説明

光駆動型アクチュエータ及びその製造方法

【課題】 光の刺激に応じて可逆的にかつ高速に変形する光応答性、柔軟性、および軽量性を有するとともに無音で駆動する光駆動型アクチュエータ、およびその光駆動型アクチュエータの簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 上記目的を達成する本発明の光駆動型アクチュエータは、光の刺激を受けて構造変化を引き起こす光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーの側鎖の少なくとも一部を架橋して得られる架橋ポリマーを備え、前記架橋ポリマーは、光の刺激に応じて可逆的に変形しアクチュエータとしての機能を有するものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の刺激を受けて変形する光駆動型アクチュエータ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器や産業用、およびパーソナルロボット、マイクロマシンなどの分野において、小型かつ軽量で柔軟性に富むアクチュエータの必要性が高まっている。
【0003】
特に高分子アクチュエータは、その柔軟さ、軽量性、および駆動時に無音であることから多大な注目を集めている。その中で、光により駆動する光駆動型アクチュエータは、非接触でエネルギー供給が可能であり、駆動のための配線を必要とせず、電気配線から発生するようなノイズを回避できることなどから、特に、医療・介護分野や航空宇宙分野で用いられる産業用ロボットやマイクロマシンへの応用が期待されている。
【0004】
光により駆動する高分子材料としては、光応答性ゲルに関する研究が従来から活発に行われている。例えば、光イオン化するトリフェニルメタンのロイコ体を含むポリアクリルアミドゲルによる光変形(非特許文献1参照)や、ポリアクリルアミドゲルにCO赤外レーザー光を照射することによる屈曲動作(非特許文献2参照)が実現されている。前者の例は光によるイオン解離反応が起き、その結果としてゲル中の浸透圧が増大し膨潤したものであり、後者の例は赤外レーザー光照射によって発生する熱によるゲルの体積変化に基づく浸透圧変化によるものである。さらに、ポリアクリルアミドゲル以外にも光応答性基としてアゾベンゼン基をその主鎖に含むポリイミドゲル等も知られている(特許文献1参照)。しかしながら、このような光応答性ゲルは、その駆動原理が浸透圧変化に基づく水などの溶媒分子の取り込み・吐き出しによるため、溶媒が不可欠でドライな環境で使用できないという問題を有していた。
【0005】
ドライな環境下において光により駆動する高分子材料として、最も古くはアゾベンゼン基を含むポリイミドが紫外線により収縮する現象が報告されている(非特許文献3参照)。しかし、高温動作である点、応答速度が非常に遅い点、及び収縮率が僅かである点でアクチュエータとして供するには問題を有していた。
【0006】
近年において、ドライ環境で使用可能な光駆動型アクチュエータとしては、液晶エラストマが報告されている。例えば、光応答性基としてアゾベンゼン基を側鎖に有する高分子を液晶配向状態で架橋した液晶エラストマが紫外光照射により伸縮挙動あるいは屈曲挙動を示すことが報告されている(特許文献2、非特許文献4、非特許文献5参照)。また、アゾベンゼン誘導体からなる重合性液晶組成物を光、あるいは熱により架橋したポリドメイン液晶エラストマが紫外光の偏光照射により自由な方向に屈曲作動できることが知られている(非特許文献6参照)。
【0007】
しかしながら、いずれの例においても、光を受けた後の応答速度が遅く、膜厚とともに応答性が大きく減少し、薄膜としてしか機能を発揮できないという点で問題を有していた。また、非特許文献5、非特許文献6においては、液晶発現温度域でのみの駆動で作動温度等が限定されるという点で問題を有しており、また、自立性薄膜作製のためには、モノマー組成物の支持体への塗布、長時間にわたる可視光照射による硬化、及び支持体からの硬化膜の剥離といった煩雑な方法しか無く、性能面のみならず、製造適性の観点においても課題が残されていた。
【非特許文献1】Macromolecules誌、第 19巻、2476頁(1986年)
【非特許文献2】J.Chem.Phys.誌、第 102巻、551頁(1995年)
【非特許文献3】Macromolecules誌、第3巻、349頁(1970年)
【非特許文献4】Phys.Rev.Lett.誌、第 87巻、015501頁(2001年)
【非特許文献5】Chem.Mater.誌、第16巻、1637頁(2004年)
【非特許文献6】Nature誌、第 425巻、145頁(2003年)
【特許文献1】特開2005−23151号公報
【特許文献2】特開2002−256031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、光の刺激によって構造が可逆的に変形し、かつ応答速度が実用的な光応答性、柔軟性、および軽量性を有するとともに無音で駆動する光駆動型アクチュエータ、およびその光駆動型アクチュエータの簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の光駆動型アクチュエータは、
光の刺激を受けて変形するポリマーを備え、該ポリマーの変形をアクチュエータとして利用する光駆動型アクチュエータにおいて、
光の刺激を受けて構造変化を引き起こす光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーの側鎖の少なくとも一部を架橋して得られる架橋ポリマーを備え、
前記架橋ポリマーは、光の刺激に応じて可逆的に変形しアクチュエータとしての機能を有するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の光駆動型アクチュエータは、光の刺激を受けて構造変化を引き起こす光異性化基を主鎖中に有し、側鎖が架橋されている架橋ポリマーを有するために、光の刺激に応じて可逆的にかつ高速に変形する光応答性を示すことができる。また、本発明の光駆動型アクチュエータが高分子から形成されているので柔軟性を有し、軽量性を具備し、かつ無音により駆動することができる。さらに、また、大きなサイズの光駆動型アクチュエータも簡便に作製することが可能である。
【0011】
ここで、上記架橋ポリマーが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する縮合系ポリマーを架橋して得られることが好ましい。
【0012】
一般式(1)
【化1】

【0013】
(式中、Qは光異性化基を表し、Lは二価の連結基または単結合を表す。Zは−OC(=O)−、−OC(=O)NR−、−C(=O)NR−より選ばれる二価の連結基を表し、Rは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。なお、これらの二価の連結基はどちらの向きで連結していてもよい。ZはZと反対の向きで連結した二価の置換基を表す。QおよびLのうちの一方もしくは両方は、架橋性基を含有する。Q、L、Zとしては異なる2種類以上が用いられていてもよい。)
上記架橋ポリマーは、可逆的に構造変化を引き起こす光異性化基を繰り返し単位ごとに含むので、光応答性が高められる。
【0014】
また、上記光異性化基が、アゾベンゼン基であることが好適である。
【0015】
アゾベンゼン基は、通常、熱力学的に安定なトランス体として存在しているが、紫外光をアゾベンゼン基に照射することでシス体となり、可視光をアゾベンゼン基に照射することで再びトランス体に戻る光異性化基である。したがって、光異性化基としてアゾベンゼン基を用いることで、光異性化反応を起こすことが容易となり、極めて高い光応答性が得られる。
【0016】
さらに、上記アゾベンゼン基が、下記一般式(2)で表されることが特に好ましい。
【0017】
一般式(2)
【化2】

【0018】
(式中、X、Yは、フェニル基に置換可能な水素原子以外の置換基を表す。pおよびqはいずれも0〜4の整数を表す。但し、p+q≠0であり、p(またはq)が2以上の場合、X(またはY)は、同じであっても異なっていてもよい。)
アゾベンゼンのフェニル基に置換可能な水素原子以外の置換基を導入することにより、上記縮合系ポリマーの物性が、適切にコントロールされる。
【0019】
また、上記一般式(2)は、置換基X、Yの少なくとも一つが分岐型アルキル基であることが好適である。
【0020】
アゾベンゼンのフェニル基に置換可能な分岐型アルキル基を導入することによっても、上記縮合系ポリマーの物性が、適切にコントロールされる。
【0021】
また、上記光駆動型アクチュエータが、フイルム状に成形されたものであることが好ましい。
【0022】
フイルム状に成形された光駆動型アクチュエータは、加工性が高められる。
【0023】
また、上記光駆動型アクチュエータが、フイルム状に成形され、延伸が施されたものであることが好ましい。
【0024】
フイルム状に成形され、延伸が施された光駆動型アクチュエータは、加工性が高められるとともに光に対する応答性が高められる。
【0025】
上記目的を達成する本発明の光駆動型アクチュエータの製造方法は、
光の刺激を受けて変形するポリマーを備え、該ポリマーの変形をアクチュエータとして利用する光駆動型アクチュエータの製造方法において、
光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーを含む組成物をフイルム状に成形する工程と、
該縮合系ポリマーを含む組成物を延伸および架橋反応を施す工程とを備えたことを特徴とする。
【0026】
上記光駆動型アクチュエータの製造方法によれば、フイルム状に成形することで加工性を高めるとともに延伸操作および架橋反応を施すことで光に対する応答性を高めた光駆動型アクチュエータを簡単に製造することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光の刺激に応じて可逆的にかつ高速に変形する光応答性、柔軟性、および軽量性を有するとともに無音で駆動する光駆動型アクチュエータ、およびその光駆動型アクチュエータの簡便な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
発明者らは、鋭意検討した結果、光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーの側鎖の少なくとも一部を架橋して得られる架橋ポリマーが、光により可逆的に構造が変化する光応答性が高いことを示し、加工性も良好な光駆動型アクチュエータ材料となり得ることを見出した。
【0030】
本発明の光駆動型アクチュエータは、光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーの側鎖の少なくとも一部を架橋して得られる架橋ポリマー(以下、光応答性架橋ポリマーと略記することがある)を含有する。
【0031】
ここで、「光異性化基」とは、光により立体異性化または構造異性化を起こす官能基であり、さらに別の波長の光または熱によってその逆異性化を起こすものである。これらの官能基を有する化合物として、一般的には、構造変化と共に可視域での色調変化を伴うものは、フォトクロミック化合物としてよく知られているものが多く、具体的には、アゾベンゼン類、ベンズアルドキシム類、アゾメチン類、スチルベン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、フルギド類、ジアリールエテン類、ケイ皮酸類、レチナール類、ヘミチオインジゴ類等が挙げられる。
【0032】
また、「縮合系ポリマー」とは、重縮合或いは重付加によって合成可能な高分子を指すが、環化重縮合および環化重付加により得られる高分子(例えばポリイミド類、ポリベンゾアゾ−ル類、ポリオキサゾ−ル類、ポリピラゾール類、ポリイソオキサゾリン類等)はポリマー構造が剛直であり光応答速度の観点で好ましくないため、本発明では除外するものとする。
【0033】
前記縮合系ポリマーの例としては、ポリエーテル類、ポリスルフィド類、ポリシロキサン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類、ポリスルホネート類、ポリホスホネート類などが挙げられる。
この中でもポリエステル類、ポリアミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類が好ましく、ポリエステル類が最も好ましい。
【0034】
前記縮合系ポリマーとして、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好適に挙げられる。
【0035】
一般式(1)
【化3】

【0036】
一般式(1)中、Qは光異性化基を表す。
【0037】
また、Lは二価の連結基または単結合を表し、二価の連結基であることがより好ましい。二価の連結基としては、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、下記一般式(3)で表される2価の連結基、−O−、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、−S(=O)−、−SO−、又はこれらの連結基群から選ばれる2種以上を組み合わせて形成される2価の連結基が好ましい。Rは水素原子もしくは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
【0038】
アルキレン基としては、炭素数が2〜18のものが好ましく、炭素数が4〜12のものがさらに好ましい。アリーレン基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、炭素数が6〜18のものがより好ましく、炭素数が6〜12のものがさらに好ましい。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。
【0039】
ここで、上記Lは、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のフェニレン基、下記一般式(3)で表される2価の連結基、−O−、−C(=O)−、又はこれら連結基を組み合わせて形成される2価の連結基であることが最も好ましい。
【0040】
一般式(3)
【化4】

【0041】
一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。繰り返し単位n1としては1〜25が好ましく、1〜10がより好ましい。
【0042】
は−OC(=O)−、−OC(=O)NR−、−C(=O)NR−より選ばれる二価の連結基を表し、Rは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。なお、これらの二価の連結基はどちらの向きで連結していてもよい。ZはZと反対の向きで連結した二価の置換基を表す。(例えば、Z=−OC(=O)−の時はZ=−C(=O)O−である。)
一般式(1)中、QおよびLのうちの一方もしくは両方は、架橋性基を有する。ここで「架橋性基」とは、重合開始剤を添加し光または熱により重合する官能基、あるいは架橋剤と反応する官能基を表す。
【0043】
一般式(1)中、Q、L、Zとしては異なる2種類以上が用いられていてもよい。
【0044】
縮合系ポリマー各種の合成方法は、「新高分子実験学3 高分子の合成・反応(2) 縮合系高分子の合成」(高分子学会編、発行:共立出版、1996)第2〜3章に記載してある方法を参考にすることができる。特に、ポリエステル類の合成法については上記文献p.77〜p.95、ポリアミド類の合成法については上記文献p.57〜p.77、ポリウレタン類の合成法については上記文献p.229〜p.233をそれぞれ参考にすることができる。特に、ポリエステル類やポリアミド類の合成においては、界面重縮合法が温和な条件で高分子量体が得られる点で好ましい。
【0045】
前記縮合系ポリマー(未架橋体)の質量平均分子量は、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜300,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲であるときに、機械的強度、及び成形加工性とがバランスされて好適である。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
【0046】
前記光異性化基のうち、アゾベンゼン基が好ましく、更に、アゾベンゼン基の中でも、下記一般式(2)で表されるものが特に好ましい。
一般式(2)
【化5】

【0047】
式(2)中、X、Yは、フェニル基に置換可能な水素原子以外の置換基を表す。X、Yで表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が例として挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、分岐型アルキル基(例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基など)がさらに好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0048】
pおよびqは0〜4の整数を表す。但し、p+q≠0であり、p(またはq)が2以上の場合、X(またはY)は、同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
前記光異性化基は主鎖のみならず、側鎖や架橋基等に含まれていても良い。
【0050】
光応答性架橋ポリマー中に含有される光異性化基の好ましい量は、ポリマーの単位質量当たりの官能基モル数で表した場合、0.1mmol/g〜10mmol/gであり、より好ましい量は0.5mmol/g〜8mmol/gである。
【0051】
本発明の光駆動型アクチュエータに含有される光応答性架橋ポリマーは、前記縮合系ポリマーの側鎖を架橋することにより得られる架橋ポリマーである。架橋方法としては、特に制限はなく公知慣用の手段を用いることができ、例えば、あらかじめ側鎖に重合性官能基を有する前記縮合系ポリマーを合成し、重合開始剤を添加して光照射や加熱等により架橋する方法(方法I)や、前記縮合系ポリマーの側鎖が有する官能基との反応性を有する架橋剤(及び必要に応じて架橋を促す触媒等の添加剤)を添加し架橋させる方法(方法II)などが挙げられる。
【0052】
上記方法Iの例としては、前記縮合系ポリマーに含有される架橋性基が、アクリレート基、メタクリレート基、またはアクリルアミド基である場合が挙げられる。また、上記方法IIの例としては、前記縮合系ポリマーに含有される架橋性基が、アリル基またはヒドロキシル基である場合が挙げられ、用いる架橋剤としては、アリル基に対してはH末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル基に対してはジイソシアネートがそれぞれ好ましい例として挙げられる。
【0053】
架橋する割合としては、前記縮合系ポリマーの側鎖に含有される架橋性官能基のうち、0.5mol%以上98mol%以下が架橋されることが好ましく、1mol%以上95mol%以下が架橋されることがより好ましく、3mol%以上90mol%以下が架橋されることがさらに好ましい。
【0054】
以下に前記光応答性架橋ポリマーとして本発明の光駆動型アクチュエータに好ましく用いられる具体例を示すが、本発明の光駆動型アクチュエータは上述した具体例によってなんら限定されるものではない。ここで、以下の表において、縮合系ポリマーとは架橋前のプレポリマーの繰り返し単位構造を表し、架橋性基とは縮合系ポリマーに含有され架橋剤と反応する官能基、あるいは重合開始剤により重合する官能基を表し、架橋剤添加率とは縮合系ポリマー中の架橋性基に対する架橋剤の添加量(mol%)を表す。また、式中の数値(a、b等の数値)は、それぞれ各構成単位の組成比を示すモル百分率である。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
本発明の光駆動型アクチュエータは、上記光応答性架橋ポリマーを2種以上含んでいても良い。また、ガラス転移温度等の熱物性や弾性率等の力学物性を調整する目的で、光応答性架橋ポリマー以外のポリマーを種々含有させても良い。さらに、各種添加剤、例えば、熱安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定化剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤、顔料、発泡剤、発泡助剤などを必要に応じて加えて使用してもよい。
【0060】
次に、本発明の光駆動型アクチュエータの製造方法について詳しく説明する。
【0061】
図1は、本発明の光駆動型アクチュエータの製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0062】
第1の工程として、光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマー(および必要に応じて架橋剤や触媒等)を含む組成物をフイルム状に成形する(ステップS100)。
【0063】
続いて、第2の工程として、そのフイルム状に成形された、光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーを含む組成物を延伸および架橋反応を施す(ステップS101)。
【0064】
これらの工程を経て、本発明の光駆動型アクチュエータが製造される。
【0065】
この第2の工程では、特に、架橋反応中、あるいは反応後において、この組成物に応力を加えて、一軸、あるいは二軸に延伸を施すことがより好ましい。
【0066】
上記縮合系ポリマーの成形方法としては、ポリマーの成形手段として報告されている公知慣用の方法を用いることができる。例えば、フイルム状に成形する手段としては、溶液状態より製膜する方法或いは溶融状態より製膜する方法を挙げることができる。
【0067】
ここで、溶液状態より製膜する方法としては、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等が用いることができる。
【0068】
また、溶液状態より製膜する方法に用いられる塗布液の溶剤には、前記縮合系ポリマーを含む組成物を溶解、あるいは分散できる公知の溶剤を用いることができる。その溶剤の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤が挙げられ、クロロホルム、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミドが好ましく、クロロホルム、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。また、これらの溶剤を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
また、溶液状態より製膜する方法に用いられる基材としては、特に限定しないが、塗布溶剤によって膨潤あるいは溶解しないものが好ましく、塗布物の乾燥には公知の乾燥法を用いることができる。具体的には、室温乾燥、加温乾燥、送風乾燥、減圧乾燥が挙げられ、またこれらを組み合わせてもよい。
【0070】
ここで、乾燥後の塗布物は、基材から剥離してもよいし、基材の柔軟性が高い場合には基材と共に光駆動型アクチュエータとして供することもできる。
【0071】
また、溶融状態より製膜する方法としては、熱溶融プレス法あるいは溶融押出し法などを用いることができる。このうち、熱溶融プレス法としては、平板プレス、真空プレス等のバッチ法や連続ロールプレス法等の連続法が挙げられる。
【0072】
また、延伸方法としては、加熱延伸法、調湿延伸法、あるいは調湿下における加熱延伸法等を用いることができるが、加熱延伸法、あるいは調湿下における加熱延伸法が好ましい。延伸率は1.01から10が好ましく、1.1から5がさらに好ましい。
【0073】
なお、本発明の光駆動型アクチュエータを駆動させる際に照射する光源としては、用いる光異性化基に適した波長を有するものであれば、特に限定しない。また、照射光は偏光であっても非偏光であっても良い。
【実施例】
【0074】
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(光応答性架橋ポリマーP−1の合成(第1および第2の光駆動型アクチュエータの作製))
【0075】
【化6】

【0076】
まず、37重量%塩酸水溶液22mlに水90mlを加えた水溶液に、M−1(10.91g、0.100mol)を加え、5℃以下に冷却した。これに、亜硝酸ナトリウム7.59gを水22mlに溶解させた水溶液を滴下により加えた(内温は5℃以下)。30分間、内温5℃〜10℃にて攪拌した。得られた溶液を、M−2(15.02g、0.100mol)の水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム:16.12g、水:90ml)に内温を5℃以下に保ちながら、滴下により加え、30分間攪拌した。得られた反応物を1N 塩酸水溶液(1.5L)に加え、生成した沈殿をろ取し、重層水溶液および水で洗浄した。乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:へキサン/酢酸エチル(3/1(v/v)))により精製し、M−3(20.67g、76.5mmol)を得た。
【0077】
次に、M−3(2.703g、10mmol)を水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム:0.81g、水:100ml)に溶解させ、これにテトラn−ブチルアンモニウムクロリド(1.60g、5.76mmol)を加えた。溶液を激しく攪拌しながら、M−4(1.81g、10mmol)を1,2−ジクロロエタン(30ml)に溶解させた溶液を30分間にわたって滴下により加え、さらに30分間激しく攪拌した。得られた反応物に塩化メチレン20mlを加え、有機層を分離した後、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。溶媒をある程度留去して濃縮させ、メタノールに加えて、再沈殿させた。得られた沈殿をろ別、乾燥させてPR−1(3.6g)を得た。
【0078】
次に、PR−1(380mg)、M−5(70mg)、および白金触媒(dichlorodicyclopentadienylplatinum)(0.07mg)をクロロホルム(600μL)に溶解し、塗布液を調製した。該塗布液をミクロフィルター(DISMIC−13 PTFE 0.45ΜM:ADVANTEC社製)にて濾過し、石英ガラス板上に80μmのテフロン(登録商標)テープで作製した1.5cm×3cmの長方形の枠内に流し込んだ。次に、室温にて約12時間溶媒を蒸発させた後、フイルム(PR−2)を得た。
【0079】
この得られたフイルム(PR−2)を、剃刀を用いてガラス基板より剥離し、窒素雰囲気下、延伸率2.0で一軸延伸させながら90℃にて10時間加熱させた後、90℃にて3時間真空乾燥させることにより、第1の光駆動型アクチュエータ(膜厚22μm、大きさ0.8cm×2.5cm)を得た。
【0080】
一方、前記フイルム(PR−2)を窒素雰囲気下、90℃にて10時間加熱させた後、90℃にて3時間真空乾燥させ、剃刀を用いてガラス基板より剥離することにより、第2の光駆動型アクチュエータ(膜厚40μm、大きさ0.6cm×1.2cm)を得た。
[実施例2]
(光応答性架橋ポリマーP−12の合成(第3、第4、および第5の光駆動型アクチュエータの作製))
【0081】
【化7】

【0082】
まず、M−3(2.703g、10mmol)を水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム:0.81g、水:100ml)に溶解させ、これにテトラn−ブチルアンモニウムクロリド(1.60g、5.76mmol)を加えた。溶液を激しく攪拌しながら、M−4(0.27g、1.5mmol)およびM−6(1.79g、8.5mmol)を1,2−ジクロロエタン(30ml)に溶解させた溶液を30分間にわたって滴下により加え、さらに30分間激しく攪拌した。得られた反応物に塩化メチレン20mlを加え、有機層を分離した後、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。溶媒をある程度留去して濃縮させ、メタノールに加えて、再沈殿させた。得られた沈殿をろ別、乾燥させてPR−3(3.8g)を得た。
【0083】
次に、PR−3(404mg)、M−5(49mg)、および白金触媒(dichlorodicyclopentadienylplatinum)(0.05mg)をクロロホルム(600μL)に溶解し、塗布液を調製した。該塗布液をミクロフィルター(DISMIC−13 PTFE 0.45ΜM:ADVANTEC社製)にて濾過し、石英ガラス板上にスピンコート(1000rpm、20秒)により塗布し、室温で1時間乾燥させ、フイルム(PR−4)を得た。
【0084】
続いて、この得られたフイルム(PR−4)を、剃刀を用いてガラス基板より剥離し、窒素雰囲気下、延伸率2.3で一軸延伸させながら90℃にて10時間加熱させた後、90℃にて3時間真空乾燥させることにより、第3の光駆動型アクチュエータ(膜厚25μm、大きさ1.0cm×3.0cm)を得た。
【0085】
一方、前記フイルム(PR−4)を窒素雰囲気下、90℃にて10時間加熱させた後、90℃にて3時間真空乾燥させ、剃刀を用いてガラス基板より剥離することにより、第4の光駆動型アクチュエータ(膜厚43μm、大きさ0.5cm×1.0cm)を得た。
【0086】
さらに、また、第4の光駆動型アクチュエータを、100℃にて延伸率2.5で一軸延伸させ、同温度にて3時間緩和させた後、室温まで徐冷することにより、第5の光駆動型アクチュエータ(膜厚29μm、大きさ0.3cm×2.5cm)を得た。
[実施例3]
(第1、第3、および第5の光駆動型アクチュエータの光応答性の評価)
図2は、本発明の実施例3における第1の光駆動型アクチュエータの光応答性の評価実験を示す図である。
【0087】
図2(a)は、紫外線照射前の状態を示す。載置台2の上面の端部に光駆動型アクチュエータ1の一端が止め具3で固定されている。なお、止め具3は、光を遮断する材質からなる。
【0088】
この第1の光駆動型アクチュエータ1に、紫外線照射器(EXECURE3000、HOYA CANDEO OPTRONICS社製)より出射される紫外光を100mW/cm(365nm)の強度で室温にて真上から照射した。
【0089】
図2(b)は、紫外線照射後の状態を示す。図2(b)に示すように、一軸延伸方向において、水平形態から屈曲形態に5秒間で変化し、光により駆動することを確認した。
【0090】
さらに、屈曲形態の光駆動型アクチュエータ1に可視光を50mW/cm(>500nm)の強度で室温にて真上から照射した。その結果、始めの水平形態に8秒間で変化することを確認した。
【0091】
次に、第1の光駆動型アクチュエータの上記光応答性評価実験と同様にして得られた第3の光駆動型アクチュエータを評価したところ、紫外線照射により水平形態から屈曲形態に4秒間で変化し、屈曲形態への可視光照射により水平形態に7秒間で変化することを確認した。
【0092】
また、第1の光駆動型アクチュエータの上記光応答性評価実験と同様にして得られた第5の光駆動型アクチュエータを評価したところ、紫外線照射により水平形態から屈曲形態に5秒間で変化し、屈曲形態への可視光照射により水平形態に7秒間で変化することを確認した。
[実施例4]
(第2および第4の光駆動型アクチュエータの光応答性の評価)
上述した製造方法によって得られた第2の光駆動型アクチュエータに、紫外線照射器(EXECURE3000、HOYA CANDEO OPTRONICS社製)より出射される紫外光を偏光板を介して直線偏光に変換し、100mW/cm(365nm)の強度で室温にて真上から照射した。その結果、偏光板の透過軸方向において、水平形態から屈曲形態に17秒間で変化し、直線偏光により駆動し、且つその方向を制御できることを確認した。
【0093】
さらに、屈曲形態下にある第2の光駆動型アクチュエータに可視光を50mW/cm(>500nm)の強度で室温にて真上から照射した。その結果、始めの水平形態に30秒間で変化することを確認した。
【0094】
また、第2の光駆動型アクチュエータの上記光応答性評価実験と同様にして得られた第4の光駆動型アクチュエータを評価したところ、偏光紫外線照射により水平形態から屈曲形態に15秒間で変化し、屈曲形態への可視光照射により水平形態に28秒間で変化することを確認した。
[比較例1]
非特許文献5(Chem.Mater.誌、第16巻、1637頁(2004年))に記載の方法に従い、下記モノマー・架橋剤(組成比:A6AB2/DA6AB=50/50(mol比))より、自立性の液晶エラストマフイルム(膜厚=42μm)を作製した。該フイルムに対して、100℃において、紫外線照射器(EXECURE3000、HOYA CANDEO OPTRONICS社製)より出射される紫外光を100mW/cm(365nm)の強度で照射した。その結果、配向膜のラビング方向において、水平形態から屈曲形態に20秒間で変化した。また、屈曲形態のフイルムに、100℃において可視光を50mW/cm(>500nm)したところ、水平形態に45秒間で変化した。一方、該フイルムに対して、室温において同条件で紫外線または可視光を照射したが、2分間照射し続けてもフイルムの形態変化は観察されなかった。
【0095】
【化8】

【0096】
[比較例2]
(非架橋ポリマーR−1の合成と光駆動型アクチュエータAR1の作製)
【0097】
【化9】

【0098】
M−3(2.703g、10mmol)を水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム:0.81g、水:100ml)に溶解させ、これにテトラn−ブチルアンモニウムクロリド(1.60g、5.76mmol)を加えた。溶液を激しく攪拌しながら、M−6(2.111g、10mmol)を1,2−ジクロロエタン(30ml)に溶解させた溶液を30分間にわたって滴下により加え、さらに30分間激しく攪拌した。得られた反応物に塩化メチレン20mlを加え、有機層を分離した後、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。溶媒をある程度留去して濃縮させ、メタノールに加えて、再沈殿させた。得られた沈殿をろ別、乾燥させてR−1(3.5g)を得た。重量平均分子量をTSK Gel GMHxL、TSK Gel G4000 HxL、TSK Gel G2000 HxL (いずれも東ソー(株)の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で測定した結果、77000であった。
【0099】
R−1(0.5g)をプレス機(MINI TEST PRESS−10 TOYOSEIKI社製)を用いて160℃、5MPaにて熱溶融プレスさせることにより、フイルム状に成形した。更に、このフイルムを60℃にて、延伸率2.0で一軸延伸させることにより、光駆動型アクチュエータAR1(膜厚60μm、大きさ1.0cm×2.0cm)を得た。
【0100】
(光駆動型アクチュエータAR1の光応答性の評価)
上記製造方法により得られた光駆動型アクチュエータAR1に、紫外線照射器(EXECURE3000、HOYA CANDEO OPTRONICS社製)より出射される紫外光を100mW/cm(365nm)の強度で室温にて真上から照射した。その結果、一軸延伸方向において、水平形態から屈曲形態に5秒間で変化した。しかし、屈曲形態の光駆動型アクチュエータAR1に可視光を50mW/cm(>500nm)の強度で室温にて真上から照射したが、1分間以上照射し続けても変化しなかった。
【0101】
実施例3・4および比較例1・2より、本発明における第1から第5の光駆動型アクチュエータは、側鎖に光異性化基を有するポリマーからなるアクチュエータ(比較例1)に比べて、室温で駆動するという点で優れていることがわかる。さらに、延伸を施されたフィルム(第1、第3、および第5の光駆動型アクチュエータ)の場合は応答速度が速いという有利な効果が得られることもわかった。さらに、また、主鎖に光異性化基を有するが非架橋性のポリマーからなるアクチュエータ(比較例2)に比べて、可逆的に駆動するという点で優れていることがわかる。
【0102】
以上より、本発明によれば、光の刺激によって構造が可逆的に変形し、かつ応答速度が実用的な光応答性、柔軟性、および軽量性を有するとともに無音で駆動する光駆動型アクチュエータ、およびその光駆動型アクチュエータの簡便な製造方法を提供することができる。
【0103】
なお、本発明の光駆動型アクチュエーターは、例えば、医療・介護分野における、能動鉗子、内視鏡、人工筋肉、ドラッグデリバリーシステム、バイオ素子、航空宇宙分野における、小型探査機、生体模倣ロボット、人工衛星などの駆動部に適用できる。さらに、一般機器において、デジタルカメラ、携帯電話、マイクロポンプ、触感ディスプレイ、非接触検査機器などの駆動部に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の光駆動型アクチュエータの製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施例3における光駆動型アクチュエータの光応答性の評価実験を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1 光駆動型アクチュエータ
2 載置台
3 止め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の刺激を受けて変形するポリマーを備え、該ポリマーの変形をアクチュエータとして利用する光駆動型アクチュエータにおいて、
光の刺激を受けて構造変化を引き起こす光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーの側鎖の少なくとも一部を架橋して得られる架橋ポリマーを備え、
前記架橋ポリマーは、光の刺激に応じて可逆的に変形しアクチュエータとしての機能を有するものであることを特徴とする光駆動型アクチュエータ。
【請求項2】
前記架橋ポリマーが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する縮合系ポリマーを架橋して得られることを特徴とする請求項1記載の光駆動型アクチュエータ。
一般式(1)
【化1】

(式中、Qは光異性化基を表し、Lは二価の連結基または単結合を表す。Zは−OC(=O)−、−OC(=O)NR−、−C(=O)NR−より選ばれる二価の連結基を表し、Rは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。なお、これらの二価の連結基はどちらの向きで連結していてもよい。ZはZと反対の向きで連結した二価の置換基を表す。QおよびLのうちの一方もしくは両方は、架橋性基を含有する。Q、L、Zとしては異なる2種類以上が用いられていてもよい。)
【請求項3】
前記光異性化基が、アゾベンゼン基であることを特徴とする請求項1又は2記載の光駆動型アクチュエータ。
【請求項4】
前記アゾベンゼン基が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項3記載の光駆動型アクチュエータ。
一般式(2)
【化2】

(式中、X、Yは、フェニル基に置換可能な水素原子以外の置換基を表す。pおよびqはいずれも0〜4の整数を表す。但し、p+q≠0であり、p(またはq)が2以上の場合、X(またはY)は、同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項5】
前記一般式(2)は、置換基X、Yの少なくとも一つが分岐型アルキル基であることを特徴とする請求項4記載の光駆動型アクチュエータ。
【請求項6】
フイルム状に成形されたことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項記載の光駆動型アクチュエータ。
【請求項7】
フイルム状に成形され、延伸が施されたことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項記載の光駆動型アクチュエータ。
【請求項8】
光の刺激を受けて変形するポリマーを備え、該ポリマーの変形をアクチュエータとして利用する光駆動型アクチュエータの製造方法において、
光異性化基を主鎖中に有する縮合系ポリマーを含む組成物をフイルム状に成形する工程と、
該縮合系ポリマーを含む組成物を延伸および架橋反応を施す工程とを備えたことを特徴とする光駆動型アクチュエータの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−197609(P2007−197609A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19431(P2006−19431)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】