説明

光電変換装置、および生体情報取得装置

【課題】部材の追加や複雑な受光量調節を実施することなく、光量むらを補正することができる光電変換装置、および生体情報取得装置を提供すること。
【解決手段】本適用例の光電変換装置は、被写体に光を照射することにより被写体の情報を取得する光電変換装置であって、被写体に光を照射する光源部と、被写体に光源部からの光を照射することにより被写体を透過する透過光、又は被写体から反射する反射光を受光する複数の受光画素50と、受光画素50に設けられた受光面積の異なる複数の受光部と、を有し、複数の受光部のうち少なくとも1つを選択し、受光することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置および当該光電変換装置を備えた生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、正規使用者を認証するために、正規使用者の指紋、虹彩又は静脈パターンなどの生体情報を利用する生体認証が行われている。そして、生体認証を行うために、種々の生体情報取得装置が利用されている。
これら生体情報取得装置の中には、光を照射する光源部と、光を受光する受光素子とを備えるものが知られている。そして、光源部からの光を生体に照射し、生体からの光を受光することにより、これら受光した光を電気信号に変換し、これにより生体情報を得ることができる。
携帯端末やパソコンなどの認証を必要とする機器が身の回りにあふれるようになった今日においては、大掛かりで消費電力の大きな生体情報取得装置は敬遠されてきている。
その一方で、セキュリティー意識の高まりにより、認証の精度は益々高いものが要求されており、取得する生体情報の精度を向上させることも求められている。
【0003】
例えば、指の静脈パターンを生体情報として利用する従来の認証装置の構成では、指の透過率の影響により、光源に近い領域で光量が多く、光源から遠い領域で光量が少なくなり、画像の光量分布にむらが生じてしまうという問題がある。そこで、特許文献1では、撮像素子の画素の開口面積などの受光条件を変えることで、撮像素子からの信号のシェーディングを補正している。また、特許文献2では、光源と撮像素子との間に、光源に近い領域よりも遠い領域において透過率が高くなっている透過率分布フィルターを設けるようにして、補正を行っているため、複雑な光量調節を行う必要がないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−13804号公報
【特許文献2】特開2009−17943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2の生体情報取得装置では、取得された画像の光量むらの補正方法が画一的であり、光量むらが変化した際の補正が不十分になるという問題がある。換言すれば、受光量の調整幅が不十分であるという課題がある。また、上記特許文献2の生体情報取得装置では、透過率分光フィルターなどの部材を追加するため、小型、薄型化が困難になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る光電変換装置は、被写体に光を照射することにより前記被写体の情報を取得する光電変換装置であって、前記被写体に光を照射する光源部と、
前記被写体に前記光源部からの前記光を照射することにより前記被写体を透過する透過光、又は前記被写体から反射する反射光を受光する複数の受光画素と、前記受光画素に設けられた受光面積の異なる複数の受光部と、を有し、前記複数の受光部のうち少なくとも1つを選択し、受光することを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、複数の受光画素にて、使用する受光部を選択することで、複数の受光画素によって受光された光の光強度を全体として均一にすることができるため、光源部からの位置によることなく、複数の受光画素にわたって光強度をほぼ等しくすることができる。つまり、開口面積や透過率が固定されていた従来の光電変換装置よりも、受光量の調整幅を広げることができる。
さらに、受光画素に受光面積の異なる複数の受光部を形成する構成としたことにより、別部材(透過率分布フィルター)が必要であった従来の構成よりも、小型かつ薄型化を図ることができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記受光画素には、3個以上の受光部が設けられていることが好ましい。
【0010】
本適用例によれば、複数の受光画素にて、使用する受光部を3個以上の受光部から選択することで、複数の受光画素によって受光された光の光強度を全体として均一にすることができるため、光源部からの位置によることなく、複数の受光画素に亘って光強度をほぼ等しくすることができる。調整幅をより広げることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記受光部の面積は、段階的に変化していることが好ましい。
【0012】
[適用例4]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記受光部の面積は、2次関数的に変化していることが好ましい。
これらの適用例によれば、光源部と被写体との相対的な位置関係に起因する光強度むらに対応させて受光部の面積を設定し、複数の受光画素に亘って光強度をほぼ等しくすることができる。
【0013】
[適用例5]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記光源部は、近赤外の波長領域の光を発することが好ましい。
【0014】
本適用例によれば、外光に影響されずに被写体の情報、例えば、静脈パターン等の生体情報を取得することができる。
【0015】
[適用例6]上記適用例に記載の光電変換装置を備えたことを特徴とする生体情報取得装置。
【0016】
本適用例によれば、受光量の調整幅の広い受光画素(フォトセンサー)を有する光電変換装置(イメージセンサー)を搭載した生体情報取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)はイメージセンサーの電気的な構成を示す概略配線図、(b)は光電変換素子としてのフォトセンサーを示す等価回路図。
【図2】本実施形態のフォトセンサーの構成を示す概略平面図。
【図3】図2のA−A’線で切ったフォトセンサーの構造を示す概略断面図。
【図4】従来例のイメージセンサーにおけるフォトセンサーの構成を示す概略平面図。
【図5】(a)は従来のイメージセンサーを用いて撮像した際の画像を表す図、(b)は(a)のB−B’線での光量分布を表す図。
【図6】本実施形態に係るイメージセンサーの光量むらの補正方法を示す図。
【図7】変形例1のイメージセンサーに係る光量むらの補正方法を示す図。
【図8】(a)は生体情報取得装置を示す概略斜視図、(b)は生体情報取得装置の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0019】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0020】
本実施形態では、光電変換装置の例としてイメージセンサーを挙げると共に、このイメージセンサーを適用した生体情報取得装置を例に挙げて説明する。
【0021】
(実施形態1)
<光電変換装置;イメージセンサー>
まず、本実施形態の光電変換装置としてのイメージセンサーについて、図1〜図3を参照して説明する。
【0022】
図1(a)はイメージセンサーの電気的な構成を示す概略配線図、同図(b)は光電変換素子としてのフォトセンサーを示す等価回路図である。図2は本実施形態のフォトセンサーの配置を示す概略平面図である。図3は図2のA−A’線で切ったフォトセンサーの構造を示す概略断面図である。
【0023】
図1(a)に示すように、本実施形態の光電変換装置としてのイメージセンサー100は、素子領域Fにおいて互いに交差して延在する走査線3aとデータ線6とを有している。また、複数の走査線3aが電気的に接続された走査線回路102と、複数のデータ線6が電気的に接続されたデータ線回路101とを有している。そして、走査線3aとデータ線6の交差点付近に対応して設けられ、素子領域Fにおいてマトリックス状に配置された複数の受光部としてのフォトセンサー50とを有している。
【0024】
図1(b)に示すように、フォトセンサー50は、薄膜トランジスター(TFT)10と、フォトダイオード20と、保持容量30とを含んで構成されている。TFT10のゲート電極は走査線3aに接続され、TFT10のソース電極はデータ線6に接続されている。フォトダイオード20の一方はTFT10のドレイン電極に接続され、他方はデータ線6と並行して設けられた定電位線12に接続されている。保持容量30の一方の電極はTFT10のドレイン電極に接続され、他方の電極は走査線3aと並行して設けられた定電位線3bに接続されている。
【0025】
図2に示すように、本実施形態のイメージセンサー100は、4つのフォトセンサー50a,50b,50c,50dにより1つの受光画素50Eが構成されているものである。フォトセンサー50a,50b,50c,50dは、走査線3aとデータ線6とによって平面的に区切られた領域に設けられた、ほぼ正方形の第1電極21およびコンタクトホールCNT1を有している。第1電極21は、コンタクトホールCNT1を介して前述したTFT10に接続されている。平面的にコンタクトホールCNT1を除く第1電極21と重なる部分にそれぞれ受光領域が設けられている。4つのフォトセンサー50a,50b,50c,50dにおける受光領域の面積は段階的に変化しており、50a>50b>50c>50dの大小関係が成り立っている。より具体的には、フォトセンサー50aの受光面積を1とすると、1>0.65>0.25>0.05となっている。
【0026】
図3に示すように、フォトセンサー50a(50)は、例えば透明なガラスや不透明なシリコンなどの基板1上に形成されている。
基板1上には、基板1の表面を覆うように絶縁膜1aが形成され、絶縁膜1a上に例えば多結晶シリコンの半導体層2が島状に形成されている。半導体層2を覆って例えばSiO2(酸化シリコン)などの絶縁材料によってゲート絶縁膜3が形成されている。
ゲート絶縁膜3上において、半導体層2のチャネル領域2cに対向する位置にゲート電極3gが形成されている。ゲート電極3gは、図1に示した走査線3aに電気的に接続されており、例えばAl(アルミニウム)などの金属材料を用いて形成されている。
【0027】
ゲート電極3gおよびゲート絶縁膜3を覆って層間絶縁膜4が形成されている。半導体層2のドレイン領域2dと、ソース領域2sとを覆うゲート絶縁膜3および層間絶縁膜4の部分に貫通孔が形成される。これらの貫通孔を埋めると共に層間絶縁膜4を覆うように例えばAlなどの金属材料からなる導電膜が成膜され、当該導電膜をパターニングすることにより、コンタクトホールCNT2,CNT3、ドレイン電極5d、ソース電極5s、データ線6が形成される。ソース電極5sはコンタクトホールCNT2を介して半導体層2のソース領域2sに接続され、さらにデータ線6とも接続されている。ドレイン電極5dはコンタクトホールCNT3を介して半導体層2のドレイン領域2dに接続されている。
【0028】
ドレイン電極5d、ソース電極5s、データ線6および層間絶縁膜4を覆って絶縁膜7が形成され、さらに絶縁膜7を覆う平坦化層8が形成されている。平坦化層8は例えばSiO2(酸化シリコン)を用いて形成され、絶縁膜7はSiO2よりも緻密なSiN(窒化シリコン)を用いて形成されている。
絶縁膜7および平坦化層8のドレイン電極5dと重なる部分に貫通孔が形成され、当該貫通孔を覆うと共に、平坦化層8を覆うように、例えばAl(アルミニウム)などの金属材料からなる導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT1と、第1電極21とが形成される。第1電極21はコンタクトホールCNT1を介してドレイン電極5dと電気的に接続される。
【0029】
第1電極21上には、光電変換部26がコンタクトホールCNT1を避けるようにパターニング形成され、光電変換部26の側壁および外縁部を覆うと共に、第1電極21および平坦化層8を覆う絶縁膜9が形成される。絶縁膜9は絶縁膜7と同じくSiN(窒化シリコン)を用いて形成されている。
【0030】
絶縁膜9の表面と、絶縁膜9によって覆われていない光電変換部26の表面と、を覆う第2電極22が形成されている。第2電極22は、透光性を有する例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの導電膜からなり、図1(b)の定電位線12を兼ねるものである。
【0031】
第1電極21および第2電極22と、これらの電極間に挟まれた光電変換部26とによりフォトダイオード20が構成されており、絶縁膜9によって覆われていない光電変換部26の領域が受光領域となっている。
【0032】
光電変換部26としては、例えば光エネルギーを電気エネルギーに変換するPINフォトダイオードが挙げられる。PINフォトダイオードは、第1電極21上に形成されたN層と、N層上に積層されたI層と、I層上に積層されたP層とにより形成されている。N層、I層、およびP層は、それぞれアモルファスシリコンやマイクロクリスタルシリコン等の半導体により形成されている。P層には,ホウ素等の不純物が、N層にはリン等の不純物がそれぞれドープされている。
【0033】
本実施形態において、基板1上に設けられた回路部とは、図1(a)および(b)に示した、走査線3a、データ線6、定電位線3b,12およびこれらの配線に接続したTFT10、保持容量30、ならびにデータ線回路101、走査線回路102を含むものである。なお、データ線6が接続されるデータ線回路101と、走査線3aが接続される走査線回路102とは、それぞれ集積回路として別途基板1に外付けすることも可能である。
【0034】
このようなイメージセンサー100によれば、定電位線3b,12によってフォトダイオード20に逆方向バイアスを印加した状態で、フォトダイオード20に光が入射すると、フォトダイオード20に光電流が流れ、それに応じた電荷が保持容量30に蓄積される。
【0035】
また、複数の走査線3aのそれぞれによって複数のTFT10をON(選択)させることで、データ線6には、各フォトセンサー50が備える保持容量30に蓄積された電荷に対応する信号が順次出力される。したがって、素子領域Fにおいてそれぞれのフォトセンサー50が受光した光の強度をそれぞれ検出することができる。
【0036】
<生体情報取得装置>
次に、本実施形態の生体情報取得装置について図8を参照して説明する。図8(a)は生体情報取得装置を示す概略斜視図、同図(b)は概略断面図である。
【0037】
図8(a)および(b)に示すように、本実施形態の生体情報取得装置500は、指の静脈パターンを光検出(撮像)して、予め登録された個人ごとの静脈パターンと比較することで、生体情報取得装置500にかざされた指を持つ個人を特定して認証する装置である。
具体的には、かざされた指を所定の場所に配置する溝を有した被写体受け部502と、上記実施形態の光電変換装置としてのイメージセンサー100が取り付けられた撮像部504と、被写体受け部502と撮像部504との間に配置されたマイクロレンズアレイ503と、を備えている。
被写体受け部502には、溝に沿って両側に複数配置された光源501が内蔵されている。光源501は、外光に影響されずに静脈パターンを撮像するため、可視光以外の近赤外光を射出する例えば発光ダイオード(LED)やEL素子などが用いられている。
【0038】
光源501によって指の中の静脈パターンが照明され、その映像光がマイクロレンズアレイ503に設けられたマイクロレンズ503aによってイメージセンサー100に向けて集光される。
【0039】
このような生体情報取得装置500によれば、近赤外光を高感度に受光して、照明された静脈パターンを映像パターンとして高感度に出力可能なイメージセンサー100を備えているので、確実に生体(人体)を認証することができる。
【0040】
次に、イメージセンサー100を備えた生体情報取得装置500の生体認証における具体的な光量むらの補正方法について、従来のイメージセンサーを用いた場合と比較して説明する。
図4は従来のイメージセンサーにおけるフォトセンサーの受光画素の構成を示す概略平面図、図5(a)は従来のイメージセンサーを用いて撮像した際の画像を表す図、同(b)は(a)のB−B’(x方向)における光量分布を示すものである。なお、従来のイメージセンサーにおいて上記実施形態のイメージセンサー100と同じ構成には同じ符号を付して詳細の説明は省略する。
【0041】
図4に示すように、従来のイメージセンサー300は、マトリックス状に配置された同じ受光面積を有する複数のフォトセンサー50aを備えている。フォトセンサー50aは、走査線3aとデータ線6とによって平面的に区切られた領域に設けられた、ほぼ正方形の第1電極21およびコンタクトホールCNT1を有している。第1電極21は、コンタクトホールCNT1を介して前述したTFT10に接続されている。平面的にコンタクトホールCNT1を除く第1電極21と重なる部分に受光領域が設けられている。そして、1つのフォトセンサー50aが1つの受光画素50Fを構成している。
【0042】
このような従来のイメージセンサー300では、生体へ照射された光は、生体の透過率の影響によって、光源501に近い領域では光量が多く、光源501から遠い領域では光量が少なくなり、受光面積が均一なフォトセンサー50aを用いると、中央部のセンサー信号レベルが他の部分に比べて低くなる。このため、従来のイメージセンサー300を上記生体情報取得装置500に用いた場合には光量分布が中央部になるほど暗くなるので、センサー信号の出力が落ち、図5(b)に示すような光量むらが発生する。
【0043】
このように、指の形状や位置、又は光源の輝度むらや照明環境等による画像信号のひずみを光量むらという。本実施形態では、後に記述するように、イメージセンサー100の受光画素50Eにおいて複数の受光部としてのフォトセンサー50a,50b,50c,50dを光量むらに対応させて選択的に使用することで光量むらの補正を行っている。
【0044】
図6は、光量むらの補正方法を示す概念図である。図6において、光量むら補正例1および光量むら補正例2を示す。
【0045】
図6を参照しながら、光量むらの補正例1の方法を説明する。また、この説明では、1つの受光画素内に受光面積の異なる受光部(フォトセンサー)が4種類ある場合を例に挙げて説明する。図6の光量むら補正例1に示す光量むら発生状況<補正前>は、イメージセンサー100内の全受光画素50Eにて受光した際のセンサー受光量の面内分布である。このセンサー受光量に応じて4つの領域に分割する。領域分割の方法は、以降に説明する。1受光画素50Eあたりの最大受光量の値をmaxとした場合に、maxを4分の1にした値を閾値zとし、イメージセンサー100内の光量分布をmax−z、max−2z、max−3zの値で4分割する。4分割した領域にて使用する受光画素50E内のフォトセンサー(受光部)50a,50b,50c,50dを受光量に応じて限定する。例えば、イメージセンサー100の端部の受光量が最も多い領域では、受光面積が最も小さいフォトセンサー(受光部)50dを使用し、イメージセンサー100の中央付近の受光量が最も小さい領域に行くに従って、フォトセンサー(受光部)50c、フォトセンサー(受光部)50b、フォトセンサー(受光部)50aと段階的に受光面積の大きいフォトセンサー(受光部)50を使用する。このようにイメージセンサー100内にて使用するフォトセンサー(受光部)50を領域ごとに限定することで、光量むらを補正する。
【0046】
次に、図6にある光量むらの補正例2のように光量むらの発生状況が変わった場合の補正方法を説明する。図6の光量むら補正例2に示す光量むら発生状況<補正前>は、図6の補正例1の光量むら発生状況<補正前>と比較して、光源501近辺での光量減衰幅が大きい分布となる。このような場合においてもイメージセンサー100内のセンサー受光量に応じて4つの領域に分割し、使用するフォトセンサー(受光部)50を受光量に応じて限定することで、光量むらを補正することができる。例えば、光源501に近いイメージセンサー100の端部の受光量が最も多い領域では、受光面積が最も小さいフォトセンサー(受光部)50dを使用し、光源501から遠ざかるに伴い受光量が小さい領域に行くに従って、フォトセンサー(受光部)50c、フォトセンサー(受光部)50b、フォトセンサー(受光部)50aと段階的に受光面積が大きいフォトセンサー(受光部)50を使用する。このようにイメージセンサー100内にて使用するフォトセンサー(受光部)50を領域ごとに限定することで、光量むらを補正する。
【0047】
図6では、イメージセンサー100の中央部から左端部側へと受光面積が小さいフォトセンサー(受光部)50を使用した場合のイメージセンサー100の左半分を示しているが、イメージセンサー100の右半分も同様に中央部から右端部側へと受光面積が小さいフォトセンサー(受光部)を使用している。なお、図6に示した光量むらの補正方法は、図5(b)のB−B’方向に関する補正方法を示したが、イメージセンサー100面内においてB−B’方向と垂直な方向の光量むらに対しても同様に光量むらに合わせて、中央部では受光面積が最も大きいフォトセンサー(受光部)50aを使用し、周辺部に行くに従って受光面積が小さいフォトセンサー(受光部)50を使用することで補正することができる。
【0048】
このように指の形状や位置、又は光源の輝度むらや照明環境等による光量むらをイメージセンサー100内にて使用するフォトセンサー(受光部)50を限定することで、複雑な撮像条件、駆動タイミングの変更や補正アルゴリズムを使うことなく、また、受光画素の開口面積を画一的に変えたり、透過率分布フィルターを追加することなく、光量むらの補正を行うことができる。
【0049】
以上述べたように、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100によれば、複数の受光画素50Eにて、使用するフォトセンサー(受光部)50を光量むらに応じて選択することで、複数の受光画素50Eによって受光された光の光強度を全体として均一にすることができるため、光源501からの位置によることなく、複数の受光画素50Eにわたって光強度をほぼ等しくすることができる。つまり、開口面積や透過率が固定されていた従来の光電変換装置よりも、受光量の調整幅を広げることができる。
さらに、受光画素50Eに受光面積が異なる複数のフォトセンサー(受光部)50a,50b,50c,50dを設ける構成としたことにより、別部材(透過率分布フィルター)が必要であった従来の構成よりも、小型かつ薄型化を図ることができる。
【0050】
上記実施形態のイメージセンサー100における光量むらは、図5(b)に示すように2次関数的な分布を示す。こうした光量むらを補正するには、受光部の面積が2次関数的に変化している受光部を選択使用することにより、効率的に光量むらを補正することができる。
【0051】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0052】
(変形例1)上記実施形態の生体情報取得装置500における光源501の配置は、これに限定されない。図7は、光源の配置を変更した際の光量むらの補正方法を示す概略図図である。図7において、光源配置の変更例1および変更例2を示す。
上記実施形態では、図5のように、イメージセンサー100の両端に光源501を配置した構成にて説明したが、この構成に限定されるものではない。なお、上記実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0053】
図7を参照しながら、光源配置の変更例1を説明する。図7における光源配置の変更例1では、イメージセンサー100の片側に光源501を配置した構成であり、その光量むらの補正方法を説明する。また、この説明では、1受光画素内に受光面積の異なる受光部が4種類ある場合を例に挙げて説明する。図7の光源配置の変更例1に示す光量むら発生状況<補正前>は、図7における光量むら面内分布<補正前>のC−C’方向での発生状況であり、図5(a)の光量むら発生状況と異なり、イメージセンサー100の中心に対して非対称な分布となる。このような場合においてもイメージセンサー100内のセンサー受光量に応じて4つの領域に分割し、使用するフォトセンサー(受光部)50を受光量に応じて限定することで、光量むらを補正することができる。例えば、光源501に近いイメージセンサー100の端部の受光量が最も多い領域では、受光面積が最も小さいフォトセンサー(受光部)50dを使用し、光源501から遠ざかるに伴い受光量が小さい領域に行くに従って、フォトセンサー(受光部)50c、フォトセンサー(受光部)50b、フォトセンサー(受光部)50aと段階的に受光面積が大きいフォトセンサー(受光部)50を使用する。このようにイメージセンサー100内にて使用するフォトセンサー(受光部)50を領域ごとに限定することで、光量むらを補正する。
【0054】
次に、図7を参照しながら、光源配置の変更例2を説明する。図7における光源配置の変更例2では、イメージセンサー100の表面上方向に光源501を配置した構成であり、その光量むらの補正方法を説明する。図7の光源配置の変更例2に示す光量むら発生状況<補正前>は、図7における光量むら面内分布<補正前>のD−D’方向での発生状況であり、図5(a)の光量むら発生状況と異なり、イメージセンサー100の中心で光量が最大になり、対称な分布となる。このような場合においてもイメージセンサー100内のセンサー受光量に応じて4つの領域に分割し、使用するフォトセンサー(受光部)50を受光量に応じて限定することで、光量むらを補正することができる。例えば、光源501に近いイメージセンサー100の中心部の受光量が最も多い領域では、受光面積が最も小さいフォトセンサー(受光部)50dを使用し、光源501から遠ざかるに伴い受光量が小さい領域に行くに従って、フォトセンサー(受光部)50c、フォトセンサー(受光部)50b、フォトセンサー(受光部)50aと段階的に受光面積が大きいフォトセンサー(受光部)50を使用する。このような場合においてもイメージセンサー100内のセンサー受光量に応じて4つの領域に分割し、使用するフォトセンサー(受光部)50を受光量に応じて限定することで、光量むらを補正することができる。
【0055】
(変形例2)
上記実施形態のフォトセンサー50a,50b,50c,50dにおける受光領域の平面的な形状は、これに限定されない。例えば、円形や楕円形、三角形、四角形、五角形などの多角形でもよい。
【0056】
(変形例3)
上記実施形態のイメージセンサー100が搭載される生体情報取得装置は、生体情報取得装置500に限定されない。例えば、指紋や眼球の虹彩を撮像する生体情報取得装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…基板、3a…走査線、6…データ線、10…TFT、20…光電変換素子としてのフォトダイオード、26…光電変換部、50,50a,50b,50c,50d…フォトセンサー、100…光電変換装置としてのイメージセンサー、500…生体情報取得装置、501…光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に光を照射することにより前記被写体の情報を取得する光電変換装置であって、
前記被写体に光を照射する光源部と、
前記被写体に前記光源部からの前記光を照射することにより前記被写体を透過する透過光、又は前記被写体から反射する反射光を受光する複数の受光画素と、
前記受光画素に設けられた受光面積の異なる複数の受光部と、を有し、
前記複数の受光部のうち少なくとも1つを選択し、受光することを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記受光画素は、3個以上の前記受光部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記受光部の面積は、段階的に変化していることを特徴とする、請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記受光部の面積は、2次関数的に変化していることを特徴とする、請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記光源部は、近赤外の波長領域の光を発することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置を備えたことを特徴とする生体情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図5】
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【図7】
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