説明

光電変換素子

【課題】開放端電圧が高い光電変換素子を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層に式(1)で表される構成単位を含む有機化合物を含有する光電変換素子。


(1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。D環及びE環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する有機化合物を用いた光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のため、大気中に放出されるCO2の削減が求められている。例えば、家屋の屋根にpn接合型のシリコン系太陽電池などを用いるソーラーシステムへの切り替えが提唱されているが、上記シリコン系太陽電池に用いられる単結晶、多結晶及びアモルファスシリコンは、その製造過程において高温、高真空条件が必要であるという問題がある。
【0003】
一方、有機化合物を含む活性層を有する光電変換素子は、シリコン系太陽電池の製造プロセスに用いられる高温、高真空プロセスが省略でき、塗布プロセスのみで安価に製造できる可能性があり、近年注目されてきている。光電変換素子としては、繰り返し単位(A)及び繰り返し単位(B)からなる高分子化合物を含む有機層を有する光電変換素子が記載されている(特許文献1)。
【0004】

繰り返し単位(A) 繰り返し単位(B)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−506519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記光電変換素子は、開放端電圧が十分に高くはない。
【0007】
本発明は、開放端電圧が高い光電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は第一に、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層に式(1)で表される構成単位を含む有機化合物を含有する光電変換素子を提供する。

(1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。D環及びE環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【0009】
本発明は第二に、有機化合物が、さらに式(A−1)で表される構成単位、式(B−1)で表される構成単位、式(C−1)で表される構成単位、式(D−1)で表される構成単位及び式(E−1)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含有する前記光電変換素子を提供する。

(式(A−1)〜(E−1)中、Qは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20とR21は、連結して環状構造を形成してもよい。G環〜N環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【0010】
本発明は第三に、前記光電変換素子を含む太陽電池モジュールを提供する。
【0011】
本発明は第四に、前記光電変換素子を含むイメージセンサーを提供する。
【0012】
本発明は第五に、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、活性層とを有し、該活性層に式(1)で表される構成単位を含む有機化合物を含有する有機薄膜トランジスタを提供する。

(1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。D環及びE環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【0013】
本発明は第六に、式(1−1)

(1−1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。D’’環及びE’’環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいチオフェン環を表す。)
で表される構成単位を含み、かつ、式(A−1)で表される構成単位、式(B−1)で表される構成単位、式(C−1)で表される構成単位、式(D−1)で表される構成単位及び式(E−1)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有する高分子化合物を提供する。

(式(A−1)〜(E−1)中、Qは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20とR21は、連結して環状構造を形成してもよい。G環〜N環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【0014】
本発明は第七に、式(1−2)で表される化合物を提供する。

(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。D’環及びE’環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。W及びWは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホン酸残基、ホウ酸エステル残基、モノハロゲン化メチル基、ジヒドロキシボリル基、ホルミル基、ビニル基又は置換スタンニル基を表す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の光電変換素子は、開放端電圧が高いため、本発明は極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光電変換素子は第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層に式(1)で表される構成単位を含む有機化合物を含有することを特徴とする。

(1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。D環及びE環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【0017】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0018】
アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。アルキル基は置換基を有していてもよい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0019】
アルコキシ基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、通常1〜20であり、アルコキシ基は置換基を有していてもよい。アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子及びアルコキシ基(例えば、炭素数1〜20)が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換されていてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基及び2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0020】
アルキルチオ基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。アルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20であり、アルキルチオ基は置換基を有していてもよい。アルキルチオ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換されていてもよいアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0021】
アリール基とは、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素数は通常6〜60である。アリール基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0022】
アリールオキシ基は、その炭素数が通常6〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基及びペンタフルオロフェノキシ基が挙げられる。
【0023】
アリールチオ基は、その炭素数が通常6〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
【0024】
アリールアルキル基は、その炭素数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
【0025】
アリールアルコキシ基は、その炭素数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。
【0026】
アリールアルキルチオ基は、その炭素数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
【0027】
アリールアルケニル基は、その炭素数が通常8〜20であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
【0028】
アリールアルキニル基は、その炭素数が通常8〜20であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子及び置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。置換されていてもよいアリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
【0029】
置換アミノ基とは、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換されたものであり、置換基は、例えば、置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基である。該置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例は、Rで表される置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例と同じである。置換アミノ基の炭素数は通常1〜40である。置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
【0030】
置換シリル基とは、シリル基の水素原子の1個、2個又は3個が置換されたもの、一般に、シリル基の3水素原子全てが置換されたものであり、置換基は、例えば、置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基である。置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例は、Rで表される置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の具体例と同じである。置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
【0031】
置換シリルオキシ基とは、上記の置換シリル基に酸素原子が結合した基である。置換シリルオキシ基の具体例としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基及びジメチルフェニルシリルオキシ基が挙げられる。
【0032】
複素環基としては、置換基を有していてもよいフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β-カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン等の複素環化合物から水素原子を1個除いた基が挙げられる。複素環基としては、芳香族複素環基が好ましい。
【0033】
アシル基とは、カルボン酸の−COOH部分中の水酸基を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基等の炭素数2〜20のハロゲンで置換されていてもよいアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基等のハロゲンで置換されていてもよいフェニルカルボニル基が挙げられる。
【0034】
アシルオキシ基とは、カルボン酸の−COOH部分中の水素原子を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0035】
アミド基とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素数は通常2〜20である。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
【0036】
D環及びE環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。ここで芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピ
レン環、ペリレン環、テトラセン環、ペンタセン環などの芳香族炭素環、及び、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、チオフェンオキシド環、ベンゾチオフェンオキシド環、ジベンゾチオフェンオキシド環、チオフェンジオキシド環、ベンゾチオフェンジオキシド環、ジベンゾチオフェンジオキシド環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、ジベンゾピロール環、シロール環、ベンゾシロール環、ジベンゾシロール環、ボロール環、ベンゾボロール環、ジベンゾボロール環などの芳香族複素環が挙げられる。
式(1)中、D環及びE環は、置換基を有していてもよい芳香族複素環が好ましく、5員環含む芳香族複素環がより好ましく、チオフェン環がさらに好ましい。
【0037】
D環及びE環が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。該ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基及びアミド基の定義及び具体例は、前述のRで表されるハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基及びアミド基の定義及び具体例と同じである。
【0038】
式(1)で表される構成単位としては、例えば、式(601)〜式(660)で表される構成単位が挙げられる。

【0039】

【0040】

【0041】

【0042】

【0043】

【0044】
式(601)〜式(660)中、Rは水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。Rが置換基である場合、該置換基の例としては、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。該ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基及びアミド基の定義及び具体例は、前述のRで表されるハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基及びアミド基の定義及び具体例と同じである。
【0045】
式(601)〜式(660)で表される構成単位の中では、光電変換効率を高める観点からは、式(621)〜式(640)で表される構成単位が好ましく、式(621)〜式(625)で表される構成単位がより好ましい。
【0046】
式(1)で表される構成単位を含む有機化合物の光吸収強度を高める観点からは、式(1)で表される構成単位が芳香族複素環を含有することが好ましい。芳香族複素環を含むことによって、式(1)で表される構成単位を含む有機化合物の平面性が高まり、光吸収強度が向上する。光吸収強度が向上することにより、該有機化合物の光吸収量が増大し、本発明の光電変換素子の短絡電流密度が向上する。
【0047】
式(1)で表される構成単位を含む有機化合物の光吸収末端波長を長波長化する観点からは、式(1)で表される構成単位がチオフェン環を含有することが好ましい。チオフェン環を有することによって分子内部の電荷移動が発生し、光吸収末端波長の長波長化が達成される。光吸収末端波長が長波長化することにより、該有機化合物の光吸収量が増大し、短絡電流密度が向上する。
式(1)で表される構成単位がチオフェン環を含むことにより、さらに、該有機化合物の吸収強度の向上や、本発明の光電変換素子の曲線因子(フィルファクター)の向上も達成され、光電変換効率が高くなる。
【0048】
光電変換素子の耐久性を高める観点からは、式(1)で表される構成単位中のRは、2位及び5位に置換基を有するベンゼン環が好ましい。該置換基は、イソプロピル基が好ましい。
【0049】
本発明の光電変換素子に用いられる有機化合物は、式(1)で表される構成単位のほかに、式(1)で表される構成単位とは異なる構成単位を含むことが好ましい。この場合、式(1)で表される構成単位と式(1)で表される構成単位とは異なる構成単位とが、共役を形成していることが好ましい。本発明における共役とは、多重結合が単結合を間に1個挟んで存在することを指す。
【0050】
式(1)で表される構成単位とは異なる構成単位としては、例えば、置換されていてもよいアリーレン基、置換されていてもよいヘテロアリーレン基、アルケニレン基及びアルキニレン基が挙げられる。本発明の光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、置換されていてもよいアリーレン基及び置換されていてもよいヘテロアリーレン基が好ましい。
ここで、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子2個を除いた基を意味し、その炭素数は通常6〜60である。ヘテロアリーレン基とは、芳香族複素環化合物から芳香環上の水素原子2個を除いた基を意味する。
【0051】
置換されていてもよいアリーレン基及び置換されていてもよいヘテロアリーレン基としては、下記群1の式(A−1)で表される構成単位、式(B−1)で表される構成単位、式(C−1)で表される構成単位、式(D−1)で表される構成単位及び式(E−1)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位が挙げられる。
(群1)

(式(A−1)〜(E−1)中、Qは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20とR21は、連結して環状構造を形成してもよい。G環〜N環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【0052】
環G〜環Nで表される芳香環は、単環式芳香環であっても、多環式芳香環であってもよい。単環式芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環及びトリアジン環が挙げられる。
【0053】
多環式芳香環としては、前記の単環式芳香環に任意の環が縮合した芳香環が挙げられる。単環式芳香環に縮合する環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、プラゾリジン環、フラザン環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、テトラゾール環、ピラン環、ピリジン環,ピペリジン環、チオピラン環、リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、モルホリン環、トリアジン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、イソインドール環、インドリジン環、インドリン環、イソインドリン環、クロメン環、クロマン環、イソクロマン環、ベンゾピラン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、インダゾール環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、キナゾリジン環、シンノリン環、フタラジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、キサンテン環、フェナントリジン環、アクリジン環、β-カルボリン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環及びフェナジン環が挙げられる。
【0054】
30、R31及びR32が置換基である場合、該置換基としては、ハロゲン原子及び炭素数1〜30の基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子及び塩素原子が挙げられる。該炭素数1〜30の基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、及び、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
【0055】
群1中、R20〜R25は水素原子又は置換基を表す。R20〜R25が置換基である場合、該置換基としては、ハロゲン原子及び炭素数1〜30の基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子及び塩素原子が挙げられる。該炭素数1〜30の基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、及び、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
20とR21は、相互に連結して環状構造を形成してもよい。連結して形成した環状構造の具体例としては、以下の式(イ)〜式(ハ)の構造が挙げられる。

【0056】
式(イ)〜式(ハ)中、R70及びR71は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R70及びR71が置換基の場合、該置換基としては、ハロゲン原子及び炭素数1〜30の基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子及び塩素原子が挙げられる。該炭素数1〜30の基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、及び、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
30及びX31は、それぞれ独立に、硫黄原子又はセレン原子を表す。X30及びX31は、硫黄原子が好ましい。Y30〜Y35は、それぞれ独立に、窒素原子又は=CH−を表す。Y30〜Y35は、窒素原子が好ましい。
【0057】
環G〜環Nは、R20〜R25以外の置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、ハロゲン原子及び炭素数1〜30の基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子及び塩素原子が挙げられる。該炭素数1〜30の基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、及び、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
【0058】
群1に含まれる構成単位の中でも、本発明の光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、下記群2の式(A−2)〜式(E−2)で表される構成単位が好ましい。
(群2)

【0059】

【0060】
式(A−2)〜式(E−2)中、Q〜Qは、それぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31、R32は、前述と同じ意味を表す。Q〜Qは、硫黄原子が好ましい。Y〜Yは、それぞれ独立に、窒素原子又は=CH−を表す。Y〜Yは、窒素原子が好ましい。
40〜R49は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R40〜R49が置換基である場合、該置換基の例としては、ハロゲン原子及び炭素数1〜30の基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子及び塩素原子が挙げられる。該炭素数1〜30の基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、及び、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。また、R40とR4142とR43は、それぞれ連結して環状構造を形成してもよい。
【0061】
40とR4142とR43が連結して形成した環状構造の具体例としては、式(イ)で表される環状構造、式(ロ)で表される環状構造が挙げられる。
【0062】
式(A−2)〜式(E−2)で表される構成単位としては、式(1)で表される構成単位を含む有機化合物の光の吸収強度を高める観点からは、式(500)〜式(522)で表される基が好ましい。
【0063】

【0064】

(式中Rは前述と同じ意味を表す)
【0065】
式(500)〜式(522)で表される基の中でも、有機化合物の光吸収末端波長を長波長化する観点からは、式(500)で表される基、式(506)で表される基、及び、式(511)で表される基が好ましく、式(511)で表される基がより好ましい。光吸収末端波長が長波長化することによって光吸収量が増大し、本発明の光電変換効率の短絡電流密度が向上する。
【0066】
本発明の光電変換素子に用いられる有機化合物は、素子作製の容易さの観点からは、高分子化合物であることが好ましい。
本発明における高分子化合物とは、重量平均分子量が1000以上のものを指すが、重量平均分子量が3000〜10000000の高分子化合物が好ましく用いられる。重量平均分子量が3000より低いとデバイス作製時の膜形成に欠陥が生じることがあり、10000000より大きいと溶媒への溶解性や素子作製時の塗布性が低下することがある。重量平均分子量としてさらに好ましくは8000〜5000000であり、特に好ましくは10000〜1000000である。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリスチレンの標準試料を用いて算出したポリスチレン換算の重量平均分子量のことを指す。
【0067】
本発明の光電変換素子が式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物を含有する場合、該高分子化合物中の式(1)で表される構成単位の含有量は、化合物中に少なくとも1つ含まれていればよい。好ましくは高分子化合物中、高分子鎖一本あたり平均2個以上、さらに好ましくは高分子鎖一本あたり平均3個以上含まれる。
【0068】
本発明の光電変換素子に用いられる好ましい化合物は、式(1−1)で表される構成単位を含み、かつ、式(A−1)で表される構成単位、式(B−1)で表される構成単位、式(C−1)で表される構成単位、式(D−1)で表される構成単位及び式(E−1)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物である。
【0069】
式(1−1)中、D’’環及びE’’環で表されるチオフェン環が有していてもよい置換基の具体例は、D環及びE環が有していてもよい置換基の具体例と同じである。
【0070】
前記式(1−1)で表される構成単位と、式(A−1)で表される構成単位、式(B−1)で表される構成単位、式(C−1)で表される構成単位、式(D−1)で表される構成単位及び式(E−1)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位とを含む高分子化合物が有する構成単位の合計を100とした場合、式(1−1)で表される構成単位の含有量は、10〜90であることが好ましく、さらに好ましくは20〜80、特に好ましくは30〜70が好ましい。
【0071】
また、本発明の光電変換素子に用いることができる高分子化合物は、デバイス作製の容易性から、溶媒への溶解度が高いことが望ましい。具体的には、該高分子化合物を0.01重量(wt)%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することが好ましく、0.1wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがより好ましく、0.4wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがさらに好ましい。
【0072】
光電変換素子の光電変換効率を高める観点から、光電変換素子の開放端電圧が高いことが好ましい。式(1)で表される構成単位を含む有機化合物を電子供与性化合物として用いる場合、該有機化合物のイオン化ポテンシャルが高い程、本発明の光電変換素子の開放端電圧が高くなる。
【0073】
本発明に用いることができる高分子化合物の製造方法としては、特に制限されるものではないが、高分子化合物の合成の容易さからは、Suzukiカップリング反応を用いる方法、及び、Stilleカップリング反応を用いる方法が好ましい。
【0074】
Suzukiカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(100):
−E1−U (100)
〔式中、Eは、芳香環を含む2価の基を表す。U及びUは、それぞれ独立に、ジヒドロキシボリル基(−B(OH))又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、式(200):
1−E2−T2 (200)
〔式中、E2は、芳香環を含む2価の基を表す。T1及びT2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はスルホン酸残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。ここで、E又はEの少なくとも一方が式(1)で表される構成単位である。
この場合、反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計に対して、0.8〜1.2モルであることが好ましく、0.9〜1.1モルであることがさらに好ましい。
【0075】
ホウ酸エステル残基とは、ホウ酸ジエステルから水酸基を除去した基を意味し、ジアルキルエステル残基、ジアリールエステル残基、ジ(アリールアルキル)エステル残基などが挙げられる。ホウ酸エステル残基としては、下記式:

(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基が例示される。
【0076】
式(200)における、T及びTで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0077】
式(200)における、T及びTで表されるスルホン酸残基とは、スルホン酸(−SOH)から酸性水素を除いた原子団を意味し、具体例としては、アルキルスルホネート基(例えば、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基)、アリールスルホネート基(例えば、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基)、アリールアルキルスルホネート基(例えば、ベンジルスルホネート基)及びトリフルオロメタンスルホネート基が挙げられる。
【0078】
具体的には、Suzukiカップリング反応を行う方法としては、任意の溶媒中において、触媒としてパラジウム触媒を用い、塩基の存在下で反応させる方法が挙げられる。
【0079】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒が挙げられ、具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムが挙げられ、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
パラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.1モルである。
【0080】
Suzukiカップリング反応に使用するパラジウム触媒としてパラジウムアセテート類を用いる場合は、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン等のリン化合物を配位子として添加することができる。この場合、配位子の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0081】
Suzukiカップリング反応に使用する塩基としては、無機塩基、有機塩基、無機塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウムが挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンが挙げられる。無機塩としては、例えば、フッ化セシウムが挙げられる。
塩基の添加量は、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル〜100モル、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0082】
Suzukiカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランが例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。また、塩基は、水溶液として加え、2相系で反応させてもよい。塩基として無機塩を用いる場合は、無機塩の溶解性の観点から、通常、水溶液として加えて反応させる。
なお、塩基を水溶液として加え、2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を加えてもよい。
【0083】
Suzukiカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点からは、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が、反応が効率的に進行する観点から好ましい。
【0084】
Suzukiカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd(0)触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(100)で表される化合物、式(200)で表される化合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、この溶液に、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した塩基、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を滴下した後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0085】
Stilleカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(300):
−E−U (300)
〔式中、Eは、芳香環を含む2価の基を表す。U及びUは、それぞれ独立に、置換スタンニル基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、前記式(200)で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。ここで、E又はEの少なくとも一方が式(1)で表される構成単位である。
【0086】
置換スタンニル基としては、-SnR100で表される基等が挙げられる。ここでR100は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられる。
該アルキル基の炭素数は通常1〜30であり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。有機スズ残基として好ましくは-SnMe、-SnEt、-SnBu、-SnPhであり、さらに好ましくは-SnMe、-SnEt、-SnBuである。上記好ましい例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0087】
具体的には、触媒として、例えば、パラジウム触媒下で任意の溶媒中で反応する方法が挙げられる。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒等が挙げられ、具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムが挙げられ、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
Stilleカップリング反応に使用するパラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.2モルである。
【0088】
また、Stilleカップリング反応において、必要に応じて配位子や助触媒を用いることもできる。配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン等のリン化合物やトリフェニルアルシン、トリフェノキシアルシン等の砒素化合物が挙げられる。助触媒としてはヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、2−テノイル酸銅(I)などが挙げられる。
配位子又は助触媒を用いる場合、配位子又は助触媒の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0089】
Stilleカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランが例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0090】
Stilleカップリング反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点から、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。
前記反応を行う時間(反応時間)は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が、反応が効率的に進行する観点から好ましい。
【0091】
Stilleカップリング反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(300)で表される化合物、式(200)で表される化合物、パラジウム触媒を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、必要に応じて配位子や助触媒を加え、その後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0092】
本発明の光電変換素子に用いることができる高分子化合物の末端に重合活性基が残っていると、素子の作製に用いたときに得られる素子の特性や寿命が低下する可能性があるため、安定な基で保護されていてもよい。該安定な基は、主鎖の共役構造と連続した共役結合を有している基が好ましい。また、該安定な基は、ビニレン基を介してアリール基又は複素環基と結合している構造を有していてもよい。該安定な基としては、置換基を有さないフェニル基、ナフチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
【0093】
本発明の光電変換素子に用いられる化合物は、例えば、式(1−2)で示される化合物を原料の一つとして重合させることにより製造することができる。

(式中、Rは、前述と同じ意味を表す。D’環及びE’環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。W及びWは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホン酸残基、ホウ酸エステル残基、モノハロゲン化メチル基、ジヒドロキシボリル基、ホルミル基、ビニル基又は置換スタンニル基を表す。)
【0094】
式(1−2)中、D’環及びE’環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。D’環及びE’環で表される芳香族複素環の具体例は、前述のD環及びE環で表される芳香族複素環の具体例と同じである。D’環及びE’環で表される芳香族複素環が有していてもよい置換基の具体例は、前述のD環及びE環で表される芳香族複素環が有していてもよい置換基の具体例と同じである。D’環及びE’環は、チオフェン環、フラン環及びピロール環が好ましく、チオフェン環がより好ましい。
【0095】
式(1−2)中、Rは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基及び置換されていてもよいアリールアルキル基が好ましく、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基及び置換されていてもよいアリールアルキル基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。
【0096】
式(1−2)中、W及びWで表されるホウ酸エステル残基の定義及び具体例は、前述のU及びUで表されるホウ酸エステル残基の定義及び具体例と同じである。W及びWで表されるスルホン酸残基の定義及び具体例は、前述のT及びTで表されるハロゲン原子及びスルホン酸残基の定義及び具体例と同じである。W及びWで表されるハロゲン原子及び置換スタンニル基の定義及び具体例は、前述のU及びUで表される置換スタンニル基の定義及び具体例と同じである。W及びWで表されるモノハロゲン化メチル基とは、メチル基中の水素原子1個がハロゲン原子で置換された基を表す。
【0097】
高分子量の化合物を製造する観点からは、W及びWは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、スルホン酸残基、ホウ酸エステル残基、ジヒドロキシボリル基及び置換スタンニル基が好ましい。
【0098】
式(1−2)中のW及びWが水素原子である化合物を反応に用いる場合、酸化重合を行うことで、式(1)で表される構成単位を有する高分子化合物を製造することが出来る。酸化重合においては、通常触媒が用いられる。かかる触媒としては、公知の触媒を用いることが可能である。該触媒としては、例えば、金属ハロゲン化物、及び、金属ハロゲン化物とアミン錯体との混合物(金属ハロゲン化物/アミン錯体)が挙げられる。ここで金属ハロゲン化物としては、例えば、銅、鉄、バナジウム、クロムなどの金属の1価のハロゲン化物、2価のハロゲン化物、及び、3価のハロゲン化物が挙げられる。アミン錯体の製造に用いるアミンとしては、例えば、ピリジン、ルチジン、2−メチルイミダゾール、及び、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが挙げられる。金属ハロゲン化物/アミン錯体は溶媒中、酸素存在下で金属ハロゲン化物とアミンを混合することによって製造することが可能であり、金属ハロゲン化物とアミンの混合モル比は、例えば金属ハロゲン化物/アミン=1/0.l〜1/200、好ましくは1/0.3〜1/100程度である。
【0099】
触媒としては、塩化鉄を用いることもできる(Polym. Prep. Japan, Vol.48, 309 (1999))。さらに銅/アミン触媒系を用いる(J. Org. Chem.,64, 2264 (1999)、J. Polym. Sci. PartA, Polym. Chem., 37, 3702 (1999))ことにより、高分子化合物の分子量を高めることができる。
【0100】
酸化重合における溶媒としては、触媒が被毒を受けない溶媒であれば特に制限なく使用することができる。かかる溶媒としては、例えば、炭化水素、エーテル、アルコール類が挙げられる。ここで、該炭化水素としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタリン及びテトラリンが挙げられる。該エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル及びtert−ブチルメチルエーテルが挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及び2−メトキシエタノールが挙げられる。
【0101】
酸化重合における反応温度は、通常−100℃〜100℃、好ましくは−50〜50℃程度である。
また共重合体を製造する場合にはモノマーを2種類以上混合して重合する方法や、1種類のモノマーを重合した後に2種目のモノマーを添加する方法などが挙げられる。これらの方法を用いること、又は組み合わせることにより、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、グラフト共重合体などを製造することが可能である。
【0102】
式(1−2)で表される化合物の製法としては、式(1−3)で表される化合物とホウ素化合物との反応により製造することができる。

(式中、W、W、D’環及びE’環は、前述と同じ意味を表す。X50及びX51はハロゲン原子を表す。)
【0103】
式(1−3)中、X50及びX51で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0104】
式(1−3)で表される化合物において、そのD’環及びE’環が置換基としてハロゲン原子を有する場合、又は、W及びWのいずれかがハロゲン原子の場合には、X50及びX51で表されるハロゲン原子は、式(1−2)で表される化合物の収率を高める点からは、D’環及びE’環が有するハロゲン原子、又は、W及びWで表されるハロゲン原子よりも塩基及び金属との反応性が高いハロゲン原子が好ましい。
【0105】
式(1−2)で表される化合物の製造方法としては、例えば、式(1−3)で表される化合物を塩基と反応させた後に、式(1−4)で表されるホウ素化合物を反応させる方法が挙げられる。

(式中、Rは、前述と同じ意味を表す。X52及びX53は、それぞれ独立に、ハロゲン原子又は置換されていてもよいアルコキシ基を表す。X52及びX53が置換されていてもよいアルコキシ基である場合、これらは互いに連結して環を形成していてもよい。)
【0106】
式(1−4)中、X52及びX53で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。X52及びX53で表される置換されていてもよいアルコキシ基の具体例は、前述のRで表される置換されていてもよいアルコキシ基の具体例と同じである。
【0107】
該反応に用いられる塩基としては、例えば、リチウムヒドリド、ナトリウムヒドリド、カリウムヒドリド、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド及びカリウムヘキサメチルジシラジドが挙げられる。
【0108】
また、反応に用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどのエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシドなどのアミド類が例示され、反応に応じてこれらのなかから単一溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。
反応後は、例えば、水で反応を停止した後、有機溶媒で生成物を抽出し、溶媒を留去するなど、通常の後処理で生成物を得ることができる。生成物の単離及び精製はクロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法によっておこなうことができる。
【0109】
式(1−2)で表される化合物の一態様である化合物(C)は、例えば、化合物(B)に、ジクロロメタン中で臭素を2当量反応させることにより製造することができる。


化合物(B)は、テトラヒドロフラン(以下、THFと呼称することもある)中、化合物(A)に2当量のノルマルブチルリチウム(n−BuLi)を反応させ、その後に2,4,6−トリイソプロピルフェニルジメトキシボランを1当量反応させることにより製造することができる。
また、化合物(B)は、THF中、化合物(A)に2当量のノルマルブチルリチウム(n−BuLi)を反応させ、その後、化合物(A)に対してマグネシウムブロミドを2当量反応させ、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジメトキシボランを1当量反応させることでも製造することができる。
【0110】
式(1−2)で表される化合物の他の製法としては、式(1−5)で表される化合物を分子内でカップリングする方法が挙げられる。

(式中、R、W、W、D’環及びE’環は、前述と同じ意味を表す。X54及びX55はハロゲン原子を表す。)
【0111】
54及びX55で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。
【0112】
分子内でカップリングは、金属の存在下で行うことが好ましい。該金属としては、銅、鉄、ニッケル、亜鉛などが挙げられ、好ましくは、銅である。
分子内でのカップリングに用いる溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アミド系溶媒、スルホキシド溶媒、及び、ラクタム系溶媒が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサンが挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレンが挙げられる。アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジエチルアセトアミドが挙げられる。スルホキシド溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。ラクタム系溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドンが挙げられる。
反応後は、例えば、反応系中に水を加えて反応を停止した後、有機溶媒で生成物を抽出し、溶媒を留去するなど、通常の後処理で生成物を得ることができる。生成物の単離及び精製はクロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法によっておこなうことができる。
【0113】
式(1−5)で表される化合物は、例えば、式(1−6)で表される化合物をハロゲン化することで得ることができる。

(式中、R、W、W、D’環及びE’環は、前述と同じ意味を表す。)
【0114】
該ハロゲン化としては、臭素化、ヨウ素化等が挙げられる。
【0115】
式(1−6)で表される化合物を臭素化してX54及びX55が臭素原子である式(1−5)で表される化合物を製造する方法において、臭素化する方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、式(1−6)で表される化合物と臭素又はN−ブロモスクシンイミド(NBS)とを接触させて臭素化する方法が挙げられる。臭素化の条件は任意に設定することができるが、溶媒中でNBSと反応させる方法は、臭素化率が高く、かつ臭素原子の導入位置の選択性が高くなる観点から望ましい。該方法に使用する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などが挙げられる。反応時間は通常1分から10時間程度、反応温度は通常−50℃〜50℃程度である。使用する臭素の量は、式(1−6)で表される化合物1モルに対して1モル〜5モル程度が好ましい。反応後は、例えば、反応系中に水を加えて反応を停止した後、生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去するなどの通常の後処理を行い、X52及びX53が臭素原子である式(1−5)で表される化合物を得ることができる。生成物の単離後及び精製はクロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0116】
式(1−6)で表される化合物をヨウ素化してX54及びX55がヨウ素原子である式(1−5)で表される化合物を製造する方法において、ヨウ素化する方法としては式(1−6)で表される化合物を塩基と反応させた後にヨウ素を反応させる方法が挙げられる。該方法に用いられる塩基及び溶媒としては、前述の式(1−3)で表される化合物を塩基と反応させた後に、式(1−4)で表されるホウ素化合物と反応させる工程に用いる塩基及び溶媒と同じものが挙げられる。
【0117】
式(1−6)で表される化合物は、D’環及びE’環に対応する芳香族複素環を含有するハロゲン化物を塩基と反応させた後に、前述の式(1−4)で表される化合物と反応させることにより製造することができる。該反応に用いられる塩基及び溶媒としては、前述の式(1−3)で表される化合物を塩基と反応させた後に、式(1−4)で表されるホウ素化合物と反応させる工程に用いる塩基及び溶媒と同じものが挙げられる。
【0118】
化合物(G)は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド中、化合物(F)に5当量の銅粉を加え、100℃で過熱攪拌することにより製造することができる。

化合物(F)は、THF中、化合物(E)にn−BuLiを2当量反応させ、その後、ヨウ素を2当量反応させることにより製造することができる。
化合物(E)は、THF中、化合物(D)に2当量のノルマルブチルリチウム(n−BuLi)を反応させ、その後、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジメトキシボランを1当量反応させることにより製造することができる。
【0119】
及びWが臭素原子である式(1−2)で表される化合物を製造する方法としては、W及びWが水素原子である式(1−2)で表される化合物を臭素化してW及びWを臭素原子に変換する方法等が挙がられる。W及びWを臭素原子に変換する方法としては、公知の方法を使用することが出来るが、例えば、W及びWが水素原子である式(1−2)で表される化合物と臭素又はN−ブロモスクシンイミド(NBS)とを接触させて臭素化する方法が挙げられる。臭素化の条件は任意に設定することができるが、例えば、溶媒中でNBSと反応させる方法は、臭素化率が高く、かつ臭素原子の導入位置の選択性が高くなるために望ましい。この時に使用する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などが挙げられる。反応時間は通常1分から10時間程度、反応温度は通常−50℃〜50℃程度である。使用する臭素の量はW、Wが水素原子である式(1−2)で表される化合物1モルに対して1モル〜5モル程度が好ましい。反応後は、例えば、水を加えて反応を停止した後に生成物を有機溶媒で抽出し、溶媒を留去するなどの通常の後処理を行い、W及びWが臭素原子である式(1−2)で表される化合物を得ることができる。生成物の単離後及び精製はクロマトグラフィーによる分取や再結晶などの方法により行うことができる。
【0120】
本発明に用いることができる高分子化合物は、光吸収末端波長が長波長であることが好ましい。本発明における光吸収末端波長とは以下の方法で求められた値のことを意味する。
測定には、紫外、可視、近赤外の波長領域で動作する分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計JASCO−V670)を用いる。JASCO−V670を用いる場合、測定可能な波長範囲が200〜1500nmであるため、該波長範囲で測定を行う。まず、測定に用いる基板の吸収スペクトルを測定する。基板としては、石英基板、ガラス基板等を用いる。次いで、その基板の上に第1の化合物を含む溶液若しくは第1の化合物を含む溶融体から第1の化合物を含む薄膜を形成する。溶液からの製膜では、製膜後乾燥を行う。その後、薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルを得る。薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルと基板の吸収スペクトルとの差を、薄膜の吸収スペクトルとして得る。
【0121】
該薄膜の吸収スペクトルは、縦軸が化合物の吸光度を、横軸が波長を示す。最も大きい吸収ピークの吸光度が0.5〜2程度になるよう、薄膜の膜厚を調整することが望ましい。吸収ピークの中で一番長波長の吸収ピークの吸光度を100%とし、その50%の吸光度を含む横軸(波長軸)に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第1の点とする。その25%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第2の点とする。第1の点と第2の点とを結ぶ直線と基準線の交点を光吸収末端波長と定義する。ここで、基準線とは、最も長波長の吸収ピークにおいて、該吸収ピークの吸光度を100%とし、その10%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点の波長を基準として、基準となる波長より100nm長波長である吸収スペクトル上の第3の点と、基準となる波長より150nm長波長である吸収スペクトル上と第4の点を結んだ直線をいう。
【0122】
<光電変換素子の構成>
本発明の光電変換素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、式(1)で表される構成単位を有する化合物を含む1層以上の活性層を有する。
本発明の光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、p型の有機半導体とn型の有機半導体との有機組成物から形成される活性層を有する。式(1)で表される構成単位を有する化合物は、p型の有機半導体として用いることが好ましい。
本発明の光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
【0123】
本発明の光電変換素子の他の態様は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明に用いられる化合物を含む第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して、フラーレン誘導体等の電子受容性化合物を含む第2の活性層を含む光電変換素子である。
【0124】
前記の透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料を用いて作製された膜、NESAや、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0125】
一方の電極は透明でなくてもよく、該電極の電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又は、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0126】
光電変換効率を向上させるための手段として活性層以外の付加的な中間層を使用してもよい。中間層として用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
【0127】
<活性層>
前記活性層は、式(1)で表される構成単位を有する化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、前記活性層のホール輸送性を高めるため、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、式(1)で表される構成単位を有する化合物以外の化合物を混合して用いることもできる。なお、前記電子供与性化合物、前記電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
【0128】
前記電子供与性化合物としては、式(1)で表される構成単位を有する化合物のほか、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
【0129】
前記電子受容性化合物としては、式(1)で表される構成単位を有する化合物のほか、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2、9−ジメチル−4、7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントロリン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。
フラーレン、フラーレン誘導体としてはC60、C70、C76、C78、C84及びその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
【0130】
フラーレン誘導体としては、例えば、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物が挙げられる。

(I) (II) (III) (IV)

(式(I)〜(IV)中、Rは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基又はエステル構造を有する基である。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。Rは置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表す。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。)
【0131】
及びRで表される置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の定義及び具体例は、Rで表される置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0132】
で表されるヘテロアリール基は、例えば、チオフェンジイル基、ピリジンジイル基、フランジイル基及びピロールジイル基が挙げられる。
【0133】
で表されるエステル構造を有する基は、例えば、式(V)で表される基が挙げられる。

(V)
(式中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、Rは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【0134】
で表される置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基及びヘテロアリール基の定義及び具体例は、Rで表される置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基及びヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0135】
60の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。

【0136】
70の誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。

【0137】
また、フラーレン誘導体の例としては、[6,6]フェニル−C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]チェニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
【0138】
活性層中に式(1)で表される構成単位を有する化合物とフラーレン誘導体とを含む場合、フラーレン誘導体の割合が、該化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。
【0139】
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
【0140】
前記活性層の製造方法は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、式(1)の構成単位を有する化合物を含む溶液からの成膜や、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
【0141】
<光電変換素子の製造方法>
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に式(1)の構成単位を有する化合物と溶媒とを含む溶液(インク)を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
【0142】
本発明の光電変換素子が、式(1)で表される構成単位を有する高分子化合物を含有する場合、溶液からの成膜に用いる溶媒は、本発明に用いられる高分子化合物を溶解させるものであればよい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテルが挙げられる。本発明に用いられる高分子化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0143】
溶液を用いて成膜する場合、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、スピンコート法が好ましい。
成膜性の観点からは、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。>
【0144】
<有機薄膜トランジスタ>
本発明に用いられる化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられ、有機半導体層が上述した有機薄膜によって構成されるものである。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型、静電誘導型等が挙げられる。
【0145】
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、本発明に用いられる高分子化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0146】
本発明の有機薄膜トランジスタの一態様である静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいて、有機半導体層は、本発明に用いられる化合物を含む有機薄膜によって構成される。活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
【0147】
<素子の用途>
本発明の光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0148】
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
【0149】
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の有機薄膜太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0150】
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム 又は充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【実施例】
【0151】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0152】
参考例1
(3,3’−ジブロモ−5,5’−テトラメチルシリル−2,2’−ビチオフェン(1)の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、ヘテロサイクルズ(Heterocycles)、1991年、第32巻、第9号、p.1805に記載された方法で合成した3,3’5,5’−テトラブロモ−2,2’−ビチオフェンを5.00g(10.4mmol)、脱水テトラヒドロフランを(以下、THFと呼称することもある)100mL入れて均一溶液とした。フラスコを−78℃に冷却し、2.6Mのノルマルブチルリチウム(以下、n−BuLiと呼称することもある)のヘキサン溶液を7.98mL(20.74mmol)滴下した。反応液を−78℃で2時間攪拌し、その後、テトラメチルクロロシランを2.50g(23.0mmol)滴下した。1時間かけてフラスコを室温まで昇温し、水50mLを加えて反応を停止させた。その後、反応液に酢酸エチルを加えて反応生成物を含む有機層を抽出し、抽出した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、溶媒をエバポレーターで留去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物を展開溶媒がヘキサンであるシリカゲルカラムで精製し、得られた固体をエタノールを用いて再結晶させ、目的の3,3’−ジブロモ−5,5’−テトラメチルシリル−2,2’−ビチオフェン(1)を3.5g得た。
【0153】
H NMR:7.12(S、2H)、0.34(S、18H)
【0154】
参考例2
(化合物(2)の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した100mLフラスコに化合物(1)を0.424g(0.905mmol)、脱水THFを20mL入れて均一溶液とした。フラスコを−78℃に冷却し、2.6Mのn−BuLiのヘキサン溶液0.71mL(1.85mmol)を5分かけて滴下した。反応液を−78℃で30分攪拌後、−30℃で30分攪拌した。その後、フラスコを−78℃に冷却して無水マグネシウムブロミドを0.535g(2.91mmol)加えた。反応液を−78℃で30分攪拌した後、0℃で2時間攪拌した。その後、フラスコを−78℃に冷却し、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジメトキシボランを0.25g(0.905mmol)加えた。反応液を−78℃で30分攪拌後、0℃で7時間攪拌した。その後、反応液に水100mLを加えて反応を停止させ、反応液に酢酸エチルを加え、有機層を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。その後、エバポレーターを用いて濾液中の溶媒を留去させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=4:1(体積比))で精製して化合物(2)を281mg得た。
【0155】
H NMR:7.07(s、2H)、6.92(s、2H)、2.94(m、1H)、2.75(m、2H)、1.35(d、6H)、1.23(d、12H)、0.29(s、18H)
【0156】
参考例3
(化合物(3)の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物(2)を281mg(0.538mmol)、ジクロロメタンを10mL入れて均一溶液とした。フラスコを−30℃に冷却し、臭素100mgをジクロロメタン5mLに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下後、反応液を−10℃で1時間攪拌し、その後、0℃で2時間攪拌し、その後、20℃で4時間攪拌した。攪拌後、反応液に水50mLを加えて反応を停止させ、反応液にジクロロメタンを加え、有機層を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、エバポレーターを用いて濾液中の溶媒を留去させた。残った固体をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=9:1(体積比))で精製し、目的の化合物(3)を132mg(0.246mmol)得た。
【0157】
H NMR:7.07(s、2H)、6.64(s、2H)、1.22(s、18H)
【0158】
実施例1
(重合体(A)の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物(3)を69mg(0.129mmol)、化合物(4)(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(Aldrich社製)を50mg(0.129mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、Aldrich社製)を35mg加え、トルエン10mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、酢酸パラジウムを0.43mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)を2.38mg、16.7重量(wt)%の炭酸ナトリウム水溶液を1mL加え、100℃で8時間攪拌を行った。その後、反応液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1gと水10mLとを加え、還流下で2時間攪拌を行った。反応終了後、反応液を室温(25℃)付近まで冷却した後、得られた反応液を静置し、分液したトルエン層を回収した。該トルエン層を水10mLで2回、3重量%の酢酸水10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られたトルエン層をメタノール中に注ぎ込み、析出した沈殿物を回収した。該沈殿物を減圧乾燥させた後、クロロホルムに溶解させた。次に、得られた液を濾過し、不溶物を除去した後、アルミナカラムに通し、精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、沈殿させ、生成した沈殿を回収した。該沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥させ、重合体25mgを得た。以下、この重合体を重合体(A)と呼称する。
【0159】
(実施例2)
(有機薄膜のイオン化ポテンシャルの測定)
重合体Aを1.0重量%の濃度でo−ジクロロベンゼンに溶解させ、塗布溶液を作製した。得られた塗布溶液をガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。塗布操作は23℃で行った。その後、大気下、120℃で5分間ベークし、膜厚約70nmの有機薄膜を得た。大気中光電子分光装置(理研計器製、AC-2)を用いて得られた有機薄膜のイオン化ポテンシャルを測定したところ、イオン化ポテンシャルは、5.2eVであった。
重合体Aのイオン化ポテンシャルが高いため、重合体Aを活性層に含む有機光電変換素子は、開放端電圧が高くなる。
【0160】
参考例4
(化合物(6)の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物(5)を1.78g(10.0mmol)、2−エチルヘキシルブロミドを5.83g(25.0mmol)、ヨウ化カリウムを41.5mg(0.25mmol)、水酸化カリウムを1.68g(30.0mmol)入れ、ジメチルスルホキシド35mLに溶解させ、室温(25℃)で24時間攪拌した。反応後、反応液に水100mLを加え、さらにヘキサンを加えて生成物を含む有機層を抽出し、展開溶媒がヘキサンであるシリカゲルカラムで精製を行い、化合物(6)を2.61g得た。
【0161】
参考例5
(化合物(7)の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物(6)を1.31g(3.25mmol)、ジメチルホルムアミド(DMF)を25mL加え、フラスコを0℃に冷却し、N−ブロモスクシンイミド(NBS)を1.21g加え、12時間攪拌した。反応液中に水100mLを入れて反応を停止させ、反応液にジエチルエーテルを加えて生成物を含む有機層を抽出した。展開溶媒がヘキサンであるシリカゲルカラムで精製を行い、化合物(7)を1.70g得た。
【0162】
参考例6
(重合体Bの合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物(7)を561mg(1.00mmol)、化合物(4)を388.1mg(1.00mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、Aldrich社製)を202mg加え、トルエン20mlに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、反応液に酢酸パラジウムを2.25mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)を12.3mg、16.7重量%の炭酸ナトリウム水溶液を6.5mL加え、100℃で5時間攪拌を行った。その後、反応液にフェニルホウ酸50mgを加え、さらに70℃で2時間反応させた。その後、反応液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水20mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水20mlで2回洗浄し、次いで、3重量%の酢酸水溶液20mLで2回洗浄し、さらに水20mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーを濾過後、乾燥させ、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン30mLに再度溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体280mgを得た。以下、この重合体を重合体Bと呼称する。
【0163】
比較例1
(有機薄膜のイオン化ポテンシャルの測定)
重合体Bを1.0重量%の濃度でo−ジクロロベンゼンに溶解させ、塗布溶液を作製した。得られた塗布溶液をガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。塗布操作は23℃で行った。その後、大気下、120℃で5分間ベークし、膜厚約100nmの有機薄膜を得た。大気中光電子分光装置(理研計器製AC-2)を用いて得られた有機薄膜のイオン化ポテンシャルを測定したところ、イオン化ポテンシャルは、5.0eVであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層に式(1)で表される構成単位を含む有機化合物を含有する光電変換素子。

(1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。D環及びE環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【請求項2】
有機化合物が、さらに式(A−1)で表される構成単位、式(B−1)で表される構成単位、式(C−1)で表される構成単位、式(D−1)で表される構成単位及び式(E−1)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含有する請求項1に記載の光電変換素子。

(式(A−1)〜(E−1)中、Qは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20とR21は、連結して環状構造を形成してもよい。G環〜N環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【請求項3】
D環及びE環の少なくとも一方が置換基を有していてもよい芳香族複素環である請求項1又は2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
D環及びE環の少なくとも一方がチオフェン環である請求項3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子を含む太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子を含むイメージセンサー。
【請求項7】
ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、活性層とを有し、該活性層に式(1)で表される構成単位を含む有機化合物を含有する有機薄膜トランジスタ。

(1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。D環及びE環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【請求項8】
式(1−1)

(1−1)
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。D’’環及びE’’環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいチオフェン環を表す。)
で表される構成単位を含み、かつ、式(A−1)で表される構成単位、式(B−1)で表される構成単位、式(C−1)で表される構成単位、式(D−1)で表される構成単位及び式(E−1)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物。

(式(A−1)〜(E−1)中、Qは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R30)−又は−CR31=CR32−を表す。R30、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R20とR21は、連結して環状構造を形成してもよい。G環〜N環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【請求項9】
式(1−2)で表される化合物。

(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。D’環及びE’環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。W及びWは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホン酸残基、ホウ酸エステル残基、モノハロゲン化メチル基、ジヒドロキシボリル基、ホルミル基、ビニル基又は置換スタンニル基を表す。)
【請求項10】
D’環及びE’環の少なくとも一方がチオフェン環である請求項9記載の化合物。

【公開番号】特開2013−4722(P2013−4722A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134140(P2011−134140)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】