説明

免疫原性組成物および方法

【課題】哺乳類の対象において抗原特異的免疫応答を誘導する方法の提供。
【解決手段】哺乳類または脊椎動物細胞において、それらの発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む一番目の組成物の有効量を、対象に投与する工程、および、哺乳類または脊椎動物細胞におけるそれらの発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化する核酸配列を含む組換え水疱性口内炎ウィルス(rVSV)を含む二番目の組成物の有効量を、対象に投与すること。二番目の組成物におけるrVSVは、適当なものの一例である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部、米国政府(国立衛生研究所、認可番号NIH NO1−AI05397およびNIH NO1−AI25458)からの基金によって援助されてきた。それゆえに、米国政府は本発明において特定の権益を有しうる。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
免疫原性組成物の効能を高めるために、タンパク質組成物、プラスミドを基にした組成物および組換えウィルス構築物を免疫原性組成物として用いた、様々な免疫原性組成物および方法が報告されてきた。先行する研究において、プラスミドを基にした免疫原性組成物は、全身投与をすると、タンパク質または組換えウィルスのような伝統的な抗原と共に、全身の免疫系に二次全身免疫を準備させることが立証されてきた(例えば、Xiangら,1997年 Springer Semin.Immunopathol.,19:257−268;Schneider,Jら、1998年 Nature Med.,4:397;およびSedeguh,Mら、1998年 Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,95:7648;Roger,W.O.ら、2001年 Infec.&Immun.,69(9):5565−72;Eo,S.Kら、2001年 J.Immunol.,166(9):5473−9;Ramshaw I.A.およびRamsay,A.J.,2000年 Immunol.Today,21(4):163−5参照)。
【0003】
しばしば用いられるDNAプライム/生ベクターブースト投与法は、ブーストのためのワクシニアウィルスを含む。最近の論文における例としては、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)に対するような免疫化を含む(Hanke T.ら、2002年 Vaccine.20(15):1995−8;Amara R.R.ら、2002年 Vaccine.20(15):1949−55;Wee E.G.ら、2002年 J.Gen.Virol.,83(Pt1):75−80;Amara R.R.ら、2001年 Science.292(5514):69−74)。DNA、および単純ヘルペスウィルス2糖タンパク質D、リシュマニア・インファクタムP36/LACK抗原、プラスモディウム・ファルシパルムTRAP抗原、HIV/SIV抗原、ネズミ結核抗原およびインフルエンザ抗原のような抗原を発現した、修飾したワクシニアウィルスベクターによるプライムブースト免疫化は、特定の抗体およびサイトカイン反応を誘導すると報告された(例えば、Mesada C.A.ら、2002年 J.Infect.Dis.,186(8):1065−73;Amara R.R.ら,2002年 J.Virol.,76(15):7625−31;Gonzalo R.M.ら 2002年 Vaccine,20(7−8):1226−31;Schneider J.ら 2001年 Vaccine,19(32):4595−602;Hel Z.ら 2001年 J.Immunol.,167(12):7180−91;McShane H.ら 2001年 Infec.&Immun.69(2):681−6およびDegano P.ら 1999年 Vaccine,18(7−8):623−32インフルエンザ抗原およびマラリアモデル参照)。
【0004】
プラスミドプライムアデノウィルスブースト遺伝子免疫化投与法は、αフェトプロテイン特異的腫瘍免疫を誘導し、豚コレラから豚を守ることが、最近報告されてきた(例えば、Meng W.S.2001年 Cancer Res.,61(24):8782−6;Hammond,J.M.ら 2001年 Vet.Microbio.,80(2):101−19;および米国特許第6210663号参照)。
【0005】
他のDNAプラスミドプライムウィルスブースト投与法が報告された。例えば、Matano T.ら、2001年 J.Virol.,75(23):11891−6(DNAプライム/センダイウィルスベクターブースト)を参照のこと。組換えポックスウィルスブーストを用いたDNAプライミングは、HIV−1治療について報告された(例えば、Kent,S.J.ら、1998年 J.Virol.,72:10180−8;Robinson,H.L.ら、1999年 Nat.Med.,5:526−34;およびTartaglia,J.ら、1998年 AIDS Res.Human Retrovirus.,14:S291−8参照)。
【0006】
多くのDNAプライム/ウィルスブースト投与法が評価されているけれども、現行の免疫化投与法はいくつかの不都合な点がある。例えば、これら上記のウィルスには、対象にて疾患の徴候を惹起するものがあり;生体内で組換えを起こす可能性のあるものもある。さらに他のウィルスは、製造するのが困難であり、および/または外来の遺伝子を取り込む能力に乏しい。さらに他のウィルスは、重要な前もって存在するヒトのベクター免疫によって引き起こされる不都合、および他の安全上の問題がある。
【0007】
当該分野において、問題の抗原に対する細胞性および体液性免疫応答のレベルを上昇させ、安全性、製造の容易さ、およびブースター免疫化の際にベクターに対する哺乳類の宿主の自然免疫応答に打ち勝つことができることという要求を満たすことのできる、新しく且つ有用な免疫化投与法の必要性が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6210663号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Xiangら,1997年 Springer Semin.Immunopathol.,19:257−268
【非特許文献2】Schneider,Jら、1998年 Nature Med.,4:397
【非特許文献3】Sedeguh,Mら、1998年 Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,95:7648
【非特許文献4】Roger,W.O.ら、2001年 Infec.&Immun.,69(9):5565−72
【非特許文献5】Eo,S.Kら、2001年 J.Immunol.,166(9):5473−9
【非特許文献6】Ramshaw I.A.およびRamsay,A.J.,2000年 Immunol.Today,21(4):163−5
【非特許文献7】Hanke T.ら、2002年 Vaccine.20(15):1995−8
【非特許文献8】Amara R.R.ら、2002年 Vaccine.20(15):1949−55
【非特許文献9】Wee E.G.ら、2002年 J.Gen.Virol.,83(Pt1):75−80
【非特許文献10】Amara R.R.ら、2001年 Science.292(5514):69−74
【非特許文献11】Mesada C.A.ら、2002年 J.Infect.Dis.,186(8):1065−73
【非特許文献12】Amara R.R.ら,2002年 J.Virol.,76(15):7625−31
【非特許文献13】Gonzalo R.M.ら 2002年 Vaccine,20(7−8):1226−31
【非特許文献14】Schneider J.ら 2001年 Vaccine,19(32):4595−602
【非特許文献15】Hel Z.ら 2001年 J.Immunol.,167(12):7180−91
【非特許文献16】McShane H.ら 2001年 Infec.&Immun.69(2):681−6
【非特許文献17】Degano P.ら 1999年 Vaccine,18(7−8):623−32インフルエンザ抗原およびマラリアモデル
【非特許文献18】Meng W.S.2001年 Cancer Res.,61(24):8782−6
【非特許文献19】Hammond,J.M.ら 2001年 Vet.Microbio.,80(2):101−19
【非特許文献20】Matano T.ら、2001年 J.Virol.,75(23):11891−6(DNAプライム/センダイウィルスベクターブースト)
【非特許文献21】Kent,S.J.ら、1998年 J.Virol.,72:10180−8
【非特許文献22】Robinson,H.L.ら、1999年 Nat.Med.,5:526−34
【非特許文献23】Tartaglia,J.ら、1998年 AIDS Res.Human Retrovirus.,14:S291−8
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の開示)
本発明は、DNAプラスミド成分または組換えウィルス成分のいずれかを個別に投与した際に得られた結果と比較して、抗原に対する細胞性免疫応答に対して驚くべき相乗的な刺激を示す、プライム/ブースト投与法を介して、哺乳類の対象に病原性の抗原または他の抗原に対する免疫応答を誘導するための、新しい方法、組成物およびキットを提供する。
【0011】
一の実施形態において、本発明は、哺乳類の対象において、抗原特異的免疫応答を誘導する新しい方法を提供する。本方法は、哺乳類細胞において、DNAプラスミドによるその発現を指令する調節配列の調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む一番目の組成物の有効量を、対象に投与することを含む。本方法はさらに、哺乳類細胞において、rVSVによるその発現を指令する調節配列の調節の下で、抗原をコード化する核酸配列を含む組換え水疱性口内炎ウィルス(rVSV)を含む二番目の組成物の有効量を、対象に投与することを含む。一の実施形態において、組換えVSVは、弱毒化された複製に適したウィルスである。もう一つ別の実施形態において、組換えVSVは非複製ウィルスである。一番目および二番目の組成物の投与は、どのような順序であってもよい。その上、本発明は、一方の組成物を多数投与し、続いて他方の組成物を多数投与することを考慮している。一の実施形態において、好ましくは、サイトカインが共に投与される。
【0012】
もう一つ別の実施形態において、本発明は、哺乳類の対象において、抗原に対する抗原特異的免疫応答を誘導するための免疫原性組成物を提供する。免疫原性組成物は、DNAプラスミドによるその発現を指令する調節配列の調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む一番目の組成物を含む。この組成物はまた、組換えVSVによる、それらの発現に対する調節配列による調節の下で、同じ抗原をコード化する核酸配列を含む、少なくとも一つの複製に適した組換え水疱性口内炎ウィルス(VSV)を含む。
【0013】
さらにもう一つ別の実施形態において、本発明は、哺乳類の対象における抗原特異的免疫応答のレベルの増強を誘導する、治療法または予防法において利用するためのキットを提供する。キットは、特に、哺乳類細胞において、それらの発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む一番目の組成物を少なくとも一つ含み;哺乳類細胞において、それらの発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化する核酸配列を含む、複製に適した組換え水疱性口内炎ウィルス(rVSV)を含む二番目の組成物を少なくとも一つ含み;上記の方法の実践のための使用説明書を含む。
【0014】
もう一つ別の実施形態において、本発明は、組成物において利用される抗原に対する、動物における免疫応答を誘導するための薬剤の調製において、上で記述した免疫原性組成物またはそれらの成分を利用する方法を提供する。
本発明の他の態様および実施形態は、以下の発明の詳細な記載にて開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは、サル免疫不全ウィルス(SIV)gagp37タンパク質をコード化する、プラスミドDNAを図解した概略図である。図は、プラスミドが、gagタンパク質、牛成長ホルモンポリアデニル化部位(BGHpolyA)、複製配列の開始部位(ori)およびカナマイシン耐性(kan)マーカー遺伝子の発現を起こす、ヒトサイトメガロウィルス(HCMV)プロモーター/エンハンサーを含むことを示している。図1Bは、アカゲザル(Rhesus)のインターロイキン12の二つのサブユニットp35およびp40をコード化する、二シストロンのプラスミドDNAを図解した概略図である。p35サブユニットは、HCMVプロモーターの調節下にあり、SV40ポリA部位を有する。p40サブユニットは、サルサイトメガロウィルス(SCMV)プロモーターの調節下にあり、BGHポリA部位を有し、逆方向に転写される。プラスミドはまた、ori配列およびkan遺伝子を含む。
【図2】図2は、本発明のプライム/ブースト投与法によって免疫化された動物に由来する、未分画の末梢血単核細胞(PBMC)における、VSVN特異的γインターフェロン(IFN−γ)ELISスポット反応を示す棒グラフである。最も左側の黒い棒線は、インフルエンザ赤血球凝集素(fluHA)タンパク質を発現しているVSVベクターのブーストと共に、SIVgagタンパク質をコード化するDNAプラスミドを用いた免疫化のプロトコールを表す。薄い灰色の棒線は、プライミングDNAgagプラスミド免疫化、続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVブーストを行うことを含む発明のプロトコールを表す。淡い色の棒線は、何もなしかまたは対照群のDNAプラスミド(conDNA)によってプライミング免疫化、続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVを用いた免疫化を行うことを含むプロトコールを表す。最も右側の黒い棒線は、conDNAプラスミドを用いたプライミング免疫化、続いてfluHAタンパク質を発現しているVSVによる免疫化を行うことを含むプロトコールを表す。各々のグループは、5つの動物から得られた結果を表す。
【図3】図3は、本発明のプライム/ブースト投与法によって免疫化された動物に由来する未分画のPBMCにおける、HIVenv6101特異的γインターフェロン(IFN−γ)ELISスポット反応を示す棒グラフである。最も左側の薄い灰色の棒線はfluHAタンパク質を発現しているVSVベクターのブーストと共に、SIVgagタンパク質をコード化するDNAプラスミドを用いた免疫化のプロトコールを表す。横縞をつけた棒線は、プライミングDNAgagプラスミド免疫化、続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVブーストを行うことを含む発明のプロトコールを表す。チェッカーボード状の棒線は、空の対照群のDNAによるプライミング免疫化、続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVを用いた免疫化を行うことを含むプロトコールを表す。点を打った棒線は、対照群のDNAプラスミドを用いたプライミング免疫化、続いてfluHAタンパク質を発現しているVSVブーストによる免疫化を行うことを含むプロトコールを表す。各々のグループは、5つの動物から得られた結果を表す。アステリスクは、統計学的有意差がp=0.0001で生じたことを示している。
【図4】図4は、本発明のプライム/ブースト投与法によって免疫化された動物について、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)による血清抗SIVgagp27抗体滴定価を示すグラフである。プラスミドDNAを、0日目、第4週および第8週に投与し、VSV(血清型インディアナ(Indiana)G)およびVSV(血清型チャンディプラ(Chandipura)G)ブーストを、第15週および第23週にそれぞれ投与した。fluHAタンパク質を発現しているVSVベクターのブーストと共に、SIVgagタンパク質をコード化するDNAプラスミドを用いて免疫化するプロトコールを、(◆)によって表している。プライミングDNAgagプラスミド免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVブーストを行うことを含む発明のプロトコールを、(■)によって表している。空の対照群のDNAによるプライミング免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVを用いた免疫化を行うことを含むプロトコールを、(▲)によって表している。対照群のDNAプラスミドを用いたプライミング免疫化、それに続いてfluHAタンパク質を発現しているVSVによる免疫化を行うことを含むプロトコールを、(●)によって表している。各々のグループは、5つの動物から得られた結果を表す。グループ間の統計的有意差は、p=0.0073 (*);p=0.5941(#) またはp=0.0027(¥)として示されている。
【図5】図5は、本発明のプライム/ブースト投与法によって免疫化された動物について、ELISスポットアッセイによって評価した、細胞100万あたりのSIVgag特異的スポット形成細胞を示すグラフである。プラスミドDNAを、0日目、第4週および第8週に投与し、VSV(血清型インディアナG)およびVSV(血清型チャンディプラG)ブーストを、第15週および第23週にそれぞれ投与した。fluHAタンパク質を発現しているVSVベクターのブーストと共に、SIVgagタンパク質をコード化するDNAプラスミドを用いて免疫化するプロトコールを、(◆)によって表している。プライミングDNAgagプラスミド免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVブーストを行うことを含む発明のプロトコールを、(■)によって表している。空の対照群のDNAによるプライミング免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVを用いた免疫化を行うことを含むプロトコールを、(▲)によって表している。(●)は、対照群のDNAプラスミドを用いたプライミング免疫化、それに続いてfluHAタンパク質を発現しているVSVによる免疫化を行うことを含むプロトコールを表す。各々のグループは、5つの動物から得られた結果を表す。グループ間の統計的有意差は、p=0.0001およびp=0.0002の括弧として示されている。
【図6】図6は、図5の結果中と同じ記号によって表されたプライム/ブーストの組み合わせによって誘導された免疫応答の向上が、免疫化後数日のCD4T細胞の細胞数の減少の低下によって測定される、エイズに対する防御の上昇につながることを示しているグラフである。
【図7】図7は、図5の結果中と同じ記号によって表されたプライム/ブーストの組み合わせによって誘導された免疫応答の向上が、免疫化後数日の血漿中の循環ウィルス量(ウィルスコピー/ml)の低下によって測定される、エイズに対する防御の上昇につながることを示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な記載)
本発明は、以前の論文において記述された免疫原性組成物の特定の成分の組み合わせを用いて、その成分を最適化して驚くべき相乗効果を生むことによって、哺乳類の対象または脊椎動物の対象における、抗原特異的免疫応答を誘導する新しい方法を提供する。一般に、本方法は、哺乳類または脊椎動物細胞における、DNAプラスミドによる、それらの発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む、有効量の組成物を対象に投与することを含む。本方法はまた、複製に適した組換え水疱性口内炎ウィルス(rVSV)を含む、有効量の組成物を対象に投与する工程を含む。このrVSVは、哺乳類または脊椎動物細胞における、rVSVによる、それらの発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化する核酸配列を含む。
【0017】
順番に投与されるこれら二つの免疫原性組成物のうち最初のものは、プライミング組成物と呼ばれている。順番に投与されるこれら二つの免疫原性組成物のうち二番目のものは、ブースティング組成物と呼ばれている。従って、DNA組成物はプライミング組成物として投与し、VSVベクター組成物はブースティング組成物として投与してよく、またはその逆であってもよい。一つの具体例として、プライミング組成物は、ブースティング組成物の投与に先立って、少なくとも一回または複数回対象に投与される。その後、ブースティング組成物は、続いて少なくとも一回または複数回対象に投与される。その上、本発明は、組成物の一方を複数回投与し、続いて他方の組成物を複数回投与することを考慮している。本方法は、さらに、有効量のサイトカインを本方法の一工程として投与することを考慮している。
【0018】
この方法を実施することで、意外にも、DNAプラスミドまたは組換えVSVを単独で投与することによって達成されるよりも強い、抗原に対するCD8+T細胞反応の増強を含む、哺乳類の対象における免疫応答が誘導されるということが見出された。実際、以下の実施例において示されるように、免疫応答は二つの免疫原性組成物を組み合わせて付加することで予期されるよりも強い。従って、新しい方法によって誘導される免疫応答は、抗原に対する細胞および/または抗体反応を、劇的に且つ相乗的に増加させる。例えば、HIV−1gagに対する抗原特異的細胞反応のピークが、DNAプラスミド免疫原性組成物の単独投与に対する反応よりも3倍以上、またはrVSV免疫原性組成物の単独投与に対する反応よりもほぼ9倍高いことを示す、以下の表1、図4および5を参照のこと。
【0019】
哺乳類の対象は霊長類、好ましくはヒトであることを想定しているけれども、本発明は哺乳類の対象が何であるかによって制限されない。この方法の要素は、以下において、および出典明示により本明細書の一部とする、当業者に知られた引用文献にて詳細に述べている。
【0020】
A.DNAプラスミド免疫原性組成物
この発明の免疫原性組成物は、免疫応答が起こることが望ましい、選別した抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む。プラスミドにおいて、選別した抗原は、哺乳類または脊椎動物細胞における、それらの発現の調節配列の調節の下にある。プラスミドそれ自身の成分は、一般的なものである。
【0021】
この発明において有用な非ウィルス、プラスミドベクターは、選別した免疫原性抗原をコード化するDNA配列を含む、単離して精製したDNA配列を含む。DNA分子は、ウィルス、または非ウィルス、例えば外来のまたは異種の核酸配列をコード化するように構築された細菌種に由来してよい。そのようなプラスミドまたはベクターは、ウィルスまたはファージに由来する配列を含み得る。多様な非ウィルスベクターが当該分野において知られており、プラスミド、細菌ベクター、バクテリオファージベクター、「裸の」DNAおよびカチオン性脂質またはポリマーと融合したDNAを含んでいてよいが、それに限定されない。
【0022】
細菌ベクターの例としては、特にカルメット−ゲラン菌、サルモネラ、シゲラ、イー・コリおよびリステリアに由来する配列を含むが、それだけには限定されない。適当なプラスミドベクターには、例えば、pBR322、pBR325、pACYC177、pACYC184、pUC8、pUC9、pUC18、pUC19、pLG339、pR290、pK37、pKC101、pAC105、pVA51、pKH47、pUB110、pMB9、pBR325、ColE1、pSC101、pBR313、pML21、RSF2124、pCR1、RP4、pBAD18およびpBR328を含む。
【0023】
適当な誘導性エシェリキア・コリ発現ベクターの例としては、pTrc(Amannら、1988年 Gene、69:301−315)、アラビノース発現ベクター(例えば、pBAD18、Guzmanら、1995年 J.Bacteriol.、177:4121−4130)、およびpETIId(Studierら、1990年 Methods in Enzymology、185:60−89)を含む。pTrcベクターによる標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主のRNAポリメラーゼ転写に依存している。pETIIdベクターによる標的遺伝子発現は、共発現されたウィルスRNAポリメラーゼT7gn1によって媒介される、T7gn10−lac融合プロモーターからの転写に依存している。このウィルスポリメラーゼは、lacUV5プロモーターの転写調節下で、T7gn1遺伝子を含んでいる内在するプロファージから、宿主種のBL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって与えられる。pBAD系は、araC遺伝子によって調節されている、誘導性アラビノースプロモーターに依存している。プロモーターは、アラビノースの存在下で誘導される。
【0024】
望ましい哺乳類または脊椎動物の宿主における抗原の発現を引き起こす、プロモーターおよび他の調節配列は、その目的に有用であると知られている幅広いプロモーターのリストから同様に選別されてよい。多様なそのようなプロモーターは、以下に開示している。以下で記述している免疫原性DNAプラスミド組成物の具体例として、有用なプロモーターは、ヒトサイトメガロウィルス(HCMV)プロモーター/エンハンサー(例えば、出典明示によって本明細書の一部とする、米国特許第5168062号および5385839号に記述されている)およびSCMVプロモーターエンハンサーである。
【0025】
本発明の核酸配列、分子またはベクターに含まれている、追加の調節配列には、エンハンサー配列、ポリアデニル化配列、スプライシングドナー配列およびスプライシングアクセプター配列、翻訳されるポリペプチドの最初および末端にそれぞれ位置している転写開始および終結部位、転写された領域にある翻訳のためのリボソーム結合部位、エピトープタグ、核局在配列、IRES分子、Goldberg−Hogness「TATA」分子、制限酵素解離部位、選別可能なマーカーおよびその類似物を含むが、それだけに限定されない。エンハンサー配列には、例えば、SV40DNAの72塩基対の直列反復配列、またはレトロウィルスの長い末端反復配列またはLTRその他を含み、転写効率を増加させるために用いられる。
【0026】
例えば、複製の起点、ポリアデニル化配列(例えば、BGHpolyA、SV40polyA)、薬剤耐性マーカー(例えば、カナマイシン耐性)およびその類似物を含めた、これら他のDNAプラスミドにおける有用な成分はまた、実施例において記述されているものおよび以下で特に言及したものを含めた、広く知られた配列から選択してよい。
【0027】
プロモーターおよび他の共通ベクター分子の選別は慣習的であり、非常に多くの配列が、この発明において有用なプラスミドを構築するために利用できる。例えば、Sambrookら、Morecular Cloning.A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク,(1989年)、および例えば3.18−1.26および16.17−16.27ページで引用されている参考文献、およびAusubelら、Current Protocols in Morecular Biology、John Wiley&Sons、ニューヨーク(1989年)を参照のこと。本発明において有用なプラスミドの全ての成分は、当業者によって、当該分野において知られた材料から容易に選別でき、医薬産業からも入手し得る。プラスミド成分および調節配列の選別は、本発明の範疇を制限するものであるとは考えていない。
【0028】
免疫原性組成物において利用するための適当なDNAプラスミド構造の例は、次の特許公報において詳細に記述されており、例えば特に国際特許公報番号WO98/17799、WO99/43839およびWO98/17799;および米国特許第5593972号;5817637号;5830876号;および5891505号であり、ここに出典明示することにより本明細書の一部とする。
【0029】
同様に、選別した抗原は、以下の考察において特定された抗原であってよい。本明細書の免疫原性組成物の具体例として、選別した抗原は、gag、pol、env、nef、vpr、vpu、vifおよびtatによって発現されるようなHIV−1抗原である。好ましくは、DNAプラスミドの抗原配列および他の成分は、目的の宿主に適したコドン選別、および全ての抑制配列の除去によって最適化され、そのことはまた抗原調製に関して以下で考察されている。
【0030】
免疫原性組成物は、それゆえに、宿主において発現するための単一の選別した抗原をコード化する一つのプラスミドを含む。本方法に従って、プラスミド組成物はまた、一つより多くのコピーの同一の選別した抗原をコード化するDNA配列を含む一つのDNAプラスミドを含む。あるいは、その組成物は、多数の選別した抗原を発現している一つのプラスミドを含んでいてよい。各々の抗原は、別々の調節分子または成分の調節下にあってよい。あるいは、各々の抗原は、同一の調節分子または成分の調節下にあってよい。さらに他の具体例として、DNAプラスミド組成物は、各々のDNAプラスミドが同一または異なる抗原をコード化する、多数のプラスミドを含んでいてよい。
【0031】
その上にさらなる実施形態において、DNAプラスミド免疫原性組成物は、一個体のDNAプラスミド成分としてまたは抗原を含んでいるDNAプラスミドの一部として、望ましいサイトカイン、リンホカインまたは他の遺伝的アジュバントをコード化するヌクレオチド配列をさらに含んでいてよい。核酸配列が利用可能である、適当なアジュバントの宿主は、以下において特定している。本発明において例示している具体例において、本発明のDNAプラスミドと共に投与するために望ましいサイトカインは、インターロイキン12である。
【0032】
DNAプラスミド組成物は、望ましくは、以下で考察したように、医薬上許容された希釈剤、賦形剤またはキャリア中に投与される。本組成物は選別されたあらゆる投与経路で投与してもよいけれども、一つの具体例として、望ましい投与方法は、以下に記述するように、促進剤としてのブピバカインと共にプラスミドを含む組成物を、筋肉内に共に投与することである。
【0033】
DNA組成物がプライミング組成物である、本発明の方法の具体例として、本方法は、rVSVに先立って、少なくとも一つのDNAプラスミドを投与することを含み、そのプラスミドは、それに対する免疫応答が誘導されることが望ましい抗原をコード化する配列を含んでいる。他の具体例として、DNAプライミング組成物は、さらに、選別したサイトカインをコード化する二番目のプラスミドからなっている。さらに他の具体例として、以下に例示するように、DNAプライミング組成物は三つのプラスミドを含み、一つのプラスミドは一番目の抗原を発現しており、二番目のプラスミドは二番目の異なる抗原を発現しており、三番目のプラスミドは選別したサイトカインアジュバントを発現している。実施例において詳説しているように、DNAプライミング組成物の一つの具体例は、三つの最適化されたプラスミド、(1)RNA最適化したSIVgagp37遺伝子(図1A参照)をコード化するプラスミド;(2)二つのプロモーターの個別の調節の下で、アカゲザルのインターロイキン12のサブユニットp35およびp40をコード化するプラスミド;および(3)HIV−1gp160env遺伝子をコード化するプラスミドを含む。
【0034】
プライミング組成物として用いる場合、このDNAプラスミド組成物は、ブースティングrVSV組成物に先立って、一回、好ましくは一回より多く投与される。ブースティング組成物として用いる場合、このDNAプラスミド組成物は、プライミングrVSV組成物の後に、一回、好ましくは一回より多く投与される。
【0035】
B.rVSV免疫原性組成物
本発明の方法および組成物において有用な他の免疫原性組成物は、複製に適した、生きた、弱毒化した水疱性口内炎ウィルス(VSV)輸送担体である。この組換えVSVは、哺乳類または脊椎動物細胞において、それらの発現の調節配列による調節の下で、選別した抗原をコード化している核酸配列を含む。本発明の方法において、DNAプラスミド組成物中に用いられる抗原は、rVSV免疫原性組成物中に用いられるものと同一の抗原である。
【0036】
VSVはウシのウィルスであり、分類学上、モノネガウィルスと称される目のメンバーであり、四つの内部構造タンパク質および一つの外部の膜貫通タンパク質をコード化する、11kbの非分節型のマイナス鎖RNAゲノムを含む。3’から5’の順序で、遺伝子は、ヌクレオカプシド(N)、リンタンパク質(P)、細胞間質タンパク質(M)、膜貫通糖タンパク質(G)およびポリメラーゼ(L)に指定するタンパク質をコード化する。生きたVSVを単離し、当該分野において知られた技術を用いて「救助」してよい。例えば、米国特許第6044886号;6168943号;および5789299号;国際特許公報番号WO99/02657;Conzelmann、1998年、Ann.Rev.Genet.、32:123−162;RobertおよびRose、1998年、Virol.、247:1−6;Lawsonら、1995年、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA92:4477−4481を参照のこと。加えて、例えば、VSV(インディアナ)のゲノム配列は、NCBIデーターベースにおける受入番号NC001560の下で利用可能である。VSV(チャンディプラ)配列を含めた、VSVについての他の配列がそのデーターベースで利用可能であり;例えば、特に受入番号Ay382603、Af128868、V01208、V01207、V01206、M16608、M14715、M14720およびJ04350を参照のこと。特にニュージャージーおよびインディアナのような、VSV種はまた、American Type Culture Collection、Rockville、Maryland(例えば、受入番号VR−1238およびVR−1239を参照のこと)のような寄託機関から利用できる。他の配列は、本明細書の至る所で引用されている文献にて記載または引用されている。本明細書において引用された全ての文献は、出典明示により本明細書の一部とする。
【0037】
VSVゲノムは、一つより多くの外来の遺伝子と、少なくとも3キロベースにまで伸長して適応することが明らかにされた。これらのウィルスのゲノムは非常に安定しており、組換えを起こさず、滅多に重大な変異を起こさない。それに加えて、複製は細胞質で起こり、ゲノムはRNAからなるので、感染した宿主細胞のゲノム中に組み込むことができない。また、これらのマイナス鎖RNAウィルスは、比較的単純な転写調節配列を有し、効率的な外来遺伝子の挿入のために容易に扱うことができる。最後に、外来遺伝子の発現レベルは、ウィルス転写プロモーターに関して、外来遺伝子の位置を変化させることによって調節し得る。遺伝子発現の3’から5’への勾配は、転写しているウィルスポリメラーゼが、ゲノムの鋳型に沿って進んでいくときに遭遇する、各々の遺伝子間の遺伝子停止/遺伝子開始シグナルを、正しく通過していく可能性が低下することを反映している。従って、3’末端の転写開始プロモーターの近傍に位置した外来遺伝子は豊富に発現し、一方より遠いゲノムの位置に挿入されたものはあまり発現しない。
【0038】
VSVは多数の異なる細胞型において高い力価で複製し、ウィルスタンパク質は非常に豊富に発現される。このことはVSVが強力な機能性外来遺伝子輸送担体として作用することを意味するだけでなく、関連するrVSVベクターがヒトバイオロジカルの産生について承認された細胞系の製造レベルにまで拡大しうることをも意味している。
【0039】
rVSVは、臨界的な保護免疫原をコード化する外来遺伝子をウィルス病原体から多種の異なる細胞型にデリバリーし、その後忠実に形成された免疫原性タンパク質の豊富な発現を引き起こすという、驚くべき能力を有する(Haglund,K.ら、2000年 Virol.,268:112−121;Kahn,J.S.ら、1999年 Virol.254:81−91;Roberts,A.ら、1999年 J.Virol.,73:3723−32;Rose,N.F.ら、2000年 J.Virol.,74:10903−10;およびSchlereth,B.ら、2000年 J.Virol.,74:4652−7)。そのように発現された免疫原は、同時に、極めて持続性のあるウィルス抗体中和反応、ならびに保護細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の両方を誘導する(Roberts,A.ら、1998年 J.Virol.、72:4704−11)。
【0040】
rVSVの効能に加えて、野生型のVSVは、健康な人間においては、実質的なウィルスの複製に直面しても、ほとんど、全くと言っていいほど疾患の徴候または病原性を示さないので、この生ウィルス遺伝子輸送担体は安全である(Tesh,R.B.ら、1969年 Am.J.Epidemiol.、90:255−61)。それに加えてVSVのヒトへの感染は稀であり、従ってVSVに対して前もって免疫が存在することも稀である。さらに弱毒化すると、これらのrVSV組成物は、免疫抵抗性減弱またはそうでなくともあまり体が丈夫でない人間の対象においての利用にも適している。この方法においてVSVベクターを利用することの重大な利点は、VSVのウィルス結合Gタンパク質の変化または修飾によって、いくつかの血清型のVSVが存在するということである。従って、同一の異種抗原を輸送する異なる血清型のVSVベクターは、VSVのGタンパク質に対して起こされる、宿主の免疫系によるあらゆる抗体中和反応を避けるために、反復投与のために用いられ得る。
【0041】
組換えVSVは、ウィルス転写プロモーターの調節の下で、選別した抗原およびVSVのあらゆる位置に挿入された調節配列を輸送する、以前当該分野において記述された技術を用いて構築し得る。一つの具体例として、選別した抗原をコード化する異種遺伝子は、VSVのGおよびLコード領域の間に挿入される。他の具体例として、異種遺伝子は。Gタンパク質の部位に融合してよい。さらに他の具体例として、異種遺伝子は、あらゆる他のVSV遺伝子の部位または近接した部位に融合する。
【0042】
さらに他の具体例として、遺伝子をゲノム中の異なる位置に「シャッフルする」。特に、N遺伝子は、ゲノム中の異なる位置に「シャッフルする」。シャッフルした組換えcDNA配列を生成するためのクローニングは、元のVSVプラスミド主鎖(pVSV−XN1)の修飾を含む。元のベクターの三つの変異体は、次のような標準的な遺伝子の順序からはずれるプラスミド:i)3’−P−N−M−G−L−5’; ii)3’−P−M−N−G−L−5’; およびiii)3’−P−M−G−N−L−5’;を含む。これらのプラスミドを作成するために用いられるクローニング戦略は、Ball,L.A.ら 1999年 J.Virol.,73:4705−12によって記述された方法を利用する。この技術は、各々のコード配列の間にみられる遺伝子停止/遺伝子開始シグナルがほとんど同一であり、何らかのヌクレオチドの置換を導入することなく遺伝子再構成を構築することを可能にするという事実を利用している。あるいは、戦略的に少数の点突然変異を、ゲノム再構成を容易にする便利な制限部位を作成するために、非コード領域に導入してよい。
【0043】
その上にさらなるこれらのベクターの具体例として、G遺伝子の29アミノ酸細胞質ドメインについてのカルボキシ末端コード配列は、G遺伝子の5’C末端に由来するアミノ酸を除去することによって、先端部を切り取られる。あるいは、G遺伝子を完全に欠失させる。一つの具体例として、G遺伝子の細胞質ドメイン全体が除去される。他の具体例として、細胞質ドメインの少なくとも28アミノ酸が除去される。その上にさらなる具体例として、細胞質ドメインの約20アミノ酸が除去される。その上にさらなる具体例として、細胞質ドメインの約10またはそれより少ないアミノ酸が除去される。
【0044】
ゲノムシャッフル法およびGタンパク質修飾法は共に、一部に成長不全を生ずることが報告されている(Flanagan,E.B.ら、2001年 J.Virol.,75:6107−14;Schnell,M.J.ら、1998年 EMBO J.,17:1289−96)そのようなVSVの修飾によって、より弱毒化された血清型、または本発明の様々な具体例において利用されている非複製VSVにまで至る可能性があると予想される。例えば、Johnson,J.Eら、1998年 Virol.,251:244−52.37;Johnson,J.Eら、1997年 J.Virol.,71:5060−8を参照のこと。
【0045】
同様に、選別した抗原は、以下の考察において特定された抗原であってよい。本明細書の免疫原性組成物の一つの具体例として、選別した抗原は、クレードBウィルス単離集団のHIV−1gagおよび/またはenv(gp160)遺伝子である。さらに他の具体例として、抗原は、HIV−1のpol、nef、vpr、vpu、vifまたはtat遺伝子である。好ましくは、抗原配列は、目的の宿主に適したコドン選別、および/またはあらゆる抑制配列を除去することによって最適化され、また抗原調製に関しては以下で考察している。
【0046】
連続投与によってベクター複製効率が低下するという潜在的な問題を克服するために、異なるVSV血清型に由来するG遺伝子を輸送する、類似したデザインのベクターセットは、ブースター免疫化を可能にしている。VSVインディアナ、ニュージャージーおよびチャンディプラに由来するGタンパク質の最初のアミノ酸配列は、十分互いに異なっているので、そのうちの一つに対する前もって存在する免疫性が、他のものの感染および複製を排除しない。従って、rVSV(インディアナ)によって生じる抗体中和反応は、rVSV(ニュージャージー)またはrVSV(チャンディプラ)のいずれかの複製を妨げない。連続免疫化を成功させることのできるベクターセットは、VSVインディアナに由来するG遺伝子を、VSVチャンディプラまたはVSVニュージャージーに由来する互いに異なる相同物のいずれかに置き換えることによって調製でき、三つの免疫学的に性質の異なるベクターを形成する。
【0047】
このrVSV免疫原性組成物は、それゆえに、宿主において発現する単一の選別した抗原をコード化する、一つのrVSVを含んでいてよい。本方法に従うと、rVSV免疫原性組成物は、同一の選別した抗原の一つより多くのコピーをコード化する核酸配列を含む、一つのrVSVを含む。あるいは、本組成物は、多数の選別した抗原を発現している一つのrVSVを含んでいてよい。各々の抗原は、別々の調節分子または成分による調節下にあってよい。さらに他の具体例として、rVSV組成物は、各々のrVSVは同一または異なる抗原をコード化する、多数のrVSVを含んでいてよい。
【0048】
その上にさらなる具体例として、rVSV免疫原性組成物は、サイトカイン、リンホカインまたは遺伝的アジュバントをさらに含み、または投与してよい。サイトカインは、タンパク質として、上で述べたようなプラスミドで投与してよく、または組換えVSV中の配列をコード化するサイトカインの挿入によってコード化してよい。例えば、配列をコード化しているサイトカインは、VSVゲノム中のあらゆる位置に挿入してよく、ウィルス転写プロモーターで発現してよい。核酸配列が利用可能である適当なアジュバントの宿主は、以下で特定している。本発明において例示している具体例において、本発明のrVSV組成物を投与するための望ましいサイトカインは、インターロイキン12である。
【0049】
rVSV組成物は、望ましくは、以下で考察しているような、医薬上許容される希釈剤、賦形剤またはキャリア中で投与される。組成物はあらゆる選別された投与経路で投与してよく、一つの具体例として、望ましい投与経路は経鼻投与である。
【0050】
rVSV組成物がブースティング組成物であるところの、本発明の方法の一つの具体例として、本方法は、DNA免疫原性プライミング組成物の投与後に、少なくとも一つのrVSV免疫原性組成物を投与することを含む。rVSV組成物は、プライミング組成物によって発現するものと同一の抗原を発現している。一つの具体例として、rVSV組成物は、選別したサイトカインをコード化する追加の組換えウィルスを含む。さらに他の具体例として、rVSVは、サイトカイン、例えば抗原を発現しているのと同一のrVSVに存在しているインターロイキン12、を発現している配列を含む。さらに他の具体例として、多数のrVSV組成物は、後期のブースターとして投与される。一つの具体例として、少なくとも二つのrVSV組成物が、プライミング組成物の後で投与される。他の具体例として、少なくとも三つのrVSV組成物が、プライミング組成物の後で投与される。
【0051】
望ましくは、上で記述したように、各々の後のrVSV組成物は異なる血清型を有するが、同一の抗原のコード化配列である。異なる血清型は、既知の自然に生じた血清型の中から、およびVSVのGタンパク質を操作することで得られるあらゆる人工的な血清型の中から選別される。rVSVのGタンパク質を変化させる既知の方法の一つは、国際公報番号WO99/32648およびRose,N.F.ら、2000年 J.Virol.,74:10903−10に記述されている技術である。
【0052】
他の具体例として、各々のrVSVは、異なる抗原コード化配列を有するが、同一のVSVGタンパク質を有している。さらに他の具体例として、各々のrVSVは、異なる抗原コード化配列を有し、異なるVSVGタンパク質を有している。実施例において詳説されているように、一連のrVSVブースティング組成物の一つの具体例としては、HIV−1gp160env遺伝子を含む二つの最適化したrVSVを含み、一方のrVSVはインディアナ血清型であり、他方はチャンディプラ血清型である。
【0053】
本発明に従うと、このrVSV免疫原性組成物は、宿主に対して同一の抗原を呈示するプライミングDNA免疫原性組成物の投与の後に、ブースティング組成物として投与してよい。本発明の方法のあらゆる具体例において、二番目およびあらゆる追加のrVSVは、最初のrVSV投与の後のブースターとして投与される。ある具体例における追加のrVSVブースターは、同一の抗原を生じる同一の血清型である。あるいは、異なる血清型を有する追加のrVSVブースターは、ブースティングDNA免疫原性組成物を投与する前に、連続的に投与する。それは少なくとも三つのブースターを投与するのに有用であることが示されている。ブースティング組成物として用いた場合、プライミングDNA免疫原性組成物の後に、rVSV組成物は連続的に投与する。プライミング組成物として用いた場合、rVSV免疫原性組成物は、一回または好ましくは複数回投与する。ある具体例における追加のrVSVブースターは、同一の抗原を生じる同一の血清型である。あるいは、異なる血清型を有する追加のrVSVブースターは、ブースティングDNA免疫原性組成物を投与する前に、連続的に投与する。
【0054】
生体内でHIV−1タンパク質を発現することができる適当なrVSV構造の例は、次の実施例において、および例えば出典明示により本明細書の一部とする次の出版物、Roseら、2000年 Virol.,268:112−121;Roseら、2000年 J.Virol.,74:10903−10910;Roseら、2001年 Cell,106:539−549;Roseら、2002年 J.Virol.,76:2730−2738;Roseら、2002年 J.Virol.,76:7506−7517において、詳細に記述されている。追加のrVSVベクターは、VSVのGタンパク質を順次末端切断するか、または上述したようにVSVの構造遺伝子をシャッフルするかのいずれかによって、さらに弱毒化してもよい。非複製VSVもまた、本発明に従って用いてよい。弱毒化および免疫原性の望ましいバランスを示すrVSVは、本発明において有用であると予想される。
【0055】
以下の実施例において例示した、いくつかの図示したrVSVの構造は、組換えゲノム:(1)3’N−P−M−G−HIVenv−L−5’ (2)3’N−P−M−G−HIVgag−L−5’ (3)3’N−P−M−G−SIVgag−L−5’を有する。一つの具体例として、本発明の方法および免疫原性組成物は、これらのrVSV構造の一つを利用する。他の具体例として、本発明の方法および免疫原性組成物は、これらのrVSV−HIVenvおよびrVSV−HIVgagを共に利用する。この後者の免疫原性組成物は、HIV−1ウィルス感染細胞を殺すことのできる(EnvおよびGagに対する)CTLに加えて、忠実に形成されたgp160に対する強力な体液性免疫応答を同時に誘導する。この方法で発現しているHIV−1gp160は、CD4/共受容体に結合し、受容体結合に関する構造変化を受ける。適当なgp160/受容体相互作用によって、感染からの抗体媒介性防御を誘導するために必要となる、gp160上に存在する抗原決定基を中和する潜在的なウィルスが露出する(例えば、LaCasse,R.A.ら、1999年 Science.283:357−62を参照のこと)。
【0056】
C.本発明の免疫原性組成物において利用するための抗原
本発明の方法および組成物において有用な抗原性または免疫原性組成物は、選別した抗原に対する脊椎動物の宿主における免疫応答を高める。選別した抗原は、プラスミドDNAまたはVSVによって発現される場合は、病原性ウィルス、細菌、真菌または寄生虫に由来する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、断片およびそれらの融合体であってよい。あるいは、選別した抗原は、癌細胞または腫瘍細胞に由来するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、断片およびそれらの融合体であってよい。もう一つ別の実施形態において、選別した抗原は、アレルゲンに対するアレルギー反応を和らげるためにIgEの生成を妨げるために、アレルゲンに由来するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、断片およびそれらの融合体であってよい。さらにもう一つ別の実施形態において、脊椎動物宿主におけるアミロイド沈着によって特徴づけられる疾患を予防または治療するために、選別した抗原は、アミロイド前駆タンパク質に由来するもののような、宿主(自己分子)によって望ましくない方法、量または位置にて産生されるものである、分子またはその一部分に由来するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、断片およびそれらの融合体であってよい。本発明の一つの具体例として、選別した抗原は、HIV−1に由来するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、断片およびそれらの融合体であってよい。
【0057】
本発明はまた、(1)脊椎動物宿主の免疫応答を誘導するための病原性のウィルス、細菌、真菌または寄生虫、または(2)脊椎動物宿主の抗癌治療または予防効果を誘導するための、癌細胞または腫瘍細胞に由来する、癌抗原または腫瘍関連抗原、または(3)アレルゲンに対するアレルギー反応を和らげるために、IgEの生成を妨げるためのアレルゲン、または(4)非常に望ましくない作用を低下させるための、宿主(自己分子)によって望ましくない方法、量または位置にて産生されるものである、分子またはその一部分から選別された抗原を含む免疫原性組成物の能力を向上させる方法についてのものである。
【0058】
他の具体例として、本発明のプライム/ブースト投与法を利用する望ましい免疫原性組成物は、それだけに限定されないが、ヒト免疫不全ウィルス、サル免疫不全ウィルス、呼吸器シンチウムウィルス、パラインフルエンザウィルス1−3型、インフルエンザウィルス、単純ヘルペスウィルス、ヒトサイトメガロウィルス、A型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、ヒトパピローマウィルス、ポリオウィルス、ロタウィルス、カリシウィルス、麻疹ウィルス、ムンプスウィルス、風疹ウィルス、アデノウィルス、狂犬病ウィルス、犬ジステンパーウィルス、牛疫ウィルス、ヒトメタニューモウィルス、トリニューモウィルス(以前は七面鳥鼻気管支炎ウィルスと呼ばれた)、ヘンドラウィルス、ニパウィルス、コロナウィルス、パルボウィルス、感染性鼻気管支炎ウィルス、ネコ白血病ウィルス、ネコ感染性腹膜炎ウィルス、トリ伝染性ファブリキウス嚢病ウィルス、ニューカッスル病ウィルス、マレック病ウィルス、ブタ呼吸器および生殖器症候群ウィルス、ウマ動脈炎ウィルスおよび様々な脳炎ウィルスによって引き起こされる疾患の予防および/または治療のためのものを含む。
【0059】
他の具体例として、本発明のプライム/ブースト投与法を利用する望ましい細菌免疫原性組成物は、それだけに限定されないが、ヘモフィルス・インフルエンザ(定型および非定型とも)、ヘモフィルス・ソムナス、モラクセラ・カタラーリス、ストレプトコッカス・ニューモニア、ストレプトコッカス・ピオジェンス、ストレプトコッカス・アガラクチア、ストレプトコッカス・フェカリス、ヘリコバクター・ピロリ、ナイセリア・メニンジティディス、ナイセリア・ゴノレア、クラミジア・トラコーマ、クラミジア・ニューモニア、クラミジア・シッタキ、ボルデテラ・ペルツーシス、アロイオコッカス・オティジチス、サルモネラ・ティフィ、サルモネラ・ティフィムリナム、サルモネラ・コレラスイス、エシェリキア・コリ、シゲラ、ビブリオ・コレレ、コリネバクテリウム・ジフテリア、マイコバクテリウム・ツベクローシス、マイコバクテリウム・アビウム、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ複合体、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、クロストリジウム・テタニー、レプトスピラ・インタロガンス、ボレリア・ブルグドルフェリ、パスツレラ・ヘモリチカ、パスツレラ・ムルトシダ、アクチノバシラス・プルロニューモニエおよびマイコプラズマ・ガリセプチカムによって引き起こされる疾患の予防および/または治療のためのものを含む。
【0060】
他の具体例として、本発明のプライム/ブースト投与法を利用する、真菌の病原体に対する望ましい免疫原性組成物は、それだけに限定されないが、アスペルギウス、ブラストミセス、カンジダ、コクシジオイデス、クリプトコッカスおよびヒストプラズマによって引き起こされる疾患の予防および/または治療のためのものを含む。
【0061】
他の具体例として、本発明のプライム/ブースト投与法を利用する、寄生虫に対する望ましい免疫原性組成物は、それだけに限定されないが、大型リーシュマニア、回虫、鞭虫、ジアルジア、住血吸虫、クリプトスポロジウム、トリコモナス、トキソプラズマ・ゴンディおよびニューモシスチス・カリニによって引き起こされる疾患の予防および/または治療のためのものを含む。
【0062】
他の具体例として、本発明のプライム/ブースト投与法を利用する、脊椎動物宿主の抗癌治療または予防効果を誘導するための、望ましい免疫原性組成物は、それだけに限定されないが、前立腺特異的抗原、癌胚抗原、MUC−1、Her2、CA−125およびMAGE−3を含めた、癌抗原または腫瘍関連抗原を利用するものを含む。
【0063】
上で列挙した既知の抗原についてのヌクレオチドおよびタンパク質配列は、NCBIのようなデーターベースによって容易に公的に入手可能であり、またはAmerican Type Culture Collectionおよび大学のような他の情報源から入手可能である。
【0064】
本発明のプライム/ブースト投与法を利用する、脊椎動物の宿主におけるアレルゲンに対する反応を和らげるための望ましい免疫原性組成物は、アレルゲンまたはそれらの断片を含むものを含む。そのようなアレルゲンの例としては、出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第5830877号および国際特許公報WO99/51259において記述されている。そのようなアレルゲンには、花粉、昆虫の毒液、動物の鱗屑、真菌の胞子および(ペニシリンのような)薬剤を含むが、それだけに限定されない。これらの免疫原性組成物は、アレルギー反応の原因として知られている、IGE抗体の生成を妨げる。
【0065】
本発明のプライム/ブースト投与法を利用する、脊椎動物における自己分子に対する反応を和らげるための望ましい免疫原性組成物は、自己分子またはそれらの断片を含むものを含む。そのような自己分子の例としては、糖尿病に伴うβ鎖インスリン、胃食道逆流症に伴うG17分子、および多発性硬化症、ループスおよび関節リウマチのような疾患における自己免疫応答をダウンレギュレーションする抗原を含む。アミロイド前駆タンパク質(APP)の内部39−43アミノ酸断片であり、βおよびγセクレターゼ酵素によるAPPの切断によって生じる、βアミロイドペプチド(またAβペプチドとも呼ばれる)もまた含まれる。Aβ1−42ペプチドは、次の配列:配列番号1:Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His Gln Lys Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala IIe IIe Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val IIe Alaを有する。
【0066】
本発明のDNAプラスミドおよびrVSV構造の構築のための抗原配列の選別および利用において、挿入されるDNAプラスミドと共に、選別した抗原コード化遺伝子配列のコドンの使用法を変えること、および/またはその中の抑制配列を除去することもまた望ましい。抑制配列の除去は、出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第5965726号;5972596号;6174666号;6291664号;および6414132号;および国際特許公報第WO01/46408号において詳細に考察された技術によって達成され得る。簡潔に述べると、本技術は、好ましくは多数の点突然変異によって、選別した遺伝子において同定された抑制/不安定配列を変異させることを含む。
【0067】
以下で例示されている一つの特定の具体例のように、本発明の免疫原性プラスミドおよびrVSV組成物は、望ましくは、gag、polおよびnef抗原、または免疫原性断片またはそれらの融合体のようなHIV−1抗原をコード化するために最適化した、一つまたはそれより多くの配列を利用する。サル−ヒトキメラ免疫不全ウィルス(SHIV)(89.6P)のgagおよびenv遺伝子は、rVSVを作るのに有用であり、ウィルス保持および疾患の感染防御および緩和が、マカークザルの疾患モデルにおいて立証され得る。以下の実施例は、SHIV類似物、すなわちSIVgagおよびHIV89.6Penvの利用を立証している。
【0068】
D.免疫原性DNAプラスミドまたはrVSV構造において有用なプロモーター
本発明のあらゆる成分において利用するために適当なプロモーターは、構成性プロモーター、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーターおよびその他から容易に選別してよい。活性が非特異的であり、本発明の抗原をコード化する核酸分子において用いられている、構成性プロモーターの例には、レトロウィルスのラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーター、レトロウィルスのLTRプロモーター(所望によりRSVエンハンサーを有していてもよい)、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター(所望によりCMVエンハンサーを有していてもよい)(例えば、Boshartら、1985年 Cell、41:521−530を参照)、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、βアクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、およびEF1αプロモーター(Invitrogen)を含むが、それだけに限定されない。外界から供給された化合物によって調節される、誘導性プロモーターには、アラビノースプロモーター、亜鉛誘導性金属結合性タンパク質(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳房腫瘍ウィルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系(WO98/10088);エクジソン昆虫プロモーター(Noら、1996年 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:3346−3351)、テトラサイクリン抑制系(Gossenら、1992年 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:5547−5551)、テトラサイクリン誘導系(Gossenら、1995年 Science,268:1766−1769,Harveyら、1998年 Curr.Opin.Chem.Biol.,2:512−518も参照のこと)、RU486誘導系(Wangら、1997年 Nat.Biotech.,15:239−243およびWangら、1997年 Gene Ther.,4:432−441)およびラパマイシン誘導系(Magariら、1997年 J.Clin.Invest.,100:2865−2872)を含むが、それだけに限定されない。
【0069】
この関連において有用である可能性のある、他のタイプの誘導性プロモーターは、例えば温度または急性期または複製中の細胞のみのような、特定の生理的状態で調節されるものである。有用な組織特異的プロモーターには、自然に生じるプロモーターよりも高い活性を有する人工筋プロモーター(Liら、1999年 Nat.Biotech.,17:241−245参照)と共に、骨格筋のβアクチン、ミオシン軽鎖2A、ジストロフィン、筋クレアチンキナーゼをコード化する遺伝子に由来するプロモーターを含む。組織特異的なプロモーターの例は、特に肝臓(アルブミン、Miyatakeら、1997年 J.Virol.,71:5124−32;B型肝炎ウィルスコアプロモーター、Sandigら、1996年 Gene Ther.,3:1002−9;αフェトプロテイン(AFP)、Arbuthnotら、1996年 Hum.Gene Ther.,7:1503−14)、骨(オステオカルシン、Steinら、1997年 Mol.Biol.Rep.,24:185−96;骨シアロタンパク質、Chenら、1996年 J.Bone Miner.Res.,11:654−64)、リンパ球(CD2、Hansalら、1988年 J.Immunol.,161:1063−8;免疫グロブリン重鎖;T細胞受容体α鎖)、ニューロン(ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター、Andersenら、1993年 Cell.Mol.Neurobiol.,13:503−15;神経線維軽鎖遺伝子、Piccioliら、1991年 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:5611−5;ニューロン特異的ngf遺伝子、Piccioliら、1995年 Neuron,15:373−84)について知られている。例えば、この関連において有用である既知のプロモーターの追加のリストについては、国際特許公報第WO00/55335号を参照のこと。
【0070】
E.本発明の免疫原性組成物について有用なキャリア、賦形剤、アジュバントおよび処方
本発明において有用な免疫原性組成物は、DNAプラスミドまたはrVSV組成物のいずれでも、無菌の水または無菌の生理食塩水のような、免疫学的に許容される希釈剤または医薬上許容されるキャリアをさらに含む。抗原性組成物もまた、従来の方法でそのような希釈剤またはキャリアと混合してよい。本明細書で用いられている「医薬上許容されているキャリア」という言葉は、ヒトまたは他の脊椎動物の宿主に適合した、あらゆる全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌薬および抗真菌薬、等張の吸収遅延薬等を含めることを意味している。適切なキャリアは、当業者には明白であるが、投与経路に大部分が依存しているであろう。
【0071】
本発明の免疫原性組成物中に存在していてよいさらなる追加の成分は、アジュバント、保存剤、界面活性剤、および化学安定剤、懸濁剤または分散剤である。典型的には、安定剤、アジュバントおよび保存剤は、標的のヒトまたは動物における効能を最高にする処方を決定するために最適化される。
【0072】
1.アジュバント
アジュバントは、免疫原または抗原と共に投与された際に免疫応答を高める物質である。いくつかのサイトカインまたはリンホカインが、免疫調節活性を有することが示されており、従って、それだけに限定されないが、インターロイキン1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、12(例えば、米国特許第5723127号参照)、13、14、15、16、17および18(およびその変異体)、インターフェロンα、βおよびγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(例えば、米国特許第5078996号およびATCC受け入れ番号39900を参照)、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、GSF、および腫瘍壊死因子αおよびβを含めたものを、アジュバントとして用いてよい。本発明において有用なさらに他のアジュバントには、MCP−1MCP−1α、MCP−1βおよびRANTESを含むがそれだけに限定されない、ケモカインを含む。例えば、Lセレクチン、PセレクチンおよびEセレクチンといったセレクチンのような接着分子もまた、アジュバントとして有用である可能性がある。さらに他の有用なアジュバントには、例えばCD34、GlyCAM−1およびMadCAM−1のようなムチン様分子、LFA−1、VLA−1、Mac−1およびp150.95のようなインテグリンファミリーのメンバー、例えばICAM−1、ICAM−2およびICAM−3、CD2およびLFA−3といった、PECAM、ICAMのような免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、CD40およびCD40Lのような共刺激分子、血管成長因子、神経成長因子、線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、B7.2、PDGF、BL−1および血管内皮成長因子を含めた成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2およびDR6を含めた受容体分子を含むが、それだけに限定されない。さらに他のアジュバント分子には、カスパーゼ(ICE)を含む。出典明示により本明細書の一部とする、国際特許公報第WO98/17799号およびWO99/43839もまた参照のこと。
【0073】
免疫応答を高めるために用いられる適当なアジュバントには、出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第4912094号に記述されている、MPL(商標登録)(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A;Corixa、Hamilton、MT)を含むが、それだけに限定されない。Corixa(Hamilton、MT)から入手でき、出典明示により本明細書の一部とする米国特許第6113918号に記述されている、人工の脂質A類似物またはアミノアルキルグルコサミンリン酸化合物(AGP)、または誘導体またはそれらの類似物もまた、アジュバントとしての利用に適している。そのようなAGPの一つは、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]−b−D−グルコピラノシドであり、529としてもまた知られている(以前はRC529として知られていた)。この529アジュバントは、水性の形態でまたは安定した懸濁液として、処方される。
【0074】
さらに他のアジュバントには、鉱油および水乳濁液、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムその他のようなアルミニウム塩(ミョウバン)、アンフィゲン、アブリジン、L121/スクアレン、D−ラクチド−ポリラクチド/グリコシド、プルロニックポリオール、ムラミル酸ジペプチド、殺したボルデテラ、スティミュロン(商標登録)QS−21(Antigenetics、Framingham、MA)のような、出典明示により本明細書の一部とする米国特許第5057540号に記述されているサポニン、およびISCOMS(免疫刺激複合体)などのそれらから産生される粒子、マイコバクテリウム・ツベクローシス、細菌リポポリサッカライド、CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドのような人工ポリヌクレオチド(出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第6207646号)、特にLT−K63、LT−R72、PT−K9/G129のような百日咳毒素(PT)またはイー・コリ易熱性毒素(LT)を含む;例えば出典明示により本明細書の一部とする、国際特許公報第WO93/13302およびWO92/19265を参照のこと。
【0075】
公開された国際特許出願書番号WO00/18434(29位のアミノ酸のグルタミン酸が、(アスパラギン酸以外の)他のアミノ酸、好ましくはヒスチジンで置換されている)に記述されているものを含めた、コレラ毒素およびその変異体もまた、アジュバントとして有用である。同様のCT毒素または変異体は、公開した国際特許出願書番号WO02/098368(16位のアミノ酸のロイシンを、単独でまたは68位のアミノ酸を他のアミノ酸と置換することと組み合わせて、他のアミノ酸によって置換している;および/または72位のアミノ酸のバリンを、他のアミノ酸によって置換している)に記述されている。他のCT毒素は、公開した国際特許出願書番号WO02/098369(25位のアミノ酸のアルギニンを、他のアミノ酸によって置換している;および/または一つのアミノ酸が49位のアミノ酸に挿入されている;および/または二つのアミノ酸が35位および36位のアミノ酸に挿入されている)に記述されている。
【0076】
以下で例示した一つの具体例として、プラスミドから発現される、望ましいアジュバントはインターロイキン12である。例えば、出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第5457038号;5648467号;5723127号および6168923号を参照のこと。このIL−12を発現しているプラスミドは、実施例の免疫原性のあるDNAプラスミドを含むプライミング組成物に組み込まれる。しかしながら、このプラスミドは、rVSV(またはrVSVによって発現した)組成物と共にまたは単独で、プライミング組成物およびブースティング組成物の間に、哺乳類または脊椎動物の宿主に投与され得ることは注目すべきである。一つの具体例として、サイトカインは、タンパク質として投与してよい。好ましい具体例としては、サイトカインは、哺乳類細胞におけるそれらの発現の調節配列による調節の下でサイトカインをコード化するDNA配列を含む核酸組成物として投与される。さらに他の有用な具体例として、サイトカインを発現しているプラスミドは、DNA組成物と共に投与される。さらに他の具体例として、サイトカインは、プライミング組成物およびブースティング組成物の投与の間に投与される。さらに他の工程として、サイトカインは、ブースティング工程と共に投与される。さらに他の具体例として、サイトカインは、プライミングおよびブースティング組成物と共に投与される。
【0077】
プライミング組成物がDNAプラスミド組成物である場合は、以下の実施例に示すように、プラスミド組成物は、哺乳類細胞におけるそれらの発現の調節配列による調節の下でサイトカインをコード化するDNA配列を含み得る。ある具体例として、サイトカインコード化配列は、抗原コード化配列と同一のDNAプラスミド上に存在している。さらに他の具体例として、サイトカインコード化配列は、抗原をコード化するDNAプラスミドとは異なるDNAプラスミド上に存在している。
【0078】
2.促進剤または共試薬
上で述べたキャリアに加えて、ポリヌクレオチド分子からなる免疫原性組成物は、望ましくは、局所麻酔薬、ペプチド、カチオン脂質を含めた脂質、リポソームまたは脂質粒子、ポリリシンのようなポリカチオン、デンドリマーのような分枝した三次カチオン、炭水化物、カチオン両親媒性化合物、洗浄剤、ベンジルアンモニウム界面活性剤、または細胞へのポリヌクレオチド輸送を促進する他の化合物のような、ポリヌクレオチドの促進剤または共試薬を、所望により含んでいてもよい。そのような促進剤には、局所麻酔薬のブピバカインまたはテトラカインを含む(出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第5593972号;5817637号;5380876号;5981505号および6383512号、および国際特許公報WO98/17799を参照)。本発明において有用なそのような促進剤または共試薬の他の例は、それだけに限定されないが、出典明示により各々本明細書の一部とする、米国特許第5703055号;5739118号;5837533号;1996年4月4日に公開された、国際特許公報WO96/10038;および1994年8月8日に公開された、国際特許公報WO94/16737において記述されている。
【0079】
最も好ましくは、局所麻酔薬は、核酸分子と一つまたはそれより多くの複合体を形成する量で存在している。局所麻酔薬を本発明の核酸分子またはプラスミドと混合すると、DNAを束ねる同質の、様々な小分子または粒子を形成する。従って、本発明の免疫原性組成物の一つの具体例として、複合体は、局所麻酔薬および少なくとも一つの本発明のプラスミドを混合することによって形成される。この混合物から生じるあらゆる単一の複合体は、様々な異なるプラスミドの組み合わせを含んでいてよい。あるいは、本発明の組成物の他の具体例として、局所麻酔薬は、各々のプラスミドと別々に前もって混合しておいてよい。別々の混合物は、全てのプラスミドを単一のボーラス投与で投与したいのであれば、望ましいプラスミドの比率で単一の免疫原性組成物に存在していることを保証するように、その後単一の組成物に混合する。あるいは、局所麻酔薬および各々のプラスミドは、望ましい比率を得るために、別々に混合し、別々に投与してよい。
【0080】
「複合体」または「一つまたはそれより多くの複合体」または「複合体群」という用語はが、本明細書の以下で免疫原性組成物の具体例と定義するために用いられる場合は、その用語は一つまたはそれより多くの複合体を包含していると考えている。各々の複合体は、プラスミドの混合物、または別々に形成された複合体の混合物を含む。各々の複合体は、一つのタイプのプラスミドまたは複合体のみ、または、複数のプラスミドまたは複合体の混合物を含み、その中の各々の複合体はポリシストロンDNAを含む。好ましくは、複合体は、直径が約50nmから約150nmの間である。用いられる促進剤が局所麻酔薬、好ましくはブピバカインである場合は、ポリヌクレオチド組成物の全重量に対して、約0.1重量パーセントから約1.0重量パーセントまでの量であることが好ましい。出典明示により本明細書の一部とする、好ましくは約0.001−0.03重量パーセントの間の量で投与されるベンジルアンモニウム界面活性剤を共試薬として組み込むことを説いている、国際特許公報WO99/21591もまた参照のこと。本発明に従うと、局所麻酔薬の量が、1−10μg/mlの核酸に対して重量/体積比が0.01−2.5%の局所麻酔薬という、核酸分子に対する比率で存在する。他のそのような範囲は、100μg/mlから1mg/mlの核酸に対して重量/体積比が0.05−1.25%の局所麻酔薬である。
【0081】
3.免疫原性組成物に対する他の添加剤
保存剤、安定化成分、表面活性試薬などを含めた他の添加剤が、本発明の免疫原性組成物に含まれ得る。
【0082】
適当な例の保存剤には、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノールおよびパラクロロフェノールを含む。
【0083】
用いてよい適当な安定化成分には、例えば、カザミノ酸、スクロース、ゼラチン、フェノールレッド、N−Zアミン、二リン酸カリウム、ラクトース、ラクトアルブミン、加水分解産物およびドライミルクを含む。
【0084】
適当な表面活性物質には、フロイント不完全アジュバント、キノン類似物、ヘキサデキシラミン、オクタデシラミン、オクタデシルアミノ酸エステル、リゾレシチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物、メトキシヘキサデシルグリセロール、およびプルロニックポリオール;例えばピラン、硫酸デキストラン、ポリIC、カルボポールのようなポリアミン;例えばムラミルペプチドおよびジペプチド、ジメチルグリシン、タフトシンのようなペプチド;および、例えばリン酸アルミニウムその他のようなミネラルゲル、および免疫刺激複合体(ISCOMS)を含むが、それだけには限定されない。プラスミドおよびrVSVはまた、免疫原性組成物として利用するために、リポソームに組み込んでよい。免疫原性組成物はまた、組成物の投与の選別した方法に適している他の添加剤を含む。本発明の組成物は、粉末、液体または懸濁液の投薬形態を作り出すための、他の医薬上許容される賦形剤と共に用いられ得る、凍結乾燥したポリヌクレオチドもまた含んでいてよい。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 2巻 第19版(1995年),例えばChapter95 Aerosols;および国際特許公報WO99/45966といった、出典明示により本明細書の一部とする文献を参照のこと。
【0085】
これらの免疫原性組成物は、あらゆる従来の投与経路を介して、投与に適した添加剤を含み得る。ある好ましい具体例として、本発明の免疫原性組成物は、例えば液体、粉末、エアロゾル、錠剤、カプセル、腸溶性の被覆した錠剤またはカプセル、または坐薬の形態で、人間の対象に投与するために調製する。従って、免疫原性組成物はまた、懸濁液、溶液、油性または水性の媒質中の乳濁液、ペースト、および移植可能な徐放性または生物分解性の処方を含むが、それに限定されない。非経口投与のための処方の一つの具体例として、活性成分は、復元した組成物の非経口投与に先立って、適当な媒質(例えば、無菌の発熱物質不含の水)で復元する乾燥した形態(すなわち、粉末または顆粒)にて提供される。他の有用な非経口投与可能な処方には、微晶質の形態、リポソーム調製、または生物分解性ポリマー系の成分として、活性成分を含むものを含む。徐放性または移植のための組成物は、乳濁液、イオン交換樹脂、やや溶解しやすいポリマー、またはやや溶解しやすい塩のような、医薬上許容されるポリマーまたは疎水性の物質を含んでいてよい。
【0086】
本発明の免疫原性組成物は、上で述べたタイプの医薬調製に有用な、従来の、生理学的に許容されるキャリア、アジュバント、または他の成分の選別によって制限されない。適切なpH等張性、安定性および他の従来の特徴を有する、これらの医薬上許容される組成物の、上で記述した成分からの調製は、当業者の知るところである。
【0087】
F.本発明の免疫原性組成物のための投与用量および経路
一般に、本発明の免疫原性組成物の成分の適切な「有効量」または用量はまた、免疫化した対象の全身の健康状態、年齢および体重を特に最も含めた、対象の身体の状態と共に、用いた免疫原性組成物における抗原の同定に基づいているであろう。免疫原性組成物における投与の方法および経路、および追加の成分の存在はまた、プラスミドおよびrVSV組成物の用量および量に影響を与える可能性がある。そのような選別および有効用量の上方または下方調節は、当業者の知るところである。免疫応答、好ましくは防御反応を誘導するために、または対象における外来の効果を重大な有害な副作用なく生じるために必要となるプラスミドおよびrVSVの量は、それらの因子に依存して変化する。適当な用量は、当業者によって容易に決定される。
【0088】
本発明の抗原性または免疫原性組成物は、ヒトまたは非ヒト脊椎動物に、経鼻、経口、経膣、直腸内、腸管外、皮内、経皮(例えば、出典明示により本明細書の一部とする、国際特許公報番号WO98/20734号参照)、筋肉内、腹膜内、皮下、静脈内および動脈内を含むが、それだけに限定されない様々な経路で投与される。適切な経路は、用いた免疫原性組成物の性質、および対象の年齢、体重、性別および全身の健康状態の評価、および免疫原性組成物中に存在している抗原、および顧問医による類似した因子に応じて選別される。
【0089】
以下に与えられた実施例において、免疫原性DNA組成物は、筋肉内に投与される(筋注)。一つの具体例として、rVSV組成物は筋注よりもむしろ経鼻的に投与することが望ましい。しかしながら、投与用量および経路の選別は、本発明の範疇を制限するものではない。
【0090】
同様に、免疫原性組成物投与の順序および個別の投与の間の時間周期は、身体的特徴および宿主の本方法の適用に対する反応に基づいて、顧問医または当業者によって選別してよい。そのような最適化は当該分野にてよく知られていると考えられる。
【0091】
G.キット成分
さらに他の具体例として、本発明は、抗原に対する免疫応答が望ましい、あらゆる上記の疾患または症状を治療するための、免疫原性、予防または治療投与法を容易に投与するための医薬用キットを提供する。このキットは、哺乳類または脊椎動物の対象における、高いレベルの抗原特異的免疫応答を誘導する方法において利用するために構築される。本キットは、哺乳類または脊椎動物の細胞において、それらの発現に対する調節配列の調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む、少なくとも一つの免疫原性組成物を含む。好ましくは、DNA免疫原性組成物を予めパックした複数回用量が、複数回の投与のためのキットにおいて与えられる。本キットはまた、哺乳類または脊椎動物の細胞において、それらの発現に対する調節配列の調節の下で、同一の抗原をコード化する核酸配列を含む、複製に適した、組換え水疱性口内炎ウィルス(rVSV)を含む、少なくとも一つの免疫原性組成物を含む。好ましくは、rVSV免疫原性組成物の予めパックした複数回用量が、多数の投与のためのキットにおいて与えられる。
【0092】
上で記述した免疫原性組成物がまた、IL−12のようなサイトカインを発現するDNAプラスミドおよび/またはrVSVを含んでいない場合は、キットはまた、所望により、別々のサイトカイン組成物または多数の投与のためのサイトカイン組成物の予めパックした複数回用量を含んでいてよい。これらのサイトカイン組成物は、一般に、哺乳類または脊椎動物の細胞において、それらの発現に対する調節配列の調節の下で、選別したサイトカインをコード化するDNA配列を含む核酸組成物である。
【0093】
本キットはまた、本発明において記述されている、プライム/ブースト法において免疫原性組成物を利用するための使用説明書を含む。本キットはまた、注射器、スプレー器具その他のような組成物の投与のための器具と共に、あるアッセイを実行するための使用説明書、様々なキャリア、賦形剤、希釈剤、アジュバントおよび上で記述した類似物を含む。他の成分として、とりわけ、使い捨て手袋、汚染除去法説明書、アプリケーター棒または容器が挙げられる。
【0094】
本発明をより良く理解してもらうために、次の実施例を示している。実施例は、説明の目的のみのためのものであり、本発明の範疇を制限するものとしては構成されていない。次の実施例において引用された、全ての文献、出版物および特許は、出典明示により本明細書の一部とする。
【0095】
以下の実施例において実証されているように、本発明のプライム/ブーストプロトコールは、免疫化した対象における、抗原特異的な細胞性および体液性免疫応答に対して、驚くべき相乗効果を誘導する。実際、本発明のプライム/ブーストプロトコールによって誘導されたこれらの反応を、複数のプライミング組成物のみの投与または複数のブースティング組成物のみの投与の結果と比較した場合、本発明の組成物に対する反応の驚くべき性質は、劇的に明らかとなる。DNAプラスミドを投与し、続いてrVSVブーストを投与することによる、望ましい抗原の呈示の組み合わせは、免疫化した対象における抗原特異的T細胞の増加、すなわち、追加の反応がかなり過剰な状態をもたらす。同様に、望ましい抗原に対する体液性免疫において実証された増加は、免疫化プロトコールにおいてDNAプラスミドおよびrVSV免疫原性組成物の両方を利用することによって、予想外に大きい。例えば、以下の表1および図4および5を参照のこと。
【実施例】
【0096】
実施例1:DNAプラスミドの調製
本実施例は、実施例2および3において述べているような、本発明の具体例において有用なプラスミドの実例を記述している。これらのプラスミドは、本発明の範疇を制限するものではないが、その後の実験において利用するために最適化された。次のDNA免疫原性組成物は、標準的な組換えDNA技術を利用して構築された。HIVまたはSIVのgag遺伝子を発現しているDNA骨格ベクターは、HCMVプロモーター、BGHポリA末端配列、Co1E1細菌の複製の開始遺伝子(ori);および選別のためのカナマイシン耐性遺伝子を利用する。
【0097】
A.SIVgagp37DNAプラスミド
WLV102プラスミドは、それに対する免疫応答が望ましかった選別した抗原として、SIVgagp37を発現している細菌のプラスミドである。WLV102プラスミド(4383bp)は、DNAプラスミド発現ベクターWLV001に挿入された、RNA最適化した先端部を切り取られたSIVに由来するgag遺伝子(p37)(Qiuら、1999年 J.Virol.,73:9145−9152)からなる。gag遺伝子は、抑制配列を不活化することによってRNA最適化し、それによって、出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第5965726号;5972596号;6174666号;6291664号および6414132号;および国際特許公報WO01/46408において詳細に考察された技術を用いて、高いレベルのRevから独立したgag遺伝子の発現を可能にした。
【0098】
WLV102プラスミド骨格は、三つの遺伝子単位からなる。一番目は、HCMV即時型プロモーター/エンハンサー(Boshartら、1985年、上で引用)およびBGHポリアデニル化シグナル(GoodwinECおよびRottmanFM、1982年 J.Biol.Chem.267:16330−16334)に由来する遺伝子要素を含む、真核生物遺伝子発現単位である。gag遺伝子は、SalIおよびEcoRI部位の間でクローニングされる。二番目の成分は、キメラカナマイシン耐性遺伝子の(km’)遺伝子、アデニル4’−ヌクレオチジルトランスフェラーゼタイプ1aである(米国特許第5851804号参照)。この遺伝子は、限られた数のアミノグリコシドに対する耐性を与え、プラスミドを含む細菌の選別を可能にするように考案された。三番目の成分は、細菌の発酵の間にプラスミドが増殖するために必要となる、ColE1細菌複製開始配列である。このプラスミドは、図1Aに示している。
【0099】
B.サイトカインをコード化するプラスミド−rIL−12DNA
サルIL−12WLV104プラスミドは、サルIL−12のヘテロ二量体を発現している二重プロモーター構造である。WLV103プラスミドは、ヒトIL12タンパク質p35およびp40をコード化する二つの遺伝子からなる二重プロモーター発現プラスミドである。プラスミドは、全体で6259ヌクレオチドを有する。二つのインターロイキン12サブユニット、p35またはp40のうちの一つを含むWLV103における各々のシストロンは、別々の調節分子の調節の下にある。p35サブユニットは、HCMVプロモーター/エンハンサー、およびSV40ポリアデニル化シグナル(SalIおよびMluI部位の間でクローニングされる)の調節下にある。p40サブユニットは、SCMVプロモーターの調節下にあり、BGHポリアデニル化シグナル(XhoI部位にクローニングされる)を有する。
【0100】
プラスミド骨格は、いくつかの成分からなる。一番目の成分は、HCMV即時型プロモーター/エンハンサーおよびSV40ポリアデニル化シグナル(Fitzgerald MおよびShenk T.,1981年 Cell,24:251−260)に由来する遺伝子要素を含む、真核生物遺伝子発現単位である。二番目の成分は、SCMVプロモーター(Jeangら、1987年 J.Virol.,61:1559−1570)およびBGHポリアデニル化シグナルからなる、真核生物遺伝子発現単位である。三番目の成分は、キメラカナマイシン耐性遺伝子の(km’)遺伝子、アデニル4’−ヌクレオチジルトランスフェラーゼタイプ1aである。四番目の成分は、細菌中のプラスミドの増殖に必要となる、ColE1細菌複製開始配列である。
【0101】
生じたプラスミドベクターのSIVgag/HIVgagおよびIL−12DNAを、制限酵素消化によって分析した。プラスミドを、10%の胎児子牛血清(FCS)および抗菌物質を加えたDMEM中で増殖させたラブド肉腫細胞に、一過性にトランスフェクションさせた。これらの細胞を、その後HIVgagに対する特定のモノクローナル抗体(ABI)およびサル由来(SIV感染動物由来)のSIVgagに対するポリクローナル血清をウエスタンブロットアッセイにおいて用いて、ウィルスタンパク質の適切な発現について分析した。IL−12は、p70タンパク質を検出するELISAキット(R&D Systems)を用いて、上澄みから検出された。
【0102】
プラスミドベクターは、カナマイシンを補ったLB培地で増殖させた、形質転換したDH10B細胞中に広がり、業者の説明に従ってQiagenキットを用いて精製した。その後、DNAを、既知の標準的手法と異なり、アガロースゲル上で電気泳動することによって分析した。
【0103】
次の実施例において利用するために、各々のプラスミドは、0.25%のブピバカイン中に2.5mg/mLの濃度で、総体積を4.0ccとして処方した。
【0104】
実施例2:組換えVSVベクターの調製
A.VSVゲノムcDNAクローニング
VSVゲノムcDNA操作についての遺伝的背景は、pVSV−XN1(Schnell,M.J.ら、1996年 J.Virol.,70:2318−23)である。このクローンは、修飾を受けた形態のVSVインディアナ種(VSVi)cDNA配列を含む。修飾には、二つの特有の制限エンドヌクレアーゼ認識部位(XhoIおよびNheI)を付加し、VSV遺伝子開始シグナルおよびVSV遺伝子停止シグナルのコピーを付加することを含む。HIV−189.6penvgp160またはSIVgagp55またはHIV−1gagのような外来の遺伝子が、XhoIおよびNheI部位の間に都合よく挿入される場合は、VSV転写調節シグナルによる発現調節に適した位置に定着する。VSVcDNA配列にはまた、生きたウィルス複製産物を回復させることを促進するために必要となるシス作用性DNA配列が側面に位置している。T7RNAポリメラーゼプロモーターは、ウィルスcDNA全体にわたる一次転写産物の転写にあたるものである。リボザイムは、T7RNAポリメラーゼが転写を終結させた後に、RNAゲノムの末端を形成するために一次転写産物を解離する。
【0105】
最初に、rVSViゲノムクローン(pVSV−XN1)を、gag遺伝子(HIVクレードB)をGおよびL遺伝子の間に挿入することによって修飾し、prVSVi−gagプラスミドを生成した。同様に、HIVenv遺伝子を含む、異なるrVSVicDNAクローンを作った(prVSVi−env)。HIVHXBc2gag遺伝子またはHIV6101種env遺伝子を含むプラスミドの鋳型に由来する、コード領域配列を増幅することによって、gagおよびenvcDNA配列を、pVSV−XN1に挿入するために調製した。PCR増幅のために用いられるプライマーは、その後のクローニングに適した、末端制限酵素解離部位を含んでいた:5’プライマーはXhoI部位を含んでおり、3’プライマーはNheI部位を含んでいた。増幅したコード領域配列を、別々にpVSV−XN1に挿入し、gagを含んでいるクローンおよびenvを含んでいるクローンを生成した。
【0106】
pVSV−XN1に挿入されたenv遺伝子は、HIVEnv/VSVG融合タンパク質をコード化する、修飾を受けた形態であった。Envの細胞質尾部が、VSVGタンパク質のより短い細胞質尾部によってオーバーラップPCRの手順を用いて置換された場合は、rVSV−HIVEnvベクターに感染した後に細胞表面のEnv発現が高まることが示された(例えば、上で引用した、Johnsonら、1998年;上で引用した、Johnsonら、1997年参照)。これら二つのプラスミドのベクター骨格は、公開された技術に従って、インディアナG遺伝子をチャンディプラまたはニュージャージー血清型のG遺伝子に変換することによって、変化させた。G遺伝子の変換は、M遺伝子中の特有のMluI部位、およびVSVcDNAクローンにおいて作られたXhoI部位を利用することによってなされた。
【0107】
チャンディプラ株またはニュージャージー株に由来する、VSVG遺伝子コード配列を、M遺伝子中のMluI部位を横切って伸びる5’プライマーを用いて、PCR増幅した。遺伝子停止/遺伝子開始シグナルおよびXhoI部位に対応する追加の末端配列と共に、G遺伝子の3’末端に一致した配列を含む、3’PCRプライマーを用いた。これらのプライマーを用いて増幅した、G遺伝子のコード配列は、MluIおよびXhoIを有するプラスミド骨格から削除された後、元のインディアナG遺伝子を置換するために用いられた。
【0108】
B.cDNAクローンからのrVSVの回復
ゲノムcDNAプラスミドまたはゲノムcDNAプラスミドから転写したRNAは、細胞に導入した後、ウィルス複製周期を開始させるには不十分であった。ウィルスゲノムRNAは、単独では、翻訳または複製のための活性のある鋳型ではなかった。従って、組換えウィルスは、様々なVSVゲノムcDNA構造から復元されなければならない。当該分野において知られた回復手順は、クローニングしたDNAからウィルスを復元することを可能にする。ウィルスの回復の成功には、ウィルスmRNA合成およびゲノム複製のために必要としたウィルスRNA依存性RNAポリメラーゼを形成する、PおよびLタンパク質と共に、ウィルスゲノムRNAをカプシドに包むために、VSVゲノムRNAがVSVNタンパク質と共に細胞中に存在することを必要とした。培養した細胞中でこれら全てのウィルス成分を生成することは、VSV、N、PおよびLタンパク質をコード化する発現プラスミドに加えて、VSVゲノムcDNAについてのプラスミドを共感染させることによって達成された。
【0109】
これらのプラスミドは全て、ファージT7RNAポリメラーゼによって転写させるために構築され;それによってトランスフェクションした細胞をまた、ファージポリメラーゼを発現する組換えワクシニアウィルス(MVA/T7またはVTF7−3)に感染させた。VSVの回復のために用いられた標準的手順は、上で引用した、Lawsonら、1995年;およびSchnellら、1996年 J.Virol.,70:2318−23に記述されている。この手順を、高度に弱毒化したウィルスの回復をより効率的にするために修正し、その手順がまた調節機関ガイドラインに一致するようにした。本方法は、簡潔に以下に記述している。
【0110】
変性ベロ細胞を、12.5cmのフラスコ中、rVSVゲノムクローンを用いてトランスフェクトし、リン酸カルシウムトランスフェクション手順を用いて、VSV、N、PおよびL遺伝子をコード化するプラスミドを支持した。トランスフェクションが開始された時に、十分に証明されたMVA/T7を付加し、細胞あたりの2プラーク形成単位の多様性のある感染を与えた。トランスフェクション開始3時間後、細胞をヒートショック工程に3時間付し、いくつかのマイナス鎖RNAウィルスの回復効率を改善させた(Parks,C.Lら、1999年 J.Virol.,73:3560−6)。トランスフェクションの48−72時間後、細胞および培養培地を、確立した単層のベロ細胞を含むより大きいフラスコへ移し、その後回復したウィルスの増幅を可能にするために、一日またはそれより多くインキュベーションした。この増幅工程後に採取したウィルスを濾過して、最も混合しているMVA/T7を除去し、rVSV種のクローン単離のために用いた。
【0111】
ウィルスゲノムRNAのヌクレオチド配列は、RNAウィルスゲノムを分析するために、共通配列決定法によって決定された。簡潔に言うと、精製したウィルスRNAを逆転写してcDNAを生成し、その後ゲノムの一部重複している領域を、遺伝子特異的プライマーを用いてPCRによって増幅した。PCR産物はゲル精製され、その後蛍光色素付きの終了暗号を用いた周期配列決定に付した。配列決定反応生成物を精製し、オートメーション化した配列決定機上で分析した。
【0112】
C.実施例において用いられた特異的構造
次の実施例において用いた特異的な組換えVSVベクターを生成するために、HIV−189.6Pgp160を発現している組換えVSVをVSVGタンパク質(rVSVHIV−1envG)膜貫通領域に融合させ、SIVmac239gagp55(rVSVSIVgag)を混合し、実施例の免疫原性組成物として用いた。インフルエンザ血球凝集素タンパク質を発現しているrVSV(rVSVfluHA)を、調節組成物として用いた。組換えVSVベクターを、VSVのGおよびL転写単位の間に挿入した望ましい抗原をコード化する遺伝子を用いて、以前に記述されたように(Roseら、2000年 J.Virol.,74:10903−10)調製した。次の構造は、上記の、Roseらの論文において記述された。
【0113】
1.プラスミド構造
チャンディプラ糖タンパク質[G(Ch)]遺伝子を含むプラスミド(Masters,P.S.,1989年 Virol.,171:285−290)は、Dr.Amiya、Banerjee、Cleveland Clinicによって与えられた。インディアナ糖タンパク質[G(I)]遺伝子の代わりに、G(Ch)遺伝子を含むVSVベクターを構成するために、相補的プライマー
【化1】

および
【化2】

およびStratagene社QuickChange突然変異誘発キットによるオリゴヌクレオチドに対する突然変異誘発を用いて、XhoI部位を、最初にG(Ch)遺伝子中から除去した。
【化3】


【化4】

に突然変異させることで、G(Ch)タンパク質のアミノ酸配列に影響を与えることなく、XhoI部位を排除した。その遺伝子を、VentDNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いたPCRによって、その後増幅した。フォワードプライマーは、G(Ch)タンパク質についてのATG開始コドンの上流にあるMluI部位(下線を引いた部分)を含む、
【化5】

であった。リバースプライマーは、
【化6】

であり、SalIおよびXhoI部位(太線部)、続いてVSV転写開始および停止シグナル(下線部)、続いてG(Ch)の3’コード配列に相補的な配列を含んでいた。
【0114】
PCR産物を、MluIおよびSalIによって消化し、VSVG(I)コード配列(SalIおよびXholは、ライゲーションのために適合した末端を残す)を除去するためにMluIおよびXholを用いて消化した、pVSVXN−1ベクター(Schnellら、1996年 J.Virol.,70:2318−2323)にクローニングした。本方法に由来するプラスミドは、pVSV(GCh)XN−1と呼ばれ、G(Ch)遺伝子およびL遺伝子の間の特有のXhoIおよびNheI部位が側面に位置する、外来遺伝子のための発現部位を含む。
【0115】
上で記述されたものと同一の手順を、pNJGプラスミドに由来するG(NJ)タンパク質遺伝子を含むベクターを生成するために用いた(Gallione,C.J.,およびJ.K.Rose、1983年 J.Virol.,46:162−169)。フォワードプライマーは、
【化7】

であり、リバースプライマーは、
【化8】

であった。太線の文字および下線部を引いた配列で示された部位は、上でチャンディプラ構造について記述した通りであり、その後のクローニング工程もまた上で記述した通りであった。生じた最終的なベクタープラスミドは、pVSV(GNJ)XN−1と呼ばれ、G(NJ)遺伝子およびVSVのL遺伝子の間の特有のXhoIおよびNheI部位が側面に位置する、外来遺伝子のための発現部位を含む。
【0116】
HIVEnv89.6G遺伝子を含むベクターを生成するために、89.6エンベロープタンパク質をVSVG細胞質尾部と共にコード化する遺伝子を、pVSV−89.6gp160Gに由来するXhoIおよびNheIによって削除し(Johnsonら、1997年、上で引用した)、ベクターpVSV(GNJ)XN−1またはpVSV(GCh)XN−1中の、XhoIおよびNheI部位の間でクローニングした。このgp160G遺伝子は、全てのgp120およびgp41の細胞膜外および細胞膜貫通ドメインをコード化し、配列I−H−L−C(配列番号11)で始まる、VSVG細胞質ドメインの26C末端アミノ酸に融合した、89.6Env細胞質ドメイン(N−R−V−R)(配列番号10)の四つのアミノ酸を有する。
【0117】
2.組換えウィルスの回復
組換えVSVは、確立された方法(Lawsonら 1995年 上で引用した)を用いて復元された。簡潔に言うと、赤ん坊のハムスター腎(BHK)細胞は、10cmのディッシュ上で増殖し、約60%融合した。細胞を、その後10の重複感染度(MOI)で、vTF7−3、T7RNAポリメラーゼを発現する組換えワクシニアウィルスに感染させた(Fuerstら、1987年 Mol.Cell.Biol.7:2538−2544)。1時間後、各々のディッシュの細胞を、3μgのpBS−N、5μgのpBS−P、1μgのpBS−L、および上で記述した三つの全長の組換え体のうちの一つをコード化する10μgのプラスミドによってトランスフェクションした。トランスフェクションを、ジメチルジオクトアデシル臭化アンモニウムおよびジオレイルホスファチジルエタノラミンを含む、カチオンリポソーム試薬を用いて実行された(Roseら、1991年 Biotechniques 10:520−525)。細胞を、その後37℃で48時間インキュベーションした。細胞の上澄みを、0.2μmのフィルターを通過させてワクシニアウィルスの大部分を除去し、その後新しいBHK細胞に加えて追加で48時間37℃インキュベーションした。復元のために、VSVG(pBS−G)をコード化する追加のプラスミド、4μg/プレートが、N、PおよびL支持プラスミドと共に含まれた。感染性ウィルスの復元は、BHK細胞の単層を、VSV細胞変性効果について調べることによって確認された。ウィルスプラークを、その後BHK細胞上で単離し、個別のプラークに由来するウィルス群を、BHK細胞の直径10cmのプレートに単一のプラークに由来するウィルスを付加することによって、増殖させた。これらの群を、その後80℃で貯蔵した。VSV(GI)−89.6G、VSV(GCh)−89.6GおよびVSV(GNJ)−89.6Gについて得られた滴定価は、VSV滴定価を約3倍減少させる手順である冷凍および解凍後、全て10から10PFU/mlの範囲にあった。
【0118】
次の実施例において利用するために、各々のrVSV構造を、無菌のDMEによって0.8ccの最終体積に希釈した。
【0119】
実施例3:プライム/ブースト免疫化投与法
A.免疫化プロトコール
マカークザル(グループにつき5体)を、SIVgagp37ポリタンパク質を発現しているDNAプラスミド5mg(グループ1および2)、または空のDNAプラスミド5mg(グループ3および4)を組み合わせて、サルのIL−12p35およびIL−12p40をコード化する5mgの二シストロンのDNAプラスミドを筋内注射することによって免疫化した。これら全てのDNAプラスミドおよびその処方は、実施例1に詳細に記述されている。DNA免疫化スケジュールは、0日目に最初の免疫化、続いて4週目および8週目に最初および二番目の免疫化することを規定していた。注射は、三角筋および大腿四頭筋における四つの部位に、針および注射器を用いて部位あたり1ccで行った。
【0120】
HIV−1gp160env(5×10pfu)遺伝子を含む血清型インディアナ(I)の組換え水疱性口内炎ウィルス(rVSV)、およびSIVgagp55遺伝子を含む二番目のrVSV(I)(5×10pfu)(グループ2および3)、またはインフルエンザ赤血球凝集素遺伝子を含むrVSV(I)(1×10pfu)(グループ1および4)のいずれかに基づいた実施例2のベクターを、経鼻接種(手持ちのピペットを用いて、0.4cc/鼻孔)することによって、マカークザルを、その後15週目にブーストした。HIV−1gp160env(5×10pfu)遺伝子を含むrVSV(血清型チャンディプラ、Ch)、およびSIVgagp55遺伝子を含む二番目のrVSV(Ch)(5×10pfu)(グループ2および3)、またはインフルエンザ赤血球凝集素遺伝子を含むrVSV(Ch)(1×10pfu)(グループ1および4)のいずれかに基づいた実施例2のベクターを、経鼻接種(手持ちのピペットを用いて、0.4cc/鼻孔)することによって、マカークザルを、再び23週目にブーストした。
【0121】
マカークザルを、細胞性および体液性免疫応答の誘導については末梢血で、抗体反応について様々な粘膜表面で厳密にモニターした。このモニターリングは、γインターフェロンに対するSIVgsgp55ペプチドプールについての酵素結合免疫スポットアッセイ(ELISpot)、γインターフェロンに対するHIV−1env6101ペプチドについてのELISpot、およびγインターフェロンに対するVSVNペプチドについてのELISpotを実行することを含む。ELISpotアッセイは、PBLにおける細胞性免疫応答を検出した。
【0122】
血清(図4)、鼻腔内洗浄、直腸分泌液および唾液(データは示していない)を、ELISAによる抗SIVgsgp27IgG滴定価およびELISAによる抗HIV−1gp160env滴定価について評価することによって、体液性免疫応答を検査した。血清について、ELISAにおいて用いられた抗体は、キメラウィルスSHIV89.6およびSHIV89に対する標準的な抗体であった。
【0123】
B.サイトカインを分泌するネズミおよびヒト細胞を検出するためのELISpotアッセイ
他には酵素結合免疫スポットアッセイ(ELISpot)とも呼ばれる、濾過免疫プラークアッセイは、個別の抗体分泌B細胞を検出し、定量するために、最初に開発された。本技術は、迅速で用途の広い、従来のプラーク形成細胞アッセイに代わる選択肢を提供した。最近の改良ELISpotアッセイの感受性が向上したため、1秒あたりの特定のタンパク質を100分子生成する細胞が検出され得る。これらのアッセイは、タンパク質分泌細胞のすぐ近くを取り巻く環境において、(サイトカインのような)タンパク質の濃度が相対的に高いことを利用している。これらの細胞生成物を、高親和性抗体を用いて捕捉し、検出した。
【0124】
ELISpotアッセイは、同一のサイトカイン分子上の異なるエピトープに対する二つの高親和性サイトカイン特異的抗体:二つのモノクローナル抗体、または一つのモノクローナル抗体および一つの多価抗血清の組み合わせのいずれかを利用している。ELISpotは、単一の細胞によって分泌されるサイトカインを検出する比色反応を基にしたスポットを生成する。スポットは、最初のサイトカイン生成細胞の「足跡」を表す。スポット(すなわち、スポット形成細胞またはSFC)は恒久的であり、視覚的、顕微鏡的、電子工学的に定量され得る。
【0125】
ELISpotアッセイは、次のように実行された:96ウェルの平底のELISpotプレート(Millipore、Bedford、MA)を、一晩中1μg/mLの濃度のマウスの抗ヒトγインターフェロン(hIFN−γ)モノクローナル抗体(clone27、BD−Pharmingen、サンディエゴ、カリフォルニア)で被覆し、0.25%ツゥイーン20を補足した1×PBSで10回洗浄し、5%胎児ウシ血清(FBS)を含むPBSで2時間ブロックした。マカークザル末梢血リンパ球(PBLs)を、フィコール・ハイパック密度勾配遠心法によって、新鮮に抜き取られたヘパリン投与した全血から単離し、50μg/mLのPHA−M(Sigma)、SIVgagのオープンリーディングフレーム全体に及ぶ11アミノ酸と重複する15アミノ酸ペプチドのプール(1μMの最終ペプチド濃度)のいずれかを含む完全培養培地(5%FCSを補足したRPMI1640培地、2mMのL−グルタミン、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLの硫酸ストレプトマイシン、1mMのピルビン酸ナトリウム、1mMのHEPES、100μMの非必須アミノ酸)、または培地単独中に再び懸濁した。
【0126】
投入した細胞数は、100μL/ウェル中2×10PBLsであり、複製ウェル中でアッセイした。細胞を37℃で16時間インキュベーションし、その後最初にイオン除去した水で洗浄し、次に0.25%ツゥイーン20を含む1×PBSで10回洗浄することによって、プレートから除去した。その後、プレートを、1%BSAを含む1×PBSで希釈したウサギのポリクローナル抗hIFN−γビオチン化検出抗体(0.2μg/ウェル、Biosource、カマリロ、カリフォルニア)で処理し、室温で2時間インキュベーションした。プレートを、その後0.25%ツゥイーン20を含む1×PBSで10回洗浄し、5%FBSおよび0.005%ツゥイーン20を含むウェルあたり100μLのストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲート(Southern Biotech、バーミングハム アラバマ)で処理し、室温で追加で2.5時間インキュベーションした。結合していないコンジュゲートを、プレートを0.25%ツゥイーン20を含む1×PBSで10回すすぐことにより除去した。色素産生基質(100μL/ウェル、1−ステップNBT/BCIP、Pierce、ロックフォード、イリノイ)をその後付加して3−5分おき、水ですすぎ、プレートを空気乾燥させ、生じたスポットを倒立解剖顕微鏡を用いて目視で数えた。
【0127】
ELISpotアッセイを本発明について実行することで、γインターフェロンの生成によって測定される、本発明のプライム/ブースト免疫化法における反応において誘導された、CD8+T細胞(CTLs)およびCD4+T細胞の数を測定した。この評価を、上で処理したマカークザル(3DNAプライムおよび2VSVブースト後)について25週間追跡した。
【0128】
C.結果
最初のDNA免疫化後、SIVgag特異的IFN−γELISpot反応は、SIVgag/IL−12DNAで免疫化したマカークザル(平均254SFC/10細胞)10頭のうち8頭で容易に検出された。二番目のSIVgag/IL−12DNA免疫化後、免疫化したマカークザル10頭のうち10頭が、高いレベルのELISpot反応を起こし、三番目のgag/IL−12DNA投与は、動物の大多数(平均1133SFC/10細胞)においてgag特異的ELISpot反応をブーストした。最初のrVSVHIVenv/rVSVSIVgagブーストの後、平均SIVgagELISpot反応は、一回のrVSVHIVenv/rVSVSIVgag免疫化のみを受けた反応(平均386SFC/10細胞)よりも、実質的に高かった。これらの結果は、rVSV免疫化の免疫原性を増大させるために、サイトカインで向上させたDNAプライムを利用することを支持している。
【0129】
これらの結果は、以下の表1および図2、3、4および5において報告されている。図2は、25週後に免疫化したこれらの動物に由来する、細分されていない末梢血単核細胞(PBMC)におけるrVSVN特異的IFN−γELISpot反応を示す。図3は、同一の試料についてのHIVenv6101特異的IFN−γELISpot反応を示す。アステリスクは、統計学的有意差がp=0.0001で生じたことを示している。図4は、ELISAによる抗SIVgsgp27IgG滴定価およびELISAによる抗HIV−1gp160env滴定価を測定する、血清抗体反応の結果を示す。fluHAタンパク質を発現しているVSVベクターのブーストと共に、SIVgagタンパク質をコード化するDNAプラスミドを用いて免疫化するプロトコールを、(◆)によって表している。プライミングDNAgagプラスミド免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVブーストを行うことを含む発明のプロトコールを、(■)によって表している。空の対照群のDNAによるプライミング免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVを用いた免疫化を行うことを含むプロトコールを、(▲)によって表している。対照群のDNAプラスミドを用いたプライミング免疫化、それに続いてfluHAタンパク質を発現しているVSVによる免疫化を行うことを含むプロトコールを、(●)によって表している。各々のグループは、5つの動物から得られた結果を表す。グループ間の統計的有意差は、p=0.0073(*);p=0.5941(#)またはp=0.0027(¥)として示されている。
【0130】
図5は、同一の試料についての、平均SIVgag特異的IFN−γELISpot反応を示している。fluHAタンパク質を発現しているVSVベクターのブーストと共に、SIVgagタンパク質をコード化するDNAプラスミドを用いて免疫化するプロトコールを、(◆)によって表している。プライミングDNAgagプラスミド免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVブーストを行うことを含む発明のプロトコールを、(■)によって表している。空の対照群のDNAによるプライミング免疫化、それに続いてHIVgagおよびenvタンパク質を発現しているVSVを用いた免疫化を行うことを含むプロトコールを、(▲)によって表している。(●)は、対照群のDNAプラスミドを用いたプライミング免疫化、それに続いてfluHAタンパク質を発現しているVSVによる免疫化を行うことを含むプロトコールを表す。各々のグループは、5つの動物から得られた結果を表す。グループ間の統計的有意差は、p=0.0001およびp=0.0002の括弧として示されている。
表1は、同一の結果を、表の形で報告している。
【0131】
【表1】

平均SIVgag特異的IFN−γELISpot反応は、最初のDNA免疫化の25週間後で報告されている。
【0132】
これらのアッセイの結果は、複数のプライミング組成物のみの投与または複数のブースティング組成物のみの投与の結果と比較した場合、本発明に従ったプライム/ブースト投与法が驚くべき相乗効果を示すことを実証している。DNAプラスミドを投与し、続いてrVSVブーストを投与することによる、望ましい抗原の呈示の組み合わせは、免疫化した対象における抗原特異的T細胞を増加させ、それは追加の反応を相当超過している。同様に、望ましい抗原に対する体液性免疫において実証された増加は、免疫化プロトコールにおいてDNAプラスミドおよびrVSV免疫原性組成物の両方を利用することによって、予想外に大きい。
【0133】
実施例4:HIVに対する免疫化についてのマカークモデル
マカークザル(Rh)を、実施例3のプライム/ブースト戦略、および同一のプロトコールに従ったその中に記述されているプラスミドおよびVSVベクターを用いて免疫化する。最初のプライミング組成物投与の約32週後、マカークを、病原性SIV/HIV組換えウィルスSHIV89.6Pの50%サル感染用量(MID50)の330倍の用量で刺激する(Reimannら、1996年 J.Virol.,70:3198−3206;Reimannら、1996年 J.Virol.,70:6922−6928)。
【0134】
刺激の後約50−70日間、動物を疾患についてモニターする。動物を、各々の免疫化の直前、1および2週間後に、細胞媒介性および抗体反応の誘導についてモニターする。刺激に先立って、およびその刺激の2、4、6、8および12週後に収集した血清を、HIV−189.6、89.6P、6101および他のクレードB初期単離集団に対する中和抗体反応について検査する。本実験の免疫化段階の間、刺激の直前に、およびその刺激の2週間後ごとに、CD4/CD8数をモニターする。刺激の直前に、およびその刺激の1週間後ごとに、血清中のウィルス存在量を、分枝DNA分析によって決定する。動物の他の体液(唾液と共に、膣液、直腸液および鼻腔分泌物)を、細胞性および体液性免疫について検査する。
【0135】
望ましい抗原に対する細胞媒介性免疫応答を、51Cr遊離CTLアッセイ、可溶性MHCクラスI四量体染色、ELISpotアッセイおよび細胞内サイトカイン分析を含む、いくつかの最も適切な細胞に基づくアッセイを用いて分析する。粘膜抗体反応は、粘膜試料と共に利用するために最適化したELISA技術によって評価する。血清抗体反応は、標準的なELISA技術によって評価する。それに加えて、全ての免疫化した動物由来の血清を、HIVEnv6101および他のクレードB初期単離集団に対する中和抗体反応について検査する。図6は、刺激後少なくとも250日間CD4T細胞の減少量が低下することによって評価できるように、本発明のプライム/ブーストの組み合わせによって誘導された免疫応答の向上によって、AIDSからの防御力が向上する。
【0136】
免疫原性組成物によって誘導される免疫応答のモニターリングに加えて、生きたウィルスベクターの感染性を、ウィルスが散布されるレベルおよび継続期間を決定することによって評価する。各々の免疫化の後最初の3週間の間、頻繁な間隔で得られた鼻洗浄は、生きたVSVが存在するかについて検査した。細胞質のウィルス存在量もまた、生きたウィルスコピーが存在するかについて検査した。図7は、プライム/ブーストの組み合わせによって誘導された免疫応答の向上によって、刺激後少なくとも250日間細胞質中に循環しているウィルスが減少することを実証している。
【0137】
そのような検査の結果はまた、対照群の動物と対比して、本発明に従って免疫化した動物において、非常に高い抗原特異性を有するCD8+およびCD4+T細胞が存在する可能性がある。本発明のプライム/ブースト方法論に従って免疫化した動物は、HIV曝露後も健康なままであり、一方免疫化していない動物はAIDSを発症するであろうと予想される。
【0138】
本プロトコールを他の既知のプライム/ブースト方法論と比較することで、本発明の方法が、免疫化した動物に対する安全性の点で、一回または複数回のDNAプライミング組成物免疫化単独で、または一回または複数回のrVSVベクター免疫化単独で免疫化することによって提供されるよりも高いレベルの抗HIVCTLsおよび抗体を誘導する点で利点があることを実証していると予想される。本発明に従ったプライム/ブーストの反復は、相乗的である可能性があり、従ってHIVに曝露される前の対象に対する事前の感染防御に有益であり、および既にHIVに感染した対象に対する治療に有益である可能性がある。
【0139】
上の明細書において引用した全ての文献は、出典明示により本明細書の一部とする。本方法および成分における、様々な修正および小さな変更は、当業者には明白であると信ずる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の対象にて抗原特異的免疫応答を誘導する方法であり、
(a)DNAプラスミドによるその発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む一番目の組成物の有効量を、対象に投与し;
(b)組換え水疱性口内炎ウィルス(VSV)によるその発現に対する調節配列による調節の下で、該抗原をコード化する核酸配列を含む組換えVSVを含む二番目の組成物の有効量を、該対象に投与することを含む;
工程を含む方法。
【請求項2】
VSVが複製成分であるところの、請求項1記載の方法。
【請求項3】
VSVが複製できないところの、請求項1記載の方法。
【請求項4】
一番目の組成物が、二番目の組成物の投与に先立って少なくとも1回対象に投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項5】
二番目の組成物が少なくとも1回対象に投与されるところの、請求項4記載の方法。
【請求項6】
二番目の組成物が、一番目の組成物の投与に先立って少なくとも1回対象に投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項7】
一番目の組成物が少なくとも1回対象に投与されるところの、請求項6記載の方法。
【請求項8】
工程(a)において、さらに有効量のサイトカインを哺乳類に投与することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
サイトカインが、DNAプラスミドによるその発現に対する調節配列による調節の下で、サイトカインをコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む核酸組成物として投与されるところの、請求項8記載の方法。
【請求項10】
サイトカインが、IL−12、IL−15、GM−CSFおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるところの、請求項9記載の方法。
【請求項11】
サイトカインコード化配列が、抗原コード化配列と同一のDNAプラスミド上に存在しているところの、請求項9記載の方法。
【請求項12】
サイトカインコード化配列が、抗原コード化配列とは異なるDNAプラスミド上に存在しているところの、請求項9記載の方法。
【請求項13】
工程(b)において、さらに有効量のサイトカインを哺乳類に投与することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
サイトカインが、タンパク質の形態で投与されるところの、請求項13記載の方法。
【請求項15】
サイトカインが、IL−12、IL−15、GM−CSFおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるところの、請求項14記載の方法。
【請求項16】
抗原が、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、それらの断片または融合体であり、そのタンパク質が、細菌、ウィルス、真菌、寄生虫、癌細胞、腫瘍細胞、アレルゲンおよび自己分子からなる群から選ばれるメンバーに由来するところの、請求項1記載の方法。
【請求項17】
ウィルスが、ヒトまたはサル免疫不全ウィルスであるところの、請求項16記載の方法。
【請求項18】
抗原が、gag、pol、env、nef、vpr、vpu、vifおよびtat、およびそれらの免疫原性断片または融合体からなる群から選ばれるところの、請求項17記載の方法。
【請求項19】
一番目の組成物が、同一または異なる抗原の一つより多くのコピーをコード化するDNA配列を含む一つのDNAプラスミドを含むところの、請求項1記載の方法。
【請求項20】
一番目の組成物が、各々のDNAプラスミドが同一または異なる抗原をコード化する、一つより多くのDNAプラスミドを含むところの、請求項1記載の方法。
【請求項21】
その免疫応答が、抗原に対するCD8+T細胞反応において、DNAプラスミドまたは組換えVSV単独で投与することによって達成されるよりも向上していることを含むところの、請求項1記載の方法。
【請求項22】
その免疫応答が、抗原に対する抗体反応において、一番目の組成物または二番目の組成物単独で投与することによって達成されるよりも相乗的に向上していることを含むところの、請求項1記載の方法。
【請求項23】
哺乳類の対象が霊長類であるところの、請求項1記載の方法。
【請求項24】
哺乳類の対象がヒトであるところの、請求項23記載の方法。
【請求項25】
工程(a)において、組換えVSVに先立って、各々のプラスミドが異なる抗原をコード化する配列を含む、少なくとも二つのDNAプラスミドを投与することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
工程(b)において、少なくとも二つの組換えVSVをさらに投与することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
各々の組換えVSVが、同じ抗原コード化配列であるが、異なるVSVのGタンパク質および異なるVSV血清型を有するところの、請求項26記載の方法。
【請求項28】
各々の組換えVSVが、同じVSVのGタンパク質であるが、異なる抗原コード化配列を有するところの、請求項26記載の方法。
【請求項29】
各々の組換えVSVが、異なる抗原コード化配列を有し、異なるVSVのGタンパク質を有するところの、請求項26記載の方法。
【請求項30】
二番目およびあらゆる追加の組換えVSVが、最初の組換えVSV投与に続くブースターとして投与されるところの、請求項26記載の方法。
【請求項31】
さらに少なくとも三回該ブースターを投与することを含むところの、請求項30記載の方法。
【請求項32】
DNAプラスミド組成物が、医薬上許容される希釈剤、賦形剤またはキャリアに投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項33】
賦形剤がブピバカインを含むところの、請求項32記載の方法。
【請求項34】
rVSV組成物が、医薬上許容される希釈剤、賦形剤またはキャリアに投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項35】
哺乳類の対象における、抗原に対する抗原特異的免疫応答を誘導するための免疫原性組成物であり、
(a)DNAプラスミドによるその発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む一番目の組成物;および
(b)組換え水疱性口内炎ウィルス(VSV)によるその発現に対する調節配列による調節の下で、該抗原をコード化する核酸配列を含む、少なくとも一つの組換えVSV
を含む免疫原性組成物。
【請求項36】
VSVが複製成分であるところの、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
VSVが複製できないところの、請求項35記載の組成物。
【請求項38】
サイトカイン組成物をさらに含む、請求項35記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
そのサイトカイン組成物が、DNAプラスミドによるその発現に対する調節配列による調節の下で、サイトカインをコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む核酸組成物を含むところの、請求項38記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
哺乳類の対象における抗原特異的免疫応答を誘導するための方法に利用するためのキットであり、
DNAプラスミドによるその発現に対する調節配列による調節の下で、抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む、少なくとも一つの一番目の組成物;
組換え水疱性口内炎ウィルス(VSV)によるその発現に対する調節配列による調節の下で、該抗原をコード化する核酸配列を含む組換えVSVを含む、少なくとも一つの二番目の組成物;および
請求項1記載の方法を実践するための使用説明書
を含むキット。
【請求項41】
VSVが複製成分であるところの、請求項40記載のキット。
【請求項42】
VSVが複製できないところの、請求項40記載のキット。
【請求項43】
サイトカイン組成物をさらに含む、請求項40記載のキット。
【請求項44】
そのサイトカイン組成物が、DNAプラスミドによるその発現に対する調節配列による調節の下で、サイトカインをコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む核酸組成物を含むところの、請求項43記載のキット。
【請求項45】
動物における、抗原に対する免疫応答を誘導するための医薬の調製における、
(a)DNAプラスミドによるその発現に対する調節配列による調節の下で、該抗原をコード化するDNA配列を含むDNAプラスミドを含む、一番目の組成物;および
(b)組換え水疱性口内炎ウィルス(VSV)によるその発現に対する調節配列による調節の下で、該抗原をコード化する核酸配列を含む、少なくとも一つの組換えVSV;
の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−251979(P2011−251979A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−154426(P2011−154426)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【分割の表示】特願2006−508920(P2006−508920)の分割
【原出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】