説明

光量調整装置

【課題】部品数の削減と、装置の小型化を実現しつつ、開口部を円形に近い形状に維持することが可能な光量調整装置を提供する。
【解決手段】絞りホルダ1は光軸に対し直交して配置され、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3は、光軸に対して直交する方向に移動する。また、4枚の補助絞り羽根4a〜4dも軸12a,12b,12c,12dを中心に光軸に対して直交する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3に対して摺動するように回動する。そして、光通過孔11の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部21,31を有する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3と、光通過孔11の径の一部にほぼ一致する内縁部41を有する4枚の補助絞り羽根4a〜4dとが、互いに開口領域の形状を補完し合うように駆動することによって、開口部を円形に近い形状に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り径を良好な形状で変化させることができる小型の光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に組み込まれる光量調整装置が多く提案されている(たとえば、特許文献1,2を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の光量調整装置は、光量調節開口部の対向する箇所に光軸と直交する平面に沿って、光軸に対して接離する方向にスライド可能に設けられた一対の直進絞り羽根と、光軸と平行する軸心を中心として、光軸に対して接離する方向に揺動可能に設けられた一対の絞り羽根をもち、それを同時に動かすことで光量調節開口部を形成する。この装置は、従来より一般的であった、光量調節開口部の対向する箇所に光軸と直交する平面に沿って、光軸に対して接離する方向にスライド可能に設けられた一対の直進絞り羽根のみで光量調節開口部を形成する装置に比べ、光量調節開口部をより円に近いものにすることができるという利点がある。
【0004】
また、特許文献2に記載の光量調節装置は、2枚の絞り羽根が入射光の光軸に対し互いに近接または離れる方向に移動して絞り開口の大きさを変えるものであり、特に2枚の絞り羽根のうちの少なくとも1枚には絞り羽根の移動に連動して絞り開口の方向に進退自在な所定の光透過特性を有する光学フィルタを備えている。この装置は、絞り開口を透過する光の透過量を細かく調節し、最大絞り時においても十分な光量を確保できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−115832号公報
【特許文献2】特開2004−205557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、光学系の高倍率化、高解像度化が促進されており、そのためには光学系に用いられる光量調整装置の開口もより円形に近い形状のものが望まれる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、従来より一般的であった、光量調節開口部の対向する箇所に光軸と直交する平面に沿って、光軸に対して接離する方向にスライド可能に設けられた一対の直進絞り羽根のみで光量調節開口部を形成する装置に比べ、光軸を軸として回転する回転部材が新たに必要であり、また光軸方向と光軸に対して垂直な方向にもスペースが必要となって、部品点数の増加とともに、装置が大型化するという問題がある。この装置は、近年強く要求されている光学系の小型化を実現するためには不向きなものである。
【0008】
また、特許文献2に記載の装置は、常時開口部が円形に近い形状であるとは云い難く、光学系の高倍率化、高解像度化を促進するためには不向きである。
【0009】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、部品数の削減と、装置の小型化を実現しつつ、開口部を円形に近い形状に維持することが可能な光量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる光量調整装置は、光軸に対して直交する方向に沿って接離的にスライドすることにより開口領域を形成する開口形成部を有する一対のスライド絞り羽根と、外光を透過させる開口部を備えるとともに前記一対のスライド絞り羽根を収容する絞りホルダと、前記一対のスライド絞り羽根に駆動力を供給する駆動源と、を備えた光量調整装置であって、カム穴と、開口径の大きさを変化させるための内縁部が形成された複数の対をなす補助絞り羽根を備えており、前記補助絞り羽根は、前記絞りホルダに設けられた第1の軸を中心に回動可能であり、一対の補助絞り羽根が前記一対のスライド絞り羽根にそれぞれ設けられた駆動軸にカム穴を介して保持され、前記駆動源の駆動により、前記一対のスライド絞り羽根のスライドに連動して複数の対をなす補助絞り羽根の内縁部が前記開口形成部によって形成される開口領域に対して挿脱されることで、開口径の大きさを変化させることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明にかかる光量調整装置は、前記発明において、前記一対のスライド絞り羽根に設けられたそれぞれの駆動軸が、光軸に対して直交する直線上に配置されており、前記駆動軸にカム穴を介して保持される一対の補助絞り羽根が、前記直線に対して線対称である位置に配置され、また一対の補助絞り羽根が、他の一対の補助絞り羽根に対し、光軸に略直交し、かつ光軸を通過しつつ前記直線に対しても略垂直な直線に対して線対称である配置とされており、各補助絞り羽根が、前記線対称の関係を保ちながら光軸に対して直交する平面上を駆動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる光量調整装置は、光軸に対して直交する方向に沿って接離的にスライドすることにより開口領域を形成する開口形成部を有する一対のスライド絞り羽根と、外光を透過させる開口部を備えるとともに前記一対のスライド絞り羽根を収容する絞りホルダと、前記一対のスライド絞り羽根に駆動力を供給する駆動源と、を備えた光量調整装置であって、カム穴と、開口径の大きさを変化させるための内縁部が形成された複数の対をなす補助絞り羽根を備えており、一対の補助絞り羽根は前記一対のスライド絞り羽根にそれぞれ設けられた駆動軸を中心に回動可能であり、前記補助絞り羽根は前記絞りホルダに設けられた第1の軸にカム穴を介して保持され、前記駆動源の駆動により、前記一対のスライド絞り羽根のスライドに連動して複数の対をなす補助絞り羽根の内縁部が前記開口形成部によって形成される開口領域に対して挿脱されることで、開口径の大きさを変化させることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明にかかる光量調整装置は、前記発明において、前記一対のスライド絞り羽根に設けられたそれぞれの駆動軸が、光軸に対して直交する直線上に配置されており、前記駆動軸を中心に回動可能な一対の補助絞り羽根が、前記直線に対して線対称である位置に配置され、また一対の補助絞り羽根が、他の一対の補助絞り羽根に対し、光軸に直交し、かつ光軸を通過しつつ前記直線に対しても略垂直な直線に対して線対称である配置とされており、各補助絞り羽根が、前記線対称の関係を保ちながら光軸に対して直交する平面上を駆動することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明にかかる光量調整装置は、前記発明において、前記一対のスライド絞り羽根が、前記第1の軸に嵌入され、前記一対のスライド絞り羽根のスライド方向に延びる縦溝を備えていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明にかかる光量調整装置は、前記発明において、前記絞りホルダには、前記第1の軸が設けられている領域よりも外側の、前記第1の軸を基点に駆動する各部材の動作を阻害しない位置で、前記スライド絞り羽根のスライド方向と略垂直な方向に第2の軸が設けられており、前記一対のスライド絞り羽根が、前記第2の軸に嵌入され、前記スライドの方向に沿って延びる縦溝を備えていることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明にかかる光量調整装置は、前記発明において、前記スライド絞り羽根の開口形成部が前記絞りホルダの開口部の径に略一致する略半円形状を有し、前記補助絞り羽根の内縁部が前記絞りホルダの開口部の径の一部に略一致する形状を有しており、前記一対のスライド絞り羽根のスライドに伴い、前記一対のスライド羽根の開口形成部と前記複数の対をなす補助絞り羽根の内縁部とが互いに補完し合うことにより、前記開口領域の形状を略円形に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部品数の削減と、装置の小型化を実現しつつ、常時開口部を円形に近い形状に維持することが可能な光量調整装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1にかかる光量調整装置の分解斜視図である。
【図2−1】実施の形態1にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である(その1)。
【図2−2】実施の形態1にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である(その2)。
【図2−3】実施の形態1にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である(その3)。
【図2−4】実施の形態1にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である(その4)。
【図3】実施の形態2にかかる光量調整装置の分解斜視図である。
【図4】実施の形態2にかかる光量調整装置の正面図である。
【図5−1】実施の形態3にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である(その1)。
【図5−2】実施の形態3にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である(その2)。
【図5−3】実施の形態3にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる光量調整装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる光量調整装置の分解斜視図である。実施の形態1にかかる光量調整装置は、絞りホルダ1と、図1で見て下側絞り羽根2と、上側絞り羽根3と、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)と、カバー板5と、駆動源6と、を備えている。
【0021】
絞りホルダ1の略中央部から上方寄りの位置には、略円形の光通過孔11が形成されている。光通過孔11の斜め上方および斜め下方には、それぞれ軸12a,12b,12c,12dが図示しない物体側へ突出形成されている。軸12cは軸12aの直下に設けられており、軸12dは軸12bの直下に設けられている。また、軸12a,12cと軸12b,12dとは、絞りホルダ1の中心線に対して線対称の位置にある。絞りホルダ1は、上方に比べ下方がやや広く形成されている。
【0022】
下側絞り羽根2は、下方の略右半分が切り欠かれた状態で、略中央部からやや上方よりの位置に光通過孔11の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部21が形成されている。また、開口形成部21の最下淵部21aの真下には駆動軸22が前方(物体側)へ突出形成されている。さらに、開口形成部21の左端には、上下に長い直進ガイド穴23a,23bが形成されている。直進ガイド穴23a,23bは大きさ、形状とも同一であり、直進ガイド穴23bは、直進ガイド穴23aの直下に形成されている。下側絞り羽根2の左側下端部は、外側に突出している。また、下側絞り羽根2の左側下端部には、左右方向に延びた回転連結穴24が形成されている。
【0023】
上側絞り羽根3は、下方の略左半分が切り欠かれた形状で、中心付近に光通過孔11の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部31が形成されている。また、開口形成部31の最上淵部31aの真上には駆動軸32が前方(物体側)へ突出形成されている。なお、駆動軸32と最上淵部31aとの距離は、下側絞り羽根2における最下淵部21aと駆動軸22との距離と同等である。
【0024】
さらに、上側絞り羽根3の左端上部に、上下に長い直進ガイド穴33aが形成されている。絞りホルダ1に上側絞り羽根3を取り付けた際、直進ガイド穴33aは下側絞り羽根2に形成されている直進ガイド穴23a,23bと同一直線上に位置する。また、直進ガイド穴33aは、直進ガイド穴23a,23bと大きさ、形状が同一である。一方、上側絞り羽根3の右端には、上下に長い直進ガイド穴33bが形成されている。直進ガイド穴33bは、大きさ、形状とも直進ガイド穴33aと同一であり、上側絞り羽根3の中心線に対し直進ガイド穴33aと線対称の位置にある。
【0025】
また、直進ガイド穴33bの直下には、直進ガイド穴33cが形成されている。直進ガイド穴33cは、大きさ、形状とも直進ガイド穴33bと同一である。また、上側絞り羽根3の右側下端部は、外側に突出している。上側絞り羽根3の右側下端部には、左右方向に延びた回転連結穴34が形成されている。
【0026】
補助絞り羽根4(4a〜4d)は、略弓状をなし、光通過孔11の径の一部にほぼ一致した内縁部41を有している。また、補助絞り羽根4の略中央部には円弧状に切り欠かれたカム穴42が形成され、端部には回転中心穴43が形成されている。カム穴42も略弓状に形成されているが、補助絞り羽根4の外形とは逆の方向に撓んでいる。
【0027】
カバー板5の略中央部から上方寄りの位置には、光通過孔11の形状にほぼ等しい開口部51が形成されている。さらに、開口部51の上端部および下端部には、それぞれ上下方向に延びる溝部51a,51bが形成されている。また、開口部51の斜め上方および斜め下方には、それぞれ孔52a,52b,52c,52dが形成されている。孔52a,52b,52c,52dの位置は、カバー板5を絞りホルダ1に取り付けた際、絞りホルダ1に形成されている軸12a,12b,12c,12dの位置と一致する。
【0028】
また、カバー板5の下方の両端部近傍には、円弧状に切り欠かれたカム穴53a,53bが形成されている。カム穴53aとカム穴53bとは、カバー板5の中心線に対し互いに線対称の位置にある。カバー板5の形状も、絞りホルダ1に合わせ、上方に比べ下方がやや広く形成されている。
【0029】
駆動源6は、駆動モータ6aと、駆動モータ6aに接続された駆動手段(不図示)とからなる。この駆動手段は、回転レバーと、この回転レバーから水平に延びるアームと、アームの左右両先端部にそれぞれ設けられた左右の連結ピン(駆動部材)とで構成されている。左右の連結ピンは、カバー板5のカム穴53a,53bを介してそれぞれ下側絞り羽根2の回転連結穴24と上側絞り羽根3の回転連結穴34に挿入される。
【0030】
次に、図1を参照しながら実施の形態1にかかる光量調整装置の組み立て手順を説明する。まず、絞りホルダ1の軸12a,12cに対し下側絞り羽根2の直進ガイド穴23a,23bを嵌め込み、下側絞り羽根2を絞りホルダ1に取り付ける。
【0031】
次に、下側絞り羽根2が絞りホルダ1に取り付けられた状態で、絞りホルダ1の軸12a,12b,12dに対し上側絞り羽根3の直進ガイド穴33a,33b,33cを嵌め込み、上側絞り羽根3を絞りホルダ1に取り付ける。このようにすることで、下側絞り羽根2は軸12a,12cに対して、上側絞り羽根3は軸12a,12b,12dに対して摺動自在になり、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3は絞りホルダ1に対して上下方向にスライド可能になる。
【0032】
次に、1枚の補助絞り羽根4cの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12aに、カム穴42を上側絞り羽根3の駆動軸32に嵌め込み、内縁部41が下を向くように補助絞り羽根4cを絞りホルダ1に取り付ける。次に、他の補助絞り羽根4bの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12dに、カム穴42を下側絞り羽根2の駆動軸22に嵌め込み、内縁部41が上を向くように補助絞り羽根4bを絞りホルダ1に取り付ける。
【0033】
続けて、他の補助絞り羽根4dの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12bに、カム穴42を上側絞り羽根3の駆動軸32に嵌め込み、内縁部41が下を向くように補助絞り羽根4dを絞りホルダ1に取り付ける。そして、最後に残った補助絞り羽根4aの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12cに、カム穴42を下側絞り羽根2の駆動軸22に嵌め込み、内縁部41が上を向くように補助絞り羽根4aを絞りホルダ1に取り付ける。
【0034】
補助絞り羽根4(4a〜4d)は、駆動軸22,32によってカム穴42を介して保持されることによって、内縁部41の位置が規定される。駆動軸22に嵌入された一対の補助絞り羽根4a,4bは、駆動軸22を通る直線に対して線対称な位置にある。また、駆動軸32に嵌入された一対の補助絞り羽根4c,4dも、駆動軸32を通る直線に対して線対称な位置にある。このようにすることで、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)は、それぞれ軸12a,12b,12c,12dを中心に、線対称の関係を保ちながら回動可能になる。
【0035】
また、上側に配置された一対の補助絞り羽根4c,4dのそれぞれのカム穴42は上側絞り羽根3の駆動軸32に嵌入され、下側に配置された一対の補助絞り羽根4a,4bのそれぞれのカム穴42は下側絞り羽根2の駆動軸22に嵌入されているので、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3が上下方向にスライドするのと連動して、下側絞り羽根2の開口形成部21と上側絞り羽根3の開口形成部31と4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41とにより形成される開口径の大きさを変えることができるようになる。
【0036】
次に、カバー板5の孔52a,52b,52c,52dをそれぞれ絞りホルダ1の軸12a,12b,12c,12dに嵌め込み、カバー板5を絞りホルダ1に取り付ける。このとき、上側絞り羽根3の駆動軸32と下側絞り羽根2の駆動軸22が、それぞれカバー板5の溝部51a,51bに被嵌され、下側絞り羽根2の駆動軸22、上側絞り羽根3の駆動軸32、および4枚の補助絞り羽根4が絞りホルダ1から外れないようになり、光軸方向の位置決めがなされる。
【0037】
最後に、駆動源6の駆動手段の左右の連結ピンを、カバー板5のカム穴53a,53bを介してそれぞれ下側絞り羽根2の回転連結穴24と上側絞り羽根3の回転連結穴34に挿入する。こうすることで、駆動モータ6aの駆動により、駆動手段を正逆方向に回転させ、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3を上下方向にスライドさせることができるようになる。
【0038】
図2−1〜図2−4は、それぞれ実施の形態1にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である。なお、説明の便宜上、カバー板5や駆動源6は省略してある。図2−1は、最大絞り状態である。絞りホルダ1は光軸に対し直交して(垂直な位置に)配置され、光通過孔11の中心が光軸と一致する。したがって、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3は、光軸に対して垂直方向に移動する。また、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)も軸12a,12b,12c,12dを中心に光軸に対して垂直に位置する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3に対して摺動するように回動する。なお、駆動軸22および駆動軸32は、光軸を通る同一直線上に位置する。
【0039】
また、駆動軸22に嵌入された一対の補助絞り羽根4a,4bは、駆動軸22,32を通る直線に対して線対称な位置にある。そして、駆動軸22に嵌入された一対の補助絞り羽根4a,4bは、駆動軸22,32を通る直線に対して線対称である関係を保ちながら光軸に対して垂直な平面上を駆動する。一方、駆動軸32に嵌入された一対の補助絞り羽根4c,4dも、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称な位置にある。そして、駆動軸32に嵌入された一対の補助絞り羽根4c,4dも、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称である関係を保ちながら光軸に対して垂直な平面上を駆動する。
【0040】
さらに、一対の補助絞り羽根4c,4bは、他の一対の補助絞り羽根4d,4aに対して、光軸に対して垂直で、かつ光軸を通りつつ駆動軸22,32を結ぶ直線に対しても垂直な直線に対し線対称な位置にあり、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)はかかる関係を保ちながら駆動する。
【0041】
下側絞り羽根2を下方向に、上側絞り羽根3を上方向に移動させることで、下側絞り羽根2の最下部が絞りホルダ1の下側淵部、上側絞り羽根3の最上部が絞りホルダ1の上側淵部に当接する。そして、下側絞り羽根2の開口形成部21の最下淵部21aおよび上側絞り羽根3の開口形成部31の最上淵部31aは絞りホルダ1の光通過孔11の縁とほぼ一致する位置にある状態となる。
【0042】
このとき、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)も光通過孔11の中心(光軸)から最も離れた位置にあり、各補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41が光通過孔11の縁とほぼ一致する位置にある。このように、開口形成部21,31と、内縁部41で形成される開口領域60はほぼ円形をなす光通過孔11の縁と一致するため、最大絞り時の開口領域60は略円形をなす。
【0043】
図2−2は、図2−1の状態からやや下側絞り羽根2を上方向に、上側絞り羽根3を下方向にスライドさせた状態である。補助絞り羽根4に形成されたカム穴42は補助絞り羽根4の外形とは逆の方向に略弓状に撓んでいる。したがって、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3の上下移動に伴って、カム穴42に嵌入された駆動軸22,32の間隔が狭まっていき、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)が光軸中心に向かって移動する。
【0044】
このとき、下側絞り羽根2の開口形成部21と、上側絞り羽根3の開口形成部31と、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41とにより形成される開口領域60は、完全に光通過孔11の内側に位置する。この状態では、下側絞り羽根2の開口形成部21と上側絞り羽根3の開口形成部31とにより形成される開口の形状と、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41によって形成される開口の形状とは一致していない。しかしながら、双方で補完し合うことにより、開口領域60の略円形状は維持される。
【0045】
図2−3は、図2−2の状態からさらに下側絞り羽根2を上方向に、上側絞り羽根3を下方向にスライドさせ、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)をさらに光軸中心に向かって移動させた状態である。この状態においても、下側絞り羽根2の開口形成部21と上側絞り羽根3の開口形成部31とにより形成される開口の形状と、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41によって形成される開口の形状とは一致していない。しかし、双方が補完し合うことで、下側絞り羽根2の開口形成部21と、上側絞り羽根3の開口形成部31と、4枚の補助絞り羽根4の内縁部41とにより形成される開口領域60の形状は、略円形状に維持される。
【0046】
図2−4は、最小絞り状態を示す図である。この状態では、開口領域60は光通過孔11の中心付近に位置し、最も小さくなる。この状態においても、下側絞り羽根2の開口形成部21と上側絞り羽根3の開口形成部31とにより形成される開口の形状と、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41によって形成される開口の形状とは一致していない。しかし、双方が補完し合うことで、下側絞り羽根2の開口形成部21と、上側絞り羽根3の開口形成部31と、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41とにより形成される開口領域60は略円形状に維持される。
【0047】
以上説明したように、実施の形態1の光量調整装置は、従来技術のように、光軸と平行する軸心を中心として、光軸に対して接離する方向に揺動可能に設けられた一対の絞り羽根を動かすための回転部材を必要としない分だけ部品点数を削減でき、装置構成の簡易化を図ることができる。また、かかる回転部材を備えるために必要であったスペースも不要になる分、装置の小型化を図ることができる。
【0048】
また、光通過孔11の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部21,31を有する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3と、光通過孔11の径の一部にほぼ一致する内縁部41を有する4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)とが、互いに開口領域60の形状を補完し合うように駆動することによって、開口部を円形に近い形状に維持することができる。このことは、高倍率化、高解像度化の要求が高まっている撮像装置に最適である。
【0049】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2にかかる光量調整装置の分解斜視図である。実施の形態2にかかる光量調整装置の特徴は、実施の形態1に示した下側絞り羽根2と上側絞り羽根3において、絞りホルダ1に対して摺動させるための基点となる直進ガイド穴をさらに追加し、追加された直進ガイド穴が延びる方向と駆動源6を構成する駆動手段の連結ピン(駆動部材)の駆動方向を略一致させたことにある。この他の構成は同様である。
【0050】
すなわち、絞りホルダ1は、実施の形態1に示したものより幅広く略長方形状になっている。そして、実施の形態1に示した構成に加え、軸12a,12b,12c,12d(第1の軸)が形成された領域の外側で、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3のスライド方向に対して略垂直な方向に、軸12e,12f,12g,12h(第2の軸)が図示しない物体側へ突出形成されている。軸12gは軸12eの直下に形成されており、軸12hは軸12fの直下に形成されている。なお、軸12e,12f,12g,12hは、軸12a,12b,12c,12dを基点に駆動する各部材の動作を阻害しない位置に形成されている。
【0051】
下側絞り羽根2は、実施の形態1に示した構成に加え、直進ガイド穴23aの左外側近傍に直進ガイド穴23cが形成され、その直下に直進ガイド穴23dが形成されている。直進ガイド穴23c,23dは大きさ、形状とも同一である。なお、直進ガイド穴23c,23dの延びる方向は、駆動手段(不図示)の一方の連結ピンの駆動方向と略一致している。
【0052】
上側絞り羽根3は、実施の形態1に示した構成に加え、直進ガイド穴33aの左側近傍に上下に長い直進ガイド穴33dが形成されている。直進ガイド穴33dは、上側絞り羽根3を絞りホルダ1に取り付けた際に、一部が下側絞り羽根2に形成された直進ガイド穴23cが延びる方向と略一致する位置に形成される。また、直進ガイド穴33bの右側近傍に上下に長い直進ガイド穴33eが形成され、直進ガイド穴33eの直下に上下に長い直進ガイド穴33fが形成されている。なお、直進ガイド穴33e,33fの延びる方向は、駆動手段の他の一方の連結ピンの駆動方向と略一致している。
【0053】
実施の形態2の光量調整装置に用いる補助絞り羽根4は、実施の形態1に示したものと同じである。また、各絞り羽根を駆動する駆動源も、カバー板も実施の形態1のものと同様であるため、説明は省略する。
【0054】
次に、図3を参照しながら実施の形態2にかかる光量調整装置の組み立て手順を説明する。まず、絞りホルダ1の軸12a,12c,12e,12gに対し下側絞り羽根2の直進ガイド穴23a,23b,23c,23dを嵌め込み、下側絞り羽根2を絞りホルダ1に取り付ける。
【0055】
次に、下側絞り羽根2が絞りホルダ1に取り付けられた状態で、絞りホルダ1の軸12a,12b,12d,12e,12f,12hに対し上側絞り羽根3の直進ガイド穴33a,33b,33c,33d,33e,33fを嵌め込み、上側絞り羽根3を絞りホルダ1に取り付ける。
【0056】
このようにすることで、下側絞り羽根2は軸12a,12c,12e,12gに対して、上側絞り羽根3は軸12a,12b,12d,12e,12f,12hに対して摺動自在になり、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3は絞りホルダ1に対して上下方向にスライド可能になる。
【0057】
次に、1枚の補助絞り羽根4dの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12aに、カム穴42を上側絞り羽根3の駆動軸32に嵌め込み、内縁部41が下を向くように補助絞り羽根4dを絞りホルダ1に取り付ける。次に、他の補助絞り羽根4bの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12dに、カム穴42を下側絞り羽根2の駆動軸22に嵌め込み、内縁部41が上を向くように補助絞り羽根4bを絞りホルダ1に取り付ける。
【0058】
続けて、他の補助絞り羽根4cの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12bに、カム穴42を上側絞り羽根3の駆動軸32に嵌め込み、内縁部41が下を向くように補助絞り羽根4cを絞りホルダ1に取り付ける。そして、最後に残った補助絞り羽根4aの回転中心穴43を絞りホルダ1の軸12cに、カム穴42を下側絞り羽根2の駆動軸22に嵌め込み、内縁部41が上を向くように補助絞り羽根4aを絞りホルダ1に取り付ける。
【0059】
補助絞り羽根4(4a〜4d)は、駆動軸22,32によってカム穴42を介して保持されることによって、内縁部41の位置が規定される。駆動軸22に嵌入された一対の補助絞り羽根4a,4bは、駆動軸22,32を通る直線に対して線対称な位置にある。また、駆動軸32に嵌入された一対の補助絞り羽根4c,4dも、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称な位置にある。
【0060】
このようにすることで、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)は、それぞれ軸12a,12b,12c,12dを中心に,線対称な関係を保ちながら回動可能になる。また、上側に配置された一対の補助絞り羽根4c,4dのそれぞれのカム穴42は上側絞り羽根3の駆動軸32に嵌入され、下側に配置された一対の補助絞り羽根4a,4bのそれぞれのカム穴42は下側絞り羽根2の駆動軸22に嵌入されているので、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3が上下方向にスライドするのと連動して、下側絞り羽根2の開口形成部21と上側絞り羽根3の開口形成部31と4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41とにより形成される開口径の大きさを変えることができるようになる。
【0061】
図4は、実施の形態2の光量調整装置の正面図である。最大絞り状態が示されている。実施の形態1に示した例と同様に、絞りホルダ1は光軸に対し垂直な位置に配置され、光通過孔11の中心が光軸と一致する。したがって、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3は、光軸に対して垂直方向に移動する。
【0062】
また、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)も軸12a,12b,12c,12dを中心に光軸に対して垂直に位置する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3に対して摺動するように回動する。なお、駆動軸22および駆動軸32は、光軸を通る同一直線上に位置する。また、駆動軸22に嵌入された一対の補助絞り羽根4a,4bは、駆動軸22,32を通る直線に対して線対称な位置にある。駆動軸32に嵌入された一対の補助絞り羽根4c,4dも、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称な位置にある。
【0063】
そして、駆動軸22に嵌入された一対の補助絞り羽根4a,4bは、駆動軸22,32を通る直線に対して線対称である関係を保ちながら光軸に対して垂直な平面上を駆動する。一方、駆動軸32に嵌入された一対の補助絞り羽根4c,4dも、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称な位置にある。そして、駆動軸32に嵌入された一対の補助絞り羽根4も、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称である関係を保ちながら光軸に対して垂直な平面上を駆動する。
【0064】
さらに、一対の補助絞り羽根4c,4bは、他の一対の補助絞り羽根4d,4aに対して、光軸に対して垂直で、かつ光軸を通りつつ駆動軸22,32を結ぶ直線に対しても垂直な直線に対し線対称な位置にあり、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)はかかる関係を保ちながら駆動する。
【0065】
下側絞り羽根2を下方向、上側絞り羽根3を上方向に移動させることで、下側絞り羽根3の最下部が絞りホルダ1の下側淵部、上側絞り羽根3の最上部が絞りホルダ1の上側淵部に当接する。実施の形態2では、下側絞り羽根2を絞りホルダ1に対して摺動させるために形成された直進ガイド穴23c,23dの延びる方向が駆動手段(不図示)の一方の連結ピンの駆動方向と略一致している。また、上側絞り羽根3を絞りホルダ1に対して摺動させるために形成された直進ガイド穴33e,33fの延びる方向も駆動手段(不図示)の他の一方の連結ピンの駆動方向と略一致している。したがって、絞りホルダ1に対する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3の摺動抵抗を小さくすることができる。
【0066】
そして、下側絞り羽根2の開口形成部21の最下淵部21aおよび上側絞り羽根3の開口形成部31の最上淵部31aは絞りホルダ1の光通過孔11の縁とほぼ一致する位置にある状態となる。このとき、4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)も光通過孔11の中心(光軸)から最も離れた位置にあり、各補助絞り羽根4(4a〜4d)の内縁部41が光通過孔11の縁とほぼ一致する位置にある。このように、開口形成部21,31と、内縁部41で形成される開口領域60がほぼ円形をなす光通過孔11の縁と一致するため、最大絞り時の開口領域60は略円形をなす。この後の光量調整装置の絞り動作は、図2を参照して説明した実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0067】
以上説明したように、実施の形態2の光量調整装置は、実施の形態1と同様、少ない部品、簡易な構成でありながら、光通過孔11の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部21,31を有する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3と、光通過孔11の径の一部にほぼ一致する内縁部41を有する4枚の補助絞り羽根4(4a〜4d)とが、互いに開口形状を補完し合うように駆動することによって、開口領域60を円形に近い形状に維持することができる。このことは、高倍率化、高解像度化の要求が高まっている撮像装置に最適である。
【0068】
加えて、下側絞り羽根2と上側絞り羽根3を絞りホルダ1に対して摺動させるために基点となる直進ガイド穴をさらに追加し、追加された直進ガイド穴が延びる方向と駆動手段の連結ピンの駆動方向を略一致させたことで、絞りホルダ1に対する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3の摺動抵抗を小さくすることができ、各絞り羽根をスムーズに駆動させることが可能になる。
【0069】
(実施の形態3)
図5−1〜図5−3は、それぞれ実施の形態3にかかる光量調整装置の絞り動作を説明するための図である。図5−1は、最大絞り状態である。なお、カバー板5や駆動源6は実施の形態1と同様のものを使用可能なため、ここでは省略してある。本実施の形態では、絞りホルダ1、下側絞り羽根2、および上側絞り羽根3の構成は、実施の形態1と同様であり、補助絞り羽根の構成が異なる。すなわち、この実施の形態3で用いる補助絞り羽根7(7a〜7d)は、略弓状をなし、絞りホルダ1の光通過孔11の径の一部にほぼ一致した内縁部71を有している。また、補助絞り羽根7(7a〜7d)の略中央部には回転中心穴72が形成され、端部には外側から内縁部71へ向かって切り欠かれたカム穴73が形成されている。
【0070】
絞りホルダ1は光軸に対し垂直な位置に配置され、光通過孔11の中心が光軸と一致する。したがって、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3は、光軸に対して垂直方向に移動する。また、1枚の補助絞り羽根7aは、回転中心穴72を上側絞り羽根3の駆動軸32に、カム穴73を絞りホルダ1の軸12aに嵌め込むようにして、絞りホルダ1に取り付けられている。次の1枚の補助絞り羽根7bは、回転中心穴72を下側絞り羽根2の駆動軸22に、カム穴73を絞りホルダ1の軸12dに嵌め込むようにして、絞りホルダ1に取り付けられている。
【0071】
さらに、1枚の補助絞り羽根7cが、回転中心穴72を上側絞り羽根3の駆動軸32に、カム穴73を絞りホルダ1の軸12bに嵌め込むようにして、絞りホルダ1に取り付けられている。最後の1枚の補助絞り羽根7dは、回転中心穴72を下側絞り羽根2の駆動軸22に、カム穴73を絞りホルダ1の軸12cに嵌め込むようにして、絞りホルダ1に取り付けられている。
【0072】
補助絞り羽根7(7a〜7d)は、軸12a,12b,12c,12dにカム穴73を介して保持されることによって、内縁部71の位置が規定される。4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)は、駆動軸22,32を中心に光軸に対して垂直に位置する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3に対して摺動するように回動する。なお、駆動軸22および駆動軸32は、光軸を通る同一直線上に位置する。また、駆動軸22に嵌合された一対の補助絞り羽根7b,7dは、駆動軸22,32を通る直線に対して線対称な位置にある。また、駆動軸32に嵌合された一対の補助絞り羽根7a,7cも、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称な位置にある。
【0073】
そして、一対の補助絞り羽根7a,7cは、駆動軸22を中心に、駆動軸22,32を通る直線に対して線対称である関係を保ちながら光軸に対して垂直な平面上を駆動する。また、他の一対の補助絞り羽根7b,7dも、駆動軸32を中心に、駆動軸32,22を通る直線に対して線対称である関係を保ちながら光軸に対して垂直な平面上を駆動する。
【0074】
さらに、一対の補助絞り羽根7a,7dは、他の一対の補助絞り羽根7b,7cに対して、光軸に対して垂直で、かつ光軸を通りつつ駆動軸22,32を結ぶ直線に対しても垂直な直線に対し線対称な位置にあり、4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)はかかる関係を保ちながら駆動する。このような構成を備えた補助絞り羽根7であっても、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3のスライドと連動させることで、開口領域60の良好な形状(略円形)を維持しながら絞りを動作させることができる。
【0075】
下側絞り羽根2を下方向に、上側絞り羽根3を上方向に移動させることで、下側絞り羽根2の最下部が絞りホルダ1の下側淵部、上側絞り羽根3の最上部が絞りホルダ1の上側淵部に当接する。そして、下側絞り羽根2の開口形成部21の最下淵部21aおよび上側絞り羽根3の開口形成部31の最上淵部31aは絞りホルダ1の光通過孔11の縁とほぼ一致する。このとき、4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)も光通過孔11の中心(光軸)から最も離れた位置にあり、各補助絞り羽根7(7a〜7d)の内縁部71が光通過孔11の縁とほぼ一致する位置にある。このように、開口形成部21,31と、内縁部71で形成される開口領域60がほぼ円形をなす光通過孔11の縁と一致するため、最大絞り時の開口領域60は略円形をなす。
【0076】
図5−2は、図5−1の状態から下側絞り羽根2を上方向に、上側絞り羽根3を下方向にスライドさせた、中間絞りの状態である。補助絞り羽根7(7a〜7d)に形成されたカム穴73は補助絞り羽根7の外側から内縁部71に向かって延びている。したがって、下側絞り羽根2および上側絞り羽根3の上下移動に伴って、補助絞り羽根7(7a〜7d)の回転中心穴72に嵌入された駆動軸22,32の間隔が狭まっていき、カム穴73に嵌入された軸12a,12b,12c,12dに4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)を光軸中心に向かって押し出す力が生じる。
【0077】
この結果、4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)が駆動軸22,32を中心にして光軸中心に向かって移動する。このとき、下側絞り羽根2の開口形成部21と、上側絞り羽根3の開口形成部31と、4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)の内縁部71とにより形成される開口領域60は、完全に光通過孔11の内側に位置する。この状態では、下側絞り羽根2の開口形成部21と上側絞り羽根3の開口形成部31とにより形成される開口の形状と、4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)の内縁部71によって形成される開口の形状とは一致していない。しかしながら、双方で補完し合うことにより、開口領域60の略円形状は維持される。
【0078】
図5−3は、図5−2の状態からさらに下側絞り羽根2を上方向に、上側絞り羽根3を下方向に移動させ、4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)をさらに光軸中心に向かって移動させ、開口を閉じた状態である。下側絞り羽根2および上側絞り羽根3の上下移動に伴って、4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)がさらに光軸の中心方向に回転移動させられ、内縁部71が重なり合うことで、開口が閉じた状態が形成される。
【0079】
以上説明したように、補助絞り羽根7(7a〜7d)に形成される回転中心穴72とカム穴73を実施の形態1とを異なる位置に形成した場合であっても、実施の形態1の場合と同様に、少ない部品、簡易な構成でありながら、光通過孔11の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部21,31を有する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3と、光通過孔11の径の一部にほぼ一致する内縁部71を有する4枚の補助絞り羽根7(7a〜7d)とが、互いに開口形状を補完し合うように駆動することによって、開口領域60を円形に近い形状に維持することができる。
【0080】
さらに、本実施の形態に示した装置においても、実施の形態2に示した例のように、下側絞り羽根2と上側絞り羽根3において、絞りホルダ1に対して摺動させるために基点となる直進ガイド穴をさらに追加し、追加された直進ガイド穴が延びる方向と駆動源6を構成する駆動手段の連結ピン(駆動部材)の駆動方向を略一致させてもよい。このようにすることで、絞りホルダ1に対する下側絞り羽根2および上側絞り羽根3の摺動抵抗を小さくすることができ、各絞り羽根をスムーズに駆動させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、この本発明にかかる光量調整装置は、小型化が要求される撮像機器に有用であり、特に、高倍率、高解像が要求される撮像機器に適している。
【符号の説明】
【0082】
1 絞りホルダ
2 下側絞り羽根(スライド絞り羽根)
3 上側絞り羽根(スライド絞り羽根)
4(4a〜4d),7(7a〜7d) 補助絞り羽根
5 カバー板
6 駆動源
6a 駆動モータ
11 光通過孔(開口部)
12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h 軸
21、31 開口形成部
21a 最下淵部
22,32 駆動軸
23a,23b,23c,23d,33a,33b,33c,33d,33e,33f 直進ガイド穴(縦溝)
24,34 回転連結穴
31a 最上淵部
41,71 内縁部
42,53a,53b,73 カム穴
43,72 回転中心穴
51 開口部
51a,51b 溝部
52a,52b,52c,52d 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に対して直交する方向に沿って接離的にスライドすることにより開口領域を形成する開口形成部を有する一対のスライド絞り羽根と、外光を透過させる開口部を備えるとともに前記一対のスライド絞り羽根を収容する絞りホルダと、前記一対のスライド絞り羽根に駆動力を供給する駆動源と、を備えた光量調整装置であって、
カム穴と、開口径の大きさを変化させるための内縁部が形成された複数の対をなす補助絞り羽根を備えており、
前記補助絞り羽根は、前記絞りホルダに設けられた第1の軸を中心に回動可能であり、一対の補助絞り羽根が前記一対のスライド絞り羽根にそれぞれ設けられた駆動軸にカム穴を介して保持され、
前記駆動源の駆動により、前記一対のスライド絞り羽根のスライドに連動して複数の対をなす補助絞り羽根の内縁部が前記開口形成部によって形成される開口領域に対して挿脱されることで、開口径の大きさを変化させることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記一対のスライド絞り羽根に設けられたそれぞれの駆動軸は、光軸に対して直交する直線上に配置されており、
前記駆動軸にカム穴を介して保持される一対の補助絞り羽根は、前記直線に対して線対称である位置に配置され、
また一対の補助絞り羽根は、他の一対の補助絞り羽根に対し、光軸に直交し、かつ光軸を通過しつつ前記直線に対しても略垂直な直線に対して線対称である配置とされており、
各補助絞り羽根は、前記線対称の関係を保ちながら光軸に対して直交する平面上を駆動することを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
光軸に対して直交する方向に沿って接離的にスライドすることにより開口領域を形成する開口形成部を有する一対のスライド絞り羽根と、外光を透過させる開口部を備えるとともに前記一対のスライド絞り羽根を収容する絞りホルダと、前記一対のスライド絞り羽根に駆動力を供給する駆動源と、を備えた光量調整装置であって、
カム穴と、開口径の大きさを変化させるための内縁部が形成された複数の対をなす補助絞り羽根を備えており、
一対の補助絞り羽根は、前記一対のスライド絞り羽根にそれぞれ設けられた駆動軸を中心に回動可能であり、
前記補助絞り羽根は前記絞りホルダに設けられた第1の軸にカム穴を介して保持され、
前記駆動源の駆動により、前記一対のスライド絞り羽根のスライドに連動して複数の対をなす補助絞り羽根の内縁部が前記開口形成部によって形成される開口領域に対して挿脱されることで、開口径の大きさを変化させることを特徴とする光量調整装置。
【請求項4】
前記一対のスライド絞り羽根に設けられたそれぞれの駆動軸は、光軸に対して直交する直線上に配置されており、
前記駆動軸を中心に回動可能な一対の補助絞り羽根は、前記直線に対して線対称である位置に配置され、
また一対の補助絞り羽根は、他の一対の補助絞り羽根に対し、光軸に略直交し、かつ光軸を通過しつつ前記直線に対しても略垂直な直線に対して線対称である配置とされており、
各補助絞り羽根は、前記線対称の関係を保ちながら光軸に対して直交する平面上を駆動することを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記一対のスライド絞り羽根は、前記第1の軸に嵌入され、前記一対のスライド絞り羽根のスライド方向に延びる縦溝を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光量調整装置。
【請求項6】
前記絞りホルダには、前記第1の軸が設けられている領域よりも外側の、前記第1の軸を基点に駆動する各部材の動作を阻害しない位置で、前記スライド絞り羽根のスライド方向と略垂直な方向に第2の軸が設けられており、
前記一対のスライド絞り羽根は、前記第2の軸に嵌入され、前記スライドの方向に沿って延びる縦溝を備えていることを特徴とする請求項5に記載の光量調整装置。
【請求項7】
前記スライド絞り羽根の開口形成部は前記絞りホルダの開口部の径に略一致する略半円形状を有し、
前記補助絞り羽根の内縁部は前記絞りホルダの開口部の径の一部に略一致する形状を有しており、
前記一対のスライド絞り羽根のスライドに伴い、前記一対のスライド羽根の開口形成部と前記複数の対をなす補助絞り羽根の内縁部とが互いに補完し合うことにより、前記開口領域の形状を略円形に保持することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光量調整装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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