説明

免疫原性タンパク質および組成物

本発明は、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌;GBS)の処置および予防のためのタンパク質および組成物を提供する。一実施形態において、本発明のポリペプチドは、i)配列番号1に由来する少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号4のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;ii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号4のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくとも90%の同一性を有するエピトープを含む、断片などからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌;GBS)の処置および予防のためのタンパク質および組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
グラム陽性細菌Streptococcus agalactiae(または「B群連鎖球菌」、「GBS」と省略される)は、免疫無防備状態の個体および新生児において、重篤な疾患、菌血症および髄膜炎を引き起こす。2つの型の新生児感染が存在する。第1(早発型、通常は誕生の5日以内)は、菌血症および肺炎が認められる。それは、新生児が産道を通過する時に垂直感染する。GBSは若い女性の約25%の膣に定着し、定着された母親の経膣分娩により生まれた乳児の約1%が感染する。死亡率は50〜70%である。第2は、誕生の10〜60日後に起こる髄膜炎である。妊娠女性にIII型莢膜をワクチン接種して、乳児を受動免疫した場合、遅発型髄膜炎の発生率は低下するが、完全になくなるわけではない。
【0003】
「GBS」における「B」とは、希酸において可溶性であり、C炭水化物と呼ばれる炭水化物の抗原性に基づくLancefieldの分類を指す。Lancefieldは、13の型のC炭水化物を同定し、A〜Oと命名し、これらは血清学的に区別され得る。ヒトに最も一般的に感染する生物は、A群、B群、D群、およびG群に見出される。B群内では、その多糖莢膜の構造に基づいて、株を10の血清型(Ia、Ib、II、III、IV、V、VI、VII、VIIおよびXI)に分けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
GBSに対するタンパク質に基づくワクチンおよび多糖に基づくワクチンの開発において調査が行われてきたが、現在のところ、市販のGBSワクチンはない。したがって、S.agalactiae感染に対する有効なワクチンが依然として必要である。
【0005】
そのようなワクチンの開発において用いることができるタンパク質および免疫原性組成物を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
GBSにおける線毛構造は、興味深いワクチン候補であると考えられる。GBSは、それぞれ、別個の病原性アイランド(pathogenicity island)、PI−1、PI−2aおよびPI−2bによりコードされる3つの線毛変異体を有する[1、2]。それぞれの病原性アイランドは、線毛骨格タンパク質(BP);2つの付属タンパク質(AP1およびAP2);ならびに線毛の集合に関与する2つのソルターゼタンパク質をコードする5つの遺伝子からなる。
【0007】
GBS株は全て、これらの3つの病原性アイランドのうちの少なくとも1つを担持し、これらの病原性アイランドによりコードされる線毛構造タンパク質(BP、AP1およびAP2)の配列は全体的によく保存されている。本明細書ではGBS67とも呼ばれる、病原性アイランド2a(AP1−2a)によりコードされる付属タンパク質1(AP1)の配列は、GBS株間で変動する。GBS67タンパク質の少なくとも2つのファミリーが存在する。
【0008】
元の「GBS67」(SAG1408)配列は、参考文献147中で細胞壁表面アンカーファミリータンパク質としてアノテートされている(GI:22534437を参照されたい)。2603株中に見出される完全長GBS67のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号1として記載する。GBS株CJB111、515およびNEM316は、2603株に由来するGBS67配列と同じファミリーに属するGBS67配列を発現する。CJB111、515およびNEM316株中に見出される完全長GBS67のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号9、13および17として記載する。
【0009】
GBS67の変異体(SAI1512)がH36B株中に存在する。この変異体「GBS67」(SAG1408)配列は、参考文献3中で細胞壁表面アンカーファミリータンパク質としてアノテートされている(GI:77405751を参照されたい)。H36B株中に見出される完全長GBS67のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号5として記載する。GBS株DK21およびCJB110は、H36B株に由来するGBS67配列と同じファミリーに属するGBS67配列を発現する。DK21およびCJB110株中に見出される完全長GBS67のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号21および25として記載する。
【0010】
本明細書に示されるように、2603株および関連する株中に見出される完全長GBS67のアミノ酸配列に対して生じた血清は、H36B株および関連する株中に見出される完全長GBS67のアミノ酸配列を発現するGBSの株に対して活性であり、逆の場合も同じである。よって、完全長GBS67は、2つのファミリーのいずれかに由来するGBS67変異体を発現するGBS株に対する交差防御を提供する。
【0011】
本発明者らはここで、交差防御の原因となるエピトープを含むGBSの2603株とGBSのH36B株の両方に由来する完全長GBS67配列の断片を同定することに成功した。
【0012】
交差防御の原因となるエピトープを含む2603株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号3として記載する。配列番号3のアミノ酸配列は、配列番号1に記載の2603株に由来するGBS67配列のアミノ酸218〜615に位置する398アミノ酸の断片である。
【0013】
交差防御の原因となるエピトープを含む2603株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号4として記載する。配列番号4のアミノ酸配列は、配列番号1に記載の2603株に由来するGBS67配列のアミノ酸616〜866に位置する251アミノ酸の断片である。
【0014】
交差防御の原因となるエピトープを含むH36B株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号7として記載する。配列番号7のアミノ酸配列は、配列番号5に記載のH36B株に由来するGBS67配列のアミノ酸218〜610に位置する393アミノ酸の断片である。
【0015】
交差防御の原因となるエピトープを含むH36B株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号8として記載する。配列番号8のアミノ酸配列は、配列番号5に記載のH36B株に由来するGBS67配列のアミノ酸611〜861に位置する251アミノ酸の断片である。
【0016】
対応する断片もまた、GBS株2603に由来するGBS67と同じファミリーに由来するGBS67を発現するGBS株、すなわち、GBS株CJB111、515およびNEM316、ならびにGBS株H36Bと同じファミリーに由来するGBS67を発現するGBS株、すなわち、DK21およびCJB110において同定された。
【0017】
交差防御の原因となるエピトープを含むCJB111株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号11として記載する。配列番号11のアミノ酸配列は、配列番号9に記載のCJB111株に由来するGBS67配列のアミノ酸218〜615に位置する398アミノ酸の断片である。
【0018】
交差防御の原因となるエピトープを含むCJB111株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号12として記載する。配列番号12のアミノ酸配列は、配列番号9に記載のCJB111株に由来するGBS67配列のアミノ酸616〜866に位置する251アミノ酸の断片である。
【0019】
交差防御の原因となるエピトープを含む515株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号15として記載する。配列番号15のアミノ酸配列は、配列番号13に記載の515株に由来するGBS67配列のアミノ酸218〜615に位置する398アミノ酸の断片である。
【0020】
交差防御の原因となるエピトープを含む515株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号16として記載する。配列番号16のアミノ酸配列は、配列番号13に記載の515株に由来するGBS67配列のアミノ酸616〜866に位置する251アミノ酸の断片である。
【0021】
交差防御の原因となるエピトープを含むNEM316株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号19として記載する。配列番号19のアミノ酸配列は、配列番号17に記載のNEM316株に由来するGBS67配列のアミノ酸218〜615に位置する398アミノ酸の断片である。
【0022】
交差防御の原因となるエピトープを含むNEM316株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号20として記載する。配列番号20のアミノ酸配列は、配列番号17に記載のNEM316株に由来するGBS67配列のアミノ酸616〜866に位置する251アミノ酸の断片である。
【0023】
交差防御の原因となるエピトープを含むDK21株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号23として記載する。配列番号23のアミノ酸配列は、配列番号21に記載のDK21株に由来するGBS67配列のアミノ酸218〜610に位置する393アミノ酸の断片である。
【0024】
交差防御の原因となるエピトープを含むDK21株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号24として記載する。配列番号24のアミノ酸配列は、配列番号21に記載のDK21株に由来するGBS67配列のアミノ酸611〜861に位置する251アミノ酸の断片である。
【0025】
交差防御の原因となるエピトープを含むCJB110株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号27として記載する。配列番号27のアミノ酸配列は、配列番号25に記載のCJB110株に由来するGBS67配列のアミノ酸218〜610に位置する393アミノ酸の断片である。
【0026】
交差防御の原因となるエピトープを含むCJB110株中に見出されるGBS67配列の断片を、本明細書では配列番号28として記載する。配列番号28のアミノ酸配列は、配列番号25に記載のCJB110株に由来するGBS67配列のアミノ酸611〜861に位置する251アミノ酸の断片である。
【0027】
(GBS67ポリペプチド)
これらのGBS67の断片およびこれらの断片に由来するエピトープは、GBSを処置または予防するための免疫原性組成物において完全長GBS67の代わりに用いることができる。
【0028】
(GBS67 2603)
したがって、本発明の一態様によれば、
i)配列番号1に由来する少なくともt個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号3および/または配列番号4のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号1に対して少なくともa%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともt個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号3および/または配列番号4のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくともb%の同一性を有するエピトープを含む、断片
を含むか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0029】
本発明のこの態様のポリペプチドは、
i)配列番号1に由来する少なくともt個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号3および/または配列番号4のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号1に対してa%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともt個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号3および/または配列番号4に対して少なくともb%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
を含むか、またはそれからなってもよい。
【0030】
本発明のこの態様のポリペプチドは、配列番号3および/または配列番号4のアミノ酸配列を含む配列番号1に由来する少なくともt個の連続するアミノ酸の断片を含むか、またはそれからなってもよい。
【0031】
(GBS67 H36B)
本発明の別の態様によれば、
i)配列番号5に由来する少なくともu個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号7および/または配列番号8のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号5に対して少なくともc%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともu個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号7および/または配列番号8のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくともd%の同一性を有するエピトープを含む、断片
を含むか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0032】
本発明のこの態様のポリペプチドは、
i)配列番号5に由来する少なくともu個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号7および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号5に対してc%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともu個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号7および/または配列番号8に対して少なくともd%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
を含むか、またはそれからなってもよい。
【0033】
本発明のこの態様のポリペプチドは、配列番号7および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む配列番号5に由来する少なくともu個の連続するアミノ酸の断片を含むか、またはそれからなってもよい。
【0034】
(GBS67 CJB111)
本発明の別の態様によれば、
i)配列番号9に由来する少なくともv個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号11および/または配列番号12のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号9に対して少なくともe%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともv個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号11および/または配列番号12のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくともf%の同一性を有するエピトープを含む、断片
を含むか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0035】
本発明のこの態様のポリペプチドは、
i)配列番号9に由来する少なくともv個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号11および/または配列番号12のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号9に対してe%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともv個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号11および/または配列番号12に対して少なくともf%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
を含むか、またはそれからなってもよい。
【0036】
本発明のこの態様のポリペプチドは、配列番号11および/または配列番号12のアミノ酸配列を含む配列番号9に由来する少なくともv個の連続するアミノ酸の断片を含むか、またはそれからなってもよい。
【0037】
(GBS67 515)
本発明の別の態様によれば、
i)配列番号13に由来する少なくともw個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号15および/または配列番号16のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号13に対して少なくともg%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともw個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号15および/または配列番号16のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくともh%の同一性を有するエピトープを含む、断片
を含むか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0038】
本発明のこの態様のポリペプチドは、
i)配列番号13に由来する少なくともw個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号15および/または配列番号16のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号13に対してg%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともw個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号15および/または配列番号16に対して少なくともh%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
を含むか、またはそれからなってもよい。
【0039】
本発明のこの態様のポリペプチドは、配列番号15および/または配列番号16のアミノ酸配列を含む配列番号13に由来する少なくともw個の連続するアミノ酸の断片を含むか、またはそれからなってもよい。
【0040】
(GBS67 NEM316)
本発明の別の態様によれば、
i)配列番号17に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号19および/または配列番号20のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号17に対して少なくともi%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号19および/または配列番号20のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくともj%の同一性を有するエピトープを含む、断片
を含むか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0041】
本発明のこの態様のポリペプチドは、
i)配列番号17に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号19および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号17に対してi%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号19および/または配列番号20に対して少なくともj%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
を含むか、またはそれからなってもよい。
【0042】
本発明のこの態様のポリペプチドは、配列番号19および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む配列番号17に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片を含むか、またはそれからなってもよい。
【0043】
(GBS67 DK21)
本発明の別の態様によれば、
i)配列番号21に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号23および/または配列番号24のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号21に対して少なくともk%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号23および/または配列番号24のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくともl%の同一性を有するエピトープを含む、断片
を含むか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0044】
本発明のこの態様のポリペプチドは、
i)配列番号21に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号23および/または配列番号24のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号21に対してk%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号23および/または配列番号24に対して少なくともl%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
を含むか、またはそれからなってもよい。
【0045】
本発明のこの態様のポリペプチドは、配列番号23および/または配列番号24のアミノ酸配列を含む配列番号21に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片を含むか、またはそれからなってもよい。
【0046】
(GBS67 CJB110)
本発明の別の態様によれば、
i)配列番号25に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号27および/または配列番号28のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号25に対して少なくともm%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号27および/または配列番号28のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくともn%の同一性を有するエピトープを含む、断片
を含むか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0047】
本発明のこの態様のポリペプチドは、
i)配列番号25に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号27および/または配列番号28のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号25に対してm%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号27および/または配列番号28に対して少なくともn%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
を含むか、またはそれからなってもよい。
【0048】
本発明のこの態様のポリペプチドは、配列番号27および/または配列番号28のアミノ酸配列を含む配列番号25に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片を含むか、またはそれからなってもよい。
【0049】
「エピトープ」とは、免疫系により認識され、免疫応答を惹起するポリペプチドの一部を意味する。本発明のポリペプチドは、変異体GBS67ペプチドを発現するGBSの株に対して交差防御を誘導することができる。よって、本発明のポリペプチドは、被験体に投与した場合、配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(2603株)および配列番号5のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(H36B株)に結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。よって、本発明のポリペプチドは、配列番号1または配列番号5に対して生じた抗体への結合に関して、配列番号1と配列番号5の両方と競合できる。
【0050】
本発明のポリペプチドはまた、典型的には、被験体に投与した場合、配列番号9のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(CJB111株)、配列番号13のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(515株)、配列番号17のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(NEM316株)、配列番号21のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(DK21株)、および配列番号25のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(CJB110株)に結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。よって、本発明のポリペプチドはまた、これらのタンパク質に対して生じた抗体への結合に関して、配列番号9、13、17、21または25を有するこれらの野生型GBSタンパク質と競合できる。
【0051】
抗体は、標準的な免疫化方法を用いて本発明のポリペプチドに対して容易に生成させることができ、これらの抗体が配列番号1、5、9、13、17、21および25の野生型GBSタンパク質に結合する能力をELISAアッセイなどの標準的なアッセイを用いて評価できる。
【0052】
同様に、ポリペプチドが野生型GBSタンパク質に対して生じた抗体と競合する能力を、ELISAなどの平衡方法、BIACORE(登録商標)などの運動学的方法(kinetic method)およびフローサイトメトリー方法によるなど、当該技術分野で公知の競合アッセイ技術を用いて容易に決定できる。これらの野生型GBSタンパク質のうちの1つに対する抗体への結合に関して、配列番号1、5、9、13、17、21および25の野生型GBSタンパク質と競合するポリペプチドは、該ポリペプチドが存在しない場合と比較して、前記抗体への野生型GBSタンパク質の観察される全結合の減少を引き起こす。典型的には、この結合の減少は、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、60%以上であり、例えば、配列番号1、5、9、13、17、21または25を有するGBSタンパク質について観察される抗体結合と比較して、本発明のポリペプチドの存在下では70%以上の結合の減少である。
【0053】
本発明のポリペプチドが変異体GBS67タンパク質を発現するGBSの株に対する交差防御を誘導する能力を、メスのマウスを前記ポリペプチドで免疫化し、その仔に変異体GBS67タンパク質を発現するGBS株を抗原投与(challenge)する実施例で記載されている母体免疫化モデルなどの動物モデルにおいて確認することもできる。
【0054】
aの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。bの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。cの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。dの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。eの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。fの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。gの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。hの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。iの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。jの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。kの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。lの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。mの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。nの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99以上である。典型的には、a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、mおよびnは、少なくとも90、例えば、少なくとも95である。
【0055】
tの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。配列番号1に示される2603株に由来する完全長GBS67配列は、901アミノ酸長である。よって、tの値はまた、901未満、例えば、850、800、750、700、650、600、550、500、450未満である。tの値は、50〜600、100〜400、150〜300、225〜275、例えば、120〜150であってもよい。
【0056】
uの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。配列番号5に示されるH36B株に由来する完全長GBS67配列は、896アミノ酸長である。よって、uの値はまた、896未満、例えば、860、850、800、750、700、650、600、550、500、450未満である。uの値は、50〜600、100〜400、150〜300、225〜275、例えば、120〜150であってもよい。
【0057】
vの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。配列番号9に示されるCJB111株に由来する完全長GBS67配列は、901アミノ酸長である。よって、vの値はまた、901未満、例えば、860、850、800、750、700、650、600、550、500、450未満である。vの値は、50〜600、100〜400、150〜300、225〜275、例えば、120〜150であってもよい。
【0058】
wの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。配列番号13に示される515株に由来する完全長GBS67配列は、901アミノ酸長である。よって、wの値はまた、901未満、例えば、860、850、800、750、700、650、600、550、500、450未満である。wの値は、50〜600、100〜400、150〜300、225〜275、例えば、120〜150であってもよい。
【0059】
xの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。配列番号17に示されるNEM316株に由来する完全長GBS67配列は、901アミノ酸長である。よって、xの値はまた、901未満、例えば、860、850、800、750、700、650、600、550、500、450未満である。wの値は、50〜600、100〜400、150〜300、225〜275、例えば、120〜150であってもよい。
【0060】
yの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。配列番号21に示されるDK21株に由来する完全長GBS67配列は、896アミノ酸長である。よって、yの値はまた、896未満、例えば、860、850、800、750、700、650、600、550、500、450未満である。yの値は、50〜600、100〜400、150〜300、225〜275、例えば、120〜150であってもよい。
【0061】
zの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。配列番号25に示されるCJB110株に由来する完全長GBS67配列は、896アミノ酸長である。よって、zの値はまた、896未満、例えば、860、850、800、750、700、650、600、550、500、450未満である。zの値は、50〜600、100〜400、150〜300、225〜275、例えば、120〜150であってもよい。
【0062】
本発明のポリペプチドは、配列番号1、5、9、13、17、21および25の断片と比較して、1または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の保存的なアミノ酸の置き換え、すなわち、あるアミノ酸の、関連する側鎖を有する別のアミノ酸での置き換えを含んでもよい。これらの保存的なアミノ酸の置き換えは、それぞれ、配列番号3および4、7および8、11および12、15および16、19および20、23および24、または27および28に対応する配列番号1、5、9、13、17、21および25の領域内に位置してもよい。遺伝子によりコードされるアミノ酸は、一般的に4つのファミリーに分けられる:(1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、芳香族アミノ酸として一緒に分類されることもある。一般的には、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物学的な活性に対して大きな影響を有さない。
【0063】
本発明のポリペプチドは、配列番号1、5、9、13、17、21および25の断片と比較して、1または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の単一アミノ酸欠失を有してもよい。前記ポリペプチドはまた、配列番号1、5、9、13、17、21および25の断片と比較して、1または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば、1、2、3、4または5アミノ酸のそれぞれ)を含んでもよい。これらの欠失および挿入は、それぞれ、配列番号3および4、7および8、11および12、15および16、19および20、23および24、または27および28に対応する配列番号1、5、9、13、17、21および25の領域内に位置してもよい。
【0064】
本発明のポリペプチドは、
(a)配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号21または配列番号25の断片と同一であり(すなわち、100%同一であり);
(b)配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号21または配列番号25の断片との配列同一性を有し;
(c)(a)または(b)の配列と比較して、離れた位置にあり得るか、または連続的であり得る1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(またはそれより多く)の単一のアミノ酸変化(欠失、挿入、置換)を有し;かつ
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号21または配列番号25の断片とアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウ(pアミノ酸まで伸長するアラインメントについて、p>xの場合、p−x+1のこのようなウィンドウが存在するように)が、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸(ここで、xは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され;yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され;x・yが整数でない場合、最も近い整数まで端数を切り上げる)を有する
アミノ酸配列を含んでもよい。好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトパラメータ(例えば、EBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いてギャップ開始ペナルティ=10.0およびギャップ伸長ペナルティ=0.5)を用いるNeedleman−Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム[4]である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージのneedleツールに簡便に実装されている[5]。
【0065】
本発明のポリペプチドを、ハイブリッドポリペプチドの形態で提供することができる。ハイブリッドポリペプチドは、さらなるGBSまたは非GBSポリペプチド配列を含んでもよい。
【0066】
本発明はまた、本発明のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。
【0067】
本発明はまた、本発明のポリペプチド、ハイブリッドポリペプチドまたは核酸を含む免疫原性組成物も提供する。そのような免疫原性組成物は、GBSと関連する疾患または状態を処置または予防する方法において用いることができる。
【0068】
本発明はまた、本発明のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドを発現する細胞(典型的には、細菌)も提供する。
【0069】
(ハイブリッドポリペプチド)
本発明のポリペプチドを、単一ポリペプチド鎖として他のポリペプチドと組み合わせて発現させることができる(「ハイブリッド」ポリペプチドまたは「キメラ」)。ハイブリッドポリペプチドは2つの主な利点を提供する:第1に、それ自体では不安定または発現が乏しいことがあるポリペプチドを、その問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを付加することにより援助することができる;第2に、商業的な製造が単純化される。なぜなら、両方とも抗原的に有用な2つのポリペプチドを生成するために、ほんの1回の発現および精製の使用しか必要としないからである。
【0070】
ハイブリッドポリペプチドは、他のGBS抗原および/または他の非GBS抗原に由来する配列を含んでもよい。通常、ハイブリッドポリペプチドは、他の線毛サブユニットなどの他のGBS配列に由来する配列を含む。これらの他のGBS配列は、GBS67ポリペプチドのN末端またはC末端にあってよい。異なるハイブリッドポリペプチドを単一処方物中で一緒に混合してもよい。
【0071】
ハイブリッドポリペプチドは、式NH−A−{−X−L−}−B−COOHで表すことができる。Xは上記で論じられた本発明のGBS67ポリペプチドである。−X−部分が、その野生型形態においてリーダーペプチド配列を有する場合、これは、ハイブリッドタンパク質に含めても、またはハイブリッドタンパク質から取り除いてもよい。いくつかの実施形態において、リーダーペプチドは、ハイブリッドタンパク質のN末端に位置する−X−部分のもの以外は欠失され、すなわち、Xのリーダーペプチドは保持されるが、X・・・Xのリーダーペプチドは取り除かれる。このことは、全てのリーダーペプチドを欠失させ、Xのリーダーペプチドを部分−A−として用いることと等しい。
【0072】
{−X−L−}の各nの場合、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在しても、または存在しなくてもよい。例えば、n=2である場合、ハイブリッドは、NH−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X−COOH、NH−X−X−L−COOHなどであってよい。リンカーアミノ酸配列(複数可)−L−は、典型的には短い(例えば、20以下のアミノ酸、すなわち、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわち、Gly(式中、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い)を含む)およびヒスチジンタグ(すなわち、His(式中、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い))が挙げられる。他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者には明らかであろう。有用なリンカーは、GSGS(配列番号29)、GSGGGG(配列番号30)またはGSGSGGGG(配列番号31)であり、Gly−SerジペプチドがBamHI制限部位から形成されるので、クローニングおよび操作の助けとなり、(Gly)テトラペプチドが典型的なポリグリシンリンカーである。特に最後のLとして用いるための他の適切なリンカーは、Leu−GluジペプチドまたはGly−Serである。リンカーは通常、構造的可撓性を促進するための少なくとも1のグリシン残基を含み、例えば、−L−部分は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多いグリシン残基を含んでもよい。そのようなグリシンは、Gly−Glyジペプチド配列、またはより長いオリゴ−Gly配列、すなわち、Gly(式中、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い)において少なくとも2の連続するグリシンを含むように配置できる。
【0073】
−A−は、任意選択のN末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば、40以下のアミノ酸、すなわち、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示するリーダー配列、またはクローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、His(式中、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い))が挙げられる。他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者には明らかであろう。Xがそれ自体のN末端メチオニンを欠失している場合、−A−は、N末端メチオニン、例えば、Met−Ala−Serを提供するオリゴペプチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8アミノ酸を有する)、または単一のMet残基であることが好ましい。新生ポリペプチドにおいては、−A−部分はポリペプチドのN末端メチオニン(細菌では、ホルミル−メチオニン、fMet)を提供できる。しかし、本発明の成熟ポリペプチド中の−A−部分がN末端メチオニンを必ずしも含まないように、1または複数のアミノ酸を新生−A−部分のN末端から切断することができる。
【0074】
−B−は、任意選択のC末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば、40以下のアミノ酸、すなわち、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示する配列、クローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、His(式中、n=3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれより多い)を含む)、またはタンパク質安定性を増進する配列が挙げられる。グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、チオレドキシン、S.aureusプロテインAの14kDa断片、ビオチン化ペプチド、マルトース結合タンパク質、エンテロキナーゼフラグなどの他の適切なC末端アミノ酸配列は当業者には明らかであろう。
【0075】
−A−配列、−B−配列および−L−配列は、ヒトポリペプチド配列と共通する10またはそれより多い連続するアミノ酸を有する配列を含まないのが好ましい。
【0076】
いくつかの実施形態において、−L−部分は、非GBS67抗原を含む。いくつかの実施形態において、−A−部分は、非GBS67抗原を含み、いくつかの実施形態において、−B−部分は、非GBS67抗原を含む。
【0077】
(ポリペプチド)
本発明で用いるポリペプチドは、多くの方法で、例えば、化学的合成により(全部または一部)、プロテアーゼを用いてより長いポリペプチドを消化することにより、RNAからの翻訳により、細胞培養物からの精製(例えば、組換え発現から)により、生物自体から(例えば、細菌培養後、または患者から直接)などで調製できる。40未満のアミノ酸長のペプチドの生成のための好ましい方法は、in vitro化学合成を含む[6、7]。tBocまたはFmoc[8]化学に基づく方法などの、固相ペプチド合成が特に好ましい。酵素的合成[9]を部分的または全体に用いることもできる。化学的合成の代用として、生物学的合成を用いてもよく、例えば、ポリペプチドを翻訳により生成できる。これをin vitroまたはin vivoで実行できる。生物学的方法は、一般的には、L−アミノ酸に基づくポリペプチドの生成に限られるが、翻訳機構(例えば、アミノアシルtRNA分子)の操作を用いて、D−アミノ酸(またはヨードチロシンもしくはメチルフェニルアラニン、アジドホモアラニンなどの他の非天然アミノ酸)の導入を可能にすることができる[10]。しかし、D−アミノ酸を含有させる場合、化学的合成を用いるのが好ましい。ポリペプチドは、C末端および/またはN末端に共有結合改変を有してもよい。
【0078】
ポリペプチドは、種々の形態をとることができる(例えば、天然、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質化、非脂質化、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化(myristoylated)、非ミリストイル化、モノマー状、マルチマー状、粒子状、変性など)。
【0079】
ポリペプチドは、精製または実質的に精製された形態、すなわち、他のポリペプチドを実質的に含まない(例えば、天然に存在するポリペプチドを含まない)形態、特に、他の肺炎球菌ポリペプチドまたは宿主細胞ポリペプチドを実質的に含まない形態で提供されることが好ましく、一般的に、少なくとも約50%純粋(重量)、通常少なくとも約90%純粋であり、すなわち、組成物の約50%未満、より好ましくは、約10%未満(例えば、5%またはそれより少ない)が、他の発現されるポリペプチドで構成される。
【0080】
ポリペプチドを固体支持体に付着させることができる。ポリペプチドは、検出可能な標識(例えば、放射性標識もしくは蛍光標識、またはビオチン標識)を含んでもよい。
【0081】
用語「ポリペプチド」とは、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状または分岐状であってよく、これは、改変アミノ酸を含んでよく、これは、非アミノ酸により中断されてよい。この用語は、天然で改変されたか、または介在、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合体化などの任意の他の操作もしくは改変により改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1または複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ならびに当該技術分野で公知の他の改変を含有するポリペプチドも、定義内に含まれる。ポリペプチドは、単一鎖または会合した鎖として存在することができる。ポリペプチドは、天然または非天然にグリコシル化することができる(すなわち、ポリペプチドは、対応する天然に存在するポリペプチド中に見出されるグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する)。
【0082】
本発明は、ポリペプチド発現を誘導する条件下で本発明の宿主細胞を培養することを含む、本発明のポリペプチドを生成するプロセスを提供する。ポリペプチドの発現はStreptococcusにおいて起こってもよいが、本発明は通常、発現のための異種宿主を用いる。異種宿主は原核生物(例えば細菌)または真核生物であってよい。これは、通常はE.coliであろうが、他の適切な宿主として、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母などが挙げられる。
【0083】
本発明はまた、ポリペプチドの一部または全部を化学的手段により合成する、本発明のポリペプチドを生成するプロセスも提供する。
【0084】
本発明はまた、本発明の2以上のポリペプチドを含む組成物も提供する。
【0085】
(核酸)
本発明はまた、本発明のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。
【0086】
例えば、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号8、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号19、配列番号20、配列番号23、配列番号24、配列番号27または配列番号28からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0087】
本発明はまた、そのようなヌクレオチド配列に対して配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。そのような核酸は、同じアミノ酸をコードするように代替コドンを用いるものを含む。特に、核酸は、特定の微生物、例えば、E.coli中での発現のために最適化された代替コドンを含有してもよい。
【0088】
本発明はまた、これらの核酸にハイブリダイズできる核酸も提供する。ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェンシー」の条件下で行うことができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを増加させる条件は、当該技術分野において広く公知であり、公開されている。関連する条件の例は(ストリンジェンシーを増加させる順に)、25℃、37℃、50℃、55℃および68℃のインキュベーション温度;10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSCの緩衝液濃度(ここで、SSCは0.15M NaClおよび15mMクエン酸緩衝液である)および他の緩衝液系を用いるそれらの等価物;0%、25%、50%および75%のホルムアミド濃度;5分〜24時間のインキュベーション時間;1、2回以上の洗浄ステップ;1、2または15分の洗浄インキュベーション時間;ならびに6×SSC、1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄溶液を含む。ハイブリダイゼーション技術およびそれらの最適化は、当該技術分野で周知である[例えば、参考文献11および222などを参照されたい]。
【0089】
本発明は、これらの配列に相補的な配列を含む核酸を含む(例えば、アンチセンスもしくはプローブ(probing)のため、またはプライマーとして用いるため)。
【0090】
本発明による核酸は、種々の形態をとることができる(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識された形態など)。本発明の核酸は、環状または分岐状であってよいが、一般的には直鎖状である。そうでないと明記しない限り、またはそうでないことが要求されない限り、核酸を利用する本発明の任意の実施形態は、二本鎖の形態と、二本鎖の形態を構成する2つの相補的一本鎖の形態のそれぞれとの両方を利用し得る。プライマーおよびプローブは、アンチセンス核酸と同様に、一般的に一本鎖である。
【0091】
本発明の核酸は、精製または実質的に精製された形態、すなわち、他の核酸を実質的に含まない形態(例えば、天然に存在する核酸を含まない)、特に、他のGBSの核酸または宿主細胞の核酸を実質的に含まない形態で提供されることが好ましく、一般的に、少なくとも約50%純粋(重量)、通常少なくとも約90%純粋である。本発明の核酸は、好ましくは、GBSの核酸である。
【0092】
本発明の核酸は、例えば、全体的もしくは部分的に化学合成(例えば、DNAのホスホラミダイト合成)によって、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を用いてより長い核酸を消化することによって、ゲノムもしくはcDNAライブラリーから、より短い核酸もしくはヌクレオチドを(例えば、リガーゼもしくはポリメラーゼを用いて)連結することによって、などの多くの方法で調製できる。
【0093】
本発明の核酸を、固体支持体(例えば、ビーズ、プレート、フィルタ、フィルム、スライド、マイクロアレイ支持体、樹脂など)に付着させることができる。本発明の核酸は、例えば、放射性標識もしくは蛍光標識またはビオチン標識で標識することができる。このことは、検出技術において核酸を用いる場合、例えば、核酸がプライマーであるか、またはプローブとしてである場合は特に有用である。
【0094】
用語「核酸」は、一般的に、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよび/またはそれらの類似体を含む任意の長さのヌクレオチドのポリマーの形態の意味を含む。これは、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドを含む。これは、改変骨格(例えば、ペプチド核酸(PNA)もしくはホスホロチオエート)または改変塩基を含有するものなどのDNAまたはRNA類似体も含む。よって、本発明は、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸、分岐状核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマーなどを含む。本発明の核酸がRNAの形態をとる場合、これは、5’キャップを有しても有さなくてもよい。
【0095】
本発明の核酸は、ベクターの一部、すなわち、1または複数の細胞型の形質導入/トランスフェクションのために設計された核酸構築物の一部であってよい。ベクターは、例えば、挿入されたヌクレオチドの単離、増幅(propagation)および複製のために設計された「クローニングベクター」、宿主細胞中のヌクレオチド配列の発現のために設計された「発現ベクター」、組換えウイルスもしくはウイルス様粒子の生成をもたらすために設計された「ウイルスベクター」または1より多い型のベクターの属性を含む「シャトルベクター」であってよい。好ましいベクターは、プラスミドである。「宿主細胞」は、外来核酸を受容できるか、または受容した個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の子孫を含み、子孫は、天然の、偶然の、または故意の変異および/または変更のために元の親の細胞と完全に同一(形態的に、または全体のDNA総量において)である必要はない。宿主細胞は、本発明の核酸にin vivoもしくはin vitroにてトランスフェクトまたは感染した細胞を含む。
【0096】
核酸がDNAである場合、RNA配列中の「U」がDNAにおいては「T」に置き換わることが認識されるであろう。同様に、核酸がRNAである場合、DNA配列中の「T」は、RNAにおいては「U」に置き換わることが認識されるであろう。
【0097】
核酸に関連して用いる場合の用語「相補体(complement)」または「相補的」とは、ワトソン−クリック塩基対形成を指す。よって、Cの相補体はGであり、Gの相補体はCであり、Aの相補体はT(またはU)であり、T(またはU)の相補体はAである。I(プリンであるイノシン)などの塩基を用いて、例えば、ピリミジン(CまたはT)を相補することも可能である。
【0098】
本発明の核酸を、例えば、ポリペプチドをin vitroまたはin vivoで生成するため;生体試料中の核酸の検出のためのハイブリダイゼーションプローブとして;核酸のさらなるコピーを作製するため;リボザイムもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製するため;一本鎖DNAプライマーもしくはプローブとして;または3重鎖形成オリゴヌクレオチドとして用いることができる。
【0099】
本発明は、核酸が、部分的または全体的に化学的手段を用いて合成される、本発明の核酸を生成するプロセスを提供する。
【0100】
本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(例えば、クローニングまたは発現ベクター)およびそのようなベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0101】
(免疫原性組成物)
本発明のポリペプチドおよびハイブリッドポリペプチドは、免疫原性組成物中の活性成分として有用である。そのような免疫原性組成物は、ワクチンとして有用であり得る。これらのワクチンは、予防的(すなわち感染を防ぐ)または治療的(すなわち感染を処置する)のいずれかであってよいが、典型的には予防的である。
【0102】
組成物は、よって、薬学的に許容され得る。これらは、通常、抗原に加えて成分を含み、例えば、これらは、典型的には、1または複数の薬学的キャリア、および/または賦形剤を含む。このような成分の詳細な考察は、参考文献[217]で入手可能である。
【0103】
組成物は、一般的に、哺乳動物に水性形態で投与される。しかし、投与の前に、組成物は非水性形態であってよい。例えば、いくつかのワクチンは水性形態で製造され、次いで充填および配布され、同じく水性形態で投与されるが、その他のワクチンは製造中に凍結乾燥され、使用時に水性形態に再構成される。よって、本発明の組成物は、凍結乾燥処方物のように乾燥され得る。
【0104】
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールのような防腐剤を含んでよい。しかし、好ましくは、ワクチンは、水銀性物質を実質的に含まない(すなわち5μg/ml未満)、例えばチオメルサールを含まないようにすべきである。水銀を含まないワクチンがより好ましい。防腐剤を含まないワクチンが特に好ましい。
【0105】
張度を制御するために、ナトリウム塩のような生理的な塩を含むことが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20mg/ml、例えば約10±2mg/ml NaClで存在してよい。存在し得るその他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム無水物(disodium phosphate dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどを含む。
【0106】
組成物は、一般的に、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し、より好ましくは、290〜310mOsm/kgの範囲内にある。
【0107】
組成物は、1または複数の緩衝剤を含んでよい。典型的な緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤、Tris緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤(特に水酸化アルミニウムアジュバントとともに)またはクエン酸塩緩衝剤を含む。緩衝剤は、典型的には、5〜20mMの範囲で含まれる。
【0108】
組成物のpHは、一般的に、5.0〜8.1であり、より典型的には6.0〜8.0、例えば6.5および7.5、または7.0〜7.8である。
【0109】
組成物は、好ましくは滅菌されている。組成物は、好ましくは非発熱性であり、例えば用量あたり<1EU(内毒素単位、標準的な尺度)、好ましくは用量あたり<0.1EUを含有する。組成物は、好ましくは、グルテンを含まない。
【0110】
組成物は、単回の免疫化のための物質を含んでも、複数回の免疫化(すなわち「複数回用量(multidose)」キット)のための物質を含んでもよい。複数回用量の構成(arrangement)において、防腐剤を含むことが好ましい。複数回用量組成物に防腐剤を含める代わり(またはそれに加えて)に、組成物を、物質を取り出すための無菌アダプタを有する容器中に入れてよい。
【0111】
ヒトワクチンは、典型的には、約0.5mlの投与容積で投与されるが、小児には半分の用量(すなわち約0.25ml)を投与してよい。
【0112】
本発明の免疫原性組成物は、1または複数の免疫調節剤も含んでよい。好ましくは、免疫調節剤の1または複数は、1または複数のアジュバントを含む。アジュバントは、以下でさらに論じるTH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを含んでよい。
【0113】
本発明の組成物で使用され得るアジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(A.無機質含有組成物)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切な無機質含有組成物としては、アルミニウム塩およびカルシウム塩などの無機塩が挙げられる。本発明は、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩などの無機塩[例えば、参考文献12の第8章および第9章を参照されたい]、または異なる無機化合物の混合物を含み、これらの化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり、吸着されることが好ましい。無機質含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方されてもよい。
【0114】
「水酸化アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的には、オキシ水酸化アルミニウム塩であり、これは、通常、少なくとも部分的に結晶性である。式AlO(OH)により表すことができるオキシ水酸化アルミニウムを、赤外線(IR)分光法により、特に、1070cm−1での吸着バンドおよび3090〜3100cm−1での強いショルダーの存在により、水酸化アルミニウムAl(OH)などの他のアルミニウム化合物と区別することができる[参考文献12の第9章]。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶化度の程度は、半分の高さでの回折バンドの幅(WHH)により反映され、結晶性の乏しい粒子は、より小さい晶子サイズに起因してより大きな線の広がりを示す。WHHが増加するにつれて表面積が増加し、より高いWHH値を有するアジュバントはより大きい抗原吸着能を有することが観察された。水酸化アルミニウムアジュバントについて、繊維状の形態(例えば透過型電子顕微鏡写真で観察されるような)が典型的である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、典型的には約11であり、すなわちアジュバント自体が生理的pHにおいて正の表面電荷を有する。pH7.4にてAl+++1mgあたり1.8〜2.6mgのタンパク質吸着能が、水酸化アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0115】
「リン酸アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的には、少量の硫酸塩も頻繁に含有しているヒドロキシリン酸アルミニウムである(すなわち、アルミニウムヒドロキシホスフェートサルフェート(aluminium hydroxyphosphate sulfate))。これらは、沈殿により得ることができ、沈殿中の反応条件および濃度は、塩中のヒドロキシルに対するホスフェートの置換の程度に影響する。ヒドロキシホスフェートは、一般的には、0.3〜1.2のモル比のPO/Alを有する。ヒドロキシホスフェートを、ヒドロキシル基の存在により厳密なAlPOと区別できる。例えば、3164cm−1でのIRスペクトルバンド(例えば、200℃に加熱した場合)は、ヒドロキシル構造の存在を示唆する[参考文献12の第9章]。
【0116】
リン酸アルミニウムアジュバントのPO/Al3+モル比は、一般的には、0.3〜1.2、好ましくは、0.8〜1.2、より好ましくは、0.95±0.1である。リン酸アルミニウムは、ヒドロキシリン酸塩については特に、一般的に非晶質である。典型的なアジュバントは、0.84〜0.92のPO/Alモル比を有する非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、0.6mg Al3+/mlで含まれる。リン酸アルミニウムは、一般的に粒子状である(例えば透過型電子顕微鏡写真で観察されるようなプレート様の形態)。粒子の典型的な直径は、任意の抗原吸着後に、0.5〜20μmの範囲(例えば約5〜10μm)である。pH7.4にてAl+++1mgあたり0.7〜1.5mgのタンパク質吸着能が、リン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0117】
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルに対するホスフェートの置換の程度と反比例し、この置換の程度は、沈殿により塩を調製するために用いる反応条件および反応物の濃度に依存して変動できる。PZCは、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変化させること(より多いホスフェート=より酸性側のPZC)、またはヒスチジン緩衝剤のような緩衝剤を加えること(PZCをより塩基性にする)によっても変更される。本発明に従って用いられるリン酸アルミニウムは、一般的に、4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.5、例えば約5.7のPZCを有する。
【0118】
本発明の組成物を調製するために用いられるアルミニウム塩の懸濁物は、緩衝剤(例えばリン酸緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤またはTris緩衝剤)を含有してよいが、このことは常に必要というわけではない。懸濁物は、好ましくは、滅菌されており、発熱物質を含まない。懸濁物は、例えば1.0〜20mM、好ましくは5〜15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在する遊離の水性リン酸イオンを含んでよい。懸濁物は、塩化ナトリウムも含んでよい。
【0119】
一実施形態において、アジュバント成分は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物を使用することができる。この場合、水酸化アルミニウムよりも多くのリン酸アルミニウムが存在し得、例えば、少なくとも2:1、例えば≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比であってよい。
【0120】
患者に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは10mg/ml未満、例えば≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。最大<0.85mg/用量が好ましい。
【0121】
(B.油性エマルジョン)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切な油性エマルジョン組成物は、MF59[参考文献12の第10章;参考文献13も参照されたい](マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロンの粒子に処方された5%スクアレン、0.5%Tween80および0.5%Span85)のようなスクアレン−水エマルジョンを含む。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も用いてよい。
【0122】
種々の適切な水中油型エマルジョンが公知であり、これらは、典型的には、少なくとも1種の油と少なくとも1種の界面活性剤とを含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生分解性(代謝可能)であり、生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、通常、直径5μm未満であり、有利にはエマルジョンは、サブミクロンの直径を有する油滴を含み、これらの小さいサイズは、マイクロフルイダイザーを用いて達成され、安定なエマルジョンを提供する。220nm未満のサイズの液滴は、フィルタ滅菌に供することができるので好ましい。
【0123】
本発明は、動物(例えば魚類)または植物供給源からのもののような油とともに使用され得る。植物油の供給源は、堅果、種子および穀粒を含む。ピーナツ油、大豆油、ヤシ油およびオリーブ油が、最も一般的に入手可能な堅果油の例である。例えばホホバ豆から得られるホホバ油を用いることができる。種子油は、紅花油、綿実油、ひまわり種子油、ごま油などを含む。穀粒の群において、コーン油が最も容易に入手可能であるが、コムギ、オート麦、ライムギ、コメ、テフ、ライコムギなどのようなその他の穀類の穀粒の油も用いてよい。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素脂肪酸エステルは、種子油中に天然には存在しないが、堅果油および種子油から出発する適切な材料の加水分解、分離およびエステル化により調製し得る。哺乳動物の乳からの脂肪および油は代謝可能であり、よって、本発明の実施において用いてよい。動物供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、けん化およびその他の手段の手順は、当該技術分野において周知である。ほとんどの魚類は、容易に収集し得る代謝可能な油を含有する。例えば、タラ肝油、サメ肝油および鯨ろうのような鯨油は、本明細書において用い得る魚油のいくつかの例である。いくつかの分岐鎖油が、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、通常、テルペノイドと呼ばれる。サメ肝油は、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして公知の分岐不飽和テルペノイドを含有する。他の好ましい油は、トコフェロール類(以下を参照のこと)である。スクアレンを含む水中油型エマルジョンが特に好ましい。油の混合物を用いることができる。
【0124】
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)により分類できる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、それらに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenと呼ばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;直鎖状EO/POブロックコポリマーのようなDOWFAXTMの商品名の下で販売されるエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が変動し得るオクトキシノール、特にオクトキシノール−9(TritonX−100またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が興味深い;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)のようなリン脂質;トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30)のようなラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として公知である);ならびにソルビタントリオレエート(Span85)およびソルビタンモノラウレートのようなソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知である)を含む界面活性剤を用いることができる。エマルジョンに含めるために好ましい界面活性剤は、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span85(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTritonX−100である。上記のように、Tween 80のような洗浄剤は、以下の実施例で見られる熱安定性に寄与し得る。
【0125】
界面活性剤の混合物、例えばTween80/Span85混合物を用いることができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)のようなポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TritonX−100)のようなオクトキシノールとの組み合わせも適切である。別の有用な組み合わせは、ラウレス−9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールとを含む。
【0126】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばTween80)0.01〜1%、特に約0.1%;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えばTritonX−100またはTritonシリーズのその他の洗浄剤)0.001〜0.1%、特に0.005〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えばラウレス9)0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に0.1〜1%または約0.5%である。
【0127】
本発明で有用な具体的な水中油型エマルジョンアジュバントは、それらに限定されないが、以下のものを含む。
【0128】
・スクアレン、Tween80およびSpan85のサブミクロンのエマルジョン。エマルジョンの容積での組成は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80および約0.5%Span85であり得る。重量の点において、これらの比率は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.48%Span85になる。このアジュバントは、参考文献17の第10章および参考文献18の第12章により詳細に記載されるように、「MF59」[14〜16]として公知である。有利には、MF59エマルジョンは、クエン酸イオン、例えば10mMクエン酸ナトリウム緩衝剤を含む。
【0129】
・スクアレン、αトコフェロールおよびポリソルベート80のエマルジョン。これらのエマルジョンは、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロールおよび0.3〜3%Tween80を有してよく、スクアレン:トコフェロールの重量比は、より安定なエマルジョンが得られるので、好ましくは≦1(例えば、0.90)である。スクアレンとTween80とは、約5:2の容積比または約11:5の重量比で存在してよい。あるこのようなエマルジョンは、Tween80をPBS中に溶解して2%溶液を得て、次いで90mlのこの溶液を、(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlスクアレン)の混合物と混合し、次いで混合物をマイクロフルイダイズすることにより作製できる。得られるエマルジョンは、例えば、100〜250nm、好ましくは約180nmの平均直径のサブミクロンの油滴を有し得る。
【0130】
・スクアレン、トコフェロールおよびTriton洗浄剤(例えばTritonX−100)のエマルジョン。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい(下記参照)。エマルジョンは、リン酸緩衝剤を含有してよい。
【0131】
・ポリソルベート(例えばポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えばTritonX−100)およびトコフェロール(例えばα−コハク酸トコフェロール)を含むエマルジョン。エマルジョンは、これらの3成分を、約75:11:10の質量比で含んでよく(例えば750μg/mlポリソルベート80、110μg/ml TritonX−100および100μg/ml α−コハク酸トコフェロール)、これらの濃度は、抗原からのこれらの成分のいずれの寄与も含むべきである。エマルジョンは、スクアレンも含んでよい。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい(下記参照)。水相は、リン酸緩衝剤を含有してよい。
【0132】
・スクアラン、ポリソルベート80およびポロキサマー401(「PluronicTML121」)のエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝食塩水、pH7.4中で処方できる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドについての有用な送達ビヒクルであり、スレオニル−MDPとともに「SAF−1」アジュバント中で用いられている[19](0.05〜1%Thr−MDP、5%スクアラン、2.5%PluronicL121および0.2%ポリソルベート80)。これは、「AF」アジュバントでのようにThr−MDPなしで用いることもできる[20](5%スクアラン、1.25%PluronicL121および0.2%ポリソルベート80)。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
【0133】
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン界面活性剤(例えばポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)および疎水性非イオン界面活性剤(例えばソルビタンモノオレエートまたは「Span80」のようなソルビタンエステルまたはマンニドエステル)を含むエマルジョン。エマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、かつ/または少なくとも90%の油滴(容積による)が200nm未満のサイズである[21]。エマルジョンは、アルジトール、凍結保護剤(例えばドデシルマルトシドおよび/またはスクロースのような糖)、および/またはアルキルポリグリコシドの1または複数も含んでよい。このようなエマルジョンは、凍結乾燥してよい。
【0134】
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質および0.05〜5%の非イオン界面活性剤を含むエマルジョン。参考文献22に記載されるように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
【0135】
・代謝不可能油(例えば軽油(light mineral oil))および少なくとも1種の界面活性剤(例えばレシチン、Tween80またはSpan80)のサブミクロンの水中油型エマルジョン。QuilAサポニン、コレステロール、サポニン親油性結合体(例えば脂肪族アミンをデスアシルサポニンに、グルクロン酸のカルボキシル基を介して付加することにより生成される、参考文献23に記載されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(dimethyidioctadecylammonium)ブロミドおよび/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンのような添加物を含んでよい。
【0136】
・鉱油、非イオン親油性エトキシ化脂肪アルコールおよび非イオン親水性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[24]。
【0137】
・鉱油、非イオン親水性エトキシ化脂肪アルコールおよび非イオン親油性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[24]。
【0138】
・サポニン(例えば、QuilAまたはQS21)およびステロール(例えば、コレステロール)が、らせん状ミセルとして会合しているエマルジョン[25]。
【0139】
組成物中の抗原およびアジュバントは、典型的には、患者への送達の時点で混合される。エマルジョンを、製造中に、または送達の時点で即席で抗原と混合してもよい。よって、アジュバントおよび抗原は、使用時の最終的な処方のために準備された、パッケージまたは分配されたワクチンにおいて別々に保持され得る。抗原は、一般的に、ワクチンが2つの液体を混合することにより最終的に調製されるように水性の形態にある。混合するための2つの液体の容積比は変動し得る(例えば5:1〜1:5)が、一般的には約1:1である。
【0140】
(C.サポニン処方物[参考文献12の第22章])
サポニン処方物を、本発明においてアジュバントとして用いてもよい。サポニンは、広範囲の種の植物の樹皮、葉、茎、根および花でさえも見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの不均質な群である。Quillaia saponaria Molinaの木の樹皮からのサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンは、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライズヴェイル(brides veil))およびSaponaria officianalis(ソープルート)から商業的に得ることもできる。サポニンアジュバント処方物は、QS21のような精製処方物およびISCOMのような脂質処方物を含む。QS21は、StimulonTMとして市販されている。
【0141】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されている。QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む、これらの技術を用いた具体的な精製画分が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生成方法は、参考文献26に開示されている。サポニン処方物は、コレステロールのようなステロールも含んでよい[27]。
【0142】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを用いて、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独特の粒子を形成できる[参考文献12の第23章]。ISCOMは、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンのようなリン脂質も含む。任意の公知のサポニンを、ISCOMで用いることができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHAおよびQHCの1または複数を含む。ISCOMは、参考文献27〜29にさらに記載されている。所望により、ISCOMSは、さらなる洗浄剤を欠いていてよい[30]。
【0143】
サポニンに基づくアジュバントの開発の概説は、参考文献31および32で見出すことができる。
【0144】
(D.ビロソームおよびウイルス様粒子)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)を、本発明においてアジュバントとして用いることもできる。これらの構造は、一般的に、所望によりリン脂質と組み合わされたかもしくはそれとともに処方されたウイルスからの1または複数のタンパク質を含有する。これらは、一般的に、非病原性で、非複製性であり、一般的に、いずれの天然ウイルスゲノムも含有しない。ウイルスタンパク質は、組換え生成されても、またはウイルス全体から単離されてもよい。ビロソームまたはVLPで用いるために適切なこれらのウイルスタンパク質は、インフルエンザウイルス(例えばHAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えばコアまたはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(例えばコートタンパク質)、GAファージ、frファージ、AP205ファージおよびTy(例えばレトロトランスポゾンTyタンパク質p1)に由来するタンパク質を含む。VLPは、参考文献33〜38においてさらに論じられている。ビロソームは、例えば参考文献39においてさらに論じられている。
【0145】
(E.細菌または微生物誘導体)
本発明で用いるために適切なアジュバントは、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドならびにADP−リボシル化毒素およびその解毒化誘導体のような細菌または微生物誘導体を含む。
【0146】
LPSの非毒性誘導体は、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)を含む。3dMPLは、4、5または6のアシル化された鎖を有する3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」の形態は、参考文献40に開示されている。3dMPLのこのような「小粒子」は、0.22μmの膜を通して滅菌ろ過されるために十分小さい[40]。その他の非毒性LPS誘導体は、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えばRC−529のようなモノホスホリルリピドA模倣物を含む[41、42]。
【0147】
リピドA誘導体は、OM−174のようなEscherichia coliからのリピドAの誘導体を含む。OM−174は、例えば参考文献43および44に記載されている。
【0148】
本発明においてアジュバントとして用いるために適切な免疫刺激オリゴヌクレオチドは、CpGモチーフ(リン酸結合(phosphate bond)によりグアノシンと連結された非メチル化シトシンを含有するジヌクレオチド配列)を含有するヌクレオチド配列を含む。2本鎖RNAおよびパリンドロームまたはポリ(dG)配列を含有するオリゴヌクレオチドも、免疫刺激性であることが示されている。
【0149】
CpGは、ホスホロチオエート改変のようなヌクレオチド改変/類似体を含むことができ、2本鎖または1本鎖であり得る。参考文献45、46および47は、可能性のある類似体置換、例えば2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでのグアノシンの置き換えを開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献48〜53においてさらに論じられている。
【0150】
CpG配列は、モチーフGTCGTTまたはTTCGTT[54]のようにTLR9に向けられることがある。CpG配列は、CpG−A ODNのようにTh1免疫応答を誘導するために特異的であり得るか、またはCpG−B ODNのようにB細胞応答を誘導するためにより特異的であり得る。CpG−AおよびCpG−B ODNは、参考文献55〜57において論じられている。好ましくは、CpGは、CpG−A ODNである。
【0151】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、受容体認識のために5’端が近付くことができるように構築されている。所望により、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列をそれらの3’端で付着させて、「イムノマー(immunomer)」を形成してよい。例えば、参考文献54および58〜60を参照されたい。
【0152】
免疫刺激オリゴヌクレオチドに基づく特に有用なアジュバントは、IC−31TMとして公知である[61]。よって、本発明で用いられるアジュバントは、(i)少なくとも1つ(好ましくは複数)のCpIモチーフ(すなわち、イノシンと連結されてジヌクレオチドを形成するシトシン)を含むオリゴヌクレオチド(例えば15〜40のヌクレオチド)と、(ii)少なくとも1つ(好ましくは複数)のLys−Arg−Lysトリペプチド配列を含むオリゴペプチド(例えば5〜20のアミノ酸)のようなポリカチオンポリマーとの混合物を含んでよい。オリゴヌクレオチドは、26merの配列5’−(IC)13−3’(配列番号32)を含むデオキシヌクレオチドであってよい。ポリカチオンポリマーは、11merのアミノ酸配列KLKLLLLLKLK(配列番号33)を含むペプチドであってよい。
【0153】
細菌ADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体は、本発明においてアジュバントとして用いてよい。好ましくは、タンパク質は、E.coli(E.coli熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)または百日咳(「PT」)に由来する。解毒化ADPリボシル化毒素を粘膜アジュバントとして用いることは、参考文献62に記載され、非経口アジュバントとして用いることは、参考文献63に記載されている。毒素またはトキソイドは、好ましくは、AおよびBのサブユニットをともに含むホロ毒素の形態にある。好ましくは、Aサブユニットは解毒化変異を含有し、好ましくは、Bサブユニットは変異されていない。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72およびLT−G192のような解毒化LT変異体である。アジュバントとしてADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体、特にLT−K63およびLT−R72を用いることは、参考文献64〜71で見出すことができる。有用なCT変異体は、CT−E29Hである[72]。アミノ酸置換についての数字の参照は、好ましくは、参考文献73(その全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれている)に示されるADPリボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0154】
(F.ヒト免疫調節物質)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切なヒト免疫調節物質は、インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12[74]など)[75]、インターフェロン(例えばインターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子のようなサイトカインを含む。好ましい免疫調節物質は、IL−12である。
【0155】
(G.生体付着性物質(bioadhesive)および粘膜付着性物質(mucoadhesive))
生体付着性物質および粘膜付着性物質も、本発明においてアジュバントとして用いてよい。適切な生体付着性物質は、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア[76]、またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体のような粘膜付着性物質を含む。キトサンおよびその誘導体も、本発明においてアジュバントとして用いてよい[77]。
【0156】
(H.微小粒子)
微小粒子も、本発明においてアジュバントとして用いてよい。ポリ(ラクチド−co−グリコリド)に加えて、生分解性で非毒性の物質(例えばポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)で形成された微小粒子(すなわち直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜約30μm、最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)が好ましく、これらは、所望により、負に荷電された表面(例えばSDSで)または正に荷電された表面(例えばCTABのようなカチオン洗浄剤で)を有するように処理される。
【0157】
(I.リポソーム(参考文献12の第13および14章))
アジュバントとして用いるために適切なリポソーム処方物の例は、参考文献78〜80に記載されている。
【0158】
(J.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明で用いるために適切なアジュバントは、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルを含む[81]。このような処方物は、さらに、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤[82]、およびオクトキシノールのような少なくとも1つの追加の非イオン界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤[83]を含む。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン(polyoxytheylene)−8−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0159】
(K.ポリホスファゼン(PCPP))
例えば参考文献84および85に、PCPP処方物が記載される。
【0160】
(L.ムラミルペプチド)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切なムラミルペプチドの例は、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む。
【0161】
(M.イミダゾキノロン化合物)
本発明においてアジュバントを使用するための適切なイミダゾキノロン化合物の例としては、参考文献86および87にさらに記載された、イミキモド(Imiquamod)およびその同族化合物(例えば、「レシキモド3M」が挙げられる。
【0162】
本発明はまた、上記で同定されたアジュバントのうちの1または複数の態様の組み合わせを含んでもよい。例えば、以下のアジュバント組成物を本発明において用いることができる:(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン[88];(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)[89];(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて、+ステロール)[90];(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ[91];(6)サブミクロンのエマルジョンになるようにマイクロフルイダイズされたか、またはより大きい粒子サイズのエマルジョンを生じるようにボルテックスされた10%スクアレン、0.4%Tween 80(商標)、5%プルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含有するSAF;(7)2%スクアレン、0.2%Tween 80、ならびにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(trehalose dimycolate)(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の1または複数の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))を含有するRibi(商標)アジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);ならびに(8)1または複数の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(3dMPLなど)。
【0163】
免疫刺激剤として作用する他の物質は、参考文献12の第7章に開示されている。
【0164】
水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用は、特に、小児において有用であり、抗原は、一般的に、これらの塩に吸着される。水中スクアレン型エマルジョンも、特に、高齢者において好ましい。有用なアジュバントの組み合わせは、CpGおよびalum、またはレシキモドおよびalumのようなTh1アジュバントおよびTh2アジュバントの組み合わせを含む。リン酸アルミニウムと3dMPLとの組み合わせを用いてよい。
【0165】
本発明の組成物は、細胞媒介性免疫応答と体液性免疫応答をともに惹起し得る。
【0166】
2つの型のT細胞、すなわちCD4およびCD8細胞は、一般的に、細胞媒介性免疫および体液性免疫を開始および/または増進するために必要であると考えられている。CD8 T細胞は、CD8共受容体を発現でき、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と一般に呼ばれる。CD8 T細胞は、MHCクラスI分子上に提示される抗原を認識でき、またはそれと相互作用できる。
【0167】
CD4 T細胞は、CD4共受容体を発現でき、Tヘルパー細胞と一般に呼ばれる。CD4 T細胞は、MHCクラスII分子と結合した抗原性ペプチドを認識できる。MHCクラスII分子との相互作用により、CD4細胞は、サイトカインのような因子を分泌できる。これらの分泌されたサイトカインは、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージおよび免疫応答に参加するその他の細胞を活性化できる。ヘルパーT細胞またはCD4+細胞は、2つの機能的に異なるサブセット、すなわちそれらのサイトカインおよびエフェクター機能が異なるTH1表現型およびTH2表現型にさらに分けることができる。
【0168】
活性化TH1細胞は、細胞性免疫を増進し(抗原特異的CTLの生成の増加を含む)、よって、細胞内感染に対する応答において特に価値がある。活性化TH1細胞は、IL−2、IFN−γおよびTNF−βの1または複数を分泌し得る。TH1免疫応答は、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞およびCD8細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化することにより局所的炎症反応をもたらし得る。TH1免疫応答は、BおよびT細胞の増殖を、IL−12を用いて刺激することにより免疫応答を拡大するように作用することもある。TH1刺激B細胞は、IgG2aを分泌し得る。
【0169】
活性化TH2細胞は、抗体生成を増進し、よって、細胞外感染に対する応答において価値がある。活性化TH2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10の1または複数を分泌し得る。TH2免疫応答は、IgG1、IgE、IgAおよび将来の防御のためのメモリーB細胞の生成をもたらし得る。
【0170】
免疫応答の増進は、TH1免疫応答の増進およびTH2免疫応答の増進の1または複数を含み得る。
【0171】
TH1免疫応答は、CTLの増加、TH1免疫応答と関連するサイトカインの1もしくは複数(例えばIL−2、IFN−γおよびTNF−β)の増加、活性化マクロファージの増加、NK活性の増加、またはIgG2aの生成の増加の1または複数を含み得る。好ましくは、TH1免疫応答の増進は、IgG2a生成の増加を含む。
【0172】
TH1免疫応答は、TH1アジュバントを用いて惹起し得る。TH1アジュバントは、一般的に、アジュバントなしの抗原での免疫化と比べて、増加したレベルのIgG2a生成を惹起する。本発明で用いるために適切なTH1アジュバントは、例えばサポニン処方物、ビロソームおよびウイルス様粒子、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドを含んでよい。CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドのような免疫刺激オリゴヌクレオチドは、本発明で用いるために好ましいTH1アジュバントである。
【0173】
TH2免疫応答は、TH2免疫応答と関連するサイトカインの1もしくは複数(例えばIL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)の増加、またはIgG1、IgE、IgAおよびメモリーB細胞の生成の増加の1または複数を含み得る。好ましくは、TH2免疫応答の増進は、IgG1生成の増加を含む。
【0174】
TH2免疫応答は、TH2アジュバントを用いて惹起し得る。TH2アジュバントは、一般的に、アジュバントなしの抗原での免疫化と比べて、増加したレベルのIgG1生成を惹起する。本発明で用いるために適切なTH2アジュバントは、例えば無機質含有組成物、油性エマルジョンならびにADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体を含む。アルミニウム塩のような無機質含有組成物は、本発明で用いるために好ましいTH2アジュバントである。
【0175】
組成物は、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含み得る。好ましくは、このような組成物は、増進されたTH1応答および増進されたTH2応答を惹起し、すなわちアジュバントなしでの免疫化と比べて、IgG1生成およびIgG2a生成の両方の生成の増加を惹起する。さらにより好ましくは、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含む組成物は、単一アジュバントを用いる免疫化と比べて(すなわち、TH1アジュバントのみでの免疫化またはTH2アジュバントのみでの免疫化と比べて)、TH1免疫応答の増加および/またはTH2免疫応答の増加を惹起する。
【0176】
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2応答の一方または両方であってよい。好ましくは、免疫応答は、TH1応答の増進およびTH2応答の増進の一方または両方をもたらす。
【0177】
免疫応答の増進は、全身免疫応答および粘膜免疫応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、全身免疫応答の増進および粘膜免疫応答の増進の一方または両方をもたらす。好ましくは、粘膜免疫応答は、TH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答は、IgAの生成の増加を含む。
【0178】
連鎖球菌感染は、体の種々の領域に影響し得、よって、本発明の組成物は、種々の形態で調製してよい。例えば、組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかとしての注射剤(injectable)として調製してよい。注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁するために適切な固体の形態も調製できる(例えば凍結乾燥組成物または噴霧凍結乾燥組成物)。組成物は、表面投与(topical administration)用に、例えば軟膏剤、クリームまたは散剤として調製してよい。組成物は、経口投与用に、例えば錠剤もしくはカプセル剤として、噴霧剤として、またはシロップ剤(必要に応じて矯味矯臭される)として調製してよい。組成物は、肺投与用に、例えば微細粉末または噴霧剤を用いる吸入器として調製してよい。組成物は、坐剤または膣坐剤として調製してよい。組成物は、鼻、耳または眼の投与用に、例えば滴剤として調製してよい。組成物は、組み合わせた組成物が、患者への投与の直前に再構成されるように設計されたキットの形態であってよい。このようなキットは、液体の形態の1または複数の抗原と、凍結乾燥された1または複数の抗原とを含んでよい。
【0179】
組成物が使用前に即席で調製され(例えば成分が凍結乾燥された形態である場合)、かつキットである場合、キットは2つのバイアルを含んでも、1つの充填済み(ready−filled)シリンジと1つのバイアルとを含んでもよく、シリンジの内容物は、注射前にバイアルの内容物を再活性化するために用いられる。
【0180】
ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)と、必要に応じて任意のその他の成分とを含む。「免疫学的有効量」により、単回用量または一連のものの一部のいずれかとしてその量を個体に投与することが、処置または予防のために効果的であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および身体の状態、年齢、処置される個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、所望される防御の程度、ワクチンの処方、医学的状態についての処置医師の評価、およびその他の関連する要因に依存して変動する。この量は、日常的な試験により決定できる比較的広い範囲内にあると予測される。
【0181】
(核酸免疫化)
上記の免疫原性組成物は、GBSに由来するポリペプチド抗原を含む。しかし、全ての場合において、ポリペプチド(およびハイブリッドポリペプチド)抗原を、これらのポリペプチドをコードする核酸(典型的には、DNA)により置き換えて、核酸免疫化に基づく組成物、方法および使用を得ることができる[92〜99]。
【0182】
免疫原をコードする核酸は、患者に送達された後にインビボにおいて発現し、発現した免疫原が、次いで、免疫系を刺激する。活性成分は、典型的には、(i)プロモーターと、(ii)プロモーターに作動可能に連結した免疫原をコードする配列と、所望により(iii)選択マーカーとを含む核酸ベクターの形態をとる。好ましいベクターは、(iv)複製起点と、(v)(ii)の下流であって(ii)に作動可能に連結した転写ターミネーターとをさらに含んでよい。一般的に、(i)および(v)は真核生物のものであり、(iii)および(iv)は原核生物のものである。
【0183】
好ましいプロモーターは、例えばサイトメガロウイルス(CMV)からのウイルスプロモーターである。ベクターは、プロモーターに加えて転写調節配列(例えばエンハンサー)も含んでよく、これは、プロモーターと機能的に相互作用する。好ましいベクターは、前初期CMVエンハンサー/プロモーターを含み、より好ましいベクターは、CMVイントロンAも含む。プロモーターは、免疫原をコードする下流配列に作動可能に連結して、免疫原をコードする配列の発現がプロモーターの制御下になるようにする。
【0184】
マーカーを用いる場合、これは、好ましくは、微生物宿主内(例えば原核生物内、細菌内、酵母内)で機能する。マーカーは、好ましくは、原核生物選択マーカー(例えば原核生物プロモーターの制御下で転写される)である。簡便のために、典型的なマーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。
【0185】
ベクターは、好ましくは、プラスミドのような自己複製エピソームまたは染色体外ベクターである。
【0186】
ベクターは、好ましくは、複製起点を含む。複製起点は、原核生物内で活性であるが、真核生物内で活性でないことが好ましい。
【0187】
よって、好ましいベクターは、ベクターの選択のための原核生物マーカーと、原核生物の複製起点と、免疫原をコードする配列の転写を駆動する真核生物のプロモーターとを含む。ベクターは、よって、(a)ポリペプチドを発現することなく原核生物宿主において増幅されて選択されるが、(b)増幅されることなく真核生物宿主において発現される。この構成は、核酸免疫化ベクターについて理想的である。
【0188】
ベクターは、コード配列の下流に真核生物の転写ターミネーター配列を含んでよい。これは、転写レベルを増進できる。コード配列がそれ自体のものを有さない場合、ベクターは、好ましくは、ポリアデニル化配列を含む。好ましいポリアデニル化配列は、ウシ成長ホルモンに由来する。
【0189】
ベクターは、マルチクローニング部位を含んでよい。
【0190】
免疫原およびマーカーをコードする配列に加えて、ベクターは、第2真核生物コード配列を含んでよい。ベクターは、上記の第2配列の上流にIRESも含むことにより、免疫原と同じ転写産物からの第2真核生物ポリペプチドの翻訳を許容することもできる。代わりに、免疫原コード配列が、IRESの下流にあってよい。
【0191】
ベクターは、非メチル化CpGモチーフ、例えば2つの5’プリンと2つの3’ピリミジンとに挟まれた、グアノシンの前にシトシンを共通して有する非メチル化DNA配列を含んでよい。これらの非メチル化形態において、これらのDNAモチーフは、いくつかの型の免疫細胞の強力な刺激物質であることが証明されている。
【0192】
ベクターは、標的化様式で送達してよい。受容体媒介DNA送達技術が、例えば参考文献100〜105に記載されている。核酸を含有する治療組成物は、遺伝子治療プロトコールにおける局所投与のために約100ng〜約200mgの範囲のDNAで投与される。約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgのDNAの濃度範囲を、遺伝子治療プロトコール中に用いることもできる。作用の方法(例えばコードされる遺伝子産物のレベルを増進または阻害するための)ならびに形質転換および発現の効力のような因子は、最終的な効力のために要求される投与量に影響する、考慮すべき事項である。組織のより大きい領域にわたってより高い発現が所望される場合、より多い量のベクター、または逐次的投与プロトコールにおいて再投与される同じ量、または様々な近接もしくは近い組織部分への数回の投与が、正の治療転帰をもたらすために要求され得る。全ての場合において、臨床試験における日常的な実験が、最適な治療効果の特定の範囲を決定する。
【0193】
ベクターは、遺伝子送達ビヒクルを用いて送達できる。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルスの起源のものであり得る(一般的に、参考文献106〜109を参照されたい)。
【0194】
所望の核酸の送達および所望の細胞における発現のためのウイルスに基づくベクターは、当該技術分野において周知である。例示的なウイルスに基づくビヒクルは、それらに限定されないが、組換えレトロウイルス(例えば参考文献110〜120)、アルファウイルスに基づくベクター(例えばシンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC
VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR1249;ATCC VR−532);これらのウイルスのハイブリッドまたはキメラも用いてよい)、ポックスウイルスベクター(例えばワクシニア、鶏痘、カナリアポックス、改変ワクシニアAnkaraなど)、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む(例えば参考文献121〜126を参照されたい)。不活化(killed)アデノウイルスと連結されたDNA[127]の投与も用いることができる。
【0195】
それらに限定されないが、不活化アデノウイルスのみに連結されたかまたは連結されていないポリカチオン凝縮DNA[例えば127]、リガンド連結DNA[128]、真核細胞送達ビヒクル細胞[例えば参考文献129〜133]および核電荷中和または細胞膜との融合を含む非ウイルス送達ビヒクルおよび方法も用いることができる。裸のDNAも用いることができる。例示的な裸のDNA導入方法は、参考文献134および135に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用できるリポソーム(例えばイムノリポソーム)は、参考文献136〜140に記載されている。さらなるアプローチは、参考文献141および142に記載されている。
【0196】
用いるために適切なさらなる非ウイルス送達は、参考文献142に記載されているアプローチのような機械的送達系を含む。さらに、コード配列およびその発現の生成物は、光重合されたヒドロゲル物質の堆積または電離放射線の使用により送達できる[例えば参考文献143および144]。コード配列を送達するために用いることができる遺伝子送達のためのその他の従来の方法は、例えば、手持ち式遺伝子移入粒子銃(hand−held gene transfer particle gun)の使用[145]または移入された遺伝子を活性化するための電離放射線の使用[143および144]を含む。
【0197】
PLG{ポリ(ラクチド−co−グリコリド)}微小粒子を用いるDNAの送達は、例えば微小粒子への吸着による特に好ましい方法であり、これらの微小粒子は、所望により、負に荷電された表面(例えばSDSで処理される)または正に荷電された表面(例えばCTABのようなカチオン洗浄剤で処理される)を有するように処理される。
【0198】
(処置方法、およびワクチンの投与)
本発明はまた、上記のポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、核酸または免疫原性組成物の有効量を投与するステップを含む、哺乳動物における免疫応答を高めるための方法も提供する。免疫応答は、好ましくは防御的であり、好ましくは、抗体および/または細胞媒介性免疫を含む。前記方法は、追加免疫応答(booster response)を高めることができる。
【0199】
本発明はまた、例えば、哺乳動物における免疫応答を高めることにおいて用いるための医薬品として使用するための上記のポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、核酸または免疫原性組成物も提供する。
【0200】
本発明はまた、哺乳動物における免疫応答を高めるための医薬品の製造における、上記のポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、核酸または免疫原性組成物の使用も提供する。
【0201】
これらの使用および方法により哺乳動物において免疫応答を高めることにより、哺乳動物を、GBSにより引き起こされる疾患および/または感染、例えば、髄膜炎に対して防御することができる。
【0202】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物が予め充填された送達デバイスも提供する。
【0203】
哺乳動物は、好ましくはヒトである。ヒトは、好ましくは、10代の若者または成人である。
【0204】
治療的処置の効力を確認する1つの方法は、本発明の組成物の投与後のGBS感染をモニタリングすることを含む。予防的処置の効力を確認する1つの方法は、標準的な試験において免疫化後の血清を試験することを含む;例えば、防御効力を示す細菌をオプソニン化する能力を用いて、オプソニン食菌殺傷アッセイ(opsonophagocytic killing assay)(OPKA)において血清を試験することができる。予防的処置の効力を確認するための別の方法は、GBS感染の動物モデル、例えば、モルモットまたはマウスにおける免疫化後抗原投与を含む。1つのそのようなモデルは、参考文献146に記載されている。本発明の組成物の免疫原性を評価する別の方法は、患者の血清または粘膜分泌物をイムノブロットおよび/またはマイクロアレイによりスクリーニングするためにポリペプチドを組換え発現させることである。ポリペプチドと患者試料との間の陽性反応は、患者が、問題のポリペプチドに対する免疫応答を開始したことを示す。この方法を用いて、免疫優性抗原および/または抗原内のエピトープを同定することもできる。
【0205】
本発明の組成物は、一般的に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、もしくは組織の間質腔へ)、または直腸、経口(例えば、錠剤、噴霧剤)、膣、局所、経皮(transdermal)もしくは経皮(transcutaneous)、鼻内、眼、耳、肺もしくは他の粘膜投与など、粘膜を介して達成できる。
【0206】
本発明を用いて、全身および/または粘膜免疫を惹起する、好ましくは、増進された全身および/または粘膜免疫を惹起することができる。
【0207】
好ましくは、増進された全身および/または粘膜免疫は、増進されたTH1および/またはTH2免疫応答に反映される。好ましくは、増進された免疫応答は、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの生成の増加を含む。
【0208】
投薬は、単回用量計画または複数回用量計画によるものであってよい。複数回用量は、初回免疫化計画および/または追加免疫化計画で用いることができる。複数回用量計画において、種々の用量を、同じか、または異なる経路により与えてもよく、例えば、非経口による初回免疫(prime)と粘膜による追加免疫(booster)、粘膜による初回免疫と非経口による追加免疫などである。複数回用量は、典型的には、少なくとも1週間隔てて投与される(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)。
【0209】
本発明に従って調製されるワクチンを用いて、小児および成人の両方を処置することができる。よって、ヒト患者は、1歳未満、5歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であってよい。ワクチンを受ける好ましい患者は、青年(例えば、13〜20歳)、妊娠女性、および高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、および好ましくは≧65歳)である。しかし、ワクチンは、これらの群にのみ適するのではなく、集団においてより一般的に用いることができる。
【0210】
本発明により製造されるワクチンは、他のワクチンと実質的に同時に(例えば、医療専門家またはワクチン接種センターへの同じ医療相談または訪問中に)、例えば、風疹ワクチン、水痘ワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、不活化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合体ワクチン(四価A−C−W135−Yワクチンなど)、RSウイルスワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン、インフルエンザウイルスワクチン(汎流行性インフルエンザウイルスワクチンを含む)などと実質的に同時に患者に投与してもよい。
【0211】
また、本発明のワクチンは、抗ウイルス化合物、特に、インフルエンザウイルスに対して活性である抗ウイルス化合物(例えば、オセルタミビルおよび/またはザナミビル)と実質的に同時に(例えば、医療専門家への同じ医療相談または訪問中に)患者に投与してもよい。これらの抗ウイルス剤(antivirals)としては、ノイラミニダーゼ阻害剤、例えば、そのエステル(例えば、エチルエステル)およびその塩(例えば、リン酸塩)を含む、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸または5−(アセチルアミノ)−4−[(アミノイミノメチル)−アミノ]−2,6−アンヒドロ−3,4,5−トリデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトノン−2−エノン酸が挙げられる。好ましい抗ウイルス剤は、リン酸オセルタミビル(TAMIFLU(商標))としても公知の(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸、エチルエステル、ホスフェート(1:1)である。
【0212】
(組み合わせ)
GBS67ポリペプチド断片に加えて、組成物は、(i)GBSタンパク質、特に、GBS67以外のGBSタンパク質に対する抗体応答を惹起する1または複数のさらなるポリペプチド;(ii)GBSに由来する莢膜糖;および/または(iii)非GBS生物上のエピトープを認識する抗体応答を惹起する1または複数の免疫原を含んでもよい。
【0213】
(さらなるポリペプチド抗原との組み合わせ)
上記のGBS67ポリペプチド断片を、(1)(GBS80)抗原;(2)GBS59抗原;(3)GBS1523抗原;(4)GBS104抗原;(5)GBS1524抗原;(6)GBS3抗原;(7)SAN1485抗原;(8)GBS147抗原;(9)GBS328抗原;および/または(10)GBS84抗原からなる群より選択される1または複数(すなわち、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種全部)のポリペプチド抗原と組み合わせることができる。
【0214】
これらのさらなる抗原を、別のポリペプチドとして追加することができる。代替として、これらをハイブリッド、例えば、GBS80−GBS1523ハイブリッドとして追加することができる。さらなる代替として、これらをGBS67ポリペプチド断片に融合して、ハイブリッドポリペプチドを提供することができる。
【0215】
これらの組み合わせはいずれも、典型的には、キャリアタンパク質(複数可)と結合体化する1または複数のGBS莢膜糖(複数可)を含んでもよい。そのような糖および結合体化に関するさらなる情報を、以下に提供する。
【0216】
(GBS80)
元の「GBS80」(SAG0645)配列は、参考文献147中で細胞壁表面アンカーファミリータンパク質としてアノテートされている(GI:22533660を参照されたい)。参照目的で、2603株中に見出される完全長GBS80のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号34として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS80ポリペプチドは、(a)配列番号34に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号34の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS80タンパク質は、配列番号34の変異体を含む。
【0217】
(b)の好ましい断片は、配列番号34に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号34のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号34のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号34の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0218】
野生型GBS80は、配列番号34のアミノ酸1〜37にN末端リーダーまたはシグナル配列領域を含む。GBS80のリーダーまたはシグナル配列領域に由来する1または複数のアミノ酸を除去することができる(例えば、配列番号35)。野生型配列はまた、配列番号34のアミノ酸526〜543にC末端膜貫通領域も含む。膜貫通領域および/または細胞質領域に由来する1または複数のアミノ酸を除去することができる(例えば、配列番号36)。野生型GBS80は、配列番号34のアミノ酸521〜525に細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフを含む。いくつかの組換え宿主細胞系においては、このモチーフを除去して、宿主細胞からの組換えGBS80ポリペプチドの分泌を容易にすることが有用であり得る。よって、膜貫通および/または細胞質領域ならびに細胞壁アンカーモチーフをGBS80から除去することができる(例えば、配列番号37)。あるいは、いくつかの組換え宿主細胞系においては、細胞壁アンカーモチーフを用いて、組換え発現されたポリペプチドを細胞壁に係留することが有用であり得る。発現されたポリペプチドの細胞外ドメインを精製の間に切断するか、または組換えポリペプチドを最終組成物中で不活化された宿主細胞もしくは細胞膜に付着したままにすることができる(例えば、配列番号38)。野生型GBS80の特に免疫原性である断片は、ポリペプチドのN末端に向かって位置し、それは配列番号39である。
【0219】
(GBS59)
GBS59は、病原性アイランド2a(BP−2a)によりコードされる線毛骨格タンパク質である。参照目的で、2603株中に見出される完全長GBS59のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号40として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS59ポリペプチドは、(a)配列番号40に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号40の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS59タンパク質は、配列番号40の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号40に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号40のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号40のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号40の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0220】
GBS59の変異体は、H36B、515、CJB111、DK21およびCJB110株に存在する。参照目的で、H36B、515、CJB111、CJB110およびDK21株に見出される完全長GBS59のアミノ酸配列を、配列番号41、42、43、44、および45として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS59ポリペプチドは、(a)配列番号41、42、43、44、もしくは45に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号41、42、43、44、もしくは45の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号41、42、43、44、または45に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号41、42、43、44、もしくは45のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号41、42、43、44、もしくは45のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号41、42、43、44、もしくは45の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0221】
(GBS1523)
元の「GBS1523」(SAN1518;SpbI)配列は、参考文献3中で細胞壁表面アンカーファミリータンパク質としてアノテートされている(GI:77408651を参照されたい)。参照目的で、COH1株中に見出される完全長GBS1523のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号46として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS1523ポリペプチドは、(a)配列番号46に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号46の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS1523タンパク質は、配列番号46の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号46に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号46のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号46のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号46の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0222】
野生型GBS1523は、配列番号46のアミノ酸1〜29にN末端リーダーまたはシグナル配列領域を含み、これは、断片中で除去することができる(例えば、配列番号47)。野生型配列は、配列番号46のアミノ酸468〜472に細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフ(LPSTG)を含む。いくつかの組換え宿主細胞系においては、このモチーフを除去して、細胞からの組換えポリペプチドの分泌を容易にするのが好ましい。あるいは、細胞壁アンカーモチーフを用いて、組換え発現されたポリペプチドを細胞壁に係留するのが好ましい。発現されたポリペプチドの細胞外ドメインを、精製の間に切断するか、または組換えポリペプチドを、最終組成物中で不活化された宿主細胞もしくは細胞膜に付着したままにすることができる。保存されたグルタミン酸残基を含有するEボックスも、配列番号46のアミノ酸419〜429に同定されており、残基423に保存されたグルタミン酸を有する。Eボックスモチーフは、オリゴマー線毛様構造の形成にとって重要であってよく、したがってGBS1523の有用な断片は保存されたグルタミン酸残基を含んでもよい。CAAからAAAへのコードヌクレオチド配列中のコドンの変異の結果として、配列番号46の位置41のグルタミン(Q)がリジン(K)に置換されたGBS1523の変異体が同定された。この置換は、GBS1523配列およびGBS1523断片(例えば、配列番号48)中に存在してもよい。
【0223】
組成物がGBS80とGBS1523の両方を含む場合、ハイブリッドポリペプチドを用いることができる。GBS80−GBS1523ハイブリッドの例は、参考文献148に見出され、配列番号49〜52のポリペプチドを含む。
【0224】
(GBS104)
元の「GBS104」(SAG0649)配列は、参考文献147中で「細胞壁表面アンカーファミリータンパク質」としてアノテートされている(GI:22533664を参照されたい)。参照目的で、2603株中に見出される完全長GBS104のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号53として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS80ポリペプチドは、(a)配列番号53に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号53の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS104タンパク質は、配列番号53の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号40に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号53のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号53のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号53の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0225】
(GBS1524)
参照目的で、COH1株中に見出される完全長GBS1524(SAN1519)のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号54として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS1524ポリペプチドは、(a)配列番号54に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号54の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS1524タンパク質は、配列番号54の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号54に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号54のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号54のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号54の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0226】
(GBS3)
元の「GBS3」(SAG2603;BibA)配列は、参考文献147中に「病原性タンパク質」としてアノテートされている(GI:22535109を参照されたい)。参照目的で、2603株中に見出される完全長GBS3のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号55として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS3ポリペプチドは、(a)配列番号55に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号55の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS3タンパク質は、配列番号55の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号35に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号55のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号55のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号55の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0227】
野生型GBS3は、配列番号55のアミノ酸1〜36にN末端リーダーまたはシグナル配列領域を含み、これは、断片中で除去することができる(例えば、配列番号563)。GBS3はまた、細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフ(LPXTG)、膜貫通領域および細胞質ドメインも含む(参考文献149を参照されたい)。リーダーまたはシグナル配列領域、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン、および細胞壁アンカーモチーフを全てGBS3から除去して、以下に記載のコイルドコイルセグメントおよびプロリンリッチセグメントを含む断片を残すことができる(配列番号57)。GBS3の代替的な断片は、シグナル配列領域およびコイルドコイルセグメント(配列番号58);コイルドコイルセグメント(配列番号59);またはシグナル配列領域、コイルドコイルセグメント、およびプロリンリッチセグメント(配列番号60)を含んでもよい。
【0228】
GBS3の変異体は、515株(SAL2118)、CJB111株(SAM1974)およびCOH1株(SAN2207)に存在する。515株、CJB111株およびCOH1株における完全長GBS3の参照アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号61、配列番号62および配列番号63として本明細書に記載する。よって、本発明で用いるためのGBS3ポリペプチドは、(a)配列番号61、配列番号62もしくは配列番号63に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号61、配列番号62もしくは配列番号63の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS3タンパク質は、配列番号61、配列番号62または配列番号63の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号61、配列番号62または配列番号63に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号61、配列番号62もしくは配列番号63のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号61、配列番号62もしくは配列番号63のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号61、配列番号62もしくは配列番号63の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0229】
本発明は、上記で詳細に論じられた2603株に由来するGBS3の断片と類似する(例えば、N末端リーダーもしくはシグナル配列領域を欠失するか;コイルドコイルおよびプロリンリッチセグメントを含むか;シグナル配列領域およびコイルドコイルセグメントを含むか;コイルドコイルセグメントを含むか;またはシグナル配列領域、コイルドコイルセグメント、およびプロリンリッチセグメントを含む)515株、CJB111株およびCOH1株に由来するGBS3の断片の使用を含む。
【0230】
(SAN1485)
元の「SAN1485」配列は、参考文献3中で「細胞壁表面アンカーファミリータンパク質」としてアノテートされている(GI:77408233を参照されたい)。参照目的で、COH1株中に見出される完全長SAN1485のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号64として記載する。本発明で用いるための好ましいSAN1485ポリペプチドは、(a)配列番号64に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号64の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのSAN1485タンパク質は、配列番号64の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号64に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号64のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号64のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号64の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0231】
(GBS147)
元の「GBS147」(SAG0416)配列は、参考文献147中で「推定プロテアーゼ」としてアノテートされている(GI:GI:22533435を参照されたい)。参照目的で、2603株中に見出される完全長GBS147のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号65として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS147ポリペプチドは、(a)配列番号65に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号65の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS147タンパク質は、配列番号65の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号65に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号65のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号65のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号65の少なくとも1つのエピトープを保持している。
【0232】
(GBS328)
元の「GBS328」(SAG1333)配列は、参考文献147中で「5’−ヌクレオチダーゼファミリータンパク質」としてアノテートされている(GI:22534359を参照されたい)。参照目的で、2603株中に見出される完全長GBS328のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号66として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS328ポリペプチドは、(a)配列番号66に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号66の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS328タンパク質は、配列番号66の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号66に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号66のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号66のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号66の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0233】
(GBS84)
元の「GBS84」(SAG0907)配列は、参考文献147中で「推定リポタンパク質」としてアノテートされている(GI:22533929を参照されたい)。参照目的で、2603株中に見出される完全長GBS84のアミノ酸配列を、本明細書では配列番号67として記載する。本発明で用いるための好ましいGBS84ポリペプチドは、(a)配列番号67に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上)を有し、かつ/または(b)配列番号67の少なくとも「n」個の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250以上)である)を含むアミノ酸配列を含む。これらのGBS84タンパク質は、配列番号67の変異体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号67に由来するエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号67のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)および/または配列番号67のN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を欠失しているが、配列番号67の少なくとも1つのエピトープを保持している。他の断片は1または複数のタンパク質ドメインが取り除かれている。
【0234】
(GBS糖との組み合わせ)
GBS67ポリペプチド断片を、典型的には、キャリアタンパク質(複数可)と結合体化する1または複数のGBS莢膜糖(複数可)と組み合わせることができる。よって、本発明は、
(1)上記で論じられたGBS67ポリペプチド断片;および
(2)1または複数のGBS莢膜糖、
の組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する。
【0235】
この組み合わせの成分(2)で用いられる糖は、理想的には、糖部分およびキャリアタンパク質部分を含む結合体として存在する。結合体中のキャリア部分は、単一のGBS67ポリペプチド断片、ハイブリッドGBS67ポリペプチド、非GBS67 GBSポリペプチド、または非GBSポリペプチドであってよい。
【0236】
糖は、GBSの莢膜糖に由来するものである。糖は、細菌からの糖の精製の間に生じるサイズを有する多糖であってよく、またはそれはそのような多糖の断片化により達成されるオリゴ糖であってもよい。
【0237】
組成物は、以下の連鎖球菌血清型:Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIIIのうちの1または複数に由来する莢膜糖を含んでもよい。組成物は、複数の血清型、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの血清型を含んでもよい。血清型Ia、Ib、II、IIIおよびVのうちの1または複数に由来する糖を含むのが有用である。これらの5つの血清型の各々の莢膜糖は、(a)全ての場合に2→3でガラクトース残基に連結された、末端N−アセチル−ノイラミン酸(NeuNAc)残基(一般的には、シアル酸と呼ばれる);および(b)トリサッカリドコア内のN−アセチル−グルコサミン残基(GlcNAc)を含む。
【0238】
本発明に従って用いられる糖は、その天然形態にあるか、または改変されたものであってもよい。例えば、糖は、天然の莢膜糖よりも短いものであるか、または化学的に改変されたものであってもよい。例えば、糖は、脱−O−アセチル化(部分的もしくは完全に)、脱−N−アセチル化(部分的もしくは完全に)またはN−プロピオン酸化(N−propionated)(部分的もしくは完全に)されたものなどであってよい。脱アセチル化は、結合体化の前、結合体化中または結合体化の後に起こってよいが、好ましくは、結合体化の前に起こる。特定の糖に応じて、脱アセチル化は免疫原性に影響することもあり、または影響しないこともある。種々の血清型におけるGBS糖上でのO−アセチル化の妥当性は参考文献150で論じられており、いくつかの実施形態においては、7位、8位および/または9位のシアル酸残基のO−アセチル化は、例えば、保護/脱保護、再アセチル化などにより、結合体化の前、結合体化中および結合体化の後に保持される。しかし、典型的には本発明で用いられるGBS糖は、7位、8位および/または9位のシアル酸残基のO−アセチル化を実質的に有さない。脱アセチル化などの効果を、日常的なアッセイにより評価することができる。別の可能性のある改変は、側鎖末端シアル酸などの、糖からのシアル酸残基の除去である[151]。特に、血清型Vの莢膜糖を本発明で用いる場合、それを参考文献[151]に記載のような脱シアル化により改変できる。脱シアル化されたGBS血清型V莢膜糖は、参考文献[151]に記載のように、弱酸性条件下で(例えば、80℃の0.1M硫酸で60分)精製されたGBS血清型V莢膜糖を処理することにより、またはノイラミニダーゼでの処理により調製できる。別の例では、例えば、弱酸中での加水分解、加熱、サイジングクロマトグラフィーなどにより、完全長多糖を脱重合させて、本発明で用いるためのより短い断片を得ることができる。鎖の長さは、ウサギにおけるGBS糖の免疫原性に影響すると報告されている[152]。特に、血清型IIおよび/またはIII莢膜糖を本発明で用いる場合、それを参考文献153に記載のように脱重合させることができる。この文書は、還元末端2,5−アンヒドロ−D−マンノース残基を有する抗原性断片への軽度の脱アミノ的切断によるII型およびIII型莢膜糖の部分的脱重合を記載する。
【0239】
莢膜糖は、参考文献154などの本明細書に記載の参考文献に記載のような公知の技術により精製できる。典型的なプロセスは、塩基抽出、遠心分離、濾過、RNase/DNase処理、プロテアーゼ処理、濃縮、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過、陰イオン交換クロマトグラフィー、およびさらなる限外濾過を含む。代替として、参考文献155に記載の精製プロセスを用いることができる。このプロセスは、塩基抽出、エタノール/CaCl処理、CTAB沈降、および再可溶化を含む。
【0240】
本発明は、天然の供給源から精製された糖に限定されないが、全体的または部分的合成などの他の方法により糖を取得することができる。糖は、典型的にはキャリアタンパク質と結合体化する。一般的には、キャリアへの糖の共有結合性の結合体化は、それが糖をT非依存性抗原からT依存性抗原に変換し、よって、免疫記憶のための初回刺激(priming)を可能にするため、糖の免疫原性を増進する。
【0241】
GBS糖の結合体化は、広く報告されている(例えば、参考文献156〜163を参照されたい)。GBS糖結合体化に関する典型的な従来技術プロセスは、破傷風トキソイド(TT)またはCRM197などのキャリアタンパク質への精製された糖の還元的アミノ化を含む[157]。還元的アミノ化は、キャリア中のアミノ酸の側鎖上のアミン基および糖中のアルデヒド基を含む。GBS莢膜糖は、その天然形態中にアルデヒド基を含まないため、これは典型的には、糖のシアル酸残基の一部の酸化(例えば、過ヨウ素酸塩での酸化)による結合体化の前に生成される[157、164]。この様式で調製された結合体ワクチンは、GBS血清型Ia、Ib、II、III、およびVのそれぞれについて、ヒトにおいて安全かつ免疫原性であることが示された[165]。
【0242】
好ましいキャリアタンパク質は、ジフテリア毒素もしくは破傷風毒素、またはそのトキソイドまたは変異体などの細菌毒素である。これらは、結合体ワクチン中で一般的に用いられる。結合体中のキャリアタンパク質は、(1)のGBS59抗原のうちの1つであってもよいし、またはそうでなくてもよい。それがGBS59抗原でない場合、その代わりに異なるGBS抗原であってもよい。しかし、いくつかの実施形態においては、キャリアはGBS抗原ではなく、例えば、細菌毒素またはトキソイドであってよい。
【0243】
典型的なキャリアタンパク質は、ジフテリアトキソイドもしくは破傷風トキソイドまたはその変異体である。毒素またはトキソイドの断片、例えば、破傷風トキソイドの断片Cを用いることもできる[166]。ジフテリア毒素のCRM197変異体[167〜169]は、本発明で特に有用である。他の適切なキャリアタンパク質としては、N.meningitidisの外膜タンパク質複合体[170]、合成ペプチド[171、172]、熱ショックタンパク質[173、174]、百日咳タンパク質[175、176]、サイトカイン[177]、リンホカイン[187]、ホルモン[187]、成長因子、種々の病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質[178](N19[179]など)、H.influenzae由来Dタンパク質[180〜182]、鉄取込みタンパク質[183]、C.difficile由来毒素AまたはB[184]、組換えP.aeruginosaエキソタンパク質A(rEPA)[185]などが挙げられる。
【0244】
組成物が1より多い結合体を含む場合、各結合体は同じキャリアタンパク質または異なるキャリアタンパク質を用いてもよい。
【0245】
いくつかの実施形態において、単一の結合体は複数の血清型に由来する糖を担持してもよい[186]。しかし、通常、各結合体は単一の血清型に由来する糖を含む。
【0246】
結合体は、過剰のキャリア(w/w)または過剰の糖(w/w)を有してよい。いくつかの実施形態において、結合体は、それぞれを等しい重量で含んでよい。例えば、1:5〜5:1の糖:タンパク質比(w/w)、特に、1:5〜2:1の比を有する結合体を用いることができる。
【0247】
キャリア分子は、キャリアに、直接またはリンカーを介して共有結合的に結合体化してよい。タンパク質への直接の連結は、例えば、参考文献187および188に記載されるように、例えば、糖とキャリアとの間の還元的アミノ化により達成してよい。糖は、まず、例えば、酸化により活性化する必要があることがある。リンカー基を介する連結は、任意の公知の手順、例えば、参考文献189および190に記載される手順を用いて作製してよい。好ましい型の連結は、遊離の−NH基(例えば、アミノ化によりグルカンに導入される)とアジピン酸とのカップリング(例えば、ジイミド活性化を用いる)と、次いで得られた糖−アジピン酸中間体へのタンパク質のカップリングにより形成し得る、アジピン酸リンカーである[191、192]。別の好ましい型の連結は、糖CDIの遊離のヒドロキシル基の反応[193、194]と、その後のタンパク質との反応によりカルバメート連結を形成することにより形成され得るカルボニルリンカーである。他のリンカーとしては、β−プロピオンアミド[195]、ニトロフェニル−エチルアミン[196]、ハロアシルハロゲン化物[197]、グリコシド連結(glycosidic linkage)[198]、6−アミノカプロン酸[199]、ADH[200]、C〜C12部分[201]などが挙げられる。カルボジイミド縮合を用いることもできる[202]。
【0248】
(非GBS抗原との組み合わせ)
GBS67断片を非GBS抗原と組み合わせて用いることができる。よって、本発明は、
(1)上記で論じられたGBS67ポリペプチド断片;ならびに
(2)ジフテリアトキソイド;破傷風トキソイド;1または複数の百日咳抗原;B型肝炎ウイルス表面抗原;不活化ポリオウイルス抗原;Neisseria meningitidisの血清群C由来莢膜糖抗原の結合体;Neisseria meningitidisの血清群Y由来莢膜糖抗原の結合体;Neisseria meningitidisの血清群W135由来莢膜糖抗原の結合体;Neisseria meningitidisの血清群A由来莢膜糖抗原の結合体;1または複数のインフルエンザ抗原;および1または複数のヒトパピローマウイルス抗原からなる群より選択される1または複数の抗原
の組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する。
【0249】
Corynebacterium diphtheriaeに由来するジフテリア毒素を処理(例えば、ホルムアルデヒドを用いる)することにより、ジフテリアトキソイドを取得できる。ジフテリアトキソイドは、例えば、参考文献203の第13章により詳細に開示される。
【0250】
Clostridium tetaniに由来する破傷風毒素を処理(例えば、ホルムアルデヒドを用いる)することにより、破傷風トキソイドを取得できる。破傷風トキソイドは、参考文献203の第27章により詳細に開示される。
【0251】
ワクチンにおける百日咳抗原は、細胞性(全細胞、Pw)または無細胞性(Pa)のいずれかである。本発明は、どちらの種類の百日咳抗原も用いることができる。細胞性百日咳抗原の調製は文書で十分に立証されており(例えば、参考文献203の第21章を参照されたい)、例えば、B.pertussisのフェーズI培養物の熱不活化により取得することができる。無細胞性百日咳抗原(複数可)は、天然の細菌から精製されたか、または組換え宿主中での発現後に精製された、特定の精製されたB.pertussis抗原を含む。1より多い無細胞性抗原を用いるのが通常であり、したがって組成物は、1、2または3の以下の周知かつよく特徴付けられたB.pertussis抗原を含んでもよい:(1)解毒された百日咳毒素(百日咳トキソイド、または「PT」);(2)線維状赤血球凝集素(「FHA」):(3)ペルタクチン(「69kDa外膜タンパク質」としても公知)。FHAおよびペルタクチンは、ホルムアルデヒドで処理した後、本発明に従って用いることができる。PTをホルムアルデヒドおよび/またはグルタルアルデヒドでの処理により解毒することができるが、この化学的解毒手順の代替として、それは酵素活性を変異誘発により低下させたPT変異体であってもよい[204]。用いることができるさらなる無細胞性百日咳抗原としては、線毛(例えば、凝集原2および3)が挙げられる。
【0252】
B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)は、B型肝炎ウイルスのキャプシドの主要成分である。Saccharomyces cerevisiaeなどの酵母中での組換え発現により、それを都合良く生成できる。
【0253】
不活化ポリオウイルス(IPV)抗原は、細胞培養物上で増殖させた後、不活化された(例えば、ホルムアルデヒドを用いる)ウイルスから調製される。ポリオは、参考文献203の第24章で説明されるように、3つの型のポリオウイルスのうちの1つにより引き起こされ得るため、組成物は3つのポリオウイルス抗原:1型ポリオウイルス(例えば、Mahoney株)、2型ポリオウイルス(例えば、MEF−1株)、および3型ポリオウイルス(例えば、Saukett株)を含んでもよい。
【0254】
組成物が成分(2)中のジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドまたは無細胞性百日咳抗原のうちの1つを含む場合、それは通常はそれらの3つ全部を含む、すなわち、成分(2)はD−T−Paの組み合わせを含む。
【0255】
組成物が成分(2)中のジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドまたは細胞性百日咳抗原のうちの1つを含む場合、それは通常はそれらの3つ全部を含む、すなわち、成分(2)はD−T−Pwの組み合わせを含む。
【0256】
ヒトパピローマウイルス抗原は、ウイルス様粒子(VLP)として公知の構造を形成するように集合することができるL1キャプシドタンパク質を含む。VLPは酵母細胞(例えば、S.cerevisiae)または昆虫細胞(例えば、S.frugiperdaなどのSpodoptera細胞、もしくはDrosophila細胞)中でのL1の組換え発現により生成することができる。酵母細胞については、プラスミドベクターがL1遺伝子(複数可)を担持できる;昆虫細胞については、バキュロウイルスベクターがL1遺伝子(複数可)を担持できる。より好ましくは、組成物はHPV−16株およびHPV−18株の両方に由来するL1 VLPを含む。この二価組み合わせは、高度に有効であることが示されている[205]。HPV−16株およびHPV−18株に加えて、HPV−6株およびHPV−11株に由来するL1 VLPを含有させて、四価組み合わせを得ることも可能である。
【0257】
インフルエンザ抗原は、現在のインフルエンザウイルスワクチンの形態にあってもよい。種々の形態のインフルエンザウイルスワクチンが現在利用可能である(例えば、参考文献[203]の第17および18章を参照されたい)。一般的には、ワクチンは生ウイルス、不活化ウイルス、組換え血球凝集素またはビロソームに基づく。不活化ワクチンは、全ビリオン、スプリットビリオン、または精製表面抗原に基づいてもよい。本発明のワクチン中の抗原は、生ウイルスまたは、より好ましくは、不活化ウイルスの形態をとってもよい。ワクチンは、例えば、三価ワクチン(例えば、A/H1N1株、A/H3N2株およびB株に由来する血球凝集素を含む)であってもよい。他の実施形態においては、ワクチンは一価ワクチン(例えば、A/H1N1株またはA/H5N1株に由来する血球凝集素を含む)である。ワクチンはアジュバント添加(adjuvanted)(例えば、水中油型エマルジョンを用いる)されているか、またはアジュバント添加されていなくてもよい。
【0258】
ヒトパピローマウイルス抗原は、組換えHPV外被タンパク質、典型的には、HPV16型および18型、ならびにまた必要に応じて、HPV6型および11型から構築された中空のウイルス様粒子(VLP)の形態にある。
【0259】
(抗体)
GBS抗原に対する抗体は、受動免疫のために用いることができる[206]。よって、本発明は、同時投与、別個の投与または逐次的な投与のための抗体の組み合わせを提供し、ここで、この組み合わせが、(a)上記で定義された第1のアミノ酸配列を認識する抗体;(b)上記で定義された第2のアミノ酸配列を認識する抗体;および/または(c)上記で定義された第3のアミノ酸配列を認識する抗体;のうちの少なくとも2つを含む。
【0260】
本発明は、治療におけるこのような抗体の組み合わせの使用も提供する。本発明は、医薬品の製造におけるこのような抗体の組み合わせの使用も提供する。本発明は、有効量のこのような組み合わせを哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物を処置するための方法も提供する。免疫原性組成物について上で述べたように、これらの方法および使用は、GBS感染に対して哺乳動物を防御することを可能にする。
【0261】
「抗体」との用語は、インタクトな免疫グロブリン分子、および抗原と結合できるその断片を含む。これらは、ハイブリッド(キメラ)抗体分子[207、208];F(ab’)2およびF(ab)断片ならびにFv分子;非共有結合ヘテロダイマー[209、210];単鎖Fv分子(sFv)[211];ダイマーおよびトリマー抗体断片構築物;ミニボディ[212、213];ヒト化抗体分子[214〜216];ならびにこのような分子から得られる任意の機能的断片、ならびにファージディスプレイのような慣用的ではないプロセスにより得られる抗体を含む。好ましくは、抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体を得る方法は、当該技術分野において周知である。ヒト化または完全ヒト抗体が好ましい。
【0262】
(全般)
本発明の実施は、そうでないと記載しない限り、当該技術分野の範囲内である化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を用いる。このような技術は、文献に詳細に説明されている。例えば参考文献217〜224などを参照されたい。
【0263】
「GI」番号付けを上記で用いている。GI番号または「GenInfo識別子」は、そのデータベースに配列が加えられた場合に、NCBIにより処理されるそれぞれの記録された配列に連続的に割り当てられる一連の数字である。GI番号は、記録された配列のアクセッション番号に対して類似性はない。配列がアップデートされたとき(例えば修正のため、またはさらなるアノテーションもしくは情報を加えるため)に、新しいGI番号が与えられる。よって、与えられたGI番号に付随する配列は、決して変更されない。
【0264】
本発明が「エピトープ」に関する場合、このエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであってよい。このようなエピトープは、経験的に同定できる(例えばPEPSCAN[225、226]または類似の方法を用いて)か、またはこれは予想できる(例えばJameson−Wolf抗原インデックス(antigenic index)[227]、マトリックスに基づくアプローチ[228]、MAPITOPE[229]、TEPITOPE[230、231]、ニューラルネットワーク(neural network)[232]、OptiMer&EpiMer[233、234]、ADEPT[235]、Tsites[236]、親水性[237]、抗原インデックス[238]または参考文献239〜243に開示される方法などを用いて)。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位により認識され、それと結合する抗原の部分であり、これらは、「抗原決定基」と呼ぶこともできる。
【0265】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる(consisting)」を包含し、例えばXを「含む(comprising)」組成物は、Xのみからなり得るか、または何か追加のもの、例えばX+Yを含み得る。
【0266】
用語「実質的に」は、「完全に」を排除しない、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないものであってよい。必要に応じて、用語「実質的に」を本発明の定義から取り除いてもよい。
【0267】
数値xに関する「約」との用語は、任意選択であり、例えばx±10%を意味する。
【0268】
具体的に記述しない限り、2以上の成分を混合するステップを含むプロセスは、任意の特定の順序の混合を必要としない。よって、成分を任意の順序で混合してもよい。3つの成分が存在する場合、2つの成分を互いに混合した後、その組み合わせを第3の成分などと組み合わせてもよい。
【0269】
抗体は、一般的には、その標的に対して特異的となる。よって、それらは、ウシ血清アルブミンなどの無関係の対照タンパク質に対するより、標的に対する高い親和性を有する。
【0270】
2つのアミノ酸配列間のパーセンテージ配列同一性についての言及は、アラインメントさせたときに、アミノ酸のそのパーセンテージが、2つの配列の比較において同じであることを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当該技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えば参考文献244の7.7.18節に記載されるものを用いて決定できる。好ましいアラインメントは、12のギャップ開始ペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスでのアフィンギャップ検索を用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献245に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1−1】図1は、2603(SAG1408)とH37B(SAI1512)に由来するGBS67のアラインメントであり、断片1(Fr1)、断片2(Fr2)および断片3(Fr3)の位置を示す。
【図1−2】図1は、2603(SAG1408)とH37B(SAI1512)に由来するGBS67のアラインメントであり、断片1(Fr1)、断片2(Fr2)および断片3(Fr3)の位置を示す。
【図2】図2は、2603(図2A)およびH36B(図2B)に由来する断片1(Fr1)、断片2(Fr2)および断片3(Fr3)の精製を示す。
【図3A】図3は、GBS67 2603(図3A)およびGBS67 H36B(図3B)に対して生じたポリクローナル抗体が、ウェスタンブロット分析において、断片2(Fr2)または断片1(Fr1)ではなく、両変異体に由来する断片3(Fr3)を認識することを示す。
【図3B】図3は、GBS67 2603(図3A)およびGBS67 H36B(図3B)に対して生じたポリクローナル抗体が、ウェスタンブロット分析において、断片2(Fr2)または断片1(Fr1)ではなく、両変異体に由来する断片3(Fr3)を認識することを示す。
【図4】図4は、2603に由来する断片1に対する抗体のみが、ウェスタンブロット分析において2603変異体に由来する組換え断片1(1 2603)および2603変異体に由来する完全長GBS67(FL 2603)を認識することを示す。H36Bに由来する完全長GBS67(FL H36B)、H36Bに由来する断片1、断片2および断片3、ならびに2603に由来する断片2および断片3は認識されない。
【図5A】図5Aは、2603に由来する断片2に対する抗体が、ウェスタンブロット分析において、2603変異体に由来する組換え断片2(2 2603)およびH36B変異体に由来する断片2(2 2603)、ならびに2603変異体に由来する完全長GBS67(FL 2603)を認識することを示す。
【図5B】図5Bは、2603に由来する断片3に対する抗体が、ウェスタンブロット分析において、2603変異体に由来する組換え断片3(3 2603)およびH36B変異体に由来する断片3(3 2603)、ならびに2603変異体に由来する完全長GBS67(FL 2603)およびH36Bに由来する完全長GBS67(FL H36B)を認識することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0272】
(GBS67変異体は交差防御性である)
1つはGBS株2603において、そして1つはGBS株H36Bにおいて、GBS67の2つの対立遺伝子変異体(AP1−2a)が同定されている。GBS株2603で同定されたGBS67株が優勢であり、GBS株の87%に存在する変異体である。
【0273】
これらの2つのGBS67変異体のいずれも、他のGBS67変異体を発現するGBS株に対する交差防御を付与することができる。例えば、以下の表1に示されるように、2603株に由来するGBS67(AP1−2a)で免疫化したメスのマウスの仔は、GBS67の2603変異体またはH36B変異体のいずれかを発現するGBS株での抗原投与に対して保護される。
【0274】
【表1】

【0275】
交差防御の原因となるGBS67変異体の部分を同定するために調査を行った。
【0276】
(GBS67の3つの断片の同定)
AP1−2a(GBS67)の結晶構造は利用可能ではない。2603およびH36Bに由来するGBS67変異体の二次構造のin silico分析により、GBS67の交差防御活性の原因となり得る3つの推定保存断片が同定された(表2を参照されたい)。
【0277】
【表2】

【0278】
3つの断片の位置を示すGBS67変異体のアラインメントを図1に示す。
【0279】
これらの6つの断片をクローニングし、HK100株およびBL21(DE3)株中でHisタグ付タンパク質として発現させた。全部の断片が過剰発現され、可溶性であった。得られた断片の収量を以下の表3に示し、図2はゲル上で単離された精製断片を示す。
【0280】
【表3】

【0281】
(GBS67断片の交差防御活性の評価)
2603 GBS67変異体およびH36B GBS67変異体に対して生じたポリクローナル抗体は、ウェスタンブロット分析において両変異体に由来する断片3を認識することができたが(図3)、これは断片3が交差防御を誘導する原因となるエピトープを含むことを示唆する。
【0282】
その後のウェスタンブロット分析において、2603 GBS67変異体の断片1に対して生じた抗体のみが、2603 GBS67に由来する組換え断片1および2603に由来する完全長GBS67を認識した(図4)。これらの抗体は、H36B GBS67変異体に由来する断片1もH36Bに由来する完全長GBS67も認識しなかった。対照的に、2603 GBS67に由来する断片2に対して生じた抗体は、H36B GBS67および完全長H36B GBS67に由来する断片2を認識し(図5A)、2603 GBS67に由来する断片3に対して生じた抗体は、H36B GBS67に由来する断片3および完全長H36 GBS67を認識した(図5B)。
【0283】
FACS分析は、GBS67の断片2と断片3との両方がGBS細菌の表面上に高度に曝露されることを示している(以下の表4を参照されたい)。
【0284】
【表4】

【0285】
次いで、断片1、断片2および断片3が交差防御を誘導する能力を母体免疫化モデルにおいてin vivoで試験した。メスのマウスをGBS67 2603に由来する断片1、断片2もしくは断片3、2603もしくはH36Bに由来する完全長GBS67、またはPBSで免疫化した。次いで、仔にGBS67 H36B変異体を発現する5401 GBS株を抗原投与した。その結果を以下の表5に示す。
【0286】
【表5】

【0287】
これらの結果は、GBS67 2603変異体の断片3が、GBS67 H36B変異体を発現する5401 GBS株に対して、完全長GBS67 2603または完全長GBS67 H36Bと同じ交差防御を付与することができることを示している。
【0288】
GBS67 2603の断片1、断片2および断片3がGBS67 2603変異体を発現する515 GBS株による抗原投与に対して防御を誘導する能力を、仔を5401 GBS株の代わりに515 GBS株で抗原投与する点以外は上記の実験を反復することにより確認した。その結果を以下の表6に示す。
【0289】
【表6】

【0290】
さらなる実験において、メスのマウスを、GBS67 H36Bに由来する断片1、断片2もしくは断片3、H36Bに由来する完全長GBS67、またはPBSで免疫化した。仔を、GBS67 H36B変異体を発現する5401 GBS株で抗原投与した。その結果を以下の表7に示す。
【0291】
【表7】

【0292】
したがって、GBS67 2603の断片2および断片3ならびにこれらの断片内のエピトープを、完全長GBS67 2603または完全長GBS67 H36Bの代わりに免疫原性組成物中で用いることができる。同様に、GBS67 H36Bの断片2および断片3ならびにこれらの断片内のエピトープを、完全長GBS67 2603または完全長GBS67 H36Bの代わりに免疫原性組成物中で用いることができる。
【0293】
(材料および方法)
(バイオインフォマティクス)
Streptococcus agalactiae株2603 V/R(V)およびH36B(Ib)の完全なゲノム配列は、受託番号AE009948およびAAJS00000000の下で入手可能である。ペアワイズ配列アラインメントはClustalWアルゴリズムにより得られたものである。
【0294】
推定構造を同定するために、本発明者らはNCBI−BLASTデータベースに接続されたPfamプログラムを用いた。二次構造の予測を、PsiPred(タンパク質構造予測サーバー;UCL Bioinformatic Group)ソフトウェアを用いて実施した。
【0295】
(細菌株および増殖条件)
本研究で用いたGBS株は、2603 V/R(血清型V)、515(Ia)、H36B(血清型Ib)および5401(II)であった。細菌をTodd Hewitt Broth(THB;Difco Laboratories)または5%ヒツジ血液を補給したトリプチケースソイ寒天培地中、37℃で増殖させた。
【0296】
(組換えタンパク質および抗血清のクローニング、発現、精製)
GBS67 2603対立遺伝子変異体およびGBS67 H36B対立遺伝子変異体の単一の断片(断片1、断片2および断片3)をコードする配列をクローニングするためのDNAの供給源として、GBS株2603およびGBS株H36Bを用いた。製造業者の説明書に従ってNucleoSpin Tissueキット(Macherey−Nagel)を用いるグラム陽性細菌のための標準的なプロトコールにより、ゲノムDNAを単離した。各ドメインに対応する遺伝子を、E.coli HK100株(246)においてPIPEクローニング法によりSpeedETベクターまたはpET15−TEVベクター(N末端6×HISタグ)中にクローニングした。用いたオリゴを表6に列挙する。pET15−TEV中の得られた構築物を、配列決定のために確認した後、E.coli BL21(DE3)(Novagen)中に形質転換した。組換えタンパク質発現のために、pETクローンについては1mM IPTGで、またはSpeedETクローンについては0.2%アラビノースで誘導した後、培養物を25℃で5h維持した。全ての組換えタンパク質をアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。簡単に述べると、細胞を遠心分離により収穫し、PBS中の10mMイミダゾール、1mg/mlリゾチーム、0.5mg/ml DNAseおよびCOMPLETEインヒビターカクテル(Roche)を含有する「溶解緩衝液」中に溶解した。溶解物を遠心分離により清澄化し、10mMイミダゾールを含有するPBS中で予め平衡化させたHis−Trap HPカラム(Armesham Biosciences)に加えた。20mMおよび50mMイミダゾール緩衝液を用いる2回の洗浄ステップの後、250mMイミダゾールを含有する同じ緩衝液を用いてタンパク質溶出を行った。純粋な画分のタンパク質濃度をBCAアッセイ(PIERCE)を用いて見積もった。
【0297】
各タンパク質に特異的な抗血清を、以前に記載のように[247]精製組換えタンパク質でCD1マウスを免疫化することにより生成させた。プールされた血清中のタンパク質特異的免疫応答(総Ig)をELISAによりモニターした。
【0298】
2603対立遺伝子変異体およびH36B対立遺伝子変異体に対応する完全長組換えGBS67タンパク質(それぞれ、TIGRアノテーションSAG_1408およびSAI_1512)を、以前に報告されたように[2、247]生成させた。
【0299】
(イムノブロッティング)
10ngの各精製タンパク質を、4〜12%のNuPage Novexプレキャストゲル(Invitrogen)により分離し、iBlot(商標)Dry Blotting System(Invitrogen)を用いてニトロセルロース膜上にエレクトロブロットした。0.05%Tween 20および10%スキムミルクを含有する1Xリン酸緩衝生理食塩水(PBS:140mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4および1.8mm KH2PO4、pH 7.3)中、室温で1hブロッキングした後、膜を、1:500に希釈した一次抗体と共に室温(RT)で1hインキュベートした。0.05%Tween 20を含有するPBS(PBST)中で3回洗浄した後、膜を、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化二次抗体(Dako)と共に1hインキュベートした。陽性のバンドをOpti−4CN基質キット(Bio−Rad)を用いて可視化した。
【0300】
(ELISA)
ウェルあたり100ngの精製組換え抗原を用いることにより、抗原特異的抗体応答をELISAによって検出した。基準線計算プログラムを用いることによって、試験血清試料の応答曲線と、参照血清試料の応答曲線とを比較することにより、IgG抗体力価を算出した。参照血清試料は、精製組換え抗原で免疫化したマウスから得られた血清試料のプールであり、150,000EU/mLの任意力価を割り当てた。
【0301】
(FACS)
精製組換えタンパク質に対して生じたマウス血清を、フローサイトメトリーにより全細菌に対して分析して、単一のドメインの表面曝露を評価した。対数期の細菌細胞を、0.08%(wt/vol)のパラホルムアルデヒドの存在下で固定し、37℃で1hインキュベートした。次いで、固定された細菌をPBSで1回洗浄し、Newborn Calf Serum(Sigma)中に再懸濁し、25℃で20分間インキュベートした。次いで、細胞を、希釈緩衝液(PBS、20%Newborn Calf Serum、0.1%BSA)中で1:200に希釈された免疫前血清または免疫血清中、4℃で1hインキュベートした。細胞をPBS−01%BSA中で洗浄し、R−フィコエリスリン結合体化F(ab)2ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories;Inc.)の1:100希釈液と共に4℃でさらに1hインキュベートした。洗浄後、細胞をPBS中に再懸濁し、FlowJo Software(Tree Star、Ashland、OR)を用いるFACS Calibur装置(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)を用いて分析した。免疫血清と免疫前血清で染色された細胞間の蛍光の差異としてデータを表す。
【0302】
(マウス能動母体免疫化モデル)
GBS感染の母体免疫化/新生仔抗原投与モデルを用いて、以前に記載されたように[247]、マウスにおける生成されたタンパク質の防御効力を検証した。簡単に述べると、CD−1メスマウス(6〜8週齢)を1日目(CFAにおいて)、21および35日目(IFA)に、PBSまたは20mgの組換えタンパク質のいずれかで免疫化した後、最後の免疫化の3日後に繁殖させた。誕生の48h以内に、90%の死亡率を引き起こすと算出された用量の種々のGBS株を仔に腹腔内注射した。仔の生存を抗原投与後2日間モニターした。Fisherの直接確率検定を用いて統計分析を行った。全ての動物試験を、Istituto Superiore di Sanita(Italy)の指針に従って実施した。
【0303】
【表8】

【0304】
【化1】

【0305】
【化2】

【0306】
【化3】

【0307】
【化4】

【0308】
【化5】

【0309】
【化6】

【0310】
【化7】

【0311】
【化8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)配列番号1に由来する少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号4のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
ii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号4のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくとも90%の同一性を有するエピトープを含む、断片;
iii)配列番号5に由来する少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号8のアミノ酸配列に由来するエピトープを含む、断片;
iv)配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する少なくとも7個の連続するアミノ酸の断片であって、配列番号8のアミノ酸配列に由来するエピトープに対して少なくとも90%の同一性を有するエピトープを含む、断片
からなるポリペプチド。
【請求項2】
i)配列番号1に由来する断片であって、配列番号4のアミノ酸配列を含む、断片;
ii)配列番号1に対して90%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する断片であって、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片;
iii)配列番号5に由来する断片であって、配列番号8のアミノ酸配列を含む、断片;
iv)配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列に由来する断片であって、配列番号8に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、断片
からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
i)配列番号4のアミノ酸配列を含む配列番号1の断片;またはii)配列番号8のアミノ酸配列を含む配列番号5に由来する断片を含むか、またはそれからなる、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
アミノ酸配列:
A−{−X−L−}−B
を含むポリペプチドであって、式中、各Xは請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドであり;Lは任意選択のリンカーアミノ酸配列であり;Aは任意選択のN末端アミノ酸配列であり;Bは任意選択のC末端アミノ酸配列であり;nは1以上の整数である、
ポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質および配列番号5のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質のアミノ酸配列に結合する抗体を含む抗体応答を惹起する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
配列番号9のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(CJB111株)、配列番号13のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(515株)、配列番号17のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(NEM316株)、配列番号21のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(DK21株)、および配列番号25のアミノ酸配列を有する野生型GBSタンパク質(CJB110株)に結合する抗体を含む抗体応答を惹起する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
糖部分とキャリアタンパク質部分とを含む結合体であって、該キャリアタンパク質部分が請求項1〜6のいずれかに記載のポリペプチドを含む、結合体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項7に記載の結合体または請求項8に記載の核酸を含む免疫原性組成物。
【請求項10】
治療に使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項7に記載の結合体、請求項8に記載の核酸または請求項9に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
髄膜炎の処置または予防を含む、GBSにより引き起こされる疾患および/または感染の処置または予防に使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項7に記載の結合体、請求項8に記載の核酸または請求項9に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項7に記載の結合体、請求項8に記載の核酸または請求項9に記載の免疫原性組成物の有効量を投与することを含む、哺乳動物におけるGBSにより引き起こされる疾患および/または感染、好ましくは髄膜炎を処置または予防する方法。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチドを発現する細菌。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2013−520487(P2013−520487A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554445(P2012−554445)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000562
【国際公開番号】WO2011/104632
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】