説明

光電変換モジュール、及び光コネクタ

【課題】隣り合ったリードフレーム同士の間隔を狭く設定することが可能であり、回路基板が有する多様なリード接続部の配置パターンに対して実装可能なリードフレームを備える光電変換モジュールの提供。
【解決手段】本発明の光電変換モジュール2は、光電変換素子51を含む電気回路部品5を内部で保持するパッケージ部31と、一端がパッケージ部31内において電気回路部品5と電気的に接続され、他端がパッケージ部31内から一方向に沿って外側へ延びる複数の第1リードフレーム41と、一端がパッケージ部31内において電気回路部品5と電気的に接続され、他端がパッケージ部3内から第1リードフレーム41と逆方向に沿って外側へ延びつつ、途中で曲がって第1リードフレーム41と同じ方向に沿って延びる複数の第2リードフレーム42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュール、及び光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、光ファイバ等を利用した光通信が広く普及している。光通信では、半導体レーザや発光ダイオード等からなる発光側の光電変換素子を利用して電気信号を光信号に変換すると共に、フォトダイオード等からなる受光側の光電変換素子を利用して光信号を電気信号に変換することが行われている。
【0003】
また、特許文献1等に示されるように、上述した光電変換素子と、それを動作させるための周辺回路等とを1つのパッケージとしてまとめた光電変換モジュールが、広く知られている。特許文献1に示される光電変換モジュールは、光電変換素子(光素子)を有するパッケージ状の本体と、この本体から下側にのみ引き出されている複数のリードフレームとを備えている。隣り合ったリードフレーム同士は、互いに離れるように前後方向に広げられており、各リードフレームは、所謂、千鳥状に配置されている。このようなリードフレームを備えた光電変換モジュールは、リード接続部(例えば、スルーホール、フットプリント)が千鳥状に形成されている外部回路基板上に実装されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−181523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように光電変換モジュールのリードフレームが、所謂、千鳥状に配置されていると、前記回路基板上で隣り合うリードフレーム同士の間隔(及びリード接続部同士のピッチ)が大きくなり、問題となっている。何故ならば、前記光電変換モジュールにおいて、前側に広がった状態で隣り合っているリードフレーム同士の間には、常に、後側に広がっている他方のリードフレーム用のスペースが含まれてしまうからである。また、前記光電変換モジュールでは、実装される回路基板における前記リード接続部の配置パターンが、所謂、千鳥状に制限されるため、前記回路基板の回路パターンの自由度が低くなってしまい、問題となっている。
【0006】
本発明の目的は、隣り合ったリードフレーム同士の間隔を狭く設定することが可能であり、回路基板が有する多様なリード接続部の配置パターンに対して実装可能なリードフレームを備える光電変換モジュール、及び前記光電変換モジュールを備える光コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光電変換モジュールは、光電変換素子を含む電気回路部品を内部で保持するパッケージ部と、一端が前記パッケージ部内において前記電気回路部品と電気的に接続され、他端が前記パッケージ部内から一方向に沿って外側へ延びる複数の第1リードフレームと、一端が前記パッケージ部内において前記電気回路部品と電気的に接続され、他端が前記パッケージ部内から前記第1リードフレームと逆方向に沿って外側へ延びつつ、途中で曲がって前記第1リードフレームと同じ方向に沿って延びる複数の第2リードフレームと、を備える。
【0008】
前記光電変換モジュールにおいて、前記一方向が、前記光電変換素子の光軸方向と交差する方向であることが好ましい。
【0009】
前記光電変換モジュールにおいて、前記電気回路部品に接続される高周波信号線及び低周波信号線のうち、前記高周波信号線が前記第1リードフレームのみに割り当てられることが好ましい。
【0010】
前記光電変換モジュールにおいて、前記パッケージ部を収容する合成樹脂製のハウジング部と、前記ハウジング部の外側を覆う金属製のシールド部材と、を備え、前記第2リードフレームが、前記ハウジング部の内壁と接触されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る光コネクタは、前記光電変換モジュールを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、隣り合ったリードフレーム同士の間隔を狭く設定することが可能であり、回路基板が有する多様なリード接続部の配置パターンに対して実装可能なリードフレームを備える光電変換モジュール、及び前記光電変換モジュールを備える光コネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る光コネクタの光軸方向に沿った断面構成を模式的に表した断面図
【図2】光電変換モジュールの内部構成を模式的に表した説明図
【図3】実施形態2に係る光コネクタの光軸方向に沿った断面構成を模式的に表した断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
(光コネクタ1)
本発明の実施形態1を、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係る光コネクタ1の光軸L方向に沿った断面構成を模式的に表した断面図である。本実施形態に係る光コネクタ1は、プリント配線技術により導電路(不図示)が形成されている外部回路基板60に取り付けられる。光コネクタ1は、主として、光電変換モジュール2(以下、単にモジュール2と称する場合がある)と、ハウジング部7と、シールド部材8とを備える。以下の説明においては、図1における上方を光コネクタ1等の上方とし、同図下方を下方とする。また、図1における左方を前方とし、同図における右方を後方として説明する。外部回路基板60には、上下に貫通された複数のスルーホール61,62,63が形成されている。各スルーホール61等の孔縁部には、プリント配線技術により形成された環状のランド(不図示)が形成されている。また、各スルーホール61,62,63の内周面には、前記ランドと連続する導電路が形成されている。外部回路基板60に形成されている各スルーホール(リード接続部)61,62は、行列状(所謂、格子状)の規則的な配置パターンをなしている。
【0015】
(ハウジング部7)
ハウジング部7は、絶縁性を備えた合成樹脂製の成型品からなり、全体的には、前方が開口した箱状をなしている。ハウジング部7は、主として、前方に開口部74を備えると共に、内側にモジュール2を収容する概ね直方体状の本体部71と、この本体部71の内側を前後方向で仕切ると共に、モジュール2の先端部分を保持する保持壁72とを備えている。本体部71の内側のうち、後方部分(保持壁72よりも後方の部分)は、モジュール2の大部分を収容する個所となっている。保持壁72の略中央部分には、モジュール2の突出した2つの先端部分が挿入される2つの貫通孔73が設けられている。なお、図1には、一方の貫通孔73のみが示されている。また、本体部71の内側のうち、前方部分(保持壁72よりも前方の部分)は、前方の開口部74から挿入された相手側コネクタ(不図示)の先端部分と嵌合する個所となっている。相手側コネクタは、先端にフェルール(不図示)が取り付けられている光ファイバ6を保持している。相手側コネクタが光コネクタ1の本体部71と嵌合すると、光ファイバ6の先端部分が、モジュール2の先端部に設けられている筒状の孔32a内に挿入されると共に、光ファイバ6がモジュール2(光電変換素子51)と光学的に接続される。
【0016】
(シールド部材8)
シールド部材8は、金属製の板材を所定形状にプレス加工して得られたものからなり、全体的には、前方及び下方がそれぞれ開口した箱状をなしている。シールド部材8は、ハウジング部7の外表面を覆う形で、ハウジング部7に外嵌されている。シールド部材8は、ハウジング部7に対して密着している。ハウジング部7の後方側の下端には、下方に突出する複数の接続脚部81が形成されている。この接続脚部81は、外部回路基板60のスルーホール63内に挿入された状態で、半田付け(半田64)により、外部回路基板60の導電路に接続されている。シールド部材8は、ハウジング部7の前面及び下面を除いた他の面を、電磁的にシールドする機能を備えている。
【0017】
(光電変換モジュール2)
モジュール2は、相手側の光コネクタが備えている光ファイバ6を介して受信した光信号を電気信号に変換して出力する機能と、入力された電気信号を光信号に変換して光ファイバ6を介して他の装置へ送信する機能とを備えている。モジュール2は、主として、光ファイバ6の先端部分が挿着される2つの筒部32、及びこれらの筒部32の後方に延設される1つのパッケージ部31とからなる合成樹脂製の本体部3と、パッケージ部31の内部で保持される電気回路部品5と、第1リードフレーム41と、第2リードフレーム42とを備えている。
【0018】
本体部3は、図1に示されるように、筒部32がハウジング部7内の前方に配されると共に、パッケージ部31がその後方に配された状態で、ハウジング部7内に収容されている。筒部32は、2つあり、それぞれ発光側と、受光側とからなる。筒部32は、その先端面が前方にあるハウジング部7の開口部74を向くと共に、保持壁72の貫通孔73内に挿入された状態で保持されている。各筒部32の先端部分には、筒状をなした有底の前後方向に延びた孔32aがそれぞれ設けられており、この孔32に、相手側コネクタが備えている2つの光ファイバ6の先端部分がそれぞれ挿着される。
【0019】
筒部32の後端部分には、後方に向かって膨出して形成されたレンズ(不図示)が本体部3の一部として形成されている。このレンズの後方には、パッケージ部31内で保持されている電気回路部品5に含まれる光電変換素子51が配置している。つまり、レンズは、筒部32と光電変換素子51との間に位置する光路上に配されている。そのため、発光側では、光電変換素子51(51a)から発せられた光出力がレンズによって光ファイバ6の下端面に集光され、そして、受光側では、光ファイバ6から発せられた光出力がレンズによって光電変換素子51(51b)に集光されている。
【0020】
パッケージ部31は、全体的に、直方体状をなしており、ハウジング部7内において、外部回路基板60に対して起立した状態で収容されている。パッケージ部31は、その内部で電気回路部品5を保持すると共に、各リードフレーム41,42の後端部分(根元部分)を保持している。電気回路部品5は、パッケージ部31内の後方部分において、上下方向及び左右方向に散らばった状態で配されている。また、電気回路部品5には、各リードフレーム41,42の後端部分(根元部分)が電気的に接続されている。そして、直方体状をなしたパッケージ部31の下端からは、複数の第1リードフレーム41がパッケージ部31の外側に引き出されている。これに対して、パッケージ部31の上端からは複数の第2リードフレーム42がパッケージ部31の外側に引き出されている。パッケージ部31等の本体部3は、各リードフレーム41,42等と共に、インサートモールド成形によって一体的に形成される。
【0021】
電気回路部品5は、光電変換素子51と、この光電変換素子51の動作に係る周辺回路を構成する部品52(52a,52b),53(53b)とからなる。光電変換素子51は、発光側の光電変換素子(以下、発光素子)51aと、受光側の光電変換素子(以下、受光素子)51bとからなる。本実施形態の場合、発光素子51aは、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)からなり、受光素子51bは、フォトダイオードからなる。発光素子51aの光出射方向(光軸)及び受光素子51bの光入射方向(光軸)は、共に外部回路基板60の板面に対して平行となっており、光コネクタ1の前後方向に沿った方向となっている。
【0022】
図2は、光電変換モジュール2の内部構成を模式的に表した説明図である。図2には、パッケージ部31を左右方向に沿って切断した断面構成が模式的に示されており、パッケージ部31の後方側に配されている電気回路部品5が、前方から見た状態で示されている。図2に示される上下方向に延びた境界線Mよりも左側の部分に、発光側の電気回路部品5が割り当てられ、そして境界線Mよりも右側の部分に、受光側の電気回路部品5が割り当てられている。また、パッケージ部31の後端側の内部は、図2に示されるように左右方向に長い矩形状をなしており、その内部で、電気回路部品5、第1リードフレーム41及び第2リードフレーム42がそれぞれ保持されている。
【0023】
第1リードフレーム41は、金属製であり、概ね細長く延びた板状をなしている。本実施形態の場合、図2に示されるように、第1リードフレーム41は、8本利用されている。これらの第1リードフレーム41のうち、5本の第1リードフレーム41(41a,41b,41c,41d,41e)が発光側の電気回路部品5と電気的に接続され、そして、残りの3本の第1リードフレーム41(41f,41g,41h)が受光側の電気回路部品5と電気的に接続されている。各第1リードフレーム41の一端は、このように各電気回路部品5に対して電気的に接続されている。また、各第1リードフレーム41の他端は、パッケージ部31の下端から外側に向かって一方向に真っ直ぐに延びている(図1参照)。本実施形態の場合、第1リードフレーム41は、光軸L及び外部回路基板60の板面とそれぞれ交差する方向に沿って真っ直ぐに延びている。図2に示されるように、隣り合った第1リードフレーム41同士は、所定の間隔を保っている。また、第1リードフレーム41の先端部分は、ハウジング部7の本体部71の下側部分を貫通して、ハウジング部7から突出した状態で露出している。
【0024】
第2リードフレーム42は、第1リードフレーム41と同様、金属製であり、概ね細長く延びた板状をなしている。ただし、第2リードフレーム42の全長(パッケージ部31の上端から外側にはみ出している部分の長さ)は、第1リードフレーム41の全長(パッケージ部31の下端から外側にはみ出している部分の長さ)よりも、長く設定されている(図1参照)。本実施形態の場合、図2に示されるように、第2リードフレーム42は、8本利用されている。これらの第2リードフレーム42のうち、3本の第2リードフレーム42(42a,42b,42c)が発光側の電気回路部品5と電気的に接続され、そして、残りの5本の第2リードフレーム42(42d,42e,42f,42g,42h)が受光側の電気回路部品5と電気的に接続されている。各第2リードフレーム42の一端は、このように各電気回路部品5に対して電気的に接続されている。また、各第2リードフレーム42の他端は、パッケージ部31の上端から外側に向かって一旦、前記第1リードフレーム41と逆方向に真っ直ぐに延び、その途中の2個所で、それぞれ約90°折れ曲がった後に、前記第1リードフレームと同じ方向に沿って真っ直ぐに延びている(図1参照)。第2リードフレーム42は、前方から後方に向かうように1個所目で約90°折れ曲がり、更に上方から下方に向かうように2個所目で約90°折れ曲がっている。図2に示されるように、隣り合った第2リードフレーム42同士は、所定の間隔を保っている。また、第2リードフレーム42の先端部分は、ハウジング部7の本体部71の下側部分を貫通して、ハウジング部7から突出した状態で露出している。第2リードフレーム42における途中の部分は、図2に示されるように、モジュール2(パッケージ部31)の後方(背面側)を上方から下方に向かって通過するように曲がっている。つまり、第2リードフレーム42は、部分的に、モジュール2(パッケージ部31)と、ハウジング部7(本体部71)の後端部分との間に配されることになる、そして、第2リードフレーム42は、モジュール2(パッケージ部31)の背後に対して所定間隔を保った状態で、モジュール2(パッケージ部31)の背後を覆うように配されている。
【0025】
なお、図2に示されるように、一部の第1リードフレーム41及び第2リードフレーム42は、直接、一体的に繋がっている。具体的には、発光側において、2つの第1リードフレーム41c,41eと、2つの第2リードフレーム42b,42cとが互いに、所定形状に加工された金属製の板状部分44,45を介して、直接、繋がっている。そして、板状部分44上に、発光素子51aが実装され、板状部分45に、発光素子51aの動作に係る周辺回路を構成する部品(ICチップ)52aが実装されている。発光素子51aと部品52aとの間、部品52aと第1リードフレーム41aとの間、部品52aと第1リードフレーム41bとの間、部品52aと第1リードフレーム41dとの間、及び部品52aと第2リードフレーム42aとの間には、それぞれワイヤ54が配されており、これらのワイヤ54を利用してそれらは互いに電気的に接続されている。なお、発光素子51aの前方には、発光側の筒部32の後端側に配されている上述したレンズ(不図示)が配されている。
【0026】
また、受光側において、1つの第1リードフレーム41fと、1つの第2リードフレーム42eとが互いに、所定形状に加工された金属製の板状部分46,47を介して、直接、繋がっている。そして、板状部分46上に、受光素子51bが実装され、板状部分47に、受光素子51bの動作に係る周辺回路を構成する部品(ICチップ)52bが実装されている。また、隣り合った第2リードフレーム42eと第2リードフレーム42fとの間に跨って他の部品(電子部品)53bが実装されている。受光素子51bと部品53bとの間、部品53bと第1リードフレーム41gとの間、部品53bと第1リードフレーム41hとの間、部品53bと第2リードフレーム42gとの間、及び部品53bと第2リードフレーム42hとの間には、それぞれワイヤ54が配されており、これらのワイヤ54を利用してそれらは互いに電気的に接続されている。なお、受光素子51bの前方には、受光側の筒部32における後端側に配されている上述したレンズ(不図示)が配されている。
【0027】
発光側における第1リードフレーム41aは、部品52aに外部から入力される高周波信号を送信する信号線(高周波信号線)として利用される。また、第1リードフレーム41bも、第1リードフレーム41aに対する高周波の逆相信号を送信する信号線(高周波信号線)として利用される。発光側におけるその他の第1リードフレーム41のうち、第1リードフレーム41c,41eは、グランド(GND)用であり、そして残りの第1リードフレーム41dは電源(VCC)用である。これに対して、発光側における第2リードフレーム41aは、送信器のON/OFF信号(低周波信号)を部品52aに送信する信号線(低周波信号線)として利用される。残りの2つの第2リードフレーム42b,42cは、共にグランド(GND)用である。
【0028】
受光側における第1リードフレーム41gは、部品52bから外部に出力される高周波信号を送信する信号線(高周波信号線)として利用される。また、第1リードフレーム41hも、第1リードフレーム41gに対する高周波の逆相信号を送信する信号線(高周波信号線)として利用される。受光側における残りの第1リードフレーム41fは、グランド(GND)用である。これに対して、受光側における第2リードフレーム42hは、低周波の受信信号を検出するための信号線(低周波信号線)として利用される。残りの第2リードフレーム42のうち、第2リードフレーム42eは、グランド(GND)用であり、第2リードフレーム42fは、電源(VCC)用である。なお、第2リードフレーム42dと、第2リードフレーム42gとは、共に図示されない他の電気回路部品に対して電気的に接続されており、共に低周波用の信号線等として利用されている。
【0029】
各第1リードフレーム41の先端部分(他端部分)は、それぞれ下方に向かって真っ直ぐに延びており、スルーホール61内に挿入された状態で、半田付け(半田64)により、外部回路基板60の導電路に接続されている。また、各第2リードフレーム42の先端部分(他端部分)も、第1リードフレーム41と同様、それぞれ下方に向かって真っ直ぐに延びており、スルーホール62内に挿入された状態で、半田付け(半田64)により、外部回路基板60の導電路に接続されている。図1に示されるように、第1リードフレーム41の先端部分の位置上下方向における位置)と、第2リードフレーム42の先端部分の位置(上下方向における位置)とは、互いに揃えられている。
【0030】
モジュール2は、パッケージ部31の下端から延びた第1リードフレーム41と、パッケージ部31の上端から延びて途中で折り返すように曲がった第2リードフレーム42とによって、ハウジング部7内で支えられている。更に、モジュール2は、保持壁72以外のハウジング部7の内部構造(不図示)によっても、ハウジング部7内で支えられている。
【0031】
以上のような構成を備えている光電変換モジュール2は、隣り合った第1リードフレーム41同士の間隔、及び隣り合った第2リードフレーム42同士の間隔を、それぞれ従来と比べて、狭く設定することが可能である。何故ならば、隣り合った第1リードフレーム41同士の間に、第2リードフレーム42を形成するためのスペースを確保する必要がないからである。また、隣り合った第2リードフレーム42同士の間に、第1リードフレーム41を形成するためのスペースを確保する必要がないからである。
【0032】
また、本実施形態の光電変換モジュール2(光コネクタ1)は、外部回路基板60における行列状の配置パターンをなしたスルーホール(リード接続部)61,62に対して、実装可能な構成となっている。なお、本実施形態のモジュール2は、必要に応じて、各リードフレーム41,42の配置(回路)パターン(第1リードフレーム41同士の間隔、第2リードフレーム42同士の間隔等)を適宜、変更することによって、所謂、千鳥状の配置パターンをなしたリード接続部を有する外部回路基板に対して実装することも可能となる。また、他のリード接続部の配置パターンを有する外部回路基板に対しても、適宜、各リードフレーム41,42の配置(回路)パターンを設定すれば、モジュール2を実装することが可能となる。したがって、本実施形態の光電変換モジュール2は、多様なリード接続部の配置パターンを備えた外部回路基板に対して実装可能な構造となっており、各リードフレーム41,42の配置パターン(各リードフレーム41,42がなす回路パターン)の自由度が高い構造となっている。
【0033】
また、本実施形態のモジュール2及び光コネクタ1では、第1リードフレーム41(41a,41b,41g,41h)にのみ、高周波信号線が割り当てられている。そして、第2リードフレームには、高周波ノイズを発生させない配線である、低周波信号線及び電源用の配線(直流用の配線、VCC、GND)が割り当てられている。第1リードフレーム41の全長(パッケージ部31の下端からスルーホール61までの長さ)は、第2リードフレーム42の全長(パッケージ部31の上端からスルーホール62までの長さ)よりも、短く設定されている(図1参照)。このような全長の短い第1リードフレーム41に高周波信号線が割り当てられることによって、前記高周波信号線に因る高周波ノイズの発生が抑制されている。また、高周波信号線を短く設定することにより、外部からのノイズの影響も受け難くなっている。なお、本実施形態においては、50Mbps以上の信号を高周波信号とし、50Mbps未満の信号を低周波信号としている。
【0034】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を、図3を参照しつつ説明する。図3は、実施形態2に係る光コネクタ1Aの光軸L方向に沿った断面構成を模式的に表した断面図である。本実施形態の光コネクタ1Aの基本的な構成は、実施形態1のものと同様である。そのため、実施形態1と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細説明は省略する。本実施形態の光コネクタ1Aは、光電変換モジュール2Aの上端から外側にはみ出している部分の第2リードフレーム42Aの形状が、実施形態1のものとは異なっている。具体的には、図3に示されるように、第2リードフレーム42Aの途中の部分が、ハウジング部7における本体部71の内壁71aに対して接触するように構成されている。第2リードフレーム42Aは、実施形態1と同様、第1リードフレーム41と反対方向に向かってパッケージ部31の上端から外側に引き出されている。そして、実施形態1と同様、途中の2個所でそれぞれ約90°折り曲げられている。ただし、本実施形態では、1個所目の折れ曲がった部分と2個所目の折れ曲がった部分との間に配されている部分(外部回路基板60の板面に対して平行に配されている第2リードフレーム42Aの部分)が、実施形態1のものよりも長く設定されており、第2リードフレーム42Aの上方から下方に向かって真っ直ぐに延びた部分が、本体部71の内壁71aに対して密着されている。
【0035】
本実施形態のモジュール2Aのように、第2リードフレーム42Aが部分的に、ハウジング部7に対して密着されていると、電気回路部品5の動作に伴って発生する熱が、第2リードフレーム42Aを伝ってハウジング部7に移動し、更にハウジング部7に取り付けられている金属製のシールド部材8に移動し、そして最終的に外部へ放出される。本実施形態では、シールド部材8を、電磁的なシールドとして機能させること以外に、放熱部材としても積極的に機能させている。このように、第2リードフレーム42Aをハウジング部7(本体部71)の内壁71aに接触させることによって、電気回路部品5から発生した熱をシールド部材8に移動し易くし、そしてハウジング部7に取り付けられている金属製のシールド部材6を積極的に放熱部材として利用することによって、モジュール2A(及び光コネクタ2A)の冷却効率(放熱性)を高めてもよい。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0037】
(1)上記実施形態1において、光電変換モジュール2は、光電変換素子51として、発光側の素子(発光素子51a)と、受光側の素子(受光素子51b)とをそれぞれ1つずつ備える構成であった。他の実施形態においては、例えば、光電変換モジュールが、発光素子又は受光素子のいずれか一方のみを備える構成であってもよいし、或いは、3個以上の光電変換素子51を備える構成であってもよい。
【0038】
(2)上記実施形態1では、複数の第1リードフレーム41の中に、高周波信号線と共に、一部の低周波信号線及び電源用の配線(電源、GND)が割り当てられていたが、他の実施形態のおいては、例えば、第1リードフレー41のみに、高周波信号線を割り当て、そして第2リードフレーム42のみに、低周波信号線及び電源用の配線を割り当てる構成であってもよい。
【0039】
(3)上記実施形態1では、各第2リードフレーム42が、図1に示されるように、パッケージ部31の後側(背後)に回り込んで、パッケージ部31の後側を、覆うように配されていたが、他の実施形態においては、パッケージ部31の前側に回り込んで、パッケージ部31の前側を、覆うように配されてもよい。つまり、実施形態1の場合とは反対に、第2リードフレーム41の根元側の部分から先側に向かう途中に、後方から前方に向かって延びるように折れ曲がる個所があってもよい。第2リードフレーム42の形状は、パッケージ部31の背後において、上方から下方に向かって延びる場合に限られるものではなく、必要に応じて、適宜、設定される。
【0040】
(4)上記実施形態1では、外部回路基板60に設けられているリード接続部が、スルーホールであったが、他の実施形態においては、他のリード接続部(例えば、パッド状のフットプリント)であってもよい。
【0041】
(5)上記実施形態1では、第2リードフレーム42がその途中の2個所でそれぞれ略90°ずつ折れ曲がることによって、第2リードフレーム42の先端部分が上方から下方に向かって延びる形状となっていたが、他の実施形態においては、例えば、第2リードフレーム42がその途中でU字状に曲げられることによって、第2リードフレーム42の先端部分が上方から下方に向かって延びる形状となっていてもよい。つまり、第2リードフレーム42は、パッケージ部17の上端から外側にはみ出している部分が、最終的に、第1リードフレーム41と同じ方向に沿って延びればよい。そして、第2リードフレーム42の先端部分は、第1リードフレーム41と共に、所定の外部回路基板60に対して、モジュール2の光軸が外部回路基板60の板面と平行になるように、実装されればよい。
【0042】
(6)上記実施形態1では、全てのリードフレーム41,42の一端が、所定の電気回路部品5と電気的に接続されていたが、他の実施形態においては、一端が電気回路部品5と電気的に接続されていない、リードフレーム41,42と同様の形状をなした板状の部材が、パッケージ部17に設けられていてもよい。このような板状の部材によって、光電変換モジュール2の支持強度を向上させてもよいし、或いは、前記板状の部材を、パッケージ部17内で保持されている電気回路部品5を電磁的にシールドするために利用してもよい。
【0043】
(7)上記実施形態1では、50Mbps以上の信号を高周波信号とし、50Mbps未満の信号を低周波信号としたが、高周波信号及び低周波信号は、これらに限定されるものではない。
【0044】
(8)上記実施形態1において、光電変換モジュール2は発光側の素子(発光素子51a)として、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)を使用していたが、他の実施形態においては、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、RCLED(Resonant Cavity Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)といった発光素子を用いる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1,1A…光コネクタ、2,2A…光電変換モジュール、3…本体部、31…パッケージ部、32…筒部、32a…孔、41(41a〜41h)…第1リードフレーム、42(42a〜42h)…第2リードフレーム、5(51,52,53)…電気回路部品、51a…発光素子、51b…受光素子、6…光ファイバ、7…ハウジング部、8…シールド部材、60…外部回路基板、61,62,63…スルーホール(リード接続部)、64…半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子を含む電気回路部品を内部で保持するパッケージ部と、
一端が前記パッケージ部内において前記電気回路部品と電気的に接続され、他端が前記パッケージ部内から一方向に沿って外側へ延びる複数の第1リードフレームと、
一端が前記パッケージ部内において前記電気回路部品と電気的に接続され、他端が前記パッケージ部内から前記第1リードフレームと逆方向に沿って外側へ延びつつ、途中で曲がって前記第1リードフレームと同じ方向に沿って延びる複数の第2リードフレームと、を備える光電変換モジュール。
【請求項2】
前記一方向が、前記光電変換素子の光軸方向と交差する方向である請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項3】
前記電気回路部品に接続される高周波信号線及び低周波信号線のうち、前記高周波信号線が前記第1リードフレームのみに割り当てられる請求項1又は請求項2に記載の光電変換モジュール。
【請求項4】
前記パッケージ部を収容する合成樹脂製のハウジング部と、
前記ハウジング部の外側を覆う金属製のシールド部材と、を備え、
前記第2リードフレームが、前記ハウジング部の内壁と接触されている請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光電変換モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光電変換モジュールを備える光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−98463(P2013−98463A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242198(P2011−242198)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】