光電センサユニット
【課題】複数の機能を備える光電センサユニットにおいてユーザの用途やワークに応じた設定を容易に設定可能とすることで、光電センサユニットが有する能力を適切に引き出すことができる光電センサユニットを提供すること。
【解決手段】検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容を初期化する通常の初期化処理を実行する通常初期化モードと、ユーザの用途に応じて一部の設定パラメータを推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを初期化する特別初期化モードのいずれかを選択する設定画面を表示し、特別初期化処理が実行されると、複数の設定パラメータの組み合わせが推奨される設定内容に自動的に設定される。
【解決手段】検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容を初期化する通常の初期化処理を実行する通常初期化モードと、ユーザの用途に応じて一部の設定パラメータを推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを初期化する特別初期化モードのいずれかを選択する設定画面を表示し、特別初期化処理が実行されると、複数の設定パラメータの組み合わせが推奨される設定内容に自動的に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの状態監視などを行う光電センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサユニットは、製造現場や製品検査工程などで種々の目的のために用いられている。このセンサユニットは、適用用途の拡大や多様なワークに対応するために多機能化の傾向にある。
【0003】
特許文献1は、多機能な光電センサユニットの各機能に関する設定方法及びその表示方法を開示している。この光電センサユニットは、分解能やワークまでの距離や応差など検出能力と応答速度とを最適化することのできる複数の動作モードを有し、この動作モード群からユーザが最適と思われる選択肢を選択することができる。そして、この光電センサユニットでは、スイッチ又はボタンを操作することで、当該光電センサユニットの表示部に、設定メニューから動作モード設定に関する表示を呼び出し、そして、動作モードの選択可能な選択肢を次々と表示させて、ユーザが最適と思う選択肢が表示されたときにスイッチ又はボタンを押して確定することで、ユーザが選択した動作モード(選択肢)が設定されるようになっている。
【0004】
また、光電センサユニットは、ユーザが選択可能な複数の選択肢を備えた機能、例えば、検出機能として、検出物の有無を検出する一般的な検出モードや一般的な受光量の大小で判別又は検出するモードや、上下2つの閾値を持ったエリア検出モード、自動感度補正モードの他に検出物の通過の際のエッジ検出が可能な微分モードなどを含み、この特許文献1では、光電センサの表示部に表示される微分モード設定又は解除のメニューを呼び出して、例えば微分モードを設定したいときには微分モードの「ON」を選択するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−278684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したセンサユニットの多機能化に伴い、様々な用途やワークに対応できるようになった反面、設定項目が複雑化し、ユーザにとっては適切な設定を行うことが難しくなっている。ユーザの用途やワークに合致した適切な設定を行うためには、ユーザがセンサユニットの仕様を正確に理解している必要があるが、設定が複雑化しているセンサユニットの仕様を完全に理解するのは難しく、本来、複数の機能を組み合わせることにより安定して検出できる用途、ワークであっても、これに気付かずにセンサユニットの性能をユーザがうまく引き出せないケースがある。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、複数の機能を備えるセンサユニットにおいてユーザの用途やワークに応じた設定を容易に設定可能とすることで、センサユニットが有する能力を適切に引き出すことができるセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の光電センサユニットは、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得する検出部と、該検出部が検出した検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を生成するとともに、検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容に基づいた動作を実行する制御部とを備えるセンサユニットであって、前記複数の設定パラメータの初期設定、及びユーザ用途に応じて設定変更が推奨される設定パラメータの組み合わせを各設定パラメータの設定変更内容と紐付けて記憶する記憶部と、前記複数の設定パラメータの設定内容を前記初期設定に復帰させる通常初期化処理を実行する通常初期化モードと、用途に応じて一部の設定パラメータを前記推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを前記初期設定に復帰させる特別初期化処理を実行する特別初期化モードを選択するための設定画面を表示する表示部と、前記設定画面により、複数の初期化モードのうち一つをユーザ用途に応じて選択するための操作部と、前記操作部により選択された初期化モードに基づいて、前記通常初期化処理あるいは特別初期化処理のいずれかを実行する制御部とを、具備するものである。
【0009】
本発明によれば、検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容を初期化する通常の初期化処理を実行する通常初期化モードと、ユーザの用途に応じて一部の設定パラメータを推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを初期化する特別初期化モードをユーザが選択することができる。これにより、ユーザは自らの用途に応じた初期化処理を実行することにより、複数の設定パラメータの組み合わせが推奨される設定内容に自動的に設定されるため、用途やワークの種類に応じた設定を容易に行うことができる。
【0010】
ここで、前記記憶部は、前記操作部を操作することにより任意に設定変更された前記設定パラメータの変更内容を記憶可能であり、前記表示部は、前記記憶部に記憶された任意に設定変更された設定パラメータの設定内容に復帰させる保存データ読出し処理を実行する保存データ読出しモードを選択させる設定画面を表示し、前記制御部は前記保存データ読出しモードが前記操作部により選択された際に、前記保存データ読出し処理を実行するようにしてもよい。
【0011】
これにより、ユーザが自らの用途に応じた特別初期化処理を実行した後に、更に設定パラメータの一部を微調整した場合に、この設定を記憶部に保存データとして記憶させておくことができる。したがって、ユーザは保存データ読出し処理を実行することで、一切の設定変更を行うことなく、センサユニットを所望の設定状態に復帰させることができる。
【0012】
ここで、センサユニットは2つの出力を備えており、前記特別初期化モードは、一方の出力を前記受光量の微分値と前記記憶部に記憶された第1閾値とを比較することにより判別信号を出力し、他方の出力が前記受光量が前記記憶部に記憶された第2閾値と比較することにより判別信号を出力するように前記設定パラメータを設定する特別初期化モードを含むようにしてもよい。
【0013】
これにより、一方の出力が受光量の微分値と第1閾値とを比較し、他方の出力が受光量と第2閾値とを比較することで判別信号を出力することができるので、受光量の微分をとることで検出できない受光量の絶対値の変動を他方の出力を用いて検出できる。
【0014】
ここで、前記設定パラメータは、前記受光部が受光する受光量を変更するパワーモードを含み、前記特別初期化モードは、前記パワーモードを最大の受光量を取得できる前記設定パラメータに設定する光量最大モードを含むようにしてもよい。
【0015】
これにより、受光量が最大となる設定パラメータの設定内容を自動的に設定することができるので、受光量を最大にして使用したいユーザに手間をかけずに受光量が最大になるパラメータ設定を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の機能を備えるセンサユニットにおいてユーザの用途やワークに応じた設定を容易に設定可能とし、センサユニットが有する能力を適切に引き出すことができるセンサユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態における光電センサユニットを説明する。図1(a)は本実施の形態におけるセンサユニット30を一方の側面から見た状態の斜視図であり、図1(b)はセンサユニット30を反対側の側面から見た状態の斜視図である。また図2はセンサユニット30を上面から見た図である。
【0018】
センサユニット30は図1(a)、(b)に示すように、幅が狭いケース51に部材を収容したユニットである。ケース51の上面には4桁の7セグメントLEDで形成された表示器や各種のスイッチから成る操作部35が設けられている。表示部34はセンサの受光量と設定閾値や、受光量と余裕度などの値を同時にデジタル表示可能である。
【0019】
操作部35は、スイング式のアップダウンボタン35a、セットボタン35b、モードボタン35c、チャンネルセレクタ35d、プリセットボタン35eを備え、表示部34はケース51の長手方向に横並びに隣接して配置された第1、第2の表示部34a、34bが設けられている。各表示部34a、34bはそれぞれ4桁の7セグメントLEDで構成されている。
【0020】
ケース51の上部には、上面を覆う着脱自在のカバーが設けられるが、図1では省略している。また、ケース51の長手方向端部には、光ファイバ32a、33aを装着するヘッド装着孔52a、52bと、光ファイバ32a、33aを装着するヘッド装着孔52a、52bと、光ファイバ32a、33aを固定する固定レバーが設けられている。
【0021】
図1(a)に示すようにケース51の一方の側面には、図示しないコネクタ37が設けられている。また、ケース51の一方の側面には、長手方向両端部に近接して係合突起53a、53bが設けられている。この係合突起53a、53bは、後述するネットワークユニット10と係合させるためのもので、ネットワークユニット10との連結の際の位置決めと接続を行う物理的な接続手段を構成している。コネクタ37は上流側のネットワークユニット10又はセンサユニット30と電気的に接続する接続手段を構成している。
【0022】
図1(b)に示すようにケース51の他方の側面にはコネクタ37と対象な位置にコネクタ38が設けられている。また、ケース51の他方の側面には、長手方向両端部に近接して係合凹部54a、54bが設けられている。この係合凹部54a、54bは、下流のセンサユニット30に設けられた係合突起を嵌入させて係合するもので、センサユニット30同士の連結の際の位置決めと接続を行う物理的な接続手段を構成している。コネクタ38は下流側のセンサユニット30と電気的に接続する接続手段を構成している。
【0023】
本実施の形態におけるセンサユニット30はネットワークユニット10を介して、図示しないPLC等の上位制御装置にデータを転送したり、あるいは上位制御装置からの命令を受け付けることができる。図2は複数のセンサユニット30を連結し、ネットワークユニット10を介して上位制御装置に接続される連設型センサシステムの構成を示す図である。上位制御装置からはネットワークユニット10を介して各センサユニットに個別に、あるいは同時に外部入力信号を入力することができる。
【0024】
図4は、センサユニット30の内部構成を示す機能ブロック図である。センサユニット30は、1チップのゲートアレイやマイクロプロセッサを用いて形成した制御部31を有している。制御部31はタイミング制御部31a、判定部31b、シリアル通信部31cを内部に備えている。また制御部31には発光部32、受光部33、表示部34、操作部35、メモリ36、出力トランジスタQ1及びコネクタ37、38が接続されている。
【0025】
制御部31は、シリアル伝送ライン41を介してネットワークユニット10との間でシリアル信号を送受信する機能を有する。また、センサユニット30内のパラメータが更新されたときにメモリ36が保持する更新フラグをオンとし、パラメータの送出を終えるとこのフラグをリセットする機能を有している。
【0026】
判定部31bは受光量を所定の閾値により弁別してオン/オフの二値化された判別信号に変換する判別部である。センサの判別信号は出力用トランジスタQ1を介して外部に直接出力される。
【0027】
シリアル通信部31cはコネクタ37、38のシリアル伝送ライン41に接続され、連設型センサシステム1に接続されるネットワークユニット10との間でシリアル通信を行うもので、シリアル伝送手段を構成している。
【0028】
発光部32はタイミング制御部31aからのタイミング信号に基づいて発光素子を駆動するものである。発光素子からの光は光ファイバ32aを介して伝送されて先端から光を輻射する。光ファイバ32aから輻射される光は物体検知領域を介して光ファイバ33aに入射し、受光部33に導かれる。受光部33は入射光を電気信号に変換し、増幅するものである。
【0029】
メモリ36は、検出された受光量、判別信号を記憶する揮発性メモリと、各センサユニットで個別に設定される設定パラメータや初期化情報等を記憶する不揮発性メモリとからなり、このメモリの詳細については後述する。
【0030】
コネクタ37は、ネットワークユニット10と隣接するセンサユニット30のコネクタ38と互いに接続可能となっている。またコネクタ37はシリアル伝送ライン41の上流側に接続される2個の接続端子37a、37bと、コネクタ38の接続端子38a、38bとの間は各々直接接続されてシリアル伝送ライン41が形成されている。
【0031】
コネクタ38はシリアル伝送ライン41の下流側に接続される2個の接続端子38a、38bを有する。コネクタ37の接続端子37a、37bと、コネクタ38の接続端子38a、38bとの間は各々直接接続されてシリアル伝送ライン41が形成されている。
【0032】
コネクタ37の接続端子37cはタイミング制御部31aを介してコネクタ38の接続端子38cに接続されている。また、コネクタ37の接続端子37d、37eとコネクタ38の接続端子38d、38eとの間は各々直接接続され、センサユニット30の内部に電源を供給すると共に、下流のセンサユニット30に電源を供給する。
【0033】
センサユニット30のメモリ36には複数の設定パラメータが記憶されており、センサユニット30はこの設定パラメータに基づいて様々な検出機能及び表示機能を実行する。設定パラメータの設定は、ユーザが表示部34の設定画面を見ながら、操作部35を操作することにより順次実行される。
【0034】
以下、各設定パラメータの設定の流れについて図5〜図9を参照して説明する。図5は基本機能設定に関する設定フロー図である。本実施の形態におけるセンサユニット30は出力を2つ備えており、設定を行う出力をチャンネルセレクタ35dにより選択できる。したがって、ユーザはまずチャンネルセレクタ35dにより出力1を選択し、出力1における設定パラメータを設定する。
【0035】
STEP1−1ではパワーモードを設定する。各種のパワーモードは、互いに相反する受光量と応答性のバランスを定めるものであり、受光量を増加させるのに、例えば受光周期を長く設定したり、受光量を複数回加算する手法を採用することができる。受光量が大きくなるパワーモードを選択すると応答速度が遅くなるため、ユーザは用途やワークの種類に応じたパワーモードを選択して設定する必要がある。
【0036】
設定できるパワーモードとしては、最も応答速度が早いが受光量が少ないハイスピードモード、応答速度と受光量のバランスを重視したファインモード、ファインモードよりも受光量を増大させたターボモード、ターボモードよりも更に受光量を増大させたモードとして順にスーパーモード、ウルトラモード、メガモードがそれぞれ選択できる。一般に光電センサユニットを透過型ではなく反射型で使用する場合には透過型よりも受光量が少なくなるため、上述した大きな受光量が取得できるパワーモードが有効である。
【0037】
次にSTEP1−2でチューニングモード設定が行われる。ここでいうチューニングモード設定とは受光量と比較する閾値をどのように設定するかを意味しており、通常のチューニングモード設定とパーセントチューニング設定のいずれかが選択できる。通常のチューニングモード設定を選択した場合は、上述した2つの表示部34a、34bのいずれかに受光量が表示され、他方に閾値が表示された状態でアップダウンボタン35aを操作することにより、受光量に対する閾値をマニュアルで調整できる。また、閾値設定方法としてワークのある状態と無い状態の受光量の中間値を閾値として設定する2点チューニングや、一定時間内の受光量の最大と最小の中間値を閾値にするフルオートチューニング、現在の受光量をゼロにシフトし、ゼロに対する受光量の増加量にあわせて閾値を設定するゼロシフトチューニングなどがある。
【0038】
パーセントチューニング設定は、閾値設定時の受光量に対する比率で閾値を設定する設定方法である。パーセントチューニング設定を選択した場合は、基準となる受光量から何パーセント受光量が低下した状態を閾値として設定するかを示すパーセント目標値を設定する。例えば、パーセント目標値を−10Pに設定した場合は、基準受光量に対して−10%の大きさの閾値が設定される。基準受光量は、基準としたい受光量の状態でセットボタン35bを押下することにより決定する。
【0039】
続いて、ユーザはSTEP1−3で基本設定の次に設定する設定ステージの選択を行う。他の設定ステージとしては検出設定ステージ、表示設定ステージ、システム設定ステージがある。図5は検出設定ステージに関する設定フローである。検出設定ステージでは、タイマモード設定(STEP2−1)、検出モード設定(STEP2−2)、外部入力設定(STEP2−3)の順に設定を行う。
【0040】
タイマモード設定は、タイマオフモード、オフディレイモード、オンディレイモード、ワンショットモード等が選択できる。タイマオフモードはタイマ設定を行わないことを意味しており、センサユニット30がワークの存在を検出すると直ちに検出信号を出力する。オフディレーモードは、ワークの検出が完了して判定がONからOFFに変化しても、設定したディレー時間が経過した後に出力をOFFにするモードである。逆にオンディレーモードはワークを検出してOFFからONに変化しても、設定したディレー時間が経過した後に出力をONにするモードである。ワンショットモードは、判定がOFFからONに変わったときに予め定められた所定時間だけ出力をONにするモードである。また、これらのタイマモードを組み合わせて、オンディレーオフディレーモードや、オンディレーワンショットモードを選択することもできる。
【0041】
タイマモードの選択を行ったら、各タイマモードにおけるタイマ時間の設定を行う。例えばユーザが上述したオンディーオフディレーモードを選択したら、オンディレー時間(タイマ時間設定1)とオフディレー時間(タイマ時間設定2)の夫々を設定する。
【0042】
STEP2−2では検出モードの設定を行う。検出モードとしては通常(光量)検出モード、自動感度追従モード、エリア検出モード、エッジ検出モード等が選択できる。通常検出モードは、受光量を閾値と比較して判別信号を出力する通常の検出モードである。自動感度追従モードはワークが無い状態、すなわち出力がOFFの状態における受光量の変動に追従するように閾値を自動補正する機能であり、ワークが無い状態における受光量が漸減的に低下するような場合にも常に最適な閾値を自動設定することができるモードである。自動感度追従モードを選択した場合は、閾値の自動補正を実行する頻度(補正スピード)を設定する。また、通常検出モード、自動感度追従モードを設定した場合は、受光量が閾値を上回っているときに出力をONにするL−ON(入光時ON)、または受光量が閾値を下回っているときに出力をONにするD−ON(遮光時ON)のいずれかの出力論理の設定を行う。出力論理の設定は受光量と閾値を表示する通常画面からモードボタン35cを押下することにより設定メニューを呼び出していずれかの出力論理を設定する。
【0043】
エリア検出モードは、受光量が一定の範囲にあるときに出力をONにするモードである。エリア検出モードを選択した場合はエリアを規定するエリア上限値(HI)とエリア下限値(LO)を設定する。エッジ検出モードは受光量の変化を検出して出力をONにするモードである。エッジ検出モードには立ち上がりエッジ検出と立下りエッジ検出があり、立ち上がりエッジ検出は受光量の増加を検出し、立下りエッジ検出は受光量の減少を検出する。
【0044】
検出モードの設定が終わったら、出力論理の設定を行う。出力論理の設定はL−ON(受光時出力ON)、D−ON(遮光時出力ON)のいずれかを設定できる。センサユニット30を反射型として用いる場合は出力論理設定をL−ONに設定し、透過型として用いる場合はD−ONに設定する。なお、出力論理の設定は、ケース51上面に設けられた出力切替ボタン35eを操作することにより行うこともできる。
【0045】
STEP2−3では外部入力機能を選択する外部入力設定を行う。外部入力機能は、センサユニット30に接続された外部入力線、あるいはネットワークユニット10を介して上位制御装置から外部入力信号を受け付け、外部入力の信号パターンであると判断したときに実行する外部入力機能を設定する。外部入力機能としては外部チューニング機能、プリセット機能、ゼロシフト機能、出力固定機能、投光停止機能、表示停止機能等の機能が選択できる。
【0046】
外部チューニング機能は外部入力信号を受け付けたときに閾値のチューニングを行う機能であり、例えば感度設定方法としてパーセントチューニング設定が設定されており、パーセントチューニング目標値として−10Pが設定されている場合には、センサユニット30が外部入力信号を受け付けたときの−10%の受光量が閾値として再設定される。したがって、ワークが無い状態のときの受光量が漸減的に低下するような場合でも、定期的に外部入力信号をセンサユニット30に入力することにより、閾値を適切な大きさに維持することができる。
【0047】
プリセット機能は受光量をプリセット目標値に調整する。例えば、現在の受光量が1100であり、プリセット目標値として110が設定されている場合には、現在の受光量1100がプリセット目標値110に割り当てられる。表示部34のプリセット表示の最大値は100に固定されており、受光量が1000〜1100の間にあるときは、表示部34には最大値である100が表示される。プリセット目標値はユーザにより100〜200の間で設定することができ、表示最大値である100よりも大きな値をプリセット目標値として設定することにより、僅かな受光量の低下を表示に反映させず、表示を安定させることができる。プリセット機能実行時の閾値は50に初期設定されるが、ユーザにより閾値は変更可能であり、閾値変更後に再度プリセット機能が実行された場合は変更後の閾値は維持される。
【0048】
一般に光電センサユニットでは光源の輝度ばらつきや受光素子の感度ばらつきが原因で、同一環境下であってもある程度の受光量のばらつきが発生する。複数の光電センサユニットを連設して用いる場合に、受光量のばらつきがあると各光電センサユニットの特性に合致した受光量・閾値の個別管理が必要であるとともに、ユーザの装置への信頼感を損なう虞がある。したがって、外部入力機能にプリセット機能を割り当て、ワークが無い状態で定期的にプリセット機能を実行することにより、複数の光電センサユニットの受光量・閾値を統一的に管理するとともに、ユーザに対する受光量表示の見栄えを向上することができる。
【0049】
ゼロシフト機能は、現在の受光量を強制的にゼロにする機能であり、主に光電センサユニットを反射型として用いる場合に利用される機能である。反射型として光電センサユニットを使用する場合は、ワークが検出領域に存在している状態で一定の受光量が得られ、ワークが検出領域に存在していない状態では受光量がゼロである状態が理想的である。しかし、ワークが検出領域に存在していない状態でも、背景からの反射光やセンサユニット内部における迷光を受光してしまい、受光量が完全にゼロになることはない。ゼロシフト機能を利用することで、受光量が完全にゼロではない状態を受光量ゼロの状態として定義し、この状態からの受光量の増加量に基づいてワークの検出を行うことができる。
【0050】
出力固定機能は、センサユニット30の出力をON状態あるいはOFF状態に強制的に固定する機能である。製造ラインの試運転や、局所的なブロック単位での動作チェックを行うときに、センサユニット30の出力をユーザがコントロールできずに利便性を損なうケースがある。例えば、センサユニット30の判別信号がONの状態のときの製造ラインの動作をチェックしたい場合、上述した出力固定機能を用いればわざわざセンサユニット30の出力がONになるように物を置いたり手を翳す必要がなく、センサユニット30の出力を受光量に関わらずONに固定できる。このようにしてセンサユニット30の出力を受光量に関わらず制御することにより、仮想的な検出状態を実現し、製造ラインのシステムのデバッグや設計の効率を高めることができる。
【0051】
投光停止機能、表示停止機能は外部入力信号受け付け時にそれぞれ、投光光源の点灯、表示LEDの点灯を停止するものであり、センサユニット30の使用を一時的に停止する場合や、表示部34を確認する必要性がない場合に利用することができ、消費電力の低減を図ることができる機能である。
【0052】
STEP1−3にて表示設定のステージが選択された場合は、ユーザは図7に示す表示設定のフローに従って表示設定を行う。 STEP3−1では表示反転機能を選択できる。表示反転機能とはユーザの立ち位置に応じて見やすい方向に表示方向を反転する機能であり、例えば「123」が順方向の表示であるとすると、これを「321」と上下に逆さまに表示する逆方向の表示態様に反転する。
【0053】
STEP3−2は表示部に表示する表示項目をユーザが任意に選択できる表示カスタマイズ設定に関する。ユーザが任意に選択できる表示画面としては、受光量と閾値をそれぞれ表示部34a、34bに表示する通常表示、受光量のみを表示部34a、34bに5桁以上で表示する拡張表示、受光量をバーで表示するバー表示、閾値に対する受光量の値をパーセントで表示する余裕度表示、受光量の最大値あるいは最小値をホールドして表示するホールド表示、設定されているパワーモードを表示するパワーモード表示が選択できる。
【0054】
初期設定では上述した通常表示のみが表示可能であり、上記表示カスタマイズ設定により選択された表示画面は通常表示状態からモードボタン35cを押下することにより、順次表示される。一方選択されなかった表示画面はスキップされ、表示部34に表示されることはない。
【0055】
STEP3−3ではプリセット飽和表示機能のON/OFFを設定できる。プリセット飽和表示機能をONにすると、プリセット機能実行時にプリセット目標値以上の値を表示せずに、内部処理でプリセット目標値よりも大きな値にスケーリングすることで、受光量表示を安定させる。
【0056】
STEP1−3にてシステム設定のステージが選択された場合は、ユーザは図8に示すシステム設定のフローに従ってシステム設定を行う。ユーザはまずSTEP4−1でAPC設定を行う。APC設定とは発光部32から発光する光を一定に保つように光量を監視・補正する機能である。APC機能は、センサユニット30内部の投光光源の近傍に配置されたフォトダイオードが投光光源から発せられた光の一部を受光し、制御部31がフォトダイオードが受光した光量に基づいて投光光源の投光量を制御することで、発光部32から発光する光を一定に保つように制御することにより行う。APC機能は光源からの投光量をリアルタイムに制御するものであるため、長期間使用すると光源への負荷が大きくなる。
【0057】
続いて、STEP4−2で省電力モードの設定を行う。省電力モードを有効にすると、一定時間操作が無いと省電力用の表示態様(例えば表示部34の各桁の7セグメントLEDが1セグメントずつ順次点灯)に切り替わる。また、ユーザが表示部を視認する必要性がない場合は、全ての表示を消灯するモードに設定することも可能である。
【0058】
STEP4−3では光量拡大モードの設定を行う。光量拡大モードを有効にすると、内部的に受光量を4倍に増幅する処理を実行する。
【0059】
STEP4−4では干渉防止台数の設定ができる。干渉防止台数設定では前述した発光部32による発光間隔を制御することにより、センサユニット30を連設して使用する場合に干渉を防止できる台数を設定できる。干渉防止台数は各センサユニット30に予め仕様として定められているが、上述した発光間隔を延ばすことにより、干渉防止台数を2倍にすることができる。ただし、この場合は各センサユニットの応答時間も通常の2倍になる。
【0060】
STEP4−5では共通キー操作設定を行う。複数のセンサユニット30を連結して用いる場合は、親機に相当するセンサユニットに当該共通キー操作を有効にすると、親機での一部の操作(例えばプリセット機能やゼロシフト機能など)が親機に連結されたすべての子機に送信される。
【0061】
本実施の形態におけるセンサユニット30は2出力を備えており、チャンネルセレクタ35dを操作することにより、出力2の各種設定を行うことができる。図9は出力2の設定フローである。出力2は出力1の補助的な出力機能を割り当てることができ、STEP5−1で出力2に割り当てる機能を選択できる。設定できる機能としては通常出力、リミット設定出力、アラーム出力等がある。
【0062】
通常出力は、受光量を閾値と比較した判別信号を出力する通常の出力設定である。リミット設定出力は、ワークの有無検出において光量差が少なくなった場合に予知警報を出力する機能であり、ピークリミット設定とボトムリミット設定いずれかが設定可能である。
【0063】
図10はリミット設定出力を説明するための図である。ピークリミット設定は、出力1の閾値を受光量が上回っている間の最大受光量を毎回サンプリングし、この最大受光量(ピーク値)の中の最小値が出力2に予め設定されたピークリミット設定値を下回ると出力をONにする。すなわち、受光量が閾値を上回っていたとしても、ピーク値がピークリミット設定値を超えるレベルで受光量が閾値を上回っていないと、受光量と閾値の光量差が少なくなったものとして予知警報を出力する。逆にボトムリミット設定は、出力1の閾値を受光量が下回っている間の最小受光量を毎回サンプリングし、この最小受光量(ボトム値)の中の最大値が出力2に予め設定されたボトムリミット設定値を上回ると出力をONにする。ユーザはSTEP5−1にてピークリミット設定あるいはボトムリミット設定を設定した場合に、ピークリミット設定値およびボトムリミット設定値を設定する。
【0064】
アラーム出力機能は、APC機能使用時に、光源への負担が大きくなるとアラーム出力を出力するものである。APC機能は、光源に流す電流を制御することにより光源の発光量を一定に保つ処理であるため、光源に流す電流値が所定量を超えた場合に、上述したアラーム出力が出力されるようになっている。
【0065】
以上説明したように、センサユニット30に設定可能なパラメータは多岐にわたっており、ユーザが用途やワークの種類に応じて適切なパラメータ設定を導き出すには、様々な設定を実際に設定して検出を繰り返す試行錯誤が必要になる。適切な設定を行うためにはユーザがセンサユニット30の仕様を正確に理解する必要があり、本来安定して検出する能力をセンサユニット30が有していても、ユーザがこれに気付かずセンサユニット30の性能を十分に引き出せないことがある。
【0066】
ユーザはセンサユニット30の使用開始時、あるいはセンサユニット30の用途変更を行う場合に、センサユニット30の初期化処理を実行することがある。初期化処理とは、全設定項目を工場出荷時の初期設定に復帰させる処理であり、通常表示状態から出力切替ボタン35eとモードボタン35cを同時に長押しして初期化処理メニューを呼び出すことにより実行される。本実施の形態におけるセンサユニット30は、全項目を初期化する通常初期化モードに加えて、代表的な用途に対応して、一部の設定パラメータを推奨される設定内容に設定した上で、残りの設定パラメータを初期化する特別初期化モードを備える。この特別初期化モードを実行することにより、上述した煩雑な設定を一切行わずに用途に応じた適切な設定を行うことができる。
【0067】
図11は本実施の形態における初期化処理の設定フローである。本実施の形態では、初期化処理メニューから、全項目を初期化する通常初期化モード、ユーザが予め保存したユーザ保存データ読出モード、落下検出モード、パーセントチューニングモード、反射型背景キャンセルモード、光量最大モードが選択できる。各モードの詳細については後述するが、本実施の形態における各初期化モードは一例であり、これに限られるものではない。
【0068】
図12は初期化処理メニューの設定画面の遷移を示す図である。受光量と閾値を表示する通常表示からプリセットボタン35eとモードボタン35cを同時に長押しして初期化処理メニューを呼び出すと第1表示部34aに「リセット」を示す「rst」が表示され、第2表示部34bに「no」が表示される。この状態でアップダウンボタン35aを操作することで第2表示部に「init」、「user」を表示させることができる。「init」を表示させた状態でモードボタン35cを押下すると、全項目を初期化する通常初期化モードが実行される。「user」を表示させた状態でモードボタン35cを押下すると、ユーザ保存データ読出モードの実行指示が行われる。
【0069】
第1表示部34aに「rst」、第2表示部34bに「no」が表示された状態で、モードボタン35cを押下すると、リセット操作がキャンセルされ、第1表示部34aに「LoAd」、第2表示部34bに「no」が表示される。この状態でアップダウンボタン35aを操作すると、落下検出モードを示す「FALL」、パーセントチューニングモードを示す「SEtP」。反射型背景キャンセルモードを示す「OSEt」、光量最大モードを示す「MEGA」が第2表示部34bに表示され、各々の画面が表示された状態でモードボタン35cを押下すると、対応する初期化モードの実行指示を行う。
【0070】
第1表示部34aに「LoAd」が表示された状態で、モードボタン35cを押下すると第1表示部34aに「SAvE」が表示され、第2表示部34bに「no」が表示される。この状態でアップダウンボタン35aを操作し、第2表示部34bに「yES」を表示させて、モードボタン35cを押下すると、閾値、出力論理、パワーモード設定などの現在のパラメータ設定が保存される。このとき保存されたパラメータ設定は、上述したユーザ保存読出モードを実行することにより読み出して設定することが可能である。第2表示部34bに「no」が表示された状態で、モードボタン35cを押下すると受光量と閾値を表示する通常表示に復帰する。
【0071】
上記の操作により実行指示が行われる各初期化処理は、センサユニット30に記憶された初期化情報を読み出して設定することにより最終的に実行される。図13はセンサユニット30のメモリ36の内部データを示す図である。メモリ36は、検出情報メモリ36a、設定情報メモリ36b、初期化情報メモリ36cとからなる。検出情報メモリ36aはセンサユニット30が検出した受光量や、該受光量を閾値と比較した結果得られる判別値を記憶するメモリである。設定情報メモリ36bは上述した各設定パラメータの現在の設定内容を記憶しており、操作部35による操作や、外部に接続された上位制御装置から設定内容の変更が可能である。制御部31は設定情報メモリ36bに記憶された各設定パラメータの設定内容に基づいて各種の表示機能、検出機能を制御する。
【0072】
初期化情報メモリ36cは全ての設定パラメータの初期設定と、特別初期化モード(落下検出モード、パーセントチューニングモード、反射型背景キャンセルモード、光量最大モード)で設定変更が推奨される設定パラメータの組み合わせを各設定パラメータの設定変更内容と紐付けて記憶している。図14は各特別初期化モードにおける設定変更が行われる設定パラメータと、各設定パラメータの設定内容を示す一覧を示す図である。図14に示すように、特別初期化モードによって設定されるパラメータの数及び種別は異なる。特別初期化モードは設定されるパラメータの数、種類、内容の推奨設定をユーザの用途やワークの種類に応じてトータルで提供する。
【0073】
落下検出モードでは、検出モードとして立下りエッジ検出、タイマモードとしてワンショット、出力論理としてL−ON、表示カスタマイズとしてホールド表示、閾値として20が設定される。また、出力2は出力論理としてD−ON、タイマモードとしてオンディレー、閾値として300が設定される。なお、本実施の形態において検出モードがエッジ検出モードの場合の出力論理L−ONは、設定された閾値以上の光量変化があった場合にON信号を出力するものとする。
【0074】
図15はセンサユニット30を落下検出に用いた場合の使用例を示す図である。投光センサヘッド60は発光部32が発光し、発光側光ファイバ32aを介して導光された光を帯状に変換して外部に照射する。投光センサヘッド60に対向する位置に配置された受光センサヘッド61には上記帯状光が入光し、投光センサヘッド60と受光センサヘッド61の間に検出エリアが形成される。受光センサヘッド61に入光した光は受光側光ファイバ33aを介してセンサヘッド30内の受光部33に導光される。検出エリアにチップ部品などの小型部品が落下して通過すると、瞬間的に受光部33が検出する受光量が僅かに低下する。
【0075】
図16は落下検出時の受光量の変動と、各出力のタイミングチャートを示す図である。図16(a)に示すように、受光量はワークが通過する瞬間に小幅に減少するに過ぎない。したがって、ワークを検出するための閾値を設定するためには、ワークが無い状態での受光量と閾値を近い値に設定する必要があり、温度変化や汚れ等による光量変動の影響で出力が不安定になる虞がある。このようなケースでは図16(b)に示すように、受光量の立下りエッジ値(受光量が減少する方向の微分値)を算出することにより、ワークによる受光量の変動のみを適切に検出することができる。この立下りエッジ値に対して閾値を設定することにより、ワークの通過を適切に検出することができる。
【0076】
また、落下検出ではワークが通過するときに受光量が瞬間的に低下するだけなので、この短い受光量変化を確実に検出するために、出力1のタイマモードとしてワンショットモードが設定される。すなわち、図16(c)に示すように立下りエッジ値が出力1の閾値(ここでは20)を超えた時点から、予め定められた所定時間出力をONにする。タイマモードをワンショットモードに設定することで、ワークが小さく、また落下スピードが速いような場合でも確実に受光量変化を検出することができる。
【0077】
出力1の検出モードを上述したエッジ検出モードに設定すると、短期的な受光量変動を正確に検出できる一方で、図16(a)に示すような長期的な受光量の低下を検出することが出来なくなる。そこで、落下検出モードでは出力2に受光量の長期的な低下を検出する補助機能を割り当てている。出力2の出力論理をD−ONとして閾値(ここでは300)を設定すると、受光量が減少して閾値よりも小さくなると、図16(d)に示すように出力2の出力がONになる。したがって、出力2の出力を監視することで、受光量の長期的な低下を検出することができる。また、出力2のタイマモードはオンディレーに設定される。これは、図16(a)に示すワークの通過による受光量の瞬間的な低下を無視し、長期的な受光量の低下のみを正確に検出するためである。
【0078】
また、落下検出モードでは表示モードとしてホールド表示を表示可能とする。ホールド表示は出力1のON信号間の最大値、最小値をホールドして表示するので、ワーク通過による受光量の瞬間的な変動量を確認することができる。
【0079】
以上説明したように、落下検出を目的にセンサユニット30を使用したい場合、複数の設定パラメータを組み合わせた最適な設定を導き出す必要がある。しかし、これをユーザが行うためにはセンサユニット30の仕様を詳細に理解している必要があるため容易ではない。本実施の形態では特別初期化モードとして落下検出モードを実行するだけで、上述した各設定パラメータが推奨される設定内容に自動設定され、ワークの大きさやスピードに応じて閾値やタイマ時間を微調整するだけで落下検出が可能になる。
【0080】
また、各設定パラメータは互いに組み合わせが不可能な設定内容を含んでいるものがある。たとえば、検出モードとしてエッジ検出モードが選択されている場合は、受光量をゼロにシフトするゼロシフト機能や受光量を所定値に合わせこむプリセット機能を実行することはできない。そのため、これらの機能が外部入力機能として設定されている状態で落下検出モードを実行するにはこの設定を解除する必要がある。したがって、落下検出モードを含む特別初期化モードのいずれかを実行した場合、センサユニット30の制御部31は図14に示す設定パラメータを推奨される設定内容に設定するとともに、残りの設定パラメータについては初期設定に復帰させるようにしている。
【0081】
すなわち、特別初期化処理は、単に特定の用途に対応した設定パラメータのバンクを提供するものではなく、特定の用途にカスタマイズされた初期状態に復帰させる処理であり、ユーザは特別初期化処理実行後に設定パラメータ間の依存関係や非親和性を考慮して一部の設定パラメータについての再設定を行う必要はない。
【0082】
続いて図14に示す他の特別初期化モードについて説明する。パーセントチューニングモードは出力1の出力論理をD−ON、チューニングモードをパーセントチューニング、パーセント目標値を−5%、プリセットレベルを101%、外部入力機能を外部チューニングとし、出力2の機能をピークリミット検出、ピークリミット設定値を100とする。
【0083】
パーセントチューニングモードは、センサユニット30を透過型として用いる場合を想定して用意されたモードであり、ワークが無い状態で検出される受光量と、受光量と比較される閾値の相対関係を環境変動や素子劣化等の外部要因の変動を許容しながら維持したいユーザにとって有効なモードである。パーセントチューニングモードを実行すると、現在の受光量を100%としてパーセント目標値である−5%、すなわち現在の受光量の95%が閾値として設定される。出力1は受光量が閾値を下回った場合に出力をONとする。また、プリセット機能が実行され、プリセット目標値として101が設定される。プリセット機能実行時の表示最大値は100であり、僅かな受光量の低下であれば表示には反映されず、表示最大値100の表示を継続する。
【0084】
また、パーセントチューニングモードでは外部入力機能として外部チューニング機能が設定されている。ユーザはセンサユニット30に備えられた外部入力線あるいはネットワークユニット10を介して外部入力信号を入力することにより、定期的に閾値のチューニングを実行し、ワークが無い状態における受光量と閾値の相対関係を維持することができる。
【0085】
また、パーセントチューニングモードでは受光量の絶対値の低下を検出するために出力2にリミット検出機能を設定している。したがって、出力1では検出できない受光量の絶対値が低下してきた場合に予知警報を出力することができる。本実施の形態におけるパーセントチューニングモードではリミット設定値として100が初期設定されるため、受光量が100よりも小さくなったことを検出した場合に予知警報を出力する。上記パーセント目標値、プリセット目標値、リミット設定値はユーザの使用環境に応じて設定変更することが可能である。
【0086】
反射型背景キャンセルモードでは、チューニングモードとしてゼロシフトチューニング、外部入力機能としてゼロシフト機能が設定される。反射型背景キャンセルモードは、センサユニット30を反射型として用いる場合を想定して用意されたモードである。上述したように、反射型でセンサユニット30を用いる場合は、ワークが存在していない状態では受光部33が受光する受光量がゼロになることが理想的だが、実際にはワークが存在していない状態でも、背景からの反射光やセンサユニット内部における迷光を受光してしまい、受光量が完全にゼロになることはない。反射型背景キャンセルモードを実行すると、ゼロシフトチューニングが実行される。
【0087】
また、外部入力機能としてゼロシフト機能が設定されるので、外部からの外部入力信号に基づいて定期的にゼロシフトを実行し、上述した背景からの反射光やセンサユニット30内部における迷光の影響を無視して、適切なワーク検出を継続することができる。
【0088】
光量最大モードは、チューニングモードとしてゼロシフトチューニング、外部入力機能としてゼロシフト機能、パワーモードとしてMEGAモード、光量拡大設定を4倍、表示カスタマイズとして拡張表示を表示可能とする。
【0089】
一般にセンサユニット30をワークからの反射光を受光する反射型として用いた場合、発光部32が出射した光を直接受光する透過型として用いた場合に比べ検出できる受光量が少なくなる。また、比較的遠い位置にあるワークを検出したい場合には、応答速度を多少犠牲にしてもセンサユニット30で検出できる最大の受光量を取得する必要がある。このような場合は、パワーモードがMEGAモードで、且つ投光パワーを最大にした光量最大モードの初期化処理を実行する。光量最大モードも上述した反射型背景キャンセルモードと同様、反射型を想定して用意されたモードであるため、チューニングモードとしてゼロシフトチューニング、外部入力機能としてゼロシフト機能が設定される。また、大きな受光量でも桁落ちせずに表示させるために、2つの表示部34a,34bを用いて5桁以上の受光量表示を行う拡張表示を表示可能とする。
【0090】
以上説明した各特別初期化モードは、各々設定変更が推奨される設定パラメータの設定を行うものであるが、ユーザの使用環境によって最適値が異なる閾値や各パラメータの目標値は、特別初期化モードの実行後にユーザによる微調整が必要になることがある。したがって、本実施の形態では、各特別初期化モード実行後にユーザが閾値や各パラメータの目標値を調整した後の設定をユーザ保存データとして初期情報メモリ36cに保存することが可能であり、初期化モードとしてユーザ保存データ読出モードを実行することにより、一切の設定変更を行うことなく所望の設定パラメータの設定を行うことができる。
【0091】
本実施の形態における特別初期化モードは、特定の用途にカスタマイズされた初期状態に復帰させる初期化処理を実行するものであり、各特別初期化モードを実行すると検出機能や表示機能を規定する複数の設定パラメータの数、種類、設定内容を組み合わせた推奨設定が自動的に設定される。そして、少なくとも1つ以上の残りの設定パラメータ、すなわち各特別初期化モードで特別に推奨される設定内容が存在しない設定パラメータについては初期設定に復帰させる。なお、全ての設定パラメータを初期設定に復帰させる処理としては上述した通常初期化モードが用意されている。
【0092】
上述したように、特別初期化モードは少なくとも2つ以上の設定パラメータの組み合わせについて推奨設定を提供するものである。各特別初期化モードは、上述したパワーモードやタイマモード、検出モード等の検出機能に関連する設定パラメータ、表示カスタマイズ設定などの表示機能に関連する設定パラメータ、更に省電力設定や光量拡大モード等のシステム設定に関連する設定パラメータなど、異なる階層の設定パラメータを組み合わせて提供することができる。したがって、特別初期化モードを実行することによりセンサユニット30が有する能力を最大限に引き出すことができる。
【0093】
なお、特別初期化モードとしては上記説明したものに限られず、他の代表的な用途に応じた様々な特別初期化モードが考えられる。例えば、検出モードとして自動感度追従を使用する場合に推奨される設定を実行する自動感度追従モードや、省電力を重視した設定を実行する省電力モード、応答性を重視した設定を実行する高速応答モードなど種々のモードが考えられる。自動感度追従モードの設定パラメータの組み合わせとしては、例えば検出モードを自動感度追従に設定する他、出力1にAPC機能、出力2に受光量の低下を予検するためのリミット検出を設定した組み合わせが考えられる。また省電力モードの設定パラメータの組み合わせとしては省電力設定をONにする他、外部入力機能として表示OFFや投光OFFを行うスリープ機能を設定した組み合わせが考えられる。また高速応答モードの設定パラメータの組み合わせとしてはパワーモードとしてハイスピードモード、タイマモードとしてワンショット、表示カスタマイズとしてホールド表示を設定する組み合わせなどが考えられる。
【0094】
上述したように特別初期化モードとしては様々なものが考えられるが、これらは図17に示すようにいくつかの種類に大別することもできる。反射型の光電センサとしてセンサユニット30を使用することを想定した反射型背景キャンセルモードや、透過型として使用することを想定した光量最大モード、ユーザがセンサユニット30に求める仕様に応じて実行される省電力モードや高速応答モードは、センサユニット30が通常用途で用いられるシーンを想定して用意されている。一方、落下検出モードは落下検出という特殊な用途でセンサユニット30を用いる一部のユーザのために用意されたモードである。更に、パーセントチューニングモードや自動感度追従機能など、特殊な機能が設定されたときに、これらの機能を効率的に引き出すための他のパラメータ設定の組み合わせを提案する機能効率向上を目的とした特別初期化モードを備える。
【0095】
すなわち、本実施の形態における特別初期化モードは単に用途に応じた設定パラメータの組み合わせを提供するものではなく、ユーザの異なる要求レベルに応じた複数の階層のモードを備えている。通常用途でセンサユニット30を用いるユーザのために、用途や、重視するスペックに対応した特別初期化モードを用意する一方で、これらのモードでは対応できない落下検出などの特殊用途で用いるユーザのための専用の特別初期化モードを備える。これらとは別に、ユーザが不慣れな特殊機能の能力を効率的に引き出すための特別初期化モードを備えている。したがって、本実施の形態における特別初期化モードは、ユーザが自らの用途に応じた設定パラメータの最適な組み合わせが分からない場合、重視するスペックを最大限に引き出したい場合、特殊な機能をどのように使いこなせば良いのか分からない場合など、ユーザの異なる階層の要求レベルに柔軟に対応することができる。
【0096】
以上説明したように、本発明によれば、複数の機能を備えるセンサユニットにおいてユーザの用途やワークに応じた設定を容易に設定可能とし、センサユニットが有する能力を適切に引き出すことができる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のセンサユニット30を側面から見た状態の斜視図である。
【図2】本発明のセンサユニット30を上面から見た状態の上面図である。
【図3】本発明の連設型センサシステム1の全体構成を示す図である。
【図4】本発明のセンサユニットのブロック構成図である。
【図5】本発明の基本設定のフローを示す図である。
【図6】本発明の検出機能設定のフローを示す図である。
【図7】本発明の表示設定のフローを示す図である。
【図8】本発明のシステム設定のフローを示す図である。
【図9】本発明の出力2設定のフローを示す図である。
【図10】本発明のリミット機能を説明するための図である。
【図11】本発明の初期化処理のフローを示す図である。
【図12】本発明の初期化処理の設定画面の遷移を示す図である。
【図13】本発明のセンサユニット30のメモリ36の内部データを示す図である。
【図14】本発明の特別初期化処理モードの一覧図である。
【図15】本発明の落下検出の使用例を示す図である。
【図16】本発明の落下検出の受光量の変化と各出力のタイミングチャートを示す図である。
【図17】本発明の特別初期化処理モードの分類を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 連設型センサシステム
10 ネットワークユニット
11,31 制御部
30 センサユニット
34 表示部
35 操作部
42 上位制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの状態監視などを行う光電センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサユニットは、製造現場や製品検査工程などで種々の目的のために用いられている。このセンサユニットは、適用用途の拡大や多様なワークに対応するために多機能化の傾向にある。
【0003】
特許文献1は、多機能な光電センサユニットの各機能に関する設定方法及びその表示方法を開示している。この光電センサユニットは、分解能やワークまでの距離や応差など検出能力と応答速度とを最適化することのできる複数の動作モードを有し、この動作モード群からユーザが最適と思われる選択肢を選択することができる。そして、この光電センサユニットでは、スイッチ又はボタンを操作することで、当該光電センサユニットの表示部に、設定メニューから動作モード設定に関する表示を呼び出し、そして、動作モードの選択可能な選択肢を次々と表示させて、ユーザが最適と思う選択肢が表示されたときにスイッチ又はボタンを押して確定することで、ユーザが選択した動作モード(選択肢)が設定されるようになっている。
【0004】
また、光電センサユニットは、ユーザが選択可能な複数の選択肢を備えた機能、例えば、検出機能として、検出物の有無を検出する一般的な検出モードや一般的な受光量の大小で判別又は検出するモードや、上下2つの閾値を持ったエリア検出モード、自動感度補正モードの他に検出物の通過の際のエッジ検出が可能な微分モードなどを含み、この特許文献1では、光電センサの表示部に表示される微分モード設定又は解除のメニューを呼び出して、例えば微分モードを設定したいときには微分モードの「ON」を選択するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−278684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したセンサユニットの多機能化に伴い、様々な用途やワークに対応できるようになった反面、設定項目が複雑化し、ユーザにとっては適切な設定を行うことが難しくなっている。ユーザの用途やワークに合致した適切な設定を行うためには、ユーザがセンサユニットの仕様を正確に理解している必要があるが、設定が複雑化しているセンサユニットの仕様を完全に理解するのは難しく、本来、複数の機能を組み合わせることにより安定して検出できる用途、ワークであっても、これに気付かずにセンサユニットの性能をユーザがうまく引き出せないケースがある。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、複数の機能を備えるセンサユニットにおいてユーザの用途やワークに応じた設定を容易に設定可能とすることで、センサユニットが有する能力を適切に引き出すことができるセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の光電センサユニットは、検出対象から検出した物理量に応じた検出値を取得する検出部と、該検出部が検出した検出値を予め定められた閾値と比較して判別信号を生成するとともに、検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容に基づいた動作を実行する制御部とを備えるセンサユニットであって、前記複数の設定パラメータの初期設定、及びユーザ用途に応じて設定変更が推奨される設定パラメータの組み合わせを各設定パラメータの設定変更内容と紐付けて記憶する記憶部と、前記複数の設定パラメータの設定内容を前記初期設定に復帰させる通常初期化処理を実行する通常初期化モードと、用途に応じて一部の設定パラメータを前記推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを前記初期設定に復帰させる特別初期化処理を実行する特別初期化モードを選択するための設定画面を表示する表示部と、前記設定画面により、複数の初期化モードのうち一つをユーザ用途に応じて選択するための操作部と、前記操作部により選択された初期化モードに基づいて、前記通常初期化処理あるいは特別初期化処理のいずれかを実行する制御部とを、具備するものである。
【0009】
本発明によれば、検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容を初期化する通常の初期化処理を実行する通常初期化モードと、ユーザの用途に応じて一部の設定パラメータを推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを初期化する特別初期化モードをユーザが選択することができる。これにより、ユーザは自らの用途に応じた初期化処理を実行することにより、複数の設定パラメータの組み合わせが推奨される設定内容に自動的に設定されるため、用途やワークの種類に応じた設定を容易に行うことができる。
【0010】
ここで、前記記憶部は、前記操作部を操作することにより任意に設定変更された前記設定パラメータの変更内容を記憶可能であり、前記表示部は、前記記憶部に記憶された任意に設定変更された設定パラメータの設定内容に復帰させる保存データ読出し処理を実行する保存データ読出しモードを選択させる設定画面を表示し、前記制御部は前記保存データ読出しモードが前記操作部により選択された際に、前記保存データ読出し処理を実行するようにしてもよい。
【0011】
これにより、ユーザが自らの用途に応じた特別初期化処理を実行した後に、更に設定パラメータの一部を微調整した場合に、この設定を記憶部に保存データとして記憶させておくことができる。したがって、ユーザは保存データ読出し処理を実行することで、一切の設定変更を行うことなく、センサユニットを所望の設定状態に復帰させることができる。
【0012】
ここで、センサユニットは2つの出力を備えており、前記特別初期化モードは、一方の出力を前記受光量の微分値と前記記憶部に記憶された第1閾値とを比較することにより判別信号を出力し、他方の出力が前記受光量が前記記憶部に記憶された第2閾値と比較することにより判別信号を出力するように前記設定パラメータを設定する特別初期化モードを含むようにしてもよい。
【0013】
これにより、一方の出力が受光量の微分値と第1閾値とを比較し、他方の出力が受光量と第2閾値とを比較することで判別信号を出力することができるので、受光量の微分をとることで検出できない受光量の絶対値の変動を他方の出力を用いて検出できる。
【0014】
ここで、前記設定パラメータは、前記受光部が受光する受光量を変更するパワーモードを含み、前記特別初期化モードは、前記パワーモードを最大の受光量を取得できる前記設定パラメータに設定する光量最大モードを含むようにしてもよい。
【0015】
これにより、受光量が最大となる設定パラメータの設定内容を自動的に設定することができるので、受光量を最大にして使用したいユーザに手間をかけずに受光量が最大になるパラメータ設定を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の機能を備えるセンサユニットにおいてユーザの用途やワークに応じた設定を容易に設定可能とし、センサユニットが有する能力を適切に引き出すことができるセンサユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態における光電センサユニットを説明する。図1(a)は本実施の形態におけるセンサユニット30を一方の側面から見た状態の斜視図であり、図1(b)はセンサユニット30を反対側の側面から見た状態の斜視図である。また図2はセンサユニット30を上面から見た図である。
【0018】
センサユニット30は図1(a)、(b)に示すように、幅が狭いケース51に部材を収容したユニットである。ケース51の上面には4桁の7セグメントLEDで形成された表示器や各種のスイッチから成る操作部35が設けられている。表示部34はセンサの受光量と設定閾値や、受光量と余裕度などの値を同時にデジタル表示可能である。
【0019】
操作部35は、スイング式のアップダウンボタン35a、セットボタン35b、モードボタン35c、チャンネルセレクタ35d、プリセットボタン35eを備え、表示部34はケース51の長手方向に横並びに隣接して配置された第1、第2の表示部34a、34bが設けられている。各表示部34a、34bはそれぞれ4桁の7セグメントLEDで構成されている。
【0020】
ケース51の上部には、上面を覆う着脱自在のカバーが設けられるが、図1では省略している。また、ケース51の長手方向端部には、光ファイバ32a、33aを装着するヘッド装着孔52a、52bと、光ファイバ32a、33aを装着するヘッド装着孔52a、52bと、光ファイバ32a、33aを固定する固定レバーが設けられている。
【0021】
図1(a)に示すようにケース51の一方の側面には、図示しないコネクタ37が設けられている。また、ケース51の一方の側面には、長手方向両端部に近接して係合突起53a、53bが設けられている。この係合突起53a、53bは、後述するネットワークユニット10と係合させるためのもので、ネットワークユニット10との連結の際の位置決めと接続を行う物理的な接続手段を構成している。コネクタ37は上流側のネットワークユニット10又はセンサユニット30と電気的に接続する接続手段を構成している。
【0022】
図1(b)に示すようにケース51の他方の側面にはコネクタ37と対象な位置にコネクタ38が設けられている。また、ケース51の他方の側面には、長手方向両端部に近接して係合凹部54a、54bが設けられている。この係合凹部54a、54bは、下流のセンサユニット30に設けられた係合突起を嵌入させて係合するもので、センサユニット30同士の連結の際の位置決めと接続を行う物理的な接続手段を構成している。コネクタ38は下流側のセンサユニット30と電気的に接続する接続手段を構成している。
【0023】
本実施の形態におけるセンサユニット30はネットワークユニット10を介して、図示しないPLC等の上位制御装置にデータを転送したり、あるいは上位制御装置からの命令を受け付けることができる。図2は複数のセンサユニット30を連結し、ネットワークユニット10を介して上位制御装置に接続される連設型センサシステムの構成を示す図である。上位制御装置からはネットワークユニット10を介して各センサユニットに個別に、あるいは同時に外部入力信号を入力することができる。
【0024】
図4は、センサユニット30の内部構成を示す機能ブロック図である。センサユニット30は、1チップのゲートアレイやマイクロプロセッサを用いて形成した制御部31を有している。制御部31はタイミング制御部31a、判定部31b、シリアル通信部31cを内部に備えている。また制御部31には発光部32、受光部33、表示部34、操作部35、メモリ36、出力トランジスタQ1及びコネクタ37、38が接続されている。
【0025】
制御部31は、シリアル伝送ライン41を介してネットワークユニット10との間でシリアル信号を送受信する機能を有する。また、センサユニット30内のパラメータが更新されたときにメモリ36が保持する更新フラグをオンとし、パラメータの送出を終えるとこのフラグをリセットする機能を有している。
【0026】
判定部31bは受光量を所定の閾値により弁別してオン/オフの二値化された判別信号に変換する判別部である。センサの判別信号は出力用トランジスタQ1を介して外部に直接出力される。
【0027】
シリアル通信部31cはコネクタ37、38のシリアル伝送ライン41に接続され、連設型センサシステム1に接続されるネットワークユニット10との間でシリアル通信を行うもので、シリアル伝送手段を構成している。
【0028】
発光部32はタイミング制御部31aからのタイミング信号に基づいて発光素子を駆動するものである。発光素子からの光は光ファイバ32aを介して伝送されて先端から光を輻射する。光ファイバ32aから輻射される光は物体検知領域を介して光ファイバ33aに入射し、受光部33に導かれる。受光部33は入射光を電気信号に変換し、増幅するものである。
【0029】
メモリ36は、検出された受光量、判別信号を記憶する揮発性メモリと、各センサユニットで個別に設定される設定パラメータや初期化情報等を記憶する不揮発性メモリとからなり、このメモリの詳細については後述する。
【0030】
コネクタ37は、ネットワークユニット10と隣接するセンサユニット30のコネクタ38と互いに接続可能となっている。またコネクタ37はシリアル伝送ライン41の上流側に接続される2個の接続端子37a、37bと、コネクタ38の接続端子38a、38bとの間は各々直接接続されてシリアル伝送ライン41が形成されている。
【0031】
コネクタ38はシリアル伝送ライン41の下流側に接続される2個の接続端子38a、38bを有する。コネクタ37の接続端子37a、37bと、コネクタ38の接続端子38a、38bとの間は各々直接接続されてシリアル伝送ライン41が形成されている。
【0032】
コネクタ37の接続端子37cはタイミング制御部31aを介してコネクタ38の接続端子38cに接続されている。また、コネクタ37の接続端子37d、37eとコネクタ38の接続端子38d、38eとの間は各々直接接続され、センサユニット30の内部に電源を供給すると共に、下流のセンサユニット30に電源を供給する。
【0033】
センサユニット30のメモリ36には複数の設定パラメータが記憶されており、センサユニット30はこの設定パラメータに基づいて様々な検出機能及び表示機能を実行する。設定パラメータの設定は、ユーザが表示部34の設定画面を見ながら、操作部35を操作することにより順次実行される。
【0034】
以下、各設定パラメータの設定の流れについて図5〜図9を参照して説明する。図5は基本機能設定に関する設定フロー図である。本実施の形態におけるセンサユニット30は出力を2つ備えており、設定を行う出力をチャンネルセレクタ35dにより選択できる。したがって、ユーザはまずチャンネルセレクタ35dにより出力1を選択し、出力1における設定パラメータを設定する。
【0035】
STEP1−1ではパワーモードを設定する。各種のパワーモードは、互いに相反する受光量と応答性のバランスを定めるものであり、受光量を増加させるのに、例えば受光周期を長く設定したり、受光量を複数回加算する手法を採用することができる。受光量が大きくなるパワーモードを選択すると応答速度が遅くなるため、ユーザは用途やワークの種類に応じたパワーモードを選択して設定する必要がある。
【0036】
設定できるパワーモードとしては、最も応答速度が早いが受光量が少ないハイスピードモード、応答速度と受光量のバランスを重視したファインモード、ファインモードよりも受光量を増大させたターボモード、ターボモードよりも更に受光量を増大させたモードとして順にスーパーモード、ウルトラモード、メガモードがそれぞれ選択できる。一般に光電センサユニットを透過型ではなく反射型で使用する場合には透過型よりも受光量が少なくなるため、上述した大きな受光量が取得できるパワーモードが有効である。
【0037】
次にSTEP1−2でチューニングモード設定が行われる。ここでいうチューニングモード設定とは受光量と比較する閾値をどのように設定するかを意味しており、通常のチューニングモード設定とパーセントチューニング設定のいずれかが選択できる。通常のチューニングモード設定を選択した場合は、上述した2つの表示部34a、34bのいずれかに受光量が表示され、他方に閾値が表示された状態でアップダウンボタン35aを操作することにより、受光量に対する閾値をマニュアルで調整できる。また、閾値設定方法としてワークのある状態と無い状態の受光量の中間値を閾値として設定する2点チューニングや、一定時間内の受光量の最大と最小の中間値を閾値にするフルオートチューニング、現在の受光量をゼロにシフトし、ゼロに対する受光量の増加量にあわせて閾値を設定するゼロシフトチューニングなどがある。
【0038】
パーセントチューニング設定は、閾値設定時の受光量に対する比率で閾値を設定する設定方法である。パーセントチューニング設定を選択した場合は、基準となる受光量から何パーセント受光量が低下した状態を閾値として設定するかを示すパーセント目標値を設定する。例えば、パーセント目標値を−10Pに設定した場合は、基準受光量に対して−10%の大きさの閾値が設定される。基準受光量は、基準としたい受光量の状態でセットボタン35bを押下することにより決定する。
【0039】
続いて、ユーザはSTEP1−3で基本設定の次に設定する設定ステージの選択を行う。他の設定ステージとしては検出設定ステージ、表示設定ステージ、システム設定ステージがある。図5は検出設定ステージに関する設定フローである。検出設定ステージでは、タイマモード設定(STEP2−1)、検出モード設定(STEP2−2)、外部入力設定(STEP2−3)の順に設定を行う。
【0040】
タイマモード設定は、タイマオフモード、オフディレイモード、オンディレイモード、ワンショットモード等が選択できる。タイマオフモードはタイマ設定を行わないことを意味しており、センサユニット30がワークの存在を検出すると直ちに検出信号を出力する。オフディレーモードは、ワークの検出が完了して判定がONからOFFに変化しても、設定したディレー時間が経過した後に出力をOFFにするモードである。逆にオンディレーモードはワークを検出してOFFからONに変化しても、設定したディレー時間が経過した後に出力をONにするモードである。ワンショットモードは、判定がOFFからONに変わったときに予め定められた所定時間だけ出力をONにするモードである。また、これらのタイマモードを組み合わせて、オンディレーオフディレーモードや、オンディレーワンショットモードを選択することもできる。
【0041】
タイマモードの選択を行ったら、各タイマモードにおけるタイマ時間の設定を行う。例えばユーザが上述したオンディーオフディレーモードを選択したら、オンディレー時間(タイマ時間設定1)とオフディレー時間(タイマ時間設定2)の夫々を設定する。
【0042】
STEP2−2では検出モードの設定を行う。検出モードとしては通常(光量)検出モード、自動感度追従モード、エリア検出モード、エッジ検出モード等が選択できる。通常検出モードは、受光量を閾値と比較して判別信号を出力する通常の検出モードである。自動感度追従モードはワークが無い状態、すなわち出力がOFFの状態における受光量の変動に追従するように閾値を自動補正する機能であり、ワークが無い状態における受光量が漸減的に低下するような場合にも常に最適な閾値を自動設定することができるモードである。自動感度追従モードを選択した場合は、閾値の自動補正を実行する頻度(補正スピード)を設定する。また、通常検出モード、自動感度追従モードを設定した場合は、受光量が閾値を上回っているときに出力をONにするL−ON(入光時ON)、または受光量が閾値を下回っているときに出力をONにするD−ON(遮光時ON)のいずれかの出力論理の設定を行う。出力論理の設定は受光量と閾値を表示する通常画面からモードボタン35cを押下することにより設定メニューを呼び出していずれかの出力論理を設定する。
【0043】
エリア検出モードは、受光量が一定の範囲にあるときに出力をONにするモードである。エリア検出モードを選択した場合はエリアを規定するエリア上限値(HI)とエリア下限値(LO)を設定する。エッジ検出モードは受光量の変化を検出して出力をONにするモードである。エッジ検出モードには立ち上がりエッジ検出と立下りエッジ検出があり、立ち上がりエッジ検出は受光量の増加を検出し、立下りエッジ検出は受光量の減少を検出する。
【0044】
検出モードの設定が終わったら、出力論理の設定を行う。出力論理の設定はL−ON(受光時出力ON)、D−ON(遮光時出力ON)のいずれかを設定できる。センサユニット30を反射型として用いる場合は出力論理設定をL−ONに設定し、透過型として用いる場合はD−ONに設定する。なお、出力論理の設定は、ケース51上面に設けられた出力切替ボタン35eを操作することにより行うこともできる。
【0045】
STEP2−3では外部入力機能を選択する外部入力設定を行う。外部入力機能は、センサユニット30に接続された外部入力線、あるいはネットワークユニット10を介して上位制御装置から外部入力信号を受け付け、外部入力の信号パターンであると判断したときに実行する外部入力機能を設定する。外部入力機能としては外部チューニング機能、プリセット機能、ゼロシフト機能、出力固定機能、投光停止機能、表示停止機能等の機能が選択できる。
【0046】
外部チューニング機能は外部入力信号を受け付けたときに閾値のチューニングを行う機能であり、例えば感度設定方法としてパーセントチューニング設定が設定されており、パーセントチューニング目標値として−10Pが設定されている場合には、センサユニット30が外部入力信号を受け付けたときの−10%の受光量が閾値として再設定される。したがって、ワークが無い状態のときの受光量が漸減的に低下するような場合でも、定期的に外部入力信号をセンサユニット30に入力することにより、閾値を適切な大きさに維持することができる。
【0047】
プリセット機能は受光量をプリセット目標値に調整する。例えば、現在の受光量が1100であり、プリセット目標値として110が設定されている場合には、現在の受光量1100がプリセット目標値110に割り当てられる。表示部34のプリセット表示の最大値は100に固定されており、受光量が1000〜1100の間にあるときは、表示部34には最大値である100が表示される。プリセット目標値はユーザにより100〜200の間で設定することができ、表示最大値である100よりも大きな値をプリセット目標値として設定することにより、僅かな受光量の低下を表示に反映させず、表示を安定させることができる。プリセット機能実行時の閾値は50に初期設定されるが、ユーザにより閾値は変更可能であり、閾値変更後に再度プリセット機能が実行された場合は変更後の閾値は維持される。
【0048】
一般に光電センサユニットでは光源の輝度ばらつきや受光素子の感度ばらつきが原因で、同一環境下であってもある程度の受光量のばらつきが発生する。複数の光電センサユニットを連設して用いる場合に、受光量のばらつきがあると各光電センサユニットの特性に合致した受光量・閾値の個別管理が必要であるとともに、ユーザの装置への信頼感を損なう虞がある。したがって、外部入力機能にプリセット機能を割り当て、ワークが無い状態で定期的にプリセット機能を実行することにより、複数の光電センサユニットの受光量・閾値を統一的に管理するとともに、ユーザに対する受光量表示の見栄えを向上することができる。
【0049】
ゼロシフト機能は、現在の受光量を強制的にゼロにする機能であり、主に光電センサユニットを反射型として用いる場合に利用される機能である。反射型として光電センサユニットを使用する場合は、ワークが検出領域に存在している状態で一定の受光量が得られ、ワークが検出領域に存在していない状態では受光量がゼロである状態が理想的である。しかし、ワークが検出領域に存在していない状態でも、背景からの反射光やセンサユニット内部における迷光を受光してしまい、受光量が完全にゼロになることはない。ゼロシフト機能を利用することで、受光量が完全にゼロではない状態を受光量ゼロの状態として定義し、この状態からの受光量の増加量に基づいてワークの検出を行うことができる。
【0050】
出力固定機能は、センサユニット30の出力をON状態あるいはOFF状態に強制的に固定する機能である。製造ラインの試運転や、局所的なブロック単位での動作チェックを行うときに、センサユニット30の出力をユーザがコントロールできずに利便性を損なうケースがある。例えば、センサユニット30の判別信号がONの状態のときの製造ラインの動作をチェックしたい場合、上述した出力固定機能を用いればわざわざセンサユニット30の出力がONになるように物を置いたり手を翳す必要がなく、センサユニット30の出力を受光量に関わらずONに固定できる。このようにしてセンサユニット30の出力を受光量に関わらず制御することにより、仮想的な検出状態を実現し、製造ラインのシステムのデバッグや設計の効率を高めることができる。
【0051】
投光停止機能、表示停止機能は外部入力信号受け付け時にそれぞれ、投光光源の点灯、表示LEDの点灯を停止するものであり、センサユニット30の使用を一時的に停止する場合や、表示部34を確認する必要性がない場合に利用することができ、消費電力の低減を図ることができる機能である。
【0052】
STEP1−3にて表示設定のステージが選択された場合は、ユーザは図7に示す表示設定のフローに従って表示設定を行う。 STEP3−1では表示反転機能を選択できる。表示反転機能とはユーザの立ち位置に応じて見やすい方向に表示方向を反転する機能であり、例えば「123」が順方向の表示であるとすると、これを「321」と上下に逆さまに表示する逆方向の表示態様に反転する。
【0053】
STEP3−2は表示部に表示する表示項目をユーザが任意に選択できる表示カスタマイズ設定に関する。ユーザが任意に選択できる表示画面としては、受光量と閾値をそれぞれ表示部34a、34bに表示する通常表示、受光量のみを表示部34a、34bに5桁以上で表示する拡張表示、受光量をバーで表示するバー表示、閾値に対する受光量の値をパーセントで表示する余裕度表示、受光量の最大値あるいは最小値をホールドして表示するホールド表示、設定されているパワーモードを表示するパワーモード表示が選択できる。
【0054】
初期設定では上述した通常表示のみが表示可能であり、上記表示カスタマイズ設定により選択された表示画面は通常表示状態からモードボタン35cを押下することにより、順次表示される。一方選択されなかった表示画面はスキップされ、表示部34に表示されることはない。
【0055】
STEP3−3ではプリセット飽和表示機能のON/OFFを設定できる。プリセット飽和表示機能をONにすると、プリセット機能実行時にプリセット目標値以上の値を表示せずに、内部処理でプリセット目標値よりも大きな値にスケーリングすることで、受光量表示を安定させる。
【0056】
STEP1−3にてシステム設定のステージが選択された場合は、ユーザは図8に示すシステム設定のフローに従ってシステム設定を行う。ユーザはまずSTEP4−1でAPC設定を行う。APC設定とは発光部32から発光する光を一定に保つように光量を監視・補正する機能である。APC機能は、センサユニット30内部の投光光源の近傍に配置されたフォトダイオードが投光光源から発せられた光の一部を受光し、制御部31がフォトダイオードが受光した光量に基づいて投光光源の投光量を制御することで、発光部32から発光する光を一定に保つように制御することにより行う。APC機能は光源からの投光量をリアルタイムに制御するものであるため、長期間使用すると光源への負荷が大きくなる。
【0057】
続いて、STEP4−2で省電力モードの設定を行う。省電力モードを有効にすると、一定時間操作が無いと省電力用の表示態様(例えば表示部34の各桁の7セグメントLEDが1セグメントずつ順次点灯)に切り替わる。また、ユーザが表示部を視認する必要性がない場合は、全ての表示を消灯するモードに設定することも可能である。
【0058】
STEP4−3では光量拡大モードの設定を行う。光量拡大モードを有効にすると、内部的に受光量を4倍に増幅する処理を実行する。
【0059】
STEP4−4では干渉防止台数の設定ができる。干渉防止台数設定では前述した発光部32による発光間隔を制御することにより、センサユニット30を連設して使用する場合に干渉を防止できる台数を設定できる。干渉防止台数は各センサユニット30に予め仕様として定められているが、上述した発光間隔を延ばすことにより、干渉防止台数を2倍にすることができる。ただし、この場合は各センサユニットの応答時間も通常の2倍になる。
【0060】
STEP4−5では共通キー操作設定を行う。複数のセンサユニット30を連結して用いる場合は、親機に相当するセンサユニットに当該共通キー操作を有効にすると、親機での一部の操作(例えばプリセット機能やゼロシフト機能など)が親機に連結されたすべての子機に送信される。
【0061】
本実施の形態におけるセンサユニット30は2出力を備えており、チャンネルセレクタ35dを操作することにより、出力2の各種設定を行うことができる。図9は出力2の設定フローである。出力2は出力1の補助的な出力機能を割り当てることができ、STEP5−1で出力2に割り当てる機能を選択できる。設定できる機能としては通常出力、リミット設定出力、アラーム出力等がある。
【0062】
通常出力は、受光量を閾値と比較した判別信号を出力する通常の出力設定である。リミット設定出力は、ワークの有無検出において光量差が少なくなった場合に予知警報を出力する機能であり、ピークリミット設定とボトムリミット設定いずれかが設定可能である。
【0063】
図10はリミット設定出力を説明するための図である。ピークリミット設定は、出力1の閾値を受光量が上回っている間の最大受光量を毎回サンプリングし、この最大受光量(ピーク値)の中の最小値が出力2に予め設定されたピークリミット設定値を下回ると出力をONにする。すなわち、受光量が閾値を上回っていたとしても、ピーク値がピークリミット設定値を超えるレベルで受光量が閾値を上回っていないと、受光量と閾値の光量差が少なくなったものとして予知警報を出力する。逆にボトムリミット設定は、出力1の閾値を受光量が下回っている間の最小受光量を毎回サンプリングし、この最小受光量(ボトム値)の中の最大値が出力2に予め設定されたボトムリミット設定値を上回ると出力をONにする。ユーザはSTEP5−1にてピークリミット設定あるいはボトムリミット設定を設定した場合に、ピークリミット設定値およびボトムリミット設定値を設定する。
【0064】
アラーム出力機能は、APC機能使用時に、光源への負担が大きくなるとアラーム出力を出力するものである。APC機能は、光源に流す電流を制御することにより光源の発光量を一定に保つ処理であるため、光源に流す電流値が所定量を超えた場合に、上述したアラーム出力が出力されるようになっている。
【0065】
以上説明したように、センサユニット30に設定可能なパラメータは多岐にわたっており、ユーザが用途やワークの種類に応じて適切なパラメータ設定を導き出すには、様々な設定を実際に設定して検出を繰り返す試行錯誤が必要になる。適切な設定を行うためにはユーザがセンサユニット30の仕様を正確に理解する必要があり、本来安定して検出する能力をセンサユニット30が有していても、ユーザがこれに気付かずセンサユニット30の性能を十分に引き出せないことがある。
【0066】
ユーザはセンサユニット30の使用開始時、あるいはセンサユニット30の用途変更を行う場合に、センサユニット30の初期化処理を実行することがある。初期化処理とは、全設定項目を工場出荷時の初期設定に復帰させる処理であり、通常表示状態から出力切替ボタン35eとモードボタン35cを同時に長押しして初期化処理メニューを呼び出すことにより実行される。本実施の形態におけるセンサユニット30は、全項目を初期化する通常初期化モードに加えて、代表的な用途に対応して、一部の設定パラメータを推奨される設定内容に設定した上で、残りの設定パラメータを初期化する特別初期化モードを備える。この特別初期化モードを実行することにより、上述した煩雑な設定を一切行わずに用途に応じた適切な設定を行うことができる。
【0067】
図11は本実施の形態における初期化処理の設定フローである。本実施の形態では、初期化処理メニューから、全項目を初期化する通常初期化モード、ユーザが予め保存したユーザ保存データ読出モード、落下検出モード、パーセントチューニングモード、反射型背景キャンセルモード、光量最大モードが選択できる。各モードの詳細については後述するが、本実施の形態における各初期化モードは一例であり、これに限られるものではない。
【0068】
図12は初期化処理メニューの設定画面の遷移を示す図である。受光量と閾値を表示する通常表示からプリセットボタン35eとモードボタン35cを同時に長押しして初期化処理メニューを呼び出すと第1表示部34aに「リセット」を示す「rst」が表示され、第2表示部34bに「no」が表示される。この状態でアップダウンボタン35aを操作することで第2表示部に「init」、「user」を表示させることができる。「init」を表示させた状態でモードボタン35cを押下すると、全項目を初期化する通常初期化モードが実行される。「user」を表示させた状態でモードボタン35cを押下すると、ユーザ保存データ読出モードの実行指示が行われる。
【0069】
第1表示部34aに「rst」、第2表示部34bに「no」が表示された状態で、モードボタン35cを押下すると、リセット操作がキャンセルされ、第1表示部34aに「LoAd」、第2表示部34bに「no」が表示される。この状態でアップダウンボタン35aを操作すると、落下検出モードを示す「FALL」、パーセントチューニングモードを示す「SEtP」。反射型背景キャンセルモードを示す「OSEt」、光量最大モードを示す「MEGA」が第2表示部34bに表示され、各々の画面が表示された状態でモードボタン35cを押下すると、対応する初期化モードの実行指示を行う。
【0070】
第1表示部34aに「LoAd」が表示された状態で、モードボタン35cを押下すると第1表示部34aに「SAvE」が表示され、第2表示部34bに「no」が表示される。この状態でアップダウンボタン35aを操作し、第2表示部34bに「yES」を表示させて、モードボタン35cを押下すると、閾値、出力論理、パワーモード設定などの現在のパラメータ設定が保存される。このとき保存されたパラメータ設定は、上述したユーザ保存読出モードを実行することにより読み出して設定することが可能である。第2表示部34bに「no」が表示された状態で、モードボタン35cを押下すると受光量と閾値を表示する通常表示に復帰する。
【0071】
上記の操作により実行指示が行われる各初期化処理は、センサユニット30に記憶された初期化情報を読み出して設定することにより最終的に実行される。図13はセンサユニット30のメモリ36の内部データを示す図である。メモリ36は、検出情報メモリ36a、設定情報メモリ36b、初期化情報メモリ36cとからなる。検出情報メモリ36aはセンサユニット30が検出した受光量や、該受光量を閾値と比較した結果得られる判別値を記憶するメモリである。設定情報メモリ36bは上述した各設定パラメータの現在の設定内容を記憶しており、操作部35による操作や、外部に接続された上位制御装置から設定内容の変更が可能である。制御部31は設定情報メモリ36bに記憶された各設定パラメータの設定内容に基づいて各種の表示機能、検出機能を制御する。
【0072】
初期化情報メモリ36cは全ての設定パラメータの初期設定と、特別初期化モード(落下検出モード、パーセントチューニングモード、反射型背景キャンセルモード、光量最大モード)で設定変更が推奨される設定パラメータの組み合わせを各設定パラメータの設定変更内容と紐付けて記憶している。図14は各特別初期化モードにおける設定変更が行われる設定パラメータと、各設定パラメータの設定内容を示す一覧を示す図である。図14に示すように、特別初期化モードによって設定されるパラメータの数及び種別は異なる。特別初期化モードは設定されるパラメータの数、種類、内容の推奨設定をユーザの用途やワークの種類に応じてトータルで提供する。
【0073】
落下検出モードでは、検出モードとして立下りエッジ検出、タイマモードとしてワンショット、出力論理としてL−ON、表示カスタマイズとしてホールド表示、閾値として20が設定される。また、出力2は出力論理としてD−ON、タイマモードとしてオンディレー、閾値として300が設定される。なお、本実施の形態において検出モードがエッジ検出モードの場合の出力論理L−ONは、設定された閾値以上の光量変化があった場合にON信号を出力するものとする。
【0074】
図15はセンサユニット30を落下検出に用いた場合の使用例を示す図である。投光センサヘッド60は発光部32が発光し、発光側光ファイバ32aを介して導光された光を帯状に変換して外部に照射する。投光センサヘッド60に対向する位置に配置された受光センサヘッド61には上記帯状光が入光し、投光センサヘッド60と受光センサヘッド61の間に検出エリアが形成される。受光センサヘッド61に入光した光は受光側光ファイバ33aを介してセンサヘッド30内の受光部33に導光される。検出エリアにチップ部品などの小型部品が落下して通過すると、瞬間的に受光部33が検出する受光量が僅かに低下する。
【0075】
図16は落下検出時の受光量の変動と、各出力のタイミングチャートを示す図である。図16(a)に示すように、受光量はワークが通過する瞬間に小幅に減少するに過ぎない。したがって、ワークを検出するための閾値を設定するためには、ワークが無い状態での受光量と閾値を近い値に設定する必要があり、温度変化や汚れ等による光量変動の影響で出力が不安定になる虞がある。このようなケースでは図16(b)に示すように、受光量の立下りエッジ値(受光量が減少する方向の微分値)を算出することにより、ワークによる受光量の変動のみを適切に検出することができる。この立下りエッジ値に対して閾値を設定することにより、ワークの通過を適切に検出することができる。
【0076】
また、落下検出ではワークが通過するときに受光量が瞬間的に低下するだけなので、この短い受光量変化を確実に検出するために、出力1のタイマモードとしてワンショットモードが設定される。すなわち、図16(c)に示すように立下りエッジ値が出力1の閾値(ここでは20)を超えた時点から、予め定められた所定時間出力をONにする。タイマモードをワンショットモードに設定することで、ワークが小さく、また落下スピードが速いような場合でも確実に受光量変化を検出することができる。
【0077】
出力1の検出モードを上述したエッジ検出モードに設定すると、短期的な受光量変動を正確に検出できる一方で、図16(a)に示すような長期的な受光量の低下を検出することが出来なくなる。そこで、落下検出モードでは出力2に受光量の長期的な低下を検出する補助機能を割り当てている。出力2の出力論理をD−ONとして閾値(ここでは300)を設定すると、受光量が減少して閾値よりも小さくなると、図16(d)に示すように出力2の出力がONになる。したがって、出力2の出力を監視することで、受光量の長期的な低下を検出することができる。また、出力2のタイマモードはオンディレーに設定される。これは、図16(a)に示すワークの通過による受光量の瞬間的な低下を無視し、長期的な受光量の低下のみを正確に検出するためである。
【0078】
また、落下検出モードでは表示モードとしてホールド表示を表示可能とする。ホールド表示は出力1のON信号間の最大値、最小値をホールドして表示するので、ワーク通過による受光量の瞬間的な変動量を確認することができる。
【0079】
以上説明したように、落下検出を目的にセンサユニット30を使用したい場合、複数の設定パラメータを組み合わせた最適な設定を導き出す必要がある。しかし、これをユーザが行うためにはセンサユニット30の仕様を詳細に理解している必要があるため容易ではない。本実施の形態では特別初期化モードとして落下検出モードを実行するだけで、上述した各設定パラメータが推奨される設定内容に自動設定され、ワークの大きさやスピードに応じて閾値やタイマ時間を微調整するだけで落下検出が可能になる。
【0080】
また、各設定パラメータは互いに組み合わせが不可能な設定内容を含んでいるものがある。たとえば、検出モードとしてエッジ検出モードが選択されている場合は、受光量をゼロにシフトするゼロシフト機能や受光量を所定値に合わせこむプリセット機能を実行することはできない。そのため、これらの機能が外部入力機能として設定されている状態で落下検出モードを実行するにはこの設定を解除する必要がある。したがって、落下検出モードを含む特別初期化モードのいずれかを実行した場合、センサユニット30の制御部31は図14に示す設定パラメータを推奨される設定内容に設定するとともに、残りの設定パラメータについては初期設定に復帰させるようにしている。
【0081】
すなわち、特別初期化処理は、単に特定の用途に対応した設定パラメータのバンクを提供するものではなく、特定の用途にカスタマイズされた初期状態に復帰させる処理であり、ユーザは特別初期化処理実行後に設定パラメータ間の依存関係や非親和性を考慮して一部の設定パラメータについての再設定を行う必要はない。
【0082】
続いて図14に示す他の特別初期化モードについて説明する。パーセントチューニングモードは出力1の出力論理をD−ON、チューニングモードをパーセントチューニング、パーセント目標値を−5%、プリセットレベルを101%、外部入力機能を外部チューニングとし、出力2の機能をピークリミット検出、ピークリミット設定値を100とする。
【0083】
パーセントチューニングモードは、センサユニット30を透過型として用いる場合を想定して用意されたモードであり、ワークが無い状態で検出される受光量と、受光量と比較される閾値の相対関係を環境変動や素子劣化等の外部要因の変動を許容しながら維持したいユーザにとって有効なモードである。パーセントチューニングモードを実行すると、現在の受光量を100%としてパーセント目標値である−5%、すなわち現在の受光量の95%が閾値として設定される。出力1は受光量が閾値を下回った場合に出力をONとする。また、プリセット機能が実行され、プリセット目標値として101が設定される。プリセット機能実行時の表示最大値は100であり、僅かな受光量の低下であれば表示には反映されず、表示最大値100の表示を継続する。
【0084】
また、パーセントチューニングモードでは外部入力機能として外部チューニング機能が設定されている。ユーザはセンサユニット30に備えられた外部入力線あるいはネットワークユニット10を介して外部入力信号を入力することにより、定期的に閾値のチューニングを実行し、ワークが無い状態における受光量と閾値の相対関係を維持することができる。
【0085】
また、パーセントチューニングモードでは受光量の絶対値の低下を検出するために出力2にリミット検出機能を設定している。したがって、出力1では検出できない受光量の絶対値が低下してきた場合に予知警報を出力することができる。本実施の形態におけるパーセントチューニングモードではリミット設定値として100が初期設定されるため、受光量が100よりも小さくなったことを検出した場合に予知警報を出力する。上記パーセント目標値、プリセット目標値、リミット設定値はユーザの使用環境に応じて設定変更することが可能である。
【0086】
反射型背景キャンセルモードでは、チューニングモードとしてゼロシフトチューニング、外部入力機能としてゼロシフト機能が設定される。反射型背景キャンセルモードは、センサユニット30を反射型として用いる場合を想定して用意されたモードである。上述したように、反射型でセンサユニット30を用いる場合は、ワークが存在していない状態では受光部33が受光する受光量がゼロになることが理想的だが、実際にはワークが存在していない状態でも、背景からの反射光やセンサユニット内部における迷光を受光してしまい、受光量が完全にゼロになることはない。反射型背景キャンセルモードを実行すると、ゼロシフトチューニングが実行される。
【0087】
また、外部入力機能としてゼロシフト機能が設定されるので、外部からの外部入力信号に基づいて定期的にゼロシフトを実行し、上述した背景からの反射光やセンサユニット30内部における迷光の影響を無視して、適切なワーク検出を継続することができる。
【0088】
光量最大モードは、チューニングモードとしてゼロシフトチューニング、外部入力機能としてゼロシフト機能、パワーモードとしてMEGAモード、光量拡大設定を4倍、表示カスタマイズとして拡張表示を表示可能とする。
【0089】
一般にセンサユニット30をワークからの反射光を受光する反射型として用いた場合、発光部32が出射した光を直接受光する透過型として用いた場合に比べ検出できる受光量が少なくなる。また、比較的遠い位置にあるワークを検出したい場合には、応答速度を多少犠牲にしてもセンサユニット30で検出できる最大の受光量を取得する必要がある。このような場合は、パワーモードがMEGAモードで、且つ投光パワーを最大にした光量最大モードの初期化処理を実行する。光量最大モードも上述した反射型背景キャンセルモードと同様、反射型を想定して用意されたモードであるため、チューニングモードとしてゼロシフトチューニング、外部入力機能としてゼロシフト機能が設定される。また、大きな受光量でも桁落ちせずに表示させるために、2つの表示部34a,34bを用いて5桁以上の受光量表示を行う拡張表示を表示可能とする。
【0090】
以上説明した各特別初期化モードは、各々設定変更が推奨される設定パラメータの設定を行うものであるが、ユーザの使用環境によって最適値が異なる閾値や各パラメータの目標値は、特別初期化モードの実行後にユーザによる微調整が必要になることがある。したがって、本実施の形態では、各特別初期化モード実行後にユーザが閾値や各パラメータの目標値を調整した後の設定をユーザ保存データとして初期情報メモリ36cに保存することが可能であり、初期化モードとしてユーザ保存データ読出モードを実行することにより、一切の設定変更を行うことなく所望の設定パラメータの設定を行うことができる。
【0091】
本実施の形態における特別初期化モードは、特定の用途にカスタマイズされた初期状態に復帰させる初期化処理を実行するものであり、各特別初期化モードを実行すると検出機能や表示機能を規定する複数の設定パラメータの数、種類、設定内容を組み合わせた推奨設定が自動的に設定される。そして、少なくとも1つ以上の残りの設定パラメータ、すなわち各特別初期化モードで特別に推奨される設定内容が存在しない設定パラメータについては初期設定に復帰させる。なお、全ての設定パラメータを初期設定に復帰させる処理としては上述した通常初期化モードが用意されている。
【0092】
上述したように、特別初期化モードは少なくとも2つ以上の設定パラメータの組み合わせについて推奨設定を提供するものである。各特別初期化モードは、上述したパワーモードやタイマモード、検出モード等の検出機能に関連する設定パラメータ、表示カスタマイズ設定などの表示機能に関連する設定パラメータ、更に省電力設定や光量拡大モード等のシステム設定に関連する設定パラメータなど、異なる階層の設定パラメータを組み合わせて提供することができる。したがって、特別初期化モードを実行することによりセンサユニット30が有する能力を最大限に引き出すことができる。
【0093】
なお、特別初期化モードとしては上記説明したものに限られず、他の代表的な用途に応じた様々な特別初期化モードが考えられる。例えば、検出モードとして自動感度追従を使用する場合に推奨される設定を実行する自動感度追従モードや、省電力を重視した設定を実行する省電力モード、応答性を重視した設定を実行する高速応答モードなど種々のモードが考えられる。自動感度追従モードの設定パラメータの組み合わせとしては、例えば検出モードを自動感度追従に設定する他、出力1にAPC機能、出力2に受光量の低下を予検するためのリミット検出を設定した組み合わせが考えられる。また省電力モードの設定パラメータの組み合わせとしては省電力設定をONにする他、外部入力機能として表示OFFや投光OFFを行うスリープ機能を設定した組み合わせが考えられる。また高速応答モードの設定パラメータの組み合わせとしてはパワーモードとしてハイスピードモード、タイマモードとしてワンショット、表示カスタマイズとしてホールド表示を設定する組み合わせなどが考えられる。
【0094】
上述したように特別初期化モードとしては様々なものが考えられるが、これらは図17に示すようにいくつかの種類に大別することもできる。反射型の光電センサとしてセンサユニット30を使用することを想定した反射型背景キャンセルモードや、透過型として使用することを想定した光量最大モード、ユーザがセンサユニット30に求める仕様に応じて実行される省電力モードや高速応答モードは、センサユニット30が通常用途で用いられるシーンを想定して用意されている。一方、落下検出モードは落下検出という特殊な用途でセンサユニット30を用いる一部のユーザのために用意されたモードである。更に、パーセントチューニングモードや自動感度追従機能など、特殊な機能が設定されたときに、これらの機能を効率的に引き出すための他のパラメータ設定の組み合わせを提案する機能効率向上を目的とした特別初期化モードを備える。
【0095】
すなわち、本実施の形態における特別初期化モードは単に用途に応じた設定パラメータの組み合わせを提供するものではなく、ユーザの異なる要求レベルに応じた複数の階層のモードを備えている。通常用途でセンサユニット30を用いるユーザのために、用途や、重視するスペックに対応した特別初期化モードを用意する一方で、これらのモードでは対応できない落下検出などの特殊用途で用いるユーザのための専用の特別初期化モードを備える。これらとは別に、ユーザが不慣れな特殊機能の能力を効率的に引き出すための特別初期化モードを備えている。したがって、本実施の形態における特別初期化モードは、ユーザが自らの用途に応じた設定パラメータの最適な組み合わせが分からない場合、重視するスペックを最大限に引き出したい場合、特殊な機能をどのように使いこなせば良いのか分からない場合など、ユーザの異なる階層の要求レベルに柔軟に対応することができる。
【0096】
以上説明したように、本発明によれば、複数の機能を備えるセンサユニットにおいてユーザの用途やワークに応じた設定を容易に設定可能とし、センサユニットが有する能力を適切に引き出すことができる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のセンサユニット30を側面から見た状態の斜視図である。
【図2】本発明のセンサユニット30を上面から見た状態の上面図である。
【図3】本発明の連設型センサシステム1の全体構成を示す図である。
【図4】本発明のセンサユニットのブロック構成図である。
【図5】本発明の基本設定のフローを示す図である。
【図6】本発明の検出機能設定のフローを示す図である。
【図7】本発明の表示設定のフローを示す図である。
【図8】本発明のシステム設定のフローを示す図である。
【図9】本発明の出力2設定のフローを示す図である。
【図10】本発明のリミット機能を説明するための図である。
【図11】本発明の初期化処理のフローを示す図である。
【図12】本発明の初期化処理の設定画面の遷移を示す図である。
【図13】本発明のセンサユニット30のメモリ36の内部データを示す図である。
【図14】本発明の特別初期化処理モードの一覧図である。
【図15】本発明の落下検出の使用例を示す図である。
【図16】本発明の落下検出の受光量の変化と各出力のタイミングチャートを示す図である。
【図17】本発明の特別初期化処理モードの分類を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 連設型センサシステム
10 ネットワークユニット
11,31 制御部
30 センサユニット
34 表示部
35 操作部
42 上位制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域に光を投光し、該検出領域からの光を受光して受光量を取得する検出部と、該検出部が検出した受光量を予め定められた閾値と比較して判別信号を生成するとともに、検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容に基づいた動作を実行する制御部とを備える光電センサユニットであって、
前記複数の設定パラメータの初期設定、及びユーザ用途に応じて設定変更が推奨される設定パラメータの組み合わせを各設定パラメータの設定変更内容と紐付けて記憶する記憶部と、
前記複数の設定パラメータの設定内容を前記初期設定に復帰させる通常初期化処理を実行する通常初期化モードと、用途に応じて一部の設定パラメータを前記推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを前記初期設定に復帰させる特別初期化処理を実行する特別初期化モードを選択するための設定画面を表示する表示部と、
前記設定画面により、複数の初期化モードのうち一つをユーザ用途に応じて選択するための操作部とを備え、
前記制御部は、前記操作部により選択された初期化モードに基づいて、前記通常初期化処理あるいは特別初期化処理のいずれかを実行することを特徴とする光電センサユニット。
【請求項2】
前記記憶部は、前記操作部を操作することにより任意に設定変更された前記設定パラメータの変更内容を記憶可能であり、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された任意に設定変更された設定パラメータの設定内容に復帰させる保存データ読出し処理を実行する保存データ読出しモードを選択させる設定画面を表示し、
前記制御部は前記保存データ読出しモードが前記操作部により選択された際に、前記保存データの読出しを実行することを特徴とする請求項1に記載の光電センサユニット。
【請求項3】
前記光電センサユニットは2つの出力を備えており、
前記特別初期化モードは、一方の出力を前記受光量の微分値と前記記憶部に記憶された第1閾値とを比較することにより判別信号を出力し、他方の出力が前記受光量が前記記憶部に記憶された第2閾値と比較することにより判別信号を出力するように前記設定パラメータを設定する特別初期化モードを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光電センサユニット。
【請求項4】
前記設定パラメータは、前記受光部が受光する受光量を変更するパワーモードを含み、
前記特別初期化モードは、前記パワーモードを最大の受光量を取得できる前記設定パラメータに設定する光量最大モードを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の光電センサユニット。
【請求項1】
検出領域に光を投光し、該検出領域からの光を受光して受光量を取得する検出部と、該検出部が検出した受光量を予め定められた閾値と比較して判別信号を生成するとともに、検出機能及び表示機能を定める複数の設定パラメータの設定内容に基づいた動作を実行する制御部とを備える光電センサユニットであって、
前記複数の設定パラメータの初期設定、及びユーザ用途に応じて設定変更が推奨される設定パラメータの組み合わせを各設定パラメータの設定変更内容と紐付けて記憶する記憶部と、
前記複数の設定パラメータの設定内容を前記初期設定に復帰させる通常初期化処理を実行する通常初期化モードと、用途に応じて一部の設定パラメータを前記推奨される設定内容に変更した上で、残りの設定パラメータを前記初期設定に復帰させる特別初期化処理を実行する特別初期化モードを選択するための設定画面を表示する表示部と、
前記設定画面により、複数の初期化モードのうち一つをユーザ用途に応じて選択するための操作部とを備え、
前記制御部は、前記操作部により選択された初期化モードに基づいて、前記通常初期化処理あるいは特別初期化処理のいずれかを実行することを特徴とする光電センサユニット。
【請求項2】
前記記憶部は、前記操作部を操作することにより任意に設定変更された前記設定パラメータの変更内容を記憶可能であり、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された任意に設定変更された設定パラメータの設定内容に復帰させる保存データ読出し処理を実行する保存データ読出しモードを選択させる設定画面を表示し、
前記制御部は前記保存データ読出しモードが前記操作部により選択された際に、前記保存データの読出しを実行することを特徴とする請求項1に記載の光電センサユニット。
【請求項3】
前記光電センサユニットは2つの出力を備えており、
前記特別初期化モードは、一方の出力を前記受光量の微分値と前記記憶部に記憶された第1閾値とを比較することにより判別信号を出力し、他方の出力が前記受光量が前記記憶部に記憶された第2閾値と比較することにより判別信号を出力するように前記設定パラメータを設定する特別初期化モードを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光電センサユニット。
【請求項4】
前記設定パラメータは、前記受光部が受光する受光量を変更するパワーモードを含み、
前記特別初期化モードは、前記パワーモードを最大の受光量を取得できる前記設定パラメータに設定する光量最大モードを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の光電センサユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−29939(P2011−29939A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173756(P2009−173756)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
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