光量調整装置
【課題】外部環境の明るさの度合いに関係なく、NDフィルタの初期位置を正確に検出することができる光量調整装置を提供する。
【解決手段】、位置9bと位置9cとの距離と位置9dと位置9aとの距離とを異ならせ、モータの非通電時に、モータに生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測し、計測値と、NDフィルタが開口部に進入するときのモータの逆起電力の記憶値とが一致したときに、NDフィルタが開口部に進入した状態にあると判断し、計測値と、NDフィルタが開口部から退避するときのモータの逆起電力の記憶値とが一致したときに、NDフィルタが開口部から退避した状態にあると判断する。
【解決手段】、位置9bと位置9cとの距離と位置9dと位置9aとの距離とを異ならせ、モータの非通電時に、モータに生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測し、計測値と、NDフィルタが開口部に進入するときのモータの逆起電力の記憶値とが一致したときに、NDフィルタが開口部に進入した状態にあると判断し、計測値と、NDフィルタが開口部から退避するときのモータの逆起電力の記憶値とが一致したときに、NDフィルタが開口部から退避した状態にあると判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置に関し、特に絞り羽根の初期位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置では、ステッピングモータ等で駆動される絞り羽根の開閉動作時に電源が遮断された場合、再起動時に絞り羽根の初期位置を検出する必要がある。
【0003】
そこで、露光用の開口部の通過する光量を受光素子により検出し、この光量検出値と、予め記憶された絞り羽根の初期位置に対応する開口部の通過光量の記憶値とが一致するときに、絞り羽根が初期位置にあると判断する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−148675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、外部環境の明るさの度合いによって受光素子の光量検出値が変動するため、光量検出値と記憶値とが一致するときの絞り羽根の位置が変化してしまい、絞り羽根の初期位置の検出精度が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、外部環境の明るさの度合いに関係なく、光量調節部材の初期位置を正確に検出することができる光量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の光量調整装置は、マグネット及びコイルを有し、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、露光用の開口部を有する地板と、前記地板に対して回動動作が可能に支持され、前記回動動作により前記開口部に対して進退する光量調節部材と、前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有し、前記回転軸の回転に連動して光軸と直交する方向に移動することにより、前記光量調節部材を前記開口部に対して進退する方向に回動動作させる光量調節部材駆動部材と、前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記アクチュエータへの通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部を前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、前記第3の位置での前記アクチュエータへの通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、更に、前記第2の位置から前記第3の位置までの距離と前記第4の位置から前記第1の位置までの距離とを異ならせ、前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記回転軸が回転する際に前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測する計測手段と、前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するとき、及び前記開口部に進入した状態に動作するときに前記回転軸が回転して前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間をそれぞれ記憶値として記憶する記憶手段と、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、前記記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部に進入するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態にあると判断し、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部から退避するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態にあると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部環境の明るさの度合いに関係なく、光量調節部材の初期位置を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態である光量調整装置を軸方向からみた図である。
【図2】図1に示す光量調整装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す光量調整装置の側面図である。
【図4】ハートカム溝をシャッタ地板の軸方向からみた図である。
【図5】(a)はハートカム溝の直線展開図、(b)はアクチュエータの駆動電圧のタイミングチャート図、(c)はアクチュエータのコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力のタイミングチャート図である。
【図6】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図7】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図8】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図9】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図10】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図11】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図12】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図13】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図14】NDフィルタの初期位置を検出する回路構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態である光量調整装置を軸方向からみた図、図2は図1に示す光量調整装置の分解斜視図、図3は図1に示す光量調整装置の側面図である。
【0012】
本実施形態の光量調整装置は、図1〜図3に示すように、電磁駆動源としてのアクチュエータ1、シャッタ地板3、NDフィルタ4、NDフィルタ駆動部材7、シャッタ羽根5,6、シャッタ羽根駆動部材2、及びばね部材8を備える。ここで、NDフィルタ4は、光量調節部材として機能し、NDフィルタ駆動部材7は、光量調節部材駆動部材として機能する。
【0013】
アクチュエータ1は、通電制御により回転軸1aが正逆方向に回転駆動される。シャッタ羽根駆動部材2は、アクチュエータ1の径方向に長い矩形板状に形成され、長手方向の一端(基端)に形成された穴部2aが回転軸1aに嵌合固定されて、回転軸1aの回転に連動して回動する。
【0014】
また、シャッタ羽根駆動部材2の長手方向の他端(先端)には、回転軸1aと平行な軸線を有する駆動軸2bが突設されている。駆動軸2bは、シャッタ地板3に形成された円弧状の穴部3c、シャッタ羽根5に形成された長穴部5b、シャッタ羽根6に形成された穴部6b、及びNDフィルタ駆動部材7に形成された長穴部7cにそれぞれ挿通されて係合する。
【0015】
シャッタ地板3は、例えば合成樹脂材料で形成され、中央部に露光用の開口部3aを有する。シャッタ地板3には、シャッタ羽根6に形成された穴部6aが回転可能に支持される軸部3b、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する円弧状の穴部3cが形成される。
【0016】
また、シャッタ地板3には、シャッタ羽根5に形成された穴部5aが回転可能に支持される軸部3d、NDフィルタ4に形成された穴部4aが回転可能に支持される軸部3e、及びばね部材8の掛止部8bが掛止される軸部3fが形成される。軸部3fの周面には、ばね部材8の掛止部8bが掛止される溝部3kが形成されている。
【0017】
更に、シャッタ地板3には、ハートカム溝3gが形成されている。図4はハートカム溝3gをシャッタ地板3の軸方向からみた図、図5(a)はハートカム溝3gの直線展開図である。
【0018】
図4及び図5(a)に示すように、ハートカム溝3gは、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面3h−1,3h−2,3h−3を有する。カム面3h−1とカム面3h−2との間に、カム面3h−1が高く、カム面3h−2が低くなる段差3i−1が設けられる。
【0019】
また、カム面3h−2とカム面3h−3との間には、カム面3h−2が高く、カム面3h−3が低くなる段差3i−2が設けられる。従って、3つのカム面3h−1,3h−2,3h−3のうち、カム面3h−1が最も高い位置に配置され、カム面3h−3が最も低い位置に配置されることになる。カム面3h−3とカム面3h−1とは、斜面状のカム面3j及び段差3i−3により接続される。
【0020】
図1〜図3に戻って、NDフィルタ4には、シャッタ地板3の軸部3eに回転可能に支持される穴部4aと、NDフィルタ駆動部材7に設けられたカム軸7aがスライド可能に係合する長穴部4bとが形成される。そして、NDフィルタ駆動部材7の駆動によりシャッタ地板3の開口部3aに対してNDフィルタ4が開閉方向に回動することで、光量調整を行う。
【0021】
シャッタ羽根5には、シャッタ地板3の軸部3dに回転可能に支持される穴部5aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部5bとが形成されている。また、シャッタ羽根6には、シャッタ地板3の軸部3bに回転可能に支持される穴部6aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合する穴部6bとが形成されている。
【0022】
そして、シャッタ羽根駆動部材2の回動動作によりシャッタ地板3の開口部3aに対してシャッタ羽根5,6を開閉動作させることで、光量規制を行う。
【0023】
NDフィルタ駆動部材7は、矩形板状に形成され、シャッタ地板3のハートカム溝3gにカム係合するカム軸7aと、カム軸7aと反対方向に突出する軸部7bとを有する。軸部7bの周面には、ばね部材8の掛止部8aが掛止される溝部7dが形成されている。また、NDフィルタ駆動部材7には、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部7cが形成されている。ここで、長穴部7cは、本発明の係合部の一例に相当する。
【0024】
ばね部材8は、本実施形態では、引っ張りコイルばねとされており、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに掛止される掛止部8aと、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに掛止される掛止部8bとを有する。
【0025】
ここで、図3を参照して、ばね部材8は、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに対する掛止部8aの掛止位置が、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに対する掛止部8aの掛止位置に比べてシャッタ地板3から光軸方向に離れるように傾斜配置される。
【0026】
これにより、NDフィルタ駆動部材7は、ばね部材8により、NDフィルタ4がシャッタ地板3の開口部3aから退避する方向、及びカム軸7aがシャッタ地板3のハートカム溝3gのカム面に当接する方向(光軸方向)に付勢される。
【0027】
次に、NDフィルタ4の開閉動作について説明する。図5(b)はアクチュエータ1の駆動電圧のタイミングチャート図、図5(c)はアクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力のタイミングチャート図である。図6〜図9は、NDフィルタ4の開閉動作を説明するための図である。
【0028】
まず、NDフィルタ4の閉動作について説明する。図6に示すNDフィルタ4の開状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aがハートカム溝3gのカム面3h−1上(図4、図5(a))で、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して停止している。
【0029】
これにより、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2の光軸と直交する方向の移動が規制され、NDフィルタ4とシャッタ羽根5,6が開状態で保持される。ここでのカム軸7aの停止位置9aは、本発明の第1の位置の一例に相当する。
【0030】
次に、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、回転軸1aが図6の反時計回りに回転する。そして、この回転軸1aの回転に連動してシャッタ羽根駆動部材2が同方向に回動し、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0031】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−1に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−1を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−2の位置9bに光軸方向に当接し、図7に示す状態となる。ここで、位置9bは、本発明の第2の位置の一例に相当する。
【0032】
次に、アクチュエータ1を非通電(図5(b)参照)にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−2に沿って移動し、ハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して位置9cで停止し、図8に示す状態となる。ここでのカム軸7aの停止位置9cは、本発明の第3の位置の一例に相当する。
【0033】
ここで、カム軸7aがカム面3h−2の位置9bから位置9cまで移動する際には、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2を介して回転軸1aが回転して、アクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に逆起電力が生じる(図5(c)参照)。
【0034】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9aから位置9bを経て位置9cまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aに進入する。また、カム軸7aが位置9aから位置9cまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0035】
次に、NDフィルタ4の開動作について説明する。NDフィルタ4の閉状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりシャッタ地板3のハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して位置9cに保持されている。
【0036】
この状態で、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、シャッタ羽根駆動部材2が図8の反時計回りに移動して、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0037】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−2に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−2を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−3の位置9dに光軸方向に当接し、図9に示す状態となる。ここで、位置9cは、本発明の第4の位置の一例に相当する。
【0038】
次に、アクチュエータ1を非通電にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−3及び斜面状のカム面3jに沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−3を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−1の位置9aで光軸方向に当接して停止し、図6に示す状態となる。
【0039】
このとき、上述したように、カム軸7は、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して保持される。
【0040】
ここで、カム軸7aがカム面3h−3の位置9dから斜面状のカム面3j及び段差3i−3を経てカム面3h−1の位置9aまで移動する際には、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2を介して回転軸1aが回転する。従って、アクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に逆起電力が生じる(図5(c)参照)。
【0041】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9cから位置9dを経て位置9aまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として反時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aから退避する。また、カム軸7aが位置9cから位置9aまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0042】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作について説明する。図10〜図13は、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作を説明するための図である。
【0043】
まず、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態でのシャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作について説明する。図10に示すシャッタ羽根5,6が開口部3aを開いた状態で前記アクチュエータ1への逆方向の通電をONにすると、回転軸1aに連動してシャッタ羽根駆動部材2が時計回りに回転する。
【0044】
ここで、上述したように、シャッタ羽根5,6の長穴部5b及び穴部6bには、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが係合している。従って、シャッタ羽根駆動部材2の時計回りの回転により、シャッタ羽根5,6が互いに閉じる方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを閉じ、図11に示す状態となる。
【0045】
シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、ばね部材8による光軸方向の付勢力によりカム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態でカム軸7aを中心にNDフィルタ駆動部材7が反時計回りに回動する。従って、シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、NDフィルタ4は、開口部3aに対して進退動作を行わない。
【0046】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開く動作について説明する。図11の状態でアクチュエータ1への正方向の通電をONにし、かつ、アクチュエータ1の駆動力がばね部材8の付勢力より弱くなるように電流または電圧を制御する。
【0047】
これにより、カム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態、すなわちNDフィルタ4が開口部3aから退避した状態で、NDフィルタ駆動部材7の長穴部7cに係合するシャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが反時計回りに回動する。この結果、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合するシャッタ羽根5,6が互いに開く方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを開き、図10に示す状態となる。
【0048】
その後、アクチュエータ1を非通電にすることで、シャッタ羽根5,6は、長穴部7cに駆動軸2bが係合することでNDフィルタ駆動部材7にシャッタ羽根駆動部材2が保持されて開口部3aを開いた状態に維持される。なお、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態でのシャッタ羽根5,6の開(図12)から閉(図13)への動作、及び閉から開への動作も上記と同様である。
【0049】
図14は、NDフィルタ4の開閉動作時にアクチュエータ1への電源供給が遮断された場合に、その後の再起動時におけるNDフィルタ4の初期位置を検出する回路構成例を示すブロック図である。
【0050】
図14において、駆動回路11は、アクチュエータ1を駆動する回路である。計測部12は、アクチュエータ1の正方向への通電をONにした後、OFFにしたとき、ばね部材8の付勢力により、回転軸1aが回転する際にコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測する。
【0051】
記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が進入した状態から退避した状態に動作するときにアクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を記憶値として記憶する。同様に、記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が退避した状態から進入した状態に動作するときにコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を記憶値として記憶する。比較部14は、計測部12による逆起電力の発生時間の計測値と記憶部13に記憶された逆起電力の発生時間の記憶値とを比較する。演算部15は、比較部14での比較結果に基づき、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態であるか開口部3aから退避した状態であるかを判断する。
【0052】
ところで、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態に回動する際には、カム軸7aは、ハートカム溝3gの位置9bから位置9cまで移動する。また、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態に回動する際には、カム軸7aは、ハートカム溝3gの位置9dから位置9aまで移動する。ここで、本実施形態では、カム軸7aが移動するハートカム溝3gの位置9bから位置9cまでの距離とハートカム溝3gの位置9dから位置9aまでの距離とを異ならせている。
【0053】
従って、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、アクチュエータ1の回転軸1aが回転する際に生じる逆起電力の発生時間は、カム軸7aが位置9bから位置9cまで移動するときと位置9dから位置9aまで移動するときとで異なる。
【0054】
このため、演算部15は、計測部12による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態から開口部3aに進入した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の発生時間の記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態であると判断する。また、演算部15は、計測部12による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態から開口部3aから退避した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の発生時間の記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態であると判断する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、NDフィルタ4の開口部3aに対する進退動作時にアクチュエータ1への電源供給が遮断された場合に、その後の再起動時にアクチュエータ1への通電のON/OFFを1回行う。これにより、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態か開口部3aに進入した状態かを判断することができる。これにより、外部環境の明るさの度合いに関係なく、NDフィルタ4の初期位置を正確に検出することができる。
【0056】
また、本実施形態では、シャッタ羽根5,6とNDフィルタ4を共通のアクチュエータ1で動作させ、NDフィルタ4の進退動作時にシャッタ羽根5,6の開閉動作で開口部3aからの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態である光量調整装置について説明する。なお、本実施形態では、上記第1の実施形態に対して相違する点についてのみ、図及び符号を流用して説明する。
【0058】
本実施形態では、計測部12は、アクチュエータ1の正方向への通電をONにした後、OFFにしたとき、ばね部材8の付勢力により、回転軸1aが回転する際にコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを計測値として計測する。また、記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が進入した状態から退避した状態に動作するときにアクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを記憶値として記憶する。同様に、記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が退避した状態から進入した状態に動作するときにコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを記憶値として記憶する。比較部14は、計測部12による逆起電力の大きさの計測値と記憶部13に記憶された逆起電力の大きさの記憶値とを比較する。
【0059】
ここで、本実施形態では、ばね部材8の掛止部8bが掛止されるシャッタ地板3の軸部3fの溝部3kとハートカム溝3gの位置9bとの間の距離と、溝部3kとハートカム溝3gの位置9dとの間の距離とを異ならせている。
【0060】
従って、アクチュエータ1の非通電時にカム軸7aに作用するばね部材8の付勢力は、カム軸7aがハートカム溝の位置9bにあるときと位置9dにあるときとで異なる。この結果、カム軸7aがハートカム溝3gの位置9bから位置9cに移動するときの速度と位置9dから位置9aに移動するときの速度とが異なり、結果として回転軸1aの回転速度が異なることで、逆起電力の大きさが異なることになる。
【0061】
このため、演算部15は、計測部12による逆起電力の大きさの計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態から開口部3aに進入した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の大きさの記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態にあると判断する。また、演算部15は、計測部12による逆起電力の大きさの計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態から開口部3aから退避した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の大きさの記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態にあると判断する。その他の構成、及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。本実施形態では、NDフィルタ4を駆動する例を説明したが、NDフィルタ4に代えて、ターレット絞り板を駆動しても同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 アクチュエータ
3 シャッタ地板
3g ハートカム溝
4 NDフィルタ
7 NDフィルタ駆動部材
7a カム軸
8 ばね部材
12 計測部
13 記憶部
15 演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置に関し、特に絞り羽根の初期位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置では、ステッピングモータ等で駆動される絞り羽根の開閉動作時に電源が遮断された場合、再起動時に絞り羽根の初期位置を検出する必要がある。
【0003】
そこで、露光用の開口部の通過する光量を受光素子により検出し、この光量検出値と、予め記憶された絞り羽根の初期位置に対応する開口部の通過光量の記憶値とが一致するときに、絞り羽根が初期位置にあると判断する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−148675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、外部環境の明るさの度合いによって受光素子の光量検出値が変動するため、光量検出値と記憶値とが一致するときの絞り羽根の位置が変化してしまい、絞り羽根の初期位置の検出精度が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、外部環境の明るさの度合いに関係なく、光量調節部材の初期位置を正確に検出することができる光量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の光量調整装置は、マグネット及びコイルを有し、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、露光用の開口部を有する地板と、前記地板に対して回動動作が可能に支持され、前記回動動作により前記開口部に対して進退する光量調節部材と、前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有し、前記回転軸の回転に連動して光軸と直交する方向に移動することにより、前記光量調節部材を前記開口部に対して進退する方向に回動動作させる光量調節部材駆動部材と、前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記アクチュエータへの通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部を前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、前記第3の位置での前記アクチュエータへの通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、更に、前記第2の位置から前記第3の位置までの距離と前記第4の位置から前記第1の位置までの距離とを異ならせ、前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記回転軸が回転する際に前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測する計測手段と、前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するとき、及び前記開口部に進入した状態に動作するときに前記回転軸が回転して前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間をそれぞれ記憶値として記憶する記憶手段と、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、前記記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部に進入するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態にあると判断し、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部から退避するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態にあると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部環境の明るさの度合いに関係なく、光量調節部材の初期位置を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態である光量調整装置を軸方向からみた図である。
【図2】図1に示す光量調整装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す光量調整装置の側面図である。
【図4】ハートカム溝をシャッタ地板の軸方向からみた図である。
【図5】(a)はハートカム溝の直線展開図、(b)はアクチュエータの駆動電圧のタイミングチャート図、(c)はアクチュエータのコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力のタイミングチャート図である。
【図6】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図7】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図8】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図9】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図10】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図11】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図12】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図13】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図14】NDフィルタの初期位置を検出する回路構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態である光量調整装置を軸方向からみた図、図2は図1に示す光量調整装置の分解斜視図、図3は図1に示す光量調整装置の側面図である。
【0012】
本実施形態の光量調整装置は、図1〜図3に示すように、電磁駆動源としてのアクチュエータ1、シャッタ地板3、NDフィルタ4、NDフィルタ駆動部材7、シャッタ羽根5,6、シャッタ羽根駆動部材2、及びばね部材8を備える。ここで、NDフィルタ4は、光量調節部材として機能し、NDフィルタ駆動部材7は、光量調節部材駆動部材として機能する。
【0013】
アクチュエータ1は、通電制御により回転軸1aが正逆方向に回転駆動される。シャッタ羽根駆動部材2は、アクチュエータ1の径方向に長い矩形板状に形成され、長手方向の一端(基端)に形成された穴部2aが回転軸1aに嵌合固定されて、回転軸1aの回転に連動して回動する。
【0014】
また、シャッタ羽根駆動部材2の長手方向の他端(先端)には、回転軸1aと平行な軸線を有する駆動軸2bが突設されている。駆動軸2bは、シャッタ地板3に形成された円弧状の穴部3c、シャッタ羽根5に形成された長穴部5b、シャッタ羽根6に形成された穴部6b、及びNDフィルタ駆動部材7に形成された長穴部7cにそれぞれ挿通されて係合する。
【0015】
シャッタ地板3は、例えば合成樹脂材料で形成され、中央部に露光用の開口部3aを有する。シャッタ地板3には、シャッタ羽根6に形成された穴部6aが回転可能に支持される軸部3b、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する円弧状の穴部3cが形成される。
【0016】
また、シャッタ地板3には、シャッタ羽根5に形成された穴部5aが回転可能に支持される軸部3d、NDフィルタ4に形成された穴部4aが回転可能に支持される軸部3e、及びばね部材8の掛止部8bが掛止される軸部3fが形成される。軸部3fの周面には、ばね部材8の掛止部8bが掛止される溝部3kが形成されている。
【0017】
更に、シャッタ地板3には、ハートカム溝3gが形成されている。図4はハートカム溝3gをシャッタ地板3の軸方向からみた図、図5(a)はハートカム溝3gの直線展開図である。
【0018】
図4及び図5(a)に示すように、ハートカム溝3gは、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面3h−1,3h−2,3h−3を有する。カム面3h−1とカム面3h−2との間に、カム面3h−1が高く、カム面3h−2が低くなる段差3i−1が設けられる。
【0019】
また、カム面3h−2とカム面3h−3との間には、カム面3h−2が高く、カム面3h−3が低くなる段差3i−2が設けられる。従って、3つのカム面3h−1,3h−2,3h−3のうち、カム面3h−1が最も高い位置に配置され、カム面3h−3が最も低い位置に配置されることになる。カム面3h−3とカム面3h−1とは、斜面状のカム面3j及び段差3i−3により接続される。
【0020】
図1〜図3に戻って、NDフィルタ4には、シャッタ地板3の軸部3eに回転可能に支持される穴部4aと、NDフィルタ駆動部材7に設けられたカム軸7aがスライド可能に係合する長穴部4bとが形成される。そして、NDフィルタ駆動部材7の駆動によりシャッタ地板3の開口部3aに対してNDフィルタ4が開閉方向に回動することで、光量調整を行う。
【0021】
シャッタ羽根5には、シャッタ地板3の軸部3dに回転可能に支持される穴部5aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部5bとが形成されている。また、シャッタ羽根6には、シャッタ地板3の軸部3bに回転可能に支持される穴部6aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合する穴部6bとが形成されている。
【0022】
そして、シャッタ羽根駆動部材2の回動動作によりシャッタ地板3の開口部3aに対してシャッタ羽根5,6を開閉動作させることで、光量規制を行う。
【0023】
NDフィルタ駆動部材7は、矩形板状に形成され、シャッタ地板3のハートカム溝3gにカム係合するカム軸7aと、カム軸7aと反対方向に突出する軸部7bとを有する。軸部7bの周面には、ばね部材8の掛止部8aが掛止される溝部7dが形成されている。また、NDフィルタ駆動部材7には、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部7cが形成されている。ここで、長穴部7cは、本発明の係合部の一例に相当する。
【0024】
ばね部材8は、本実施形態では、引っ張りコイルばねとされており、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに掛止される掛止部8aと、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに掛止される掛止部8bとを有する。
【0025】
ここで、図3を参照して、ばね部材8は、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに対する掛止部8aの掛止位置が、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに対する掛止部8aの掛止位置に比べてシャッタ地板3から光軸方向に離れるように傾斜配置される。
【0026】
これにより、NDフィルタ駆動部材7は、ばね部材8により、NDフィルタ4がシャッタ地板3の開口部3aから退避する方向、及びカム軸7aがシャッタ地板3のハートカム溝3gのカム面に当接する方向(光軸方向)に付勢される。
【0027】
次に、NDフィルタ4の開閉動作について説明する。図5(b)はアクチュエータ1の駆動電圧のタイミングチャート図、図5(c)はアクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力のタイミングチャート図である。図6〜図9は、NDフィルタ4の開閉動作を説明するための図である。
【0028】
まず、NDフィルタ4の閉動作について説明する。図6に示すNDフィルタ4の開状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aがハートカム溝3gのカム面3h−1上(図4、図5(a))で、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して停止している。
【0029】
これにより、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2の光軸と直交する方向の移動が規制され、NDフィルタ4とシャッタ羽根5,6が開状態で保持される。ここでのカム軸7aの停止位置9aは、本発明の第1の位置の一例に相当する。
【0030】
次に、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、回転軸1aが図6の反時計回りに回転する。そして、この回転軸1aの回転に連動してシャッタ羽根駆動部材2が同方向に回動し、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0031】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−1に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−1を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−2の位置9bに光軸方向に当接し、図7に示す状態となる。ここで、位置9bは、本発明の第2の位置の一例に相当する。
【0032】
次に、アクチュエータ1を非通電(図5(b)参照)にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−2に沿って移動し、ハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して位置9cで停止し、図8に示す状態となる。ここでのカム軸7aの停止位置9cは、本発明の第3の位置の一例に相当する。
【0033】
ここで、カム軸7aがカム面3h−2の位置9bから位置9cまで移動する際には、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2を介して回転軸1aが回転して、アクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に逆起電力が生じる(図5(c)参照)。
【0034】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9aから位置9bを経て位置9cまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aに進入する。また、カム軸7aが位置9aから位置9cまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0035】
次に、NDフィルタ4の開動作について説明する。NDフィルタ4の閉状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりシャッタ地板3のハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して位置9cに保持されている。
【0036】
この状態で、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、シャッタ羽根駆動部材2が図8の反時計回りに移動して、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0037】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−2に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−2を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−3の位置9dに光軸方向に当接し、図9に示す状態となる。ここで、位置9cは、本発明の第4の位置の一例に相当する。
【0038】
次に、アクチュエータ1を非通電にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−3及び斜面状のカム面3jに沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−3を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−1の位置9aで光軸方向に当接して停止し、図6に示す状態となる。
【0039】
このとき、上述したように、カム軸7は、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して保持される。
【0040】
ここで、カム軸7aがカム面3h−3の位置9dから斜面状のカム面3j及び段差3i−3を経てカム面3h−1の位置9aまで移動する際には、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2を介して回転軸1aが回転する。従って、アクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に逆起電力が生じる(図5(c)参照)。
【0041】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9cから位置9dを経て位置9aまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として反時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aから退避する。また、カム軸7aが位置9cから位置9aまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0042】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作について説明する。図10〜図13は、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作を説明するための図である。
【0043】
まず、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態でのシャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作について説明する。図10に示すシャッタ羽根5,6が開口部3aを開いた状態で前記アクチュエータ1への逆方向の通電をONにすると、回転軸1aに連動してシャッタ羽根駆動部材2が時計回りに回転する。
【0044】
ここで、上述したように、シャッタ羽根5,6の長穴部5b及び穴部6bには、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが係合している。従って、シャッタ羽根駆動部材2の時計回りの回転により、シャッタ羽根5,6が互いに閉じる方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを閉じ、図11に示す状態となる。
【0045】
シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、ばね部材8による光軸方向の付勢力によりカム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態でカム軸7aを中心にNDフィルタ駆動部材7が反時計回りに回動する。従って、シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、NDフィルタ4は、開口部3aに対して進退動作を行わない。
【0046】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開く動作について説明する。図11の状態でアクチュエータ1への正方向の通電をONにし、かつ、アクチュエータ1の駆動力がばね部材8の付勢力より弱くなるように電流または電圧を制御する。
【0047】
これにより、カム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態、すなわちNDフィルタ4が開口部3aから退避した状態で、NDフィルタ駆動部材7の長穴部7cに係合するシャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが反時計回りに回動する。この結果、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合するシャッタ羽根5,6が互いに開く方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを開き、図10に示す状態となる。
【0048】
その後、アクチュエータ1を非通電にすることで、シャッタ羽根5,6は、長穴部7cに駆動軸2bが係合することでNDフィルタ駆動部材7にシャッタ羽根駆動部材2が保持されて開口部3aを開いた状態に維持される。なお、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態でのシャッタ羽根5,6の開(図12)から閉(図13)への動作、及び閉から開への動作も上記と同様である。
【0049】
図14は、NDフィルタ4の開閉動作時にアクチュエータ1への電源供給が遮断された場合に、その後の再起動時におけるNDフィルタ4の初期位置を検出する回路構成例を示すブロック図である。
【0050】
図14において、駆動回路11は、アクチュエータ1を駆動する回路である。計測部12は、アクチュエータ1の正方向への通電をONにした後、OFFにしたとき、ばね部材8の付勢力により、回転軸1aが回転する際にコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測する。
【0051】
記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が進入した状態から退避した状態に動作するときにアクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を記憶値として記憶する。同様に、記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が退避した状態から進入した状態に動作するときにコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を記憶値として記憶する。比較部14は、計測部12による逆起電力の発生時間の計測値と記憶部13に記憶された逆起電力の発生時間の記憶値とを比較する。演算部15は、比較部14での比較結果に基づき、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態であるか開口部3aから退避した状態であるかを判断する。
【0052】
ところで、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態に回動する際には、カム軸7aは、ハートカム溝3gの位置9bから位置9cまで移動する。また、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態に回動する際には、カム軸7aは、ハートカム溝3gの位置9dから位置9aまで移動する。ここで、本実施形態では、カム軸7aが移動するハートカム溝3gの位置9bから位置9cまでの距離とハートカム溝3gの位置9dから位置9aまでの距離とを異ならせている。
【0053】
従って、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、アクチュエータ1の回転軸1aが回転する際に生じる逆起電力の発生時間は、カム軸7aが位置9bから位置9cまで移動するときと位置9dから位置9aまで移動するときとで異なる。
【0054】
このため、演算部15は、計測部12による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態から開口部3aに進入した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の発生時間の記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態であると判断する。また、演算部15は、計測部12による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態から開口部3aから退避した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の発生時間の記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態であると判断する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、NDフィルタ4の開口部3aに対する進退動作時にアクチュエータ1への電源供給が遮断された場合に、その後の再起動時にアクチュエータ1への通電のON/OFFを1回行う。これにより、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態か開口部3aに進入した状態かを判断することができる。これにより、外部環境の明るさの度合いに関係なく、NDフィルタ4の初期位置を正確に検出することができる。
【0056】
また、本実施形態では、シャッタ羽根5,6とNDフィルタ4を共通のアクチュエータ1で動作させ、NDフィルタ4の進退動作時にシャッタ羽根5,6の開閉動作で開口部3aからの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態である光量調整装置について説明する。なお、本実施形態では、上記第1の実施形態に対して相違する点についてのみ、図及び符号を流用して説明する。
【0058】
本実施形態では、計測部12は、アクチュエータ1の正方向への通電をONにした後、OFFにしたとき、ばね部材8の付勢力により、回転軸1aが回転する際にコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを計測値として計測する。また、記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が進入した状態から退避した状態に動作するときにアクチュエータ1のコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを記憶値として記憶する。同様に、記憶部13は、アクチュエータ1の非通電時に、ばね部材8の付勢力により、開口部3aに対してNDフィルタ4が退避した状態から進入した状態に動作するときにコイルとマグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを記憶値として記憶する。比較部14は、計測部12による逆起電力の大きさの計測値と記憶部13に記憶された逆起電力の大きさの記憶値とを比較する。
【0059】
ここで、本実施形態では、ばね部材8の掛止部8bが掛止されるシャッタ地板3の軸部3fの溝部3kとハートカム溝3gの位置9bとの間の距離と、溝部3kとハートカム溝3gの位置9dとの間の距離とを異ならせている。
【0060】
従って、アクチュエータ1の非通電時にカム軸7aに作用するばね部材8の付勢力は、カム軸7aがハートカム溝の位置9bにあるときと位置9dにあるときとで異なる。この結果、カム軸7aがハートカム溝3gの位置9bから位置9cに移動するときの速度と位置9dから位置9aに移動するときの速度とが異なり、結果として回転軸1aの回転速度が異なることで、逆起電力の大きさが異なることになる。
【0061】
このため、演算部15は、計測部12による逆起電力の大きさの計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態から開口部3aに進入した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の大きさの記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態にあると判断する。また、演算部15は、計測部12による逆起電力の大きさの計測値と、記憶部13に記憶された、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態から開口部3aから退避した状態に動作するときにアクチュエータ1に生じる逆起電力の大きさの記憶値とが一致したときに、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態にあると判断する。その他の構成、及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。本実施形態では、NDフィルタ4を駆動する例を説明したが、NDフィルタ4に代えて、ターレット絞り板を駆動しても同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 アクチュエータ
3 シャッタ地板
3g ハートカム溝
4 NDフィルタ
7 NDフィルタ駆動部材
7a カム軸
8 ばね部材
12 計測部
13 記憶部
15 演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネット及びコイルを有し、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、
露光用の開口部を有する地板と、
前記地板に対して回動動作が可能に支持され、前記回動動作により前記開口部に対して進退する光量調節部材と、
前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有し、前記回転軸の回転に連動して光軸と直交する方向に移動することにより、前記光量調節部材を前記開口部に対して進退する方向に回動動作させる光量調節部材駆動部材と、
前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記アクチュエータへの通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、
前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、
前記第3の位置での前記アクチュエータへの通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、
前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、
更に、前記第2の位置から前記第3の位置までの距離と前記第4の位置から前記第1の位置までの距離とを異ならせ、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記回転軸が回転する際に前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測する計測手段と、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するとき、及び前記開口部に進入した状態に動作するときに前記回転軸が回転して前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間をそれぞれ記憶値として記憶する記憶手段と、
前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、前記記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部に進入するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態にあると判断し、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部から退避するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態にあると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
マグネット及びコイルを有し、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、
露光用の開口部を有する地板と、
前記地板に対して回動動作が可能に支持され、前記回動動作により前記開口部に対して進退する光量調節部材と、
前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有し、前記回転軸の回転に連動して光軸と直交する方向に移動することにより、前記光量調節部材を前記開口部に対して進退する方向に回動動作させる光量調節部材駆動部材と、
前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記アクチュエータへの通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、
前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、
前記第3の位置での前記アクチュエータへの通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、
前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、
更に、前記アクチュエータの非通電時に前記カム軸に作用する前記付勢手段の付勢力を、前記カム軸が前記カム溝の前記第2の位置にあるときと前記第4の位置にあるときとで異ならせ、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記回転軸が回転する際に前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを計測値として計測する計測手段と、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するとき、及び前記開口部に進入した状態に動作するときに前記回転軸が回転して前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の大きさをそれぞれ記憶値として記憶する記憶手段と、
前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、前記記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態に動作するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態にあると判断し、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態にあると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする光量調整装置。
【請求項3】
前記カム溝は、ハートカム溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記ハートカム溝は、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面と、最も低い平面状のカム面と最も高い平面状のカム面とを接続する斜面状のカム面と、を有することを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記光量調節部材駆動部材及び前記地板に掛止される引っ張りコイルばねであり、
前記引っ張りコイルばねは、前記光量調節部材駆動部材に対する掛止位置が前記地板に対する掛止位置に比べて前記地板から光軸方向に離れるように傾斜して配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光量調整装置。
【請求項1】
マグネット及びコイルを有し、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、
露光用の開口部を有する地板と、
前記地板に対して回動動作が可能に支持され、前記回動動作により前記開口部に対して進退する光量調節部材と、
前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有し、前記回転軸の回転に連動して光軸と直交する方向に移動することにより、前記光量調節部材を前記開口部に対して進退する方向に回動動作させる光量調節部材駆動部材と、
前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記アクチュエータへの通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、
前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、
前記第3の位置での前記アクチュエータへの通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、
前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、
更に、前記第2の位置から前記第3の位置までの距離と前記第4の位置から前記第1の位置までの距離とを異ならせ、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記回転軸が回転する際に前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間を計測値として計測する計測手段と、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するとき、及び前記開口部に進入した状態に動作するときに前記回転軸が回転して前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の発生時間をそれぞれ記憶値として記憶する記憶手段と、
前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、前記記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部に進入するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態にあると判断し、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部から退避するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態にあると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
マグネット及びコイルを有し、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、
露光用の開口部を有する地板と、
前記地板に対して回動動作が可能に支持され、前記回動動作により前記開口部に対して進退する光量調節部材と、
前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有し、前記回転軸の回転に連動して光軸と直交する方向に移動することにより、前記光量調節部材を前記開口部に対して進退する方向に回動動作させる光量調節部材駆動部材と、
前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記アクチュエータへの通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、
前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、
前記第3の位置での前記アクチュエータへの通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、
前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、
更に、前記アクチュエータの非通電時に前記カム軸に作用する前記付勢手段の付勢力を、前記カム軸が前記カム溝の前記第2の位置にあるときと前記第4の位置にあるときとで異ならせ、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記回転軸が回転する際に前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の大きさを計測値として計測する計測手段と、
前記アクチュエータの非通電時に、前記付勢手段の付勢力により、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するとき、及び前記開口部に進入した状態に動作するときに前記回転軸が回転して前記コイルと前記マグネットとの間に生じる逆起電力の大きさをそれぞれ記憶値として記憶する記憶手段と、
前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、前記記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態に動作するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部に進入した状態にあると判断し、前記計測手段による逆起電力の発生時間の計測値と、記憶手段で記憶された、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態に動作するときの前記記憶値とが一致したときに、前記光量調節部材が前記開口部から退避した状態にあると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする光量調整装置。
【請求項3】
前記カム溝は、ハートカム溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記ハートカム溝は、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面と、最も低い平面状のカム面と最も高い平面状のカム面とを接続する斜面状のカム面と、を有することを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記光量調節部材駆動部材及び前記地板に掛止される引っ張りコイルばねであり、
前記引っ張りコイルばねは、前記光量調節部材駆動部材に対する掛止位置が前記地板に対する掛止位置に比べて前記地板から光軸方向に離れるように傾斜して配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光量調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−255921(P2012−255921A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129050(P2011−129050)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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