説明

免疫促進方法

【課題】炎症状態に苦しみ、全身又は局所投与ステロイド治療を止めさせることが不可能であり、そしてステロイド抗炎症治療中である患者の免疫を促進する方法の提供。
【解決手段】ステロイド依存性患者において、ステロイドの効果を増強するための薬剤を製造するための、下記配列:5'−Xm−CG−Yn−3'(ここで、XはA、T、C又はG、YはA、T、C又はG、m=1〜100、n=1〜100であり、少なくとも1つのCGジヌクレオチドはメチル化されていない)を有するオリゴヌクレオチドの使用により、前記患者におけるステロイドの効果を増強する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫促進方法に関する。更に詳しくは、本発明は、少なくとも1つのメチル化されていないCGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドを、炎症状態に苦しんでいるステロイド難治性又は依存性患者に投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、多くの因子や細胞型に関与する複雑な疾患である。疾患の観点から、長年の研究は、我々に、喘息、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、及びクローン病その他のような炎症性疾患は、独特な炎症性サイトカインの特性を有していることを教えている。これらの特性は、応答するリンパ球の性質の結果である。言い換えれば、炎症は、単に炎症として考えられるものではなく、むしろ、Tヘルパー細胞のある種の亜母集団の増殖及び分化を増強する、別の分泌されたサイトカインに関連する異なった炎症性疾患と考えられる。
【0003】
免疫応答の性質及び規模は、免疫系が曝された外来抗原の特性によって大部分指図される。この事象は、液性免疫及び細胞性免疫の発生を究極的に導く一連の事象を動かし始める。これらの二つのエフェクター機能は、ヘルパーT細胞の2つの亜母集団の存在によってもたらされる(図1を参照)。更に指示されたように、異なった炎症性疾患は、認められるサイトカイン特性に応じてTh1かTh2のいずれかに分けることができる。
【0004】
「正常な」健康状態下では、Th1に特有である前炎症性サイトカインとTh2に特有である抗炎症性サイトカインの間のデリケートなバランスがある。もしこのバランスが失われると、主にTh1又はTh2型の炎症をもたらす分極がおこり、疾患の臨床的徴候が始まる。
【0005】
Th1のサイトカイン特性が減少することによる、例えば、Th1型疾患における「不均衡」を元に戻し、それによりTh2特性をもっと起こさせる、いくつかの新しい治療形態が、今や試みられている(Neurath等, 1995; Mannon et al, 2004)。最近5年位にわたって、多くの研究者が免疫療法への応用において免疫促進剤として、オリゴヌクレオチドの使用の有効性をインビトロ及びインビボの両者で実証している。リン酸ジエステル及び修飾ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドでも免疫を促進することができるという観察は、治療ツールとしてこの効果を発展させる関心の高まりを作り出した。
【0006】
細菌のDNAは、B細胞及びナチュラルキラー細胞を活性化することができる免疫促進効果を有するが、脊椎動物のDNAは有していない(総説:Krieg, 1998, Applied Oligonucleotide Technology, C.A. Stein and A.M. Krieg, (Eds.), John Wiley and Sons, Inc., New York, NY, pp.431-448)。細菌DNAのこれらの免疫促進効果は、メチル化されていないCpGジヌクレオチドの存在の結果であること、特に、細菌DNAには普通であるが、脊椎動物DNAにおいてはメチル化されているか、不十分にしか表示されていない塩基状況(CpGモチーフ)の存在の結果であることが判明している(Krieg et al, 1995)。細菌DNAの免疫促進効果は、これらCpGモチーフを含有したオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)で模倣することができる。そのようなCpG−ODNは、B細胞を含むヒト及びネズミ白血球に対する高度な促進効果;サイトカイン及び免疫グロブリン分泌;ナチュラルキラー(NK)細胞溶解活性及びIFN−γ分泌;及び樹枝状細胞(DC)及び他の抗原提示細胞の活性化で副刺激分子を発現し、サイトカイン、特に、Th1様T細胞応答の進展を促進するのに重要であるTh1様サイトカインを分泌する作用を有する。天然のリン酸ジエステル骨格CpG−ODNのこれらの免疫促進効果は、CpGモチーフがメチル化されるとこれらの効果は劇的に減少し、GpCに変化するか、除去されるか又は変化するという、高度にCpG特異的である(Krieg等, 1995 and Hartmann 等, 1999)。
【0007】
初期の研究では、免疫促進CpGモチーフは、式、プリン−プリン−CpG−ピリミジン−ピリミジンに従うと考えられていた(Krieg et al, 1995; Pisetsky, 1996 and Hacker等, 1998)。
【0008】
現在、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドが、ある種のサイトカインを誘導する、例えば、インターフェロン−γ(IFN−γ)(Iho等, 1999: Cowdery等, 1996)、IL−1、IL−6、TNF−α及びIL−12(Stacey等, 1996; Jakob等, 1998 and Sparwasser等, 1998)の分泌を増強することによって、ヒト及びマウス細胞がCpGモチーフオリゴヌクレオチドに応答することを示す、かなりの量の公表されたデータがある。
【0009】
誘導されたサイトカインの性質によって、CpG含有オリゴヌクレオチドは、大部分インビトロ及びインビボの両方でTh1特性を誘導すると考えられている(Zimmermann等, 1998; Kline, 2000)。
【0010】
CpGモチーフの存在に加えて、研究者は、又、完全ヌクレアーゼ耐性ホスホロチオアート(PS)骨格を有する合成オリゴヌクレオチドは、これらのオリゴヌクレオチドがB細胞を促進するという点でより強力であるが天然のリン酸ジエステル骨格を有する同じ配列は効果がないという点で、オリゴヌクレオチドの促進効果を増強することができることに気付いている(Zhao等, 1996)。
【0011】
オリゴヌクレオチドの配列内のCpGモチーフの存在は、強力なTh1サイトカイン応答を誘導することができるが、この応答は、化合物の化学修飾の状態及び一般的な配列構造の全体像を考慮すべきである。
【0012】
既に炎症の背景技術の紹介で指摘したように、種々の型の炎症性疾患で優勢となる特異的サイトカイン特性がある。例えば、喘息患者において、IL−4が高値で、IFN−γが低値である。このサイトカイン像は、喘息がTh2型の疾患であることを示唆しているであろう。対照的に関節リウマチは、高値のIFN−γと低値のIL−4が見られることを特徴とするTh1型の疾患に、より関連している。
【0013】
コルチコステロイド耐性の現象は、リウマチ患者で最も広範に研究されており、そして長年の証拠が蓄積されている潰瘍性大腸炎では余り研究されていないが、多くのサイトカイン異常が指摘されている。両疾患は、Th2型に分類されており、インターフェロン及びIL−10が、コルチコステロイド耐性の発症機序に重要な因子であるとされている。
【0014】
インターフェロン及びIL−10のようなサイトカインの内因性産生を誘導することができる免疫増強性オリゴヌクレオチドは、ステロイド抵抗性又はステロイド依存性患者の炎症状態に、有利な態様で影響することができる可能性がある。
【0015】
ある種のサイトカインが、ステロイド応答性に影響することができるという証拠は、全てコルチコステロイド療法をうけている、コルチコステロイド耐性喘息及び潰瘍性大腸炎患者において行われた臨床治験から集められている。事実、この型の患者の亜集団特性は、以下に記載する臨床治験間の唯一共通の特徴であった。
【0016】
インターフェロン(IFN)は、多種の先天性免疫応答及び適応的免疫応答の制御に重要な役割を演じている。I型インターフェロン(IFN−α/β)は、ウイルスのような病原に対して宿主防御の中心であるのに対して、II型インターフェロン(IFN−γ)は、免疫応答のT細胞仲介制御に主として寄与している(Taniguchi and Takaoka, 2001)。インターフェロンは、又、良性腫瘍性疾患(Gill等, 1995)及びウイルス性疾患(Niederau等, 1996; Zeuzem等, 2000)のような種々のヒトの疾患の成功裡の治療にその地位が見出されている。
【0017】
或る治験(Simon等, 2003)において、10名のコルチコステロイド耐性喘息患者に、全員へのプレドニゾン投与に加えてIFN−α(3×106IU/日)(RoferonA(登録商標)、Roche)を投与した。この治験は、これらの患者において高い有効性を示し、サイトカイン療法後1〜2週間に改善の臨床的徴候が起こり、コルチコステロイドの投与を減らすことが可能となった。著者らは更に、IFN−α治療は、IFN−γを産生する末梢血T細胞の能力が増加し、Th2型応答(喘息及びアレルギー性疾患に典型的)からTh1型応答にシフトしたことを示唆していることを指摘している。
【0018】
その上更に、著者らは、サイトカイン療法を受けたこれら患者においてIL−10を分泌する血液T細胞が増加したことを示した。コルチコステロイドは、部分的にIL−10のレベルを増加することによって、それらの抗炎症効果を仲介するので、著者らは、外因性のIFN−αの投与がこれらの患者におけるコルチコステロイド耐性を破ったと結論している。
【0019】
Muschら(2002)は、コルチコステロイド難治性潰瘍性大腸炎患者において、IFN−βを静脈投与した場合、高い応答率を実証した。25名の重症潰瘍性大腸炎患者で行った予備的研究で、難治性薬物療法が基礎的な薬物療法になったことを証明した。全ての患者は、サイトカイン治療時に、コルチコステロイド治療を受けていた。治療に続いて、25名中22名(88%)が、治療開始後1週間に臨床活性指数(CAI)の強い減少に気付くとともに、3週間以内に小康状態に入った。応答の平均長さは13ヵ月であった。
【0020】
別の試験において、Sumer等(1995)は、コルチコステロイド耐性潰瘍性大腸炎患者における皮下投与IFN−αサイトカイン治療に対して82%の改善率を報告した。彼らは、更に、23名の患者がサイトカイン療法に迅速改善(15日以内)で応答し、治療6ヵ月後に完全な臨床的及び内視鏡的寛解であったことに言及した。3名の患者は、長い療法後に寛解に入ったが、しかし、26名の患者全てが、追加的療法を受けることなく2年を越えて観察され、この期間完全な臨床的及び内視鏡的寛解を維持した。
【0021】
コルチコステロイド耐性の発症機序において関心を集めた別のサイトカインは、IL−10である。このサイトカインは、炎症性サイトカインの産生を抑制することができるという点で強力な抗炎症効果を有していると信じられている。それは、又、ある種の炎症性疾患、最も顕著にはアレルギー及び喘息(Hawrylowicz等, 2005)の発症に広範な関わり
合い有しており、そして免疫応答の制御に中心的役割を演じている。コルチコステロイドは、部分的にIL−10産生を増強することによって、それらの抗炎症効果を発揮していると信じられている(Richards等, 2005)。
【0022】
多くの臨床研究が、より強い炎症に潜在的に寄与しているであろう喘息患者において、IL−10の充分なレベルが一般的に欠損していることを示唆している。中等度のアトピー性喘息の小児で行われた無作為二重盲検臨床治験において、Stelmach等(2002)は、コルチコステロイドの1種であるトリアムシノロン、及び抗ロイコトリエンであるモンテルカストを用いた治療は、血清中のIL−10のレベルを有意に増加させ、更に加えて、臨床症状を有意に改善したことを明らかにした。
【0023】
別の臨床試験において、IL−10及びIL−10産生細胞のレベルが、中等度の喘息と比較下場合、重症持続性喘息の患者において有意に減少していることが示された(Tomitai等, 2002)。これらの観察は、喘息患者においてIL−10を産生することができる細胞の生産が欠損しているという以前の発見(Tormey等, 1998)に一致した。
【0024】
この欠損は、又、コルチコステロイド耐性喘息患者においても存在することが示された。正常な状態下で、コルチコステロイドは、コルチコステロイド感受性患者ではIL−10の産生が増加する原因となるであろう。しかしながら、Hawrylowicz等(2002)は、コルチコステロイド耐性喘息患者においては、コルチコステロイドはIL−10合成を誘導することができなかったことを確認することができた。これらの観察は、IL−10合成の誘導とコルチコステロイドの有効性の間に強い関係があることを示している。
【0025】
最近発行された研究(Xystrakis等、2006)において、著者らは、コルチコステロイド
耐性喘息患者からPBMCを単離し、ビタミンD3とデキサメタゾンをこれらの培養に加えると、デキサメタゾン単独で培養したコルチコステロイド感受性患者からの細胞において観察されるレベルまでIL−10合成が増強されることを明らかにした。更に、そして多分最も顕著に、IL−10での前処理は、デキサメタゾンに応答してこれら細胞において、IL−10合成を完全に回復させた。
【0026】
消化管(GI)障害を治療するためにヒトの細菌叢を使用することは新規な概念ではなく、40年間以上にわたって周期的に実施されている(Eiseman等、1958)。顕著な臨床
的改善が、炎症性大腸炎(IBD)を含む多くのGI障害において観察されている(Bennet and Brinkman 1989)。Borody等は、2003年に、ヒトの細菌療法を重症コルチコステロイド耐性潰瘍性大腸炎(UC)の治療に使用することができると報告した。
【0027】
小試験において、全ての患者が最大忍容性標準コルチコステロイド療法に以前に失敗している6名の慢性UC患者に、彼らが現在行っているコルチコステロイド療法と同時に、単回注便療法を行った。直腸注入に続いてUCの完全な逆転が、6名の患者において達成された。著者らは、又、全ての患者が、6週間以内に抗炎症療法を停止し、1例においては、13年まで寛解を維持したことを述べている。抵抗性潰瘍性大腸炎患者における細菌療法の明らかな成功は、「健康な」細菌叢の大腸での再増殖によるのであろうが、しかし著者らが同様に示唆しているように、疾患の完全な逆転をもたらす有益な免疫調節効果を誘導する、CpGモチーフを豊富に含有する大量の細菌DNAの注入によるのであろう。
【0028】
喘息患者における試験で、ステロイド耐性患者及びステロイド感受性患者の両者において、ステロイド(プレドニゾン)への応答性を比較した。患者には、最初、ステロイドの投与前1週間の「ウオッシュアウト」期間を与えた。投与前及び1週間後のサイトカイン特性は、ステロイドに応答した患者については、Th2型からよりTh1様の状態へと移動した。対照的に、投与したステロイドへの応答ができなかった患者については、Th2型のまま残っていた(Nasser等、1997)。
【0029】
喘息患者におけるステロイド耐性の理由は完全には明らかではないが、ヒトでの多くの試験は、ステロイド耐性の患者が、ステロイドの作用によって抑制されないIL−2/4の高い持続するレベルを有することを示している。その上更に、インビトロ試験は、IL−2/4を培地に置くと、細胞はステロイドの作用に耐性を持つようになることを示す(Sousa AR等、2000;Hamid QA等、1999)。
【0030】
関節リウマチにおいて、ステロイド耐性患者は、ステロイドで攻撃しても減少することができない高いレベルのIL−4をはっきり示すという、類似のシナリオが示唆されている(Chikanza等、2004)。興味深いことは、INF−γは、転写のレベルで、IL−4応答をダウンレギュレートすることができるという発見である(Eui-Young等、2000;Smelt
z等、2002)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
ステロイド耐性又は依存性は、重篤な副作用を誘発することができる強力な免疫調節剤の使用を頼りにする現在の療法として、炎症性疾患に苦しめられている多くの患者にとって、未だに主要な関心事である。望ましからぬ副作用のリスクが殆どないステロイド非応答性の個体で、ステロイドの有効性を増強する単純で直接的な方法は、抗炎症治療を本質的に改善することであり、それ故、問題の疾患を改善して、多くの患者に対して生活の質及び長さを増すことである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、抗炎症治療に非応答性の又は不十分な若しくは不適切な応答性の炎症状態に苦しんでいる、或いは抗炎症治療の投与レベルを下げることから離れることが不可能な、ステロイド難治性又はステロイド依存性の患者におけるステロイドの効果を増強する方法の驚くべき発見に関する。配列、5’−Xm−CG−Yn−3’(ここで、XはA、T、C又はG、YはA、T、C又はG、m=1〜100、n=1〜100であり、そして、少なくとも1つのCGジヌクレオチドはメチル化されていない)を有するオリゴヌクレオチドの有効量が、前記患者に対して投与される。
【0033】
本発明は、又、抗炎症治療に非応答性の又は不十分な若しくは不適切な応答性の炎症状態に苦しむステロイド難治性の患者における、ステロイドの効果を増強するための薬剤の製造用の、上記のオリゴヌクレオチドの使用に関する。
添付の特許請求の範囲は、本明細書にその全文が取り込まれている。
【発明の効果】
【0034】
本発明の免疫調節オリゴヌクレオチドは、配列番号1によって例示され、大腸の炎症状態(即ち、潰瘍性大腸炎及びクローン病)に罹患した患者であって、等しくステロイド非応答性であり、ステロイド療法を併用していた患者に投与した場合、そのような患者の急速かつ顕著な改善があった。この驚くべき観察は、未だ知られていない作用機序を通して、ステロイド耐性の状況で本発明の免疫調節オリゴヌクレオチドが、ステロイド耐性でない患者においては現れない疾患の改善を誘導したことを明らかに示した。
【0035】
図面の説明
図1は、ELISpotによって分析した5名(n=5)の異なる健常ドナーからのPBMCにおける、DIMS0150促進48時間に対応するIL−10産生細胞の数を示すグラフである。PBMCは、IL−10陽性スポットの検出前に、培地(基礎培地)中で、又は濃度を増加したCpG含有DIMS0150若しくはそのGpC対照IDX0526(0.1、1、5、10、25、100、150又は200μM)と、又はCpG−ODNのIDX0910(0.1又は10μM)及びIDX0900(3μM)と、48時間インキュベートした。柱状グラフの各柱は、5名の異なる血液ドナーからの平均した結果を表す。試料は、各実験/血液ドナーについて3回実施及び分析した。IDX0900は、3人の個人(n=3)について試験したものであることに注意すること。
【0036】
図2は、ELISpotによって分析した5名(n=5)の異なる健常ドナーからのPBMCの、DIMS0150促進72時間に対応するIFN−γ産生細胞の数を示すグラフである。PBMCは、IFN−γ陽性スポットの検出前に、培地(基礎培地)中で、又は濃度を増加したCpG含有DIMS0150若しくはそのGpC対照IDX0526(0.1、1、5、10、25、100、150又は200μM)と、又はCpG−ODNのIDX0910(0.1μM)及びIDX0900(3μM)と、72時間インキュベートした。柱状グラフの各柱は、5名の異なる血液ドナーからの平均した結果を表す。試料は、各実験/血液ドナーについて3回実施及び分析した。IDX0900は、3人の個人(n=3)について試験したものであることに注意すること。
【0037】
図3は、ELISpotによってアッセイした10名(n=10)の異なる健常ドナーからのPBMCの、DIMS0150促進48時間に対応するIFN−α産生細胞の数を示すグラフである。PBMCは、IFN−α陽性スポットの検出前に、培地(基礎培地)中で、又は濃度を増加したCpG含有DIMS0150若しくはそのGpC対照IDX0526(n=9)(0.1、1、5、10、25、100、150又は200μM)と、又はCpG−ODNのIDX0910(0.1μM又は10μM)と、48時間インキュベートした。柱状グラフの各柱は、10名の異なる血液ドナーからの平均した結果を表す。試料は、各実験/血液ドナーについて3回実施及び分析した。IDX0910の0.1μMのものは8人のドナーについて、そして同10μMのものは4名の個人について、試験したものであることに注意すること。
【0038】
図4Aは、ELISAによって定量した、DIMS0150で48時間促進に対応したIL−10産生を示すグラフである。PBMCは、濃度を増加したDIMS0150又はそのGpC対照IDX0526(0.1、1、5、10、25、50、100、150又
は200μM)と、インキュベートした。対照として、細胞は、培地(基礎培地)中に置かれたもの、又はCpG−ODNのIDX0910(0.1μM)及びIDX0900(
3μM)で処理したものであった。このグラフは、各2回実施し分析した2人のドナーのうちの1人からのPBMCの実験の結果を示す。
【0039】
図4Bは、ELISAによって定量した、DIMS0150で48時間促進に対応したIFN−γ産生を示すグラフである。PBMCは、濃度を増加したDIMS0150又はそのGpC対照IDX0526(0.1、1、5、10、25、50、100、150、
200又は300μM)と、インキュベートした。対照として、細胞は、培地(基礎培地)中に置かれたもの、又はCpG−ODNのIDX0910(0.1μM及び1μM)、又はIDX0900(3μM)で処理したものであった。この実験は、1名の血液ドナーからの細胞で実施し、各試料は各2回実施し分析した。
【0040】
図4Cは、ELISAによって定量した、DIMS0150で48時間促進に対応したIFN−α産生を示すグラフである。PBMCは、異なる濃度のDIMS0150又はそのGpC対照IDX0526(0.1、1、5、10、25、50、100、150、200又は300μM)と、インキュベートした。対照として、細胞は、培地(基礎培地)中に置かれたもの、又はCpG−ODNのIDX0910(0.1μM及び1μM)及びIDX0900(3μM)で処理したものであった。このグラフは、各2回実施し分析した2人のドナーのうちの1人からのPBMCの実験の結果を示す。
【0041】
図5は、ELISAにより定量した、種々のCpG−ODNで促進したヒトPBMC及びそれらの逆対照での、IL−10産生の比較を示すグラフである。PBMCは、上清を採取し続いて分析する前に、CpG非含有ODNのIDX0304と共に、DIMS0150、IDX0250、IDX0920及びIDX0910のODN、並びにそれらのそれぞれの陰性対照GpC−ODNと、濃度を増加させて(三角形で示したように左から右へ:0.1、1、10又は100μM)、48時間処理した。培地に処理せずに残った細胞は、PBMC中基準値のIL−10を表した。48時間後、上清を集め、続いて次の分析を行った。この実験は、1名の血液ドナーからの細胞で実施し、全ての試料は各2回実施し分析した。
【0042】
図6は、ELISAにより定量した、種々のCpG−ODNで促進したヒトPBMCのIFN−γ産生の比較を示すグラフである。PBMCは、上清を採取し続いて分析する前に、CpG非含有ODNのIDX0304と共にDIMS0150、IDX0250、IDX0920及びIDX0910のODN、並びにそれらのそれぞれの陰性対照GpC−ODNと、濃度を増加させて(三角形で示したように左から右へ:0.1、1、10又は
100μM)、48時間処理した。培地に処理せずに残った細胞は、PBMC中基準値のIFN−γを表した。48時間後、上清を集め、続いて次の分析を行った。この実験は、1名の血液ドナーからの細胞で実施し、全ての試料は各2回実施し分析した。
【0043】
図7は、ELISAにより定量した、CpG促進48時間に対応したマウス脾細胞からのIFN−γ産生を示すグラフである。マウス脾細胞は、上清を採取し続いて分析する前に、DIMS0150、IDX0250、IDX0920、IDX0910のODN及びそれらのそれぞれの陰性対照GpC−ODNと、CpG非含有ODNの対照IDX0304と比較しながら、濃度を増加させて(三角形で示したように左から右へ:0.1、1、10又は100μM)、48時間処理した。培地中に処理せずに残った細胞は、脾細胞中の基準値のIFN−γを表す。上清を、促進48時間後に集め、引き続いて次の分析を行った。この実験は、1頭のマウス脾臓からの細胞で実施し、全ての試料は各2回実施し分析したものであることに注意すること。
【0044】
図8は、ELISAにより定量した、CpG促進48時間に対応したマウス脾細胞からのIL−10産生を示すグラフである。マウス脾細胞は、上清を採取し続いて分析する前に、CpG非含有ODNのIDX0304と共に、DIMS0150、IDX0250、IDX0920及びIDX0910のODN、並びにそれらのそれぞれの陰性対照GpC−ODNと、濃度を増加させて(三角形で示したように左から右へ:0.1、1、10又は100μM)、48時間処理した。培地中に処理せずに残った細胞は、脾細胞中の基準値のIL−10を表した。上清を、48時間後に集め、引き続いて次の分析を行った。この実験は、1頭のマウス脾臓からの細胞で実施し、全ての試料は各2回実施し分析したものである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書で使用されるように、用語「ステロイド耐性」及び「ステロイド難治性」は、典型的にはそのような疾患を有する患者に有効である、ステロイド治療での投与が炎症性疾患の患者に効果がないことをいう。これに関連して、「ステロイド耐性」及び「ステロイド難治性」患者は、以下に限定はされないが、全身又は局所に投与されたステロイドに対して、普通の適切な生理学的パラメーターによって判定されるように、非応答性の又は不十分な若しくは不適切な応答性の患者を含む。2つの型のステロイド耐性、即ち、後天性ステロイド耐性(I型)及び原発性ステロイド耐性(II型)、の患者が記載されており、両者とも本発明に含まれる。
【0046】
本明細書で使用されるように、用語「ステロイド依存性」は、全身又は局所投与ステロイド治療を止めさせることが不可能である患者をいう。
【0047】
ポリヌクレオチドの免疫促進活性を記載する文献としては、以下に限定はされないが、Krug 等 (2001); Bauer 等 (2001); Klinman 等 (1999); Jahn-Schmid 等 (1999) and Tighe 等 (2000) が挙げられる。
【0048】
免疫促進配列を記載する更なる文献としては、Tokunaga 等 (1992); Yamamoto 等 (1992) and EP 468,520; WO 96/02555; WO 97/28259; WO 98/16247; US Pat. Nos. 6,339,068, 6,406,705, 6,426,334及び6,426,336が挙げられる。
【0049】
本明細書に引用されている全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照することにより
それらの全文が本明細書に取り入れられている。
【0050】
本発明の目的のために、用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の連結した個々のヌクレオチド単位から形成されたポリヌクレオシドをいう。そのようなオリゴヌクレオチドは、ゲノム又はcDNAを含む、現存する核酸源から得ることができるが、好ましくは合成法によって生産される。ヌクレオシド残基は、多くの公知のヌクレオシド間結合のいずれかによって互いに連結することができる。そのようなヌクレオシド間結合は、限定されることなく、天然のヌクレオシド間リン酸ジエステル結合を含み、或いは実際、これらに限定はされないが、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホロアミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、及びスルホンヌクレオシド間結合のような、修飾ヌクレオシド間結合を含む。用語「オリゴヌクレオチド」は、又、1つ又はそれ以上の立体特異的ヌクレオシド間結合(例えば、(Rp)−又は(Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、又はホスホトリエステル結合)を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書で使用されるものとして、用語「オリゴヌクレオチド」及び「ジヌクレオチド」は、結合がリン酸基を含んでいるか否かにかかわらず、いずれのヌクレオシド間結合でも有しているポリヌクレオシド及びジヌクレオシドを含むことを明白に意図している。ある種の好ましい実施態様において、これらのヌクレオシド間結合は、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、又はホスホロジチオエート結合、或いはこれらの組み合わせであってもよい。
【0051】
用語「オリゴヌクレオチド」は、又、限定することなく、タンパク質基、親油基、挿入剤、ジアミン、葉酸、コレステロール及びアダマンタンを含む付加的置換基を有するポリヌクレオシドを包含する。用語「オリゴヌクレオチド」は、又、限定することなく、ペプチド核酸(PNA)、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、架橋型核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチド、及びアルキルリンカー又はアミノリンカーを有する骨格部分を有するオリゴヌクレオチドを含むポリマーを含有する核酸塩基のいずれをも包含する。
【0052】
本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、又はこれらの混合物を包含することもできる。本明細書で使用されるように、用語「修飾ヌクレオシド」は、修飾複素環塩基、修飾糖部分、又はこれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。いくつかの実施態様において、修飾ヌクレオシドは、本明細書に記載するように、非天然ピリミジン又はプリンヌクレオシドである。いくつかの実施態様において、修飾ヌクレオシドは、2’−置換リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシド又は2’−デオキシ−2’−置換−アラビノシドである。
【0053】
用語「オリゴヌクレオチド」は、ハイブリッド及びキメラオリゴヌクレオチドを包含する。「キメラオリゴヌクレオチド」は、その配列構造内に1つの型以上のヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドである。そのようなキメラオリゴヌクレオチドの好ましい例は、ホスホロチオエート、リン酸ジエステル又はホスホロジチオエート領域及びアルキルホスホネート、又はアルキルホスホノチオエート結合のような非イオン性結合を含むキメラオリゴヌクレオチドである(Pedersonら、米国特許第5,635,377号及び同第5,366,878号)。
【0054】
「ハイブリッド・オリゴヌクレオチド」は、1つ以上の型のヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。そのようなハイブリッド・オリゴヌクレオチドの好ましい一例は、リボヌクレオチド又は2’−置換リボヌクレオチド領域、及びデオキシリボヌクレオチド領域を含む(Metelev and Agrawal、米国特許第5,652,355号;同第6,346,614号及び同第6,143,881号)。
【0055】
本発明の目的のために、用語「免疫調節オリゴヌクレオチド」は、哺乳類のような脊椎動物に投与した場合、生体において免疫系を促進する又は免疫系を抑制するのいずれかの免疫応答、又はこれら両者を誘導する上記のようなオリゴヌクレオチドをいう。本明細書で使用するように、用語「哺乳類」は、限定することなしに、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、乳牛、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトを包含する。
【0056】
好ましくは、免疫調節オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの天然に存在するリン酸ジエステル、又は1つの修飾ホスホロチオエート若しくはホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含み、しかし好ましい結合又は実際に骨格修飾は、限定することなく、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、リン酸トリエステル、リン酸チオトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、トリエステルプロドラッグ、スルホン、スルホンアミド、スルファメート、フォルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホルアミデート、特に一級アミノホスホルアミデート、N3ホスホルアミデート及びN5ホスホルアミデート、及び立体特異的結合(例えば、(Rp)−又は(Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、又はリン酸トリエステル結合)を包含する。
【0057】
用語「免疫調節応答」は、免疫調節オリゴヌクレオチドで攻撃した場合に免疫応答の変化を記載する。この変化は、インターフェロンのようなある種のサイトカイン及び増殖のようなその他の生理学的パラメーターの放出を通じてしばしば測定され得るものである。この応答は、免疫系を促進するよう作用するもの、及び問題となっている免疫調節オリゴヌクレオチドによって誘導されるサイトカインに依存して免疫系を抑制するものと同じであり得る。
【0058】
ある種の実施態様において、免疫調節オリゴヌクレオチドは、式、5’−Pyr−Pur−3’、式中、Pyrは天然又は合成ピリミジンヌクレオシド及びPurは天然又は合成プリンヌクレオシドである、の免疫調節ジヌクレオチドを含む。ある種の好ましい実施態様において、免疫調節オリゴヌクレオチドは、式、5’−Pur*−Pur−3’(ここで、Pur*は合成プリンヌクレオシド及びPurは天然又は合成プリンヌクレオシドである)の免疫調節ジヌクレオチドを含む。種々の場合において、ジヌクレオチドは、RpG、C*pG又はYZとして表され、この場合、それぞれ、R、C*又はYは合成プリンを表す。特に好ましい合成プリンは、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである。この合成プリンがジヌクレオチドのPur*位置にある場合、免疫促進効果の種特異
性(配列依存性)が克服され、そしてサイトカイン特性が改善される。本明細書で使用されるように、用語「ピリミジンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分が単環核酸塩基であるヌクレオシドをいう。同様に、用語「プリンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分が二環核酸塩基であるヌクレオシドをいう。本発明の目的のために、「合成」ピリミジン又はプリンヌクレオシドは、非天然のピリミジン又はプリン塩基、非天然の糖部分、又はこれらの組み合わせを包含する。
【0059】
ある種の実施態様において、ヌクレオシドの糖部分は、非天然の糖部分であり得る。本発明の目的のために、「天然の糖部分」は、核酸の一部分、例えば、リボース及び2’−デオキシリボースとして天然に存在する糖部分であり、そして、「非天然の糖部分」は、核酸の一部分として天然には存在しないが、オリゴヌクレオチド用の骨格において使用することができる、どのような糖、例えば、限定されないがヘキソースでもよい。アラビノース及びアラビノース誘導体は、好ましい糖部分の例である。
【0060】
本発明による好ましい免疫調節部分は、更に、限定されないが、2’−O−メチルリボース、2’−メトキシエチル−リボース、2’−O−プロパルギルリボース及び2’−デオキシ−2’−フルオロリボースを包含する2’−置換ペントース糖類;限定されないが、3’−O−メチルリボースを包含する3’−置換ペントース糖類;1’,2’−ジデオキシリボース;アラビノース;限定されないが、1’−メチルアラビノース、3’−ヒドロキシメチルアラビノース、4’−ヒドロキシメチルアラビノース、3’−ヒドロキシアラビノース及び2’−置換アラビノース糖類を包含する置換アラビノース糖類;限定されないが、1,5−アンヒドロヘキシトールを包含するヘキソース糖類;及び限定されないが、α−アノマーを包含する糖修飾を有するヌクレオシドを包含する。
【0061】
別の実施態様において、本発明の好ましい免疫促進部分は、ペプチド核酸(PNA)、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、架橋型核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチドを含む別の炭水化物骨格修飾及び置換を有するオリゴヌクレオチド、及び、限定されないが、アルキルリンカー又はアミノリンカーを含む、約2オングストロームから約200オングストロームの長さを有する骨格リンカーセクションを有するオリゴヌクレオチドを更に包含する。アルキルリンカーは、分枝状又は非分枝状、置換又は非置換、及び純粋なキラル又はラセミ混合物であってもよい。最も好ましくは、そのようなアルキルリンカーは、約2から約18個の炭素原子を有する。ある種の好ましい実施態様において、そのようなアルキルリンカーは、約3から約9個の炭素原子を有する。ある種のアルキルリンカーは、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素、及びチオエーテルからなる群から選択された1つ又は2つ以上の官能基を包含する。ある種の官能性アルキルリンカーは、式−O−(CH2−CH2−O−)n(n=1〜9)のポリ(エチレングリコール)リンカーである。ある種の別の官能性アルキルリンカーは、ペプチド又はアミノ酸である。
【0062】
更なる実施態様において、本発明の好ましい免疫促進部分は、限定されないが、−L−デオキシリボヌクレオシド及びa−デオキシリボヌクレオシドを含むDNAイソ型を包含する。本発明による好ましい免疫促進部分は、3’−修飾体を取り入れ、更に、限定されないが、2’−5’、2’−2’、3’−3’及び5’−5’結合を含む、非天然ヌクレオシド間結合位置を有するヌクレオシドを包含する。
【0063】
本発明による免疫調節オリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合を経由する少なくとも5つのヌクレオシド、又は非ヌクレオチド結合を経由する官能化核酸塩基又は糖を含む。本発明の目的のために、「非ヌクレオチドリンカー」は、共有結合又は非共有結合を経由してオリゴヌクレオチドに結合することができる、いずれかの部分である。
【0064】
非共有結合は、限定されないが、静電相互作用、疎水性相互作用、スタッキング相互作用、及び水素結合を包含する。用語「非ヌクレオチドリンカー」は、上に記載したように、ヌクレオシド間結合、例えば2つのヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基を直接結ぶリン酸ジエステル、ホスホロチオエート、又はホスホロジチオエートをいうことを意味しない。本発明の目的のために、そのような直接の3’−3’結合(リンカーは含まれない)は、「ヌクレオチド結合」であると考えられている。
【0065】
ある種の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、限定されないが、金粒子を含む金属である。ある種の別の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、可溶性又は不溶性生分解性ポリマービーズである。
【0066】
なお別の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドに結合できる官能基を有する有機部分である。そのような結合は、好ましくは、安定した共有結合によるものである。
【0067】
ある種の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、限定なしに、ポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲン及びオリゴ糖を含む生体分子である。別の実施態様において、非ヌクレオチドリンカーは、小分子である。本発明の目的のために、小分子は、分子量1,000Da未満を有する有機部分である。
【0068】
ある種の実施態様において、小分子は脂肪族又は芳香族炭化水素であり、そのいずれかは、場合によって、オリゴヌクレオチドに接続した直鎖又はそれに付属したもののいずれかであり、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素、及びチオ尿素からなる群から選択された1つ又はそれ以上の官能基である。小分子は、環式又は非環式であり得る。小分子リンカーの例としては、限定されないが、アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテン及び抗生物質を包含する。しかしながら、非ヌクレオチドリンカーを記載する目的のために、用語「小分子」はヌクレオシドを包含することを意図していない。
【0069】
ある種の実施態様において、小分子リンカーは、グリセロール、又は式、HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OH、式中、o及びpは独立に、1から約6、1から約4、又は1から約3の整数である。ある種の別の実施態様において、小分子リンカーは、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体である。ある種のそのような誘導体は、式、HO−(CH2)m−C(O)NH−CH2−CH(OH)−CH2−NHC(O)−m−OH、式中、mは0から約10、0から約6、2から約6、又は2から約4の整数である。
【0070】
修飾又は置換オリゴヌクレオチドは、例えば、細胞取り込みの増強、核酸標的への親和性の増強、及びヌクレアーゼの存在下における安定性の増大のために、しばしば、天然の形態より大きいことが好ましい。オリゴヌクレオチドは、通常、2つを超える、及び典型的には、10を超える、及び100に至るまでのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、好ましくは約8と約40の間、最も好ましくは約8と約20の間である。正確な大きさは、多くの因子に依存するであろうし、言い換えると、オリゴヌクレオチドの究極の機能又は用途に依存している。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、又はこれらの組み合わせを含む、如何なる様式で生成してもよい。
【0071】
本発明の方法において、オリゴヌクレオチドは、限定なしに、吸入、眼投与、鼻腔内、非経口、経口、皮内及び直腸投与のような、いずれの適切な投与経路によっても投与することができる。もし患者が、ステロイド治療又は免疫調節剤の使用のような抗炎症治療中である場合は、ステロイド及び免疫調節剤は、オリゴヌクレオチドと一緒に又は別々に投与することができる。オリゴヌクレオチドの投与経路は、ステロイドの投与経路に依存する。
【0072】
本明細書で使用される慣用句「治療的有効量」は、ある程度の有益な程度まで、好ましくは少なくとも30パーセントまで、より好ましくは少なくとも50パーセントまで、そしてなおより好ましくは少なくとも90パーセントまで増強するのに十分な量に関する。最も好ましくは、ステロイド耐性が治療されることである。
【0073】
用語「ステロイド」は、コルチコステロイド及びグルココルチコステロイドの両者を包含するように使用される。用語「CG含有オリゴヌクレオチド」は、全配列長内に、少なくとも1つのメチル化されていないCGジヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド、そして好ましくは長さで8から100核酸塩基を有するオリゴヌクレオチドを包含するように使用される。
【0074】
表現「ステロイドの有効性を増強する」は、本明細書では、CG含有オリゴヌクレオチドを用いた同時又は逐次治療、好ましくは前治療、が炎症を管理するのに必要なステロイド投与量の減少を示す、臨床像として明らかなステロイド節約効果を包含する。表現「ステロイドの有効性を増強する」は、又、同時に若しくは実質的に同時に、又は逐次に若しくは実質的に同時にのいずれであれ、炎症を管理するのに必要なステロイド投与量の減少を示す、CG含有オリゴヌクレオチド及びステロイドの相乗的使用を包含することを意図している。表現「ステロイド耐性」又は「ステロイド難治性」は、問題の疾患を治療するのに通常有効且つ十分であると見なされる現在の治療処置に、適切に応答することができない患者を包含して使用される。表現「ステロイド依存性」は、患者の状態を悪化することなく、又は問題の疾患の症状の重症度が増加することなく、現在の療法を取り止めることができないと観察される患者を含めて使用される。
【0075】
1つの態様において、本発明は、本発明による免疫調節オリゴヌクレオチド及び生理学的に許容される担体を含む医薬処方を提供する。本明細書で使用されるように、用語「生理学的に許容される」は、免疫調節オリゴヌクレオチドの有効性を阻害せず、そして細胞、細胞培養、組織又は生体のような生物系に適合する材料をいう。好ましくは、生物系は、脊椎動物のような生命体である。
【0076】
本明細書で使用されるように、用語「担体」は、いかなる賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、バッファー、安定剤、可溶化剤、脂質又は医薬処方に使用するための、当業者に周知のその他の材料を包含する。担体、賦形剤又は希釈剤の特性は、特定の適用のための投与経路に依存するであろうことは理解されるであろう。これらの材料を含有する医薬として許容される処方の製造は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
【0077】
薬学的に許容される混合物における免疫調節オリゴヌクレオチドの濃度は、投与される化合物の投与量、採用された化合物の薬動力学的特性、患者の年齢、性別及び状態、並びに投与経路を包含する、いくつかの因子に依存して変化するであろう。ステロイド耐性又はステロイド依存性患者においてステロイドの有効性を増強するための免疫調節オリゴヌクレオチドの有効量は、受容者である哺乳動物の約0.01μgから約100mg/kg体重、好ましくは約0.1μgから約10mg、最も好ましくは約1μgから約5mg/kg体重の間の広範な範囲である。
【0078】
ある種の好ましい実施態様において、本発明による免疫調節オリゴヌクレオチドは、限定されないが、TNF抗体のような抗炎症薬、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリンその他のサリチル酸類のような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))のようなcox−2阻害剤、コルチコステロイド(吸入、経口、経直腸)、肥満細胞安定化剤、及びロイコトリエン調節薬と併用して投与される。
【0079】
本発明のこの態様の目的のために、用語「併用して」は、同じ患者における同じ疾患を治療する過程で、同時投与、及び数ヶ月まで離れた一次的間隔の順序を包含する、いずれかの順序で免疫調節オリゴヌクレオチドを投与することを、意味し包含する。そのような併用治療は、又、免疫調節オリゴヌクレオチドの単回を超える投与も包含する。より好ましくは、本発明の免疫調節オリゴヌクレオチドは、患者がステロイド療法を開始した後のステロイド耐性又はステロイド依存性患者に投与され、そしてそれは安定した投与方式である。
【0080】
1つの実施態様において、本発明は、抗炎症治療に非応答性の又は不十分な若しくは不適切な応答性の炎症状態に苦しむステロイド難治性の患者における、ステロイドの効果を増強する方法であって、下記配列:
5’−Xm−CG−Yn−3’
式中、XはA、T、C又はG、YはA、T、C又はG、m=1〜100、n=1〜100であり、少なくとも1つのCGジヌクレオチドはメチル化されていない;
を有するオリゴヌクレオチドの有効量を、前記患者に投与する方法に関する。本発明の方法の別の実施態様において、mは1〜80でありそしてnは1〜80、mは1〜60でありそしてnは1〜60、mは1〜40でありそしてnは1〜40、mは1〜20でありそしてnは1〜20、mは1〜12でありそしてnは1〜12、mは1〜10でありそしてnは1〜10、mは1〜8でありそしてnは1〜8、mは1〜6でありそしてnは1〜6、mは1〜4でありそしてnは1〜4、又はmは1〜2でありそしてnは1〜2である。
【0081】
本発明により使用されるオリゴヌクレオチドは、又、表1に例示されている。
【0082】
本発明による方法において、患者は、現在コルチコステロイド治療にあるものであり、患者は、ステロイド依存性であり、現在コルチコステロイド治療を受けている、又は患者は、現在抗炎症治療を受けている。
【0083】
本発明方法の1つの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、ステロイドと併用して投与される。
【0084】
本発明による方法は、炎症状態に苦しめられている患者におけるステロイドの有効性を増強するためのものである。炎症状態は、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、関節リウマチ、乾癬、肺気腫、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)からなる群から選択されたものである。1つの実施態様において、炎症状態は潰瘍性大腸炎であり、そして別の実施態様において、炎症状態はクローン病である。
【0085】
本発明方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、当業者に公知の、そして前記にて定義された方法に従って修飾することができる。例えば、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、リン酸骨格修飾を有し、リン酸骨格修飾は、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエート修飾である。修飾は、オリゴヌクレオチドの全長に沿った如何なる位置における1つ又はそれ以上のヌクレオチドで生じてもよい。1つの実施態様において、核酸骨格は、5’ヌクレオチド結合間でのリン酸骨格修飾を包含する。或いは又、核酸骨格は、3’ヌクレオチド結合間でのリン酸骨格修飾を包含する。
【0086】
DNAに加えて、オリゴヌクレオチドは、DNAの類縁体又は模倣体からなるものでもよく、限定されないが、以下を包含する:メチルホスホネート、N3’→P5’−ホスホロアミデート、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、架橋型核酸(LNA)、アラビノシル核酸(ANA)、フルオロアラビノシル核酸(FANA)、メトキシエチル核酸(MOE)。
【0087】
更に、本発明において使用されるオリゴヌクレオチドは、上に定義されたように、少なくとも1つの修飾糖部分核酸塩基を含んでいてもよい。修飾糖部分は、例えば、2’−O−メトキシエチル糖部分である。
【0088】
本発明は、又、抗炎症治療に非応答性の又は不十分な若しくは不適切な応答性の炎症状態に苦しむステロイド難治性の患者における、ステロイドの効果を増強するための薬剤を製造するための、下記配列:
5’−Xm−CG−Yn−3’
式中、XはA、T、C又はG、YはA、T、C又はG、m=1〜100、n=1〜100であり、少なくとも1つのCGジヌクレオチドはメチル化されていない;
を有するオリゴヌクレオチドの使用に関する。別の実施態様において、mは1〜80でありそしてnは1〜80、mは1〜60でありそしてnは1〜60、mは1〜40でありそしてnは1〜40、mは1〜20でありそしてnは1〜20、mは1〜12でありそしてnは1〜12、mは1〜10でありそしてnは1〜10、mは1〜8でありそしてnは1〜8、mは1〜6でありそしてnは1〜6、mは1〜4でありそしてnは1〜4、又はmは1〜2でありそしてnは1〜2である。
【0089】
上記で定義した方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、医薬の製造に使用することもできる。
【0090】
本発明による使用において、患者は、現在ステロイド治療下にあり、患者はステロイド依存性であって、現在ステロイド治療下にあり、又は患者は現在抗炎症治療下にある。1つの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、ステロイドと併用して投与される。
【0091】
炎症状態は、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、関節リウマチ、乾癬、肺気腫、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)からなる群から選択されたものである。1つの実施態様において、炎症状態は潰瘍性大腸炎であり、別の実施態様において、炎症状態はクローン病である
【0092】
本発明の免疫調節オリゴヌクレオチドは、配列番号1によって例示され、CpGモチーフを含有する免疫調節DNAに基づくオリゴヌクレオチドの例として作用する。本発明は、配列番号1によって表される免疫調節オリゴヌクレオチドを、大腸の炎症状態(即ち、潰瘍性大腸炎及びクローン病)に罹患した患者であって、等しくステロイド非応答性であり、ステロイド療法を併用していた患者に投与した場合、そのような患者の急速かつ顕著な改善があって、投与するステロイドの投与量を減少することができる、という驚くべき発見を開示した。契約によって、前記免疫調節オリゴヌクレオチドを、ステロイドを除外し、患者がステロイド応答性である、潰瘍性大腸炎に罹患した患者に投与した場合、彼らの疾患の改善は見られなかった。この驚くべき観察は、未だ知られていない作用機作を通して、ステロイド耐性の状況でCpG含有オリゴヌクレオチドの免疫調節効果が、ステロイド耐性でない患者においては明らかでない疾患の改善を誘導したことを明らかに示した。
【0093】
以下の実施例では、先ず、配列番号1が免疫調節オリゴヌクレオチドとして機能すること、及び種々の長さの配列番号1が活性を保持することを確認する。後の実施例は、配列番号1の単回直腸投与を受けた、潰瘍性大腸炎及びクローン病の患者における、臨床データの要約である。
【実施例】
【0094】
材料及び方法
オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)
本発明において、多くのODNが、ヒト末梢血単球(PBMC)又はマウス脾細胞を用いた促進実験に使用された。使用されたODNを表1に列挙する。オリゴヌクレオチドのいくつかにおいて、ジヌクレオチドモチーフを「逆転」させ、対照として機能させた。
【0095】
【表1】

【0096】
処方
Aveciaにより合成されたDIMS0150及びIDX0250を除き、全てのODNはBiomers. net, Germanyによって合成され、供給された。
【0097】
使用した凍結乾燥ODN(表1参照)(ヒトDIMS0150を除き全て)を、先ず、少量の蒸留水で希釈した。完全に混合した後、各ODNを、更に一連の異なった希釈度に水で希釈した。各希釈について、少なくとも5回以上、分光光度計(SmartSpec 3000, BioRad)を使用して、光学濃度(OD)A260/A280を測定した。原液の濃度を決定するために、全ての希釈について、全ての読みの平均濃度を計算した。これらの原液を、全て−20℃で貯蔵した。全てのODNについて、濃縮原液の一部を更に希釈し、1つの高濃度及び1つの低濃度の原液を得た(それぞれ、1μg/μl及び20μg/μl)。上に記載したようにして、分光光度計を使用してODを測定し、同じ手順で濃度を決定した。
【0098】
実験で使用した異なる希釈標準溶液:0.1μM、1μM、3μM、5μM、10μM、25μM、50μM、100μM、150μM及び300μMを、高濃度原液(20μg/μl)及び低濃度の原液(1μg/μl)を使用して、PBSで更にODNを希釈することにより調製した。
【0099】
DIMS0150を蒸留水で希釈し、凍結乾燥ODNについて述べたのと同様にして濃度を決定した。
【0100】
生物系
細胞の調製
血液試料は、健常ボランティアから得た。PBMCをFicoll-Paque Plus(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)を使用して密度勾配遠心分離法により単離し、生理食塩リン酸バッファー(PBS)で3回洗浄し、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FCS)(Life
Technologies)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン(Life Technologies)、2mMのL−グルタミン(Sigma)、ゲンタマイシン(Sigma
)及び5mMのHEPES(Gibco, Life Technologies)を含有するRPMI1640(Sigma)に再懸濁した。細胞は0.4%トリパンブルー溶液(Sigma Aldrich)を使用して計数した。
【0101】
マウス脾細胞の調製
各実験用に、脾臓をC57BL/6マウスから摘出した(マウスは、MTC animal unit,
Karolinska Institutetから入手し、ナイロン細胞濾過器を使用して滅菌条件下に単個細胞浮遊液を調製した(細胞濾過器100μM、BD Falcon)。次いで、細胞を完全RPM
I1640(5%の熱不活性化FCS、2mMのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを含有するRPMI1640)中、1,200rpm、7〜10分間で1回洗浄した。上清を静かにデカントし、細胞を赤血球細胞溶解バッファー(Sigma)(1ml)に再懸濁し、室温で、最大2分間インキュベートした。別の完全培地(5ml)を、既に記載したようにして遠心する前に加えた。上清を静かにデカントした後、細胞ペレットを完全培地に再懸濁し、細胞数を0.4%トリパンブルー溶液で測定した。
【0102】
技術
ELISpot
既に記載したように、プレコートしたPVDF系の、ELISpot(MABTech AB, Sweden)用膜プレートにPBMCを播種した。細胞を加える前に、PDVFプレートを、それぞれIFN−α、IFN−γ又はIL−10(ELISpotキットに含まれる;IFN−α、IFN−γ又はIL−10は、MABTech AB, Swedenから入手)に対する特異的被覆抗体で一夜、+4℃で被覆した。PBMCを完全RPMIcに500,000細胞/ウエルで播種した。播種後に直接、細胞をそれぞれのオリゴヌクレオチド(ODN)で処理した。最終ODN濃度が、100μl/ウエルの総容積中、0.1、1、5、10、25、50、100、150及び200μMになるように、各ODNを特定のウエルに加えた。試料は、3通り作成した。処理後、細胞を5%炭酸ガス、37℃、加湿インキュベーターで、インキュベートした。IFN−αを、24、48及び72時間に、それぞれ2、10及び3ドナーにつき分析した。IFN−γは、2、7及び5ドナーについて、それぞれ24、48及び72時間に分析した。IL−10は5及び4ドナーにつき、24、48及び72時間に分析した。サイトカイン産生細胞の検出及び計数は、生産者のマニュアルに従って実施した。ELISpotリーダーソフトウエアは、Center for Molecular Medicine, CMM, Karolinska Hospital, Solna, SwedenにあるAID2.3.3であった。
【0103】
酵素免疫測定法ELISA
既に記載したようにして調製したPBMCを、PRMIc中500,000細胞/ウエルで、96ウエルフラット底面細胞培養プレートに播種した。播種後に直接、細胞をそれぞれのODNで処理した。最終ODN濃度を100μl/ウエルの総容積中、0.1、1、5、10、25、50、100、200及び300μMとなるように、特定のウエルに各ODNを加えた。試料は2重に調製した。処理後、細胞を5%炭酸ガスで、37℃、48時間、加湿インキュベーターでインキュベートした。上清を集め、製造者のプロトコールに従って−20℃で貯蔵した後、特定のQuantikine ELISAを使用して、サイトカインレベルを決定した(ヒトPBMC実験には、以下のELISAキットを使用した:ヒトIL−10及びヒトIFN−α。マウス脾細胞実験用には、ネズミIL−10及びネズミIFN−α、R&D Systems, Abingdon, UK、を使用した)。
【0104】
〔実施例1〕
DIMS0150で促進したPBMのサイトカイン産生の評価
CpG含有ODN、DIMS0150の免疫促進活性を、ヒトPBMCで評価した。仮説は、異なった濃度のDIMS0150で、異なった時間インキュベートしたPBMCは、CpGに依存する様式でサイトカイン産生を促進するであろう、というものであった。そのため、CpG−DNAに応答してPBMCによって産生されることが知られている3つのサイトカイン、即ち、IFN−α、IL−10及びIFN−γを選択した。実際、別々の健常なドナー由来のPBMCは、ELISpotによって分析されたように、DIMS0150に応答して、全て時間に依存して(データは示していない)及び投与量に依存して、サイトカイン産生を示した。試験した3つのサイトカインの中では、IL−10が、DIMS0150で促進48時間後、最も応答したサイトカインであった(図1)。IL−10に対照的に、DIMS0150は、試験した全ての濃度及び時間点において、PBMCにおいてIFN−α及びIFN−γを誘導するのが、IFN−γの72時間(図2参照)及びIFN−αの48時間(図3を参照)に代表されるように、より弱かった。DIMS0150のCpG逆転型であるIDX0526も、又、潜在的なサイトカイン産生のCpG依存性を評価するために、全ての実験に含めた。IDX0526で処理したPBMCは、DIMS0150での促進と比較して、試験した3つの全てのサイトカインの産生はないか、又は、減少を示した(図1、2及び3を参照)。
【0105】
〔実施例2〕
DIMS0150に反応したPBMCのサイトカイン産生の定量
ELISpotにより観察された陽性細胞からのサイトカイン産生量を定量するため、ELISA分析を実施した。PBMCをDIMS0150の濃度を増加してインキュベートし、上清を、IL−10、IFN−α及びIFN−γのレベルにつき分析した。ELISpotのデータによって得られたこれらの結果に一致して、0.1μMと200μMの間(又はIFN−α及びIFN−γについては300μM)の濃度を用いて、インキュベーション48時間後に、全てのサイトカインのCpG依存性用量応答が得られた(図4A、B及びCを参照)。ELISpotとELISAは異なったパラメーター(即ち、特定のサイトカインを分泌する細胞数に対して、分泌されたサイトカイン量)を測定するので、ELISA測定は、注目するサイトカインを分泌する細胞数にかかわらず、特定の濃度で産生される実際の量に関する補足的情報として考慮すべきである。それ故、用量応答パターンは、これらの異なった技術から得られたものを比較する場合相異が表れるであろう。定量ELISAにより分析されたDIMS0150に対応する個々の相異について、ELISpotと比較して、広範に調べた(1〜3ドナー)。
【0106】
〔実施例3〕
PBMCにおける別々のCpG−ODNsとのDIMS0150の比較
DIMS0150促進の用量応答を、公知のヒト及びネズミCpG−ODNのIDX0910及びIDX0920とそれぞれ比較した。加えて、このODN配列も、又、CpGジヌクレオチドを含有しており、CpG−DNAとして作用するであろうから、IDX0250も、又、この実験に組入れた。IDX0250のCpG側面塩基は、DIMS0150と少し異なっており、このことは、促進に際して、PBMCでのサイトカイン応答のレベルに影響するであろう。この研究において、PBMCは、CpG−ODNで48時間処理され、表面に浮かぶ前のそれら個々の逆転GpC対照を、IL−10及びIFN−γDIMS0150についての定量ELISAアッセイを用いて2重に分析し、IDX0250は100μMで同様のIL−10応答を引き起こしたが(図5)、しかし最低濃度(0.1μMから1μM)では、これらODNはPBMCのIL−10産生を促進しなかった。相対的に、PBMCとIDX0910又はIDX0920とのインキュベーションでは、使用した低濃度で最高のIL−10産生に達した。上清のIFN−γ分析では、IL−10と比較して、このサイトカインは低分泌となった(図6)。GpCの逆転対照又はIDX0304のいずれも、IFN−γを誘導しなかったが、PBMCにおいて幾分かのレベルでIL−10分泌が、2つの対照GpC−ODN、IDx0915及びIDX0925、で観察された。このことは、これらODNに完全なホスホロチオエート骨格が存在するからであろう。
【0107】
〔実施例4〕
マウス脾細胞におけるDIMS0150と異なったCpG−ODNsとの比較
ヒト及びマウスは、異なるCpG−ODNに応答する。DIMS0150の免疫促進効果を、マウス脾細胞系で、PBMCにおいて実施されたCpG−ODNと同じセットと比較した(図6参照)。脾細胞をCpG−ODN及びそれらの個々の逆転陰性GpC対照と、上清をIFN−γ及びIL−10について分析する48時間前に、定量的ELISAアッセイを使って2重に処理した。脾細胞をDIMS0150と処理した場合、使用した最高濃度で強いIFN−γ応答がもたらされた。しかし、このアッセイで、IDX0250はDIMS0150よりもより強力であって、このことは、CpGの周囲の配列が応答のレベルにインパクトを有することを示唆した(図7)。最も顕著なIFN−γレベルは、使用した低濃度でCpG−ODN、IDX0920で促進した細胞からの上清で見出された。最後に、IL−10のレベル(図8)について上清を分析すると、IFN−γを測定した場合に観察されたのと類似のパターンが示された。GpCは逆転ODN対照のいずれもIFN−γを誘導しなかったが、しかしIDX0925は、ネズミの系でIL−10のいくらかのレベルを誘導した。
【0108】
〔実施例5〕
研究コンセプトの予備試験
研究コンセプトの予備試験については、付録Iに全てを記載する。
試験目標
第1目標:
潰瘍性大腸炎及びクローン病患者における、配列番号1と表示されるDNAを基礎とするオリゴヌクレオチドの使用に関する安全性の問題を評価すること。
第2目標:
内視鏡的及び臨床的寛解/改善率、組織学的改善及び臨床検査パラメーターにおける変化によって定量された、臨床的有効性を探究する。
【0109】
試験は、プラセボ対照、二重盲検単回投与であり、コルチコステロイドに非応答性か、又はコルチコステロイド依存性の患者で、同時にステロイド療法を受けている患者を考慮する。
使用された投与レベルは、3mg及び30mg投与で、単回直腸投与であった。
【0110】
第1周での臨床応答
i)配列番号1 5/7(71%)の応答者
ii)プラセボ 1/4(25%)の応答者
全体として、この予備試験は、単回直腸投与後の両投与群において、良好な有効性を示唆した。多分もっと驚くべきことは、全ての応答した患者が試験薬を受けてから1週間以内に応答したように、応答の速さであった。興味あることは、配列番号1を受けた7患者中2名は、今日同様に寛解状態にあり、ステロイドなしであることである。更に、重篤な有害事象は記録されなかった。
【0111】
〔実施例6〕
臨床第II相試験
試験目標
第1目標:
軽度から中等度の活性の潰瘍性大腸炎(UC)の患者における臨床的寛解を導く抗炎症療法として、オリゴヌクレオチド配列番号1の4投与水準(0.3mg、3mg、30mg及び100mg)の各作用能力を、プラセボと比較しながら評価すること。
第2目標:
プラセボと比較しながら、配列番号1のオリゴヌクレオチドの単回直腸投与の忍容性を評価すること、及び配列番号1のオリゴヌクレオチドの有効性及び安全性を4投与水準で更に評価すること、及び直腸投与後の配列番号1のオリゴヌクレオチドの薬物動態を評価すること。
【0112】
試験結果
【表2】

【0113】
表から、有効薬物を投与されたものの応答率は、22%(26/119)であり、プラセボは38%(11/29)であった。この試験では、限られた数の患者に、0.3から100mgの投与量で、配列番号1のオリゴヌクレオチドを単回投与すると、臨床的、内視鏡的若しくは組織病理学的寛解、又は12週間にわたる応答を誘導することができるということは、確認することができなかったが、しかし、この試験では、薬物の良好な安全特性が実証された。
【0114】
【表3】

【0115】
この予備試験の患者は、第II相試験におけるよりも、よりよい応答率を得たことは明らかである。予備試験の患者は併用薬としてステロイドの使用が許され、コルチコステロイドに対して耐性又は依存性であったが、第II相試験においては、それは除外基準であったことも明らかである。第II相試験の期間には、ステロイドは禁忌であり、患者はステロイド療法に対して耐性でなく依存性でもなかった。
【0116】
予備試験と大規模第II相試験の間の不一致は、コルチコステロイドに対して耐性又は依存性、及びコルチコステロイド併用療法に対して耐性又は依存性である患者は、配列番号1の単回直腸投与に対して、そうでない患者よりもより良好に応答することを示唆している。臨床結果におけるこの驚くべき相異の理由は、明らかでない。しかし、オリゴヌクレオチドを含有するCpGの免疫調節作用は、ステロイド耐性又はステロイド依存性の患者が、再びステロイドに応答することができた程度に、患者の免疫系に有益な変化を誘導することができた。言い換えると、免疫調節オリゴヌクレオチドは、患者の再感受性化をステロイドの抗炎症効果へと誘導するであろう。
【0117】
配列番号1の例のように、配列内にCpGジヌクレオチドを含有する免疫調節オリゴヌクレオチドはある種のサイトカインを誘導することができ、背景技術おいて述べたように、そのサイトカインについては、ステロイド応答性を調節する役割を有するという証拠が存在するということを、提供された実施例は支持している。そのような観点から、例えばインターフェロンやIL−10の産生を誘導する免疫調節オリゴヌクレオチドは、有益性を証明しているであろう。
【0118】
本明細書において、特定の実施態様が詳細に開示されているが、これは説明の目的だけのための例として行われたものであり、以下に続く付随する特許請求の範囲に関して限定することを意図するものではない。特に、種々の置換、変更、及び修飾が、特許請求の範囲によって定義されたような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われ得ることは、本発明者によって予期されている。
【0119】
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【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】DIMS0150促進48時間に対応するIL−10産生細胞の数を示すグラフである。
【図2】DIMS0150促進72時間に対応するIFN−γ産生細胞の数を示すグラフである。
【図3】DIMS0150促進48時間に対応するIFN−α産生細胞の数を示すグラフである。
【図4A】ELISAによって定量した、DIMS0150で48時間促進に対応したIL−10産生を示すグラフである。
【図4B】ELISAによって定量した、DIMS0150で48時間促進に対応したIFN−γ産生を示すグラフである。
【図4C】ELISAによって定量した、DIMS0150で48時間促進に対応したIFN−α産生を示すグラフである。
【図5】ELISAにより定量した、種々のCpG−ODNで促進したヒトPBMC及びそれらの逆対照での、IL−10産生の比較を示すグラフである。
【図6】ELISAにより定量した、種々のCpG−ODNで促進したヒトPBMCのIFN−γ産生の比較を示すグラフである。
【図7】ELISAにより定量した、CpG促進48時間に対応したマウス脾細胞からのIFN−γ産生を示すグラフである。
【図8】ELISAにより定量した、CpG促進48時間に対応したマウス脾細胞からのIL−10産生を示すグラフである。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の免疫調節オリゴヌクレオチドは、炎症状態に苦しみ、全身又は局所投与ステロイド治療を止めさせることが不可能であり、そしてステロイド抗炎症治療中である患者(ステロイド依存性)の抗炎症治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症状態に苦しみ、全身又は局所投与ステロイド治療を止めさせることが不可能であり、そしてステロイド抗炎症治療中である患者において、ステロイドの効果を増強するための薬剤を製造するための、下記配列:
5'−Xm−CG−Yn−3'
(ここで、XはA、T、C又はG、YはA、T、C又はG、m=1〜100、n=1〜100であり、少なくとも1つのCGジヌクレオチドはメチル化されていない)
を有するオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項2】
mが1〜80であり、そしてnが1〜80である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
mが1〜60であり、そしてnが1〜60である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
mが1〜40であり、そしてnが1〜40である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
mが1〜20であり、そしてnが1〜20である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
mが1〜12であり、そしてnが1〜12である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
mが1〜10であり、そしてnが1〜10である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
mが1〜8であり、そしてnが1〜8である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
mが1〜6であり、そしてnが1〜6である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
mが1〜4であり、そしてnが1〜4である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
オリゴヌクレオチドが長さで8と100の間の核酸塩基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが長さで8と40の間の核酸塩基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
患者が非ステロイド性抗炎症薬で治療中である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
炎症状態が、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、関節リウマチ、乾癬、肺気腫、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)からなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
炎症状態が潰瘍性大腸炎である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
炎症状態がクローン病である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
オリゴヌクレオチドが、骨格修飾を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
骨格修飾がリン酸骨格修飾である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
リン酸骨格修飾がホスホロチオエート又はホスホロジチオエート修飾である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
リン酸骨格修飾が5'ヌクレオチド間結合および又は3'ヌクレオチド間結合に包含される、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
オリゴヌクレオチドが、メチルホスホネート、N3'→P5'−ホスホルアミデート、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、架橋型核酸(LNA)、アラビノシル核酸(ANA)、フルオロアラビノシル核酸(FANA)及びメトキシエチル核酸(MOE)からなる群から選択される、DNA又はDNAの類縁体若しくは模倣体から成るオリゴヌクレオチドである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾糖部分核酸塩基を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
修飾糖部分が2'−O−メトキシエチル糖部分である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
オリゴヌクレオチドが単回投与される請求項1〜23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
オリゴヌクレオチドが単回を超えて投与される請求項1〜23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
患者に対するオリゴヌクレオチドの投与量が約0.01μg〜約100mg/kg体重である請求項1〜25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
患者に対するオリゴヌクレオチドの投与量が約0.1μg〜約10mg/kg体重である請求項26に記載の使用。
【請求項28】
患者に対するオリゴヌクレオチドの投与量が約1μg〜約5mg/kg体重である請求項26に記載の使用。
【請求項29】
オリゴヌクレオチドが吸入投与、眼投与、鼻腔内投与、非経口投与、経口投与、皮膚内投与又は直腸投与される請求項1〜28のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232989(P2012−232989A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149379(P2012−149379)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2008−519234(P2008−519234)の分割
【原出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(508003011)インデックス・ファーマシューティカルズ・アクチエボラーグ (12)
【Fターム(参考)】