説明

光電構成素子およびその製造方法

本発明は、基板(1)と、アノード(2)およびカソード(10)と、該アノードとカソードの間に配置された少なくとも1つの活性層(6)とを有する光電構成素子に関する。アノード(2)のカソード側表面上は、酸化金属、窒化金属または酸化窒化金属を含有するか、またはそれらからなる非結晶誘電層(3)が直接配置されている。酸化金属、窒化金属または酸化窒化金属に含まれる金属は、アルミニウム、ガリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタン、および亜鉛からなる群の1つまたは複数の金属から選択されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電構成素子、とりわけアノードの上に非結晶誘電層が配置された有機光電構成素子に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許願は、ドイツ特許出願102009019520.3およびドイツ特許出願102009022900.0の優先権を主張するものであり、その開示内容はここに参照として取り入れる。
【0003】
たとえば発光ダイオード、赤外線発光ダイオード、有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、または官能層を有する有機光検出器のような光電構成素子の効率と寿命は、短絡の発生によって大きく低減されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願102009019520.3
【特許文献2】ドイツ特許出願102009022900.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、短絡に対する脆弱性を緩和することのできる光電構成素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項による光電構成素子、およびその製造方法によって解決される。光電構成素子ならびにその製造方法のさらなる構成および改善形態は従属請求項の対象であり、以下の説明および図面から明らかとなる。
【0007】
本発明による光電構成素子は、基板、アノード、カソード、およびアノードとカソードの間に配置された少なくとも1つの活性層、たとえば発光層を有する。さらにアノードのカソード側表面の上には非結晶誘電層が直接配置されている。この層は酸化金属、窒化金属および/または酸化窒化金属を含むか、またはそれらからなる。ここで酸化金属、窒化金属、酸化窒化金属に含まれる金属は、アルミニウム、ガリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタンおよび亜鉛からなる群の1つまたは複数の金属から選択される。
【0008】
ここおよび以降で、層またはエレメントが、別の層または別のエレメントの「上」に配置されていることは、ここでは、その層またはエレメントが、他の層または他のエレメントの上に機械的および/または電気的に接触して(したがって直接)配置されていることを意味する。さらにこのことは、層またはエレメントが、他の層または他のエレメントの上に直接配置されていることを意味する。ここで別の層および/またはエレメントは、一つの層と別の層の間に、または一つのエレメントと別のエレメントの間に配置することができる。
【0009】
1つの層またはエレメントが、2つの別の層またはエレメントの間に配置されていることは、ここおよび以降で、1つの層またはエレメントが、2つの別の層の1つまたは2つの別のエレメントの1つに機械的および/または電気的に直接接触しているか、あるいは2つの別の層の1つまたは2つの別のエレメントの1つに間接的に機械的および/または電気的に接触して直接配置されていることを意味する。ここで間接的な接触の場合、別の層および/またはエレメントは、1つの層と別の2つの層の少なくとも1つとの間に、または1つのエレメントと別の2つのエレメントの少なくとも1つとの間に配置することができる。
【0010】
「非結晶」層とは、X線回折(XRD)によって鮮鋭なブラッグ反射(または信号)が得られない層であると理解されたい。とりわけこの非結晶層内には、ショートレンジオーダの範囲内で最大で4つ、通例は最大で3つの平行グリッド面が存在する。したがって非結晶層とは、「結晶質」が2.5nmの最大直径を有する層であると理解される。さらに非結晶材料は、本発明の意味では、その非結晶材料の密度が、対応する完全な結晶天然材料よりも少なくとも10%、しばしば少なくとも15%、さらにしばしば20%以上少ないことを特徴とする(非常に高い密度の天然変異が複数回変異する場合)。たとえば鋼玉は3.99g/cmの密度を有し、非結晶酸化アルミニウムは本発明の意味で約2.8〜3.4g/cm、しばしば2.8〜3g/cmの密度を有する。ここで非結晶層の密度は、X線反射測定法(XRR)によって決定することができる。
【0011】
さらに非結晶誘電層とは、本発明によれば、層の片面または両面上の表面(すなわち誘電層のアノードまたはエミッタ層に向いた側)だけが全面で本発明の意味で非結晶である層を意味する。これは角度に依存するX線光電子分光器(XPS)によって証明することができる(ここでも表面近傍の領域に対しては鮮鋭な信号が存在しない)。
【0012】
本発明の誘電層を備える光電構成素子は、誘電層により短絡の頻度が格段に小さく、電流効率が向上していることを特徴とする。非結晶誘電層を使用することにより、非結晶誘電層を有しないものに対して、層内に垂直方向で粒界が形成されないという利点を有する。
【0013】
本発明によれば、これによりさらに短絡の頻度が格段に減少することが認識された。
【0014】
本発明の光電構成素子が有機発光ダイオードであれば、短絡数の減少がOLEDの面相でも認識できた。同じように形成され、誘電性非結晶層を有しないOLEDと比較して、本発明のOLEDは格段に均質な発光像を備え、「ブラックスポット」の数も対照OLEDに対して格段に減少し、ほとんどゼロである。ここで「ブラックスポット」とは、肉眼で可視である領域(最大直径が50μm以上のもの)と理解すべきである。
【0015】
非結晶誘電層の材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物であり、金属はアルミニウム、ガリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタンおよび/または亜鉛とすることができる。これらの化合物は、通例、化学式Mを有し、ここでMは金属、Eは酸素および/または窒素であり、mとnは整数である。ここで金属はとりわけ、酸化数II(亜鉛)、III(アルミニウム、ガリウム/ランタン)、IV(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)またはV(タンタルで存在し、これら金属の他の酸化数に対する(公式の)割合は最大2原子%、少なくとも0.5原子%以下、しばしばゼロである。したがって具体的な指数mとnは、酸素に対しては原子価2、窒素に対しては原子価3である(酸化物に対する前記一連の酸化数はたとえば化学式MO、M、MOおよびMである)。前記化合物はある程度の非化学量論を有することもでき、とりわけ(前記酸化数以外の金属原子と対応して)整数指数に対する偏差は通例は最大2パーセントである(M形の化合物の場合は非化学量論は、化合物M1.96の場合より大きくてはならない)。しかし好ましくは前記化合物は、非化学量論を有すべきではない。なぜなら、非化学量論の化合物の誘電率は、対応する化学量論の化合物に対して上昇し、非化学量論の大きさだからである。しかし誘電率の高い金属は、短絡の阻止にはさほど適しない。
【0016】
実施形態で、本発明の光電構成素子は正孔注入層を有し、この正孔注入層は誘電層の上(すなわちアノードとは反対の側)に直接配置されており、とりわけ5nm以下の厚さを有する。通例、正孔注入層の厚さは、少なくとも1nmであり、しばしばこの層の厚さは1〜2nmである。
【0017】
したがって誘電層を有しない従来技術による同じ構成素子に対して、正孔注入層の厚さを格段に低減することができる。本発明によれば、電流効率は実質的に同じままであり、発光像の均質性も同じであることが認識された。従来技術によれば、短絡を回避するためにしばしば厚さが400nm以上の正孔注入層が使用される。したがって本発明で使用される正孔注入層の厚さは、従来技術による同等の光電構成素子の通例の正孔注入層に対して、少なくとも90パーセント、しばしば少なくとも95パーセント、それどころか少なくとも97.5%も低減されている。したがってこの種の実施形態によれば、格別の材料節約が実現できる。とりわけ光電構成素子の全厚も格段に低減することができる。
【0018】
別の実施形態では、光電構成素子に含まれる誘電層が0.1〜100nmの厚さを有する。通例、0.1〜3nmの厚さ、とりわけ0.1〜1nm、たとえば0.5〜1nmが有意義である。
【0019】
誘電層がとくに薄いことにより、誘電層が厚いものより良好な電流効率が得られる。形成された正孔に対するトンネル確率が格段に高いからである。輝度も、層が非常に薄い場合には層が厚い場合よりも大きい。通例、OLEDとして構成された本発明の光電構成素子の輝度は、少なくとも1000cd/mであり、3000cd/m以上である。輝度効率は、10〜200mA/cmの電流密度において、通例は約5〜10cd/Aである。
【0020】
誘電層の厚さに対して重要なのは、層を施与する方法によって達成可能な層厚の均一性である。短絡に対する効率的な保護作用を実現するために、層はアノードの表面全体をできるだけ覆うべきであり、隙間がないようにすべきである。したがって層の均一性は、誘電層の施与方法に依存するだけでなく、その下にあるアノードの表面品質も関与する。この表面が細孔または刻み目を有していれば、好ましくは細孔表面を誘電層により完全に覆うか、または細孔をこれにより充填する方法を選択するのが好ましく、刻み目の場合にも誘電層内に隙間が発生しない。
【0021】
これを実現するために、使用される方法に応じて5〜15nmの層厚、またはそれ以上の層厚が必要になることもある。
【0022】
1つの構成では、光電構成素子の誘電層が酸化アルミニウム製であるか、またはそれを含む。
【0023】
この種の層はとりわけ容易に施与することができ、使用される出発材料も安価である。とりわけ酸化アルミニウムはとくに小さい誘電率を有する。
【0024】
別の実施形態では、アノードが透明な導電性酸化物、とりわけ酸化インジウムスズを含む。透明導電性酸化物(transparent conductive oxides、略してTCO)は透明で導電性の罪障であり、通例はたとえば酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カドニウム、酸化チタン、酸化インジウムまたは酸化インジウムスズ(ITO)のような酸化金属である。二基の金属酸化化合物、たとえばZnO、SnOまたはInの他に、三基の金属酸化化合物、たとえばZnSnO、CdSnO、ZnSnO、MgIn、GaInO、ZnInまたはInSn12または種々の透明導電性酸化物の混合物がTCOの群に属する。さらにTCOは必ずしも、化学量論的組成に対応せず、pドープまたはnドープされても良い。TCOがアノード材料として使用されれば、誘電層をとくに簡単に施与することができる。とりわけ光線放射がアノード側で行われる場合、光電構成素子のとくに高い透明度を達成することができる。しかし択一的に、アノードは金属を含むこともでき、とりわけ金属層を含むか、または金属層からなる。この種の電極の材料は、アルミニウム、バリウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、カルシウム、リチウムの群の1つまたは複数の金属ならびにそれらの化合物、とりわけ合金から選択することができる。
別の実施形態では、層厚の均一性が流伝送に直接接する層の表面構造に依存しない。とりわけ誘電層が施与される層の表面構造に依存せず、光電構成素子のアノードの表面構造に依存しない。したがって誘電層は、これがアノードの表面構造に少なくとも部分的にまたは近似的に従うことができるように構成することができる。このことは、誘電層のカソード側の表面が、誘電層とアノードとの間にある境界面の局所的構造に部分的にまたは近似的に従うことを意味する(そして誘電層の表面がアノードの表面をいわばシミュレートする)。
【0025】
誘電層のカソード側の表面がアノードと誘電層との間にある境界面に、すなわちアノードの表面構造に少なくとも部分的に従うことは、本発明によれば、誘電層のカソード側の表面も同様に局所的表面構造を有していることを意味する。ここで誘電層のカソード側の表面の局所的表面構造は、カソードに向いた側のアノード表面の局所的表面構造と同じまたは類似であって良い。ここで「同じ」または「類似」とは、アノードと誘電層のそれぞれカソードに向いた側の局所的表面構造が、隆起と窪みのような互いに対応する構造を備える同じまたは類似の高さプロフィールを有することを意味する。たとえばこの局所的表面構造はそれぞれ、横に並置された隆起と窪みを所定の特徴的シーケンスで有することができ、このシーケンスは、前記の局所的表面構造に対する隆起と窪みの相対的高度差を無視すれば同じである。言い替えると、他の平面の局所的表面構造に少なくとも部分的に従う表面は、それぞれ隣接する層の表面の局所的表面構造の隆起の上に配置された隆起または窪みの上に配置された窪みを有することができる。ここで1つの表面の隣接する隆起と窪みとの間の相対的高度差は、他の平面の局所的表面構造の対応する隆起と窪みの相対的高度差と異なっていても良いが、この相対的高度差もほぼ同じであることがしばしばである。
【0026】
アノードの表面構造が細孔および/または刻み目を有している場合、「同じ」または「類似」とは、誘電層のカソード側はこの細孔および/または刻み目をシミュレートする必要がないと理解される(ただし、しても良い)。上に述べたように本発明では、この種の構造素子において「隙間」が誘電層内に形成されておらず、アノードを完全に覆う層が得られれば十分である。
【0027】
言い替えると「部分的または近似的に従う」とは、誘電層の上側表面と、誘電層とアノードとの間の境界面が平行に、または少なくとも近似的に平行に延在していることを意味する。したがって誘電層は、アノードの表面構造に依存しない、または近似的に依存しない厚さを有することができる。
【0028】
したがって誘電層の層厚は、誘電層の全体厚で測定して最大で10%、しばしば5%以下の層厚変化を有することができる。このように層厚変化の少ない誘電層の構成は、「相似被覆」とも称することができる。
誘電層の層厚変化は、とりわけ非常に薄い層(とりわけ10原子層までの、または1nmまでの厚さの層)ではもちろん、それより大きくても良い。この種の薄い層では、層厚変化は±2原子層(通例は±1原子層)である。
【0029】
さらに誘電層は、少なくもいくつかの構造の寸法、とりわけアノードの表面構造の巨視的構造より小さい厚さを有することができる。ここで巨視的構造には、可視光によって分解可能な表面構造の(そしてたとえば傾斜、隆起、角度、稜、コーナー、窪み、溝、皺、孔等を有することのできる)構造が入る。これはとりわけ、ここで巨視的と称される構造は、約400nm以上の寸法を有することを意味する。それより小さい構造は、微視的構造と称される。とりわけ誘電層は、その寸法が誘電層の厚さより大きい、アノードの表面構造の微視的構造に従うことができる。
【0030】
誘電層の厚さは、カソードに向いた側のアノードの表面の孔には関係ない。とりわけ孔の直径(孔が瓶状の場合は孔の最小直径)が誘電層の層厚の2倍より大きい場合、層表面は均等であり、誘電層がアノードの表面構造に従うことにより、上の意味で誘電層とほぼ同じ層厚を施与することができる。誘電層の層厚が、これら孔の直径の半分より大きければ、この孔の表面構造に従うことなく誘電層は孔を覆うことになり、それにもかかわらず上記の意味で少なくともほぼ同じ厚さを有する。TCOアノード、とりわけITOアノードの平均粗度Raは、典型的には1.5nm以下であり、通例は2.5nmである。
【0031】
上記の条件に従う誘電層を施与することのできる方法は、原子析出(原子層デポジット、ALD)である。
【0032】
この種の方法により、個々の原子層が順次連続して析出され、形成された層の層厚は実質的に同じに留まる。なぜなら析出される原子層が(とりわけ前駆物質を適切に選択した場合、とりわけ立体的に特別の要求のない前記物質を選択した場合)、その下にある原子層またはその下にある被覆すべき表面を実質的に完全に覆うからである。ALDによって形成された層は、後方遮断部と孔表面を完全に覆っているという利点を有する。なぜなら、層形成が析出方向に依存しないからである(すなわち、析出される材料または前駆物質が、優先方向または優先空間セグメントから被覆すべき表面に、たとえばスパッタリングの場合のように照射されるのではない)。したがってまったく一般的に、孔およびアンダーカット内での層形成が施与方法に依存しない、誘電層を施与するための本発明の方法は好ましい。
【0033】
さらなる構成では、原子層析出がプラズマなしで実施される。これにより、形成された誘電層の層厚がとくに均一になる。プラズマ支援された原子層析出の場合、前駆物質とプラズマとの反応を排除することができないが(これはさらに気相での反応を引起し、完全には均一ではない単層を引き起こす)、プラズマなしのALDではそのようなことは生じない。したがって、とりわけ層厚が0.1から0.5nmと非常に薄い場合、プラズマなしのALDが多くの場合良い結果を生じる。
【0034】
通例、この種の層厚では、プラズマなしのALDによってのみ、アノード面を完全に被覆することができ、ある程度均一な層厚を実現することができる。
【0035】
原子層析出によって形成された誘電層は、ガス含有がない、または実質的にないことを特徴とする。とりわけ、層の析出の際に使用される担体ガスに起因するガス含有がない。層を施与するためのスパッタリングプロセスでは、常にこの種の含有物(たとえば担体ガスとしてのアルゴンの含有)が生じる。せいぜい、使用された前駆物質(たとえばメタン)に起因するガス含有が考えられるだけである。しかし原子層が連続的に析出されるので、プラズマなしのALDでもこの種の含有物は通例、見出されない。プラズマ支援されたALDの場合だけ、ガス含有物が形成される傾向がある(これは具体的に析出条件に依存する)。
【0036】
原子層析出は、とりわけ以下のように実施される。
【0037】
基板がこの上に配置された被覆すべき電極層とともにまず、ALDが実施される反応炉に供給される。次に基板または反応炉には吸収パルスが印加される(方法工程B1)。ここでは反応炉に前駆物質または酸化剤(あるいは酸化剤の代わりに還元剤)が供給される。酸化剤が必要なのは、層の所望の組成を得るために、前駆物質または前駆物質の成分の酸化が必要な場合(たとえば酸化金属層を作製する場合)である。
【0038】
還元剤が必要なのは、形成すべき層を得るために前駆物質または前駆物質の成分の還元が必要な場合、または形成すべき層が還元剤との反応により前駆物質金属に転移された成分を含む場合である。前駆物質あるいは酸化剤または還元剤は、通例、反応炉にガス状で供給される。吸収パルスの間、前駆物質あるいは酸化剤または還元剤を、被覆すべき表面上で吸収することができる。通例、表面の完全なまたは少なくともほぼ完全な被覆はこのガス状の化合物によって行われる。とくにスペースを取る置換基を備える前駆物質が使用される場合(たとえばそれぞれ3以上のC原子を備えるアルカリ基との金属アルカリ化合物)、表面の完全な被覆(この場合、表面はそれぞれのALDサイクルが完全に終了した後、完全な原子層になる)はいずれの場合でも保証されない。したがって多くの場合、スペースを取らない置換基を有する前駆物質を使用することに意味がある。なぜなら、「密なパッキング」が吸収された原子層に存在するからである。前駆物質に対する前記の実施は、前駆物質が以下に説明する反応パルスで初めて供給される場合にも当てはまる。
【0039】
吸収パルスの後、反応炉では洗浄および/または真空化工程が実施される(方法工程B2)。これにより、被覆すべき表面上で吸収されなかった分子が反応炉から実質的に除去される。洗浄ガスとして不活性ガスを使用することができる(たとえばアルゴン)。洗浄および/または真空化工程は、ある程度一定の洗浄ガス流が反応炉を流れ、吸収パルスの実施の前に存在していた圧力関係が再び連続的に形成されるように実施される。
【0040】
引き続き反応パルスが行われ(方法工程B3)、ここでは基板に酸化剤(または還元剤)を備える吸収された前駆物質が印加される。または基板上で前駆物質が吸収されない場合には、酸化剤(または還元剤)に前駆物質が印加される。第2の反応成分を反応パルスで供給することにより、前駆物質と酸化剤との反応、または前駆物質と還元剤との反応を行うことができる。これにより、(本発明の誘電層の)酸化金属または窒化金属または酸化窒化金属の単層が形成される。場合によりこのために、被覆すべき表面または反応炉を加熱し、前駆物質と酸化剤または還元剤の反応を熱的に支援することができる。
【0041】
反応パルスが行われた後、さらなる洗浄および/または真空化工程(方法工程B4)が実施され、反応パルス中に供給された成分の過剰分子が反応炉から除去される。
【0042】
ALDによって形成された所望の層を達成するために、吸収パルス、洗浄および/または真空化工程、反応パルスおよび第2の洗浄および/または真空化工程は、所望の数の原子層が析出されるまで(または所望の層厚に達するまで)所定の順序で順次繰り返される。
【0043】
1つの実施形態でALDプロセスは、層析出(方法工程B)または方法工程B1,B2,B3,B4の多重反復が少なくとも60℃の温度および/または最大50mbarの圧力で実施されるように行われる。一方では方法工程B2(吸収パルス)で行われる吸収が実際に単層を引き起こすことが保証されるように、プロセスパラメータが選択されれば、他方では方法工程B3(反応パルス)で完全な反応が行われる。さらに低い圧力(および場合によりそれより高い温度)により、使用される前駆物質あるいは酸化剤または還元剤がガス状で存在することを達成することができる。
【0044】
実施形態では、方法工程Bでの温度は80〜260℃である。このような反応範囲では、被覆すべき脆弱な表面が損傷しないことが保証される。被覆すべき表面として有機層(たとえば正孔注入層)が使用されるなら、この層の損傷を阻止するために、100℃の反応温度を上回ってはならず、好ましくは80〜100℃とすべきである。
【0045】
好ましくは方法工程Bは、最大5mbar、通例は0.1mbar以上の圧力で実施される。これによってもとくに「密に実装された」単層を吸収パルス中に発生できることが保証される。
【0046】
酸化剤としてはとりわけ水およびオゾン(しかし酸素または過酸化水素も)が考えられる。
【0047】
前記酸化剤は混合物(たとえば02/03混合物)で存在することもできる。水を酸化剤として使用する場合、吸収パルスで水が被覆すべき表面上で吸収され、反応パルスで前駆物質(たとえばトリメチルアルミニウム)に供給されるようにALD法が実施されるのがしばしばである。他の酸化剤が使用される場合、吸収パルスで前駆物質がしばしば吸収される。
【0048】
水が吸収パルスで供給される酸化剤として使用される場合、本発明によれば、被覆すべき表面上に水の単層が直接施与され、構成素子または被覆すべき表面自体が損傷することはない。ここでは、水が被覆すべき表面に、反応パルスで第2の化合物が供給される前に留まる時間は、水が被覆すべき層に拡散するのに必要な拡散時間より短くなければならない。このことは、処理工程B1とB2が5sより長く(たとえば100sより長く)持続しないことにより実現できる。ALDサイクルに対して通例は約10〜20sである短い総時間により、短い処理時間が可能になり、前記方法の高い経済性が達成される。
【0049】
前記酸化剤は、とりわけ酸化金属の作製のために使用される。
【0050】
本発明の方法に対する還元剤として、とりわけアンモニアが使用される。吸収パルスでは、前記物質(たとえば金属アミド)が表面上で吸収され、反応パルス中でアンモニアと反応する。このときに窒化金属が形成される。
【0051】
別の実施形態では、ALD法のための前駆物質として、金属アルカリ化合物、金属アルコキシド化合物、金属ジアルキルアミド化合物、および/または金属ハロゲン化合物が使用される。通例、使用される前駆物質は1種の置換基(したがってアルキル、アルコキシド、ジアルキルアミド、またはハロゲン化物)だけを有するが、混合システム(たとえばハロゲン化物とアルコキシド群を有する)を使用することもできる。
【0052】
酸化アルミニウム層を析出するために、アルミニウムアルカリ化合物(たとえばトリメチルアルミニウム)またはアルミニウムアルコキシド化合物(たとえばアルミニウムエトキシド)が使用される。酸化ガリウムに対しては、ガリウムアルキル化合物(たとえばトリメチルガリウム)またはガリウムハロゲン化物(たとえば塩化ガリウム)がしばしば使用される。酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化ハフニウムに対しては、金属ハロゲン化物(たとえばTiCl、ZrClまたはHfCl)または金属アルコキシド化合物(たとえばTi(OR)、Zr(OR)またはHf(OR))がしばしば使用される。タンタル酸化物の作製には、タンタルハロゲン化物(たとえばタンタル塩化物)がしばしば使用され、ランタン酸化物には対応するアルコキシド化合物またはハロゲン化合物が使用される。最後に酸化亜鉛層を作製するために、鉛アルキル化合物(たとえばジメチル亜鉛)または亜鉛ハロゲン化物(たとえば塩化亜鉛)が使用される。
【0053】
とりわけ亜鉛は元素形態で使用することもできる。金属窒化物の作製には、通例、対応する元素の金属ジアルキルアミド化合物(たとえばM(N(CH、ただしkとlは整数)が使用される。
【0054】
酸化窒化層の析出は、たとえば窒化層と酸化層を交互に析出することにより行うことができる。
【0055】
構成素子の基板は、とりわけ電子素子、とりわけ光電素子のための支持素子として適する。たとえば基板は、ガラス、水晶および/または半導体材料を含むか、これらから作製することができる。さらに基板は、プラスチックシートあるいは1つまたは複数のプラスチックシートを備えるラミネートを含むか、またはそれから作製することができる。プラスチックは、1つまたは複数のポリオレフィン、たとえばポリプロピレン(PP)より密度の大きいまたは小さいポリエステル(PE)を有することができる。さらにプラスチックは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチロール(PS)、ポリエステルおよび/または好ましくはポリカーボネート(PC)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)および/またはポリエチレンナフタレート(PEN)を有することができる。
【0056】
さらに基板は、金属とりわけ金属シートを有することができる。金属シートを含む、または金属シートとして実施された基板は、たとえばアルミニウムシート、銅シート、特殊鋼シート、またはそれらの組合せあるいは層積層体を有することができる。
【0057】
基板は上記材料の1つまたは複数の有することができ、透明に、部分透明に、または乳白色に実施することができる。
【0058】
本発明の光電構成素子は、とりわけ有機発光ダイオード(OLED)、有機フォトダイオード(OPD)、有機太陽電池(OSC)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、または集積回路(IC)、あるいは前記素子の複数の組合せを有することができ、またはそれらの素子の1つからだけ作製することができる。
【0059】
構成素子はさらに、少なくとも1つの有機官能層を備える官能層列を含むことができる。この層列はとりわけ、2つの電極間に配置されている。
【0060】
構成素子がたとえばPLED、OPDおよび/またはOSCを有する場合、官能層列は、構成素子の運転時に電磁光線を形成または検出するのに適した活性領域(たとえばエミッタ層)を有することができる。さらに構成素子はしばしば透明な基板を有する。
【0061】
さらに第1の電極および/または第2の電極は透明にすることができ、たとえばTCOを含むか、またはそれから作製される。この種の材料を備える電極は、とりわけアノードとして、すなわち正孔注入材料として構成することができる。さらに第1および第2の電極は、たとえばカソード材料として、すなわち電子注入材料として用いることができる金属を有することができる。カソード材料としてとりわけ、アルミニウム、バリウム、インジウム、銀、金、マグネシウム、カルシウムまたはリチウム、ならびにそれらの化合物、組合せおよび合金が有利である。その代わりにまたはそれに加えて、1つまたは2つの電極は組合せ、とりわけTCOおよび/または金属からなる層列を有することができる。
【0062】
少なくとも1つの官能層は、有機層、または複数の有機官能層の層列を含むことができる。たとえばここで有機ポリマー、有機オリゴマー、またはポリマーでない(モノマー)、小さい分子(小分子)あるいはそれら複合クラスの組合せを含むことができ、または層はこれら複合クラスまたはそれらの混合物からなることができる。
【0063】
有機電子構成素子として実施された構成素子が、正孔輸送層として実施された官能層を有し、これによりたとえばOLEDの場合、電子発光層または電子発光領域への効率的な正孔注入を可能にするととくに有利である。
【0064】
さらに活性層は、電子発光層として実施することができる。そのための材料として、蛍光または燐光発光に基づき光線を放射する材料が適し、層はこれらの材料からなるか、または発光材料をマトリクスに含む。このエミッタ層内の材料に依存せずに、形成された光線は紫外線から赤スペクトル領域までの波長領域を有することができる。
【0065】
1つまたは複数のOLEDを有する構成素子は、たとえば照明装置として、またはディスプレイとして構成することができ、大面積に構成されたアクティブ発光面を有することができる。ここで「大面積」とは、構成素子が、数mm以上の面積、好ましくは1cm以上、とくに好ましくは10cm以上の面積を有することを意味する。
【0066】
この種の大面積の発光面では、500時間の動作後にも1cm当たりのブラックスポットが1以下であるディスプレイを実現することができる。
【0067】
構成素子の前記実施形態は限定と理解すべきではない。むしろ構成素子は、当業者には公知のさらなる電子素子および/または機能層シーケンスを有することができ、したがってここではそれ以上説明しない。
【0068】
本発明のさらなる利点および有利な実施形態は、図に関連して説明する以下の実施形態から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明による光電構成素子の実施形態に関する概略図である。
【図2】本発明による光電構成素子の実施形態に関する概略図である。
【図3】アノード層の上の誘電層の部分を示す概略図である。
【図4】アノード層の上の誘電層の部分を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、有機発光構成素子の構造を概略的に示す。下から上に以下の層構造が実現されている。一番下には、たとえば透明にすることのできる基板1、たとえばガラスがある。その上には、たとえば透明な導電性酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)とすることができる、またはこれを含むことのできるアノード層2がある。このアノード層2の上には、たとえば酸化アルミニウム製の誘電層3が配置されている。その上には、たとえば第三アミン、カルバゾール誘導体、ポリアニリンまたはポリエチレンジオキシチオフェンから選択することのできる材料からなるか、またはそれを含むことのできる正孔搬送層4が配置されている。たとえばNPB(N,N’−ビス(ナフタ−1−yl)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン)、およびTAPC(ジ−[4−(N,N’−ジトリル−アミノ)−フェニル]シクロヘキサン)を挙げておく。正孔搬送層には活性層、OLEDの場合は有機エミッタ層6が続く。この種の有機エミッタ層は、発光物質として有機化合物または有機金属加工物を含むか、それからなることができる。
【0071】
最後にエミッタ層の上には、たとえば金属カソードまたは透明な導電性酸化物から作製されたカソードが配置されている(これはトップ/ボトムエミッタになる)。誘電層3の層厚はここでは建生場1.5nmであり、正孔搬送層4の層厚はたとえば15nmである。
【0072】
アノードとカソードの間に電圧を印加すると、電流が構成素子を通って流れ、有機活性層内では光子が放出され、この光子が光の形で透明なアノードと基板またはトップ/ボトムエミッタの場合には透明なカソードを介して構成素子を去る。実施形態ではOLEDは白色光を放射する。
【0073】
この場合、エミッタ層は、複数の異なる色(たとえば青と黄、または青、緑と赤)で発光する複数のエミッタ材料を含む。
【0074】
択一的にエミッタ層は、それぞれ前記の色の1つで発光する複数の部分層から形成することができる。
【0075】
この場合、種々の色の混合により、白の色印象を持つ光が放射される。択一的に、この層によって形成された一次放射の光線路中に変換物質を配置することができ、この変換物質が一次光線を少なくとも部分的に吸収し、別の波長の二次光線を放射する。したがって(まだ白ではない)一次光線から、一次光線と二次光線の結合によって白の色印象が生じる。
【0076】
図1に示した構成素子はたとえば、基板にまずアノードをスパッタリングし、続いてALDによって誘電層を施与することにより作製することができる。続いて正孔搬送層4、活性層(エミッタ層)6およびカソードが取り付けられる。
【0077】
図2はトップエミッタとして構成されたOLEDを示す。カソード10が透明であれば、これはトップ/ボトムエミッタである。
【0078】
ここでは基板1(たとえばガラス基板)の上にカソード10が配置される(カソード10はたとえば金属から作製されるか、または透明の電極が所望される場合にはTCOから作製される)。カソードの上には電子注入層9が配置されており、その上には電子搬送層8がある。電子搬送層8の上には正孔ブロック層7があり、その上には活性層(有機エミッタ層)6が配置されている。このエミッタ層は、図1で説明したように構成することができる。
【0079】
エミッタ層の上には正孔搬送層5があり、この正孔搬送層はたとえばTPBi(2,2’,2''−(1,3,5−ベンゼン−トリル)−トリ(1−フェニル−1−H−ベンゾイミダゾール))を含むことができる。正孔搬送層の上にはさらに、たとえば15nmの厚さの薄い正孔注入層4がある。正孔注入層4の上には誘電層3(たとえば酸化アルミニウム)があり、その上にはさらにたとえばTCOから作製されたアノードが配置されている。
【0080】
図2によるOLEDはたとえば、有機層4〜9を湿式プロセス(たとえばスピンコーティング)によって施与することにより作製することができる。このことは、施与すべき層がポリマーを含む場合にとくに有利である。択一的に、有機層を蒸着によって施与することもできる。このために、施与すべき基板を電極および誘電層とともに、種々の有機材料を種々の原材料で含むレシピエントに取り込む。個別の機能層を作製するために、それぞれの原材料から有機物質を蒸発させ、被覆された表面に析出する。さらに複数の原材料が、1つまたは複数の異なるマトリクス材料の供給のために準備される。たとえば正孔注入層の形成のためには、マトリクス材料の原材料とpドーパントの原材料を析出する。対応して、エミッタ材料とマトリクス材料または種々のエミッタ材料とマトリクス材料がエミッタ層6のために共通に析出される。対応して、さらなる有機層を析出することができる。最後に、ハイブリッドな析出も可能であり、ここでは第1の有機層がスピンコーティングによって施与され、別の有機層が蒸着によって施与される。
【0081】
図2の構成素子を作製するために、まず基板にHFスパッタリングによりITO層をカソードとして(トップ/ボトムエミッタの場合)、またはCVD(化学気相蒸着)によりアルミニウム層を施与することができる。このことの利点は、これが反射に作用することである。すなわち、活性層で放射される、基板の方向への光線がこの反射性の電極で反射され、透明電極の方向に偏向される。
【0082】
続いてこのカソードに、有機層9〜4(電子注入層9から始まり正孔注入層4で終わる)が施与される。続いて、正孔注入層の上にはALDによって誘電層(たとえば酸化アルミニウム)が施与され、すでに施与された有機層を傷つけないようにALD方は約90〜100℃の温度で実施される。最後にこの誘電層3の上に、スパッタリングによって透明アノード(たとえばITO)が施与される。
【0083】
図3には、光電構成素子の一部が示されており、これは誘電層3をアノード23に取り付けた後の状況を示す。図3から分かるように、誘電層3が施与されたアノード層2の表面は、粗い表面構造を有する。これはたとえばアノード層2が施与された方法によるものである。さらに基板1の表面11がアノード層の施与の際に汚染されていると、アノード層2の表面21が粗くなる。
【0084】
ここで誘電層3は、純粋な例として2個所が参照符合31により示された厚さを有する。図2から分かるように、誘電層3はアノード層2の表面21の表面構造に、一般的部分に説明したように従っており、そのため誘電層3の厚さ31はアノード層2の表面構造にはほとんど依存しない。ここで厚さ31の厚さ変化は10%以下である。図3に示されるように、誘電層3は、アノード層の表面構造21の微細的構造に少なくともほぼ従うことができるように形成されている。
【0085】
図4Aから4Cにはこの関連で、本発明の光電構成素子のアノード層2と誘電層3の表面構造の一部が示されている。ここでは純粋な例として種々の微細的構造が形成されている。
【0086】
図4Aで誘電層2の表面21は、直径と比較して格段に大きな深さを備える凹部を有する。誘電層3はアノード層2の表面構造21に従う。したがって開口部の表面全体に厚さの同じ移管した層が形成される。ここでは凹部の深さ対直径の比が変化する。
【0087】
図4Bではアノード層2が、突き出た部分領域を備える表面21を有する。一方、図4Cではアノード層2は下方に拡張した開口部(ボトルネックの形)を有する。誘電層3をアノード層2の表面のこの種の構造体に取り付けるには不利な角度であるが、誘電層の厚さは図3と同じようにほぼ一定に留まっている。誘電層がアノードを均等、均質かつ完全に覆うことにより、図4Bのようなダウンデポジットまたは図4Cのようなボトルネックの形でも、電極がアノードに至るまで打ち抜かれることを阻止することができ、これにより短絡の危険性が格段に低減される。
【0088】
本発明は、実施例に基づく説明によって限定されるものではない。むしろ本発明はいずれの新規の特徴、ならびに特徴のいずれの組合せも含むものであり、これらの特徴またはこれらの組合せが明示的に特許請求の範囲または実施例に記載されていなくても、とりわけ請求の範囲の特徴のいずれの組合せも含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(1)と、アノード(2)およびカソード(9)と、該アノードとカソードの間に配置された少なくとも1つの活性層(6)とを有する光電構成素子であって、
アノード(2)のカソード側表面上は、酸化金属、窒化金属または酸化窒化金属を含有するか、またはそれらからなる非結晶誘電層(3)が直接配置されており、
酸化金属、窒化金属または酸化窒化金属に含まれる金属は、アルミニウム、ガリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタン、および亜鉛からなる群の1つまたは複数の金属から選択されている光電構成素子。
【請求項2】
誘電層(3)の上に、20nm以下の厚さの正孔注入層(4)が直接配置されている、請求項1に記載の光電構成素子。
【請求項3】
誘電層は0.1〜100nm、とりわけ0.1〜3nmの厚さを有する、請求項1または2に記載の光電構成素子。
【請求項4】
誘電層(3)は酸化アルミニウムからなる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の光電構成素子。
【請求項5】
アノードは透明な導電性酸化物(TCO)、とりわけ酸化インジウムスズ(ITO)を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の光電構成素子。
【請求項6】
誘電層(3)の層厚の均一性は、該誘電層に直接接する層の表面構造、とりわけアノード(2)の表面構造に依存しない、請求項1から5までのいずれか一項に記載の光電構成素子。
【請求項7】
誘電層(3)の厚さ変動は最大で10%である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の光電構成素子。
【請求項8】
誘電層(3)は、原子層デポジット(ALD)、とりわけプラズマのない原子層デポジットによって作製可能である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の光電構成素子。
【請求項9】
OLEDとして構成されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載の光電構成素子。
【請求項10】
酸化金属、窒化金属または酸化窒化金属を含有するか、またはそれらからなる誘電層を備える請求項1から9までのいずれか一項に記載の光電構成素子用の電極、とりわけアノードの被覆方法であって、
金属Mは、アルミニウム、ガリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタン、および亜鉛からなる群の1つまたは複数の金属から選択されており、
A)上に電極層が配置された基板準備する工程と、
B)誘電層を原子層デポジット(ALD)によって析出し、電極層を誘電層により完全に覆う工程とを有する被覆方法。
【請求項11】
前記工程B)は、プラズマのない原子層デポジット(ALD)によって実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工程B)の間に、以下の部分工程を記載の順序で複数回順次繰り返す、
B1)基板に前駆物質または酸化剤または還元剤が印加される吸収パルス工程;
B2)洗浄工程または真空化工程;
B3)吸収された前駆物質と、酸化剤または還元剤を基板に印加する、または吸収された酸化剤または還元剤と、前駆物質を印加する反応パルス工程;
B4)洗浄工程または真空化工程;
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
工程B)は、少なくとも60℃、とりわけ80℃から260℃の温度、最大150mbarの圧力、とりわけ0.1mbarからmbarの圧力で実施される、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
酸化剤は、水、オゾン、酸素、過酸化水素、およびそれら物質の混合物からなる群から選択される、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前駆物質は、金属アルカリ化合物、金属アルコキシド化合物、金属ジアルキルアミド化合物、および/または金属ハロゲン化合物である、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2012−525692(P2012−525692A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507683(P2012−507683)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055289
【国際公開番号】WO2010/124979
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】