説明

免疫をモデュレーションするための突然変異したHIVNef

本発明は、HIVまたはSIVアクセサリータンパク質の免疫抑制性をモデュレーションするための、HIVまたはSIVアクセサリータンパク質の免疫抑制ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸突然変異の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワクチンを調製するためのヒトまたはサル免疫不全ウイルスのアクセサリータンパク質の免疫抑制機能の使用に関する。特に本発明はNefタンパク質を含むワクチン組成物に関する。
【0002】
20年より長い科学的研究がHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に対するワクチンを発見することに捧げられてきたけれども、HIVと戦うための納得できる予防手段はまだ発見されるに至っていない。従って、抗HIVワクチンの20より多くの臨床試験が開始されそして今日、それらのどれも感染を防止するのに十分な活性性を示していない。
【0003】
Nef(ネガティブ調節因子)は、HIVまたはSIVの27〜35kDa調節タンパク質である。その種々の機能のなかでも、Nefは、特にヒトにおけるAおよびB型(HLA−AおよびHLA−B)のクラスI MHC(主要組織適合性複合体)分子(MHC−I)の発現のダウンレギュレーションに関与している。Nefのこの性質は突然変異に対して感受性であることが示されているが、しかしながら、アミノ酸位置93におけるHIV−1 Nefの突然変異は、そのMHC−Iダウンレギュレーション性をモデュレーションするのに効果がないことが証明された(Ali et al. (2003) J. Immunol. 171:3999-4005)。Nefは、Tヘルパー細胞の表面で普通に発現されるCD4分子のダウンレギュレーションにも関与している。さらに、Nefは、成熟クラスIIMHC分子の発現もダウンレギュレーションし、そして未成熟クラスIIMHC分子の発現をアップレギュレーションする。すべてのこれらのレギュレーションは、正常な細胞内輸送(cellular trafficking)に関するNef干渉及び特にエンドサイトーシス−分解経路に関するNef干渉の結果である(Le Gall et al.(1998) Immunity 8:483-495)。
【0004】
Nefは、HIVまたはSIVの抗原の1つとして、単独で又は例えばWO 01/00232もしくはWO 03/011334に記載されているような他の抗原と組み合わせて、いくつかのワクチン組成物中に含まれた。しかしながら、これらのアプローチは、いずれも活性であることが証明されなかった。Nef投与の結果として、HIVまたはSIVに対する活性な免疫応答の欠如は、まだ同定されていないNefの機能に関係しているかも知れず、これに対してHIVまたはSIVに対する活性なワクチンの発生は、おそらくNefに対して活性な免疫応答を生じさせることを必要とする。
【0005】
従って、本発明の目的は、Nefタンパク質に対するHIVまたはSIVの免疫抑制性に関する。
【0006】
本発明の他の目的は、Nefタンパク質における免疫抑制ドメインの同定に関する。
【0007】
本発明のさらなる目的は、修飾されたNefタンパク質を含む医薬組成物またはワクチン組成物を提供することである。
【0008】
本発明は、該タンパク質の免疫抑制性をモデュレーションするための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸の突然変異の使用、特にin vitroまたはex vivoでの使用に関する。
【0009】
In vivoでは、Nefタンパク質は、特に、HIV(HIV−1またはHIV−2などの)に感染した個体またはSIVに感染した類人猿において見出される。
【0010】
本明細書で意図した、突然変異は、Nefタンパク質に故意に生じさせた少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入または欠失、あるいはNefタンパク質の大部分(即ち、同定されたNefタンパク質の少なくとも約80%)に対して与えられたNefタンパク質における少なくとも1つのアミノ酸の自然に起こる置換、挿入または欠失に関する。
【0011】
本発明に従えば、与えられたタンパク質は、免疫系が存在している生物の免疫系を阻害しやすいならば、免疫抑制性を保持すると言われる。特に、該与えられたタンパク質の免疫抑制性は、Mangeney & Heidmann(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:14920-5およびMangeney et al.(2001)J. Gen. Virol. 82:2515-8に記載の一般的手順に従って測定することができる。即ち、該与えられたタンパク質を発現する、または特に与えられたタンパク質を細胞内空間もしくは細胞外空間に分泌する安定な腫瘍細胞系を樹立しそしてマウスに移植し、そして腫瘍のサイズ(Aprotein)を、該与えられたタンパク質を発現しないもしくは特に該与えられたタンパク質を分泌しない腫瘍細胞系を移植されたマウスから得られた腫瘍のサイズ(Anone)と、数日後に比較する。与えられたタンパク質を発現するもしくは特に分泌する腫瘍のサイズが、非発現腫瘍もしくは特に非分泌腫瘍のサイズより有意に大きければ、与えられたタンパク質は、免疫抑制性であるといわれる。与えられたタンパク質の免疫抑制性は、その免疫抑制指数[(Aprotein−Anone)/Anone]により特徴付けることもできる。与えられたタンパク質の免疫抑制指数が正であるならば、与えられたタンパク質は免疫抑制性であると言われ、そしてその免疫抑制指数がゼロに等しいかもしくは負であるならば、与えられたタンパク質は本質的に免疫抑制活性を持たないと言われる。
【0012】
本発明は、HIVまたはSIVの免疫抑制性とNefタンパク質との間の本発明者により確立された関係から生じる。換言すれば、本発明は、細胞内機能および細胞外機能の両方であることがさらに示されるNefタンパク質の免疫抑制機能の同定から生じる。さらに本発明者は、Nefの免疫抑制機能は、CD4もしくはMHC−IのNefで誘導されるダウンレギュレーションとは独立していることを示した。
【0013】
従って、好ましい態様では、本発明は、得られる突然変異したタンパク質が突然変異していないNefタンパク質に比べて実質的に保存されたCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能を示すとの条件下の、該タンパク質の免疫抑制性をモデュレーションするための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸の突然変異の使用に関する。
【0014】
本明細書で意図した表現「実質的に保存されたCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能」は、与えられたNefタンパク質のCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能の少なくとも60%、特に少なくとも80%が本発明に従う突然変異を有する対応するNefタンパク質において保存されていることを意味する。
【0015】
CD4およびMHC−Iのダウンレギュレーションは、前記与えられたタンパク質をコードする増加する量の核酸でトランスフォーメーションされそして蛍光抗CD4もしくは抗MHC−I抗体と接触させられたCD4もしくはMHC−I発現細胞の蛍光を測定することにより決定することができる。このような方法は、当業者に周知されておりそして特に下記の実施例に記載されている。
【0016】
免疫抑制タンパク質の免疫抑制ドメインは、該タンパク質に対するその免疫抑制活性を与える責任を担う該タンパク質の領域であると定義され、そして特にそれはその突然変異が該タンパク質の免疫抑制性をモデュレーションしやすいすべてのアミノ酸から構成される。
【0017】
本明細書で意図した、与えられたタンパク質の「免疫抑制性をモデュレーションする」という表現は、該タンパク質の免疫抑制性を増加または減少させることに関する。
【0018】
好ましい態様では、本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制性を阻害するための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸の突然変異の上記した使用に関する。この態様に従えば、このNefタンパク質は免疫抑制性を示す。
【0019】
本発明で意図した、与えられたタンパク質の免疫抑制性の阻害は、実質的に免疫抑制活性を持たない、即ち、ゼロに等しいかもしくは負である免疫抑制指数を有するタンパク質を生じさせる。
【0020】
免疫抑制性を欠いたNefタンパク質は抗HIVまたは抗SIVワクチンの製造のために特に有利である。実際に、本発明に従う免疫抑制性を欠いたNefタンパク質を含有するワクチン組成物は、HIVまたはSIV感染を阻止するのに特に活性である。何故ならば、それらは、免疫応答を強く刺激しそして特にNefタンパク質に対して指向させられた抗体の産生およびNefタンパク質を発現する感染した細胞に対する細胞性免疫応答の誘発を強く刺激するからである。従って、免疫応答のこの刺激は、HIVまたはSIV感染の初期工程の期間中Nefが生物中に放出されるとき又は感染した細胞により発現されるときNefのその後の免疫抑制作用を阻止する。従って、Nefに対して誘発された免疫応答から生じるNefタンパク質により伝えられる免疫抑制の不存在は、HIVまたはSIV早発感染サイクル(precocious infectious cycles)が活性となるのを阻止しそして免疫系によるウイルスの排除を促進する。
【0021】
特に、本発明に従うワクチン組成物は、免疫系から抗HIVまたは抗SIV応答を誘導するのに先行技術のNef含有組成物よりも活性である。何故ならば、突然変異していないNefはそれ自体において免疫系の阻害剤であることが本明細書で開示されているからである。
【0022】
他の好ましい態様では、本発明は、ウイルス疾患の予防および/または処置を意図した医薬またはワクチンの製造のための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインにおいて突然変異したNefタンパク質またはそのフラグメント(但し該フラグメントは、該Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインを含むものとする)を得るための上記した使用に関する。
【0023】
本明細書で意図したウイルス疾患は、ウイルス感染から生じるすべての疾患または症候群、例えばAIDSを包含する。さらに、本発明に従うワクチンは予防的または治療的に使用されることを意味する。
【0024】
さらに他の好ましい態様では、本発明は、Nefタンパク質の構造が実質的に保存されている上記した使用に関する。
【0025】
その免疫抑制ドメインにおいて突然変異したNefタンパク質の構造のその天然対応物に対する実質的な保存は、例えば、該突然変異したNefタンパク質の円二色性スペクトル、RMNスペクトル、X線回折パターンまたは任意の他の物理化学的性質を、それが由来する天然のNefタンパク質のそれと、当業者に周知の方法に従って比較することにより決定することができる。本明細書で意図した突然変異したNefタンパク質が由来する天然のNefタンパク質は免疫抑制活性を示すことに留意されるべきである。
【0026】
さらなる好ましい態様では、本発明は、Nefタンパク質のエピトープ、特に立体配座エピトープ(conformational epitopes)が実質的に保存されている上記した使用に関する。特に、B細胞エピトープおよびT細胞エピトープが保存されている。
【0027】
さらに詳しくは、本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの外側に位置したエピトープ、特に立体配座エピトープが実質的に保存されている上記した使用に関する。
【0028】
その免疫抑制ドメインにおいて突然変異したNefタンパク質のエピトープの、その天然対応物に対する実質的な保存は、例えば、天然のNefタンパク質に結合することが知られている抗体が、対応するNef突然変異体にも結合するということを調べることにより決定することができる。
【0029】
他のさらなる好ましい態様では、本発明は、Nefタンパク質のその免疫抑制性以外の細胞内機能的性質が実質的に保存されている、上記した使用に関する。
【0030】
さらに好ましくは、本発明は、Nefタンパク質のCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能が実質的に保存されている、上記した使用に関する。
【0031】
Nefタンパク質のその免疫抑制性以外の細胞内機能的性質は、該タンパク質が細胞の内側に内包されている(hosted)ときにのみ作用性である(operative)タンパク質の非免疫抑制機能に関する。このような機能は、注目すべきことにCD4およびMHC−I発現のダウンレギュレーションを含む。
【0032】
与えられたタンパク質によるCD4およびMHC−I発現のダウンレギュレーションは、該与えられたタンパク質をコードする増加する量の核酸でトランスフォーメーションされそして蛍光抗CD4もしくは抗MHC−I抗体と接触させられたCD4もしくはMHC−I発現細胞の蛍光を測定することにより決定することができる。このような方法は、当業者に周知されておりそして特に下記の実施例に記載されている。
【0033】
本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制性を解消するための方法であって、
− 少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または挿入により該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインを突然変異させ、
− 該免疫抑制活性の解消を、in vivo免疫抑制アッセイにより調べること、
を含む方法にも関する。
【0034】
In vivo免疫抑制性アッセイは上記したアッセイに対応する。
【0035】
上記した方法の好ましい態様は、Nefタンパク質の構造および/またはエピトープ、特にNefタンパク質の免疫抑制ドメインの外側に位置したエピトープが実質的に保存されていることを調べるさらなる工程を含む。
【0036】
上記した方法の他の好ましい態様は、Nefタンパク質の構造および/またはエピトープ、特に免疫抑制ドメインの外側に位置したエピトープ、および/またはCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能が実質的に保存されていることを調べるさらなる工程を含む。
【0037】
Nefタンパク質の構造および/またはエピトープ、および/またはCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能の実質的な保存は、上記したとおりに決定することができる。
【0038】
本発明は、特に、薬学的に許容される担体と共に、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたはNefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドを、活性物質として含む医薬組成物またはワクチン組成物であって、
● 該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換および/または挿入により突然変異されており、但し該Nefタンパク質は実質的に免疫抑制活性を持たないものとし、そして
● 該フラグメントは、該Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインを含みそして実質的に免疫抑制活性を持たない、
医薬組成物またはワクチン組成物に関する。
【0039】
特に、前記フラグメントのそれぞれN末端端部(N-terminal end)およびC末端端部(C-terminal end)に隣接した配列は、それが由来するNefタンパク質における当該フラグメントのそれぞれN末端端部およびC末端端部に隣接した配列と同一であることができる。
【0040】
上記した医薬組成物またはワクチン組成物の特定の態様では、Nefタンパク質のフラグメントを含むタンパク質またはポリペプチドは、前記フラグメントのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列が、それが由来するNefタンパク質における当該フラグメントのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列とは異なるようなものである。
【0041】
さらに詳しくは、上記した医薬組成物またはワクチン組成物の他の態様では、Nefタンパク質のフラグメントを含むタンパク質またはポリペプチドは、
● 前記フラグメントのN末端端部に隣接した配列が、それが由来するNefタンパク質における当該フラグメントのN末端端部に隣接した配列とは異なるか、または
● 前記フラグメントのC末端端部に隣接した配列が、それが由来するNefタンパク質における当該フラグメントのC末端端部に隣接した配列とは異なるか、または
● 前記フラグメントのN末端端部およびC末端端部に隣接した配列が、それが由来するNefタンパク質における当該フラグメントのN末端端部およびC末端端部に隣接した配列とは異なる、
ようなものである。
【0042】
本発明に従う突然変異したNefタンパク質またはそのフラグメントは免疫抑制が欠如していると言われる。
【0043】
本発明は、薬学的に許容される担体と共に、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたはNefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドを、活性物質として含む医薬組成物またはワクチン組成物であって、
● 該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換および/または挿入により突然変異されており、但し該Nefタンパク質は実質的に免疫抑制活性を持たないものとし、そして該Nefタンパク質のCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能が実質的に保存されているものとし、そして
● 該フラグメントは、該Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインを含みそして実質的に免疫抑制活性を持たない、
医薬組成物またはワクチン組成物に関する。
【0044】
上記した医薬組成物またはワクチン組成物の好ましい態様では、Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列は、Nefタンパク質の第1αヘリックスのN末端から第2αヘリックスのC末端まで延びているアミノ酸配列に含まれる。
【0045】
Nefタンパク質の構造は、特にArold et al. (1997) Structure 5: 1361-72およびGrzesiek et al.(1997) Protein Science 6:1248-63に記載されている。Nefタンパク質の二次構造エレメント、特にそのαヘリックスの命名法は、Arold et al. (1997)およびGrzesiek et al.(1997)に従うNefタンパク質のコアドメインの構造的説明に基づいている。
【0046】
上記した医薬組成物またはワクチン組成物の他の好ましい態様では、Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列は、該Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで、特に位置81のアミノ酸から位置140のアミノ酸までの範囲の配列、特に:
● HIV−1Nefタンパク質の配列の、位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、さらに詳しくは位置81のアミノ酸から位置118アミノ酸までの範囲の配列、又は
● HIV−2Nefタンパク質の配列の、位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで、特に位置104のアミノ酸から位置140のアミノ酸までの範囲の配列、
に含まれる。
【0047】
Nefタンパク質配列は、当業者により容易にアクセスされうる。例として、いくつかのHIV−1、HIV−2又はSIVNefタンパク質配列は図4に示される。
【0048】
さらに好ましくは、上記した医薬組成物またはワクチン組成物において、HIV−1Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列は、該Nefタンパク質の配列の位置90のアミノ酸から位置113のアミノ酸まで、特に位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸までの範囲の配列に含まれる。
【0049】
上記した医薬組成物またはワクチン組成物の特定の態様では、Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列は、配列番号1の位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、特に配列番号1の位置81のアミノ酸から位置117のアミノ酸まで、さらに詳しくは配列番号1の位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸までの範囲のアミノ酸配列に相同的な配列に含まれる。
【0050】
配列番号1は、Wain-Hobson et al. (1985) Cell 40: 9-17により記載されたNefタンパク質のアミノ酸配列に相当する(HIV−1株LAI)。
【0051】
本発明に従えば、2つの配列は、もしそれらを、例えば、Altschul et al. Nucleic Acids Res. (1997) 25:3389に定義された如きアルゴリズムを使用することによりまたは当業者に周知されそしてThompson et al., Nucleic Acids Res. (1994) 22:4673-4680に記載されたClustal W softwareを使用することによりアラインメントさせることができるならば、相同的であると言われる。
【0052】
特に、2つの配列は、もし該2つの配列間のアミノ酸同一性百分率が約35%に等しいか又は約35%より大きいならば、相同的であると言われる。
【0053】
例として、図4は、Clustal W softwareで得られる、HIV−1、HIV−2またはSIVに由来するいくつかのNefタンパク質の配列アラインメントを表す。配列番号1の位置81のアミノ酸から位置118のアミノ酸までの範囲のアミノ酸配列に相同的である配列は、ボックスで囲まれている。
【0054】
上記した医薬組成物またはワクチン組成物の他の特定の態様では、Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列は、該Nefタンパク質の長さ26もしくは27アミノ酸の配列に含まれ、該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のN末端端部はペンタペプチドAXDXSでありそして該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のC末端端部はアミノ酸Lである(式中、Xは、任意のアミノ酸、特にI、V、L、FまたはRを表し、そしてXは任意のアミノ酸、特にM、LまたはFを表す)。
【0055】
このような配列の例は図4に示される。
【0056】
本発明のさらに別の特定の態様では、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、下記の配列:
【表2】


(式中、
はI、L、V、FまたはRを表し、
はM、LまたはFを表し、
はH、DまたはFを表し、
はFまたはLを表し、
はIまたはLを表し、
はEとは異なる任意のアミノ酸を、特にRを表し、
はK、QまたはRを表し、
はGを表すかまたはアミノ酸を表さず、
はE、DまたはRを表す)
を含むNefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むかまたは該Nefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドを、活性物質として含む。
【0057】
配列番号3は、Nefの免疫抑制ドメインを含む。
【0058】
このような配列の例は図4に示される。
【0059】
本発明の特に好ましい態様に従えば、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸が、Eとは異なるアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに詳しくはR、HまたはK、好ましくはRにより置き換えられている、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまた該Nefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドを、活性物質として含む。
【0060】
配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸は、上記したタンパク質またはポリペプチドの配列を配列番号1とアラインメントさせ(例えば、Clustal W softwareを使用して)そして配列番号1の位置93のアミノ酸とアラインメントしているアミノ酸を選ぶことにより決定することができる。例として、図4は、HIV−1、HIV−2またはSIVに由来するいくつかのNefタンパク質について配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸を表す。有利には、配列番号1アミノ酸の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸の単一の置換が、実質的に免疫抑制を欠いたNef突然変異体を生じさせる。
【0061】
本発明の他の特に好ましい態様に従えば、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、HIV−1Nefタンパク質の配列の位置93のアミノ酸が、Eとは異なる任意のアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに詳しくはR、HまたはK、好ましくはRにより置き換えられている、HIV−1Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたは該HIV−1Nefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質又はポリペプチドを、活性物質として含む。
【0062】
本発明のなお他の特に好ましい態様に従えば、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸が、Eとは異なる任意のアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに詳しくはR、HまたはK、好ましくはRにより置き換えられているNefタンパク質を、活性物質として含む。
【0063】
例として、図6Bに示されたとおり、HIV−1Nefの位置93に相同的な位置は、SIV株mac239Nef(配列番号22)における位置125に相当しそしてRによるSIV株mac239Nefの位置125におけるEの置換は、免疫抑制欠如Nef突然変異体(配列番号23)を生じさせる。
【0064】
本発明の最も好ましい態様に従えば、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、活性物質として、配列番号2に相当する突然変異したNefタンパク質を含む。
【0065】
本発明のさらに他の好ましい態様では、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、Nefタンパク質が該医薬組成物またはワクチン組成物に含まれているとき、Nefタンパク質の構造は実質的に保存されていることを特徴とする。
【0066】
本発明のさらなる好ましい態様では、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、Nefタンパク質が該医薬組成物またはワクチン組成物に含まれているとき、Nefタンパク質のエピトープ、例えばB細胞もしくはT細胞エピトープ、特に立体配座エピトープが実質的に保存されていることを特徴とする。
【0067】
さらに詳しくは、本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの外側に位置したエピトープ、特に立体配座エピトープが実質的に保存されているエピトープが実質的に保存されている、上記した医薬組成物またはワクチン組成物に関する。
【0068】
本発明の他のさらなる好ましい態様では、上記した医薬組成物またはワクチン組成物は、Nefタンパク質が該医薬組成物またはワクチン組成物に含まれているとき、Nefタンパク質の免疫抑制性以外の細胞内機能的性質が実質的に保存されていることを特徴とする。
【0069】
さらに好ましくは、本発明は、Nefタンパク質のCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能が実質的に保存されている、上記した医薬組成物またはワクチン組成物に関する。
【0070】
本発明は、上記した医薬組成物又はワクチン組成物において定義されたタンパク質またはポリペプチドにも関する。
【0071】
特に、本発明は、配列番号2または配列番号31により表されるタンパク質に関する。
【0072】
本発明は、上記した如きタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸を活性物質として含む医薬組成物またはワクチン組成物にも関する。
【0073】
本発明は、上記した医薬組成物またはワクチン組成物において定義されたタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸配列にも関する。
【0074】
特に、本発明は、配列番号2または配列番号31により表されるタンパク質をコードする核酸配列に関する。
【0075】
本発明は、HIV感染などのウイルス疾患の予防および/または処置を意図した医薬またはワクチンの製造のための、上記したタンパク質もしくはポリペプチドまたは上記した核酸の使用にも関する。
【0076】
本発明の好ましい態様では、活性物質として上記したタンパク質またはポリペプチドを含む上記した医薬または上記した医薬組成物もしくはワクチン組成物は、特にgp41、gp120、gp140、gp160、Env、Gag、Po、Rev、RT、VpuまたはTatから選ばれる、少なくとも1つのHIVタンパク質もしくはリポペプチドまたはそのフラグメントも含む。
【0077】
本発明の好ましい態様では、活性物質として上記した如きタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸を含む上記した医薬または上記した医薬組成物もしくはワクチン組成物は、特にgp120、gp140、gp160、Env、Gag、Pol、Rev、RT、VpuまたはTatをコードする核酸から選ばれる、HIVタンパク質をコードする少なくとも1つの核酸またはそのフラグメントも含む。
【0078】
活性物質として上記した如きタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸を含む上記した医薬または上記した医薬組成物もしくはワクチン組成物の他の好ましい態様では、核酸はネイキッド(naked)であるかまたは特にカナリア痘ウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはハシカウイルスベクターから選ばれるベクターに含まれる。
【0079】
本発明は、上記したタンパク質またはポリペプチドの使用であって、
− 上記した該タンパク質またはポリペプチドに対して指向させたポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体またはそのフラグメント、例えばFabまたはF(ab)’フラグメント、
− 上記した該タンパク質またはポリペプチドに対して指向させたscFvポリペプチド、
− 上記した該タンパク質またはポリペプチドに対して指向させたアプタマー、
− 上記した該タンパク質またはポリペプチドに対して指向させた結合ペプチド、
の製造のための上記したタンパク質またはポリペプチドの使用にも関する。
【0080】
上記した抗体もしくは抗体のフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドの製造方法は特に当業者に周知されている。結合ペプチドに関して、それらはリボソームまたはファージディスプレー法などの当業者に周知の方法に従って製造することもできる。
【0081】
本発明は、本発明に関与する上記したタンパク質またはポリペプチドに対して指向させた抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチド(但し該抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチドまたはアプタマーは、本発明に関与する上記したタンパク質またはポリペプチドとは異なるタンパク質またはポリペプチドに結合しないものとする)にも関する。
【0082】
本明細書で意図した、上記した抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドは、本発明に従うタンパク質またはポリペプチドに特異的に結合する、換言すれば、それらは本発明に従うタンパク質またはポリペプチドに対して特異的なリガンドである。特に、これらのリガンドの特異性は、それらが本発明に従うタンパク質またはポリペプチドに結合するが、突然変異により本発明に従う該タンパク質またはポリペプチドが得られるタンパク質には結合しないようなものである。
【0083】
本発明は、Nefタンパク質の突然変異体を製造するための方法であって、
− 第1工程で、該Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列を少なくとも1つのアミノ酸の欠失、挿入または置換により突然変異させ、
− 第2工程において、第1工程で得られた突然変異したNefタンパク質の免疫抑制性を調べそして免疫抑制性を欠いている突然変異体を選ぶ、
Nefタンパク質の突然変異体を製造するための方法にも関する。
【0084】
この方法に従って得られた突然変異体は、免疫抑制欠失突然変異体である。
【0085】
Nefタンパク質の突然変異体を製造するための上記した方法の好ましい態様では、第3工程において、第2工程で得られた突然変異したNefタンパク質のCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能を調べ、そして前記Nefタンパク質に対して実質的に保存されたCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能を有する突然変異したNefタンパク質を選ぶ。
【0086】
Nefタンパク質の突然変異体を製造するための上記した方法の他の好ましい態様では、突然変異した配列は:
− HIV−1タンパク質の配列の、位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、さらに詳しくは位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸まで、または
− HIV−2Nefタンパク質の配列の位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで、
の範囲にある。
【0087】
Nefタンパク質の突然変異体を製造するための上記した方法の他の好ましい態様では、Nefタンパク質の配列を、該Nefタンパク質をコードする核酸配列の指定突然変異誘発(directed mutagenesis)により突然変異させる。
【0088】
Nefタンパク質の突然変異体を製造するための上記した方法の他の好ましい態様では、突然変異したNefタンパク質の免疫抑制性を、上記したMangeney Heidmann(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:14920-5およびMangeney et al.(2001)J. Gen. Virol. 82:2515-8に記載の一般的手順に従って調べ、特に上記した免疫抑制指数を測定しそしてゼロに等しいかまたは負である免疫抑制指数を有する突然変異したNefタンパク質を選ぶ。
【0089】
与えられたタンパク質によるCD4およびMHC−I発現のダウンレギュレーションは、該与えられたタンパク質をコードする増加する量の核酸でトランスフォーメーションされそして蛍光抗CD4または抗MHC−I抗体と接触させられたCD4およびMHC−I発現細胞の蛍光を測定することにより決定することができる。このような方法は、当業者に周知されておりそして特に下記の実施例に記載されている。
【0090】
本発明は、上記した方法により製造されやすいNefタンパク質の突然変異体、および薬学的に許容される担体と共にNefタンパク質の該突然変異体を含む医薬組成物にも関する。
【0091】
本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むまたはNefタンパク質の免疫抑制ドメインから構成される新規なタンパク質またはポリペプチドであって、但し該タンパク質またはポリペプチドにおける免疫抑制ドメインのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列は、もし存在するならば、それが由来するNefタンパク質の免疫抑制ドメインのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列とは異なるものとする、新規なタンパク質またはポリペプチドにも関する。
【0092】
さらに詳しくは、上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの態様では:
● 免疫抑制ドメインのN末端端部に隣接した配列は、それが由来するNefタンパク質の免疫抑制ドメインのN末端端部に隣接した配列とは異なり、
● 免疫抑制ドメインのC末端端部に隣接した配列は、それが由来するNefタンパク質の免疫抑制ドメインのC末端端部に隣接した配列とは異なり、または
● 免疫抑制ドメインのそれぞれN末端端部およびC末端端部に隣接した配列は、それが由来するNefタンパク質の免疫抑制ドメインのそれぞれN末端端部およびC末端端部に隣接した配列とは異なる。
【0093】
本発明の特定の態様では、上記した新規なタンパク質またはポリペプチドは、CD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能を示す。
【0094】
上記した新規なタンパク質もしくはポリペプチドを構成するかまたは上記した新規なタンパク質もしくはポリペプチドに含まれるNef免疫抑制ドメインは、天然に存在するNefタンパク質の免疫抑制ドメインに対して突然変異されていてもよくまたは突然変異されていなくてもよい。
【0095】
従って、上記した新規なタンパク質またはポリペプチドは、一般的な場合に、それが含むNef免疫抑制ドメイン又はそれを構成するNef免疫抑制ドメインは、一般に免疫抑制性を示す天然に存在するNefタンパク質から突然変異なしに誘導されるならば、免疫抑制性であることができる。
【0096】
新規なタンパク質またはポリペプチドは、その天然の形態に対して突然変異されているNef免疫抑制ドメインを含むことができまたはこのNef免疫抑制ドメインから構成されることもできる。この突然変異は、Nef免疫抑制ドメインの免疫抑制性に関してサイレントであることができ、これは、一般的な場合に、それがNef免疫抑制ドメインの免疫抑制性に影響を与えないことを意味し、またはこの突然変異が免疫抑制ドメインを免疫抑制欠失させることができることを意味し、Nef免疫抑制ドメインに影響を与える上記した突然変異の場合がそうである。
【0097】
さらに、ある特定の場合に、免疫抑制ドメインは、免疫抑制性を欠いた天然に存在するNef変異体に由来することもできる。
【0098】
上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの好ましい態様では、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列は、Nefタンパク質の第1αヘリックスのN末端から第2αヘリックスのC末端まで延びているアミノ酸配列に含まれる。
【0099】
上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの他の好ましい態様では、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列は、該Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで、特に位置81のアミノ酸から位置140のアミノ酸までの範囲の配列、特に:
● HIV−1Nefタンパク質の配列の、位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、さらに詳しくは位置81のアミノ酸から位置118のアミノ酸までの範囲の配列、または
● HIV−2Nefタンパク質の配列の、位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで、特に位置104のアミノ酸から位置140のアミノ酸までの範囲の配列、
に含まれる。
【0100】
さらに好ましくは、上記した新規なタンパク質またはポリペプチドにおいて、HIV−1Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列は、該Nefタンパク質の配列の、位置90のアミノ酸から位置113のアミノ酸まで、特に位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸までの範囲の配列に含まれる。
【0101】
上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの他の好ましい態様では、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列は、配列番号1の位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、特に配列番号1の位置81のアミノ酸から位置117のアミノ酸まで、さらに詳しくは配列番号1の位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸までの範囲のアミノ酸配列に相同的な配列に含まれる。
【0102】
上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの特に好ましい態様では、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列は、該Nefタンパク質の長さ26もしくは27アミノ酸の配列、該Nefタンパク質のN末端端部、に含まれ、該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のN末端端部はペンタペプチドAXDXSでありそして該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のC末端端部はアミノ酸Lである(式中、Xは、任意のアミノ酸、特にI、V、L、FまたはRを表し、そしてXは任意のアミノ酸、特にM、LまたはFを表す)。
【0103】
本発明の好ましい態様では、上記した新規なタンパク質またはポリペプチドを構成するまたは上記した新規なタンパク質またはポリペプチドに含まれるNef免疫抑制ドメインは、突然変異されておらず、このようなドメインは突然変異されていないと言われ、そして天然に免疫抑制性のNefタンパク質に由来する。有利には、このような突然変異していないドメインを含むまたはこのような突然変異していないドメインから構成される新規なタンパク質またはポリペプチドは免疫抑制性である。
【0104】
他の好ましい態様では、新規なタンパク質またはポリペプチドは、下記のHIV−1Nefフラグメント:
【表3】




または該HIV−1Nefフラグメントと少なくとも80%の配列同一性、好ましくは90%の同一性を示す相同的なペプチド配列の1つから構成される。
【0105】
本発明は、該HIV−1Nefフラグメントまたは相同的なペプチド配列を含む新規なタンパク質またはポリペプチドであって、但し該タンパク質またはポリペプチドにおけるHIV−1NefフラグメントのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列が、もし存在するならば、それらが由来するHIV−1NefフラグメントのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列とは異なるものとする、新規なタンパク質またはポリペプチドにも関する。
【0106】
他の好ましい態様では、新規なタンパク質またはポリペプチドは下記のHIV−2Nefフラグメント:
【表4】






または該HIV−2Nefフラグメントと少なくとも80%の配列同一性、好ましくは90%の同一性を示す相同的なペプチド配列の1つから構成される。
【0107】
本発明は、該HIV−2Nefフラグメントまたは相同的なペプチド配列を含む新規なタンパク質またはポリペプチドであって、但し、該タンパク質またはポリペプチドにおけるHIV−2NefフラグメントのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列が、もし存在するならば、それが由来するNefタンパク質のHIV−2NefフラグメントのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列とは異なるものとする、新規なタンパク質またはポリペプチドにも関する。
【0108】
上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの他の特に好ましい態様では、免疫抑制ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換および/または挿入により突然変異させられており、そして特に配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸が、Eとは異なる任意のアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに特定的にはR、HまたはK、好ましくはRにより置き換えられている。有利には、このような新規なタンパク質またはポリペプチドは、免疫抑制活性を欠いている。
【0109】
上記した新規なタンパク質またはポリペプチドのなお他の特に好ましい態様では、HIV−1Nefタンパク質の免疫抑制ドメインは、該HIV−1Nefタンパク質の位置90のアミノ酸を、Eとは異なる任意のアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに詳しくはR、HまたはK、好ましくはRにより置換することにより突然変異させられている。
【0110】
本発明は、核酸が上記した新規なタンパク質又はポリペプチドをコードすることを特徴とする核酸にも関する。
【0111】
本発明は、上記した新規なタンパク質又はポリペプチドのペプチド模倣物にも関する。
【0112】
本発明は、Nefタンパク質の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列に対して、特に:
● HIV−1Nefタンパク質の配列の、位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、さらに詳しくは位置90のアミノ酸から位置120のアミノ酸までの範囲の配列に対して、又は
● HIV−2Nefタンパク質の配列の、位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで範囲の配列に対して、
指向させた抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドにも関する。
【0113】
本発明は、上記した新規なタンパク質またはポリペプチドに対して指向させた抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドであって、但し該抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチドまたはアプタマーは、免疫抑制ドメインが上記した該新規なタンパク質またはポリペプチドの免疫抑制ドメインに相当するNefタンパク質に結合しないものとする、抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドにも関する。
【0114】
本明細書で意図した上記した抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドは、本発明に従う新規なタンパク質またはポリペプチド(即ち、本発明に従うNefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むタンパク質またはポリペプチド)に対して特異的である。特に、これらの抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチドまたはアプタマーは、その自然の環境においてNefタンパク質の免疫抑制ドメインに結合しない、即ち、これらの抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチドまたはアプタマーは、天然のNefタンパク質に結合しない。
【0115】
本発明は、薬学的に許容される担体と共に、活性物質として、上記した新規なタンパク質もしくはポリペプチド、または該新規なタンパク質もしくはポリペプチドをコードする上記した核酸を含む医薬組成物またはワクチン組成物にも関する。
【0116】
本発明は、免疫系の阻害を必要とする病理、例えばアレルギー、自己免疫疾患または移植片拒絶の予防または処置を意図する医薬の製造のための、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたはNefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質もしくはポリペプチドであって、免疫抑制活性を示す該タンパク質もしくはポリペプチドの使用にも関する。
【0117】
有利な態様では、本発明は、免疫系の阻害を必要とする病理、例えばアレルギー、自己免疫疾患または移植片拒絶の予防または処置を意図する医薬の製造のための、免疫抑制性を示す上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの上記した使用に関する。
【0118】
本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたはNefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドの使用にも関する。
【0119】
本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための、上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの使用にも関する。
【0120】
有利には、Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすいこのような化合物は抗ウイルス剤として使用することができる。
【0121】
本明細書で意図した、スクリーニングするべき化合物は、いかなる化学的性質であってもよい。特に、スクリーニングするべき化合物は化合物ライブラリーに含まれる。
【0122】
上記した新規なタンパク質またはポリペプチドの上記した使用の好ましい態様では、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列は突然変異していない配列に相当する。
【0123】
本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物にも関する。このような化合物は、特にウイルス疾患、例えばHIVもしくはSIV感染の予防または処置を意図した、医薬組成物の製造のために有用でありうる。
【0124】
これらの化合物の免疫抑制阻害活性は、化合物の不存在下または存在下に与えられたNefタンパク質の免疫抑制指数を測定することにより決定することができる。化合物は、該化合物の存在下の与えられたNefタンパク質の免疫抑制指数が、該化合物の不存在下の同じNefタンパク質の免疫抑制指数に比べて減少しているとき、免疫抑制阻害活性を有すると言われるであろう。
【0125】
本発明は、Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインのリガンド、例えば抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドの使用にも関する。
【0126】
本発明は、下記の工程:
− Nefタンパク質もしくはNefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むそのフラグメント、または上記した新規なタンパク質もしくはポリペプチドを、スクリーニングするべき化合物と接触させ、
− 該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインもしくは該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むそのフラグメントの免疫抑制ドメインまたは上記新規なタンパク質もしくはポリペプチドの免疫抑制ドメインに結合する化合物を選び、
− 場合により、選ばれた化合物がNefタンパク質の免疫抑制活性を阻害することを調べる、
工程を含むNefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための方法にも関する。
【0127】
本発明の好ましい態様では、上記したスクリーニング法は、下記の工程:
− Nefタンパク質もしくはNefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むそのフラグメント、または上記した新規なタンパク質もしくはポリペプチドを、スクリーニングするべき化合物および免疫抑制ドメインのリガンド、例えば抗体、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドと接触させ、
− 該Nefタンパク質もしくはNefフラグメントまたは上記した新規なタンパク質もしくはポリペプチドへのリガンドの結合を阻止しそして該リガンドに結合しない化合物を選び、
− 場合により、選ばれた化合物がNefタンパク質の免疫抑制活性を阻害することを調べる、
工程を含む。
【0128】
本発明は、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントに結合する化合物を選びそして該選ばれた化合物が該Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害することを調べる、Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物のスクリーニング方法にも関する。
【0129】
本発明は、本発明の上記したスクリーニング方法に従って選ばれる化合物にも関する。
【0130】
実施例
実施例1
野生型NefおよびE93RNef突然変異体をコードする遺伝子のクローニング
高フィデリティPfx Platinum polymerase(Invitrogen)および下記のプライマー:
【表5】


によるPCRによりpCDNA3−NefからHIV−1株LAINefを回収した(Peden K., Emerman M. and Montaginier L.1991, Virology 185(2):661-672)(O.Schwartz, Institut Pasteur, France)。
【0131】
増幅産物をSfiIおよびBamHIで消化し、そして同じ酵素で開かれたpSecTag2Aベクター(Invitrogen)にライゲーションした。次いでベクターの輸出シグナル配列(export signal sequence)の前に置かれたNefを、下記のプライマー:
【表6】


により増幅させた。
【0132】
産物をAgeIおよびMluIで消化し、そして同じ酵素で消化されたレトロウイルスベクターpDFG−MoTMtag(Mangeney Heidmann(1998) Proc. Natl. Acad.U.S.A. 95:14920-5)にライゲーションしてHIV−Nefの輸出されたバージョン(exported version)(配列番号17)を発現するpDFG−expNef(配列番号16)を得た。
【0133】
次いで突然変異E93Rを3つの下記のフラグメントのライゲーションによりpDFG−expNefに導入して、E93RNefの輸出されたバージョン(配列番号19)を発現するpDFG−expNefE93R(配列番号18)を得た:
1)ベクターのAgeI−MluIフラグメント
2)プライマー:
【表7】


により得られそしてAflIIで消化されたPCR産物;
3)プライマー
【表8】


により得られそしてAflIIおよびMluIで消化されたPCR産物
【0134】
次いでNefおよび突然変異体E93Rを、下記のプライマー
【表9】


によりpDFG−expNefベクターから回収した。
【0135】
産物をSalIおよびMluIで消化しそして、XhoIおよびMluIで消化されたphCMV−envT(Blaise et al.(2003)Proc. Natl. Acad.Sci.100:13013-8)にライゲーションして、それぞれNef(配列番号1)を発現するphCMV−Nef(配列番号20)およびE93RNef(配列番号2)を発現するphCMV−NefE93R(配列番号21)を得た。
【0136】
同様に、輸出シグナル配列を有するNefおよびE93RNef突然変異体をコードする配列を、それぞれpDFG−expNefおよびpDFG−expNefE93Rから抽出しそしてphCMVに挿入してphCMV−expNef(配列番号14)およびphCMV−expNefE93R(配列番号15)を得た。
【0137】
実施例2
野生型NefおよびE93RNef突然変異体の免疫抑制指数の決定
NefおよびそのE93R突然変異体の免疫抑制指数を、Mangeney & Heidmann(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:14920-5およびMangeney et al.(2001)J. Gen. Virol. 82:2515-8に記載の一般的手順に従って測定した。
【0138】
簡単に言えば、MCA205細胞を、それぞれ、プラスミドpDFG−expNefおよびpDFG−expNefE93R、または場合によりプラスミドphCMV−expNefおよびphCMV−expNefE93Rにより安定にトランスフォーメーションした。次いで、野生型Nef、E93RNef突然変異体を発現するが外因性タンパク質を発現しない10個のMCA細胞を、Balb/cマウスに注射しそして腫瘍面積を1日おきに測定した。7〜8日後に、免疫抑制指数を決定した。
【0139】
タンパク質の免疫抑制指数を、(Aprotein−Anone)/Anone(式中、AproteinおよびAnoneは、それぞれ、関心のあるタンパク質(即ち、NefまたはE93RNef突然変異体)を発現しそして外因性タンパク質を発現しないMCA細胞で得られた最大腫瘍面積である)として計算した。
【0140】
結果を図1に示す。見られるとおり、Nefの免疫抑制指数は約0.6であり、これはNef発現腫瘍のサイズは普通の腫瘍より1.6倍大きいことを示し、従ってNefは抗腫瘍免疫応答を阻害する免疫抑制タンパク質であることを証明する。対照的に、E93RNef突然変異体の免疫抑制指数は負であり、従ってこの突然変異体は、免疫抑制活性を持たないことおよびこのNef突然変異体を発現する腫瘍は、免疫系により普通の腫瘍よりも容易に認識されそして排除されることを証明する。
【0141】
実施例3
NefおよびそのE93R突然変異体によるCD4発現のダウンレギュレーション
HeLa細胞を、1μgのCMV−CD4(Janvier et al. (2001) J.Virol.75:3971-6)および指示された量のphCMV−NefまたはphCMV−NefE93Rで共トランスフェクションした。次いでCD4発現を、PC5カップリングした抗ヒトCD4抗体(IM2636,Immunotech)を使用するFACSにより測定した。図2に示された結果は、野生型NefおよびE93RNef突然変異体は、同様な程度にCD4発現をダウンレギュレーションすることを示す。これは、E93RNef突然変異体の構造は、野生型Nefの構造に対して変わらないことを示唆する。
【0142】
実施例4
NefおよびそのE93R突然変異体によるMHC−I発現のダウンレギュレーション
293T細胞を、1μgのCMV−HLA A2(Le Gall et al.(2000) J.Virol.74:9256-66)および指示された量のphCMV−NefまたはphCMV−NefE93Rで共トランスフェクションした。MHC−I発現を、PEカップリングした抗ヒトMHC−I抗体 W6/32(eBioscience)によるFACSにより測定した。
【0143】
図3に示された結果は、野生型NefおよびE93RNef突然変異体は、同様な程度にMHC−I発現をダウンレギュレーションすることを示す。これは、E93RNef突然変異体の構造は、野生型Nefの構造に対して変わらないことも示唆する。
【0144】
実施例5
野生型Nefの免疫抑制ドメインの位置の決定
Nefの三次元構造に基づいて、Nefの免疫抑制ドメインの位置を決定するために、HIV−1株LAIのNefタンパク質の3つのフラグメントをデザインした。
1)残基番号1から残基番号89まで延びているフラグメント、
2)残基番号80から残基番号120まで延びているフラグメント、
3)残基番号113から残基番号206まで延びているフラグメント、
【0145】
フラグメント2は推定免疫抑制ドメインを含むが、フラグメント番号1および3は、このドメインを含まない。フラグメント2は、HIV−1Nefタンパク質の既知のコア構造(PBD entry 1EFN)に従って、Nefの推定免疫抑制ドメインを含有する全体の2つのα−ヘリカルドメインを含むように、Nefの推定免疫抑制ドメインから両方に延びている。
【0146】
テンプレートとしてpCDNA3ベクター(pedon K., Emerman M. and Montagnier L. 1991, Virology 185(2): 661-672)にクローニングされたNef遺伝子および下記のプライマー対:
● フラグメント1では:
【表10】


● フラグメント2では:
【表11】


● フラグメント3では:
【表12】


を使用するPCRにより、前記フラグメントをコードするDNAsを発生させた。
【0147】
PCR生成物をSfiIおよびMluIで消化しそして同じ酵素で開いたpDFG−expNefにクローニングして、フラグメントをヒトIgκ軽鎖の細胞外移行シグナルペプチドと遺伝子融合させた。従って、得られた構築物はHIV−1Nefの細胞外に局在したフラグメントを発現した。それらを、実施例2に記載のin vivo免疫抑制アッセイにおいて使用した。正の指数(+)は、考慮されたフラグメントがin vivo免疫抑制性を有するが、ゼロより少ないかまたはゼロに等しい(−)指数は、考慮されたフラグメントがこのような性質を欠いていることを示す。
【0148】
図5に説明されたとおり、HIV−1Nefの残基90から残基120まで延びているフラグメントはin vivoでの免疫抑制性を示す。従ってこのフラグメントは、Nefの免疫抑制ドメインを含む。フラグメント1および3は、この免疫抑制ドメインをアミノ酸90〜112にさらに減少させることができることを示す。
【0149】
実施例6
追加の野生型Nefタンパク質の免疫抑制指数の決定
Nefの免疫抑制指数を、HIV−1株A1Nef(配列番号28)およびHIV−2株ST Nef(配列番号29)について実施例2に記載のようにして決定した。
【0150】
予想されるとおり、結果は、これらのNefタンパク質も免疫抑制性である(図6A)ことを示す。
【0151】
実施例7
SIVNefおよびそのE125R突然変異体の免疫抑制指数の決定
実施例2に記載のとおりSIV株mac239野生型Nef(配列番号30)およびそのE125R突然変異体(配列番号31)について免疫抑制指数を決定した。SIVmac239NefにおけるE125R突然変異は、HIV−1 LAIの上記したE93R突然変異に相同的でありそして実施例1に記載の手順と同様な手順に従って導入された。
【0152】
結果は、SIV Nefタンパク質は、免疫抑制活性を有するが、E→R突然変異体は、このような活性を完全に欠いていることを示す(図6B)。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】野生型Nef(白色柱)およびそのE93R突然変異体(グレーの柱)の免疫抑制指数(鉛直軸)を表す。
【図2】示された量(水平軸、μg)の野生型Nef発現ベクター(黒丸、普通の線)またはE93RNef突然変異体発現ベクター(白丸、点線)でトランスフォーメーションされたHeLa細胞によるCD4発現のダウンレギュレーション(鉛直軸、任意の単位)を表す。
【図3】示された量(水平軸、μg)の野生型Nef発現ベクター(黒丸、普通の線)またはE93RNef突然変異体発現ベクター(白丸、点線)でトランスフォーメーションされた293T細胞によるMHC−I発現のダウンレギュレーション(鉛直軸、任意の単位、左がNef、右がE93RNef突然変異体)を表す。
【図4】独立したHIV−1、HIV−2およびSIV単離物からのNefアミノ酸配列のClustal W softwareにより発生させた配列アラインメントを示す。免疫抑制ドメインを含むNefタンパク質の配列の部分はボックスで囲まれている。配列番号1(NEF_HIVB1)のE93に対応するまたは相同性のアミノ酸は太字で示される。星印は、アミノ酸が保存されている位置を表し、単一点はアミノ酸が実質的に保存されている位置を表しそして二重点はアミノ酸が類似した物理化学的性質を有する位置を表す。
【図5】HIV−1株LAINefおよびそのフラグメントの3つ(1〜89、80〜120および113〜206)の免疫抑制指数を表す。HIV−1株LAIの部分配列は、いくつかのアミノ酸の位置およびフラグメントの位置で図の頂部に示されている。野生型Nefおよび各フラグメントの免疫抑制活性の存在(+)または不存在(−)は右に示される(免疫抑制指数)。
【図6A】図6AはHIV−1株A1Nef(左欄)およびHIV−2株STNef(右欄)の免疫抑制指数(鉛直軸)を表す。
【図6B】図6Bは、SIV株mac239Nef(左欄)および対応するE125R突然変異体(右欄)の免疫抑制指数(鉛直軸)を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nefタンパク質の免疫抑制性をモデュレーションするための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸の突然変異の使用。
【請求項2】
Nefタンパク質の免疫抑制特性を阻害するための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸の突然変異の、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ウイルス疾患の予防および/または処置を意図した医薬またはワクチンの製造のための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインにおいて突然変異したNefタンパク質、またはそのフラグメントであって、該Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインを含むフラグメントを得るための、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
Nefタンパク質の構造が実質的に保存されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
Nefタンパク質のエピトープ、特に立体配座エピトープが実質的に保存されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Nefタンパク質の免疫抑制特性を解消するための方法であって、
− 少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または挿入により該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインを突然変異させ、
− 該免疫抑制活性の解消を、in vivo免疫抑制性アッセイにより調べる、
ことを含む方法。
【請求項7】
Nefタンパク質の構造および/またはエピトープが実質的に保存されていることをさらなる工程で調べる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
薬学的に許容される担体と共に、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたはNefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドを、活性物質として含む医薬組成物またはワクチン組成物であって、
● 該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインは、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換および/または挿入により突然変異されており、但し該Nefタンパク質は実質的に免疫抑制活性を持たないものとし、そして
● 該フラグメントは、該Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインを含みそして実質的に免疫抑制活性を持たない、
医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項9】
Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列が、Nefタンパク質の第1αヘリックスのN末端から第2αヘリックスのC末端まで延びているアミノ酸配列に含まれる、請求項8に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項10】
Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列が、該Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列、特に:
● HIV−1Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸までの範囲の配列、又は
● HIV−2Nefタンパク質の配列の位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列、
に含まれる、請求項8または9に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項11】
Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列が、配列番号1の位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、特に配列番号1の位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸までの範囲のアミノ酸配列に相同的な配列に含まれる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項12】
Nefタンパク質の突然変異した免疫抑制ドメインの配列が、該Nefタンパク質の長さ26もしくは27アミノ酸の配列、該Nefタンパク質のN末端端部に含まれ、該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のN末端端部はペンタペプチドAXDXSでありそして該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のC末端端部はアミノ酸Lである(式中、Xは、任意のアミノ酸、特にI、V、L、FまたはRを表し、そしてXは任意のアミノ酸、特にM、LまたはFを表す)、請求項8〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項13】
下記の配列:
【表1】


(式中、
はI、L、V、FまたはRを表し、
はM、LまたはFを表し、
はH、DまたはFを表し、
はFまたはLを表し、
はIまたはLを表し、
はEとは異なる任意のアミノ酸を、特にRを表し、
はK、QまたはRを表し、
はGを表すかまたはアミノ酸を表さず、
はE、DまたはRを表す)
を含むNefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むかまたは該Nefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドを、活性物質として含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項14】
配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸が、Eとは異なるアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに特定的にはR、HまたはK、好ましくはRにより置き換えられている、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むかまたは該Nefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドを、活性物質として含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項15】
配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸が、Eとは異なるアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに特定的にはR、HまたはK、好ましくはRにより置き換えられている、Nefタンパク質を活性物質として含む、請求項8〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項16】
配列番号2に対応する突然変異したNefタンパク質を活性物質として含む、請求項8〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項17】
Nefタンパク質が該医薬組成物またはワクチン組成物に含まれているとき、Nefタンパク質の構造は実質的に保存されていることを特徴とする、請求項8〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項18】
Nefタンパク質が該医薬組成物またはワクチン組成物に含まれているとき、Nefタンパク質のエピトープ、特に立体配座エピトープが実質的に保存されていることを特徴とする、請求項8〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物又はワクチン組成物。
【請求項19】
請求項8〜18のいずれか1項に記載の如きタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸を活性物質として含む医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項20】
HIV感染などのウイルス疾患の予防および/または処置を意図した医薬またはワクチンの製造のための、請求項8〜18のいずれかに記載のタンパク質もしくはポリペプチドまたは請求項19に記載の核酸の使用。
【請求項21】
− 請求項8〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドに対して指向させたポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体またはそのフラグメント、例えばFabまたはF(ab)’フラグメント、
− 請求項8〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドに対して指向させたscFvポリペプチド、
− 請求項8〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドに対して指向させたアプタマー、
− 請求項8〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドに対して指向させた結合ペプチド、
の製造のための、請求項8〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドの使用。
【請求項22】
請求項8〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドに対して指向させた抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドであって、但し該抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチドまたはアプタマーは、請求項8〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドとは異なるタンパク質またはポリペプチドに結合しないものとする、抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチド。
【請求項23】
Nefタンパク質の突然変異体を製造するための方法であって、
− 第1工程で、該Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列を少なくとも1つのアミノ酸の欠失、挿入または置換により突然変異させ、
− 第2工程において、第1工程で得られた突然変異したNefタンパク質の免疫抑制特性を調べそして免疫抑制特性を欠いている突然変異体を選ぶ、
Nefタンパク質の突然変異体を製造するための方法。
【請求項24】
第3工程において、第2工程で得られた突然変異したNefタンパク質のCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能を調べ、そして前記Nefタンパク質に対して実質的に保存されたCD4および/またはMHC−Iダウンレギュレーション機能を有する突然変異したNefタンパク質を選ぶ、請求項23に記載のNefタンパク質の突然変異体を製造するための方法。
【請求項25】
突然変異した配列が:
− HIV−1タンパク質の配列の、位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、さらに詳しくは位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸まで、または
− HIV−2Nefタンパク質の配列の位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで、
の範囲にある、請求項23または24に記載のNefタンパク質の突然変異体を製造するための方法。
【請求項26】
請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法により製造されやすいNefタンパク質の突然変異体。
【請求項27】
薬学的に許容される担体と共に、請求項26に記載のNefタンパク質の突然変異体を含む医薬組成物。
【請求項28】
Nefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むまたはNefタンパク質の免疫抑制ドメインにより構成されるタンパク質またはポリペプチドであって、但し該タンパク質またはポリペプチドにおける免疫抑制ドメインのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列が、もし存在するならば、それが由来するNefタンパク質の免疫抑制ドメインのそれぞれN末端端部および/またはC末端端部に隣接した配列とは異なるものとする、タンパク質またはポリペプチド。
【請求項29】
Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列が、Nefタンパク質の第1αヘリックスのN末端から第2αヘリックスのC末端まで延びているアミノ酸配列に含まれる、請求項28に記載のタンパク質またはポリペプチド。
【請求項30】
Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列が、該Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列、特に:
● HIV−1Nefタンパク質の配列の位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで範囲の配列、
● HIV−2Nefタンパク質の配列の位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列、
に含まれる、請求項28または29に記載のタンパク質またはポリペプチド。
【請求項31】
Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列が、配列番号1の位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、さらに詳しくは配列番号1の位置90のアミノ酸から位置112のアミノ酸までの範囲のアミノ酸配列に相同的な配列に含まれる、請求項28〜30のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチド。
【請求項32】
Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列が、Nefタンパク質の長さ26もしくは27アミノ酸の配列、該Nefタンパク質のN末端端部、に含まれ、該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のN末端端部はペンタペプチドAXDXSでありそして該長さ26もしくは27アミノ酸の配列のC末端端部はアミノ酸Lである(式中、Xは、任意のアミノ酸、特にI、V、L、FまたはRを表し、そしてXは任意のアミノ酸、特にM、LまたはFを表す)、請求項28〜31のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチド。
【請求項33】
免疫抑制ドメインが、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換および/または挿入により突然変異させられており、そして特に配列番号1の位置93のアミノ酸に相同的なアミノ酸が、Eとは異なる任意のアミノ酸、特にW、F、M、Y、R、HまたはK、さらに特定的にはR、HまたはK、好ましくはRにより置き換えられている、請求項28〜32のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチド。
【請求項34】
核酸が請求項28〜33のいずれか1項に記載のタンパク質又はポリペプチドをコードすることを特徴とする核酸。
【請求項35】
Nefタンパク質の位置80のアミノ酸から位置150のアミノ酸までの範囲の配列に対して、特に:
● HIV−1Nefタンパク質の配列の、位置80のアミノ酸から位置120のアミノ酸まで、さらに詳しくは位置90のアミノ酸から位置120のアミノ酸までの範囲の配列に対して、
● HIV−2Nefタンパク質の配列の、位置104のアミノ酸から位置150のアミノ酸まで範囲の配列に対して、
指向させた抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチド。
【請求項36】
請求項28〜33のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドに対して指向させた抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドであって、但し該抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドは、免疫抑制ドメインが請求項28〜33のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドの免疫抑制ドメインに相当するNefタンパク質に結合しないものとする、抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチド。
【請求項37】
薬学的に許容される担体と共に、活性物質として、請求項28〜33のいずれか1項に記載のタンパク質もしくはポリペプチド、または請求項34に記載の核酸を含む、医薬組成物またはワクチン組成物。
【請求項38】
免疫系の阻害を必要とする病理、例えばアレルギー、自己免疫疾患または移植片拒絶の予防または処置を意図する医薬の製造のための、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたはNefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質もしくはポリペプチドであって、免疫抑制活性を示すタンパク質もしくはポリペプチドの使用。
【請求項39】
免疫系の阻害を必要とする病理、例えばアレルギー、自己免疫疾患または移植片拒絶の予防または処置を意図する医薬の製造のための、免疫抑制活性を示す請求項28〜32のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドの、請求項36に記載の使用。
【請求項40】
Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための、Nefタンパク質もしくはそのフラグメントを含むまたはNefタンパク質もしくはそのフラグメントから構成されるタンパク質またはポリペプチドの使用。
【請求項41】
Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための、請求項28〜33のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドの、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
Nefタンパク質の免疫抑制ドメインの配列が、突然変異していない配列に相当する、請求項28〜32のいずれか1項に記載のタンパク質またはポリペプチドの、請求項40または41に記載の使用。
【請求項43】
Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための、Nefタンパク質の免疫抑制ドメインのリガンド、例えば抗体もしくはそのフラグメント、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドの使用。
【請求項44】
下記の工程:
− Nefタンパク質、もしくはNefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むそのフラグメント、または請求項28〜32のいずれか1項に記載のタンパク質もしくはポリペプチドを、スクリーニングするべき化合物と接触させ、
− 該Nefタンパク質の免疫抑制ドメイン、もしくは該Nefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むそのフラグメントの免疫抑制ドメイン、または請求項28〜32のいずれか1項に記載のタンパク質もしくはポリペプチドの免疫抑制ドメイン、に結合する化合物を選び、
− 場合により、選ばれた化合物がNefタンパク質の免疫抑制活性を阻害することを調べる、
工程を含む、Nefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための方法。
【請求項45】
下記の工程:
− Nefタンパク質、もしくはNefタンパク質の免疫抑制ドメインを含むそのフラグメント、または請求項28〜32のいずれかに1項記載のタンパク質もしくはポリペプチドを、スクリーニングするべき化合物および免疫抑制ドメインのリガンド、例えば抗体、scFvポリペプチド、アプタマーまたは結合ペプチドと接触させ、
− 該Nefタンパク質もしくは該Nefフラグメントまたは請求項28〜32のいずれか1項に記載のタンパク質もしくはポリペプチドへのリガンドの結合を阻止しそして該リガンドに結合しない化合物を選び、
− 場合により、選ばれた化合物がNefタンパク質の免疫抑制活性を阻害することを調べる、
工程を含む、請求項44に記載のNefタンパク質の免疫抑制活性を阻害しやすい化合物をスクリーニングするための方法。
【請求項46】
配列番号2または配列番号31により表されるタンパク質。
【請求項47】
配列番号2または配列番号31により表されるタンパク質をコードする核酸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4(1−3)】
image rotate

【図4(2−3)】
image rotate

【図4(3−3)】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate


【公表番号】特表2008−509691(P2008−509691A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526383(P2007−526383)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008907
【国際公開番号】WO2006/018289
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(599029545)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT GUSTAVE ROUSSY
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(506333358)ユニヴェルシテ・パリ・シュド・オーンズ (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS SUD XI
【Fターム(参考)】