説明

光電池と一体にできるピラミッド型パターンを有する表面構造処理された透明シート

【課題】本発明は、少なくとも2つの平行な主たる縁(4、4’)を含み、且つ主表面の少なくとも1つに凹凸状で繰り返す、凹凸状をしたピラミッド型模様を有する透明パネル(2)に関する。
【解決手段】これらのピラミッド型模様はおのおの、頂点、底面、及び頂点を底面につなぐ一組の稜線を有し、これらの模様の少なくとも1つの稜線(5)は、パネルの基本平面におけるその投影が前記2つの平行な主たる縁に本質的に平行であるようなものである。このパネルは光電池(3)と、当該電池への光の透過を増大させるために、一体にすることができる。このパネルは、ホットローリングにより実現するのが特に容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つくり込まれた幾何学的表面模様で表面構造処理された(textured)シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第03/046617号パンフレットは、光電池、プラズマ放電フラットランプ、LCDスクリーン、太陽集熱器及びイメージプロジェクターに一体化される透明プレートの光透過を改善するための表面構造処理プレートの製造と使用を教示している。この表面構造処理の表面模様は、特に、プレートの表面構造処理面の基本平面に対し凹状であることができ、すなわちこれらはベースプレートにつくり込まれている。これらの表面模様は、特に、プレート上に所望の表面模様を型押しするローラーにより表面模様のないシートをホットロール処理することにより製造可能である。表面模様の性質により、これらは容易に製造できることもあり、製造が容易でないこともある。特に、ペースト状の材料はローリングロールに付着する傾向を持ち、肉眼でもわかる欠陥を生じることがときおり観察される。その場合、表面模様は正しく製造されず、加えてシートがローリングロールの周囲に巻き付く傾向がある。これが起こると、製造の停止が必要である。この粘着作用に対しては、生産速度を低下させて取り組むことができる。更に、表面構造処理プレートのつくり込まれた表面模様が最終用途において周囲空気と接触すると、これらはホコリ又はゴミで埋められる傾向があり、容易であれ容易でなくてもクリーニングしなくてはならない。これは、特に、表面構造処理プレートが戸外に設置された光電池の保護に使用される場合に言えることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上述の問題に解決法を与える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特に、少なくとも2つの平行な主たる縁を含み、且つ主表面の少なくとも1つに凹凸状に形成した、繰り返しのピラミッド型起伏表面模様(凹状又は凸状の表面模様)を有する透明プレートに関し、各表面模様は、頂点、底面、及び頂点を底面につなぐ一組の稜線を含み、そして前記表面模様の少なくとも1つの稜線は、プレートの基本平面におけるその投影が前記2つの平行な主たる縁に実質的に平行である。「稜線」という用語は、ここでは、頂点を底面につなぐピラミッドの辺の1つを表すのに使用される。従って、「稜線」という用語は、ピラミッドの底面の辺の1つを表すものではない。
【0005】
出願人は、上記で定義の少なくとも1つの稜線を適正に配置することが有利であることに気づいた。これは、ローリングロールの表面模様がペースト状態のプレートとより容易に接触しそこにつくられた圧痕を損なうことなくそれから分かれるようであるため、稜線は少なくとも2つの主たる縁と平行であるローリング方向にあることが有利であるからである。いずれにせよ、出願人は、全ての稜線がローリング方向に対し斜めになっている表面模様に比べ、これらの条件がより好ましい(肉眼で分かる幾何学的な欠点が少ない)ことに気づいた。
【0006】
・一方でプレートの基本平面に垂直でピラミッドの頂点を通る平面と、他方でピラミッド自体、との交点に位置する直線が、
・プレートの基本平面
とつくる角度が、起伏状の表面模様形成の特性にとって特に重要であるように思われる。
実際に、この角度が小さいことが好ましいようであり、その理由は、そうであればローリングロールとプレートとの相互圧入がより漸次に起こるように見えるからである。各表面模様で、雄のピラミッド(場合に応じ、それはローリングロール上にあったり、表面構造処理されるプレート上にあったりする)及び対応する雌のピラミッドは、より穏やかに、且つ一緒に粘着する傾向が低い状態で、互いから離れるようである。この効果は、表面構造処理プレートの凹状のピラミッドと凸状のピラミッドの製造の両方について認められた。このより良好に表面模様をつける作用により、製造速度を上げることができる。
【0007】
表面構造処理プレートへの凹状ピラミッドの製造(凸状ピラミッドを有するローリングロールによる)の場合、追加の効果が観察された。プレートを正面から観察する場合プレートは最終用途では2つの主たる縁が垂直に見えるよう配置されるので(プレートの基本平面は水平に対して例えば45°傾いている)、適正に配置された稜線も、正面から見て垂直に見え、そしてゴミ、ホコリ又は故意又は故意ではなく表面模様に浸透した液体、特に洗浄液を、除去するための溝として作用することができ、そしてそうするためにプレートを動かしたり取りはずしたりする必要がない。従って、凹状ピラミッドを備えたプレートは、これらの表面模様が本発明による向きに合わせてあれば、時間が経過しても汚れが少ない。
【0008】
従って、本発明はまた、繰り返しの凸状又は凹状(すなわち、つくり込まれた)ピラミッド型表面模様を有する透明プレートの使用にも関し、各表面模様はいくつかの稜線を有し、表面模様の少なくとも1つの稜線は、プレートを正面から観察するとき垂直に見え、表面模様の下半分にある。稜線は、表面模様の中心(すなわちピラミッドの頂点)を同じ表面模様の外面(すなわちピラミッドの底面)につなぐ線分であり、前記外面はプレートの基本平面にある。プレートに凹状ピラミッドを設ける場合は、表面模様の適正に配置された稜線はその下方部分にあり、重さの効果で前記稜線に沿って流れるゴミ又は他の異物を除去するための溝として作用する。この効果は、プレートの基本平面が水平に対して十分に傾いていればいつでも観察される。
【0009】
プレートは一般的に、水平に対し10°から90°の範囲の角度に、より一般的には20°から70°の範囲の角度に傾いている。この傾きの角度は、その地域の日射条件により選ぶことができる。
【0010】
本発明は、本発明によるプレートを製造する方法にも関する。この方法によると、表面模様のないプレートをその軟化温度に加熱し、そしてローリングロールの作用にかける。
好ましくは、ローリングロールは、ピラミッドが形成される点において、冷却ゾーンのガラスよりも低い線速度で駆動される。ロールには、その表面に、プレートに型押すべき表面模様がある。これらの表面模様は、プレートに凹状表面模様を製造するのが望ましい場合ロール上で凸状に見え、逆も同様である。この方法は、無機ガラス製のプレートと、ポリウレタン又はポリカーボネート又はメチルポリメタクリレートなどの熱可塑性ポリマーに適応可能である。従って、本発明は、当該表面模様のないプレートをその変形温度で、プレートに表面構造を型押するロールを用いてローリングすることによりプレートを製造する方法に関し、そのローリング方向は前記2つの主たる縁及び前記表面模様の少なくとも1つの稜線に平行である。
【0011】
シリカ系無機ガラス製のプレートの場合、プレートの表面構造処理は、ガラスが「凝固」する直前の、随意的な熱強化工程の際に実施してもよい。
【0012】
好ましくは、プレートの質量のほとんど(すなわち、少なくとも98wt%)又はプレート全体が、可能な限り高い透明度を有し且つ好ましくは用途に有用なスペクトルの部分、一般的に380から1200nmの範囲のスペクトルにおいて0.01mm-1未満の線吸収を有する1又は複数の材料から構成される。
【0013】
表面模様は、プレートの表面構造処理面の基本平面と底面を介して一緒になり、該底面は、直径が一般的に10mm未満、又は7mm未満である円内に内接される。好ましくは、前記表面模様の1つの底面を含むことのできる最小の円は、5mmの最大直径、特に0.001mmから5mmの範囲の、例えば1から5mmの範囲の最大直径を有する。
【0014】
好ましくは、表面模様は隣接している。表面模様は、それらの底面の少なくとも一部分において(プレートの表面で及び基本平面で)互いに接触している場合、隣接していると称される。
【0015】
表面模様は、三角形又は正方形又は長方形又は六角形又は八角形の底面などの、多角形の底面を持つピラミッドの形状を有し、凹状(プレートに窪みを形成する)又は凸状である。ピラミッドは一般的に、その頂点を通る対称軸を有する。好ましくは、ピラミッドの稜線のうちの2つは、プレートの基本平面へのその投影がプレートの2つの平行な主たる縁に実質的に平行であるようなものである。これは、特に、ピラミッドがその頂点を通りプレートの基本平面に垂直な対称軸を有する場合に当てはまる。これらの2つの稜線は、プレートに垂直な観察方向でピラミッドを見ている観察者には、ピラミッド全体を通過するために互いに整列しているように見える。
【0016】
好ましくは、ピラミッドは4つの側面(又は面)と4つの稜線を持つ。この場合、それはプレートにおいて、正面からプレートを見ている観察者に(水平の観察)、その稜線の2つが垂直であり且つそれらの両方でピラミッドの対角線を形成するように見えるように、方向付けされている。これらの2つの稜線は、正面からプレートを見ている観察者には互いに整列しているように見え、稜線の一方はピラミッドの下部にあり、他方は上部にある。
【0017】
前記ピラミッドのどの頂点の半角も70°未満であることが好ましく、好ましくは60°以下、例えば25°から60°の範囲である。頂点の半角は、ピラミッドの対称軸と、ピラミッドの表面に含まれ頂点を通過する直線との角度である。ピラミッドは、2つの対向する稜線の間の角度が2つの対向する側面の間の角度より大きいので、頂点の半角を多数有する。
【0018】
表面構造処理プレートは、光電池に供給する光束を増やすために日光の捕捉を改良するのに特に役立つことができる。本発明によるプレートは、非常にすれすれの光線(入射角が小さい)すら捕捉する。これらの光電池は、ポリビニルブチラール(PVB)又はエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)タイプの樹脂に封入されてもよい。この封入は、高温(樹脂を溶かすため)の加圧オートクレーブにおいて公知の方法で実施され、その結果として電池が閉じ込められた樹脂のシートが得られる。次いで、表面構造処理プレートを、光を捕捉し(周囲空気に面する側の表面構造で)シート中の電池へ光を送るために、このシートと並置する。電池を含むシートの反対面にはガラス板があってもよい。これらの構成要素を全て単一のオートクレーブ工程で組み合わせることが可能である。このような複雑な構造は、太陽エネルギーセンサーと防音壁の両方として機能できる。その防音効力は、使用される樹脂が「音響調節」タイプ、すなわち騒音を弱めるものである場合に更に良好である。
【0019】
従って、本発明はまた、本発明によるプレートと少なくとも1つの光電池を含み、プレートの表面構造が周囲空気に接触し(すなわち外側に向いている)、プレートと電池が互いに平行に配置されているアセンブリーにも関する。詳細には、光電池は樹脂に封入してもよく、樹脂はPVBでよい。更に、このPVBは騒音を弱めることができる。
【0020】
本発明は、本発明によるプレート/光電池アセンブリーを含む、少なくとも1つの光電池により光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置であって、表面模様の少なくとも1つの稜線が、プレートを正面から観察するとき垂直に、且つ表面模様の下半分に見え、前記表面構造が入射光に面する側にあり、前記プレートが水平に対し10°から90°の範囲の角度で傾いている装置にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】自然の日光を電気エネルギーに変換するアセンブリーを説明する図である。
【図2】凹状表面模様の稜線により得られる溝の効果を説明する図である。
【図3】凹状表面模様の稜線により得られる溝の効果を説明する図である。
【図4】本発明によるプレートの製造方法を説明する図である。
【図5】オートクレーブ中へ進む前のシートとプレートの積重体を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、自然の日光を電気エネルギーに変換するアセンブリーを示す。金属フレーム1が受光アセンブリーを水平に対してαの角度で傾いた位置に保ち、当該アセンブリーは光電池3の平面に配置された透明無機ガラス製の表面構造処理プレート2を含む。表面構造処理プレートは、2つの平行な縁4及び4’を有する。正面からアセンブリーを見ている観察者にとって、これらの2つの縁4及び4’は垂直に見える。表面構造処理プレートは、表面構造なしの同じ透明プレートに比べ、電池に伝えられる光強度を増加させる。従って、送り出される電気エネルギーは、表面構造が存在することによってより多くなる。この表面構造の起伏模様は、周囲空気に面する側、すなわち光を受け取る側にある。表面模様は隣接しており、凹状の(又はシートにつくり込まれた)繰り返しのピラミッド型表面模様が連続している。各ピラミッドは、頂点で一緒になる4つの側面と4つの稜線を持つ。これらのピラミッドは、プレートの縁4及び4’に対し斜めに向いている(底面の辺が縁4及び4’と45°の角度をなしている)。この向きのおかげで、正面からアセンブリーを見ている観察者にとって各ピラミッドの少なくとも1つの稜線は垂直に見え、ピラミッド(ここでは凹状ピラミッド)の下半分にある。この状況のおかげで、この稜線は、ピラミッド中の異物を除去する溝として作用することができる。
【0023】
図2及び3は、図示の手段により、凹状表面模様の稜線5により得られる溝の効果を説明するものである。図2(a)は、本発明により向きを定められた、すなわち正面からプレートを見ている観察者にとって稜線5が垂直に見え、且つプレートの2つの主たる縁4及び4’に平行であるように向きを定められた、凹状ピラミッド型表面模様を示している。図2(b)は、水平に対し45°傾いているプレート2において、AA’の断面に見える図2(a)の表面模様を示している。図2(b)の線AA’は、プレートの基本平面にあり、表面模様はこの平面に対し窪みとしてつくられている。稜線5は、ピラミッド中に存在する異物の除去が容易な方向で、下向きに傾いていることに留意されたい。それはピラミッドの下方部分に位置している。ピラミッドのこの幾何学形状のため、表面模様の上方部分に位置するもう一つの稜線7は、正面からプレートを見ている観察者にとって(眼8により表される水平の観察)、稜線5及び7が互いに整列しており、且つ図2(a)に示されるとおり垂直な線を形成するように見えるように、稜線5の延長部に沿って位置している。プレートの基本平面における稜線5の投影は、図2(b)の線AA’に沿って位置し、且つこの投影は、2つの平行な主たる縁4及び4’に平行である。
【0024】
比較のために、図3は、プレートの基本方向に対し斜めに向いている点を除き、正確に同じピラミッドを示している。この場合、正面からプレートを見ている観察者にとって稜線は垂直に見えない。正面の観察者にとって、稜線は縁4及び4’に平行には見えない。
ピラミッド中の異物は、下面6を滑り越えて除去しなければならない。しかし、垂直平面AA’の断面図(図3(b))は、面6が図2の場合の稜線5よりはるかに傾きが少ない(ほぼ水平ですらある)ことを示している。これが、図3に示す構成より、ピラミッド中の異物の除去にとって図2に示す本発明による「斜めピラミッド」の構成(すなわちプレートの縁4及び4’に対し斜め)がより好ましい理由である。この構成は、雨水の流出及びプレートのクリーニングにとってより好ましい。この構成はまた、ローリングによるプレートの製造にもより好ましいが、これは恐らく、表面模様から流出する液体と製造中のピラミッドにおける固体の型押しによる排除との作用の類似によるものである。
【0025】
・一方でプレートの基本平面に垂直でピラミッドの頂点を通る平面と、他方でピラミッド自体、との交点に位置する直線が、
・プレートの基本平面
とつくる角度は、稜線5(又は図3(b)の場合6)と図2(b)及び3(b)で線AA’と合わさるプレートの基本平面との角度であることが分かる。この角度は、本発明によるピラミッドの向きの場合かなり小さい(図2(b)の5を図3(b)の6と比較されたい)。起伏状表面模様を形成する特性にとっては、このより小さい角度が好ましい。
【0026】
もちろん、縁4と4’はそれらの向きを指示するように示されているが、これらの縁の間には多数の表面模様(一般的に数十の表面模様)があるので、4と4’との距離は図2(a)及び3(a)に見られるよりはるかに長い(図示した表面模様の大きさに比べ)。
【0027】
図4は、本発明による製造方法を示している。この図に示されている全てのものは、1000℃の炉(図示せず)内にある。ペースト状態の板ガラス8を、2つのロール9及び10の間でカレンダリングし、後者のロール(10)はその表面に凸状ピラミッドを有する。ガラスはこれら2つのロールの間でプレスされるので、その下面に凹状ピラミッドからなる表面構造を取り込む。次いで、ガラスはロール11のベッドの向こうへ送られてから冷却される。このガラスリボンの速度は3m/分である。表面構造処理ロール10の線速度は、ガラスリボンのそれより約20%小さく、すなわち約2.4m/分である。他の全てのロールの線速度はリボンの速度と同じである。実際には、リボンは他のロールにより引かれて炉の外へ出る。
【0028】
例を挙げると、図4のものに対応する製造で、2.4×2.4mmの正方形底面及び1.1mmの深さを持つピラミッドの場合、本発明によるピラミッドの向き(図2に示すとおり)が80%の収率の達成を可能にするのに対し、ピラミッドが図3に示す向きであると収率はわずか30%であることが分かった。この収率は製造収率である。この理由は、ロール11への通常の経路をたどる代わりに、ガラスリボンがロール10の周囲に巻き付く傾向があるという事実のため、ピラミッドの形状異常がやはり生じて、製造を停止する必要があるからである。
【0029】
図5は、オートクレーブ中へ進む前のシートとプレートの積重体を示している。プレート12は、Planiluxタイプの表面構造なしのガラスであり、その上に第1のPVBシートが配置されている。光電池14が2枚のPVBシート13及び15の間に配置されている。アセンブリー全体の上に、本発明による表面構造処理無機ガラスプレートがあり、その表面構造は周囲空気に面する側にある。オートクレーブを通過すると、電池はPVB中に封入され、PVBはガラスプレートに付着する。
【0030】
本発明の別態様によると、プレート上の表面模様を機能化させることが妥当なことがある。
【0031】
例を挙げると、特定の特性を与えることを意図した薄膜が表面上に被着され、特定の特性とは、例えば、どのような環境からの攻撃であっても、基材を可能な限り、すなわち長期にわたり表面及び外観性能を維持する目的で、清浄に保つことにあり、特にクリーニング作業の間隔をあけることを可能にする一方で、指紋又は大気中に存在する揮発性有機化合物などの特に有機性の汚染物質、又は更に公害のホコリ又は煤タイプの汚染物質などが、基材の表面上に絶え間なく被着すると同時に汚染物質を継続的に除去することにある。
【0032】
現在、好適な波長の放射線の作用下で、有機化合物を酸化させるラジカル反応を開始することのできる特定の金属酸化物系半導体物質が存在することが知られている。これらは、一般的に「光触媒」又は「光反応性」物質と呼ばれている。
【0033】
グレージング機能を有する基材の分野においては、著しい「汚れ防止」効果を有し工業規模で製造できる光触媒コーティングを基材上で使用することが知られている。これらの光触媒コーティングは一般的に、特に数(3又は4)nmと100nmの間の大きさの、好ましくは50nm付近の大きさの粒子の形態でコーティングに取り込まれている、少なくとも部分的に結晶化している酸化チタンを含み、これらは基本的にアナターゼ又はアナターゼ/ルチル型に結晶化している。
【0034】
酸化チタンは、その表面に被着した有機化合物を、可視又は紫外範囲の光の作用下で分解する半導体の部類に入る。
【0035】
従って、第1の代表的な態様によると、光触媒特性のあるコーティングは、TiO2ナノ粒子とメソポーラスシリカ(SiO2)バインダーとを基礎材料とする溶液から得られる。
【0036】
第2の代表的な態様によると、光触媒特性のあるコーティングは、TiO2ナノ粒子と構造化されていないシリカ(SiO2)バインダーとを基礎材料とする溶液から得られる。
【0037】
更に、光触媒コーティングの態様がどんなものであれ、酸化チタン粒子に関しては、少なくとも部分的に結晶化している酸化チタンが選択されるが、その理由は、これは光触媒特性の点でアモルファス酸化チタンよりはるかに効率がよいことが示されているからである。好ましくは、それはアナターゼ型に、ルチル型に、又はアナターゼ/ルチル混合物の形態に結晶化している。
【0038】
コーティングの製造は、それが含有する結晶化酸化チタンが「微結晶」、すなわち平均の大きさが0.5nmと100nmの間、好ましくは3〜60nmの単結晶、の形態であるように実施される。この理由は、酸化チタンが最適な光触媒効果を有するように見えるのがこの大きさの範囲であるためであり、恐らくはこの大きさの微結晶が大きな活性表面積を生じさせるためである。
【0039】
光触媒特性を有するコーティングは、酸化チタン以外に、特にアモルファス又は部分的に結晶化している酸化物の形態の、少なくとも1種の他のタイプの無機物質、例えば酸化ケイ素(又はケイ素酸化物の混合物)、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウムを含んでもよい。この無機物質も、たとえ結晶化TiO2と比べて小さいにしてもそれ自体が特定の光触媒効果を有することにより、結晶化酸化チタンの光触媒効果に寄与することができ、これはアモルファス又は部分的に結晶化している酸化チタンの場合に当てはまる。
【0040】
酸化チタンを有する結晶格子にドープし、そこに以下の金属元素、すなわちニオブ、タンタル、鉄、ビスマス、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、セリウム及びモリブデンのうちの少なくとも1種を挿入することにより、電荷キャリアの数を増加させることも可能である。
【0041】
このドーピングは、酸化チタンの表面のみにドープし、あるいはコーティング全体にドープして実施してもよく、表面ドーピングはコーティングの少なくとも一部を、酸化物又は金属塩の層で覆うことにより実施され、金属は鉄、銅、ルテニウム、セリウム、モリブデン、バナジウム及びビスマスから選択される。
【0042】
最後に、光触媒反応の収率及び/又は速度を高め、同時に酸化チタン、又はそれを取り込むコーティングの少なくとも一部分を、白金、ロジウム又は銀タイプの薄膜の形態にある貴金属で覆うことにより、光触媒効果を高めることもできる。
【0043】
光触媒特性を有するコーティングはまた、特にバインダーが無機バインダーである場合に、著しい親水性及び/又は親油性の外表面を有し、それにより2つの意味のなくない利点をもたらし、すなわち、親水性は、コーティング上に被着することがある水に完全に濡れるのを可能にし、そのためクリーニングをより容易にする。それは、親水性のほかに、非常に局所的な「汚れ」よりも見えにくい、水の場合のように連続膜の形態でコーティング上に被着する傾向のある有機汚染物質の「濡れ」を可能にする親油性を示してもよい。
このようにして得られるものは2段階で起こる「有機汚れ防止」効果である。最初に、汚染物質がコーティング上に被着すると直ぐに、それは既にほとんど見えなくなり、その後それは、光触媒作用によりに開始されるラジカル分解により次第に消失する。
【0044】
本発明によるコーティングの厚さは、数nmと数μmの間、典型的には50nmと10μmの間でいろいろでよい。
【0045】
実際には、厚さの選択は、種々のパラメータ、特に基材の想定される用途又はコーティング中のTiO2微結晶の大きさに依存しよう。コーティングは比較的滑らかな表面を持つように選択することができ、実際にはわずかな表面の粗さが、光触媒活性の表面積をより大きくすることが可能な場合に有利なことがある。しかし、あまりに著しい粗さは汚染物質の付着及び蓄積を促進するため、有害な場合もある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの平行な主たる縁を含み且つ、主表面の少なくとも1つに凹凸状に形成した、繰り返しのピラミッド型起伏状表面模様を有する透明プレートであり、各表面模様が頂点、底面、及び頂点を底面につなぐ一組の稜線を含み、前記表面模様の少なくとも1つの稜線が、プレートの基本平面におけるその投影が前記2つの平行な主たる縁に前記の2つの平行な主たる縁に実質的に平行であるようなものである透明プレートと、少なくとも1つの光電池とを含み、当該プレートの表面構造が周囲空気と接触しており、当該プレート及び当該電池が互いに平行に配置されているアセンブリー。
【請求項2】
前記光電池が樹脂中に封入されていることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリー。
【請求項3】
前記樹脂がPVBであることを特徴とする、請求項2に記載のアセンブリー。
【請求項4】
少なくとも2つの平行な主たる縁を含み且つ、主表面の少なくとも1つに凹凸状に形成した、繰り返しのピラミッド型起伏状表面模様を有し、各表面模様が頂点、底面、及び頂点を底面につなぐ一組の稜線を含む透明プレートであって、前記表面模様の少なくとも2つの稜線が、プレートの基本平面におけるその投影が前記の2つの平行な主たる縁に実質的に平行であるようなものであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1つに記載のアセンブリーで使用するための透明プレート。
【請求項5】
前記ピラミッドが凹状であることを特徴とする、請求項4に記載のプレート。
【請求項6】
前記ピラミッドの底面が直径10mm未満の円に内接できることを特徴とする、請求項4又は5のいずれかに記載のプレート。
【請求項7】
前記ピラミッドが4つの面を有することを特徴とする、請求項4から6の1つに記載のプレート。
【請求項8】
前記表面模様が光触媒特性を有するコーティングで被覆されていることを特徴とする、請求項4から7の1つに記載のプレート。
【請求項9】
請求項1から3の1つに記載のアセンブリーを含み、前記表面模様の少なくとも1つの稜線が、正面からプレートを観察したとき垂直に見え、且つ表面模様の下半分にあり、前記表面構造が入射光に面する側にあり、そして前記プレートが10°から90°の範囲の角度で水平に対して傾いている、少なくとも1つの光電池により光エネルギーを電気エネルギーに変換するための装置。
【請求項10】
前記表面模様のないプレートを、当該プレートに表面構造を型押するロールを用いて、その変形温度でローリング処理し、当該ローリングの方向が前記の2つの主たる縁と前記表面模様の少なくとも1つの稜線とに平行である、請求項4から8の1つに記載のプレートの製造方法。
【請求項11】
プレートの前記表面模様が凹状であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プレートの前記表面模様が凸状であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−147038(P2012−147038A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108278(P2012−108278)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【分割の表示】特願2007−512304(P2007−512304)の分割
【原出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】