説明

光電センサ取付機構

【課題】ブラケットと搬送ガイドの相対位置の決定が不要で、しかも、従来よりも場所をとらない光電センサ取付機構を提供することを目的とする。
【解決手段】検出領域内での光量の変動に基づいて検出対象物を検出するためのセンシング部302を有する光電センサ300と、前記光電センサ300を取付対象物に固定する固定ピン500を備え、前記光電センサ300は、前記固定ピン500に係合する係合部402を有し、前記取付対象物における前記検出領域の反対側OSに配置されて、前記取付対象物に設けられたセンサ孔203に前記センシング部302が挿入され、前記固定ピン500は、前記取付対象物を前記検出領域側DSから反対側OSへ突き抜けて前記光電センサ300の係合部402に係合する構成である光電センサ取付機構505とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば現金自動預け払い機、複写機やプリンタに用いられる光電センサの取付機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動預け払い機、複写機やプリンタ等では、紙葉の位置、搬送速度、収納庫内の紙葉の有無等を監視するために、受光センサと発光センサまたは受発光センサ(以下、これらを光電センサと呼ぶ。)が所定の位置に配置されている。
【0003】
従来の光電センサ取付け機構は、図7に示すように、光電センサ1100と、この光電センサ1100を固定するブラケット1201と、紙葉類をガイドする搬送ガイド1202とで構成されている。図7(A)は斜視図であり、図7(B)はB−B矢視断面図であり、図7(C)はC−C矢視断面図である。従来の光電センサ1100は、従来の光電センサ1100にある爪部1101をブラケット1201の溝部に引っ掛けることにより、ブラケット1201に固定されている。さらに、従来の光電センサ1100は、搬送ガイド1202に空けられたセンサ孔1203に発光部、受光部、または受発光部(以下、これらをセンシング部と呼ぶ。)をはめ込むことにより搬送ガイド1202にも位置決めされている。センシング部は搬送路上に露出している。このような構成であるので、ブラケット1201と搬送ガイド1202の相対位置を適切に決めなければならない。また、従来の光電センサ1100を搬送ガイド1202に固定するためにブラケット1201と爪部1101が必要であるので、その分の場所をとっていた。
【0004】
また、部品点数を少なくし、コスト低減を図ることを目的として、光電センサを搬送ガイドに固定するためのブラケットが搬送ガイドと一体となった構成である光電センサ取付け機構が示されている(特許文献1参照)。この光電センサ取付機構は、上述したブラケットと搬送ガイドの相対位置の決定は不要であるが、光電センサを固定するためのブラケットと爪部は必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−75867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、ブラケットと搬送ガイドの相対位置の決定が不要で、しかも、従来よりも場所をとらない光電センサ取付機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、検出領域内での光量の変動に基づいて検出対象物を検出するためのセンシング部を有する光電センサと、前記光電センサを取付対象物に固定する固定ピンを備え、前記光電センサは、前記固定ピンに係合する係合部を有し、前記取付対象物における前記検出領域の反対側に配置されて前記取付対象物に設けられたセンサ孔に前記センシング部が挿入され、前記固定ピンは、前記取付対象物を前記検出領域側から反対側へ突き抜けて前記光電センサの係合部に係合する構成である
光電センサ取付機構であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、光電センサを取付対象物に固定するためのブラケットが不要となり、しかも、光電センサの外側面に光電センサ自身を固定するための爪などの突起部も不要となり、場所をとらない光電センサ取付機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】光電センサの斜視図。
【図2】底面側から見た光電センサの斜視図。
【図3】固定用ピンの正面図。
【図4】搬送ガイドの斜視図。
【図5】光電センサの取り付け手順を示す説明図。
【図6】光電センサと固定ピンが係合した状態を示す斜視図。
【図7】従来例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例】
【0011】
現金自動預け払い機の内部にある取付対象物としての搬送ガイド202に光電センサ300を固定ピン500で取り付けた光電センサ取付機構505について詳しく説明する。図1は光電センサ300の斜視図であり、図2は図1とは別の角度から見た光電センサ300の斜視図である。図3は固定ピン500の正面図である。図4は搬送ガイドの斜視図である。図5は光電センサ300の取り付け手順を示すための説明図である。図6は光電センサ300と固定ピン500が係合した状態を示す斜視図である。図面はすべて概略図である。
【0012】
光電センサ取付機構505は、光電センサ300と固定ピン500と搬送ガイド202から構成される。この光電センサ300は、透過型の光電センサの投光側光電センサ、透過型の光電センサの受光側光電センサ、あるいは反射型の光電センサなど、適宜の光電センサで構成されている。
【0013】
図1と図2に示すように、光電センサ300は、全体が略直方体に形成されている。光電センサ300の平面の中央部に短手方向のすべてが凹となっている平面視四角形の凹部303が設けられ、その両横に2つの当接部305が設けられている。この2つの当接部305は、いずれも平面視四角形で同一サイズ、同一形状に形成されており、光電センサ300の平面の凹部303を挟んで左右対称に配置されている。当接部305の一方には、円盤形のセンシング部302が凸設されている。このセンシング部302は、投光部、受光部、受発光部のいずれであってもよく、センシング部302の角部304は面取りされている。
【0014】
また、凹部303の平面視中央部から底面の中央部にかけて、当接部305に垂直な固定ピン貫通孔301が空けられている。光電センサ300の底面は、板状部材404からなる。板状部材404は、固定ピン貫通孔301を囲む様に底面視U字状に溝孔403が設けられており、溝孔403の内側の板状部材が付勢手段である板バネ401として機能する。
【0015】
この板バネ401は、基部側が板状部材404に繋がっており、先端側に前述の固定ピン貫通孔301が設けられている。この固定ピン貫通孔301の周囲部分は、後述する固定ピン500の第1固定部502が係合する係合部402として機能する。光電センサ300の内部は、中空であり、適宜の電子部品が内蔵されている。
【0016】
図3に示すように、固定ピン500には一端に先端部501が設けられており、他端に搬送ガイド202に固定するための突起である第2固定部503と第3固定部504が設けられている。先端部501は、先端が半球状に形成され、続いて逆円錐台形状で光電センサ300に係合するための第1固定部502が形成されている。第1固定部502から第2固定部503までの距離W2は、光電センサ300の当接部305の平面から板バネ401の底面までの高さW4よりわずかに短く形成されている。第1固定部502、第2固定部503、第3固定部504はいずれも下方が半径小となる逆円錐台形状に形成されている。
【0017】
図4に示すように、搬送ガイド202には光電センサ300のセンシング部302と略同形状を有するセンサ孔203と固定ピンを挿入する固定ピン孔204が設けられている。第3固定部504の傾斜角A1と固定ピン孔204の傾斜角A2は等しくなるように設計されている。第2固定部503から第3固定部504までの距離W1は搬送ガイドの厚みW3より短く設計されている。
【0018】
次に、光電センサ300を搬送ガイド202に取り付ける手順について説明する。まず、図5(A)に示すように、検出領域側DSから反対側OSへ向かって固定ピン500を固定ピン孔204に挿入し、固定ピン500を搬送ガイド202に固定する。この固定は、搬送ガイド202におけるすり鉢状の固定ピン孔204に、逆円錐台形状の第3固定部504がほぼ隙間無く当接し、かつ、搬送ガイド202の反対側の面に固定ピン500の第2固定部503が当接することで実現される。言い換えれば、搬送ガイド202の固定ピン孔204周辺部が第3固定部504と第2固定部503で挟まれることによって搬送ガイド202への固定ピン500の固定が実現される。
【0019】
その後、図5(B)に示すように固定ピン500を光電センサ300の固定ピン貫通孔301に挿入するようにして光電センサ300を搬送ガイド202に近づけていき、センシング部302をセンサ孔203に挿入して取り付ける。このとき、板バネ401を検出領域側DSへ向けて少し押し込み、固定ピン500の第1固定部502を固定ピン貫通孔301から反対側OSへ完全に突出させる。こうして光電センサ300が搬送ガイド202に取り付けられた状態で、センシング部302の表面は搬送ガイド202の表面と同一平面上にある。また、固定ピン500の検出領域側DSに露出している露出部506は搬送ガイド202の検出領域側DSの表面よりも低い位置にくる。図6に示すように固定ピン500の第1固定部502と光電センサ300の係合部402が係合する。
【0020】
以上のような構成であるので、光電センサ300を搬送ガイド202に固定するためのブラケットが不要となり、しかも、光電センサ300の外側面に光電センサ300自身を固定するための爪などの突起部も不要となり、その分の場所をとらないので、取り付け可能な範囲が広がる。特に近年小型化が望まれる現金自動預け払い機では、構造物間の空間が小さくなっているが、この小さい空間でも取り付けることができる。
【0021】
また、光電センサ300の底面に板バネ401が設けられており、しかも距離W2<高さW4であるので、図5に示すように、光電センサ300を搬送ガイド202に取り付けた状態において板バネ401が検出領域側DSへ反っている。ゆえに、板バネ401の復元力により光電センサ300と搬送ガイド202間および第3固定部504と搬送ガイド202間に接触圧が生じ、光電センサ300を搬送ガイド202に安定して固定できる。
【0022】
さらに、光電センサ300の平面の中央部に短手方向のすべてが凹んでいる部分を有する凹部303が設けられているので、光電センサ300と搬送ガイド202は離れた2ヶ所の当接部305で接する。もし、搬送ガイド202や光電センサ300の当接部305が完全に平坦でない場合であっても、凹部303があることで光電センサ300と搬送ガイド202は離れた2ヶ所で接することになるので、このような場合でも凹部303がない場合に比べより安定して固定できる。
【0023】
しかも、固定ピン500に第2固定部503と第3固定部504が設けられており搬送ガイド202に固定ピン孔204が設けられているので、固定ピン500を搬送ガイド202に固定してから光電センサ300を固定ピン500に固定させることができ、取り付けが容易にできる利点がある。すなわち、固定ピン500と光電センサ300を同時に操作して取り付ける必要がなく、1つずつ順に取り付けできる。
【0024】
また、固定ピン500を光電センサ300の中央に1つ挿入するだけで固定する方式としたため、取り付け作業が容易であり、部品点数も少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0025】
センシング部302の角部304は面取りされているので、紙幣がセンシング部302を通過する際の紙幣の引っ掛かりを防止できる。
なお、上述した実施例では、付勢手段を板バネ401としたがコイルバネとしてもよいし、光電センサ300の当接部305は離れた2ヶ所に設けられているが2ヶ所以上設けてもよい。
【0026】
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は現金自動預け払い機、複写機やプリンタなど紙葉類を搬送する機構を備える様々な機器に利用できる。
【符号の説明】
【0028】
203・・・センサ孔
300・・・光電センサ
302・・・センシング部
305・・・当接部
402・・・係合部
500・・・固定ピン
501・・・先端部
505・・・光電センサ取付機構
OS・・・反対側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内での光量の変動に基づいて検出対象物を検出するためのセンシング部を有する光電センサと、
前記光電センサを取付対象物に固定する固定ピンを備え、
前記光電センサは、
前記固定ピンに係合する係合部を有し、
前記取付対象物における前記検出領域の反対側に配置されて前記取付対象物に設けられたセンサ孔に前記センシング部が挿入され、
前記固定ピンは、
前記取付対象物に設けられた固定ピン孔を前記検出領域側から反対側へ先端部が突き抜けて前記光電センサの係合部に係合する構成である
光電センサ取付機構。
【請求項2】
前記光電センサは、
前記係合部で前記固定ピンに係合している前記光電センサ本体を前記取付対象物へ向かって付勢する付勢手段を備えた
請求項1に記載の光電センサ取付機構。
【請求項3】
前記光電センサは、
前記取付対象物に当接する当接部を備え、
前記当接部は前記固定ピンを挟んで複数部位に設けられた構成である
請求項1または2に記載の光電センサ取付機構。
【請求項4】
前記固定ピンは、
前記取付対象物に前記固定ピン自身を固定する固定部を設けている
請求項1、2または3に記載の光電センサ取付機構。
【請求項5】
検出領域内での光量の変動に基づいて検出対象物を検出するためのセンシング部を有する光電センサと、
前記光電センサを取付対象物に固定する固定ピンとで構成される光電センサ装置であって、
前記光電センサは、
前記固定ピンに係合する係合部を備え、
前記固定ピンは、
前記取付対象物に設けられた固定ピン孔に前記検出領域側から反対側へ挿入されて前記係合部に係合する固定部を備えた
光電センサ取付装置。
【請求項6】
検出領域内での光量の変動に基づいて検出対象物を検出するためのセンシング部を有する光電センサを取付対象物に取り付ける光電センサ取付方法であって、
固定ピンの先端部を、前記取付対象物に設けられた固定ピン孔に前記検出領域側から反対側へ挿入し、
前記光電センサの前記センシング部を、前記取付対象物に設けられたセンサ孔に前記反対側から挿入し、
前記光電センサに設けられた係合部に前記固定ピンの固定部を係合させる
光電センサ取付方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−243384(P2011−243384A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113843(P2010−113843)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】