説明

光電変換装置およびその製造方法

【課題】光の吸収効率の向上、および製造費用の低減化を図ることができる光電変換装置の提供。
【解決手段】本発明は、単結晶シリコン基板1の受光面に形成させた受光穴3を備え、その受光穴3は、2つの底面81、82を有する底部を含む。そして、受光穴3の最小深さ、受光穴3の開口の最大長、およびその底部の底面81、82の傾斜角度は、受光穴3内への入射光が受光穴3内で少なくとも2回反射するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンなどからなる光電変換装置、およびこの光電変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光電変換装置としては、例えば特許文献1に記載の光起電力素子が知られている。
この光起電力素子は、受光面に多数の光閉じ込め溝が一定のピッチで形成されている。その光閉じ込め溝は、その断面形状が、一対の垂直側壁によって挟まれた上部の矩形領域と、一対の傾斜底壁によって挟まれた下部のくさび領域と、から構成されている。
【0003】
このような構成からなる光起電力素子は、以下のように製造する。すなわち、まず光閉じ込め溝の上部側の矩形領域はドライエッチングで形成し、その後、光閉じ込め溝の下部側のくさび領域はウエットエッチングで形成する。
このように従来の光起電力素子は光閉じ込め溝を採用するが、光閉じ込め溝では光吸収率は必ずしも十分ではないと考えられる。また、従来の光起電力素子は、その製造に際してドライエッチングを採用するので、製造費用(製造コスト)が高くなってしまうという課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−46227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の幾つかの態様の目的は、光の吸収効率の向上を図ることができる上に、製造費用の低減化を図ることができる光電変換装置、およびその光電変換装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、本発明は、以下のように構成される。
本発明の態様の1つは、単結晶シリコンを使用した光電変換装置であって、前記単結晶シリコンの受光面に形成させた受光穴を備え、前記受光穴は、傾斜面を有する底部を含み、前記受光穴の最小深さ、前記受光穴の開口の最大長、および前記底部の傾斜面の傾斜角度は、前記受光穴内への入射光が受光穴内で少なくとも2回反射する関係を満たすように設定されている。
このような構成によれば、受光穴への入射光を、その受光穴の内面において少なくとも2回反射させることが可能となり、受光穴における光の吸収効率の向上を図ることが可能となる。
【0007】
前記受光穴は、4つの側壁で囲まれた側壁部と、前記側壁部に続いて形成され2つの底面からなる底部と、を含み、前記側壁部の最短長y1、前記受光穴の開口の最大長x、および前記底面のそれぞれの傾斜角度θは、y1>x/tanθを満たすように設定されている。
このような構成によれば、受光穴への入射光を、その受光穴の壁面や底面において少なくとも2回反射させることができ、受光穴における光の吸収効率の向上を図ることができる。
【0008】
また、前記単結晶シリコンは単結晶シリコン基板からなり、前記単結晶シリコン基板の受光面に前記受光穴を複数個形成させ、前記複数個の受光穴は、前記単結晶シリコン基板の受光面上に高密度に配置させた。
このような構成によれば、光の吸収効率の良い受光穴を有効に活用できるので、光電変換装置の変換効率を格段に向上できる。
【0009】
さらに、本発明の他の態様は、単結晶シリコンを使用した光電変換装置の製造方法であって、面方位が(110)面の単結晶シリコン基板の受光穴を形成すべき位置にレーザ光を照射して、所定の深さを有する変質部を形成する第1の工程と、前記変質部に対して異方性エッチングを行い、前記単結晶シリコン基板に所定の深さの受光穴を形成する第2の工程と、前記単結晶シリコン基板の所定位置に電極を形成する第3の工程と、を備えている。
このような方法によれば、従来のようにドライエッチングを使用せずに製造することが可能となり、製造費用の低減化を図ることができる。
【0010】
前記第2の工程で形成される受光穴は、4つの側壁で囲まれた側壁部と、前記側壁部に続いて形成され2つの底面からなる底部と、を含み、前記側壁部の最短長y1、前記受光穴の開口の最大長x、および前記底面のそれぞれの傾斜角度θは、y1>x/tanθを満たすようにした。
このような方法によれば、光の吸収効率の良い受光穴を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の光電変換装置の実施形態の構成を示す平面図である。
【図2】図1のX−X線の断面図である。
【図3】受光穴の構成を示す斜視図である。
【図4】その受光穴の平面図である。
【図5】図4の最大長さ方向(−βとβ方向)の断面図である。
【図6】入射光が少なくとも2回反射するための受光穴を特定するための説明図である。
【図7】受光穴の最大長の一例と、その最大長に応じた各部の長さの一例を示す図である。
【図8】受光穴への入射光の反射を説明する説明図である。
【図9】本発明の光電変換装置の製造方法の実施形態の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(光電変換装置の実施形態)
図1は、本発明の光電変換装置の実施形態の構成を示す平面図である。図2は図1のX−X線の断面図である。
この実施形態に係る光電変換装置は、例えば太陽電池に適用されるものであり、図1に示すように、単結晶シリコン基板1の受光面2のX方向およびY方向に、微細な複数個の受光穴3がそれぞれ配列されている。この例では、受光穴3は、X方向にピッチp1で配列され、かつ、Y方向にピッチp2で配列されている。
ここで、単結晶シリコン基板1は、例えば面方位が(110)の単結晶シリコン基板からなる。
【0013】
そして、複数個の受光穴3は、そのサイズが微細であって、単結晶シリコン基板1の表面である受光面2上に高密度、すなわち、単位面積当たりの開口面積が最大となるように配置させるのが好ましい。これは、光電変換装置の全体の光の吸収効率を高めるためである。
単結晶シリコン基板1の受光面2と受光穴3の内周面には、光を透過し導電性の透明電極膜4がそれぞれ形成されている。透明電極膜4は所定の厚さからなる。また、透明電極膜4の材料としては、SnO、IN、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnOなどが使用される。
そして、単結晶シリコン基板1の裏面5には、導電性の金属電極膜6が形成されている。金属電極膜6は所定の厚さからなる。金属電極膜6の材料としては、Al、Au、Ag、Ti、Mo、Ptなどが使用される。
【0014】
次に、受光穴3の構成について、図3〜図5などを参照して説明する。
ここで、図3は、受光穴3の構成を示す斜視図である。
図4は、図3の平面図を示す。また、図4には、底面61のD−D’線、E−E’線、F−F’線における長さ(片側のみ表示)をそれぞれ示す。さらに、図4には、底面61のA−A’線、B−B’線、C−C’線における受光穴3の深さをそれぞれ示す。
【0015】
図5は、図4の最大長さ方向の断面図である。
受光穴3は、図3、図4に示すように、例えば4つの側壁71〜74と、2つの底面81、82とで形成されている。すなわち、受光穴3は、垂直に延びる4つの側壁71〜74で囲まれた側壁部と、この側壁部に続いて形成され傾斜状の2つの底面81、82からなる底部と、を含んでいる。
【0016】
また、受光穴3の横断面の形状(開口の形状)は、この例では平行四辺形からなる(図3、図4参照)。その平行四辺形は、側壁73、74で形成される鋭角が例えば70.53度からなる。側壁71〜74のそれぞれの形状は、図3に示すように台形からなる。
底面81、82のそれぞれは、3角形で構成されるとともに、受光穴3の横断面に対して傾斜角度θで傾斜している(図5参照)。この例では、傾斜角度θは35.26度である。
このような構成からなる受光穴3では、単結晶シリコン基板1が面方位が(110)の場合には、側壁71〜74および底面81、82のそれぞれを、面方位が(111)面のもので形成することができる。底面81、82は、完全な(111)面でなくても可能である。
【0017】
また、受光穴3は、図3〜図5に示すように、最も深いところの深さである最大深さはyであり、最も浅いところの深さである最小深さはy1である。
そして、受光穴3の大きさ(サイズ)は、受光穴3内への入射光が受光穴3内で少なくとも2回反射することができるように、設受光穴3の最小深さ、受光穴3の開口の最大長、および底面81、82の傾斜角度により設定されている。この点については後で詳述する。
この実施形態の受光穴3は、受光穴3への入射光がその方向や角度にかかわらず受光穴3の内部での反射回数が少なくとも2回は可能となるように構成したので、この点について以下に説明する。
【0018】
図8に示すように、受光穴3への入射光はその入射角が様々であり、入射光aは入射角が小さい場合であり、入射光bは入射角が大きな場合であり、入射光cは入射角が最大(90度)の場合である。
受光穴3への入射光は、図8に示すように入射角の違いにより受光穴3内における反射回数が異なるが、その入射方向の違いによっても受光穴3内における反射回数が異なるといえる。
【0019】
このため、入射光の中には、図6(A)に示すように、受光穴3の底面81に設けた法線dに沿って入射する入射光のように、底面81に直接当たって反射し、この反射光が受光穴3の外部に出てしまう入射角のものが考えられる。このような入射光は、受光穴3内での反射は1回となり、光の吸収効率が悪いので避ける必要があり、これを避けるには、図6(C)のように受光穴3を深くすれば良い。
そこで、受光穴3の深さを図6(B)に示す境界条件の場合よりも深くすれば、受光穴3への入射光は入射角や入射方向にかかわらず受光穴3内で少なくとも2回反射させることができる。
【0020】
このような点を考慮すると、受光穴3への入射光がその内部で少なくとも2回反射するには、以下の(1)〜(3)の条件を満たす必要がある。
(1)受光穴3の側壁71〜74への入射光はそれらの側壁で反射し、その反射光は底面81、82または反射した側壁とは異なる側壁で再び反射する(図8参照)。このため、その入射光は受光穴3内で少なくとも2回は反射する。
(2)図4に示すように、α方向、−α方向の成分を持つ方向から入射した光は、β方向、−β方向に比べて受光穴3の開口の幅が狭いため、受光穴3の側壁や底面で少なくとも2回は反射する。
(3)図4に示すように、β方向、−β方向の成分を持つ方位から入射した光は、後述の条件(y1>x/tan θ)を満たす場合に少なくとも2回は反射する。
そして、受光穴3への入射光がその内部で少なくとも2回反射するには、条件(3)が一番厳しく、この条件を満たせば条件(1)〜(3)を満たすといえる。
【0021】
そこで、条件(3)を導くための説明を、図5および図6を参照して以下に行う。
図5は、図6(B)に示す境界条件の下での受光穴3の構成(サイズ)を示す。
図5によれば、境界条件の下での受光穴3の最小深さy1、すなわち側壁71〜74の最短長y1は、次に(1)式で表すことができる。
y1=x/tanθ ・・・(1)
ここで、xは受光穴3の開口の最大長であり、θは底面81、82のそれぞれが受光穴3の横断面との間で形成される傾斜角度である。
【0022】
また、受光穴3の最大深さyは、次の(2)式で表すことができる。
y=y1+y2=y1+(x/2・tanθ)・・・(2)
ここで、y2は受光穴3の底部(斜面部)の深さである。
図7は、境界条件の下で求めた受光穴3の開口の最大長xと、それに対応する受光穴3の深さの具体例を示す。
このようにして求めた境界条件のときの受光穴3のサイズは、図6(B)に示す通りである。そして、図6(A)は受光穴3の深さが図6(B)に示す境界条件の場合よりも浅い場合であり、最悪条件の入射光は底面81で反射し、この反射光は受光穴3の外に出てしまい、光の吸収効率が悪い。
【0023】
一方、図6(C)は、受光穴3の深さが図6(B)に示す境界条件の場合よりも深い場合であり、最悪条件の入射光は底面81で反射せずに側壁と底面とで少なくとも2回反射することができ、光の吸収効率を確保できる。
したがって、受光穴3への入射光がその方向や角度にかかわらず受光穴3の内部で少なくとも2回反射するための受光穴3の各部の寸法(サイズ)は、受光穴3の最小深さ(側壁71〜74の最短長)y1、受光穴3の開口の最大長x、および底面81、82の傾斜角度θは、次の(3)式を満たせば良い。
y1>x/tanθ ・・・(3)
【0024】
以上のように、この実施形態では、受光穴3の大きさ(サイズ)を上記のように設定するようにした。このため、受光穴3の深さを必要以上に深くしなくても、受光穴3への入射光を、その受光穴3の側壁や底面において少なくとも2回反射させることが可能となり、受光穴8における光の吸収効率の向上を図ることができる。
また、この実施形態では、単結晶シリコン基板1の受光面2上に微細な複数個の受光穴3を高密度に配列させるようにした。このため、光の吸収効率の良い複数の受光穴3を有効に活用できるので、光電変換装置の変換効率を格段に向上できる。
【0025】
(光電変換装置の製造方法の実施形態)
次に、光電変換装置の製造方法の実施形態について、図9を参照して説明する。この製造方法の実施形態で製造される光電変換装置は、図1〜図3などに示すものであって、その受光穴3のサイズが(3)式の条件を満たすものとする。
まず、図9(A)に示すように、所定の厚さからなり面方位が(110)面の単結晶シリコン基板1を用意する。そして、シリコン基板1の表面である受光面2に、複数の孔90を有するエッチング保護膜91を形成する。複数の孔90は、光電変換装置の複数の受光穴3を形成するために、その受光穴3の形状に対応するものである。さらに、シリコン基板1の裏面全体に、エッチング保護膜92を形成する。
ここで、エッチング保護膜91、92は、シリコン基板1のエッチングのときに溶出せず、レーザ光の透過性を有するものであれば良い。エッチング保護膜91、92としては、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)などを使用する。
【0026】
次に、シリコン基板1の受光穴3が形成される位置のそれぞれに、シリコン基板1の受光穴3を形成する経路(厚さ方向)に沿ってレーザ光を照射する(図9(B)参照)。レーザ光の照射は、レーザ光をレンズを用いて集光し、集光点が厚さ方向に沿って走査(移動)することにより行う。その後、レーザ光による照射(走査)が終了すると、シリコン基板1の受光穴3が形成される部分(領域)に、シリコン基板1の受光面2から所定深さの変質部(改質部)12が形成される(図9(C)参照)。
【0027】
ここで、シリコン基板1に形成される変質部12は、例えばシリコン基板1の密度、屈折率、機械的強度、その他の物理的特性が周囲とは異なって変質が生じた部分をいい、エッチングで容易に除去できる部分をいう。
このような変質部12をシリコン基板1内に形成し得る限り、レーザ光としては種々のものを採用し得る。上記のレーザ光の例としては、シリコンに対して透過性のある近赤外光レーザ光を使用する。例えば、波長が1064〔nm〕であるYAGレーザ光とVYO4レーザ光、および波長が1046〔nm〕であるYLFレーザ光などを使用する。
また、レーザ光を使用して変質部12をより短時間に多数形成するためには、回折光学素子による多点分岐や、深さ方向に長い集光状態を形成できるアキシコン素子を使用すれば良い。
【0028】
次に、シリコン基板1に対して、所定のエッチング液を使用して所定のエッチング条件(時間、温度、濃度)で異方性エッチングを行うと、複数の変質部12はそれに係る部位が除去されていく(図9(D)参照)。そして、エッチングが終了すると、シリコン基板1に複数の受光穴3が形成される(図9(E)参照)。
ここで、シリコン基板1は、受光部3をエッチングで形成する際に、最適なエッチング特性を有する、面方位(110)の単結晶シリコン基板を使用するようにした。このため、受光部3が形成される変質部12をエッチングする際には、そのエッチングは変質部12の長さ方向に進み、変質していない部分が出現すると、そこでエッチングが停止して(111)面が表われる。その一方、変質部12の長さ方向と直交する方向では変質していない部分が出現すると、そこでエッチングが停止して(111)面が表われる。
【0029】
したがって、シリコン基板1には、面方位(110)のシリコン基板のエッチング特性を活かして、4つの側壁および2つの底面がそれぞれ(111)面で形成される高精度、高品質の受光部3を作成できる。
なお、上記のエッチング液としては、例えば水酸化カリウム溶液(KOH溶液)を使用するが、シリコン基板70がエッチング可能であれば良い。
【0030】
次に、図9(E)の状態からエッチング保護膜91、92をそれぞれ除去すると、図9(F)の状態になる。
その後、図9(G)に示すように、シリコン基板1の受光面2だけ、あるいは受光面2および受光穴3の内周面の双方に、光を透過する所定の厚さの透明電極膜4をそれぞれ形成する(図9(G)では受光面2および受光穴3の内周面の双方に形成)。さらに、シリコン基板1の裏面5上に金属電極膜6を形成する。
ここで、透明電極膜4や金属電極膜6に使用される材料は上述の通りであり、それらの材料を複数組み合わせて使用しても良い。
【0031】
また、透明電極膜4や金属電極膜6の形成には、スパッタ法、蒸着法(抵抗加熱法、EB法)、CVD法、導電(Ag)ペースト(スクリーン)印刷・焼成法、スプレー法などを使用される。
以上のように、この実施形態に係る製造方法によれば、従来のようにドライエッチングを使用せずに製造することができ、製造費用の低減化を図ることができる。
また、この製造方法によれば、光の吸収効率の良い受光穴3を容易に形成することができる。
【0032】
(その他の実施形態など)
(1)第1の変形例
上記の光電変換装置の実施形態では、図3などに示すように、受光穴3の形状を4つの垂直状の側壁71〜74と2つの傾斜状の底面81、82で形成されるものとした。しかし、これに代えて、受光穴3を円筒状の側壁部と、これに続いて形成される円錐状の底部とで形成するようにしてもよい。
この場合にも、受光穴3のサイズが(3)式を満足すれば、受光穴3への入射光がその方向や角度にかかわらず受光穴3の内部で少なくとも2回反射することができると考えれる。
(2)第2の変形例
上記の光電変換装置の実施形態では、単結晶シリコンを使用して作成するようにしたが、多結晶シリコンを使用して作成することも可能である。この場合には、受光穴3の側壁面および底面は凹凸面となるが、実用上十分に使用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1・・・単結晶シリコン基板、2・・・受光面、3・・・受光穴、4・・・透明電極膜、5・・・裏面、6・・・金属電極膜、12・・・変質部、71〜74・・・側壁、81、82・・・底面、90・・・孔、91、92・・・エッチング保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコンを使用した光電変換装置であって、
前記単結晶シリコンの受光面に形成させた受光穴を備え、
前記受光穴は、傾斜面を有する底部を含み、
前記受光穴の最小深さ、前記受光穴の開口の最大長、および前記底部の傾斜面の傾斜角度は、前記受光穴内への入射光が受光穴内で少なくとも2回反射する関係を満たすように設定されていることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記受光穴は、4つの側壁で囲まれた側壁部と、前記側壁部に続いて形成され2つの底面からなる底部と、を含み、
前記側壁部の最短長y1、前記受光穴の開口の最大長x、および前記底面のそれぞれの傾斜角度θは、y1>x/tanθを満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記単結晶シリコンは単結晶シリコン基板からなり、
前記単結晶シリコン基板の受光面に前記受光穴を複数個形成させ、
前記複数個の受光穴は、前記単結晶シリコン基板の受光面上に高密度に配置させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
単結晶シリコンを使用した光電変換装置の製造方法であって、
面方位が(110)面の単結晶シリコン基板の受光穴を形成すべき位置にレーザ光を照射して、所定の深さを有する変質部を形成する第1の工程と、
前記変質部に対して異方性エッチングを行い、前記単結晶シリコン基板に所定の深さの受光穴を形成する第2の工程と、
前記単結晶シリコン基板の所定位置に電極を形成する第3の工程と、
を備えることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2の工程で形成される受光穴は、4つの側壁で囲まれた側壁部と、前記側壁部に続いて形成され2つの底面からなる底部と、を含み、
前記側壁部の最短長y1、前記受光穴の開口の最大長x、および前記底面のそれぞれの傾斜角度θは、y1>x/tanθを満たすことを特徴とする請求項4に記載の光電変換装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−114258(P2011−114258A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271230(P2009−271230)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】