくは反時計方向に所定角度正逆転し、駆動歯車53を正逆転する。このように構成された駆動ユニットMは押さえ板41の取付座46にブラケット57をネジなどで固定する。そして駆動歯車53を駆動リング31の受動歯35に噛合する。これによって駆動リング31は、図3時計方向と反時計方向に所定角度往復動し、絞り羽根21を開閉動する。
【0051】
[組立て状態の説明]
図1に従って光量調整装置Aの組み立て状態を説明する。上述のように構成された地板11に第1摺動リング15を重ね合わせる。このとき地板11に設けた位置決めピン17が第一摺動リング15の位置決め孔18に嵌合して両者の位置決めがなされる。
【0052】
地板11と第1摺動リング15を重ね合わせて、摺動リング15上に第1〜第9絞り羽根21a〜21iを図2に示すように重ね合わせる。このとき各羽根部材21のガイドピン22をガイド溝13とガイド溝16に嵌合する。
【0053】
次いで、図3に示すように各羽根部材21の上に第2摺動リング36を重ね合わせ、各羽根部材21a〜21iの作動ピン23をリング側の嵌合孔37に嵌合する。そこで押さえ板41に補強板42を重ね合わせて第2摺動リング36上に重ね合わせる。このとき押さえ板41にマウントした駆動ユニットMの駆動歯車53を摺動リング31の受動歯35と噛合させる。
【0054】
そこで地板11と押さえ板41を固定ビスで固定する。これによって地板11、第1摺動リング15、羽根部材21、第2摺動リング36、駆動リング31、補強板42、押さえ板41が順次上方に重ね合わせられ、一体化される。
【0055】
[羽根の開閉動作]
次に、図5に従って絞り羽根の開閉動作について説明する。同図(a)は光路開口12の周囲に複数の絞り羽根を配置した状態を示し、(b)はこの複数の羽根の1枚の開閉動作状態を示す。同図(a)のように光路開口12の周囲には、光路中心Oを基準に所定角度隔てた位置(図示のものは9枚の羽根を角度40度ずつ隔てた位置)に複数の絞り羽根21a〜21iが鱗状に配置されている。各絞り羽根21a〜21iは地板11に形成したガイド溝13に第1の突起(ガイドピン)22が嵌合してある。これと共に各絞り羽根21a〜21iに形成された第2の突起(作動ピン)23は、駆動リング31の嵌合孔33に嵌合されている。
【0056】
そして駆動リング31は光路中心Oを中心に前述の駆動ユニットMによって所定角度範囲で時計方向と反時計方向に回転する。このときの羽根の開閉動作を同図(b)に従って説明する。作動ピン23は駆動リング31の回転で図示光路中心Oから半径Lの円弧軌跡x−xで図示c点からd点に同図時計方向に回転移動する。またガイドピン22はガイド溝16に沿って図示y−y軌跡でa点からb点に移動する。
【0057】
この作動ピン23とガイドピン22の移動で絞り羽根21は同図実線(オープン状態)から同図破線(クローズ状態)に開閉動する。なお図示の装置はクローズ状態のとき光路開口12は小口径の小絞り状態に設定され、オープン状態のときには全開状態に設定されている。従って駆動ユニットMに供給する電流に応じて絞り羽根21は、小絞り状態から全開状態に任意の開口径で開閉し、光路を通過する光量を大小調整することとなる。
【符号の説明】
【0058】
A 光量調整装置
1 第1基板組(地板組)
2 羽根組
3 駆動リング組
4 第2基板組(押さえ板組)
11 地板
11x 羽根支持面
12 光路開口
13 ガイド溝
14 連結突起
15 第1摺動リング(基板側摺動部材)
16 ガイド溝
17 位置決めピン
18 位置決め孔
21 絞り羽根(羽根部材)21a〜21i
21x 基端部
21y 先端部
22 第1の突起(ガイドピン)
23 第2の突起(作動ピン)
24 位置決め孔
31 作動部材(駆動リング)
35 受動歯
36 第2摺動リング(押さえ板側摺動リング)
41 押さえ板
42 補強板
46 取付座
50 マグネットロータ
51 ステータコイル
da ガイドピンの外径
dc 平均内径
db ガイド溝の内径
M 駆動ユニット
D 光路開口の開口径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路開口を有する基板と、
前記光路開口の通過光量を調整する複数の絞り羽根と、
前記複数の絞り羽根を開閉動する作動部材と、
この作動部材を駆動する駆動手段と、
を備え、
前記複数の絞り羽根は、
樹脂フィルムで形成された摺動部材を介して前記基板に支持され、
前記基板と摺動部材には、前記複数の絞り羽根に形成された突起と嵌合して羽根を開閉方向に案内するガイド溝が設けられ、
前記基板のガイド溝は凹陥溝で、前記摺動部材のガイド溝は貫通孔で形成されていると共に、摺動部材の貫通孔は基板の凹陥溝より狭小幅で前記絞り羽根の突起と係合して開閉方向に絞り羽根を案内することを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記摺動部材は、中央に光路開口を有するリング形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記基板のガイド溝と前記摺動部材のガイド溝は、前記複数の絞り羽根の開閉動作方向に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記複数の絞り羽根は、
樹脂シートを型抜き成型で形成されていると共に、型抜き成型時のダレ面が前記摺動部材と接するように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記作動部材は、前記複数の絞り羽根を同時に開閉動するリング形状に形成され、
前記複数の絞り羽根は前記基板と前記作動部材との間に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項6】
前記作動部材には、
前記複数の絞り羽根に形成された第2の突起と係合して羽根を開閉動させる係合孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の光量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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