説明

光電変換装置および光電変換装置用部品

【課題】光電変換装置における集光効率を向上させること。
【解決手段】光電変換装置は、パッケージ1と、パッケージ1に実装された光電変換素子2と、パッケージ1に接合された集光部材3と、集光部材3に接合されたカバー4とを含んでいる。集光部材3は、光電変換素子2の上方の空間を囲んでおり、光を散乱させる光反射部31を有している。カバー4は、光電変換素子2の上方の空間を覆っている。光反射部31は、ポーラス状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置および光電変換装置用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換素子を有する光電変換装置の開発が進められている。例示的な光電変換装置としては、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池装置がある。特に、発電効率の向上を目的として、集光型の太陽電池装置の開発が進められている。光電変換装置は、光エネルギーを電力エネルギーに変換する光電変換素子を有している。光電変換装置が例えば太陽電池装置の場合、光電変換素子は、太陽エネルギーを電力エネルギーに変換する太陽電池素子である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−285948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光電変換装置の開発において、光電変換の効率の向上が求められている。特に、集光型の光電変換装置は、光電変換素子における光電変換の効率を向上させることを目的に、集光効率に関する改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、光電変換装置は、パッケージと、パッケージに実装された光電変換素子と、パッケージに接合された集光部材と、集光部材に接合されたカバーとを含んでいる。集光部材は、光電変換素子の上方の空間を囲んでおり、光反射部が光を散乱させる光反射部を有している。カバーは、光電変換素子の上方の空間を覆っている。
【0006】
本発明の他の態様によれば、光電変換装置用部品は、光電変換素子の実装領域を有しているパッケージと、パッケージに接合される集光部材と、集光部材に接合されるカバーとを含んでいる。集光部材は、光電変換素子の上方の空間を囲み、光反射部が光を散乱させる光反射部を有している。カバーは、光電変換素子の上方の空間を覆う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、光電変換装置は、パッケージに接合された集光部材を含んでいる。集光部材は、光電変換素子の上方の空間を囲んでおり、光反射部が光を散乱させる光反射部を有している。光電変換装置は、このような構成により、集光効率に関して向上されている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、光電変換装置用パッケージは、パッケージに接合される集光部材を含んでいる。集光部材は、光電変換素子の上方の空間を囲み、光反射部が光を散乱させる光反射部を有している。光電変換装置用部品は、このような構成により、集光効率に関して改善された光電変換装置を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一つの実施形態における光電変換装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示された光電変換装置の縦断面図および部分的な拡大模式図を示している。
【図3】図1に示されたパッケージ1の分解斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
本発明の一つの実施形態における光電変換装置は、図1に示されているように、パッケージ1と、パッケージ1に実装された光電変換素子2と、パッケージ1の上に設けられた集光部材3と、集光部材3に固定されたカバー4とを含んでいる。図1において、光電変換装置は、仮想のxyz空間におけるxy平面に実装されている。図1において、光電変換装置の内部構造を示すことを目的に、パッケージ1および集光部材3が透視された状態で示されており、光電変換素子2が破線によって示されている。
【0012】
光電変換装置の例は、太陽電池装置である。さらに具体的に、光電変換装置は、例えば集光型の太陽電池装置である。
【0013】
図2に示されているように、パッケージ1は、ベース部11と、ベース部11の上に設けられたフレーム部12と、ベース部11の上に設けられた第1の端子13と、フレーム部12の上に設けられた第2の端子14とを含んでいる。
【0014】
ベース部111およびフレーム部112は、実質的に絶縁材料からなる。絶縁材料の例は、セラミックスである。従って、光電変換装置1は、耐環境性に関して改善されている。
【0015】
第1の端子13は、ベース部11におけるフレーム部12に囲まれた領域に設けられている。第1のリード端子13は、ベース部11およびフレーム部12の間に設けられており、ベース部11およびフレーム部12に接合されている。例示的な第2の端子13は、銅を含んでいる。第2の端子13は、実質的に無酸素銅からなる。従って、光電変換装置は、熱伝導または低抵抗化に関して改善されている。他の例示的な第1の端子13は、実質的に鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金からなる。第1の端子13は、光電変換素子2の実装領域を有している。本実施形態において、第1の端子13は、リード端子である。
【0016】
第2の端子14は、導体パターン141およびリード端子142を含んでいる。図3に示されているように、導体パターン141は、フレーム部12の上面に全面的に形成されており、キャビティ領域を囲んでいる。図3において、導体パターン141は、ドット模様によって示されている。図3において、パッケージ1は、全体構成を示すことを目的に、分解された状態で示されている。フレーム部12が実質的にセラミックスからなる場合、例示的な導体パターン141は、フレーム部12とともに焼成されたメタライズ層である。導体パターン141は、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)を含んでいる。
【0017】
リード端子142は、リング部143および端子部144を有している。リード端子142は、リング部143において導体パターン141に接合されている。リング部143の開口部の面積は、導体パターン141の開口部の面積より大きい。図3において、導体パターン141におけるリング部143の内周位置が、破線によって示されている。例示的なリード端子142は、銅を含んでいる。リード端子142は、実質的に無酸素銅からなる。他の例示的なリード端子142は、実質的に鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金からなる。
【0018】
再び図2を参照して、光電変換素子2は、パッケージ1のキャビティ部に収容されており、第1の端子13の上に設けられている。光電変換素子2は、第1の端子13および第2の端子14に電気的に接続されている。光電変換素子2は、ボンディングワイヤを介して導体パターン141に電気的に接続されている。
【0019】
例示的な光電変換素子2は、III−V族化合物半導体を含んでいる太陽電池素子である。例示的な太陽電池素子は、InGaP/GaAs/Ge3接合型セルの構造を有している。インジウムガリウムリン(InGaP)トップセルは、660nm以下の波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ガリウムヒ素(GaAs)ミドルセルは、660nmから890nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ゲルマニウム(Ge)ボトムセルは、890nmから2000nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。3つのセルは、トンネル接合を介して直列に接続されている。開放電圧は、3つのセルの起電圧の和である。
【0020】
集光部材3は、パッケージ1の上端部に接合されている。さらに具体的に、集光部材3は、リード端子142のリング部143に接合されている。
【0021】
集光部材3は、上端部から下端部に向かうに伴って開口面積が小さくなる貫通孔を有している。光電変換素子2の上方の空間を囲んでいる光反射部31を有している。光反射部31は、集光部材3の少なくとも内側表面部分に設けられている。上端部の開口部に入射された光は、光反射部31において繰り返し全反射される。集光部材3は、光の反射によって貫通孔の開口積内の光エネルギーの強度分布を均等化するという機能を有している。光反射部31は、光を散乱させるように反射する。
【0022】
光の“散乱”の例としては、ポーラス状に形成された光反射部31において光の全反射によって起こる乱反射がある。図2における拡大模式図に示されているように、ポーラス状に形成された光反射部31は、複数の粒子312および複数のセル314を含んでいる。例示的な粒子312は、セラミック粒子である。セル314の構造例は空隙である。セル314の他の構造例は、粒子312より光の屈折率の小さい媒質が充填されたものである。この他の構造例の場合、例えば、集光部材31の内側空間に粒子312より光の屈折率の小さいガスが充填されている。
【0023】
“ポーラス状”とは、複数の粒子312を有する構造体において、15%から43%までの範囲に含まれる気孔率を有している。光反射部31の気孔率の例示的な測定方法は、マイクロメリティクス(Micromeritics)社製のポアサイザー(Pore Sizer)9310型による水銀圧入法である。
【0024】
粒子312は、セル314より屈折率が大きい。粒子312に入射された光は、粒子312とセル314との界面において全反射される。粒子312とセル314との界面は様々な方向を向いていることにより、光反射部31に入射された光は乱反射される。
【0025】
この例における光電変換装置は、光の全反射によって光を光電変換素子2に導くことにより、光を反射させるときにおける光の損失を低減させることができ、集光効率に関して改善されている。
【0026】
光の“散乱”の他の例としては、粗面化された表面において光が複数の方向に反射されることにより起こる乱反射がある。“粗面化された表面”とは、例えば、0.4μmから0.8μmまでの範囲に含まれる算術平均粗さRaを有する表面のことをいう。光反射部31は、実質的にセラミックスからなる。
【0027】
本実施形態における光電変換装置は、光を乱反射させる光反射部31を有する集光部材3を含んでいることにより、光電変換素子2の受光面における光の均一化を図ることができる。従って、光電変換装置は、光電変換素子2における光電変換の効率を向上させることができ、発電効率に関して改善されている。
【0028】
カバー4は、集光部材3の上端部に設けられており、透光性を有している。カバー4の“透光性”とは、例えば光電変換装置が太陽電池装置である場合には、太陽光の少なくとも一部の波長が透過できることをいう。カバー4は、集光部材3の上端部に接合されている。
【0029】
本実施形態において、光電変換装置は、パッケージ1と集光部材3とカバー4とによって光電変換素子2を気密封止していることにより、耐環境性に関して改善されている。
【0030】
本実施形態において、光電変換装置は、集光部材3を含む構造によって光電変換素子2を気密封止していることにより、気密封止のための構成とは別に集光のための部材を有する構造に比べて、生産性に関して改善されている。
【符号の説明】
【0031】
1 パッケージ
2 光電変換素子
3 集光部材
4 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージと、
前記パッケージに実装された光電変換素子と、
前記パッケージに接合されているとともに、前記光電変換素子の上方の空間を囲んでいる光反射部を有しており、前記光反射部が光を散乱させる集光部材と、
前記集光部材に接合されており、前記空間を覆っているカバーと、
を備えた光電変換装置。
【請求項2】
前記光反射部が、ポーラス状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記光反射部が、空隙を含んでいることを特徴とする請求項2記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記光反射部は、粗面化された表面を有していることを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項5】
光電変換素子の実装領域を有しているパッケージと、
前記パッケージに接合されるとともに、前記光電変換素子の上方の空間を囲む光反射部を有しており、前記光反射部が光を散乱させる集光部材と、
前記集光部材に接合されるとともに、前記空間を覆うカバーと、
を備えた光電変換装置用部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−9461(P2011−9461A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151359(P2009−151359)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】