光電変換装置および電子機器
【課題】粒状のコア部が、シェル部で被覆されたナノ粒子(量子ドット)を用いることにより、光電変換装置の特性を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る光電変換装置は、第1材料(7a)中に複数のナノ粒子(d)が分散状態で含有した光電変換層(7)を有する光電変換装置であって、前記ナノ粒子(d)は、粒状の第2材料(c)および前記第2材料(c)を被覆する第3材料(s)を有し、前記第3材料(s)のバンドギャップE3は、前記第1材料(7a)のギャップE1より大きく、かつ、前記第2材料(c)のバンドギャップE2より大きい。かかる構成によれば、第2材料を被覆する第3材料のバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第3材料をトンネルさせることにより、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことができる。よって、光電変換効率の高い光電変換装置となる。
【解決手段】本発明に係る光電変換装置は、第1材料(7a)中に複数のナノ粒子(d)が分散状態で含有した光電変換層(7)を有する光電変換装置であって、前記ナノ粒子(d)は、粒状の第2材料(c)および前記第2材料(c)を被覆する第3材料(s)を有し、前記第3材料(s)のバンドギャップE3は、前記第1材料(7a)のギャップE1より大きく、かつ、前記第2材料(c)のバンドギャップE2より大きい。かかる構成によれば、第2材料を被覆する第3材料のバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第3材料をトンネルさせることにより、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことができる。よって、光電変換効率の高い光電変換装置となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、特に、ナノ粒子を用いた光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーかつ省資源でクリーンなエネルギー源として太陽電池(光電変換装置)の開発が盛んに行われている。太陽電池は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である。その構成には、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、多接合構造太陽電池など多種の構造体が検討されている。その中でも、理論的には60%以上の変換効率を可能にする次世代の太陽電池として量子ドット(ナノ粒子)を用いた太陽電池が注目を浴びている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、誘電体材料薄層を配して隔てられた複数の結晶質半導体材料量子ドットを有する太陽電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−535806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1において詳細に検討されている量子ドットとしてシリコンを、誘電体材料薄層として酸化シリコンを用いた構成では、量子井戸から電荷(電子)を効率良く取り出せない恐れがある。また、上記特許文献1に記載の超格子構造によれば、ミニバンドが形成され電荷(電子)を効率良く取り出せる旨の検討がなされている。
【0006】
しかしながら、超格子構造の装置、即ち、量子ドットを規則正しく配置させるには、高度な技術が必要である。さらに、ミニバンドを形成するには、数nm〜数十nmの直径の量子ドットに対して、粒径ばらつきが10%以下である必要があり、この点でも非常に困難となる。
【0007】
そこで、本発明に係る具体的態様は、特性の良好な光電変換装置を提供することを目的とする。特に、粒状のコア部が、シェル部で被覆されたナノ粒子(量子ドット)を用いることにより、光電変換装置の特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光電変換装置は、第1材料中に複数のナノ粒子が分散状態で含有した光電変換層を有する光電変換装置であって、前記ナノ粒子は、粒状の第2材料および前記第2材料を被覆する第3材料をを有し、前記第3材料のバンドギャップE3は、前記第1材料のバンドギャップE1より大きく、かつ、前記第2材料のバンドギャップE2より大きい。
【0009】
かかる構成によれば、第2材料を被覆する第3材料のバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第3材料をトンネルさせることにより、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことができる。よって、光電変換効率の高い光電変換装置となる。
【0010】
例えば、前記第1材料および第2材料は、半導体である。また、例えば、前記第3材料は、絶縁体である。このような材料選択により、上記E1〜E3の関係を満たす光電変換装置を得ることができる。
【0011】
例えば、前記第2材料は、Ge、PbSおよびPbSeのいずれかである。また、例えば、前記第1材料は、アモルファスシリコンまたは結晶シリコンである。また、例えば、前記第3材料は、酸化シリコンである。このような材料選択により、上記E1〜E3の関係を満たす光電変換装置が得られる。
【0012】
例えば、前記第2材料の吸収係数が、前記第1材料の吸収係数より大きいような材料を選択する。このような材料選択により、ナノ粒子内での光の吸収確率が大きくなり、光電変換効率をさらに向上させることができる。
【0013】
例えば、上記光電変換装置は、更に、p型半導体層およびn型半導体層を有し、前記p型半導体層と前記n型半導体層との間に前記半導体層を有する。このように、p型半導体層とn型半導体層との間に上記半導体層を設け、pin型の光電変換装置としてもよい。
【0014】
本発明に係る電子機器は、上記光電変換装置を有する。かかる構成によれば、電子機器の特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態の量子ドット型の光電変換装置(光電変換素子、太陽電池)の構成を示す断面図である。
【図2】図1の量子ドットdの構成を示す断面図である。
【図3】複数エキシトン生成効果を説明するためのバルクの場合のエネルギーバンド図である。
【図4】複数エキシトン生成効果を説明するための量子ドットの場合のエネルギーバンド図である。
【図5】本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図である。
【図6】1つの量子ドットおよびその周辺のエネルギーバンド図である。
【図7】本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図を模式的に示す図である。
【図8】マトリクス層を酸化シリコン(SiO2)とした場合(比較例)の光電変換装置のエネルギーバンド図である。
【図9】超格子構造を模式的に示した断面斜視図である。
【図10】ミニバンドが形成された場合のエネルギーバンド図である。
【図11】1つの量子ドットおよびその周辺の他のエネルギーバンド図である。
【図12】1つの量子ドットおよびその周辺の他のエネルギーバンド図である。
【図13】本実施の形態の光電変換装置のコア材料、シェル材料およびマトリクス材料として使用可能な材料の一例を示す図表である。
【図14】本実施の形態の光電変換装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】太陽電池(光電変換装置)を適用した電卓を示す平面図である。
【図16】太陽電池(光電変換装置)を適用した携帯電話機を示す斜視図である。
【図17】電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0017】
<光電変換装置の構成>
図1は、本実施の形態の量子ドット型の光電変換装置(光電変換素子、太陽電池)の構成を示す断面図である。図2は、図1の量子ドットdの構成を示す断面図である。
【0018】
図1に示す光電変換装置は、いわゆるpin構造の装置であり、p層、i層およびn層が順次積層された構成を有する。具体的には、図示するように、基板1上に、透明電極3、p型(第1導電型)のアモルファスシリコン層5、i層7、n型(第2導電型)のアモルファスシリコン層9および上部電極11が順次積層されている。
【0019】
i層(光電変換層)7は、i型のアモルファスシリコン層(第1材料)7aと、その中に分散状態で含有された量子ドット(QD、ナノ粒子)dよりなる。この量子ドットdは、図2に示すように、コア−シェル構造であり、粒状の材料(第2材料)からなるコアcと、コアの外周を被覆する材料(第3材料)からなるシェルsとを有する。コアcは、具体的に、半導体(化合物半導体を含む)で作られた微小な粒子であり、数百から数百万個の原子が集まったものである。特に、本明細書においては、粒径が1nm以上20nm以下のコアcを有するものを「量子ドット」と言う。また、コアcの結晶状態としては、単結晶、多結晶またはアモルファス状態のいずれでもよい。コアcを被覆するシェルsの材料は、以下に説明するバンドギャップの関係を満たす材料であればよく、例えば、絶縁体などを用いることができる。また、シェルsの膜厚は、例えば、0.5nm〜10nmであり、後述する量子井戸内の電荷(電子又はホール)がトンネル可能な膜厚である。
【0020】
量子ドットdの周囲をとり囲む層(以降、この層を「マトリクス層」と呼ぶことがある。図1においては、i型のアモルファスシリコン層7aである。)mとのバンドギャップの関係は、次のとおりである。シェルsのバンドギャップE3は、マトリクス層mのバンドギャップE1より大きく、また、コアcのバンドギャップE2より大きい(E3>E1、E3>E2、図6参照)。これらの関係については、追って詳細に説明する。
【0021】
また、基板1としては、例えば、光透過性の石英ガラス基板を用いる。この他、ソーダガラス基板などの他のガラス基板、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)などの樹脂を用いた樹脂基板やセラミックス基板などを用いてもよい。
【0022】
透明電極3としては、例えば、インジウムを添加した酸化錫(ITO:Indium Tin Oxide)を用いる。この他、フッ素ドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化錫(SnO2)などの他の導電性の金属酸化物を用いてもよい。このような透明電極を用いることにより、基板1の裏面側(図中下側)からの光の透過性を向上させることができる。
【0023】
第1、第2導電型は、p型又はn型であり、p型の場合は、ホウ素などのp型不純物を、n型の場合は、リンなどのn型不純物を有する。i型(真性、intrinsic)とは、不純物が注入されておらず、p型またはn型の層と比較し、不純物濃度が低い層を意味する。
【0024】
金属電極11の材料としては、例えば、Al(アルミニウム)を用いる。この他、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)などの金属材料を用いることができる。また、これらの合金を用いてもよい。また、前述の導電性の金属酸化物を用いてもよい。
【0025】
このように、本実施の形態においては、i型のアモルファスシリコン層(マトリクス層m)7a中に量子ドットdを含有させているため、光電変換効率の向上を図ることができる。光電変換効率の向上が図られる理由については、(1)量子サイズ効果および(2)複数エキシトン生成効果に起因するものと考えられる。以下、これらについて詳細に説明する。図3および図4は、複数エキシトン生成効果を説明するためのバルクの場合又は量子ドットの場合のエネルギーバンド図である。なお、バンド図において黒丸は電子(e)を白丸はホール(h)を示すものとする。
【0026】
(1)量子サイズ効果
光電変換においては、光のエネルギーを吸収した電子(キャリア)が、バンドギャップEgを越えて価電子帯と伝導帯の間を遷移し、電気エネルギー(電力)として取り出される。一般的に、半導体ナノ粒子では粒径が小さくなると、バンドギャップが大きくなることが知られている(特許文献1参照)。これを量子サイズ効果と呼び、、これにより、例えば、太陽光スペクトルにおいてエネルギーの大きな紫外光領域、可視光領域や赤外光領域などの特定の波長(例えば、400nm〜800nm)にあわせてバンドギャップを調整することができる。その結果、光を効率良く電気エネルギーに変換することができる。また、バンドギャップの異なる光電変換部を積層することにより、可視光領域や赤外光領域などに限らず太陽光スペクトルの各種波長の光を効率良く電気エネルギーに変換することができる。
【0027】
(2)複数エキシトン生成効果(MEG:Multiple Exciton Generation)
図3に示すように、バルクの半導体においては、キャリア(電子)は、光エネルギー(E=hν=hc/λ、h:プランク定数、ν:振動数、c:光の速さ、λ:波長)を受け、価電子帯に遷移し、電気エネルギーとして取り出される。ここで、バンドギャップEgより光エネルギーhνが大きい場合(hν>Eg)、キャリアは価電子帯の上部まで遷移するものの、Egを超えた余分なエネルギーは速やかに格子系に熱として移動して、より安定的な価電子帯の下部まで移動する。つまり、Egを超えたエネルギーは熱として失われる。したがって、1つの光子によって1つのキャリアしか生成できない。なお、励起された電子に対しホールは残存するため、これらの対をエキシトン(exciton、励起子)という。
【0028】
これに対し、図4に示すように、量子ドットdを用いた場合、量子ドットdのバンドギャップEgとその周囲を取り囲む層(コア-シェル構造の量子ドットdの場合、シェルsが対応する)のバンドギャップEgsとの差(Egs>Eg)により量子井戸が形成される。この量子井戸により電子の移動方向が三次元的に制限される。また、この量子井戸中に形成される電子軌道は連続的ではない。そのため、バンドギャップEgより光エネルギーhνが大きい場合(hν>Eg)に、上位の軌道まで励起された電子が、バンドギャップの上端まで落ちる際に、格子系にエネルギーを熱として与えて緩和する過程が非常に遅くなる。その結果、同じ量子井戸中の別の電子との相互作用が相対的に強くなり、バンドギャップの上端まで落ちる際に別の電子にエネルギーを与える確率が強くなる。この時、当該光エネルギーhνがバンドギャップの2倍より大きい場合(hν>2Eg)には、更なる電子がバンドギャップを超えてエキシトンを生成することができるようになる。よって、1つの光子から複数のキャリア(例えば、電子)を生成することができる。したがって、これらを電流として取り出すことにより光電変換効率を向上させることができる。
【0029】
以上(1)および(2)を通じて詳細に説明したように、量子ドットdを含有させることで光電変換効率の向上を図ることができる。
【0030】
さらに、本実施の形態においては、コア-シェル構造の量子ドットdを用い、マトリクス層m(E1)、コアc(E2)およびシェルs(E3)のバンドギャップの関係を、E3>E1、E3>E2としたので、量子井戸からシェルsの外へのトンネル効果による電荷の移動が可能となり、シェルsの外、即ち、マトリクス層m中を通って電荷を容易に取り出すことができる。その結果、更なる光電変換効率の向上を図ることができる。以下、図5から図10を参照しながら当該効果について説明する。図5は、本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図であり、図6は、1つの量子ドットおよびその周辺のエネルギーバンド図である。図7は、本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図を模式的に示す図である。また、図8は、マトリクス層を酸化シリコン(SiO2)とした場合(比較例)の光電変換装置のエネルギーバンド図である。図9は、超格子構造を模式的に示した断面斜視図であり、図10は、ミニバンドが形成された場合のエネルギーバンド図である。
【0031】
図5および図6に示すように、本実施の形態の光電変換装置においては、コアc(E2)とシェルs(E3)とのバンドギャップ差で量子井戸が形成される。また、比較的薄いコアc(E2)とマトリクス層m(E1)とのバンドギャップ差により、トンネル可能な障壁が形成される。
【0032】
したがって、図5に示すように、量子井戸内に遷移した電荷(電子又はホール)は、上記障壁をトンネルし(矢印t)、コアcの外に放出される。コアcの外のマトリックス層mには、pin構造で形成される内部電場があるため、放出された電子またはホールはこの内部電場によってn層、またはp層に向かって移動して、電荷を取り出すことができる。なお、図5においては、トンネルした電荷の隣には、別の量子井戸があって、電荷移動の障壁になるような記載になっているが、pin構造の断面を二次元的に見れば、図7に示すように障壁はなく、量子井戸間のマトリクス層を通り容易に電荷が流れる。その際、他の量子ドットのシェルによって多少の散乱を受けるが、他の量子ドットのコアにトラップされることはない。このような構造の場合、後述のような量子ドットを規則正しく並べてミニバンドを形成する必要がなく、量子ドットのサイズばらつきも特に問題になることが少ないため、後述の比較例に比べて有利となる。
【0033】
これに対し、シェルs部を設けずコアc部のみの量子ドットに対し、シェルsの材料(例えば、酸化シリコン膜SiO2)をマトリクス層とした場合(比較例、図8)においては、量子井戸間に、厚いマトリクス層mが存在するため、トンネル現象が起こる確率は非常に低い。コアc部を非常に蜜に配置すればコアc部間のマトリクス層mの厚さが十分に薄くなり、トンネルは起こりやすくなるが、この場合でもコアc部で生成された電子−ホール対をn層とp層に運んで取り出すには、トンネルを何度も繰り返す必要があり、実際には取り出しは困難である。また、発生した電荷(電子又はホール)が、熱励起などにより量子井戸を超え、量子井戸の外へ抜ける確率も非常に低い。
【0034】
そのため、これまでの研究では図9に示すように、量子ドットdがマトリクス層(SiO2)m中に、縦横および上下に規則正しく並んだ構造(超格子:supper lattice)とすることにより、励起された電荷を、図10に示すようにミニバンドを通じて外部に取り出すことが提案されている。しかしながら、量子ドットdを規則正しく配列させることは容易ではない。
【0035】
これに対し、本実施の形態によれば、前述したとおり、コア−シェル構造の量子ドットdを用い、量子井戸内の電荷をシェルsによるエネルギー障壁を一回だけトンネルさせることで取り出すことができ、容易な構成で光電変換効率の向上を図ることができる。
【0036】
図11および図12は、1つの量子ドットおよびその周辺の他のエネルギーバンド図である。図6においては、コアc(E2)とマトリクス層m(E1)とのバンドギャップをE2>E1としたが、この関係に限定されず、例えば、図11に示すように、E2<E1としてもよく、E2=E1としてもよい。また、図12に示すように、量子井戸の深さが上下(電子側とホール側)で異なっていてもよく、E3>E1およびE3>E2を満たしていれば良い。但し、量子井戸を囲むシェルsのエネルギー障壁E3が、E2の2倍以上あることが好ましい。この場合、MEGが生じやすくなるため、光電変換効率の更なる向上を図ることができる。
【0037】
また、コア材料、シェル材料およびマトリクス層材料については、上記バンドギャップの関係を満たす限り特に制限はないが、コア材料とマトリクス層材料は、なるべく同程度のバンドギャップを持つ半導体材料を、シェル材料には、バンドギャップが3eV以上のワイドギャップ半導体または絶縁体材料を用いることが好ましい。また、シェル材料のバンドギャップは、コア材料のバンドギャップの2倍以上であることがさらに好ましい。また、コア材料においては、半導体の中でも、なるべく吸収係数の大きい半導体を、マトリクス層材料としては、半導体の中でも、なるべく(少なくともコア材料よりも)吸収係数の小さい半導体を用いることが好ましい。この場合、コアでの光吸収係数が、マトリクス層での光吸収係数より大きくなり、コアでの光吸収が優先となる。よって、コアでの電荷の励起やMEGの確率が上昇し、光電変換効率の向上を図ることができる。
【0038】
図13に、本実施の形態の光電変換装置のコア材料、シェル材料およびマトリクス材料として使用可能な材料の一例を示す。a−はアモルファスを、c−は結晶(単結晶、多結晶、微結晶を含む)を表わす。
【0039】
図示するように、使用可能なコア材料としては、a−Si、c−Si、a−Ge、c−Ge、PbS、PbSe、GaAs、ZnSe、β−GeSi2などが挙げられる。使用可能なシェル材料としては、SiO2、SiN、SiONなどの絶縁膜や、SiC、GaNなどのワイドギャップ半導体など、また、ITO、FTO、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ZnO、SnO2などの光透過性の導電性膜などが挙げられ、バンドギャップ(Eg)が3eV以上の半導体や絶縁体などを用いることができる。また、マトリクス材料としては、a−Siやc−Siを用いることができる。なお、c−Siには、単結晶の他、多結晶(poly−Si)や微結晶(μc−Si)を含む。
【0040】
より好ましい組み合わせとしては、コア/マトリクスの前者が、「Ge、PbS、PbSe、β−FeSi2」のいずれかと、後者が、c−Si又はa−Siの組み合わせ、この他、前者がa−Siで、後者が、c−Si又はa−Siの組み合わせ、また、前者が、3μm以下の粒径のc−Siで、後者が、c−Siの組み合わせなどが挙げられる。
<光電変換装置の製造方法>
次いで、上記光電変換装置の製造方法について説明する。例えば、コア材料としてGeを、シェル材料としてSiO2を、マトリクス材料としてアモルファスシリコンを用いた上記光電変換装置を例に説明する。図14は、本実施の形態の光電変換装置の製造工程を示す断面図である。
【0041】
図14(A)に示すように、基板1として例えば、石英ガラス基板を準備し、基板1上にITO膜をスパッタリング法により堆積した後、必要に応じてパターニングすることにより透明電極3を形成する。
【0042】
次いで、透明電極3上に、p型のアモルファスシリコン層5を形成する。例えば、シリコンの前駆体液(液体シリコン材料)に例えば、ホウ素などのp型不純物を加えた不純物添加前駆体液を用いて形成する。「前駆体液」とは、特定物質を得るための前段階の物質を言い、ここでは、シリコン層を得るための液体シリコン材料をいうものとする。シリコンの前駆体液としては、例えば、シクロペンタシラン(Si5H10)に紫外線を照射するなどして、重合させてポリシランとしたものを有機溶媒で希釈した溶解液体を用いる。この不純物添加前駆体液を、透明電極3上にスピンコート法で塗布する。次いで、熱処理を施し、アモルファス化(固化、焼成)する。なお、スピンコート法の他、スプレー法、インクジェット法等の他の吐出方法を用いてもよい。
【0043】
次いで、量子ドットdを分散させたシリコンの前駆体液L7を調整し、p型のアモルファスシリコン層5上に塗布する。液体シリコン材料としては、前述のポリシラン溶液を用いることができる。また、量子ドットdとしては、例えばゲルマニウム(Ge)のナノ結晶の外周がSiO2で覆われたコア−シェル構造の量子ドットdを用いる。このような量子ドットは、例えば、分子線エピタキシーや化学蒸着、また、ガス中蒸着法、ホットソープ法、コロイド湿式化学法などを用いてコア部およびその外周のシェル部の製造が可能であり、例えば、カンタムドット社やエビデントテクノロジー社によってコア−シェル構造の量子ドット分散液が製造・販売されている。
【0044】
このような、コア−シェル構造の量子ドットdを製造又は入手し、上記シリコンの前駆体液に分散させる。次いで、量子ドットd含有シリコンの前駆体液L7を、p型のアモルファスシリコン層5上にスピンコート法で塗布する。次いで、熱処理を施し、アモルファス化する。なお、スピンコート法の他、スプレー法、インクジェット法等の他の吐出方法を用いてもよい。これにより、コア−シェル構造の量子ドットdが分散状態で含有されたi型のアモルファスシリコン層7aが形成される(図14(B))。
【0045】
次いで、図14(C)に示すように、i型のアモルファスシリコン層7a上に、n型のアモルファスシリコン層9を形成する。例えば、黄燐(P4)等のn型不純物を加えたシリコンの前駆体液(例えば、前述のポリシラン溶液)を用いて形成する。この前駆体液を、i型のアモルファスシリコン層7a上にスピンコート法で塗布した後、熱処理を施し、アモルファス化する。
【0046】
なお、上記p型およびn型のアモルファスシリコン層(5、9)は、CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成してもよい。また、イオン注入法により不純物の注入を行ってもよい。また、各層(5、7、9)を塗布、乾燥した状態で積層し、一括焼成してもよい。
【0047】
次いで、n型のアモルファスシリコン層9上に金属電極11としてAl膜を形成する。例えば、n型のアモルファスシリコン層9上に、Alをスパッタリング法により堆積し、必要に応じてパターニングすることにより金属電極11を形成する。以上の工程により、本実施の形態の光電変換装置が形成される。
【0048】
なお、本実施の形態の光電変換装置の製造方法は上記の方法に限定されるものではないが、上記製造工程によれば、量子ドットを分散させた半導体の前駆体液を用いてi層を形成したので、簡易に光電変換装置を形成することができる。また、低コストで光電変換装置を製造することができる。
【0049】
なお、本実施の形態においては、シリコンの前駆体液として、シクロペンタシラン(Si5H10)を用いたが、他のケイ素化合物を重合させて用いても良い。
【0050】
<電子機器>
上記光電変換装置は、各種電子機器に組み込むことができる。適用できる電子機器に制限はないがその一例について説明する。
【0051】
図15は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した電卓を示す平面図、図16は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
【0052】
図15に示す電卓100は、本体部101と、本体部101の上面(前面)に設けられた表示部102、複数の操作ボタン103および光電変換素子設置部104とを備えている。
【0053】
図15に示す構成では、光電変換素子設置部104には、光電変換素子1が5つ直列に接続されて配置されている。この光電変換素子1として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0054】
図16に示す携帯電話機200は、本体部201と、本体部201の前面に設けられた表示部202、複数の操作ボタン203、受話口204、送話口205および光電変換素子設置部206とを備えている。
【0055】
図16に示す構成では、光電変換素子設置部206が、表示部202の周囲を囲むようにして設けられ、光電変換素子1が複数、直列に接続されて配置されている。この光電変換素子1として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0056】
なお、本発明の電子機器としては、図15に示す電卓、図16に示す携帯電話機の他、例えば、光センサー、光スイッチ、電子手帳、電子辞書、腕時計、クロック等に適用することもできる。
【0057】
図17は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、表示部1101を備え、例えば、この表示部1101の外周に、上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0058】
また、上記光電変換装置は、低コスト化、量産化に適し、家庭用又は業務用の太陽光発電システムに用いても好適である。
【0059】
なお、上記実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1…基板、3…透明電極、5…p型のアモルファスシリコン層、7…i層、7a…i型のアモルファスシリコン層、9…n型のアモルファスシリコン層、11…上部電極、100…電卓、101…本体部、102…表示部、103…操作ボタン、104…光電変換素子設置部、200…携帯電話機、201…本体部、202…表示部、203…操作ボタン、204…受話口、205…送話口、206…光電変換素子設置部、1100…腕時計、1101…表示部、c…コア、d…量子ドット、L7…量子ドットを分散させたシリコンの前駆体液、m…マトリクス層、s…シェル
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、特に、ナノ粒子を用いた光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーかつ省資源でクリーンなエネルギー源として太陽電池(光電変換装置)の開発が盛んに行われている。太陽電池は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である。その構成には、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、多接合構造太陽電池など多種の構造体が検討されている。その中でも、理論的には60%以上の変換効率を可能にする次世代の太陽電池として量子ドット(ナノ粒子)を用いた太陽電池が注目を浴びている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、誘電体材料薄層を配して隔てられた複数の結晶質半導体材料量子ドットを有する太陽電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−535806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1において詳細に検討されている量子ドットとしてシリコンを、誘電体材料薄層として酸化シリコンを用いた構成では、量子井戸から電荷(電子)を効率良く取り出せない恐れがある。また、上記特許文献1に記載の超格子構造によれば、ミニバンドが形成され電荷(電子)を効率良く取り出せる旨の検討がなされている。
【0006】
しかしながら、超格子構造の装置、即ち、量子ドットを規則正しく配置させるには、高度な技術が必要である。さらに、ミニバンドを形成するには、数nm〜数十nmの直径の量子ドットに対して、粒径ばらつきが10%以下である必要があり、この点でも非常に困難となる。
【0007】
そこで、本発明に係る具体的態様は、特性の良好な光電変換装置を提供することを目的とする。特に、粒状のコア部が、シェル部で被覆されたナノ粒子(量子ドット)を用いることにより、光電変換装置の特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光電変換装置は、第1材料中に複数のナノ粒子が分散状態で含有した光電変換層を有する光電変換装置であって、前記ナノ粒子は、粒状の第2材料および前記第2材料を被覆する第3材料をを有し、前記第3材料のバンドギャップE3は、前記第1材料のバンドギャップE1より大きく、かつ、前記第2材料のバンドギャップE2より大きい。
【0009】
かかる構成によれば、第2材料を被覆する第3材料のバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第3材料をトンネルさせることにより、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことができる。よって、光電変換効率の高い光電変換装置となる。
【0010】
例えば、前記第1材料および第2材料は、半導体である。また、例えば、前記第3材料は、絶縁体である。このような材料選択により、上記E1〜E3の関係を満たす光電変換装置を得ることができる。
【0011】
例えば、前記第2材料は、Ge、PbSおよびPbSeのいずれかである。また、例えば、前記第1材料は、アモルファスシリコンまたは結晶シリコンである。また、例えば、前記第3材料は、酸化シリコンである。このような材料選択により、上記E1〜E3の関係を満たす光電変換装置が得られる。
【0012】
例えば、前記第2材料の吸収係数が、前記第1材料の吸収係数より大きいような材料を選択する。このような材料選択により、ナノ粒子内での光の吸収確率が大きくなり、光電変換効率をさらに向上させることができる。
【0013】
例えば、上記光電変換装置は、更に、p型半導体層およびn型半導体層を有し、前記p型半導体層と前記n型半導体層との間に前記半導体層を有する。このように、p型半導体層とn型半導体層との間に上記半導体層を設け、pin型の光電変換装置としてもよい。
【0014】
本発明に係る電子機器は、上記光電変換装置を有する。かかる構成によれば、電子機器の特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態の量子ドット型の光電変換装置(光電変換素子、太陽電池)の構成を示す断面図である。
【図2】図1の量子ドットdの構成を示す断面図である。
【図3】複数エキシトン生成効果を説明するためのバルクの場合のエネルギーバンド図である。
【図4】複数エキシトン生成効果を説明するための量子ドットの場合のエネルギーバンド図である。
【図5】本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図である。
【図6】1つの量子ドットおよびその周辺のエネルギーバンド図である。
【図7】本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図を模式的に示す図である。
【図8】マトリクス層を酸化シリコン(SiO2)とした場合(比較例)の光電変換装置のエネルギーバンド図である。
【図9】超格子構造を模式的に示した断面斜視図である。
【図10】ミニバンドが形成された場合のエネルギーバンド図である。
【図11】1つの量子ドットおよびその周辺の他のエネルギーバンド図である。
【図12】1つの量子ドットおよびその周辺の他のエネルギーバンド図である。
【図13】本実施の形態の光電変換装置のコア材料、シェル材料およびマトリクス材料として使用可能な材料の一例を示す図表である。
【図14】本実施の形態の光電変換装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】太陽電池(光電変換装置)を適用した電卓を示す平面図である。
【図16】太陽電池(光電変換装置)を適用した携帯電話機を示す斜視図である。
【図17】電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0017】
<光電変換装置の構成>
図1は、本実施の形態の量子ドット型の光電変換装置(光電変換素子、太陽電池)の構成を示す断面図である。図2は、図1の量子ドットdの構成を示す断面図である。
【0018】
図1に示す光電変換装置は、いわゆるpin構造の装置であり、p層、i層およびn層が順次積層された構成を有する。具体的には、図示するように、基板1上に、透明電極3、p型(第1導電型)のアモルファスシリコン層5、i層7、n型(第2導電型)のアモルファスシリコン層9および上部電極11が順次積層されている。
【0019】
i層(光電変換層)7は、i型のアモルファスシリコン層(第1材料)7aと、その中に分散状態で含有された量子ドット(QD、ナノ粒子)dよりなる。この量子ドットdは、図2に示すように、コア−シェル構造であり、粒状の材料(第2材料)からなるコアcと、コアの外周を被覆する材料(第3材料)からなるシェルsとを有する。コアcは、具体的に、半導体(化合物半導体を含む)で作られた微小な粒子であり、数百から数百万個の原子が集まったものである。特に、本明細書においては、粒径が1nm以上20nm以下のコアcを有するものを「量子ドット」と言う。また、コアcの結晶状態としては、単結晶、多結晶またはアモルファス状態のいずれでもよい。コアcを被覆するシェルsの材料は、以下に説明するバンドギャップの関係を満たす材料であればよく、例えば、絶縁体などを用いることができる。また、シェルsの膜厚は、例えば、0.5nm〜10nmであり、後述する量子井戸内の電荷(電子又はホール)がトンネル可能な膜厚である。
【0020】
量子ドットdの周囲をとり囲む層(以降、この層を「マトリクス層」と呼ぶことがある。図1においては、i型のアモルファスシリコン層7aである。)mとのバンドギャップの関係は、次のとおりである。シェルsのバンドギャップE3は、マトリクス層mのバンドギャップE1より大きく、また、コアcのバンドギャップE2より大きい(E3>E1、E3>E2、図6参照)。これらの関係については、追って詳細に説明する。
【0021】
また、基板1としては、例えば、光透過性の石英ガラス基板を用いる。この他、ソーダガラス基板などの他のガラス基板、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)などの樹脂を用いた樹脂基板やセラミックス基板などを用いてもよい。
【0022】
透明電極3としては、例えば、インジウムを添加した酸化錫(ITO:Indium Tin Oxide)を用いる。この他、フッ素ドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化錫(SnO2)などの他の導電性の金属酸化物を用いてもよい。このような透明電極を用いることにより、基板1の裏面側(図中下側)からの光の透過性を向上させることができる。
【0023】
第1、第2導電型は、p型又はn型であり、p型の場合は、ホウ素などのp型不純物を、n型の場合は、リンなどのn型不純物を有する。i型(真性、intrinsic)とは、不純物が注入されておらず、p型またはn型の層と比較し、不純物濃度が低い層を意味する。
【0024】
金属電極11の材料としては、例えば、Al(アルミニウム)を用いる。この他、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)などの金属材料を用いることができる。また、これらの合金を用いてもよい。また、前述の導電性の金属酸化物を用いてもよい。
【0025】
このように、本実施の形態においては、i型のアモルファスシリコン層(マトリクス層m)7a中に量子ドットdを含有させているため、光電変換効率の向上を図ることができる。光電変換効率の向上が図られる理由については、(1)量子サイズ効果および(2)複数エキシトン生成効果に起因するものと考えられる。以下、これらについて詳細に説明する。図3および図4は、複数エキシトン生成効果を説明するためのバルクの場合又は量子ドットの場合のエネルギーバンド図である。なお、バンド図において黒丸は電子(e)を白丸はホール(h)を示すものとする。
【0026】
(1)量子サイズ効果
光電変換においては、光のエネルギーを吸収した電子(キャリア)が、バンドギャップEgを越えて価電子帯と伝導帯の間を遷移し、電気エネルギー(電力)として取り出される。一般的に、半導体ナノ粒子では粒径が小さくなると、バンドギャップが大きくなることが知られている(特許文献1参照)。これを量子サイズ効果と呼び、、これにより、例えば、太陽光スペクトルにおいてエネルギーの大きな紫外光領域、可視光領域や赤外光領域などの特定の波長(例えば、400nm〜800nm)にあわせてバンドギャップを調整することができる。その結果、光を効率良く電気エネルギーに変換することができる。また、バンドギャップの異なる光電変換部を積層することにより、可視光領域や赤外光領域などに限らず太陽光スペクトルの各種波長の光を効率良く電気エネルギーに変換することができる。
【0027】
(2)複数エキシトン生成効果(MEG:Multiple Exciton Generation)
図3に示すように、バルクの半導体においては、キャリア(電子)は、光エネルギー(E=hν=hc/λ、h:プランク定数、ν:振動数、c:光の速さ、λ:波長)を受け、価電子帯に遷移し、電気エネルギーとして取り出される。ここで、バンドギャップEgより光エネルギーhνが大きい場合(hν>Eg)、キャリアは価電子帯の上部まで遷移するものの、Egを超えた余分なエネルギーは速やかに格子系に熱として移動して、より安定的な価電子帯の下部まで移動する。つまり、Egを超えたエネルギーは熱として失われる。したがって、1つの光子によって1つのキャリアしか生成できない。なお、励起された電子に対しホールは残存するため、これらの対をエキシトン(exciton、励起子)という。
【0028】
これに対し、図4に示すように、量子ドットdを用いた場合、量子ドットdのバンドギャップEgとその周囲を取り囲む層(コア-シェル構造の量子ドットdの場合、シェルsが対応する)のバンドギャップEgsとの差(Egs>Eg)により量子井戸が形成される。この量子井戸により電子の移動方向が三次元的に制限される。また、この量子井戸中に形成される電子軌道は連続的ではない。そのため、バンドギャップEgより光エネルギーhνが大きい場合(hν>Eg)に、上位の軌道まで励起された電子が、バンドギャップの上端まで落ちる際に、格子系にエネルギーを熱として与えて緩和する過程が非常に遅くなる。その結果、同じ量子井戸中の別の電子との相互作用が相対的に強くなり、バンドギャップの上端まで落ちる際に別の電子にエネルギーを与える確率が強くなる。この時、当該光エネルギーhνがバンドギャップの2倍より大きい場合(hν>2Eg)には、更なる電子がバンドギャップを超えてエキシトンを生成することができるようになる。よって、1つの光子から複数のキャリア(例えば、電子)を生成することができる。したがって、これらを電流として取り出すことにより光電変換効率を向上させることができる。
【0029】
以上(1)および(2)を通じて詳細に説明したように、量子ドットdを含有させることで光電変換効率の向上を図ることができる。
【0030】
さらに、本実施の形態においては、コア-シェル構造の量子ドットdを用い、マトリクス層m(E1)、コアc(E2)およびシェルs(E3)のバンドギャップの関係を、E3>E1、E3>E2としたので、量子井戸からシェルsの外へのトンネル効果による電荷の移動が可能となり、シェルsの外、即ち、マトリクス層m中を通って電荷を容易に取り出すことができる。その結果、更なる光電変換効率の向上を図ることができる。以下、図5から図10を参照しながら当該効果について説明する。図5は、本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図であり、図6は、1つの量子ドットおよびその周辺のエネルギーバンド図である。図7は、本実施の形態の光電変換装置のエネルギーバンド図を模式的に示す図である。また、図8は、マトリクス層を酸化シリコン(SiO2)とした場合(比較例)の光電変換装置のエネルギーバンド図である。図9は、超格子構造を模式的に示した断面斜視図であり、図10は、ミニバンドが形成された場合のエネルギーバンド図である。
【0031】
図5および図6に示すように、本実施の形態の光電変換装置においては、コアc(E2)とシェルs(E3)とのバンドギャップ差で量子井戸が形成される。また、比較的薄いコアc(E2)とマトリクス層m(E1)とのバンドギャップ差により、トンネル可能な障壁が形成される。
【0032】
したがって、図5に示すように、量子井戸内に遷移した電荷(電子又はホール)は、上記障壁をトンネルし(矢印t)、コアcの外に放出される。コアcの外のマトリックス層mには、pin構造で形成される内部電場があるため、放出された電子またはホールはこの内部電場によってn層、またはp層に向かって移動して、電荷を取り出すことができる。なお、図5においては、トンネルした電荷の隣には、別の量子井戸があって、電荷移動の障壁になるような記載になっているが、pin構造の断面を二次元的に見れば、図7に示すように障壁はなく、量子井戸間のマトリクス層を通り容易に電荷が流れる。その際、他の量子ドットのシェルによって多少の散乱を受けるが、他の量子ドットのコアにトラップされることはない。このような構造の場合、後述のような量子ドットを規則正しく並べてミニバンドを形成する必要がなく、量子ドットのサイズばらつきも特に問題になることが少ないため、後述の比較例に比べて有利となる。
【0033】
これに対し、シェルs部を設けずコアc部のみの量子ドットに対し、シェルsの材料(例えば、酸化シリコン膜SiO2)をマトリクス層とした場合(比較例、図8)においては、量子井戸間に、厚いマトリクス層mが存在するため、トンネル現象が起こる確率は非常に低い。コアc部を非常に蜜に配置すればコアc部間のマトリクス層mの厚さが十分に薄くなり、トンネルは起こりやすくなるが、この場合でもコアc部で生成された電子−ホール対をn層とp層に運んで取り出すには、トンネルを何度も繰り返す必要があり、実際には取り出しは困難である。また、発生した電荷(電子又はホール)が、熱励起などにより量子井戸を超え、量子井戸の外へ抜ける確率も非常に低い。
【0034】
そのため、これまでの研究では図9に示すように、量子ドットdがマトリクス層(SiO2)m中に、縦横および上下に規則正しく並んだ構造(超格子:supper lattice)とすることにより、励起された電荷を、図10に示すようにミニバンドを通じて外部に取り出すことが提案されている。しかしながら、量子ドットdを規則正しく配列させることは容易ではない。
【0035】
これに対し、本実施の形態によれば、前述したとおり、コア−シェル構造の量子ドットdを用い、量子井戸内の電荷をシェルsによるエネルギー障壁を一回だけトンネルさせることで取り出すことができ、容易な構成で光電変換効率の向上を図ることができる。
【0036】
図11および図12は、1つの量子ドットおよびその周辺の他のエネルギーバンド図である。図6においては、コアc(E2)とマトリクス層m(E1)とのバンドギャップをE2>E1としたが、この関係に限定されず、例えば、図11に示すように、E2<E1としてもよく、E2=E1としてもよい。また、図12に示すように、量子井戸の深さが上下(電子側とホール側)で異なっていてもよく、E3>E1およびE3>E2を満たしていれば良い。但し、量子井戸を囲むシェルsのエネルギー障壁E3が、E2の2倍以上あることが好ましい。この場合、MEGが生じやすくなるため、光電変換効率の更なる向上を図ることができる。
【0037】
また、コア材料、シェル材料およびマトリクス層材料については、上記バンドギャップの関係を満たす限り特に制限はないが、コア材料とマトリクス層材料は、なるべく同程度のバンドギャップを持つ半導体材料を、シェル材料には、バンドギャップが3eV以上のワイドギャップ半導体または絶縁体材料を用いることが好ましい。また、シェル材料のバンドギャップは、コア材料のバンドギャップの2倍以上であることがさらに好ましい。また、コア材料においては、半導体の中でも、なるべく吸収係数の大きい半導体を、マトリクス層材料としては、半導体の中でも、なるべく(少なくともコア材料よりも)吸収係数の小さい半導体を用いることが好ましい。この場合、コアでの光吸収係数が、マトリクス層での光吸収係数より大きくなり、コアでの光吸収が優先となる。よって、コアでの電荷の励起やMEGの確率が上昇し、光電変換効率の向上を図ることができる。
【0038】
図13に、本実施の形態の光電変換装置のコア材料、シェル材料およびマトリクス材料として使用可能な材料の一例を示す。a−はアモルファスを、c−は結晶(単結晶、多結晶、微結晶を含む)を表わす。
【0039】
図示するように、使用可能なコア材料としては、a−Si、c−Si、a−Ge、c−Ge、PbS、PbSe、GaAs、ZnSe、β−GeSi2などが挙げられる。使用可能なシェル材料としては、SiO2、SiN、SiONなどの絶縁膜や、SiC、GaNなどのワイドギャップ半導体など、また、ITO、FTO、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ZnO、SnO2などの光透過性の導電性膜などが挙げられ、バンドギャップ(Eg)が3eV以上の半導体や絶縁体などを用いることができる。また、マトリクス材料としては、a−Siやc−Siを用いることができる。なお、c−Siには、単結晶の他、多結晶(poly−Si)や微結晶(μc−Si)を含む。
【0040】
より好ましい組み合わせとしては、コア/マトリクスの前者が、「Ge、PbS、PbSe、β−FeSi2」のいずれかと、後者が、c−Si又はa−Siの組み合わせ、この他、前者がa−Siで、後者が、c−Si又はa−Siの組み合わせ、また、前者が、3μm以下の粒径のc−Siで、後者が、c−Siの組み合わせなどが挙げられる。
<光電変換装置の製造方法>
次いで、上記光電変換装置の製造方法について説明する。例えば、コア材料としてGeを、シェル材料としてSiO2を、マトリクス材料としてアモルファスシリコンを用いた上記光電変換装置を例に説明する。図14は、本実施の形態の光電変換装置の製造工程を示す断面図である。
【0041】
図14(A)に示すように、基板1として例えば、石英ガラス基板を準備し、基板1上にITO膜をスパッタリング法により堆積した後、必要に応じてパターニングすることにより透明電極3を形成する。
【0042】
次いで、透明電極3上に、p型のアモルファスシリコン層5を形成する。例えば、シリコンの前駆体液(液体シリコン材料)に例えば、ホウ素などのp型不純物を加えた不純物添加前駆体液を用いて形成する。「前駆体液」とは、特定物質を得るための前段階の物質を言い、ここでは、シリコン層を得るための液体シリコン材料をいうものとする。シリコンの前駆体液としては、例えば、シクロペンタシラン(Si5H10)に紫外線を照射するなどして、重合させてポリシランとしたものを有機溶媒で希釈した溶解液体を用いる。この不純物添加前駆体液を、透明電極3上にスピンコート法で塗布する。次いで、熱処理を施し、アモルファス化(固化、焼成)する。なお、スピンコート法の他、スプレー法、インクジェット法等の他の吐出方法を用いてもよい。
【0043】
次いで、量子ドットdを分散させたシリコンの前駆体液L7を調整し、p型のアモルファスシリコン層5上に塗布する。液体シリコン材料としては、前述のポリシラン溶液を用いることができる。また、量子ドットdとしては、例えばゲルマニウム(Ge)のナノ結晶の外周がSiO2で覆われたコア−シェル構造の量子ドットdを用いる。このような量子ドットは、例えば、分子線エピタキシーや化学蒸着、また、ガス中蒸着法、ホットソープ法、コロイド湿式化学法などを用いてコア部およびその外周のシェル部の製造が可能であり、例えば、カンタムドット社やエビデントテクノロジー社によってコア−シェル構造の量子ドット分散液が製造・販売されている。
【0044】
このような、コア−シェル構造の量子ドットdを製造又は入手し、上記シリコンの前駆体液に分散させる。次いで、量子ドットd含有シリコンの前駆体液L7を、p型のアモルファスシリコン層5上にスピンコート法で塗布する。次いで、熱処理を施し、アモルファス化する。なお、スピンコート法の他、スプレー法、インクジェット法等の他の吐出方法を用いてもよい。これにより、コア−シェル構造の量子ドットdが分散状態で含有されたi型のアモルファスシリコン層7aが形成される(図14(B))。
【0045】
次いで、図14(C)に示すように、i型のアモルファスシリコン層7a上に、n型のアモルファスシリコン層9を形成する。例えば、黄燐(P4)等のn型不純物を加えたシリコンの前駆体液(例えば、前述のポリシラン溶液)を用いて形成する。この前駆体液を、i型のアモルファスシリコン層7a上にスピンコート法で塗布した後、熱処理を施し、アモルファス化する。
【0046】
なお、上記p型およびn型のアモルファスシリコン層(5、9)は、CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成してもよい。また、イオン注入法により不純物の注入を行ってもよい。また、各層(5、7、9)を塗布、乾燥した状態で積層し、一括焼成してもよい。
【0047】
次いで、n型のアモルファスシリコン層9上に金属電極11としてAl膜を形成する。例えば、n型のアモルファスシリコン層9上に、Alをスパッタリング法により堆積し、必要に応じてパターニングすることにより金属電極11を形成する。以上の工程により、本実施の形態の光電変換装置が形成される。
【0048】
なお、本実施の形態の光電変換装置の製造方法は上記の方法に限定されるものではないが、上記製造工程によれば、量子ドットを分散させた半導体の前駆体液を用いてi層を形成したので、簡易に光電変換装置を形成することができる。また、低コストで光電変換装置を製造することができる。
【0049】
なお、本実施の形態においては、シリコンの前駆体液として、シクロペンタシラン(Si5H10)を用いたが、他のケイ素化合物を重合させて用いても良い。
【0050】
<電子機器>
上記光電変換装置は、各種電子機器に組み込むことができる。適用できる電子機器に制限はないがその一例について説明する。
【0051】
図15は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した電卓を示す平面図、図16は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
【0052】
図15に示す電卓100は、本体部101と、本体部101の上面(前面)に設けられた表示部102、複数の操作ボタン103および光電変換素子設置部104とを備えている。
【0053】
図15に示す構成では、光電変換素子設置部104には、光電変換素子1が5つ直列に接続されて配置されている。この光電変換素子1として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0054】
図16に示す携帯電話機200は、本体部201と、本体部201の前面に設けられた表示部202、複数の操作ボタン203、受話口204、送話口205および光電変換素子設置部206とを備えている。
【0055】
図16に示す構成では、光電変換素子設置部206が、表示部202の周囲を囲むようにして設けられ、光電変換素子1が複数、直列に接続されて配置されている。この光電変換素子1として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0056】
なお、本発明の電子機器としては、図15に示す電卓、図16に示す携帯電話機の他、例えば、光センサー、光スイッチ、電子手帳、電子辞書、腕時計、クロック等に適用することもできる。
【0057】
図17は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、表示部1101を備え、例えば、この表示部1101の外周に、上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0058】
また、上記光電変換装置は、低コスト化、量産化に適し、家庭用又は業務用の太陽光発電システムに用いても好適である。
【0059】
なお、上記実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1…基板、3…透明電極、5…p型のアモルファスシリコン層、7…i層、7a…i型のアモルファスシリコン層、9…n型のアモルファスシリコン層、11…上部電極、100…電卓、101…本体部、102…表示部、103…操作ボタン、104…光電変換素子設置部、200…携帯電話機、201…本体部、202…表示部、203…操作ボタン、204…受話口、205…送話口、206…光電変換素子設置部、1100…腕時計、1101…表示部、c…コア、d…量子ドット、L7…量子ドットを分散させたシリコンの前駆体液、m…マトリクス層、s…シェル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1材料中に複数のナノ粒子が分散状態で含有した光電変換層を有する光電変換装置であって、
前記ナノ粒子は、粒状の第2材料および前記第2材料を被覆する第3材料を有し、
前記第3材料のバンドギャップE3は、前記第1材料のバンドギャップE1より大きく、かつ、前記第2材料のバンドギャップE2より大きい、光電変換装置。
【請求項2】
前記第1材料および第2材料は、半導体である請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第3材料は、絶縁体である請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2材料は、Ge、PbSおよびPbSeのいずれかである請求項1乃至3のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第1材料は、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、またはこれらの複合体である請求項1乃至4のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第3材料は、酸化シリコンである請求項1乃至5のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第2材料の吸収係数が、前記第1材料の吸収係数より大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項8】
更に、p型半導体層およびn型半導体層を有し、
前記p型半導体層と前記n型半導体層との間に前記光電変換層を有する請求項1乃至7のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項記載の光電変換装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第1材料中に複数のナノ粒子が分散状態で含有した光電変換層を有する光電変換装置であって、
前記ナノ粒子は、粒状の第2材料および前記第2材料を被覆する第3材料を有し、
前記第3材料のバンドギャップE3は、前記第1材料のバンドギャップE1より大きく、かつ、前記第2材料のバンドギャップE2より大きい、光電変換装置。
【請求項2】
前記第1材料および第2材料は、半導体である請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第3材料は、絶縁体である請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2材料は、Ge、PbSおよびPbSeのいずれかである請求項1乃至3のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第1材料は、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、またはこれらの複合体である請求項1乃至4のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第3材料は、酸化シリコンである請求項1乃至5のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第2材料の吸収係数が、前記第1材料の吸収係数より大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項8】
更に、p型半導体層およびn型半導体層を有し、
前記p型半導体層と前記n型半導体層との間に前記光電変換層を有する請求項1乃至7のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項記載の光電変換装置を有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−206004(P2010−206004A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50922(P2009−50922)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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