説明

光電池モジュールおよび形成方法

【課題】光電池モジュール、少なくとも2つのモジュールを含む光電池アレイ、およびモジュールの形成方法を提供する。
【解決手段】光電池モジュールは第1最外層22および第1最外層26上に配置した光電池24を含む。光電池モジュールはまた光電池24上に配置し、光電池24を第1最外層26との間に挟む第2最外層22を含む。光電池モジュールの形成方法は、光電池を第1最外層26上に配置する工程、シリコーン組成物30を光電池上に配置する工程、ならびに第1最外層26、光電池24および第2最外層22を圧縮して光電池モジュールを形成する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常光電池モジュールおよび光電池アレイに関する。より具体的には、本発明は、第1最外層、光電池、および特定の特性を有し、光電池上に配置した第2最外層を含み、該光電池を第1最外層と第2最外層との間に挟んでなる光電池モジュールに関する。本発明はまた、光電池モジュールの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池、すなわち光電池は光を電気に変換するのに用いる半導体デバイスである。光電池には一般に2つのタイプ、ウェーハおよび薄膜がある。ウェーハは、通常単結晶または多結晶インゴットからウェーハを機械的に切り出して形成した半導体材料の薄板である。あるいはまた、ウェーハを鋳物から形成することができる。薄膜光電池は、通常スパッタリングまたは化学蒸着処理法を用いて基板上に堆積させた半導電性材料の連続層を含む。
【0003】
一般に、光電池を、結合層、基板、表板および/または強度および安定性をもたらす追加の材料も含む光電池モジュール(モジュール)に組み込む。いくつかのモジュールは、厚い結合層を用いてガラス表板に結合したガラス基板を含む。これらタイプのモジュールは、通常結合層の分散を制御し、基板および表板からの結合層の漏出を最小化して廃棄物を減らす必要性のため、遅く非効率的なプロセスを用いて製造される。他のタイプのモジュールは、基板と表板との間から押し出され、廃棄される多量の結合層を用いて形成される。両タイプのモジュールにおいて、結合層が異なるパターンで基板および表板を流動し得るので、該結合層の厚さを制御することが困難である。さらに、両タイプのモジュールの形成方法は、費用の増加、処理時間の増大および処理の複雑さの増大をもたらす。これらはすべて末端購入者の費用増加をもたらす。従って、改善された光電池モジュール、光電池モジュールのアレイおよび該モジュールの形成方法を開発する余地が残っている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、光電池モジュールおよび該モジュールの形成方法を提供する。光電池モジュールは、ASTM E424−71を用いる紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する第1最外層を含む。光電池を第1最外層上に配置する。モジュールはまた、第1最外層に対向する第2最外層を含む。第2最外層はシリコーン組成物を含む。第2最外層を光電池上に配置し、該光電池を第2最外層と第1最外層との間に挟む。
【0005】
光電池モジュールを本発明の方法により形成する。一つの実施形態において、当該方法は、光電池を第1最外層上に配置する工程と、シリコーン組成物を光電池上に配置する工程と、複数の繊維を該シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆して第2層を形成する工程と、第1最外層、光電池および第2層を圧縮してモジュールを形成する工程とを含む。この実施形態に関して、複数の繊維がモジュールの両端上のモジュールの外周まで第2層全体に横方向に延在する。よって、複数の繊維は圧縮工程中のモジュールからのシリコーン組成物の漏出に抵抗することができる。
【0006】
第2(最外)層は、用いなければならないシリコーン組成物の量を最小化すると同時に、光電池をモジュール内に確保することを可能にする。用いる場合、第2(最外)層の複数の繊維はシリコーン組成物の分散および生成するモジュールの厚さを制御し、例えば圧縮工程中モジュール外へのシリコーン組成物の損失または漏出も最小化する。シリコーン組成物とともに複数の繊維がまた、モジュールに構造強度を付与し、モジュールの可燃性を低減し、光電池と第1最外層との間の接着強度を増加する。複数の繊維およびシリコーン組成物は、電気効率および構造的完全性を維持しながら、モジュールを剛体、半剛体または柔軟体とすることもできる。またさらに、複数の繊維は、シリコーン組成物の拡散制御、シリコーン組成物の使用量の最小化、廃棄物の最小化、モジュールの厚さおよび大きさの増大した一貫性のため、費用効率が高く反復可能なモジュール製造を可能にする。複数の繊維およびシリコーン組成物はまた、支持層なしのモジュール形成を可能にし、これにより費用、製造の複雑さおよびモジュール形成に要する時間を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の他の利点は容易に理解されるが、以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と併せて検討することにより、より良く理解される。
【図1】第1最外層と、第1最外層上に配置した光電池と、光電池上に配置した第2最外層とを含む第1光電池モジュールの側断面図である。
【図2】本発明の方法で形成し、第1最外層と、第1最外層上に配置した光電池と、光電池上に配置した第2層と、第2最外層として第2層上に配置した支持層とを含む第2光電池モジュールの側断面図である。
【図3】第1最外層と、第1最外層上に直接接して配置した結合層と、第1最外層上に間隔をあけて配置した光電池と、光電池上に配置した第2最外層とを含む第3光電池モジュールの側断面図である。
【図4】本発明の方法で形成し、第1最外層と、第1最外層上に直接接して配置した結合層と、第1最外層上に間隔をあけて配置した光電池と、光電池上に配置した第2層と、第2最外層として第2層上に直接接して配置した支持層とを含む第4光電池モジュールの側断面図である。
【図5】本発明のシリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆された複数の繊維を含む第2(最外)層の側断面図である。
【図6A】光電池アレイとして電気的に接続、配置された一連の図1の光電池モジュールの側断面図である。
【図6B】光電池アレイとして電気的に接続、配置された一連の図1の光電池モジュールの拡大側断面図である。
【図7】複数の繊維が光電池モジュールの両端のモジュールの外周まで第2層全体に横方向(L)に延在して、光電池モジュールからのシリコーン組成物の漏出に抵抗するところの図1の光電池モジュールの底断面図である。
【図8】第1最外層と、第1最外層上に配置した光電池と、光電池上に配置した第2最外層とを含み、該第2最外層が複数の繊維を含まず、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物から形成された光電池モジュールの側断面図である。
【図9】本発明の方法で形成し、第1最外層と、第1最外層上に配置した光電池と、光電池上に配置した第2層と、第2最外層として第2層上に配置した支持層とを含み、該第2層が複数の繊維を含まず、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物から形成された光電池モジュールの側断面図である。
【図10】第1最外層と、第1最外層上に直接接して配置した結合層と、第1最外層上に間隔をあけて配置した光電池と、光電池上に配置した第2最外層とを含み、該第2最外層が複数の繊維を含まず、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物から形成された光電池モジュールの側断面図である。
【図11】本発明の方法で形成し、第1最外層と、第1最外層上に直接接して配置した結合層と、第1最外層上に間隔をあけて配置した光電池と、光電池上に配置した第2層と、第2最外層として第2層上に直接接して配置した支持層とを含み、該第2層が複数の繊維を含まず、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物から形成された光電池モジュールの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、通常図1〜4、6A/Bおよび7〜11に示す光電池モジュール20(以下「モジュール」と称する)ならびにモジュール20の形成方法を提供する。当業界で既知なように、モジュール20は光電効果により光エネルギーを電気エネルギーに変換する。より具体的には、モジュール20は2つの主要な機能を行う。第1の機能は、光吸収材料中の電子および正孔のような電荷担体の光生成である。第2の機能は、送電するための導電性接点への電荷担体の配向である。
【0009】
本発明のモジュール20は、限定しないが、自動車、小型電子機器、遠隔地電力システム、人工衛星、宇宙探査機、無線電話機、水ポンプ、グリッド接続電気システム、電池、充電器、光電気化学用途、ポリマー太陽電池用途、ナノ結晶太陽電池用途および色素増感太陽電池用途を含むあらゆる産業に用いることができる。一つの実施形態では、図6Aに示すように、一連のモジュール20を電気的に接続し、光電池アレイ32を形成する。光電池アレイ32は、一般に屋上、電池バックアップに接続した農村地域、DCポンプ、信号ブイ等で用いられる。本発明の光電池アレイ32は平面であっても非平面であってもよく、通常モジュール20が電圧を発生するような方法で相互接続した単一の発電用ユニットとして機能する。
【0010】
モジュール20は、ASTM E424−71を用いる紫外/可視分光光度分析を用いて測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する第1最外層22を含む。一つの実施形態では、第1最外層22が少なくとも80パーセントの光透過率を有する。別の実施形態では、第1最外層22が少なくとも90パーセントの光透過率を有する。さらに別の実施形態では、第1最外層22が約100パーセントの光透過率を有する。
【0011】
一般に、図1〜4、6Aおよび8〜11に示すように、第1最外層22はモジュール20の表の面34を保護する。同様に、第1最外層22はモジュール20の裏面を保護することができる。第1最外層22は軟質で可撓性であっても、硬質で剛性であってもよい。あるいはまた、第1最外層22は、軟質で可撓性のセグメントを含むと同時に、剛性で硬質のセグメントを含むことができる。一つの実施形態において、第1最外層22はガラスを含む。別の実施形態において、第1最外層22は有機ポリマーを含む。有機ポリマーは、限定しないが、ポリイミド、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよび/または限定しないがエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を含む有機フルオロポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)単独もしくはシリコンおよび酸素系物質(SiO)で少なくとも部分的に被覆したもの、並びにこれらの組み合わせの群から選択することができる。或いはまた、第1最外層22はシリコーンを含むか、シリコーンを主成分とし、かつ有機モノマーまたはポリマーを含まず、またはシリコーンからなるものとすることができる。もちろん、第1最外層22は前記化合物に限定されず、ASTM E424−71を用いて少なくとも70パーセントの光透過率を第1最外層が有する限り、当業界で既知のあらゆる化合物または組成物を含むことができることを理解すべきである。
【0012】
第1最外層22は耐荷重性であっても非耐荷重性であってもよく、モジュール20のあらゆる部分に含ませることができる。第1最外層22は、モジュール20の表板としても既知の「頂部層」、または基板としても既知の「底部層」とすることができる。底部層は、通常光電池24の後ろに位置し、機械的支持体として機能する。本発明の方法に関して、モジュール20は第1最外層22を頂部層として、またASTM E424−71を用いて少なくとも70パーセントの光透過率を有する追加層を基板であるモジュール20の底部層として含むことができる。追加層は第1最外層22と同じでも異なっていてもよい。一般に、第1最外層22をモジュール20の頂部で、かつ光源の前に位置させる。第1最外層22および追加層の両方を用いて、モジュール20を雨、雪および熱のような環境条件から保護することができる。一つの実施形態では、第1最外層22がそれぞれ125mmの長さおよび幅を有する。別の実施形態では、第1最外層22がそれぞれ156mmの長さおよび幅を有する。もちろん、第1最外層22および本発明がこれらの寸法に限定されないことを理解すべきである。
【0013】
第1最外層22に加えて、モジュール20は光電池24も含む。光電池24を第1最外層22に配置する。一つの実施形態では、図1、2、6A/B、8および9に示すように、光電池24を第1最外層22上に直接、すなわち第1最外層22に直接接して配置する。別の実施形態では、図3、4、10および11に示すように、光電池24を第1最外層22から離間させる。光電池24は、化学蒸着および/または物理的スパッタリングによって第1最外層22上に直接接して配置する(すなわち直接用いる)ことができる。あるいはまた、光電池24を第1最外層22および/またはモジュール20から離れて形成し、後で第1最外層22上に配置することができる。一つの実施形態では、光電池24が以下により詳しく記載し、図3および図10に示すように、第2(最外)層26と結合層30との間に挟まれている。「第2(最外)」の語が第2最外層および第2層の両方を意味することができることを理解すべきである。
【0014】
光電池24は、通常50〜250、より一般的には100〜225、もっとも一般的には175〜225マイクロメーターの厚さを有する。一つの実施形態では、光電池24がそれぞれ125mmの長さおよび幅を有する。別の実施形態では、光電池24がそれぞれ156mmの長さおよび幅を有する。もちろん、光電池24および本発明がこれらの寸法に限定されないことを理解すべきである。
【0015】
光電池24は、大面積、単結晶、単層p−n接合ダイオードを含むことができる。これら光電池24は、一般に拡散プロセスを用いてシリコンウェーハで製造される。あるいはまた、光電池24は、格子整合ウェーハ上に(シリコン)半導体の薄いエピタキシャル堆積層を含むことができる。この実施形態では、光電池24を宇宙または地球用と分類することができ、通常7〜40%のAM0効率を有する。さらに、光電池24は量子ドット、量子ロープ等のような量子井戸デバイスを含み、カーボンナノチューブも含むことができる。任意特定の理論により限定することを意図することなく、これらタイプの光電池24は最大45%のAM0製造効率を有することができると考えられる。またさらに、光電池24は単一の多重スペクトル層を形成するポリマーおよびナノ粒子の混合物を含むことができ、これを積層してより効率的かつより安価な多重スペクトル太陽電池を製造することができる。
【0016】
光電池24は、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶シリカ、テルル化カドミウム、セレン化/硫化銅インジウム/ガリウム、ヒ化ガリウム、ポリフェニレンビニレン、銅フタロシアニン、炭素フラーレンおよびこれらの組み合わせをインゴット、リボン、薄膜および/またはウェーハで含むことができる。光電池24はまた、ルテニウム有機金属染料のような光吸収染料を含むことができる。もっとも一般的には、光電池24は単結晶および多結晶シリコンを含む。
【0017】
光電池24は第1面および第2面を有する。一般に、第1面は第2面に対向している。しかしながら、第1および第2面は互いに隣接していてもよい。第1導線を通常第1面上に配置する一方、第2導線を通常第2面上に配置する。第1および第2導線の一方は、通常アノードとして機能し、他方は通常カソードとして機能する。第1および第2導線は同じでも異なっていてもよく、金属、導電性ポリマーおよびこれらの組み合わせを含むことができる。一つの実施形態において、第1および第2導線は錫−銀はんだ被覆銅を含む。別の実施形態において、第1および第2導線は錫−鉛はんだ被覆銅を含む。
【0018】
第1および第2導線は、光電池24の第1および第2側面のいずれかの部分の上に配置することができる。第1および第2導線は任意の大きさおよび形状であってもよく、一般に長方形であり、約0.005〜0.080インチの長さおよび/または幅の寸法を有する。第1および第2導線は、図6Aに示すように、通常光電池アレイ32においてモジュール20を追加モジュール20に接続する。モジュール20は直列または並列に接続することができる。
【0019】
モジュール20はまた、光電池24上に配置した第2(最外)層26を含む。より具体的には、図1、3、6A/B、および8/11に示すように、モジュール20が第2(最外)層26を含む。第2(最外)層26を含むモジュール22は、以下により詳しく記載する任意の支持層28を用いることなく、十分な強度および剛性を有する。換言すると、モジュール20は最下層として第2(最外)層26を含んでいてもよく、光電池24および第1最外層22以外のいずれの追加層も含まない。
【0020】
しかしながら、本発明の方法に関して、形成したモジュール20は第2層26を最外層または内側層として含むことができる。本発明に関して、第2(最外)層26は第1最外層22を光電池24に結合し、および/または光電池24を少なくとも部分的にカプセル化することができる。第2(最外)層26は、図1〜4、6A/Bおよび8〜11に示すように、光電池24上に直接、すなわち光電池24と直接接して配置するか、または光電池24から離間させることができる。種々の実施形態では、第2(最外)層26をさらに光電池24上に配置した制御ビードと定義する。各種実施形態において、第2(最外)層26は液体シリコーン組成物の制御ビードである。通常、制御ビードを長方形で用いる。しかしながら、制御ビードを任意の形状で形成することができる。一般に、制御ビードは第1最外層22、光電池24または第1最外層22および光電池24の両方の内側部分と接しており、これにより第1最外層22、光電池24または第1最外層22および第2(最外)層26を含まない光電池24の両方の外周に沿って間隔を残す。一つの実施形態では、この間隔が幅約1/2インチである。第2(最外)層26は、一般に1〜50、より一般的には4〜40、さらにより一般的には3〜30、もっとより一般的には4〜15、もっとも一般的には4〜10ミルの厚さを有する。第2(最外)層26は粘着性であっても非粘着性であってもよく、ゲル、ゴム、液体、ペースト、樹脂または固体とすることができる。一つの実施形態では、第2(最外)層26が取り込まれた空気(泡)をほぼ含まない。「ほぼ含まない」の語は、第2(最外)層26が可視気泡を有さないことを意味する。本発明の方法では、第2(最外)層26を以下に詳しく記載する液体シリコーン組成物から形成するが、硬化または部分硬化させて粘着性もしくは非粘着性および/またはゲル、ゴム、液体、ペースト、樹脂、もしくは固体とすることができる。一つの実施形態では、適当な(すなわち、予想される)反応性部分の90パーセント未満が反応すると、部分硬化が起こる。別の実施形態では、適当な(すなわち、予想される)反応性部分の少なくとも90パーセントが反応すると、硬化が起こる。第2(最外)層26は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニルおよびエチレン酢酸ビニルの1つ以上を含んでも含まなくてもよい。
【0021】
一つの実施形態では、第2(最外)層26が、図示するように、複数の繊維27を含む。別の実施形態では、第2(最外)層26が、以下により詳しく記載するように、複数の繊維27を含まない。図6A/Bでは、繊維27の詳細は単に明瞭さのために省略した。第2(最外)層26は、一般に個別の繊維27を少なくとも2つ含むが、無限数含むことができる。「繊維」の語は、天然であっても合成であってもよい連続フィラメントおよび/または不連続な長さの材料を含む。天然繊維としては、植物、木質、動物および天然鉱物繊維のような植物、動物および地質学的プロセスにより生成したものが挙げられるが、これらに限定されない。合成繊維としては、繊維ガラスのような非天然鉱物繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維のようなポリマー繊維、PETまたはPBTポリエステル繊維、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)繊維、ポリビニルアルコール(PVOH)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、弾性繊維、ポリウレタン繊維、超極細繊維およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
一つの実施形態では、複数の繊維27が高弾性率および高引張強度を有する。別の実施形態では、複数の繊維27が25℃で少なくとも3GPaのヤング率を有する。例えば、複数の繊維27は25℃で3〜1,000GPa、あるいは3〜200GPa、あるいは10〜100GPaのヤング率を有することができる。また、複数の繊維27は25℃で少なくとも50MPaの引張強度を有することができる。例えば、複数の繊維27は25℃で50〜10,000MPa、あるいは50〜1,000MPa、あるいは50〜500MPaの引張強度を有することができる。
【0023】
個別の繊維27は、通常形状が円筒形であり、1〜100μm、あるいは1〜20μm、あるいは1〜10μmの直径を有することができる。複数の繊維27は、使用前に熱処理して有機汚染物を除去することができる。例えば、複数の繊維27を空気中、高温、例えば575℃で、適切な時間、例えば2時間加熱することができる。
【0024】
一つの実施形態では、複数の繊維27をさらにマットまたはロービングと定義する。別の実施形態では、複数の繊維27をさらに織物と定義する。織物は織布であっても不織布であってもよく、または織布および不織布セグメントの両方を含んでもよい。一つの実施形態では、織物が織布であり、繊維ガラス、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンおよびその組み合わせの群から選択される。別の実施形態では、織物が不織布であり、繊維ガラス、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンおよびその組み合わせの群から選択される。さらなる実施形態では、織物が不織布繊維ガラスであり、マサチューセッツ州ドルトンのCrane Nonwovensから市販されている。あるいはまた、織物がCrane Nonwovensから市販されている不織布ポリエステルであってもよい。さらに、織物が不織布で、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。もちろん、織物が前記タイプの織布および不織布織物に限定されず、当業界で既知のあらゆる織布または不織布織物も含むことができることを理解すべきである。一つの実施形態では、第2(最外)層26は2つ以上の織物、例えば2つ、3つまたはそれ以上の個別の織物を含む。
【0025】
当業界で既知なように、織布織物は一般に製織により形成され、バイアス方向に伸びる布である。また当業界で既知なように、不織布織物は織布でもニットでもなく、一般に個別の繊維27を一緒にシートまたはウェブ状にした後、これらを機械的に、接着剤で、または織物上で結合剤を溶融することにより熱的に結合することにより製造する。不織布織物としては、ステープル不織布織物およびスパンレイド不織布織物を挙げることができる。ステープル不織布織物は、通常繊維を紡糸して均一なウェブに広げ、次いで樹脂または熱のいずれかを用いることにより結合して製造する。スパンレイド不織布織物は、一般に繊維を紡糸してウェブ中に直接配置することによる1つの連続プロセスで製造する。スパンレイドプロセスをメルトブローイングプロセスと組み合わせてSMS(スパン−メルト−スパン)不織布織物を形成することができる。
【0026】
不織布織物はまた、膜およびフィブリルを含むことができ、パターン孔を形成するセレーションまたは真空形成を用いて形成することができる。繊維ガラス不織布織物は、一般に6〜20マイクロメーターの直径を有する湿式チョップドデニール繊維を有する湿式レイドマットまたは0.1〜6マイクロメーターの直径を有する不連続デニール繊維を有する減燃マットを含む2つのタイプのうちの1つである。
【0027】
まず上述したように、複数の繊維27をシリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆する。各種実施形態では、複数の繊維27の総表面積の少なくとも50、75または95パーセントをシリコーン組成物で被覆する。別の実施形態では、複数の繊維27の総表面積の約100パーセントをシリコーン組成物で被覆する。図5は、複数の繊維27の総表面積の少なくとも50パーセントをシリコーン組成物で被覆することができることを示す。
【0028】
「被覆する」という語は、複数の繊維27の表面積の少なくとも一部を覆うことを指す。一般に、シリコーン組成物を細孔のような複数の繊維27(例えば織物)の部分に浸出させる。一つの実施形態では、図5に示すように、複数の繊維27がさらに織物と定義され、それを通ってシリコーン組成物が浸出し得るボイドを画定する。別の実施形態では、複数の繊維27がさらにシリコーン組成物を含浸すると定義される。シリコーン組成物が複数の繊維27のいくつかまたはすべてに含浸することができる。すなわち、この実施形態では、シリコーン組成物が複数の繊維27の外側(表面積)を被覆し、また複数の繊維27により画定されたボイドのいくつかまたはすべてにわたって配置される。換言すると、この実施形態では、シリコーン組成物がいくつかのボイドを通って浸出し得るが他のものを通らない。さらなる実施形態では、複数の繊維27がシリコーン組成物で飽和される。別の実施形態では、複数の繊維27がシリコーン組成物で飽和されない。シリコーン組成物が複数の繊維27を全体的にまたは部分的にカプセル化することができることも意図している。シリコーン組成物はまた、光電池24を全体的にまたは部分的にカプセル化することができる。複数の繊維27の表面積は、限定しないが、噴霧、浸漬、圧延、ブラッシングおよびその組み合わせを含む当業界で既知のあらゆる方法を用いて部分的に被覆することができる。一つの実施形態では、複数の繊維27をシリコーン組成物中に入れる。シリコーン組成物は、通常複数の繊維27の総表面積の少なくとも一部を1〜50、より一般的には3〜30、もっとも一般的には4〜15ミルの厚さで被覆する。もちろん、本発明はこれらの厚さに限定されない。
【0029】
前に戻ると、シリコーン組成物は当業界で既知のいずれかであってもよく、シラン、シロキサン、シラザン、シリレン、シリル基またはイオン、シリコン元素、シレン、シラノール、これらのポリマーおよびこれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。さらに、シリコーン組成物は、限定しないが、フリーラジカル反応、ヒドロシリル化反応、縮合または付加反応、熱硬化、紫外線硬化およびこれらの組み合わせを含む当業界で既知の任意の機構により硬化、部分硬化、または完全硬化させることができる。一般に、本発明のシリコーン組成物はさらにヒドロシリル化硬化性として定義される。よって、以下でヒドロシリル化硬化シリコーン化学反応に焦点を当てる。しかしながら、本発明は、上記のように、ヒドロシリル化硬化シリコーン化学反応に限定されない。
【0030】
一つの実施形態において、シリコーン組成物は有機シリコン化合物、有機水素シリコン化合物およびヒドロシリル化触媒を含む。有機シリコン化合物は、一般に1分子当たり少なくとも1つの不飽和部分を有し、単一の有機シリコン化合物、2つの有機シリコン化合物、または複数の有機シリコン化合物を含むことができる。各種実施形態において、有機シリコン化合物は1分子当たり2つ、3つまたは複数の不飽和部分を有する。一つの実施形態において、有機シリコン化合物はアルケニル基がシロキサン基からぶら下がっているアルケニルシロキサンを含む。アルケニル基はシロキサン基に任意の間隔および/または場所に位置させることができる。すなわち、アルケニル基は末端でも、ペンダントでもよく、または有機シリコン化合物が2つ以上のアルケニル基を含む場合、アルケニル基は末端およびペンダントの両方であってもよい。一つの実施形態では、有機シリコン化合物をそれ自体がアルケニル末端であるシロキサンで停止させる。別の実施形態では、アルケニルシロキサンがアルケニル末端シロキサンであり、すなわちアルケニル基をシロキサン基の一つ以上の末端端部に位置させることができる。あるいはまた、アルケニルシロキサンはアルケニルペンダントシロキサンであってもよい。通常、アルケニルペンダントシロキサンは、シロキサン基の末端端部の1つ以外のシロキサン基に沿った任意の場所からぶら下がる少なくとも1つのアルケニル基を含む。アルケニル末端またはペンダントシロキサンは、線状、分岐、環状、またはこれらのいずれかの組み合わせであってもよい。アルケニル基は、シロキサン基の少なくとも1つの末端端部からまたは末端端部ではないシロキサン基に沿った場所から直接ぶら下がる炭素鎖を含むことができ、少なくとも1つのC=C結合を有する2〜12個の炭素原子を有することができる。ビニル、5−へキセニル、7−オクテニル等のようなC=C結合が炭素鎖の一端に位置するのが好ましい。また、アルケニル基は1つのC=C結合に限定されず、2つ以上のC=C結合を含むことができる。さらに、アルケニル末端シロキサンは2つ以上のアルケニル基を含むことができる。2つ以上のアルケニル基がシロキサン中の同じ原子に結合していてもよく、あるいはまたシロキサン中の異なる原子に結合していてもよい。少なくとも1つの不飽和部分が、化学的に適当である場合アルケニル基を代替することができるアルキニル基を含むことができることも意図している。
【0031】
種々の実施形態において、有機シリコン化合物はシリコン結合アルケニル基を有し、通常RSiO1/2単位、すなわちM単位および/またはRSiO2/2、すなわちD単位と組み合わせてRSiO3/2単位、すなわちT単位および/またはSiO4/2単位、すなわちQ単位を含むコポリマーであり、ここでRはともに脂肪族不飽和を含まないC〜C10ヒドロカルビル基またはC〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビル基であり、Rはアルケニル基である。例えば、有機シリコン化合物は、1分子当たり少なくとも1つの不飽和部分を有する限り、さらにDT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、またはMDQ樹脂として定義することができる。
【0032】
で表すC〜C10ヒドロカルビル基およびC〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビル基は、より一般的には1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビルおよびハロゲン置換ヒドロカルビル基は分岐または非分岐構造を有することができる。Rで表すヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、およびデシルのようなアルキル基;シクロペンチル、シクロへキシルおよびメチルシクロへキシルのようなシクロアルキル基;フェニルおよびナフチルのようなアリール基;トリルおよびキシリルのようなアルカリール基;およびベンジルおよびフェネチルのようなアラルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。Rで表すハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルおよび2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
で表すアルケニル基は、有機シリコン化合物中で同じでも異なっていてもよいが、一般に2〜10個の炭素原子、あるいは2〜6個の炭素原子を有し、一例としてビニル、アリル、メタリル、ブテニル、へキセニル、オクテニル、デセニル、シコヘキセニル、スチリル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
一つの実施形態において、有機シリコン化合物を次式:
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (I)
を有するものとしてさらに定義され、ここでRおよびRは上で定義および例示したとおりであり、w、x、yおよびzはモル分率である。一般に、式(I)で表す有機シリコン化合物は、1分子当たり平均少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を有する。より具体的には、下付き文字wは通常0〜0.9、あるいは0.02〜0.75、あるいは0.05〜0.3の値を有する。下付き文字xは通常0〜0.9、あるいは0〜0.45、あるいは0〜0.25の値を有する。下付き文字yは通常0〜0.99、あるいは0.25〜0.8、あるいは0.5〜0.8の値を有する。下付き文字zは通常0〜0.85、あるいは0〜0.25、あるいは0〜0.15の値を有する。また、y+z/(w+x+y+z)の比は通常0.1〜0.99、あるいは0.5〜0.95、あるいは0.65〜0.9である。さらに、w+x/(w+x+y+z)は通常0.01〜0.90、あるいは0.05〜0.5、あるいは0.1〜0.35である。
【0035】
式(I)で表す適当な有機シリコン化合物の追加の非限定的な例としては、限定しないが、次式:
(ViMeSiO1/20.25(PhSiO3/20.75
(ViMeSiO1/20.25(PhSiO3/20.75
(ViMeSiO1/20.25(MeSiO3/20.25(PhSiO3/20.50
(ViMeSiO1/20.15(PhSiO3/20.75(SiO4/20.1
(ViMeSiO1/20.15(ViMeSiO1/20.1(PhSiO3/20.75
を有する樹脂が挙げられ、ここでMeはメチル、Viはビニル、Phはフェニルであり、括弧外の下付き数字は式(I)について上で記載したw、x、yまたはzのいずれかに対応するモル分率を示す。前記式中の単位の順序は決して本発明の範囲に限定するものと見なすべきではない。
【0036】
一般に、式(I)で表す有機シリコン化合物は、500〜50,000、あるいは500〜10,000、あるいは1,000〜3,000g/モルの数平均分子量(M)を有し、この場合分子量を小角レーザー光散乱検出器または反射指数検出器および標準的なシリコーン樹脂(MQ)を用いるゲル透過クロマトグラフィーにより求める。式(I)で表す有機シリコン化合物の25℃での粘度は、0.01〜100,000Pa・s、あるいは0.1〜10,000Pa・s、あるいは1〜100Pa・sである。
【0037】
式(I)で表す有機シリコン化合物は、29Si NMRにより求めて通常10(重量/重量)%未満、あるいは5(重量/重量)%未満、あるいは2(重量/重量)%未満のシリコン結合ヒドロキシ基を含む。
【0038】
一つの実施形態では、有機シリコン化合物をさらにジアルキルビニルシロキシ末端ジアルキルシロキサンとして定義する。別の実施形態では、有機シリコン化合物をさらにジアルキルアルケニルシロキシ末端ジアルキルシロキサンとして定義する。有機シリコン化合物の非限定的な例としては、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに別の実施形態では、有機シリコン化合物をさらにジメチルビニルシロキシペンダントジメチルシロキサンとして定義する。あるいはまた、有機シリコン化合物をさらにアルケニルジアルキルシリル末端ブロックポリジアルキルシロキサンとして定義することができる。一つの実施形態では、有機シリコン化合物をさらにビニルジメチルシリル末端ブロックポリジメチルシロキサンとして定義する。
【0039】
前に戻ると、シリコーン組成物はまた、通常1分子当たり少なくとも1個のシリコン結合水素原子を有する有機水素シリコン化合物を含む。有機水素シリコン化合物は、単一の有機水素シリコン化合物、2つの有機水素シリコン化合物、または複数の有機水素シリコン化合物を含むことができる。有機水素シリコン化合物は、通常1分子当たり平均少なくとも2個のシリコン結合水素原子、あるいは1分子当たり少なくとも3個のシリコン結合水素原子を有する。有機水素シリコン化合物を有機水素シラン、有機水素シロキサンまたはこれらの組み合わせとしてさらに定義することができる。有機水素シリコン化合物の構造は、線状、分岐、環状または樹脂状とすることができる。非環式ポリシランおよびポリシロキサンにおいて、シリコン結合水素原子は、末端、ペンダントまたは末端およびペンダント位置の両方に位置させることができる。シクロシランおよびシクロシロキサンは、通常3〜12個のシリコン原子、あるいは3〜10個のシリコン原子、あるいは3〜4個のシリコン原子を有する。
【0040】
有機水素シランはモノシラン、ジシラン、トリシラン、またはポリシランとすることができる。適当な有機水素シランのいくつかの非限定的な例としては、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレンおよびポリ(メチルシリレン)メチレンが挙げられる。
【0041】
有機水素シランはまた、次式:
HRSi−R−SiRH (II)
を有することもでき、ここでRは上で定義および例示したとおりであり、Rはgが1〜6である下記の構造:
【化1】

から選択された式を有する脂肪族不飽和を含まないヒドロカルビレン基である。
【0042】
およびRが上に記載および例示したとおりである上記式(II)を有する有機水素シランの具体例としては、下記の構造:
【化2】

から選択された式を有する有機水素シランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
有機水素シロキサンはジシロキサン、トリシロキサンまたはポリシロキサンとすることができる。適当な有機水素シロキサンの非限定的な具体的例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、ジメチル水素シロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン)、ならびにMeがメチルであるHMeSiO1/2単位、MeSiO1/2単位およびSiO4/2単位を含む樹脂が挙げられる。
【0044】
有機水素シロキサンはさらに、樹脂が1分子当たり少なくとも1個のシリコン結合水素原子を含む限り、有機水素ポリシロキサン樹脂として定義することができる。有機水素ポリシロキサン樹脂は、RSiO1/2単位、すなわちM単位および/またはRSiO2/2単位、すなわちD単位と組み合わせたRSiO3/2単位、すなわちT単位および/またはSiO4/2単位、すなわちQ単位を含むコポリマーであってもよく、ここでRは上に記載および例示したとおりである。例えば、有機水素ポリシロキサン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、またはMDQ樹脂とすることができる。
【0045】
で表す基は、通常少なくとも1個のシリコン結合水素原子を有する有機シリルアルキル基である。Rで表す有機シリルアルキル基の例としては、限定しないが、下記の構造:
【化3】

−CHCHSiMeH、
−CHCHSiMe2nSiMeH、
−CHCHSiMe2nSiMePhH、
−CHCHSiMePhH、−CHCHSiPhH、
−CHCHSiMePhC2nSiPhH、
−CHCHSiMePhC2nSiMeH、
−CHCHSiMePhOSiMePhH、
−CHCHSiMePhOSiPh(OSiMePhH)
から選択された式を有する基が挙げられ、ここでMeはメチル、Phはフェニルであり、下付き文字nは2〜10の値を有する。
【0046】
種々の実施形態において、有機水素ポリシロキサン樹脂は次式:
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
を有し、ここでR、R、w、x、yおよびzはそれぞれ上で定義および例示したとおりである。上記式で表す有機水素ポリシロキサン樹脂の具体例としては、限定しないが、次式:
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.12(PhSiO3/20.88
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.17(PhSiO3/20.83
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.17(MeSiO3/20.17(PhSiO3/20.66
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.15(PhSiO3/20.75(SiO4/20.10
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.08((HMeSiCSiMeCHCH)MeSiO1/20.06(PhSiO3/20.86
を有する樹脂が挙げられ、ここでMeはメチル、Phはフェニルであり、Cはパラ−フェニレン基を示し、括弧外の下付き数字はモル分率を示す。前記式中の単位の順序は決して本発明の範囲に限定するものと見なすべきでない。
【0047】
有機水素シリコン化合物は、1,000g/モル未満、あるいは750g/モル未満、あるいは500g/モル未満の分子量を有することができる。また、有機水素シリコン化合物は、単一の有機水素シリコン化合物またはそれぞれ上に記載するような2つ以上の異なる有機水素シリコン化合物を含む混合物とすることができる。例えば、有機水素シリコン化合物は、1分子当たり少なくとも1個のシリコン結合水素原子を有する限り、単一の有機水素シラン、2つの異なる有機水素シランの混合物、単一の有機水素シロキサン、2つの異なる有機水素シロキサンの混合物、または有機水素シランおよび有機水素シロキサンの混合物とすることができる。一つの実施形態では、有機水素シリコン化合物をさらにジメチル水素シリル末端ポリジメチルシロキサンとして定義する。有機水素シリコン化合物はまた、トリアルキルシリル末端ポリジアルキルシロキサン−アルキル水素シロキサンコポリマーとしてさらに定義することができる。一つの実施形態では、有機水素シリコン化合物をトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマーとしてさらに定義する。一つの実施形態では、有機水素シリコン化合物をジアルキル水素シリル末端ポリジアルキルシロキサンおよびトリアルキルシリル末端ポリジアルキルシロキサン−アルキル水素シロキサンコポリマーの混合物としてさらに定義する。この実施形態のジアルキル水素シリル末端ポリジアルキルシロキサンをさらにジメチル水素シリル末端ポリジメチルシロキサンとして定義することができ、またこの実施形態のトリアルキルシリル末端ポリジアルキルシロキサン−アルキル水素シロキサンコポリマーをさらにトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマーとして定義することができる。
【0048】
前に戻ると、シリコーン組成物はまた、通常有機シリコン化合物と有機水素シリコン化合物との間のヒドロシリル化反応を促進するのに用いるヒドロシリル化触媒を含む。ヒドロシリル化触媒は、白金族金属(すなわち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウムおよびイリジウム)または白金族金属を含有する化合物を含む周知のヒドロシリル化触媒のいずれかとすることができる。通常、白金族金属は、ヒドロシリル化反応におけるその高い活性に基づき白金である。
【0049】
使用に好適な具体的ヒドロシリル化触媒としては、米国特許第3,419,593号で開示された塩化白金酸および特定のビニル含有有機シロキサンの錯体が挙げられ、そのヒドロシリル化触媒について記載部分をここに参照して援用する。このタイプの触媒は、塩化白金酸および1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応生成物である。
【0050】
ヒドロシリル化触媒はまた、白金族金属を表面に有する固体支持体を含む担持ヒドロシリル化触媒とすることができる。担持触媒はろ過によりシリコーン組成物から便利に分離することができる。担持触媒の例としては、白金−炭素、パラジウム−炭素、ルテニウム−炭素、ロジウム−炭素、白金−シリカ、パラジウム−シリカ、白金−アルミナ、パラジウム−アルミナおよびルテニウム−アルミナが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
ヒドロシリル化触媒は、熱可塑性樹脂中にカプセル化した白金族金属を含むマイクロカプセル化白金族金属含有触媒とすることができることを意図している。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒を含むシリコーン組成物は、長期間、一般的には数か月以上周囲条件下で安定であり、熱可塑性樹脂の融点または軟化点より高い温度で比較的速かに硬化する。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒およびその調製方法は、米国特許第4,766,176号およびその中で引用されている参考文献、ならびに米国特許第5,017,654号に示されているように、当業界で周知である。本発明のヒドロシリル化触媒は、単一の触媒または構造、形態、白金族金属、錯化配位子および熱可塑性樹脂のような特性の少なくとも1つが異なる2つ以上の異なる触媒の混合物とすることができる。
【0052】
一つの実施形態において、ヒドロシリル化触媒は少なくとも1つの光活性化ヒドロシリル化触媒を含む。光活性化ヒドロシリル化触媒は、有機シリコン化合物および有機水素シリコン化合物のヒドロシリル化を150〜180nmの波長を有する光の照射時に触媒することができる任意のヒドロシリル化触媒とすることができる。光活性化ヒドロシリル化触媒は、白金族金属または白金族金属を含有する化合物を含む周知のヒドロシリル化触媒のいずれかとすることができる。白金族金属としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウムおよびイリジウムが挙げられる。通常、白金族金属は、ヒドロシリル化反応におけるその高い活性に基づき白金である。
【0053】
本発明の目的に適した光活性化ヒドロシリル化触媒の具体例としては、白金(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)、白金(II)ビス(2,4−ヘキサンジオネート)、白金(II)ビス(2,4−ヘプタンジオネート)、白金(II)ビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)、白金(II)ビス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネート)、白金(II)ビス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオネート)のような白金(II)β−ジケトネート錯体;Cpがシクロペンタジエニルを表す(Cp)トリメチル白金、(Cp)エチルジメチル白金、(Cp)トリエチル白金、(クロロ−Cp)トリメチル白金および(トリメチルシリル−Cp)トリメチル白金のような(η−シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体;xが1、3、5、11または17であるPt[CNNNOCH、Pt[p−CN−CNNNOC11、Pt[p−HCOCNNNOC11、Pt[p−CH(CH−CNNNOCH、1,5−シクロオクタジエンPt[p−CN−CNNNOC11、1,5−シクロオクタジエンPt[p−CHO−CNNNOCH、[(CP]Rh[p−CN−CNNNOC11]およびPd[p−CH(CH−CNNNOCHのような酸化トリアゼン遷移金属錯体;(η−1,5−シクロオクタジエニル)ジフェニル白金、(η−1,3,5,7−シクロオクタテトラエニル)ジフェニル白金、(η−2,5−ノルボラジエニル)ジフェニル白金、(η−1,5−シクロオクタジエニル)ビス−(4−ジメチルアミノフェニル)白金、(η−1,5−シクロオクタジエニル)ビス−(4−アセチルフェニル)白金、および(η−1,5−シクロオクタジエニル)ビス−(4−トリフルオロメチルフェニル)白金のような(η−ジオレフィン)(σ−アリール)白金錯体が挙げられるが、これらに限定されない。光活性化ヒドロシリル化触媒は、通常Pt(II)β−ジケトネート錯体であり、より一般的には、触媒は白金(II)ビス(2,4−ペンタンジオネート)である。ヒドロシリル化触媒は、単一の光活性化ヒドロシリル化触媒または2つ以上の異なる光活性化ヒドロシリル化触媒の混合物とすることができる。
【0054】
光活性化ヒドロシリル化触媒の調製方法は当業界で周知である。例えば、白金(II)β−ジケトネートの調製方法はGuo他(Chemistry of Materials,1998,10,531−536)により報告されている。(η−シクロペンタジエニル)−トリアルキル白金錯体の調製方法については米国特許第4,510,094号に開示されている。酸化トリアゼン遷移金属錯体の調製方法については米国特許第5,496,961号に開示されている。(η−ジオレフィン)(σ−アリール)白金錯体の調製方法については米国特許第4,530,879号に教示されている。
【0055】
ヒドロシリル化触媒の濃度は、有機シリコン化合物および有機水素シリコン化合物のヒドロシリル化を触媒するのに十分である。一般に、ヒドロシリル化触媒の濃度は、有機シリコン化合物および有機水素シリコン化合物の総質量に対して0.1〜1000ppmの白金族金属、あるいは1〜500ppmの白金族金属、あるいは3〜150ppmの白金族金属、あるいはまた1〜25ppmの白金族金属をもたらすのに十分である。一つの特に適切な触媒としては、1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体が挙げられる。触媒は当業者が決定する量で含むことができる。一つの実施形態では、触媒をシリコーン組成物100質量部当たり0.05〜0.30質量部の量で含む。
【0056】
シリコーン組成物はまた、通常0.05〜100の有機水素シリコン化合物の1分子当たりのシリコン結合水素原子対有機シリコン化合物の1分子当たりの不飽和部分の比を含む。別の実施形態では、かかる比が0.1〜100、0.05〜20、0.05〜0.7、0.1〜0.8、0.1〜0.6、0.5〜2、1.5〜5、1.75〜3、2〜2.5、および0.95〜1.05である。各種実施形態では、以下でより詳しく記載するが、シリコン結合水素原子が不飽和部分に対して化学量論的に過剰であり、第1最外層22と第2(最外)層26または結合層30との間の接着を向上させることができる。もちろん、上記の比が0.05〜100である限りは本発明を限定しないことを理解すべきである。
【0057】
まず上述したように、第2(最外)層26は複数の繊維27を含まなくてもよく、または複数の繊維27を含んでもよい。一つの実施形態では、第2(最外)層26を形成するのに用いるシリコーン組成物を、上記のように、複数の繊維27を被覆することができるヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物としてさらに定義する。一般に、このヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は液体である、すなわち室温で流動する。ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は充填材を含むか、または充填材を含まなくてもよい。逆に、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は複数の繊維27および充填材の両方を含むことができる。
【0058】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、1分子当たり2つの末端不飽和部分を有する線状有機シリコン化合物、1分子当たり2つの末端不飽和部分および1分子当たり少なくとも1つのペンダント不飽和部分を有する分岐鎖有機シリコン化合物、ならびに1分子当たり少なくとも1つのシリコン結合水素原子を有する有機水素シリコン化合物を含む。一つの実施形態では、有機水素シリコン化合物が1分子当たり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有する。別の実施形態では、有機水素シリコン化合物が1分子当たり少なくとも3つのシリコン結合水素原子を有する。
【0059】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物はまた、一般に上記の充填材、ならびに線状有機シリコン化合物、分岐鎖有機シリコン化合物および有機水素シリコン化合物の間のヒドロシリル化反応を促進するのに用いるヒドロシリル化触媒を含む。この実施形態に用いることができる各種ヒドロシリル化触媒については上に記載した。この実施形態では、線状有機シリコン化合物および分岐鎖有機シリコン化合物の合計100質量部当たり、線状有機シリコン化合物が80〜95質量部の量で存在し、分岐鎖有機シリコン化合物が5〜20質量部の量で存在する。他の実施形態では、線状有機シリコン化合物および分岐鎖有機シリコン化合物の合計100質量部当たり、線状有機シリコン化合物が85〜95、86〜94、88〜90、90〜95、もしくは92〜94、または約80、86、90、もしくは93質量部の量で存在する。また他の実施形態では、線状有機シリコン化合物および分岐鎖有機シリコン化合物の合計100質量部当たり、分岐鎖有機シリコン化合物が5〜15、7〜10、7〜14、10〜20、または約7、10、14、もしくは20質量部の量で存在する。線状および/または分岐鎖有機シリコン化合物をそれぞれ単独で上記の範囲内のいずれかの量または分量範囲で用いることができることを理解すべきである。
【0060】
また、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物において、有機水素シリコン化合物の1分子当たりのシリコン結合水素原子対線状有機シリコン化合物および分岐鎖有機シリコン化合物の1分子当たりの不飽和部分の合計の比が1〜1.7、一般的には1.1〜1.6または1.1〜1.2である。各種実施形態では、かかる比は1.5〜1.55である。
【0061】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、使用に際し第1部分および第2部分を含むことができる。線状有機シリコン化合物、分岐鎖有機シリコン化合物および有機水素シリコン化合物は第1部分、第2部分、または第1および第2部分の両方に存在することができる。一つの実施形態では、線状有機シリコン化合物、分岐鎖有機シリコン化合および有機水素シリコン化合物が、早期に反応する可能性のため、すべて1つの部分に存在するとは限らない。別の実施形態では、有機シリコン化合物、分岐鎖有機シリコン化合物および有機水素シリコン化合物がすべて1つの部分に存在するが、ヒドロシリル化触媒と一緒には存在しない。また別の実施形態では、線状および分岐鎖有機シリコン化合物が第1部分に存在し、有機水素シリコン化合物およびヒドロシリル化触媒が第2部分に存在する。また他の実施形態では、線状有機シリコン化合物および/または分岐鎖有機シリコン化合物が第1および第2部分の両方に存在する一方、ヒドロシリル化触媒が第1部分に存在し、有機水素シリコン化合物が第2部分に存在する。一般に、任意の架橋剤または鎖延長剤が触媒なしに第2部分に存在する。各種実施形態では、第1および第2部分がASTM D4287に従って測定して、25℃で200〜15,000cpsの変動粘度を有する。他の実施形態では、第1および第2部分がASTM D4287に従って測定して、25℃で289、1449、2000、2064、3440、4950、5344、8194、11,212、12,680、および14,129cpsの近似粘度を有する。
【0062】
線状有機シリコン化合物は、上記の化合物のいずれかであってもよく、1分子当たり2つの末端不飽和部分を有する限り線状有機シリコン化合物が異なっていてもよい。通常、線状有機シリコン化合物は1分子当たりぴったり2つの末端不飽和部分を有する。線状有機シリコン化合物はペンダント不飽和部分を有さない。各種実施形態では、線状有機シリコン化合物をビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサン、例えば2つの末端ビニル基を有するビニル末端ブロックポリジメチルシロキサンとしてさらに定義する。他の実施形態では、線状有機シリコン化合物が150〜900の平均重合度(DP)、11,000〜63,000の重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定した25℃で400〜60,000cpsの粘度、および0.01〜10質量パーセントのビニル基を有する。また他の実施形態では、線状有機シリコン化合物が以下の物理的特性±1%、±3%、±5%、±10%、±15%、±20%、または±25%を有する。線状有機シリコン化合物が以下に記載しない他の物理的特性を有することができることも意図している。

ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が上述した線状有機シリコン化合物を2つ以上含むことができることも意図している。本発明に用いることを意図する追加の線状有機シリコン化合物については、とくにここに参照して援用する米国特許第5,574,073号に記載されている。
【0063】
分岐鎖有機シリコン化合物は、上記の化合物のいずれかであってもよく、1分子当たり2つの末端不飽和部分および1分子当たり少なくとも1つのペンダント不飽和部分を有する限り分岐鎖有機シリコン化合物が異なっていてもよい。各種実施形態では、分岐鎖有機シリコン化合物を、少なくとも1つのビニルペンダント基を有するビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサン、例えば2つの末端ビニル基および少なくとも1つのビニルペンダント基を有するビニル末端ブロックポリジメチルシロキサンとしてさらに定義する。他の実施形態では、分岐鎖有機シリコン化合物は、100〜800の平均重合度(DP)、8,000〜60,000の重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で200〜30,000cpsの粘度、および0.1〜10質量パーセントのビニル基を有する。一つの実施形態では、分岐有機シリコン化合物が約620の平均重合度(DP)、約46,000g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定した25℃で約15,000cpsの粘度、および約7.7質量パーセントのビニル基を有する。ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は上述した分岐鎖有機シリコン化合物を2つ以上含むことができることも意図している。本発明に用いることを意図する追加の分岐鎖有機シリコン化合物については、とくにここに参照して援用する米国特許第5,574,073号に記載されている。
【0064】
ここで用いる「シリコーン組成物」および「ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物」の語は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が上記のままである限り、置き換え可能であることを理解すべきである。換言すると、この語は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が1分子当たり2つの末端不飽和部分を有する線状有機シリコン化合物、1分子当たり2つの末端不飽和部分および1分子当たり少なくとも1つのペンダント不飽和部分を有する分岐鎖有機シリコン化合物ならびに1分子当たり少なくとも1つのシリコン結合水素原子を有する有機水素シリコン化合物を含む限り、置き換え可能である。
【0065】
シリコーン組成物はまた、(a)RSiO(RSiO)SiRおよび(b)RSiO(RSiO)SiRの群から選択した式を有するシリコーンゴムを含み、式中のRおよびRは上で定義および例示したとおりであり、RはRまたは−Hであり、下付き文字aおよびbはそれぞれ1〜4、あるいは2〜4、あるいは2〜3の値を有し、w、x、yおよびzも上で定義および例示したとおりである。シリコーンゴム(a)として用いるのに好適なシリコーンゴムの具体例としては、限定しないが、次式:
ViMeSiO(MeSiO)SiMeVi、
ViMeSiO(PhSiO)SiMeVi、
ViMeSiO(PhMeSiO)SiMeVi
を有するシリコーンゴムが挙げられ、式中のMeはメチル、Phはフェニル、Viはビニルであり、下付き文字は1〜4の値を有する。シリコーンゴム(a)は単一のシリコーンゴムか、またはそれぞれ(a)の式を満たす2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物とすることができる。
【0066】
シリコーンゴム(b)として用いるに好適なシリコーンゴムの具体例としては、限定しないが、次式:
HMeSiO(MeSiO)SiMeH、
HMeSiO(PhSiO)SiMeH、
HMeSiO(PhMeSiO)SiMeH、
HMeSiO(PhSiO)(MeSiO)SiMe
を有するシリコーンゴムが挙げられ、式中のMeはメチル、Phはフェニルであり、下付き文字bは1〜4の値を有する。成分(b)は単一のシリコーンゴムか、またはそれぞれ(b)の式を満たす2つ以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物とすることができる。
【0067】
本発明の他の実施形態では、シリコーン組成物が有機シリコン化合物および次式:
SiO(RSiO)SiR
SiO(RSiO)SiR
を有し、式中のRおよびRは上で定義および例示したとおりであり、cおよびdはそれぞれ4〜1000、あるいは10〜500、あるいは10〜50の値を有するゴムから選択した少なくとも1つのシリコーンゴム(b)をヒドロシリル化触媒および任意選択的な有機溶剤の存在下で反応させることにより調製し、但し有機シリコン化合物およびシリコーンゴム(b)の反応生成物が1分子当たり少なくとも1つの不飽和部分を有するゴム変性シリコーン樹脂を含む。
【0068】
一つの実施形態では、シリコーン組成物が45〜90質量部のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン、0.5〜2質量部のアルコキシシラン、0.5〜2質量部のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、0.01〜0.2質量部のテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、2〜10質量部の水素末端ジメチルシロキサン、0.2〜1質量部のジメチルメチル水素シロキサン、および0.01〜0.1質量部の1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体を含む。別の実施形態では、シリコーン組成物が45〜90質量部のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン、0.5〜2質量部のアルコキシシラン、0.5〜2質量部のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、0.01〜0.2質量部のテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、2〜10質量部の水素末端ジメチルシロキサン、0.2〜1質量部のジメチルメチル水素シロキサン、20〜60質量部の石英、および0.01〜0.1質量部の1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体を含む。
【0069】
シリコーン組成物はまた、溶剤、例えば有機溶剤を含むことができる。有機溶剤は、有機シリコン化合物および有機水素シリコン化合物と反応せず、混和性である任意の非プロトン性または双極子非プロトン性有機溶剤とすることができる。適当な有機溶剤の非限定的な例としては、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタンおよびドデカンのような飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタンおよびシクロヘキサンのような脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンのような芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンのような環状エーテル、メチルイソブチルケトン(MIBK)のようなケトン、トリクロロエタンのようなハロゲン化アルカン、ブロモベンゼンおよびクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。有機溶剤は、単一の有機溶剤か、またはそれぞれ上記のような2つ以上の異なる有機溶剤を含む混合物であってもよい。シリコーン組成物中の有機溶剤の濃度は、シリコーン組成物の総質量に対して0〜99(質量/質量)%、あるいは30〜80(質量/質量)%、およびあるいは45〜60(質量/質量)%とすることができる。
【0070】
シリコーン組成物はまた、まず上記したような充填材を含むこともできる。充填材を用いてモジュール20から熱を放散することができる。充填材は当業界で既知のものでよく、単一の充填材または充填材の混合物を含むことができる。充填材は熱伝導性および/もしくは導電性または絶縁性であってもよい。充填材を補強充填材、増量充填材、チキソトロープ充填材、顔料またはこれらの組み合わせとしてさらに定義することができる。充填材は、高表面積ヒュームドおよび沈降シリカ、酸化亜鉛、アルミニウム、アルミニウム粉末、アルミニウム三水和物、銀、炭酸カルシウムのような一つ以上の微粉砕補強充填材、および/または石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタンおよびカーボンブラック、タルク、ウォラストナイト、アルミナイト、硫酸カルシウム(無水物)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンのようなクレイ、アルミニウムトリヒドロキシド、水酸化マグネシウム(ブルーサイト)、黒鉛、マラカイトのような炭酸銅、ザラカイトのような炭酸ニッケル、ウィセライトのような炭酸バリウム、ストロンチアナイトのような炭酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、限定しないがかんらん石群、ガーネット群、アルミノケイ酸塩、環状ケイ酸塩、鎖状ケイ酸塩および層状ケイ酸塩を含むケイ酸塩のような追加の増量充填材、ならびにこれらの組み合わせを含むことができる。かんらん石群としては、フォルステライト、MgSiOおよびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。ガーネット群の非限定的な例としては、パイロープ、MgAlSi12、グロスラー、CaAlSi12およびこれらの組み合わせを挙げることができる。アルミノケイ酸塩としては、シリマナイト、AlSiO、ムライト、3Al・2SiO、キアナイト、AlSiOおよびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。環状ケイ酸塩としては、コージエライト、Al(MgFe)[SiAlO18]およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。鎖状ケイ酸塩としては、ウォラストナイト、Ca[SiO]およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適当な層状ケイ酸塩の非限定的な例としては、マイカ、KAl14[SiAl20](OH)、ピロフィライト、Al[Si20](OH)、タルク、Mg[Si20](OH)、セルペンタイン、アスベスト、カオリナイト、Al[Si10](OH)、バーミキュライトおよびこれらの組み合わせを挙げることができる。低密度充填材を含めて体積当たりの重量および費用を低減することもできる。充填材は、散乱を回避するため光の波長の1/4より小さい粒子を含むことができるが、これは必須ではない。従って、ウォラストナイト、シリカ、二酸化チタン、ガラス繊維、中空ガラス球およびクレイ、例えばカオリンのような充填材はとくに好ましい。
【0071】
一つの実施形態では、充填材が窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、チタン酸バリウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、炭素繊維、ダイアモンド、黒鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、金属微粒子、オニキス、炭化ケイ素、シリコン、炭化タングステン、酸化亜鉛およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。充填材はさらに金属充填材、無機充填材、溶融性充填材、またはこれらの組み合わせとして定義することができる。金属充填材は金属の粒子および粒子の表面上に層を有する金属の粒子を含む。かかる層は、例えば、粒子の表面上の窒化金属層または酸化金属層であってもよい。適当な金属充填材の例としては、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀およびこれらの組み合わせから選択した金属の粒子、あるいはアルミニウムの粒子が挙げられる。適当な金属充填材の例としてはさらに、それらの表面上に窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化ニッケル、酸化銀およびこれらの組み合わせから選択した層を有する上記金属の粒子が挙げられる。例えば、金属充填材はそれらの表面上に酸化アルミニウム層を有するアルミニウム粒子を含むことができる。
【0072】
適当な無機充填材としては、オニキス、アルミニウム三水和物、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛のような金属酸化物、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素のような窒化物、炭化ケイ素および炭化タングステンのような炭化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
適当な溶融性充填材としては、Bi、Ga、In、Sn、Ag、Au、Cd、Cu、Pb、Sb、Zn、これらの合金、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適当な溶融性充填材の非限定的な例としては、Ga、In−Bi−Sn合金、Sn−In−Zn合金、Sn−In−Ag合金、Sn−Ag−Bi合金、Sn−Bi−Cu−Ag合金、Sn−Ag−Cu−Sb合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag合金、Sn−Ag−Cu−Zn合金およびこれらの組み合わせが挙げられる。溶融性充填材は50℃〜250℃または150℃〜225℃の融点を有することができる。溶融性充填材は共晶合金、非共晶合金または純金属であってもよい。適当な溶融性充填材は、ニューヨーク州ウチカのIndium社、ロードアイランド州プロビデンスのArconium社およびロードアイランド州クランストンのAIM Solder社から市販されている。適当なアルミニウム充填材はイリノイ州ネーパービルのToyal America社およびカリフォルニア州ストックトンのValimet社から市販されている。銀充填材はマサチューセッツ州アトルバロのMatalor Technologies社から市販されている。
【0074】
適当な充填材の追加の例としては、沈降炭酸カルシウム、粉末炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、タルク、二酸化チタン、プラスチック粉末、ガラスまたはプラスチック(例えばSaran(登録商標))ミクロスフェア、マイカまたは剥離マイカのような高アスペクト比充填材、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。充填材を任意に脂肪酸(例えば、ステアリン酸)のような処理剤で処理することができる。沈降炭酸カルシウムはSolvay社からWINNOFIL(登録商標)SPMの商品名で市販されている。粉末炭酸カルシウムは米国フロリダ州マイアミのQCI Britannic社からImerys Gammasperseの商品名で市販されている。1011のようなカーボンブラックはWilliams社から市販されている。シリカはCabot社から市販されている。
【0075】
充填材は、単一の熱伝導性充填材か、または粒子形状、平均粒径、粒径分布および充填材のタイプのような特性の少なくとも1つが異なる2つ以上の熱伝導性充填材の組み合わせとしてさらに定義することができる。例えば、大きな平均粒径を有する第1酸化アルミニウムおよび小さな平均粒径を有する第2酸化アルミニウムのような無機充填材の組み合わせを用いることが望まい場合がある。あるいはまた、例えば、大きな平均粒径を有する酸化アルミニウムと小さな平均粒径を有する酸化亜鉛との組み合わせを用いることが望ましい場合がある。あるいは、大きな平均粒径を有する第1アルミニウムおよび小さな平均粒径を有する第2アルミニウムのような金属充填材の組み合わせを用いることが望ましい場合がある。例えば、第1アルミニウムが8〜100マイクロメーター、あるいは8〜10マイクロメーターの範囲の平均粒径を有することができる。第2アルミニウムが0.1〜5マイクロメーター、あるいは1〜3マイクロメーターの範囲の平均粒径を有することができる。あるいはまた、金属および酸化金属充填材の組み合わせ、例えばアルミニウムおよび酸化アルミニウム充填材の組み合わせ;アルミニウムおよび酸化亜鉛充填材の組み合わせ;またはアルミニウム、酸化アルミニウム、および酸化亜鉛充填材の組み合わせのような金属および無機充填材の組み合わせ用いることが望ましい場合がある。大きな平均粒径を有する第1充填材および第1充填材より小さな平均粒径を有する第2充填材を用いると、充填効率を向上させることができ、粘度を低減することができ、熱伝導を向上させることができる。上記充填材のいずれかを所望に応じて組み合わせて用いることができることを意図している。
【0076】
熱伝導性充填材の平均粒径は、熱伝導性充填材のタイプおよび使用量を含むさまざまな要因によって決まる。しかし、各種実施形態では、熱伝導性充填材が0.1〜100マイクロメーター、あるいは0.1〜80マイクロメーター、あるいは0.1〜50マイクロメーター、あるいはまた0.1〜10マイクロメーターの範囲の平均粒径を有する。
【0077】
各種実施形態において、シリコーン組成物は、該シリコーン組成物100質量部当たり10〜70、20〜60、40〜60または30〜50質量部の充填材を含む。一つの実施形態では、シリコーン組成物が、該シリコーン組成物100質量部当たり45〜55質量部の石英充填材を含む。他の実施形態では、シリコーン組成物が、該シリコーン組成物100質量部当たり1〜150質量部の充填材を含む。さらなる実施形態では、シリコーン組成物が、該シリコーン組成物100質量部当たり約50質量部の石英充填材を含む。さらに別の実施形態では、シリコーン組成物が、該シリコーン組成物100質量部当たり10〜80質量部の量で存在する石英、シリコン、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物およびこれらの組み合わせの群から選択した充填材を含む。
【0078】
前記充填材を、脂肪酸またはステアリン酸塩のような脂肪酸エステル、有機シラン、有機シロキサン、ヘキサアルキルジシラザンのような有機シラザンおよび/または短鎖シロキサンジオールならびにこれらの組み合わせで表面処理して、充填材を疎水性にすることができる。この表面処理は充填材を取り扱いし易くし、シリコーン組成物の他の成分との均一な混合物を得やすくすることができる。表面処理はまた、粉末ケイ酸塩鉱物を湿潤しやすくすることができる。限定することを意図せずに、表面変性充填材が凝集に抵抗し、シリコーン組成物中に均一に組み込むことができ、よって室温機械的特性の向上をもたらすと考えられる。さらに、表面処理充填材は無処理充填材よりも導電性が低いと考えられる。上記のように、熱伝導性充填材は第1最外層22も熱伝導性である場合に用いることができ、従って光電池24から過剰の熱を除去して、電池効率を向上させることができる。
【0079】
充填材に加えて、シリコーン組成物は3−メチル−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−フェニル−3−ブチン−2−オル、ビニルシクロシロキサンおよびトリフェニルホスフィンのようなヒドロシリル化触媒抑制剤などの添加剤も含むことができる。添加剤の他の非限定的な例としては、顔料、接着促進剤、腐食防止剤、染料、希釈剤、抗汚染添加剤およびこれらの組み合わせが挙げられる。かかる添加剤の包含は、保存寿命、硬化速度、結合層26の光学特性に基づくことができる。
【0080】
適当な接着促進剤のとくに好適な例としては、ビニルトリエトキシシラン、アクリロプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのようなアルキルアクリロプロピルトリメトキシシラン、アルコキシシラン、アリルトリエトキシシラン、グリシドプロピルトリメトキシシラン、アリルグリシジルエーテル、ヒドロキシジアルキルシリル末端メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ヒドロキシジアルキルシリル末端メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーのグリシドプロピルトリメトキシシランとの反応生成物、ビス−トリエトキシシリルエチレングリコール、ヒドロキシジアルキルシリル末端メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ヒドロキシジアルキルシリル末端メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーのグリシドプロピルトリメトキシシランおよびビス−トリエトキシシリルエチレングリコールとの反応生成物、ヒドロキシジアルキルシリル末端メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーおよびメタクリロプロピルトリメトキシシランの0.5:1〜1:2、より一般的には1:1混合物、ならびにこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0081】
上記のように、添加剤は、光電池24使用時の汚染を低減/防止するための抗汚染添加剤を含むことができる。とくに好適な抗汚染添加剤としては、ジメチル水素シロキシ末端トリフルオロプロピルシルセスキオキサン、ヒドロキシ末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ヒドロキシ末端トリフルオロプロピルメチルシリルメチルビニルシリルシロキサン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヒドロキシ−末端メチルビニル、トリフルオロプロピルシロキサン、ジメチル水素シロキシ末端ジメチルトリフルオロプロピルメチルシロキサンおよびこれらの組み合わせを含むフッ素化シルセスキオキサンのような25℃で10,000mPa・sの粘度を有するフルオロアルケンおよびフルオロシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。抗汚染添加剤は、通常シリコーン組成物100質量部当たり5質量部以下の量で存在する。
【0082】
シリコーン組成物はまた、太陽エネルギーを低波長(200〜500nm)で吸収し、高波長(600〜900nm)で再放射することができる光学的光沢剤、レオロジー調整剤、顔料、熱安定剤、難燃剤、紫外線安定剤、鎖延長剤、可塑剤、増量剤、殺菌剤および/または殺生物剤等(0〜0.3重量%の量で存在することができる)、水捕捉剤、延性を向上および低粘着性を維持する予備硬化シリコーンおよび/または有機ゴム粒子、ならびにこれらの組み合わせを含むことができる。
【0083】
適当な難燃剤の例としては、とくにこれらの難燃剤に関してここに参照して援用する国際公開第00/46817号に記載のアルミナ粉末またはウォラストナイトが挙げられる。難燃剤は単独でまたは他の難燃剤または二酸化チタンのような顔料と組み合わせて用いることができる。
【0084】
ヒドロシリル化反応のような本発明のあらゆる反応は、任意の適当な標準反応器中、またはモジュール20上で行うことができる。適当な反応器としてはガラスおよびTeflon加工ガラス反応器が挙げられる。一般に、反応器はかき混ぜのような撹拌手段を備える。反応は通常窒素またはアルゴンのような不活性雰囲気中、水分非存在下で行う。
【0085】
本発明のシリコーン組成物は粘着性であっても非粘着性であってもよく、ゲル、ゴム、液体、ペースト、樹脂または固体とすることができる。本発明の方法では、シリコーン組成物が液体で、光電池24上に配置する。一つの実施形態では、シリコーン組成物が膜である。別の実施形態では、シリコーン組成物がゲルである。さらに別の実施形態では、シリコーン組成物が硬化(例えば予備硬化または部分硬化)してゲルを形成する液体である。あるいはまた、シリコーン組成物が各セグメントが異なるシリコーンおよび/または異なる形態(例えばゲルおよび液体)を含む複数のセグメントを含むことができる。一つの実施形態では、シリコーン組成物が主として有機シリコン化合物、有機水素シリコン化合物およびヒドロシリル化触媒からなり、任意の追加シリコーン、充填材、架橋剤および/または添加剤を含まない。あるいはまた、シリコーン組成物が有機シリコン化合物、有機水素シリコン化合物およびヒドロシリル化触媒からなることができる。
【0086】
シリコーン組成物は、ヒドロシリル化機構または上述した任意の他の機構によって未硬化、部分硬化または完全硬化とすることができる。一つの実施形態では、シリコーン組成物を0℃〜150℃の温度で硬化する。あるいはまた、シリコーン組成物を50℃〜150℃の温度、または室温(〜23℃±2℃)〜115℃の温度で硬化することができる。しかし、当業者により選択されるような他の温度を用いてもよい。シリコーン組成物を熱で硬化させる場合、加熱が任意適当なオーブン等においてバッチまたは連続モードのいずれかで行うことができる。連続モードがもっとも好ましい。また、シリコーン組成物を1〜24時間で硬化させることができる。しかし、シリコーン組成物を、用途に応じて当業者により選択されるようなより短いまたは長い時間で硬化させてもよい。各種実施形態では、シリコーン組成物が25℃で約100,000センチポイズ(cps)未満、50〜10,000cps、100〜7,500cps、250〜5,000cps、250〜10,000cps、25〜800cps、2,500〜5,000cps、250〜600cps、3,000〜4,000cps、または2,000〜8,000cpsの粘度を有する。別の実施形態では、シリコーン組成物が25℃で約400または約3,500cpsの粘度を有する。シリコーン組成物の粘度は、ASTM D1084またはASTM D4287を用いて計算することができる。
【0087】
前に戻ると、一つの実施形態において、図7に示すように、シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆した複数の繊維27は、モジュール20の両端でモジュールの外周(36)に対し横方向に、すなわち第2(最外)層26全体に横方向(L)に延在する。一つの実施形態では、シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆した複数の繊維27は、モジュール20の全端でモジュールの外周(36)に対し第2(最外)層26全体に横方向(L)に延在する。ここで用いる「端」の語は、モジュール20のフロント、リアおよび/またはサイド外周を含む。複数の繊維27は、モジュール20の一端から他端まで完全に延在することができる。複数の繊維27はいくつかの部分で被覆され、他の部分では被覆されなくてもよく、または完全に被覆してもよい。一つの実施形態では、未被覆繊維27が第2(最外)層26のある部分を横切って外周36まで延在する一方、被覆繊維は第2(最外)層26の別の部分を横切って延在する。複数の繊維27および/または第2(最外)層26は、光電池24上に配置したとき光電池24を完全に覆っていてもよい。あるいはまた、複数の繊維27および/または第2(最外)層26は、光電池24の上に配置したときこれを完全に覆っていなくてもよく、隙間を残してもよい。
【0088】
複数の繊維27を含む第2(最外)層26は、通常第1最外層22および光電池24と同じ大きさである。しかしながら、一つの実施形態では、第2(最外)層26が光電池24よりも小さく、光電池24の一部分にのみ延在する。さらなる実施形態では、第2(最外)層26がそれぞれ125mmの長さおよび幅を有する。また別の実施形態では、第2(最外)層26がそれぞれ156mmの長さおよび幅を有する。もちろん、複数の繊維27および第2(最外)層26、ならびに本発明がこれらの寸法に限定されないことを理解すべきである。
【0089】
モジュール20に戻ると、該モジュール20は支持層28を含むこともできる。支持層28は第1最外層22と同じであっても異なっていてもよい。一つの実施形態において、支持層28は、第2層26が内側層である場合、第2層26上に配置した第2最外層である。この実施形態では、支持層28を第1最外層22に対向して配置し、モジュール20を支持するために用いる。別の実施形態では、支持層28がガラスを含む。別の実施形態では、支持層28がポリイミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、限定しないがエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニル(Tedlar(登録商標))、ポリエステル/Tedlar(登録商標)、Tedlar(登録商標)/ポリエステル/Tedlar(登録商標)を含む有機フルオロポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)単独またはシリコンおよび酸素系物質(SiO)で少なくとも部分的に被覆したもの、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、支持層28がTedlar(登録商標)を含む。当業界で既知のように、Tedlar(登録商標)はポリフッ化ビニルである。一つの実施形態では、支持層28がポリフッ化ビニルおよびポリエチレンの群から選択される。
【0090】
一般に、支持層28は50〜150、より一般的には100〜225、もっとも一般的には175〜225マイクロメーターの厚さを有する。一つの実施形態では、支持層28がそれぞれ125mmの長さおよび幅を有する。別の実施形態では、支持層28がそれぞれ156mmの長さおよび幅を有する。もちろん、支持層28、および本発明がこれらの寸法に限定されないことを理解すべきである。
【0091】
第2(最外)層26および支持層28に加えて、モジュール20は結合層30を含むこともできる。結合層30を光電池24上に配置し、光電池24と第1最外層22との間で挟むことができる。あるいはまた、結合層30をモジュール20の任意の他の部分に配置することができる。モジュール20は2つ以上の結合層30を含むことができ、第2、第3および/または追加の結合層を含むことができる。第2、第3および/または追加の結合層は結合層30と同じでも異なっていてもよい。結合層30は、上述したシリコーン組成物と同じでも異なっていてもよい第2シリコーン組成物を含むことができる。一つの実施形態では、第2シリコーン組成物が上記のシリコーン組成物と異なる。
【0092】
一つの実施形態において、図3、4、10および11に示すように、モジュール20は、第1最外層22上に配置し、第1最外層22と光電池24との間で挟んだ結合層30を含む。結合層30は、紫外線および/または可視光に対して透明、光不透過性、または不透明であってもよい。
【0093】
結合層30は1.1〜100mmの針入度を有することができる。各種実施形態では、結合層30は1.3〜100mm、より好適には2〜55mmの針入度を有する。針入度は、まず硬度を計算し、次に針入度を計算することにより決定される。よって、結合層30は通常5〜500、より一般的には5〜400、もっとも一般的には10〜300グラム(g)力の硬度を有する。より具体的には、硬度が0.5インチ(1.27cm)直径の鋼製プローブを用いるStable Micro Systems社から市販のTA−XT2 Texture Analyzerを用いて求める。12gの質量を有する結合層30の試験試料を100℃で10分間加熱し、当業界で既知であるような下記の試験パラメーター:2mm/秒の予備試験および後試験速度;1mm/秒の試験速度;4mmの目標距離;60秒の保持時間;および5g力のトリガー値を用いて硬度について分析する。最大グラム力は結合層30中へ4mmの距離で測定する。
【0094】
結合層30はまた、−0.6g秒未満のタック値を有することができる。各種実施形態では、結合層30が−0.7〜−300g秒、より一般的には−1〜−100g秒のタック値を有する。一つの実施形態では、結合層30が約−27g秒のタック値を有する。タック値は、0.5インチ(1.27cm)直径の鋼製プローブを用いるStable Micro Systems社から市販のTA−XT2 Texture Analyzerを用いて測定する。プローブを結合層30中に4mmの深さまで挿入した後、2mm/秒の速度で引き抜く。タック値は、結合層30からのプローブを引き抜く間の総面積(力−時間)として計算する。タック値はグラム秒で表す。
【0095】
結合層30は通常粘着性で、ゲル、ゴム、液体、ペースト、樹脂または固体とすることができる。一つの実施形態では、結合層30が膜である。別の実施形態では、結合層30がゲルである。さらに別の実施形態では、結合層30が硬化(例えば予備硬化)してゲルを形成する液体である。あるいはまた、結合層30は、セグメントおよび結合層30全体が上記の適当な針入度およびタック値を有する限り、各セグメントが異なる組成および/または異なる形態(例えばゲルおよび液体)を含む複数のセグメントを含むことができる。結合層30として用いるのに適したゲルの例については、とくにこれらゲルに関してここで参照して援用する米国特許第5,145,933号、第4,340,709号、および第6,020,409号に記載されている。結合層30がいずれの形態を有することもできることを理解すべきである。一般に、結合層30は、Brookfield DVIII Cone and Plate Viscometerを用いてASTM D4287に従って25℃で測定した10〜100,000mPa・sの粘度を有する。結合層30は一般に7×10〜6×10ダイン/cmの弾性率(硬化時G')も有する。
【0096】
一つの実施形態では、結合層30が取り込まれた空気(気泡)をほぼ含まない。「ほぼ含まない」の語は結合層30が可視気泡を有さないことを意味する。別の実施形態では、結合層30が可視および微視気泡の両方を含む取り込まれた空気を完全に含まない。
【0097】
結合層30を当業界で既知の任意適当な化合物から形成することができる。結合層30は、無機化合物、有機化合物、または有機および無機化合物の混合物から形成することができ、および/またはこれらを含むことができる。これら化合物は硬化を要しても要さなくてもよい。一つの実施形態では、結合層30をシリコン原子を含む硬化性組成物から形成する。結合層30は、米国特許第6,020,409号および第6,169,155号に開示されたもののような硬化性シリコーン組成物から完全に形成することができ、特にこれら硬化性シリコーン組成物に関してはここに参照して援用する。別の実施形態では、結合層30の硬化性組成物がエチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリエチレンテレフタレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。あるいはまた、結合層30は、成分(A)〜(E)の1つ以上を含む硬化性組成物から形成することができる。成分(A)は当業界で既知のあらゆる有機および/または無機化合物を含むことができ、炭素およびシリコン原子の両方を含むことができる。一般に、成分(A)はジオルガノポリシロキサンを含む。ジオルガノポリシロキサンは高い数(M)および/または重量(M)平均分子量を有することができ、以下により詳しく記載する成分(B)と硬化するように設計した1分子当たり少なくとも2つの反応性基を有するシリコーンゴムとすることができる。あるいはまた、ジオルガノポリシロキサンは樹脂であってもよく、またはゴムおよび樹脂を含んでもよい。ジオルガノポリシロキサンは、通常ほぼ線状である分子構造を有する。しかしながら、この構造は部分的に分岐していてもよい。一つの実施形態では、ジオルガノポリシロキサンは上述した有機シリコン化合物と同じである。もちろん、成分(A)を有機シリコン化合物とは関係なく選択することができることを理解すべきである。
【0098】
適当な成分(A)の例としては、ジメチルアルケニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、メチルアルケニルシロキサンおよびジメチルシロキサンのジメチルアルケニルシロキシ末端コポリマー、メチルフェニルシロキサンおよびジメチルシロキサンのジメチルアルケニルシロキシ末端コポリマー、メチルフェニルシロキサン、メチルアルケニルシロキサンおよびジメチルシロキサンのジメチルアルケニルシロキシ末端コポリマー、ジフェニルシロキサンおよびジメチルシロキサンのジメチルアルケニルシロキシ末端コポリマー、ジフェニルシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサンおよびジメチルシロキサンのジメチルアルケニルシロキシ末端コポリマー、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
あるいはまた、成分(A)は同じでも異なっていてもよいヒドロキシルまたは加水分解性基XおよびXを有する化合物を含むことができる。これらの基は末端基であってもなくてもよく、また一般に立体障害がない。例えば、この化合物は一般式:
X−A−X
を有することができ、式中のXおよび/またはXは下記の基:−Si(OH)、−(R)Si(OH)、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiORまたは−RSi−R−SiR(OR3−pのいずれかを含むか、および/またはこれらのいずれかで末端化することができ、各Rは独立して1〜8個の炭素原子を有するアルキル基のような一価ヒドロカルビル基を含むことができる。一般に、Rはメチル基である。各RおよびRは独立して最大6個の炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基とすることができる。Rは、一般に最大6個のシリコン原子を有する1つ以上のシロキサンスペーサーを含むことができる二価の炭化水素基である。一般に、pは0、1または2の値を有する。一つの実施形態では、Xおよび/またはXが水分存在下で加水分解可能な官能基を含む。
【0100】
さらに、この式において(A)は通常シロキサン分子鎖を含む。一つの実施形態では、(A)が次式:
−(RSiO(4−s)/2)−
のシロキサン単位を有するポリジオルガノシロキサン鎖を含み、式中の各Rは独立して塩素またはフッ素のような1つ以上のハロゲン基で任意に置換される1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のような有機基であり、sは0、1または2である。より具体的には、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロへキシル、フェニルおよび/またはトリル基、3,3,3−トリフルオロプロピルのような塩素またはフッ素で置換したプロピル基、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチルまたはクロロシクロへキシル基、ならびにこれらの組み合わせを含むことができる。一般に、基Rの少なくともいくつかはメチル基である。もっとも代表的には、基Rのすべてがメチル基である。一つの実施形態では、1分子当たり上記式の少なくとも約700単位がある。
【0101】
通常、成分(A)は50mPa・sより大きい粘度を有する。一つの実施形態では、成分(A)が1,000,000mPa・sより大きい粘度を有する。別の実施形態では、成分(A)が50〜1,000,000、より一般的には100〜250,000、もっとも一般的には100〜100,000mPa・sの粘度を有する。前記粘度は、それぞれBrookfield DVIII Cone and Plate Viscometerを用いてASTM D4287に従って25℃で測定する。成分(A)は、通常結合層30の硬化性組成物中に該結合層30の硬化性組成物100質量部当たり25〜99.5質量部の量で存在する。
【0102】
いくつかの実施形態では、成分(A)が1500より大きい重合度(dp)およびASTM D924を用いて測定した95〜125のウィリアム可塑度を有する。ここで用いる可塑度は、体積2cmおよび高さ約10mmの円筒試験片に49ニュートンの圧縮荷重を25℃で3分間かけた後の厚さミリメーター×100として定義する。
【0103】
ここで成分(B)を参照すると、この成分は一般にシリコーン樹脂(M、D、Tおよび/またはQ)または樹脂の混合物を含む。樹脂は、成分(A)と反応することができる官能基を含んでも含まなくてもよい。成分(B)は溶剤の有無にかかわらず成分(A)と組み合わせることができる。より具体的には、成分(B)はRSiO1/2単位およびSiO4/2単位を含むMQ樹脂、RSiO3/2単位およびRSiO2/2単位を含むTD樹脂、RSiO1/2単位およびRSiO3/2単位を含むMT樹脂、RSiO1/2単位、RSiO3/2単位およびRSiO2/2単位を含むMTD樹脂、ならびにこれらの組み合わせのような有機シロキサン樹脂を含むことができる。これらの式中、Rは上記のとおりである。
【0104】
上で用いた記号M、D、TおよびQは、有機シリコン流体、ゴム(エラストマー)および樹脂を含むポリオルガノシロキサンの構造単位を有する官能基を表す。記号は当業界で確立された理解に従って用いる。従って、Mは単官能性単位RSiO1/2を表す。Dは二官能性単位RSiO2/2を表す。Tは三官能性単位RSiO3/2を表す。Qは四官能性単位SiO4/2を表す。これら単位の一般的な構造式を以下に示す:
【化4】

一般に、成分(B)の重量平均分子量は少なくとも5,000g/モルで、通常10,000g/モルより大きい。成分(B)は通常結合層30の硬化性組成物中に該結合層30の硬化性組成物100質量部当たり0.5〜75質量部の量で存在する。
【0105】
いずれの特定の理論にも拘束されることを意図することなく、前記成分(A)および(B)は結合層30に優れた紫外線抵抗性をもたらすと考えらえる。これらシリコーンの使用は、モジュール20に紫外線添加剤またはセリウムドープガラスを含める必要性を下げるか、または排除することができる。これらシリコーンはまた、長期紫外線および可視光透過を示すことができ、これによりモジュール20の効率を最大化する。
【0106】
ここで成分(C)を参照すると、この成分は通常硬化触媒を含む。触媒は当業界で既知のあらゆるタイプのものとすることができ、一般に縮合触媒、ヒドロシリル化触媒、ラジカル触媒、紫外線触媒、熱触媒およびこれらの組み合わせの群から選択される。この触媒の選択は製造および処理時間を>20%低減することができ、特定の製造工程を完全になくすことができ、これにより製造費用および末端使用者にとっては購買費用の低下をもたらす。
【0107】
一つの実施形態では、成分(C)が上で記載したヒドロシリル化触媒と同じである。別の実施形態では、成分(C)が、限定しないが=Si−CH基および他のSi−CH基もしくは=Si−CH基および=Si−アルケニル基(通常ビニル)、または=Si−アルケニル基および=Si−アルケニル基を含むシロキサン間のフリーラジカル系反応に用いる過酸化物触媒を含む。適当な過酸化物触媒としては、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過安息香酸tert−ブチル、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(TMCH)(2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン)触媒、1,1−ビス(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、3,3−ビス(tert−アミルペルオキシ)酪酸エチル、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンおよびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。これら触媒はニート化合物として、または不活性マトリックス(液体または固体)中で用いることができる。
【0108】
一般に、1つ以上の過酸化物触媒を用いる場合、硬化を開始する温度は通常触媒の半減期に基づいて決定/制御する。しかしながら、硬化速度および硬化性化合物および結合層30の最終的な物理特性は、結合層30を形成するのに用いる化合物の不飽和レベルにより制御される。さらに、反応速度および物理特性は、異なる重合度(dp)を有する線状非反応性末端ブロックポリマーをビニル末端ブロックの有無にかかわらずジメチルメチルビニルコポリマーと混合することにより調整することができる。
【0109】
また別の実施形態では、成分(C)が縮合触媒を含み、またアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシおよびベンゾイルオキシ基)、ケトキシミノ基(例えばジメチルケトオキシムおよびイソブチルケトキシミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシおよびプロポキシ基)、アルケニルオキシ基(例えばイソプロペニルオキシおよび1−エチル−2−メチルビニルオキシ基)、およびこれらの組み合わせのようなシリコン結合加水分解性基を含む1つ以上のシランまたはシロキサン系架橋剤と縮合触媒との組み合わせを含むこともできる。結合層30の硬化性組成物が湿潤雰囲気に曝露すると反応して永久ネットワークを形成するシート材料を形成するように調製した樹脂ポリマー混合物を含む場合、縮合触媒を成分(C)に用いることができることも意図している。あるいはまた、結合層30の硬化性組成物が水分誘導性ポリマーと共反応することができるアルコキシ官能性シリコーンポリマーを含む場合、縮合触媒を成分(C)に用いることができる。
【0110】
成分(C)は当業界で既知の任意適当な縮合触媒を含むことができる。より具体的には、縮合触媒としては、錫、鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウムおよびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。非限定的で、特に適当な縮合触媒としては、ジオクタン酸ジブチル錫、ジ酢酸ジブチル錫、ジマレイン酸ジブチル錫、ジラウリン酸ジブチル錫、2−エチルヘキサン酸ブチル錫、鉄、コバルト、マンガン、鉛および亜鉛の2−エチルヘキサン酸塩、ならびにこれらの組み合わせのようなアルキル錫エステル化合物が挙げられる。
【0111】
あるいはまた、縮合触媒は、それぞれ一般式Ti[OR]またはZr[OR]を有するチタネートおよび/またはジルコネートを含むことができ、式中の各Rは同じでも異なっていてもよく、線状でも分岐でもよい1〜10個の炭素原子を有する一価の第1級、第2級または第3級脂肪族炭化水素基を表す。一つの実施形態では、縮合触媒が部分不飽和基を含むチタネートを含む。別の実施形態では、縮合触媒は、Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第3級ブチルおよび/または2,4−ジメチル−3−ペンチルのような分岐第2級アルキル基、ならびにこれらの組み合わせを含むチタネートおよび/またはジルコネートを含む。一般に、各Rが同じである場合、Rはイソプロピル基、分岐第2級アルキル基または第3級アルキル基、とくに第3級ブチル基である。あるいはまた、チタネートをキレート化することができる。キレート化は、任意適当なキレート化剤、例えばメチルまたはエチルアセチルアセトネートのようなアルキルアセチルアセトネートで行うことができる。適当なチタンおよび/またはジルコニウム系触媒の例については、とくにこれら触媒に関してここで参照して援用する欧州特許第1254192号に記載されている。一般に、縮合触媒は、用いる場合、結合層30の総硬化性組成物の0.01〜3質量%の量で存在する。
【0112】
あるいはまた、成分(C)は結合層30の硬化性組成物が脂環式エポキシ官能基を含む場合に用いることができるカチオン開始剤を含むことができる。通常、カチオン開始剤は熱および/または紫外線硬化に適しており、結合層30の硬化性組成物が加熱すると硬化ネットワークを生成するヨードニウムまたはスルホニウム塩を含む場合に用いることができる。一つの実施形態では、カチオン開始剤をラジカル開始剤と組み合わせて用いる。この組み合わせは、上記のような適当な紫外線−可視光ラジカル開始剤で感光する場合、紫外線−可視光照射により硬化することができる。
【0113】
ここで成分(D)を参照すると、この成分は線状、部分分岐線状、環状または網状構造を有することができる架橋剤を含む。架橋剤は上記の触媒とは関係なく、またはこれと組み合わせて含むことができる。架橋剤は当業界で既知のいずれかであり、通常上記の有機水素シリコン化合物を含む。もちろん、成分(D)を有機水素シリコン化合物とは関係なく選択することができることを理解すべきである。
【0114】
各種実施形態では、架橋剤は1分子当たり2つ、一般的には3つ以上のシリコン結合加水分解性基を有することができる。架橋剤がシランで、1分子当たり3つのシリコン結合加水分解性基を有する場合、架橋剤はまた非加水分解性シリコン結合有機基を含むことができる。これらシリコン結合有機基は、通常フッ素および塩素のようなハロゲンで任意に置換されるヒドロカルビル基である。適切な基の例としては、メチル、エチル、プロピル、およびブチル基のようなアルキル基、シクロペンチルおよびシクロへキシル基のようなシクロアルキル基、ビニルおよびアリル基のようなアルケニル基、フェニルおよびトリル基のようなアリール基、2−フェニルエチル基のようなアラルキル基、ならびにこれらのハロゲン化誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。もっとも一般的には、非加水分解性シリコン結合有機基はメチル基である。
【0115】
別の実施形態では、架橋剤がアシルオキシ基(例えばアセトキシ、オクタノイルオキシおよびベンゾイルオキシ基)、ケトキシミノ基(例えばジメチルケトオキシモおよびイソブチルケトキシミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシおよびプロポキシ基)、アルケニルオキシ基(例えばイソプロぺニルオキシおよび1−エチル−2−メチルビニルオキシ基)、およびこれらの組み合わせのような加水分解性基を含む1つ以上のシランを含む。これらのシロキサンは直鎖、分岐鎖または環状であってもよい。
【0116】
上述したように、架橋剤は前記成分(C)の触媒と組み合わせることができる。一つの実施形態において、架橋剤はオキシモシランおよび/またはアセトキシシラン含み、ジカルボン酸ジ有機錫、ジラウリン酸ジブチル錫、二酢酸ジブチル錫、ビスネオデカン酸ジメチル錫およびこれらの組み合わせのような錫触媒と組み合わせる。別の実施形態では、架橋剤がチタン酸テトラブチル、チタン酸テトライソプロピルのようなチタネートおよび/またはジルコネート触媒、ビス(アセチルアセトニル)チタン酸ジイソプロピル、ビス(エチルアセトアセトニル)チタン酸ジイソプロピル、ビス(エチルアセト酢酸)ジイソプロポキシチタンおよびこれらの組み合わせのようなキレート化チタネートまたはジルコネートと組み合わせたアルコキシシランを含む。あるいはまた、架橋剤がアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシおよびベンゾイルオキシ基)、ケトキシミノ基(例えばジメチルケトキシモおよびイソブチルケトキシミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシおよびプロポキシ基)、およびアルケニルオキシ基(例えばイソプロペニルオキシおよび1−エチル−2−メチルビニルオキシ基)のようなシリコン結合加水分解性基を含むことができる1つ以上のシランまたはシロキサンを含むことができる。シロキサンの場合、分子構造は直鎖、分岐または環状とすることができる。
【0117】
結合層30の硬化性組成物は成分(E)を含むこともできる。この成分は通常機能性の高い修飾剤である。適当な修飾剤は、限定しないが、欧州特許第1070734号に記載されたメチルビニル環状有機ポリシロキサン構造(EVi)および(MViQ構造のような分岐構造を含み、特にこれら構造に関してここに参照して援用する。含まれる場合、成分(E)は当業者が決定する量で用いることができる。
【0118】
成分(A〜E)に加えて、結合層30の硬化性組成物はブロックコポリマーおよび/またはブロックコポリマーおよびシリコーン樹脂の混合物をさらに含むことができる。ブロックコポリマーは単独で用いることができ、通常上記触媒の1つを用いて硬化させる。ブロックコポリマーは、「硬質」セグメント(すなわち、ガラス転移点T≧モジュール20の作動温度を有する)および「軟質」セグメント(すなわち、ガラス転移点T≦モジュール20の作動温度を有する)を有する熱可塑性エラストマーを含むことができる。一般に、軟質セグメントは有機ポリシロキサンセグメントである。ブロックコポリマーはAB、ABAまたは(AB)ブロックコポリマーとすることができることを意図している。
【0119】
より具体的には、これらブロックコポリマーは、限定しないが、スチレン、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、アルケニルモノマー、イソシアネートモノマーおよびこれらの組み合わせを含む有機モノマーもしくはオリゴマーまたは有機モノマーおよび/もしくはオリゴマーの組み合わせから調製した硬質セグメントポリマーから製造することができる。一般に、硬質セグメントポリマーは有機ポリシロキサンポリマーのような少なくとも1個のシリコン原子を有する化合物から調製した軟質セグメントポリマーと混合または反応させる。前記硬質および軟質セグメントのそれぞれは、線状もしくは分岐鎖ポリマーネットワークまたはこれらの組み合わせとすることができる。
【0120】
好適なブロックコポリマーはシリコーン−ウレタンおよびシリコーン−ウレアコポリマーを含む。シリコーン−ウレタンおよびシリコーン−ウレアコポリマーは、特にこれらコポリマーに関してここに参照して援用した米国特許第4,840,796号および4,686,137号に記載されており、室温で弾性であるなどの良好な機械特性を有する物質を形成することが知られている。これらシリコーン−ウレア/ウレタンコポリマーの所望の特性は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のレベル、用いる鎖延長剤のタイプ、および用いるイソシアネートのタイプを変えることにより最適化することができる。含まれる場合、ブロックコポリマーは通常結合層30の硬化性組成物中に該結合層30の硬化性組成物100質量部当たり1〜100質量部の量で存在する。
【0121】
結合層30の硬化性組成物は、取扱条件および保存特性を向上させる硬化防止剤を含むこともできる。硬化防止剤は当業界で既知のいずれかであり、限定しないが、2−メチル−3−ブチン−2−オル、2−フェニル−3−ブチン−2−オル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、3,5−ジメチル−1−ヘキセン−1−イン、3−エチル−3−ブテン−1−インおよび/または3−フェニル−3−ブテン−1−インのようなメチルービニル環状のアセチレン系化合物、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンまたは1,3−ジビニル−1,3−ジフェニルジメチルジシロキサンのようなアルケニルシロキサンオリゴマー、メチルトリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シランのようなエチニル基含有シリコーン化合物、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールのような窒素化合物、トリフェニルホスフィンのようなリン化合物、硫黄化合物、ヒドロペルオキシ化合物、これらのマレイン酸誘導体、ならびにこれらの組み合わせを含むことができる。あるいはまた、硬化防止剤は米国特許第6,020,409号および6,169,155号に開示された硬化防止剤から選択することができ、特にその硬化防止剤に関してここに参照して援用する。含まれる場合、硬化防止剤は通常成分(A)100質量部当たり3質量部未満、より一般的には0.001〜3質量部、もっとも一般的には0.01〜1質量部の量で含まれる。
【0122】
成分(A〜E)のそれぞれを、ともに予備反応(または束縛)させることができるが、これは当業界でボディングとして既知である。一つの実施形態では、シラノール官能性ポリマーをシラノール官能性樹脂に束縛する。この束縛は一般に縮合および再構成を含み、塩基または酸触媒を用いて行うことができる。束縛は反応性または非反応性有機シラン種の抱合によりさらに精緻化することができる。
【0123】
またさらに、結合層30の硬化性組成物は、充填材、増量充填材、顔料、接着促進剤、腐食防止剤、染料、希釈剤、抗汚染添加剤およびこれらの組み合わせのような添加剤を含むことができ、これは上で詳述したものと同じでも異なっていてもよい。結合層30の硬化性組成物を、限定しないが、上で詳述したものを含む当業界で既知のあらゆる機構により硬化することができる。
【0124】
一つの実施形態では、結合層30がシリコーン系樹脂をほぼ含まない。別の実施形態では、結合層30が熱可塑性樹脂をほぼ含まない。「ほぼ含まない」の語は、結合層30の硬化性組成物100万質量部当たり、1,000質量部未満、より一般的には500質量部未満、もっとも一般的には100質量部未満の結合層30中のシリコーン系樹脂および/または熱可塑性樹脂の量を表す。さらなる実施形態では、結合層30が熱溶解組成物、すなわち本質的に強度が高く、室温で流動抵抗性(すなわち高粘度)である任意に硬化可能な熱硬化生成物として分類され得るような適当な物理特性を有さない。
【0125】
前に戻ると、第2(最外)層26は通常1ミル当たり400〜800ボルトの絶縁耐力を有する。一つの実施形態では、第2(最外)層26が1ミル当たり400〜500ボルトの絶縁耐力を有する。別の実施形態では、第2(最外)層26が1ミル当たり500〜600ボルトの絶縁耐力を有する。さらなる実施形態では、第2(最外)層26が1ミル当たり600〜700ボルトの絶縁耐力を有する。さらに別の実施形態では、第2(最外)層26が1ミル当たり700〜800ボルトの絶縁耐力を有する。光電池24および第2(最外)層26はまた、通常ASTM D903に従って1インチ当たり1〜10ポンドの接着強度を有する。
【0126】
上記のように、モジュール20は、単独で第1最外層22、第2(最外)層26および光電池24を含み、その一例を図1に示す。一つの実施形態では、モジュール20が基本的に第1最外層22、光電池24および第2(最外)層26からなる。別の実施形態では、モジュール20が基本的に第1最外層22、光電池24、第2(最外)層26および結合層30からなる。これら実施形態のそれぞれでは、モジュール20がいずれの追加の結合層、基板または光電池を含まない。さらなる実施形態では、図3および10に示すように、モジュール20が第1最外層22、第1最外層22上に直接接して配置した結合層30、第1最外層22上に間隔をあけて配置した光電池24、および光電池24上に直接接して配置した第2(最外)層26を含む。
【0127】
あるいはまた、モジュール20が第1最外層22、光電池24、第2(最外)層26および導線からなるか、または第1最外層22、光電池24、第2(最外)層26、結合層30および導線からなることができる。モジュール20がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニルおよび/またはエチレン酢酸ビニルを含まなくても含んでもよいことも意図している。モジュール20はシリコーンポリマーを除くすべてのポリマーを全く含まなくてもよい。あるいはまた、モジュール20がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニルおよび/またはエチレン酢酸ビニルを含むあらゆる層を含まない場合がある。一つの実施形態では、モジュール20はTedlar(登録商標)を含まない。
【0128】
本発明の方法に関して、第1最外層22、光電池24、第2(最外)層26、結合層30および/または支持層28のそれぞれは、光電池24を第1最外層22上に配置し、第2(最外)層26を光電池24に配置する限り、モジュール20中に任意の順序で存在することができる。一つの実施形態において、具体的に本発明の方法に関連し、かつ図2および9に示すように、モジュール20は第1最外層22、第1最外層22上に配置した光電池24、光電池24上に配置した第2(最外)層26および第2層26上に配置した支持層28を含む。別の実施形態において、具体的に当該方法に関連し、かつ図4および11に示すように、モジュール20は第1最外層22、第1最外層22上に直接接して配置した結合層30、第1最外層22上に間隔をあけて配置した光電池24、光電池24上に直接接して配置した第2(最外)層26および第2層26上に直接接して配置した支持層28を含む。あるいはまた、モジュール20は、縁を覆うためにモジュール20の各縁に沿って配置した(図示せず)保護シールを含むこともできる。モジュール20はまた、一般にアルミニウムおよび/またはプラスチックを含む外周フレーム(同じく図示せず)内に部分的にまたは完全に同封することができる。
【0129】
本発明はまた、図6Aに示すような光電池アレイ32を提供する。光電池アレイ32は少なくとも2つのモジュール20を含む。一般に、モジュール20を上述したように電気的に接続して、適当な電圧を付与する。光電池アレイ32は任意の大きさおよび形状とすることができ、あらゆる産業で用いることができる。より具体的には、図6Aにおいて、光電池アレイ32が電気的に接続した図1に示すタイプの一連のモジュール20を含む。
【0130】
本発明はモジュール20の形成方法も提供する。本方法に関して、モジュール20は第2層26が第2「最外」層であることに限定されない。本方法のモジュール20は第1最外層22、光電池24および第2(最外)層26を含むことができる。しかしながら、本方法のモジュール20は、第2層26が内側層であり最外層ではない場合、第2最外層として支持層28を含むことができる。さらに、本方法に用いるシリコーン組成物は液体シリコーン組成物である。
【0131】
本方法は、光電池24を第1最外層22上に配置する工程、液体シリコーン組成物を光電池24上に配置する工程、および複数の繊維27を液体シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆して第2(最外)層26を形成する工程を含む。本方法はまた、第1最外層22、光電池24および第2(最外)層26を圧縮してモジュール20を形成する工程を含む。
【0132】
一つの実施形態では、液体シリコーン組成物を光電池24上に配置する工程前に、複数の繊維27を少なくとも部分的に被覆する。この実施形態では、複数の繊維27はモジュール20から切り離して液体シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆することができる、すなわち第2(最外)層26は予備形成シートであってもよい。別の実施形態では、液体シリコーン組成物を光電池24上に配置する工程後に、複数の繊維27を少なくとも部分的に被覆する。すなわち、液体シリコーン組成物を光電池24上に配置し、次いで複数の繊維27を液体シリコーン組成物中に配置し(例えば入れ)、繊維27を少なくとも部分的に被覆することができる。あるいはまた、複数の繊維27を光電池24上に配置し、次いで液体シリコーン組成物を光電池24上の複数の繊維27に塗布することができる。さらに、液体シリコーン組成物を光電池24上に配置する工程と同時に、複数の繊維27を少なくとも部分的に被覆することができる。換言すると、液体シリコーン組成物を光電池24上に配置するのと同時および同スペースに、複数の繊維27を配置することができる。
【0133】
光電池24を、当業界で既知の任意適当な機構により配置(例えば適用)することができるが、通常アプリケーターを連続モードで用いて配置する。一つの実施形態では、光電池24を化学蒸着または物理的スパッタリングによって第1最外層22上に配置する。光電池24を第1最外層22上に配置する他の適当な機構としては、光電池24および第1最外層22をより完全に接触させるため光電池24に力を加えることが挙げられる。
【0134】
液体シリコーン組成物を光電池24上に配置する工程について、この工程は、限定しないが、噴霧被覆、流動被覆、カーテン被覆、浸漬被覆、押出被覆、ナイフ被覆、スクリーン被覆、積層、溶融、注入、ブラッシングおよびこれらの組み合わせを含む当業界で既知の任意適当な塗布方法を含むこともできる。
【0135】
まず上述したように、本方法は複数の繊維27を液体シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆する工程も含む。少なくとも部分的に被覆する工程は、限定しないが、噴霧被覆、流動被覆、カーテン被覆、浸漬被覆、押出被覆、ナイフ被覆、スクリーン被覆、積層、溶融、注入、ブラッシングおよびこれらの組み合わせを含む当魚赤いで既知のあらゆる手段により達成することができる。一つの実施形態では、複数の繊維27をある量の液体シリコーン組成物中に入れることにより、複数の繊維27を少なくとも部分的に被覆する。さらなる実施形態では、複数の繊維27をモジュール20の一部として少なくとも部分的に被覆することができる。
【0136】
別の実施形態では、シリコーン組成物を第1および第2相を含む多相系として使用者に供給する。第1および第2相は、複数の繊維27を少なくとも部分的に被覆する直前および/または液体シリコーン組成物を光電池24上に配置する直前に混合することができる。さらなる実施形態では、本方法が液体シリコーン組成物および/または硬化性組成物を部分的に硬化、例えば「予備硬化」させてそれぞれ第2(最外)層26および/または結合層30を形成する工程をさらに含む。また、本方法は液体シリコーン組成物および/または硬化性組成物を硬化させてそれぞれ第2(最外)層26および/または結合層30を形成する工程を含むことができる。加えて、複数の繊維27を少なくとも部分的に被覆する工程が複数の繊維27のすべてまたは一部をカプセル化することとしてさらに定義することができる。一つの実施形態では、複数の繊維27を少なくとも部分的に被覆する工程が光電池24の少なくとも一部をカプセル化することとしてさらに定義することができる。
【0137】
追加の実施形態において、本方法は、ここに参照して援用する米国特許第6,793,759号に記載されるような、第1最外層22、光電池24、第2層26、支持層28および/または結合層30をプラズマで処理する工程を含むことができる。
【0138】
ここで圧縮工程について、光電池24および第1最外層22が圧縮工程後でさえも直接接している必要はないことを理解すべきである。圧縮工程はさらに、光電池24および第1最外層22を真空にすることとしてさらに定義することができる。あるいはまた、圧縮に機械重量、プレスまたはローラー(例えばピンチローラー)を用いることができる。モジュール20の外周36まで第2(最外)層26の全域で横方向に延在する複数の繊維27が、圧縮工程中にモジュール20からの液体シリコーン組成物の漏出に抵抗する。
【0139】
また、圧縮工程は積層としてさらに定義することができる。またさらに、本方法はモジュール20に熱を加える工程を含むことができる。熱は任意その他の工程と組み合わせて加えてもよく、または別個の工程で加えてもよい。本方法全体は連続もしくはバッチ式であってもよく、または連続およびバッチ式工程の組み合わせを含んでいてもよい。
【実施例】
【0140】
モジュール形成:
2つのモジュール(モジュールAおよびB)を本発明の方法に従って形成する。さらに、4つの比較モジュール(比較モジュールA〜D)も本発明の方法には従わずに形成する。モジュールAおよびBでは、複数の繊維がモジュールの両端上のモジュールの外周まで第2層全域で横方向に延在する。
【0141】
より具体的には、モジュールAは:
ASTM E424−71を用いて紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する156mm×156mm×3.2mmの第1最外層(ガラス);
第1最外層上に配置した156mm×156mm×200μmの光電池;
光電池上全体に均一に配置し、複数の繊維として第1液体シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆された織物(不織布繊維ガラス)を含む5ミルの第2層;および
第2層上に配置した156mm×156mm×125μmの支持層(Tedlar(登録商標))を含む。
【0142】
モジュールBは:
ASTM E424−71を用いて紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する156mm×156mm×3.2mmの第1最外層(ガラス);
第1最外層上に配置した156mm×156mm×200μmの接触光電池;および
光電池上全体に均一に配置した、複数の繊維として第2液体シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆した織物(不織布ポリエステル)を含む15ミルの第2層
を含む。モジュールBは支持層を含まない。
【0143】
比較モジュールAは:
ASTM E424−71を用いて紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する156mm×156mm×3.2mmの第1最外層(ガラス);
第1最外層上に配置した156mm×156mm×200μmの光電池;
光電池上全体に均一に配置し、モジュールAの液体シリコーン組成物を含む15ミルの第2層;および
第2層上に配置した156mm×156mm×125μmの支持層(Tedlar(登録商標))
を含む。比較モジュールAは複数の繊維を含まない。
【0144】
比較モジュールBは:
ASTM E424−71を用いて紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する156mm×156mm×3.2mmの第1最外層(ガラス);
第1最外層上に配置した156mm×156mm×200μmの光電池;および
光電池上全体に均一に配置した、モジュールBの液体シリコーン組成物を含む15ミルの第2層
を含む。比較モジュールBは複数の繊維も支持層も含まない。
【0145】
比較モジュールCは:
ASTM E424−71を用いて紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する156mm×156mm×3.2mmの第1最外層(ガラス);
第1最外層上に配置した156mm×156mm×200μmの接触光電池;
光電池上全体に均一に配置した、複数の繊維としてエチレン酢酸ビニルポリマーで少なくとも部分的に被覆した織物(不織布繊維ガラス)を含む15ミルの第2層;および
第2層上に配置した156mm×156mm×125μmの支持層(Tedlar(登録商標))
を含む。比較モジュールCはシリコーンを含まない。
【0146】
比較モジュールDは:
ASTM E424−71を用いて紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有する156mm×156mm×3.2mmの第1最外層(ガラス);
第1最外層上に配置した156mm×156mm×200μmの光電池;および
光電池上全体に均一に配置した、複数の繊維としてエチレン酢酸ビニルポリマーで少なくとも部分的に被覆した織物(不織布ポリエステル)を含む15ミルの第2層
を含む。比較モジュールDはシリコーンや支持層も含まない。
【0147】
ガラスはAFG Industries社からSolatex(登録商標)2000の商品名で市販されている。不織布繊維ガラスはCrane Nonwovens社から市販されている。不織布ポリエステルもCrane Nonwovens社から市販されている。光電池はTrina SolarおよびBP Solar社から市販されている。Tedlar(登録商標)はDuPont社から市販されている。エチレン酢酸ビニルポリマーもDuPont社から市販されている。第1および第2液体シリコーン組成物については以下の表1に示すが、すべての部単位はとくに指示のない限り質量部である。形成後、モジュールAおよびBならびに比較モジュールA〜Dを目視評価し、第2層中のボイドスペースの有無を確認する。これらの評価結果も以下の表1に示す。
【表1】

【0148】
ポリマー1は、25℃で450mPa・sの粘度を有し、0.46質量パーセントのSi−ビニル結合を含むビニルジメチルシリル末端ブロックポリジメチルシロキサンである。
【0149】
ポリマー2は、10mPa・sの粘度および0.16質量パーセントのSi−H結合を有するジメチル水素シリル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0150】
ポリマー3は、5mPa・sの粘度を有し、0.76質量パーセントのSi−H結合を含むトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマーである。
【0151】
接着促進剤1は、トリメチルシリルおよびジメチルビニルシリル処理シリカと有機官能性シランとの反応生成物であり、25mPa・sの粘度を有する。
【0152】
接着促進剤2は、トリメチルシリルおよびジメチルビニルシリル処理シリカとエポキシ官能性シランとの反応生成物であり、25mPa・sの粘度を有する。
【0153】
触媒は、1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含む白金触媒である。
【0154】
硬化防止剤は、3mPa・sの粘度、平均DP4、344g/モルの重量平均分子量、および31.4質量パーセントのSi−ビニル結合を有するメチルビニルシクロシロキサンである。
【0155】
充填材は、5μmの平均粒径を有する石英充填材である。
【0156】
表1に示すように、本発明のモジュールAおよびBは、モジュールAの結合層中のシリコーンの厚さ減少によって示すように、少ない材料、すなわち少ないシリコーンで形成することができる。これは製造時間、費用および複雑さを低減する。モジュールAおよびBはまたボイドスペースを含まない。これはモジュールの構造強度および安定性を増大する。上述したように、モジュールAおよびBを本発明の方法により形成し、ここで複数の繊維はモジュールの両端上のモジュールの外周まで第2層全域で横方向に延在し、圧縮工程中のモジュールからの液体シリコーン組成物の漏出に抵抗する。
【0157】
追加層の形成:
また、追加層(層A〜E)を形成し、評価して絶縁耐力(ボルト/ミル)および補正絶縁耐力(ボルト/ミル)を求める。層A〜Eを形成し、あらゆる第1最外層および光電池は別として評価する。層Aはエチレン酢酸ビニルのみを含み、複数の繊維を含まず、本発明の結合層を表さない。層Bはシリコーン組成物のみを含み、複数の繊維を含まず、本発明の第2(最外)層を表さない。層Cは1つの可能な本発明の第2(最外)層を表し、層Bのシリコーン組成物を含み、シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆した複数のポリエステル繊維を含む。より具体的には、層Cは、4ミル厚の不織布ポリエステル繊維の層を含む。層Dは別の可能な本発明の第2(最外)層を表し、層Bのシリコーン組成物を含み、シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆した複数の繊維ガラス繊維を含む。より具体的には、層Dは4ミル厚の不織布繊維ガラス繊維の層を含む。層Eはさらに別の可能な本発明の第2(最外)層を表し、層Bのシリコーン組成物を含み、シリコーン組成物で少なくとも部分的に被覆した複数の繊維ガラス繊維を含む。より具体的には、層Eは、それぞれ4および5ミル厚の2つの不織布繊維ガラス繊維の層を含む。層A〜Eおよび絶縁耐力および補正絶縁耐力の評価結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0158】
表2において、ポリマー1〜3、触媒および硬化防止剤は表1に示したものと同じである。上述したデータは、本発明の層が本発明のものでない比較層と同様にまたはより良く機能することを示す。該データは、本発明の複数の繊維およびシリコーン組成物が、シリコーン組成物の拡散制御、圧縮工程中のモジュールからのシリコーン組成物の漏出抵抗性による用いるシリコーン組成物の量の最小化、廃棄物の最小化、およびより一貫したモジュールの厚さおよび大きさのため、費用効率が高く反復可能な光電池モジュール製造を可能にすることも示す。複数の繊維およびシリコーン組成物はまた、支持層なしのモジュール形成も可能にし、これにより費用、製造の複雑さ、およびモジュール形成に要する時間を低減する。
【0159】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の形成:
また、一連のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物(組成物1〜10)を以下の表3に示すように、本発明に従って形成する。形成後、組成物1〜10を約125℃で15〜20分間加熱して硬化させて、本発明の第2(最外)層の各種実施形態を表わす対応する層(層1〜10)の3つのグループを形成する。層1〜10を、以下にさらに記載するように、各種物理特性について評価する。
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【0160】
分岐鎖有機シリコン化合物は、1分子当たり2つの末端不飽和(すなわち、ビニル)部分および1分子当たり少なくとも1つのペンダント不飽和(すなわち、ビニル)部分を含み、約620の平均重合度、約46,000g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で約15,000cpsの粘度、約7.7質量%のビニル基を有するポリジメチルシロキサンである。
【0161】
線状有機シリコン化合物1は、1分子当たり2つの末端不飽和(すなわち、ビニル)部分を含み、約297の平均重合度、約22,000g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で約2,100cpsの粘度、および約0.21質量%のビニル基を有するポリジメチルシロキサンである。
【0162】
線状有機シリコン化合物2は、1分子当たり2つの末端不飽和(すなわち、ビニル)部分を含み、約155の平均重合度、約11,500g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で約450cpsの粘度、および約0.46質量%のビニル基を有するポリジメチルシロキサンである。
【0163】
線状有機シリコン化合物3は、1分子当たり2つの末端不飽和(すなわち、ビニル)部分を含み、約837の平均重合度、約62,000g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で約55,000cpsの粘度、および約0.088質量%のビニル基を有するポリジメチルシロキサンである。
【0164】
有機水素シリコン化合物1は、約12の平均重合度、約894g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で約10センチストークの粘度、および約0.16質量%のSi−H基を有するジメチル水素末端ジメチルシロキサン鎖延長剤である。
【0165】
有機水素シリコン化合物2は、トリメチルシロキシ末端ジメチル、メチル水素シロキサンである架橋剤である。この架橋剤は、約10の平均重合度、約684g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で約5センチストークの粘度、および約0.76質量%のSi−H基を有する。
【0166】
防止剤は、約4の平均重合度、約344g/モルの重量平均分子量、ASTM D4287に従って測定して25℃で約3cpsの粘度、および約31.4質量%のビニル基を有するメチルビニルシクロシロキサンである。
【0167】
触媒1は、約1.97質量%のビニル基を有するシリコーン液中の白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体である。
【0168】
触媒2は、約0.86質量%のビニル基を有するシリコーン液中の白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体である。
【0169】
充填材は5μmの平均粒径を有する石英充填材であり、中央粒径は1.8μmであり、97%を超える充填材が5μmの平均粒径を有する。
【0170】
顔料はアセチレンブラック、ZnO、およびシリコーン液を含む。
【0171】
接着促進剤1はメタクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
【0172】
接着促進剤2はトリメチルシリルおよびジメチルビニルシリル処理シリカとエポキシ官能性シランとの反応生成物であり、ASTM D4287に従って測定して25mPa・sの粘度を有する。
【0173】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物からの層の形成:
まず上述した層1〜10に戻ると、該層1〜10を3つのグループで形成する。第1グループでは、層1〜10を複数の繊維なしで形成する。第2グループでは、層1〜10を形成し、不織布繊維ガラス繊維の15ミル厚シートを少なくとも部分的に被覆する。第3グループでは、層1〜10を形成し、不織布ポリエステル繊維の15ミル厚シートを少なくとも部分的に被覆する。形成後、各3グループの層1〜10の各種試料を評価し、粘度、硬度、引張強度、伸び、切断強度、絶縁耐力、降伏電圧、および体積抵抗を測定する。評価結果は以下の表4に示す。
【表4−1】

*7ミルのTedlarバックシートを層1に用いたときの合格を示す。
【表4−2】

【表4−3】

(+)は、切断試験後穴があいていないことを示す層の質的目視評価を表す。
(++)は、上記(+)より優れた層の裏面上に切断試験を受けた面からの目に見える突起マークが存在しないことを示す層の質的目視評価を表す。
(+++)は、上記(++)より優れた層の切断試験を受けた面上に存在するいずれかのマークがほとんど目に見えないことを示す層の質的目視評価を表す。
【0174】
混合粘度はASTM D4287に従って25℃で測定する。
【0175】
ショア00硬度はASTM D2240を用いて測定する。
【0176】
ショアA硬度はASTM D2240を用いて測定する。
【0177】
引張強度(lb/in)はASTM D−412を用いて測定する。
【0178】
伸び%はASTM D−412を用いて測定する。
【0179】
切断強度は切断試験を用いて測定する。切断試験はUL−1703およびIEC 61730−2を用いて行う。「合格」は、以下により詳しく記載する湿式漏出試験の合格に加えて、層に穴があいていないという目視評価に基づいて決定する。同様に、「不合格」は、層に1つ以上の穴があいているという目視評価および/または湿式漏出試験の不合格に基づいて決定する。
【0180】
絶縁耐力(ボルト/ミル)はASTM D149を用いて測定する。
【0181】
降伏電圧(kV)(当業界で「漏出電圧」としても知られる)は絶縁耐力(ボルト/ミル)×試料厚さ(ミル)として計算する。
【0182】
体積抵抗(オーム−cm)はASTM D257を用いて測定する。
【0183】
上述したデータは、本発明のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を通常用いてTedlarバックシートなしにモジュールを効率的に形成することができ、よって費用、製造の複雑さ、および光電池モジュールを形成するのに要する時間が低減することを示す。データは、線状有機シリコン化合物および分岐鎖有機シリコン化合物のバランスを用いてモジュールを強化することもでき、高価な充填材および繊維を用いる必要性を下げることができることも示す。さらに、データは、充填材および/または繊維と併せて線状および分岐鎖有機シリコン化合物を用いることで特定用途に用いるモジュールに追加の強度をもたらすことができることを示す。
【0184】
モジュールの形成:
また、組成物1、3、6、8および10を用いて一連のモジュール(モジュール1、3、6、8および10)を形成する。モジュール1、3、6、8および10を、以下の表5のように、上から下へ、それぞれ形成する。
【表5】

*シリコーンはさらに「正面」カプセル材料として定義され、52.77質量部の線状有機シリコン化合物2と、10.75質量部の線状有機シリコン化合物3と、ASTM D4287に従って測定して25℃で約100センチストークの粘度を有する32.39グラムのトリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサンと、3.77質量部の有機水素シリコン化合物1と、0.24質量部の有機水素シリコン化合物2と、0.01質量部の防止剤と、0.07質量部の触媒2とを含む。正面カプセル材料は、ASTM D4287に従って測定して25℃で約668cpsの混合初期粘度も有する。
【0185】
比較モジュールも、以下の表6のように、上から下へ形成する。
【表6】

【0186】
モジュール1、3、6、8および10ならびに比較モジュールのガラスはAFG Industries社からSolatex(登録商標)2000の商品名で市販されている。モジュール1、3、6、8および10の繊維ガラスはマサチューセッツ州ドルトンのCrane Nonwovens社から市販されている。モジュール1、3、6、8および10ならびに比較モジュールの光電池はTrina SolarおよびBP Solar社から市販されている。モジュール1および比較モジュールのTedlar(登録商標)はDuPont社から市販されている。比較モジュールのエチレン酢酸ビニルポリマーもDuPont社から市販されている。
【0187】
モジュールの湿熱抵抗試験:
形成後、モジュール1、3、6、8および10ならびに比較モジュールそれぞれの試料をIEC 61215 セクション10.13の1000時間湿熱試験によって評価し、約85℃および85%の相対湿度(85/85)の環境にさまざまな時間さらした後の湿熱の抵抗(Mオーム)への影響を測定する。完了後、IEC 61215 セクション10.15に従って湿式漏出試験を行う。より具体的には、モジュール1、3、6、8および10ならびに比較モジュールそれぞれの試料を、前記のように、切断試験を行う前および後に85/85環境にさらす。その後、試料を評価し、抵抗を測定する。
【0188】
モジュール1、3、6、8および10ならびに比較モジュールそれぞれの第1セットを85/85環境中に約1152時間置いた後、切断試験を行う。切断試験後、モジュールの第1セットを22.8℃の水中に2分間浸漬し、評価し、以下の表7に示すように湿式漏出試験によって抵抗を測定する。
【0189】
2分の浸漬後、同じモジュールの第1セットをさらに2分間浸漬したままにする(合計4分の浸漬)。合計4分の浸漬後、モジュールの第1セットを再び評価し、同じく以下の表7に示すように抵抗を測定する。
【0190】
以下の試験のそれぞれにおいて、以下の表7〜10にまとめるが、可変時間浸漬し、切断試験を行った後に平均抵抗が400Mオームより大きい場合、モジュール1、3、6、8および10ならびに比較モジュールを「合格」とみなす。換言すると、2および4分のデータの平均が400Mオームより大きければ、モジュールは「合格」である。400Mオーム未満であれば、モジュールは「不合格」である。
【表7】

【0191】
さらに、上記2および4分間の浸漬後、モジュールの第1セットを85/85環境に戻してさらに約1635時間置き、モジュールの第1セットの合計曝露時間を約2787時間とする。85/85環境にさらした後、モジュールの第1セットを22.8℃の水中に2分間浸漬し、評価し、以下の表8に示すように抵抗を測定する。
【0192】
2分の浸漬後、同じモジュールの第1セット(85/85環境に合計約2787時間さらした後)をさらに2分間浸漬したままにする(合計4分の浸漬)。合計4分の浸漬後、モジュールの第1セットを再び評価し、同じく以下の表8に示すように抵抗を測定する。
【表8】

*は、合格となるには400Mオームより大きい必要があるため、85/85環境に2,376時間さらして試験したモジュール1の第1セットが不合格だったことを示す。
**は、1,968時間では試料が831Mオーム平均であるため合格となることを示す。
【0193】
モジュール1、3、6、8および10ならびに比較モジュールのそれぞれの第2セットも用意し、その後切断試験を行う。切断試験後、モジュールの第2セットを85/85環境に約1152時間置く。その後、モジュールの第2セットを22.8℃の水中に2分間浸漬し、評価し、以下の表9に示すように抵抗を測定する。
【0194】
2分の浸漬後、同じモジュールの第2セットをさらに2分間浸漬したままにする(合計4分の浸漬)。合計4分の浸漬後、モジュールの第2セットを再び評価し、同じく以下の表9に示すように抵抗を測定する。
【表9】

【0195】
さらに、上記2および4分間の浸漬後、モジュールの第2セットを85/85環境に戻してさらに約1536時間置き、モジュールの第2セットの合計曝露時間を約2688時間とする。85/85環境にさらした後、モジュールの第2セットを22.8℃の水中に2分間浸漬し、評価し、以下の表10に示すように抵抗を測定する。
【0196】
2分の浸漬後、同じモジュールの第2セットを(85/85環境に合計約2688時間さらした後)さらに2分間浸漬したままにする(合計4分の浸漬)。合計4分の浸漬後、モジュールの第2セットを再び評価し、同じく以下の表10に示すように抵抗を測定する。
【表10】

*は、合格となるには400Mオームより大きい必要があるため、85/85環境に2,376時間さらして試験したモジュール1の第2セットが不合格だったことを示す。
**は、1,968時間では試料が649Mオーム平均であるため合格となることを示す。
【0197】
上述したデータは、本発明のモジュール1、3、6、8および10が通常、本発明ではない比較モジュールと同様に機能することを示す。従って、モジュール3、6、8および10はTedlarなしで形成することができるので、本発明は費用、製造の複雑さ、および光電池モジュールの形成に要する時間を低減する。
【0198】
本発明は例示的に記載したものであり、用いた用語が限定ではなく説明的な言葉の性質を持つことを意図していることを理解すべきである。本発明の多く改良の変形が上記教示に照らして可能であり、本発明は具体的に記載したものと別の方法で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A. ASTM E424−71を用いる紫外/可視分光光度分析により測定して少なくとも70パーセントの光透過率を有し、任意にシリコーンを含む第1最外層と;
B.前記第1最外層上に配置した光電池と;
C.前記第1最外層に対向する第2最外層とを含み、
前記第2最外層がシリコーン組成物(I)を含み、前記光電池上に配置され、前記光電池を前記第2最外層と前記第1最外層との間に挟む光電池モジュールであって、
前記モジュールが、シリコーンポリマーを除くすべてのポリマーを含まない、光電池モジュール。
【請求項2】
前記シリコーン組成物(I)が、分岐鎖である、請求項1に記載の光電池モジュール。
【請求項3】
前記シリコーン組成物(I)が、熱伝導性充填材を含む、請求項1または2に記載の光電池モジュール。
【請求項4】
前記第2最外層が、充填材を含まない、請求項1または2に記載の光電池モジュール。
【請求項5】
前記第2最外層が、複数の繊維を含まない、請求項1に記載の光電池モジュール。
【請求項6】
前記シリコーン組成物(I)がさらにヒドロシリル化硬化性として定義され、
(i)1分子当たり少なくとも1つの不飽和部分を有する有機シリコン化合物と、
(ii)1分子当たり少なくとも1つのシリコン結合水素原子を有する有機水素シリコン化合物と、
(iii)前記有機シリコン化合物(i)と前記有機水素シリコン化合物(ii)との間のヒドロシリル化反応を促進するのに用いるヒドロシリル化触媒とを含み、
前記有機水素シリコン化合物(ii)の1分子当たりのシリコン結合水素原子の、前記有機シリコン化合物(i)の1分子当たりの不飽和部分に対する比が0.05〜100である、請求項5に記載の光電池モジュール。
【請求項7】
前記シリコーン組成物(I)が、さらに1分子当たり2つの末端不飽和部分を有する線状有機シリコン化合物、1分子当たり2つの末端不飽和部分および1分子当たり少なくとも1つのペンダント不飽和部分を有する分岐鎖有機シリコン化合物、ならびに、1分子当たり少なくとも3つのシリコン結合水素原子を有する有機水素シリコン化合物を含むものとして定義され、
前記線状有機シリコン化合物および前記分岐鎖有機シリコン化合物の合計100質量部当たり、前記線状有機シリコン化合物は80〜95質量部の量で存在し、前記分岐鎖有機シリコン化合物は5〜20質量部の量で存在し、
前記有機水素シリコン化合物の1分子当たりのシリコン結合水素原子の、前記線状有機シリコン化合物および分岐鎖有機シリコン化合物の1分子当たりの不飽和部分の合計に対する比が1〜1.7である、請求項6に記載の光電池モジュール。
【請求項8】
前記線状有機シリコン化合物が、ビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンとしてさらに定義され、
前記分岐鎖有機シリコン化合物が、少なくとも1つのビニルペンダント基を有するビニル末端ブロックポリジアルキルシロキサンとしてさらに定義され、
前記有機水素シリコン化合物が、トリメチルシロキシ末端ジメチル、メチル水素シロキサンとしてさらに定義される、請求項7に記載の光電池モジュール。
【請求項9】
前記第2最外層が、少なくとも部分的に前記シリコーン組成物(I)で被覆された複数の繊維を含み、前記複数の繊維が任意にさらに不織布織物として定義され、前記不織布織物が任意に繊維ガラス、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、およびこれらの組み合わせの群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電池モジュール。
【請求項10】
前記光電池上に配置し、前記光電池と前記第1最外層との間に挟まれた結合層をさらに含み、
前記結合層が、前記シリコーン組成物(I)と同じかまたは異なる第2シリコーン組成物(II)を任意に含む、請求項1〜9のいずれかに記載の光電池モジュール。
【請求項11】
前記第2最外層が、シリコンおよび酸素系物質(SiOx)で少なくとも部分的に被覆されている、請求項1〜10のいずれかに記載の光電池モジュール。
【請求項12】
前記第1最外層が、シリコンおよび酸素系物質(SiOx)で少なくとも部分的に被覆されている、請求項1〜10のいずれかに記載の光電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−48275(P2013−48275A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−236740(P2012−236740)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2011−534750(P2011−534750)の分割
【原出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】